水中探知装置
【課題】TVG(Time Variable Gain)の機能を維持しつつ、ノイズレベルが増加した場合でも、画面上にノイズ映像が表示されないようにする。
【解決手段】ノイズレベルが上昇した場合に、TVGの利得が飽和状態となるTVGリミットをL1からL2へ自動的に変更する。TVGリミットをノイズレベルに応じて距離の短くなる側にシフトさせることで、利得の飽和する時点が近距離側にシフトし、利得が一定値となる領域が拡大する。これにより、ノイズレベルが表示レベルを超えないようにすることができ、ノイズが効果的に抑制される。
【解決手段】ノイズレベルが上昇した場合に、TVGの利得が飽和状態となるTVGリミットをL1からL2へ自動的に変更する。TVGリミットをノイズレベルに応じて距離の短くなる側にシフトさせることで、利得の飽和する時点が近距離側にシフトし、利得が一定値となる領域が拡大する。これにより、ノイズレベルが表示レベルを超えないようにすることができ、ノイズが効果的に抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚群探知機などの水中探知装置に関し、特に、TVG(Time Variable Gain:時間変化利得)特性および表示ダイナミックレンジを自動調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
魚群探知機においては、水中へ超音波を送信した後、水中からのエコーを受信し、受信したエコー信号に基づいて魚群や海底などの水中情報を表示するようにしている。しかし、エコーは受信されるまでに水中での伝播減衰があり、遠方から帰来するエコーほど減衰が大きくなる。このため、遠方からのエコーは増幅しても信号レベルが小さく、画面上に鮮明な映像として表示されない場合が多い。図14は、受信したエコー信号のレベルを示す図である。遠距離のエコー信号は、同じターゲットであっても近距離のエコー信号よりレベルが小さくなり、図中のAに示すように、表示されるとしても弱いレベルでしか表示されない。
【0003】
そこで、この伝播減衰を補正するため、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG処理を行い、送受波器の振動子からターゲットまでの距離にかかわらず、エコー映像が同じレベルで表示されるようにしている。TVG処理においては、増幅回路の利得が時間とともに増加する。このようなTVG処理により、図15に示したように、遠距離のエコーが大きな利得で増幅されて、近距離のエコーと同じレベルで表示される。TVG処理機能を備えた水中探知装置は、例えば後掲の特許文献1に記載されている。
【0004】
ところで、魚群探知機で受信される信号の中には、ターゲットからのエコーだけでなく、音響的・電気的なノイズも含まれている。通常は、これらのノイズのレベルは小さいため、画面上に表示されにくいが、TVG処理により増幅回路の利得が大きくなると、図15で破線で示したように、ノイズが増幅されて表示レベルを超え、画面上に表示されることがある。画面上にノイズ映像が目立つと、エコー映像がノイズ映像に紛れて見にくくなるという問題がある。この対策として、距離(深度)がある値以上になると、利得を一定値に維持することが従来より行われている。こうすれば、図16に示すように、深度が基準値(TVGリミット)以上になると、利得が飽和することによってノイズレベルも飽和し、ノイズレベルが表示レベルを超えなくなるので、画面上にノイズ映像が表示されなくなる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−38128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、受信ノイズのレベルは海況や船速などによって変動するため、ノイズレベルが増大した場合は、図16のようにTVGリミットを設定していても、図17に示すように、ノイズレベルが表示レベルを超えてノイズ映像が表示されることが起こりうる。
【0007】
また一方で、付近を航行する船舶のスクリュー回転により発生する泡の影響を受けて、エコーの受信感度が低下するいわゆる「泡切れ」が発生した場合は、海底などのターゲットの映像が表示されなくなることがある。これに対しては、オート感度調整機能により感度を自動的に上げることで、海底映像を表示することは可能であるが、そうすると、表示範囲全体に渡ってレベルが上がるので、表層の泡などのノイズがさらに強く表示されてしまうことになる。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するものであって、その目的とするところは、TVGの機能を維持しつつ、ノイズレベルが増加した場合でも、画面上にノイズ映像が表示されないようにすることにある。本発明の他の目的は、泡切れがあった場合に、ノイズ映像を抑制しながら海底などのターゲットの映像を鮮明に表示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、送受波器から水中へ超音波を送信した後、送受波器で水中からのエコーを受信し、受信したエコーの信号を増幅する際に、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG処理を行い、増幅されたエコー信号に基づいて水中情報を表示する水中探知装置において、TVG処理により得られる利得を、距離が所定の基準値以上になると略一定値に維持するとともに、基準値をノイズレベルに応じて自動的に変更するようにしている。
【0010】
このようにすると、海況や船速などによりノイズのレベルが変動した場合でも、TVGの利得の飽和する時点がノイズレベルに応じて自動的に調整されるので、ノイズレベルが表示レベルを超えないように制御することが可能となり、これによって画面上にノイズ映像が表示されるのを抑制することができる。
【0011】
例えば、ノイズレベルが上昇すると、距離の短くなる側に基準値をシフトさせる。これにより、TVG処理による利得の飽和する時点が近距離側にシフトするので、利得が一定値となる領域が拡大し、ノイズを効果的に抑制することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、海底エコーのレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち最強色に対応するレベルとなるように、表示の感度が自動調整される。
【0013】
前述のように、利得が飽和する時点をノイズレベルに応じて変更することで、ノイズ映像を抑制することができるが、逆に、本来表示されるべき海底の映像も抑制される可能性がある。しかるに、上記のようにして感度を自動調整することにより、海底エコーを他のエコーと区別して最強色で鮮明に表示することができる。
【0014】
更に好ましくは、上記の感度を最大値にしても、海底エコーのレベルが最強色に対応するレベルを下回る場合は、表示ダイナミックレンジを最大値に自動設定する。
【0015】
このようにすれば、感度だけでは限界がある場合でも、表示ダイナミックレンジを調整することにより、海底エコーのレベルをできるだけ最強色レベルに近づけることが可能となり、見やすい海底映像を得ることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい実施形態においては、ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジが自動調整される。
【0017】
このようにすれば、ノイズレベルが背景色レベルに自動調整されるので、画面上のノイズ映像が一層抑制され、見やすいエコー画像を得ることができる。
【0018】
更に好ましくは、表示ダイナミックレンジを最小値にしても、背景色に対応するレベルがノイズレベルを下回る場合は、ノイズレベルを背景色に対応するレベルに自動設定する。
【0019】
