説明

水の電磁場処理方法および電磁場処理装置

【課題】 簡便で高い経済性および汎用性を有する水の電磁場処理方法および電磁場処理装置を提供する。
【解決手段】 例えば水流路の通水管1の外側にコイル2が設けられ被処理水3が流され、交流電源4から特定の周波数あるいは特定のピーク電流を有する特定の交流電流がコイル2に供給される。ここで、特定の交流電流の周波数としては、複数の共振周波数を有する共振周波数群から1つの共振周波数を選択する。また、上記特定のピーク電流により上記流路に共振磁界を誘起する。このような特定の交流電流により誘起した振動電磁場を被処理水3に付与し電磁場処理することにより、簡便にしかも高効率に活性化される活性処理水5を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能水を効率的に生成する水の電磁場処理方法および電磁場処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水の機能を高めるためにその物理化学的処理の方法が種々に検討されている。例えば、水溶液に電解処理を施して、殺菌、洗浄機能のある酸性水を生成したり、水素を豊富に含む電解還元水を生成することは従来からよく知られている。また、水に電磁場処理を施して、例えば水のクラスターを小さく分割し水の性質を変えたり(例えば、特許文献1参照)、浄化機能の高い水にして、生活排水、工業排水等の液体が流れる配管内あるいはトイレ設備、ボイラー設備、排水処理設備等にスケールなどを付着させない技術が実用に供されている(例えば、特許文献2参照)。このような通常の水に物理化学的処理を施し活性化させる水を機能水と呼称する。
【0003】
上記機能水を生成するための電磁場処理方法では、例えば特許文献1にあっては、パルス状電圧による電場、あるいはその電場および磁場が被処理水に付与される。また、特許文献2にあっては、20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流が、例えば配管の外側に巻きつけたコイルに流される。ここで、この周波数変調制御によって生じる電子エネルギーが、配管内を流れる流体に対して、流体分子及び流体中のイオンを媒体として電解エネルギーを与える。そして、スケールの表面及び配管内壁が強く負に帯電しスケールと配管内壁が反発し合い、スケールが小結晶化すると共にその結合が不安定化し、スケールが配管内壁から容易に離脱するとしている。あるいは、上記生じた電子によって、最終的に、鉄製配管の内壁で生じる赤錆は安定した黒錆に変わりその腐食反応の進行が防止されるとしている。
【特許文献1】特開平7−68266号公報
【特許文献2】特開2000−212782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような電磁場処理方法においては、被処理水である水溶液の種類によってその効果が充分に生じない場合があった。また、電磁場処理によるスケール付着の防止/除去あるいは防錆がほとんどできない場合があった。そこで、例えば特許文献2では被処理水に対する電磁場処理を行う前に、予め机上試験を通してその変調電場処理の効果を試験する必要があった。このために、上記電磁場処理の方法は極めて煩雑で操作性の低いものになり、しかも被処理水の種類により上記変調電場処理の条件を変える必要があることから、その汎用性が乏しいものになっていた。
【0005】
上記のような問題は、水の電磁場処理による機能水の生成機構に関して物理化学的な解明がほとんどなされていないことに起因して生じている。これまで、水の電磁場処理による機能水の生成方法についてはその他にも多くの提案がなされているが、機能水の生成機構の実験科学的な分析が難しく、電磁場処理方式そのものの信頼性を疑問視させる提案も少なからず存在していた。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、実験科学的な根拠に基づき、簡便で高い経済性および汎用性を有して、高効率に機能水を生成する水の電磁場処理方法および電磁場処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、水に対して振動する電磁場処理を施し活性化した活性処理水の溶解能力について詳細な実験を行った。そして、コイルに流す交流電流等の電磁界誘起電流により誘起した振動電磁場の処理による水の活性化おいて、電磁界誘起電流の周波数に共振周波数が存在することを見出し、その共振周波数の値について実測した。また、水の活性化における上記共振周波数の特異性について実験的新事実を得た。本発明は、これ等の新知見に基づいてなされている。
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明にかかる水の電磁場処理方法は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から1つの共振周波数を選択し、前記選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流により前記コイルに振動電磁場を誘起する、という構成になっている。
【0009】
そして、第2の発明にかかる水の電磁場処理方法は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から1つの共振周波数を選択し、前記選択した共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流により、前記コイルに振動電磁場を誘起する、という構成になっている。
【0010】
そして、第3の発明にかかる水の電磁場処理方法は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群および前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中からそれぞれ1つの共振周波数を選択し、前記第1の共振周波数群から選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流と、前記第2の共振周波数群から選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流とにより前記コイルに振動電磁場を誘起する、という構成になっている。
【0011】
そして、第4の発明にかかる水の電磁場処理方法は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群および前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中からそれぞれ1つの共振周波数を選択し、前記第1の共振周波数群から選択した共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流と、前記第2の共振周波数群から選択した共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流とにより、前記コイルに振動電磁場を誘起する、という構成になっている。
【0012】
上記発明において、前記第1の共振周波数群は、151.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−2、222.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−1、345.0Hzもしくはその近傍の共振周波数A、484Hzもしくはその近傍の共振周波数A、954Hzもしくはその近傍の共振周波数A、3.5kHzもしくはその近傍の共振周波数A、7.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、20.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、37.3kHzもしくはその近傍の共振周波数A、80.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Aを含み、前記第2の共振周波数群は、205.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−2、301.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−1、466.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B、655Hzもしくはその近傍の共振周波数B、1.29kHzもしくはその近傍の共振周波数B、4.73kHzもしくはその近傍の共振周波数B、9.47kHzもしくはその近傍の共振周波数B、27.0kHzもしくはその近傍の共振周波数B、50.4kHzもしくはその近傍の共振周波数B、108.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Bを含む。
【0013】
上記発明において、好適な一態様では、前記共振周波数の電磁界誘起電流のピーク電流を特定の電流値にすることにより、前記共振周波数の電磁界誘起電流により前記コイルに誘起される振動磁界のピーク強度が、特定の磁界強度になる共振磁界の強度、あるいは前記共振磁界の共振特性における半値幅内にある磁界強度になるようにする。ここで、前記共振磁界の強度は、基底モードの磁界強度の正整数倍になる。
【0014】
上記好適な一態様において、前記共振周波数A(i=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記iの番号順にそれぞれ、5.3mGもしくはその近傍、7.4mGもしくはその近傍、12.3mGもしくはその近傍、17.3mGもしくはその近傍、31.9mGもしくはその近傍、130.6mGもしくはその近傍、323.0mGもしくはその近傍、1123.5mGもしくはその近傍、2556.0mGもしくはその近傍、6039.0mGもしくはその近傍であり、前記共振周波数B(j=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記jの番号順にそれぞれ、7.1mGもしくはその近傍、10.4mGもしくはその近傍、16.3mGもしくはその近傍、23.5mGもしくはその近傍、47.1mGもしくはその近傍、188.2mGもしくはその近傍、463.5mGもしくはその近傍、1601.0mGもしくはその近傍、3342.5mGもしくはその近傍、7302.9mGもしくはその近傍である。
【0015】
また、上記発明において、好適な一態様では、前記コイルに対して地磁気の影響を除去する。ここで、前記地磁気の方向に直交する面内に前記コイルの軸心を配置する。あるいは、前記コイルを磁気遮蔽体により被包する。あるいは、前記地磁気の前記コイルの軸心方向の磁界強度を検出し、前記磁界強度が略ゼロになるように前記コイルに静磁場を付与する。
【0016】
更に、上記発明において、好適な一態様では、前記水に対して炭酸ガスの脱気処理を施した後に前記水を電磁場処理する。
【0017】
更に、上記発明において、好適な一態様では、前記コイルを巻きつけた領域の通水路に絶縁体を配置し前記水の流れを変えて前記水を電磁場処理する。
【0018】
あるいは、第5の発明にかかる水の電磁場処理装置は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、コイルと、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流を前記コイルに供給する電源と、を有する構成になっている。
【0019】
そして、第6の発明にかかる水の電磁場処理装置は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、コイルと、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から選択した1つの共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流を、前記コイルに供給する電源と、を有する構成になっている。
【0020】
そして、第7の発明にかかる水の電磁場処理装置は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、コイルと、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群の中の1つの共振周波数と、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中の1つの共振周波数とを振幅変調した交番電流を供給する交番電流供給部と、前記交番電流供給部を駆動する駆動電源部と、を有する構成になっている。
