説明

水域環境中で使用するための処理された繊維材料

水域環境内で使用するための、防汚剤で処理された繊維材料であって、
前記防汚剤は、
a)1種以上の有機の汚れ防止性殺生物剤;
b)ポリマー性バインダー、
c)水、又は水性溶媒混合物(但し、該水性溶媒混合物は、合計溶媒混合物(c)に対して、少なくとも65質量%の水を含む)、
を含み、前記ポリマー性バインダーb)は、
(A)平均モル質量Mnが1500〜20000g/molで、以下のモノマー、
(A1)60〜95質量%のエチレン、
(A2)5〜40質量%の、
(A2a)モノエチレン性不飽和C3−C10モノカルボン酸、及び
(A2b)モノエチレン性不飽和C4−C10ジカルボン酸、
から成る群から選ばれる、少なくとも1種の不飽和カルボン酸、及び
(A3)任意に0〜30質量%の、(A1)及び(A2)と共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマー、
(但し、モノマーの量は、それぞれ、使用されるモノマーの全量に対してのものである)
から得られる、ポリマー性バインダー
(B)平均モル質量Mnが、40000〜250000であるポリ(メト)アクリル性バインダーであって、(使用される全モノマーに対して)少なくとも50質量%の、1種以上の、式(I)
【化1】


(但し、
1、R2、及びR3が独立して、任意にフッ素置換されていても良く、及び直鎖状、又は枝分れしたC1−〜C10−アルキル、又は置換された、又は置換されていないアリールから選ばれ、
1及びR2が、任意にHである)
のモノマーのラジカルエマルジョン重合によって得られるポリ(メト)アクリル性バインダー;
(C)ポリウレタンバインダーであって、以下の成分:
(C1)少なくとも1種のジイソシアネート、又はポリイソシアネート;
(C2)少なくとも1種のジオール、トリオール、又はポリオール;
(C3)任意に更なる成分;及び
(C4)任意に更なる添加剤;
を反応させることによって得られるポリウレタンバインダー;
(D)ポイソシアヌレートバインダーであって、式(II)
【化2】


(但し、R4が、イソシアヌレートの製造で使用されたイソシアネートに依存して、アルキレン又はアリーレン残基である)
の基を含む、ポリイソシアヌレートバインダー;
から成る群から選ばれるのものである、水域環境内で使用するための、防汚剤で処理された繊維材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚剤で処理された繊維材料を水域環境中、例えば漁業又は水産養殖中で使用する方法、水域環境中で、繊維製品を保護する方法、及び処理された繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
生物付着は、新鮮な水、又は海水中に沈められた、人工の表面への、微生物、植物、及び動物の蓄積である。生物付着は、人工的な架設物の熱交換特性、及び流動特性を低下させ、そして強い有機酸の放出による腐食を促進する。
【0003】
水産養殖、特に海洋牧場での生物付着には以下の理由で問題がある:
−生物付着は、網かご内の水中の酸素を低下させる;
−生物付着は、水の流れを低減し、天然の食物供給が低減され、従って、養殖魚や養殖甲殻類の成長速度を低下させる;
−汚損生物が養殖動物と、栄養供給を争う;
−汚損生物は、港の病気であり、又は略奪者であり、又は有毒物質を放出する;
−生物付着は、設備を物理的に損傷する(摩擦、脆性、質量増加)。
【0004】
網の交換(水から除去し、空気中で乾燥させ、そして網の洗浄機内で洗浄すること)、又は現場で洗浄すること(高圧洗浄機)は高価である:
−手作業(特にダイバーは高価である);
−網の除去、又は洗浄は、魚に負荷をかける(2%死亡;数日間、成長しない);
−魚の逃亡が増加する;
−網が別の洗浄装置で設備される場合、これらは感染の拡大を回避するために、殺菌する必要がある。
【0005】
養殖魚及び養殖甲殻類の敷地での最も一般的な付着種は、藻(Algae)、フジツボ、イシガイ、チューブワーム、ホヤ、及びヒドロ虫である。
【0006】
定着(生物付着)における遷移の初期段階は、成長が速い種、例えばヒドロ虫、シレペード(例えばフジツボ)、多毛類、コケムシ、及びホヤによって特徴付けられる。最初の移住者は、しばしば、バクテリア、藻、及びヒドロ虫で、次に固着性の水性の有機体である。しかし、何れにしても、フジツボ、及び/又はホヤが、表面に付着する最初のものであって良い。移住の速度と範囲は、深海又は沿岸の又は河口に存在する付着種のバイオマス及び多様性、及び食物の豊富さ、成長要因、水の汚染物質、研磨材(例えば潮間帯中の砂)、水温、及び強い又は弱い水流によって決定される。これらの要因は、上述した有機体の1種以上によって占められる付着をももたらし得る。
【0007】
繊維材料、特に、水域環境中に使用される網の生物付着を防止するために、(繊維材料を防汚剤(antifouling agent)で含浸させることによって)いくつかの試みがなされてきた。
【0008】
特許文献1(JP−A04−142373)は、直鎖状の有機−ポリシロキサン含有のポリオキシアルキレン基を含むシリコーンゴム組成物を、漁網を被覆するために使用する方法を開示している。
【0009】
特許文献2(US4,883,852)には、ポリ−ジメチルシロキサンアルキル(メト)アクリレート(ポリ−ジメチルシロキサンアルキル(メタ)アクリレート)を、任意に他のビニルポリマーと一緒に含む、汚れ止めの被覆が開示されている。全てのポリシロキサン被覆の、通常の不利な点は、通常、水産養殖架設に見出されるものよりも速い速度で表面が動かされた場合にのみ、水中の有機体の定着を除去できるということである。
【0010】
特許文献3(JP−A04−225904)には、ファイバー又はロープを、エトキシル化された(メト)アクリル酸エステルモノマーから製造された1種以上の親水性のポリマーで処理することによる「防汚剤の溶解制御」が開示されている。
【0011】
特許文献4(JP−A01−061404)には、無機の過酸化物を含む、水中での防汚組成物が開示されている。この発明の不利な点は、過酸化物を放出する継続時間が短いことである。この理由は、過酸化物は、海水中に存在する多くの他の物質によって消費されるからである。
【0012】
特許文献5(JP−A60−094677)(Kuraray KK)は、金属、例えば銅、スズ、カドミウム、亜鉛、鉛、ビスマス、アンチモン、クロム、水銀及びベリリウム等で、これらを溶射(flame spray)することによる、有機ファイバーの防汚処理が開示されている。これらの金属は、全ての水中有機体にとって明らかに有毒であり、従って環境的に不適切である。
【0013】
特許文献6(JP−A2002−069360)には、(a)(a−1)芳香族化合物(好ましくはスチレン)の単位、及び(a−2)アルキル(メト)アクリレート成分の単位、及び(b)ヒドロキシアルキル(メト)アクリレート成分を含む(A)(メト)アクリレートコポリマー、及び(B)有機防汚剤を含む、汚防塗装組成物が開示されている。
【0014】
特許文献7(WO2005/030405)には、例えば、殺生物剤、例えばトリクロサンを共有結合(その水酸基を、エーテル結合に変換する)することにより、生物致死性組成物中にブロック/ランダムコポリマーを使用する方法が開示されている。共有結合の加水分解が、所定の時間にわたり殺生物剤を放出する一方、化学的な変性(modification)が全く新しいレジストレーションを必要とする新しい殺生物剤を作り出す。
【0015】
特許文献8(JP−A2006−188453)には、漁網を被覆するための、殺生物剤及び所定の低分子(メト)アクリレートに基づく防汚剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】JP−A04−142373
【特許文献2】US4,883,852
【特許文献3】JP−A04−225904
【特許文献4】JP−A01−061404
【特許文献5】JP−A60−094677
【特許文献6】JP−A2002−069360
【特許文献7】WO2005/030405
【特許文献8】JP−A2006−188453
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
防汚組成物のために多くの提案が文献になされているにも拘らず、特に、防汚効果及び処理された繊維材料の耐久性について、改良するための十分な余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
所定のポリマー性バインダーが、水中の用途に使用される繊維材料を含浸するために、特に有用であることが見出された。
【0019】
従って、本発明のある局面では、防汚剤で処理された繊維材料を水域環境内で使用する方法であって、前記防汚剤は、
a)1種以上の有機の汚れ防止性殺生物剤;
b)ポリマー性バインダー、
c)水、又は水性溶媒混合物(但し、該水性溶媒混合物は、合計溶媒混合物(c)に対して、少なくとも65質量%の水を含む)、
を含み、前記ポリマー性バインダーb)は、
(A)平均モル質量Mnが1500〜20000g/molで、以下のモノマー、
(A1)60〜95質量%のエチレン、
(A2)5〜40質量%の、
(A2a)モノエチレン性不飽和C3−C10モノカルボン酸、及び
(A2b)モノエチレン性不飽和C4−C10ジカルボン酸、
から成る群から選ばれる、少なくとも1種の不飽和カルボン酸、及び
(A3)任意に0〜30質量%の、(A1)及び(A2)と共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマー、
(但し、モノマーの量は、それぞれ、使用されるモノマーの全量に対してのものである)
から得られる、ポリマー性バインダー
(B)平均モル質量Mnが、40000〜250000であるポリ(メト)アクリル性バインダーであって、(使用される全モノマーに対して)少なくとも50質量%の、1種以上の、式(I)
【0020】
【化1】

【0021】
(但し、
1、R2、及びR3が独立して、任意にフッ素置換されていても良く、及び直鎖状、又は枝分れしたC1−〜C10−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、好ましくはC1−〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル;置換された、又は置換されていないアリール、好ましくは、置換された、又は置換されていないC6−〜C10−アリール、より好ましくは、置換された、又は置換されていないC6−アリール、例えばフェニル、又はトリル;から選ばれ、
1及びR2が、任意にHである)
のモノマーのラジカルエマルジョン重合によって得られるポリ(メト)アクリル性バインダー;
(C)ポリウレタンバインダーであって、以下の成分:
(C1)少なくとも1種のジイソシアネート、又はポリイソシアネート、好ましくは脂肪族、脂環式、アラリファティック、及び/又は芳香族イソシアネート、より好ましくは、任意にビウレット化(biutretisized)された、及び/又はイソシアヌル化(isocyanurized)されたジイソシアネート、最も好ましくは、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI);
(C2)少なくとも1種のジオール、トリオール、又はポリオール、好ましくは、2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪、脂環式、及び/又はアラリファティックジオール、より好ましくは1,6−ヘキサンジオール、又はネオペンチルグリコール;
(C3)任意に更なる成分、好ましくはアジピン酸、又はカルボニルジイミダゾール(CDI);及び
(C4)任意に更なる添加剤;
を反応させることによって得られるポリウレタンバインダー;
(D)ポイソシアヌレートバインダーであって、式(II)
【0022】
【化2】

