気流分級装置
【課題】ケーシング内部に形成される旋回気流に乱れが発生することを極力押えることができ、しかも構成が非常に簡単であり、そのために故障が少なく、コストも非常に安い気流分級装置を提供する。
【解決手段】旋回気流Aが形成されるケーシング3の内部領域の中心線X0であって旋回気流Aの中心となる中心線X0に沿って延びておりケーシング3の外部と内部とにわたって設けられており自身の軸線X0を中心として回転可能である中空の回転軸18と、回転軸18のケーシング内部側の開口に間隔をおいて対向している分散板22と、回転軸18の外周面上に設けられた分級羽根29と、ケーシング3の外部に設けられており回転軸18を回転させるモータ24とを有し、分級される材料は回転軸18のケーシング外部側の開口から回転軸18の内部へ導入され、その材料は回転軸18のケーシング内部側の開口から分散板22上へ供給される気流分級装置。
【解決手段】旋回気流Aが形成されるケーシング3の内部領域の中心線X0であって旋回気流Aの中心となる中心線X0に沿って延びておりケーシング3の外部と内部とにわたって設けられており自身の軸線X0を中心として回転可能である中空の回転軸18と、回転軸18のケーシング内部側の開口に間隔をおいて対向している分散板22と、回転軸18の外周面上に設けられた分級羽根29と、ケーシング3の外部に設けられており回転軸18を回転させるモータ24とを有し、分級される材料は回転軸18のケーシング外部側の開口から回転軸18の内部へ導入され、その材料は回転軸18のケーシング内部側の開口から分散板22上へ供給される気流分級装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径の異なる物質を含んだ原材料を空気流等といった気流によって分級する気流分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1によれば、図11に示すようなウルトラセパレータと呼ばれる気流分級装置が開示されている。この気流分級装置101では、円筒形状のケーシング102の内部に下から順に、分散機セル103、分散室セル104、分級機セル105、分級機中間セル106、分級機トップセル107の各室が設けられる。そして、分散機セル103内には分散板108及びそれの駆動機構109が設けられ、分散室セル104内には原料投入シュート110が設けられ、分級機セル105内には分級羽根を駆動するための駆動機構111が設けられ、分級機中間セル106内には分級羽根112が設けられている。この気流分級装置101と同様の構成を有した気流分級装置は特許文献1にも開示されている。
【0003】
この従来の気流分級装置101において、分散板108、分級羽根112、及び原料投入シュート110は分級装置としての機能を奏するためにケーシング102の内部に必ず設ける必要がある。しかしながら、この気流分級装置101においては、それらを駆動するための駆動機構109,111もケーシング102の内部に設けられていたので、ケーシング102の内部に形成される気流に乱れが発生し、原材料の分級効率が悪かった。また、原料投入シュート110がケーシング102の中間部分の外部から内部へ斜めに挿入される形状であるので、気流がさらに一層乱されて、原材料の分級効率がさらに悪くなっていた。
【0004】
また、特許文献2によれば、原材料の投入管230を鉛直方向に設け、その周囲に回転管240を設け、その回転管240の外側に分散板250及び分級羽根260aを設けて成る気流分級装置が開示されている。この気流分級装置によれば、分散板250及び分級羽根260aを回転駆動するための駆動機構がケーシングの外部に設けられ、さらに原料投入管230がケーシングの中心位置、すなわち気流の流れを邪魔しない位置に設けられているため、ケーシング内に比較的安定した旋回気流を形成できる。
【0005】
また、特許文献3によれば、鉛直方向に延びた中実の回転軸44によって分散板47を支持し、その回転軸44の回りに原料供給シュート37を設け、その原料供給シュート37の周囲に分級羽根56を設けて成る気流分級装置が開示されている。この気流分級装置によれば、分散板47及び分級羽根56を回転駆動するための駆動機構がケーシングの外部に設けられ、さらに原料供給シュート37がケーシングの中心位置、すなわち気流の流れを邪魔しない位置に設けられているため、ケーシング内に比較的安定した旋回気流を形成できる。
【0006】
【特許文献1】特公昭44−32554号公報(第1〜2頁、添付図)
【特許文献2】特開平05−285412号公報(第3〜4頁、図1)
【特許文献3】特開2002−119920号公報(第4頁〜8頁、図1)
【非特許文献1】分級装置技術便覧、第1版第1刷、272頁〜275頁、昭和53年5月15日発行、日本粉体工業協会編、株式会社産業技術センター発行、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2及び特許文献3に開示された気流分級装置においては、分散板と分級羽根とを駆動するための機構と、原料を供給するための構造とが複雑に絡み合っており、そのためこの部分において気流に乱れが生じ易いという問題があった。また、構造が複雑なために部品コスト及び製造コストが非常に高くなるという問題があった。また、構造が複雑なために回転時のバランスがとり難く、回転ムラ及び回転時の振動の発生による分級効率の低下及び機器の破損等のおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、ケーシング内部に形成される旋回気流に乱れが発生することを極力押えることができて、それ故に高い分級効率を得ることができる気流分級装置を提供することを目的とする。また、構成が非常に簡単であり、そのために故障が少なく、コストも非常に安い気流分級装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであって、中空のケーシングと、該ケーシング内に設けられており該ケーシング内で旋回気流となる気流を導入する気流導入口と、前記ケーシングの内部領域の中心線であって前記旋回気流の中心となる中心線に沿って又は該中心線に対して平行に延びており前記ケーシングの外部と内部とにわたって設けられており自身の軸線を中心として回転可能である中空の回転軸と、前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口端部分に設けられており当該開口に間隔をおいて対向している分散板と、前記気流の流れる方向に関して前記分散板の下流側に設けられており前記回転軸の外周面上に設けられており前記回転軸の中心線に対して直角方向に延びる分級羽根と、前記気流の流れる方向に関して前記分級羽根の下流側に設けられた気流排出口と、前記ケーシングの外部に設けられており前記回転軸を回転させる回転軸駆動手段とを有し、分級される材料は前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口から当該回転軸の内部へ導入され、その材料は前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口から前記分散板上へ供給されることを特徴とする。
【0010】
本発明の気流分級装置によれば、回転軸が、材料をケーシング内へ導入するための導入管として機能すると共に、分散板及び分級羽根を回転させるための駆動軸として機能している。そして、回転軸を駆動するための回転軸駆動手段はケーシングの外部に設けられている。これらの構成要件の組合せの結果、ケーシングの内部空間は不要な構成要素が存在しないきれいな単一の空間になっており、そのため、きれいで安定した旋回気流をケーシングの内部に形成することができる。そのため、分級効率(すなわち、1回の分級作業において投入原材料から得られる所望粒径の製品材料の割合)を高めることができる。
【0011】
さらに、本発明の気流分級装置では、回転軸が分散板及び分級羽根の駆動軸、並びに原材料の投入管として兼用されている。このため、回転軸の周りの構造が非常に簡単になっている。このため、当該部分において故障が発生する確率が大きく低減される。また、構造が簡単であるが故に、旋回気流が乱れることなくきれいな状態に維持され、分級効率を高く維持することができる。
【0012】
ところで、材料に含まれる微粉を水で洗浄する水洗式又は湿式の分級装置が既に知られている。この水洗式の分級装置では、洗浄、乾燥、排水の各処理を行わなければならないので、それらのための処理装置が必要となり、設備コスト及びランニングコストが非常に高くなるという欠点を有していた。これに対し、本発明の気流分級装置は構成が非常に簡単であり、乾式であって水洗に関する処理は全く不要であるので、水洗式の分級装置に比べてコストを大幅に低減できる。
【0013】
また、本発明の気流分級装置は、特開平5−285412号公報及び特開2002−119920号公報に開示された気流分級装置に比べて、原材料投入管の周辺の構造及び分散板等の駆動機構の周辺の構造が格段に簡単に構成されており、コストを大幅に低減でき、しかも故障の発生を大幅に低減できる。
【0014】
次に、本発明に係る気流分級装置において、回転軸の回転方向は前記旋回気流の旋回方向と同じ方向であることが望ましい。回転軸を回転させることにより、回転軸によってケーシング内へ導入される材料に前もって遠心力を付与して適度の分散を付与できる。そして、回転軸の回転方向を旋回気流の旋回方向と同じに設定することにより、ケーシングの内部へ放出された材料を滑らかに旋回気流に乗せることができる。
【0015】
次に、本発明に係る気流分級装置において、前記分級羽根は前記回転軸の回りに設けられた複数の羽根部材を有し、該複数の羽根部材は前記回転軸を中心とする円周方向で互いに間隔を空けて設けられており、前記複数の羽根部材のそれぞれは前記回転軸の中心軸線と平行な軸線を中心として回転自在であり、各羽根部材は前記回転軸の中心軸線に対して直角方向へ延在していることが望ましい。
【0016】
この構成の分級羽根は、特許文献4(特開平05−285412号公報)及び特許文献5(特開2002−119920号公報)に開示された分級羽根に比べて、構造が簡単であり、しかも小型である。そのため、ケーシング内部の旋回気流に乱れを生じさせる可能性を大きく低減できる。
【0017】
