説明

気流式分級装置

【課題】過剰微粉や粗粉混入を抑制し、発生する余剰微粉をも効率的に再利用可能とさせ、さらに消費動力の効率化面において乾式トナーなどの粉体材料の製造に好適な気流式分級装置を提供する。
【解決手段】高圧エアー及び粉体材料を供給する粉体材料供給口1aを有する円筒形状のケーシング内に、笠形状のセンターコア5と、笠形状で中心に開口部を有するセパレータコア8とを備え、前記高圧エアーと共に供給される粉体材料を分散する分散室1と、分散室1から流入する粉体材料を微粉と粗粉とに遠心分離する分級室2と、を構成する気流式分級装置100であって、分散室1内に、複数の案内羽根1qを一定間隔を空けて環状に配置してなるルーバー環1Qと、ルーバー環1Qの外周に粉体材料供給口1aから供給される高圧エアー及び粉体材料の流路となる空間1bと、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉や粗大粒子の混入を抑制し、効率良く粒度分布のシャープなトナー粉などの粉体材料を製造するための気流式分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーの微粉砕粗粉分級方法としては、図1に示す1台の分級機BZ1と1台の粉砕機FZ1の組合せ、又は図2に示す2台の分級機BZ1,BZ2と1台の粉砕機の組合せ、又は図3に示す2台の分級機BZ1,BZ2と2台の粉砕機FZ1,FZ2の組み合わせが知られている。ここで用いられる粉砕機の例としては、高圧気流をジェットノズルから噴出させ、そのジェット気流中に原料粒子を巻き込み、粒子の相互衝突又は壁その他の衝突体との衝突で粉砕を進めるいわゆるジェット式粉砕手段があり、例えば日本ニューチック社製のI式ミル粉砕機が挙げられる。
【0003】
ここでは、図2の構成を例に取り説明する。
原料は原料供給管FE1を経て供給され、粉砕物と共に原料は、第1分級機BZ1に高圧エアーと共に導入され、粗粉と微粉にわけられる。粗粉は粉砕手段を経て第1粉砕機FZ1で粉砕され、サイクロンCY1で一旦捕集され、再び第2分級機BZ2へ導入され粉砕と微粉にわけられる。ついで、分けられた粗粉は粉砕手段を経て第2粉砕機FZ2で粉砕され、サイクロンCY2で捕集される。そして、微粉分級手段に送られ微粉と製品に分けられる。しかしながら、この系では、分級手段に供給される粉体は、原料の粉体の他、粉砕の過程にある種々の粒径のトナーが粉砕手段と分級手段の間を循環して供給される。
【0004】
図4に、分級機使用する分級機BZ1、BZ2である気流式分級装置(気流式DS分級装置)の構成を示す。気流式分級装置は、上から分散室(コレクター分散室)1、分級室2さらに下部ホッパー3から構成されている。分散室1の上部外周面に一次空気流及び粉体材料供給のための分散室流入口1aが円筒形状のケーシング10の周面からの流入として接続されている。また、分散室1内の下に中央が高い笠状のセンターコア5が取り付けられ、このセンターコア5の下には中央が高い笠状のセパレータコア8が形成されており、さらに分級室2の周壁外周部には二次空気流が流入するための流路として羽形状をした二次空気流入口9(ルーバーとも呼ばれる)が具備され、粉体材料を分散させると共に旋回速度を加速させるように構成されている。したがって、分級室2内の微粉は、セパレータコア8の微粉排出口7に導かれ、微粉排出口7に連結した配管13よりブロワーの吸引力によって排出される。また、粗粉は、セパレータコア8の下縁外周囲に設けられた環状の粗粉排出口6から排出される。
【0005】
気流式DS分級方式の分級原理は、分級室内において流入する二次空気流が粉体材料を旋回上に反自由流動させる際、該粉体材料中の粗粒子と微粒子に対して働く遠心力及び向心力が異なることを利用するものである。したがって、分級室内では分散された粗粒子や微粒子が再凝集することなく、速やかに粗粒子と微粒子に分級されることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の気流式DS分級装置では、トナー粒子の小粒径化にともなう粒子個数の増加ならびに粉砕処理能力で向上による粒子個数の増加により、分級機内の分散能力が低下する。その結果分級精度が低下し、過粉砕による超微粉量の増加や微粉排出部への粗大粒子の混入が避けられない状態にある。その結果、分級工程を経て分級された製品は地汚れ現象が生じ、転写不良で共に画質を低下させる等の画像品質低下が課題となっている。又、生産においても分級機に過大な負荷がかかるため分級の効率が悪く、そして粉砕のエネルギー効率が悪いという問題を有している。
