説明

水中位置測定システムおよび方法

【課題】水中の測定点の位置を、水の温度や比重の影響を受けることなく、簡便に高精度で測定可能な水中位置測定システムおよび方法を提供する。
【解決手段】上端部にGPSアンテナ13を設置した筒状の水中スタッフ2を、その下端を測定対象となる水中の測定点Pに位置決めして立った状態で保持し、この状態でGPSアンテナ13から逐次送信される位置データをデータ受信機14により受信して制御装置15に入力するとともに、水中スタッフ2の内部で筒軸方向に緊張して設置したワイヤ18の傾斜角度を傾斜計17により逐次検知し、この検知した傾斜角度を制御装置15に入力し、傾斜角度が予め設定した許容傾斜角度a1以下の場合の位置データのみを選択し、選択した複数の位置データを平均することにより測定点Pの位置データを算出して測定点位置データとしてモニター16に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中位置測定システムおよび方法に関し、さらに詳しくは、水中の測定点の位置を、水の温度や比重(塩分濃度)の影響を受けることなく、簡便に高精度で測定可能な水中位置測定システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海底に沈埋函を設置する場合は、既設の沈埋函に対して設定どおりに接続させるために、既設の沈埋函の位置を正確に把握する必要がある。このように沈埋函を海底に設置する場合に限らず、水中の特定の測定点の位置や、水中の特定の測定点間の距離を把握するには、一般に、超音波による測定方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
超音波による測定方法では、発生させた超音波が対象物で反射して戻ってくるまでの時間に基づいて位置(距離)を算出している。ところが、超音波の速度は、海水などの伝達媒体の特性によって変化するため、海水の水温、比重(塩分濃度)等によって測定した位置データがばらつき、測定精度を向上させるには限界があった。また、測定精度を向上させようとすれば、これら伝達媒体の特性を詳細に考慮したデータ補正を行なう必要があるので、作業が複雑になるとともに工数が増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−90101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水中の測定点の位置を、水の温度や比重(塩分濃度)の影響を受けることなく、簡便に高精度で測定可能な水中位置測定システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の水中位置測定システムは、上端部にGPSアンテナを設置した筒状の水中スタッフと、GPSアンテナから逐次送信される位置データを受信するデータ受信機と、データ受信機が受信した位置データが入力される制御装置と、制御装置に接続されたモニターとを備え、前記水中スタッフの内部に筒軸方向にワイヤを緊張して設置するとともに、このワイヤの傾斜角度を逐次検知する傾斜計を設け、この傾斜計により検知した傾斜角度を前記制御装置に入力する構成にして、前記制御装置に予め許容傾斜角度を入力しておき、前記検知した傾斜角度が許容傾斜角度以下の時の位置データのみを選択し、選択した複数の位置データを平均することにより前記水中スタッフの下端の測定点の位置データを算出して測定点位置データとして前記モニターに表示することを特徴とするものである。
【0007】
ここで、前記許容傾斜角度を、例えば、鉛直に対して3°以下に設定する。前記水中スタッフに浮体を取付けることもできる。
【0008】
本発明の水中位置測定方法は、上端部にGPSアンテナを設置した筒状の水中スタッフを、その下端を測定対象となる水中の測定点に位置決めして立った状態で保持し、この状態でGPSアンテナから逐次送信される位置データをデータ受信機により受信して制御装置に入力するとともに、前記水中スタッフの内部で筒軸方向に緊張して設置したワイヤの傾斜角度を傾斜計により逐次検知し、この検知した傾斜角度を前記制御装置に入力し、前記傾斜角度が予め設定した許容傾斜角度以下の時の位置データのみを選択し、選択した複数の位置データを平均することにより前記測定点の位置データを算出して測定点位置データとして前記制御装置に接続されたモニターに表示することを特徴とするものである。
【0009】