【0023】
(但し、R4が、イソシアヌレートの製造に使用されたイソアネートに依存して、アルキレン又はアリーレン残基である)
の基を含む、ポリイソシアヌレートバインダー;
から成る群から選ばれるものである、防汚剤で処理された繊維材料を水域環境内で使用する方法が提供される。
【0024】
本発明の更なる局面では、繊維材料を本発明の防汚剤で処理する工程を含む、繊維材料を水域環境内での生物付着から守る方法が提供される。
【0025】
本発明の更なる局面では、水域環境中で使用するための、処理された繊維材料が提供される。
【0026】
本発明の処理された繊維材料は、特に海水中で、卓越した効果(有効性)と安定性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
繊維材料
水域環境、好ましくは水中環境中に使用するために処理された材料は、繊維材料である(textile material)。ここで使用される「繊維材料」という用語は、ファイバー、ヤーン、織布、不織布、形成−ループニット、ダウン−ループニットを含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態では、繊維材料は、ファブリック材料、及び特に網である。ファブリック材料又は網は、種々の天然及び合成ファイバーで作られていても良く、及び織布、又は不織布の状態の繊維ブレンドとして、ニット製品として又はファイバーとして作られていてもよい。天然ファイバーは、例えばコットン、ウール、シルク、ジュート、又は麻である。合成ファイバーは、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、又はポリエチレン、Teflon、及びファイバーの混合物、例えば合成及び天然のファイバーの混合物で作られていても良い。ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステルが、ファイバー材料として好ましい。ポリアミド及びポリオレフィンが特に好ましい。
【0029】
好ましい網のメッシュサイズ(正方形メッシュの場合)は、捕捉又は培養する有機体のサイズに依存する。通常、2mm〜30mm、好ましくは10mm〜30mm、特に15mm〜30mmの範囲である。
【0030】
この技術分野の当業者は、網のメッシュサイズが、その成長の間に養殖される有機体のサイズに依存することを知っている。網は、捕食動物(魚、又は海洋哺乳類、例えばアザラシ、シーライオン、シーレオパード、等)を、養殖動物の給餌から妨げるために使用されても良い。このような保護網に使用されるメッシュサイズは、捕食動物のサイズ(大きさ)に適合される。
【0031】
本発明の防汚剤で処理された本発明に従う網は、通常、繊維ファイバー(textile fiber)から作られており、このようなファイバーは、通常、厚さが0.05mm〜10mmである。好ましくは、ファイバーは、偶数の端部を有するメッシュのパターンを含み、及びメッシュは、
・ひし形の形状を有する四角形のメッシュで、サイズa及びb及び高さhaを有し、高さhaが2mm〜30mm、及び長さの高さに対する割合b/haが、1:1〜5:1のもの、
・六角形のメッシュで、平行な辺の3組のペア、a、b、cを有し、及び辺の各ペアの間の距離ha、hb及びhcを有し、及びhaが0.05mm〜10mmで、及び割合((hb+ha)/2)/haが1:1〜5:1のもの、及び
・八角形のメッシュで、平行な辺の4組のペア、a、b、c及びd、及び辺の各ペアの間の距離ha、hb、hc及びhdを有し、及びhaが、0.05mm〜10mmで、及び割合((hb+ha)/2)/haが1:1〜5:1のもの、
から成る群から選ばれるように用意される。
ここで、「長さ」及び「高さ」の用語は、それぞれの穴サイズ(メッシュサイズ)を表す。
【0032】
防汚剤
本発明の防汚剤は、有機の汚れ防止性殺生物剤(a)、ポリマー性バインダー(b)、溶媒成分(c)、及び任意に更なる成分(d)を含む。
【0033】
有機の汚れ防止性殺生物剤(a)
ここで使用される「有機の汚れ防止性殺生物剤(a)」とい用語は、少なくとも1種の有機成分を含む、水域環境中で繊維材料の付着を引き起こす有機体を制御するのに適切な、如何なる種類の活性成分をも含む。従ってこの用語は、通常の殺生物剤、殺菌剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺節足動物剤、防カビ剤、除草剤、防虫剤、浄化剤、付着防止剤(付着の崩壊)、成長抑制剤、移動運動抑制剤、メタモホシスの抑制剤、麻酔薬及び麻酔剤、コロニゼーション(植民地化)に必要な特定の酵素、又はこのような活性を妨げる酵素、例えば、プロテアーゼ、加水分解酵素、酸化酵素、ペルオキシダーゼ、超酸化物ペルムターゼ、カタラーゼ等、をブロックする薬剤、及び/又はpH−低減剤を含む。
【0034】
適切な汚れ防止性殺生物剤は、例えば:クロロタロニル(テトラクロロイソフタロジニトリル)、ジクロロフルアニド(N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフアミド)、トリルフルアニド(N,N−ジメチル−N’−トリル−N’ジクロロフルオロメチルシオスルフアミド)、ジウロン(1,1−ジメチル−3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア)、ピコリナフェン(N−(4−フルオロフェニル)−6−[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ピリジンカルボキシアミド、ジチアノン(2,3−ジシアノ−1,4−ジチアアントラキノン)、Irgarol 1051(N’−tert.−butyl−N−シクロプロピル−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン)、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、4,5−ジクロロ−2−オクチル−3−(2H)−イソチアゾリン−3−one(DCOIT)、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、N−シクロヘキシルジアゼニウムジオキシド銅又はカリウム塩(CuHDO、KHDO)、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、亜鉛又は銅ピリチオン、金属ジチオカルバメート、例えば、Zn、Mn、Fe、又はCuエチレンビス(ジチオカルバメート)、エチレンチウラムモノスルフィド又はジスルフィド、メルカプト−イミダゾリン、ジフェニル−グアニジン、ジ−o−トリグアニジン、N,N−ジアルキルジチオカルバミン酸チオ無水物、Na−N−メチルジチオカルバメート、N,N−ジアルキルジチオカルバミン酸金属塩(Zn,Fe,Cd,Cr,Cu,Ni,Mn)、N−アシル−1,2,4−チアゾール、N−アシル−1,3,4−チアゾール、N−アシル−1,2,3−チアゾール、N−アシル−1,2,5−チアゾール、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、誘導性g−ラクトン、ベンゾチアゾール(例えば、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール−5,5’−ジカルボン酸)、置換されたN−アリールジクロロマレイミド、例えば、N−(4−フルオロフェニル)−2,3−ジクロロマレイミド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、メチルN−(3,4−ジクロロフェニル)カルバメート、ナフテン酸金属塩、テトラアルキルチウラムスルフィド又はジスルフィド、又はその金属塩、2,2−ジチオ−ビス(ピリジン−O−オキシド)、JP09227308に従うナフサ−フラン誘導体、トリフェニルボランアルキルアミン錯体、例えばトリフェニルピリジンボラン、(4−イソプロピルピリジノ)メチルシフェニルボロン、(チオシアノアルキル)チオベンゾヘテロゾール、N−フェニルマレイミド誘導体、N−フェニルスシニックイミド誘導体、フルオロジクロロメチルチオフタルイミド、ジクロロナフトキノン、アミノクロロナフトキノン、N−トリクロロメチルチオ−シクロヘク−4−エン−1,2−ジカルボキシイミド(=N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド)又は他のハロゲン化N−アルキルチオ誘導体、N−チオアルキルフタルイミド誘導体、例えばN−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、任意に、ハロゲン化された、又は他に置換されたピリジン−8−スルホン酸エステル、エチレン−ビス−ジチオカルバミン酸、又はその金属塩(例えば、亜鉛又はマンガンの塩)、ジメチルジチオカルバミン酸、又はその金属塩、2−(チアゾール−4−イル)ベンズイミダゾール、テトラクロロイソフタロジニトリル、置換されたクマリン誘導体、2−チオ−ペルヒドロ−1,3,5−チアジアゾン誘導体、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3,4−ジクロロカルバニリン酸メチルエステル、N−プロピノイルインドリン、置換されたN−プロピノイルアニリン誘導体、置換されたN−チオカルボニルインドリン誘導体、例えば1−(ベンジルチオカルボニル)インドリン、ジチオロ(4,5−b)キノキサリン−2−(チ)one、置換された(ハロアルキニル)アリールエーテル、例えばペンタクロロフェニル−ヨードプロパルギルエーテル、アルキル又はトリフルオロメチル置換のN−フェニルベンズアミド、N−置換の4−フェニル−1,3−チアゾリン−2−one誘導体、1−(4−クロロフェニル)−1−シクロペンタンカルボン酸、又はそのアミド又はエステル、N−置換された5−(4−ピリジル−メチル)−6−チオ−1−チア−3,5−ジアザシクロヘキサン誘導体、金属(例えば、亜鉛)ジベンジルジチオカルボネート、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン、2−メチル(チオ−4−tert.−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、ノストカルボライン誘導体(EP1783128)、置換された1,2−ジヒドロキシキノリン誘導体、例えば6−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−2,2,4−トリメチルキノリン;1,4,2−オキサチアジン誘導体、例えば5,6−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−1,4,2−オキサチアジン−4−オキシド、5,6−ジヒドロ−3−(ベンゾ[b]チエン−2−イル)−1,4,2−オキサチアジン−4−オキシド、3−(4−クロロフェニル)−5,6−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−1,4,2−オキサチアジン−4,4−ジオキシド、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−メチル−1,4−ジオキソ−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、3−ヨードプロパルギル−N−ブチルカルバメート(IPBC)、3−(3−ヨードプロパルギル)−ベンズオキサゾール−2−one、3−(3−ヨードプロパルギル)−6−クロロベンズオキサゾール−2−one、及び更にEP−A1142477に記載されている3−イソヒアゾロンが例示される。
【0035】
適切な軟体動物駆除剤は、ニクロスアミド(niclosamide)である。ミトコンドリアル電子伝達防止剤、例えばテブフェンピラド、ピリダベン、フェナザキンも適切である。
【0036】
可能な付着防止剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、p−クマル酸(ゾステル酸)のサルフェートを含む。リペラント(発水剤:repellant);12−エピ−デオキソスカラリン、a−アセトキシプカリド、フロスポンゴリド、インドル、フェニルチオウレア、タンニン酸、安息香酸、及びアルギン酸を含む。
【0037】
汚れ防止性殺生物剤は、中性化合物、又は半合成の活性剤、例えば没食子酸、エラグ酸、及びその加水分解物、カテコール、フロログルシノール;タンニン、例えばクリ、ミモザ、又はケブラコからのもの;バレッチン、8,9−ジヒドロバレッチン;テルペン、例えばクロロメルテンシン、アエロチオニン、ホモアエロチオニン、他の天然薬剤:テルペン、例えばパリトキシン、クロロメルテンシン、レニラホウリン、プカライド、エポキシプカライド、b−ビスアボレン;アエロチオニン、ホモアエロチオニン、シホノジクチジン、ヘテロネミン、アムビオールA、パレスセンシンA、イティアジオン、d−カジネンシヤン、ホマリン、エウジストミン、2,5,6−トリブロモ−1−メチルグアミン、インドール誘導体、例えばエウジストミン、又は2,5,6−トリブロモ−1−メチルグアミン、及び他の化合物、例えばN.Fusetani,Nat.Prod.Rep.,2004,21,94−104、又はA.I.Raikin:Marine Biofouling,CRC Press2004に記載されている化合物であっても良い。
【0038】
水中有機体(底部生理的固体)を(これらにからもうとする)有機体(上部生理的固体)に対するバイオディフェンスとして使用する撥水又は生物致死効果を有する天然化合物も使用されて良い。
【0039】
本発明の汚れ防止性殺生物剤は、単一の活性化合物として使用して良く、他の殺生物剤と組み合わせて、又は有機防汚剤、特に銅及びその塩、例えば銅サルフェート、銅イソチオシアネート、銅ピリチオン、銅アルカノエート、銅ニトレート、銅チオシアネート、銅クロリド、銅ボレート、亜酸化銅及び/又は酸化亜鉛、銅8−キノリノレート、亜鉛ピリチオン、亜鉛及び/又は銅フルオロシレート、2−ピリジン−チオール−1−オキシドの銅塩と組み合わせて使用しても良い。
【0040】
この技術分野の当業者は、汚損生物の多様性が、1種以上の活性物質(active)、特に作用のモードが異なる活性物質の組み合わせの適用を必要とすることを知っている。例として、抗移動性防御(anti-locomotive protection)は、その分散形態が運動性ある種に対してのみ有効である。マクロアルゲの動けない胞子及び多くのミクロ汚損生物には、明らかに作用がない。
【0041】
防止性殺生物剤として好ましいものは、CuHDO、ピコリナフェン及びジチアノンである。
【0042】
本発明に使用される汚れ防止性殺生物剤、及びその分解生成物は、人、他の哺乳動物、市販用の水産養殖有機体、例えば魚、軟体動物、例えばイガイ、ホタテ貝等、クラスタシィアン及びマクロアルガエに対して毒性でないか、又は少なくとも毒性が低いものであるべきである。
【0043】
適切な汚れ防止性殺生物剤は、この技術分野の当業者によって、処方物の目的の用途、又はより特定的には、処方物で処理される繊維材料の目的の用途に依存して選択されて良い。
【0044】
水産養殖に使用するために、(魚、擬軟体動物、及びクラスタシィアン(例えばフナムシ)の寄生虫を制御するために)寄生虫駆除剤を汚れ防止性殺生物剤と一緒に含めることも可能である。
【0045】
この用途のために好ましいものは、ピレスロイド、例えばアレスリン、ビフェンスリン、シフルスリン、シハロスリン、シフェノスリン、シペルメスリン、アルファ−シペルメスリン、ベータ−シペルメスリン、ゼータ−シペルメスリン、デルタメスリン、エンペンスリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパスリン、フェンバレレート、イミプロスリン、ランブダ−シハロスリン、ペルメスリン、プラレスリン、ピレスリンI及びII、レスメスリン、シラフルオフェン、タウ−フルヴァリネート、テフルスリン、テトラムスリン、トラロメスリン、トランスフルスリン、プロフルスリン及びジメフルスリン;
ニコチン性レセプターアゴニスト/アンタゴニスト化合物、例えばクロチアニジン、ジノーテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサン、ニテンピラン、アセトアミプリド、チアクロプリド;
式(Γ1
【0046】
【化3】

のチアゾール化合物、有機リン殺虫剤、例えばジクロボス及びアザメチフォス;
及び大環状のラクトン殺虫剤、例えばアバメクチン、エマメクチン、イバーメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、及びスピノサドである。
【0047】
好ましいものは、シペルメスリン、デルタメスリン、イミダクロプリド、イバーメクチン、ジクロボス及びアザメチフォスである。
【0048】
防汚剤中の、汚れ防止性殺生物剤の合計量は、好ましくは0〜1質量%+50質量%、特に1〜15質量%である。
【0049】
ポリマー性バインダー(b)
生物付着剤(biofouling agent)は、更に、少なくとも1種のポリマー性バインダー(b)を分散又はエマルゲート(乳化)した状態で含む。
【0050】
好ましい一実施の形態では、ポリマー性バインダーは、少なくとも1種のエチレン(A1)及び不飽和カルボン酸(A2)をモノマーとして含む、ポリエチレン性バインダー(A)である。
【0051】
ポリマー性バインダー(A)は、平均分子量Mnが、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、1500〜20000g/molの範囲、好ましくは2000〜15000g/molの範囲である。
【0052】
モノマー(A1)として、ポリマー性バインダーは、60〜95質量%のエチレンを含む。好ましくは、エチレンの量は、70〜80質量%である。モノマーの量は、各場合において、使用されるモノマーの合計量に基づいている。
【0053】
更に、ポリマー性バインダー(A)は、モノエチレン性不飽和C3−C10モノカルボン酸(A2a)、及びモノエチレン性不飽和C4−C10ジカルボン酸(A2b)から成る群から選ばれる、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和カルボン酸を含む。
【0054】
モノエチレン性不飽和カルボン酸(A2a)として、式(III)
【0055】
【化4】