【0007】
なお、特許文献1に、分散室(コレクター)部分にルーバーを設けた分級機が提案されている。しかしながら、ルーバーに粉体及び一次エアーを導入するノズルを差し込むとともに、ルーバー外周面より二次エアーを流入させて、分散を向上させる機構となっているため、高圧エアーと共に流入する原料を供給すると分散室内の圧力差によって原料がコレクター部より大気放出され分級継続は不可能となる問題があった。
【0008】
【特許文献1】特許第2766790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決しようとするもので、その目的は、過剰微粉や粗粉混入の抑制が容易に得られ、かつ発生する余剰微粉をも効率的に再利用可能とさせ、さらに消費動力の効率化面において乾式トナーなどの粉体材料の製造に好適な気流式分級装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 上部に高圧エアー及び粉体材料を供給する粉体材料供給口1aを有する円筒形状のケーシング10内に、上から順に笠形状のセンターコア5と、笠形状で中心に開口部7を有するセパレータコア8とを備え、前記ケーシング10上部内壁とセンターコア5とで囲われ、前記高圧エアーと共に供給される粉体材料を分散する分散室1と、前記センターコア5、セパレータコア8、ケーシング10内壁で囲われ、前記分散室1から流入する粉体材料を微粉と粗粉とに遠心分離する分級室2と、を構成する気流式分級装置100であって、前記分散室1内に、複数の案内羽根1qを一定間隔を空けて環状に配置してなるルーバー環1Qと、該ルーバー環1Qの外周に前記粉体材料供給口1aから供給される高圧エアー及び粉体材料の流路となる空間1bと、を設けることを特徴とする気流式分級装置(図5)。
〔2〕 前記ルーバー環の案内羽根の枚数Nは、下記式(1)を満足することを特徴とする前記〔1〕に記載の気流式分級装置。
R/10≦N≦R/20 ・・・ (1)
(ここで、Rは前記分散室のケーシング内周(mm)である。)
〔3〕 前記センターコア15は、その中心に設けられる微粉排出孔15aと、前記微粉排出孔15aに接続され該微粉排出孔15aから前記セパレータコア8の開口部7に延びる微粉排出管15bと、を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の気流式分級装置(図6)。
〔4〕 前記センターコア15上面の頂角α1は、90°〜140°であることを特徴とする前記〔3〕に記載の気流式分級装置(図7)。
〔5〕 前記センターコア15の微粉排出孔15aの開口面積A1は、下記式(2)を満足することを特徴とする前記〔3〕に記載の気流式分級装置(図8,図9)。
1/10×A2≦A1≦8/10×A2 ・・・ (2)
(ここで、A2は前記セパレータコア8の開口部7の開口面積である。)
〔6〕 前記微粉排出管15bは、前記センターコア15の頂点から上方に突出していることを特徴とする前記〔3〕に記載の気流式分級装置(図10)。
〔7〕 前記微粉排出管15bの長さLは、下記式(3)を満足することを特徴とする前記〔3〕に記載の気流式分級装置(図8,図9)。
2×D2≦L≦8×D2 ・・・ (3)
(ここで、D2は前記セパレータコア8の開口部7の直径である。)
〔8〕 前記分散室は、前記ケーシング上部蓋の中心部に円筒形状の偏流防止部14を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の気流式分級装置(図11)。
〔9〕 前記偏流防止部の容積V1は、下記式(4)を満足することを特徴とする前記〔8〕に記載の気流式分級装置(図11)。
3/10×V2≦V1≦8/10×V2 ・・・ (4)
(ここで、V2は分散室の容積である。)
〔10〕 前記偏流防止部の底面積VA1は、下記式(5)を満足することを特徴とする前記〔8〕に記載の気流式分級装置(図11)。
