水の運搬および処理
折り畳み式のフレームワークが膜に取り付けられているシステムまたは容器を使用して水を運搬および/または処理できる。水を受容、運搬および供給するための一定の容積を定める折り畳み式の水容器は、実質的に防水性の材料の膜であって、中心軸を有する実質的に円筒型の膨張した構造および実質的に収縮した構造を有する膜;を含み、この膜は、折り畳み式の水容器により定められる容積内に水が収容される場合に軸に関して回転可能に膨張し、折り畳み式の水容器により定められる容積から水が取り除かれる場合に軸に関して回転可能に収縮するよう構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の運搬および処理に関する。
【背景技術】
【0002】
開発途上国の農村地域で水を運搬するために、ドラム缶、例えば低密度ポリエチレンから作製されるドラム缶を使用できる。そのようなドラム缶は、持ち運びおよび転がすことができ、ドラム缶を移動させるのに役立つハンドルを含んでもよい。
【0003】
テンセグリティ(tensegrity)は、圧力ではなく張力によりその形状を保持する構造と関係する名前である。テンセグリティとは、「張力統合(tensional integrity)」の造語であり、これは、押し下げられることによるのではなく(高層ビルのように)、外側に引き出されることにより(ジオデシックドームのように)安定性を得る構造を称する。標準的な住宅建築は、接合部を結合させておくために圧力を使用する−バルーンまたはセルは、張力の状態により構造を保持する。これがテンセグリティの概念である。
【0004】
テンセグリティ構造の典型例は、伸縮可能要素により互いに連結された硬い要素から成り、硬い要素が重力により互いに引き離される一方で、バンドをピンと張り構造に安定性を与える。「この用語は、張力および圧縮力が構造の中で分配され釣り合うために、機械的にそれ自体を安定化するシステムを称する。」−Wyss Institute for Biologically Inspired EngineeringのリーダーであるDon Ingber。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、清浄水を容易に利用できない11億人の生活を改善するために、開発途上世界で水を運搬、保存および浄化する新しい方法を生み出したいと考える。
【0006】
手動による水の運搬は、数オンスから数ガロンまでの範囲の容積を有する壁から構成される容器に依存する。これらの容器は通常、数種類の標準的な変量、すなわち容積、形状および容器壁の材料特性を介して形状および機能を関連付ける。適切な容器形状変量を選択することは、子供または大人、男性または女性、都市または田舎、先進または発展途上世界のいずれについて、容器が最も良く機能するかに影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願に記載される新規な水運搬容器は、先進および発展途上世界用途について水を運搬および濾過するために、生物細胞の基本的な形状および機能の関係を模倣してもよい。これらの容器は、以下の特性を有してもよい:
1)生物細胞と同様に、容器の容積膨張は、水の取込みまたは充填に対応してもよく、容積収縮は、水の抜出しまたは排出に対応してもよい;
2)生物細胞と同様に、水は容器から流出してもよく、その過程で濾過されてもよい;
3)生物細胞と同様に、容器は、自然の運搬経路を利用する複数の方法で容易に運搬されてもよい;
4)生物細胞と同様に、自然な機能を改良するために、容器は組み立てられても分解されてもよい。
【0008】
あるアプローチにおいて、折り畳み式の水容器は、円筒型の軸部材に取り付けられたリブ;およびリブを覆う防水性の材料の膜を含み、可能であればその材料中にリブを完全に組み入れ、第2の構造または識別可能なリブを追加することなく、膜がその形状および機能を保持する場合にも、リブ化された被覆デザインの機能性を達成する。
【0009】
ある態様において、水の受容、運搬および供給のためのある容積を定める折り畳み式の水容器は、以下を含む:実質的に防水性の材料の膜であって、中心軸を有する実質的に円筒型の膨張構造および実質的な収縮構造を有する膜;ここで、膜は、折り畳み式の水容器により定められる容積内に水が収容されると軸に関して回転可能に膨張し、折り畳み式の水容器により定められる容積から水が除去されると軸に関して回転可能に収縮するよう構成される。
【0010】
実施の形態は、以下の特徴の1つ以上を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施の形態において、円筒型軸部材の少なくとも一端は、可能であれば漏斗形状の、水が入るための穴を有する。円筒型軸部材の他端は、水を容器から流出させ、可能であればその過程中に濾過してもよい。水容器はまた、円筒型軸の一端および円筒型軸の他端に延在するストラップおよび/または円筒型軸中に挿入されるフィルタを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施の形態において、水容器はまた、円筒型軸部材を含む;ここで、膜が円筒型軸部材に取り付けられる。場合によっては、水容器はまた、円筒型軸部材に取り付けられた支持部材を含む。膜が支持部材を覆ってもよく、支持部材が膜の中に組み入れられてもよい。
【0013】
場合によっては、円筒型軸部材の少なくとも一端は、漏斗形状を有する。
【0014】
場合によっては、水容器はまた、円筒型軸部材の一端と円筒型軸部材の他端との間に延在するストラップを含む。
【0015】
場合によっては、水容器はまた、膜により定められる容積に収容される水がフィルタを通過するように配置されたフィルタを含む。フィルタは、円筒型軸部材中に挿入されてもよい。
【0016】
容積に依存して、水容器は、頭上で、背中で、肩で、バッグまたはポケットで、地面を転がして、運ばれてもよい。水容器は、水の充填および注出により膨張および収縮するように、複数材料(例えば布およびリブ)または単一材料、例えば内部に加工されたリブを有するポリマー材料(例えば、ポリマーは、材料の折り畳みを可能にする予め準備された折り目を付けて作製されてもよい)から作製されてもよい。水容器は、様々の運搬の選択肢を可能とするストラップを有してもよく、水容器の少なくとも1つの面は、水容器内部の洗浄を可能とするよう取外しできる。最後に、水容器は、水容器からの出口において水が自然に濾過できるように、ライフストロー(LifeStraw)のような円筒型フィルタの挿入を可能としてもよい。
【0017】
別のアプローチにおいて、折り畳み式の水容器は、生物細胞を模倣したデザイン−機能的デザインおよびその生命機能についての適切な暗喩においてテンセグリティ原理を適用する。新規な水容器は、人類の最も根本的な要求の一つを実現するためにBuckminster Fullerの概念を利用する適格な方法を示す。