【0056】
(但し、変数(記号)が以下のように定義される:
5及びR6が、同一又は異なり、及び水素、及び枝分れしていない、及び枝分れしたC1−C10アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル;より好ましくはC1−C4アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルから選ばれ、及び特にメチルである;
6が、極めて好ましくは水素である)
の少なくとも1種のカルボン酸を選ぶことが好ましい。
【0057】
本発明の一実施の形態では、R5は、水素又はメチルである。極めて好ましくは、R5は、メチルである。
【0058】
本発明の一実施の形態では、R5は、水素又はメチルであり、及びR6は、水素である。
【0059】
極めて好ましくは、使用される、式(III)のエチレン性不飽和カルボン酸は、メタクリル酸である。
【0060】
モノマー(A2b)は、一般式
(HOOC)R7C=CR8(COOH)(IV);及び/又は
78C=C(−(CH2n−COOH)(COOH)(V)
の、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸である。
【0061】
7及びR8は、相互に独立してH、又は直鎖状の、又は枝分れした、任意に置換された、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基である。好ましくは、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含む。より好ましくはR7及び/又はR8は、H及び/又はメチル基である。アルキル基は、任意に更なる置換基を(これらが、ポリマー又は工程(方法)の性能特性に悪影響を及ぼさない限り)含んでも良い。
【0062】
式(IV)の場合、R7及びR8が一緒に、3〜20個の炭素原子を有する(更に置換されても良い)アルキレンラジカルであることも更に可能である。好ましくは、二重結合及びアルキレン基から形成された環は、5個又は6個の炭素原子を含むことが好ましい。アルキレン基の例は、特に1,3−プロピレン、又は1,4−ブチレン基を含み、これらは、更にアルキル基置換基を含んでも良い。nは、0〜5の整数、好ましくは0〜3の整数、及び極めて好ましくは0又は1である。
【0063】
2種以上の異なるモノマー(A2b)の混合物を使用することも可能である。(IV)の場合、モノマーは、各場合において、シス形態、及び/又はトランス形態であっても良い。モノマーは、対応するカルボン酸無水物、又は他の加水分解性のカルボン酸誘導体の状態で使用することも可能である。COOH基がこの形式で配置された場合、環状無水物を使用することが特に有利であり、可能である。
【0064】
式(II)の適切なモノマー(A2b)の例は、マレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、及び適切であれば、対応する環状無水物である。好ましくは、式(IV)のモノマー、特に好ましくはマレイン酸及び/又は無水マレイン酸が使用される。
【0065】
全ての不飽和カルボン酸(A2)の量は、一緒にして、4〜40質量%、好ましくは20〜30質量%である。
【0066】
モノマー(A1)及び(A2)の他に、(A1)及び(A2)と共重合可能な、エチレン性不飽和モノマー(A3)を任意に使用することも可能である。これらのもの以外は、更なるモノマーは使用されない。
【0067】
モノマー(A3)は、コポリマーの特性を微調整するように作用する。当然、2種以上の異なるモノマー(A3)も使用することができる。これらは、コポリマーの所望の特性に従い、当業者によって選択される。
【0068】
モノマー(A3)の例は、オレフィン、特にα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、又は1−ドデセン、スチレン又は他のオレフィン、例えば2−ブテン、又は1−イソブテン、更に1種以上のC1−C10アルキルエステル、又は(エチレン性不飽和C3−C10カルボン酸の)α−ヒドロキシ−C2−C10アルキレンエステル、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、2−エチルヘキシル(メト)アクリレート、又はn−ブチルメタクリレートを含む。更なる例は、ビニルホスホン酸等のP−グループを含むモノエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0069】
追加的なモノマー(A3)の量は、0〜30質量%、好ましくは0〜9質量%、及び極めて好ましくは0〜4質量%である。極めて好ましくは、モノマー(A3)が存在しない。
【0070】
通常、ポリマー性バインダー(A)は、ENISO1133に従い、160℃で、325gの負荷下に測定して、メルトフローレート(溶融体流速)(MFR)が、1〜150g/min、好ましくは5〜20g/10min、より好ましくは7〜13g/10minである。
【0071】
ポリマー性バインダー(A)は、DINEN2114に従い測定して、酸価が、通常30〜190mgKOH/gwax、好ましくは、155〜180mgKOH/gwaxである。
【0072】
ポリマー性バインダー(A)は、DIN51007に従いDSCによって測定して、溶融範囲が、通常、60〜110℃の範囲、好ましくは65〜90℃の範囲である。
【0073】
通常、ポリマー性バインダー(A)の密度は、DIN53479に従い測定して、通常、0.89〜0.99g/cm3、好ましくは、0.89〜0.96g/cm3の範囲である。
【0074】
エチレン(A1)、エチレン性不飽和カルボン酸(A2)、及び任意に更なるコモノマー(A3)のポリマー性バインダー(A)は、高圧力の条件下で、例えば攪拌高圧力オートクレーブ又は高圧管反応器内で、及び好ましくは攪拌高圧力オートクレーブと高圧管反応器内を組み合わせて使用して、遊離基開始(free-radically initiated)の共重合によって製造することが有利であって良い。攪拌高圧力オートクレーブはそれ自体公知である:記載は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th edition,entry heading:Waxes,Vol.A28,pp.146ff.,Verlag Chemie Weinheim,Basle,Cambridge,New York,Tolyo,1996に見出される。このようなオートクレーブの長さ/直径割合は、主として5:1〜30:1の範囲、好ましくは10:1〜20:1の範囲である。同様に使用可能な高圧管反応器は、同様に、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th edition,entry heading:Waxes,Vol.A28,pp.146ff.,Verlag Chemie Weinheim,Basle,Cambridge,New York,Tolyo,1996に見出される。
【0075】
共重合のための適切な圧力条件は、500〜4000バール、好ましくは1500〜2500バールである。この種の条件は、以降、高圧とも称される。反応温度は、170〜300℃の範囲、好ましくは195〜280℃の範囲である。
【0076】
共重合は、調整剤(regulator)の存在下に行なうことができる。適切な調整剤は、当業者にとって公知である。例は、WO2007/009909、第8頁、18行目〜第9頁、4行目に見出される。
【0077】
ラジカル重合のために使用される開始剤は、一般的な遊離基開始剤(free-radical initiator)、例えば、有機過酸化物、酸素又は例えばアゾ化合物である。2種以上の遊離基開始剤の混合物も同様に適切である。例は、WO2007/009909、第9頁、10行目〜第10頁、16行目に開示されている。
【0078】
コモノマー(A1)、(A2)及び任意に(A3)は、典型的には一緒に計量導入されるか、又は個別に計量導入される。コモノマー(A1)、(A2)及び任意に(A3)は、圧縮器内で、重合圧力にまで圧縮することができる。本発明の他の実施の形態では、コモノマーは、最初にポンプを使用して150〜400バール、好ましくは200〜300バール、及び特に260バールに加圧され、そして次に圧縮器を使用して、実際の重合圧力にされる。
【0079】
計量導入の場合、コモノマー(A1)、(A2)及び任意に(A3)の割合は、ポリマー性バインダー(A)の単位の割合に正確に対応するものではない。この理由は、エチレン性不飽和カルボン酸は、通常、エチレンよりも迅速にポリマー性バインダー(A)に組み込まれるからである。
【0080】
共重体は、任意に、溶媒の不存在下に、及び存在下に行なわれて良い。適切な溶の例は、トルエン、イソドデカン、及びキシレンの異性体を含む。
【0081】
ポリマー性バインダー(A)は、その水性分散物の状態で使用される。好ましくは、バインダー(A)の水性分散物は、別個の工程で製造(調製)され、そしてこのような水性分散物は、本発明に従う防汚剤を製造するために使用される。しかしながら、重合工程の後、バインダー(A)を固体として分離し、そして防汚剤のための固体として使用することも可能である。
【0082】
本発明に従い使用されるポリマー性バインダー(A)は、少なくとも部分的に中和されていても良く、該中和は、例えばアルカリ金属のヒドロキシド及び/又はカーボネート及び/又はビカーボネート(重炭酸塩)を使用して、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化リチウムを使用して、又は好ましくは1種以上のアミン、例えばアンモニア、及び有機アミン、例えばアルカリアミン、N−アルキルエタノールアミン、アルカノールアミン、及びポリアミドを使用して行なわれて良い。アルキルアミンのために、以下のものが例として記載されて良い:2〜18個の炭素原子をヒドロキシアルキル基中に有する、及び適切であれば、各場合において、1〜6個の炭素原子をアルキル基中に有する、好ましくは2〜6個の炭素原子をアルカノール基中に有する、及び適切であれば、1又は2個の炭素原子をアルキル基中に有する、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、ピペリジン、及びモルホリン。好ましいアミンは、モノアルカノールアミン、N,N−ジアルキルアルカノールアミン、N−アルキルアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、N−アルキルアルカノールアミン、及びトリアルカノールアミン。エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、及び2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オールが極めて好ましい。アンモニア及びN,N−ジメチルエタノールアミンが極めて好ましい。ポリアミンとして、以下のものが例として記載されて良い:エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラアミン。
【0083】
好ましくは、ポリマー性バインダー(A)は、部分的に中和されており、すなわち、少なくとも3分の1、より好ましくはカルボキシル基の少なくとも60モル%、及び例えばバインダー(A)のカルボキシル基の99モル%以下が中和されている。更に、少なくとも1種の界面活性剤を、水中のバインダー(A)の分散又は乳濁化のための助剤として使用することができる。特に、界面活性剤は、アニオン性又は好ましくは非イオン性であっても良い。
【0084】
アニオン性界面活性剤の例は、C8〜C12のアルカリ−又はアンモニウム塩を含む。
【0085】
特に好ましいものは、アルコキシル化されたC10−C30アルカノール(好ましくは3〜100モルのC2−C4アルキレンオキシドを含む)、及び特にアルコキシレートのオキソ−又は脂肪アルコールを含むがこれらに限定されるものではない。非常に好ましいアルコキシレートの例は、
n−C1837O−(CH2CH2O)80−H、
n−C1837O−(CH2CH2O)70−H、
n−C1837O−(CH2CH2O)60−H、
n−C1837O−(CH2CH2O)50−H、
n−C1837O−(CH2CH2O)25−H、
n−C1837O−(CH2CH2O)12−H、
n−C1633O−(CH2CH2O)80−H、
n−C1633O−(CH2CH2O)70−H、
n−C1633O−(CH2CH2O)60−H、
n−C1633O−(CH2CH2O)50−H、
n−C1633O−(CH2CH2O)25−H、
n−C1633O−(CH2CH2O)12−H、
n−C1327O−(CH2CH2O)70−H、
n−C1327O−(CH2CH2O)60−H、
n−C1327O−(CH2CH2O)50−H、
n−C1327O−(CH2CH2O)25−H、
n−C1327O−(CH2CH2O)12−H、
n−C1225O−(CH2CH2O)11−H、
n−C1225O−(CH2CH2O)18−H、
n−C1225O−(CH2CH2O)25−H、
n−C1225O−(CH2CH2O)50−H、
n−C1225O−(CH2CH2O)80−H、
n−C3061O−(CH2CH2O)8−H、
n−C1021O−(CH2CH2O)9−H、
n−C1021O−(CH2CH2O)7−H、
n−C1021O−(CH2CH2O)5−H、
n−C1021O−(CH2CH2O)3−H、
を含み、及びこれらの任意の混合物を含み、ここで、インデックス(指数)は、通常通り、平均数として理解される。
【0086】
ポリマー性バインダー(A)の分散物は、バインダー(A)、水、及び任意に界面活性剤、及び/又は塩基を、少なくとも70℃で混合することにより製造されて良い。
【0087】
更なる好ましい実施の形態では、ポリマー性バインダー(b)は、平均モル質量Mnが40000〜250000のポリ(メト)アクリル性バインダー(B)である。該ポリ(メト)アクリル性バインダー(B)は、成分B1として、少なくとも50質量%の1種以上の式(I)
【0088】
【化5】

【0089】
(但し、
1、R2及びR3が、独立して、任意にフルオロ置換され、及び直鎖状であるか又は枝分かれしていても良いC1−〜C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、好ましくはC1−〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル;置換又は無置換のアリール、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリール、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリール、例えばフェニル又はトリルから選ばれ;
1及びR2は、更にHであっても良い)
のモノマーをラジカルエマルジョン重合することによって得られる。
【0090】
好ましくは、R1は、H又はメチルである。R2は、好ましくはHである。R3は、好ましくはメチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルである。より好ましくは、R1は、H又はメチル、R2はH、及びR3は、メチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルである。最も好ましくは、式(I)のモノマー(成分B1)のモノマーは、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びエチルアクリレートから選ばれる。最も好ましくは、式(I)の、少なくとも2種の異なるアクリル性モノマーを重合することによって得られるコポリマーが使用される。成分(b)として使用するのに最も好ましいポリ(メト)アクリル性バインダーは、以下の成分のエマルジョン重合によって得られる。
【0091】
B1)成分B1として、(使用する全モノマーの合計質量に対して)少なくとも50質量%の、式(I)
【0092】
【化6】

【0093】
(但し、
1、R2、及びR3が、独立して、直鎖状であるか又は枝分かれしているC1−〜C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、好ましくはC1−〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル;置換又は無置換のアリール、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリール、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリール、例えばフェニル又はトリルから選ばれる)
の1種以上のモノマー。R1及びR2は、任意にHであっても良い。好ましくはR1はH又はメチルである。R2は好ましくはH;R3は好ましくは、メチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルである。より好ましくは、R1はH又はメチル、R2はH及びR3はメチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルである。
【0094】
B2)任意に及び好ましくは、成分B2として、式(VI)
【0095】
【化7】

