説明

水性アスファルトコーティング組成物

【課題】水性アスファルトを含有するコーティング、フィルムおよび膜を調整するための新規なシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】本願発明は、水、アスファルトおよび分散系を含有するアスファルトエマルジョンである第一部分と、水を含まない液体ポリマー組成物である第二部分とを含有する、多成分系のコーティング組成物に関するものである。アスファルトエマルジョンと液体ポリマー組成物はその場で結合し、速乾性を有するとともに良好な耐水性を速やかに構築するコーティングが提供される。こうした組成物は、金属、木材ならびに速乾性が重要となるようなその他の表面におけるコーティングとして特に有用である。こうした組成物は、その表面が繰り返し屋外にさらされる等、コーティングの速やかな耐水性が重要となるような物質のコーティングとして特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、水性アスファルトコーティング組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスファルトは廉価であり、ほとんどの多孔質表面に塗布した場合に比較的浸透値が高く、比較的耐候性と不透水性を示す。そのため、保護被覆剤、保護フィルムおよび保護膜の主成分として伝統的に使用されている。水性アスファルトエマルジョンは、防水膜、舗装および屋根製品、目地材、特殊塗料、電子ラミネートおよびホットメルト接着剤を含む、広範囲にわたる製品に使用されてきている。それに加えて、水性アスファルトエマルジョンは、低質ゴム製品の製造における希釈剤として、放射性廃棄物の処理用、溶融コーティング用および保水バリア用の希釈剤として使用されてきている。これらを塗布する場合の多くにおいて、水性アスファルトエマルジョンは、天然ゴムなどの炭化水素重合体を混入することによって改変されている。こうした改変された製品を表面に塗布し、乾燥させたことから生じるコーティングは改良された性能特性を有するものである。
【0003】
これらの最も基本的な形状であるアスファルトエマルジョンは、通常210〜300°Fの間の温度で固形アスファルト融解し、次に溶融アスファルトを水および分散系と混ぜることにより製造される。通常、これらの混合は高せん断および高速状態のコロイドミル中でおこなわれる。このエマルジョンが防水コーティングとして使用される場合、通常、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルなどといった、炭化水素重合体エマルジョン/ラテックスが添加されることによって、これらのエマルジョンに所望の特性が付与される。通常、得られる混合物(アスファルトエマルジョン+炭化水素重合体エマルジョン/ラテックス)が、水酸化アンモニウムなどのアルカリ安定剤を必要とすることから、コーティング組成物は、本来中性〜アルカリ性であることがよくある。所望の炭化水素重合体エマルジョンをアスファルトエマルジョンにその場で加えることもまた可能であるにもかかわらず、これはより困難であり、めったに実施されてはいない。
【0004】
ゴムラテックスなどの炭化水素重合体エマルジョンまたはけん濁液を含む水性アスファルトエマルジョンは、水分の蒸発、ならびに、これに続く分散分子の一体化を通じて硬化する。これらの物質が比較的短時間で被覆されている場合であっても、通常、この表層は、屋外での塗装の場合の降雨による水の接触に耐えうるために十分な強靭性をもたない。雨が表層を浸食し、硬化されていない下部の物質が洗い流される。したがって、これらの物質の塗装指示書は、通常塗装以降の数時間の間に雨が降る可能性がある場合にはエマルジョンを塗布しないようにと指導している。さらに、コーティング組成物全体を通じて硬化するために必要とされる時間は、許容できないほど長期間になってしまうか、あるいは硬化がまったく起こらない可能性がある。このような困難性により、支持基板に塗布することができるアスファルトをベースとしたコーティング組成物の厚さが制限されている。長い乾燥期間のために、産業上の標準的な技法では、塗布中にエマルジョンを「破壊する」ために塩化カルシウムなどの塩を添加している。この塩はエマルジョン中のイオン基と反応しエマルジョンを不安定なものにして、より迅速に一体化する。
【0005】
非水性の耐候性コーティングもまた、ポリウレタンエクステンダおよびイソシアネートをアスファルト素材に結合することにより調整される。しかしながら、この混合物は、一般的に80〜120℃に加熱しなくてはならない。このような方法は煩わしいものであるとともに、現場において特殊装置が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、水性アスファルトを含有するコーティング、フィルムおよび膜を調整するための新規なシステムおよび方法を有することが望ましい。より迅速に乾燥し、これにより、より急速に耐流出性が得られるような水性アスファルトコーティング組成物を提供する方法およびシステムが望ましい。比較的迅速に完全硬化するようなアスファルト含有コーティング組成物を提供する方法およびシステムもまた望ましいものである。コーティング組成物が迅速に硬化することにより、コーティングの物理的な完全性に対して有害な影響を及ぼすことなく通行人の往来がより早まり、重量負荷の取り込みがより早まり、現場での時間が短縮されることになる。加えて、複数層により同一の厚さとすることとは対照的に、迅速な完全硬化によって、より厚みのあるコーティング組成物層を単回(すなわち、ひとつの工程)で塗布することもまた可能となる。
【0007】
