説明

水中通信システム

【課題】大容量データの送信を安定して行える水中通信システムを提供する。
【解決手段】送信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中101機器から第二の水中機器111に送信する水中通信システムであって、第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器に送信する送信方向可動なレーザー送信機102と、第二の水中機器から送信される送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機103と、送信方向制御データを受けてレーザー送信機の送信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する制御部104を備え、第二の水中機器は、レーザー送信機から送信されるレーザー光信号を受信する受信方向可動なレーザー受信機112と、第一の水中機器へ送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機113を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水中機器間で各種データの送受信を行う水中通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水中機器間での通信は、主に海洋観測等の分野で研究がなされてきた。
例えば、独立行政法人海洋研究開発機構のホームページにおいて、平成15年度新規研究課題研究計画書(http://www.jamstec.go.jp/jamstec−j/hyouka/old/h14/pre/psheet14/psheet14−1.pdfに掲載)の「先進的技術の研究開発:(3)水中音響技術に関する研究」の章に以下のように記載されている。
* 潜水艦「しんかい6500」・「しんかい2000」・AUV「うらしま」の画像伝達装置の高速化や、「うらしま」の音響コマンドシステムの開発にて通信速度32kbpsの伝送が既に実現されている。
* また、平成15年度より5年間で、使用周波数100kHz帯・伝送距離500m以上・伝送速度64kbps以上を目標に研究開発を実施する予定である。
【0003】
また、別途光通信による水中無線通信の研究も従来行なわれてきており、赤色LED、ガスレーザー等を利用したデータ通信の研究報告(例えば、前記海洋研究開発機構の平成12年度事後評価自己評価票[http://www.jamstec.go.jp/jamstec−j/hyouka/old/h12/eva/12interim&result−jico/tech4/tech4.pdfに掲載])などが見受けられるが、いずれもデータ伝送の距離が不足していたり、大規模な装置を必要としていたため、実用化に至っていないのが現状であった。
しかしながら、近年、水中において最も透過の良い450nm付近の波長を有した青色半導体レーザーや青色LEDの開発が進み、レーザー光と可視光を利用した水中通信の分野においても新しい展開が期待されるようになってきている。
【0004】
なお、「平成12年度事後評価自己評価票」には以下のように記載されている。
* 450nmを中心とした青色光は伝送距離を長くできるが、青色LEDは電飾用として開発されたため応答特性(100kHz以下)が非常に悪く、これを利用しても大量のデータを伝送することは難しい。最近の調査観測機器は処理するデータ容量が格段に大きく、記憶容量も数ギガバイトに及ぶものも少なくないため、伝送距離よりも伝送速度を優先することとし、通信用に多く用いられている近赤外線LEDを使用することとした。
* 平成10・11年度に、この近赤外線モデムを収容可能な耐圧容器を製作、実機を想定した水中実験を平成11年度に実施とした。その結果、0〜130cmまでは問題なく所定の伝送速度で作動した。130cmを越えてからはデータエラーが増大し伝送容量が急速に低下した。
* 今後は機器の小型化、伝送相距離の延伸(短波長域の利用)が課題と言える。
【非特許文献1】平成15年度新規研究課題研究計画書(独立行政法人海洋研究開発機構)
【非特許文献2】平成12年度事後評価自己評価票(独立行政法人海洋研究開発機構)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1である「平成15年度新規研究課題研究計画書」に示された技術では、水中機器間において、画像データ等の大容量データ通信が困難であるという問題があった。
また、非特許文献2である「平成12年度事後評価自己評価票」に示された技術では、水中機器間におけるデータの伝送距離が不十分であり、また装置を小型化できないという問題があった。
水中機器間において、伝送距離を十分にとって画像データ等の大容量のデータ通信を行うためには、レーザー光による通信が必要である。
レーザー光による通信は、地上では既に確立された技術である。
レーザーは指向性が強く、ビームの中心から少しそれただけで受信感度は低下する。
従って、レーザー通信では送受信されるレーザー光ビームの指向をあわせないとデータ通信はできないので、秘匿性が高いというメリットがある。
地上であれば、送信機・受信機を一度調整して固定すれば、「レーザービームの指向をあわせないとデータ通信はできない」という問題は解決する。
【0006】
しかし、水中では送信機や受信機を固定することはできず、従来の地上のレーザー通信システムをそのまま利用しても、安定したレーザー通信を行うのは困難であった。
即ち、レーザー光による通信においては送信機器と受信機器の相互の位置精度(即ち、送信機器のレーザー送信方向と受信機器のレーザー受信方向の一致精度)が重要であり、特に水中機器間においては、個々の水中機器の移動や水流による相互位置の変動(揺動)などのために、送信機器のレーザー送信方向と受信機器のレーザー受信方向が安定して一致せず、通信精度を十分に保って安定した通信を行うことが困難であった。
【0007】
この発明は、上述のように問題点を解決するためになされたものであり、水中機器間において、揺動等により相互位置が変動しても、通信精度を十分に保って、レーザー光通信による大容量データの送信あるいは受信を安定して行うことができる水中通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る水中通信システムは、送信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器から第二の水中機器に送信する水中通信システムであって、
前記第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として前記第二の水中機器に送信する送信方向可動なレーザー送信機と、前記第二の水中機器から送信される送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機と、前記送信方向制御データを受けて前記レーザー送信機の送信方向を制御すると共に前記送信すべきデータを制御する制御部を備え、前記第二の水中機器は、前記レーザー送信機から送信されるレーザー光信号を受信する受信方向可動なレーザー受信機と、前記第一の水中機器へ送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機を備えたものである。
【0009】
