説明

水を用いる高純度炭素ナノチューブの製造方法

本発明は、アーク放電法、レーザ気化法、気相蒸着法、気相連続合成法のように固相炭素、黒鉛又は炭化水素のような炭素源から形成された炭素を触媒の存在又は不在下で再結合して炭素ナノチューブを製造する際に、反応系に炭素源を基準として1乃至2000重量%の水を添加することで、高純度の炭素ナノチューブを製造する方法を提供する。本発明によれば、反応系内に水を添加することで炭化水素それ自体の熱分解による煤の形成を抑制し、生成された煤の水による還元反応を誘導して、触媒の不活性化を防止することで、高純度の炭素ナノチューブを経済的且つ容易に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を用いる高純度炭素ナノチューブの製造方法に関し、特に固相炭素又は炭素源から形成された炭素を触媒の存在又は不在下で再結合して炭素ナノチューブを製造する際に、反応系に水を添加して炭化水素それ自体の熱分解による煤(soot)の形成を抑制し、生成された煤の水による酸化或いは還元反応を誘導して高純度の炭素ナノチューブを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素ナノチューブは、1991年に日本の飯島(Iijima)博士によりその構造が初めて発見され、以後、現在まで炭素ナノチューブに関する合成と物性、そして応用に関する研究が活発に行われている。炭素ナノチューブ(CNT)はグラファイト面(graphite sheet)がナノサイズの直径で丸く巻かれた形態であり、グラファイト面が巻かれる角度及び構造によって電気的特性が導体又は半導体等となる。また、合成の際に用いる遷移金属の有無と種類によってグラファイト面の巻かれる形態が変わるが、単一壁ナノチューブ(Single−wall Nanotube)、多重壁ナノチューブ(Multi−wall Naotube)、多発型ナノチューブ(Rope Nanotube)に区分される。
【0003】
炭素ナノチューブの合成方法は、大きく2つに分類することができる。第一は、黒鉛のような固相の炭素を気化した後、冷却される過程で炭素ナノチューブが生成される条件を作る方法であって、固相の炭素を気化する方法によりアーク放電法とレーザ蒸着法等がある。第二は、炭化水素ガスのような炭素を含んでいる気体を触媒と反応させて炭素ナノチューブを合成する方法であって、多様な化学気相蒸着方法が用いられるが、例えば、熱分解蒸着法、熱化学気相蒸着成長法、プラズマ化学気相蒸着法等がある[参照、USP5,424,054(アーク放電);Chem.Phys.Lett.243,1−12(1995)(レーザ気化法);Science,273:483−487(1996)(レーザ気化法);USP6,210,800(触媒的合成法);USP6,221,330(気相合成法);WO00/26138(気相合成法)]。
【0004】
このような方法は数百乃至数千度の高い温度範囲条件のような深刻な反応条件下において炭素ナノチューブを合成するため、このような方法から製造された炭素ナノチューブには煤と呼ばれる非晶質(amorphous)炭素粒子及び結晶質黒鉛粒子が含まれる(以下、炭素ナノチューブの合成の際に発生する炭素ナノチューブ以外の炭素からなる全ての副産物を‘煤(soot)’と称する)。実質的に、炭素源として用いられる炭化水素や炭素の熱分解(pyrolysis)及びこの再結合過程からなる炭素ナノチューブの生成メカニズムにおいては、必然的にこのような煤のような副産物が生成される。即ち、分解された炭化水素又は固相炭素は触媒により炭素ナノチューブを形成するが、高温の反応温度により煤を形成することもある。
【0005】
これまでに、高純度の炭素ナノチューブを得るために炭素ナノチューブと共に発生した煤を除去する炭素ナノチューブの精製方法、又は炭素ナノチューブを製造する工程において根源的に煤の生成を抑制するか、又は生成された煤を除去する方法等が提案されてきた。
【0006】
炭素ナノチューブの精製法として、炭素ナノチューブの燃焼温度(約500−700℃)と煤の燃焼温度(約300−500℃)の差を利用した酸化法又は超音波を利用した精製法等を言及することができる。しかしながら、酸化反応はラジカル反応であるため、燃焼温度差が大きい2つの物質が物理的に混ざっていても、一旦進行されると非常に急激に反応が進んで調節が不可能であるという短所があり、これにより収率が相当低くなるという問題点がある。
【0007】
炭素ナノチューブの製造工程の途中で煤の発生を抑制するか、又は生成された煤を除去する方法としては、例えば、熱分解されても煤の生成が少ない炭化水素を炭素ナノチューブの炭素源として用いる方法、又は炭素源と共に水素、酸素、一酸化炭素等のように煤の生成を抑制するか、又は生成された煤を除去することのできる反応ガスを添加する方法等が提案されている。
【0008】
しかしながら、これらの方法は、煤の発生を抑制するために用いられる反応ガスの反応性が非常に高いため、全体的な炭素ナノチューブの収率を顕著に低下させるか、添加されるガスにより反応が複雑になり、炭素ナノチューブが合成されるのに影響を与える等、多くの問題点を抱えている。
【0009】
一方、水を利用して煤の生成を抑制する方法が燃焼分野又は内燃機関やディーゼルエンジン分野において研究されている。
【0010】
