説明

気液分離器及びそれを備えた気体溶解器

【課題】フロート式の排気弁(40)を有する微細気泡発生装置(1)の気液分離器において、該排気弁(40)内の液面高さの変化に応じてフロート(43)をより確実に動作させて、排気弁(40)としての機能を確保できるような構成を得る。
【解決手段】タンク(11)内を導入空間部(15)と気液分離部(19)とに区画する仕切壁(13)の上方に連通路(18)が形成され、該連通路(18)に向かって開口する排気筒(21)の上側にフロート式の排気弁(40)が接続されている構成において、該排気筒(21)の下開口部(22)の下方で且つ上記仕切壁(13)の上方に、下方から見て該排気筒(21)の下開口部(22)を覆うように、上記排気弁(40)のケーシング(41)内に流入する空気溶解水の流速分布を均一化させるための整流部材(25)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽等に微細気泡を含んだ液体を供給する微細気泡発生装置の気液分離器に関し、特に、上記液体に含まれる余剰気体を分離する構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体が液体に溶け込んだ気体溶解液を減圧して微細気泡を発生させ、該微細気泡を浴槽内に放出させることにより、該微細気泡による人体への温浴効果等を狙った微細気泡発生装置が知られている。
【0003】
具体的には、上記微細気泡発生装置は、浴槽内の水(液体)を吸入するための吸込部と、その水に空気(気体)を導入するための空気導入部と、該空気の混入された水を加圧圧出するための加圧ポンプと、空気を水に溶解させて空気溶解水(気体溶解液)にするための溶解タンクと、該空気溶解水から微細気泡を発生させて浴槽内に吐出させるための微細気泡発生部とを備えている。上記微細気泡発生装置内には、これらの吸込部、空気導入部、加圧ポンプ、溶解タンク及び微細気泡発生部を配管によって繋ぐことにより、浴槽内の水を循環させる循環流路が形成されている。
【0004】
すなわち、上記微細気泡発生装置は、吸込部から吸入した浴槽内の水を、空気導入部で導入される空気とともに加圧ポンプで圧出し、気液混合流体として溶解タンクへ送り出す。そして、上記微細気泡発生装置は、上記溶解タンク内において、上記気液混合流体中で空気を水に溶解させて空気溶解水とした後、該空気溶解水を微細気泡発生部へ送り、該微細気泡発生部で減圧して空気溶解水中から微細気泡を発生させ、浴槽に吐出するように構成されている。
【0005】
しかし、上述の気液混合流体や空気溶解水では、空気が水に完全に溶解されずに気泡状の余剰空気として存在する場合があり、このような余剰空気が空気溶解水とともに上記微細気泡発生部に供給されると、該微細気泡発生部からは、微細気泡とともに、比較的大径の気泡が浴槽内に放出される可能性がある。
【0006】
そのため、従来より、上記空気溶解水から余剰空気を除去するために、気液分離構造が採用されている。例えば特許文献1に開示される微細気泡発生装置では、ポンプと減圧ノズル(微細気泡発生部)との間の流路の一部を蛇腹状にすることで気体溶解管を構成し、該気体溶解管と減圧ノズルとの間に余剰気体分離部(気液分離器)を設けている。このような構成により、上記気体溶解管で水に溶解されなかった余剰空気は、減圧ノズルの上流側で水から分離されるため、該余剰空気が、比較的大径の気泡となって浴槽内に流出するのを防止できる。
【0007】
このような気液分離を行う気液分離構造として、例えば、図6に示すような構成が考えられる。この図6の構成では、導入口(104)を介して気体溶解液が導入されるタンク(101)の上部に、後述する排気弁(40)を設けて、該排気弁(40)によってタンク(101)内の余剰気体を外部へ排出するようにしている。
【0008】
具体的には、上記タンク(101)は、円板状の底部(101a)と、該底部(101a)の外周縁から上方に向かって延びる円筒形状の胴部(101b)と、該胴部(101b)の上面開口部を閉じる蓋部(101c)と、上記底部(101a)から上方に向って延び、上記胴部(101b)と同心の円筒形状である仕切壁(103)と、を備えている。そして、上記底部(101a)の中央部には導入口(104)が、上記胴部(101b)の下部には導出口(110)が、それぞれ設けられており、上記導入口(104)は導入管(116)を介して、上記導出口(110)は導出管(117)を介して、それぞれ、微細気泡発生装置内の循環流路を構成する配管に接続されている。また、上記仕切壁(103)は、上記蓋部(101c)と離間するような高さに形成されている。なお、上記タンク(101)内に導入される気体溶解液は、その液面が上記仕切壁(103)よりも上方に位置するように流量調整されている。
【0009】
以上のような構成により、上記導入口(104)から上記仕切壁(103)の内側の空間(導入空間部(105))に流入した気体溶解液は、上記仕切壁(103)を乗り越えて、該仕切壁(103)と上記胴部(101b)とによって形成される空間(気液分離部(109))へ流入する。この際、上記気体溶解液に含まれる余剰気体は、上記タンク(101)内を上方へ移動し、該タンク(101)の上部に設けられた排気弁(40)を介して外部へ排出される。このようにして余剰気体が分離された気体溶解液は、タンク(101)の下方に設けられた導出口(110)を介して微細気泡発生部へ排出される。
【0010】
ここで、上記排気弁(40)は、一般的な構成を有する、いわゆるフロート式の弁であり、内部に気体溶解液が流入するように下方に向かって開口するケーシング(41)と、該ケーシング(41)の上部に設けられた排出口(45)を開閉するための弁体(42)と、上記ケーシング(41)内の気体溶解液の液面に浮かぶように該ケーシング(41)内に収容され、該気体溶解液の液面の高さに応じて上記弁体(42)を開閉動作させるフロート(43)と、を備えている。
【0011】
なお、液体中の余剰気体の多くは、上記仕切壁(103)を乗り越える際に気体溶解液から分離されるため、上記排気弁(40)は、上記図6に示すように、その開口部(44)が上記仕切壁(103)の上方に位置するように設けられている。また、上記図6における符号48は、いわゆるサイフォンロッドである。