【0021】
そして、第8の発明にかかる水の電磁場処理装置は、コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、コイルと、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群の中の1つの共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数と、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中の1つの共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数とを振幅変調した交番電流を供給する交番電流供給部と、前記交番電流供給部を駆動する駆動電源部と、を有する構成になっている。
【0022】
上記第5ないし第8の発明において、前記第1の共振周波数群は、151.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−2、222.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−1、345.0Hzもしくはその近傍の共振周波数A、484Hzもしくはその近傍の共振周波数A、954Hzもしくはその近傍の共振周波数A、3.5kHzもしくはその近傍の共振周波数A、7.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、20.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、37.3kHzもしくはその近傍の共振周波数A、80.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Aを含み、前記第2の共振周波数群は、205.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−2、301.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−1、466.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B、655Hzもしくはその近傍の共振周波数B、1.29kHzもしくはその近傍の共振周波数B、4.73kHzもしくはその近傍の共振周波数B、9.47kHzもしくはその近傍の共振周波数B、27.0kHzもしくはその近傍の共振周波数B、50.4kHzもしくはその近傍の共振周波数B、108.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Bを含む。
【0023】
上記第5ないし第8の発明において、好適な一態様では、前記共振周波数の電磁界誘起電流のピーク電流を特定の電流値にすることにより、前記共振周波数の電磁界誘起電流により前記コイルに誘起される振動磁界のピーク強度が、特定の磁界強度になる共振磁界の強度、あるいは前記共振磁界の共振特性における半値幅内にある磁界強度になるようにする。ここで、前記共振磁界の強度は、基底モードの磁界強度の正整数倍である。
【0024】
上記好適な一態様において、前記共振周波数A(i=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記iの番号順にそれぞれ、5.3mGもしくはその近傍、7.4mGもしくはその近傍、12.3mGもしくはその近傍、17.3mGもしくはその近傍、31.9mGもしくはその近傍、130.6mGもしくはその近傍、323.0mGもしくはその近傍、1123.5mGもしくはその近傍、2556.0mGもしくはその近傍、6039.0mGもしくはその近傍であり、前記共振周波数B(j=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記jの番号順にそれぞれ、7.1mGもしくはその近傍、10.4mGもしくはその近傍、16.3mGもしくはその近傍、23.5mGもしくはその近傍、47.1mGもしくはその近傍、188.2mGもしくはその近傍、463.5mGもしくはその近傍、1601.0mGもしくはその近傍、3342.5mGもしくはその近傍、7302.9mGもしくはその近傍である。
【0025】
また、上記第5ないし第8の発明において、好適な一態様では、前記コイルに対して地磁気の影響を除去する手段が取り付けられている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成により、簡便で高い経済性と汎用性および安定性に優れた高効率な水の電磁場処理方法および電磁場処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態のいくつかを図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似な部分には共通の符号を付している。
[実施の形態1]
図1は、本実施形態における水を電磁場処理する方法の一例の説明図である。そして、図2は電磁界誘起電流である交流電流の一例を示す電流波形図である。図1に示すように、例えば塩化ビニール製の通水管1の外側にコイル2を設け、通水管1に例えば水道水、排水等の被処理水3を流すと共に、交流電源4を通して後述するような特定の周波数である共振周波数の交流電流をコイル2に供給する。ここで、交流電流の波形は、例えば図2に示すような方形波形等、時間的変化が急峻なものが好適である。
【0028】
更に、その詳細は後述するが、上記共振周波数においてその交流ピーク電流を特定の電流値にする。以下、この特定の電流値によりコイル2に誘起される誘起磁界を共振磁界と呼称する。このようにして、上記特定の周波数の交流電流により誘起された振動電磁場を被処理水3に対して付与することにより、図1示したように振動電磁場により高効率に活性化した活性処理水5を得る。
【0029】
あるいは、図3に示すように、交流電源4に接続するコイルを備えた電磁場付与部7をタンク8の貯留水9内に浸漬させる。この状態で、交流電源4を通して上述したような特定の周波数である共振周波数の交流電流を電磁場付与部7に供給する。あるいは、この共振周波数においてその交流ピーク電流を特定の電流値に設定する。このようにして、上記特定の周波数の交流電流により誘起された振動電磁場を貯留水9に対して付与することにより、貯留水9を振動電磁場により活性化し活性処理水にする。
【0030】
以下、上述したところの共振周波数および共振磁界について詳細に説明する。本発明者は種々の周波数の交流電流を、既知の電磁特性を有するコイルに供給し、水道水に電磁場処理を施して生成した活性処理水が有するリン酸カルシウム(Ca(PO)の溶解特性について詳細な実験を行った。この実験では、具体的には図4に模式的に示したような電磁場処理の実験装置を用いた。
【0031】
この実験装置においては、実験槽10内が間仕切り板11により3つの貯留室12,13,14に分けられている。ここで、被処理水としてはイオン交換樹脂を通したpH値が略7の室温(略20℃)の水道水が用いられ、このイオン交換水が、通水管1の途中に設けられたポンプ15により上記貯留室12,13,14の順に循環するようになっている。ここで、ポンプ15の下流側の通水管1の外側にコイル2が巻かれ交流電源4に接続されている。このコイル2は、銅線コイルが巻径3.5cmφの円筒状に配管長さ14.4cmにわたって一様に34巻回して形成されている。また、貯留室12の底部に、通常の水では難溶性のリン酸カルシウム(Ca(PO)16が粉体にして置かれ、貯留室14には採水管17が連通している。
【0032】
上記実験において、後述するように地磁気の影響が実験結果に出てくることから、コイル2の軸心が東西方向になるようにしている。また、水道水中のカルシウム、マグネシウム等のイオンの影響も上記結果に出てくることから、被処理水はイオン交換樹脂を通液した水道水とした。
【0033】
このような実験装置において、交流電源4は、方形波の交流電流の周波数および電流が可変になる。そこで、種々の交流電流の周波数およびピーク電流の条件の下に、上記水道水に対して電磁場処理を行い活性処理水にして、貯留室14における活性処理水中のリン酸第1水素カルシウムイオン(Ca(HPO))2−の濃度を計測した。ここで、リン酸カルシウム16は活性処理水により化学式(1)に従い溶解する。
【0034】
【化1】

【0035】
このようにして、上記活性処理水によるリン酸カルシウム16の溶解度すなわち活性処理水の溶解能力を詳細に調べた。また、活性処理水のpH値も計測した。ここで、交流電流の周波数は140Hz〜115kHzの範囲で調べている。
【0036】
上記リン酸第1水素カルシウムイオンの濃度の計測は、一定時間(10時間程度)電磁場処理を行った後に、採水管17のバルブを開いて貯留室14の活性処理水を採取し、標準液として硝酸銀(AgNO)、指示薬としてクロム酸カリウム(KCrO)溶液を使用した公知の沈殿滴定法により行った。
【0037】
その結果、上述したように交流電流の特定の周波数帯域において、上記リン酸カルシウム16の溶解度が特異的に増大することが判明した。また、交流電流の特定の電流値においても、リン酸カルシウム16の溶解度が特異的に増大することが判明した。このような交流電流における特定の周波数および特定の電流値をそれぞれ共振周波数、共振磁界として以下にまとめて説明する。
【0038】
{共振周波数}
上記特定の周波数には、後述の説明で明らかになるような2種類の性質の異なる共振周波数が、それぞれに複数存在する。そこで、これ等の共振周波数は第1の共振周波数群と第2の共振周波数群に分別される。
(第1の共振周波数群)
この第1の共振周波数群には、図5〜図10に示すように、複数の共振周波数A(i=1〜6の整数)が少なくとも存在する。ここで、図5ないし図10は、振動する電磁場処理における共振周波数の共振特性を示し、リン酸カルシウム16の溶解度が特異性を示す周波数帯域において、横軸にコイル2に流す交流電流の周波数をとり、縦軸にリン酸カルシウム16の上記溶解度をとっている。
【0039】
図5から、共振周波数Aは、484Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は462〜504Hzである。ここで、半値幅(Δf)は、この特異性を有する共振周波数帯域において、リン酸カルシウム16の溶解度が、上記溶解度の最大値と未処理水の場合の溶解度との差の1/2以上になる周波数帯域である。以下、図6から、共振周波数Aは、954Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は915〜995Hzである。図7から、共振周波数Aは、3.5kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は3.25〜3.72kHzである。図8から、共振周波数Aは、7.0kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は6.46〜7.54kHzである。図9から、共振周波数Aは、20.0kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は17.3〜22.4kHzである。そして、図10から、共振周波数Aは、37.3kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は34.9〜40.3kHzである。
【0040】
更に、この第1の共振周波数群には、図11〜図13に示すように、共振周波数A(i=−2〜0の整数)が存在する。すなわち、図11から、共振周波数A−2は、151.5Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は147.5〜154.7Hzである。図12から、共振周波数A−1は、222.5Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は217.2〜228.1Hzである。図13から、共振周波数Aは、345.0Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は338.5〜351.0Hzである。
【0041】
(第2の共振周波数群)
第2の共振周波数群には、図14〜図19等に示すように、複数の共振周波数B(i=1〜6の整数)が少なくとも存在する。これ等の図も、図5ないし図13の場合と同様、溶解度が特異性を示す周波数帯域において、横軸に交流電流の周波数をとり、縦軸に溶解度をとっている。
