説明

水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタならびにこれを用いた水中浮遊粒子のろ過回収方法および水質の管理方法

【課題】 水中に存在する浮遊粒子を簡便かつ高速にろ過し高効率で回収し得る新規な水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタおよびろ過回収方法を提供する。
【解決手段】多孔質の溶解性粉体を支持体上に重積してなるフィルタを用いて水中浮遊粒子を物理的にろ過する。次いで、前記フィルタの前記溶解性粉体を酸で溶解してろ過した浮遊粒子を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に存在する浮遊粒子を簡便かつ高速にろ過し高効率で回収するためのフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
クリプトスポリジウムの水道水汚染により、米国で1993年に約40万人、我が国でも1996年に9千人近い集団感染を発生させ大きな社会問題となった。クリプトスポリジウムは、家畜や野生動物に寄生する直径約5μmの病原性微生物である。このような水道水を介した病原性微生物等による集団感染の予防や水汚染の原因究明等の必要性から、水中の浮遊粒子を捕捉し回収する技術の確立が急務となってきている。
【0003】
水中の浮遊粒子を捕捉する方法には、大別して遠心機を用いて遠心力により浮遊粒子を分離する遠心法と、フィルタを用いて浮遊粒子をろ過(物理ろ過)するろ過法とがある。そのうち、後者としては、砂ろ過、珪藻土、セルロース繊維等を重積したフィルタやメンブランフィルタ、中空糸膜フィルタ等を利用する方法があるが、これらは浮遊粒子の除去には有効であるが、浮遊粒子の回収が煩雑であり効率が悪いという問題があった。
【0004】
また、浮遊粒子の回収効率を上げるため、混合セルロースエステルからなるメンブランフィルタを用いて浮遊粒子をろ過し、フィルタを溶解して浮遊粒子を回収する方法が提案さているが(非特許文献1参照)、フィルタの溶解にアセトン等の有機溶媒を用いるため遠心機のスパークによる引火等の危険があった。
【0005】
一方、繊維上にハイドロキシアパタイトを担持させたフィルタを利用して空気中の粉塵等の微粒子を吸着ろ過により捕捉する方法が知られている(特許文献1参照)。また、炭酸カルシウム等を凝集剤や濁質等として添加し水中の浮遊粒子を凝集沈殿させて回収する方法等も知られている(非特許文献2および3参照)。しかし、可溶性溶解性粉体を重積したフィルタを用いて水中の浮遊粒子を物理ろ過する方法については知られていない。
【特許文献1】特開平8−168619号公報
【非特許文献1】厚生省生活衛生局水道環境部長通知、「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針について」、平成8年10月4日衛水248号、平成10年6月19日一部改正、生衛発第1039号
【非特許文献2】ベッセイ・グラハム(Vesey Graham)他、「クリプトスポリジウムのオーシストの水からの新規濃縮方法(A new method for the concentration of Cryptosporidium oocysts from water)」、ジャーナル・オブ・アプライド・バクテリオロジー(Journal of Applied Bacteriology)、英国、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブリケーションズ(Blackwell Scientific Publications)、1993年7月、75巻、1号、p.82−86
【非特許文献3】カラニス・P(Karanis P)、キムラ・A(Kimura A.)、「水試料よりクリプトスポリジウムオーシストを精製する3つの沈殿法の評価(Evaluation of three flocculation methods for the purification of Cryptosporidium parvum oocysts from water samples.)」、レター・オブ・アプライド・マイクロバイオロジー(Lett Appl Microbiol.)、英国、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブリケーションズ(Blackwell Scientific Publications)、2002年、34巻、6号、p.444−449
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、水中に存在する浮遊粒子を簡便かつ高速にろ過し高効率で回収し得る新規な水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタおよびろ過回収方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、大幅な省スペース化が図れ、かつ信頼性の高い生活用水等の水質の管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の各手段により達成される。