2/10×VA2≦VA1≦7/10×VA2 ・・・ (5)
(ここで、VA2は分散室におけるケーシングの円筒直径方向の断面積である。)
〔11〕 前記センターコアの下面は、上面に対して平行であることを特徴とする前記〔1〕に記載の気流式分級装置。
〔12〕 前記ケーシング内面は、ブラスト処理されてなることを特徴する前記〔1〕に記載の気流式分級装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、目標粒径に対し、粉砕工程で発生した高圧エアーと共に流入させる粉砕物または原料を分散室(コレクター)内部に設置したルーバーの隙間を介して高圧エアーと共に原料をコレクター分散室に分散流入させることにより、過剰微粉や粗粉混入を容易に抑制することができ、かつ発生する余剰微粉をも効率的に再利用可能とすることができる。また、消費動力の効率化面において乾式トナーなどの粉体材料の製造に好適な気流式分級装置とすることができる。さらに、センターコアに微粉排出孔及び微粉排出管を設けることにより、分散室(コレクター)内の高圧エアーと共に流入した粉砕物または原料の分散性を従来の分級装置と比べ向上させる効果がさらに有効活用され、粉砕で発生した超微粉を分散室(コレクター部)で予め回収し分級精度を向上させることができ、過粉砕を防止し微粉(粉砕上がり)中に混入する粗粉量を減少させることが可能となる。したがって、これにより得られたトナー品質はシャープな粒度分布であることからトナーの帯電量も安定し、地汚れや転写不良問題にたいしても良好で安定した画質品質を得ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係る気流式分級装置について説明する。なお、本発明の気流式分級装置は、図1〜図3に示した微粉砕粗粉分級工程で使用されるものである。
図5は、本発明に係る気流式分級装置の第1の実施の形態の構成を示す概略断面図である。図5(a)は、気流式分級装置の縦断面図であり、図5(b)は図5(a)におけるb−b´断面図である。
【0013】
図5(a)に示すように、気流式分級装置100は、上部に高圧エアー及び粉体材料(粉状の原料及び原料の粉砕物)を供給する粉体材料供給口1aを有する円筒形状のケーシング10内に、上から順に笠形状のセンターコア5と、笠形状で中心に開口部7を有するセパレータコア8とを備え、前記ケーシング10の上部内壁とセンターコア5とで囲われ、前記高圧エアーと共に供給される粉体材料を分散する分散室1と、前記センターコア5、セパレータコア8、ケーシング10の内壁で囲われ、前記分散室1から流入する粉体材料を微粉と粗粉とに遠心分離する分級室2と、下部ホッパー3と、から構成されている。
【0014】
ここで本発明では、分散室1内に、複数の案内羽根1qを一定間隔を空けて環状に配置してなるルーバー環1Qと、該ルーバー環1Qの外周に粉体材料供給口1aから供給される高圧エアー及び粉体材料の流路となる空間1bと、を設けている。案内羽根1q同士の間隔は、1〜15mmであることが好ましい。
【0015】
分散室1内にルーバー環1Qを設けることにより、粉体材料供給口1aから供給される高圧エアー及び粉体材料(粉流体)は、空間1bの流路を通ってルーバー環1Qの外周全周に行き渡るとともに、ルーバー環1Qの案内羽根1qの間を通って分散室1内部1cに流入することから、粉流体がルーバー環1Qの外周から均等に該ルーバー環1Qの内側(分散室1内部1c)に流入することとなり、分散室1における粉体材料の分散をさらに向上させることができる。
【0016】
また、ルーバー環1Qの案内羽根1qの枚数Nは、下記式(1)を満足することが好ましい。案内羽根1qの枚数を規定することにより、ルーバー環1Qを通って分散室1内に流入する粉流体の分散がさらに進むことになり、分級性能が向上する。
【0017】
R/10≦N≦R/20 ・・・ (1)
(ここで、Rは分散室1のケーシング10の内周(mm)である。)
【0018】
なお、図4の気流式分級装置と同様に、分級室2の周壁外周部には二次空気流が流入するための流路として羽形状をした二次空気流入口9(ルーバー)が具備され、粉体材料を分散させると共に旋回速度を加速させるように構成されている。したがって、分級室2内の微粉(粒径2〜3μm)は、セパレータコア8の微粉排出口7に導かれ、微粉排出口7に連結した配管13よりブロワーの吸引力によって排出される。また、粗粉(粒径8μm以上)は、セパレータコア8の下縁外周囲に設けられた環状の粗粉排出口6から排出される。
