説明

水の浄化用フィルターカートリッジ

【課題】 水の浄化用フィルターカートリッジに於いて、閉塞し難くて水が均一に流れるようにし、ろ過材の延命化やコストの低減等を図れるようにする。
【解決手段】 同心円状に配設された外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3と、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填されたろ過材4と、両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4の一端部側を支持する密閉エンドキャップ5と、両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4の他端部側を支持し、浄化水W′の流出口6aを形成した開口エンドキャップ6とから構成した水の浄化用フィルターカートリッジ1であって、前記ろ過材4が、粒状、粉状又は繊維状であり、固形状に成形されていないろ過材4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭や病院、工場、事務所等で水道水の浄化処理に使用される浄水器や浄化装置に用いられるものであり、閉塞し難くて水が均一に流れるようにし、ろ過材の延命化やコストの低減等を図れるようにした水の浄化用フィルターカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、公共の水道水の水質の悪化が問題となっている。これは、水道水の原水そのものの水質が悪化しており、それに伴って浄水場に於いて、酸化剤や滅菌剤として塩素を多量に注入する必要が生じているからである。
【0003】
水質自体が悪化したり、水道水に多量の塩素が含まれていると、味が悪くなったり、異臭がしたり、更には人体の健康上の点からも好ましくない。このため、一般家庭や病院、工場、事務所等に於いては、水道水を浄化処理する浄水器や浄化装置が使用されることが多くなって来ている。
【0004】
前記浄水器や浄化装置には、活性炭フィルターを用いたカートリッジや粒状活性炭を用いたカートリッジが広く使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4等参照)。
【0005】
即ち、活性炭フィルターを用いたカートリッジは、ピッチにより形成された繊維状の活性炭を用いて適宜の長さの中空円筒状に成形固化した活性炭フィルター等から構成されており、水道水を半径方向へ流通させることによって、水道水に含まれている塩素や夾雑物等を除去するようになっている。
【0006】
又、粒状活性炭を用いたカートリッジは、ケース内に多数の粒状活性炭を充填して成り、水道水を上から下に通過させることによって、水道水に含まれている塩素や夾雑物等を除去するようになっている。
【0007】
しかし、活性炭フィルターを用いたカートリッジは、活性炭フィルターが成形固化されているため、水に含まれている濁度成分により閉塞し易く、カートリッジを短期間で交換したり、或いは洗浄したりしなければならず、経済性や取扱性等に劣ると云う問題があった。然も、活性炭フィルターを成形固化するようにしているため、加工コストの高騰を招くと云う問題があった。
【0008】
又、粒状活性炭を用いたカートリッジは、水がケース内に充填した粒状活性炭内を通過したときに、粒状活性炭内に水の通り道(バイパス)が形成され、水が均一に通過しないことがある。その結果、粒状活性炭を用いたカートリッジは、全ての粒状活性炭が有効に利用されておらず、水の浄化処理機能が低下すると云う問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開平9−108656号公報
【特許文献2】特開平9−117758号公報
【特許文献3】特開2002−059153号公報
【特許文献4】登録実用新案第3108450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、閉塞し難くて水が均一に流れるようにし、ろ過材の延命化やコストの低減等を図れるようにした水の浄化用フィルターカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する為に、本発明の請求項1の発明は、同心円状に配設された外側の円筒状多孔性フィルター及び内側の円筒状多孔性フィルターと、外側の円筒状多孔性フィルターと内側の円筒状多孔性フィルターとの間隙に充填されたろ過材と、両円筒状多孔性フィルター及びろ過材の一端部側を密閉状に支持する密閉エンドキャップと、両円筒状多孔性フィルター及びろ過材の他端部側を密閉状に支持し、内側の円筒状多孔性フィルターの内部空間に連通する浄化水の流出口を形成した開口エンドキャップとから構成されており、水を外側の円筒状多孔性フィルター、ろ過材及び内側の円筒状多孔性フィルターの半径方向へ流通させて浄化するようにした水の浄化用フィルターカートリッジであって、前記ろ過材が、粒状、粉状又は繊維状であり、固形状に成形されていないことに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、内側の円筒状多孔性フィルターの内部空間に、筒状のケース内に抗菌材又は水活性材若しくは抗菌材及び水活性材の両方を充填して成る4次フィルターを開口エンドキャップの流出口に連通する状態で配設し、外側の円筒状多孔性フィルター、ろ過材及び内側の円筒状多孔性フィルターを通過した浄化水を4次フィルターを通過させる構成としたことに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、ろ過材が活性炭から成ることに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、ろ過材がセラミックスから成ることに特徴がある。
