説明

気象情報表示システム

【課題】予報資料及び実況値の解析結果から得られた大雨や洪水等の物理的自然現象の発生の有無及びこれらを表す報知内容を低コストで伝送して表示可能にし、かつ設備の保全管理を低コスト化できる気象情報表示システムを提供する。
【解決手段】報知情報提供サーバ12により、予報資料及び実況値の各データを複数の監視地区ごとに解析して得た値から各監視地区の気象の推移を予測し、この予測気象の推移に応じて発生すると予測される物理的自然現象の内容を表す報知情報をメール形で提供する。発報処理装置13では、報知情報提供サーバ12に対しアクセスごとに報知情報提供サーバ12から提供される報知情報を受信し、受信した報知情報の内容を解析し監視地区ごとに文字データ及び表示用データコマンドに変換して監視塔15に対し発報し、報知情報の内容を電光表示盤21に文字で表示するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象情報表示システムに関し、さらに詳しくは、気象庁や日本気象株式会社等が提供する予報資料及び実況値から河川の増水、大雨や洪水、土砂崩れ、落雷など(物理的自然現象)の発生の有無を解析し、この解析結果を報知情報として、特定の場所に設置された表示部に表示する気象情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、河川の整備が行われるに伴い、川岸、中州などに公園や水遊び場などが設けられている。このような場所は、河川が増水する危険のない気象条件下では問題がない。しかし、台風時の大雨や梅雨時の長雨、水源または上流域での集中豪雨などあると河川の水が増し、特に河川の下流域では急激な増水の危険がある。
【0003】
そこで、下流域などの川岸や中州などに公園や水遊び場などが設けられている河川においては、これらの場所または河川を管理する管理者が、これら河川域の気象を日本気象株式会社等に問い合わせ、台風時の大雨や集中豪雨による増水の危険があると予報された際には、広報車など人手を利用して、川岸や中州などに公園や水遊び場などにいる者に注意報や警報を行うようにしている。
【0004】
また、従来においては、川岸や中州などに公園や水遊び場などに警報装置を設置し、この警報装置に管理センターから特別に敷設した専用の通信回線を通して警報または注意信号を伝送することにより、警報装置を駆動して警報または注意報を発し、特定の場所にいる者に注意を喚起させるようにした技術も開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−357670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記広報車など人手を利用して注意報や警報を行う方式は、集中豪雨などによる河川の増水の危険が確認されてから現地で警報または注意報が出されるまでに時間がかかる。その結果、警報または注意報が出される前に現地が増水の危険に曝されてしまうことになり、緊急性及び実用性に欠けるという問題がある。
【0007】
また、管理センターから通信回線を通して現地の警報装置に警報または注意報を表示する方式では、現地が増水の危険に曝される前に警報または注意報を表示することが可能である。しかし、その反面、管理センターと現地の警報装置との間を専用の通信回線で接続されているため、通信設備にコストがかかり、通信コストも上昇するという問題がある。しかも、警報装置の駆動には商用電源が使用される関係上、化石エネルギを使用することになって環境面で不利となり、さらに、警報装置の維持コストも上昇するという問題があった。
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みされたもので、提供される予報資料及び実況値の解析結果から得られた河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の発生の有無及びこれらを表す報知内容を低コストで伝送して表示可能にし、併せて、設備の保全管理を低コスト化できる気象情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、気象情報表示システムであって、外部から得られる予報資料及び実況値の各データを複数の監視地区ごとに解析して得た値から各監視地区の気象の推移を予測し、該予測気象に応じて発生すると予測される河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の内容及び物理的自然現象の有無を表す報知情報をメール形式で提供する報知情報提供サーバと、前記監視地区ごとに設置され前記報知内容を表示する電光表示盤を有する複数の監視塔と、インターネットを介して前記報知情報提供サーバに対しアクセスするごとに前記報知情報提供サーバから提供