【0009】
すなわち、本発明は、溶解性粉体を支持体上に重積してなる水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0010】
本発明はまた、前記溶解性粉体は酸溶解性である、前記水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0011】
本発明はまた、前記溶解性粉体は多孔質体である、前記水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0012】
本発明はまた、前記溶解性粉体はリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムである、前記水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0013】
本発明はまた、前記溶解性粉体は非結晶リン酸カルシウムである、前記水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0014】
本発明はまた、前記溶解性粉体の平均粒径がろ過しようとする水中浮遊粒子の平均粒径の1〜100倍である、前記水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0015】
本発明はまた、前記溶解性粉体の平均粒径が1〜1200μmである、前記水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0016】
本発明はまた、前記水中浮遊粒子は、病原性微生物である、前記水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタである。
【0017】
また、本発明は、溶解性粉体を支持体上に重積してなるフィルタを用いて水中浮遊粒子を物理的にろ過するろ過工程と、前記フィルタの前記溶解性粉体を溶解してろ過した浮遊粒子を回収する回収工程と、を有することを特徴とする、水中浮遊粒子のろ過回収方法である。
【0018】
本発明はまた、前記溶解性粉体は酸溶解性であり、前記回収工程は前記溶解性粉体を酸で溶解することを特徴とする、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法である。
【0019】
本発明はまた、前記溶解性粉体はリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムである、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【0020】
本発明はまた、前記溶解性粉体は多孔質体である、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【0021】
本発明はまた、前記溶解性粉体はリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムである、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【0022】
本発明はまた、前記溶解性粉体は非結晶リン酸カルシウムである、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【0023】
本発明はまた、前記溶解性粉体の平均粒径がろ過しようとする水中浮遊粒子の平均粒径の1〜100倍である、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【0024】
本発明はまた、前記溶解性粉体の平均粒径が1〜1200μmである、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【0025】
本発明はまた、前記水中浮遊粒子は、病原性微生物である、前記水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【0026】
さらに、本発明は、溶解性粉体を支持体上に重積してなるフィルタに水を流通する工程と、所定時間または所定流量毎に前記フィルタを交換する工程と、交換したフィルタの前記溶解性粉体を所定期間保存する工程と、保存してある任意の前記溶解性粉体を溶解し、ろ過した浮遊粒子を回収して分析する工程と、を有することを特徴とする、水質の管理方法である。
【0027】
本発明はまた、水道水または水道原水の水質管理に用いられることを特徴とする、前記水質の管理方法である。
【発明の効果】
【0028】
本発明のフィルタは、溶解性粉体を重積して形成されているので、フィルタで捕捉した水中浮遊粒子を簡便かつ高収率で回収することができる。
【0029】
また、本発明のフィルタは、多孔質の溶解性粉体を重積して形成されているので、高いろ過効率を有するうえに目詰まりし難く、高速かつ大量の水試料をろ過処理することができる。