次に、本発明に係る気流分級装置において、前記ケーシングは鉛直方向に延びる断面円形状の筒形状を有し、当該ケーシングの下部に粗粒排出口が設けられ、該粗粒排出口の上に前記気流導入口が設けられ、該気流導入口のうえに前記分散板が設けられ、該分散板の上に前記分級羽根が設けられ、前記分級羽根の上に前記気流排出口が設けられ、該気流排出口が微紛排出口となることが望ましい。この構成によれば、本発明に係る気流分級装置を実用的に実現できる。
【0018】
次に、本発明に係る気流分級装置においては、前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口に連通してホッパが設けられ、該ホッパは前記開口側が狭く該開口から離れるに従って断面積が大きくなる錐形状であり、前記ホッパは前記回転軸の回転に拘わらず不動状態に保持されることが望ましい。この構成により、回転軸への材料への投入を容易に且つ安定して行うことができるようになる。
【0019】
次に、本発明に係る気流分級装置は、前記気流導入口を通して前記ケーシングの内部へ高温の気流を供給する高温気流供給手段をさらに有することが望ましい。この構成によれば、ケーシング内に形成される旋回気流を高温の気流とすることができる。旋回気流が高温になれば、材料に含まれていた微紛を分級処理の最中に乾燥させることができ、微紛の水分含有量を低減できる。このことは、例えば、タンカル、すなわちフィラーのように水分含有量が低いことが要求される微紛製品を簡単且つ直接的に作製することができるということであり、実用的に非常に有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る気流分級装置によれば、回転軸が、材料をケーシング内へ導入するための導入管として機能すると共に、分散板及び分級羽根を回転させるための駆動軸として機能している。そしてさらに、回転軸を駆動するための回転軸駆動手段はケーシングの外部に設けられている。これらの構成要件の組合せの結果、ケーシングの内部空間は不要な構成要素が存在しないきれいな単一の空間になっており、そのため、きれいで安定した旋回気流をケーシングの内部に形成することができる。そのため、分級効率を高めることができる。
【0021】
さらに、本発明の気流分級装置では、回転軸が分散板及び分級羽根の駆動軸、並びに原材料の投入管として兼用されている。このため、回転軸の周りの構造が非常に簡単になっている。このため、当該部分において故障が発生する確率が大きく低減される。また、構造が簡単であるが故に、旋回気流が乱れることなくきれいな状態に維持され、分級効率を高く維持することができる。
【0022】
さらに、本発明の気流分級装置は構成が非常に簡単であり、乾式であって水洗に関する処理は全く不要であるので、水洗式の分級装置に比べてコストを大幅に低減できる。
【0023】
さらに、本発明の気流分級装置は、特開平5−285412号公報及び特開2002−119920号公報に開示された気流分級装置に比べて、原材料投入管の周辺の構造及び分散板等の駆動機構の周辺の構造が格段に簡単に構成されており、コストを大幅に低減でき、しかも故障の発生を大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る気流分級装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0025】
図1は本発明に係る気流分級装置の一実施形態を示している。図2はその気流分級装置が用いられる気流分級システムの全体の側面構造を示している。図3はその気流分級システムの平面構造を示している。
【0026】
図1において、この気流分級装置1は、機台2によって支持されて鉛直方向へ延びているケーシング3を有している。ケーシング3は断面径の異なる鋼板製で円筒形状又は円錐形状の筒部材を接合することによって形成されている。ケーシング3は中空、すなわちその内部が空間になっている。内部空間の断面は円形状であり、その内部空間の中心軸線X0は鉛直方向に延びている。なお、今後説明される各種部品の材質は、特に限定されない限り、鋼材である。
【0027】
ケーシング3の下端は径の小さい開口4となっている。この開口4は原材料に含まれる粗粉、例えば粒径が0.15mm以上の粉体を排出するための粗粉排出口として機能する。粗粉排出口4の下方位置には粉体搬送用の搬送手段としてのベルトコンベヤ7が設けられている。
【0028】
ケーシング3の頂端は鋼製の天板5によって覆われている。天板5の適所、図1では奥側において破線で示す所に開口6が設けられている。この開口6は、ケーシング3内の後述する旋回気流が排気される開口であって、原材料に含まれる微粉、例えば0.15mm以下の粉体を排出するための微粉排出口として機能する。微粉排出口6には粉体搬送管8が接合されている。
【0029】
ケーシング3において粗粉排出口4の上に隣接する部分は逆円錐形状の粉体回収部9となっている。この粉体回収部9の上に隣接する部分には、リング状、すなわち輪状の開口11が設けられている。この開口11はケーシング3の内部へ気流を導入するための気流導入口として機能する。リング状開口11の周囲には、図3に示すように、リング状の気流導入管12が設けられており、その気流導入管12とケーシング3の内部空間との間に、図5に示すように、複数の気流案内羽根13が設けられている。また、気流導入管12の適所に気流搬送管14が接合されている。
【0030】
気流搬送管14の適所、本実施形態では気流搬送管14の端部、には気流の発生源であるメインファン16が設けられている。メインファン16は所定の速度で回転するファン、すなわち羽根を有しており、このファンの回転により気流を発生する。この気流は気流搬送管14を通って気流導入管12へ搬送され、さらに図1及び図5の気流案内羽根13によってケーシング3の内部へ導入される。メインファン16の気流出口近傍には流量調整器としてのダンパ20aが設けられている。
【0031】
気流の流れる方向に関してメインファン16の下流側の位置には、ファンを備えた集塵機46が設けられている。このファンの吸気により塵等が気流搬送管14から吸引され、そして集塵機46によりその塵等が回収される。このファンの吸気作用により、ケーシング3の内部は負圧、すなわち外部よりも低い気圧に設定されている。符号20bは、気流搬送管14と集塵機46とを結ぶ気流搬送管内に設けられたダンパを示している。
【0032】
気流導入管12及び気流案内羽根13の作用により、ケーシング3の内部へ導入された気流は、図1において、旋回気流、すなわち渦流気流、すなわち螺旋状気流となって、符合Aで模式的に示すように、鉛直方向へ延びるケーシング3の内部を上昇する。なお、符号Aは旋回気流の流れを理解の手助けとなるように模式的に示すものであり、必ずしも実際の気流を正確に示すものではない。この旋回気流の中心はケーシング3の中心軸線X0と一致している。ケーシング3の内部の旋回気流は天板5に設けた開口6を通して粉体搬送管8へ排出される。
【0033】
天板5の外部表面には上方へ向かって延びるブラケット17が設けられ、このブラケット17によって回転軸18が支持されている。回転軸18は軸受19によって自身の軸線を中心として回転、いわゆる軸回転できるようになっている。回転軸18の回転軸線は、ケーシング3の内部空間の中心軸線X0、すなわち旋回気流の中心線と一致している。以下の説明では、ケーシング3の内部空間の中心軸線、旋回気流の中心線、及び回転軸18の回転軸線のそれぞれを共通した符号X0で示すことがある。なお、ケーシング3の内部空間の中心軸線、旋回気流の中心線、及び回転軸18の回転軸線のそれぞれは一致しない場合もある。
【0034】
回転軸18は中空の円筒形状であり、その下端部に複数、例えば4個のリブ21(手前側の1個のリブの図示は省略されている)によって円板形状の分散板22が回転軸18と一体になるように固定されている。また、回転軸18の上端部には、分級されるべき原材料を受けて溜めるためのホッパ23が設けられている。ホッパ23は位置不動及び回転不能の状態に固定されている。ホッパ23と回転軸18は空間的に連通しており、ホッパ23は回転軸18の回転を妨げないようになっている。例えば、ホッパ23の先端と回転軸18の先端は、わずかの隙間をおいて互いに対向している。もちろんこの隙間は、原材料が漏れ出ない程度に小さい隙間である。
【0035】
ケーシング3の内部空間内に存在する回転軸18の外周面上に分級羽根29が取り付けられている。図6は分級羽根29の平面構造を示しており、図7は分級羽根29の側面断面構造を示している。これらの図に示すように、回転軸18の外周面上に円板状の2枚の支持部材31a,31bが中心軸線X0に沿って互いに間隔を空けて位置不動に固定されている。この固定方法は、溶接、ボルト固定、その他どのような方法であっても良い。そして、それらの支持部材31a,31bの外周縁に複数の羽根部材32が軸線X1を中心として回転自在に支持部材31a,31bに取り付けられている。これらの軸線X1は回転軸18の中心軸線X0と平行に設定されている。個々の羽根部材32は概ね長方形状の板として形成されており、外周先端が細く尖っている。
【0036】
回転軸18が静止しているとき、各羽根部材32は軸線X1を中心として自由に旋回できる状態にあり、個々が無秩序の方向を向くことができる。回転軸18が回転しているときには、各羽根部材32は図6に示すように遠心力によって放射状に一定の間隔で並んだ状態となる。図1において、ケーシング3内の旋回気流は各羽根部材32の間を通過して排出用開口6から排出される。気流中に原材料が含まれる場合、粒径の小さい微粉は羽根部材32間を通過して微粉用開口6から排出される。一方、粒径の大きい粗粉は羽根部材32に叩かれて落下して粗粉用開口4へ向かう。
【0037】
ブラケット17には回転軸18を回転させるための駆動源である電動モータ24が固定されている。モータ24の出力軸にプーリ26が取り付けられている。そのプーリ26に対向した回転軸18の外周面上にプーリ27が取り付けられている。そして、それらのプーリ26,27の間にベルト28が掛け渡されている。モータ24を作動させてその出力軸を回転させると、ベルト28を介して回転が伝えられ、回転軸18が自身の中心軸線X0を中心として回転する。
【0038】
ケーシング3において分散板22よりも下方部分の内部空間(旋回気流が形成される空間)の直径は、約1410mmである。そして、回転軸18の内径は約130mmであり、その外形は約165mmである。つまり、回転軸18の内径はケーシング内部空間の直径に対して約9.2%程度である。発明者の実験によれば、回転軸18の内径はケーシング内部空間の内径に対して9%から10%程度であることが好ましいことが分かった。