される前記報知情報を監視地区ごとに文字データ及び表示用データコマンドに変換して前記監視塔ごとに発報する発報処理装置と、前記発報処理装置に接続され前記発報処理装置から発報された文字データ及び表示用データコマンドを前記電光表示盤にPHS回線網を通して伝送する第1送受信機と、前記電光表示盤に接続され前記第1送受信機から前記PHS回線網を通して伝送される文字データ及び表示用データコマンドを受信して前記電光表示盤に出力する第2送受信機とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の気象情報表示システムにおいて、前記発報処理装置は、前記発報処理装置と前記監視塔との間を接続する前記第1送受信機と第2送受信機との通信経路が正常に接続されたか否かを判定する第1判定手段と、前記第1送受信機と前記第2送受信機との間で前記報知情報の文字データが正常に送受信されたか否かを判定する第2判定手段を更に備え、前記発報処理装置は前記第1判定手段の判定結果及び前記第2判定手段の判定結果を文字データに変換して前記監視端末に前記インターネットを通し発報するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の気象情報表示システムにおいて、前記電光表示盤に流れる電流を検知する第1電流センサーが設けられ、前記発報処理装置は、前記第1電流センサーで検知された電流に基づいて前記電光表示盤の正常/異常を判定する第3判定手段を更に備え、前記発報処理装置は前記第3判定手段の判定結果を文字データに変換して前記監視端末に前記インターネットを通し発報するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の気象情報表示システムにおいて、前記各監視塔は、前記表示部が報知内容を文字で表示している時に点灯しながら回転する回転灯を更に備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の気象情報表示システムにおいて、前記各監視塔は、該監視塔の周囲を撮像する撮像カメラ及び監視塔の周囲を照明する照明灯を更に備え、前記発報処理装置は、前記第2送受信機、前記PHS回線網及び前記第1送受信機を通して伝送される前記撮像カメラの撮影画像を前記インターネットを通し前記監視端末に送信する画像データ送出手段を更に備え、前記撮影画像は前記監視端末のモニタに表示されるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の気象情報表示システムにおいて、停電時に前記電光表示盤、前記第2送受信機、前記回転灯、前記撮像カメラ及び前記照明灯を含む負荷に給電するバッテリと、前記バッテリへの充電及び前記バッテリから前記負荷への給電を制御する充放電制御回路を更に備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6記載の気象情報表示システムにおいて、前記バッテリは、前記充放電制御回路を通して商用電源もしくは太陽電池により充電されることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項6または7記載の気象情報表示システムにおいて、前記バッテリの充放電電流を検知する第2電流センサーが設けられ、前記発報処理装置は、前記第2電流センサーで検知された電流に基づいて前記バッテリの正常/異常を判定する第3判定手段を更に備え、前記発報処理装置は前記第3判定手段の判定結果を文字データに変換して前記監視端末に前記インターネットを通し発報するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の気象情報表示システムによれば、気象庁や日本気象株式会社等が提供する予報資料及び実況値の解析結果から得られた河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の発生の有無及びこれらを表す報知内容を低コストで電光表示盤に伝送して表示することができ、併せて、電光表示盤を含む設備の保全管理を低コストで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる気象情報表示システムの全体の構成図である。
【図2】本発明にかかる気象情報表示システムを構成する発報処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる気象情報表示システムを構成する監視塔の詳細な構成を示す側面図である。