【0019】
つぎに、本発明に係る気流式分級装置の第2の実施の形態について説明する。
図6は、本発明に係る気流式分級装置の第2の実施の形態の構成を示す断面図である。
気流式分級装置200は、図5に示した気流式分級装置100においてセンターコア5に代えて、その中心に微粉排出孔15aを設け、さらに前記微粉排出孔15aに接続され該微粉排出孔15aからセパレータコア8の開口部7に延びる微粉排出管15bを設けたセンターコア15としたものである。なお、それ以外の構成は気流式分級装置100と同じであり、同じ符号を付している。
【0020】
これにより、ルーバー環1Qから分散室1内部に流入した粉体物は、分散室1内で旋回流を形成する際、微粉排出管15bの吸引作用によって更に旋回速度を増し、その分散性が向上する。同時に粉流体中の超微粉砕の粉体(粒径2μm以下)を、上記分散作用によって微粉排出孔15aから微粉排出管15bを通し、さらにセパレータコア8の開口部7、配管13を通過させて微粉として排出することができる。
【0021】
ここで、センターコア15の上面の頂角α1は、90°〜140°であることが好ましい。図7に示すように、センターコア15の笠の頂点における角度である頂角α1の角度を90°≦α1≦140°の範囲とすることで、分散室1内の内部容積を調整して粉砕目的粒度に応じた分散状態とすることが可能となり、その粉流体を下部の分級室2へ旋回速度を低下すること無く容易に送り込むことができる。
【0022】
また、センターコア15の微粉排出孔15aの開口面積A1は、下記式(2)を満足することが好ましい。セパレータコア8の開口部7の開口面積A2(図9(a))に対して、センターコア15の微粉排出孔15aの開口面積A1(図8(b))を変更することで、分散室1内の旋回流によって発生する遠心力に対し向心力をコントロールして分級室2の中心部に導く微粉粒度を調整できることができる。なお、図8では、微粉排出孔15aと微粉排出管15bの開口面積が同じ場合を示しているが、微粉排出孔15aに微粉排出管15bの一端が連結されていればよく、必ずしも微粉排出孔15aと微粉排出管15bの他端の開口面積が同じである必要はない。
【0023】
1/10×A2≦A1≦8/10×A2 ・・・ (2)
(ここで、A2はセパレータコア8の開口部7の開口面積である。)
【0024】
また、微粉排出管15bは、センターコア15の頂点から上方に突出していることが好ましい(図10)。すなわち、センターコア15の頂点から上方に微粉排出管15bの上端が最大50mm程度突起することによって、分散室1の内部に生ずる向心力によって導かれる微粉に混入する粗粉を除去できることが可能となる。
【0025】
また、微粉排出管15bの長さLは、下記式(3)を満足することが好ましい。微粉排出管15bの長さをこの範囲に規定することで、センターコア15中心部に設けた微粉排出管15bに、セパレータコア8の開口部7からの吸引能力を低下させることなく有効に伝達することができ向心力を発生することが可能となる。
【0026】
2×D2≦L≦8×D2 ・・・ (3)
(ここで、D2は前記セパレータコア8の開口部7の直径である。)
【0027】
また、気流式分級装置100,200において、分散室1は、ルーバー環1Qの内周側であってケーシング10の上部蓋の中心部に円筒形状の偏流防止部14を有することが好ましい。図11は、偏流防止部14を設けた分散室1の概略図であり、ルーバー環1Qは省略している。偏流防止部14は、ケーシング10の上部蓋の排気管17の周りに設けられた円筒であり、分散室1の上部においてルーバー環1Qから流入してくる粉流体の遮蔽物となる。これにより分散室1の上部に粉体材料の旋回流によって発生するよどみを防止することができ整流化を図ることができる。
【0028】
また、偏流防止部14の容積V1は、下記式(4)を満足することが好ましい。これにより、分散室1内の上部に旋回流によって発生するよどみを防止するとともに、粉砕粒径に準じた整流化が可能になる。
【0029】
3/10×V2≦V1≦8/10×V2 ・・・ (4)