【0030】
さらに、本発明の水質の管理方法は、膨大な量の水試料を保存する必要がなくなり大幅な省スペース化を図ることができ、冷蔵または冷凍保存が可能となり保存試料の変質や劣化を抑えることができるので、信頼性の高い水質管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の実施形態にかかる水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタについて詳細に説明する。
【0032】
本発明の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタは、溶解性粉体を支持体上に重積してなるものである。ここで、溶解性粉体とは、水に不溶で水以外の特定の溶媒によって溶解可能な粉体をいい、例えば、酸溶解性、アルカリ溶解性、有機溶媒溶解性等の粉体がこれに該当する。本発明のフィルタは、溶解性粉体を重積して形成されているので、フィルタを特定溶媒で溶解することによりフィルタで捕捉した水中浮遊粒子を簡便かつ高収率で回収することができるものである。
【0033】
また、本発明の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタで利用される溶解性粉体の粒子形態は特に限定されるものではないが、好ましくは多孔質体である。すなわち、本発明のフィルタにおいて、溶解性粉体として多孔質体を用いた場合、溶解性粉体の粒子間で形成される間隙で目的の水中浮遊粒子を確実に補足しつつ、溶解性粉体の粒子内部の多数の微細孔により流路が確保されるため、水を容易に透過させることができ、高い透水性を達成することができる。これにより、本発明のフィルタは、高いろ過効率を有するうえに目詰まりし難く、高速かつ大量の水試料をろ過処理することができるという優れた効果を奏するものである。
【0034】
本発明のフィルタに利用することのできる溶解性粉体の具体例としては、酸溶解性のものとしてはリン酸カルシウム、炭酸カルシウム等、アルカリ溶解性のものとしては珪藻土等、有機溶媒溶解性のものとしてはセルロース混合エステル等の粉体を挙げることができる。これらの中では酸溶解性であるリン酸カルシウム粉体が好ましく、特に、非結晶ハイドロキシアパタイト等の非結晶リン酸カルシウム粉体が好適に用いられる。
【0035】
本発明で利用される溶解性粉体の平均粒径は、ろ過しようとする水中浮遊粒子の平均粒径に合わせて適宜選択されるが、通常、ろ過しようとする水中浮遊粒子の平均粒径の1〜100倍であり、好ましくは2〜20倍である。溶解性粉体の平均粒径が上記下限未満では、ろ過圧力の上昇やろ過速度の低下を招くので好ましくなく、上記上限を超えると、ろ過しようとする水中浮遊粒子のろ過回収率が低下するので好ましくない。なお、ここでいう粒径とは、非球体粒子の場合は短径を意味するものである。具体的には、本発明で利用される溶解性粉体の平均粒径は、1〜1200μmであることが好ましく、特に、ろ過しようとする水中浮遊粒子がバクテリアである場合は1.2〜8μm、ジアルジア、クリプトスポリジウム等の原虫の場合は12〜80μm、蠕虫の場合は173〜1120μmであることが好ましい。
【0036】
本発明のフィルタに用いられる支持体は、前記溶解性粉体を重積することができ、かつ透水性に優れ、流速や処理量を低下させないものであれば特に限定されるものではなく、例えばサラン(登録商標)、ナイロン、テトロン(登録商標)、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、綿等からなるろ布または不織布、ろ紙、メンブレン、ステンレス、チタン等からなる金網等が挙げられる。
【0037】
本発明のフィルタは、前記溶解性粉体を水に懸濁し、前記支持体に得られた懸濁液を透過させて前記溶解性粉体を前記支持体上に重積することにより製造することができる。本発明のフィルタは、市販の加圧あるいは陰圧フォルダで固定して用いる。本発明のフィルタは、水道管等の一部に換装可能な形態で組込んだり、着脱が容易なカートリッジ型としてろ過装置に組み込む等して利用することができる。
【0038】
本発明のフィルタは、水試料中の浮遊粒子のろ過回収に利用することができるが、本発明のフィルタが適用可能な水試料とは水を媒体とした溶液を指し、例えば水道水、表流水、地下水、海水等および、有機物・無機物等を含む特定の溶質を溶解させた水溶液等に適用可能である。
【0039】
次に、本発明のフィルタを利用した水中浮遊粒子のろ過回収方法について説明する。
【0040】
まず、本発明のフィルタを専用のフィルタフォルダ等で固定して水道管等の一部に配設し、水道管等を通じて水試料をフィルタに導入し、フィルタに所定量の水試料を透過させる。この際、フィルタを透過させる水試料の流速は、フィルタの平均粒径および圧力に従うが、仮に40μmの粉体に河川水を通す場合は1m/時間〜10m/時間程度、水道水では10〜70m/時間程度である。また、処理量は、処理水中の粒子の多寡とフィルタサイズに従うが、例えば40μmの粉体を用いた直径40mmのフィルタに河川水を通す場合は1〜5l、水道水では10〜10000l程度である。処理水中に粉体を混ぜることで処理可能な水量を増加させることも可能である。