本願発明は、水性のアスファルトを含有するコーティング、膜またはフィルムを調整するためのシステムおよび方法を提供するものである。このシステムは、垂直または水平方向の基材に塗装することが可能であり、熱を加える必要なしに比較的迅速に硬化することが可能である水性アスファルトコーティング組成物を製造するための第1組成物(以下、「A部」と称する)および第2組成物(以下、「B部」と称する)を含有している。このシステムの第1組成物は、アスファルト、水および分散剤を含むエマルジョンである。アスファルトエマルジョンは、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニルおよび同類物、あるいはこれらの組み合わせなどといった、有機ポリマーによるその他のエマルジョンをさらに含んでいても良い。これらの有機ポリマーは、強度、接着性、弾力性、および/または水蒸気浸透性を含む、所望の性能上の特性をアスファルトエマルジョンに加える目的で添加される。ある種の態様において、アスファルトエマルジョンの固形率は35〜65%である。第2組成物(B部)は、A部と混合可能な粘性液である。B部は、水を含まない非エマルジョンの液体ポリマー組成物である。このシステムは、少なくとも部分的には、比較的少量のこうした液体ポリマー組成物を水性アスファルトエマルジョンにそのまま加えることにより、このような液体ポリマー組成物が添加されていない水性アスファルトエマルジョンに比べて、より迅速に乾くコーティング組成物を作り出す、という発明者らの発見に基づくものである。その結果、こうしたコーティングは増加した耐流出性を有する。また、発明者らは、比較的少量のこうした液体ポリマー組成物を水性アスファルトエマルジョンにそのまま加えることにより、完全硬化がより迅速なコーティングを得られるということをも発見している。したがって、本願のシステムが使用される場合、こうしたコーティングをより厚い層で基材上に塗布することが可能である。
【0008】
また、本願発明は、本願のシステムのA部を本願のシステムのB部と混合し、そして得られたエマルジョンまたは混合物を基材に塗布することによって基材をコーティングする方法に関する。本願のシステムは、コンクリート、木材または金属を含むが、これらに限定されない様々な基材を被覆するために使用可能である。得られたエマルジョンまたは混合物は、噴霧、浸漬、ローリング、塗装、または拡散により塗布することができる。A部の炭化水素ポリマーエマルジョンの量およびタイプ、ならびに固形含有量に依存して、A部およびB部は3:1またはこれよりも大きな比率、好ましくは17:1〜3:1の比率で混合される。この比率は、所望される表面および完全硬化の時間をベースとして調節される。この方法は、これに限定されないが、250ミルを超える単層コーティングを含み、様々な厚さのコーティングを基材上に形成するために使用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、その場でコーティング組成物を調製するための多成分系組成物であって、a)アスファルト、水および分散系を含むエマルジョン、ならびにb)水を含まない液体ポリマー組成物を含有し、アスファルトエマルジョンおよび液体ポリマー組成物が3:1またはこれを超える割合で存在するものである、多成分系組成物であることにある。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、アスファルトエマルジョンおよび液体ポリマー組成物が17:1〜3:1の割合でシステム中に存在するものであることにある。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、アスファルトエマルジョンが、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂およびポリビニル酢酸、あるいはこれらの組み合わせのうち、一種またはそれ以上のエマルジョンを含むものであることにある。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、アスファルトエマルジョンの固形含有量が35〜65重量%であることにある。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマーが、ポリウレタン、アクリルポリマー、スチレンブタジエン、スチレン含有ブロックポリマー、シリコンポリマー、またはこれらの組み合わせの一種またはそれ以上から選択されるものであることにある。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマーが、溶剤を含まないものであることにある。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマー組成物が、溶剤を含むものであることにある。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマー組成物が、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、可塑剤、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むものであることにある。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマー組成物が、ポリウレタンを含むものであることにある。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマー組成物が、アクリルポリマーを含むものであることにある。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマー組成物が、シリコンポリマーを含むものであることにある。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマー組成物が、スチレンブロックポリマーを含むものであることにある。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、液体ポリマー組成物が、スチレンブタジエンを含むものであることにある。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、さらに触媒を含むものであって、前記触媒は別個のものであるか、あるいはアスファルトエマルジョン中に含まれるものであることにある。