ディーゼルエンジンの燃料に水を添加して燃料の効率を高めるのは勿論のこと、大気汚染物質であるNOの発生を減らし、煤の生成を減らせるという研究結果が多く報告されてきた。
【0011】
G・グリブズら(G.Greeves et al.)は、水をディーゼル燃料と混合して用いると、シリンダ内部の高温下における爆発過程を経る際に、燃料の噴霧化(atomization)と混合度(mixing)が向上して、NOと煤の生成が抑制されると報告した[参照:Effects of Water Introduction on Diesel Engine, Combustion and Emissions,16th Symposium Interantional on Combustion,The Combustion Institute,1976,pp.321−336]。
【0012】
以上のような現象は、水粒子による燃料の運動量(momentum)の向上にも起因するが、同時に水が熱分解されて発生する強力な反応性を有するOHラジカルにより炭化水素の煤の生成が相当部分阻止され、生成された煤を消滅させるのに寄与することは既によく知られている。
【0013】
また、Lin CY等は、船舶用燃料に水を混合して用いることで煤の発生を相当抑制できることを報告した[参照:J.Ship Res.39(1995)172]。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者は、固相炭素又は炭素源により炭素ナノチューブを合成するにおいて、固相炭素又は炭素源と共に多様な方法により水を反応系内に導入することで炭素又は炭素源のそれ自体の熱分解による煤の形成を抑制し、生成された煤の水による酸化或いは還元反応を誘導して高純度の炭素ナノチューブが合成できることを見出して、本発明を完成した。
【0015】
本発明は、従来の多様な炭素ナノチューブの製造工程において、反応系内に水のみを更に添加することで炭素ナノチューブの合成の際に発生する煤を画期的に減らすことができるため、連続工程による炭素ナノチューブの大量合成方法や触媒が反応器に固定された状態で炭素ナノチューブを合成する方法等の従来の炭素ナノチューブの合成方法に簡単に適用することができる。
【0016】
従って、炭素源に反応性気体である水素等を添加して煤の生成を抑制する従来の炭素ナノチューブの製造方法とは異なり、本発明においては反応条件には大きな変化を引き起こすことなく、高純度の炭素ナノチューブ又は炭素ナノファイバー(GNF,graphitic nanofiber)を経済的且つ容易に生産することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、固相炭素、黒鉛及び炭化水素のような炭素源から形成された炭素を再結合して炭素ナノチューブを製造する方法において、反応系内に相当量の水を添加するか存在させることを特徴とする炭素ナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
本発明において、水の量は、炭素ナノチューブの製造工程を妨げるか混乱させなければ、厳密に限定されない。本発明の好ましい変形例において、水は反応に用いられた炭素源を基準として1〜2000重量%、特には30〜1000重量%、好ましくは50〜500重量%、更に好ましくは100〜300重量%の量で添加することができる。
【0019】
しかしながら、当業者であれば、上述した水の使用量は水の気化エネルギー等を考慮して限定したものであって、必要に応じて2000重量%以上の水も用いることができることを明確に理解すべきである。
【0020】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明において、‘煤(soot)'とは、非晶質炭素粒子及び結晶質黒鉛粒子から構成されるが、結晶化されていない微細炭素粒子が結晶化(graphite)されたものの、炭素ナノチューブとして育たずに小さい粒子の形を帯びていることを全て含んで指称するものである。
【0021】
本発明において、固相炭素、黒鉛又は炭化水素のような炭素源から形成された炭素は、高温、アーク放電、レーザ又はプラズマのような方法により形成された炭素、例えば気相炭素を意味するが、原子相炭素のみに限定されるものではなく、イオン又はラジカル状態の炭素も含むことができる。
【0022】
炭化水素や黒鉛の熱分解(pyrolysis)により形成された炭素、即ち、気相炭素の再結合により炭素ナノチューブを形成する従来の炭素ナノチューブ合成法においては、その反応メカニズムにより必然的に副産物である煤の生成を誘発する。即ち、固相炭素又は他の炭素源が分解されて形成された炭素は一般的に気相炭素であって、その一部は炭素ナノチューブに再結合され、一部は高温の反応温度により煤を形成するためである。
【0023】
本発明は、従来の炭素ナノチューブの製造過程に単純に水を添加するか反応系内に水を予め存在させることで従来の炭素ナノチューブの製造方法及び装置に大きな変化を誘発することなく、高純度炭素ナノチューブを容易に製造することのできる方法を提供する。
【0024】
一般的に、水は炭素や炭化水素と多様な反応を起こすが、例えば次のような反応を言及することができる:
【0025】
1.炭素−水反応(carbon−water reaction):
C+HO→CO+H (1)
【0026】
2.水−一酸化炭素反応(water gas shift reaction):
CO+HO→CO+H (2)
【0027】
