説明

水位センサ

【課題】伝送ケーブルと別体とすることが可能な水位センサを提供する。
【解決手段】伝送ケーブルBの一端が水密に接続されると共に当該一端に接続される第1の誘導コイル5が内部に水密状態に設けられるケーブル側筺体1と、第2の誘導コイル9及び水位感応部11が内部に水密状態に設けられる本体筺体2と、を備え、ケーブル側筺体1と本体筺体2とを螺合によって着脱自在に連結させることによる第1の誘導コイル5及び第2の誘導コイル9の非接触伝送によって、第1の誘導コイル5及び第2の誘導コイル9を介して伝送ケーブルBから給電された水位感応部11に供給すると共に水位感応部11の検出信号を伝送ケーブルBに伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位を計測する水位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
河川等の水位を計測する水位計測システムとして、水位を示す物理量として水圧を検出する水位センサと、該水位センサに電力を供給する給電装置と、水位センサから受信した計測データを処理するデータ処理装置と、水位センサに電力を給電装置から水位センサに伝送すると共に計測データを水位センサからデータ処理装置に伝送する伝送ケ-ブルとから構成されるものがある。このような水位計測システムでは、河川等の水中に水位センサが沈められ、河川から多少離れたところに配置された給電装置及びデータ処理装置が伝送ケーブルによって水位センサと接続される。例えば下記特許文献1には、このような水位計測システムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−64473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の水位計測システムでは、水位センサへの浸水を防ぐ必要から水位センサと伝送ケーブルとが一体ものとして製造される。また、伝送ケーブルの長さ(ケーブル長)は水位計測システムを発注する顧客の仕様によって異なっており、よってケーブル長が決定されない状況では製造に着手することができない。したがって、伝送ケーブル一体型の水位センサを事前に作成して在庫として保管しておくことができないので、例えば多数の水位計測システムの受注が短期間にあった場合に、伝送ケーブル一体型の水位センサの製造が原因で迅速な出荷ができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、伝送ケーブルと別体とすることが可能な水位センサの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、伝送ケーブルの一端が水密に接続されると共に当該一端に接続される第1の非接触伝送素子が内部に水密状態に設けられるケーブル側筺体と、第2の非接触伝送素子及び水位感応部が内部に水密状態に設けられる本体筺体と、を備え、ケーブル側筺体と本体筺体とを螺合によって着脱自在に連結させることによる第1の非接触伝送素子及び第2の非接触伝送素子の非接触伝送によって、第1の非接触伝送素子及び第2の非接触伝送素子を介して伝送ケーブルから給電された水位感応部に供給すると共に水位感応部の検出信号を伝送ケーブルに伝送する、という手段を採用する。
【0007】
第2の解決手段として、上記第1の手段において、前記継手は、ケーブル側筺体1と本体筺体との螺合による対向部位に弾性部材を設ける、という手段を採用する。
【0008】
第3の解決手段として、上記第1または第2の手段において、第1、第2の非接触伝送素子は誘導コイルである、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、継手によって伝送ケーブルと水位計センサとが接続されるので、水位計センサの防水性を確保しつつ伝送ケーブルを水位センサとを別体とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る水位センサ1の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る水位センサAは、図示するようにケーブル筺体1と本体筺体2とから構成されている。この水位センサAは、河川等の水中に水没状態に設置され、二線式の伝送ケーブルBを介して電力供給を受けると共に、水位に応じて変化する水圧を検出して伝送ケーブルBに出力するものである。
【0012】
