説明

水性の次亜塩素酸(HOCl)含有溶液をベースとする消毒薬、それを製造するための方法、及びその使用

特に電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液の形態での、水性の次亜塩素酸含有溶液をベースとする消毒薬、並びにそのような消毒薬を製造するための方法を開示する。消毒薬が大きな表面を有する場合にも、例えば、消毒薬が表面に塗布される場合にもそのような消毒薬の安定性を高めるために、消毒薬は、特に非晶質ケイ酸及び/又は非晶質無水ケイ酸の形態で、特定の割合の非晶質シリカ(SiO)をさらに含有する。前記割合は、特に水溶液の粘性を、溶液がゲル化する点まで高めるような態様で選択することができる。本発明は、さらに、そのような消毒薬の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、水性の次亜塩素酸(HOCl)含有溶液をベースとする消毒薬、それを製造するための方法、及びその使用に関する。
【0002】
次亜塩素酸をベースとする消毒薬は知られており、次亜塩素酸は、その消毒特性に関して極めて有効な物質であり、特に、それら自体が消毒特性を有するその塩、次亜塩素酸塩(OCl)よりもかなり良好な消毒作用を提供する。次亜塩素酸/次亜塩素酸塩をベースとする消毒薬の製造については、他の調製様式に加えて、電気化学的活性化の方法が知られており、これは主に、水を消毒するために使用される。本明細書において、電解質の、特に、塩化ナトリウム(NaCl)すなわち食塩、塩化カリウム(KCl)又は類似物などの中性塩の希釈された溶液は、電解反応器中でその電極に電圧を印加することにより、消毒に適しており、通常は準安定状態にあり、水のタイプ及び定義されたプロセスパラメーターに応じて、長期間にわたって維持することができる活性状態に変換される。そのような電気化学的活性化(ECA)の方法は、例えば、結果的に参照により本明細書に組み込まれている、本出願の優先日まで公開されていない国際特許出願PCT/EP2007/001265に記載されている。この方法において使用される電解反応器は、1つ又は複数の陰極を有する陰極コンパートメント及び1つ又は複数の陽極を有する陽極コンパートメントを特徴とし、陽極コンパートメント及び陰極コンパートメントは、2つのコンパートメントにおいて水/電解質溶液が混ざらないように、−特に、イオンについて−電気的に伝導性であるダイヤフラムにより、又は前記特性を有する膜によって互いに分離されている。
【0003】
塩素−アルカリ電気分解などの電気分解において、使用される試薬のほぼ完全な変換は、主に、塩素ガス収量を最大にするように、塩化ナトリウム溶液を使用する場合には塩素ガス(Cl)及び水酸化ナトリウム(NaOH)溶液になり、塩化カリウム溶液を使用する場合には塩素ガス及び水酸化カリウム(KOH)溶液になる高度に濃縮された電解質溶液を使用して試みられる。対照的に、電気化学的活性化において、使用される水/電解質溶液は、よりずっと希釈された形態、通常は、ほぼ最高20g/l、好ましくは、ほぼ最高で10g/l、特に、0.1g/l〜10g/l若しくは0.1g/l〜5g/l又は0.1g/l〜5g/lに過ぎない濃度で電解反応器に導入され、その極めてわずかな割合のみが、有利な態様で溶液の物理的及び化学的特性を改変し、特に、それによって消毒作用が得られる、電解質と混ぜられた水の酸化還元電位を高めるように変換される。電気化学的活性化のために選択される圧力、温度、電極電流などの反応条件は、一般的に、通常は50℃〜90℃の範囲の高めの温度にて行われる塩素−アルカリ電気分解の場合よりも相応して穏やかであり、電気化学的活性化は、室温にて行うことができる。電気化学的活性化の利点は、特に、それらの様々な濃度における電気化学的活性化により製造される物質の良好な健康及び環境適合性であり、German Drinking Water Ordinance(TrinkwV)による消毒薬として認可されかつ有用である。
【0004】
電気分解におけるように、電気化学的活性化においても、酸化は、陽極にて(すなわち、正に荷電した電極)にて行われ、一方、還元は、陰極にて(すなわち、負に荷電した電極)にて生じる。塩化ナトリウム溶液などの希釈された中性塩溶液が使用される場合、主に水素が、以下の反応式(1)に従って陰極にて製造されるはずであり:
2HO+2e−−−>H+2OH (1)
ガスとして溶液から放出された後に、例えば、反応器の陰極コンパートメントから除去される。さらに、電解反応器の陰極コンパートメントにおける希釈された水/電解質溶液は、水酸化物イオンの形成によってアルカリ性になる。
【0005】
以下の反応式(2)及び(3)に従って、化学的酸化剤の酸素(O)及び塩素(Cl)が、特に製造され、そのどちらも、有効な水消毒薬であることが知られている。さらに、電解反応器の陽極コンパートメントにおける希釈された水/電解質溶液は、Hイオンの形成によって酸性になることに留意しなければいけない:
6HO−−−>O+4H+4e (2)、
2Cl−−−>Cl+2e (3)
【0006】
一方、塩素は、以下の可逆反応(4)に従って水の中で次亜塩素酸イオン(OCl)及び塩化物イオン(Cl)に解離し、それら自体で、電解質からの適当な陽イオン、例えば、Naと、又はプロトンと若しくはHイオンと反応し、対応する(ナトリウム)塩又は対応する酸、すなわち、次亜塩素酸(HClO)を形成することができるか、又は、水/電解質溶液中に存在する陽イオンとの再結合後に、それらは、次亜塩素酸塩及び塩化水素又は希釈された塩酸(HCl)を形成することができる:
Cl+3HO<===>2H+OCl+Cl (4)。
【0007】