【0042】
図14から、共振周波数Bは、655Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は606〜722Hzである。以下、図15から、共振周波数Bは、1.29kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は1.19〜1.38kHzである。図16から、共振周波数Bは、4.73kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は4.59〜4.93kHzである。図17から、共振周波数Bは、9.47kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は9.06〜9.98kHzである。図18から、共振周波数Bは、27.0kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は25.0〜28.9kHzである。そして、図19から、共振周波数Bは、50.4kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は49.1〜51.8kHzである。
【0043】
更に、この第2の共振周波数群には、図20〜図22に示すように、共振周波数B(i=−2〜0の整数)が存在する。すなわち、図20から、共振周波数B−2は、205.0Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は201.5〜208.5Hzである。図21から、共振周波数B−1は、301.0Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は293.0〜310.5Hzである。図22から、共振周波数Bは、466.0Hzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は457.2〜474.6Hzである。
【0044】
ここで、上記共振周波数Aおよび共振周波数B(i=−2〜6の整数)の近傍としては、上記それぞれの共振周波数の数値の±1.2%程度が好ましい。この範囲であると、共振周波数における溶解度の80%以上の溶解度が得られ、機能水生成の実用化に全く問題がない。
【0045】
上記第1の共振周波数群と第2の共振周波数群の間にはその理由は現在不明であるが一定の規則性を有しているようにみえる。例えば、共振周波数Bと共振周波数Aの比(B/A)は、i=−2〜6の整数において略1.35の一定値となる。この値は水素水和イオンと水酸水和イオンの質量比として表されるが、その真偽は今のところ不明である。これ等の規則性を勘案すると、第1の共振周波数群には共振周波数Aとして80kHzが存在し、そして第2の共振周波数群にはBとして108kHzが存在することが推定される。しかし、これ等の場合、交流電流が高くなり過ぎて発信が生じ易くなり計測できていない。
【0046】
但し、後述されるが、図2に示した方形波形の交流電流に換えて、正極の方形パルス波形の電流を用いる場合には、上記共振周波数Aの80.0kHzおよび共振周波数Bの108.0kHzが計測される。
【0047】
この第1の実施形態においては、上述した第1の共振周波数群あるいは第2の共振周波数群から選択したいずれか1つの周波数の交流電流を交流電源4からコイル2に供給し、通水路1中の被処理水3に振動電磁場を付与する。このようにすることにより、被処理水3は簡便にしかも効率的に活性化される。
【0048】
{共振磁界}
上述した共振周波数において、図23〜図40に示すように、更に特定の電流値によりリン酸カルシウムの溶解度が特異的に増大する。ここで、図23ないし図40は、共振周波数における共振磁界の共振特性を示し、リン酸カルシウム16の溶解度が特異性を示す特定の電流値において、横軸にコイル2に流す交流ピーク電流と共にそのときの誘起磁界強度をとり、縦軸にリン酸カルシウム16の溶解度をとっている。ここで、誘起磁界強度は、電流ピーク電流に対応して、コイル2内の被処理水3の流れる方向に沿い誘起され振動する磁界6のピーク強度である。
【0049】
図23から、共振周波数Aでは、交流ピーク電流が23.5mA(アンペア)でありそのときの誘起磁界強度が69.1mG(ガウス)もしくはその近傍において上記溶解度が特異的に増大する。このときの誘起磁界が共振磁界であり、その半値幅(Δb)の範囲は64.1〜72.8mGである。ここで、この半値幅(Δb)は、この特異性を有する共振磁界域において、リン酸カルシウム16の溶解度が、上記溶解度の最大値と未処理水の場合の溶解度との差の1/2以上になる誘起磁界強度の領域である。
【0050】
このような共振磁界は、上記共振周波数Aにおいて多数存在する。これについて、図41,42を参照して説明する。図41,42は、共振磁界の分布を示し、それぞれ横軸に誘起磁界強度をとり、縦軸にリン酸カルシウム16の溶解度をとり、特異的に溶解度が増大する共振磁界が多数存在する様子を示す一例である。ここで、図41の破線は共振周波数Aの場合の2つの共振磁界を示しており、図中の実線は共振周波数Aの場合の3つの共振磁界を示している。そして、破線(4)が図23と同じものであり、その詳細は後述するように、4倍モードの共振磁界となっている。また、破線(3)が同様な3倍モードの共振磁界である。同様に、図中の実線(1)、(2)、(3)が共振周波数Aの場合のそれぞれ基底モード、2倍モード、3倍モードの共振磁界となっている。
また、図42の実線は共振周波数Aの場合の3つの共振磁界を示しており、同図中の破線は共振周波数Bの場合の2つの共振磁界を示している。そして、図中の実線(1)、(2)、(3)が共振周波数Aの場合のそれぞれ基底モード、2倍モード、3倍モードとなっている。同様に、破線(1)、(2)が共振周波数Bの場合のそれぞれ基底モード、2倍モードとなっている。
以上のことから、共振周波数Aにおいて、今回の電磁場処理の実験装置では交流ピーク電流が小さ過ぎて計測できなかったが、上記4倍モードの共振磁界における誘導磁界強度の1/4の17.3mGもしくはその近傍に基底モードの共振磁界が存在し、この基底モードのn倍モードの共振磁界が多数存在する。ここで、nは正整数である。
【0051】
このように共振周波数Aにおいて示したようなn倍モードの多数の共振磁界の存在は、図43,44に示しているように、上述した第1および第2の共振周波数群の全てにおいて共通している。図43,44は、共振周波数と共振磁界の相関図であり、横軸に交流周波数をとり、縦軸に共振磁界における誘起磁界強度をとっている。図中、○印は上記実験装置で実測したところである。図中には4倍モードまで示されそれ以上はないが、本実験装置で計測し易い共振周波数A、Bでは、基底モードの5倍以上となるn倍モードの共振磁界が確認されている。なお、基底モードの辺りで上記交流ピーク電流が小さ過ぎて計測できないところは、破状○印にして示している。
【0052】
以下、図43,44にまとめて説明した第1の共振周波数群における共振磁界において、図24から、共振周波数Aでは、2倍モードの場合、交流ピーク電流が22.7mAでありそのときの共振磁界が63.8mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は60.5〜66.4mGである。ここで、この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は31.9mGもしくはその近傍となる。
同様に、図25から、共振周波数Aでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が46.5mAでありそのときの共振磁界が130.6mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は102.5〜156.7mGである。また、図26から、共振周波数Aでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が115.0mAでありそのときの共振磁界が323.0mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は298.1〜351.8mGである。
【0053】
同様に、図27から、共振周波数Aでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が400.0mAでありそのときの共振磁界が1123.5mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は989.3〜1234.4mGである。また、図28から、共振周波数Aでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が910.0mAでありそのときの共振磁界が2556.0mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は2328.1〜2752.7mGである。
【0054】
更に、図29から、共振周波数A−2の5倍モードにおいては、共振磁界が26.4mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は25.2〜27.5mGである。ここで、この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は5.3mGもしくはその近傍となる。同様に、図30から、共振周波数A−1の5倍モードにおいては、共振磁界が36.8mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は29.5〜40.4mGである。この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は7.4mGもしくはその近傍となる。図31から、共振周波数Aの5倍モードにおいては、共振磁界が61.7mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は59.4〜64.1mGである。この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は12.3mGもしくはその近傍となる。
【0055】
そして、第2の共振周波数群における共振磁界において、図32から、共振周波数Bでは、4倍モードの場合、交流ピーク電流が33.5mAでありそのときの共振磁界が94.1mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は90.1〜99.2mGである。ここで、この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は23.5mGもしくはその近傍となる。
同様に、図33から、共振周波数Bでは、2倍モードの場合、交流ピーク電流が33.5mAでありそのときの共振磁界が94.1mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は85.7〜102.1mGである。ここで、この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は47.1mGもしくはその近傍となる。また、図34から、共振周波数Bでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が67.0mAでありそのときの共振磁界が188.2mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は171.9〜201.7mGである。
【0056】
同様に、図35から、共振周波数Bでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が165.0mAでありそのときの共振磁界が463.5mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は368.0〜547.7mGである。また、図36から、共振周波数Bでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が570.0mAでありそのときの共振磁界が1601.0mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は1235.9〜1938.1mGである。また、図37から、共振周波数Bでは、基底モードの場合、交流ピーク電流が1.19Aでありそのときの共振磁界が3342.5mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は3145.9〜3623.4mGである。