【特許文献1】特開2006−272091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述のような気液分離器の構成において、気体溶解液は、導入口を介して導入空間部に導入された後、仕切壁に沿って上方へ流れ、該仕切壁の上端部の上方を通過後、下方へ流れる。すなわち、上記仕切壁の上端部周辺では気体溶解液の流れる向きが大きく変化している。
【0013】
上述したように、上記排気弁は、上記仕切壁の上方、すなわち気体溶解液の流れが大きく変化している部分に向かって開口するように設けられているため、該開口部から流入する気体溶解液の流速分布は不均一になる。そうすると、上記ケーシング内の気体溶解液に浮かんでいるフロートの下部にかかる圧力も不均一になるため、該フロートが排気弁のケーシング内で傾いて、該ケーシングの内面に引っかかり動かなくなってしまう場合がある。この場合、上記フロートは、上記気体溶解液の液面高さに応じて上下動できなくなるため、排気弁の弁体が正常に動作せず、該弁体が排出口を閉じた状態のままで排出口から余剰気体が排気されなくなったり(図7(A)参照)、上記弁体が排出口を開いた状態のままで気体溶解液が排出口を介して漏出したりする(図7(B)参照)。
【0014】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フロート式の排気弁を有する微細気泡発生装置の気液分離器において、該排気弁内の液面高さに応じてフロートをより確実に動作させて、排気弁としての機能を確保できるような構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る気液分離器では、排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)の下方に、該ケーシング(41)内に流入する気体溶解液の流速分布を均一化させるような整流部材(25)を設けた。
【0016】
具体的には、第1の発明では、タンク(11)内で、気体が液体中に加圧溶解された気体溶解液から未溶解の余剰気体を分離し、該タンク(11)の上方に設けられた排気弁(40)を介して余剰気体を外部へ排出する一方、該余剰気体が分離された気体溶解液を微細気泡発生部(8)に供給する微細気泡発生装置(1)の気液分離器を対象とする。
【0017】
そして、上記タンク(11)は、気体溶解液が導入口(14)を介して導入される導入空間部(15)と、上記導入空間部(15)と連通路(18)を介して連通していて、上記気体溶解液から余剰気体を分離する気液分離部(19)と、上記導入空間部(15)と気液分離部(19)とを区画するとともに、上方に上記連通路(18)を形成するように、該導入空間部(15)と気液分離部(19)との間に設けられる仕切壁(13)と、を備えている構成とする。
【0018】
さらに、上記排気弁(40)は、内部に、上記連通路(18)内の気体溶解液が流入するように、下方且つ該連通路(18)に向かって開口する開口部(44)を有するケーシング(41)と、上記ケーシング(41)内で上記気体溶解液中から放出された余剰気体を外部へ排出するように、該ケーシング(41)に設けられた排出口(45)を開閉する弁体(42)と、上記ケーシング(41)内の気体溶解液の液面に浮かぶように該ケーシング(41)内に収容され、該気体溶解液の液面高さの変化によって上記弁体(42)を開閉動作させるフロート(43)と、を備えており、上記排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)の下方には、該ケーシング(41)内に流入する気体溶解液の流速分布を均一化させるような整流部材(25)が設けられているものとする。
【0019】
以上の構成により、気体溶解液は、仕切壁(13)を乗り越えて導入空間部(15)から気液分離部(19)へ流入するため、仕切壁の(13)の上端部周辺、すなわち連通路(18)付近では上記気体溶解液の流れる向きが大きく変わっている。
【0020】
よって、このような連通路(18)に向かって上記排気弁(40)のケーシング(41)が開口するように設けられている構成において、該排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)の下方に、整流部材(25)を設けることにより、仕切壁(13)に沿って上方へ流れる気体溶解液は、上記整流部材(25)と衝突して該整流部材(25)の外側を回り込むように流れて、該整流部材(25)の上方で気体溶解液の流速は均一化される。すなわち、上記整流部材(25)を排気弁(40)の開口部(44)の下方に設けることにより、上記排気弁(40)の開口部(44)から流入する気体溶解液の流速分布を均一化することができる。これにより、上記排気弁(40)のケーシング(41)内に気体溶解液に浮かぶように収容されたフロート(43)の下部に作用する圧力は、ほぼ均一になり、該フロート(43)が傾いた状態で上下動するのを抑制できる。したがって、上記フロート(43)が排気弁(40)のケーシング(41)内部でひっかかるのを防止することができ、排気弁(40)を正常動作させることができる。
【0021】
上述の構成において、上記整流部材(25)は、略水平方向に延びるように設けられた板状の部材であって、下方から見て上記排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)を覆うように設けられているのが好ましい(第2の発明)。以上の構成により、気体溶解液は、排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)に流入する前に、整流部材(25)とより確実に衝突するため、該整流部材(25)の上方で気体溶解液の流速はより均一化される。これにより、上記排気弁(40)内のフロート(43)の下部に作用する圧力もより均一化され、該フロート(43)が傾いた状態で上下動するのをより確実に抑制することができる。
【0022】
特に、上記整流部材(25)は、上記仕切壁(13)の上方に設けられているのが好ましい(第3の発明)。これにより、流れの変化が特に大きい上記仕切壁(13)の上方で、気体溶解液の流れを整流部材(25)によって整流することができるため、上記排気弁(40)内に浮かぶフロート(43)の下部に作用する圧力は、上記整流部材(25)が仕切壁(13)の上端よりも下方に位置している場合に比べて、より確実に均一化され、該フロート(43)が傾いて上下動するのをより確実に抑制することができる。