また、この発明に係る水中通信システムは、送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器と第二の水中機器の間で送受信する水中通信システムであって、
前記第一の水中機器は、データの送受信方向が可動であり、送信すべきデータをレーザー光信号として送信し前記第二の水中機器から送信されてくるデータを受信すると共に、受信するデータの受信感度がよい方向を検知する第一のレーザー送受信機と、前記第二の水中機器に前記第一のレーザー送受信機が検知した受信感度がよい方向に対応する送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機と、前記第一のレーザー送受信機が送信すべきデータを制御すると共に前記送信方向制御データ送信機に前記送信方向制御データを送信させる制御部を備え、前記第二の水中機器は、送受信すべきデータの送受信方向可動な第二のレーザー送受信機と、前記第一の送信方向制御データ送信機から送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機を備え、前記送信方向制御データ受信機が受信する送信方向制御データに基づいて前記第二のレーザー送受信機から送信すべきデータの送信方向を制御するものである。
【0010】
また、この発明に係る水中通信システムは、送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器と第二の水中機器の間で送受信する水中通信システムであって、
前記第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として前記第二の水中機器に送信し、前記第二の水中機器から送信されるデータをレーザー光信号として受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機と、前記第二の水中機器から送信される送受信方向制御データを受信すると共に自分の位置情報データを送信する送受信方向可動な第一の送受信方向制御データ送受信機と、前記送受信方向制御データを受けて前記第一のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部を備え、前記第二の水中機器は、前記第一のレーザー送受信機から送信されるレーザー光信号を受信し、送信すべきデータをレーザー光信号として送信する第二のレーザー送受信機と、前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データを受信すると共に前記送受信方向制御データを前記第一の水中機器へ送信する第二の送受信方向制御データ送受信機と、前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データを受けて前記第二のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に、送信すべきデータを制御する第二の制御部を備えたものである。
【0011】
また、この発明に係る水中通信システムは、送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器と第二の水中機器の間で送受信する水中機通信システムであって、
前記第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として前記第二の水中機器に送信すると共に前記第二の水中機器から送信されるデータをレーザー光信号として受信し、さらに自分の位置情報データをレーザー光として送信すると共に前記第二の水中機器から送信される送受信方向制御データを受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機と、前記第二の水中機器から送信される送信方向制御データを受けて前記第一のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部を備え、前記第二の水中機器は、前記第一のレーザー送受信機から送信されたレーザー光信号を受信すると共に送信すべきデータをレーザー光信号として送信し、さらに前記第一の水中機器へ送信される送受信方向制御データを送信すると共に前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データを受信する送受信方向可動な第二のレーザー送受信機と、前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データに対応して前記第二のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第二の制御部を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器に送信する送信方向可動なレーザー送信機と、第二の水中機器から送信される送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機と、送信方向制御データを受けてレーザー送信機の送信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する制御部を備え、第二の水中機器は、レーザー送信機から送信されるレーザー光信号を受信する受信方向可動なレーザー受信機と、第一の水中機器へ送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機を備えているので、揺動等のために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、第一の水中機器から第二の水中機器に対して、通信精度を十分に保って大容量データの送信を安定して行うことができる。
【0013】
また、この発明によれば、第一の水中機器は、データの送受信方向が可動であり、送信すべきデータをレーザー光信号として送信し、第二の水中機器から送信されてくるデータを受信すると共に受信するデータの受信感度がよい方向を検知する第一のレーザー送受信機と、第二の水中機器に第一のレーザー送受信機が検知した受信感度がよい方向に対応する送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機と、第一のレーザー送受信機が送信すべきデータを制御すると共に送信方向制御データ送信機に送信方向制御データを送信させる制御部を備え、第二の水中機器は、送受信すべきデータの送受信方向可動な第二のレーザー送受信機と、第一の送信方向制御データ送信機から送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機を備え、送信方向制御データ受信機が受信する送信方向制御データに基づいて第二のレーザー送受信機から送信すべきデータの送信方向を制御する。
従って、揺動等のために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、第一の水中機器と第二の水中機器の間において、通信精度を十分に保って大容量データの送受信を安定して行うことができる。
【0014】