【図4】本発明にかかる気象情報表示システムを構成する監視塔の内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の気象情報表示システムにおける全体の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の気象情報表示システムにおける発報処理装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明にかかる気象情報表示システムの実施の形態について、図1乃至図3を参照して詳細に説明する。なお、本発明にかかる可搬式監視装置は、以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
本実施の形態に示す気象情報表示システムは、気象庁や日本気象株式会社等が提供する予報資料及び実況値から河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の発生の有無を解析し、この解析結果を報知情報として、監視地区に設置された監視塔の電光表示盤に表示するものである。
【0021】
気象情報表示システムは、図1に示すように、インターネット11に通信制御部1202を介して接続された報知情報提供サーバ12と、インターネット11に通信制御部1301を介して接続された発報処理装置13と、インターネット11に接続された管理用の監視端末14と、各監視地区にそれぞれ設置された複数の監視塔15とで構成される。
【0022】
ここで、予報資料とは、観測データを解析して得た値から予測される解析雨量や降水時間、ガイダンス予報等である。また、実況値とは、降水量、風速、気温、日照などの気象の現況をあらわす気象要素の数値または気象要素から導き出される物理量である。
【0023】
報知情報提供サーバ12は、気象庁16や観測所17または気象に関する情報を作成する機関等から得られる予報資料及び実況値の各データを複数の監視地区ごとに解析して得た値から各監視地区の気象の推移を予測し、該予測気象に応じて発生すると予測される河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の内容及び物理的自然現象の有無を表す報知情報をメール形式で提供するものであり、マイクロコンピュータから構成される。
【0024】
また、報知情報提供サーバ12には、報知情報提供サーバ12が入出力を行える報知情報データベース1201が接続されている。この報知情報データベース1201は上記報知情報を監視地区ごとに格納するものであり、各監視地区の報知情報の内容は予報資料及び実況値の変化に対応して変更され、その都度、報知情報の内容も更新される構成になっている。
【0025】
発報処理装置13は、インターネット11および通信制御部1301を通して報知情報提供サーバ12に対し、予め決められた時間に自動的にアクセスするごとに報知情報提供サーバ12から提供される報知情報を監視地区ごとに文字データに変換して対応する監視塔15に発報し、併せて監視塔15の動作状況や通信状況の監視結果を監視地区ごとに文字データに変換して監視端末14に発報するものである。この発報処理装置13には、上記報知情報の内容を文字に変換するための文字情報及び上記監視結果の内容を文字に変換するための文字を格納するデータベース1302が接続されている。さらに、発報処理装置13には、監視塔15ごとに発報処理装置13から発報される報知情報の文字データを監視塔15ごとに送信するPHS仕様の第1送受信機18が入出力インタフェース1303を介して接続されている。
【0026】
第1送受信機18は、発報処理装置13から発報される報知用の文字データ及び表示用データコマンドを各監視地区の監視塔15に、PHS回線網19に接続された複数の基地局1901(PHS通信会社ウイルコムが提供する通信方式)を通して送信する。これに加えて、第1送受信機18は、各監視塔15に設けられたPHS仕様の第2送受信機20からPHS回線網19の基地局1901を通して送信されてくる監視塔15の動作状況の監視結果などの情報を受信できるように構成されている。更に、発報処理装置13から発報される監視結果は通信制御部1303及びインターネット11を通して監視端末14に伝送されるように構成されている。
【0027】
発報処理装置13は、発報に際し、従来周知の接続ソフトとモデム(またはTA/DSU)による監視塔15へのダイヤル回数を基に発報処理装置13が監視塔15に正常に接続されたか否かを判定する第1判定手段1304と、第1送受信機18と第2送受信機20との間で報知情報の文字データが正常に送受信されたか否かを判定する第2判定手段1305と、電光表示盤21の正常/異常及び後述するバッテリ27の正常/異常を判定する第3判定手段1306と、後述する撮像カメラ24で撮影された監視地区の現況画像を監視端末14に出力する画像データ送出手段1307を備えている。
【0028】
画像データ送出手段1305は、第2送受信機20からPHS回線網19を介して第1送受信機18で受信した画像データを通信制御部1301及びインターネット11を通して監視端末14に送出できるように処理するものである。