【0096】
(但し、
9、R10、R11、及びR12が、独立してH、直鎖状であるか又は枝分かれしているC1−〜C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、及びn−デシルであり;R9、R10、R11、及びR12は、好ましくは、H、直鎖状であるか又は枝分かれしているC1−〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル;置換又は無置換のアリール、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリール、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリール、例えばフェニル又はトリルから成る群から選ばれ;より好ましくは、R9が、H又はメチル、R10、R11、及びR12が、好ましくは、相互に独立して、Hであり;最も好ましくはR9が、H又はメチル、及びR10、R11、及びR12が、Hである)
の少なくとも1種のモノマー。
【0097】
B3)任意に、成分B3として、式(VII)
【0098】
【化8】

【0099】
(但し、
13及びR14が、独立して、H、直鎖状であるか又は枝分かれしているC1−〜C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、及びn−デシルであり;R13、及びR14は、好ましくは、H、直鎖状であるか又は枝分かれしているC1−〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル;置換又は無置換のアリール、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリール、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリール、例えばフェニル又はトリルから成る群から選ばれ;最も好ましくは、R13、及びR14は、Hであり;
Xが、H、OH、NH2、OR15OH、グリシジル、ヒドロキシプロピル、式
【0100】
【化9】


【0101】
【化10】


(但し、
15が、C1−〜C10−アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン;好ましくは、C1−〜C4−アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン;置換又は無置換のアリーレン、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリーレン、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリーレン、例えばフェニレン;最も好ましくはXはアセトアセチルであり;
16が、枝分れした、又は直鎖状のC1−〜C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、及びn−デシルであり;好ましくは、直鎖状であるか又は枝分かれしていて良いC1−〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル;置換又は無置換のアリール、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリール、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリール、例えばフェニル又はトリルから成る群から選ばれる)
である)
の少なくとも1種のモノマー。
【0102】
B4)任意に、
B41)極性のモノマー、好ましくは(メト)アクリロニトリル;及び/又は
B42)非極性のモノマー、好ましくはスチレン及び/又はa−メチルスチレン、
から選ばれる、上述したモノマーと共重合可能な更なるモノマー。
【0103】
ポリ(メト)アクリル性バインダーは、
B1)50〜100質量%、好ましくは50〜99質量%の成分B1;
B2)0〜5質量%の成分B2;
B3)0〜5質量%、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは0.2〜3質量%の成分B;
B4)以下の
B41)0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%の成分B41;及び/又は
B42)0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%の成分B42、
から選ばれる、上述したモノマーと共重合可能な更なるモノマー、
をエマルジョン重合させることによって得られる(但し成分B1、及び任意のB2、B3及びB4の合計が100質量%である。)。
のエマルジョン重合によって得られる。
【0104】
更なる好ましい実施の形態では、ポリ(メト)アクリルバインダーは、
B1)50〜100質量%、好ましくは50〜99質量%、より好ましくは50〜95質量%の、上述した少なくとも1種のアクリル性バインダー(成分B1)であって、以下の、
B11)アクリル性バインダーに対して、10〜90質量%、好ましくは15〜85質量%、より好ましくは30〜85質量%のn−ブチルアクリレート;
B12)アクリル性バインダーに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、より好ましくは15〜65質量%の、n−ブチルアクリレートとは異なる、式(I)の少なくとも1種のモノマー、
を含むもの;
B2)アクリル性バインダーに対して、0〜5質量%の、式(V)の少なくとも1種のモノマー(成分B2);
B3)アクリル性バインダーに対して、0〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%、より好ましくは0.2〜3質量%の、少なくとも1種の式(III)のモノマー(成分B3);
B4)以下の
B41)アクリル性バインダーに対して、0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%の、少なくとも1種の極性モノマー、好ましくは(メト)アクリロニトリル(成分B1d1);及び/又は
B42)アクリル性バインダーに対して、0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%の少なくとも1種の極性モノマー、好ましくはスチレン、及び/又はa−メチルスチレン(成分B1d2);
から選ばれる、上述したモノマーと共重合可能な更なるモノマー(成分B4)、
をエマルジョン重合することによって得られる(但し、成分B1、B2及び任意にB3及びB4の合計は、100質量%である。)。
【0105】
ポリ(メト)アクリル性バインダーは、この技術分野の当業者にとって公知の更なる添加剤、例えばフィルム形成剤、可塑剤、例えばアジピン酸塩、フタレート、ブチルジグリコール、(ジカルボン酸とアルコールの反応によって製造可能な)ジエステルの混合物(枝分れしていても、枝分れしていなくても良い)を含んでも良い。適切なジカルボン酸及びアルコールは、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0106】
最も好ましくは、ポリマー性(メト)アクリルバインダーは、以下の成分をエマルジョン重合することによって得られる:
B1)成分B1として、50〜100質量%の、少なくとも1種の式(I)
【0107】
【化11】

【0108】
(但し、R1がH又はメチル、R2がH、及びR3がメチル、エチル、n−ブチル、又は2−エチルヘキシルである)
のモノマーで、最も好ましくは成分B1は、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチレンである;
B2)成分B2として、0〜5質量%の少なくとも1種の式(VI)
【0109】
【化12】

【0110】
(但し、R9がH又はメチル、R10、R11及びR12が、それぞれHである)
の少なくとも1種のモノマー;
B3)成分B3として、0〜10質量%、好ましくは1〜7質量%、より好ましくは2〜5質量%の、式(VII)
【0111】
【化13】

【0112】
(但し、R13及びR14がH、及びXがH、OH、NH2、OR15OH、グリシジル又は式
【0113】
【化14】

【0114】
(但し、
15が、C1−〜C10−アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン;好ましくは、C1−〜C4−アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン;置換又は無置換のアリーレン、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリーレン、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリーレン、例えばフェニレン、から成る群から選ばれ;
16が、枝分れした、又は直鎖状であって良いC1−〜C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシルであり;好ましくは、直鎖状であるか又は枝分かれしていて良いC1−〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル;置換又は無置換のアリール、好ましくは置換又は無置換のC6−〜C10−アリール、より好ましくは置換又は無置換のC6−アリール、例えばフェニル又はトリルから成る群から選ばれる)
の基であり、Xは、最も好ましくはアセトアセチルである)
の少なくとも1種のモノマー;
B4)以下の
B41)0〜30質量%、好ましくは0〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%の、成分B41、好ましくは(メト)アクリロニトリル;及び/又は
B42)0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%の成分B42、好ましくはスチレン、及び/又はa−メチルスチレン、
から選ばれる、上述したモノマーと共重合可能な更なるモノマー、
ここで、成分B1、B2及び任意にB3及びB4の合計は、100質量%である。
【0115】
更なる最も好ましい実施の形態では、成分B11としてのn−ブチルアクリレートの量は、30〜90質量%であり、及び他の成分B12及び任意の、式(I)の更なるモノマー、成分B2、B3及びB4は、上述したように選ばれ、そして成分B1、B2、B3及びB4の合計は、100質量%である。
【0116】
ポリ(メト)アクリル性バインダーは、上述したモノマーのエマルジョン重合によって得られる。適切な工程条件は当業者にとって公知であり、そして例えばWO−A2005/064072に開示されている。
【0117】
本発明に従うポリ(メト)アクリル性バインダーには、通常、10質量%以下、好ましくは0.05〜5質量%の(反応性又は架橋基を含む)モノ−又はジ−オレフィン性不飽和モノマーを加えることができる。このようなモノマーの例は、特に、α,β−オレフィン性不飽和C3-5−カルボン酸のアミド、特にアクリルアミド、メタクリルアミド、及びマレイン酸アミド、及びこれらのN−メチロール誘導体、例えばα,β−モノオレフィン性不飽和C3-5−カルボン酸のN−メチロールメタクリルアミド、N−アルコキシメチルアミド、例えばN−メトキシメタクリルアミド、及びN−n−ブトキシメタクリルアミド、ビニルスルホン酸、アクリル−及びメタクリル酸とアルカンジオールのモノエステル、例えばグリコール、ブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−1,6、及び3−クロロプロパンジオール−1,2、及びα,β−オレフィン性不飽和モノ−及びジ−カルボン酸のアリルとメトアリルエステル、例えばジアリルマーレート、ジメチルアリルフマレート、アリルアクリレート及びアリルメタクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、p−ジ−ビニルベンゼン、メチレン−ビス−アクリルアミド及びエチレングリコールジ−アリルエーテルである。
【0118】
得られる非架橋のエマルジョンポリマーの分子量は、通常、(GPCで測定して)40000〜250000である。分子量は、通常、通常の連鎖停止剤(chain stopper)を通常の量で使用することによって制御される。通常の連鎖停止剤は、例えばスルホ有機化合物である。
【0119】
本発明のポリ(メト)アクリル性バインダーは、その水性分散物の状態で得られ、そして本発明の殺生剤に、水性分散物の状態で使用されることが好ましい。
【0120】
更なる好ましい実施の形態では、ポリマー性バインダーは、以下の成分の反応によって得られるポリウレタン(C)である:
C1)成分C1として、少なくとも1種のジイソシアネート、又はポリイソシアネート、好ましくは脂肪族、脂環式、アラリファティック、及び/又は芳香族イソシアネート、より好ましくは
(任意にビウレット化及び/又はイソシアヌル化される)ジイソシアネート、最も好ましくは、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI);
C2)成分C2として、少なくとも1種のジオール、トリオール又はポリオール、好ましくは、2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、及び/又はアラリファティックジオール、より好ましくは1,6−ヘキサンジオール、又はネオペンチルグリコール;
C3)任意に、成分C3として、更なる成分、好ましくはアジピン酸、又はカルボニルジイミダゾール(C3);及び
C4)任意に、成分C4として、更なる添加剤。
【0121】
ポリウレタンは、以下の成分の反応によって得られることが好ましい:
C1)成分(C1)として、ポリウレタンに対して、55〜99質量%、好ましくは70〜98質量%、より好ましくは75〜90質量%の、少なくとも1種のジイソシアネート、又はポリイソシアネート、好ましくは、脂肪族、脂環式、アラリファティック、及び/又は芳香族イソシアネート、より好ましくは、任意にビウレット化及び/又はイソシアヌル化しても良いジイソシアネート、より好ましくは4〜12個の炭素原子をアルキレン単位中に有するアルキレンジイソシアネート、例えば、1,12−ドデカンジイソシアネート、2−エチルテトラメチレンジイソシアネート−1,4−、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート−1,5、テトラメチレンジイソシアネート−1,4、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート−1,5、テトラメチレンジイソシアネート−1,4、リシネスタージイソシアネート(LDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、シクロヘキサン−1,3−及び/又は−1,4−ジイソシアネート、2,3−及び2,6−ヘキサヒドロ−トルエンジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、4,4’−2,2’−及び2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び対応する混合物、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−、2,4’及び/又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(モノマー性MDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(ポリマー性MDI)及び/又は上述したイソシアネートを少なくとも2種含む混合物;更なるエステル−、ウレア−、アロファネート−、カルボイミド−、ウレット−、ジオン−及び/又はジ−及び/又はポリイソシアネートを含むウレタン基が使用されても良く;最も好ましくは1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチレンシクロヘキサン(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI);
C2)ポリウレタンに対して、10〜90質量%、好ましくは12〜85質量%、より好ましくは15〜65質量%の、少なくとも1種のジオール、トリオール、又はポリオール、好ましくは、2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、及び/又はアラリファティックジオール、より好ましくはポリエーテルオール(類)から成る群から選ばれるポリオール、例えばポリテトラヒドロフラン、ポリエステルオール、ポリチオエーテルオール、ポリアセテート含有のヒドロキシル基、及び脂肪族ポリカーボネート含有のヒドロキシル基、又は上述したポリオールの少なくとも2種の混合物。好ましくは、ポリエステルオール及び/又はポリエーテルオールである。ポリヒドロキシル化合物のヒドロキシル価は、通常、20〜850mgKOH/gの範囲、及び好ましくは25〜80mgKOH/gの範囲の範囲である。更に、分子量が60〜<400、好ましくは60〜300g/molのジオール及び/又はトリオールが使用される。適切なジオールは、2〜14個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、及び/又はアラリファティックジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール1,3、デカンジオール−1,10、o−、m−、p−ジヒドロキシクロロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び好ましくはブタンジオール−1,4、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール−1,6及びビス−(2−ヒドロキシ−エチル)ヒドロキノン、トリオール、例えば1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセリン及びトリメチロールプロパン、及びエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドに基づく、低分子量ヒドロキシル基含有のポリアルキレンオキシドと上述したジオール及び/又はトリオールの混合物;
C3)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜5質量%の更なる成分(成分C3、好ましくはアジピン酸、又はカルボニルジイミダゾール(CDI));及び
C4)ポリウレタンに対して、0〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の更なる添加剤(成分C4);
(ここで、C1、C2、C3及びC4の合計は、100質量%である)。
【0122】
ポリウレタンは、この技術分野で公知の方法によって製造される。更に、この技術分野の当業者にとって公知の添加剤を、ポリウレタンを製造するために、本方法に使用しても良い。
【0123】
更なる好ましい実施の形態では、ポリマー性バインダーは、以下の式(II)
【0124】
【化15】