【0018】
ある実施の形態において、セルの内部は、ピンと張ったゴムバンドまたはコードによりつなぎあわされた8またはそれ以上の軽量プラスチックストラットから作製される、折り畳み式のテンセグリティ構造である。その外部は、単一の、頂部が締められる開口を有する、柔軟なパンク耐性膜である。セルは、水が膜の1つの開口に流れ込むように水中に入れられてもよく、その後この開口は堅く締められ、単純なプラスチックストッパで密閉されてもよい。セルが部分的にのみ充填される場合、球体から厚いディスクに折り畳まれてもよい。容易に移動できるように、軽量クリップ、例えば金属クリップによりディスクをコンパクトに保持する。この運搬方法は、狭い経路に沿って移動するためにセルを狭く作製できること、およびその柔軟性にも関わらず構造的強度を保持するという重要性を持つ。
【0019】
これらのアプローチのいずれかにおける満杯の容器の機動性は、硬いプラスチックの容器の運搬または転がしに依存する、従来の水運搬技術を越える利点を提供する。空の場合、本発明の水容器は、個人またはトラックによる効率的な輸送のために平らに折り畳むことができる。一部充填される場合、水容器は、異なる形状およびサイズを前提とするので、異なる運搬態様、およびさらに異なる機能性を有してもよい。外部膜は、内部コアから部分的にまたは完全に取り除くことができるので、洗浄および乾燥が容易である。様々の透過性および被覆を有する多くの異なる膜を、フレームの周りに配置してもよい。
【0020】
水容器は、改良された機能性のために、サイズおよび形状において再構成されてもよく、または場合によっては、損傷の際に膜が交換されてもよい。デザインに関する顕著な点の一つは、ユーザによりカスタマイズされ再形成できる程度である−これは世界のより生活レベルが高い部分における顧客にも魅力となり得る態様である。これらの双方向性の態様により、セルが建築的原理を示すだけでなく、創造性が刺激される。
【0021】
これらの水容器に適用されるフィルタ滅菌システムは、今日の実験室での必需品であり、コミュニティ規模のスケールにおいてそのデザインを実現可能および経済的に成立可能にする。生きている細胞と同様に、新規な水容器の複製により新規な適応が誘発され、厳密な実験は異なる文化および風景に亘って有効性を最大化するのみである。再利用のプラスチックおよびタイヤゴムから作製される場合、水容器は生態的におよび環境的に扱いやすく、形を作るために協同する著しい張力は、小さい統合された努力が世界的な健康危機の防止および解決に与え得る強力な影響を示す。
【0022】
新規な水容器のデザインは、危険な地形を越えるエネルギー的および時間的負担から水源および容器の危険な汚染まで、発展途上世界のコミュニティが清浄水を利用するのを妨げる多くの問題に対する包括的な解決を提供する。単純だが用途が広い、新規な水容器は、種子保存から教育のためのレクリエーションまで、代わりの用途を見込むおよび招く。
【0023】
本発明の1つ以上の実施の形態の詳細が、添付の図面および以下の詳細な説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点が、詳細な説明および図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。様々の図面における同様の参照番号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1B】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1C】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1D】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1E】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1F】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図2】折り畳み式の球体を示す図
【図3】図2の球体の可能な用途を示す図
【図4】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図5】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図6】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図7】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図8】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図9】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図10】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図11】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図12】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図13】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図14】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図15】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図16】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図17】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
テンセグリティ水容器
あるデザインは、ポリマー膜108により覆われたテンセグリティ球体100でもよい。テンセグリティ球体100は、柔軟なコード112により連結される硬い部材110(例えばプラスチックロッド)から成り、非対称デザインにより、応力が加わると予め定まった通りに収縮する。球体は、完全に平らにでき、クランピング機構114により所定の位置にロックできるが、これらのクランプ114が取り除かれると元の球体形状に素早く復活できる。構造を覆う多形性膜108は、柔軟であり、取り除きおよび洗浄が簡単で、被覆および濾過のような特有の機能性を与える他の膜と交換可能である。満杯のセル100は、単純に押す、ロープで引く、ボールベアリングに着想を得た枠によるスライディング、または他の運搬方法により移動できる。セルは、主として水を運搬および濾過することを意図されるが、その多目的のデザインは、穀物保存、建築教育または芸術インストレーションに使用できるという重要性を持つ。