【0039】
以下、上記構成より成る気流分級装置1に関してその動作を説明する。
図2においてメインファン16が作動すると、気流が気流搬送管14及び気流導入管12を通してケーシング3の内部へ導入され、図1においてケーシング3の内部の気流導入用開口11からケーシング3の頂部にある気流排出用開口6の間に旋回気流、渦状気流、又は螺旋状気流が形成される。
【0040】
上記のような旋回気流の形成処理と同時に、モータ24を作動させて回転軸18を回転させる。この回転により、分散板22及び分級羽根29が回転軸18と一体になって回転する。回転軸18の回転方向、すなわち分散板22及び分級羽根29の回転方向は、ケーシング3内に形成される旋回気流の旋回方向と同じ方向に設定される。これにより、分散板22によって分散される原材料が旋回上昇気流によって必要以上に乱されることを防止でき、安定した分級処理を実行できる。
【0041】
以上のようにケーシング3内に軸線X0を中心として旋回気流が形成され、さらに回転軸18、分散板22及び分級羽根29が軸線X0を中心として回転しているとき、ホッパ23内に原材料、例えば粉砕によって得られた石灰石が投入、すなわち供給される。投入された石灰石原材料の中には、粒径が0.15mm以下である微粉と、粒径が0.15mm以上である粗粉とが含まれる。本実施形態では、粗粉を製品である砕砂として回収するものとする。
【0042】
ホッパ23へ投入された原材料は回転軸18の内部を通って分散板22上へ落下する。落下した原材料は遠心力によって分散板22から水平方向へ放出され、ケーシング3内に分散される。分散された原材料のうち粒径が大きくて重い粉体は旋回気流に乗ることなく落下して、ケーシング3の下部の粗粉回収用開口4から外部へ、製品である砕砂として排出される。一方、原材料のうち粒径が小さくて軽い粉体は旋回上昇気流に乗って上昇し、分級羽根29を通過して開口6から外部へ排出される。
【0043】
旋回上昇気流に乗った原材料の中には微分に混じって粗粉も存在する。この粗粉は、旋回気流に乗って分級羽根29まで運ばれたとき、分級羽根29を構成する羽根部材32に叩かれて落下し、ケーシング3の下部の粗粉回収用開口4から製品砕砂として回収される。
【0044】
本実施形態では、粗粉と微粉の境界粒径を0.15mmに設定したが、これは分級羽根29の回転速度、従って回転軸18の回転速度を変化させることによって、変化させることができる。例えば、分級羽根29の回転速度を早くすると境界粒径を小さくすること、つまり、微粉用開口6から排出される微粉の粒径を小さくすることができる。
【0045】
本実施形態に係る気流分級装置1においては、回転軸18が、原材料Mをケーシング3内へ導入するための導入管として機能すると共に、分散板22及び分級羽根29を回転させるための駆動軸として機能している。そして、回転軸18の駆動源であるモータ24はケーシング3の外部に設置されている。これらの構成の結果、ケーシング3の内部空間は不要な構成要素が存在しないきれいな単一の空間になっており、そのため、きれいで安定した旋回上昇気流をケーシング3の内部に形成することができる。そのため、分級効率を高めることができる。つまり、1回の分級処理によって、所望の粒径の製品砕砂を原材料から多量に獲得できる。
【0046】
さらに、本実施形態では、回転軸18が、分散板22及び分級羽根29の駆動軸、並びに原材料の投入管として兼用されている。このため、回転軸18の周りの構造が非常に簡単になっている。このため、当該部分において故障が発生する確率が大きく低減される。また、構造が簡単であるが故に旋回気流が乱れることなくきれいな状態に維持され、分級効率を高く維持することができる。さらに、回転軸18に回転ムラや振動が発生することがなく、それ故、安定した分級処理を行うことができ、機器の損傷を防ぐこともできる。
【0047】
さらに、原材料投入管として機能する回転軸18は旋回気流の旋回方向と同一方向に回転するので、原材料は分散板22上へ落下する前に、予め回転軸19によって予備的な分散処理を受けることになり、その理由からも分級効率を高めることができる。
【0048】
ところで、原材料に含まれる微粉を水で洗浄する水洗式又は湿式の分級装置が既に知られている。この水洗式の分級装置では、洗浄、乾燥、排水の各処理を行わなければならないので、それらのための処理装置が必要となり、設備コスト及びランニングコストが非常に高くなるという欠点を有していた。これに対し、本実施形態の気流分級装置は構成が非常に簡単であり、乾式であって水洗に関する処理は全く不要であるので、水洗式の分級装置に比べてコストを大幅に低減できる。
【0049】
また、本実施形態の気流分級装置は、特開平5−285412号公報及び特開2002−119920号公報に開示された気流分級装置に比べて、原材料投入管及び分散板等の駆動機構の周辺の構造が格段に簡単に構成されており、コストを大幅に低減でき、しかも故障の発生を大幅に低減できる。
【0050】
(気流分級装置の使用例)
次に、図1の気流分級装置1の1つの使用例である気流分級システムを図2から図4を用いて説明する。図2は気流分級システムの側面図であり、図3はその気流分級システムの平面図であり、図4はその気流分級システムのブロック図である。
【0051】
気流分級システム41は、図1に示した気流分級装置1と、この気流分級装置1に原材料を供給する原料給鉱ベルトコンベヤ42と、気流分級装置1のケーシング3の頂部から延びている微粉体搬送管8に接続されたサイクロン43と、該サイクロン43の下端の粉体排出口の下方位置に設けられたダストベルトコンベヤ44と、サイクロン43の頂部とメインファン16とを連結する連結管45とを有する。図2において、原料給鉱ベルトコンベヤ42の搬送開始端部に原料ホッパ47が設けられており、このホッパ47内に分級処理を受ける原材料が溜められる。
【0052】
原料給鉱ベルトコンベヤ42の長さL1は、例えば18m(メートル)である。設備施設面(例えば、地面)から気流分級装置1のホッパ23の上端までの体さH1は、例えば、5.6m(メートル)である。
【0053】
気流分級システム41を構成する各機器が動作状態に設定されると、図2において、ホッパ47から適量の原材料が原料給鉱ベルトコンベヤ42へ供給され、そのベルトコンベヤ42によって原材料が気流分級装置1のホッパ23へ投入される。すると、図1を用いて説明した気流分級処理が実行されて、ケーシング3の下端の粗粉排出用開口4から製品としての粗粉、すなわち砕砂が取り出され、ベルトコンベヤ7上に回収される。
【0054】
一方、ケーシング3の上端の微粉排出用開口6から微粉が取り出され、搬送管8によってサイクロン43へ搬送される。微粉はサイクロン43の下端開口から排出されてダストベルトコンベヤ44上に回収される。回収された微粉は要求に応じて、例えばタンカルとして利用される。気流は、サイクロン43から連結管45を通してメインファン16へ戻る。
【0055】
(第2実施形態)
図8は、本発明に係る気流分級装置の他の実施形態及びその気流分級装置を用いた気流分級システムの側面構造を示している。図9はその気流分級装置及び気流分級システムの平面構造を示している。図10はその気流分級システムのブロック図を示している。
【0056】
この実施形態に係る気流分級システム61に含まれる気流分級装置51が図1及び図2に示した気流分級装置1と異なる点は、メインファン16から送り出される気流の流れ方向に関して当該メインファン16の下流側の位置、本実施形態ではさらに集塵機46の下流側の位置、に熱風供給装置52を設けたことである。これ以外の構成は気流分級装置1と同じであり、同じ構成要素は同じ符号を用いて示すことにしてそれらの説明は省略する。
【0057】
熱風供給装置52は、例えば、ヒータ等といった熱を発生する装置と、発生した熱を気流に乗せて流す装置とを有している。この熱風供給装置52は気流搬送管14内へ熱風、すなわち高温の気流を供給する。
【0058】
供給された熱風は、メインファン16から送り出された気流と共に環状の気流導入管12を通ってケーシング3の内部へ導入され、図1において高温の旋回気流Aとなってケーシング3の内部で上昇気流となる。ホッパ23から供給され、回転軸18の内部を通ってケーシング3の内部へ供給され、分散板22で分散された原材料は、高温の旋回気流Aに乗って流れる間に粗粉と微粉とに分級される。
【0059】
本実施形態によれば、高温の旋回気流Aによって原材料を乾燥させながら分級処理を実行できる。その結果、図1のケーシング3の上部の微粉排出用開口6から取り出される微粉の水分含有量を効率良く低減できる。このことは、水分含有量が低いことが要求される微粉を製品として出荷する必要がある場合、例えばタンカルのようにフィラー、すなわち充填物として使用される微粉を作製しようとする場合に非常に有利である。
【0060】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。例えば、原材料は石灰石に限られず、必要に応じて任意の鉱石を選択できる。また、図1において、ケーシング3の形状は図示のものに限られず、任意の形状とすることができる。また、回転軸18を回転自在に支持するための構成は図示のような構造に限られない。
【実施例1】
【0061】
次に、第1の実験例について説明する。実験条件は表1のテスト番号1〜4に示す通りである。表1は2段にわたって表示されている。表1における条件は次の通りである。
(1)テスト番号1〜4で示す4回の実験を行った。テスト番号5は、従来の気流分級装置を用いた比較例である。
【0062】
(2)番号1〜4の各実験において、図1〜4に示した気流分級装置及び気流分級システム、すなわち熱風供給装置を用いない装置を使用した。
(3)番号1〜4の各実験において、原材料として、粒径2.5mm以下のドロマイトを適用した。
【0063】
(4)表1の「処理・生産量(t/h)」における「フィード」は図1のホッパ23へ供給した原材料の量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉の量であり、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉の量を示している。
(5)「分級機(rpm)」は図1の回転軸18の回転数である。
【0064】
(6)「風量(m3/min)」は図2のメインファン16によってケーシング3の内部へ送り込まれる気流の量を示している。