【0125】
(但し、R4が、イソシアヌレートの製造に使用されるイソシアネートに依存して、アルキレン又はアリーレン残基(residue)である)
の基を含むポリイソシアヌレート(D)である。
【0126】
ポリイソシアヌレートは、通常、イソシアネートの環状三量化によって製造(調製)される。好ましいイソシアネートは、ポリウレタンバインダー(成分C1)について上述したイソシアネートと同一である。製造方法、及びポリイソシアヌレートを製造するための条件は、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0127】
ポリマー性バインダー(b)は、2種の成分(A)、(B)、(C)及び(D)、特にポリウレタン(C)とポリイソシアヌレート(D)の混合物であることができる。
【0128】
溶媒成分(c)
防汚剤のための溶媒として、水だけを使用することが好ましい。しかしながら、水と混和性の有機溶媒を少量(例えば50質量%未満)、水と一緒に追加的に使用しても良い。このような追加的な溶媒は、処理する表面の濡れ性(wetting)を改良するのに有用であり、又は処方物中の疎水性の殺虫剤又は他の成分の溶解性/分散性を改良するのに有用である。追加的な溶媒の例は、水混和性のアルコール、例えばモノアルコール、例えばメタノール、エタノール又はプロパノール、高級アルコール、例えばエチレングリコール、又はポリエーテルポリオール、及びエーテルアルコール、例えばブチルグリコール又はメトキシプロパノールを含む。水性混合物が使用される場合、混合物は、好ましくは少なくとも65質量%、より好ましくは少なくとも80質量%、及び極めて好ましくは少なくとも95質量%の水を含む。この数量は、各場合において、溶媒の合計量に基づいている。
【0129】
追加的な成分(d)
特定のバインダー(b)及び処理される繊維材料の用途に依存して、防汚剤は更に、固定剤、防腐剤、洗浄剤、充填剤、衝撃改質剤、かぶり防止剤、発泡剤、浄化剤、核形成剤、カップリング剤、導電性改良剤(静電防止剤)、安定剤、例えば酸化防止剤、炭素及び酸素ラジカル・スカベンジャー(遊離基捕捉剤)、及び過酸化物分解剤等、難燃剤、離型剤、UV防護特性を有する物質、展着剤、ブロッキング防止剤、抗移動剤(anti-migrating agent)、フォーム形成剤、抗−汚れ剤、増粘剤、更なる殺生物剤、湿潤剤、可塑剤、及びフィルム形成剤、接着剤又は抗接着剤、蛍光増白剤(optical brightening agent 又はfluorescent whitening agent)、顔料及び染料から選ばれる1種以上の成分を含んでも良い。
【0130】
特にアクリレートバインダー(B)及びポリウレタンバインダー(C)の場合、ポリマー性バインダーは、材料上での殺生物剤の付着性を改良するために、定着剤(fixative agent)と一緒に施されても良い。定着剤は、遊離したイソシアネート基を含んでも良い。
【0131】
適切な定着剤は、例えば、遊離イソシアネート基を含むイソシアネート又はイソシアヌレートである。好ましくは、イソシアヌレートは、アルキレン単位中に4〜12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えば1,12−ドデカンジイソシアネート、2−エチルテトラメチレンジイソシアネート−1,4、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート−1,5、テトラメチレンジイソシアネート−1,4、リシンエステルジイソシアネート(LDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)、シクロヘキサン−1,3−及び/又は−1,4−ジイソシアネート、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、及び対応する異性体混合物4,4’−2,2’−及び2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び対応する混合物、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4−及び/又は2,6−トルイレンジイソシアネート、4,4’−,2,4’及び/又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(モノマー性MDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(ポリマー性MDI)及び/又は上述したイソシアネートの少なくとも2種の混合物に基づく。より好ましくは、イソシアヌレートは、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6(HMDI)に基づく。
【0132】
同様に好ましくは、イソシアヌレートは、エチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシド、好ましくはポリエチレンオキシドに基づくポリアルキレンオキシドで親水性化(hydrophilize)されたイソシアヌレートである。
【0133】
定着剤として使用するイソシアヌレートは、この技術分野では公知の方法によって製造される。イソシアヌレートの製造のための出発材料として使用されるイソシアネートの量に対して、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは7〜20質量%、最も好ましくは10〜15質量%のイソシアネート基が、遊離イソシアネート基である。
【0134】
定着剤として使用されるイソシアヌレートは、好ましくは、極性非プロトン性の溶媒、例えば、THF、DMF又はプロピレン又はエチレンカーボネート中に溶解される。
【0135】
更に好ましい定着剤(固定剤:fixative agent)は、ポリエチレンによって親水性化された、及びプロピレンカーボネート(30質量%のプロピレンカーボネート中の70質量%のHMDI)に溶解したHMDIに基づくイソシアヌレートである。遊離イソシアネート基の量は、イソシアヌレートを製造するための出発材料として使用されるイソシアネートの量に対して、11〜12質量%である。
【0136】
定着剤が使用された場合、防汚剤は、組成物の固体含有量に対して、通常、1〜8質量%、好ましくは1〜5質量%、より好ましくは2〜4質量%の少なくとも1種の定着剤を含む。
【0137】
更なる追加的な成分(d)として、処方物中の汚れ防止性殺生物剤(a)及び/又はポリマー性バインダー(b)を安定させるために、界面活性剤が使用されても良い。特に好ましものは、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤である。代表的な例については上述した。
【0138】
適切な消泡剤は、例えば、シリコン消泡剤である。UVに敏感な殺虫剤を守るのに適切なUV保護剤は、例えばパラアミノ安息香酸(PABA)、オクチルメトキシシナメト、スチルベン、スチリル又はベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾキサゾール誘導体、ヒドロキシ−安定化ベンゾフェノン、サリシレート、置換されたトリアジン、(任意に、2−シアノ基で置換された)桂皮酸誘導体、ピラゾリン誘導体、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビス−2−(メトキシフェニル)−エテニル、又は他のUV保護剤である。適切な蛍光増白剤は、ジヒドロキノリロン誘導体、1,3−ジアリールピラゾリン誘導体、ピレン、ナフタル酸イミド、4,4’−ジイスチリルビフェニレン、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸、クマリン誘導体、及びベンゾキサゾール、ベンズイソキサゾール又は(−CH=CH−ブリッジによって結合された)ベンズイミダゾール系、又は他の蛍光増白剤である。
【0139】
防汚剤中に使用して良い代表的な顔料は、顔料染色又は印刷法に使用される顔料、又はプラスチックの着色に使用される顔料である。
【0140】
顔料は、その化学的性質によって、無機又は有機であって良い。無機顔料は、主に白色顔料(例えば、ルチル又はアナターゼの状態の二酸化チタン、ZnO、チョーク)、又は黒色顔料(例えば、カーボンブラック)として使用される。着色された無機顔料も使用して良いが、毒物的な危険性が有り好ましくはない。色を与えるために、有機顔料又は染料が好ましい。有機顔料は、モノ又はジスアゾ、ナフトール、ベンズイミダゾロン、(チオ)インジゴイド、ジオキサジン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリノン、ペリレン、ペリノン、金属錯体又はジケトピロロピロール型の顔料であっても良い。顔料は、粉又は液体(すなわち、分散物として)の状態で使用されても良い。好ましい顔料は、Pigment Yellow 83、Pigment Yellow 138、Pigment Orange 34、Pigment Red 170、Pigment Red 146、Pigment Violet 19、Pigment Violet 23、Pigment Blue 15/1、Pigment Blue 15/3、Pigment Green 7、Pigment Black 7である。他の適切な顔料は、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0141】
代表的な染料は、粉又は液体状態のバット染料、カチオン染料、及び分散染料である。バット染料形式を使用することが好ましい。バット染料は、インダスロン型のもの、例えばC.I.Vat Blue4,6又は14のもの;又はフラバンスロン型のもの、例えばC.I.Vat Yellow1のもの;又はピランスロン型のもの、例えばC.I.Vat Orange2及び9のもの;又はイソベンズアンスロン型(イソビオルアンスロン型)のもの、例えばC.I.Vat Violet1のもの;又はジベンズアンスロン型(ビオルアンスロン型)のもの、例えばC.I.Vat Blue16,19,20及び22、C.I.Vat Green1,2及び9、C.I.Vat Black9のもの;又はアントラキノンカルバゾール型のもの、例えばC.I.Vat Orange11及び15、C.I.Vat Brown1,3及び44、C.I.Vat Green8及びC.I.Vat Black27のもの;又はベンズアントラキノンアクリドン型のもの、例えばC.I.Vat Green3及び13及びC.I.Vat Black25のもの;又はアントラキノンオキサゾール型のもの、例えばC.I.Vat Red10のもの;又はペリレンテトラアルボン酸ジイミド型のもの、例えばC.I.Vat Red23及び32のもの;又はイミダゾール誘導体、例えばC.I,Vat Yellow46;又はアミノトリアジン誘導体、例えばC.I.Vat Blue66であって良い。他の適切なバット染料は、この技術分野では公知のものである。代表的な分散及びカチオン性染料は、この技術分野の当業者にとって公知のものである。
【0142】
防汚剤の製造
防汚剤は、全ての成分を水、及び任意に更なる溶媒と一緒に、適切な混合及び/又は分散集合体を使用して混合することによって形成されても良い。通常、処方物は、5〜70℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃の温度で形成される。
【0143】
固体の汚れ防止性殺生物剤(a)、固体のポリマー性バインダー(b)及び任意に追加的な添加剤(d)を使用し、及びこれらを溶媒成分(c)中に分散させることも可能である。
【0144】
しかしながら、水中でのポリマー性バインダー(b)の分散、及び(事前に別個に製造された)水中の汚れ防止性殺生物剤(a)を使用することが好ましい。このような別々の処方物は、対応する処方物中に、(a)及び/又は(b)を安定化させるために、追加的な添加剤を含んでも良く、そしてこれらは師範されている。第2の工程では、このような原料処方物及び任意に追加される追加的な溶媒(c)が加えられる。
【0145】
組み合わせも可能であり、すなわち(a)及び/又は(b)の予備形成された分散物を使用し、そしてこれを固体(a)及び/又は(b)と混合することも可能である。
【0146】
ポリマー性バインダー(b)の分散物は、化学的な製造者によって既に製造された予備製造された分散物であっても良い。
【0147】
本発明に従う方法のための末端利用者が容易に使用できるように、防汚剤を最終製品として製造することが可能である。
【0148】
しかしながら、濃縮物を使用することも可能であり、該濃縮物は、末端利用者によって溶媒を加えることにより、使用するための所望の濃度に希釈されても良い。
【0149】
更に、処方物を、
・少なくとも1種の汚れ防止性殺生物剤(a)を含む第1の成分;及び
・少なくとも1種のポリマー性バインダー(b)を含む第2の成分、
を少なくとも含むセットとして、末端利用者に船で輸送しても良い。
【0150】
更なる添加剤(d)は、このセットの第3の別の成分であっても良く、又は成分(a)及び/又は(b)と予め混合されていても良い。
【0151】
最終利用者は、使用のために、セットの成分に水を加えて混ぜるだけで処方物を製造しても良い。
【0152】
セット(キット)の成分は、乾燥した組成物の状態、例えば粉、カプセル、タブレット、又は発泡錠の状態であっても良い。乾燥状態にある適切な殺虫剤は、(手で攪拌するかシェイクすることによって、均一な処方物に容易に溶解することができる)発泡錠又は水和剤として有用である。
【0153】
セットの成分は、水中又は水性溶媒混合物中の処方物であっても良い。当然、成分の1つの水性処方物を1種以上の他の成分の乾燥処方物と組み合わせることもできる。
【0154】
本発明の好ましい実施の形態では、セットは、
・汚れ防止性殺生物剤(a)のある処方物、及び任意の溶媒(c);
及び
・第2の(少なくとも1種のポリマー性バインダー(b)、溶媒成分(c)及び任意の成分(d)の)別個の処方物、
を含む。
【0155】
成分の濃度
成分(a)、(b)、(c)及び任意に(d)の濃度は、含浸のために使用される技術に依存して、当業者によって選択される。
【0156】
通常、殺生物剤(a)の量は、全成分(a)、(b)及び(d)を一緒にした量(すなわち、水性溶媒(c)を除く全ての成分)に対して、50質量%以下、好ましくは20〜50質量%であって良い。
【0157】
ポリマー性バインダー(b)の量は、全成分(a)、(b)及び(d)を一緒にした量に対して、30〜95%の範囲であって良い。
【0158】
存在する場合、追加的な成分(d)は、成分(a)、(b)及び(c)を一緒にした量に対して、0.1〜50%、好ましくは0.5%〜35%である。存在する場合、顔料及び/又は染料の適切な量は、成分(a)、(b)及び(c)に対して、通常0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%である。
【0159】
含浸工程で使用するための代表的な防汚剤は、成分(a)、(b)及び任意に(d)の0.01〜25%、好ましくは0.1〜20%を含み、残りの量は水性溶媒(c)である。
【0160】
末端利用者によって希釈される濃縮物の代表的な濃度は、成分(a)、(b)及び任意に(d)の10〜70%であって良く、残りの量は水性溶媒(c)である。
【0161】
含浸の方法
本発明の防汚剤は、漁業及び水産養殖に使用するためのポリエステル網の含浸に特に適切である。
【0162】
含浸の方法は、処理の特定の方法に限定されるものではない。含浸は、繊維材料を処方物に浸すか又は沈めることにより、又は繊維材料の表面に処方物をスプレーすることによって行っても良い。処理の後、処理された(生きていない)材料は、単に環境の温度で乾燥しても良い。
【0163】
ポリマー性バインダー(b)及び特定の用途に依存して、高い温度での乾燥、架橋又は他の後処理工程を行う必要がなくても良いが、このような追加的な工程を行うことも本発明の範囲内である。
【0164】
本発明の処方物は、所望の製品に加工する前に、すなわち、まだヤーン又はシート状態の間にファブリック材料又は網に施しても良く、又は製品を製造した後に施しても良い。
【0165】
ファブリック及び/又は網の場合、好ましい実施の形態では、本発明は、少なくとも以下の工程:
i)ファブリック及び/又は網を、以下の
(i1)ファブリック材料又は網を、防汚剤に通す手続き工程;又は
(i2)ファブリック材料又は網を、部分的又は完全に防汚剤で浸されたローラーに接触させ、ファブリック材料又は編みの、ローラーと接触している側に防汚剤を施す手続き工程、又は
(i3)材料を防汚剤に沈める手続き工程;又は
(i4)防汚剤をファブリック材料又は網にスプレーする手続き工程;又は
(i5)防汚剤をファブリック材料又は網にはけ塗りする手続き工程;又は
(i6)防汚剤をフォームとして施す手続き工程;又は
(i7)防汚剤をファブリック材料又は網に被覆する手続き工程;
の群から選ばれる何れかの手続き工程によって、防汚剤で処理する工程、
ii)任意に、余剰の処方物を、ローラー間で絞るか、又はドクターブレードを使用して除去する工程、
iii)ファブリック材料又は網を乾燥及び/又は硬化(curing)/定着(固定:fixing)する工程、
を含むファブリック及び/又は網材料を含浸する方法を提供する。
【0166】
原料材料が先行する製造工程の残留物、例えばサイズ、スピンフィニッシュ、他の補助剤、及び/又は不純物を含む場合、含浸の前に洗浄工程を行うことが有益であっても良い。
【0167】
特に、以下の詳細が工程i)、ii)及びiii)のために重要である。
【0168】
工程i1)
ファブリック又は網を水性防汚剤に通すことによって、防汚剤が施される。上記工程は、パッディングとして、この技術分野の当業者にとって公知である。好ましい実施の形態では、ファブリック又は網は、(液体を含んだ容器で)水性防汚剤に完全に沈められるか、又はファブリック又は網は2個の水平に向けられたローラーの間に保持された防汚剤を通される。本発明に従い、ファブリック材料又は網は処方物に通されても良く、又は防汚剤が、ファブリック又は網に通されても良い。防汚剤の取り込みの量は、濃縮浴槽、同等の分配(level distribution)、ファブリック及び網の密度、及び乾燥と硬化工程のためのエネルギーコストを節約する意向によって影響される。通常の液体取り込みは、材料上で40〜150%である。この技術分野の当業者は、最適の値を決定することに詳しい。工程a1)は、後に網に仕立てられる、幅が解放した(open-width)材料を含浸するのに好ましい。
【0169】
工程a1)、a2)又はa3)でのファブリック材料又は網の含浸は、代表例では、5〜70℃の温度、好ましくは10〜50℃の温度、より好ましくは15〜40℃の温度で行われる。
【0170】
工程i3)
網は、処理浴槽に沈めることによって含浸されて良い。これは、適切な大きさの桶、又は樽で、又は網を付着物から洗浄するために使用される洗浄機内で行われても良い。この技術分野の当業者は、網によって物理的に吸収可能な処理浴槽の体積を選択して良い。
【0171】
工程i4)
スプレーは、連続的な方法で、又は非連続的(バッチ式)な方法で、スプレー装置が設けられた適切な繊維機械内で、例えばopen−pocket garment washer/extractors内で施されても良い。このような設備は、特に既製品の網を含浸させるのに適切である。
【0172】
工程i6)
フォームは、上述した溶液又はエマルジョン(乳濁液)よりも少ない量の水を含んでいる。従って乾燥工程は、非常に短いものであって良い。処理は、ガス又はガスのブレンド(例えば空気)を吹き込むことによって行われても良い。(好ましくはフィルム形成特性を有する)界面活性剤を加えることが必要とされても良い。適切な界面活性剤と必要とされる技術的設備は、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0173】
工程i7)
被覆工程は、好ましくはドクターブレード法で行われても良い。工程の条件は、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0174】
工程ii)
余剰の溶液又はエマルジョンは、通常、好ましくは、ファブリック材料又は網を、この技術分野では公知のように、ローラーに通すことによって、ファブリック又は網を絞ることによって除去され、規定された液体の取り込みが達成される。絞り除去された液体は再使用されても良い。この替わりに、余剰の溶液又は水性エマルジョン又は水性分散物が、遠心力又は真空吸引で除去されても良い。
【0175】
工程iii)
活性乾燥工程は、通常、ハイスケール処理(high scale processing)の間に行なわれる。乾燥は、通常、200℃未満の温度で行われる。好ましい温度は、50〜170℃、より好ましくは60〜150℃である。温度の選択は、防汚剤の温度安定性、及び含浸される繊維材料の温度安定性によって決定される。乾燥は、網を洗浄するためにお使用され、しばしば加熱器を備えたドラム洗浄機内で行われる。乾燥は、環境温度で行われても良い。
【0176】
乾燥の後、又は乾燥と同時に、含浸された繊維材料は、任意に最終的に硬化(cure)及び/又は定着(fixate)される。この技術分野の当業者は、硬化と定着の方法を知っている。硬化工程は、通常、乾燥温度よりも高くて良い温度で行われる。硬化のための好ましい温度は、60〜170℃、好ましくは70〜170℃、より好ましくは80〜150℃である。乾燥と硬化は、一つの単一工程の間に、例えば、異なる温度に加熱することができる、異なる区画を有するテンター(乾燥器)内で行なわれることが有利であり得る。反応性架橋剤が使用される場合、温度は低温、例えば30〜130℃、好ましくは30〜100℃であって良い。
【0177】
乾燥、及び/又は硬化は、例えばこの目的のための生きていないミル(non-living mill)に適用される如何なる設備、例えばテンター、ループドライヤー、熱風管、チューブ乾燥機、パッドスチーム機等で行われても良い。本発明の一実施の形態では、連続乾燥及び/又は硬化のための設備が適用される。本発明の他の実施の形態では、非連続的(バッチ式)の乾燥及び/又は硬化のための設備が使用される。このような設備は、専門のランドリーで使用されるロータリー又はチューブ乾燥機、処理温度に加熱されて良い組み合わされたランドリー/ドライヤー、例えばジーンズストーン洗浄を含んでも良い。処理化学剤が液体として加えられても良く、又は網材料にスプレーされても良く、そして次に乾燥/硬化の前又は間に、濡れた材料を回転させることによって均一に分散させても良い。処理液体は、例えば遠心分離によって、過剰の液体を除去することが可能であれば、過剰に加えられても良い。この技術分野の当業者は、処理時間は、同じ温度での連続法よりも長いであろうことに気が付く。
【0178】
硬化工程は、繊維材料を、鉄又は加熱ローラー等、加圧下での加熱表面に通すことを含むか又はこれらから構成されても良い。乾燥工程及び硬化の間、繊維材料は、機械的に固定され、形状の変化、例えば収縮又は寸法的な変形を防止することが好ましい。更に、殺生物剤が洗浄除去されることが防止される。硬化及び/又は定着は、加熱とUV光、又はUV光のみによる二重の硬化法によって交互に行われても良い。適切な方法は、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0179】
水産養殖−淡水であっても、海水(海洋牧場)であっても−に使用される繊維(テキスタイル)は、魚の籠のための網、甲殻類の養殖を保護するための網、ペクチン養殖のためのランタン網、アンカー及び停泊ロープ、又は他の繊維設備の状態であって良い。水産養殖のために使用される繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、又は他の適切なファイバーでできていても良く、及び如何なる色、メッシュサイズ、及びこの目的のために適切なデニール強度のものであっても良い。
【0180】
含浸された網又はファイバー中の殺生物剤(a)の代表的な例は、汚れ防止性殺生物剤の効力に依存して、ファブリック材料又は網の(乾燥した)質量の0.1〜25%(乾燥質量)である。好ましい量は、殺虫剤及び/又は防虫剤に依存して、ファブリック材料又は網の0.5〜20質量%である。
【0181】
ポリマー性バインダー(b)の代表的な量は、ファブリック又は網の(乾燥した)質量の、0.1〜25質量%(乾燥した質量)である。通常のガイドラインのように、汚れ防止性殺生物剤及びバインダー(b)の質量割合は、おおよそ一定であるべきであり、すなわち汚れ防止性殺生物剤の量が多くなれば、バインダー(b)の量も多くなる。バインダー(b)の好ましい量は、ファブリック又は網の(乾燥した)質量の0.5〜20質量%、より好ましくは1〜20質量%である。
【0182】
水性環境に適用するための、本発明の処理された繊維材料は、好ましくは、ジウロン、ピコリナフェン、Irgarol1051、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、4,5−ジクロロ−2−オクチル−3−(2H)−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT)、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、N−シクロヘキシルジアゼニウムジオキシド銅又はカリウム塩(CuHDO、KHDO)、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、亜鉛又は銅ピリチオン、金属ジチオカルバメート、例えばZn、Mn、Fe又はCuエチレンビス(ジチオカルバメート)、エチレンチウランモノスルフィド、又はジスルフィド、メルカプト−イミダゾリン、ジフェニル−グアニジン、ジ−o−トリグアニジン、N.N−ジアルキルジチオカルバミン酸チオ無水物、Na−N−メチルジチオカルバメート、N.N−ジアルキルジチオカルバミン酸金属塩(Zn、Fe、Cd、Cr、Cu、Ni、Mn)、N−アシル−1,2,4−チアゾール、N−アシル−1,3,4−チアゾール、N−アシル−1,2,3−チアゾール、N−アシル−1,2,5−チアゾール、2−(4−チアゾルイル)−ベンズイミダゾール、誘導g−ラクトン、ベンゾトリアゾール(例えば、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール−5,5’−ジカルボン酸)、置換N−アリールジクロロマレイミド、例えばN−(4−フルオロフェニル)−2,3−ジクロロマレイミド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、メチルN−(3,4−ジクロロフェニル)カルバメート、ナフテン酸金属塩、テトラアルキルチウラムスルフィド又はジスルフィド又はその金属塩、2,2−ジチオ−ビス(ピリジン−O−オキシド)、JP09227308に従うナフサ−フラン誘導体、トリフェニルボランアルキルアミド錯体、例えばトリフェニルピリジンボラン、(4−イソプロピルピリジノ)メチルシフェニルボロン、(チオシアノアルキル)チオベンゾヘテロゾール、N−フェニルマレイミド誘導体、N−フェニルコハク酸イミド誘導体、フルオロジクロロメチルチオフタルイミド、ジクロロナフトキノン、アミノクロロナフトキノン、N−トリクロロメチルチオ−シクロヘク−4−エン−1,2−ジカルボキシイミド(=N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド)、又は他のハロゲン化N−アルキルチオ誘導体、N−チオアルキルフタルイミド誘導体、例えばN−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、任意にハロゲン化された又は他に置換されたピリジン−8−スルホン酸エステル、エチレン−ビス−ジチオカルバミン酸、又はその金属塩、2−(チアゾール−4−イル)ベンズイミダゾール、テトラクロロイソフタロジニトリル、置換されたクマリン誘導体、2−チオ−ペルヒドロ−1,3,5−チアジアゾン誘導体、3−(3.4−ジクロロフェニル)−1.1−ジメチルウレア、3,4−ジクロロカルバニリン酸メチルエステル、N−プロピノイルインドリン、置換されたN−プロピノイルアニリン誘導体、置換されたN−チオカルボニルインドリン誘導体、例えば1−(ベンジルチオカルボニル)インドリン、ジチオロ(4,5−b)キノキサリン−2−(チ)オン、置換された(ハロアルキニル)アリールエーテル、例えば、ペンタクロロフェニル−ヨードプロパルギルエーテル、アルキル又はトリフルオロメチル置換のN−フェニルベンズアミド、N−置換された4−フェニル−1,3−チアゾリン−2−オン誘導体、1−(4−クロロフェニル)−1−シクロペンタンカルボン酸、又はそのアミド又はエステル、N−置換された5−(4−ピリジル−メチル)−6−チオ−1−チア−3,5−ジアザシクロヘキサン誘導体、金属(例えば、亜鉛)ジベンジルジチオカーボネート、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン、2−メチル(チオ−4−tert.−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、ノストカルボリン誘導体、置換された1,2−ジヒドロキシキノリン誘導体、例えば6−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−2,2,4−トリメチルキノリン;1,4,2−オキサチアジン誘導体、例えば5,6−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−1,4,2−オキサチアジン−4−オキシド、5,6−ジヒドロ−3−(ベンゾ[b]チエン−2−イル)−1,4,2−イキサチアジン−4−オキシド、3−(4−クロロフェニル)−5,6−ジヒドロ−3−(ベンゾ[b]チエン−2−イル)−1,4,2−オキサチアジン−4−オキシド、3−(4−クロロフェニル)−5,6−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−1,4,2−オキサチアジン−4,4−ジオキシド、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−メチル−1,4−ジオキソ−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、3−ヨードプロパルギル−N−ブチルカルバメート(IPBC)、3−(3−ヨードプロパルギル)−ベンゾキサゾール−2−オン、3−(3−ヨードプロパルギル)−6−クロロ−ベンゾキサゾール−2−オン、及び更に、EP−A1142477に記載されている、3−イソチアゾレン、から選ばれる少なくとも1種の汚れ防止性殺生物剤を含む。
【0183】
好ましくは、ポリマー性バインダーは、(B)、(C)又は(D)から選ばれ、及び殺生物剤は、上述したものの中から選ばれる。
【0184】
代表的には網の状態である、本発明の処理された繊維材料は、漁業及び水産養殖に使用される。
【0185】
本発明に従う処理は、繊維材料を生物付着から保護する。ここで使用されている「生物付着(biofouling)」という用語は、微生物、植物、及び動物の、海水又は淡水中に沈められた材料、例えば繊維(テキスタイル)への望ましくない蓄積として定義される。
【0186】
生物付着は、バクテリア、例えば珪藻、紅藻類、褐藻類、緑藻類、及び海藻;動物、例えば原生生物、例えば従属栄養性の鞭毛虫、及び繊毛虫類;海綿、腔腸動物、例えばヒドロ虫、鉢虫類、サンゴ、及びイソギンチャク(sea anemones);多毛類;クラスタシィアン、例えばフジツボ(cirripedes);軟体動物、例えばヒザラ貝、腹足類、及びイガイ(bivalves);コケムシ;内肛動物;刺皮動物、例えばオフィウア、キタムラサキウニ及びヒトデ;ホヤ;及び魚類を含む、種々の有機体によって起因される。
【0187】
異なる群からの特定の例は、以下の
バクテリア、例えばアクロマバクタsp.、アルテロモナスsp.、a.エスペジナ、バシルスsp.、バクテリウムsp.、カウルバクタsp.、デレヤ(シュードモナス)マリナ、エスケリチアsp.、eコイル、フラボバクテリウムsp.、ハロモナスマリナ、ヒホミクロビウムsp.、ミクロコックスsp.、シュードモナスsp.、p.アトランチカ、p.マリナ、p.pyocyanea、ロゼオバクター、サルシナsp.、serrratia marcescens、シネココカスsp.、ビブリオsp.、v.カンプベリ、及びv.バルニフィカス;
【0188】