pH値及び酸化還元電位が適当に制御される場合、上述のPCT/EP2007/001265で詳細に説明されているように、平衡を、最も望ましい構成成分、すなわち、次亜塩素酸へ移動させることができ、極めて少ない濃度で極めて有効である消毒薬が得られる。さらに、水を消毒するのに有効であることも知られている少量の他の物質を、二次反応により陽極にて形成される前記物質から製造することができる。これらは、特に、過酸化水素(H、反応式(5))、オゾン(O、反応式(6))、二酸化塩素(ClO、反応式(7))、塩素酸塩(ClO、反応式(8))、及び様々なラジカル(反応式(9)及び(10))である。
4HO−−−>H+2H+2e (5)、
+3HO−−−>O+2H+2e (6)、
Cl+4OH−−−>ClO+2HO+5e (7)、
3OCl−−−>ClO+2Cl (8)、
5HO−−−>HO・+3H+3e (9)、
+HO−−−>HO・+H+e (10)
【0008】
電気化学的活性化によって製造される消毒薬の欠点の1つは、それらが、通常、限られた安定性又は貯蔵寿命のみを有していることである。上記で指摘したように、消毒薬の安定性を、特に、前記国際特許出願PCT/EP2007/001265により開示されているように、適当な開ループ又は閉ループ制御により約半年〜1年の期間まで増やすことができるが、この場合、消毒薬を、密閉容器中に保って適当に冷却する必要がある。特に、消毒薬の周囲空気との接触面が相対的に大きい場合、消毒薬の相対的に速い中和を防ぐのは実際的に不可能である。この理由は、上記の反応式(4)に従って、平衡が、溶存塩素(Cl)と次亜塩素酸(HOCl)及びその塩との間に存在し、塩素は、ガスとして溶液から放出され、塩素並びに、特に、どちらも消毒薬として活性である次亜塩素酸及びその塩、次亜塩素酸塩の割合を連続的に減少させ、平衡がOClイオンの方向へ移動するため、反応して塩素ガスを生じ、溶液から逃げることである。さらに、次亜塩素酸は、特に、pH値が増加するにつれて、そのプロトンを切断し、上記で述べたように、非解離の次亜塩素酸よりも消毒薬として有効でない対応する次亜塩素酸塩を形成する傾向がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、その寿命が、特に、その周囲媒質との接触面が比較的大きい場合にも延ばされるような態様で水性の次亜塩素酸(HOCl)含有溶液をベースとする消毒薬を形成することである。他の目的は、それを製造するための方法及びその使用である。
【0010】
本発明によれば、この目的は、ある割合の非晶質シリカ(SiO)を含有する、導入部で述べたタイプの消毒薬によって達成される。
【0011】
プロセス技術に関して、本発明は、そのような水性の次亜塩素酸(HOCl)含有溶液をベースとする消毒薬を製造するための方法におけるこの問題を解決するための溶液への非晶質シリカ(SiO)の添加も包含する。
【0012】
驚いたことに、消毒薬の安定性、又は、特に、消毒を行うために望まれる次亜塩素酸(HOCl)の寿命を、非晶質シリカの添加によりかなり伸ばすことができることが発見された。非晶質シリカは、上記の反応式(4)による可逆反応を阻害するか、又は次亜塩素酸の形態か次亜塩素酸塩の形態のどちらかで次亜塩素酸イオンを固定し、そのため、次亜塩素酸イオンが溶液中に留まり、それらが、それらの消毒機能を行うことができると考えられる。特に、驚いたことに、非晶質シリカは、次亜塩素酸からのプロトンの切断を阻害することができるため、次亜塩素酸は、あまり消毒作用のない次亜塩素酸イオンに解離されないことが確認された。このことが、驚くべきであるのは、非晶質ではない、すなわち、結晶性のシリカは、イオン交換体として作用し、次亜塩素酸からのプロトンの切断に有利に働き、後で適当な陽イオンと再結合して対応する塩を形成する次亜塩素酸イオン(OCl)になることが知られているからである。さらに、さもなければ起きる可能性があり、大部分の応用例において望まれない塩素のわずかな臭いが回避されるのも、消毒薬に溶存している塩素ガスが、溶存したままであり(次亜塩素酸と、又は次亜塩素酸イオンとも平衡状態にあり)、次亜塩素酸イオン又は、とりわけ、次亜塩素酸の反応に起因する塩素ガスとして絶えず放出されるわけではないからである。本発明の消毒薬の他の利点は、非晶質形態のシリカが、それ自体で(殺された)細菌、ウイルス又は他の微生物の残渣に結合することができ、例えば、すすぐことにより、消毒薬の除去に関する消毒処理後のいかなる問題もなしに除去することができることである。
【0013】
非晶質の、すなわち、非結晶性のシリカは、例えば、非晶質ケイ酸及び/又は非晶質無水ケイ酸の形態で使用することができる。本発明の目的で、「非晶質ケイ酸」は、一般式[−Si(OH)−O−]を有する非晶質ポリケイ酸と非晶質オルトケイ酸(Si(OH))及びメタケイ酸([−SiO−O−])の両方並びにそれらのすべての混合形態を指す。「非晶質無水ケイ酸」は、例えば、硫酸ナトリウムを製造するケイ酸ナトリウム(NaSiO)と硫酸との反応により得ることができるような非晶質シリカゲル及び非晶質沈降ケイ酸(SiO)、並びに、例えば、塩化水素を製造する四塩化ケイ素(SiCl)と水の反応により得ることができるような非晶質焼成ケイ酸の両方を含み、通常、細かい粉末の形態で存在する。さらに、少なくとも90質量%のSiOを含む非晶質形態のケイ質土を直接使用することができる。
【0014】
本発明の消毒薬の好ましい実施形態は、水性の次亜塩素酸含有溶液の粘性を高めるのに十分な割合の非晶質シリカを含有し、消毒薬は、特に、ほぼゲル様粘度を示すことがある。したがって、そのような消毒薬は、非晶質シリカが、その粘性を高めるのに十分な割合で水性の次亜塩素酸含有溶液に添加され、特に、十分な割合の非晶質シリカを添加して溶液をゲル化することができるような態様で製造される。いずれの場合にも、非晶質シリカは、有利には、できる限り均一に水性の次亜塩素酸含有溶液中に分散され、実際的にいずれの適当なかき混ぜ機、ホモジナイザーなどによっても達成することができる。
【0015】
