説明

水性マニキュア液用ニトロセルロース系バインダー

本発明は、ニトロセルロースを含有するポリウレタンポリウレア分散体に基づくマニキュア液用の新規な水性結合剤系に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロセルロース−ポリウレタンポリウレア粒子を含んでなる分散体に基づく、マニキュア液用の新規な水性バインダー系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年用いられているマニキュア液は、溶媒性で、物理的乾燥性のバインダーに基づいて、ほぼ専ら製造されている。特にニトロセルロースは、主に溶媒性バインダーにおける主成分として用いられている。
【0003】
化粧品分野における揮発性有機溶媒の減少についての新たな議論の観点から、従来のマニキュア液における溶媒分を全く完全に排除しないとしても、その濃度を減少させることに非常に関心がある。
【0004】
ニトロセルロースそのものは実質的に水に不溶性である。例えば親水性の側基を導入することによるなど、ポリマー骨格を変性することによってのみ、水中での溶解性が生じ得る。しかしながら、ポリマー骨格を変更することはまた、以前はマニキュア液分野での適用について積極的であったニトロセルロースの特性、例えば高い光沢度などへ悪影響を及ぼす。
【0005】
このため、水中における溶解性ならびに他の必要な特性、例えばフィルム形成、機械的特性などを呈す異なったポリマー系への転換が試みられてきた。
【0006】
そこで欧州特許出願公開第0391322号には、バインダーとしてポリウレタンおよび/またはポリウレタンアクリレートコポリマー水溶液に基づく水性マニキュア液が記載されている。国際公開第2003/039445号には、さらに、有機溶媒が存在しないかまたはその量が少ないマニキュア液を製造するためのポリウレタン水性分散体の使用が教示されている。米国特許第6391964号にも、水性マニキュア液を製造するための、水ベースのポリウレタン樹脂と組み合わせた水ベースのアクリレートポリマーエマルションの使用が記載されている。さらに、例えば、米国特許第5955063号には水ベースのマニキュア液を製造するためのアクリレート水性バインダーが記載されている。
【0007】
しかしながら、これらの水性バインダーに関連する大きな欠点は、重要な特性、例えば光沢度、硬度および乾燥時間などが実施の要件を充足しないことである。
【0008】
さらに、米国特許第5637292号には、マニキュア液の製剤後にUV光によって反応し、その結果、非常に急速な乾燥性/硬化性を示す、少量のアクリレートモノマーを有する水性アクリレートポリマーの使用が記載されている。しかしながら、これらの系での欠点は、衛生用途の観点から好ましくないものとして分類されなければならないアクリレートモノマーの存在である。さらに、UV光の影響は、組織の損傷を引き起こし得るため、避けられるべきである。
【0009】
国際公開第1999/055290号には、さらに、有機溶媒および/または可塑剤を用いてはいるが、ニトロセルロースと組み合わせたフィルム形成性ポリウレタンポリマーの使用が記載されている。その一方、水性系は記載されていない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0391322号明細書
【特許文献2】国際公開第2003/039445号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6391964号明細書
【特許文献4】米国特許第5955063号明細書
【特許文献5】米国特許第5637292号明細書
【特許文献6】国際公開第1999/055290号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、最大で5重量%未満の有機溶媒含有量を有し、先行技術の水性系の欠点を有さない、マニキュア液を製造するための新規な水性バインダーを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は、ニトロセルロース−ポリウレタン−ポリウレア粒子を含む特定の分散体の使用によって達成され得ることを見出した。
【0012】
従って、本発明は、レーザー相関分光法(Zetasizer 1000、Malvern Instruments、マルバーン、英国)を用いて測定した20〜700nmの平均粒度を有する水性分散体(I)の形態でポリウレタンニトロセルロース粒子を少なくとも含む水性マニキュア液を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の水性マニキュア液は、全調製物を基準として5重量%未満、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下の有機溶媒および/または可塑剤を含有する。
【0014】
可塑剤とは、フタレート、ヒマシ油、クエン酸アセチルトリブチルまたはアルキル化ホスフェートのような化合物を意味する。
【0015】
基礎となす分散体(I)は、
A)A1)有機ポリイソシアネート、
A2)400〜8000g/mol、好ましくは400〜6000g/mol、より好ましくは600〜3000g/molの数平均分子量、および1.5〜6、好ましくは1.8〜3、より好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有するポリマーポリオール、
A3)分子量62〜399g/molを有するヒドロキシ官能性化合物、および
A4)イソシアネート反応性の、アニオン性または潜在的アニオン性および必要に応じて非イオン性親水性化剤
からイソシアネート官能性プレポリマーを調製すること、
B)次いで、有機溶媒の添加前、添加中または添加後に、その遊離NCO基の一部または全部を、
B1)分子量32〜399g/molを有するアミノ官能性化合物、および/または
B2)アミノ官能性の、アニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤
と、鎖延長を伴って反応させること、