3.スチーム改質反応(Steam reforming reaction):
HC+HO→H+CO (3)
【0028】
4.石炭気化反応(Coal gasification reaction):
石炭+HO→HC+CO+H (4)
【0029】
前記の反応は全て炭素或いは炭化水素と水が反応して起こすものであって、触媒反応においては150−800℃の間において進行するが、非触媒反応においては大部分500℃以上の温度において進行する。
【0030】
前記反応式(1)〜(4)中において、炭素−水反応(1)又は石炭気化反応(4)のように水と固体炭素との反応は炭素ナノチューブの合成過程において発生する可能性のある炭素源の熱分解による煤の生成を根源的に防ぐことができ、水による還元反応は既に生成された煤を除去できるようにする。
【0031】
またスチーム改質反応(3)のように炭素源である炭化水素と水との反応により炭化水素のそれ自体の熱分解による煤の生成が予防できるが、この反応過程において水と炭素源とが反応して生成された強力な酸化剤であるOHラジカルは、炭素源子の煤への転移を効果的に防ぎ、煤の酸化反応にも卓越した効果を示すものと期待される。一般的に水素ガスを炭素源と共に注入して炭素ナノチューブを合成すると、炭素源のみを利用して炭素ナノチューブを合成する時より遥かに高純度の炭素ナノチューブを合成することができる。しかしながら、水素原子は反応性が余りにも強力であるため、触媒により分解されて炭素ナノチューブの合成に用いられる炭素源子の大部分と反応して炭素ナノチューブの収率を顕著に低下させるという短所がある。しかしながら、水は水素とは異なり反応性が適当であるため、炭素ナノチューブの合成に大きな影響を与えることなく、高純度の炭素ナノチューブを合成できるようにする。
【0032】
本発明によれば、従来の炭素ナノチューブの工程条件又は装置を大きく変更させることなく、単に水のみを添加又は注入することで、炭化水素それ自体の熱分解による煤の形成を抑制し、生成された煤の水による還元反応を誘導して高純度の炭素ナノチューブを合成することができる。本発明の方法は連続気相合成又は化学蒸着法等の従来の炭素ナノチューブの合成方法に簡単に適用することができるため、高純度の炭素ナノチューブ又は炭素ナノファイバー(GNF)を容易且つ経済的に生産できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の方法は、固相炭素又は炭化水素のような炭素源から形成された炭素を触媒の存在又は不在下で再結合して炭素ナノチューブを製造する従来の工程に適用できる。本発明の方法の具体的な適用形態は次のように説明することができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
−アーク放電法(arc discharge)
アーク放電法においては、水平又は垂直に配置された2つの炭素電極の間に交流或いは直流を加えて放電を起こして炭素ナノチューブを合成する。炭素ナノチューブの収率の高い直流が大部分用いられ、炭素電極としては純度の高い黒鉛棒が用いられる。両極に純粋な黒鉛棒の代わりに金属を含む黒鉛棒を用いる場合、単一壁炭素ナノチューブが生成される。雰囲気ガスとしてはHeとHガスが用いられ、ガスの種類によって生成される炭素ナノチューブの収率や形が変化する。適当な圧力(Heの場合、200〜600Torr)を維持したまま放電を起こすと、両極は放電で消耗して、陰極表面には蒸着物が形成される。蒸着物は炭素ナノチューブと黒鉛等から構成される。
【0035】
アーク放電法において、水は反応系内に予め存在するか、雰囲気ガスと共に又は別途に添加することができる。水は連続的に又は配置式で添加することができる。アーク放電法において煤の量を減らすために用いられる水の量は特に限定されないが、一般的には反応に消耗される黒鉛の1〜2000重量%、特には30〜1000重量%、好ましくは50〜500重量%、更に好ましくは100〜300重量%の量で添加することができる。
【0036】
−レーザ蒸着法(laser ablation)
レーザ蒸着装置として、最初にスモーリー(Smalley)グループにおいて炭素ナノチューブを合成するのに用いた装備を言及することができる。黒鉛を蒸気化するためには3000℃以上の高温が必要とされるのに対し、フラーレン(fullerene)や炭素ナノチューブが生成される最適温度として1100〜1300℃の温度が必要とされる。レーザを利用して炉(furnace)の中に位置した黒鉛棒を蒸気化させ、蒸着は1200℃程の温度が維持される炉の中で行われるようにした。純粋な黒鉛棒を用いると多重壁炭素ナノチューブが生成されるが、黒鉛棒の中にCo、Ni、Y等の触媒を添加すると均一の単一壁炭素ナノチューブを合成することができる。
【0037】
レーザ蒸着法において、水は反応系内に最初から存在するか、反応中に連続的に又は配置式で添加することができる。レーザ蒸着法において、煤の量を減らすために用いられる水の量は特に限定されないが、一般的に反応に用いられる炭素源の1〜2000重量%、特には30〜1000重量%、好ましくは50〜500重量%、更に好ましくは100〜300重量%の量で添加することができる。
【0038】
−気相蒸着成長法(CVD)