また、この発明によれば、第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器に送信し、第二の水中機器から送信されるデータをレーザー光信号として受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機と、第二の水中機器から送信される送受信方向制御データを受信すると共に自分の位置情報データを送信する送受信方向可動な第一の送受信方向制御データ送受信機と、送受信方向制御データを受けて第一のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部を備え、第二の水中機器は、第一のレーザー送受信機から送信されるレーザー光信号を受信し、送信すべきデータをレーザー光信号として送信する第二のレーザー送受信機と、第一の水中機器から送信された位置情報データを受信すると共に送受信方向制御データを第一の水中機器へ送信する第二の送受信方向制御データ送受信機と、第一の水中機器から送信された位置情報データを受けて第二のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に、送信すべきデータを制御する第二の制御部を備えている。
従って、揺動等のために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、第一の水中機器と第二の水中機器の間において、通信精度を十分に保って大容量データの送受信をより安定して行うことができる。
【0015】
また、この発明によれば、第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器に送信すると共に前記第二の水中機器から送信されるデータをレーザー光信号として受信し、さらに自分の位置情報データをレーザー光として送信すると共に前記第二の水中機器から送信される送受信方向制御データを受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機と、第二の水中機器から送信される送信方向制御データを受けて第一のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部を備え、第二の水中機器は、第一のレーザー送受信機から送信されたレーザー光信号を受信すると共に送信すべきデータをレーザー光信号として送信し、さらに第一の水中機器へ送信される送受信方向制御データを送信すると共に第一の水中機器から送信された位置情報データを受信する送受信方向可動な第二のレーザー送受信機と、第一の水中機器から送信された位置情報データに対応して第二のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第二の制御部を備えている。
従って、第一のレーザー送受信機および第二のレーザー送受信機は、送受信すべきデータと位置情報データをそれぞれ送受信するので、揺動等のために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、第一の水中機器と第二の水中機器の間において、より簡単な構成で、通信精度を十分に保って大容量データの送受信を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態例について説明する。
なお、本発明は、水中機器間または水中機器と水上機器の水中部分(例えば、水上機器である船の船底)の間の通信システムに関するものであるが、双方の水中機器の通信機器において、少なくとも送受信機が水中にあり、実質的に通信を水中で実施するものは、たとえ送受信機以外の機器が水上にあっても、以降では水中機器と称することとする。
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による水中通信システムの構成例を示す概念図である。
図に示すように、本実施の形態による水中通信システムは、第一の水中機器101から第二の水中機器111に、レーザーにより送信すべき各種データ(例えば、撮像した画像データや水中温度、深度、水圧などの観測データ等)の送信を行うものである。
第一の水中機器101は、第二の水中機器111のレーザー受信機112に送信すべきデータである各種データ(例えば、画像データ等)をレーザー光信号として送信する送信方向が可動なレーザー送信機102、第二の水中機器111から送信される送信方向制御データ(即ち、送信方向の制御のために用いられデータであり、相手方からやってくるレーザー光の方向を検知させるためのデータ)を受信する送信方向制御データ受信機103、送信方向制御データ受信機103が受けた送信方向制御データに基づいてレーザー送信機102の送信方向を制御すると共に第二の水中機器111のレーザー受信機112に送信すべきデータを制御する制御部104で構成されている。
【0018】
さらに、第一の水中機器101には、例えば、周辺の状況を撮影(撮像)する撮像装置107、該撮像装置107で撮影(撮像)された画像データを通信に適した形に圧縮するデータ処理部106、データ処理部106で圧縮された画像データを一時保存するデータ保存部105等が配置されている。
また、第二の水中機器111には、第一の水中機器101の送信方向制御データ受信機103に送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機113、第一の水中機器101のレーザー送信機102から送信されてくる各種データ(画像データ等)を受信する受信方向が可動なレーザー受信機112で構成されている。
なお、第一の水中機器101に配置されているデータ保存部105は、揮発性または不揮発性メモリ(例えば、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ等)の記憶装置で構成しても良いし、またCD、DVD、PCのHDD等の磁気媒体による記録装置を利用しても良い。
また、データ保存部105に記憶または記録する内容については、撮像装置107により撮像された画像データやデータ圧縮ソフトウェア、圧縮された画像データ、その他の観測データ、通信プロトコル、等が代表的なものとしてあげられる。
【0019】
本実施の形態による水中通信システムでは、第一の水中機器101のレーザー送信機102から送信されるレーザー光(即ち、送信すべき各種データのレーザー光信号)を第二の水中機器111のレーザー受信機112で受信する時に最も受信感度が良好となる方向(即ち、レーザー送信機102の送信方向)を検知し、そのデータ(受信方向制御データ)を図示していない制御部によりレーザー受信機112の後述する可動光学レンズを動かすためのデータに変換する。
そして、変換されたデータに基づいて、機械的にレーザー受信機112の可動光学レンズをレーザー送信機102の方へ向ける。
【0020】
次に、同様のデーター(送信方向制御データー)を今度は第二の水中機器111の送信方向制御データ送信機113から音響信号またはレーザー光により第一の水中機器101の送信方向制御データ受信機103に送信する。
制御部104は、送信方向制御データ受信機103が受信した送信方向制御データに基づいて、レーザー送信機102の可動光学レンズを駆動することによってレーザー送信機102の送信方向を第二の水中機器111のレーザー受信機112の方へ向ける。
これにより、第一の水中機器101のレーザー送信機102と第二の水中機器111のレーザー受信機112は、互いに相手の方向を向く_(即ち、指向が一致する)ことになり、レーザー光の送受信が容易になる。
この作業を繰り返し実施することにより、揺動等のために水中で互いの機器が移動しても、絶えず通信が途絶えることなく実行される。
【0021】
なお、制御部104は、後述する可動光学レンズの調整と共に、圧縮された画像データを搬送レーザー光に乗せるための処理も行う。