珪藻、例えばアクナンセスsp.、アムフォラsp.、a.コフェアエフォルミス、バシラリアsp.、ベルケレヤsp.、ビドドルフィアsp.、コオネイスsp.、フラギラリアsp.、グラモトフォラsp.、リクムフォラsp.、メロシラsp.、ナビクラsp.、ニトシアsp.、n.クロステリウム、ラプドネマsp.、スタロネイスコンストリクタ、及びシネドラsp.;
紅藻類、例えばアンフェルティア、a.トブチエンシス、カリサムニオンsp.、c.コリムボスム、コラリナオフィシナリス、ゲリジウムコウルテリ、ギガルティナ、g.ステラタ、ヒルデンブランジア、ヒドロリトンボエルゲセニ、リトフィルム、リトサムニウム、ニトフィルムプンクタツム、フィコドリスsp.、フィロフォラsp.、ph.ブロジエ、プロカミウムハマツム、ポリシフォニアデウスタ、p.ハルベイ、及びロジメニアパルマタ;
褐藻類、例えばアスコフィルムノドスム、コンドラスクリスパス、シストセリアバルバタ、エクロニアストロンニフェア、エクトカルパスsp.、e.シリカロサス、f.ジスチカス、フォーカスエバネセンス、f.インフラタス、f.セラタス、f.ベシカロサス、ラミナリアsp.、l.アングスタタバール、ロンギシマ、l.ヒペルボリン、l.ヤポニカ、l.サクハリナ、マクロシスティスピリフェラ、パジナsp.、フィロスポラコモサ、サルガスムトルティレ、及びウンダリアピナティフィダ;
緑藻類、例えばクラミドモナス、クラドフォラルペストリス、ドナリエラsp.、d.ガルバナ、エンテロモルファsp.、e.インテスチナリス、e.リンザ、ハリメダsp.、u.レチクラタ、ウロスリックスsp.、ウルバ、u.ファスシアタ、u.ラクツカ、u.ロバタ及びウロスポラ;
海草、例えばゾステラマリナ、
【0189】
動物
従属栄養性の鞭毛虫を含む原生生物、例えばボド、コドノシガ、メトロモナス、モノシガ、プテリドモナス、及びスプメラ(モナス)、及びパラメシウムカウダツムを含む繊毛虫類;
海綿、例えば、アスプリシナフィスツラリス、アクシネラsp.、ジシデアアムブリラ、エウリスポンギアsp.、ハリコンドリアパニセア、ハリクロナsp.、h.シネラ、h.ツビフェラ、ハリサルカヅヤルジニ、レオセリアイジア、ミカレ、m.セリア、オフリタスポンギアセリアタ、フィロスポンギアパピラセア、及びシフォノジクチオンsp.;
ヒドロ虫を含む腔腸動物、例えば、クラバマルチコルニス、クラバスカマタ、コリネウチダイ、ジナメラプミラ、ゴノチラエアロベニ、ヒドラクチニアエキナタ、ラオメデアフレクオサ、オベリアロンギシマ、ロジメニアパルマタ、セルツラレラミウレンシス、ツブラリア、t.クロセア、及びt.ラリンクス;
シフォンゾアス、例えばアウレリアアウリタ、カシオペアアンドロメダ、及びシアネアsp.;
サンゴ、例えばアクロポラ、アガリシアフミリス、a.テヌイフォリア、ガラキサアスペラ、レプトゴルギアビルグラタ、l.セタセア、モンタストレアカベルノサ、パチセリアンサスマルチプリカタス、パリトアトキサ、パレリスロポジウムフルバム、レニラレニフォルミス、シヌラリアsp.、s.クルシアタ、及びキセニアマクロスピクラタ;
アクチニカ(イソギンチャク)、例えばメトリジウムsp.;
多毛類クリセイススピリウム、デキソスピラブラシリエンシス(ネオデキソスピラブラシリエンシス参照)、エウポリムニアネブロサ、ハルマトエイムブリカタ、ヒドロイドジアンサス、h.エレガンス、h.ノルベギカ、ヤヌアブラシリエンシス(ネオデキソスピラブラシリエンシス)、メルシエレラエニグマチカ、ネオデキソスピラ(ジャヌア)ブラシリエンシス、ネレイスゾナタ、オフェリアビコルニス、ペクチナライアコレニ、フラグマトポマ、ph.カリフォルニカ、ph.ラピドス、ピゴスピオエレガンス、プラチネレイスヅメリリイ、ポリドラsp.、p.アンテナタ、p.シリアタ、ポマトセロスラマルクキ、プロトドリウスシムビチクス、サルマシナトリブランシアタ、スコロプロスアルミガー、スピロルビスsp.、s.ボレアリス、s.コラリナエ、s.ルペストリス、s.スピロビス、及びs.トリデンタタス;
【0190】
甲殻類、例えばエウパグルス;
フジツボ(シリペデス)、例えばバラナスsp.、b.アムフィトリテ、b.バラナス、b.カリオサス、b.クレナタス、b.エブルネウス、b.イムプロビサス、b.ペルフォラタス、b.レチクラタス、b.スポンギコラ、チロナエベルマニ、チタマラスダリ、ch.ステラタス、コンコデルマ、エルミニウスモデスタス、レパス、I.セミバラナスバラノイデス、ソリジバラナスファラックス、及びベルカsp.;
ヒザラ貝を含む軟体動物、例えばイスクノキトンハコダデンシス;
腹脚類、例えばアルキドリスシュードアルガス、ビチウムレチクラツム、ハリオチスsp.、ハリオチスジスカス、h.ルフェスセンス、リトリナリトレア、リトリナシトカナ、メガスラクレヌラタ、モノドンタネリトイデス、パレラポンチカ、フェスチラシボガエ、リソアスプレンジダ、テストウジナリアテセラタ、トリトニアプレベイア、及びトロカスニロチカス;
イシガイ(ビバルベス)、例えばアエキペクテンオペルクラリス、アグロペクテンイラジアンス、バンキア、ブラキオドンテスリネアタス、コルビクラフルミネア、クラッソステラギガス、c.ビルギニカ、デレイセナsp.、d.ブゲンシス、d.ポリモルファ、ゲウケンシアデミッサ、ハリオチスルフェセンス、ヘテロノミアスクアムラ、ヒアテラアルクチカ、マルテシア、メルセナリアメルサナリア、ミズホペクテンイエスソエンシス、モジオルスモジオルス、ミチルス、m.カリフォニアヌス、m.エヅリス、m.ガロプロシラリス、m.トロスルス、オストレア、o.エヅリス、o.エクエストリス、パチノペクテンイエスソエンシス、ペクテンsp.、p.マキシマス、ピンナノビリス、プラコペクテンマゲラニカス、サコステレアコメルシアリス、テレド、t.ナバリス、t.ペジセラタス、及びキシロファガ;
アルシオニジウムsp.、a.ヒルスタム、a.ポリオウム、ボベルバンキアsp.、b.プスツロサ、ブグラsp.、ブグラネリチア、b.パシフィカ、b.シンプレックス、b.ストロニフェラ、b.ツリタ、カロポラクラチクラ、セレポレラヒアリナ、コノペウムsp.、c.セウラチ、クリブリナアヌラタ、エレクトラsp.、e.ピロサ、フルストレリドラヒスピダ、メンブラニポラsp.m.メンブラナセア、フィロドフォラパシフィカ、シゾポレラユニコルニス、tpリセラリアオシデンタリス、ウォーターシポラククラタ、及びゾオボトリオンペルシヅムを含むコケムシ;
オィウルスを含む内肛動物、例えばオフィオフォラクスアクレアタ;
キタムラサキウニ、例えばアブラシアプンクツラタ、アポシチコポスジャポニクス、デンタラスタエクセントリクス、エキナラキニウスパルマ、リテキヌスピクタス、パラセントロタスリビジウス、ストロンギロセントロタスドロエバチエンシス、s.インターメジウス及びs.パープラタス;
ヒトデ、例えばアステリアルベンス、及びピサスタギガンテウス;
ホヤ、例えばアプリジウムカリフォルニクム、a.ステラツム、アルキジストマパサミニオン、アスシジアメンツラ、アスシジアニグマ、ボトリルスギガス、b.ニガー、b.シュロッセリ、ボワーバンキアグラシリス、シオナ、c.インテスチアリス、クラベリナレパジフォルミス、シストドテスロバタス、デンドロドアグロスウラリア、ジデンヌムsp.、d.カンジヅム、ジプロソマリステリアヌム、エクテイナスシダツルビナタ、エウジストマオリバセウム、e.グラヅロスウム、ムルグラシトリナ、m.コムプラナタ、モルヘリウムアルガス、ポリシンクラトンラカゼイ、ピウラストロニフェラ、スチエラパルチア、s.プリカタ、s.ルスチカ、スチエォプシスグロスァリア、及びトリジデムヌムsp.;及び
魚、例えばブレンニウスフォリス、
を含む。
【0191】
漁業に使用される場合、処理された繊維材料は、好ましくは網、特に魚網である。
【0192】
魚網は、魚網の如何なる種類のものであっても良く、例えばトロール、大網、トランメル、立て網、流し網、刺し網、チャイニーズネット、投網、ハンドネット、又はトラップ、例えばロブスタートラップであっても良い。
【0193】
更に、本発明の処理された繊維材料は、好ましくは水産養殖(アクアファーミング)、特に海洋牧場、例えば、魚の養殖、シュリンプ養殖、エビ養殖、又は甲殻類養殖、例えばイシガイ又はカキの養殖に使用される。繊維材料は、網の状態、例えばケージを形成する網の状態で使用されることが好ましい。
【0194】
魚は、淡水、海水又は池の水に住む、食用の魚、養殖魚、観賞魚、オーラメンタルフィッシュ(全年代のもの)を含む。食用魚、及び養殖魚は、例えばコイ、ウナギ、マス、ホワイトフィッシュ、サーモン、ブルーム、モロコ、ルッド、チャブ、シタガレイ、ツノガレイ、オヒョウ、ジャパニースイエローテイル(セリオラキンケラジア)、ジャパニーズエール(アンギラジャポニカ)、マダイ(パグルスメジャー)、シーバス(ジセントラクスラブラックス)、グレーマレット(ムギルスセプハルス)、コバンアジ、ギルスレッドシーブレム(スパルスアウラタス)、チラピアspp.、チチルイド種、例えばプラギオスシオン、及びチャンネルキャットフィッシュを含む。
【0195】
本発明の特定の実施の形態では、本発明の繊維材料は、汚れ防止性殺生物剤に加え、魚の寄生虫を制御するために、1種以上の殺虫剤を含む。
【0196】
好ましい殺虫剤については上述した。繊維材料中の殺虫剤の濃度は、通常、0.1〜25%、好ましくは0.5〜20%である。
【0197】
本発明の処理された繊維(テキスタイル)によって制御可能な魚の寄生虫は、Ergasilus、Bromolochus、Chondracaushus、Caligus(Caligus curtus)、Lepeophtheiraus(L.salmonis)、Elythrophore、Dichelestinum、Lamproglenz、hatscheilia、Leosphilus、Symphodus、Ceudrolasus、Pesudocycmus、Lernaea、Lernaeocera、Pennella、Achthares、Basanistes、Salmincola、Brachiella、Epibrachielle、及びPseudotracheliastes、及びfamilies Ergasilidae、Bromolochidae、Chondracanthidae、Calijidae、Dichelestiidae、Philichthyidae、Pseudocycnidae、Larnaeidae、Lernaepodidae、Sphyriidae、及びCectropidae,及びBranchiuriae(カルプライス)及びfamilies Argulidae及びgenera Argulus spec.;及びCirripediae(クリペデス;バルナックル)及びCeratothoagaudichaudiiを含む。
【0198】
以下に実施例を使用して本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0199】
実施例
使用した材料