C)工程B)前、中または後に、水中にプレポリマーを分散し、存在する任意の潜在的イオン性基を中和剤と完全にまたは部分的に反応させることによってイオン性形態に変換すること、
D)工程A)後、ただし工程C)前に、有機溶媒または溶媒混合物溶液の形態でニトロセルロースを添加すること、および
E)存在する有機溶媒を蒸留的に除去すること
によって得られる。
【0016】
本発明に必要な分散体を調製するための好適な有機溶媒は、脂肪族ケトンであり、より好ましくはアセトンまたは2−ブタノンである。
【0017】
成分A1)の適当なポリイソシアネートは、当業者にそれ自体既知の、2以上のNCO官能価を有する芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式ポリイソシアネートである。
【0018】
適当なこれらのポリイソシアネートの例は、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の所望の異性体含量を有するこれらの混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,2’−および/または2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−ビス(2−イソシアナトプロパ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、(S)−アルキル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、8個までの炭素原子を有する分枝、環式または非環式アルキル基を有する(L)−アルキル2,6−ジイソシアナトヘキサノエートである。
【0019】
上記のポリイソシアネートの他に、さらに、比例的に、ウレットジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する変性ジイソシアネート、ならびに1分子あたり2より多いNCO基を有する非変性ポリイソシアネート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)またはトリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートを用いることも可能である。
【0020】
当該ポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物は、好ましくは、もっぱら脂肪族的におよび/または脂環式的に結合したイソシアネート基を有し、および混合物の平均NCO官能価2〜4、好ましくは2〜2.6、より好ましくは2〜2.4を有する上記の種類のものである。
【0021】
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、異性体ビス−(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの混合物をA1)において用いることは、特に好適である。
【0022】
A2)において、400〜8000g/mol、好ましくは400〜6000g/mol、より好ましくは600〜3000g/molの数平均分子量Mを有するポリマーポリオールを用いる。これらのポリオールは、好ましくは1.5〜6、より好ましくは1.8〜3、非常に好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有する。
【0023】
この種のポリマーポリオールは、ポリウレタンコーティング技術の従来のポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオールおよびフェノール/ホルムアルデヒド樹脂である。これらを、個々にまたは互いに任意の所望の混合物の状態でA2)において用いてよい。
【0024】
この種のポリエステルポリオールは、ジ−ならびに必要に応じてトリ−およびテトラオールと、ジ−ならびに必要に応じてトリ−およびテトラカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンの従来の重縮合物である。ポリエステルを調製するために、遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステルを用いることも可能である。
【0025】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールなど、および1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールまたはヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールであり、好ましくはヘキサン−1,6−ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールおよびヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールである。さらに、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートのようなポリオールを用いることも可能である。
【0026】
使用し得るジカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸および/または2,2−ジメチルコハク酸が挙げられる。用いる酸源は対応する無水物であってもよい。
【0027】
エステル化する該ポリオールの平均官能価が2より大きい場合、さらに、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸などを用いることも可能である。
【0028】
好適な酸は、上記の種類の脂肪族酸または芳香族酸である。アジピン酸、イソフタル酸および必要に応じてトリメリット酸は、特に好適である。