(ここで、V2は分散室1の容積である。)
【0030】
また、偏流防止部14の底面積VA1は、下記式(5)を満足することが好ましい。すなわち、図11において、分散室1のケーシング10のa−a’方向の断面積VA2に対し、偏流防止部14の底面積VA1を所定の範囲に規定することにより、分散室1内の上部に旋回流によって発生するよどみ範囲を調整して防止することができ、粉砕粒径に準じた整流化が可能になる。
【0031】
2/10×VA2≦VA1≦7/10×VA2 ・・・ (5)
(ここで、VA2は分散室1におけるケーシング10の円筒直径方向の断面積である。)
【0032】
また、気流式分級装置100,200において、センターコア5,15の笠における下面(裏面)は、上面(おもて面)に対して平行であることが好ましい。すなわち、センターコア5,15の下面が上面に対して平行となる傾斜角とすることによって、分級室2内のセパレータコア8との表面傾斜とも傾斜角が近似して平行となるため、分級室2内での整流が保たれ分級精度を向上させることができる。
【0033】
さらに、気流式分級装置100,200において、ケーシング10の内面は、ブラスト処理されてなることが好ましい。これにより、装置内への粉体の付着が防止でき安定した分級性能を維持することができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の気流式分級装置を実施した例を説明する。
(実施例1)
図2に示す粉砕粗粉分級フローにおいて、気流式分級装置BZ1を図5に示す構成(ルーバー環1Qの案内羽根1qの枚数NはR/30(Rは分散室のケーシング内周(mm)))とし、第1粉砕機FZ1を日本ニューチック社製のI式ミル粉砕機とした。この粉砕粗粉分級フローにおいて、ポリエステル樹脂75重量%とスチレンアクリル共重合樹脂10重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕したトナー原料を投入したところ、100kg/hrの原材料供給で、重量平均粒径4.5μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で80POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で1.0Vol%のトナー粒径を得ることができた。なお、この粒径測定に際してはコールターカウンター社のマルチサイザーを用いた。
【0035】
(比較例1)
図2に示す粉砕粗粉分級フローにおいて、気流式分級装置BZ1を図4に示す構成とし、第1粉砕機FZ1を日本ニューチック社製のI式ミル粉砕機とし、実施例1と同一の混練品を用いて粉砕を行ったところ、80kg/hrの原材料供給で、重量平均粒径4.9μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で95POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で2.5Vol%のトナー粒径となった。
【0036】
(実施例2)
実施例1における粉砕粗粉分級フローのうち、図5の構成の気流式分級装置BZ1のルーバー環1Qの案内羽根1qの枚数NをR/15(Rは分散室のケーシング内周(mm))とし、実施例1と同じトナー原料を投入して、粉砕を行った。その結果、100kg/hrの原材料供給で、重量平均粒径4.5μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で75POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で1.0Vol%のトナー粒径を得ることができた。
【0037】
(実施例3)
実施例1における粉砕粗粉分級フローのうち、気流式分級装置BZ1を図6に示す構成(α1=85°、微粉排出孔15aの開口面積A1=1/12×A2(A2はセパレータコア8の開口部7の開口面積)、微粉排出管15bのセンターコア15の頂点から上方への突起なし、微粉排出管15bの長さLを1.8×D2(D2は前記セパレータコア8の開口部7の直径)、偏流防止部14なし)とし、実施例1と同じトナー原料を投入して、粉砕を行った。その結果、100kg/hrの原材料供給で、重量平均粒径4.6μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で82POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で1.1Vol%のトナー粒径を得ることができた。