気相蒸着成長法による合成においては、炭素を含んでいる気体状態の炭素源が触媒粒子と反応して炭素ナノチューブの蒸着物を形成する。そこで触媒の使用が必須的であり、このうちNi、Co、Fe等が最も多く用いられている。それぞれの触媒粒子は1つの種子(seed)として作用して炭素ナノチューブが形成されるため、触媒金属を数nmから数十nmの大きさの粒子で形状化することが炭素ナノチューブの合成の核心技術である。従来に用いていた方法としては薄膜状に触媒を蒸着して熱処理で凝集化させるか、プラズマエッチング又はエッチング液を介して粒子状に作る方法がある。また、ゾル−ゲル工程(sol−gel process)を介して、或いは金属粒子を溶液に溶解させた後、基板に塗布する方法等が利用されることもあり、Al基板等をエッチング液を用いて調節可能なナノ空隙(nanopore)を作った後、この中に触媒を装着して成長させる方法がある。
【0039】
炭素ナノチューブの成長は、PECVD(Plasma Enhanced CVD)、Thermal CVD、LPCVD(Low Pressure CVD)、HFCVD(Hot Filament CVD)等、従来の全てのCVD装置においてなされることができる。このように生成された炭素ナノチューブの大部分は多重壁ナノチューブであり、単一壁ナノチューブの形成は非常に珍しい。
【0040】
このような気相蒸着成長法において、水は反応系内に最初から存在するか炭素源と共に又は別途に、そして連続的に又は間欠的に注入できる。水の量は特に限定されないが、反応系に供給される炭素源を基準として一般的に1〜2000重量%、特には30〜1000重量%、好ましくは50〜500重量%、更に好ましくは100〜300重量%の量で添加することができる。
【0041】
−気相合成法
微細な粒子状の触媒を炭素源と共に反応器内に連続的に供給することで炭素ナノチューブを気相に連続的に製造することができる。例えば、本出願人の国際特許公開WO03/008331号(2003年1月30日公開)は、触媒ナノ粒子を任意の界面活性剤を用いたコロイド性溶液の形に製造し、これを任意の炭素源と共に加熱された反応器内に気相に導入することを特徴とする炭素ナノチューブの連続気相合成法を開示しており、その内容はここに参考として混入される。
水を反応系内に導入する方法としては、別途の水注入口を介して噴霧又は気化する方法、炭素源である炭化水素との混合物又はエマルジョンの形で注入する方法等を言及することができるが、これらに限定されない。界面活性剤を用いて水及び炭素源である有機溶媒から製造された水中油又は油中水エマルジョンは、炭素源と水が非常に均一な溶液のような形で存在するため好ましい。水の量は特に限定されないが、反応系に供給される炭素源を基準として一般的に1〜2000重量%、特には30〜1000重量%、好ましくは50〜500重量%、更に好ましくは100〜300重量%の量で添加することができる。
【0042】
本発明の1つの変形例によれば、界面活性剤を用いて水及び炭素源である有機溶媒から製造された水中油又は油中水エマルジョンは、好ましくはナノメートルの大きさである触媒粒子(以後、触媒ナノ粒子と称する)を含むことができる。触媒ナノ粒子は、エマルジョン媒質内に単に分散された形で存在するか、もしくは水中油又は油中水エマルジョン粒子の内部に捕獲された形で、例えば水中油−中−金属粒子(‘金属粒子−in water−in oil’)又は油中水−中−金属粒子(‘金属粒子−in oil−in water')の形、又はこれらの混合物の形で含まれることができる。触媒粒子がエマルジョン粒子の内部に含まれると、水と触媒粒子の分散度を向上させることができ、結果的に反応器内部に注入されたときに更に均一に分布させることができるため、非常に均一且つ純度の高い炭素ナノチューブを合成することができる。
【0043】
本発明において用いられ得る触媒の類型は特定のものに限定されず、例えば、前記において言及した金属元素それ自体、これらの酸化物、窒化物、ホウ素化物、フッ化物、臭化物、硫化物、又はこれらの混合物を言及することができる。また、2種以上の金属種を含む金属粒子を複合体又は合金の形で製造することができ、界面活性剤及び溶媒の類型と使用量によって他のものと金属塩ミセル(micelle)の粒子の大きさ及びその分布を容易に調節することができる。本発明において、必要に応じて炭素ナノチューブの製造過程における触媒として作用しない金属も触媒として作用する金属と共に合金又は混合物の形で添加できることは勿論である。
【0044】
本発明において、金属ナノ粒子のコロイド性溶液を製造するために用いられる溶媒としては、水又は極性又は非極性有機溶媒を言及することができる。極性又は非極性有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族有機溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのような脂肪族有機溶媒、及びエタノール、プロピルアルコールのような極性溶媒、又はこれらの混合物から構成された群から選ばれることができる。
【0045】
本発明において、触媒、水及び/又は炭素源或いはこれらを含むコロイド性溶液は、それ自体で又はキャリアと共に反応器内に導入できる。キャリアとしては、例えばアルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素のような非活性気体、又は前述の極性又は非極性有機溶媒を言及することができる。
【0046】