【0023】
第4の発明は、第1から第3の発明のうちいずれか一つの発明に係る気液分離器(50)を備えた気体溶解器に関する。
【0024】
具体的には、第1から第3の発明のいずれか一つに記載の気液分離器(50)を備えた気体溶解器を対象とする。そして、上記導入空間部は、導入口(14)から導入された気体溶解液中で気体の溶解をさらに促進させる気体溶解部(15)であるものとする。
【0025】
上述の構成のように、第1から第3の発明のいずれか一つに記載の気液分離器(50)を備えた気体溶解器(10,30)においても、該気液分離器(50)に設けられた整流部材(25)によって、排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)から流入する気体溶解液の流速分布を均一化することができ、上記排気弁(40)のフロート(43)の下部に作用する圧力を均一化することができる。
【0026】
しかも、上述の構成によれば、上記気体溶解器(10,30)は、気液分離機構を備えているため、気液分離器を別途設ける必要がなくなる。
【発明の効果】
【0027】
以上より、第1の発明によれば、気液分離器(10)の導入空間部(15)と気液分離部(19)とを仕切壁(13)の上方で連通させる連通路(18)に向かって開口するように排気弁(40)のケーシング(41)が設けられた構成において、該ケーシング(41)の開口部(44)の下方に、該ケーシング(41)内に流入する気体溶解液の流速分布を均一化させるような整流部材(25)を設けたため、上記排気弁(40)を、該排気弁(40)内の気体溶解液の液面高さの変化に応じて正常に動作させることができる。これにより、上記排気弁(40)の弁体(42)が、正常に動作せずに、気体溶解液が気液分離器(10)の周辺へ漏出したり、比較的大径の気泡が浴槽(6)内へ吐出されたりするのを防止することができる。
【0028】
第2の発明によれば、上記整流部材(25)は、略水平方向に延びるように設けられた板状の部材であって、下方から見て上記排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)を覆うように設けられているため、上記排気弁(40)を、該排気弁(40)内の気体溶解液の液面高さに応じてより確実に正常動作させることができる。しかも、上記整流部材(25)は、板状の部材であるため、容易に且つ低コストで形成することができる。
【0029】
第3の発明によれば、上記整流部材(25)は、上記仕切壁(13)の上方に設けられているため、上記排気弁(40)を、該排気弁(40)内の気体溶解液の液面高さに応じてより確実に正常動作させることができる。
【0030】
第4の発明によれば、気液分離機構を備えた気体溶解器において、上記気液分離器(10)と同様に上記整流部材(25)を設けることにより、上記第1から第3の発明と同様の効果を得ることができる。さらに、気液分離器を別途設ける必要がなくなるため、その分、微細気泡発生装置(1)のコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的な例示に過ぎず、本発明、その適用あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
(実施形態1)
−微細気泡発生装置の構成−
図1に本発明の実施形態1に係る気液分離機構を有する気体溶解器(10)を備えた微細気泡発生装置(1)の概略構成を、図2に上記気体溶解器(10)の概略構成を、それぞれ示す。この微細気泡発生装置(1)は、人体への温浴効果等を狙って浴槽(6)内に微細気泡を供給するためのものであり、該浴槽(6)内の水(液体)を吸入するための吸込部(7)と、吸入した水の中に空気(気体)を導入するための空気導入部(3)と、水と空気とからなる気液混合流体を加圧するための加圧ポンプ(4)と、水に対する空気の溶解を促進させて空気溶解水を生成するための気体溶解器(10)と、該空気溶解水から微細気泡を発生させるとともに、該微細気泡を浴槽(6)内へ向かって吐出するための微細気泡発生部(8)と、を備えている。そして、これらの吸込部(7)、空気導入部(3)、加圧ポンプ(4)、気体溶解器(10)及び微細気泡発生部(8)を配管(2)によって接続することで、上記微細気泡発生装置(1)内には、上記浴槽(6)内の水を循環させる循環流路が形成されている。
【0033】
すなわち、上記微細気泡発生装置(1)は、吸込部(7)から吸い込んだ浴槽(6)内の水に空気導入部(3)で空気を導入し、それらの水及び空気からなる気液混合流体を加圧ポンプ(4)によって気体溶解器(10)へ圧出した後、該気体溶解器(10)内において空気を水に溶解させて上記気液混合流体を空気溶解水(気体溶解液)とする。また、上記微細気泡発生装置(1)は、気体溶解器(10)において、空気溶解水内で溶解されずに残った余剰空気を取り除いた後、空気溶解水を微細気泡発生部(8)へ送り出すように構成されている。このようにして送り出された空気溶解水は、上記微細気泡発生部(8)で減圧されて内部に微細気泡が発生した状態で浴槽(6)内に吐出される。
【0034】
上記空気導入部(3)は、その内部を浴槽(6)から吸入された水が流れるように構成されているとともに、その水に吸入管(5b)を介して外部から吸い込んだ空気を混入するように構成されている。なお、上記吸入管(5b)上には、空気導入部(3)へ導入される空気の流量を調整するための吸気量調整弁(5c)と、上記空気導入部(3)内の空気が上記吸入管(5b)の上流側へ逆流するのを防止するための逆止弁(5d)とが設けられている。
【0035】
さらに、上記吸入管(5b)上には、オゾンを発生させるためのオゾン発生機構(9a)が設けられている。このオゾン発生機構(9a)は、上記微細気泡発生装置(1)の運転が停止する前に、吸気フィルタ(9b)を介して吸気した空気中にオゾンを生成するように構成されている。上記オゾン発生機構(9a)で発生したオゾンは、上記空気導入部(3)へ導入され、空気とともに水に混合され、気液混合流体として加圧ポンプ(4)によって気体溶解器(10)へ圧送される。これにより、微細気泡発生装置(1)が停止して上記気体溶解器(10)内に水が残留した場合であっても、上記オゾンによって残留水は除菌される。なお、上記微細気泡発生装置(1)の運転時は、上記オゾン発生機構(9)は作動しないため、空気導入部(3)にはオゾンの含まれていない空気が導入される。