【0023】
請求項15に記載の発明は、基材をコーティングする方法であって、a)アスファルト、水および分散系を含むエマルジョンを液体ポリマー組成物と組み合わせることによりコーティング組成物が調製され、前記液体ポリマー組成物は水を含まず、ポリウレタン、アクリルポリマー、スチレンブタジエン、シリコンポリマー、スチレン含有ブロックポリマー、あるいは前記ポリマーの組み合わせを含み、アスファルトエマルジョンと液体ポリマー組成物は、3:1またはそれを超える割合で組み合わされる、その場でコーティング組成物を調製する工程と、b)コーティング組成物を基材に塗布する工程と、を含む、基材をコーティングする方法であることにある。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項15の目的に加えて、前記方法は、コーティング組成物を加熱せずに行なうことにある。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項15の目的に加えて、コーティング組成物のひとつまたはそれ以上の層が基材に塗布され、少なくとも一つの前記ひとつまたはそれ以上の層が250ミリメートルまたはそれ以上の厚さであることにある。
【0026】
請求項18に記載の発明は、請求項15の目的に加えて、硬化触媒が、コーティング組成物を基材に塗布する前にコーティング組成物に組み込まれているものであることにある。
【0027】
請求項19に記載の発明は、請求項15の目的に加えて、硬化触媒が、錫触媒であることにある。
【0028】
請求項20に記載の発明は、請求項15の目的に加えて、アスファルトエマルジョンの、液体ポリマー組成物に対する割合が、17:1〜3:1の範囲であることにある。
【0029】
請求項21に記載の発明は、アスファルトエマルジョンを含むコーティングの完全硬化率を増加させる方法であって、(a)アスファルト、水および分散系を含むアスファルトエマルジョンを提供する工程と、(b)アスファルトエマルジョンと液体ポリマー組成物との割合が、3:1またはこれを超えるように、工程aのアスファルトエマルジョンを、水を含まない液体ポリマー組成物と組み合わせてコーティング組成物を提供する工程と、(c)工程bのコーティング組成物を基材に塗布する工程と、を含み、工程bのコーティング組成物から作製されるコーティングの完全硬化率は、アスファルトエマルジョンのみから作製されるコーティングの完全硬化率に比べて迅速である方法であることにある。
【0030】
請求項22に記載の発明は、250ミリメートルまたはこれを超える厚さを有する、耐候性の単層コーティングを調製する方法であって、a)水、アスファルトおよび分散系を含むアスファルトエマルジョンと、水を含まないが、ポリウレタン、アクリルポリマー、スチレンブタジエン、シリコンポリマー、スチレンブロックポリマーまたは前記ポリマーの組み合わせを含む、非エマルジョンである液体ポリマー組成物とを、アスファルトエマルジョンと、非エマルジョンであるポリウレタンポリマー組成物との割合を17:1〜3:1として、その場で組み合わせてコーティング組成物を得る工程と、b)コーティング組成物の、250ミリメートルまたはこれを超える厚さを有する少なくともひとつの層を基材に塗布する工程とを含む方法であることにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本願発明の特定の態様を時折参照することにより、以下に本願発明を説明する。しかしながら、本願発明は異なる形式で実施することが可能であり、ここで説明する態様に限定されるものと解釈されるべきではない。これらの態様は、むしろ、本開示が徹底され完全なものとなるように、そして本開示が当業者に本発明の権利範囲を十分に伝えるものとなるように提供されるものである。
【0032】
特に定義しない限り、本明細書中で使用される、すべての技術的および科学的用語は、本願発明の属する技術分野において通常の知識を有するものにより一般的に理解されるものと同一の意味を持つものとする。本明細書において発明の説明に使用される専門用語は、特定の態様を記載するためにのみ使用されるものであり、本願発明を限定することを意図するものではない。発明の記載およびこれに添付の特許請求の範囲に使用される、単数形の冠詞(「a」、「an」)および定冠詞(「the」)は、文脈が明白にそうでないことを示さない限り、複数形をも含むことを意図するものである。本明細書において言及されるすべての文献、特許出願、特許、およびその他の参照文献は参照によりその全文を援用する。
【0033】
特記しない限り、明細書および特許請求の範囲における成分量、分子量や反応条件などの特性などを示すすべての数字は、すべての場合において「およそ(約)」という言葉により修飾されるものであると解釈されたい。すなわち、特記しない限り、以下の明細書および特許請求の範囲の説明における数値的特性は、本願発明の態様にて取得しようと考える所望の特性に依存して変化し得る概算値である。
【0034】
本願発明の広範な権利範囲を説明する数値上の範囲およびパラメータは概算値ではあるものの、特定の実施例において説明される数値は、できる限り正確に掲載している。しかしながら、いずれの数値であっても、それぞれの試験の測定法における標準偏差より必然的に発生するある種のエラーを本質的に含んでいる。本明細書全体を通じて、記載される各々の数値上の範囲は、このような、より広い幅の数値上の範囲内に属する、より狭い幅の数値上の範囲を、あたかもこうしたより狭い幅の数値上の範囲が明細書中にすべて明白に記載されているかのごとく、各々含むものとなるであろう。
【0035】