なお、制御部104が行う「送信すべきデータを制御する」とは、制御部104が送信すべきデータである圧縮された画像データ等を搬送レーザー光に乗せるための処理のことを言う。(後述する他の実施の形態においても同様)
画像データの送信は、撮像と同時であってもよいし、一旦データ保存部105に保存した後に送信してもよい。
また、第一の水中機器101から第二の水中機器111に送信すべきデータは、撮像装置107で撮像された画像データに限られるものではなく、例えば、水中温度や深度などの各種観測データが含まれてもよい。
【0022】
第一の水中機器101のレーザー送信機102は、可動光学レンズを持っており、レーザー送信機102は第二の水中機器111に対して予め定められた広角範囲にレーザー光を照射(送信)する。
そして、レーザー送信機102で照射されたレーザー光は、第二の水中機器111に配置され、同じく可動光学レンズを持ったレーザー受信機112で受信される。
レーザー受信機112は、受信するレーザー光の最も受信感度のよい方向を探知して、その方向(即ち、最も受信感度のよい方向)へ自らの可動光学レンズを向ける。
ここで、レーザー送信機102あるいはレーザー受信機112に配置されている可動光学レンズについて説明する。
【0023】
図2は、可動光学レンズを説明するための概念図である。
可動光学レンズは、例えば、図2に示すように、出射するレーザー光に角度θ1の広がりを持たせることができると共に、レンズ部分を中心軸に対してθ2の範囲で動かすことができるような構造を有したレンズである。
図3は、可動光学レンズのレンズ部分の構造例を示す図である。
図3に示すように、可動光学レンズのレンズ部分は、図3(a)に示される両凸型、図3(b)に示される平凸型、図3(c)に示されるメニスカス凸型、図3(d)に示される両メニスカス型、図3(e)に示される平メニスカス型、図3(f)に示されるフレネル型のいずれかであるか、あるいは、これらを複合した構造でもよく、機械的な削りだし、あるいは射出成形などを行い製作される。
【0024】
図2に示した可動光学レンズは、図3(a)〜図3(f)に示したような光学レンズが可動なように配置されているレンズである。
この可動光学レンズは、水中機器からのレーザー光を受光するだけのときは、レーザー光を極力広い角度で受光できるレンズ、または集光作用のある機械的構造物で構成されていてもよい。
レーザー送信機102の可動光学レンズおよびレーザー受信機112の可動光学レンズを可動させるための駆動方法は、静電気モータ、磁気モータ、超音波モータを含むすべてのモータのいずれかが選択可能であるが、レンズを可動させることができるものであれば何でもよい
レーザー送信機102およびレーザー受信機112の可動光学レンズの可動部にジャイロスコープを付加することも、水中での動揺量を補正し、レーザー追尾性能を高めるために有効である。
ジャイロスコープには、回転型、振動型、ガス型、光ファイバー型、リングレーザー型があり、寸法・コスト面では現在の技術では振動型が有利であり、性能面ではリングレーザー型が有利である。
【0025】
さらに、第二の水中機器112のレーザー受信機112で受信した情報(即ち、受信方向制御データ、画像データ、水中温度、深度などのデータ)は、例えば、図示しない水上部分の制御装置で受けて、送信方向制御データ送信機113より第一の水中機器101の送信方向制御データ受信機103に送信し、制御部104を介してレーザー送信機102の角度を第二の水中機器111の方へ向け、その後は、例えば画像データ等の大容量データ通信を第一の水中機器101のレーザー送信機102から第二の水中機器111のレーザー受信機112に行うことにより精度の良いレーザー光による水中通信を行うことができる。
上記説明したレーザー送受信機の互いの角度を調整する技術については既に知られており、例えば特開2007−035704号公報等に開示されている技術等があげられる。
さらに、他の方式として、一度ある程度あわせたレーザー送受信機の互いの角度を維持するために、例えば特開2006−270806号公報に記載されているようなレーダーのコニカルスキャン方式等によって、一度調整したレーザー送受信機間の指向制御状態を維持することも可能である。
【0026】
ここで、上記可動光学レンズの広角範囲に関して、水中での動揺量に応じて最適な範囲が存在する。
例えば上記レーザーの指向制御に要する時間を仮に0.1秒とした場合、この0.1秒における第一の水中機器101の動揺量をXdegと仮定し、第二の水中機器111の動揺量をYdegとした場合、XdegとYdegの合計値「Xdeg+Ydeg」が広角範囲となる。
なお、通信距離を伸ばすためには、この広角範囲を最も小さくする必要がある。
動揺量に応じて最小広角範囲が変化するため、水中の環境によって広角範囲を可変することも必要となる。
即ち、角度θ1は、5度から120度の範囲で拡散させるのが良く、拡散の中心位置の可動角度範囲角度θ2は0度から±90度で可変にするのがよい。
また、レーザー送信機とレーザー受信機における可動光学レンズにおいて、角度θ1と角度θ2はそれぞれ同じ角度とする必要はなく、通信想定距離、および水中機器A101と水上機器B111の位置関係の変動量によって最適な角度を選択する必要がある。
【0027】
ここで、第一の水中機器101のレーザー送信機102と第二水中機器111のレーザー受信機112の間隔は、通信最低距離をαとした場合、最小0からsin(θ1)×αの範囲とするのがよい。
またさらに、送信方向制御データ送信機113から送信方向制御データ受信機103への送信方向制御データの送信は、レーザー送信機102からレーザー受信機112への通信と同様に広角範囲に照射したレーザー光を利用しても良いし、音響送受信機を利用した音波による送信でもよい。
音響送受信機は、水中で100bpsから100kbpsの回線速度ではあるが、音波による情報通信は現在広く行なわれており、直線的な通信経路に障害物があっても、また送受信機の位置がずれていても安定した通信が可能であり最適である。
このようにして形成された通信リンク(即ち、互いの送受信機の位置を絶えず調整する通信システム)は、画像データ等の大容量データの通信に適している。
【0028】
また、水中機器はそれ自体が可動であり、また水流などの影響により揺動もするので、一定時間毎に送受信機の可動レンズの方向を修正する。
上記音響受信機において、アレイアンテナ(複数アンテナ)を有した構造とすることもできる。
アレイアンテナを使用することで複数の受信音響の位相差から通信機器間の性格な位置情報を見つけることができるので、位置確度の誤差が少なくなり、高いC/Nを確保した構成とすることができる。
ここで、本発明に使用されるレーザー光の発信源として、以下の表1に示ものが考えられる。
【0029】
【表1】


【0030】
一般に、水中での通信速度は1Mbpsから100Mbpsが想定されており、さらに、レーザー光拡散角度は最小で5度の広がりを想定されている。
このため本発明の通信手段としては半導体レーザーが最も優れているが、しかし、一部性能は劣化するが、コスト等を考慮した場合、LEDを利用してもよい。
第一の水中機器101のレーザー送信機102と、第二の水中機器111のレーザー受信機112では、比較的きれいな水中における通信では青緑色を使用し、汚れた水中では、汚れ具合によって、青緑色から赤みを増した色を使用することで、水中におけるレーザー光の減衰量を極力減らすことができる。
つまり、使用する水中の条件に合わせて、レーザーを選択することにより、通信品質を向上させることが可能となる。