【0036】
上記加圧ポンプ(4)は、浴槽(6)の水を循環流路内で循環させるための加圧手段であって、上記空気導入部(3)で空気が導入された水を加圧し、気液混合流体として加圧した状態で気体溶解器(10)へ送り出すように構成されている。
【0037】
上記気体溶解器(10)は、図2に示すように、有底筒状のタンク(11)内で、上記加圧ポンプ(4)から圧送された気液混合流体中での水に対する空気の溶解を促進するとともに、その上部に設けられた排気弁(40)から未溶解の余剰空気を排出するように構成されている。
【0038】
上記タンク(11)は、円板状の底部(11a)と、該底部(11a)の外周縁から上方に向かって延びる円筒形状の胴部(11b)と、該胴部(11b)の上方の開口部分を閉じる蓋部(11c)とを備えている。上記蓋部(11c)の平面視で中央部には導入口(14)が、上記胴部(11b)の下部には導出口(20)が、それぞれ設けられており、上記導入口(14)は導入管(26)を介して、上記導出口(20)は導出管(27)を介して、それぞれ循環流路を構成する配管(2)に連通している。すなわち、気液混合流体は、上記導入管(26)を介して導入される(図2中の白抜き矢印参照)一方、上記タンク(11)内で空気が水に溶解してなる空気溶解水は、上記導出管(27)を介して、微細気泡発生部(8)へ送られる(図2中の白抜き矢印参照)。
【0039】
また、上記タンク(11)は、上記底部(11a)から上方に向かって延び、且つ、上記円筒形状の胴部(11b)と同心に形成された円筒状の仕切壁(13)を備えている。この仕切壁(13)は、その上端部が上記蓋部(11c)と離間するように形成されていて、該仕切壁(13)に囲まれた空間である気体溶解部(15)(導入空間部)と、上記仕切壁(13)と上記胴部(11b)との間の空間である気液分離部(19)とが、上記仕切壁(13)の上方に形成される連通路(18)を介して連通している。なお、上記タンク(11)内に導入される空気溶解水は、その液面高さが上記仕切壁(13)の上端部よりも上になるように流量調整されている。
【0040】
さらに、上記タンク(11)の仕切壁(13)の内側には、該タンク(11)の蓋体(11c)から下方に向かって延び、且つ、上記仕切壁(13)と同心に形成された円筒状の案内筒(12)が設けられていて、該案内筒(12)と上記仕切壁(13)との間には案内部(17)が形成されている。上記案内筒(12)は、その下端部が上記底部(11a)から離間するように形成されていて、該案内筒(12)と底部(11a)との間に、上記気体溶解部(15)と上記案内部(17)とを連通する案内通路(16)が形成されている。
【0041】
これにより、上記気体溶解部(15)内に導入された空気溶解水は、上記案内通路(16)を介して案内部(17)へ流れ込んだ後、該案内部(17)を上方へ流れて、上記連通路(18)を通って気液分離部(19)へ流入し、下方へ流れる(図2中の矢印参照)。すなわち、上記連通路(18)では、空気溶解水の流れの方向が、下方から上方へ、上方から下方へと大きく変化している。
【0042】
上記導入口(14)は、一側の開口部分に上記導入管(26)が接続されている一方、他側の開口部分に上記タンク(11)の内方に突出する噴射ノズル(28)が接続されている。この噴射ノズル(28)は、内部に空洞を有する箱状に形成されていて、その上面に設けられた開口部で連絡管(29)を介して上記導入口(14)の他側の開口部分に接続されている。上記噴射ノズル(28)の下面には、上記導入口(14)と比べて小さな径を有する複数の噴射口(28a)が形成されている。このような構成により、上記導入口(14)から噴射ノズル(28)内に導入された気液混合流体は、該噴射ノズル(28)の噴射口(28a)から気体溶解部(15)へ向かって勢いよく噴射され、未溶解空気の水中への溶解が促進される。
【0043】
さらに、上記タンク(11)の蓋部(11c)には、該タンク(11)内で水中に溶解しなかった余剰空気を排出するための排気弁(40)と連通する円筒状の排気筒(21)が設けられている。この排気筒(21)は、上端の開口部である上開口部(23)が、上記排気弁(40)のケーシング(41)に接続される一方、下端の開口部である下開口部(22)が、タンク(11)内の空気溶解水の液面に接触するように設けられている。ここで、上記タンク(11)は、水に対する未溶解空気の溶解が促進されるように、内部が高圧に保たれているため、該タンク(11)内の空気溶解水は、タンク(11)内の上方に溜まった空気の圧力によって液面が下方に押されている。よって、上記下開口部(22)が空気溶解水の液面に接触している排気筒(21)内には、該空気溶解水が流入して、その液面は排気弁(40)のケーシング(41)内の高さ位置となる。これにより、上記タンク(11)内の余剰空気は、空気溶解水内を上昇して、上記排気弁(40)のケーシング(41)内に捕集されるため、該ケーシング(41)に形成された排出口(45)から余剰空気を排出することができる。
【0044】
なお、上記排出口(45)には、吸気管(5b)に一端側で接続された排気管(5a)の他端側が接続されていて、上記排出口(45)から排出された余剰空気は、上記排気管(5a)及び吸気管(5b)を介して空気導入部(3)へ導入されるようになっている。
【0045】
上記微細気泡発生部(8)は、上記気体溶解器(10)から排出された空気溶解水を減圧し、該空気溶解水から微細気泡を発生させて浴槽(6)内へ吐出するように構成されている。
【0046】
特に図示しないが、上記微細気泡発生部(8)には、その内部に上記空気溶解水が流れる通路が設けられていて、該通路には流路断面積を小さくする絞り部、いわゆるオリフィス部が形成されている。これにより、空気溶解水が上記オリフィス部を通過する際に減圧されて微細気泡を発生させることができ、発生した微細気泡は水とともに浴槽(6)内へ吐出される。なお、浴槽(6)の水は、再び上記吸込部(7)から吸い込まれて、上記循環流路を循環することになる。
【0047】
−排気弁の構成−