本発明において、金属ナノ粒子又はこれを含むコロイド性溶液の製造方法は当業界において公知の方法、例えば、機械的粉砕法(grinding)、共沈法、噴霧法、ゾル−ゲル法、電気分解法、エマルジョン法、逆相エマルジョン法等により製造することができ、上述の本出願人による国際特許出願公開WO03/008331号に記載の方法又はUSP5,147,841号に記載の方法を言及することができるが、これらは本発明に参考として混入される。
【0047】
本発明において、液相又は気相であり得る炭素源として、前述した界面活性剤又は有機溶媒をそのまま利用できるだけでなく、他の炭化水素、例えば、一酸化炭素、炭素数1乃至6の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素又は炭素数6乃至10の芳香族炭化水素から構成された群から選ばれる有機化合物を用いることができる。このような炭素源は酸素、窒素、塩素、フッ素、硫黄から構成された群から選ばれるヘテロ原子を1〜3個有し得る。
【0048】
本発明の1つの好ましい具現例によると、水と炭素源と共にH、HS、NH等のように特性化された気体(special gases)を供給することもできる。特性化された気体の量は厳密に限定されず、当業界において通常用いられる適切な量で用いられる。
【0049】
本発明のまた1つの利点は触媒の不活性化の抑制である。一般的に、触媒を用いた炭素ナノチューブの製造過程において、500℃以下の低温において重合反応による非晶質炭素薄膜の形成、又は600℃以上の高温において炭化水素の過度な熱分解により触媒を取り囲む炭素層の形成によって、触媒がそれ以上炭素源と反応できなくなる触媒の不活性化現象が報告されている。即ち、炭化水素のような炭素源が分解される触媒の表面において炭素源の分解率(炭素の生成率)が炭素ナノチューブの生成率より高い場合に触媒の不活性化が発生する。本発明に基づいて、反応系に添加された水は触媒表面の煤の形成を抑制して形成された煤を除去することで、触媒の不活性化をある程度防止することができる。反応ガス内に水素を添加してもこのような触媒の不活性化の防止にある程度効果はあるが、上述のように水素は反応系内に別の問題点を誘発する可能性があるという短所がある。
【0050】
本発明においては、このような触媒の不活性化現象が水の添加により抑制されることにより触媒の活動時間が長いため、炭素ナノファイバーの製造においても有利である。
【0051】
本発明のまた他の長所として、水は煤生成を抑制又は除去するために添加される水素のような他の反応ガスに比して反応性が低いため、水の添加量は厳密に規定されることなく相当広範囲な範囲内において決定され得るだけではなく、反応の中にあってその添加される量を厳密に調節することなく相当の範囲内において可変的であっても反応に致命的にはならないため、反応を行うにおいて相当の余裕が生じる。
【0052】
本発明は下記実施例を参照にして更に詳しく説明できるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
実施例1
(a)触媒の製造:表面積250m/gのアルミナパウダーをFe(NOとCo(NOの水溶液に混合した後、一般的に触媒を製造する方法と同様な触媒担持法(impregnation)により担持した。触媒担持後300℃の温度で空気雰囲気下において焼成した。得られた触媒は鉄とコバルトとをそれぞれ5wt%含んでいる。
【0054】
(b)炭素ナノチューブの製造:前記(a)において製造された、鉄とコバルトとが共沈したアルミナ触媒0.2gを石英(quartz)ボートに入れて電気炉に位置した直径27mmの石英管反応器の中央部に位置した後、ヘリウムガスを100cc/minの速度で流しながら1000℃まで反応炉の温度を上げた。反応器の温度が1000℃に至るとヘリウムガスに気化したベンゼン2vol%と、同様に別途のヘリウムガスに気化した水10vol%となるように反応器内部へ注入して30分間炭素ナノチューブを合成した。
【0055】
得られた生成物を走査電子顕微鏡(SEM)で分析して不純物である煤の量が約20%である炭素ナノチューブの存在を確認することができた。
【0056】
図1は、実施例1において合成した炭素ナノチューブを走査電子顕微鏡で分析した写真である。
【0057】
実施例2
水100mlに臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB、Cetyltrimethylammonium bromide)5gを溶かし、ベンゼン10mlを混ぜてベンゼンナノ粒子が均一に分布するエマルジョン溶液を製造した。実施例1において製造したものと同一の触媒0.2gを石英(quartz)ボートに入れて電気炉に位置した直径27mmの石英管反応器の中央部に位置した後、ヘリウムガスを100cc/minの速度で流しながら1000℃まで反応炉の温度を上げた。反応器の温度が1000℃に至ると、前記において製造したベンゼンエマルジョン溶液を0.34ml/minで反応器内部へ注入して30分間炭素ナノチューブを合成した。
【0058】
得られた生成物を走査電子顕微鏡(SEM)で分析した結果、実施例1より煤の生成が減ったことが確認できたが、透過電子顕微鏡(TEM)で分析した結果、平均直径1.2nm程の実施例1と同様の炭素ナノチューブが合成されたことを確認した。
【0059】
図2は、実施例2において合成した炭素ナノチューブを走査電子顕微鏡で分析した写真である。
【0060】
実施例3(比較)