【0038】
(実施例4)
実施例3における粉砕粗粉分級フローのうち、図6の構成の気流式分級装置BZ1の
センターコア15の頂角α1を100°とし、実施例1と同じトナー原料を投入して、粉砕を行った。その結果、100kg/hrの原材料供給で重量平均粒径4.5μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で78POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で1.0Vol%のトナー粒径を得ることができた。
【0039】
(実施例5)
実施例3における粉砕粗粉分級フローのうち、図6の構成の気流式分級装置BZ1のセンターコア15の微粉排出孔15aの開口面積A1を2/10×A2(A2はセパレータコア8の開口部7の開口面積)とし、実施例1と同じトナー原料を投入して、粉砕を行った。その結果、100kg/hrの原材料供給で重量平均粒径4.5μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で75POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で0.9Vol%のトナー粒径を得ることができた。
【0040】
(実施例6)
実施例3における粉砕粗粉分級フローのうち、図6の構成の気流式分級装置BZ1における微粉排出管15bのセンターコア15の頂点から上方への突起を15mmとし、実施例1と同じトナー原料を投入して、粉砕を行った。その結果、100kg/hrの原材料供給で重量平均粒径4.5μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で75POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で0.7Vol%のトナー粒径を得ることができた。
【0041】
(実施例7)
実施例3における粉砕粗粉分級フローのうち、図6の構成の気流式分級装置BZ1における微粉排出管15bの長さLを5×D2(D2は前記セパレータコア8の開口部7の直径)とし、実施例1と同じトナー原料を投入して、粉砕を行った。その結果、103kg/hrの原材料供給で重量平均粒径4.5μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で74POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で0.7Vol%のトナー粒径を得ることができた。
【0042】
(実施例8)
実施例3における粉砕粗粉分級フローのうち、図6の構成の気流式分級装置BZ1に偏流防止部14を設け、実施例1と同じトナー原料を投入して、粉砕を行った。その結果、102kg/hrの原材料供給で重量平均粒径4.5μm、粒径5μm以下微粉含有率が個数平均で74POP.%、8μm以上粗粉含有率が重量平均で0.7Vol%のトナー粒径を得ることができた。
【0043】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】トナーの粉砕粗粉分級フロー(1)を示す構成図である。
【図2】トナーの粉砕粗粉分級フロー(2)を示す構成図である。
【図3】トナーの粉砕粗粉分級フロー(3)を示す構成図である。
【図4】従来の気流式分級装置の構成を示す断面図である。
【図5】本発明に係る気流式分級装置の第1の実施の形態の構成を示す概略図である。
【図6】本発明に係る気流式分級装置の第2の実施の形態の構成を示す概略図である。
【図7】センターコアの頂角の説明図である。
【図8】センターコアの微粉排出孔及び微粉排出管の説明図である。
【図9】セパレータコアの開口部の説明図である。
【図10】センターコアの微粉排出管の突起状態の説明図である。