上記排気弁(40)は、図3に示すように、上記排気筒(21)の上開口部(23)と接続される概略有底筒状のケーシング(41)と、該ケーシング(41)内に流入した空気溶解水に浮かぶように該ケーシング(41)内に収容された球状のフロート(43)と、該フロート(43)に一端側で接続され、他端に設けられた弁部(42a)が上記ケーシング(41)に形成された排出口(45)を開閉する概略棒状の弁体(42)と、を備えている。
【0048】
上記ケーシング(41)は、その開口部(44)が上記排気筒(21)の上開口部(23)に接続される有底筒状に形成されていて、側面の上端側には、排出口(45)が設けられている。これにより、上記ケーシング(41)内に溜まった余剰気体は、上記排出口(45)を介して排出される。
【0049】
上記フロート(43)は、内部が空洞の球形状であり、上記ケーシング(41)内に、空気溶解水に浮かんで該空気溶解水の液面高さに応じて該ケーシング(41)内を上下動するように収容されている。上記フロート(43)の上部には、上記概略棒状の弁体(42)の長手方向の中間部分に接続される支持部(43a)が設けられており、該支持部(43a)に取り付けられた弁体(42)は、該支持部(43a)を支点として上下に揺動可能に構成されている。
【0050】
また、上記フロート(43)の上部には、該フロート(43)がケーシングの内壁に沿って上下動可能なように、ガイド部(43b)が形成されている。このガイド部(43b)は、板状に形成されていて、上記フロート(43)に対して上方に延びるように設けられている。このような構成により、上記フロート(43)は、ガイド部(43b)がケーシング内壁に沿うように上下動するため、該フロート(43)が大きく傾くのを防止することができる。
【0051】
上記排気弁(40)のケーシング(41)には、排気口(45)のケーシング内方側に弁体(42)の弁部(42a)を収容するための弁部収容空間(47)が区画形成されている。この弁部収容空間(47)のケーシング内方側を区画する壁部には、上記弁体(42)の棒状部分のみが挿通する貫通穴が形成されていて、該弁体(42)の弁部(42a)が上記弁部収容空間(47)から排気弁(40)のケーシング(41)の内方へ抜け出ないようになっている。これにより、上記フロート(43)がケーシング(41)内の空気溶解水の液面の変化に応じて上下動した場合に、上記弁部(42a)がケーシング(41)の排気口(45)に対して位置が大きくずれるのを防止することができる。
【0052】
以上のような構成により、上記ケーシング(41)内の空気溶解水の液面高さが下がると、上記フロート(43)が下降して該フロート(43)の支持部(43a)の位置も下がるため、該支持部(43a)と揺動可能に接続された上記弁体(42)は傾いた状態になる。そうすると、該弁体(42)の他端に設けられた弁部(42a)も傾いて、上記ケーシング(41)の排出口(45)から離れ、該排出口(45)を介してケーシング(41)の内部と外部とを連通させることができる。これにより、上記ケーシング(41)内に溜まった余剰空気を外部へ排出することができる。
【0053】
一方、上記ケーシング(41)内の空気溶解水の液面高さが上がると、上記フロート(43)が上昇して該フロート(43)の支持部(43a)の位置も上がるため、上記弁体(42)は水平状態に近づく。そうすると、上記弁部(42a)はケーシング(41)の排出口(45)に密着する方向に傾いて、該排出口(45)を閉状態にすることができる。
【0054】
また、上記排気弁(40)には、ケーシング(41)内の空気溶解水の表面張力によって該ケーシング(41)への空気溶解水の流入が阻害されないように、サイフォンロッド(46)が設けられている。このサイフォンロッド(46)は、棒状の部材からなり、直線部(46b)と、その一端側に円弧状に形成された係合部(46a)と、上記直線部(46b)の他端側にフック状に形成されたフック部(46c)とを有している。上記直線部(46b)は、下方から見て上記円弧状の係合部(46a)の中心に位置するように形成されているとともに、該係合部(46a)が上記ケーシング(41)の内側に形成された被係合部(41a)に係合した状態で、上記フック部(46c)が上記排気筒(21)の下開口部(22)よりも下方に位置するような長さに形成されている。これにより、上記タンク(11)内の空気溶解水は上記サイフォンロッド(46)を伝って上方へ移動することができ、上記排気筒(21)内の空気溶解水の表面張力によって空気溶解水の移動が阻害されるのを防止することができる。
【0055】
−整流板の構成−
上述のとおり、上記排気弁(40)のケーシング(41)に接続される排気筒(21)の下開口部(22)は、上記仕切壁(13)の上方、すなわち、空気溶解水の流れの向きが大きく変化する部分、に向かって開口するように設けられている。このような構成では、上記排気筒(21)を介して排気弁(40)内に流入する空気溶解水の流速分布は不均一になるため、該排気弁(40)内の空気溶解水に浮かぶフロート(43)の下部に作用する圧力は不均一になる。そうすると、図7に示すように、上記フロート(43)が傾いて該フロート(43)のガイド部(43b)が上記ケーシング(41)の内面にひっかかり、排気弁(40)が正常に動作しなくなる場合がある。
【0056】
これに対し、本実施形態では、上記排気筒(21)の下開口部(22)から流入する空気溶解水の流速分布を均一化させるように、該下開口部(22)の下方に、円板状の部材である整流板(25)(整流部材)を設ける。具体的には、上記整流板(25)は、上記排気筒(21)の下開口部(22)の下方で、且つ、上記タンク(11)の仕切壁(13)の上方に、下方から見て上記下開口部(22)を覆うように設けられている。すなわち、上記整流板(25)は、上記排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)の下方で且つ下方から見て該開口部(44)を覆うように設けられている。また、上記整流板(25)は、上記下開口部(22)の周縁部に等間隔に接続された4本の棒状の部材からなる整流板固定部材(24)の下端に接続されていて、該整流板固定部材(24)によって支持されている。
【0057】