本明細書において、迅速な完全硬化率を有する耐候性のコーティングまたは膜を製造するためのシステムが提供される。このシステムは、防水加工のコーティングを形成するために、水性アスファルトエマルジョンシステム(A部)および水を含まない液体ポリマー組成物(B部)を含み、本願発明のシステムのA部とB部を混合することによる、このようなコーティングを作成する方法を含む。組成物のA部は、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニルおよび同類物、あるいはこれらの組み合わせなどといった、炭化水素ポリマーエマルジョンをさらに含んでいても良い。ある種の態様において、B部に対するA部の比率は17:1〜3:1である。したがって、固形含有量、ならびにA部の炭化水素ポリマーエマルジョンの量およびタイプに依存して、あるいはA部のエマルジョンシステムのpHに依存して、本システムにおけるB部に対するA部の比率は、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1,10:1、9:1、8:1,7:1,6:1、5:1、4:1、3:1、15:2,13:2,11:2,9:2、7:2などであり得る。最適な比率は、標準的な技法を用いて当業者が決定することが可能である。
【0036】
A部
水性アスファルトエマルジョン
本願のシステムのA部は、水、アスファルトおよび分散系を含むエマルジョンである。アスファルトは、ポリマー修飾型アスファルト、酸化アスファルトまたは非酸化アスファルトでも良い。アスファルトエマルジョンは、天然ゴム、スチレン−ブタジエンのような合成ゴム、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニルおよび同類物、あるいはこれらの組み合わせなどといった、炭化水素ポリマーエマルジョン/ラテックスをさらに含んでいても良い。好ましい合成ポリマーエマルジョンの一例は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)エマルジョンである。SBRは、例えば、メタクリル酸などを用いた処理により得られるカルボキシレート基によって架橋されていても良い。好ましい合成ポリマーエマルジョンのその他の例は、ポリアクリル酸エマルジョンである。ポリマーエマルジョンは混合前に作成されるか、あるいは乳化工程中にアスファルト中で重合化されるものであってもよい。
【0037】
分散系は一種またはそれ以上のアスファルト乳化剤を含有している。アスファルト乳化剤は、非イオン、アニオン、またはカチオン性であっても良い。非イオン性乳化剤の例は、モノ−およびジ−グリセリド、ポリソルベート、ならびにグリセロールエステルである。アニオン性乳化剤の例は、石鹸、硫酸化オイル、および硫酸化アルコールである。カチオン性乳化剤は、一般的に、一部のタイプのアミン化合物である。
【0038】
アスファルトエマルジョンはさらにその他の任意成分として、消泡剤、レオロジー調整剤、充填剤、不凍剤、可塑剤、架橋剤、溶剤などを含むものであっても良い。
【0039】
B部
本願の多成分系組成物のB部は、水を含まない液体ポリマー組成物である。このような組成物は、室温で液体であるとともに、B部をA部と混合したときに噴霧または注入により基材の表面に塗布することが可能なコーティング組成物を提供することができる粘度を有している。したがって、ある種の態様において、B部は3000〜60,000cpsの粘度を有す。また、ある種の態様において、B部は有機溶剤を含んでいる。その他の態様において、B部は有機溶剤を含まない、つまり無溶剤である。
【0040】
液体ポリマー
本願発明のB部は一種またはそれ以上の、以下の非エマルジョンの液体ポリマーを含有しても良い:ポリウレタンポリマー、アクリルポリマー、スチレンブタジエン、また、スチレン(エチレン−ブタジエン)−スチレン(SEBS)ブロックポリマー、スチレン−(イソプレン)−スチレン(SIS)ブロックポリマー、スチレン−(ブチレン)−スチレン(SBS)ブロックポリマー、スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレン(SEPS)ブロックポリマーおよびスチレン−(エチレン−プロピレン)(SEP)ブロックポリマーを含むが、これらに限定されないスチレンブロックポリマー、シリコンポリマー、すなわちオルガノポリシロキサン、あるいはこれらの組み合わせである。
【0041】
ポリウレタンポリマーは、水酸基末端化ポリマー材料を芳香族または脂肪族イソシアネートと反応させて、ポリウレタンポリマーを得ることにより形成される。ポリウレタンポリマーは、非キャップまたは末端キャップNCO基、あるいはその双方を含んでいても良い。ある種の態様において、ポリウレタンポリマー組成物はおよそ1.2〜3.5重量%のNCO基を含んでいる。
【0042】
本願のポリウレタンポリマーの調製に適した水酸基末端化ポリマー材料には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールおよび二またはそれ以上の水酸基および直鎖または分岐鎖の炭化水素を含有するポリオールを含めた、ジ、トリおよびテトラ機能性ポリオールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
適したポリエーテルジオールまたはトリオールには、ポリエチレンエーテルジオールまたはトリオール、ポリプロピレンエーテルジオールまたはトリオール、ポリブチレンエーテルジオールまたはトリオール、ポリテトラメチレンエーテルジオールまたはトリオール、ならびに、このようなジオールおよびトリオールのブロック共重合体が含まれる。
【0044】
適した水酸基末端化ポリエステルには、ポリ塩基性の酸または無水物(例えば、アジピン酸および無水フタル酸)より調製される、いずれの水酸基末端化ポリエステルであっても含まれる。とりわけポリカプロラクトンジオールおよびトリオールといった水酸基を含むポリラクトンも、ポリマーの作成に好適である。