(7)「水分(%)」の「原石」は原材料に含まれる水分量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる水分量を示し、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる水分量を示している。
【0065】
(8)「砕砂(FM値)」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉についてのFM値である。
(9)「−0.15mm分量(%)」における「原石」は原材料中に含まれる粒径0.15mm以下の微粉の存在量である。「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる粒径0.15mm以下の微粉の存在量である。「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる粒径0.15mm以下の微粉の存在量である。
【0066】
(10)「−0.075mm分量(%)」における「原石」は原材料中に含まれる粒径0.075mm以下の微粉の存在量である。「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる粒径0.075mm以下の微粉の存在量である。「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる粒径0.075mm以下の微粉の存在量である。
【0067】
〔比較例1〕
次に、従来の他社気流分級装置を用いて分級実験を行った。条件は表1のテスト番号5に示す通りである。
[比較]
表1における実験例1(No.1〜4)と比較例1(No.5)とを比較すると、次のことが分かる。すなわち、成品歩留まりの項を見れば分かるように、本発明の気流分級装置を用いることにより歩留まりが大きく向上した。すなわち、分級効率が大きく向上した。
【0068】
また、本発明の気流分級装置によれば、分級羽根等の回転速度を低く抑えることができるので、故障を抑えて安定した操業を行うことができる。
【0069】
また、「−0.15mm分量(%)」及び「−0.075mm分量(%)」の項の「フィラー」の欄を見れば分かるように、フィラーの中に含まれる微粉の量を多くすることができた。つまり、分級効率が向上したことが分かった。
【実施例2】
【0070】
次に、第2の実験例について説明する。実験条件は表2のテスト番号1、2に示す通りである。表2は2段にわたって表示されている。表2における条件は次の通りである。
(1)テスト番号1、2で示す2回の実験を行った。番号1の実験は、図8〜10で示す気流分級装置及び気流分級システムにおいて熱風供給装置52を作動させないで室温条件下で分級を行ったものである。このときの室温は30℃であった。番号2の実験は、図8〜10で示す気流分級装置及び気流分級システムにおいて熱風乾燥装置52を作動させた状態で分級を行ったものである。
【0071】
(2)番号1、2の各実験において、原材料としてフィラー、すなわち粒径0.15mm以下の微粉を適用した。
(3)表2の「処理・生産量(t/h)」における「フィード」は図1のホッパ23へ供給した原材料の量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉の量であり、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉の量を示している。
【0072】
(4)「分級機(rpm)」は図1の回転軸18の回転数である。
(5)「温度℃」における「分級機内」は分級機内の温度であり、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された粗粉の温度であり、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉の温度である。
【0073】
(6)「風量(m3/min)」は図8のメインファン16によってケーシング3の内部へ送り込まれる気流の量を示している。
(7)「水分(%)」の「原石」は原材料に含まれる水分量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる水分量を示し、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる水分量を示している。
【0074】
実験の結果、次のことが分かった。すなわち、熱風供給装置52を作動させること無く、ケーシング3の内部に常温の旋回気流を生じさせて気流分級を行った場合、テスト番号1の「水分(%)」の「フィラー」の欄に示すように、フィラー(すなわち微粉)に含まれる水分量は0.59%であった。一方、熱風供給装置52を作動させて、ケーシング3の内部に高温の旋回気流を生じさせて気流分級を行った場合、テスト番号2の「水分(%)」の「フィラー」の欄に示すように、フィラー(すなわち微粉)に含まれる水分量は0.13%まで下がった。なお、このときのケーシング3内の温度は50℃であった。そして、図1のケーシング3の下端の粗粉排出用開口4から取り出された粗粉の温度は40℃であり、上端の微粉排出用開口6から取り出された微粉の温度は41℃であった。
【0075】
水分量が0.13%であるフィラーは実用上問題なく使用可能なフィラーである。このように、ケーシング3内に高温の分級用旋回気流を形成するようにした本発明に係る気流分級装置を用いれば、製品としての砕砂(すなわち粗粉)を効率良く生成することができ、しかも水分含有量の低い乾燥状態にある微粉を同時に得ることができ、この微粉は例えばタンカルすなわちフィラーとして好適に用いることができるものである。こうして、製品としての砕砂及びフィラーを同時に作製することが可能になった。
【0076】
表1
【0077】
表2
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る気流分級装置の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図1の気流分級装置を用いた気流分級システムの一実施形態を示す正面図である。
【図3】図2の気流分級システムの平面図である。
【図4】図2の気流分級システムのブロック図である。
【図5】図1の気流分級装置の主要部を示す平面断面図である。
【図6】図1の気流分級装置の他の主要部を示す平面図である。
【図7】図6の部材の側面断面図である。
【図8】本発明に係る気流分級装置の他の実施形態を含んでいる気流分級システムの側面断面図である。
【図9】図8の気流分級システムの平面図である。
【図10】図8の気流分級システムのブロック図である。
【図11】従来の気流分級装置の一例の側面断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1.気流分級装置、2.機台、3.ケーシング、4.粗粉排出用開口、5.天板、
6.微粉排出用開口、7.ベルトコンベヤ、8.微粉体搬送管、9.粉体回収部、
11.開口、12.気流導入管、13.気流案内羽根、14.気流搬送管、
15.フィードコントローラ接続口、16.メインファン、17.ブラケット、
18.回転軸、19.軸受、20a,20b.ダンパ、21.リブ、22.分散板、
23.ホッパ、24.電動モータ、26.プーリ、27.プーリ、28.ベルト、
29.分級羽根、31a,31b.支持部材、32.羽根部材、
41.気流分級システム、42.原料給鉱ベルトコンベヤ、43.サイクロン、
44.ダストベルトコンベヤ、45.連結管、46.集塵機、47.原料ホッパ、
51.気流分級装置、52.熱風供給装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径の異なる物質を含んだ原材料を空気流等といった気流によって分級する気流分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1によれば、図11に示すようなウルトラセパレータと呼ばれる気流分級装置が開示されている。この気流分級装置101では、円筒形状のケーシング102の内部に下から順に、分散機セル103、分散室セル104、分級機セル105、分級機中間セル106、分級機トップセル107の各室が設けられる。そして、分散機セル103内には分散板108及びそれの駆動機構109が設けられ、分散室セル104内には原料投入シュート110が設けられ、分級機セル105内には分級羽根を駆動するための駆動機構111が設けられ、分級機中間セル106内には分級羽根112が設けられている。この気流分級装置101と同様の構成を有した気流分級装置は特許文献1にも開示されている。
【0003】
この従来の気流分級装置101において、分散板108、分級羽根112、及び原料投入シュート110は分級装置としての機能を奏するためにケーシング102の内部に必ず設ける必要がある。しかしながら、この気流分級装置101においては、それらを駆動するための駆動機構109,111もケーシング102の内部に設けられていたので、ケーシング102の内部に形成される気流に乱れが発生し、原材料の分級効率が悪かった。また、原料投入シュート110がケーシング102の中間部分の外部から内部へ斜めに挿入される形状であるので、気流がさらに一層乱されて、原材料の分級効率がさらに悪くなっていた。
【0004】
また、特許文献2によれば、原材料の投入管230を鉛直方向に設け、その周囲に回転管240を設け、その回転管240の外側に分散板250及び分級羽根260aを設けて成る気流分級装置が開示されている。この気流分級装置によれば、分散板250及び分級羽根260aを回転駆動するための駆動機構がケーシングの外部に設けられ、さらに原料投入管230がケーシングの中心位置、すなわち気流の流れを邪魔しない位置に設けられているため、ケーシング内に比較的安定した旋回気流を形成できる。
【0005】
また、特許文献3によれば、鉛直方向に延びた中実の回転軸44によって分散板47を支持し、その回転軸44の回りに原料供給シュート37を設け、その原料供給シュート37の周囲に分級羽根56を設けて成る気流分級装置が開示されている。この気流分級装置によれば、分散板47及び分級羽根56を回転駆動するための駆動機構がケーシングの外部に設けられ、さらに原料供給シュート37がケーシングの中心位置、すなわち気流の流れを邪魔しない位置に設けられているため、ケーシング内に比較的安定した旋回気流を形成できる。