【0031】
また、レーザーの色(波長)を変えることで、第一の水中機器101から第二の水中機器111へのレーザーによる大容量通信、第二の水中機器111から第一の水中機器101へのレーザーを使用した送信方向制御データ通信に関して、お互いの通信に関する干渉を防ぐことができる。
さらに、同時に複数機器を運用する場合の干渉回避にも有効である。
撮像装置107は、その撮像方向やズーム・ピント等の全ての制御を送信方向制御データと同時に送信することにより、第二の水中機器111側からリモートコントロールすることができる。
撮影(撮像)した画像データはデータ処理部106によりそのままデータ保存部105に保存しても良いし、画像圧縮してデータ保存部105に保存しても良い。
さらにそれらのデータや他の観測データは、制御部104によりレーザー送信機102へ送られ、第二の水中機器111にレーザー送信される。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態による水中通信システムは、送信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器101から第二の水中機器111に送信する水中通信システムであって、第一の水中機器101は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器111に送信する送信方向可動なレーザー送信機102と、第二の水中機器111から送信される送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機103と、送信方向制御データを受けてレーザー送信機102の送信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する制御部104を備え、第二の水中機器111は、レーザー送信機102から送信されるレーザー光信号を受信する受信方向可動なレーザー受信機112と、第一の水中機器101へ送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機113を備えている。
従って、本実施の形態によれば、揺動などのために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、送信方向制御データに基づいてレーザー送信機の送信方向とレーザー受信機の受信方向を合わせることが可能であり、第一の水中機器から第二の水中機器に対して、通信精度を十分に保って大容量データの送信を安定して行うことができる。
【0033】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2による水中通信システムの構成例を示す概念図である。
前述の実施の形態1は、第一の水中機器から第二の水中機器に画像データ等の送信すべきデータを送信するものであったが、本実施の形態では、第一の水中機器121から第二の水中機器131に送信すべきデータを送信できるとともに、第二の水中機器131から第一の水中機器121へも画像データ等のデータを送信できるようにしてある。
即ち、図4に示した第一の水中機器121の第一のレーザー送受信機122および第二の水中機器131の第二のレーザー送受信機132は、前述した可動光学レンズを持っており、予め定められた広角範囲にレーザー光を照射(送信)し、可動光学レンズを持った第二のレーザー送受信機132あるいは第一のレーザー送受信機122で受信する。
なお、前述の実施の形態1は、人が操縦する場合の水中通信システムを想定しており、本実施の形態は、無人で操縦する場合の水中通信システムを想定している。
【0034】
第一の水中機器121の第一のレーザー送受信機122は、最も受信感度のよい方向を検知し、その方向へ自らの可動光学レンズを向ける。
また、第一のレーザー送受信機122が検知した最も感度のよい方向を表す情報(即ち、送信方向制御データ)を、制御部124を介して送信方向制御データ送信機123より第二の水中機器131の送信方向制御データ受信機133に送信し、該送信方向制御データ受信機133が受信する送信方向制御データに基づいて第二のレーザー送受信機132の角度(送信方向)を第一の水中機器121の方へ向けることにより精度の良いレーザー光による通信を行うことができる。
なお、第一のレーザー送受信機122および第二のレーザー送受信機132は、それぞれ送信機と受信機とが別途に構成されていても良い。(図4において、レーザー送受信機122とレーザー送受信機132の間において、両端矢印記号ではなく片矢印記号を二つ示したのはこれを意味している。)
また、図4に示した撮像装置127、データ処理部126、データ保存部125は、図1に示した撮像装置107、データ処理部106、データ保存部105と同様の機能を有したものである。
【0035】
図4に示されるように、本実施の形態による水中通信システムは、画像データ等の送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器121と第二の水中機器131の間で送受信する水中通信システムである。
そして、第一の水中機器121は、送受信すべきデータを送受信する方向が可動な第一のレーザー送受信機122と、第二の水中機器131に送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機123と、送信した送受信方向制御データ(即ち、送受信方向を制御するために用いられるデータであり、相手方にレーザー光のやってくる方向を検知させるためのデータ)に基づいて第一のレーザー送受信機122の送受信方向を制御すると共に、送受信すべきデータを制御する制御部124を備えている。
【0036】
また、第二の水中機器131は、データを送受信する方向が可動な第二のレーザー送受信機132と、送信方向制御データを第一の送信方向制御データ送信機123から送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機133を備えている。
なお、本実施の形態においても、送信方向制御データは、音響信号あるいはレーザー光信号のいずれであってもよい。
なお、図示はしていないが、第二の水中機器131にも、第一の水中機器121に設けている撮像装置127、データ処理部126およびデータ保存部125と同様の機能を有した撮像装置、データ処理部、データ保存部を設けていてもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態による水中通信システムは、送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器121と第二の水中機器131の間で送受信する水中通信システムであって、第一の水中機器121は、データの送受信方向が可動であり、送信すべきデータをレーザー光信号として送信し前記第二の水中機器131から送信されてくるデータを受信すると共に、受信するデータの受信感度がよい方向を検知する第一のレーザー送受信機122と、第二の水中機器131に第一のレーザー送受信機122が検知した受信感度がよい方向に対応する送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機123と、第一のレーザー送受信機122が送信すべきデータを制御すると共に送信方向制御データ送信機123に送信方向制御データを送信させる制御部124を備え、第二の水中機器131は、送受信すべきデータの送受信方向可動な第二のレーザー送受信機132と、第一の送信方向制御データ送信機123から送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機133を備え、送信方向制御データ受信機133が受信する送信方向制御データに基づいて第二のレーザー送受信機132から送信すべきデータの送信方向を制御する。