【0029】
なお、発報処理装置13を構成するマイクロコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成される。ROMはCPUが実行する処理または制御プログラムなどを格納し、RAMはデータベース1302のワーキングエリアを提供する。CPUが前記処理または制御プログラムを実行することにより、発報処理装置13、第1判定手段1304、第2判定手段1305、第3判定手段1306及び画像データ送出手段1307が実現される。
【0030】
監視端末14は、監視塔15及びその通信系の動作状況を監視し、その監視結果を基に監視塔15の保全管理を行うために使用されるものである。このために、第1判定手段1304、第2判定手段1305及び第3判定手段1306で判定されたそれぞれの判定結果は、発報処理装置13により、監視内容を表す文字データ及び表示用データコマンドに変換されて監視端末14に伝送される。そして、監視内容を文字にて監視端末14のモニタ1401に自動的に表示することにより、監視塔15の現況、通信系の現況等を監視塔管理者に報知するようになっている。また、監視端末14はマイクロコンピュータから構成することができる。
【0031】
監視塔15は、図3に示すように、河川の増水や大雨等の物理的自然現象の報知及び表示が必要な地区の地上に立設された中空の支柱1501を有する。支柱1501には、文字表示ができるように多数のLEDをマトリクス状に配列してなる電光表示盤21が装着されている。さらに、支柱1501の上端には、電光表示盤21に報知内容を文字で表示している時に点灯しながら回転する回転灯22が装着されている。
【0032】
また、支柱1501には、第1送受信機18とPHS回線網19の基地局1901を介して第1送受信機18との情報の送受信を行う第2送受信機20が取り付けられている。さらに、支柱1501には、支持部材1504を介して太陽電池23が装着されている。また、支柱1501には、監視塔15の周囲を撮像するCCDイメージセンサ等からなる撮像カメラ24と、監視塔15の周囲を照明する照明灯25が支持部材1505を介して取り付けられている。
【0033】
支柱1501の内部には、商用電源を、第2送受信機20、電光表示盤21、回転灯22、撮像カメラ24及び照明灯25を含む負荷に電力を供給する電源回路26と、バッテリ27が設けられている。電源回路26は商用電源を上記負荷に必要な電圧に変換して上記負荷に供給するものである。
【0034】
バッテリ27は、図4に示すように、停電時や配電設備のない地区で上記負荷に電力を供給するためのもので、このバッテリ27への充電及びバッテリ27から前記負荷への給電は充放電制御回路28により行われる。バッテリ27への充電には太陽電池23から発生する電力または電源回路26から出力される電力が使用される。また、バッテリ27の正常/異常を検知するために充放電制御回路28によるバッテリ27の充放電電流を検出する第2電流センサー30と、電光表示盤21の表示不良などによる電光表示盤21の正常/異常を検知するために電光表示盤21に流れる電流を検出する第1電流センサー29と、信号処理部31を備えている。
【0035】
信号処理部31は、PHS回線網19を通して第2送受信機20で受信された報知内容を表す文字データ及び表示用データコマンドを基に表示データに変換して電光表示盤21に出力し、また、撮像カメラ24で撮像された画像情報を送信可能な画像データに変換して第2送受信機20に出力し、さらに、第2送受信機20を通して第1送受信機18に伝送するとともに、第1電流センサー29で検出された電流値及び第2電流センサー30で検出された電流値を正常/異常の判定用データとして第2送受信機20に出力する機能を備えている。
【0036】
第1電流センサー29で検出された電流値は、電光表示盤21の正常/異常の判定情報として第3判定手段1306に取り込まれるように構成され、さらに、第2電流センサー30で検出された電流値は、バッテリ27の正常/異常を判定情報として第3判定手段1306に取り込まれるように構成されている。
【0037】
次に、本実施の形態に示す気象情報表示システムの動作について図5及び図6を参照して説明する。
【0038】
図5に示すように、気象情報表示システムの発報処理装置13に電源が投入されることにより発報処理装置13が初期化される(ステップS11)。その後、発報処理装置13が報知情報提供サーバ12に対しアクセスすると両者の通信経路が成立する。そして、発報処理装置13の管理下にある監視地区に関係する報知情報を報知情報データベース1201から報知情報提供サーバ12を通して検索し、その報知情報をメール形式でインターネット11及び通信制御部1202,1301を通して発報処理装置13に伝送する(ステップS12)。