そのような消毒薬が、例えば、傾斜面又はヒト若しくは動物の皮膚を消毒するための極めて簡単な塗布という利点も有しているのは、消毒薬が、重力により意図する作用部位から除去されずにそこに固定化され、その優れた消毒特性を保持し、極めて皮膚適合性でもあるからである。このことは、作用部位における効果の持続期間も消毒薬の安定性も高める。
【0016】
非晶質シリカに対する水性の次亜塩素酸含有溶液の質量比は、有利には、約100:1〜約1:1、特に、約50:1〜約2:1であってよく、言うまでもなく、製品の望ましい粘性に左右されるであろう。非晶質シリカは、望ましい質量比で水性の次亜塩素酸含有溶液に添加され、すでに述べたように、できる限り均一にそこに分布される。
【0017】
水性の次亜塩素酸含有溶液をベースとする消毒薬は、いずれの態様でも得ることができるが、本発明の消毒薬の好ましい実施形態は、電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液により構成され、すなわち、水性の次亜塩素酸含有溶液は、希釈された水/電解質溶液の電気化学的活性化(ECA)により製造される。このことは、特に、上記に引用されている国際特許出願PCT/EP2007/001265に記載されている方法に従って、水、例えば、水道水又は脱塩水の電気化学的処理により達成することができる。
【0018】
他の有利な実施形態において、消毒薬は、特に、この文脈において、排他的に電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液を含有し、すなわち、正電極(陽極)にて得られる電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液のみを使用し、その中に非晶質シリカを分散させることにより消毒薬を製造する。
【0019】
陽極溶液の製造も、上記に引用されているPCT/EP2007/001265で説明されているように、電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液が、電解溶液、特に、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウム溶液を水に添加し、陰極を有する少なくとも1つの陰極コンパートメント及び、特に、ダイヤフラム又は膜によって陰極コンパートメントから物理的に分離されている陽極を有する少なくとも1つの陽極コンパートメントを有する電解反応器中で、希釈された水/電解質溶液の形態で、添加された電解溶液を含む水に電流を印加し、電極への直流の印加により、高い割合の次亜塩素酸を含有する、希釈された水/電解質溶液を消毒に適した準安定状態にすることにより得られるような態様で行うことができる。
【0020】
電気化学的に活性化された陽極の水/電解質溶液のみを使用して本発明の消毒薬を製造しようとする場合、「陽極液」と呼ばれる、反応器の陽極コンパートメントにおいて処理される溶液、すなわち、電解反応器の陽極コンパートメントから出る溶液のみが使用され、その一方で、「陰極液」と呼ばれる、陰極コンパートメントにおいて処理される陰極溶液は、廃棄されることがある。
【0021】
本発明の消毒薬は、有利には、応用例に応じて、約10mg/l〜約70mg/l、特に、約20mg/l〜約60mg/l、好ましくは、約30mg/l〜約50mg/lの遊離塩素の合計パラメーターを示すことができる。そのような値は、製造中に、例えば、水性の次亜塩素酸含有溶液自体の電気化学的活性化によりすでに調整されていることが好ましく、それより低いか又は高い値が、望ましい最終製品に応じて可能であることは言うまでもない。より高い値の調整は、例えば、消毒薬が他の物質を含有することになっている場合に好都合であることがあるため、溶液中の遊離塩素の合計パラメーターは、希釈効果が考慮された後で最終製品がそのような値を有するような態様で調整される。
【0022】
本発明の消毒薬は、使用に応じて、約2.5〜約8、特に、最高で約7までのpH値、及び約1100mV〜約1360mV、特に、約1150mV〜約1360mV、好ましくは、約1200mV〜約1360mVの酸化還元電位を有することが好ましく、そのようなものとして、例えば、電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液の形態の水性の次亜塩素酸含有溶液については、特に、2.5〜3.5、好ましくは、2.8〜3.2の範囲、特に、3からの範囲のpH値、及び1240mV〜約1360mV、好ましくは、約1280mV〜約1360mV、特に、約1320mV〜約1360mV、例えば、約1340mVからの範囲の酸化還元電位が、ガスとして溶液から容易に放出されて望ましくない刺激臭をもたらすことがあるCl含量が低い溶液の最高の可能な次亜塩素酸含量を確保するのに有利であることが証明された。
【0023】
この理由から、特に好ましい実施形態による消毒薬の製造については、例えば、電気化学的に活性化された陽極の水/電解質溶液の形態での水性の次亜塩素酸含有溶液のpH値は、電気化学的活性化中に、2.5〜3.5、特に、2.7〜3.3、好ましくは、2.8〜3.2の値に調整され、電気化学的に活性化された陽極の水/電解質溶液の酸化還元電位は、1240mV〜1360mV、特に、1280mV〜1360mV、好ましくは、約1320mV〜約1360mVの値に調整されることが好ましい。
【0024】