【0057】
更に、図38から、共振周波数B−2の5倍モードにおいては、共振磁界が35.3mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は34.1〜36.4mGである。ここで、この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は7.1mGもしくはその近傍となる。同様に、図39から、共振周波数B−1の5倍モードにおいては、共振磁界が52.1mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は49.9〜54.4mGである。この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は10.4mGもしくはその近傍となる。図40から、共振周波数Bの5倍モードにおいては、共振磁界が81.6mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は75.2〜87.6mGである。この場合の基底モードの共振磁界の誘起磁界強度は16.3mGもしくはその近傍となる。
【0058】
ここで、上記共振周波数Aおよび共振周波数B(i=−2〜6の整数)における基底モードの共振磁界の近傍としては、上記それぞれの共振磁界の強度数値の±2%程度になる磁界領域が好ましい。
【0059】
この第1の実施形態では、上述した第1の共振周波数群あるいは第2の共振周波数群から選択したいずれか1つの周波数において、上述したそれぞれの基底モードの共振磁界のn倍モードの共振磁界を誘起する交流電流を交流電源4からコイル2に供給し、通水路1中の被処理水3に振動電磁場を付与する。このようにして、被処理水3は、簡便にしかも効率的に高いレベルに活性化した活性処理水5にされる。
【0060】
上述した第1の実施形態で説明した共振周波数あるいはその周波数での共振磁界を用いた電磁場処理において、上記リン酸カルシウム16の溶解度の特異的な増大は、被処理水3を電磁場処理した活性処理水5中に水素イオンが増加することを示す。水道水中の水素イオン(H;実際はその水和イオン)が増加すると、化学式(1)において左から右への反応が進行し、リン酸カルシウム16は溶解し、上記リン酸第1水素イオンカルシウムイオンとして活性処理水に溶けるようになるからである。なお、上記被処理水3のpH測定においてもその値の減少が見られ、水素イオンの増加が確認されている。
【0061】
ここでは、上記水素イオン量の増加と共に水酸イオン(OH;実際はその水和イオン)量も水素イオンと同程度に増加する。図5〜図40に示した特異的に増大したリン酸カルシウムの溶解度が、例えば4×10−5mol(モル)/リットル程度であると、活性処理水5は、水道水の解離定数KwがKw=1.6×10−13に達したのと同じであり、水道水の温度が70℃以上に上昇した場合に相当する。
【0062】
このように、上述したような特定の周波数(共振周波数)あるいは特定の電流値(共振磁界)の交流電流をコイルに供給して、振動する電磁場処理を水道水に施すことより、室温で処理した水道水中に、未処理の水道水の場合の4倍以上の水素イオンと水酸イオンとが生成されるようになる。
【0063】
ここで、水の電磁場処理をする前処理として、水中の炭酸ガス(CO)を脱気させると好適である。この脱気により、活性処理水5内に多量に生成した水素イオンと水酸イオンが安定して存在できるようになる。例えば地下水あるいは井戸水のように水中に炭酸ガスが多く溶存していると、化学式(2)に示すように炭酸ガスと水中の水素イオンおよび水酸イオンとが反応し、右から左あるいは左から右への反応が生じる。そして、水酸イオン量が低下したり、あるいは水素イオン量が逆に増加したりして不安定になる。溶存の炭酸ガスが多くなると上記処理液体のpH測定計の計測においても測定値が不安定になることが確認されている。
【0064】
【化2】

【0065】
このように、炭素ガスの溶解度が高い地下水あるいは井戸水のような水の場合、それ等を安定的に電磁場処理するためには炭素ガスの除去が極めて有効である。
【0066】
また、逆に、上記振動する電磁場処理を水に施すことより、水に溶解している炭酸ガスのようなガスを極めて効率的に脱気させることができる。この脱ガスの機構は未だ明らかになっていないが、後述するような水のクラスターによる攪拌効果と共に、上記化学式(2)における右から左への反応進行により、水に溶けイオンとして解離したものを炭酸ガスに戻すことで脱気し易くしているものと思われる。
このような電磁場処理による水の脱ガスの効果は、例えば純水あるいは超純水に例えば水素あるいはオゾンを溶解させて、水素溶解水あるいはオゾン溶解水のような有効ガスが溶解した機能水の生成に極めて有効に利用できる。これは、上記有効ガスの水への溶解においてその溶解効率を高めるためには、水に溶けている炭酸ガスなどを脱ガスすることが必須になるからである。
【0067】
また、上記振動する電磁場処理を水道水に施すことより、生成した活性処理水5は、例えばガソリンのような油と室温において極めて容易に混合する。ガソリンと活性処理水5の混合では、水滴が油中に分散するW/O型エマルジョンが、室温においてガソリンに活性処理水5を注入するだけで簡便に生成できる。また、油滴が水中に分散するO/W型エマルジョンも同様に簡便に生成できる。そして、上記W/O型エマルジョンは自動車の燃料として使用できることが確認された。
【0068】
上記実施形態で生成した活性処理水5では、上述したような水素イオンと水酸イオンの増加が例えば配管内壁における上記スケール付着の防止あるいは付着スケールの除去を可能にする。通常、上下水道水にはある量のカルシウム、マグネシウムあるいはカリウム等のミネラル成分のイオンが含まれている。そして、これ等は水中において結晶物を形成し易い。しかし、上記水素イオン量の増加により、例えば水道水に難溶な結晶物であるシュウ酸カルシウム(Ca(COOH))は結晶化しないで水道水に溶け易くなる。また、水道水中の尿素と硝酸イオンの結合した難溶な硝酸尿素(CO(NH)・HNO)は、水道水中の水酸イオン量の増加により溶け易くなる。同様に、水道水に難溶な尿酸(R(OH);Rは炭化水素)は、水酸イオン量の増加により溶け易くなる。また、例えば脂肪酸エステル(R−COO−R;R、Rは炭化水素)のような油脂類は、水素イオンと水酸イオンとにより加水分解され脂肪酸に変わって水中に溶け易くなる。このようにして、配管内壁におけるスケール付着は大幅に低減するようになる。
【0069】
また、上記水素イオンと水酸イオンの増加は、鉄(Fe)を黒錆(Fe)に変え易く鉄管内壁の防錆を可能にする。
【0070】
また、上記処理液体における水素イオンと水酸イオンの増加は、アンモニア(NH)をアンモニアイオンとして水道水に溶け易くする。このために、上記処理液体をトイレに使用すると無臭にすることが可能になる。
【0071】
更に、本実施形態における上記活性処理水5は、上記増加した水素イオンと水酸イオンにより、重油あるいは軽油等の改質を可能にする。これは、これ等の油類の炭素(C)−炭素(C)結合が、水素イオンと水酸イオンにより解離し、アルコール類あるいはアルケン類に分解されるからである。これ等の改質した油類は水道水に溶け易くなり、配管における油分の付着は大きく低減する。
【0072】
本実施形態では、上記特定の交流電流を用いた電磁場処理により上述したような種々の効果が生じる。そして、従来技術のように予め机上試験を通してその変調電場処理の効果を試験する必要はない。また、この電磁場処理方法は極めて簡便であり、電磁場処理における消費電力は極めて小さい。このように、本実施形態の電磁場処理は高い経済性を有する。しかも、被処理液体の種類によらず効果が生じることからその汎用性も高い。
【0073】
[実施の形態2]
次に、本発明の好適な第2の実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、第1の実施形態で説明した交流電流の第1の共振周波数群と第2の共振周波数群から選択したそれぞれ1つの共振周波数を用い、これ等2つの共振周波数により同時に水を活性化させるところにある。このようにすることにより、水が効率的に電磁場処理されると共にその活性処理水が機能水として長寿命化される。図45は、このような2つの共振周波数を混合して振動電磁場を誘起する交流電流の一例を示した波形図である。
【0074】
この実施形態では、図45に示すように、2つの共振周波数から成る交番電流であり、第1の周波数電流21と第2の周波数電流22が、それぞれ例えば交流ピーク電流が異なるように振幅変調されて、図1に示したコイル2あるいは図3示した電磁場付与部7に供給される。ここで、第1の周波数電流21における波形は図2に示したような方形波形であり、その周波数は、第1の実施形態で説明した第1の共振周波数群から選択される。同様に、第2の周波数電流22における波形も方形波形であり、その周波数は、第2の共振周波数群から選択される。
【0075】
ここで、第1の周波数電流21の振幅すなわち交流ピーク電流は、第1の共振周波数群から選択した共振周波数において第1の実施形態で説明した共振磁界が生じるように設定すると好適である。また、第2の周波数電流22の振幅すなわち交流ピーク電流は、第2の共振周波数群から選択した共振周波数において第1の実施形態で説明した共振磁界が生じるように設定されると好適である。上記第1の周波数電流21および第2の周波数電流22における振幅は、図45に示したのとは異なり、第1の周波数電流21の場合のほうが第2の周波数電流22の場合よりも大きくなっても構わない。あるいは、両方の振幅が同じになっても構わない。
【0076】
このような交番電流は、いわゆる2つの周波数による周波数変調に振幅変調を加味したものとなっている。ここで、上記第1の周波数電流21と第2の周波数電流22の繰り返しを50〜150回/秒(Hz)の交番周波数にする。そして、第1の周波数電流21および第2の周波数電流22のデューティサイクルはそれぞれ任意に調節する。ここで、好適な態様では、上記交番周波数は100Hzとする。更に、交番周波数における第1の周波数電流21および第2の周波数電流22のデューティサイクルはそれぞれ50%になるようにする。
【0077】
上記第1の共振周波数群と第2の共振周波数群から共振周波数をそれぞれ1つ選択し、その選択した2つの共振周波数により同時に水を活性化させる方法はその他に種々のものが可能である。例えば、図46に示すように、図1で説明したのと同様に、第1の交流電源23を通して第1の共振周波数群から選択した共振周波数fの交流電流を通水管1の外側のコイルに流す。同時に、第2の交流電源24を通して第2の共振周波数群から選択した共振周波数fの交流電流を通水管1の外側のコイルに流す。ここで、両コイルの捲回方向は同一であっても逆であっても構わない。このようにして、通水管1に例えば水道水の被処理水3を流すと活性処理水5aが生成される。
【0078】
あるいは、図47に示すように、第1の交流電源23に接続するコイルを備えた第1の電磁場付与部25、および第2の交流電源24に接続するコイルを備えた第2の電磁場付与部26をタンク8の貯留水9内に浸漬させる。この状態で、第1の交流電源23を通して上述した共振周波数fの交流電流を第1の電磁場付与部25に供給する。同時に、第2の交流電源24を通して上述した共振周波数fの交流電流を第2の電磁場付与部26に供給する。このようにして、貯留水9に対して2つの共振周波数の交流電流を付与することにより、貯留水9を振動電磁場により活性化し活性処理水にする。
【0079】
ここで、上記2種類の交流電流の波形は、例えば図2に示したような方形の波形が好適である。また、共振周波数fの交流電流の振幅は、第1の共振周波数群から選択した共振周波数において第1の実施形態で説明した共振磁界が生じるように設定するとよい。そして、共振周波数fの交流電流の振幅は、第2の共振周波数群から選択した共振周波数において第1の実施形態で説明した共振磁界が生じるように設定するとよい。
【0080】
本実施形態では、上述したように水の活性効果が持続する時間が長くなり機能水として長寿命になる。これについて図48を参照して説明する。
【0081】
図48は、横軸に電磁場処理した後の活性処理水の保存期間をとり、縦軸にその活性処理水によるリン酸カルシウム16の溶解度をとっている。ここで、電磁場処理は、図4で示した実験装置においてその貯留室12のリン酸カルシウム16の粉体を除去して一定時間(10時間程度)行った。そして、その後、その活性処理水を室温で保存し、所定の保存期間の後に上記保存した活性処理水がリン酸カルシウムを溶解する能力について調べた。
【0082】