上述のように、上記整流板(25)は、上記排気筒(21)の下開口部(22)を覆うように、且つ、該下開口部(22)の下方に設けられているため、該整流板(25)の下方から上記下開口部(22)へ流入する空気溶解水は、上記整流板(25)と衝突し、該整流板(25)を回り込んで上記下開口部(22)へ流入する。これにより、上記整流板(25)の上方で空気溶解水の流速は均一化され、上記フロート(43)の下部に作用する圧力も均一化されるため、該フロート(43)が傾いた状態で上下動して該フロート(43)のガイド部(43b)が上記ケーシング(41)の内面にひっかかるのを防止することができる。
【0058】
さらに、上述のように、空気溶解水の流れの変化が大きい仕切壁(13)の上方に整流板(25)を設けることにより、流れの変化が大きい部分で空気溶解水の流れを整流することができるため、該仕切壁(13)の上端よりも下方に整流板(25)を設ける場合と比べて、空気溶解水の流速をより均一にすることができる。
【0059】
加えて、上記整流板(25)は円板状の部材であるため、容易に形成することができる。
【0060】
−気体溶解器内での気液分離動作−
以下で、上述のような構成を有する気体溶解器(10)内での気液分離動作について説明する。
【0061】
上記気体溶解器(10)内では、導入口(14)から気体溶解部(15)へ導入された気液混合流体は、該気体溶解部(15)を下降し、上記案内筒(12)の下方に設けられた案内通路(16)を介して案内部(17)へ流れ、該案内部(17)を上昇する。その後、上記仕切壁(13)を乗り越えて上記気液分離部(19)へ流れる。
【0062】
上述のように、気液混合流体が気体溶解部(15)及び案内部(17)を流れる間に、未溶解の空気の水中への溶解が促進され、空気が水に溶け込んだ空気溶解水が生成される。
【0063】
一方、上記空気溶解水に溶解しきれない余剰空気は、上記タンク内(11)で、上述のような気液混合流体の流れとともに移動し、上記仕切壁(13)を乗り越える際に浮力によってタンク(11)内を上昇する。また、上記仕切壁(13)を乗り越える際に分離されなかった余剰空気についても、気液分離部(19)に流れ込んだ後、浮力によってタンク(11)内を上昇する。これらの余剰空気は上記排気筒(21)内を上昇して、上記排気弁(40)のケーシング(41)内に溜められる。上記余剰空気が上記ケーシング(41)内に溜まると、該ケーシング(41)内の空気溶解水の液面高さが下がり、上記排気弁(40)のフロート(43)が下降するため、該フロート(43)に接続された弁体(42)の弁部(42a)は排出口(45)から離れて該排出口(45)を開状態とする。これにより、上記ケーシング(41)内に溜まった余剰空気は上記排出口(45)から排出される。
【0064】
また、既述のように、整流板(25)を、排気弁(40)が接続される排気筒(21)の下開口部(22)の下方で、且つ、タンク(11)の仕切壁(13)の上方に、下方からみて上記下開口部(22)を覆うように設けることによって、排気弁(40)のケーシング(41)内に流入する空気溶解水の流速分布をほぼ均一にすることができる。これにより、上記排気弁(40)のフロート(43)に作用する圧力が不均一になるのを防止でき、該排気弁(40)を正常動作させることができる。
【0065】
ここで、上述のように、空気溶解水内の余剰空気の多くは、上記仕切壁(13)の上方へ集まりやすいため、上記排気筒(21)の下開口部(22)は上記仕切壁(13)の上方に位置付けられている。これにより、上記排気弁(40)によって、余剰空気を効率良く捕集することができる。
【0066】
−実施形態1の効果−
以上より、本実施形態によれば、整流板(25)を、空気溶解水の流れが大きく変化する部分、すなわち、排気筒(21)の下開口部(22)の下方で且つ仕切壁(13)の上方に、下方から見て該下開口部(22)を覆うように設けたので、該下開口部(22)を介して排気弁(40)のケーシング(41)内へ流入する空気溶解水は、上記整流板(25)と衝突して該整流板(25)の外側を回り込んで流れる。これにより、上記整流板(25)の上方で空気溶解水の流速を均一化させることができ、上記排気弁(40)のフロート(43)の下部に作用する圧力も均一化させることができるため、該フロート(43)が傾いた状態で上下動して上記ケーシング(41)の内面にひっかかるのを防止することができる。したがって、上述の構成により、上記排気弁(40)を正常動作させることができる。
【0067】
しかも、上記整流板(25)は円板状の部材からなるため、容易に且つ低コストで形成することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、気体溶解器(10)に気液分離機能を設けたため、気液分離器を別途設ける必要がなくなり、その分、コスト低減を図ることができる。
【0069】
−実施形態1の変形例−
この変形例は、図4に示すように、上記案内筒(12)が設けられておらず、空気溶解水が気体溶解部(15)から気液分離部(19)へ直接、流れ込む点で上記実施形態1とは異なる。よって、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明し、詳しい構成については説明を省略する。
【0070】
具体的には、この変形例に係る気体溶解器(30)は、タンク(31)内に、仕切壁(13)によって気体溶解部(15)と気液分離部(19)とが区画形成されていて、空気溶解水が該気体溶解部(15)から仕切壁(13)を乗り越えて気液分離部(19)へ直接、流れ込むように構成されている。すなわち、上記仕切壁(13)の上方には、上記気体溶解部(15)と気液分離部(19)とを連通させる連通路(18)が形成されている。
【0071】
上記タンク(31)の蓋部(11c)には、上記連通路(18)に向かって排気筒(21)の下開口部(22)が開口するように、上記実施形態1と同様の排気弁(40)が設けられている。
【0072】
−気体溶解器内での流体の流れ−
以下で、上記気体溶解器(30)内での流体の流れについて説明する。
【0073】
上記タンク(31)の導入口(14)から気体溶解部(15)へ導入される気液混合流体は、上記実施形態1の場合と同様、気体溶解部(15)に向かって勢いよく噴射されるため、上記タンク(31)の底部(11a)に向かって流れ、上記気液混合流体は、気体溶解部(15)内の空気溶解水又はタンク(31)の底部(11a)によって勢いを止められ、その後、径方向外方、すなわち仕切壁(13)に向かって流れ、上記仕切壁(13)に沿って上方へ流れ、該仕切壁(13)を乗り越えて上記気液分離部(19)へ流れ込む。