ここで、前記許容傾斜角度を、例えば、鉛直に対して3°以下に設定する。前記水中スタッフに取付けた浮体によって、水中での水中スタッフの移動を補助する浮力を付与することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上端部にGPSアンテナを設置した筒状の水中スタッフを、その下端を測定対象となる水中の測定点に位置決めして立った状態で保持し、この状態でGPSアンテナから逐次送信される位置データをデータ受信機により受信して制御装置に入力するとともに、水中スタッフの内部で筒軸方向に緊張して設置したワイヤの傾斜角度を傾斜計により逐次検知し、この検知した傾斜角度を前記制御装置に入力するので、水中スタッフが撓んだとしても、水中の測定点とGPSアンテナを結ぶ直線の鉛直に対する真の傾斜角度を検知することができる。そして、測定点位置データを算出する際に、傾斜計によって検知した傾斜角度が、予め設定した許容傾斜角度以下の時の位置データのみを選択することで、水中スタッフがほぼ鉛直に立っている状態のGPSアンテナの位置データのみを用いるようになるので、測定点位置データの測定精度を向上させることが可能になる。
【0011】
さらに、このように選択した複数の位置データを平均することにより測定点位置データとするので、個々の位置データよりも、実際の測定点に対するばらつきが小さくなって、より一層、精度よく測定点位置データを得ることができる。このようにして算出した測定点位置データを制御装置に接続されたモニターに表示することにより、測定点位置データを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の水中位置測定システムの全体概要を示す説明図である。
【図2】図1の水中スタッフを例示する正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1のモニターの表示を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の水中位置測定システムおよび水中位置測定方法について図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
図1、図2に例示するように、本発明の水中位置測定システム1(以下、測定システム1という)は、筒状の水中スタッフ2を有し、この水中スタッフ2の上端部に設置されたGPSアンテナ13と、GPSアンテナ13から逐次送信される位置データを受信するデータ受信機14と、データ受信機14が受信した位置データが入力される制御装置15と、制御装置15に接続されたモニター16とを備えている。制御装置15としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。データ受信機14には、その他にGPS基地局(陸上基準点)から無線伝送される位置補正情報が入力され、GPSアンテナ13の位置が把握できるRTK−GPSになっている。
【0015】
さらに、この測定システム1は、水中スタッフ2の内部(中空空間)に筒軸方向に緊張した状態で設置されたワイヤ18と、このワイヤ18の傾斜角度を逐次検知する傾斜計17とを有している。傾斜計17により検知された傾斜角度は制御装置15に入力されるように構成されている。
【0016】
水中スタッフ2は、その下端に、球体部10bを突設した円錐状の下端部材10が嵌め込まれて塞がれており、上端開口した真直ぐな円筒体になっている。水中スタッフ2の長さは、特に限定されるものではないが、例えば、10m〜30m程度である。
【0017】
複数の筒状体を継足して水中スタッフ2を構成すると、輸送や保管する際の取扱い性が向上する。また、この実施形態では水中スタッフ2の外周面に浮体19が取付けられている。尚、本発明では、ベース11を設けずに、水中スタッフ2の下端を尖らせた形状にして、この尖らせた下端を直接、後述する沈埋函21の表面に位置決めして載置することもできる。
【0018】
水中スタッフ2の下端に設けられた球体部10bは、ベース11に突設された保持ケーシング11aに収容されるように回転自在に保持されている。これにより、ベース11に対して水中スタッフ2が回転することができ、水中スタッフ2が鉛直に対してある程度の範囲内で任意に傾斜できるようになっている。
【0019】
図3に例示するように、四角形状の平板のベース11の表面には、直交する位置決め線L1、L1が記されている。このベース11には四角形の穴が4つ形成されており、水中移動する際の水の抵抗が小さくなるようになっている。ベース11の形状は円形状等でもよく、特に限定されるものではない。