【0015】
本発明の請求項5の発明は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、ろ過材が、銅、黄銅、錫、亜鉛、マグネシウム、シリコン、チタン、銀、プラチナ、金、ゲルマニウム、バナジウム等の金属のうちの何れか一種類又は二種類以上の金属から成ることに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項6の発明は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、ろ過材が、活性炭、セラミックス又は金属のうちの少なくとも二種類以上の混合物から成ることに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項7の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6の発明に於いて、ろ過材に亜硫酸カルシウムが含まれていることに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項8の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7の発明に於いて、外側の円筒状多孔性フィルター及び内側の円筒状多孔性フィルターの材質が、ポリプロピレン樹脂材、ポリエチレン樹脂材又はポリエチレンテレフタレート樹脂材であることに特徴がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、次のような優れた効果を奏することができる。
(1)本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、同心円状に配設した外側の円筒状多孔性フィルターと内側の円筒状多孔性フィルターとの間隙に、固形状に成形していない粒状、粉状又は繊維状のろ過材を充填し、水を成形固化していないろ過材の半径方向へ流通させる構成としているため、ろ過材が閉塞し難くなると共に、水がろ過材内を均一に流れて全てのろ過材が有効に利用されることなる。
その結果、本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、寿命が大幅に延びると共に、交換や洗浄の回数が少なくなって経済性や取扱性に優れたものとなる。
(2)本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、内側の円筒状多孔性フィルターと外側の円筒状多孔性フィルターとの間隙に、成形固化していない粒状、粉状又は繊維状のろ過材を充填しているため、成形固化したフィルターを用いたカートリッジに比較してコストの低減を図れる。
(3)本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、水が外側の円筒状多孔性フィルター、ろ過材及び内側の円筒状多孔性フィルターを順次通過するため、水のろ過率が高くなると共に、ろ過材のみを用いたカートリッジに比較してろ過材の寿命が長くなる。
(4)本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、内側の円筒状多孔性フィルターの内部空間に、筒状のケース内に抗菌材又は水活性材若しくは抗菌材及び水活性材の両方を充填して成る4次フィルターを開口エンドキャップの流出口に連通する状態で配設し、外側の円筒状多孔性フィルター、ろ過材及び内側の円筒状多孔性フィルターを通過した浄化水を更に4次フィルターを通過させる構成としているため、水のろ過率がより一層高くなる。
(5)本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、ろ過材がセラミックス又は金属から成る場合、セラミックスや金属の特性を生かした様々な機能水を作ることができる。
(6)本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、ろ過材が活性炭、セラミックス又は金属のうちの少なくとも二種類以上の混合物から成る場合、様々なろ過材を目的に合わせて自由に混合して作ることができるうえ、成形固化等の工程を必要としないのでろ過材を簡単且つ容易に作ることができる。