【0006】
【特許文献1】特公昭44−32554号公報(第1〜2頁、添付図)
【特許文献2】特開平05−285412号公報(第3〜4頁、図1)
【特許文献3】特開2002−119920号公報(第4頁〜8頁、図1)
【非特許文献1】分級装置技術便覧、第1版第1刷、272頁〜275頁、昭和53年5月15日発行、日本粉体工業協会編、株式会社産業技術センター発行、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2及び特許文献3に開示された気流分級装置においては、分散板と分級羽根とを駆動するための機構と、原料を供給するための構造とが複雑に絡み合っており、そのためこの部分において気流に乱れが生じ易いという問題があった。また、構造が複雑なために部品コスト及び製造コストが非常に高くなるという問題があった。また、構造が複雑なために回転時のバランスがとり難く、回転ムラ及び回転時の振動の発生による分級効率の低下及び機器の破損等のおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、ケーシング内部に形成される旋回気流に乱れが発生することを極力押えることができて、それ故に高い分級効率を得ることができる気流分級装置を提供することを目的とする。また、構成が非常に簡単であり、そのために故障が少なく、コストも非常に安い気流分級装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであって、中空のケーシングと、該ケーシング内に設けられており該ケーシング内で旋回気流となる気流を導入する気流導入口と、前記ケーシングの内部領域の中心線であって前記旋回気流の中心となる中心線に沿って又は該中心線に対して平行に延びており前記ケーシングの外部と内部とにわたって設けられており自身の軸線を中心として回転可能である中空の回転軸と、前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口端部分に設けられており当該開口に間隔をおいて対向している分散板と、前記気流の流れる方向に関して前記分散板の下流側に設けられており前記回転軸の外周面上に設けられており前記回転軸の中心線に対して直角方向に延びる分級羽根と、前記気流の流れる方向に関して前記分級羽根の下流側に設けられた気流排出口と、前記ケーシングの外部に設けられており前記回転軸を回転させる回転軸駆動手段とを有し、分級される材料は前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口から当該回転軸の内部へ導入され、その材料は前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口から前記分散板上へ供給されることを特徴とする。
【0010】
本発明の気流分級装置によれば、回転軸が、材料をケーシング内へ導入するための導入管として機能すると共に、分散板及び分級羽根を回転させるための駆動軸として機能している。そして、回転軸を駆動するための回転軸駆動手段はケーシングの外部に設けられている。これらの構成要件の組合せの結果、ケーシングの内部空間は不要な構成要素が存在しないきれいな単一の空間になっており、そのため、きれいで安定した旋回気流をケーシングの内部に形成することができる。そのため、分級効率(すなわち、1回の分級作業において投入原材料から得られる所望粒径の製品材料の割合)を高めることができる。
【0011】
さらに、本発明の気流分級装置では、回転軸が分散板及び分級羽根の駆動軸、並びに原材料の投入管として兼用されている。このため、回転軸の周りの構造が非常に簡単になっている。このため、当該部分において故障が発生する確率が大きく低減される。また、構造が簡単であるが故に、旋回気流が乱れることなくきれいな状態に維持され、分級効率を高く維持することができる。
【0012】
ところで、材料に含まれる微粉を水で洗浄する水洗式又は湿式の分級装置が既に知られている。この水洗式の分級装置では、洗浄、乾燥、排水の各処理を行わなければならないので、それらのための処理装置が必要となり、設備コスト及びランニングコストが非常に高くなるという欠点を有していた。これに対し、本発明の気流分級装置は構成が非常に簡単であり、乾式であって水洗に関する処理は全く不要であるので、水洗式の分級装置に比べてコストを大幅に低減できる。
【0013】
また、本発明の気流分級装置は、特開平5−285412号公報及び特開2002−119920号公報に開示された気流分級装置に比べて、原材料投入管の周辺の構造及び分散板等の駆動機構の周辺の構造が格段に簡単に構成されており、コストを大幅に低減でき、しかも故障の発生を大幅に低減できる。
【0014】
次に、本発明に係る気流分級装置において、回転軸の回転方向は前記旋回気流の旋回方向と同じ方向であることが望ましい。回転軸を回転させることにより、回転軸によってケーシング内へ導入される材料に前もって遠心力を付与して適度の分散を付与できる。そして、回転軸の回転方向を旋回気流の旋回方向と同じに設定することにより、ケーシングの内部へ放出された材料を滑らかに旋回気流に乗せることができる。
【0015】
次に、本発明に係る気流分級装置において、前記分級羽根は前記回転軸の回りに設けられた複数の羽根部材を有し、該複数の羽根部材は前記回転軸を中心とする円周方向で互いに間隔を空けて設けられており、前記複数の羽根部材のそれぞれは前記回転軸の中心軸線と平行な軸線を中心として回転自在であり、各羽根部材は前記回転軸の中心軸線に対して直角方向へ延在していることが望ましい。
【0016】
この構成の分級羽根は、特許文献4(特開平05−285412号公報)及び特許文献5(特開2002−119920号公報)に開示された分級羽根に比べて、構造が簡単であり、しかも小型である。そのため、ケーシング内部の旋回気流に乱れを生じさせる可能性を大きく低減できる。
【0017】
次に、本発明に係る気流分級装置において、前記ケーシングは鉛直方向に延びる断面円形状の筒形状を有し、当該ケーシングの下部に粗粒排出口が設けられ、該粗粒排出口の上に前記気流導入口が設けられ、該気流導入口のうえに前記分散板が設けられ、該分散板の上に前記分級羽根が設けられ、前記分級羽根の上に前記気流排出口が設けられ、該気流排出口が微紛排出口となることが望ましい。この構成によれば、本発明に係る気流分級装置を実用的に実現できる。
【0018】
次に、本発明に係る気流分級装置においては、前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口に連通してホッパが設けられ、該ホッパは前記開口側が狭く該開口から離れるに従って断面積が大きくなる錐形状であり、前記ホッパは前記回転軸の回転に拘わらず不動状態に保持されることが望ましい。この構成により、回転軸への材料への投入を容易に且つ安定して行うことができるようになる。
【0019】
次に、本発明に係る気流分級装置は、前記気流導入口を通して前記ケーシングの内部へ高温の気流を供給する高温気流供給手段をさらに有することが望ましい。この構成によれば、ケーシング内に形成される旋回気流を高温の気流とすることができる。旋回気流が高温になれば、材料に含まれていた微紛を分級処理の最中に乾燥させることができ、微紛の水分含有量を低減できる。このことは、例えば、タンカル、すなわちフィラーのように水分含有量が低いことが要求される微紛製品を簡単且つ直接的に作製することができるということであり、実用的に非常に有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る気流分級装置によれば、回転軸が、材料をケーシング内へ導入するための導入管として機能すると共に、分散板及び分級羽根を回転させるための駆動軸として機能している。そしてさらに、回転軸を駆動するための回転軸駆動手段はケーシングの外部に設けられている。これらの構成要件の組合せの結果、ケーシングの内部空間は不要な構成要素が存在しないきれいな単一の空間になっており、そのため、きれいで安定した旋回気流をケーシングの内部に形成することができる。そのため、分級効率を高めることができる。
【0021】
さらに、本発明の気流分級装置では、回転軸が分散板及び分級羽根の駆動軸、並びに原材料の投入管として兼用されている。このため、回転軸の周りの構造が非常に簡単になっている。このため、当該部分において故障が発生する確率が大きく低減される。また、構造が簡単であるが故に、旋回気流が乱れることなくきれいな状態に維持され、分級効率を高く維持することができる。
【0022】
さらに、本発明の気流分級装置は構成が非常に簡単であり、乾式であって水洗に関する処理は全く不要であるので、水洗式の分級装置に比べてコストを大幅に低減できる。
【0023】
さらに、本発明の気流分級装置は、特開平5−285412号公報及び特開2002−119920号公報に開示された気流分級装置に比べて、原材料投入管の周辺の構造及び分散板等の駆動機構の周辺の構造が格段に簡単に構成されており、コストを大幅に低減でき、しかも故障の発生を大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る気流分級装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0025】
図1は本発明に係る気流分級装置の一実施形態を示している。図2はその気流分級装置が用いられる気流分級システムの全体の側面構造を示している。図3はその気流分級システムの平面構造を示している。
【0026】
図1において、この気流分級装置1は、機台2によって支持されて鉛直方向へ延びているケーシング3を有している。ケーシング3は断面径の異なる鋼板製で円筒形状又は円錐形状の筒部材を接合することによって形成されている。ケーシング3は中空、すなわちその内部が空間になっている。内部空間の断面は円形状であり、その内部空間の中心軸線X0は鉛直方向に延びている。なお、今後説明される各種部品の材質は、特に限定されない限り、鋼材である。
【0027】
ケーシング3の下端は径の小さい開口4となっている。この開口4は原材料に含まれる粗粉、例えば粒径が0.15mm以上の粉体を排出するための粗粉排出口として機能する。粗粉排出口4の下方位置には粉体搬送用の搬送手段としてのベルトコンベヤ7が設けられている。
【0028】