【0041】
ろ過処理が終了したら、フィルタフォルダ等からフィルタを外してフィルタを回収し、溶解性粉体を溶解可能な溶媒を添加してろ過処理済のフィルタの溶解性粉体を完全に溶解する。使用する溶媒は溶解性粉体を溶解可能なものであれば特に限定されるものではないが、溶解性粉体が酸溶解性である場合は、塩酸、クエン酸等、溶解性粉体がアルカリ溶解性の場合は、水酸化ナトリウム等、溶解性粉体が有機溶媒溶解性の場合はアセトン等が挙げられる。また、溶解性粉体に対する溶媒の添加量は、例えば酸溶解性粉体であるハイドロキシアパタイトを塩酸で溶解する場合、ハイドロキシアパタイト1gに対して1M塩酸15ml程度である。
【0042】
次いで、得られた溶解性粉体溶解液を遠心機等にかけ、遠心沈殿等により目的の水中浮遊粒子を回収する。なお、回収した目的粒子は、目的に応じて再懸濁、再濃縮、洗浄等を行なう。
【0043】
本発明のフィルタを利用した水中浮遊粒子のろ過回収方法は、水道水、水道原水等の水質管理方法として利用することができる。すなわち、供給する生活用水の一部を本発明のろ過回収方法のろ過工程に供して、所定間隔ごとに(例えば毎日)フィルタを交換して処理済フィルタそのものまたは処理済フィルタの溶解性粉体を一定期間(例えば数週間程度)冷蔵庫等に保存しておく。そして、例えば病原性微生物等による集団感染等が発生したような場合に、感染源と疑われる生活用水等の水源について水汚染の可能性のある時期の保存しておいたフィルタまたは溶解性粉体を対象として、本発明のろ過回収方法の回収工程に供して、病原性微生物等の水中浮遊粒子を回収して分析するものである。これにより、処理済フィルタまたはその溶解性粉体を保存しておくだけで、フィルタを透過させた大量の水試料をそのまま保管した場合と同等の水質管理が行えるので、膨大な量の水試料を保存する必要がなくなり大幅な省スペース化を図ることができる。また、処理済フィルタまたはその溶解性粉体を冷蔵庫等に保存しておくことができるので、水試料をそのまま室温で保管した場合に懸念される保管中の水試料の変質や劣化がなく、信頼性の高い水質管理を行うことができる。
【0044】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはいうまでもない。
【実施例1】
【0045】
次に、実施例により本発明の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタならびにこれを用いた水中浮遊粒子のろ過回収方法についてさらに詳細に説明する。
[実施例1]
【0046】
内径40mm、高さ100mmのステンレス製加圧式フィルタフォルダに孔径16μmのナイロンメッシュを取り付けた(図1)。次いで、フィルタ粉体として平均粒径20μmの非結晶ハイドロキシアパタイト粉末(バイオ・ラッド・ラボラトリーズ社製CHTセラミックハイドロキシアパタイトTypeII)1.26g(1.0kg/m相当)を用い、フィルタ粉体を少量の水道水に懸濁し、上記フィルタフォルダにゆっくりと透過させて、本発明のフィルタを形成した。
【0047】
次に、目的粒子として3μmの蛍光付ビーズを10000個/mlの濃度で精製水に懸濁させて、ビーズ懸濁液を調整した。次いで、上記フィルタに対し精製水1lを吸引ろ過して安定させた後、途切れることなく上記ビーズ懸濁液1lをろ過し、続いて洗いを兼ねて精製水1lをろ過した。
【0048】
ろ過処理後フィルタフォルダからフィルタを取り出し(図2)、フィルタ粉体を50mlの遠心管に回収し(図3)、精製水20mlに懸濁して(図4)、懸濁液を蛍光顕微鏡(200倍)で観察したところ、フィルタ粉体上に目的粒子(青色蛍光)が捕捉されていることが観察された(図5)。
【0049】
次に、上記懸濁液に1M塩酸20mlを添加してフィルタ粉体を溶解し(図6)、溶解液を蛍光顕微鏡(200倍)で観察したところ、溶液中に目的粒子(青色蛍光)のみが観察された(図7)。
[実施例2〜4]
【0050】
フィルタ粉体の平均粒径を変更した以外は実施例1と同様に処理して、蛍光付ビーズの濃度をフローサイトメトリーにより測定することにより、蛍光付ビーズの回収率を測定した(図8)。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、水中に存在する浮遊粒子を簡便かつ高速にろ過し高効率で回収し得る新規な水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタおよびろ過回収方法が提供される。
【0052】
また、本発明によれば、大幅な省スペース化が図れ、かつ信頼性の高い生活用水等の水質の管理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のフィルタを固定する加圧式フィルタフォルダを固定台に固定した図である。