(7)本発明の水の浄化用フィルターカートリッジは、ろ過材に亜硫酸カルシウムが含まれている場合、水に含まれている残留塩素を効率良く素早く分解除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る水の浄化用フィルターカートリッジ1を示し、当該水の浄化用フィルターカートリッジ1は、主に一般家庭や病院、工場、事務所等に於いて飲料用や調理用、風呂用等に用いる水道水W(水)を浄化処理する浄水器や浄化装置に使用されるものであり、水道水Wの浄化処理機能を有することは勿論のこと、閉塞し難くて水道水Wが均一に流れるようにし、ろ過材の延命化等を図るようにしたものである。
【0021】
即ち、前記水の浄化用フィルターカートリッジ1は、図1に示す如く、同心円状に配設された外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3と、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填された粒状、粉状又は繊維状の成形固化されていないろ過材4と、両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4の一端部側(上端部側)を密閉状に支持する密閉エンドキャップ5と、両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4の他端部側(下端部側)を密閉状に支持し、中心部に両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4を通過した浄化水W′が流出する流出口6aを形成した開口エンドキャップ6とから構成されており、水道水Wが外側の円筒状多孔性フィルター2、ろ過材4及び内側の円筒状多孔性フィルター3を半径方向へ流通し、内側の円筒状多孔性フィルター3の内部空間を通って開口エンドキャップ6の流出口6aから浄化水W′となって流出するようにしたものである。
【0022】
前記外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3は、ポリプロピレン樹脂材(PP樹脂材)、ポリエチレン樹脂材(PE樹脂材)又はポリエチレンテレフタレート樹脂材(PET樹脂材)により多孔性を有する円筒状に形成されている。
【0023】
具体的には、外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3は、ポリプロピレン繊維製、ポリエチレン繊維製又はポリエチレンテレフタレート繊維製の不織布又は織布により多孔性を有する円筒状に形成されている。
又、外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3の通水孔径は、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填された粒状、粉状又は繊維状のろ過材4の流出を防止すると共に、水道水Wを通過せしめて水道水W中の比較的粒径の大きな無機物や有機物等を通過させずに除去できる程度に設定されている。この実施形態に於いては、両円筒状多孔性フィルター2,3の平均孔径は、5μm〜15μm程度に設定されている。
更に、外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3の厚みは、両円筒状多孔性フィルター2,3が円筒形状を保つことができる機械的強度を有するように設定されている。
【0024】
尚、上記の実施形態に於いては、外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3をポリプロピレン繊維製、ポリエチレン繊維製又はポリエチレンテレフタレート繊維製の不織布又は織布により多孔性を有する円筒状に形成するようにしたが、他の実施形態に於いては、外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3をポリプロピレン樹脂製、ポリエチレン樹脂製又はポリエチレンテレフタレート樹脂製の樹脂粒又は樹脂粉末を円筒状に焼き固めて形成するようにしても良い。この場合、両円筒状多孔性フィルター2,3は、多孔性を有し、且つ円筒形状を保てる機械的強度を有していることは勿論である。
【0025】
前記ろ過材4は、活性炭、セラミックス又は金属のうちの何れか一種類又は二種類以上の混合物から成り、粒状、粉状又は繊維状であり、固形状に成形されていない状態で外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填されている。このとき、粒状又は粉状のろ過材4には、外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3の通水孔の径よりも大きいものが使用されており、ろ過材4が両円筒状多孔性フィルター2,3を通して流出しないようになっている。
【0026】
この実施形態に於いては、過材4は、木炭、ヤシ殻炭、石炭等を原料とする粒状の活性炭、オガ屑、硬質の木材チップ、木炭等を原料とする粉状の活性炭又はレーヨン、アクリロニトリル、石炭ピッチ、石油ピッチ等を原料とする繊維状の活性炭のうちの何れか一種類又は二種類以上の活性炭から成り、固形状に成形されていない状態で外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填されている。