このようにすれば、背景色レベルがノイズレベルを下回っても、ノイズレベルが強制的に背景色レベルと等しくなるように設定が行われるので、画面上にノイズ映像が現れるのを抑制することができる。
【0020】
また、本発明の好ましい実施形態においては、表層ノイズのレベルが所定レベルより大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定レベルより小さくなったことが検知されたときに、TVGの利得を略一定値に維持する処理を禁止するか、または、基準値を海底深度以上の値に変更する。
【0021】
泡切れの場合、表層ノイズのレベルが大きくなったり、海底エコーのレベルが小さくなったりするので、これらに基づいて泡切れを検知することができる。そして、泡切れが検知されると、TVGの利得を略一定値に維持する処理を停止し、あるいは基準値を海底深度以上の値に変更することで、泡切れによる海底エコーの感度低下を防止することができる。
【0022】
また、本発明の好ましい実施形態においては、上記のように泡切れが検知された場合に、TVGの特性曲線の傾きを大きくする。これにより、利得が増大するので、海底の映像をより鮮明に表示することができる。
【0023】
本発明の他の形態として、ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジを自動調整し、表示ダイナミックレンジを最小値にしてもノイズが表示される場合は、ノイズレベルが背景色に対応するレベルとなるように、基準値を自動的に変更するようにしてもよい。
【0024】
すなわち、TVG処理の際に基準値を調整してノイズ映像を背景色レベルに抑える代わりに、まず表示ダイナミックレンジの調整によりノイズ映像を背景色レベルに抑え、それでもなおノイズが表示される場合に、補助的にTVG処理により基準値を調整するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、TVGの機能を維持しつつ、ノイズレベルが増加した場合でも、画面上にノイズ映像が表示されないようにすることができる。
【0026】
また、泡切れが検知された場合は、利得を略一定値に維持するのを停止するか、または基準値を海底深度以上の値に変更して、TVGの特性曲線の傾きを大きくすることによって、海底の映像を鮮明に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明に係る水中探知装置の一実施形態である魚群探知機100のブロック図である。1は超音波を送受信する振動子(図示省略)を備えた送受波器、2は送信動作と受信動作を切り替えるための送受切替回路、3は送受切替回路2を介して送受波器1へ送信信号を供給する送信回路、4は送受波器1で受信されたエコーに対して増幅やフィルタリング等の処理を行う受信回路である。5は受信回路4から出力されるアナログのエコー信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ、6はA/Dコンバータ5から出力されるデジタル信号に対して検波を行う検波回路である。7は検波回路6から出力される検波信号に対して後述する処理を行う信号処理部、8は信号処理部7から出力される信号に基づいてエコー映像などの水中情報を表示する表示部である。
【0028】
以上の構成に関しては、従来の魚群探知機の構成と変わりはない。なお、表示部8は、魚群探知機100の本体と一体に設けられていてもよいし、別体に設けられたものであってもよい。後者の場合は、表示部8は魚群探知機100の本体とLANなどのネットワークを介して接続される。
【0029】
図2は、図1の信号処理部7の具体的な構成を示すブロック図である。ここでは、信号処理部7の構成をハードウェアで示しているが、実際には、信号処理部7における処理はすべてソフトウェアによって行われる。但し、このことは本発明にとって本質的事項ではなく、信号処理部7をハードウェアで実現してもよいことは勿論である。
【0030】
図2において、ピークホールド/間引部9は、検波回路6から出力された検波信号をピークホールドするとともに、所定の間隔でサンプル値を間引く処理を行う。間引きを行う理由は、データのサンプル数を表示部8(例えば液晶ディスプレイ)における表示ドット数と整合させるためである。海底検出処理部10は、TVG処理を行うTVG処理部11と、海底検出を行う海底検出部12とからなる。TVG処理や海底検出はいずれも公知であるので、それらの詳細な説明は省略する。海底検出処理部10からは水深データが表示部8へ出力される。
【0031】
表示データ処理部20は、マニュアルTVG処理部21、移動平均算出部22、LOG変換部23、干渉除去部24、スムージング処理部25、感度処理部26、色変換部27、およびオートTVG処理部28からなる。21〜27のブロックは、従来の魚群探知機にも備わっており、オートTVG処理部28が本発明で追加されたブロックである。なお、マニュアルTVG処理部21とオートTVG処理部28とは、図示しない操作部でのメニュー選択によって、いずれかが選択される。
【0032】
マニュアルTVG処理部21は、操作部において手動で設定されたTVGの利得や基準値(TVGリミット;図16)に基づいて、TVG処理を行う。移動平均算出部22は、TVG処理がされた信号に対して、信号のばらつきを抑えるために移動平均を算出する。LOG変換部23は、少ないビット数で表示が行えるように、移動平均算出部22の出力(リニア値)を対数に変換する。干渉除去部24は、ソウトウェア処理によって信号のノイズを除去する。スムージング処理部25は、平均化処理により、映像が時間軸方向に滑らかになるようにする。感度処理部26と色変換部27は、操作部またはオートTVG処理部28で設定された感度や表示ダイナミックレンジに基づいて、表示部8に表示する着色映像のデータを生成する。オートTVG処理部28における処理の詳細については後述する。表示データ処理部20からは表示データが表示部8へ出力される。
【0033】
図3は、本発明の基本的な原理を説明する図である。図3(a)に示すように、ノイズのレベルが破線から実線のように上昇した場合、そのままでは、図4(a)のように、表示部8の画面において、海底映像51と魚群映像53以外にノイズ映像52が顕著に表れ、魚群映像53の一部がノイズ映像52に混じって見にくくなる。しかるに、本発明では、このようにノイズレベルが上昇した場合に、オートTVG処理部28において、利得が飽和状態となるTVGリミットをL1からL2へ自動的に変更する処理が行われる。すなわち、TVGリミットを、ノイズレベルに応じて、距離(深度)の短くなる側にシフトさせる。シフト後のTVGリミットL2は、ノイズレベルの曲線と表示レベルのラインとの交点より、わずかに左側となる。これにより、TVGの利得の飽和する時点が近距離側にシフトするので、利得が一定値となる領域が拡大し、図3(b)に示すように、ノイズレベルが表示レベルを超えないようにすることができる。この結果、ノイズが抑制され、図4(b)のように、図4(a)に表れていたノイズ映像52が画面上に表れなくなって、魚群映像53が見やすくなる。
【0034】
但し、上記のようなTVG処理を行った場合、ノイズが抑制されるだけでなく、海底の映像も抑制されるため、本来は赤茶色のような最強色で表示されるべき海底が、青色で表示されたりして、鮮明な海底映像が得られない場合が起こりうる。また一方で、ノイズとは別に、泡切れの場合には、送受波器1の受信感度が低下して海底映像が映らなくなる場合がある。このため、本実施形態では、以下で述べるように、オートTVG処理部28は、TVGリミットの調整に加え、感度の調整、表示ダイナミックレンジの調整、TVG特性の傾き調整など、種々の処理を行う。
【0035】
図5A、図5Bは、オートTVG処理部28における詳細な処理内容を示したフローチャートである。
【0036】