図中に実線は、図45で説明した2つの共振周波数を用いた交番電流により電磁場処理した場合であり、A−B異種混合周波数の一例の結果である。ここで、第1の周波数電流21の周波数は第1の共振周波数群の1つの共振周波数であり、第2の周波数電流22の周波数は第2の共振周波数群の1つの共振周波数である。これ等の周波数電流の振幅は共に共振磁界が生じるように設定されている。そして、上記交番周波数は100Hz、交番周波数における第1の周波数電流21および第2の周波数電流22のデューティサイクルは50%である。
図中の破線は、第1の実施形態と同様であり、第1の共振周波数群あるいは第2の共振周波数群の1つの共振周波数の場合であり、単一周波数を用いた交流電流により電磁場処理した場合の一例の結果である。ここで、この1つの周波数電流の振幅は共に共振磁界が生じるように設定されている。
図中の点線は、図45で説明した2つの共振周波数を用いた交番電流により電磁場処理した場合であるが、A−A(あるいはB−B)同種混合周波数の一例の結果である。ここで、第1の周波数電流21および第2の周波数電流22の周波数は、共に同じ第1の共振周波数群から選択した共振周波数である。あるいは、共に同じ第2の共振周波数群から選択した共振周波数である。これ等の周波数電流の振幅は共に共振磁界が生じるように設定されている。そして、上記交番周波数は100Hz、交番周波数における第1の周波数電流21および第2の周波数電流22のデューティサイクルは50%である。
そして、具体的には、図48に示した一例の結果としては、共振周波数A(i=3,4)、共振周波数B(j=3,4)を用いて得られたものが載せられている。
【0083】
図48に示すように、実線のA−B異種混合周波数、破線の単一周波数の場合、および点線のA−A(B−B)同種混合周波数の場合とも、活性処理水がリン酸カルシウム16を溶解する能力は持続する。そして、その保存期間と共に減衰するが、実線では、その減衰は破線の場合よりもはるかに小さく、水の活性化の持続時間が増大する。例えば、破線では、12〜13時間の保存期間で未処理水の溶解度2.65×10−5mol/リットルに戻るが、実線では、12〜13時間の保存期間であってもその溶解度は3.13×10−5mol/リットル程度であり、しかもそれ以降あまり低下しない。しかも、実線の場合には、保存期間0時間に示されるように、初期の活性化の度合いが増加している。
これに対して、点線では、その減衰は破線の場合よりも大きくなり、水の活性化の持続時間が減少する。例えば、6〜7時間程度の保存期間で未処理水と同程度に戻る。しかも、点線の場合には、保存期間0時間に示されるように、破線の単一周波数の場合よりも初期の活性化の度合いが低減している。
【0084】
このように、本実施形態では、2つの異種の共振周波数を用いた交番交流により電磁場処理することにより、活性化の度合いが高くなり、更に活性処理水の効果の持続する寿命が長くなる。すなわち、処理中の水素イオン量と水酸イオン量が未処理水の場合よりも多い状態が長く続くようになる。逆に同種の共振周波数を用いる場合には、活性化の度合いが低減すると共に、活性処理水の効果の持続する寿命が短くなる。
【0085】
このような活性処理水の長寿命化は、本実施形態で生成した活性処理水が洗浄剤等としても有効に使用できることを示す。第1の実施形態において説明した水素イオンあるいは水酸イオンの多い水が示す機能、例えば、脂肪酸類の溶解、脱臭、油類の改質等、種々の洗剤あるいは機能水として利用することができる。
【0086】
次に、第1の実施形態あるいは第2の実施形態における特定の周波数の交流電流を用いた電磁場処理のメカニズムについてふれる。上記特定の周波数の交流電流によりコイル2を通して100cc程度の水に消費される電力は、例えば共振周波数A(i=3,4)、共振周波数B(j=3,4)において、せいぜい0.5mW(ワット)〜10mWである。このような極めて小さな電力エネルギーにより、上述したような効果を有する活性処理水が生成される。しかも、このような特定の交流電流の周波数は低周波帯域に属する。例えば、100kHz〜数十MHzの交流周波数を用いるプラズマ生成の場合ようにガスを電離させプラズマ励起する場合に比べて、上記10kHz以下の周波数は小さく、また、その電力エネルギーも極めて小さいことから、本実施形態における電界処理では、水の電離を通した自由電子の生成およびそれに対して電子エネルギーを付与することはできない。
【0087】
確かに、水中では例えば塩(NaCl)のような物質は、その強いイオン結合が切断され解離して容易にイオン(水和イオン)化し溶解する。しかし、これは、水の有する極めて高い双極子能率(比誘電率80程度)から生じることであり、水和する(水和イオンとなる)過程で生じるエネルギーが上記結合を切断するからである。ここで、水素イオン(H)も確かに水和イオンとなる。しかし、水酸イオン(OH)はほとんど水和せず水分子の解離は小さなものである。このために、通常の中性の水ではpH値は7となり、水素イオンと共に1×10−7mol/l程度の解離になっている。
【0088】
本実施形態における特定の周波数の交流電流を用いた電磁場処理は、水中に存在する水クラスターの回転にエネルギーを与えるものであり、この水クラスターの回転エネルギーが徐々に高くなり、それが水分子(HO)に衝突して水分子を水素イオンと水酸イオンに解離するものと考えられる。
【0089】
すなわち、上記特定の共振周波数の交流電流をコイル2に供給することにより、通水管1内の例えば水道水中に磁界が発生する。その磁束密度をBベクトルとすると、上記周波数の電流に伴いBベクトルも同じ周波数で時間変化する。この時間変化により、数式(1)により同じ周波数で変化する電界のEベクトルが発生する。この交流電流の周波数と同じ周波数の電磁場エネルギーが、水クラスターを慣性モーメントIの剛体とみなして量子化した回転の固有エネルギーのギャップに共鳴し、水クラスターが回転始動するようになる。ここで、上記共鳴による水クラスターの回転の励起は上記振動電磁場から出る光子によるものか、この振動電磁場により数式(2)に従って加速運動する水素イオンあるいは水酸イオンが発する光子によるものか定かでない。
【0090】
【数1】

【0091】
【数2】

【0092】
ここで、qは電荷量であり、Vベクトルは水素イオンあるいは水酸イオンの熱運動速度であり、Bベクトルは磁束密度であり、Eベクトルは上記電界である。
【0093】
上記実施形態において、コイル2を通して水道水に付与する誘導磁界強度には共振磁界が存在した。この誘導磁界強度は水クラスターの回転始動に関係していると考えられる。上記剛体とみなした水クラスターの表面に付着した水素イオンあるいは水酸イオン等の電荷に働く数式(2)によるローレンツ力は、これ等の熱運動速度にマッチングすると電荷を磁束に捲き付けて回転運動のトリガーとなる。上記磁界の好適な範囲は、上記水クラスターの回転始動をし易くする条件であると考えられる。
【0094】
上述したように、剛体とみなした水クラスターの表面には水素イオンあるいは水酸イオンが付着する。そして、水クラスターの回転始動の方向はこの正電荷あるいは負電荷により全く逆になる。このような水クラスターは、それぞれ上記回転を始めると、上記付着した電荷が数式(1)で発生する極めて大きな電界を受け、水クラスターの回転エネルギーが水分子を解離する程度に増大していくものと思われる。ここで、水分子を解離するために、水クラスターの回転はGHz程度の回転速度になる。
【0095】
上記水クラスターの回転による水の水素イオンと水酸イオンの解離モデルは理論的なものであって未だ実証されていない。このように、水クラスターの回転が関係しているとすると、水クラスターに含まれる水素結合した水分子の数は、例えば共振周波数Aの場合において1.2×10個程度になり、共振周波数Bの場合において1×10個程度になる。そして、この水クラスターに含まれる水素結合した水分子の数は、共振周波数が増加すると共に減少する。ここで、水クラスターを慣性モーメントIの剛体とみなして量子化した回転の固有エネルギーを算出し、この回転の固有エネルギーギャップが、上記特定の共振周波数の交流電流により水中に生じる電磁場エネルギーに共鳴するものとして、慣性モーメントIを求めて水クラスターの水分子の数を算出している。
【0096】
上記水クラスターの回転は、第1の実施形態の効果のところで述べたように、水の攪拌を効率的に行い水の脱ガスを効果的に生じさせる。そして、共振周波数が増加すると共にその効果が増大するものと考えられる。
【0097】
また、上記水クラスターの回転を考えると、第2の実施形態において、2種類の共振周波数を用いた交番交流により電磁場処理をした処理水の高い持続性は、その理解が極めて容易になる。すなわち、以下のようなメカニズムにより生じているものと考えられる。これについて、上述したモデルに基づき図49を参照して説明する。ここで、図49は上記水クラスターの回転を模式的に示している。図49(a)は、水素イオンが付着した水クラスター(以下、水素イオン付着クラスターという)の回転と水酸イオンが付着した水クラスター(以下、水酸イオン付着クラスターという)の回転が存在する場合である。図49(b)は水素イオンあるいは水酸イオンが付着した水クラスターの回転だけの場合である。なお、図49において、電界Eと磁界(磁束密度)Bを表記しているが、これらはそれぞれ時間的に振動している。
【0098】
図49(a)に示すように、水素イオン付着クラスター27は時計回りに回転するとすれば、水酸イオン付着クラスター28は反時計回りに回転する。ここで、これ等のクラスター(27,28)間において接触が生じても、それ等の回転が相互に減速するような作用は生じない。このために、水クラスターの回転が持続し易くなる。このようなメカニズムが、図48で示した実線の場合に働いているものと思われる。ここで、水素イオン付着クラスター27は、上述した第1の共振周波数群の交流電流において回転エネルギーを吸収するものであり、水酸イオン付着クラスター28は、第2の共振周波数群の交流電流において回転エネルギーに吸収されるものである。
【0099】
これに対して、図49(b)に示すように、水素イオン付着クラスター27のみが存在する場合には、それ等が揃って時計回りに回転し、それらが接触すると、その接触領域では回転方向が逆になるために相互に減速するようになる。このために、水クラスターの回転が持続し難くなる。このようなメカニズムが、図48で示した点線の場合に働いているものと思われる。これは、水酸イオン付着クラスター28のみの場合でも同様に起る。
【0100】
この第2の実施形態においては、図45ないし図47を参照して説明した方法以外にも、種々の方法が考えられる。例えば、図1あるいは図3に説明した交流電源4において、上記第1の共振周波数群から選択した1つの共振周波数からなる交流電流および第2の共振周波数群から選択した1つの共振周波数からなる交流電流を合成した合成電流を形成する。そして、この合成電流をコイルあるいは電磁場付与部7に供給する。このようにしても、これ等2つの共振周波数により同時に水を活性化させることになり、上述したのと同様な効果が生じる。
【0101】
[実施の形態3]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、第1の実施形態で説明した地磁気の影響を電磁場処理から効果的に除去するところにある。このようにすることにより、振動電磁場を生成するコイルが配設される場所あるいはその取り付け方に依存することなく、水の安定した電磁場処理が容易になる。
【0102】
例えば東京近辺では、図50に模式的に示すように、南側から北側に向かいその水平分力310mG程度、鉛直分力340mG程度の地磁気Beが存在する。しかも、この地磁気は季節あるいは時間と共にその磁界強度が変化する。第1の実施形態で説明した図4の実験装置では、コイル2の軸心の方向に地磁気成分がなくなれば、地磁気の上記電磁場処理への影響を除去できることが確認された。特に、共振周波数A(i=−2〜4の整数)、共振周波数B(j=−2〜4の整数)の交流電流を用いる場合、その基底モードの共振磁界が地磁気と同程度あるいはそれ以下になることから、この地磁気の影響の除去は重要になる。
【0103】
その好適な第1の方法は、図50に示すように、上記交流電流が供給されるコイルを、コイルの軸心が地磁気(Be)方向31に直交する垂直平面32上になるように配置することである。ここで、対象となるコイルは、例えば、第1および第2の実施形態で説明した通水管1の外側に取り付けられたコイル2、電磁場供与部(7、25,26)内蔵のコイル等である。
【0104】