【0039】
報知情報を受信した発報処理装置13では、まず、報知情報の内容を解析し(ステップS13)、次いで、表示変更するか否かを判定する(ステップS14)。ここで、表示変更しない場合はステップS12に移行してステップS12以下の処理を実行する。また、表示変更すると判定された場合はステップS15に進み、表示変更に必要なデータを抽出して、次の発報処理に移行する(ステップS16)。この発報処理は、複数の各監視地区A、B、C・・・に対して順番に行われる。
【0040】
次に、発報処理について図6を参照して説明する。
まず、発報処理を行う監視地区が発報処理装置13の管理下にある該当監視地区か否かを判定する(ステップS1601)。ここで、否定された場合はリターンされる。肯定された場合は、従来周知の接続ソフトとモデム(またはTA/DSU)を用いて該当する監視地区の監視塔15の番号にダイヤルする(ステップS1602)。これにより、発報処理装置13の第1送受信機18と第2送受信機20との間を、PHS回線網19を介して接続し、発報処理装置13から監視塔15への発報を可能にする。その後、第1送受信機18と第2送受信機20間の回線経路が正常に接続されているか否かを第1判定手段1304により判定する(ステップS1603)。ここで、肯定された場合はステップS1604に進み、否定された場合はステップS1609に進み、それぞれの処理を実行する。
【0041】
ステップS1604の処理では、例えば、予測される監視地区の気象が大雨になると予測される場合は、発報処理装置13において、データベース1302を参照しながら、「大雨注意報発令中」、「大雨警報発令中」、「洪水注意報発令中」、「洪水警報発令中」または「大雨警報解除」、「洪水警報解除」あるいは「落雷警報」、「突風警報」などというような表示内容の文字列データを生成し、第1送受信機18により、該当する監視塔15に対して発報する。これにより、監視塔15の電光表示盤21に上記文字列の内容を固定表示にまたはスクロール表示される。同時に回転灯22を回転させながら点灯する。その後、第1送受信機18により発報された上記文字列データがPHS下線網19を通して第2送受信機20で受信されたか否かを第2判定手段1305で判定する(ステップS1605)。ここで、肯定された場合はリターンされる。また、否定された場合はステップS1606に移行する。
【0042】
ステップS1605では、第1送受信機18による再送信、すなわちリトライが5回目か否かを判定する。ここで、否定された場合はステップS1604に移行して、ステップS1604以下の処理を実行する。また、肯定された場合はステップS1607に移行して、第1送受信機18、PHS下線網19及び第2送受信機20の通信系に異常が発生したと判定してエラーを記録する。しかる後、上記エラー情報を発報処理装置13で文字データに変換した後、通信制御部1301により、インターネット11を介して監視端末14に発信し、監視端末14のモニタ1401に受信異常を表示する。これにより、第1送受信機18、PHS下線網19及び第2送受信機20の通信系に異常が生じていることを管理者に知らせることができる。
【0043】
一方、ステップS1603において、否定された場合は、従来周知の接続ソフトとモデムを用いて該当する監視地区の監視塔15へのリダイヤルを複数回繰り返し実行する。次いで、従来周知の接続ソフトとモデムによるリダイヤルが5回目か否かを判定する(ステップS1609)。ここで、否定された場合はステップS1602に移行して、ステップS1602以下の処理を実行する。また、肯定された場合はステップS1610に移行して、発報処理装置13が監視塔15に正常に接続されていないと判定してエラーを記録する。しかる後、上記エラー情報を発報処理装置13で文字データに変換した後、通信制御部1301により、インターネット11を介して監視端末14に発信し、監視端末14のモニタ1401に通信回線の接続異常を表示する。これにより、通信回線の接続異常が生じていることを管理者に知らせることができる。
【0044】
このような本実施の形態に示す気象情報表示システムによれば、報知情報提供サーバ12により、気象庁16や観測所17等から得られる予報資料及び実況値の各データを複数の監視地区ごとに解析して得た値から各監視地区の気象の推移を予測し、この予測気象の推移に応じて発生すると予測される河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の内容を表す報知情報をメール形で提供できるようにし、そして、発報処理装置13では、報知情報提供サーバ12に対しアクセスごとに報知情報提供サーバ12から提供される報知情報を受信し、受信した報知情報の内容を解析し監視地区ごとに文字データに変換してPHS仕様の第1送受信機18、第2送受信機20及びPHS回線網19を通し監視塔15に対し発報し、報知情報の内容を電光表示盤21に文字で表示するように構成したので、予報資料及び実況値の解析結果から得られた河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の発生の有無及びこれらを表す報知内容を低コストで電光表示盤21に伝送して表示することができる。