ケーブル側筺体1は、有底円筒状の金属筒体であり、後端部に伝送ケーブルBの一端が水密に接続されている。このケーブル側筺体1の先端側底部には円形開口3が形成されており、また該円形開口3の内側には当該円形開口3を密閉するように円形の樹脂板4が接着固定されている。ケーブル側筺体1の内部は、この樹脂板4によって密閉空間となっている。
【0013】
また、該樹脂板4の内側つまりケーブル側筺体1内において先端部には、誘導コイル5(第1の非接触伝送素子)が樹脂板4と接触・対峙する状態で収納・固定されている。この誘導コイル5の一端にはケーブル側筺体1の一方の芯線が接続され、また誘導コイル5の他端にはケーブル側筺体1の他方の芯線が接続されている。誘導コイル5は、円筒状に巻回された巻線の中心軸線がケーブル側筺体1の中心軸線と一致する状態で樹脂板4に固定されている。
【0014】
一方、本体筺体2は、上記ケーブル側筺体1とほぼ同一径に形成された有底円筒状の金属筒体である。この本体筺体2は、図示するように、後端部から多少奥まった位置に本体筺体2内を区画する区画壁6が設けられている。また、この区画壁6には円形開口7が形成されるとともに、当該円形開口7の外側(本体筺体1bの後端側)には、円形開口7を密閉するように円形の樹脂板8(弾性部材)が接着固定されている。この樹脂板8の内側つまり円形開口7側には、誘導コイル9(第2の非接触伝送素子)が当該円形開口7を通過して樹脂板8と接触・対峙する状態で接着・固定されている。この誘導コイル9は、円筒状に巻回された巻線の中心軸線が本体筺体2の中心軸線と一致する状態で樹脂板8に固定されている。
【0015】
また、本体筺体2の先端には、ダイヤフラム10が装着されており、当該ダイヤフラム10の内側には圧力感応部11(水位感応部)が設けられている。このような本体筺体2の内部は樹脂板8及びダイヤフラム10によって完全に密閉されているが、本体筺体2の外部の水圧は、ダイヤフラム10を介して本体筺体2の内部に設けられた圧力感応部11に伝達される。
【0016】
このような本体筺体2の内部(密閉空間)には、圧力感応部11等に直流電力を供給する電源回路12と、圧力感応部11から出力された検出信号を変調する変調回路13とが収納されている。電源回路12は、誘導コイル9及び圧力感応部11に接続されており、誘導コイル9から入力される交流電力を直流電力に変換して圧力感応部11に出力する電力変換回路である。変調回路13は、圧力感応部11から入力された検出信号、つまり水圧を直流電圧によって示す信号を周波数変調することによって交流信号(交流検出信号)に変換し、当該交流検出信号を誘導コイル9に出力する。
【0017】
さらに、上記ケーブル側筺体1は、図示するように、本体筺体2の後端側部位14に挿入できるように、先端側部位15が後端側部位16よりも縮径している。このケーブル側筺体1の先端側部位15の周面(円筒面)及び本体筺体2の後端部位14の内周面(円筒面)には互いに噛み合うネジ山が形成されている。すなわち、ケーブル側筺体1と本体筺体2とは、このような先端側部位15と後端側部位14との螺合によって着脱自在に連結される。
【0018】
次に、このように構成された水位センサAの機能について説明する。
上述したように、水位センサAは、水密構造のケーブル側筺体1内に電気部品である誘導コイル5を収納していると共に、同じく水密構造の本体筺体2内に電気部品である誘導コイル9、圧力感応部11(水位感応部)、電源回路12及び変調回路13を収納している。そして、ケーブル側筺体1と本体筺体2とが先端側部位15と後端側部位14との螺合によって相互結合された状態において、ケーブル側筺体1内の誘導コイル5と本体筺体2内の誘導コイル9とは、互いの中心軸線が一致する状態、かつ、ケーブル側筺体1内を水密構造とする樹脂板4と本体筺体2内を水密構造とする樹脂板8とを挟んで対峙する状態となる。
【0019】
すなわち、誘導コイル5と誘導コイル9とは磁界透過性を有する樹脂板4及び樹脂板8を挟んで対峙するので、磁気的に相互結合するトランスとして機能する。したがって、伝送ケーブルBから供給された交流電力は、上記トランスを介して電源回路12に非接触伝送される。そして、電源回路12は、上記トランスを介して給電された交流電力を所定電圧の直流電力に変換して圧力感応部11に供給する。圧力感応部11は、このような電源回路12からの給電によって電子部品として機能し、河川の水位に基づく水圧を検出し、当該水圧を直流電圧として示す検出信号を変調回路13に出力する。
【0020】
そして、変調回路13は、直流信号である検出信号を所定周波数のキャリア信号を用いて周波数変調することにより交流の検出信号(交流検出信号)に変換して誘導コイル9に出力する。このようにして誘導コイル9に入力された交流検出信号は、上記トランスによって誘導コイル5に非接触伝送されて伝送ケーブルBに供給される。