したがって、そのような消毒薬を得るための電気化学的活性化プロセスは、電気的に伝導性のダイヤフラム/膜により陰極コンパートメントから物理的に分離されている電解反応器の陽極コンパートメントから出る溶液、すなわち、電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液(陽極液)が前記範囲のpH値及び/又は酸化還元電位を有するような態様で制御することができ、すなわち、pH値及び/又は酸化還元電位の制御は、それらの上述の値がその陽極コンパートメントにおける反応器の末端で達成されたような態様で行われる。そのような場合に、酸化還元電位は、常に、規定水素電極(NHE)又は標準水素電極(SHE)、すなわち、対NHE又は対SHEを指す。そのような消毒薬をもたらす電気化学的活性化を制御するための様々な可能性は、上記に引用されている国際特許出願PCT/EP2007/001265に詳細に記載されている。本発明の消毒薬のために使用されることが好ましい上述のpH及び/又は酸化還元電位値を有する電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液は、実際的に一貫した消毒作用を有するだけでなく、特に、水の中で希釈されて使用される場合にも、十分なデポー効果を確保し、重大な微生物汚染の場合であっても継続するという点で極めて有利であると証明された。さらに、すでに指摘したように、上記反応式(3)による塩素ガスの発生を最小限に抑えることができるため、本発明の消毒薬のために使用されることが好ましい電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液は、極めて弱い塩素臭を有するに過ぎず、通常は塩素臭を有しない。溶液は、主に次亜塩素酸(HOCl)、及び、一部の場合に、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの追加的な少量の次亜塩素酸塩、準安定ラジカル化合物、及びやはり少量で、塩素ガス(Cl)ガスではなく塩化水素を含有し、すなわち、上記反応式(4)の平衡は、上述のpH及び/又は酸化還元電位値範囲で明らかに右に移動している。
【0025】
本発明の消毒薬のpH値、すなわち、少なくとも、非晶質シリカが添加された水性の次亜塩素酸含有溶液のpH値を、この値を超えて高める、例えば、約4〜約8の範囲、好ましくは、最高で約7まで、特に、最高で約6まで、例えば、最高で約5.5まで又は最高で約5までの範囲の皮膚に優しいpH値まで上げ、消毒薬を、医学的に有効な治療に、例えば、創傷の消毒に利用可能にしようとする場合、本発明の消毒薬のpH値を、要件に従って、緩衝液の添加により、特に、最高で約8までの値、好ましくは、最高で約7までの値又は最高で上記で述べた値まで高めることができる。本明細書において、次亜塩素酸又はそのOClイオンとClとの間の前記平衡は、前者に移動されることがあるが、この場合、本発明の非晶質シリカの添加は、そのような移動を相殺するため、そのような相対的に高いpH値の場合、完全な消毒作用を達成することができ、さらに、最高で約8.0までのpH値の場合であっても、非晶質SiOを含む溶液からなる消毒薬の酸化還元電位は、明らかに1100mVを超す値において安定なままであり、その中に含有される遊離塩素は、主に次亜塩素酸の形態で存在する。
【0026】
実際的には、いずれの知られている緩衝液も緩衝液として使用することができるが、例えば、炭酸塩/炭酸水素塩をベースとする緩衝液は、功を奏することが証明されており、絶対的に健康上のリスクを示さない。さらに、非晶質シリカ自体がある種の緩衝効果を有するため、単に非晶質シリカを添加することにより、電気化学的に活性化された溶液のために使用される水のpH値のある種の増加は、その組成に応じて、約5〜5.5の範囲で達成することができる。
【0027】
さらに、純水を使用して電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液の形態で水性の次亜塩素酸含有溶液を製造する場合、再現性のある製造条件を確保し、特に、原水に含有されることがあるいずれのイオンの影響も最小限に抑えることが有利であることがある。この目的で、電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液を製造するために使用される原水は、特に、逆浸透、ミクロ濾過、ナノ濾過、又は限外濾過などの膜プロセスを最初に受けることができる。このようにして、特に、電気化学的に活性化すべき水の電気伝導度、より正確には、その中に溶存している可動イオンから生じる水又は水/電解質溶液の伝導度に基づくそのイオン伝導度、及びそれらの硬度、及び、該当する場合、その中に含有される有機含量物質の濃度を低減することができ、電解溶液(それ自体、通常、複数の要因により使用される水の伝導度を高める)の添加前に、約350μS/cm、好ましくは、約0.055μS/cm〜約150μS/cm、特に、約0.055μS/cm〜約100μS/cmの伝導度の最高値が有利であると証明された。このことは、使用される水に実際的に関係なく、本発明の消毒薬のために使用される希釈された水/電解質溶液の製造中の消毒作用及びデポー効果に関してさらに良好な再現性をもたらす。さらに、電気化学的活性化中に健康上の危険をもたらす物質に変わることがある電気化学的に活性化すべき水に含有されるイオンは、たとえほんの少ない濃度であっても、少なくとも大部分が排除される。一例は、酸化されて臭素酸塩になることがある、高濃度で発癌効果を有する臭化物イオンである。
【0028】
本発明の方法は、連続的に、半連続的に、バッチで、又は不連続的に行うこともできる。
【0029】
上記で述べたように、本発明の消毒薬は、特に、ヒト及び動物の皮膚を包含する表面の消毒に適しており、水性の次亜塩素酸含有溶液に添加される非晶質シリカは、長期の消毒作用を有し、望ましい場合、ゲルの形態で関連表面へのその塗布を可能にする十分に高い粘性を示す。特に、粘膜を包含するヒト又は動物の皮膚の消毒、及び創傷の消毒のために消毒薬を塗布する場合、以下の特性は、追加的な利点を提供する:その高い含水量のため、創傷は、乾ききることから守られ、細胞分裂及び細胞遊走は促進される。それは、感染を確実に防ぎ、その構成成分は、極めて皮膚適合性であり、健康上のリスクを提供しないため、例えば、口部及び咽頭部で使用することができる。このことは、特に、非晶質シリカにも当てはまり、大部分の結晶性シリカ改変と異なり、ほとんど不活性であり、生物体に対して潜在的に有害であるいかなるイオン交換特性も示すことはない。それは、ヨウ素を含有せず、無色であり、過剰の創傷浸出液を吸収することができる。それは、何の問題もなく水ですすぐことができ、家庭の廃棄物又は排水として無害に処分することができる。