【0074】
すなわち、上記タンク(31)において案内筒(12)がない構成であっても、上記実施形態1と同様、上記仕切壁(13)の上端部、すなわち気体溶解部(15)と気液分離部(19)との間の連通路(18)では空気溶解水の流れる向きが大きく変化していることになる。よって、上記実施形態1と同様、整流板(25)を、排気筒(21)の下開口部(22)の下方で、且つ仕切壁(13)の上方に、下方から見て該下開口部(22)を覆うように設けることにより、上記整流板(25)の上方で空気溶解水の流速は均一化され、上記排気弁(40)のフロート(43)の下部に作用する圧力も均一化される。これにより、上記フロート(43)が傾いた状態で上下動して上記ケーシング(41)の内面にひっかかるのを防止でき、上記排気弁(40)を正常動作させることができる。
【0075】
(実施形態2)
図5に、本発明の実施形態2に係る気液分離器(50)の概略構成を示す。この気液分離器(50)は、気液分離機構を備えた上記実施形態1の気体溶解器(10,30)とは異なり、気液分離機構のみを有するものである。また、上記気液分離器(50)の構成は、上記実施形態1の気体溶解器(10,30)とは導入口の位置や案内筒の有無などが異なるだけなので、主に異なる部分について説明する。なお、この実施形態2に係る気液分離器(50)を備えた微細気泡発生装置は、上記実施形態1の気体溶解器(10,30)の代わりに、空気を水に溶解させるための溶解タンクと上記気液分離器(50)とを設けた点が上記実施形態1とは異なるだけなので、説明を省略する。
【0076】
−気液分離器の構成−
上記気液分離器(50)は、有底円筒状のタンク(51)の上部に排気弁(40)を設けることにより、溶解タンクから送られてきた空気溶解水中に含まれる未溶解の余剰気体を分離し、外部へ排出するように構成されている。
【0077】
上記タンク(51)は、円板状の底部(51a)と、該底部(51a)の外周縁から上方に向かって延びる円筒形状の胴部(51b)と、該胴部(51b)の上方の開口部分を閉じる蓋部(51c)と、上記底部(51a)から上方に向かって延び、且つ、上記円筒形状の胴部(51b)と同心に形成された円筒状の仕切壁(53)を備えている。この仕切壁(53)は、その上端部が上記蓋部(51c)と離間するように形成されていて、該仕切壁(53)の内側の空間である導入空間部(55)と、上記仕切壁(53)と上記胴部(51b)との間に形成される空間である気液分離部(59)とが、上記仕切壁(53)の上方に形成される連通路(58)を介して連通している。
【0078】
上記タンク(51)の底部(51a)には、平面視中央部に導入口(54)が設けられているとともに、上記胴部(51b)の下部には、導出口(60)が設けられている。上記導入口(54)は導入管(66)を介して、上記導出口(60)は導出管(67)を介して、それぞれ微細気泡発生装置の循環流路を構成する配管に連通している。また、上記導入口(54)のタンク(51)側には、タンク(51)内方側が閉塞されるように設けられた有底円筒状の導入部材(68)が配設されていて、その側面には複数の流入孔(68a)が形成されている。これにより、上記導入管(67)を介して導入口(54)から流入する空気溶解水は、流入孔(68a)から側方、すなわち、上記仕切壁(53)の下部に向かって吐出される。
【0079】
上記流入孔(68a)から仕切壁(53)の下部に向かって吐出された空気溶解水は、該仕切壁(53)に沿って上方へ流れ、上記連通路(58)を介して気液分離部(59)を下方へ流れ、上記導出管(67)から導出される。つまり、上記連通路(58)での空気溶解水の流れは上記実施形態1の変形例と同様であり、該仕切壁(53)の上端部周辺では上記空気溶解水の流れる向きが大きく変化している。
【0080】
なお、上記実施形態1の場合と同様、排気筒(21)は、その下開口部(22)が下方且つ上記連通路(58)に向かって開口するように設けられているとともに、排気弁(40)は、上記排気筒(21)の上開口部(23)と接続されており、整流板(25)は、上記下開口部(22)の下方で、且つ、上記タンク(51)の仕切壁(53)の上方に、下方から見て上記排気筒(21)の下開口部(22)を覆うように設けられている。
【0081】
−気液分離器内での気液分離動作−
以下で、上述のような構成を有する気液分離器(50)内での気液分離動作について説明する。
【0082】
上記タンク(51)の導入口(54)から導入空間部(55)内へ導入される空気溶解水は、上述のように導入部材(68)の流入孔(68a)から仕切壁(53)の下部に向かって吐出されて、該仕切壁(53)と衝突して上方に流れ、上記連通路(58)を介して上記気液分離部(59)へ流れ込む。
【0083】
上記空気溶解水に溶解していない気泡状の余剰空気は、上記導入空間部(55)において、上述のような空気溶解水の流れとともに移動し、上記仕切壁(53)を乗り越える際に浮力によってタンク(51)内を上昇する。また、上記仕切壁(53)を乗り越える際に分離されなかった余剰空気についても、気液分離部(59)に流れ込んだ後、浮力によってタンク(51)内を上昇する。すなわち、これらの余剰空気の流れは上記実施形態1の変形例と同様であるため、該余剰空気は、上記排気弁(40)が接続された排気筒(21)を介して、上記排気弁(40)のケーシング(41)内に溜められ、該ケーシング(41)の排出口(45)から排出される。
【0084】
また、上記空気溶解水が排気弁(40)のケーシング(41)内に流入する際に、整流板(25)によって流速が均一化される点も上記実施形態1と同様である。
【0085】
(実施形態2の効果)
上述のように、本実施形態によれば、上記実施形態1の気体溶解器(10)と同様、気液分離機構のみを備えた気液分離器(50)でも、導入空間部(55)と気液分離部(59)との間の連通路(58)では空気溶解水の流れる向きが大きく変化しているため、該連通路(58)に向かって開口するように設けられた排気筒(21)の下開口部(22)の下方で、且つ、タンク(51)の仕切壁(53)の上方に、下方から見て上記排気筒(21)の下開口部(22)を覆うように、整流板(25)を設けることにより、該整流板(25)の上方で空気溶解水の流速は均一化され、排気弁(40)のフロート(43)の下部に作用する力も均一化することができる。これにより、該フロート(43)が傾いた状態で上下動して上記ケーシング(41)の内面にひっかかるのを防止することができ、上記排気弁(40)を正常動作させることができる。