高純度炭素ナノチューブの合成における水の役割を調べるために、実施例1と同様に製造した触媒と同一の反応条件で炭素ナノチューブを合成した。今回は水を注入せずにベンゼン2vol%となるようにヘリウムガスに気化して1000℃において30分間反応実験を行った。
【0061】
得られた生成物を走査電子顕微鏡(SEM)で分析した結果、相当量の煤粒子が炭素ナノチューブと共存することが認められ、透過電子顕微鏡(TEM)で分析した結果、平均直径1.2nm程の炭素ナノチューブであることが確認できた。
【0062】
図3に、実施例3において合成した炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真を示した。
【0063】
炭素ナノチューブを合成する際に水を注入して得られた炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真(図1及び図2)においては、煤の存在を確認することができないか、又は極めて少量の煤の存在が確認できたのに対し、ベンゼンのような有機溶媒の存在下に水を注入せずに得られた炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真(図3)においては、実際に相当量の煤が存在することが確認できる。
【0064】
図4は、実施例2と実施例3から得られた炭素ナノチューブの純度をラマン(Raman)分光法で分析した結果を示したものである。
【0065】
炭素ナノチューブのシグナルであるG−バンドシグナル(1590cm−1)を同じ大きさに設定して不純物である煤の量を示すD−バンドシグナル(1360cm−1)の大きさを比較した。D−バンドシグナルが実施例2においては殆ど見られないのに対し、実施例3においては相当の大きさで検出されることが分かる。この結果は、実施例3において得られた炭素ナノチューブは実施例2において得られたものに比して不純物の量が更に相当多いことを表す。ラマン分光法による炭素ナノチューブの純度比較は、文献[S.Maruyama et al.,Chemical Physics Letters,360(2002),229]を参照した。
【0066】
結論からして、水を添加して製造された実施例2の炭素ナノチューブは不純物が殆どなく、高純度の炭素ナノチューブが合成されたことを表す。これはSEMとTEMとを通じた分析と一致する結果である。
【0067】
実施例4
実施例1のような方法から製造した触媒を利用して反応温度800℃においてアセチレン5vol%を炭素源として注入し、水10vol%を共に注入し炭素ナノチューブを合成した。分析の結果、平均直径2nmの高純度炭素ナノチューブが得られた。水を反応器に注入して合成した炭素ナノチューブが水を注入せずにアセチレン5vol%のみを注入して合成した炭素ナノチューブよりもSEM分析の結果、遥かに煤の量が少なく、高純度の炭素ナノチューブが合成された。
【0068】
実施例5
実施例1に炭素源としてベンゼン1vol%を注入し、水10vol%を共に気化して注入し炭素ナノチューブを合成した。分析の結果、平均直径2nmの高純度炭素ナノチューブが得られた。SEM分析の結果、煤の形成は5%未満と表された。
【0069】
水を注入せずにベンゼン1vol%のみを注入して合成した炭素ナノチューブにおいては約20%程の煤の形成が観察された。SEM分析は、水を反応成分中の1つとして添加した場合に煤の量が少なく、高純度の炭素ナノチューブが合成されたことを表した。
【0070】
実施例6
ベンゼン40mlに0.1M(1.46g)のCTAB及び5.93gのブタノール(CTAB量の20倍)を添加してベンゼン溶液を製造した。5.76gの水(CTAB量の80倍)にベンゼンを基準として0.01M(0.065g)のFeClを溶解させて水溶液を製造した。得られたベンゼン溶液と水溶液とを混合してエマルジョンを製造し、ここに0.046gのNaBH(FeClの3倍)を添加して均一に混合することで、鉄粒子が均一に分布する微細エマルジョン(microemulsion)溶液を製造した。ここでCTABはカチオン性界面活性剤であって、形成されるナノ粒子を安定化させる界面活性剤であり、ブタノールは共界面活性剤であり、NaBHは鉄イオンを金属に還元させる還元剤である。
【0071】
前記溶液は、鉄粒子が平均直径6nmである安定化した溶液であり、水とベンゼンとが混合されているが、共界面活性剤の役割をするブタノールにより水粒子が極めて均一且つ安定化して存在する。
【0072】
前記において得られた溶液(0.34ml/min)を運搬ガス(Ar、流量100sccm)と共に内部温度1000℃の反応器内に20分間導入して炭素ナノチューブ合成反応を進め、黒色粉末形状の生成物を得た。
【0073】
図5は、触媒粒子が均等に分散したベンゼン溶液に一定量の水が含まれている溶液から合成した炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真である。
【0074】
一般的にベンゼンを炭素源として用いると、煤が多く生成されることが知られているが、水を添加して炭素ナノチューブを合成した結果、他の炭素源と大きな差を表さない程度の少量の煤の生成が確認された。
【0075】
実施例7(比較)
実施例6と同様の条件であるが、水の量をFeClの還元に関与する少量のみを用いて鉄粒子が均一に分布するベンゼン溶液を用いて炭素ナノチューブを合成した。
【0076】