【0030】
さらに、本発明の消毒薬は、特に、制限なく実際的に混ぜられることがある水などのいずれのタイプの液体媒質の消毒にも適していることは言うまでもなく、何の問題もなく当該媒質に必要量で投与することができる。この場合、非晶質シリカは、その吸着特性のため、沈殿剤のように追加的に作用することができ、消毒すべき媒質中の懸濁物質は、それら自体で結合することができる。
【0031】
本発明のそれ以外の特徴及び利点は、図面を参照し、本発明の消毒薬を製造するための方法の実施形態の以下の説明から生じる。説明図は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】その中に非晶質シリカが分散されている電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液の形態で水性の次亜塩素酸含有溶液をベースとする消毒薬を製造するための本発明の方法の実施形態の概略フローダイヤグラムである。
【図2】図1による電解反応器の断面詳細図である。
【図3】図1によるミキサーの断面詳細図である。
【0033】
消毒薬を製造するために連続的又は半連続的に本発明の方法を行うのに適している図1で概略的に示されているプラントは、分岐管2を介して主水管1からの水を流用し、電気化学的活性化(ECA)のための原水として使用する。主水管1は、例えば、公共給水システムの一部であってもよい。分岐管2は、特に、制御弁の形態で弁3を、特に、例えば、穴幅が約80〜100μmの細かいフィルターの形態でフィルター4を備え、図3を参照して以下でさらに説明するミキサー5を介して、図2を参照して以下でさらに記載する電解反応器6に通じている。したがって、主水管1で運ばれている水の、制御弁3を使用して必要に応じて制御することができる部分流を、分岐管2を介して電解反応器6に移動することができる。
【0034】
ミキサー5は、入口側で分岐管2に及び他の側で、電解質溶液、例えば、この場合、大きく飽和された塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウム溶液を受けるためのレザバー7に接続され、ミキサー5においてできる限り均一に混ぜ合わされ、出口側で共通管8を介して電解6に入る。レザバー7からミキサー5につながる管9も、分岐管2で運ばれる水に規定量の電解質溶液を添加するための図1に描かれていない注入ポンプを備えている。特に、図3に見られるように、ミキサー5は、この実施形態においてボールミキサーにより構成され、水と電解質溶液の絶え間ない一貫した混合を確保する。ミキサー5は、ほぼ円柱状の容器51を基本的に備え、その反対端に、入口2、9及び出口8がそれぞれ接続され、図3に一例として示されているボール52の緩い負荷又は別の緩い材料が配置され、それを通して水及び電解質溶液が流れ、ボール52は、刺激されて振動し、それによって、水とそれに添加される電解溶液の極めて均一な混合を確保する。
【0035】
特に、図2に見られるように、電解反応器6は、この実施形態において、例えば、追加的触媒効果を有する二酸化ルテニウム(RuO)でコーティングされたチタン製の中空管により構成される陽極61を備え、その末端には、これ以上は詳細に示されていない電源の正極を、雄ネジ61aによって接続することができる。代替品として又は酸化ルテニウムの他に、例えば、二酸化イリジウム(IrO)、又は両方の混合物(RuO/IrO)、又は二酸化チタン(TiO)、二酸化鉛(PbO)及び/又は二酸化マンガン(MnO)などの他の酸化物をベースとするコーティングも提供することができる。電解反応器6は、有利には高品位鋼又はニッケル(Ni)、白金(Pt)などの類似の材料製である陰極62をさらに備え、この実施形態において、その内部に陽極61が同軸性に配置されている中空管により構成される。陰極62は、例えば、さらに詳細には記載されていない電源の負極に外側を一周してフィットしているクランプ(描かれていない)によって接続することができる。陽極61及び陰極62及びそれらの間と同軸性に、密閉リング63により密閉されている管状ダイヤフラム64が配置され、陽極61と陰極62の間に位置するリング状の反応コンパートメントを陽極コンパートメント及び陰極コンパートメントに分離している。ダイヤフラム64は、陽極コンパートメント及び陰極コンパートメント中に位置する液体の混合を防ぐが、それにもかかわらず、特に、イオンの遊走については、電流の流れを許し、いかなる大きな抵抗も提供しない。この実施形態におけるダイヤフラム64は、例えば、電気的に、すなわち、イオン的に伝導性であるが、本質的に液密の多孔性二酸化ジルコニウム(ZrO)により構成される。酸化アルミニウム(Al)、イオン交換膜、特に、プラスチックをベースとするものなどの相対的に抵抗の低い他の材料も配置することができる。
【0036】