【0021】
このような水位センサAによれば、ケーブル側筺体1と本体筺体2とは着脱自在に相互結合され、かつ交流電力がケーブル側筺体1から本体筺体2に非接触給電されると共に交流検出信号が本体筺体2からケーブル側筺体1に非接触伝送される。すなわち、この水位センサAによれば、水位センサAによれば、ケーブル側筺体1と本体筺体2とから構成されるので、本体筺体2を伝送ケーブルBと別体とすることが可能である。
【0022】
また、区画壁6に形成された円形開口7の外側(本体筺体1bの後端側)、つまりケーブル側筺体1の樹脂板4と本体筺体2の区画壁6との対向部位に弾力性を有する樹脂板8が設けられているので、本体筺体2の後端側部位14とケーブル側筺体1の先端側部位15とを螺合させた際に、当該ケーブル側筺体1の先端部が樹脂板8に接触して押圧する。すなわち、この水位センサAによれば、ある程度の弾力性を有する樹脂板8がケーブル側筺体1の先端部と区画壁6とによって両側から挟まれた状態となるので、樹脂板8とケーブル側筺体1の先端部との間に隙間が形成されず、また樹脂板8と区画壁6との間にも隙間が形成されず、よってケーブル側筺体1の水密性と本体筺体2の水密性とがより強固なものとなる。
【0023】
仮に、樹脂板8を区画壁6に形成された円形開口7の内側(誘導コイル9側)に設けた場合には、ケーブル側筺体1の先端部が弾力性を有しない区画壁6(金属)と当接することになるので、当該当接部に隙間が形成されて十分な水密性を確保できないことが懸念される。
【0024】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、交流電力や交流検出信号の非接触伝送にトランスを用いたが、本発明はこれに限定されない。非接触伝送手法として、例えばフォトカプラ等を用いた光伝送方式を採用してもよい。
【0025】
(2)上記実施形態では、樹脂板8を設けることによりケーブル側筺体1の水密性と本体筺体2の水密性とがより強固なものとしたが、本発明はこれに限定されない。ケーブル側筺体1及び本体筺体2が十分な水密性を確保できるように設計されている場合には樹脂板8を設けなくてもよい。また、ある程度の弾力性を有するものであれば、樹脂板8に代えて他の材料(弾性材料)を用いてもよい。
【0026】
(3)上記トランスは、誘導コイル5と誘導コイル9との距離が近い方が結合係数が大きくなり、電力や信号の伝送効率を向上できるので、例えば樹脂板4を削除して誘導コイル5を樹脂板8と直接対向する状態としてもよい。
【符号の説明】
【0027】
A…水位センサ、B…伝送ケーブル、1…ケーブル筺体、2…本体筺体、3…円形開口、4…樹脂板、5…誘導コイル(第1の非接触伝送素子)、6…区画壁、7…円形開口、8…樹脂板(弾性部材)、9…誘導コイル(第2の非接触伝送素子)、10…ダイヤフラム、11…圧力感応部(水位感応部)、12…電源回路、13…変調回路、14…後端側部位、15…先端側部位、16…後端側部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送ケーブルの一端が水密に接続されると共に当該一端に接続される第1の非接触伝送素子が内部に水密状態に設けられるケーブル側筺体と、
第2の非接触伝送素子及び水位感応部が内部に水密状態に設けられる本体筺体と、を備え、
ケーブル側筺体と本体筺体とを螺合によって着脱自在に連結させることによる第1の非接触伝送素子及び第2の非接触伝送素子の非接触伝送によって、第1の非接触伝送素子及び第2の非接触伝送素子を介して伝送ケーブルから給電された水位感応部に供給すると共に水位感応部の検出信号を伝送ケーブルに伝送することを特徴とする水位センサ。
【請求項2】
ケーブル側筺体1と本体筺体との螺合による対向部位に弾性部材を設けることを特徴とする請求項1に記載の水位センサ。
【請求項3】
第1、第2の非接触伝送素子は誘導コイルであることを特徴とする請求項2に記載の水位センサ。



【図1】
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【公開番号】特開2012−194041(P2012−194041A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57981(P2011−57981)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000232357)横河電子機器株式会社 (109)
【Fターム(参考)】