【0020】
水中スタッフ2の上端部には、複数本(例えば4本)のフレーム柱4aと上下のフレーム板4b、4bとからなるフレーム3が固定されている。このフレーム3に対して、GPSアンテナ13が固定された架台5が、上下移動可能に取付けられている。
【0021】
GPSアンテナ13を上方に設置した架台5は、支柱7および上下方向に進退するシリンダ6により支えられている。支柱7およびシリンダ6は、上側のフレーム板4bを上下に貫通し、それぞれの下端はジンバル機構9の上部に固定されている。
【0022】
ジンバル機構9の下部には、傾斜計17が固定され、この傾斜計17の底部には取付台12が固定されている。ジンバル機構9は、第1軸9aと第2軸9bとを互いの軸方向が直交するように配置して上下に重ねて固定している。このように傾斜計17は、ジンバル機構9を介して架台5(GPSアンテナ13)に取付けられた構造になっている。
【0023】
取付台12にはワイヤ固定部12aが下方に突設され、下端部材10にはワイヤ固定部10aが上方に突設されている。それぞれのワイヤ固定部10a、12aにワイヤ18の端部が接続されている。
【0024】
支柱7の長さ方向中途の位置には調節ナット8bが螺合されており、調節ナット8bと上側のフレーム板4bとで挟むようにコイルスプリング8aが支柱7に外挿されている。調節ナット8bを回転させて下方移動させることによりコイルスプリング8aを圧縮させると、支柱5と一体化している架台5は、コイルスプリング8aによって上方に付勢される。
【0025】
即ち、調節ナット8bの支柱7に対する上下位置を調節することにより、架台5に作用する付勢力を変化させることができる。架台5、ジンバル機構9、傾斜計17および取付台12は一体的に上下移動するので、調節ナット8bの上下位置を調節することにより、ワイヤ18に適度なテンションを付与して緊張させることができる。
【0026】
このようにして、ワイヤ18は筒状の水中スタッフ2の内部の中空空間で筒軸方向に緊張して設置される。ワイヤ18は、水中スタッフ2の内周壁に接しないように緊張させる。
【0027】
ベース11に対して水中スタッフ2が回転移動して、水中スタッフ2が鉛直に対して傾斜すると、傾斜計17はジンバル機構9によって任意の方向に傾斜できるので、緊張されたワイヤ18と常に同じように(同じ方向および同じ傾斜角度で)傾斜する。したがって、緊張したワイヤ18の鉛直に対する傾斜角度が傾斜計17によって逐次検知できるようになっている。換言すると、この傾斜計17によって、水中スタッフ2の下端とGPSアンテナ13とを結ぶ直線の鉛直に対する傾斜角度を逐次検知することができる。傾斜計17がワイヤ18の傾斜角度を検知する間隔は適宜、設定できるが、例えば、0.1秒から1.0秒の一定間隔で検知する。
【0028】
次に、測定システム1を用いた本発明の水中位置測定方法を、水中に設置された沈埋函21の特定の位置(測定点P)を測定する場合を例にして説明する。
【0029】
まず、作業船20によって測定点Pの近傍の水域まで移動する。作業船20にはデータ受信機14、制御装置15およびモニター16が搭載されている。測定点Pの近傍の水域では、作業船20上で作業者が水中スタッフ2を保持して水中に立てるようにする。測定の際には、水中スタッフ2が浮かないように内部(中空空間)には水が流入した状態になる。
【0030】
ここで、ベース11に記された位置決め線L1、L1を、沈埋函21の表面に記された位置決め線L、Lに合致させるように潜水士が水中スタッフ2の下端を誘導する。直交する位置決め線L、Lの交点が測定点Pになっている。このようにして、水中スタッフ2の下端を測定点Pに位置決めする。
【0031】
本発明では、基本的に、水中スタッフ2を測定点Pの上で鉛直に立った状態にして、その時に測定点Pの真上にあるGPSアンテナ13の位置データを測定点位置データとして用いる。即ち、この時のGPSアンテナ13の水平方向位置(X座標およびY座標)は、測定点Pと同一なので、GPSアンテナ13の水平方向位置をそのまま、測定点Pの位置データとして採用することができる。また、測定点Pの高さ方向位置(Z座標)は、GPSアンテナ13の位置よりも所定長さだけ下方になる。この所定長さは、水中スタッフ2の下端からGPSアンテナ13までの距離であり、既知の値なので、GPSアンテナ13の高さ方向位置からこの所定長さを差し引くことにより、測定点PのZ座標を得ることができる。
【0032】