図6は、水が含まれていないベンゼン溶液に触媒粒子が均等に分散した溶液で合成した炭素ナノチューブの写真である。炭素ナノチューブと共に多量の煤の存在が確認できた。
【0077】
実施例6と実施例7との結果を比較すると、水が反応に参与した実施例6の場合に煤の量が確実に少ないことが分かる。
【0078】
実施例8
ベンゼンの代わりにヘキサンを用いることを除いては、実施例6と同様に溶液を製造しており、実施例6と同様の結果が得られた。
【0079】
実施例9
ベンゼン40mlに0.1M(1.46g)のCTAB及び0.2M(5.93g)のブタノールを添加してベンゼン溶液を製造した。1.44gの水(CTABの20倍)にベンゼンを基準として0.01M(0.095g)のCoCl・6HOを溶解して水溶液を製造した。得られたベンゼン溶液と水溶液とを混合してエマルジョンを製造した。
【0080】
同様の方式で、CoCl・6HOの代わりに0.01M(0.031g)のNaSを用いて溶液を製造した。
【0081】
前記において得られた2つのベンゼン溶液を混合してCoS粒子が均一に分布する微細エマルジョン(microemulsion)溶液を製造した。
【0082】
前記溶液は、CoS粒子が平均直径4nmである安定化した溶液であり、水とベンゼンとが混合されているが、共界面活性剤の役割をするブタノールにより水粒子が極めて均一且つ安定化して存在する。
【0083】
前記において得られた溶液(0.34ml/min)を運搬ガス(Ar、流量100sccm)と共に内部温度1000℃の反応器内に20分間導入して炭素ナノチューブ合成反応を進め、黒色粉末形状の生成物を得た。
【0084】
得られた生成物を走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)で分析して、平均直径10nm程の炭素ナノチューブが得られたことを確認し、不純物である煤は全生成物の5%未満と確認された。
【0085】
実施例10
水10mlとエタノール40mlに3.516g(10wt%、エタノール基準)のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノ−ラウレート(Tween(登録商標)−20)及びFeCl0.0648g(0.4mmol、0.01Mベンゼン溶液を作る量)を添加し、CoCl0.052g(0.4mmol、0.01Mベンゼン溶液を作る量)を添加して均一の溶液を製造した。この溶液に0.091g(2.4mmol)のNaBHを添加して、鉄−コバルトナノ粒子が合金を成して存在する均一な溶液を製造した。
【0086】
ここでTween(登録商標)−20はノニオン性界面活性剤であって、形成されたナノ粒子を安定化する役割をし、NaBHは金属イオンを還元させる還元剤として用いられた。
【0087】
前記において得られた溶液(0.34ml/min)を運搬ガス(Ar、流量100sccm)と共に内部温度800℃の反応器内に20分間導入して炭素ナノチューブ合成反応を進め、黒色粉末形状の生成物を得た。
【0088】
得られた生成物を走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)で分析して、平均直径10nm程の炭素ナノチューブが得られたことを確認し、不純物である煤は全生成物の10%未満と確認された。
【0089】
実施例11
実施例10において溶液の組成を水40mlとエタノール10mlに変化させた実施例10の溶液を用いるが、実施例9と同様の方法で、鉄とコバルトが合金を成してナノ粒子が均等に分散されている溶液を製造した。
【0090】
前記において得られた溶液(0.34ml/min)を運搬ガスなしに内部温度800℃の反応器内に20分間導入して炭素ナノチューブ合成反応を進め、黒色粉末形状の生成物を得た。
【0091】
得られた生成物を走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)で分析して、平均直径10nm程の炭素ナノチューブが得られたことを確認し、不純物である煤は全体生成物の10%未満と確認された。
【0092】
この実験において、水は煤の生成を抑制する役割の他に、炭素源を反応器内部まで導入するキャリアの役割もしている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施例1において合成した炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例2において合成した炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例3において合成した炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例2と実施例3の炭素ナノチューブサンプルをラマン(Raman)分析して実施例2と実施例3の試料の相対的な炭素ナノチューブの純度を比較した分析結果である。
【図5】水を含むベンゼン溶液に触媒粒子を揃って分散させた溶液を用いて合成された実施例6の炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真である。