【0026】
本発明者は、硬いプラスチックロッド110から成る内部テンセグリティコアおよびコア上に張られ密閉できる外側の柔軟な膜108を有する2パーツ構造の作製を提案する。このように組み立てられると、新規な水容器は、テンセグリティコアを外界にさらすことなく転がしまたは(空の場合には)運搬できる。この場合の不都合は、膜108が地面を転がされる応力に耐えなければばらないことであり、丈夫な材料である必要がある。
【0027】
いくつかの用途について、膜108のみを使用することが適するかもしれない。
【0028】
いくつかの用途について、全体構造を覆うために、単一の、硬い、球体シェルを使用できる。しかしながら、これにより費用が増加し、容易な圧縮性およびわずかにバネの力を感じる感触を含む、新規な水容器の最も魅力的な要素のいくつかが失われるかもしれない。
【0029】
いくつかの実施の形態において、膜108は、テンセグリティ外骨格の内部に配置される。しかしながら、これにより地面との接触点を常に変化させることが必要になるかもしれない。この接触点の変化は、テンセグリティロッド110の端部に負担をかけるであろう。
【0030】
いくつかの実施の形態において、構造は、球体ではなく円筒型でもよく、球体からディスクにではなく円筒からより短い円筒に折り畳まれる。
【0031】
テンセグリティコアは、柔軟なゴムバンド/パラシュートコード112により連結される一連の同一の、軽量の、硬いプラスチックロッド110を含んでもよい。より多くを土地固有の材料から作製できるほど良い。ロッド110は、バンドが通過できるように端部に開口または小穴を有する。
【0032】
いくつかの実施の形態において、コアは、これらの構造の分解、再組立て、および調節が比較的容易になるように構成される。例えば、異なる長さのロッド110またはバンド112が、張力に応じて予め定まった通りに折り畳まれる非対称構造を作成するように挿入されてもよい。
【0033】
いくつかの実施の形態において、複数バンド112ではなく単一の柔軟なバンド112が使用される。これらの実施の形態において、構造は、単一のバンドが一端で引かれると全ての位置で折り畳まれるように構成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施の形態において、球体上の一点は、硬い円筒型の突出部または台座を含み、平らな面上に配置されるとその上でセルは静止しそれにより転がって行かないようにできる。
【0035】
図1A−1Fは、テンセグリティ球体の小縮尺モデルの構造の折り畳み可能性を示す。ピンと張ったゴムバンドが、応力が開放されると元の形状に戻るように引っ張られる。この構造は、より多くのロッドを含みしたがってより球状である本発明のテンセグリティコアの単純化バージョンである。また、生じる構造が水を保持できるように膜をコアの上に張ってもよい。
【0036】
図2および3は、テンセグリティ球体水容器およびそのいくつかの可能な用途を示す。
【0037】
カボチャ形状の水容器
別の実施の形態において、製造、洗浄および使用が容易な折り畳み式の水容器200が、円筒型軸部材212に取り付けられたリブ210により形成できる(図4−12参照)。物体にある種の膜を提供する、布、プラスチック、または実質的に防水性の任意の材料の膜214が、リブ210を覆う。容器200は、円筒型軸部材212の一端を通して水を充填され、注水により同じ端を通して、またはリブ210を折り畳むことにより与えられる圧力により、物体に支持を提供する平らなパネル216に圧力を与え、平らなパネル216により覆われる半月型物体を最終的に形成し、反対端を通して、水を排出してもよい。容器200の円筒型軸部材212により、容器200からの水の濾過を可能とする市販のライフストローのような円筒型フィルタ220の挿入が可能となる。容器200は、満杯の場合には便利に頭に載せて運搬する、またはストラップ218によりホイールとして引くことができ、また満杯でない場合にはストラップ218で肩に載せて運搬する、または半分充填される場合には背中に載せて運搬してもよい。平らなパネル216の1つを取り除くことにより、水容器を洗浄できる。
【0038】
図13−17は、様々の構造における同様の水容器の実施の形態を示す。いくつかの実施の形態において、リブのような支持部材ではなく、膜214に選択的な折り目が形成される(例えば図16および17参照)。
【0039】
膜
テンセグリティまたはカボチャ型(おそらくテンセグリティ要素を含む)のいずれかの実施の形態において、水容器の膜108、214は、水を内部に保持し、激しい条件にもにもかかわらず損傷に耐えることができるように、防水性およびパンク耐性でもよい。膜108、214は、水が内部に注がれそこから排出される単一の穴を有してもよい。満杯のセルを運搬するために、この穴を密閉するための様々な方法が使用できる。この点において、本発明者は、中に入り込んで膜の残りとぴったり重なるある種のプラスチックストッパを想定する。
【0040】
テンセグリティの実施の形態において、開口は締められなくてもよく、テンセグリティコアは、コアを膜の内側から引き出すことができるまで折り畳まれる。同様に、カボチャ型の実施の形態において、平らなパネルの少なくとも一つは、取外し可能に構成されてもよい。これらの特徴により、水容器の容易な洗浄が可能となる(例えば、被覆する膜を手で容易に洗浄できる)。
【0041】
いくつかの実施の形態において、開口に亘って一片の半透膜を伸ばすことにより穴を密閉する。これらの実施の形態は、ユーザが、浄化された水が流出するまでセル上を押すことにより不純な水を濾過できるように構成されてもよい。
【0042】
いくつかの実施の形態において、セル全体が、そのような半透膜で覆われる。これらの実施の形態は、運搬中に多くの水を失い得るので、全ての用途に有効ではない。
【0043】
いくつかの実施の形態において、膜は容易に入手できる土地固有の材料(タイヤからのゴム等)から産生できる。
【0044】
運搬
満杯
水は非常に密度が高いので、運搬は大きな課題である。いくつかの実施の形態において、満杯のテンセグリティ球体またはカボチャ型水容器100、200は、人の素手で水容器を手動で転がすことにより運搬できる。これらの実施の形態において、快適に手の届く十分な高さの満杯の球体またはカボチャ型水容器100、200について、大容積(およびしたがって質量)を有しなければならないために、それを押すために実質的な力を必要とするであろう。いくつかの実施の形態は、ヒッポローラ(Hippo Roller)付きのある種のハンドル(平らな地面で水を運搬するのに有用なある種のハンドル付きの樽)を含む。