図5Aにおいて、ステップS1では、表示の感度(ゲイン)をデフォルト値に設定する。その後、ステップS2で、海底エコーのピークレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち最強色(例えば、赤茶色)に対応するレベルを下回っているかどうかを判定する。海底エコーのピークレベルが最強色レベル以上であれば(ステップS2:NO)、ステップS3〜S6を飛ばしてステップS7へ移行する。海底エコーのピークレベルが最強色レベルを下回っておれば(ステップS2:YES)、ステップS3〜S6を実行する。
【0037】
ステップS3では、ステップS1で設定した感度を所定量だけ上げる。感度は、図6に示すように、信号の最大レベルから最強色レベルまでのオフセット値であり、どの信号レベルから最強色で表示するかを決定するパラメータである。感度が上がると、図7のように最強色で表示される信号レベルは下がり、感度が下がると、図6のように最強色で表示される信号レベルは上がる。
【0038】
次に、ステップS4で、海底エコーのピークレベルが最強色レベル以上になったかどうかを判定する。感度を上げたことで、海底エコーのピークレベルが最強色レベル以上になれば(ステップS4:YES)、ステップS7へ移行する。一方、感度を上げても海底エコーのピークレベルが最強色レベルを下回っている場合は(ステップS4:NO)、ステップS5で感度が100%であるか否かを判定し、100%でなければ(ステップS5:NO)、ステップS3へ戻って感度を更に上げる。
【0039】
感度が100%になっても、海底エコーのピークレベルが最強色レベルを下回る場合は(ステップS5:YES)、ステップS6へ移行する。ステップS6では、表示ダイナミックレンジを最大にする。表示ダイナミックレンジは、図7に示すように、最強色レベルと下地色(背景色)レベルとの幅であり、1つの色がどの程度の信号レベル幅を持つかを決定するパラメータである。表示ダイナミックレンジが大きくなると、図7のように各色に対応する信号レベルの幅が大きくなり、表示ダイナミックレンジが小さくなると、図8のように各色に対応する信号レベルの幅が小さくなる。
【0040】
次に、ステップS7では、演算によりノイズレベルを取得する。例えば、TVG処理前のエコーデータに対し、発振線から海底までの信号レベルの平均値を算出して、これをノイズレベルとする。但し、これは一例であって、他の方法によりノイズレベルを取得してもよい。例えば、発振線直後から海底直前までのデータのうち、一定以上のレベルのエコーデータ(魚群等からのエコー)を除くエコーデータの平均値をノイズレベルとしてもよい。ステップS7を実行した後、ステップS8へ移って泡切れの有無を検知する。表層ノイズのレベルが所定値より大きいか、あるいは海底エコーのレベルが所定値より小さい場合は、泡切れが発生したと判断して(ステップS8:YES)、ステップS9へ進み、TVGのレベルを上げる。すなわち、図9で実線で示したように、TVGの特性曲線(時間−利得特性)の傾きを大きくして、利得を増大させる。泡切れが検知されなかった場合は(ステップS8:NO)、ステップS9は実行しない。表層ノイズのレベルとしては、例えば、発振線直後から比較的浅い所定深度までのエコーデータの平均値を用いるとよい。なお、ステップS9では、TVGのレベルを上げるに先立って、利得を一定に維持するTVGリミット機能を停止するか、またはリミット値を海底深度以上の値に変更する処理が行われる。
【0041】
その後、図5BのステップS10へ進み、下地色レベルがノイズレベルを下回っているかどうかを判定する。下地色レベルがノイズレベル以上であれば(ステップS10:NO)、ステップS11〜S14を飛ばしてステップS15へ移行する。下地色レベルがノイズレベルを下回っておれば(ステップS10:YES)、ステップS11〜S14を実行する。
【0042】
ステップS11では、表示ダイナミックレンジを所定量だけ下げる。そして、ステップS12で、下地色レベルがノイズレベル以上になったかどうかを判定する。表示ダイナミックレンジを下げたことで、下地色レベルがノイズレベル以上になれば(ステップS12:YES)、ステップS15へ移行する。一方、表示ダイナミックレンジを下げても下地色レベルがノイズレベルを下回っている場合は(ステップS12:NO)、ステップS13で表示ダイナミックレンジが最小か否かを判定し、最小でなければ(ステップS13:NO)、ステップS11へ戻って表示ダイナミックレンジを更に下げる。
【0043】
表示ダイナミックレンジが最小になっても、下地色レベルがノイズレベルを下回る場合は(ステップS13:YES)、ステップS14へ移行し、ノイズレベルを下地色レベルとする。
【0044】
次に、ステップS15では、ステップS7で取得したノイズレベルに基づいて、TVGリミットを算出する。すなわち、図10に示すように、ノイズレベルが下地色レベルを超えないように、ノイズレベルに応じたTVGリミットLが自動的に設定される。続くステップS16では、現在のTVGリミットと、ステップS15で算出したTVGリミットとを比較し、前者が後者より大きい(遠距離側にある)場合は(ステップS16:YES)、ステップS17へ進んで、現在のTVGリミットを、算出したTVGリミットへシフトさせる処理を行う。ステップS17を実行した後は最初に戻り、以上述べた手順が反復される。
【0045】
なお、ステップS1〜S15は、送受波器1から超音波(探知パルス)を1回送信する毎に実行され、ステップS16〜S17は、表示部8の画面に1ドットを表示する毎に実行される。
【0046】
以上述べた処理手順によれば、海況や船速などによりノイズのレベルが変動した場合でも、TVGリミットがノイズレベルに応じて自動的に調整されるので(ステップS15〜S17)、ノイズレベルが表示レベルを超えないように制御することが可能となり、これによって画面上にノイズ映像が表示されるのを抑制することができる。
【0047】
また、海底エコーのレベルが最強色レベルとなるように、表示の感度が自動調整されるので(ステップS2〜S5)、ノイズ映像を抑制しつつも、海底エコーを他のエコーと区別して最強色で鮮明に表示することができる。そして、感度を最大値にしても、海底エコーのレベルが最強色レベルを下回る場合は、表示ダイナミックレンジを最大値に自動設定するので(ステップS6)、感度だけでは限界がある場合でも、表示ダイナミックレンジを調整することにより、海底エコーのレベルをできるだけ最強色レベルに近づけることが可能となり、見やすい海底映像を得ることができる。なお、最強色は必ずしも1番目の強さに対応する色のみに限定する必要はなく、2番目や3番目の強さに対応する色で表示しても、同様の効果が得られる。
【0048】
また、ノイズレベルが下地色(背景色)レベルとなるように、表示ダイナミックレンジが自動調整されるので(ステップS10〜S13)、画面上のノイズ映像が一層抑制され、見やすいエコー画像を得ることができる。そして、表示ダイナミックレンジを最小値にしても、下地色レベルがノイズレベルを下回る場合は、ノイズレベルを下地色レベルに自動設定するので(ステップS14)、下地色レベルがノイズレベルを下回っても、ノイズレベルが強制的に下地色レベルと等しくなるように設定が行われ、画面上にノイズ映像が現れるのを抑制することができる。
【0049】
また、表層ノイズのレベルが所定値より大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定値より小さくなったことが検知されたときに、TVGリミット機能を停止するか、またはリミット値を海底深度以上の値に変更し、さらにTVGの特性曲線の傾きを大きくするようにしているので(ステップS8〜S9)、泡切れが発生した場合には、TVGの利得を増大させることにより、海底エコーに対する感度の低下を防止するとともに、海底の映像を鮮明に表示することができる。
【0050】
図11は、本発明の他の実施形態におけるオートTVG処理部28の処理内容を示したフローチャートである。ここでは、ノイズ映像の抑制を主に表示ダイナミックレンジの調整により行い、補助的にTVGリミットの調整を行う手法を採用している。
【0051】