【0029】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールを製造する際、さらに反応体として用い得るヒドロキシカルボン酸は、例えばヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などである。適当なラクトンは、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体である。カプロラクトンは好適である。
【0030】
A2)において、数平均分子量M400〜8000g/mol、好ましくは600〜3000g/molを有する、ヒドロキシル含有ポリカーボネート(好ましくはヒドロキシル含有ポリカーボネートジオール)を使用することも可能である。これらのポリカーボネートは、カルボン酸誘導体、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンなどをポリオール(好ましくはジオール)と反応させることによって得られる。
【0031】
このようなジオールの例は、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAおよび上記の種類のラクトン変性ジオールである。
【0032】
好適には、ジオール成分は、40重量%〜100重量%のヘキサンジオール(好ましくは1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体)を含有する。この種のヘキサンジオール誘導体は、ヘキサンジオールに基づき、末端OH基に加えてエステル基またはエーテル基を含有する。この種の誘導体は、ヘキサンジオールを過剰のカプロラクトンと反応させることによって、またはヘキサンジオールをそれ自体でエーテル化して、ジ−またはトリヘキシレングリコールを得ることによって得られる。
【0033】
普通のポリカーボネートジオールの代わりに、またはそれに加えて、A2)においてポリエーテルポリカーボネートジオールを用いることも可能である。
【0034】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートは好ましくは直鎖構造のものであるが、これは容易に多官能性成分、特に低分子量ポリオールの組み入れによって得ることもできる。この目的に適したものの例として、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、ブタン−1,2,4−トリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドまたは1,3,4,6−へキシトールジ無水物が挙げられる。
【0035】
A2)においてポリエーテルポリオールを用いることも可能である。例えば、カチオン性開環によるテトラヒドロフランの重合によって得られる種類の、ポリウレタン化学においてそれ自体既知のポリテトラメチレングリコールポリエーテルは適当である。
【0036】
同様に適当なポリエーテルポリオールは、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンの、二官能性または多官能性出発分子への従来の付加物である。
【0037】
使用し得る適当な出発分子は、例えば水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,4−ブタンジオールなどの、先行技術から既知の全ての化合物である。
【0038】
ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリエーテルおよび/またはポリカーボネートポリオールをA2)として用いることは好ましい。
【0039】
A3)において、分子量62〜399g/molを有し、20個までの炭素原子を有するポリオールを用いることが可能である。これらは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトールならびに任意の所望のこれらの互いの混合物である。
【0040】
上記の分子量範囲のエステルジオール、例えばε−ヒドロキシ−カプロン酸α−ヒドロキシブチルエステル、γ−ヒドロキシ酪酸ω−ヒドロキシヘキシルエステル、アジピン酸(β−ヒドロキシエチル)エステルまたはテレフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)エステルなども適当である。
【0041】
さらに、A3)において、単官能性イソシアネート反応性ヒドロキシル含有化合物も用いることが可能である。このような単官能性化合物の例は、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノールである。
【0042】
成分A4)のアニオン的にまたは潜在的にアニオン的に親水性化する化合物とは、少なくとも1つのイソシアネート反応性ヒドロキシル基ならびに少なくとも1つの官能基、例えば−COOY、−SOY、−PO(OY)(式中、Yは、例えば、H、NH、金属カチオンである)などを有する全ての化合物を意味し、これらは、水性媒体との相互作用に際して、pH依存性解離平衡状態になり、これにより負電荷または中性電荷を有し得る。適当なアニオン的にまたは潜在的にアニオン的に親水性化する化合物は、モノ−およびジヒドロキシカルボン酸、モノ−およびジヒドロキシスルホン酸、ならびにモノ−およびジヒドロキシホスホン酸およびこれらの塩である。このようなアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤の例は、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、および重亜硫酸ナトリウムのブタ−2−エン−1,4−ジオールへの付加物、ポリエーテルスルホネートおよび独国特許出願公開第2446440号、第5〜9頁、式I〜IIIに記載されている2−ブテンジオールとNaHSOのプロポキシル化付加物である。好適な成分A4)のアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤は、カルボキシル基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基を有する上記の種類のものである。