そして、その好適な第2の方法は、図51に示すように、上記コイルの外側を磁気シールドにより被包することである。図51(a)および図51(b)では、例えば高分子材あるいは樹脂材のように比透磁率が1程度の材料からなり、ライン状に成形された通水管33の外側にコイル2を捲回し、更にその外側に磁気シールド34を被包し配設する。ここで、図51(b)では、磁気シールド34がコイル2の外側と、コイル2の両側に延在しその長さ以上に亘る通水管33の外側と、を被包している。また、磁気シールド34は、比透磁率が大きな磁性体から成り、例えばシート状のコバルト系アモルファスシート等が好適に使用される。
このようにすることにより、地磁気Beは磁気シールド34により遮蔽され、通水管33内への浸入が大幅に低減するようになる。そして、図51(b)に示す構造であると、通水管33の入口側あるいは出口側から浸入する地磁気Beがシールドされる。
【0105】
同様に、図51(c)に示すように、比透磁率が1程度の材料からなり、例えばU字状に成形された通水管33aにおいて、その中央領域の外側にコイル2を捲回し、このコイル2を被包し更に上記通水管33aのU字状に曲折する領域を超えて磁気シールド34を被包する。このようにすると、例えば図51(a)では、通水管33の入口側あるいは出口側から浸入する地磁気Beが充分にシールドできないが、図51(c)では、このような地磁気Beの浸入がほぼ完全に防止できるようになる。
【0106】
図51で説明したコイルの外側を磁気シールドにより被包する方法は、図1あるいは図46に示した通水管1のコイルに適用してもよいし、図3あるいは図47に示した電磁場付与部(7,25,26)に備えられたコイルに適用してもよい。
【0107】
そして、その好適な第3の方法では、図52に示すように、U字状の通水管1aの中央領域の外側にコイル2が捲回され、磁性体コア35にコイル2aが捲回されてその両端がU字状の曲折する領域に略当接するように配設されている。そして、上記U字状の通水管1aおよび磁性体コア35が磁気遮蔽容器36に収納されている。ここで、コイル2およびコイル2aは、その捲回する方向が同じで直列に交流電源4に接続され、上記磁性体コア35の端部に形成される磁界方向とU字状の曲折する領域に形成される磁界方向が同じになるようにする。
このようにすることにより、U字状の通水管1aの中央領域における誘起磁界強度は、コイル2軸心において均一になる。そして、地磁気Beは磁気遮蔽容器36により遮蔽される。このために、通水管1a内の磁束密度がコイル2の軸心方向で一様になり、通水管1内を流れる被処理水が高効率に活性化できるようになる。
【0108】
その好適な第4の方法は、図53に示すように、静磁場である地磁気を補償して地磁気消磁する方法である。図53に示すように、通水管1の一部をL次状に曲げ、通水管1のライン状の領域の外側にコイル2を捲回する。そして、L字状の曲折部に磁気センサー37を配置し、コイル2の軸心方向の静磁場を検知する。この検知した静磁場の値に基づいて定電流源38を制御し、地磁気の静磁場を補償するように消磁用コイル39による逆静磁場を通水管1内に生成させる。このようにして、常時、磁気センサー37の上記軸心方向の静磁場が零になるように制御する。ここで、図53では、コイル2に接続する交流電源4は図を簡明にするために省略されている。
このようにすることにより、通水管1内の地磁気の影響は皆無になり、環境変化に全く左右されることなく安定した被処理水に高効率な活性化ができるようになる。
【0109】
[実施の形態4]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、第1,2あるいは3の実施形態で説明した電磁場処理において好適に使用される電磁場処理装置について説明する。
【0110】
図54に示すように、電磁場処理装置41は、被処理水の流路になる通水管1の外側に取り付けられたコイル2、該コイル2に2つの異種の共振周波数の交流電流を供給する交番電流供給部42、該交番電流供給部42を駆動する駆動電源部43を有する。
【0111】
図55に示すように、交番電流供給部42は、その主要構成として、水晶振動子44、例えば3つの周波数信号を生成する周波数分周回路45、その中の2つの周波数を周波数変調する周波数変調回路46および振幅変調回路47を有する。ここで、これ等の回路はディジタル回路であり半導体集積回路が好適に使用される。この半導体集積回路はMOSFETあるいはBiPトランジスタ等の半導体素子で構成され、その駆動電圧は20V以下の複数の電圧であり駆動電源43により与えられる。このようにして、交番電流供給部42は極めてコンパクトで軽量になる。
【0112】
ここで、上記コイル2のインダクタンスは10−5H程度に設定すればよい。このリアクタンスは交流電流の共振周波数が例えば1kHz〜50kHzで5Ω以下になる。そこで、コイル2に直列接続する100Ω程度の抵抗を設け、コイル2に流れるピーク電流がほぼ一定になるようにする。
【0113】
周波数分周回路45では、第1の共振周波数群にある第1の周波数信号、第2の共振周波数群にある第2の周波数信号と50〜150Hzの範囲にある交番周波数の信号が生成される。そして、周波数変調回路46において、上記第1の周波数信号および第2の周波数信号により、上記交番周波数で変調された変調周波数の信号が生成される。そして、振幅変調回路47において、上記変調周波数信号が上記交番周波数で電圧の振幅変調にされ、上記100Ω程度の抵抗を通して電流の振幅変調された交番電流がコイル2に供給されることになる。
【0114】
このようにして、交番電流供給部42は、図45に示したような交番電流を供給する。すなわち、第1の周波数電流21と第2の周波数電流22の2つの周波数を有する電流をそれぞれピーク電流が異なるように振幅変調して供給する。ここで、第1の周波数電流21は、第1の共振周波数群にある周波数帯域であり、そのピーク電流がその共振磁界を誘起する電流値になるように設定されると好適である。そして、第2の周波数電流は、第2の共振周波数群にある周波数帯域であり、そのピーク電流がその共振磁界を誘起する電流値になるように設定されると好適である。
【0115】
ここで、第1の周波数電流21の周波数は、第1の共振周波数群の共振周波数あるいはその半値幅(Δf)内の周波数にし、そのピーク電流はその共振磁界の半値幅(Δb)内になるようにしてもよい。そして、同様に、第2の周波数電流22の周波数は、第2の共振周波数群の共振周波数あるいはその半値幅(Δf)内の周波数にし、そのピーク電流はその共振磁界の半値幅(Δb)内になるようにしてもよい。ここで、交番周波数における第1の周波数電流21および第2の周波数電流22のデューティサイクルは任意に可変である。
【0116】
このような電磁場処理装置を用いて被処理液体を電磁場処理することにより、第2の実施形態で説明した効果が生じる。また、この装置は、非常にコンパクトで軽量であり種々の場所に設置できて利便性に優れる。
【0117】
次に、本実施形態の好適な態様について図56を参照して説明する。図56は、この実施態様を説明するための通水管1内の模式的な拡大図である。この実施態様は、通水管1内の被処理液体の流路を変更させる流路変更機構を設ける場合である。
【0118】
図56(a)に示すように、コイル2が設置される通水管1内に邪魔板48が多数に配置されている。この邪魔板48により被処理水3の流路は蛇行して通水管1内を流れるようになる。ここで、邪魔板48は絶縁体が好ましく例えば塩化ビニール、ポリスチレン等の高分子材あるいは樹脂材を成形したものである。
【0119】
図56(b)の場合は、コイル2が設置される通水管1内に、例えば複数の円柱棒49が細い連結材50により互いに連結して配置される。この円柱棒49により被処理水3の流路は通水管1の側壁側に偏在するようになる。この場合でも、円柱棒49および連結材50は絶縁体が好ましく邪魔板48と同様に高分子材あるいは樹脂材から成る。
【0120】
上記高分子材あるいは樹脂材は水と同様にその比透磁率は略1であり、その比誘電率は10以下である。このような流路変更機構を通水管1内に設けることにより、数式(1)に従い被処理水3が受ける電界Eの強度が平均的に増加し、電磁場処理の効果が増大するようになる。これは、上記電界が通水管1の内壁近傍、邪魔板48あるいは円柱棒49の近傍において最も大きく、多く設けられたこのような近傍を被処理水3の流路にすることにより、強い電界を受ける時間が長くなるからである。
【0121】
更に、本実施形態の別の好適な態様について図57を参照して説明する。図57は、この実施態様を示す構成図である。この実施態様は、第1の実施形態で説明した被処理液体が炭酸ガスを比較的に多く含む地下水あるいは井戸水となる場合に好適である。
【0122】
図57に示すように、電磁場処理装置41の前段に炭酸ガス脱気装置51が配置される。ここで、炭酸ガス脱気装置51は、上記炭酸ガスを比較的に多く含む原水から炭酸ガスを放出させる。この放出方法には、例えば超音波を原水に付与し炭酸ガスを脱気する方法、原水の空中曝気方法、原水の加熱/冷却方法等種々の方法がある。
【0123】
上記炭酸ガス脱気装置51を含む電磁場処理システムを使用することにより、第1の実施形態、第2の実施形態あるいは第3の実施形態による被処理水の安定した電磁場処理ができる。
【0124】
更に、本実施形態の更に別の好適な態様では、第3の実施形態で説明したような地磁気の影響を除去する種々の地磁気除去手段が電磁場処理装置に組み込まれる。上記地磁気除去手段の中で、特に図53で説明した地磁気消磁の方法を用いた手段は、通水管1内部の地磁気の影響を皆無にし、しかも環境変化に自在に適応でき安定して高効率の水の活性化を容易にすることから極めて好適になる。
【0125】
次に、本実施形態の変形例のいくつかを説明する。電磁場処理装置41は、2つの異種の共振周波数の交流電流を1つのコイルに供給するものであるが、第2の実施形態で説明したように、2つの異種の共振周波数の交流電流がそれぞれ異なるコイルに供給される構造であってもよい。また、これ等のコイルは電磁場供給部(7,25,26)に内蔵される構造であっても構わない。
【0126】
また、本実施形態の電磁場処理装置の変形例として、第1の実施形態で説明したように、共振周波数のうち単一周波数の交流電流をコイルに供給する構造の電磁場処理装置であってもよい。
【0127】
更に、本実施形態の電磁場処理装置の変形例として、例えば信号クロックのような正極あるいは負極の一極性のパルス波形の電流が用いられる構造であってもよい。このような一極性波形の電流も電磁界誘起電流である。これについては、図58を参照して説明する。ここで、図58(a)は一極性のパルス波形の電流を供給する電磁場処理装置の概略構成図である。図58(b)はこの場合の電流の波形図であり、正極の方形パルス波形を示している。
【0128】
図58(a)に示すように、この場合の電磁場処理装置は、通水管52の外側に取り付けられた白丸印で示す正捲回コイル53、該正捲回コイル53の逆方向に捲回した逆捲回コイル54、一極性のパルス波形の電流を上記正捲回コイル53および逆捲回コイル54に交互に供給する一極性電流供給部55を有している。
【0129】
そして、図58(b)に示すように、正捲回コイル53と逆捲回コイル54には、互いに位相が半周期ずれた同一の方形パルスの電流が交互に供給される。なお、図58(a)に示すように、正捲回コイル53および逆捲回コイル54の終端は共に接地電位に固定してある。ここで、上記の方形パルス電流を生成する一極性電流供給部55の回路は、ディジタル回路であり上述したような半導体集積回路が好適に使用される。
【0130】
このようにして、通水管52内には、図2で示した波形の交流電流を1つのコイルに供給する場合と同様な振動電磁場が生成され、水の活性化が第1の実施形態の場合と同様に行える。この変形例では、パルス波形の電流が単電源により生成できることから、低コストで高い安定性を有する電磁場処理装置が実現される。
【0131】
更に、本実施形態の変形例として、図58に示したような電磁場処理装置において、例えば正捲回コイル53あるいは逆捲回コイル54のみを用い、電磁界誘起電流として一極性のパルス波形の電流を上記いずれかのコイルに供給する電磁場処理方法であっても、未処理水に比べて上述したリン酸カルシウムの溶解度が増大し、水の活性化が可能である。
【0132】
上述したように、図2に示した方形波形の交流電流に換えて、一極性のパルス波形の電流を用いる場合には、図59および図60に示すように、第1の共振周波数群に属する共振周波数Aの80.0kHzおよび第2の共振周波数群に属する共振周波数Bの108.0kHzが計測される。ここで、図59および図60は、正極の方形パルスの電流を例えば正捲回コイル53に供給し振動する電磁場処理における共振周波数の共振特性を示す。そして、リン酸カルシウム16の溶解度が特異性を示す周波数帯域において、横軸に正捲回コイル53に流す正極電流の周波数をとり、縦軸にリン酸カルシウム16の上記溶解度をとっている。