ステップS20では、通常のTVG処理が行われる。ここでは、TVGリミットの値は固定である。その後、ステップS21で、海底レベルが最強色レベルとなるように感度を自動調整する。続くステップS22では、図12に示すように、ノイズレベルが下地色となるように、表示ダイナミックレンジを自動調整する。次に、ステップS23で、表示ダイナミックレンジを最小にしてもノイズが表示されるかどうかを判定する。図12では、表示ダイナミックレンジを小さくすることにより、ノイズレベルが下地色レベルに抑えられ、ノイズは表示されないので(ステップS23:NO)、TVGリミットの調整は行わない(ステップS25)。一方、表示ダイナミックレンジを最小にしてもノイズが表示される場合は(ステップS23:YES)、ノイズレベルが下地色レベルとなるように、TVGリミットを自動的に調整する(ステップS24)。すなわち、図13に示すように、TVGリミットをL1からL2へシフトさせることにより、ノイズレベルが下地色レベルを超えないようにする。
【0052】
このようにすれば、表示ダイナミックレンジやTVGリミットがノイズレベルに応じて自動的に調整されるので、画面上にノイズ映像が表示されるのを抑制することができる。
【0053】
なお、表示ダイナミックレンジを変更する際には、急激な映像の変化が起こらないように、徐々にダイナミックレンジを広げ、あるいは狭めるようにすることが好ましい。
【0054】
本発明では、以上述べた実施形態以外に、種々の実施形態を採用することができる。例えば、図5A、図5Bで示した手順において、感度を調整するステップS1〜S6、ノイズレベルを取得するステップS7、泡切れの場合のTVGレベルを調整するステップS8〜S9、表示ダイナミックレンジを調整するステップS10〜S14、TVGリミットを調整するステップS15〜S17は、順序を適宜入れ替えてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、水中探知装置として魚群探知機を例に挙げたが、本発明は、TVG機能を備えた水中探知装置であれば、スキャニングソナーや測深装置などにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態である魚群探知機のブロック図である。
【図2】信号処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の基本的な原理を説明する図である。
【図4】表示部の画面に表示される映像の例である。
【図5A】オートTVG処理部における詳細な処理内容を示したフローチャートである。
【図5B】図5Aの続きのフローチャートである。
【図6】信号レベルと感度との関係を説明する図である。
【図7】信号レベルと、感度および表示ダイナミックレンジとの関係を説明する図である。
【図8】信号レベルと、感度および表示ダイナミックレンジとの関係を説明する図である。
【図9】TVG特性を表したグラフである。
【図10】TVGリミットの自動設定を説明する図である。
【図11】他の実施形態におけるオートTVG処理部の処理内容を示したフローチャートである。
【図12】他の実施形態における信号レベルと、感度および表示ダイナミックレンジとの関係を説明する図である。
【図13】他の実施形態におけるTVGリミットの調整を説明する図である。
【図14】受信したエコー信号のレベルを示す図である。
【図15】TVG処理の原理を説明する図である。
【図16】TVGリミットを説明する図である。
【図17】ノイズレベルが上昇した場合の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
【0057】
1 送受波器
2 送受切替回路
3 送信回路
4 受信回路
5 A/Dコンバータ
6 検波回路
7 信号処理部
8 表示部
10 海底検出処理部
20 表示データ処理部
21 マニュアルTVG処理部
28 オートTVG処理部
26 感度処理部
27 色変換部
51 海底映像
52 ノイズ映像
53 魚群映像
100 魚群探知機
L,L1,L2 TVGリミット(基準値)
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚群探知機などの水中探知装置に関し、特に、TVG(Time Variable Gain:時間変化利得)特性および表示ダイナミックレンジを自動調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
魚群探知機においては、水中へ超音波を送信した後、水中からのエコーを受信し、受信したエコー信号に基づいて魚群や海底などの水中情報を表示するようにしている。しかし、エコーは受信されるまでに水中での伝播減衰があり、遠方から帰来するエコーほど減衰が大きくなる。このため、遠方からのエコーは増幅しても信号レベルが小さく、画面上に鮮明な映像として表示されない場合が多い。図14は、受信したエコー信号のレベルを示す図である。遠距離のエコー信号は、同じターゲットであっても近距離のエコー信号よりレベルが小さくなり、図中のAに示すように、表示されるとしても弱いレベルでしか表示されない。
【0003】
そこで、この伝播減衰を補正するため、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG処理を行い、送受波器の振動子からターゲットまでの距離にかかわらず、エコー映像が同じレベルで表示されるようにしている。TVG処理においては、増幅回路の利得が時間とともに増加する。このようなTVG処理により、図15に示したように、遠距離のエコーが大きな利得で増幅されて、近距離のエコーと同じレベルで表示される。TVG処理機能を備えた水中探知装置は、例えば後掲の特許文献1に記載されている。
【0004】
ところで、魚群探知機で受信される信号の中には、ターゲットからのエコーだけでなく、音響的・電気的なノイズも含まれている。通常は、これらのノイズのレベルは小さいため、画面上に表示されにくいが、TVG処理により増幅回路の利得が大きくなると、図15で破線で示したように、ノイズが増幅されて表示レベルを超え、画面上に表示されることがある。画面上にノイズ映像が目立つと、エコー映像がノイズ映像に紛れて見にくくなるという問題がある。この対策として、距離(深度)がある値以上になると、利得を一定値に維持することが従来より行われている。こうすれば、図16に示すように、深度が基準値(TVGリミット)以上になると、利得が飽和することによってノイズレベルも飽和し、ノイズレベルが表示レベルを超えなくなるので、画面上にノイズ映像が表示されなくなる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−38128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、受信ノイズのレベルは海況や船速などによって変動するため、ノイズレベルが増大した場合は、図16のようにTVGリミットを設定していても、図17に示すように、ノイズレベルが表示レベルを超えてノイズ映像が表示されることが起こりうる。
【0007】
また一方で、付近を航行する船舶のスクリュー回転により発生する泡の影響を受けて、エコーの受信感度が低下するいわゆる「泡切れ」が発生した場合は、海底などのターゲットの映像が表示されなくなることがある。これに対しては、オート感度調整機能により感度を自動的に上げることで、海底映像を表示することは可能であるが、そうすると、表示範囲全体に渡ってレベルが上がるので、表層の泡などのノイズがさらに強く表示されてしまうことになる。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するものであって、その目的とするところは、TVGの機能を維持しつつ、ノイズレベルが増加した場合でも、画面上にノイズ映像が表示されないようにすることにある。本発明の他の目的は、泡切れがあった場合に、ノイズ映像を抑制しながら海底などのターゲットの映像を鮮明に表示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、送受波器から水中へ超音波を送信した後、送受波器で水中からのエコーを受信し、受信したエコーの信号を増幅する際に、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG処理を行い、増幅されたエコー信号に基づいて水中情報を表示する水中探知装置において、TVG処理により得られる利得を、距離が所定の基準値以上になると略一定値に維持するとともに、基準値をノイズレベルに応じて自動的に変更するようにしている。