ケーシング3の頂端は鋼製の天板5によって覆われている。天板5の適所、図1では奥側において破線で示す所に開口6が設けられている。この開口6は、ケーシング3内の後述する旋回気流が排気される開口であって、原材料に含まれる微粉、例えば0.15mm以下の粉体を排出するための微粉排出口として機能する。微粉排出口6には粉体搬送管8が接合されている。
【0029】
ケーシング3において粗粉排出口4の上に隣接する部分は逆円錐形状の粉体回収部9となっている。この粉体回収部9の上に隣接する部分には、リング状、すなわち輪状の開口11が設けられている。この開口11はケーシング3の内部へ気流を導入するための気流導入口として機能する。リング状開口11の周囲には、図3に示すように、リング状の気流導入管12が設けられており、その気流導入管12とケーシング3の内部空間との間に、図5に示すように、複数の気流案内羽根13が設けられている。また、気流導入管12の適所に気流搬送管14が接合されている。
【0030】
気流搬送管14の適所、本実施形態では気流搬送管14の端部、には気流の発生源であるメインファン16が設けられている。メインファン16は所定の速度で回転するファン、すなわち羽根を有しており、このファンの回転により気流を発生する。この気流は気流搬送管14を通って気流導入管12へ搬送され、さらに図1及び図5の気流案内羽根13によってケーシング3の内部へ導入される。メインファン16の気流出口近傍には流量調整器としてのダンパ20aが設けられている。
【0031】
気流の流れる方向に関してメインファン16の下流側の位置には、ファンを備えた集塵機46が設けられている。このファンの吸気により塵等が気流搬送管14から吸引され、そして集塵機46によりその塵等が回収される。このファンの吸気作用により、ケーシング3の内部は負圧、すなわち外部よりも低い気圧に設定されている。符号20bは、気流搬送管14と集塵機46とを結ぶ気流搬送管内に設けられたダンパを示している。
【0032】
気流導入管12及び気流案内羽根13の作用により、ケーシング3の内部へ導入された気流は、図1において、旋回気流、すなわち渦流気流、すなわち螺旋状気流となって、符合Aで模式的に示すように、鉛直方向へ延びるケーシング3の内部を上昇する。なお、符号Aは旋回気流の流れを理解の手助けとなるように模式的に示すものであり、必ずしも実際の気流を正確に示すものではない。この旋回気流の中心はケーシング3の中心軸線X0と一致している。ケーシング3の内部の旋回気流は天板5に設けた開口6を通して粉体搬送管8へ排出される。
【0033】
天板5の外部表面には上方へ向かって延びるブラケット17が設けられ、このブラケット17によって回転軸18が支持されている。回転軸18は軸受19によって自身の軸線を中心として回転、いわゆる軸回転できるようになっている。回転軸18の回転軸線は、ケーシング3の内部空間の中心軸線X0、すなわち旋回気流の中心線と一致している。以下の説明では、ケーシング3の内部空間の中心軸線、旋回気流の中心線、及び回転軸18の回転軸線のそれぞれを共通した符号X0で示すことがある。なお、ケーシング3の内部空間の中心軸線、旋回気流の中心線、及び回転軸18の回転軸線のそれぞれは一致しない場合もある。
【0034】
回転軸18は中空の円筒形状であり、その下端部に複数、例えば4個のリブ21(手前側の1個のリブの図示は省略されている)によって円板形状の分散板22が回転軸18と一体になるように固定されている。また、回転軸18の上端部には、分級されるべき原材料を受けて溜めるためのホッパ23が設けられている。ホッパ23は位置不動及び回転不能の状態に固定されている。ホッパ23と回転軸18は空間的に連通しており、ホッパ23は回転軸18の回転を妨げないようになっている。例えば、ホッパ23の先端と回転軸18の先端は、わずかの隙間をおいて互いに対向している。もちろんこの隙間は、原材料が漏れ出ない程度に小さい隙間である。
【0035】
ケーシング3の内部空間内に存在する回転軸18の外周面上に分級羽根29が取り付けられている。図6は分級羽根29の平面構造を示しており、図7は分級羽根29の側面断面構造を示している。これらの図に示すように、回転軸18の外周面上に円板状の2枚の支持部材31a,31bが中心軸線X0に沿って互いに間隔を空けて位置不動に固定されている。この固定方法は、溶接、ボルト固定、その他どのような方法であっても良い。そして、それらの支持部材31a,31bの外周縁に複数の羽根部材32が軸線X1を中心として回転自在に支持部材31a,31bに取り付けられている。これらの軸線X1は回転軸18の中心軸線X0と平行に設定されている。個々の羽根部材32は概ね長方形状の板として形成されており、外周先端が細く尖っている。
【0036】
回転軸18が静止しているとき、各羽根部材32は軸線X1を中心として自由に旋回できる状態にあり、個々が無秩序の方向を向くことができる。回転軸18が回転しているときには、各羽根部材32は図6に示すように遠心力によって放射状に一定の間隔で並んだ状態となる。図1において、ケーシング3内の旋回気流は各羽根部材32の間を通過して排出用開口6から排出される。気流中に原材料が含まれる場合、粒径の小さい微粉は羽根部材32間を通過して微粉用開口6から排出される。一方、粒径の大きい粗粉は羽根部材32に叩かれて落下して粗粉用開口4へ向かう。
【0037】
ブラケット17には回転軸18を回転させるための駆動源である電動モータ24が固定されている。モータ24の出力軸にプーリ26が取り付けられている。そのプーリ26に対向した回転軸18の外周面上にプーリ27が取り付けられている。そして、それらのプーリ26,27の間にベルト28が掛け渡されている。モータ24を作動させてその出力軸を回転させると、ベルト28を介して回転が伝えられ、回転軸18が自身の中心軸線X0を中心として回転する。
【0038】
ケーシング3において分散板22よりも下方部分の内部空間(旋回気流が形成される空間)の直径は、約1410mmである。そして、回転軸18の内径は約130mmであり、その外形は約165mmである。つまり、回転軸18の内径はケーシング内部空間の直径に対して約9.2%程度である。発明者の実験によれば、回転軸18の内径はケーシング内部空間の内径に対して9%から10%程度であることが好ましいことが分かった。
【0039】
以下、上記構成より成る気流分級装置1に関してその動作を説明する。
図2においてメインファン16が作動すると、気流が気流搬送管14及び気流導入管12を通してケーシング3の内部へ導入され、図1においてケーシング3の内部の気流導入用開口11からケーシング3の頂部にある気流排出用開口6の間に旋回気流、渦状気流、又は螺旋状気流が形成される。
【0040】
上記のような旋回気流の形成処理と同時に、モータ24を作動させて回転軸18を回転させる。この回転により、分散板22及び分級羽根29が回転軸18と一体になって回転する。回転軸18の回転方向、すなわち分散板22及び分級羽根29の回転方向は、ケーシング3内に形成される旋回気流の旋回方向と同じ方向に設定される。これにより、分散板22によって分散される原材料が旋回上昇気流によって必要以上に乱されることを防止でき、安定した分級処理を実行できる。
【0041】
以上のようにケーシング3内に軸線X0を中心として旋回気流が形成され、さらに回転軸18、分散板22及び分級羽根29が軸線X0を中心として回転しているとき、ホッパ23内に原材料、例えば粉砕によって得られた石灰石が投入、すなわち供給される。投入された石灰石原材料の中には、粒径が0.15mm以下である微粉と、粒径が0.15mm以上である粗粉とが含まれる。本実施形態では、粗粉を製品である砕砂として回収するものとする。
【0042】
ホッパ23へ投入された原材料は回転軸18の内部を通って分散板22上へ落下する。落下した原材料は遠心力によって分散板22から水平方向へ放出され、ケーシング3内に分散される。分散された原材料のうち粒径が大きくて重い粉体は旋回気流に乗ることなく落下して、ケーシング3の下部の粗粉回収用開口4から外部へ、製品である砕砂として排出される。一方、原材料のうち粒径が小さくて軽い粉体は旋回上昇気流に乗って上昇し、分級羽根29を通過して開口6から外部へ排出される。
【0043】
旋回上昇気流に乗った原材料の中には微分に混じって粗粉も存在する。この粗粉は、旋回気流に乗って分級羽根29まで運ばれたとき、分級羽根29を構成する羽根部材32に叩かれて落下し、ケーシング3の下部の粗粉回収用開口4から製品砕砂として回収される。
【0044】
本実施形態では、粗粉と微粉の境界粒径を0.15mmに設定したが、これは分級羽根29の回転速度、従って回転軸18の回転速度を変化させることによって、変化させることができる。例えば、分級羽根29の回転速度を早くすると境界粒径を小さくすること、つまり、微粉用開口6から排出される微粉の粒径を小さくすることができる。
【0045】
本実施形態に係る気流分級装置1においては、回転軸18が、原材料Mをケーシング3内へ導入するための導入管として機能すると共に、分散板22及び分級羽根29を回転させるための駆動軸として機能している。そして、回転軸18の駆動源であるモータ24はケーシング3の外部に設置されている。これらの構成の結果、ケーシング3の内部空間は不要な構成要素が存在しないきれいな単一の空間になっており、そのため、きれいで安定した旋回上昇気流をケーシング3の内部に形成することができる。そのため、分級効率を高めることができる。つまり、1回の分級処理によって、所望の粒径の製品砕砂を原材料から多量に獲得できる。
【0046】
さらに、本実施形態では、回転軸18が、分散板22及び分級羽根29の駆動軸、並びに原材料の投入管として兼用されている。このため、回転軸18の周りの構造が非常に簡単になっている。このため、当該部分において故障が発生する確率が大きく低減される。また、構造が簡単であるが故に旋回気流が乱れることなくきれいな状態に維持され、分級効率を高く維持することができる。さらに、回転軸18に回転ムラや振動が発生することがなく、それ故、安定した分級処理を行うことができ、機器の損傷を防ぐこともできる。
【0047】
さらに、原材料投入管として機能する回転軸18は旋回気流の旋回方向と同一方向に回転するので、原材料は分散板22上へ落下する前に、予め回転軸19によって予備的な分散処理を受けることになり、その理由からも分級効率を高めることができる。
【0048】