Egersund Rabben,Bekkjarvik,Norwayから入手可能なポリアミド網の2種のタイプを使用した。全ての試験網は30×30cmの寸法を有していた。網(N1)はメッシュサイズが約15×15mmで、及び糸は2mmの直径を有していた。網(N1)の質量は、約310g/m2であった。網(N2)は、メッシュサイズが約25×25mmで、及び糸は約3mmの直径を有していた。網(N2)の質量は、約390g/m2であった。
【0200】
有機の汚れ防止性殺生物剤(a)
使用した有機の汚れ防止性殺生物剤のタイプは、以下の活性成分を含んでいる:
殺生物剤(A1):70質量%のジチアノン(WG−formation)、
殺生物剤(A2):75質量%のピコリナフェン(市販のWG−formation Sniper(登録商標))、
殺生物剤(A3):20質量%のN−シクロヘキシルジアゼニウムジオキシド−Cu、
6.5質量%のCuCO3
7.5質量%のエチレンジアミン、
(66質量%が不活性成分である)。
【0201】
ポリマー性バインダー(b)
3種類のポリマー性バインダーを製造した:
バインダー(B1):バインダー(B1)は、平均モル質量Mnが、1500〜20000g/molで、60質量%を超えるエチレンに基づく、ポリエチレン性バインダー(A)であった。
【0202】
バインダー(B2):バインダー(B2)は、ポリ(メト)アクリレート(B)に基づく:
59.9質量% n−ブチルアクリレート、
21.1質量% エチルアクリレート、
18.6質量% メチルメタクリレート、
2.4質量% アクリル酸、
0.3質量% メタクリルアミド。
【0203】
バインダー(B3):バインダー系(B3)は、以下のもの(質量%)に基づくポリ(メト)アクリレートバインダー(B)から成っている:
81% ブチルアクリレート
16% アクリルニトリル
2% メタクリル酸−メチロールアミド、
1% アクリル酸、
及び定着剤としてヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)(11〜12質量%、遊離イソシアネート基)に基づくポリマー性イソシアネート架橋剤。
【0204】
一般手順
液体の最大の取り込みを、予備試験で決定した(約60%)。液体(殺生物剤を含む)を、1lビーカーに入れた。網のサンプルを手で動かし、そして液体を完全に取り込み、材料への良好な分散が得られるまで、こねた(約5分間)。次にサンプルを、強制通気で、50℃で、15分間、乾燥チャンバー内で乾燥させた。
【0205】
表1は、この手順で製造された、本発明に従う網についてのリストである。
【0206】
【表1】