しかしながら、作業船20の上の作業者が、立った状態の水中スタッフ2を保持するので、水中スタッフ2を鉛直に立たせることは難しい。そこで、本発明では、傾斜計17を利用して水中スタッフ2がほぼ鉛直に立った状態の時のGPSアンテナ13の位置データを用いるようにしている。
【0033】
ただし、水中スタッフ2は長くなるに連れて撓み易くなるので、水中スタッフ2の鉛直に対する傾斜角度を測定しても、測定点PとGPSアンテナ13とを結ぶ直線の鉛直に対する正しい傾斜角度を測定することはできず、精度のよい測定は困難になる。そこで、本発明では、水中スタッフ2ではなく、緊張したワイヤ18の鉛直に対する傾斜角度を測定して、水中スタッフ2に撓みが発生しても、測定点P(水中スタッフ2の下端)とGPSアンテナ13とを結んだ直線の鉛直に対する真の傾斜角度を把握するようにしている。
【0034】
測定点Pの位置を測定する具体的な手順は以下のとおりである。
【0035】
GPSアンテナ13から逐次送信される位置データは、データ受信機14により受信され、この位置データは制御装置15に入力される。この位置データとともに、この位置データを取得した際のワイヤ18の傾斜角度が制御装置15に入力される。
【0036】
制御装置15には、予め許容傾斜角度a1を入力しておく。そして、傾斜角度が許容傾斜角度a1以下の時の位置データのみを選択するようにプログラムを組んでおく。許容傾斜角度a1は、緊張したワイヤ18の鉛直に対する所定の傾斜角度であり、例えば、3°以下、より好ましくは2°以下に設定する。
【0037】
このようにして複数の位置データを選択する。選択する位置データの数は多い程、測定精度が向上するが、要求される測定精度に応じてその数を設定する。選択する位置データの数は、例えば100〜1000程度にする。
【0038】
次いで、選択した位置データを、X座標、Y座標、Z座標毎に平均して測定点Pの位置データを算出して、これを測定点位置データとしてモニター16に表示する。本発明における平均とは、単純平均だけでなく加重平均も含むものである。
【0039】
したがって、単純平均を用いる場合には、選択したそれぞれの位置データの総和を、その位置データ数で割ることにより測定点位置データとする。加重平均を用いる場合には、傾斜角度が0°に近い時の位置データほど重みを大きくして、選択したそれぞれの位置データの加重平均を算出して測定点位置データとする。例えば、傾斜角度が1°以下の時、1°超2°以下の時、2°超3°以下の時について、位置データの重み付けを、3:2:1にする。この重み付けの割合は、適宜設定する。
【0040】
図4にモニター16の表示画面を例示する。表示画面の左側は図示表示であり、右側が数値表示になっている。この図示表示は、それぞれの位置データを取得した際の傾斜状態(傾斜の大きさ、傾斜の向き)を平面視(X軸方向およびY軸方向)でプロットしたものである。
【0041】
X軸とY軸との交点が測定点Pに対応する位置(傾斜角度が0°の位置)であり、P1〜P6が逐次検知されて制御装置15に入力されるGPSアンテナ13の位置データである。点線が許容傾斜角度a1(3°)の境界線を示しており、点線の内部領域が許容傾斜角度a1以下の領域である。
【0042】
この例では、P1およびP4が許容傾斜角度a1を超えているので、P2、P3、P5、P6の位置データのみを選択して、これらの位置データを平均(単純平均或いは加重平均)して測定点位置データを算出する。
【0043】
数値表示としては、例えば、最新の位置データを取得した際の傾斜角度およびその位置データ(X、Y、Z座標)、許容傾斜角度a1以下の位置データをX、Y、Z座標毎に平均して算出した平均値(測定点位置データ)が表示される。また、平均値の算出に採用した位置データ数が、採用データ数として表示される。表示される傾斜角度は、X方向、Y方向のそれぞれに対する傾斜角度と、これらの合成値である。この合成値が緊張したワイヤ18の鉛直に対する傾斜角度となる。したがって、この合成値が、許容傾斜角度a1以下の場合には、その時の位置データが測定点位置データを算出する際に選択される。
【0044】
モニター16の表示される内容は、これらの情報に限らず、他の情報を表示することもできる。また、切り替え可能な表示にして、上記した情報のうち、任意の一部の情報を表示するようにしてもよい。
【0045】
このように測定点位置データを算出する際に、傾斜計17によって検知した傾斜角度が、予め設定した許容傾斜角度a1以下の時の位置データのみを選択することで、水中スタッフ2がほぼ鉛直に立っている状態のGPSアンテナ13の位置データのみを用いることになるので、測定点位置データの測定精度を向上させることが可能になる。