【0133】
図59から、共振周波数Aは、80.0kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は76.5〜83.1kHzである。ここで、半値幅(Δf)は、この特異性を有する共振周波数帯域において、リン酸カルシウム16の溶解度が、上記溶解度の最大値と未処理水の場合の溶解度との差の1/2以上になる周波数帯域である。また、図60から、共振周波数Bは、108.0kHzもしくはその近傍であり、その半値幅(Δf)の範囲は104.8〜111.1kHzである。
【0134】
そして、これ等の場合においても、図61および図62に示すように上述した共振磁界が計測される。ここで、図61および図62は、共振周波数における共振磁界の共振特性を示し、横軸に正捲回コイル53に流す正極電流のピーク電流のときの誘起磁界強度をとり、縦軸にリン酸カルシウム16の溶解度をとっている。
【0135】
図61から、共振周波数Aでは、基底モードの場合、共振磁界が誘起磁界強度6039.0mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は5027.8〜6797.4mGである。また、共振周波数Bでは、基底モードの場合、共振磁界が誘起磁界強度7302.9mGもしくはその近傍になる。そして、その半値幅(Δb)の範囲は6628.8〜8033.2mGである。
【0136】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0137】
上記実施形態において、交流電流、交番電流あるいは一極性波形の電流の波形は、方形波形以外のパルス波形、のこぎり波形等、時間的に急激に電流値の変化するものが好適である。その他に、正弦波形であってもその効果は低減するが使用することができる。
【0138】
また、上記交流電流、交番電流あるいは一極性波形の電流が供給されるコイルは被処理水の外部に取り付けられ、上記コイルに生じる振動電磁場が外部から被処理水を照射するようにしてもよい。
【0139】
また、通水管に巻かれるコイル形状は、時間的に変化する磁場を生成できるものであればよく、上記螺旋状以外に種々の巻き方が考えられる。そして、本実施形態の電磁場処理で生成した活性処理水は、その他にも、水素イオンおよび水酸イオンが豊富に溶存する機能水として種々の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電磁場処理する方法の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる交流電流の一例の波形図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる別の電磁場処理する方法を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において使用した電磁場処理の実験装置の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図7】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図11】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数A−2の共振特性を示すグラフである。
【図12】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数A−1の共振特性を示すグラフである。
【図13】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図14】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図15】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図16】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図17】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図18】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図19】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図20】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数B−2の共振特性を示すグラフである。
【図21】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数B−1の共振特性を示すグラフである。
【図22】本発明の第1の実施形態の交流電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図23】本発明の第1の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図24】本発明の第1の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図25】本発明の第1の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図26】本発明の第1の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図27】本発明の第1の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図28】本発明の第1の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図29】本発明の第1の実施形態の共振周波数A−2における共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図30】本発明の第1の実施形態の共振周波数A−1における共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図31】本発明の第1の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図32】本発明の第1の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図33】本発明の第1の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図34】本発明の第1の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図35】本発明の第1の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図36】本発明の第1の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図37】本発明の第1の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図38】本発明の第1の実施形態の共振周波数B−2における共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図39】本発明の第1の実施形態の共振周波数B−1における共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図40】本発明の第1の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図41】本発明の第1の実施形態における共振磁界の分布の一例を示すグラフである。
【図42】本発明の第1の実施形態における共振磁界の分布の別の一例を示すグラフである。
【図43】本発明の第1の実施形態における共振周波数と共振磁界の相関図である。
【図44】本発明の第1の実施形態における共振周波数と共振磁界の別の相関図である。
【図45】本発明の第2の実施形態にかかる電磁場処理に使用する交番電流の一例を示す波形図である。
【図46】本発明の第2の実施形態にかかる別の電磁場処理する方法を示す説明図である。
【図47】本発明の第2の実施形態にかかる更に別の電磁場処理する方法を示す説明図である。
【図48】本発明の第2の実施形態にかかる電磁場処理した活性処理水の効果の持続性を示すグラフである。
【図49】本発明の第2の実施形態にかかる電磁場処理の効果を説明するための模式図である。
【図50】本発明の第3の実施形態にかかる地磁気の影響を除去する方法を示す模式図である。
【図51】本発明の第3の実施形態にかかる地磁気を磁気シールドする方法を示す断面図である。
【図52】本発明の第3の実施形態にかかる地磁気を磁気シールドする別の方法を示す断面図である。
【図53】本発明の第3の実施形態にかかる地磁気消磁の方法を示す断面図である。
【図54】本発明の第4の実施形態の電磁場処理装置の概略構成図である。
【図55】本発明の第4の実施形態の電磁場処理装置における特定の交番電流発生の回路ブロック図である。
【図56】本発明の第4の実施形態の好適な態様における被処理水の流路変更機構の構成図である。
【図57】本発明の第4の実施形態の好適な態様における電磁場処理装置の配置構成図である。
【図58】本発明の第4の実施形態の一変形例の電磁場処理装置の概略構成を示す図である。
【図59】本発明の第4の実施形態の一極性電流における共振周波数Aの共振特性を示すグラフである。
【図60】本発明の第4の実施形態の一極性電流における共振周波数Bの共振特性を示すグラフである。
【図61】本発明の第4の実施形態の共振周波数Aにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【図62】本発明の第4の実施形態の共振周波数Bにおける共振磁界の共振特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0141】
1,1a,33,33a,52 通水管
2,2a コイル
3 被処理水
4 交流電源
5,5a 活性処理水
6 磁界
7,25,26 電磁場付与部
8 タンク
9 貯留水
10 実験槽
11 間仕切り板
12,13,14 貯留室
15 ポンプ
16 リン酸カルシウム
17 採水管
21 第1の周波数電流
22 第2の周波数電流
23 第1の交流電源
24 第2の交流電源
27 水素イオン付着クラスター
28 水酸イオン付着クラスター
31 地磁気方向
32 垂直平面
34 磁気シールド
35 磁性体コア
36 磁気遮蔽容器
37 磁気センサー
38 定電流源
39 消磁用コイル
41 電磁場処理装置
42 交番電流供給部
43 駆動電源部
44 水晶振動子
45 周波数分周回路
46 周波数変調回路
47 振幅変調回路
48 邪魔板
49 円柱棒
50 連結材
51 炭酸ガス脱気装置
53 正捲回コイル
54 逆捲回コイル
55 一極性電流供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から1つの共振周波数を選択し、
前記選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流により前記コイルに振動電磁場を誘起することを特徴とする水の電磁場処理方法。
【請求項2】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から1つの共振周波数を選択し、
前記選択した共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流により、前記コイルに振動電磁場を誘起することを特徴とする水の電磁場処理方法。
【請求項3】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群および前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中からそれぞれ1つの共振周波数を選択し、
前記第1の共振周波数群から選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流と、前記第2の共振周波数群から選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流とにより前記コイルに振動電磁場を誘起することを特徴とする水の電磁場処理方法。