【0010】
このようにすると、海況や船速などによりノイズのレベルが変動した場合でも、TVGの利得の飽和する時点がノイズレベルに応じて自動的に調整されるので、ノイズレベルが表示レベルを超えないように制御することが可能となり、これによって画面上にノイズ映像が表示されるのを抑制することができる。
【0011】
例えば、ノイズレベルが上昇すると、距離の短くなる側に基準値をシフトさせる。これにより、TVG処理による利得の飽和する時点が近距離側にシフトするので、利得が一定値となる領域が拡大し、ノイズを効果的に抑制することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、海底エコーのレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち最強色に対応するレベルとなるように、表示の感度が自動調整される。
【0013】
前述のように、利得が飽和する時点をノイズレベルに応じて変更することで、ノイズ映像を抑制することができるが、逆に、本来表示されるべき海底の映像も抑制される可能性がある。しかるに、上記のようにして感度を自動調整することにより、海底エコーを他のエコーと区別して最強色で鮮明に表示することができる。
【0014】
更に好ましくは、上記の感度を最大値にしても、海底エコーのレベルが最強色に対応するレベルを下回る場合は、表示ダイナミックレンジを最大値に自動設定する。
【0015】
このようにすれば、感度だけでは限界がある場合でも、表示ダイナミックレンジを調整することにより、海底エコーのレベルをできるだけ最強色レベルに近づけることが可能となり、見やすい海底映像を得ることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい実施形態においては、ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジが自動調整される。
【0017】
このようにすれば、ノイズレベルが背景色レベルに自動調整されるので、画面上のノイズ映像が一層抑制され、見やすいエコー画像を得ることができる。
【0018】
更に好ましくは、表示ダイナミックレンジを最小値にしても、背景色に対応するレベルがノイズレベルを下回る場合は、ノイズレベルを背景色に対応するレベルに自動設定する。
【0019】
このようにすれば、背景色レベルがノイズレベルを下回っても、ノイズレベルが強制的に背景色レベルと等しくなるように設定が行われるので、画面上にノイズ映像が現れるのを抑制することができる。
【0020】
また、本発明の好ましい実施形態においては、表層ノイズのレベルが所定レベルより大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定レベルより小さくなったことが検知されたときに、TVGの利得を略一定値に維持する処理を禁止するか、または、基準値を海底深度以上の値に変更する。
【0021】
泡切れの場合、表層ノイズのレベルが大きくなったり、海底エコーのレベルが小さくなったりするので、これらに基づいて泡切れを検知することができる。そして、泡切れが検知されると、TVGの利得を略一定値に維持する処理を停止し、あるいは基準値を海底深度以上の値に変更することで、泡切れによる海底エコーの感度低下を防止することができる。
【0022】
また、本発明の好ましい実施形態においては、上記のように泡切れが検知された場合に、TVGの特性曲線の傾きを大きくする。これにより、利得が増大するので、海底の映像をより鮮明に表示することができる。
【0023】
本発明の他の形態として、ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジを自動調整し、表示ダイナミックレンジを最小値にしてもノイズが表示される場合は、ノイズレベルが背景色に対応するレベルとなるように、基準値を自動的に変更するようにしてもよい。
【0024】
すなわち、TVG処理の際に基準値を調整してノイズ映像を背景色レベルに抑える代わりに、まず表示ダイナミックレンジの調整によりノイズ映像を背景色レベルに抑え、それでもなおノイズが表示される場合に、補助的にTVG処理により基準値を調整するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、TVGの機能を維持しつつ、ノイズレベルが増加した場合でも、画面上にノイズ映像が表示されないようにすることができる。
【0026】
また、泡切れが検知された場合は、利得を略一定値に維持するのを停止するか、または基準値を海底深度以上の値に変更して、TVGの特性曲線の傾きを大きくすることによって、海底の映像を鮮明に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明に係る水中探知装置の一実施形態である魚群探知機100のブロック図である。1は超音波を送受信する振動子(図示省略)を備えた送受波器、2は送信動作と受信動作を切り替えるための送受切替回路、3は送受切替回路2を介して送受波器1へ送信信号を供給する送信回路、4は送受波器1で受信されたエコーに対して増幅やフィルタリング等の処理を行う受信回路である。5は受信回路4から出力されるアナログのエコー信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ、6はA/Dコンバータ5から出力されるデジタル信号に対して検波を行う検波回路である。7は検波回路6から出力される検波信号に対して後述する処理を行う信号処理部、8は信号処理部7から出力される信号に基づいてエコー映像などの水中情報を表示する表示部である。
【0028】
以上の構成に関しては、従来の魚群探知機の構成と変わりはない。なお、表示部8は、魚群探知機100の本体と一体に設けられていてもよいし、別体に設けられたものであってもよい。後者の場合は、表示部8は魚群探知機100の本体とLANなどのネットワークを介して接続される。
【0029】
図2は、図1の信号処理部7の具体的な構成を示すブロック図である。ここでは、信号処理部7の構成をハードウェアで示しているが、実際には、信号処理部7における処理はすべてソフトウェアによって行われる。但し、このことは本発明にとって本質的事項ではなく、信号処理部7をハードウェアで実現してもよいことは勿論である。
【0030】
図2において、ピークホールド/間引部9は、検波回路6から出力された検波信号をピークホールドするとともに、所定の間隔でサンプル値を間引く処理を行う。間引きを行う理由は、データのサンプル数を表示部8(例えば液晶ディスプレイ)における表示ドット数と整合させるためである。海底検出処理部10は、TVG処理を行うTVG処理部11と、海底検出を行う海底検出部12とからなる。TVG処理や海底検出はいずれも公知であるので、それらの詳細な説明は省略する。海底検出処理部10からは水深データが表示部8へ出力される。
【0031】
表示データ処理部20は、マニュアルTVG処理部21、移動平均算出部22、LOG変換部23、干渉除去部24、スムージング処理部25、感度処理部26、色変換部27、およびオートTVG処理部28からなる。21〜27のブロックは、従来の魚群探知機にも備わっており、オートTVG処理部28が本発明で追加されたブロックである。なお、マニュアルTVG処理部21とオートTVG処理部28とは、図示しない操作部でのメニュー選択によって、いずれかが選択される。