【0045】
適したアクリルポリオールには、水酸基末端化ポリアクリレートが含まれる。アクリレートには、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートまたはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。二つまたはそれ以上の水酸基および直鎖または分岐鎖の炭化水素基を含有する好ましいポリオールには、水酸基機能化ポリブタジエンが含まれる。他の適したポリオールには、水酸基を有するポリカーボネートが含まれる。
【0046】
ある種の態様においては、ポリオールは平均分子量が500〜18,000である。
【0047】
水酸基末端化骨格ポリマーと反応させたイソシアネートは、二つまたはそれ以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、あるいはこうした有機イソシアネートの混合物である。このイソシアネートは芳香族または脂肪族イソシアネートである。適した芳香族ジまたはトリシアネートの例には、p,p’,p”−トリイソシアナト トリフェニルメタン、p,p’−ジイソシアナト ジフェニルメタン、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレン ジイソシアネート、2,6−トリレン ジイソシアネートおよびこれらの混合物が含まれる。好ましい脂肪族イソシアネートの例は、イソフォロン ジイソシアネート,ジシクロヘキシル メタン−4,4’−ジイソシアネート、およびこれらの混合物である。
【0048】
ポリウレタンポリマーは、水酸基末端化ポリマーと有機イソシアネートとを、環境温度および環境気圧下で混合することによって調製可能であるが、反応温度をより高く、例えば、60〜100℃の間とすることにより、その反応速度は顕著に上昇する。実質的に全てのポリウレタンプレポリマー鎖がNCO末端基を有することが確実となるように、過剰モルのイソシアネートが使用される。ポリマーの形成を促進するために、混合物にスズ触媒などの触媒を添加しても良い。
【0049】
ある種の態様において、ポリウレタンポリマー上のNCO基の重量%は1.9〜3.0の範囲となる。
【0050】
B部は、非キャップまたは末端キャップ、あるいはその組み合わせであるポリウレタンポリマーを含有するものであっても良い。末端キャップポリウレタンポリマーは、シランキャップ剤、アルコール末端キャップ剤またはエポキシ樹脂を用いて末端キャップ化されていても良い。好適なシランキャップ剤には式Iに相当するシランが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
H−NR−R−Si(OR(R) I
【0052】
式中、Rは、水素、1〜10個の炭素原子を含む置換型の脂肪族、脂環式および/または芳香族炭化水素基、第二の−R−Si(OR(R)、または−CHR−CHRCOOR、ここでRおよびRはHまたはC1〜6の有機部分であり、RはC1〜10の有機部分であることを表している。
は、C1〜8の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖のアルキレン基を表している。
は、C1〜6のアルキル基を表す。
=−CH、−CHCHまたはOR
【0053】
式Iに相当する好適なアミノシランの例には、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびアミノシランの反応生成物(ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど)とアクリレークモノマー(エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびグリシジルアクリレートなど)が含まれている。
【0054】
その他の好適なシランには、メルカプトシラン、メルカプトシランとモノエポキシドの反応生成物、およびエポキシシランと第二級アミンとの反応生成物が含まれる。
【0055】
本願の組成物に使用されるシリコンポリマーまたはオルガノポリシロキサンは、非反応性のオルガノポリシロキサン、すなわち、反応性の官能基を含まないポリシロキサンであっても良い。その他の態様において、オルガノポリシロキサンは、反応性の官能基を含む反応性のオルガノポリシロキサンであり、ポリマー鎖上、好ましくはその末端部分に、二つの反応性官能基を含むことが好ましく、言い換えれば、好ましくは反応性官能基が末端基である。本願発明において有用なオルガノポリシロキサンには、縮合性官能基、これは水酸基、またはシリコン結合したアルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシモ基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基、アルケノキシ基などの加水分解性基であってもよい、を含有するものが含まれるものの、これらに限定されるものではない。反応性官能基は、水酸基、アルコキシ基、シリコンアルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシモ基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基、アルケノキシ基、アルケニル基またはエノキシ基、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。反応性官能基は末端基、ペンダント基、あるいはこれらの組み合わせである。ある種の態様において、本願発明で使用されるオルガノポリシロキサンは、好ましくは20,000〜100,000グラム/モルの範囲内の分子量を有している。
【0056】
ある態様において、反応性オルガノポリシロキサンポリマーは次の式である。
【0057】
【化1】