【0045】
別のアプローチにおいて、2つの別個のロープが、例えばテンセグリティ球体に球体上で約180度離れて結ばれ、2人が一緒に引っ張ることができる。例えば、1人が一方のひもを引っ張って球体が前方へ進むモーメントを増加させ、もう1人はひもが球体の頂部に位置を得るまで待つ。したがって、円周の頂部で(または近くで)のみ張力が生じ、回転の中心におけるよりも強いてこの作用が与えられる。
【0046】
同様に、満杯のカボチャ型水容器200は、ストラップ218によりホイールとして引くことができる。そのようなストラップ218は、満杯でない場合にはユーザの肩に載せて、またはカボチャ型水容器が半分充填される場合にはバックパック構造で、カボチャ型水容器を運搬するために使用できる。
【0047】
テンセグリティ球体ベース水容器のいくつかの実施の形態は、ライフセル(life cell)のためのある種のゆるい枠を含み、ボールベアリングのように、枠が押されるとボールが転がる。球体と枠との間の摩擦が懸念になるであろう。
【0048】
カボチャ型水容器のいくつかの実施の形態は、満杯の場合に頭に載せて運搬できる。
【0049】
いくつかの用途において、ユーザは、必要であれば、丘の中腹で杭を張り、大まかな滑車システムを使用してライフセルを険しい山腹に上げる助けをしてもよい。
【0050】
いくつかの用途において、ライフセルは、部分的にのみ圧縮される。これにより、ホイールのように円周に沿って転がすことができる、またはスケートボート上のピザのようにホイールの付いたプラットフォーム上に配置できる、厚いディスクを作成できる。
【0051】
空
いくつかの実施の形態は、バネ開口から折り畳まれたライフセル100を保持するための1つのクランプ114(または2つ、または4つ)を含む。これにより、トラックまたは電車でまたは単に地面で容易に保管することが可能となり、個人がこの構造を運搬または転がすことが容易になるであろう。
【0052】
カボチャ型水容器200は、そのようなクランプを含んでもよいが、開口構造に向かって本質的に偏向されることはない。空の場合、カボチャ型水容器200は、折り畳まれ、ハンドバッグのようにユーザの肩に載せて運搬できる(図5参照)。
【0053】
別の実施の形態
本発明の多くの実施の形態が記載されている。それでもなお、本発明の原理および範囲を逸脱せずに、様々の変更が行われ得ることが理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の運搬および処理に関する。
【背景技術】
【0002】
開発途上国の農村地域で水を運搬するために、ドラム缶、例えば低密度ポリエチレンから作製されるドラム缶を使用できる。そのようなドラム缶は、持ち運びおよび転がすことができ、ドラム缶を移動させるのに役立つハンドルを含んでもよい。
【0003】
テンセグリティ(tensegrity)は、圧力ではなく張力によりその形状を保持する構造と関係する名前である。テンセグリティとは、「張力統合(tensional integrity)」の造語であり、これは、押し下げられることによるのではなく(高層ビルのように)、外側に引き出されることにより(ジオデシックドームのように)安定性を得る構造を称する。標準的な住宅建築は、接合部を結合させておくために圧力を使用する−バルーンまたはセルは、張力の状態により構造を保持する。これがテンセグリティの概念である。
【0004】
テンセグリティ構造の典型例は、伸縮可能要素により互いに連結された硬い要素から成り、硬い要素が重力により互いに引き離される一方で、バンドをピンと張り構造に安定性を与える。「この用語は、張力および圧縮力が構造の中で分配され釣り合うために、機械的にそれ自体を安定化するシステムを称する。」−Wyss Institute for Biologically Inspired EngineeringのリーダーであるDon Ingber。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、清浄水を容易に利用できない11億人の生活を改善するために、開発途上世界で水を運搬、保存および浄化する新しい方法を生み出したいと考える。
【0006】
手動による水の運搬は、数オンスから数ガロンまでの範囲の容積を有する壁から構成される容器に依存する。これらの容器は通常、数種類の標準的な変量、すなわち容積、形状および容器壁の材料特性を介して形状および機能を関連付ける。適切な容器形状変量を選択することは、子供または大人、男性または女性、都市または田舎、先進または発展途上世界のいずれについて、容器が最も良く機能するかに影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願に記載される新規な水運搬容器は、先進および発展途上世界用途について水を運搬および濾過するために、生物細胞の基本的な形状および機能の関係を模倣してもよい。これらの容器は、以下の特性を有してもよい:
1)生物細胞と同様に、容器の容積膨張は、水の取込みまたは充填に対応してもよく、容積収縮は、水の抜出しまたは排出に対応してもよい;
2)生物細胞と同様に、水は容器から流出してもよく、その過程で濾過されてもよい;
3)生物細胞と同様に、容器は、自然の運搬経路を利用する複数の方法で容易に運搬されてもよい;
4)生物細胞と同様に、自然な機能を改良するために、容器は組み立てられても分解されてもよい。
【0008】
あるアプローチにおいて、折り畳み式の水容器は、円筒型の軸部材に取り付けられたリブ;およびリブを覆う防水性の材料の膜を含み、可能であればその材料中にリブを完全に組み入れ、第2の構造または識別可能なリブを追加することなく、膜がその形状および機能を保持する場合にも、リブ化された被覆デザインの機能性を達成する。
【0009】
ある態様において、水の受容、運搬および供給のためのある容積を定める折り畳み式の水容器は、以下を含む:実質的に防水性の材料の膜であって、中心軸を有する実質的に円筒型の膨張構造および実質的な収縮構造を有する膜;ここで、膜は、折り畳み式の水容器により定められる容積内に水が収容されると軸に関して回転可能に膨張し、折り畳み式の水容器により定められる容積から水が除去されると軸に関して回転可能に収縮するよう構成される。
【0010】
実施の形態は、以下の特徴の1つ以上を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施の形態において、円筒型軸部材の少なくとも一端は、可能であれば漏斗形状の、水が入るための穴を有する。円筒型軸部材の他端は、水を容器から流出させ、可能であればその過程中に濾過してもよい。水容器はまた、円筒型軸の一端および円筒型軸の他端に延在するストラップおよび/または円筒型軸中に挿入されるフィルタを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施の形態において、水容器はまた、円筒型軸部材を含む;ここで、膜が円筒型軸部材に取り付けられる。場合によっては、水容器はまた、円筒型軸部材に取り付けられた支持部材を含む。膜が支持部材を覆ってもよく、支持部材が膜の中に組み入れられてもよい。