【0046】
さらに、このように選択した複数の位置データを平均して測定点位置データを算出するので、その平均値(平均して算出した測定点位置データ)は、測定点Pの位置データに収斂する傾向になる。即ち、平均値にすることで個々の位置データよりも、実際の測定点Pの位置データに対するばらつきが小さくなって、より一層、精度よく測定点位置データを得ることができる。上記した加重平均を用いると、単純平均を用いる場合に比べて、高精度で測定点位置データを得ることができる。
【0047】
算出した測定点位置データを制御装置15に接続されたモニター16に表示することにより、測定点位置データを容易に把握することができる。
【0048】
本発明では、気中にあるGPSアンテナ13の位置データと、水中スタッフ2の内部で緊張したワイヤ18の傾斜角度とに基づいて、水中の測定点Pの位置を測定するので、海水の温度や比重等に測定精度が悪影響を受けることがなく、簡便に高精度で測定を行なうことができる。
【0049】
この実施形態では、水中スタッフ2に浮体19を取付けて、水中スタッフ2が浮上しない範囲内で水中スタッフ2に浮力を付与している。そのため、長さが30m程度になると気中で150kg程度の重量になる水中スタッフ2であっても、浮体19によって付与される浮力により補助されて、水中での移動が容易になっている。
【符号の説明】
【0050】
1 水中位置測定システム
2 水中スタッフ
3 フレーム
4a フレーム柱
4b フレーム板
5 架台
6 シリンダ
7 支柱
8a コイルスプリング
8b 調節ナット
9 ジンバル機構
9a 第1軸
9b 第2軸
10 下端部材
10a ワイヤ固定部
10b 球体部
11 ベース
11a 保持ケーシング
12 取付台
12a ワイヤ固定部
13 GPSアンテナ
14 データ受信機
15 制御装置
16 モニター
17 傾斜計
18 ワイヤ
19 浮体
20 作業船
21 沈埋函

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部にGPSアンテナを設置した筒状の水中スタッフと、GPSアンテナから逐次送信される位置データを受信するデータ受信機と、データ受信機が受信した位置データが入力される制御装置と、制御装置に接続されたモニターとを備え、前記水中スタッフの内部に筒軸方向にワイヤを緊張して設置するとともに、このワイヤの傾斜角度を逐次検知する傾斜計を設け、この傾斜計により検知した傾斜角度を前記制御装置に入力する構成にして、前記制御装置に予め許容傾斜角度を入力しておき、前記検知した傾斜角度が許容傾斜角度以下の時の位置データのみを選択し、選択した複数の位置データを平均することにより前記水中スタッフの下端の測定点の位置データを算出して測定点位置データとして前記モニターに表示する水中位置測定システム。
【請求項2】
前記許容傾斜角度を鉛直に対して3°以下に設定する請求項1に記載の水中位置測定システム。
【請求項3】
前記水中スタッフに浮体を取付けた請求項1または2に記載の水中位置測定システム。
【請求項4】
上端部にGPSアンテナを設置した筒状の水中スタッフを、その下端を測定対象となる水中の測定点に位置決めして立った状態で保持し、この状態でGPSアンテナから逐次送信される位置データをデータ受信機により受信して制御装置に入力するとともに、前記水中スタッフの内部で筒軸方向に緊張して設置したワイヤの傾斜角度を傾斜計により逐次検知し、この検知した傾斜角度を前記制御装置に入力し、前記傾斜角度が予め設定した許容傾斜角度以下の時の位置データのみを選択し、選択した複数の位置データを平均することにより前記測定点の位置データを算出して測定点位置データとして前記制御装置に接続されたモニターに表示する水中位置測定方法。
【請求項5】
前記許容傾斜角度を鉛直に対して3°以下に設定する請求項4に記載の水中位置測定方法。
【請求項6】
前記水中スタッフに取付けた浮体によって、水中での水中スタッフの移動を補助する浮力を付与する請求項4または5に記載の水中位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−210350(P2010−210350A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55627(P2009−55627)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【Fターム(参考)】