【請求項4】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理方法において、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群および前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中からそれぞれ1つの共振周波数を選択し、
前記第1の共振周波数群から選択した共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流と、前記第2の共振周波数群から選択した共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流とにより、前記コイルに振動電磁場を誘起することを特徴とする水の電磁場処理方法。
【請求項5】
前記第1の共振周波数群は、151.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−2、222.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−1、345.0Hzもしくはその近傍の共振周波数A、484Hzもしくはその近傍の共振周波数A、954Hzもしくはその近傍の共振周波数A、3.5kHzもしくはその近傍の共振周波数A、7.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、20.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、37.3kHzもしくはその近傍の共振周波数A、80.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Aを含み、
前記第2の共振周波数群は、205.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−2、301.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−1、466.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B、655Hzもしくはその近傍の共振周波数B、1.29kHzもしくはその近傍の共振周波数B、4.73kHzもしくはその近傍の共振周波数B、9.47kHzもしくはその近傍の共振周波数B、27.0kHzもしくはその近傍の共振周波数B、50.4kHzもしくはその近傍の共振周波数B、108.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Bを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項6】
前記共振周波数の電磁界誘起電流のピーク電流を特定の電流値にすることにより、前記共振周波数の電磁界誘起電流により前記コイルに誘起される振動磁界のピーク強度が、特定の磁界強度になる共振磁界の強度、あるいは前記共振磁界の共振特性における半値幅内にある磁界強度になるようにすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項7】
前記共振磁界の強度は、その基底モードの磁界強度の正整数倍になることを特徴とする請求項6に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項8】
前記共振周波数A(i=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記iの番号順にそれぞれ、5.3mGもしくはその近傍、7.4mGもしくはその近傍、12.3mGもしくはその近傍、17.3mGもしくはその近傍、31.9mGもしくはその近傍、130.6mGもしくはその近傍、323.0mGもしくはその近傍、1123.5mGもしくはその近傍、2556.0mGもしくはその近傍、6039.0mGもしくはその近傍であり、
前記共振周波数B(j=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記jの番号順にそれぞれ、7.1mGもしくはその近傍、10.4mGもしくはその近傍、16.3mGもしくはその近傍、23.5mGもしくはその近傍、47.1mGもしくはその近傍、188.2mGもしくはその近傍、463.5mGもしくはその近傍、1601.0mGもしくはその近傍、3342.5mGもしくはその近傍、7302.9mGもしくはその近傍であることを特徴とする請求項7に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項9】
前記コイルに対して地磁気の影響を除去することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項10】
前記地磁気の方向に直交する面内に前記コイルの軸心を配置することを特徴とする請求項9に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項11】
前記コイルを磁気遮蔽体により被包することを特徴とする請求項9に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項12】
前記地磁気の前記コイルの軸心方向の磁界強度を検出し、前記磁界強度が略ゼロになるように前記コイルに静磁場を付与することを特徴とする請求項9に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項13】
前記水に対して炭酸ガスの脱気処理を施した後に前記水を電磁場処理することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電磁場処理方法。
【請求項14】
前記コイルを巻きつけた領域の通水路に絶縁体を配置し前記水の流れを変えて前記水を電磁場処理することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の電磁場処理方法。
【請求項15】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、
コイルと、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から選択した1つの共振周波数の電磁界誘起電流を前記コイルに供給する電源と、
を有することを特徴とする電磁場処理装置。
【請求項16】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、
コイルと、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群あるいは前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中から選択した1つの共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数の電磁界誘起電流を、前記コイルに供給する電源と、
を有することを特徴とする電磁場処理装置。
【請求項17】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、
コイルと、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群の中の1つの共振周波数と、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中の1つの共振周波数とを振幅変調した交番電流を供給する交番電流供給部と、
前記交番電流供給部を駆動する駆動電源部と、
を有することを特徴とする電磁場処理装置。
【請求項18】
コイルに電磁界誘起電流を流し、前記コイルに誘起される振動電磁場を水に付与して前記水を活性化する水の電磁場処理装置であって、
コイルと、
前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第1の共振周波数群の中の1つの共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数と、前記水を活性化する前記電磁界誘起電流の第2の共振周波数群の中の1つの共振周波数の共振特性における半値幅内にある周波数とを振幅変調した交番電流を供給する交番電流供給部と、
前記交番電流供給部を駆動する駆動電源部と、
を有することを特徴とする電磁場処理装置。
【請求項19】
前記第1の共振周波数群は、151.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−2、222.5Hzもしくはその近傍の共振周波数A−1、345.0Hzもしくはその近傍の共振周波数A、484Hzもしくはその近傍の共振周波数A、954Hzもしくはその近傍の共振周波数A、3.5kHzもしくはその近傍の共振周波数A、7.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、20.0kHzもしくはその近傍の共振周波数A、37.3kHzもしくはその近傍の共振周波数A、80.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Aを含み、
前記第2の共振周波数群は、205.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−2、301.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B−1、466.0Hzもしくはその近傍の共振周波数B、655Hzもしくはその近傍の共振周波数B、1.29kHzもしくはその近傍の共振周波数B、4.73kHzもしくはその近傍の共振周波数B、9.47kHzもしくはその近傍の共振周波数B、27.0kHzもしくはその近傍の共振周波数B、50.4kHzもしくはその近傍の共振周波数B、108.0kHzもしくはその近傍の共振周波数Bを含むことを特徴とする請求項15ないし18のいずれか一項に記載の水の電磁場処理装置。
【請求項20】
前記電源あるいは前記交番電流供給部は、前記共振周波数の電磁界誘起電流のピーク電流を特定の電流値にし、前記共振周波数の電磁界誘起電流により前記コイルに誘起される振動磁界のピーク強度が特定の磁界強度になる共振磁界の強度、あるいは前記共振磁界の共振特性における半値幅内にある磁界強度になるようにすることを特徴とする請求項15ないし19のいずれか一項に記載の水の電磁場処理装置。
【請求項21】
前記共振磁界の強度は、その基底モードの磁界強度の正整数倍になることを特徴とする請求項20に記載の水の電磁場処理装置。
【請求項22】
前記共振周波数A(i=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記iの番号順にそれぞれ、5.3mGもしくはその近傍、7.4mGもしくはその近傍、12.3mGもしくはその近傍、17.3mGもしくはその近傍、31.9mGもしくはその近傍、130.6mGもしくはその近傍、323.0mGもしくはその近傍、1123.5mGもしくはその近傍、2556.0mGもしくはその近傍、6039.0mGもしくはその近傍であり、
前記共振周波数B(j=−2〜7の整数)の電磁界誘起電流における前記共振磁界の基底モードの磁界強度は、前記jの番号順にそれぞれ、7.1mGもしくはその近傍、10.4mGもしくはその近傍、16.3mGもしくはその近傍、23.5mGもしくはその近傍、47.1mGもしくはその近傍、188.2mGもしくはその近傍、463.5mGもしくはその近傍、1601.0mGもしくはその近傍、3342.5mGもしくはその近傍、7302.9mGもしくはその近傍であることを特徴とする請求項21に記載の水の電磁場処理装置。
【請求項23】
前記コイルに対して地磁気の影響を除去する手段が取り付けられていることを特徴とする請求項15ないし22のいずれか一項に記載の水の電磁場処理方法。
【請求項24】
前記水に対して炭酸ガスの脱気処理を施した後に前記水に前記電磁場処理を施すようになっていることを特徴とする請求項15ないし23のいずれか一項に記載の電磁場処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公開番号】特開2008−6433(P2008−6433A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140796(P2007−140796)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(302040928)
【Fターム(参考)】