従って、揺動等のために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、送信方向制御データに基づいて第一のレーザー送受信機の送受信方向と第二のレーザー送受信機の送受信方向を合わせることが可能であり、第一の水中機器と第二の水中機器の間において、通信精度を十分に保って大容量データの送受信を安定して行うことができる。
【0038】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3による水中通信システムの構成例を示す概念図である。
第一の水中機器201は、第一のレーザー送受信機202、第一の送受信方向制御データ送受信機203、第一の制御部204、撮像装置207、デヘタ処理部206および第一のデータ保存部205を備えている。
第一のレーザー送受信機202は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器211に送信し、第二の水中機器211から送信されるデータをレーザー光信号として受信すると共に、可動光学レンズにより受信方向が可動である。
第一の送受信方向制御データ送受信機203は、可動光学レンズにより送受信方向が可動であり、第二の水中機器211から送信される送受信方向制御データを受信すると共に、自分の位置情報データを送信する。
第一の制御部204は、第一の送受信方向制御データ送受信機203からの送受信方向制御データを受けて第一のレーザー送受信機202の送受信方向を制御すると共に、送信すべきデータを制御する。
【0039】
なお、「送受信方向制御データ」は、「送受信方向の制御のために用いられるデータ」という意味であり、データの中身には関わらず、相手方にレーザーがやってくる方向を検知させるために送るデータである。
これに対して、「位置情報データ」とは、「送信されるレーザー光の最も受信感度のよい方向を検知し、その検知した方向を角度として認識したデータ」のことを指している。
このような「位置情報データ」を得る方法について、例えば、前掲の特開2007−035704号公報にも示されている。
【0040】
また、第二の水中機器211は、第二のレーザー送受信機212、第二の送受信方向制御データ送受信機213、第二の制御部214および第二のデータ保存部215を備えている。
第二のレーザー送受信機212は、第一のレーザー送受信機202から送信されたレーザー光信号を受信し、第二の水中機器211から送信すべきデータをレーザー光信号として送信する。
第二の送受信方向制御データ送受信機213、第一の水中機器201から送信された位置情報データを受信すると共に、送受信方向制御データを第一の水中機器201へ送信する。
第二の制御部214は、第一の水中機器201から送信された位置情報データを受けて第二のレーザー送受信機212の送受信方向を制御すると共に、送信すべきデータを制御する。
【0041】
本実施の形態においては、第一の制御部204と第二の制御部214は、基本的には同様の動作を行う。即ち、第二の制御部214は、第一のレーザー送受信機202から送信されてきたレーザー光を受けて、第二のレーザー送受信機212の可動光学レンズを駆動すると共に、第二の送受信方向制御データ送受信機213に送受信方向制御データを送る指示をする。
なお、図示はしていないが、第二の水中機器211にも、第一の水中機器201に設けている撮像装置207、データ処理部206および第一のデータ保存部205と同様の機能を有した撮像装置、データ処理部、データ保存部を設けていてもよい。
第二の水中機器211に撮像装置、データ処理部、データ保存部を設けることにより、第二の水中機器211おいて、周辺の画像データを撮像して通信に適したデータに処理して保存し、このデータを第一の水中機器201に送信することが可能であり、また、第一の水中機器201の撮像装置207が撮像した画像データを第二の水中機器211に送信し、第二の水中機器211のデータ保存部(第二のデータ保存部215)で保存することも可能である。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態による水中通信システムは、送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器201と第二の水中機器211の間で送受信する水中通信システムであって、第一の水中機器201は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器211に送信し、第二の水中機器211から送信されるデータをレーザー光信号として受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機202と、第二の水中機器211から送信される送受信方向制御データを受信すると共に自分の位置情報データを送信する送受信方向可動な第一の送受信方向制御データ送受信機203と、送受信方向制御データを受けて第一のレーザー送受信機202の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部204を備え、第二の水中機器211は、第一のレーザー送受信機202から送信されるレーザー光信号を受信し、送信すべきデータをレーザー光信号として送信する第二のレーザー送受信機212と、第一の水中機器201から送信された位置情報データを受信すると共に送受信方向制御データを第一の水中機器201へ送信する第二の送受信方向制御データ送受信機213と、第一の水中機器201から送信された位置情報データを受けて第二のレーザー送受信機212の送受信方向を制御すると共に、送信すべきデータを制御する第二の制御部214を備えている。
従って、本実施の形態においては、位置情報データ(角度データ)を用いているので、揺動等のために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、第一のレーザー送受信機の送受信方向と第二のレーザー送受信機の送受信方向を確実に合わせることが可能であり、第一の水中機器と第二の水中機器の間において通信精度を十分に保って大容量データの送受信をより確実に安定して行うことができる。
【0043】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4による水中通信システムの構成例を示す概念図である。
本実施の形態による水中通信システムは、前述の実施の形態3における送受信方向制御データおよび位置情報データがレーザー光信号であり、第一の水中機器301の第一のレーザー送受信機302および第二の水中機器311の第二のレーザー送受信機312は、
画像データ等の送信すべきデータ(レーザー光信号)を送受信すると共に、送受信方向制御データおよび位置情報データ(レーザー光信号)も送受信するように構成していることを特徴とする。
【0044】
第一の水中機器301には、第一のレーザー送受信機302、第一の制御部304が設けられている。