【0013】
場合によっては、円筒型軸部材の少なくとも一端は、漏斗形状を有する。
【0014】
場合によっては、水容器はまた、円筒型軸部材の一端と円筒型軸部材の他端との間に延在するストラップを含む。
【0015】
場合によっては、水容器はまた、膜により定められる容積に収容される水がフィルタを通過するように配置されたフィルタを含む。フィルタは、円筒型軸部材中に挿入されてもよい。
【0016】
容積に依存して、水容器は、頭上で、背中で、肩で、バッグまたはポケットで、地面を転がして、運ばれてもよい。水容器は、水の充填および注出により膨張および収縮するように、複数材料(例えば布およびリブ)または単一材料、例えば内部に加工されたリブを有するポリマー材料(例えば、ポリマーは、材料の折り畳みを可能にする予め準備された折り目を付けて作製されてもよい)から作製されてもよい。水容器は、様々の運搬の選択肢を可能とするストラップを有してもよく、水容器の少なくとも1つの面は、水容器内部の洗浄を可能とするよう取外しできる。最後に、水容器は、水容器からの出口において水が自然に濾過できるように、ライフストロー(LifeStraw)のような円筒型フィルタの挿入を可能としてもよい。
【0017】
別のアプローチにおいて、折り畳み式の水容器は、生物細胞を模倣したデザイン−機能的デザインおよびその生命機能についての適切な暗喩においてテンセグリティ原理を適用する。新規な水容器は、人類の最も根本的な要求の一つを実現するためにBuckminster Fullerの概念を利用する適格な方法を示す。
【0018】
ある実施の形態において、セルの内部は、ピンと張ったゴムバンドまたはコードによりつなぎあわされた8またはそれ以上の軽量プラスチックストラットから作製される、折り畳み式のテンセグリティ構造である。その外部は、単一の、頂部が締められる開口を有する、柔軟なパンク耐性膜である。セルは、水が膜の1つの開口に流れ込むように水中に入れられてもよく、その後この開口は堅く締められ、単純なプラスチックストッパで密閉されてもよい。セルが部分的にのみ充填される場合、球体から厚いディスクに折り畳まれてもよい。容易に移動できるように、軽量クリップ、例えば金属クリップによりディスクをコンパクトに保持する。この運搬方法は、狭い経路に沿って移動するためにセルを狭く作製できること、およびその柔軟性にも関わらず構造的強度を保持するという重要性を持つ。
【0019】
これらのアプローチのいずれかにおける満杯の容器の機動性は、硬いプラスチックの容器の運搬または転がしに依存する、従来の水運搬技術を越える利点を提供する。空の場合、本発明の水容器は、個人またはトラックによる効率的な輸送のために平らに折り畳むことができる。一部充填される場合、水容器は、異なる形状およびサイズを前提とするので、異なる運搬態様、およびさらに異なる機能性を有してもよい。外部膜は、内部コアから部分的にまたは完全に取り除くことができるので、洗浄および乾燥が容易である。様々の透過性および被覆を有する多くの異なる膜を、フレームの周りに配置してもよい。
【0020】
水容器は、改良された機能性のために、サイズおよび形状において再構成されてもよく、または場合によっては、損傷の際に膜が交換されてもよい。デザインに関する顕著な点の一つは、ユーザによりカスタマイズされ再形成できる程度である−これは世界のより生活レベルが高い部分における顧客にも魅力となり得る態様である。これらの双方向性の態様により、セルが建築的原理を示すだけでなく、創造性が刺激される。
【0021】
これらの水容器に適用されるフィルタ滅菌システムは、今日の実験室での必需品であり、コミュニティ規模のスケールにおいてそのデザインを実現可能および経済的に成立可能にする。生きている細胞と同様に、新規な水容器の複製により新規な適応が誘発され、厳密な実験は異なる文化および風景に亘って有効性を最大化するのみである。再利用のプラスチックおよびタイヤゴムから作製される場合、水容器は生態的におよび環境的に扱いやすく、形を作るために協同する著しい張力は、小さい統合された努力が世界的な健康危機の防止および解決に与え得る強力な影響を示す。
【0022】
新規な水容器のデザインは、危険な地形を越えるエネルギー的および時間的負担から水源および容器の危険な汚染まで、発展途上世界のコミュニティが清浄水を利用するのを妨げる多くの問題に対する包括的な解決を提供する。単純だが用途が広い、新規な水容器は、種子保存から教育のためのレクリエーションまで、代わりの用途を見込むおよび招く。
【0023】
本発明の1つ以上の実施の形態の詳細が、添付の図面および以下の詳細な説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点が、詳細な説明および図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。様々の図面における同様の参照番号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1B】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1C】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1D】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1E】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図1F】テンセグリティ球体の小縮尺モデルを示す図
【図2】折り畳み式の球体を示す図
【図3】図2の球体の可能な用途を示す図