さらに、電解反応器6は、2つの入口65a、65bを有し、それらを介して、管8を介してミキサー5から出る希釈された水/電解質溶液は、反応器6の反応コンパートメント、すなわち、その陽極コンパートメント及びダイヤフラム64により前者から物理的に分離されているその陰極コンパートメントに供給される。この目的で、例えば、ほぼT字形の分岐は図1に示されていない。特に、図3から及び図1からも分かるように、電解反応器6は、2つの出口66a、66bも有し、それらを介して、水/電解質溶液を、その中での化学的活性化後に反応器6から排液することができる。出口66aは、反応器6の陽極コンパートメントからの電気化学的に活性化された水/電解質溶液の除去、すなわち、「陽極液」の除去のためであるが、出口66bは、陰極コンパートメントからの除去、すなわち、「陰極液」の除去のためである。さらに、「陽極液」、すなわち電気化学的に活性化された陽極の水/電解質溶液を、電解反応器6がその望ましい動作状態に達するまで、初期の品質障害を排除するために、特定の期間にわたって電解反応器6の起動中に廃棄することも可能である。
【0037】
この場合に使用される電解反応器6の幾何学的寸法を、以下にリストの形態で示す。
陰極コンパートメントの長さ:18.5cm;
陰極コンパートメントの容積:10ml;
陰極の表面:92.4cm
陽極コンパートメントの長さ:21.0cm;
陽極コンパートメントの容積:7ml;
陽極の表面:52.7cm
陰極と陽極の距離:約3mm(ダイヤフラムを包含する)
【0038】
電解反応器6は、例えば、60〜140l/時間の水スループットで操作されるが、より大きなスループットが、より大きな反応器及び/又は並列に接続された複数の反応器を使用することにより可能であることは言うまでもない。電解反応器6は、常に全負荷で運転されることが好ましく、必要に応じて停止させることができ、ピーク負荷は、電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液について以下でより詳細に説明される貯蔵タンクを使用して取り扱うことができる。
【0039】
図1から分かるように、出口66bは、電解反応器6の陰極コンパートメントからガス分離器10に通じており、そこから排ガスが、場合により提供される排ガス管11を介して除去され、一方、陰極液自体、すなわち、電解反応器6の陰極コンパートメントから除去される水/電解質溶液は、管12を介して、例えば、公共下水システムのドレイン中に除去される。電解反応器6の陽極コンパートメントからの出口66aは、貯蔵タンク13に通じており、その中に、消毒のために使用される電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液のストックを保つことができ、そこから、陽極液を、管14を介して除去することができ、管14に設置された注入ポンプ15を使用して達成することができる。
【0040】
電解反応器6は、陽極61と陰極62の間の望ましい電流フローを制御するための図1であまり詳細に描かれていない制御可能な電源を備えており(図2)、例えば、電流計を使用して測定される(描かれていない)。電解反応器6は、例えば、陽極液のための出口66aに設置されたpHメーター(描かれていない)も有し、代替方法として、貯蔵タンク13中に提供することができる。例えば、反応器6に組み込むことができる制御可能なポンプ(描かれていない)を使用し、制御可能に電解反応器を通じて、希釈された水/電解質溶液を運び、ポンプは、容積流量率を、したがって、反応器6における水/電解質溶液の滞留時間を制御する。例えば、電子データ処理ユニットの形態で、さらに詳細には描かれていない制御装置は、出口66aを介して反応器2の陽極コンパートメントから出る陽極液において2.5〜3.5、好ましくは、約3.0の範囲のpH値を維持するような態様で前記パラメーターの制御のために提供され、これは、例えば、PIDコントローラーによって達成することができる。電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液(陽極液)のpH値の開ループ及び閉ループ制御のための制御技術の詳細について、我々は、上記にさらに引用されている国際特許出願PCT/EP2007/001265に言及する。同じことが、範囲1340mVの電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液(陽極液)の酸化還元電位の有利な開ループ及び閉ループ制御に当てはまる。
【0041】
電解反応器6の洗浄を可能にするため、洗浄液、例えば、酢酸又は類似物を利用するための貯蔵容器21、及び、場合により、使用済みの洗浄液を利用するための貯蔵容器22も提供することができ、貯蔵容器21から反応器6の入口65a、65b(図2を参照)で反応器6に入るフィードライン23と反応器6から反応器6の出口66a、66b(図2を参照)で貯蔵容器22に入る管24を必要に応じて接続し、反応器6すなわち、両方のその陰極コンパートメント及び、特に、その陽極コンパートメントをすすぐことができる。代替方法として、特に、酢酸などの環境的に適合性で生物学的に分解可能な洗浄液の場合、洗浄液を、例えば、公共下水システムに直接注ぐことができる。
【0042】
電解反応器6の寿命を延ばすか又はそのサービス間隔を延長するために、図1に描かれていない軟化器(softener)をその上流に接続し、水の硬度を、例えば、4°dH程度(0.716mMol/lのアルカリ土類金属イオンの濃度に対応する)、好ましくは、2°dH程度(0.358mMol/lのアルカリ土類金属イオンの濃度に対応する)の値に保つことができる。軟化器は、従来の設計であってもよく、例えば、適当なイオン交換体樹脂を備え、水の中にあることがある二価の水硬度ミネラル、すなわち、カルシウム及びマグネシウムイオンを、ナトリウムなどの一価イオンと置き換えることができる。代替方法として、又は追加的に、特に、水の、電気の、すなわち、イオンの伝導度を低減するために、例えば、軟化器の下流に接続され、特に、逆浸透システム若しくはミクロ濾過、ナノ濾過、又は限外濾過システムなどの膜システムにより構成することができ、例えば、約350μS/cm程度、特に、約150μS/cm程度、好ましくは、約100μS/cm程度の値に水の電気伝導度を保つ装置(描かれていない)を提供することができる。伝導度測定セル、電極、又は類似物などの描かれていない伝導度測定装備を使用し、原水の電気伝導度についての望ましい値の順守をモニターすることができる。