【0043】
特に好適なアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤は、イオン性または潜在的イオン性基としてカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有するもの、例えばジメチロールプロピオン酸またはジメチロール酪酸の塩などである。
【0044】
成分A4)の適当な非イオン的に親水性化する化合物は、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。
【0045】
その例は、(例えばUllmanns Encyclopaedie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、ワインハイム、第31〜38頁における)適当な出発分子をアルコキシル化することによる従来の方法において得られる種類の、1分子当たり平均5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有する一価官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0046】
これらは、存在する全アルキレンオキシド単位を基準として、少なくとも30mol%、好ましくは少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位を含有する普通のポリエチレンオキシドエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドエーテルのいずれかである。
【0047】
特に好適な非イオン性化合物は、エチレンオキシド単位40〜100mol%およびプロピレンオキシド単位0〜60mol%を含有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0048】
このような非イオン性親水性化剤用の適当な出発分子は、飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコールなど、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルなど、不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコールなど、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノールなど、芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニスアルコールまたは桂皮アルコールなど、第2級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチル−およびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミンなど、ならびにヘテロ環式第2級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾールなどである。好適な出発分子は、上記の種類の飽和モノアルコールである。出発分子として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn−ブタノールを用いることは特に好適である。
【0049】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応のために任意の順序で、あるいは混合物の状態で用いてよい。
【0050】
成分B1)として、ジアミンまたはポリアミン、例えば1,2−エチレンジアミン、1,2−および1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−および1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および−1,4−キシリレンジアミンおよび4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび/またはジメチルエチレンジアミンなどを用いることが可能である。ヒドラジンまたはヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジドなどを用いることも可能である。
【0051】
成分B1)として、さらに、第1級アミノ基に加えて第2級アミノ基を含有する化合物、またはアミノ基(第1級または第2級)に加えてOH基も含有する化合物を用いることも可能である。この例は、第1級/第2級アミン、例えばジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタンなど、アルカノールアミン、例えばN−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミンなどである。
【0052】
成分B1)として、さらに、単官能性イソシアネート反応性アミン化合物、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、および/またはこれらの適当な置換誘導体、ジ第1級アミンおよびモノカルボン酸から生じるアミドアミン、ジ第1級アミンのモノケチム、第1級/第3級アミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンなどを用いることも可能である。
【0053】
成分B2)のアニオン的にまたは潜在的にアニオン的に親水性化する化合物とは、少なくとも1つのイソシアネート反応性アミノ基ならびに少なくとも1つの官能基、例えば−COOY、−SOY、−PO(OY)(式中、Yは、例えば、H、NH、金属カチオンである)などを有する全ての化合物を意味し、これらは、水性媒体との相互作用に際して、pH依存性解離平衡状態になり、これにより負電荷または中性電荷を有し得る。
【0054】