【0086】
(その他の実施形態)
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0087】
上記実施形態では、整流板(25)は、排気筒(21)の下開口部(22)の下方で、且つ、上記仕切壁(13,53)の上方に、下方から見て上記下開口部(22)を覆うように設けられているが、この限りではなく、上記排気弁(40)のケーシング(41)内に流入する空気溶解水の流速分布を均一化させることができる位置であれば、上記仕切壁(13,53)の上端よりも下方の位置や上記排気筒(21)内など、どこに設けてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、排気弁(40)の下側に排気筒(21)を設けているが、この限りではなく、該排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)が直接、タンク(11)内の空気溶解水の液面に接していてもよい。この場合には、整流板(25)は、下方から見て上記ケーシング(41)の開口部(44)を覆うように配置すればよい。
【0089】
また、上記実施形態では、整流板(25)は円板状の部材であるが、この限りではなく、上記排気弁(40)のケーシング(41)内に流入する空気溶解水の流速分布を均一化させるような形状であれば、どのような形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明は、浴槽等に微細気泡を含んだ液体を供給する微細気泡発生装置に用いられる、気体溶解器又は気液分離器に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施形態1に係る気体溶解器を備えた微細気泡発生装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る気体溶解器の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】実施形態1に係る気体溶解器の排気弁及び整流板の概略構成を示す、(A)縦断面図,(B)底面図である。
【図4】実施形態1の変形例に係る気体溶解器の概略構成を示す縦断面図である。
【図5】実施形態2に係る気液分離器の概略構成を示す縦断面図である。
【図6】従来の気液分離器の概略構成を示す縦断面図である。
【図7】従来の気液分離器におけるフロート式の排気弁の異常動作を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 微細気泡発生装置
8 微細気泡発生部
10,30 気体溶解器
11,31 タンク
13 仕切壁
14 導入口
15 気体溶解部(導入空間部)
18 連通路
19 気液分離部
25 整流板(整流部材)
40 排気弁
41 ケーシング
42 弁体
43 フロート
44 開口部
45 排出口
50 気液分離器
55 導入空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(11)内で、気体が液体中に加圧溶解された気体溶解液から未溶解の余剰気体を分離し、該タンク(11)の上方に設けられた排気弁(40)を介して余剰気体を外部へ排出する一方、該余剰気体が分離された気体溶解液を微細気泡発生部(8)に供給する微細気泡発生装置(1)の気液分離器であって、
上記タンク(11)は、
気体溶解液が導入口(14)を介して導入される導入空間部(15)と、
上記導入空間部(15)と連通路(18)を介して連通していて、上記気体溶解液から余剰気体を分離する気液分離部(19)と、
上記導入空間部(15)と気液分離部(19)とを区画するとともに、上方に上記連通路(18)を形成するように、該導入空間部(15)と気液分離部(19)との間に設けられる仕切壁(13)と、
を備えていて、
上記排気弁(40)は、
内部に上記連通路(18)内の気体溶解液が流入するように、下方且つ該連通路(18)に向かって開口する開口部(44)を有するケーシング(41)と、
上記ケーシング(41)内で上記気体溶解液中から放出された余剰気体を外部へ排出するように、該ケーシング(41)に設けられた排出口(45)を開閉する弁体(42)と、
上記ケーシング(41)内の気体溶解液の液面に浮かぶように該ケーシング(41)内に収容され、該気体溶解液の液面高さの変化によって上記弁体(42)を開閉動作させるフロート(43)と、
を備えており、
上記排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)の下方には、該ケーシング(41)内に流入する気体溶解液の流速分布を均一化させるような整流部材(25)が設けられていることを特徴とする気液分離器。
【請求項2】
請求項1において、
上記整流部材(25)は、略水平方向に延びるように設けられた板状の部材であって、下方から見て上記排気弁(40)のケーシング(41)の開口部(44)を覆うように設けられていることを特徴とする気液分離器。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記整流部材(25)は、上記仕切壁(13)の上方に設けられていることを特徴とする気液分離器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の気液分離器(50)を備えた気体溶解器であって、
上記導入空間部は、導入口(14)から導入された気体溶解液中で気体の溶解を促進させる気体溶解部(15)であることを特徴とする気体溶解器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−155192(P2010−155192A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334293(P2008−334293)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】