【0045】
また、本実施の形態に示す気象情報表示システムにおいて、第2電流センサー30により検出されたバッテリ27の充放電時における電流値は、信号処理部31により正常/異常を判定するための判定データに変換される。この判定データは第2送受信機20によりPHS回線網19を介して第1送受信機18に送信される。そして、第1送受信機18で受信された判定データは第3判定手段1306に取り込まれ、バッテリ27が正常か異常かを判定する。この判定結果は電子メールに変換され、通信制御部1301によりインターネット11を介して監視端末14に伝送される。この電子メールを監視端末14のモニタ1401に表示することで、バッテリ27が正常である旨、または異常である旨を管理者に知らせることができる。これにより、電光表示盤21を含む設備の保全管理を低コストで行うことができる。
【0046】
また、本実施の形態に示す気象情報表示システムにおいて、第1電流センサー29により検出された、電光表示盤21に流れる電流値は、信号処理部31により正常/異常を判定するための判定データに変換される。この判定データは第2送受信機20によりPHS回線網19を介して第1送受信機18に送信される。そして、第1送受信機18で受信された判定データは、第3判定手段1306に取り込まれ、電光表示盤21が正常か異常かを判定する。この判定結果は電子メールに変換され、通信制御部1301によりインターネット11を介して監視端末14に伝送される。この電子メールを監視端末14のモニタ1401に表示することで、電光表示盤21が正常である旨、または異常である旨を管理者に知らせることができる。これにより、電光表示盤21を含む設備の保全管理を低コストで行うことができる。
【0047】
次に、撮像カメラ24で撮像された画像を監視端末14のモニタ1401に表示する場合について説明する。
【0048】
この場合は、撮像カメラ24で撮像された画像を信号処理部31により送信可能な画像データに変換した後、第2送受信機20によりPHS回線網19を介して第1送受信機18に送信する。第1送受信機18で受信された画像データは、通信制御部1301によりインターネット11を介して監視端末14に伝送され、監視端末14のモニタ1401に撮像カメラ24で撮像された画像を表示する。よって、モニタ1401上の表示画像を見ることで、監視塔15の状況を視覚的に確認することができる。
【0049】
また、曇天や夜間など、監視塔15の周囲が暗い場合は、照明灯25を点灯する。これにより、曇天や夜間など監視塔15の周囲が暗い場合でも監視塔15の周囲を正確に監視することができる。これにより、電光表示盤21を含む設備の保全管理を低コストで行うことができる。
【0050】
監視塔15に実装されている各種の負荷にはバッテリ27から電力を供給することができる。これにより、監視塔15に電力を供給する商用電源がダウンしていても、バッテリ27の電力を利用して監視塔15を12時間程度監視体制に保持できる。
【0051】
また、監視塔15に従来周知の照度センサーを設け、この照度センサ−により周囲の明るさを検知し、この検知信号により電光表示盤21の輝度を調節することで、周囲の明るさに適合した視認性の良い表示が可能になる。
【0052】
なお、本発明における電光表示盤21への表示内容は、上記実施の形態に示した「大雨注意報発令中」、「大雨警報発令中」、「洪水注意報発令中」、「洪水警報発令中」などに限定されない。
【0053】
また、本発明においては、監視塔15にスピーカを設け、このスピーカを通して「大雨注意報発令中」、「大雨警報発令中」、「洪水注意報発令中」、「洪水警報発令中」等の気象情報を音声により報知することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
11 インターネット
12 報知情報提供サーバ
1201 報知情報データベース
1202 通信制御部
13 発報処理装置
1301 通信制御部
1302 データベース
1303 入出力インタフェース
1304 第1判定手段
1305 第2判定手段
1306 第3判定手段
1307 画像データ送出手段
14 監視端末
15 監視塔
16 気象庁
【0055】
17 観測所
18 第1送受信機
19 PHS回線網
1901 基地局
20 第2送受信機
21 電光表示盤
22 回転灯
23 太陽電池
24 撮像カメラ
25 照明灯
26 電源回路
27 バッテリ
28 充放電制御回路