【0058】
式中、RおよびRは、それぞれ独立して、1〜8個の炭素原子、望ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、メチル基が好ましく、あるいは6〜10個の炭素原子を有する芳香族基または置換型芳香族基であり、フェニル基が好ましく、「n」は、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が約10,000〜約200,000、望ましくは約20,000〜100,000グラム/モルとなるような値である。上記ポリマーは、先に記載したように、二つまたはそれ以上の反応性官能基(X)をもその中に含むものである。この官能基は、それぞれ独立して、OHまたはOR、またはN(R、エノキシ基、アシルオキシ基、オキシモ基、あるいはアミノキシ基であり、ただし、これらの官能基は、いずれかの置換可能な部位において置換されていても構わない。例えば、
【0059】
【化2】

【0060】
式中、RおよびR14は、それぞれ独立して約1〜8個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基である。
【0061】
ある態様において、本願のポリマー組成物の反応性オルガノポリシロキサンは、次のように表現されることができる。
【0062】
【化3】

【0063】
一種またはそれ以上のR基は、それぞれ独立して、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、あるいは6〜20個の炭素原子を有する芳香族またはアルキル−芳香族基であり、一種またはそれ以上の官能基、例えば、アミン基、水酸基、アルケン基、アルコキシ基などをその中に任意に含んでいる。官能基の量、すなわちmは1,2または3である。
【0064】
反応性官能基(X)は、OH、またはOR’、またはN(R’)、またはエノキシ基、またはアシルオキシ基、またはオキシモ基、またはアミノキシ基、またはアミド基であり、ただし、反応性官能基は、置換可能なCまたはNのいずれかにおいて、置換基R’を有していてもよく、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、芳香族基、6〜20個の炭素原子を有するアルキル−芳香族基からなる群より選択され、ただし、R’上には、例えばアミン基、水酸基などのひとつまたはそれ以上の官能基を任意に含んでいても構わない。有機ポリシロキサン流体はさらに、二種またはそれ以上の異なるポリシロキサンおよび/または異なる分子量を有するオルガノポリシロキサンを含むことが可能である。一般的に、ポリシロキサンは、粘性の液体であり、ワッカー・コーポレーション社、ゼネラル・エレクトリック社、ダウ・コーニング社およびローヌ・プーラン社などの、様々なシリコン製造業者から購入可能である。
【0065】
他の態様において、本願のポリマー組成物は、非反応性オルガノポリシロキサン、すなわち官能基を持たないオルガノポリシロキサンである。非反応性オルガノポリシロキサンは次のように表してもよい。
【0066】
【化4】

【0067】
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、1〜8個の炭素原子、望ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、メチル基が好ましく、あるいは6〜10個の炭素原子を有する芳香族基または置換型芳香族基であり、フェニル基が好ましく、「n」は、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が約100〜約100,000、望ましくは約3,000〜50,000グラム/モルとなるような値である。
【0068】
任意成分
本願システムのB部は、任意で可塑剤を含有するが、これはB部の粘度の調節または低減に使用しても良い。B部に含まれる適した可塑剤の例には、フタル酸エステル、安息香酸エステルおよびミネラルオイルが含まれるが、これらに限定されるものではない。B部は酸化カルシウム、炭酸カルシウム、シリカフューム、粘土、タルクなどの充填剤をも含むものであっても良い。このような充填剤は、B部の粘度、レオロジーを調整し、あるいはコストを削減するために加えられるものであってもよい。B部は、一種またはそれ以上の水分スカベンジャーおよび紫外線安定化剤を任意に含んでいる。
【0069】
溶剤
ある種の態様において、本願発明のB部は、溶剤を含んでおらず、すなわちポリマー組成物は無溶剤である。他の態様においては、溶剤を含んでおり、これはポリウレタンポリマーの可溶化のために使用されるものであってもよい。本願のシステムで使用される好適な溶剤には、ミネラルスピリット、キシレンおよびトルエンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
ポリウレタンアスファルトコーティングの調製
所望とされるコーティングのタイプにより、本願発明の水性アスファルト含有コーティング組成物を提供するために、様々な割合のA部とB部とが混合され得る。ある態様においては、B部に対するA部の割合は17:1〜3:1重量部の範囲となる。選択される割合は、アスファルトエマルジョンの固体含量、天然ゴム、スチレンブタジエン、アクリルまたはPVAエマルジョンあるいはこれらの組み合わせなどの、アスファルトエマルジョン中の添加成分が存在するか否かに依存、あるいは少なくとも部分的に依存する。A部は室温下でB部と混合されて、得られるエマルジョンまたは混合物は、ひとつまたはそれ以上の支持基板の水平または垂直表面に塗布される。その後、得られるエマルジョンまたは混合物は、室温状態の下で硬化または乾燥される。このような状態として50°Fまたはそれ未満の温度が含まれる場合、塗布をおこなう前に、得られるエマルジョンまたは混合物に対して硬化触媒を加えることが望ましい。好適な硬化触媒の例には、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートおよびジブチル錫ビス(アセチルアセトネート)が含まれる。触媒は、A部すなわちアスファルトエマルジョンに予め添加してもよい。
【0071】
本願の方法は、多成分系組成物のいずれかの部分を加熱することを必要としないため、ポリウレタンアスファルトコーティングの製造にみられた、従来の方法の欠点のいくつかを克服している。
【0072】
コーティングの特性
本願の方法に従って製造されるコーティングは、支持基板に対してA部のみを塗布した結果であるコーティングに比べて、耐流出性が増加している。加えて、本願の方法により製造されるコーティングは、支持基板に対してA部のみを塗布した結果であるコーティングに比べて、より迅速に硬化する。したがって、ある態様において、本願の方法は、支持基板に対してA部のみを塗布した結果である単層コーティングに比べて、より厚みのある単層コーティングを作製するために使用することが可能である。
[実施例]
【0073】
以下の実施例は、説明を目的としているだけであり、本明細書に添付の特許請求の範囲(クレーム)の権利範囲を限定することを意図するものではない。ここで引用される参照文献は、具体的にはその全文が本明細書に援用される。
[材料]
【0074】
A部:アスファルトエマルジョン
アスファルトエマルジョン(固形分〜50%)またはSBR−アスファルトエマルジョン(固形分〜60%)のようなポリマー修飾化アスファルトエマルジョン、天然ゴム−アスファルトエマルジョン、あるいはアクリル−アスファルトエマルジョンは、商業的に入手可能であり、以下に記述する本願のシステムに使用することが可能である。
【0075】
B部:液体ポリマー
B部、すなわち液体ポリマーシステムは、異種のポリウレタン、アクリル、クラトン、スチレンブタジエン、シリコンポリマーまたはこれらのいずれかの組み合わせを含むものであっても良い。
【0076】
以下の実施例1〜4において、ポリウレタンポリマー組成物は、錫触媒の存在下でポリオールとMDIを反応させて、NCOの百分率(%)を2.6に到達させ、コーンプレート(円錐平板)粘度計を用いた20rpmにおけるスピンドル52による粘度を、25℃において14,000cpsに到達させることにより作製された。
【実施例1】
【0077】
この実施例では、B部であるポリウレタンポリマー1パーツを、A部であるゴム入りアスファルトエマルジョン10パーツと混合し、125mmのコーティングとなる混合物を基材に塗布した。以下の表1aおよび1bに、その量を列挙する。
【0078】
【表1a】