ところで、原材料に含まれる微粉を水で洗浄する水洗式又は湿式の分級装置が既に知られている。この水洗式の分級装置では、洗浄、乾燥、排水の各処理を行わなければならないので、それらのための処理装置が必要となり、設備コスト及びランニングコストが非常に高くなるという欠点を有していた。これに対し、本実施形態の気流分級装置は構成が非常に簡単であり、乾式であって水洗に関する処理は全く不要であるので、水洗式の分級装置に比べてコストを大幅に低減できる。
【0049】
また、本実施形態の気流分級装置は、特開平5−285412号公報及び特開2002−119920号公報に開示された気流分級装置に比べて、原材料投入管及び分散板等の駆動機構の周辺の構造が格段に簡単に構成されており、コストを大幅に低減でき、しかも故障の発生を大幅に低減できる。
【0050】
(気流分級装置の使用例)
次に、図1の気流分級装置1の1つの使用例である気流分級システムを図2から図4を用いて説明する。図2は気流分級システムの側面図であり、図3はその気流分級システムの平面図であり、図4はその気流分級システムのブロック図である。
【0051】
気流分級システム41は、図1に示した気流分級装置1と、この気流分級装置1に原材料を供給する原料給鉱ベルトコンベヤ42と、気流分級装置1のケーシング3の頂部から延びている微粉体搬送管8に接続されたサイクロン43と、該サイクロン43の下端の粉体排出口の下方位置に設けられたダストベルトコンベヤ44と、サイクロン43の頂部とメインファン16とを連結する連結管45とを有する。図2において、原料給鉱ベルトコンベヤ42の搬送開始端部に原料ホッパ47が設けられており、このホッパ47内に分級処理を受ける原材料が溜められる。
【0052】
原料給鉱ベルトコンベヤ42の長さL1は、例えば18m(メートル)である。設備施設面(例えば、地面)から気流分級装置1のホッパ23の上端までの体さH1は、例えば、5.6m(メートル)である。
【0053】
気流分級システム41を構成する各機器が動作状態に設定されると、図2において、ホッパ47から適量の原材料が原料給鉱ベルトコンベヤ42へ供給され、そのベルトコンベヤ42によって原材料が気流分級装置1のホッパ23へ投入される。すると、図1を用いて説明した気流分級処理が実行されて、ケーシング3の下端の粗粉排出用開口4から製品としての粗粉、すなわち砕砂が取り出され、ベルトコンベヤ7上に回収される。
【0054】
一方、ケーシング3の上端の微粉排出用開口6から微粉が取り出され、搬送管8によってサイクロン43へ搬送される。微粉はサイクロン43の下端開口から排出されてダストベルトコンベヤ44上に回収される。回収された微粉は要求に応じて、例えばタンカルとして利用される。気流は、サイクロン43から連結管45を通してメインファン16へ戻る。
【0055】
(第2実施形態)
図8は、本発明に係る気流分級装置の他の実施形態及びその気流分級装置を用いた気流分級システムの側面構造を示している。図9はその気流分級装置及び気流分級システムの平面構造を示している。図10はその気流分級システムのブロック図を示している。
【0056】
この実施形態に係る気流分級システム61に含まれる気流分級装置51が図1及び図2に示した気流分級装置1と異なる点は、メインファン16から送り出される気流の流れ方向に関して当該メインファン16の下流側の位置、本実施形態ではさらに集塵機46の下流側の位置、に熱風供給装置52を設けたことである。これ以外の構成は気流分級装置1と同じであり、同じ構成要素は同じ符号を用いて示すことにしてそれらの説明は省略する。
【0057】
熱風供給装置52は、例えば、ヒータ等といった熱を発生する装置と、発生した熱を気流に乗せて流す装置とを有している。この熱風供給装置52は気流搬送管14内へ熱風、すなわち高温の気流を供給する。
【0058】
供給された熱風は、メインファン16から送り出された気流と共に環状の気流導入管12を通ってケーシング3の内部へ導入され、図1において高温の旋回気流Aとなってケーシング3の内部で上昇気流となる。ホッパ23から供給され、回転軸18の内部を通ってケーシング3の内部へ供給され、分散板22で分散された原材料は、高温の旋回気流Aに乗って流れる間に粗粉と微粉とに分級される。
【0059】
本実施形態によれば、高温の旋回気流Aによって原材料を乾燥させながら分級処理を実行できる。その結果、図1のケーシング3の上部の微粉排出用開口6から取り出される微粉の水分含有量を効率良く低減できる。このことは、水分含有量が低いことが要求される微粉を製品として出荷する必要がある場合、例えばタンカルのようにフィラー、すなわち充填物として使用される微粉を作製しようとする場合に非常に有利である。
【0060】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。例えば、原材料は石灰石に限られず、必要に応じて任意の鉱石を選択できる。また、図1において、ケーシング3の形状は図示のものに限られず、任意の形状とすることができる。また、回転軸18を回転自在に支持するための構成は図示のような構造に限られない。
【実施例1】
【0061】
次に、第1の実験例について説明する。実験条件は表1のテスト番号1〜4に示す通りである。表1は2段にわたって表示されている。表1における条件は次の通りである。
(1)テスト番号1〜4で示す4回の実験を行った。テスト番号5は、従来の気流分級装置を用いた比較例である。
【0062】
(2)番号1〜4の各実験において、図1〜4に示した気流分級装置及び気流分級システム、すなわち熱風供給装置を用いない装置を使用した。
(3)番号1〜4の各実験において、原材料として、粒径2.5mm以下のドロマイトを適用した。
【0063】
(4)表1の「処理・生産量(t/h)」における「フィード」は図1のホッパ23へ供給した原材料の量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉の量であり、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉の量を示している。
(5)「分級機(rpm)」は図1の回転軸18の回転数である。
【0064】
(6)「風量(m3/min)」は図2のメインファン16によってケーシング3の内部へ送り込まれる気流の量を示している。
(7)「水分(%)」の「原石」は原材料に含まれる水分量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる水分量を示し、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる水分量を示している。
【0065】
(8)「砕砂(FM値)」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉についてのFM値である。
(9)「−0.15mm分量(%)」における「原石」は原材料中に含まれる粒径0.15mm以下の微粉の存在量である。「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる粒径0.15mm以下の微粉の存在量である。「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる粒径0.15mm以下の微粉の存在量である。
【0066】
(10)「−0.075mm分量(%)」における「原石」は原材料中に含まれる粒径0.075mm以下の微粉の存在量である。「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる粒径0.075mm以下の微粉の存在量である。「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる粒径0.075mm以下の微粉の存在量である。
【0067】
〔比較例1〕
次に、従来の他社気流分級装置を用いて分級実験を行った。条件は表1のテスト番号5に示す通りである。
[比較]
表1における実験例1(No.1〜4)と比較例1(No.5)とを比較すると、次のことが分かる。すなわち、成品歩留まりの項を見れば分かるように、本発明の気流分級装置を用いることにより歩留まりが大きく向上した。すなわち、分級効率が大きく向上した。
【0068】
また、本発明の気流分級装置によれば、分級羽根等の回転速度を低く抑えることができるので、故障を抑えて安定した操業を行うことができる。
【0069】
また、「−0.15mm分量(%)」及び「−0.075mm分量(%)」の項の「フィラー」の欄を見れば分かるように、フィラーの中に含まれる微粉の量を多くすることができた。つまり、分級効率が向上したことが分かった。
【実施例2】
【0070】
次に、第2の実験例について説明する。実験条件は表2のテスト番号1、2に示す通りである。表2は2段にわたって表示されている。表2における条件は次の通りである。
(1)テスト番号1、2で示す2回の実験を行った。番号1の実験は、図8〜10で示す気流分級装置及び気流分級システムにおいて熱風供給装置52を作動させないで室温条件下で分級を行ったものである。このときの室温は30℃であった。番号2の実験は、図8〜10で示す気流分級装置及び気流分級システムにおいて熱風乾燥装置52を作動させた状態で分級を行ったものである。
【0071】
(2)番号1、2の各実験において、原材料としてフィラー、すなわち粒径0.15mm以下の微粉を適用した。
(3)表2の「処理・生産量(t/h)」における「フィード」は図1のホッパ23へ供給した原材料の量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉の量であり、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉の量を示している。
【0072】
(4)「分級機(rpm)」は図1の回転軸18の回転数である。
(5)「温度℃」における「分級機内」は分級機内の温度であり、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された粗粉の温度であり、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉の温度である。
【0073】
(6)「風量(m3/min)」は図8のメインファン16によってケーシング3の内部へ送り込まれる気流の量を示している。
(7)「水分(%)」の「原石」は原材料に含まれる水分量を示し、「成品」は粗粉排出用開口4から排出された製品としての粗粉に含まれる水分量を示し、「フィラー」は微粉排出用開口6から排出された微粉に含まれる水分量を示している。