29 第1電流センサー
30 第2電流センサー
31 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から得られる予報資料及び実況値の各データを複数の監視地区ごとに解析して得た値から各監視地区の気象の推移を予測し、該予測気象に応じて発生すると予測される河川の増水、大雨や洪水等の物理的自然現象の内容及び物理的自然現象の有無を表す報知情報をメール形式で提供する報知情報提供サーバと、
前記監視地区ごとに設置され前記報知内容を表示する電光表示盤を有する複数の監視塔と、
インターネットを介して前記報知情報提供サーバに対しアクセスするごとに前記報知情報提供サーバから提供される前記報知情報を監視地区ごとに文字データ及び表示用データコマンドに変換して前記監視塔ごとに発報する発報処理装置と、
前記発報処理装置に接続され前記発報処理装置から発報された文字データ及び表示用データコマンドを前記電光表示盤にPHS回線網を通して伝送する第1送受信機と、
前記電光表示盤に接続され前記第1送受信機から前記PHS回線網を通して伝送される文字データ及び表示用データコマンドを受信して前記電光表示盤に出力する第2送受信機とを備える、
ことを特徴とする気象情報表示システム。
【請求項2】
前記発報処理装置は、前記発報処理装置と前記監視塔との間を接続する前記第1送受信機と第2送受信機との通信経路が正常に接続されたか否かを判定する第1判定手段と、前記第1送受信機と前記第2送受信機との間で前記報知情報の文字データが正常に送受信されたか否かを判定する第2判定手段を更に備え、前記発報処理装置は前記第1判定手段の判定結果及び前記第2判定手段の判定結果を文字データに変換して前記監視端末に前記インターネットを通し発報するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の気象情報表示システム。
【請求項3】
前記電光表示盤に流れる電流を検知する第1電流センサーが設けられ、前記発報処理装置は、前記第1電流センサーで検知された電流に基づいて前記電光表示盤の正常/異常を判定する第3判定手段を更に備え、前記発報処理装置は前記第3判定手段の判定結果を文字データに変換して前記監視端末に前記インターネットを通し発報するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の気象情報表示システム。
【請求項4】
前記各監視塔は、前記表示部が報知内容を文字で表示している時に点灯しながら回転する回転灯を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の気象情報表示システム。
【請求項5】
前記各監視塔は、該監視塔の周囲を撮像する撮像カメラ及び監視塔の周囲を照明する照明灯を更に備え、前記発報処理装置は、前記第2送受信機、前記PHS回線網及び前記第1送受信機を通して伝送される前記撮像カメラの撮影画像を前記インターネットを通し前記監視端末に送信する画像データ送出手段を更に備え、前記撮影画像は前記監視端末のモニタに表示されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の気象情報表示システム。
【請求項6】
停電時に前記電光表示盤、前記第2送受信機、前記回転灯、前記撮像カメラ及び前記照明灯を含む負荷に給電するバッテリと、前記バッテリへの充電及び前記バッテリから前記負荷への給電を制御する充放電制御回路を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の気象情報表示システム。
【請求項7】
前記バッテリは、前記充放電制御回路を通して商用電源もしくは太陽電池により充電されることを特徴とする請求項6記載の気象情報表示システム。
【請求項8】
前記バッテリの充放電電流を検知する第2電流センサーが設けられ、前記発報処理装置は、前記第2電流センサーで検知された電流に基づいて前記バッテリの正常/異常を判定する第3判定手段を更に備え、前記発報処理装置は前記第3判定手段の判定結果を文字データに変換して前記監視端末に前記インターネットを通し発報するように構成されていることを特徴とする請求項6または7記載の気象情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−174811(P2011−174811A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38996(P2010−38996)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(506340736)ジオ・システムズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】