【0032】
マニュアルTVG処理部21は、操作部において手動で設定されたTVGの利得や基準値(TVGリミット;図16)に基づいて、TVG処理を行う。移動平均算出部22は、TVG処理がされた信号に対して、信号のばらつきを抑えるために移動平均を算出する。LOG変換部23は、少ないビット数で表示が行えるように、移動平均算出部22の出力(リニア値)を対数に変換する。干渉除去部24は、ソウトウェア処理によって信号のノイズを除去する。スムージング処理部25は、平均化処理により、映像が時間軸方向に滑らかになるようにする。感度処理部26と色変換部27は、操作部またはオートTVG処理部28で設定された感度や表示ダイナミックレンジに基づいて、表示部8に表示する着色映像のデータを生成する。オートTVG処理部28における処理の詳細については後述する。表示データ処理部20からは表示データが表示部8へ出力される。
【0033】
図3は、本発明の基本的な原理を説明する図である。図3(a)に示すように、ノイズのレベルが破線から実線のように上昇した場合、そのままでは、図4(a)のように、表示部8の画面において、海底映像51と魚群映像53以外にノイズ映像52が顕著に表れ、魚群映像53の一部がノイズ映像52に混じって見にくくなる。しかるに、本発明では、このようにノイズレベルが上昇した場合に、オートTVG処理部28において、利得が飽和状態となるTVGリミットをL1からL2へ自動的に変更する処理が行われる。すなわち、TVGリミットを、ノイズレベルに応じて、距離(深度)の短くなる側にシフトさせる。シフト後のTVGリミットL2は、ノイズレベルの曲線と表示レベルのラインとの交点より、わずかに左側となる。これにより、TVGの利得の飽和する時点が近距離側にシフトするので、利得が一定値となる領域が拡大し、図3(b)に示すように、ノイズレベルが表示レベルを超えないようにすることができる。この結果、ノイズが抑制され、図4(b)のように、図4(a)に表れていたノイズ映像52が画面上に表れなくなって、魚群映像53が見やすくなる。
【0034】
但し、上記のようなTVG処理を行った場合、ノイズが抑制されるだけでなく、海底の映像も抑制されるため、本来は赤茶色のような最強色で表示されるべき海底が、青色で表示されたりして、鮮明な海底映像が得られない場合が起こりうる。また一方で、ノイズとは別に、泡切れの場合には、送受波器1の受信感度が低下して海底映像が映らなくなる場合がある。このため、本実施形態では、以下で述べるように、オートTVG処理部28は、TVGリミットの調整に加え、感度の調整、表示ダイナミックレンジの調整、TVG特性の傾き調整など、種々の処理を行う。
【0035】
図5A、図5Bは、オートTVG処理部28における詳細な処理内容を示したフローチャートである。
【0036】
図5Aにおいて、ステップS1では、表示の感度(ゲイン)をデフォルト値に設定する。その後、ステップS2で、海底エコーのピークレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち最強色(例えば、赤茶色)に対応するレベルを下回っているかどうかを判定する。海底エコーのピークレベルが最強色レベル以上であれば(ステップS2:NO)、ステップS3〜S6を飛ばしてステップS7へ移行する。海底エコーのピークレベルが最強色レベルを下回っておれば(ステップS2:YES)、ステップS3〜S6を実行する。
【0037】
ステップS3では、ステップS1で設定した感度を所定量だけ上げる。感度は、図6に示すように、信号の最大レベルから最強色レベルまでのオフセット値であり、どの信号レベルから最強色で表示するかを決定するパラメータである。感度が上がると、図7のように最強色で表示される信号レベルは下がり、感度が下がると、図6のように最強色で表示される信号レベルは上がる。
【0038】
次に、ステップS4で、海底エコーのピークレベルが最強色レベル以上になったかどうかを判定する。感度を上げたことで、海底エコーのピークレベルが最強色レベル以上になれば(ステップS4:YES)、ステップS7へ移行する。一方、感度を上げても海底エコーのピークレベルが最強色レベルを下回っている場合は(ステップS4:NO)、ステップS5で感度が100%であるか否かを判定し、100%でなければ(ステップS5:NO)、ステップS3へ戻って感度を更に上げる。
【0039】
感度が100%になっても、海底エコーのピークレベルが最強色レベルを下回る場合は(ステップS5:YES)、ステップS6へ移行する。ステップS6では、表示ダイナミックレンジを最大にする。表示ダイナミックレンジは、図7に示すように、最強色レベルと下地色(背景色)レベルとの幅であり、1つの色がどの程度の信号レベル幅を持つかを決定するパラメータである。表示ダイナミックレンジが大きくなると、図7のように各色に対応する信号レベルの幅が大きくなり、表示ダイナミックレンジが小さくなると、図8のように各色に対応する信号レベルの幅が小さくなる。
【0040】
次に、ステップS7では、演算によりノイズレベルを取得する。例えば、TVG処理前のエコーデータに対し、発振線から海底までの信号レベルの平均値を算出して、これをノイズレベルとする。但し、これは一例であって、他の方法によりノイズレベルを取得してもよい。例えば、発振線直後から海底直前までのデータのうち、一定以上のレベルのエコーデータ(魚群等からのエコー)を除くエコーデータの平均値をノイズレベルとしてもよい。ステップS7を実行した後、ステップS8へ移って泡切れの有無を検知する。表層ノイズのレベルが所定値より大きいか、あるいは海底エコーのレベルが所定値より小さい場合は、泡切れが発生したと判断して(ステップS8:YES)、ステップS9へ進み、TVGのレベルを上げる。すなわち、図9で実線で示したように、TVGの特性曲線(時間−利得特性)の傾きを大きくして、利得を増大させる。泡切れが検知されなかった場合は(ステップS8:NO)、ステップS9は実行しない。表層ノイズのレベルとしては、例えば、発振線直後から比較的浅い所定深度までのエコーデータの平均値を用いるとよい。なお、ステップS9では、TVGのレベルを上げるに先立って、利得を一定に維持するTVGリミット機能を停止するか、またはリミット値を海底深度以上の値に変更する処理が行われる。
【0041】
その後、図5BのステップS10へ進み、下地色レベルがノイズレベルを下回っているかどうかを判定する。下地色レベルがノイズレベル以上であれば(ステップS10:NO)、ステップS11〜S14を飛ばしてステップS15へ移行する。下地色レベルがノイズレベルを下回っておれば(ステップS10:YES)、ステップS11〜S14を実行する。
【0042】
ステップS11では、表示ダイナミックレンジを所定量だけ下げる。そして、ステップS12で、下地色レベルがノイズレベル以上になったかどうかを判定する。表示ダイナミックレンジを下げたことで、下地色レベルがノイズレベル以上になれば(ステップS12:YES)、ステップS15へ移行する。一方、表示ダイナミックレンジを下げても下地色レベルがノイズレベルを下回っている場合は(ステップS12:NO)、ステップS13で表示ダイナミックレンジが最小か否かを判定し、最小でなければ(ステップS13:NO)、ステップS11へ戻って表示ダイナミックレンジを更に下げる。
【0043】
表示ダイナミックレンジが最小になっても、下地色レベルがノイズレベルを下回る場合は(ステップS13:YES)、ステップS14へ移行し、ノイズレベルを下地色レベルとする。
【0044】
次に、ステップS15では、ステップS7で取得したノイズレベルに基づいて、TVGリミットを算出する。すなわち、図10に示すように、ノイズレベルが下地色レベルを超えないように、ノイズレベルに応じたTVGリミットLが自動的に設定される。続くステップS16では、現在のTVGリミットと、ステップS15で算出したTVGリミットとを比較し、前者が後者より大きい(遠距離側にある)場合は(ステップS16:YES)、ステップS17へ進んで、現在のTVGリミットを、算出したTVGリミットへシフトさせる処理を行う。ステップS17を実行した後は最初に戻り、以上述べた手順が反復される。