【0027】
尚、上記の実施形態に於いては、ろ過材4に活性炭を使用するようにしたが、他の実施形態に於いては、ろ過材4にセラミックスから成るろ過材4又は金属から成るろ過材4を使用するようにしても良い。
即ち、セラミックス製のろ過材4は、界面活性及び浸透力の向上を図る粒状又は粉状の圧電性電子セラミックス、溶解力及び熱伝導性の向上を図る粒状又は粉状の遠赤外線セラミックス、味の改善を図る粒状又は粉状のミネラルセラミックス、溶解力及び浸透力の向上を図る粒状又は粉状の磁気セラミックス、抗菌のための粒状又は粉状の銅イオンセラミックスのうちの何れか一種類又は二種類以上の粒状又は粉状のセラミックスから成り、固形状に成形されていない状態で外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填されている。
一方、金属製のろ過材4は、銅、黄銅、錫、亜鉛、マグネシウム、シリコン、チタン、銀、プラチナ、金、ゲルマニウム、バナジウム等の粒状又は粉状の金属のうちの何れか一種類又は二種類以上の金属から成り、固形状に成形されていない状態で外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填されている。
【0028】
又、上記の実施形態に於いては、活性炭から成るろ過材4、セラミックスから成るろ過材4、金属から成るろ過材4を夫々単独で使用するようにしたが、他の実施形態に於いては、ろ過材4に、活性炭とセラミックスを混合したもの、活性炭と金属を混合したもの、セラミックスと金属を混合したもの、活性炭とセラミックスと金属を混合したものを使用するようにしても良い。
【0029】
そして、前記ろ過材4には、残留塩素を除去する粒状の亜硫酸カルシウムが適宜量混合されている。この亜硫酸カルシウムは、亜硫酸イオンを微量に水道水Wに溶かしながら、残留塩素と反応するのが特徴であり、反応速度が速く、残留塩素を効率的に分解するものである。そのため、水の処理量を多くすることができる。
【0030】
前記密閉エンドキャップ5は、ABS樹脂等の樹脂材により円盤状に形成されており、両円筒状多孔性フィルター2,3の上端部側を密閉状に支持すると共に、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙の上端部開口及び内側の円筒状多孔性フィルター3の上端部開口を夫々密閉状に閉塞してろ過材4及び水の流出を阻止するものである。
【0031】
前記開口エンドキャップ6は、ABS樹脂等の樹脂材により円盤状に形成されており、両円筒状多孔性フィルター2,3の下端部側を密閉状に支持すると共に、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙の下端部開口を密閉状に閉塞してろ過材4及び水の流出を阻止するものである。
又、開口エンドキャップ6の中心部には、内側の円筒状多孔性フィルター3の内部空間に連通する浄化水W′の流出口6aが形成されている。この流出口6aは、開口エンドキャップ6の中心部に筒体6′を挿着固定することにより形成されている。尚、この筒体6′は、開口エンドキャップ6と一体的に形成するようにしても良い。
【0032】
而して、上述した構成の水の浄化用フィルターカートリッジ1は、例えば、特開平9−117758号公報の図1に示す構造の浄化装置、特開2000−059153号公報の図2に示す構造の浄水器、特開2002−066547号公報の図1に示す構造の浄水器、特開2004−330120号公報の図1に示す構造の浄水器、特開2005−211729号公報の図1に示す構造の浄水器、特開2006−026517号公報の図1に示す構造の浄水器、特開2008−104902号公報の図2に示す構造の浄水器、登録実用新案第3108450号公報の図4に示す構造の浄水器等に夫々組み込まれて使用されており、水道水Wを外側の円筒状多孔性フィルター2を通過させた後、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填したろ過材4を半径方向へ流通させ、最後に内側の円筒状多孔性フィルター3を通過させて開口エンドキャップ6の流出口6aから浄化水W′として流出させるようにしている。
その結果、この水の浄化用フィルターカートリッジ1を用いれば、水道水Wが外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3を通過することによって、水道水W中の比較的粒径の大きな無機物や有機物、菌類或いは溶解化学物質が除去され、又、水道水Wが活性炭、セラミックス又は金属のうちの何れか一種類又は二種類以上の混合物から成るろ過材4を半径方向へ通過することによって、活性炭により浄化処理されたり、或いはセラミックスや金属の特性を生かした機能水を作ることができる。
【0033】
例えば、活性炭から成るろ過材4を用いた水の浄化用フィルターカートリッジ1に於いては、活性炭の浄化作用によって、水道水Wに含まれている塩素やトリハロメタン等の有害物質が除去されて水道水Wが浄化処理される。
【0034】