【図2】図1のフィルタフォルダから取り外したろ過処理後のフィルタである。
【図3】図2のフィルタの粉体を遠心管に回収している図である。
【図4】図3で回収したフィルタ粉体を水に懸濁させた図である。
【図5】図4の懸濁液を蛍光顕微鏡(200倍)で観察した図である。
【図6】図4の懸濁液に酸を添加してフィルタ粉体を溶解させた図である。
【図7】図6の溶解液を蛍光顕微鏡(200倍)で観察した図である。
【図8】本発明のフィルタの各種条件でのろ過回収率を測定した結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解性粉体を支持体上に重積してなる水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項2】
前記溶解性粉体は酸溶解性である、請求項1に記載の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項3】
前記溶解性粉体は多孔質体である、請求項1または2に記載の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項4】
前記溶解性粉体はリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項5】
前記溶解性粉体は非結晶リン酸カルシウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項6】
前記溶解性粉体の平均粒径がろ過しようとする水中浮遊粒子の平均粒径の1〜100倍である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項7】
前記溶解性粉体の平均粒径が1〜1200μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項8】
前記水中浮遊粒子は、病原性微生物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収用フィルタ。
【請求項9】
溶解性粉体を支持体上に重積してなるフィルタを用いて水中浮遊粒子を物理的にろ過するろ過工程と、
前記フィルタの前記溶解性粉体を溶解してろ過した浮遊粒子を回収する回収工程と、
を有することを特徴とする、水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項10】
前記溶解性粉体は酸溶解性であり、前記回収工程は前記溶解性粉体を酸で溶解することを特徴とする、請求項9に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項11】
前記溶解性粉体はリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムである、請求項9または10に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項12】
前記溶解性粉体は多孔質体である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項13】
前記溶解性粉体はリン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項14】
前記溶解性粉体は非結晶リン酸カルシウムである、請求項9〜13のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項15】
前記溶解性粉体の平均粒径がろ過しようとする水中浮遊粒子の平均粒径の1〜100倍である、請求項9〜14のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項16】
前記溶解性粉体の平均粒径が1〜1200μmである、請求項9〜15のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項17】
前記水中浮遊粒子は、病原性微生物である、請求項9〜16のいずれか1項に記載の水中浮遊粒子のろ過回収方法。
【請求項18】
溶解性粉体を支持体上に重積してなるフィルタに水を流通する工程と、
所定時間または所定流量毎に前記フィルタを交換する工程と、
交換したフィルタの前記溶解性粉体を所定期間保存する工程と、
保存してある任意の前記溶解性粉体を溶解し、ろ過した浮遊粒子を回収して分析する工程と、
を有することを特徴とする、水質の管理方法。
【請求項19】
水道水または水道原水の水質管理に用いられることを特徴とする、請求項18に記載の水質の管理方法。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−39481(P2008−39481A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211340(P2006−211340)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【Fターム(参考)】