【0045】
なお、ステップS1〜S15は、送受波器1から超音波(探知パルス)を1回送信する毎に実行され、ステップS16〜S17は、表示部8の画面に1ドットを表示する毎に実行される。
【0046】
以上述べた処理手順によれば、海況や船速などによりノイズのレベルが変動した場合でも、TVGリミットがノイズレベルに応じて自動的に調整されるので(ステップS15〜S17)、ノイズレベルが表示レベルを超えないように制御することが可能となり、これによって画面上にノイズ映像が表示されるのを抑制することができる。
【0047】
また、海底エコーのレベルが最強色レベルとなるように、表示の感度が自動調整されるので(ステップS2〜S5)、ノイズ映像を抑制しつつも、海底エコーを他のエコーと区別して最強色で鮮明に表示することができる。そして、感度を最大値にしても、海底エコーのレベルが最強色レベルを下回る場合は、表示ダイナミックレンジを最大値に自動設定するので(ステップS6)、感度だけでは限界がある場合でも、表示ダイナミックレンジを調整することにより、海底エコーのレベルをできるだけ最強色レベルに近づけることが可能となり、見やすい海底映像を得ることができる。なお、最強色は必ずしも1番目の強さに対応する色のみに限定する必要はなく、2番目や3番目の強さに対応する色で表示しても、同様の効果が得られる。
【0048】
また、ノイズレベルが下地色(背景色)レベルとなるように、表示ダイナミックレンジが自動調整されるので(ステップS10〜S13)、画面上のノイズ映像が一層抑制され、見やすいエコー画像を得ることができる。そして、表示ダイナミックレンジを最小値にしても、下地色レベルがノイズレベルを下回る場合は、ノイズレベルを下地色レベルに自動設定するので(ステップS14)、下地色レベルがノイズレベルを下回っても、ノイズレベルが強制的に下地色レベルと等しくなるように設定が行われ、画面上にノイズ映像が現れるのを抑制することができる。
【0049】
また、表層ノイズのレベルが所定値より大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定値より小さくなったことが検知されたときに、TVGリミット機能を停止するか、またはリミット値を海底深度以上の値に変更し、さらにTVGの特性曲線の傾きを大きくするようにしているので(ステップS8〜S9)、泡切れが発生した場合には、TVGの利得を増大させることにより、海底エコーに対する感度の低下を防止するとともに、海底の映像を鮮明に表示することができる。
【0050】
図11は、本発明の他の実施形態におけるオートTVG処理部28の処理内容を示したフローチャートである。ここでは、ノイズ映像の抑制を主に表示ダイナミックレンジの調整により行い、補助的にTVGリミットの調整を行う手法を採用している。
【0051】
ステップS20では、通常のTVG処理が行われる。ここでは、TVGリミットの値は固定である。その後、ステップS21で、海底レベルが最強色レベルとなるように感度を自動調整する。続くステップS22では、図12に示すように、ノイズレベルが下地色となるように、表示ダイナミックレンジを自動調整する。次に、ステップS23で、表示ダイナミックレンジを最小にしてもノイズが表示されるかどうかを判定する。図12では、表示ダイナミックレンジを小さくすることにより、ノイズレベルが下地色レベルに抑えられ、ノイズは表示されないので(ステップS23:NO)、TVGリミットの調整は行わない(ステップS25)。一方、表示ダイナミックレンジを最小にしてもノイズが表示される場合は(ステップS23:YES)、ノイズレベルが下地色レベルとなるように、TVGリミットを自動的に調整する(ステップS24)。すなわち、図13に示すように、TVGリミットをL1からL2へシフトさせることにより、ノイズレベルが下地色レベルを超えないようにする。
【0052】
このようにすれば、表示ダイナミックレンジやTVGリミットがノイズレベルに応じて自動的に調整されるので、画面上にノイズ映像が表示されるのを抑制することができる。
【0053】
なお、表示ダイナミックレンジを変更する際には、急激な映像の変化が起こらないように、徐々にダイナミックレンジを広げ、あるいは狭めるようにすることが好ましい。
【0054】
本発明では、以上述べた実施形態以外に、種々の実施形態を採用することができる。例えば、図5A、図5Bで示した手順において、感度を調整するステップS1〜S6、ノイズレベルを取得するステップS7、泡切れの場合のTVGレベルを調整するステップS8〜S9、表示ダイナミックレンジを調整するステップS10〜S14、TVGリミットを調整するステップS15〜S17は、順序を適宜入れ替えてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、水中探知装置として魚群探知機を例に挙げたが、本発明は、TVG機能を備えた水中探知装置であれば、スキャニングソナーや測深装置などにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態である魚群探知機のブロック図である。
【図2】信号処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の基本的な原理を説明する図である。
【図4】表示部の画面に表示される映像の例である。
【図5A】オートTVG処理部における詳細な処理内容を示したフローチャートである。
【図5B】図5Aの続きのフローチャートである。
【図6】信号レベルと感度との関係を説明する図である。
【図7】信号レベルと、感度および表示ダイナミックレンジとの関係を説明する図である。
【図8】信号レベルと、感度および表示ダイナミックレンジとの関係を説明する図である。
【図9】TVG特性を表したグラフである。
【図10】TVGリミットの自動設定を説明する図である。
【図11】他の実施形態におけるオートTVG処理部の処理内容を示したフローチャートである。
【図12】他の実施形態における信号レベルと、感度および表示ダイナミックレンジとの関係を説明する図である。
【図13】他の実施形態におけるTVGリミットの調整を説明する図である。
【図14】受信したエコー信号のレベルを示す図である。
【図15】TVG処理の原理を説明する図である。
【図16】TVGリミットを説明する図である。
【図17】ノイズレベルが上昇した場合の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
【0057】
1 送受波器
2 送受切替回路
3 送信回路
4 受信回路
5 A/Dコンバータ
6 検波回路
7 信号処理部
8 表示部
10 海底検出処理部
20 表示データ処理部
21 マニュアルTVG処理部
28 オートTVG処理部
26 感度処理部
27 色変換部
51 海底映像
52 ノイズ映像
53 魚群映像
100 魚群探知機
L,L1,L2 TVGリミット(基準値)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受波器から水中へ超音波を送信した後、前記送受波器で水中からのエコーを受信し、受信したエコーの信号を増幅する際に、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように前記送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG(Time Variable Gain)処理を行い、増幅されたエコー信号に基づいて水中情報を表示する水中探知装置において、
前記TVG処理により得られる利得を、前記距離が所定の基準値以上になると略一定値に維持するとともに、前記基準値をノイズレベルに応じて自動的に変更することを特徴とする水中探知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水中探知装置において、