【図4】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図5】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図6】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図7】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図8】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図9】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図10】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図11】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図12】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図13】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図14】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図15】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図16】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【図17】様々の形状の折り畳み式の水容器の実施の形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
テンセグリティ水容器
あるデザインは、ポリマー膜108により覆われたテンセグリティ球体100でもよい。テンセグリティ球体100は、柔軟なコード112により連結される硬い部材110(例えばプラスチックロッド)から成り、非対称デザインにより、応力が加わると予め定まった通りに収縮する。球体は、完全に平らにでき、クランピング機構114により所定の位置にロックできるが、これらのクランプ114が取り除かれると元の球体形状に素早く復活できる。構造を覆う多形性膜108は、柔軟であり、取り除きおよび洗浄が簡単で、被覆および濾過のような特有の機能性を与える他の膜と交換可能である。満杯のセル100は、単純に押す、ロープで引く、ボールベアリングに着想を得た枠によるスライディング、または他の運搬方法により移動できる。セルは、主として水を運搬および濾過することを意図されるが、その多目的のデザインは、穀物保存、建築教育または芸術インストレーションに使用できるという重要性を持つ。
【0026】
本発明者は、硬いプラスチックロッド110から成る内部テンセグリティコアおよびコア上に張られ密閉できる外側の柔軟な膜108を有する2パーツ構造の作製を提案する。このように組み立てられると、新規な水容器は、テンセグリティコアを外界にさらすことなく転がしまたは(空の場合には)運搬できる。この場合の不都合は、膜108が地面を転がされる応力に耐えなければばらないことであり、丈夫な材料である必要がある。
【0027】
いくつかの用途について、膜108のみを使用することが適するかもしれない。
【0028】
いくつかの用途について、全体構造を覆うために、単一の、硬い、球体シェルを使用できる。しかしながら、これにより費用が増加し、容易な圧縮性およびわずかにバネの力を感じる感触を含む、新規な水容器の最も魅力的な要素のいくつかが失われるかもしれない。
【0029】
いくつかの実施の形態において、膜108は、テンセグリティ外骨格の内部に配置される。しかしながら、これにより地面との接触点を常に変化させることが必要になるかもしれない。この接触点の変化は、テンセグリティロッド110の端部に負担をかけるであろう。
【0030】
いくつかの実施の形態において、構造は、球体ではなく円筒型でもよく、球体からディスクにではなく円筒からより短い円筒に折り畳まれる。
【0031】
テンセグリティコアは、柔軟なゴムバンド/パラシュートコード112により連結される一連の同一の、軽量の、硬いプラスチックロッド110を含んでもよい。より多くを土地固有の材料から作製できるほど良い。ロッド110は、バンドが通過できるように端部に開口または小穴を有する。
【0032】
いくつかの実施の形態において、コアは、これらの構造の分解、再組立て、および調節が比較的容易になるように構成される。例えば、異なる長さのロッド110またはバンド112が、張力に応じて予め定まった通りに折り畳まれる非対称構造を作成するように挿入されてもよい。
【0033】
いくつかの実施の形態において、複数バンド112ではなく単一の柔軟なバンド112が使用される。これらの実施の形態において、構造は、単一のバンドが一端で引かれると全ての位置で折り畳まれるように構成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施の形態において、球体上の一点は、硬い円筒型の突出部または台座を含み、平らな面上に配置されるとその上でセルは静止しそれにより転がって行かないようにできる。
【0035】
図1A−1Fは、テンセグリティ球体の小縮尺モデルの構造の折り畳み可能性を示す。ピンと張ったゴムバンドが、応力が開放されると元の形状に戻るように引っ張られる。この構造は、より多くのロッドを含みしたがってより球状である本発明のテンセグリティコアの単純化バージョンである。また、生じる構造が水を保持できるように膜をコアの上に張ってもよい。
【0036】
図2および3は、テンセグリティ球体水容器およびそのいくつかの可能な用途を示す。
【0037】
カボチャ形状の水容器
別の実施の形態において、製造、洗浄および使用が容易な折り畳み式の水容器200が、円筒型軸部材212に取り付けられたリブ210により形成できる(図4−12参照)。物体にある種の膜を提供する、布、プラスチック、または実質的に防水性の任意の材料の膜214が、リブ210を覆う。容器200は、円筒型軸部材212の一端を通して水を充填され、注水により同じ端を通して、またはリブ210を折り畳むことにより与えられる圧力により、物体に支持を提供する平らなパネル216に圧力を与え、平らなパネル216により覆われる半月型物体を最終的に形成し、反対端を通して、水を排出してもよい。容器200の円筒型軸部材212により、容器200からの水の濾過を可能とする市販のライフストローのような円筒型フィルタ220の挿入が可能となる。容器200は、満杯の場合には便利に頭に載せて運搬する、またはストラップ218によりホイールとして引くことができ、また満杯でない場合にはストラップ218で肩に載せて運搬する、または半分充填される場合には背中に載せて運搬してもよい。平らなパネル216の1つを取り除くことにより、水容器を洗浄できる。
【0038】
図13−17は、様々の構造における同様の水容器の実施の形態を示す。いくつかの実施の形態において、リブのような支持部材ではなく、膜214に選択的な折り目が形成される(例えば図16および17参照)。
【0039】
膜
テンセグリティまたはカボチャ型(おそらくテンセグリティ要素を含む)のいずれかの実施の形態において、水容器の膜108、214は、水を内部に保持し、激しい条件にもにもかかわらず損傷に耐えることができるように、防水性およびパンク耐性でもよい。膜108、214は、水が内部に注がれそこから排出される単一の穴を有してもよい。満杯のセルを運搬するために、この穴を密閉するための様々な方法が使用できる。この点において、本発明者は、中に入り込んで膜の残りとぴったり重なるある種のプラスチックストッパを想定する。