又、セラミックスから成るろ過材4を用いた水の浄化用フィルターカートリッジ1に於いては、使用するセラミックスの種類(遠赤外線セラミックス、圧電性電子セラミックス、ミネラルセラミックス、磁気セラミックス、銅イオンセラミックス)によって、水道水Wが活性化処理されたり、或いは抗菌処理又は防カビ処理されたり、或いは水道水Wの味の改善が行われたりする。
【0035】
更に、金属から成るろ過材4を用いた水の浄化用フィルターカートリッジ1に於いては、使用する金属の種類(銅、黄銅、錫、亜鉛、マグネシウム、シリコン、チタン、銀、プラチナ、金、ゲルマニウム、バナジウム等)によって、水道水Wが抗菌処理又は防カビ処理されたり、或いは水道水Wにミネラル成分が添加されたりして様々な機能水を作ることができる。
特に、銅、亜鉛、マグネシウム、ゲルマニウム、バナジウム等の金属と活性炭の混合物から成るろ過材4を用いた水の浄化用フィルターカートリッジ1に於いては、水中でろ過材4の活性炭の炭素と金属の接触電位差によって、微量の金属イオンと水素ガスが生成され、発生した水素ガスによって、水が水素溶存水となり、水の酸化還元電位が引き下げられて酸化し難い水となる。
【0036】
そして、亜硫酸カルシウムを含んだろ過材4を用いた水の浄化用フィルターカートリッジ1に於いては、亜硫酸カルシウムが亜硫酸イオンを微量に水に溶かしながら、残留塩素と反応し、残留塩素を効率的に分解することになる。そのため、水道水Wの処理量を多くすることができる。
【0037】
このように、前記水の浄化用フィルターカートリッジ1は、活性炭によって、水の浄化処理を行えると共に、セラミックスや金属によって、セラミックスや金属の特性を生かした機能水を作ることができる。
又、この浄化用フィルターカートリッジ1は、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に、固形状に成形していない粒状、粉状又は繊維状のろ過材4を充填し、水道水Wを成形固化していないろ過材4の半径方向へ流通させる構成としているため、ろ過材4が濁度成分によって閉塞し難くなると共に、水がろ過材4内を均一に流れて全てのろ過材4が有効に利用されることなる。その結果、この浄化用フィルターカートリッジ1は、寿命が大幅に延びると共に、交換や洗浄の回数が少なくなって経済性や取扱性に優れたものとなり、然も、成形固化したフィルターを用いたカートリッジに比較してコストの低減を図れる。
更に、この浄化用フィルターカートリッジ1は、水が外側の円筒状多孔性フィルター2、ろ過材4及び内側の円筒状多孔性フィルター3を順次通過するため、水のろ過率が高くなると共に、ろ過材4のみを用いたカートリッジに比較してろ過材4の寿命が長くなる。
そのうえ、この浄化用フィルターカートリッジ1は、ろ過材4が固形状に成形されていないため、様々なろ過材4を目的に合わせて自由に混合して作ることができるうえ、成形固化等の工程を必要としないのでろ過材4を簡単且つ容易に作ることができる。
【0038】
図2は本発明の第2の実施形態に係る水の浄化用フィルターカートリッジ1を示し、当該水の浄化用フィルターカートリッジ1は、図2に示す如く、同心円状に配設された外側の円筒状多孔性フィルター2及び内側の円筒状多孔性フィルター3と、外側の円筒状多孔性フィルター2と内側の円筒状多孔性フィルター3との間隙に充填された粒状、粉状又は繊維状のろ過材4と、両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4の一端部側(上端部側)を密閉状に支持する密閉エンドキャップ5と、両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4の他端部側(下端部側)を密閉状に支持し、中心部に両円筒状多孔性フィルター2,3及びろ過材4を通過した浄化水W′が流出する流出口6aを形成した開口エンドキャップ6と、内側の円筒状多孔性フィルター3の内部空間に開口エンドキャップ6の流出口6aに連通する状態で配設され、筒状のケース内に抗菌材又は水活性材若しくは抗菌材及び水活性材の両方を充填して成る4次フィルター7とから成り、水道水Wが外側の円筒状多孔性フィルター2、ろ過材4及び内側の円筒状多孔性フィルター3を半径方向へ流通した後、4次フィルター7を通って開口エンドキャップ6の流出口6aから浄化水W′となって流出するようにしたものである。
【0039】
前記4次フィルター7は、ABS樹脂等の樹脂材により形成された筒状のケース内に抗菌材又は水活性材若しくは抗菌材及び水活性材の両方を充填し、ケースの両端部開口に金属網製又はパンチングメタル製若しくは樹脂製のスクリーンを着脱自在に取り付けて抗菌材又は水活性材の流出を阻止したものであり、内側の円筒状多孔性フィルター3の内部空間に配設されてその下端部が開口エンドキャップ6の流出口6aを形成する筒体6′に挿着支持されている。
この4次フィルター7の抗菌材としては、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属を含有している無機系抗菌材又は有機系抗菌材や抗菌性のセラミックスが使用されている。
又、4次フィルター7の水活性材としては、トルマリン、石灰岩、花崗岩等の天然鉱石や遠赤外線セラミックス等のセラミックスが使用されている。