【0207】
【表2】

BN=バインダー、FA=定着剤(Fixing Agent)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防汚剤で処理された繊維材料を水域環境内で使用する方法であって、
前記防汚剤は、
a)1種以上の有機の汚れ防止性殺生物剤;
b)ポリマー性バインダー、
c)水、又は水性溶媒混合物(但し、該水性溶媒混合物は、合計溶媒混合物(c)に対して、少なくとも65質量%の水を含む)、
を含み、前記ポリマー性バインダーb)は、
(A)平均モル質量Mnが1500〜20000g/molで、以下のモノマー、
(A1)60〜95質量%のエチレン、
(A2)5〜40質量%の、
(A2a)モノエチレン性不飽和C3−C10モノカルボン酸、及び
(A2b)モノエチレン性不飽和C4−C10ジカルボン酸、
から成る群から選ばれる、少なくとも1種の不飽和カルボン酸、及び
(A3)任意に0〜30質量%の、(A1)及び(A2)と共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマー、
(但し、モノマーの量は、それぞれ、使用されるモノマーの全量に対してのものである)
から得られる、ポリマー性バインダー;
(B)平均モル質量Mnが、40000〜250000であるポリ(メト)アクリル性バインダーであって、(使用される全モノマーに対して)少なくとも50質量%の、1種以上の、式(I)
【化1】

(但し、
1、R2、及びR3が独立して、任意にフッ素置換されていても良く、及び直鎖状、又は枝分れしたC1−〜C10−アルキル、又は置換された、又は置換されていないアリールから選ばれ、
1及びR2が、任意にHである)
のモノマーのラジカルエマルジョン重合によって得られるポリ(メト)アクリル性バインダー;
(C)ポリウレタンバインダーであって、以下の成分:
(C1)少なくとも1種のジイソシアネート、又はポリイソシアネート;
(C2)少なくとも1種のジオール、トリオール、又はポリオール;
(C3)任意に更なる成分;及び
(C4)任意に更なる添加剤;
を反応させることによって得られるポリウレタンバインダー;
(D)ポイソシアヌレートバインダーであって、式(II)
【化2】

(但し、R4が、アルキレン又はアリーレン残基である)
の基を含む、ポリイソシアヌレートバインダー;
から成る群から選ばれるのものである、防汚剤で処理された繊維材料を水域環境内で使用する方法。
【請求項2】
有機の汚れ防止性殺生物剤(a)が、クロロタロニル(テトラクロロイソフタロジニトリル)、ジクロフラニド(N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロクロロメチルチオ)サルフアミド)、トリルフラニド(N,N−ジメチル−N’−トリル−N’ジクロロフルオロメチルチオサルフアミド)、ジウロン(1,1−ジメチル−3−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア)、ピコリナフェン(N−(4−フルオロフェニル)−6−[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ピリジンカルボキシアミド、ジチアノン(2,3−ジシアノ−1,4−ジチア−アントラキノン)、Irgarol 1051(N’−tert.−ブチル−N−シクロプロピル−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン)、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、4,5−ジクロロ−2−オクチル−3−(2H)−イソチアゾリン−3−one(DCOIT)、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、(チオシアノ−メチルチオ)ベンゾチアゾール、N−シクロヘキシルジアゼニウムジオキシド銅、又はカリウム塩(CuHDO、KHDO)、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、亜鉛、又は銅ピリチオン、金属ジチオカルバメート、例えば、Zn、Mn、Fe又はCuエチレンビス(ジチオカルバメート)、エチレンエチウラムモノスルフィッド、又はジスルフィッド、メルカプト−イミダゾリン、ジフェニル−グアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、N,N−ジアルキルジチオカルバミン酸チオ無水物、Na−N−メチルジチオカルバメート、N,N−ジアルキルジカルバミン酸金属塩(Zn、Fe、Cd、Cr、Cu、Ni、Mn)、N−アシル−1,2,4−チアゾール、N−アシル−1,3,4−チアゾール、N−アシル−1,2,3−チアゾール、N−アシル−1,2,5−チアゾール、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、誘導g−ラクトン、ベンゾトリアゾール(例えば、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール−5,5’−ジカルボン酸)、置換N−アリールジクロロマレイミド、例えばN−(4−フルオロフェニル)−2,3−ジクロロマレイミド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、メチルN−(3,4−ジクロロフェニル)カルバメート、ナフテン酸金属塩、テトラアルキルチウラムスルフィッド、又はジスルフィッド、又はこれらの金属塩、2,2−ジチオ−ビス(ピリジン−O−オキシド)、JP09227308に従うナフサ−フラン誘導体、トリフェニルボランアルキルアミン錯体、例えば、トリフェニルピリジンボラン、(4−イソプロピルピリジノ)メチルシフェニルボロン、(チオシアノアルキル)チオベンゾヘテロゾール、N−フェニルマレイミド誘導体、N−フェニルスシニックイミド誘導体、フルオロジクロロメチルチオフタルイミド、ジクロロナフトキノン、アミノクロロナフトキノン、N−トリクロロメチルチオ−シクロヘク−4−ene−1,2−ジカルボキシイミド(=N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド)、又は他のハロゲン化N−アルキルチオ誘導体、N−チオアルキルフタルイミド誘導体、例えばN−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、任意にハロゲン化された又は他に置換されたピリジン−8−スルホン酸エステル、エチレン−ビス−ジチオカルバミン酸、又はその金属塩(例えば、亜鉛又はマンガンの塩)、ジメチルジチオカルバミン酸、又はその金属塩、2−(チアゾール−4−イル)ベンズイミダゾール、テトラクロロイソフタロジニトリル、置換クマリン誘導体、2−チオ−ペルヒドロ−1,3,5−チアジアゾン誘導体、3−(3.4−ジクロロフェニル)−1.1−ジメチルウレア、3,4−ジクロロカルバニル酸メチルエステル、N−プロピノイルインドリン、置換N−プロピノイルアニリン誘導体、置換N−チオカルボニルインドリン誘導体、例えば1−(ベンジルチオカルボニル)インドリン、ジ−チオロ(4,5−b)キノキサリン−2−(チ)one、置換(ハロアルキニル)アリールエーテル、例えば、ペンタクロロフェニル−ヨードプロパルギルエーテル、アルキル又はトリフルオロメチル置換N−フェニルベンズアミド、N−置換4−フェニル−1,3−チアゾリン−2−one誘導体、1−(4−クロロフェニル)−1−シクロペンタンカルボン酸、又はそのアミド又はエステル、N−置換5−(−4−ピリジル−メチル)−6−チオ−1−チア−3,5−ジアザシクロヘキサン誘導体、金属(例えば、亜鉛)ジベンジルジチオカーボネート、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トチアジン、2−メチル(チオ−4−tert.−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン)、2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、ノストカルボリン誘導体(EP−1783128)、置換1,2−ジヒドロキシキノリン誘導体、例えば、6−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−2,2,4−トリメチルキノリン;1,4,2−オキサチアジン誘導体、例えば5,6−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−1,4,2−オキサチアジン−4−オキシド、5,6−ジヒドロ−3−(ベンゾ[b]チエン−2−イル)−1,4,2−オキサチアジン−4−オキシド、3−(4−クロロフェニル)−5,6−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−1,4,2−オキサチアジン−4,4−ジオキシド、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−メチル−1,4−ジオキソ−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、3−ヨードプロパルギル−N−ブチルカルバメート(IPBC)、3−(3−ヨードプロパルギル)−ベンゾオキサゾール−2−one、3−(3−ヨードプロパルギル)−6−クロロ−ベンゾヘキサゾール−2−one、及び更なる3−イソチアゾロンから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機の汚れ防止性殺生物剤が、CuHDO、ピコリナフェン及びジチアノンから選ばれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー性バインダー(b)が、ポリエチレン性バインダー(A)であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー性バインダー(A)が、モノエチレン性不飽和C3−C10モノカルボン酸(A2a)、及びモノエチレン性不飽和C4−C10モノカルボン酸(A2b)の群から選ばれる、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和カルボン酸(A2)を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリマー性バインダー(b)が、ポリ(メト)アクリル性バインダー(B)であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
ポリ(メト)アクリル性バインダー(B)が、
B1)成分B1として、(使用した全モノマーの合計質量に対して)少なくとも50質量%の、式(I)、
【化3】

(但し、R1、R2及びR3が、独立して、直鎖状、又は枝分れしたC1〜C10−アルキル、又は置換された、又は置換されていないアリールであり;
1、及びR2が、任意にHである)
の1種以上のモノマー、
B2)任意に、成分B2として、式(VI)
【化4】

(但し、
9、R10、R11、及びR12が、独立して、H、直鎖状、又は枝分れしたC1−〜C10−アルキル、又は置換、又は無置換のアリールである)
の少なくとも1種のモノマー;
B3)任意に、成分B3として、式(VII)
【化5】

(但し、
13及びR14が、独立して、H、直鎖状、又は枝分れしたC1−〜C10−アルキル、又は置換、又は無置換のアリールであり、
Xが、H、OH、NH2、OR15OH、グリシジル、ヒドロキシプロピル、

【化6】

(但し
15が、C1−〜C10−アルキレン、又は置換又は無置換のアリーレンであり、
16が、枝分れした、又は直鎖状のC1−〜C10−アルキル、又は置換又は無置換のアリールである)
の、
【化7】


である)
の少なくとも1種のモノマー、及び
B4)任意に、
B41)極性のモノマー、好ましくは(メト)アクリロニトリル、及び/又はメチル(メト)アクリレート;及び/又は
B42)非極性のモノマー、好ましくはスチレン、及び/又はa−メチルスチレン、
から選ばれる、上述したモノマーと共重合可能な、更なるモノマー、
をエマルジョン重合することによって得られることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
防汚剤が、定着剤(d)を含むことを特徴とする請求項1〜4、6又は7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
処理された繊維材料が、網の状態であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
網のメッシュが、2mm〜30mmのサイズであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
メッシュが、正方形、六角形、又は八角形の形状であることを特徴とする請求項9又は10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
処理された繊維材料が、殺生物剤(a)に加え、ピレスロド、ニコチン性の受容体作用薬/拮抗薬化合物、有機フォスフェイト、及び大環状のラクトン殺虫剤を含むことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
寄生虫から養殖獣を守るために、水産養殖中に使用することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
水域環境中で、生物付着から繊維材料を守るための方法であって、繊維材料を請求項1〜8の何れか1項に記載の防汚剤で処理する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
水域環境中に適用するための、請求項1〜12の何れか1項に記載の繊維材料。

【公表番号】特表2012−507637(P2012−507637A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533703(P2011−533703)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064132
【国際公開番号】WO2010/052153
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】