【0040】
テンセグリティの実施の形態において、開口は締められなくてもよく、テンセグリティコアは、コアを膜の内側から引き出すことができるまで折り畳まれる。同様に、カボチャ型の実施の形態において、平らなパネルの少なくとも一つは、取外し可能に構成されてもよい。これらの特徴により、水容器の容易な洗浄が可能となる(例えば、被覆する膜を手で容易に洗浄できる)。
【0041】
いくつかの実施の形態において、開口に亘って一片の半透膜を伸ばすことにより穴を密閉する。これらの実施の形態は、ユーザが、浄化された水が流出するまでセル上を押すことにより不純な水を濾過できるように構成されてもよい。
【0042】
いくつかの実施の形態において、セル全体が、そのような半透膜で覆われる。これらの実施の形態は、運搬中に多くの水を失い得るので、全ての用途に有効ではない。
【0043】
いくつかの実施の形態において、膜は容易に入手できる土地固有の材料(タイヤからのゴム等)から産生できる。
【0044】
運搬
満杯
水は非常に密度が高いので、運搬は大きな課題である。いくつかの実施の形態において、満杯のテンセグリティ球体またはカボチャ型水容器100、200は、人の素手で水容器を手動で転がすことにより運搬できる。これらの実施の形態において、快適に手の届く十分な高さの満杯の球体またはカボチャ型水容器100、200について、大容積(およびしたがって質量)を有しなければならないために、それを押すために実質的な力を必要とするであろう。いくつかの実施の形態は、ヒッポローラ(Hippo Roller)付きのある種のハンドル(平らな地面で水を運搬するのに有用なある種のハンドル付きの樽)を含む。
【0045】
別のアプローチにおいて、2つの別個のロープが、例えばテンセグリティ球体に球体上で約180度離れて結ばれ、2人が一緒に引っ張ることができる。例えば、1人が一方のひもを引っ張って球体が前方へ進むモーメントを増加させ、もう1人はひもが球体の頂部に位置を得るまで待つ。したがって、円周の頂部で(または近くで)のみ張力が生じ、回転の中心におけるよりも強いてこの作用が与えられる。
【0046】
同様に、満杯のカボチャ型水容器200は、ストラップ218によりホイールとして引くことができる。そのようなストラップ218は、満杯でない場合にはユーザの肩に載せて、またはカボチャ型水容器が半分充填される場合にはバックパック構造で、カボチャ型水容器を運搬するために使用できる。
【0047】
テンセグリティ球体ベース水容器のいくつかの実施の形態は、ライフセル(life cell)のためのある種のゆるい枠を含み、ボールベアリングのように、枠が押されるとボールが転がる。球体と枠との間の摩擦が懸念になるであろう。
【0048】
カボチャ型水容器のいくつかの実施の形態は、満杯の場合に頭に載せて運搬できる。
【0049】
いくつかの用途において、ユーザは、必要であれば、丘の中腹で杭を張り、大まかな滑車システムを使用してライフセルを険しい山腹に上げる助けをしてもよい。
【0050】
いくつかの用途において、ライフセルは、部分的にのみ圧縮される。これにより、ホイールのように円周に沿って転がすことができる、またはスケートボート上のピザのようにホイールの付いたプラットフォーム上に配置できる、厚いディスクを作成できる。
【0051】
空
いくつかの実施の形態は、バネ開口から折り畳まれたライフセル100を保持するための1つのクランプ114(または2つ、または4つ)を含む。これにより、トラックまたは電車でまたは単に地面で容易に保管することが可能となり、個人がこの構造を運搬または転がすことが容易になるであろう。
【0052】
カボチャ型水容器200は、そのようなクランプを含んでもよいが、開口構造に向かって本質的に偏向されることはない。空の場合、カボチャ型水容器200は、折り畳まれ、ハンドバッグのようにユーザの肩に載せて運搬できる(図5参照)。
【0053】
別の実施の形態
本発明の多くの実施の形態が記載されている。それでもなお、本発明の原理および範囲を逸脱せずに、様々の変更が行われ得ることが理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドの折り畳み式フレームワーク;および
前記ロッドの周りに配置された外側の柔軟な膜であって、容積を囲むために密閉可能な膜、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記フレームワークが、該フレームワークを球体構造に偏向させる柔軟なコネクタを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記フレームワークが、該フレームワークの反対側に与えられる力により、実質的にディスク形状の構造に折り畳み可能であることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記フレームワークを、前記実質的にディスク形状の構造に保持するよう動作可能なクランプをさらに含むことを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記柔軟な膜に取り付けられる少なくとも1つのストラップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記適用される膜中の開口に挿入可能なフィルタをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記柔軟な膜が、濾過膜であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
折り畳み式の水容器であって、
円筒型軸部材に取り付けられたリブ;および
実質的に防水性の材料の膜であって、前記リブを覆う、または該リブを内部に組み入れる膜、
を含むことを特徴とする水容器。
【請求項9】
前記円筒型軸部材の少なくとも一端が、漏斗構造を有することを特徴とする請求項8記載の水容器。
【請求項10】
前記円筒型軸部材の一端と該円筒型軸部材の他端との間に延在するストラップをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の水容器。
【請求項11】
前記円筒型軸部材中に挿入されるフィルタをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の水容器。
【請求項12】
水を受容、運搬および供給するための容積を定める折り畳み式の水容器であって、
実質的に防水性の材料の膜であって、中心軸を有する実質的に円筒型の膨張した構造および実質的に収縮した構造を有する膜、
を含み、