【0079】
【表1b】

【0080】
次の二つの方法、つまり耐流出性および24時間の硬化度について、AおよびB部の混合物をA部と比較した。その結果を以下の表1cに列挙する。
【0081】
【表1c】

【実施例2】
【0082】
この実施例では、B部であるポリウレタンポリマー1パーツを、A部であるゴム入りアスファルトエマルジョン6パーツと混合し、125mmのコーティングとなる混合物を基材に塗布した。以下の表2aおよび2bに、その量を列挙する。
【0083】
【表2a】

【0084】
【表2b】

【0085】
次の二つの方法、つまり耐流出性および24時間の硬化度について、AおよびB部の混合物をA部と比較した。その結果を以下の表2cに列挙する。
【0086】
【表2c】

【実施例3】
【0087】
この実施例では、B部であるポリウレタンポリマー1パーツを、A部であるゴム入りアスファルトエマルジョン7パーツと混合し、125mmのコーティングとなる混合物を基材に塗布した。以下の表3aおよび3bに、その量を列挙する。
【0088】
【表3a】

【0089】
【表3b】

【0090】
次の二つの方法、つまり耐流出性および24時間の硬化度について、AおよびB部の混合物をA部と比較した。その結果を以下の表3cに列挙する。
【0091】
【表3c】

【実施例4】
【0092】
この実施例では、B部であるポリウレタンポリマー1パーツを、A部であるゴム入りアスファルトエマルジョン7パーツと混合し、125mmのコーティングとなる混合物を基材に塗布した。以下の表4aおよび4bに、その量を列挙する。
【0093】
【表4a】

【0094】
【表4b】

【0095】
次の二つの方法、つまり耐流出性および24時間の硬化度について、AおよびB部の混合物をA部と比較した。その結果を以下の表4cに列挙する。
【0096】
【表4c】

【実施例5】
【0097】
この実施例では、B部であるシリコンポリマー1パーツを、A部であるゴム入りアスファルトエマルジョン6パーツと混合し、125mmのコーティングとなる混合物を基材に塗布した。以下の表5aおよび5bに、その量を列挙する。
【0098】
【表5a】

【0099】
【表5b】

【0100】
次の二つの方法、つまり耐流出性および24時間の硬化度について、AおよびB部の混合物をA部と比較した。その結果を以下の表5cに列挙する。
【0101】
【表5c】

【実施例6】
【0102】
この実施例では、B部であるアクリルポリマー1パーツを、A部であるゴム入りアスファルトエマルジョン6パーツと混合し、125mmのコーティングとなる混合物を基材に塗布した。以下の表6aおよび6bに、その量を列挙する。
【0103】
【表6a】

【0104】
【表6b】

【0105】
次の二つの方法、つまり耐流出性および24時間の硬化度について、AおよびB部の混合物をA部と比較した。その結果を以下の表6cに列挙する。
【0106】
【表6c】