第一のレーザー送受信機302は、可動光学レンズによって送受信方向可動であって、撮像装置307が撮像した画像データ等の送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器311に送信すると共に第二の水中機器311から送信されるデータをレーザー光信号として受信する。
さらに、第一のレーザー送受信機302は、自分の位置情報データをレーザー光として送信すると共に第二の水中機器311から送信される送受信方向制御データを受信する。
第一の制御部304は、第二の水中機器311から送信される送信方向制御データ(レーザー光信号)を受けて第一のレーザー送受信機302の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する。
さらに、第一の水中機器301には、周辺の状況を撮影する撮像装置307、撮像装置307で撮影された画像データを通信に適した形に圧縮するデータ処理部306、データ処理部306で圧縮された画像データを一時保存する第一のデータ保存部305等が配置されている。
【0045】
また、第二の水中機器311には、第二のレーザー送受信機312、第二の制御部314、第二のデータ保存部315が設けられている。
第二のレーザー送受信機312は、可動光学レンズによって送受信方向可動であって、第一のレーザー送受信機302から送信されたレーザー光信号を受信すると共に送信すべきデータをレーザー光信号として送信する。
さらに、第二のレーザー送受信機312は、第一の水中機器301へ送信される送受信方向制御データ(レーザー光信号)を送信すると共に第一の水中機器301から送信された位置情報データ(レーザー光信号)を受信する。
第二の制御部314は、第一の水中機器301から送信された位置情報データに対応して第二のレーザー送受信機312の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する。
なお、図示はされていないが、第二の水中機器311には、第一の水中機器301の撮像装置307、データ処理部306と同等の機能を有した撮像装置やデータ処理部等が配置されていてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態による水中通信システムは、送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器301と第二の水中機器311の間で送受信する水中機通信システムであって、第一の水中機器301は、送信すべきデータをレーザー光信号として第二の水中機器311に送信すると共に第二の水中機器311から送信されるデータをレーザー光信号として受信し、さらに自分の位置情報データをレーザー光として送信すると共に第二の水中機器311から送信される送受信方向制御データを受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機302と、第二の水中機器311から送信される送信方向制御データを受けて第一のレーザー送受信機302の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部304を備え、第二の水中機器311は、第一のレーザー送受信機302から送信されたレーザー光信号を受信すると共に送信すべきデータをレーザー光信号として送信し、さらに第一の水中機器301へ送信される送受信方向制御データを送信すると共に第一の水中機器301から送信された位置情報データを受信する送受信方向可動な第二のレーザー送受信機312と、第一の水中機器301から送信された位置情報データに対応して第二のレーザー送受信機312の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第二の制御部314を備えている。
従って、第一のレーザー送受信機および第二のレーザー送受信機は、送受信すべきデータおよび位置情報データをそれぞれ送受信するので、揺動等のために第一の水中機器と第二の水中機器の相互位置が変動しても、第一のレーザー送受信機の送受信方向と第二のレーザー送受信機の送受信方向を確実に合わせることが可能であり、第一の水中機器と第二の水中機器の間において、より簡単な構成で、通信精度を十分に保って大容量データの送受信を安定して行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、揺動する水中機器間において、通信精度を十分に保ち、大容量データの送信あるいは送受信を安定して行うことができる水中通信システムの実現に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1による水中通信システムの構成を示す図である。
【図2】可動光学レンズを説明するための図である。
【図3】可動光学レンズのレンズ部分の構造例を示す図である。
【図4】実施の形態2による水中通信システムの構成を示す図である。
【図5】実施の形態3による水中通信システムの構成を示す図である。
【図6】実施の形態4による水中通信システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
101 第一の水中機器 102 レーザー送信機
103 送信方向制御データ受信機 104 制御部
105 データ保存部 106 データ処理部
107 撮像装置 111 第二の水中機器
112 レーザー受信機 113 送信方向制御データ送信機
121 第一の水中機器 122 第一のレーザー送受信機
123 送信方向制御データ送信機 124 制御部
125 データ保存部 126 データ処理部
127 撮像装置 131 第二の水中機器
132 第二のレーザー送受信機 133 送信方向制御データ受信機
201 第一の水中機器 202 第一のレーザー送受信機
203 第一の送受信方向制御データ送受信機
204 第一の制御部 205 第一のデータ保存部
206 データ処理部 207 撮像装置
211 第二の水中機器 212 第二のレーザー送受信機
213 第二の送受信方向制御データ送受信機
214 第二の制御部 215 第二のデータ保存部
301 第一の水中機器 302 第一のレーザー送受信機
304 第一の制御部 305 第一のデータ保存部
306 データ処理部 307 撮像装置
311 第二の水中機器 312 第二のレーザー送受信機
314 第二の制御部 315 第二のデータ保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器から第二の水中機器に送信する水中通信システムであって、
前記第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として前記第二の水中機器に送信する送信方向可動なレーザー送信機と、前記第二の水中機器から送信される送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機と、前記送信方向制御データを受けて前記レーザー送信機の送信方向を制御すると共に前記送信すべきデータを制御する制御部を備え、
前記第二の水中機器は、前記レーザー送信機から送信されるレーザー光信号を受信する受信方向可動なレーザー受信機と、前記第一の水中機器へ送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機を備えたことを特徴とする水中通信システム。
【請求項2】
送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器と第二の水中機器の間で送受信する水中通信システムであって、