適当なアニオン的にまたは潜在的にアニオン的に親水性化する化合物は、モノ−およびジアミノカルボン酸、モノ−およびジアミノスルホン酸およびモノ−およびジアミノホスホン酸およびこれらの塩である。このようなアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤の例は、N−(2−アミノエチル)−β−アラニン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミン−プロピル−または−ブチルスルホン酸、1,2−または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5−ジアミノ安息香酸およびIPDIとアクリル酸の付加物(欧州特許出願公開第0916647号、実施例1)である。さらに、アニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤として国際公開第01/88006号に由来するシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)を用いることが可能である。
【0055】
成分B2)の好適なアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤は、カルボキシル基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基を有する上記の種類のものである。
【0056】
特に好適なアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤B2)は、イオン性基または潜在的イオン性基としてカルボキシレート基および/またはスルホネート基を含有するもの、例えばN−(2−アミノエチル)−β−アラニンの塩、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩またはIPDIとアクリル酸の付加物(欧州特許出願公開第0916647号、実施例1)の塩などである。
【0057】
アミン性成分B1)、B2)を、必要に応じて、本発明の工程において水希釈または溶媒希釈形態で、個々にまたは混合物の状態で、原理上可能な任意の添加順序で、用いてよい。
【0058】
水または有機溶媒が希釈剤としての使用のために含まれる場合、B)において用いる鎖延長性成分中での希釈剤含有量は、好ましくは70重量%〜95重量%である。
【0059】
成分A1)由来の化合物のNCO基と、NCO反応性基、例えばNCO官能性プレポリマーを調製する際の成分A2)〜A4)の化合物のアミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基などの比率は、1.05〜3.5、好ましくは1.2〜3.0、より好ましくは1.3〜2.5である。
【0060】
段階B)におけるアミノ官能性化合物を、これらの化合物のイソシアネート反応性アミノ基とプレポリマーの遊離イソシアネート基の当量比が40%〜150%、好ましくは50%〜125%の間、より好ましくは60%〜120%の間であるような量で用いる。
【0061】
ある好適な実施態様においては、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)を以下の量で使用し、それぞれの量はいずれの場合にも100重量%まで添加する:
成分A1)5重量%〜40重量%、
成分A2)55重量%〜90重量%、
成分A3)およびB1)0.5重量%〜20重量%、および
成分A4)およびB2)0.1重量%〜25重量%、ここで、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の全量を基準として0.1重量%〜5重量%のアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤A4)およびB2)を用いる。
【0062】
ある特に好適な実施態様においては、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)を以下の量で使用し、それぞれの量はいずれの場合にも100重量%まで添加する:
成分A1)5重量%〜35重量%、
成分A2)60重量%〜90重量%、
成分A3)およびB1)0.5重量%〜15重量%、および
成分A4)およびB2)0.1重量%〜15重量%、ここで、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の全量を基準として0.2重量%〜4重量%のアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤A4)およびB2)を用いる。
【0063】
ある非常に特に好適な実施態様においては、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)を以下の量で使用し、それぞれの量はいずれの場合にも100重量%まで添加する:
成分A1)10重量%〜30重量%、
成分A2)65重量%〜85重量%、
成分A3)およびB1)0.5重量%〜14重量%、および
成分A4)およびB2)0.1重量%〜13.5重量%、ここで、成分A1)〜A4)の全量を基準として0.5重量%〜3.0重量%のアニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤を用いる。
【0064】
潜在的アニオン性基をアニオン性基へ完全にまたは部分的に変換するための中和工程C)においては、第三級アミン、例えば各アルキル基中に1〜12個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するトリアルキルアミンのような塩基、または相当する水酸化物のようなアルカリ金属塩基を用いる。
【0065】
これらの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルホリン、メチルジイソプロピルアミン、エチルジイソ−プロピルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンである。該アルキル基は、例えば、ジアルキルモノアルカノールアミン、アルキルジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンの場合のように、ヒドロキシル基も有し得る。使用し得る中和剤には、必要に応じて、無機塩基、例えばアンモニア水溶液または水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなども含まれる。