【0074】
実験の結果、次のことが分かった。すなわち、熱風供給装置52を作動させること無く、ケーシング3の内部に常温の旋回気流を生じさせて気流分級を行った場合、テスト番号1の「水分(%)」の「フィラー」の欄に示すように、フィラー(すなわち微粉)に含まれる水分量は0.59%であった。一方、熱風供給装置52を作動させて、ケーシング3の内部に高温の旋回気流を生じさせて気流分級を行った場合、テスト番号2の「水分(%)」の「フィラー」の欄に示すように、フィラー(すなわち微粉)に含まれる水分量は0.13%まで下がった。なお、このときのケーシング3内の温度は50℃であった。そして、図1のケーシング3の下端の粗粉排出用開口4から取り出された粗粉の温度は40℃であり、上端の微粉排出用開口6から取り出された微粉の温度は41℃であった。
【0075】
水分量が0.13%であるフィラーは実用上問題なく使用可能なフィラーである。このように、ケーシング3内に高温の分級用旋回気流を形成するようにした本発明に係る気流分級装置を用いれば、製品としての砕砂(すなわち粗粉)を効率良く生成することができ、しかも水分含有量の低い乾燥状態にある微粉を同時に得ることができ、この微粉は例えばタンカルすなわちフィラーとして好適に用いることができるものである。こうして、製品としての砕砂及びフィラーを同時に作製することが可能になった。
【0076】
表1
【0077】
表2
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る気流分級装置の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図1の気流分級装置を用いた気流分級システムの一実施形態を示す正面図である。
【図3】図2の気流分級システムの平面図である。
【図4】図2の気流分級システムのブロック図である。
【図5】図1の気流分級装置の主要部を示す平面断面図である。
【図6】図1の気流分級装置の他の主要部を示す平面図である。
【図7】図6の部材の側面断面図である。
【図8】本発明に係る気流分級装置の他の実施形態を含んでいる気流分級システムの側面断面図である。
【図9】図8の気流分級システムの平面図である。
【図10】図8の気流分級システムのブロック図である。
【図11】従来の気流分級装置の一例の側面断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1.気流分級装置、2.機台、3.ケーシング、4.粗粉排出用開口、5.天板、
6.微粉排出用開口、7.ベルトコンベヤ、8.微粉体搬送管、9.粉体回収部、
11.開口、12.気流導入管、13.気流案内羽根、14.気流搬送管、
15.フィードコントローラ接続口、16.メインファン、17.ブラケット、
18.回転軸、19.軸受、20a,20b.ダンパ、21.リブ、22.分散板、
23.ホッパ、24.電動モータ、26.プーリ、27.プーリ、28.ベルト、
29.分級羽根、31a,31b.支持部材、32.羽根部材、
41.気流分級システム、42.原料給鉱ベルトコンベヤ、43.サイクロン、
44.ダストベルトコンベヤ、45.連結管、46.集塵機、47.原料ホッパ、
51.気流分級装置、52.熱風供給装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のケーシングと、
該ケーシング内に設けられており該ケーシング内で旋回気流となる気流を導入する気流導入口と、
前記ケーシングの内部領域の中心線であって前記旋回気流の中心となる中心線に沿って又は該中心線に対して平行に延びており、前記ケーシングの外部と内部とにわたって設けられており、自身の軸線を中心として回転可能である中空の回転軸と、
前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口端部分に設けられており当該開口に間隔をおいて対向している分散板と、
前記気流の流れる方向に関して前記分散板の下流側に設けられており前記回転軸の外周面上に設けられており前記回転軸の中心線に対して直角方向に延びる分級羽根と、
前記気流の流れる方向に関して前記分級羽根の下流側に設けられた気流排出口と、
前記ケーシングの外部に設けられており前記回転軸を回転させる回転軸駆動手段と、を有し、
分級される材料は前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口から当該回転軸の内部へ導入され、その材料は前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口から前記分散板上へ供給される
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項2】
請求項1記載の気流分級装置において、前記回転軸の回転方向は前記旋回気流の旋回方向と同じ方向であることを特徴とする気流分級装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の気流分級装置において、
前記分級羽根は前記回転軸の回りに設けられた複数の羽根部材を有し、
該複数の羽根部材は前記回転軸を中心とする円周方向で互いに間隔を空けて設けられており、
前記複数の羽根部材のそれぞれは前記回転軸の中心軸線と平行な軸線を中心として回転自在であり、
各羽根部材は前記回転軸の中心軸線に対して直角方向へ延在している
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3記載の気流分級装置において、
前記ケーシングは鉛直方向に延びる断面円形状の筒形状を有し、
当該ケーシングの下部に粗粒排出口が設けられ、
該粗粒排出口の上に前記気流導入口が設けられ、
該気流導入口のうえに前記分散板が設けられ、
該分散板の上に前記分級羽根が設けられ、
前記分級羽根の上に前記気流排出口が設けられ、該気流排出口が微紛排出口となる
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の気流分級装置において、
前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口に連通してホッパが設けられ、
該ホッパは前記開口側が狭く該開口から離れるに従って断面積が大きくなる錐形状であり、
前記ホッパは前記回転軸の回転に拘わらず不動状態に保持される
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の気流分級装置において、
前記気流導入口を通して前記ケーシングの内部へ高温の気流を供給する高温気流供給手段を有することを特徴とする気流分級装置。
【請求項1】
中空のケーシングと、
該ケーシング内に設けられており該ケーシング内で旋回気流となる気流を導入する気流導入口と、
前記ケーシングの内部領域の中心線であって前記旋回気流の中心となる中心線に沿って又は該中心線に対して平行に延びており、前記ケーシングの外部と内部とにわたって設けられており、自身の軸線を中心として回転可能である中空の回転軸と、
前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口端部分に設けられており当該開口に間隔をおいて対向している分散板と、
前記気流の流れる方向に関して前記分散板の下流側に設けられており前記回転軸の外周面上に設けられており前記回転軸の中心線に対して直角方向に延びる分級羽根と、
前記気流の流れる方向に関して前記分級羽根の下流側に設けられた気流排出口と、
前記ケーシングの外部に設けられており前記回転軸を回転させる回転軸駆動手段と、を有し、
分級される材料は前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口から当該回転軸の内部へ導入され、その材料は前記回転軸における前記ケーシングの内部側の開口から前記分散板上へ供給される
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項2】
請求項1記載の気流分級装置において、前記回転軸の回転方向は前記旋回気流の旋回方向と同じ方向であることを特徴とする気流分級装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の気流分級装置において、
前記分級羽根は前記回転軸の回りに設けられた複数の羽根部材を有し、
該複数の羽根部材は前記回転軸を中心とする円周方向で互いに間隔を空けて設けられており、
前記複数の羽根部材のそれぞれは前記回転軸の中心軸線と平行な軸線を中心として回転自在であり、
各羽根部材は前記回転軸の中心軸線に対して直角方向へ延在している
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3記載の気流分級装置において、
前記ケーシングは鉛直方向に延びる断面円形状の筒形状を有し、
当該ケーシングの下部に粗粒排出口が設けられ、
該粗粒排出口の上に前記気流導入口が設けられ、
該気流導入口のうえに前記分散板が設けられ、
該分散板の上に前記分級羽根が設けられ、
前記分級羽根の上に前記気流排出口が設けられ、該気流排出口が微紛排出口となる
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の気流分級装置において、
前記回転軸における前記ケーシングの外部側の開口に連通してホッパが設けられ、
該ホッパは前記開口側が狭く該開口から離れるに従って断面積が大きくなる錐形状であり、
前記ホッパは前記回転軸の回転に拘わらず不動状態に保持される
ことを特徴とする気流分級装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の気流分級装置において、
前記気流導入口を通して前記ケーシングの内部へ高温の気流を供給する高温気流供給手段を有することを特徴とする気流分級装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−69393(P2010−69393A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238151(P2008−238151)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
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