前記第一の水中機器は、データの送受信方向が可動であり、送信すべきデータをレーザー光信号として送信し前記第二の水中機器から送信されてくるデータを受信すると共に、受信するデータの受信感度がよい方向を検知する第一のレーザー送受信機と、前記第二の水中機器に前記第一のレーザー送受信機が検知した受信感度がよい方向に対応する送信方向制御データを送信する送信方向制御データ送信機と、前記第一のレーザー送受信機が送信すべきデータを制御すると共に前記送信方向制御データ送信機に前記送信方向制御データを送信させる制御部を備え、
前記第二の水中機器は、送受信すべきデータの送受信方向可動な第二のレーザー送受信機と、前記第一の送信方向制御データ送信機から送信方向制御データを受信する送信方向制御データ受信機を備え、前記送信方向制御データ受信機が受信する送信方向制御データに基づいて前記第二のレーザー送受信機から送信すべきデータの送信方向を制御することを特徴とする水中通信システム。
【請求項3】
送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器と第二の水中機器の間で送受信する水中通信システムであって、
前記第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として前記第二の水中機器に送信し、前記第二の水中機器から送信されるデータをレーザー光信号として受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機と、前記第二の水中機器から送信される送受信方向制御データを受信すると共に自分の位置情報データを送信する送受信方向可動な第一の送受信方向制御データ送受信機と、前記送受信方向制御データを受けて前記第一のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部を備え、
前記第二の水中機器は、前記第一のレーザー送受信機から送信されるレーザー光信号を受信し、送信すべきデータをレーザー光信号として送信する第二のレーザー送受信機と、前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データを受信すると共に前記送受信方向制御データを前記第一の水中機器へ送信する第二の送受信方向制御データ送受信機と、前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データを受けて前記第二のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に、送信すべきデータを制御する第二の制御部を備えたことを特徴とする水中通信システム。
【請求項4】
送受信すべきデータをレーザー光信号として第一の水中機器と第二の水中機器の間で送受信する水中機通信システムであって、
前記第一の水中機器は、送信すべきデータをレーザー光信号として前記第二の水中機器に送信すると共に前記第二の水中機器から送信されるデータをレーザー光信号として受信し、さらに自分の位置情報データをレーザー光として送信すると共に前記第二の水中機器
から送信される送受信方向制御データを受信する送受信方向可動な第一のレーザー送受信機と、前記第二の水中機器から送信される送信方向制御データを受けて前記第一のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第一の制御部を備え、
前記第二の水中機器は、前記第一のレーザー送受信機から送信されたレーザー光信号を受信すると共に送信すべきデータをレーザー光信号として送信し、さらに前記第一の水中機器へ送信される送受信方向制御データを送信すると共に前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データを受信する送受信方向可動な第二のレーザー送受信機と、前記第一の水中機器から送信された前記位置情報データに対応して前記第二のレーザー送受信機の送受信方向を制御すると共に送信すべきデータを制御する第二の制御部を備えたことを特徴とする水中通信システム。
【請求項5】
前記送信方向制御データは、音響信号であることを特徴とする請求項1または2に記載の水中通信システム。
【請求項6】
前記送信方向制御データは、レーザー光信号であることを特徴とする請求項1または2に記載の水中通信システム。
【請求項7】
前記送受信方向制御データは、音響信号であることを特徴とする請求項3または4に記載の水中通信システム。
【請求項8】
前記送受信方向制御データは、レーザー光信号であることを特徴とする請求項3または4に記載の水中通信システム。
【請求項9】
前記レーザー送信機とレーザー受信機の互いの送信および受信方向は、送信機から広角範囲にレーザー光を照射し、受信機にて最も感度の良い方向を検知することにより決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の水中通信システム。
【請求項10】
前記第一のレーザー送受信機と前記第二のレーザー送受信機の送信方向および受信方向は、一方のレーザー送受信機から広角範囲にレーザー光を照射し、他方のレーザー送受信機にて最も感度の良い方向を検知することにより決定されることを特徴とする請求項3または4に記載の水中通信システム。
【請求項11】
前記第一の水中機器の制御部は、データ処理部に対して送信すべきデータを通信に適したレーザー光信号に変換させることを特徴とする請求項1または2に記載の水中通信システム。
【請求項12】
前記第一の制御部および前記第二の制御部は、データ処理部に対して送信すべきデータを通信に適したレーザー光信号に変換させることを特徴とする請求項3または4に記載の水中通信システム。
【請求項13】
前記送信すべきデータは、前記第一の水中機器に設けられた撮像装置により撮影された画像データもしくは該画像データの圧縮データであることを特徴とする請求項1または2に記載の水中通信システム。
【請求項14】
前記送信すべきデータは、前記第一の水中機器および/または前記第二の水中機器に設けけられた撮像装置により撮影された画像データもしくは該画像データの圧縮データであることを特徴とする請求項3または4に記載の水中通信システム。
【請求項15】
前記レーザー送信機および/または前記レーザー受信機は、接続した可動光学レンズに
より送信方向あるいは受信方向を可動にしたことを特徴とする請求項1に記載の水中通信システム。
【請求項16】
前記第一のレーザー送受信機および/または前記第二のレーザー送受信機は、接続した可動光学レンズにより送受信方向を可動にしたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の水中通信システム。
【請求項17】
前記撮像装置は、前記送信方向制御データにより指向制御されることを特徴とする請求項13または14に記載の水中通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−55408(P2009−55408A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220949(P2007−220949)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(394025094)三菱電機特機システム株式会社 (24)
【Fターム(参考)】