【0043】
図1からも分かるように、電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液のための貯蔵タンク13からの管14は、ミキサー5と同様に(図3も参照)又は他のどのような態様でも構成することができる他のミキサー25に通じている。ミキサー25は、管14で運ばれている電気化学的に活性化された溶液中にできる限り均一に非晶質シリカを分散するために使用され、この目的で、制御可能な注入ポンプ27を備えている管26を介して非晶質シリカのための貯蔵容器28に接続される。使用されるシリカは、例えば、タイプ「HDK(登録商標)T30」(Wacker Chemie AG、Munich、Germany)の細かい特定の焼成ケイ酸、すなわち、99.8%を超えるSiO含量、2200g/lのSiOの密度及び2SiOH/nmのシラノール基密度を持つ合成の、親水性の、非晶質の、火炎加水分解で製造されたケイ酸であってもよい。シリカは、固体で、又は、例えば、水の中に予め分散された形態で、電気化学的に活性化された溶液に添加することができる。最終製品の望ましい粘性に応じて、例えば、約1:10の質量比で、電気化学的に活性化された溶液に添加することができ、注入ポンプ27を使用して達成される。
【0044】
ミキサー25は、制御可能な注入ポンプ29も備えた管30を介して、緩衝液、例えば、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム又はそれらの水溶液をストックするために使用される他の貯蔵タンク31にも接続される。このようにして、管14で運ばれる電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液のpH値を、約3よりも高いpH値(例えば、約4〜7)まで上げることができ、これが望ましい場合、例えば、最終消毒薬の良好な皮膚適合性を達成することができる。この目的で、注入ポンプ29は、例えば、管32に設置されるpHメーター(描かれていない)に接続され、ミキサー25から、すでに均一化された製品を貯蔵容器33に運び、そこから、破線34で示されるように、採取し、分割し、包装することができる。このようにして、対応する量の対応する緩衝溶液を、最終消毒薬の望ましいpH値に基づいて自動的に割り当てることができる。
【0045】
明らかに、この連続プロセスの代わりに、不連続プロセス制御も可能であり、それによれば、電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液は、管14から、例えば、1つ又は複数のかき混ぜ機タンク(図示せず)に運ばれ、対応する量の非晶質SiO及び、該当する場合に、緩衝液がそれに添加される。さらに、電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液を、不希釈形態か又は、該当する場合に、特に、水又は純水で希釈された形態で使用することができる。理想的な消毒に適している消毒作用を有する電気化学的活性化製品の含量は、例えば、遊離塩素の合計パラメーターの約40mg/lに等しい。言うまでもなく、より高いか又はより低い濃度も、例えば、電極電流、添加される分配量の食塩溶液、電解反応器6における希釈された水/電解質溶液の滞留時間などを適当に増加/減少することにより調整することができる。最後に、水性の次亜塩素酸含有溶液をベースとする本発明の消毒薬の連続相は、必ずしも電気化学的活性化を使用して製造する必要はないが、他のどのような知られている製造方法も考慮することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある割合の非晶質シリカ(SiO)も含有することを特徴とする、水性の次亜塩素酸(HOCl)含有溶液をベースとする消毒薬。
【請求項2】
非晶質シリカが、非晶質ケイ酸及び/又は非晶質無水ケイ酸の形態で存在することを特徴とする、請求項1に記載の消毒薬。
【請求項3】
水性の次亜塩素酸含有溶液の粘性を高めるのに十分な割合の非晶質シリカを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の消毒薬。
【請求項4】
ゲル様粘度を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の消毒薬。
【請求項5】
非晶質シリカに対する水性の次亜塩素酸含有溶液の質量比が、100:1〜1:1、特に、50:1〜2:1であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の消毒薬。
【請求項6】
水性の次亜塩素酸含有溶液が、電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液により構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の消毒薬。
【請求項7】
水性の次亜塩素酸含有溶液が、電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液により排他的に構成されることを特徴とする、請求項6に記載の消毒薬。
【請求項8】
使用に応じて、2.5〜8、特に、2.5〜7のpH値を示すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の消毒薬。
【請求項9】
1100mV〜1360mV、特に、1150mV〜1360mV、好ましくは、1200mV〜1360mVの酸化還元電位を示すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の消毒薬。
【請求項10】