【図6】水を含まないベンゼン溶液に触媒粒子を均等に分散させた溶液を用いて合成された実施例7の炭素ナノチューブの走査電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相炭素、黒鉛及び炭化水素のような炭素源から形成された炭素を触媒の存在又は不在下に再結合させて炭素ナノチューブを合成する方法において、反応系内に水を添加するか又は存在させることを特徴とする高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項2】
前記水は、炭素源と共に又は別途に反応系内に供給されることを特徴とする請求項1に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項3】
前記水は、炭素源の総重量に対して1乃至2000重量%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項4】
前記触媒は、遷移金属、貴金属、アルカリ金属及びアルカリ土金属から構成された群から選ばれる1つ以上の金属であることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項5】
炭素源として黒鉛をアーク放電又はレーザ気化させることを特徴とする請求項1に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項6】
炭素源として炭化水素を気相に供給することを特徴とする請求項1に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項7】
前記触媒は、ナノ粒子の形又はそのコロイド溶液の形で連続的に又は間欠的に供給されることを特徴とする請求項1に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項8】
前記コロイド溶液は、ナノ粒子の形の触媒が界面活性剤の存在下で水、ベンゼン、トルエン又はキシレンのような芳香族有機溶媒、ヘキサン、ヘプタン又はオクタンのような脂肪族有機溶媒のような非極性有機溶媒、エタノール又はプロピルアルコールのような極性溶媒、及びこれらの混合物から構成された群から選ばれる溶媒中に分散されている、触媒ナノ粒子の溶液であることを特徴とする請求項7に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項9】
前記ナノ粒子の触媒は、元素性金属、金属の酸化物、窒化物、ホウ素化物、フッ化物、臭化物、硫化物、及びこれらの混合物から構成された群から選ばれることを特徴とする請求項7又は8に記載の炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項10】
水は、界面活性剤の存在下で炭素源として用いられる炭化水素と共に油中水又は水中油エマルジョンの形で添加されることを特徴とする請求項1又は7に記載の方法。
【請求項11】
前記油中水又は水中油エマルジョンは、触媒のナノ粒子をエマルジョン媒質内に分散された形で、又は油中水又は水中油エマルジョン粒子内に捕獲された形で含むことを特徴とする請求項10に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項12】
前記界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、ノニオン性又は両性炭化水素系、シリコーン系、フルオロカーボン系界面活性剤から構成された群から選ばれることを特徴とする請求項10に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項13】
前記炭素源は、前記溶媒、前記界面活性剤、一酸化炭素、炭素数1乃至6の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素及び炭素数6乃至10の芳香族炭化水素から構成された群から選ばれ、酸素、窒素、塩素、フッ素及び硫黄から構成された群から選ばれるヘテロ原子を1〜3個有し得ることを特徴とする請求項1に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項14】
前記炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのような脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロピルアルコールのようなアルコール、アセトンのようなケトン、及びこれらの混合物から構成された群から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の高純度炭素ナノチューブの製造方法。
【請求項15】
、HS、NHから選ばれる任意の特性化された気体(special gases)を供給することを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−513047(P2007−513047A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542494(P2006−542494)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003109
【国際公開番号】WO2005/054123
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506185218)ケイエイチ ケミカルズ カンパニー、リミテッド (3)
【Fターム(参考)】