【図11】本発明の気流式分級装置に設置する偏流防止部の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 分散室
1a 粉体材料供給口
1b 空間
1c 分散室内部
1q 案内羽根
1Q ルーバー環
2 分級室
3 下部ホッパー
5,15 センターコア
15a 微粉排出孔
15b 微粉排出管
6 粗粉排出口
7 開口部
8 セパレータコア
9 二次空気流入口
10 ケーシング
13 配管
14 偏流防止部
100,200,BZ1,BZ2 気流式分級装置
BF1,BF2 バグフィルター
BL1,BL2 ブロアー
CY1,CY2 サイクロン
FE1,FE2 原料供給管
FZ1,FZ2 粉砕機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に高圧エアー及び粉体材料を供給する粉体材料供給口を有する円筒形状のケーシング内に、上から順に笠形状のセンターコアと、笠形状で中心に開口部を有するセパレータコアとを備え、前記ケーシング上部内壁とセンターコアとで囲われ、前記高圧エアーと共に供給される粉体材料を分散する分散室と、前記センターコア、セパレータコア、ケーシング内壁で囲われ、前記分散室から流入する粉体材料を微粉と粗粉とに遠心分離する分級室と、を構成する気流式分級装置であって、
前記分散室内に、複数の案内羽根を一定間隔を空けて環状に配置してなるルーバー環と、該ルーバー環の外周に前記粉体材料供給口から供給される高圧エアー及び粉体材料の流路となる空間と、を設けることを特徴とする気流式分級装置。
【請求項2】
前記ルーバー環の案内羽根の枚数Nは、下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の気流式分級装置。
R/10≦N≦R/20 ・・・ (1)
(ここで、Rは前記分散室のケーシング内周(mm)である。)
【請求項3】
前記センターコアは、その中心に設けられる微粉排出孔と、前記微粉排出孔に接続され該微粉排出孔から前記セパレータコアの開口部に延びる微粉排出管と、を有することを特徴とする請求項1に記載の気流式分級装置。
【請求項4】
前記センターコア上面の頂角α1は、90°〜140°であることを特徴とする請求項3に記載の気流式分級装置。
【請求項5】
前記センターコアの微粉排出孔の開口面積A1は、下記式(2)を満足することを特徴とする請求項3に記載の気流式分級装置。
1/10×A2≦A1≦8/10×A2 ・・・ (2)
(ここで、A2は前記セパレータコアの開口部の開口面積である。)
【請求項6】
前記微粉排出管は、前記センターコアの頂点から上方に突出していることを特徴とする請求項3に記載の気流式分級装置。
【請求項7】
前記微粉排出管の長さLは、下記式(3)を満足することを特徴とする請求項3に記載の気流式分級装置。
2×D2≦L≦8×D2 ・・・ (3)
(ここで、D2は前記セパレータコアの開口部の直径である。)
【請求項8】
前記分散室は、前記ケーシング上部蓋の中心部に円筒形状の偏流防止部を有することを特徴とする請求項1に記載の気流式分級装置。
【請求項9】
前記偏流防止部の容積V1は、下記式(4)を満足することを特徴とする請求項8に記載の気流式分級装置。
3/10×V2≦V1≦8/10×V2 ・・・ (4)
(ここで、V2は分散室の容積である。)
【請求項10】
前記偏流防止部の底面積VA1は、下記式(5)を満足することを特徴とする請求項8に記載の気流式分級装置。
2/10×VA2≦VA1≦7/10×VA2 ・・・ (5)
(ここで、VA2は分散室におけるケーシングの円筒直径方向の断面積である。)
【請求項11】
前記センターコアの下面は、上面に対して平行であることを特徴とする請求項1に記載の気流式分級装置。
【請求項12】
前記ケーシング内面は、ブラスト処理されてなることを特徴する請求項1に記載の気流式分級装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−189980(P2009−189980A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34592(P2008−34592)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】