10mg/l〜70mg/l、特に、20mg/l〜60mg/l、好ましくは、30mg/l〜50mg/lの遊離塩素の合計パラメーターを示すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の消毒薬。
【請求項11】
水性の次亜塩素酸(HOCl)含有溶液をベースとする消毒薬を製造するための方法であって、非晶質シリカ(SiO)が溶液に添加されることを特徴とする方法。
【請求項12】
非晶質シリカが、非晶質ケイ酸及び/又は非晶質無水ケイ酸の形態で水性の次亜塩素酸含有溶液に添加されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
非晶質シリカが、水性の次亜塩素酸含有溶液の粘性を高めるのに十分な割合で水性の次亜塩素酸含有溶液に添加されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
非晶質シリカが、水性の次亜塩素酸含有溶液をゲル化するのに十分な割合で水性の次亜塩素酸含有溶液に添加されることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
非晶質シリカが、シリカに対する溶液の質量比で100:1〜1:1、特に、50:1〜2:1で水性の次亜塩素酸含有溶液に添加されることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水性の次亜塩素酸含有溶液が、希釈された水/電解質溶液の電気化学的活性化により製造されることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液が、電解質溶液、特に、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウム溶液の水への添加により、及び陰極(62)を有する少なくとも1つの陰極コンパートメント及び、陽極(61)を有する、特に、ダイヤフラム又は膜(64)によって陰極コンパートメントから物理的に分離されている、少なくとも1つの陽極コンパートメントを有する電解反応器(6)中の希釈された水/電解質溶液の形態の添加された電解質溶液を含む水への電流の印加により、希釈された水/電解質溶液を消毒に適している準安定状態にするための電極(61、62)への直流電圧の印加により得られることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液のみが、消毒薬を製造するために使用されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液のpH値が、電気化学的活性化中に2.5〜3.5、特に、2.7〜3.3、好ましくは、2.8〜3.2の値に調整されることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
電気化学的に活性化された陽極の希釈された水/電解質溶液の酸化還元電位が、1240mV〜1360mV、特に、1280mV〜1360mV、好ましくは、1320mV〜1360mVの値に調整されることを特徴とする、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
遊離塩素の合計パラメーターが、10mg/l〜70mg/l、特に、20mg/l〜60mg/l、好ましくは、30mg/l〜50mg/lの値に調整されることを特徴とする、請求項11〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
消毒薬のpH値が、必要に応じて緩衝液の添加により高められることを特徴とする、請求項11〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
消毒薬のpH値が、最高で8までの値、特に、最高で7までの値まで高められることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
炭酸塩/炭酸水素塩をベースとする緩衝液が使用されることを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
純水が、電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液を製造するために使用されることを特徴とする、請求項16〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
電気化学的に活性化され希釈された水/電解質溶液を製造するために使用される原水が、最初に、逆浸透、ミクロ濾過、ナノ濾過、又は限外濾過などの膜プロセスを受けることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ヒト及び動物の皮膚を包含する表面を消毒するための請求項1〜10のいずれか一項に記載の消毒薬の使用。
【請求項28】
液体媒質、特に、水を消毒するための請求項1〜10のいずれか一項に記載の消毒薬の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−527337(P2010−527337A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507840(P2010−507840)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003863
【国際公開番号】WO2008/138601
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509315467)アクティデス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】