ノイズレベルが上昇すると、距離の短くなる側に前記基準値をシフトさせることを特徴とする水中探知装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水中探知装置において、
海底エコーのレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち最強色に対応するレベルとなるように、表示の感度を自動調整することを特徴とする水中探知装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水中探知装置において、
前記感度を最大値にしても、海底エコーのレベルが最強色に対応するレベルを下回る場合は、表示ダイナミックレンジを最大値に自動設定することを特徴とする水中探知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の水中探知装置において、
前記ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジを自動調整することを特徴とする水中探知装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水中探知装置において、
前記表示ダイナミックレンジを最小値にしても、背景色に対応するレベルがノイズレベルを下回る場合は、ノイズレベルを背景色に対応するレベルに自動設定することを特徴とする水中探知装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水中探知装置において、
表層ノイズのレベルが所定レベルより大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定レベルより小さくなったことが検知されたときに、前記利得を略一定値に維持する処理を禁止するか、または、前記基準値を海底深度以上の値に変更することを特徴とする水中探知装置。
【請求項8】
請求項7に記載の水中探知装置において、
表層ノイズのレベルが所定レベルより大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定レベルより小さくなったことが検知されたときに、TVGの特性曲線の傾きを大きくすることを特徴とする水中探知装置。
【請求項9】
送受波器から水中へ超音波を送信した後、前記送受波器で水中からのエコーを受信し、受信したエコーの信号を増幅する際に、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように前記送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG(Time Variable Gain)処理を行い、増幅されたエコー信号に基づいて水中情報を表示する水中探知装置において、
前記TVG処理により得られる利得を、前記距離が所定の基準値以上になると略一定値に維持し、
ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジを自動調整し、
前記表示ダイナミックレンジを最小値にしてもノイズが表示される場合は、ノイズレベルが前記背景色に対応するレベルとなるように、前記基準値を自動的に変更することを特徴とする水中探知装置。
【請求項1】
送受波器から水中へ超音波を送信した後、前記送受波器で水中からのエコーを受信し、受信したエコーの信号を増幅する際に、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように前記送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG(Time Variable Gain)処理を行い、増幅されたエコー信号に基づいて水中情報を表示する水中探知装置において、
前記TVG処理により得られる利得を、前記距離が所定の基準値以上になると略一定値に維持するとともに、前記基準値をノイズレベルに応じて自動的に変更することを特徴とする水中探知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水中探知装置において、
ノイズレベルが上昇すると、距離の短くなる側に前記基準値をシフトさせることを特徴とする水中探知装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水中探知装置において、
海底エコーのレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち最強色に対応するレベルとなるように、表示の感度を自動調整することを特徴とする水中探知装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水中探知装置において、
前記感度を最大値にしても、海底エコーのレベルが最強色に対応するレベルを下回る場合は、表示ダイナミックレンジを最大値に自動設定することを特徴とする水中探知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の水中探知装置において、
前記ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジを自動調整することを特徴とする水中探知装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水中探知装置において、
前記表示ダイナミックレンジを最小値にしても、背景色に対応するレベルがノイズレベルを下回る場合は、ノイズレベルを背景色に対応するレベルに自動設定することを特徴とする水中探知装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水中探知装置において、
表層ノイズのレベルが所定レベルより大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定レベルより小さくなったことが検知されたときに、前記利得を略一定値に維持する処理を禁止するか、または、前記基準値を海底深度以上の値に変更することを特徴とする水中探知装置。
【請求項8】
請求項7に記載の水中探知装置において、
表層ノイズのレベルが所定レベルより大きくなったこと、または、海底エコーのレベルが所定レベルより小さくなったことが検知されたときに、TVGの特性曲線の傾きを大きくすることを特徴とする水中探知装置。
【請求項9】
送受波器から水中へ超音波を送信した後、前記送受波器で水中からのエコーを受信し、受信したエコーの信号を増幅する際に、遠方から帰来するエコーほど利得が大きくなるように前記送受波器からの距離に応じて利得を可変制御するTVG(Time Variable Gain)処理を行い、増幅されたエコー信号に基づいて水中情報を表示する水中探知装置において、
前記TVG処理により得られる利得を、前記距離が所定の基準値以上になると略一定値に維持し、
ノイズレベルが、エコー強度に応じて段階的に設定された表示色のうち背景色に対応するレベルとなるように、表示ダイナミックレンジを自動調整し、
前記表示ダイナミックレンジを最小値にしてもノイズが表示される場合は、ノイズレベルが前記背景色に対応するレベルとなるように、前記基準値を自動的に変更することを特徴とする水中探知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−204308(P2009−204308A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43781(P2008−43781)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
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