【実施例7】
【0107】
この実施例では、B部であるSEBSブロック化コポリマー1パーツを、A部であるゴム入りアスファルトエマルジョン6パーツと混合し、125mmのコーティングとなる混合物を基材に塗布した。以下の表7aおよび7bに、その量を列挙する。
【0108】
【表7a】

【0109】
【表7b】

【0110】
次の二つの方法、つまり耐流出性および24時間の硬化度について、AおよびB部の混合物をA部と比較した。その結果を以下の表7cに列挙する。
【0111】
【表7c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その場でコーティング組成物を調製するための多成分系組成物であって、
a)アスファルト、水および分散系を含むエマルジョン、ならびに
b)水を含まない液体ポリマー組成物
を含有し、アスファルトエマルジョンおよび液体ポリマー組成物が3:1またはこれを超える割合で存在するものである、多成分系組成物。
【請求項2】
アスファルトエマルジョンおよび液体ポリマー組成物が17:1〜3:1の割合でシステム中に存在するものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項3】
アスファルトエマルジョンが、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂およびポリビニル酢酸、あるいはこれらの組み合わせのうち、一種またはそれ以上のエマルジョンを含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項4】
アスファルトエマルジョンの固形含有量が35〜65重量%である、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項5】
液体ポリマーが、ポリウレタン、アクリルポリマー、スチレンブタジエン、スチレン含有ブロックポリマー、シリコンポリマー、またはこれらの組み合わせの一種またはそれ以上から選択されるものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項6】
液体ポリマーが、溶剤を含まないものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項7】
液体ポリマー組成物が、溶剤を含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項8】
液体ポリマー組成物が、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、可塑剤、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項9】
液体ポリマー組成物が、ポリウレタンを含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項10】
液体ポリマー組成物が、アクリルポリマーを含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項11】
液体ポリマー組成物が、シリコンポリマーを含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項12】
液体ポリマー組成物が、スチレンブロックポリマーを含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項13】
液体ポリマー組成物が、スチレンブタジエンを含むものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項14】
さらに触媒を含むものであって、前記触媒は別個のものであるか、あるいはアスファルトエマルジョン中に含まれるものである、請求項1に記載の多成分系組成物。
【請求項15】
基材をコーティングする方法であって、
a)アスファルト、水および分散系を含むエマルジョンを液体ポリマー組成物と組み合わせることによりコーティング組成物が調製され、前記液体ポリマー組成物は水を含まず、ポリウレタン、アクリルポリマー、スチレンブタジエン、シリコンポリマー、スチレン含有ブロックポリマー、あるいは前記ポリマーの組み合わせを含み、
アスファルトエマルジョンと液体ポリマー組成物は、3:1またはそれを超える割合で組み合わされる、
その場でコーティング組成物を調製する工程と、
b)コーティング組成物を基材に塗布する工程と、
を含む、基材をコーティングする方法。
【請求項16】
前記方法は、コーティング組成物を加熱せずに行なう請求項15に記載の方法。
【請求項17】
コーティング組成物のひとつまたはそれ以上の層が基材に塗布され、少なくとも一つの前記ひとつまたはそれ以上の層が250ミリメートルまたはそれ以上の厚さである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
硬化触媒が、コーティング組成物を基材に塗布する前にコーティング組成物に組み込まれているものである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
硬化触媒が、錫触媒である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
アスファルトエマルジョンの、液体ポリマー組成物に対する割合が、17:1〜3:1の範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
アスファルトエマルジョンを含むコーティングの完全硬化率を増加させる方法であって、
(a)アスファルト、水および分散系を含むアスファルトエマルジョンを提供する工程と、
(b)アスファルトエマルジョンと液体ポリマー組成物との割合が、3:1またはこれを超えるように、工程aのアスファルトエマルジョンを、水を含まない液体ポリマー組成物と組み合わせてコーティング組成物を提供する工程と、
(c)工程bのコーティング組成物を基材に塗布する工程と、
を含み、
工程bのコーティング組成物から作製されるコーティングの完全硬化率は、アスファルトエマルジョンのみから作製されるコーティングの完全硬化率に比べて迅速である方法。
【請求項22】
250ミリメートルまたはこれを超える厚さを有する、耐候性の単層コーティングを調製する方法であって、
a)水、アスファルトおよび分散系を含むアスファルトエマルジョンと、水を含まないが、ポリウレタン、アクリルポリマー、スチレンブタジエン、シリコンポリマー、スチレンブロックポリマーまたは前記ポリマーの組み合わせを含む、非エマルジョンである液体ポリマー組成物とを、アスファルトエマルジョンと、非エマルジョンであるポリウレタンポリマー組成物との割合を17:1〜3:1として、その場で組み合わせてコーティング組成物を得る工程と、
b)コーティング組成物の、250ミリメートルまたはこれを超える厚さを有する少なくともひとつの層を基材に塗布する工程とを含む方法。

【公表番号】特表2008−513580(P2008−513580A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532502(P2007−532502)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/033175
【国際公開番号】WO2006/034037
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(592119188)トレムコ インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】