【0040】
図2に示す水の浄化用フィルターカートリッジ1は、内側の円筒状多孔性フィルター3の内部空間に4次フィルター7を配設したこと以外は、図1に示す水の浄化用フィルターカートリッジ1と全く同一形状及び同一構造に構成されており、図1に示す水の浄化用フィルターカートリッジ1と同じ部位・部材には同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
この水の浄化用フィルターカートリッジ1も、図1に示す水の浄化用フィルターカートリッジ1と同様の作用効果を奏することができる。然も、この水の浄化用フィルターカートリッジ1は、内側の円筒状多孔性フィルター3の内部空間に4次フィルター7を配設しているため、水道水Wのろ過率がより一層高くなると共に、より優れた機能水を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水の浄化用フィルターカートリッジの概略縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る水の浄化用フィルターカートリッジの概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1は水の浄化用フィルターカートリッジ、2は外側の円筒状多孔性フィルター、3は内側の円筒状多孔性フィルター、4はろ過材、5は密閉エンドキャップ、6は開口エンドキャップ、6aは開口エンドキャップの流出口、7は4次フィルター、Wは水道水、W′は浄化水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心円状に配設された外側の円筒状多孔性フィルター及び内側の円筒状多孔性フィルターと、外側の円筒状多孔性フィルターと内側の円筒状多孔性フィルターとの間隙に充填されたろ過材と、両円筒状多孔性フィルター及びろ過材の一端部側を密閉状に支持する密閉エンドキャップと、両円筒状多孔性フィルター及びろ過材の他端部側を密閉状に支持し、内側の円筒状多孔性フィルターの内部空間に連通する浄化水の流出口を形成した開口エンドキャップとから構成されており、水を外側の円筒状多孔性フィルター、ろ過材及び内側の円筒状多孔性フィルターの半径方向へ流通させて浄化するようにした水の浄化用フィルターカートリッジであって、前記ろ過材が、粒状、粉状又は繊維状であり、固形状に成形されていないことを特徴とする水の浄化用フィルターカートリッジ。
【請求項2】
内側の円筒状多孔性フィルターの内部空間に、筒状のケース内に抗菌材又は水活性材若しくは抗菌材及び水活性材の両方を充填して成る4次フィルターを開口エンドキャップの流出口に連通する状態で配設し、外側の円筒状多孔性フィルター、ろ過材及び内側の円筒状多孔性フィルターを通過した浄化水を4次フィルターを通過させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の水の浄化用フィルターカートリッジ。
【請求項3】
ろ過材が活性炭から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水の浄化用フィルターカートリッジ。
【請求項4】
ろ過材がセラミックスから成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水の浄化用フィルターカートリッジ。
【請求項5】
ろ過材が、銅、黄銅、錫、亜鉛、マグネシウム、シリコン、チタン、銀、プラチナ、金、ゲルマニウム、バナジウム等の金属のうちの何れか一種類又は二種類以上の金属から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水の浄化用フィルターカートリッジ。
【請求項6】
ろ過材が、活性炭、セラミックス又は金属のうちの少なくとも二種類以上の混合物から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水の浄化用フィルターカートリッジ。
【請求項7】
ろ過材に亜硫酸カルシウムが含まれていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の水の浄化用フィルターカートリッジ。
【請求項8】
外側の円筒状多孔性フィルター及び内側の円筒状多孔性フィルターの材質が、ポリプロピレン樹脂材、ポリエチレン樹脂材又はポリエチレンテレフタレート樹脂材であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7に記載の水の浄化用フィルターカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−5485(P2010−5485A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163931(P2008−163931)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(390031668)株式会社日本技術開発センター (19)
【Fターム(参考)】