前記膜が、前記折り畳み式の水容器により定められる容積内に水が収容される場合に前記軸に関して回転可能に膨張し、前記折り畳み式の水容器により定められる容積から水が取り除かれる場合に前記軸に関して収縮するように構成される、
ことを特徴とする折り畳み式の水容器。
【請求項13】
円筒型軸部材をさらに含み、
前記膜が前記円筒型軸部材に取り付けられることを特徴とする請求項12記載の水容器。
【請求項14】
前記円筒型軸部材に取り付けられた支持部材をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項15】
前記膜が前記支持部材を覆うことを特徴とする請求項14記載の水容器。
【請求項16】
前記支持部材が前記膜内に組み入れられることを特徴とする請求項14記載の水容器。
【請求項17】
前記円筒型軸部材の少なくとも一端が、漏斗構造を有することを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項18】
前記円筒型軸部材の一端と該円筒型軸部材の他端との間に延在するストラップをさらに含むことを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項19】
前記膜により定められる容積内に収容される水が通過するように配置されるフィルタをさらに含むことを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項20】
前記フィルタが前記円筒型軸部材中に挿入されることを特徴とする請求項19記載の水容器。
【請求項1】
ロッドの折り畳み式フレームワーク;および
前記ロッドの周りに配置された外側の柔軟な膜であって、容積を囲むために密閉可能な膜、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記フレームワークが、該フレームワークを球体構造に偏向させる柔軟なコネクタを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記フレームワークが、該フレームワークの反対側に与えられる力により、実質的にディスク形状の構造に折り畳み可能であることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記フレームワークを、前記実質的にディスク形状の構造に保持するよう動作可能なクランプをさらに含むことを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記柔軟な膜に取り付けられる少なくとも1つのストラップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記適用される膜中の開口に挿入可能なフィルタをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記柔軟な膜が、濾過膜であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
折り畳み式の水容器であって、
円筒型軸部材に取り付けられたリブ;および
実質的に防水性の材料の膜であって、前記リブを覆う、または該リブを内部に組み入れる膜、
を含むことを特徴とする水容器。
【請求項9】
前記円筒型軸部材の少なくとも一端が、漏斗構造を有することを特徴とする請求項8記載の水容器。
【請求項10】
前記円筒型軸部材の一端と該円筒型軸部材の他端との間に延在するストラップをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の水容器。
【請求項11】
前記円筒型軸部材中に挿入されるフィルタをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の水容器。
【請求項12】
水を受容、運搬および供給するための容積を定める折り畳み式の水容器であって、
実質的に防水性の材料の膜であって、中心軸を有する実質的に円筒型の膨張した構造および実質的に収縮した構造を有する膜、
を含み、
前記膜が、前記折り畳み式の水容器により定められる容積内に水が収容される場合に前記軸に関して回転可能に膨張し、前記折り畳み式の水容器により定められる容積から水が取り除かれる場合に前記軸に関して収縮するように構成される、
ことを特徴とする折り畳み式の水容器。
【請求項13】
円筒型軸部材をさらに含み、
前記膜が前記円筒型軸部材に取り付けられることを特徴とする請求項12記載の水容器。
【請求項14】
前記円筒型軸部材に取り付けられた支持部材をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項15】
前記膜が前記支持部材を覆うことを特徴とする請求項14記載の水容器。
【請求項16】
前記支持部材が前記膜内に組み入れられることを特徴とする請求項14記載の水容器。
【請求項17】
前記円筒型軸部材の少なくとも一端が、漏斗構造を有することを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項18】
前記円筒型軸部材の一端と該円筒型軸部材の他端との間に延在するストラップをさらに含むことを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項19】
前記膜により定められる容積内に収容される水が通過するように配置されるフィルタをさらに含むことを特徴とする請求項13記載の水容器。
【請求項20】
前記フィルタが前記円筒型軸部材中に挿入されることを特徴とする請求項19記載の水容器。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−508147(P2012−508147A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535719(P2011−535719)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063709
【国際公開番号】WO2010/054300
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(511112412)
【氏名又は名称原語表記】LABOGROUP S.A.S.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/063709
【国際公開番号】WO2010/054300
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(511112412)
【氏名又は名称原語表記】LABOGROUP S.A.S.
【Fターム(参考)】
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