【0066】
アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたはジイソプロピルエチルアミン、および水酸化ナトリウムは好適である。
【0067】
塩基のモル量は、一般には、中和する酸基のモル量の50mol%と125mol%の間、好ましくは70mol%と100mol%の間である。中和は、中和剤を予め含有する分散水を用いて、分散と同時に行うこともできる。
【0068】
工程C)に従って水中での分散を好適に鎖延長に続いて行う。
【0069】
水中で分散するために、溶解したおよび鎖延長したポリウレタンポリマーを、適切な場合には強い剪断力、例えば強攪拌などを用いて分散水中に導入するか、または、反対に、分散水を、鎖延長したポリウレタンポリマー溶液中に攪拌導入する。好適には、溶解し、鎖延長したポリウレタンプレポリマーに水を添加する。
【0070】
段階D)における適当なニトロセルロースは、任意の窒素含有量または粘度水準での水不溶性のニトロセルロースである。例えば、典型的なコロジオン品位を特徴とするニトロセルロース(用語「コロジオン」についてRompp’s Chemielexikon、Thieme Verlag、シュツットガルトを参照されたい)、すなわちニトロセルロース乾物を基準として窒素含有量10重量%〜12.8重量%、好ましくは窒素分率10.7重量%〜12.3重量%を有するセルロース硝酸エステルは特に適当である。
【0071】
特に好ましくは10.7重量%〜12.6重量%、非常に好ましくは10.7重量%〜12.3重量%の窒素含有量を有するセルロース硝酸エステルである。この種のセルロース硝酸エステルの例は、窒素含有量10.7重量%〜11.3重量%を有するWalsroder(登録商標)ニトロセルロース A製品(Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、ボムリッツ、独国)、窒素含有量11.3重量%〜11.8重量%を有するWalsroder(登録商標)ニトロセルロース AM製品(Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、ボムリッツ、独国)、または窒素含有量11.8重量%〜12.3重量%を有するWalsroder(登録商標)ニトロセルロース E製品(Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、ボムリッツ、独国)である。
【0072】
規定の窒素含有量の上記のセルロース硝酸エステルの中では、全粘度水準はいずれの場合にも適当である。異なった窒素含有量を有する低粘性セルロース硝酸エステルは、ISO14446に従う次の群に分類される:≧30A、≧30M、≧30E。異なった窒素含有量を有する中粘性セルロース硝酸エステルは、ISO14446に従う次の群に分類される:18E〜29E、18M〜29M、18A〜29A。対応して、ISO14446に従う、異なった窒素含有量を有する高粘性セルロース硝酸エステルは、次のものである:≦17E、≦17Mおよび≦17A。
【0073】
上記の適当なセルロース硝酸エステルの異なった型の混合物を用いることも可能である。
【0074】
該ニトロセルロースは一般に安定化形態で市販されている。典型的な安定剤の例は、アルコールまたは水である。安定剤の量は5重量%〜40重量%の間である。本発明の分散体を調製するために、アルコールまたは水で湿らせたニトロセルロースを用いることは好適である。ある特に好適な形態は、(供給形態の全量を基準として)10重量%〜40重量%のイソプロパノールで湿らせたニトロセルロースを用いる。その例として、「Walsroder(登録商標)ニトロセルロース E 560 イソプロパノール30%」および「Walsroder(登録商標)ニトロセルロース A 500 イソプロパノール30%」および「Walsroder(登録商標)ニトロセルロース E 560 水30%」を挙げることができる。
【0075】
該ニトロセルロースを、工程B)後および水に分散するC)前に好ましく添加する。該添加のために、該ニトロセルロースを有機溶媒または溶媒混合物溶液中に、より好ましくは脂肪族ケトン溶液中に、非常に好ましくはアセトン溶液中に添加する。
【0076】
本発明に関するポリウレタン分散体は、好ましくは1重量%〜90重量%、より好ましくは10重量%〜70重量%、非常に好ましくは20重量%〜60重量%のニトロセルロースを含有する。
【0077】
最後に、段階E)において、分散体中に存在する溶媒を蒸留的に除去する。
【0078】
本発明に必要な分散体のpHは、典型的には9.0未満、好ましくは8.5未満、より好ましくは8.0未満である。
【0079】
本発明に必要な混合分散体の固形分は、典型的には20重量%〜65重量%、好ましくは25重量%〜60重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%、非常に好ましくは35重量%〜45重量%である。
【0080】
本発明に必要な分散体中に存在するポリウレタン−ニトロセルロース粒子は、20〜700nm、好ましくは30〜400nmの平均粒度を有する。
【0081】
マニキュア液調製物中において一次および/または二次フィルム形成剤として典型的に働く、本発明に必要な分散体(I)に加えて、本発明のマニキュア液は、当業者に既知の他のフィルム形成性ポリマー(II)(Cosmetics&Toiletries 108、1988年、70−82)、例えばトルエンスルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂などを、一次および二次樹脂系として、さらに用いてよい。
【0082】
さらに、本発明のマニキュア液は、染料、顔料、抗酸化剤、光安定剤、乳化剤、消泡剤、増粘剤、充填剤、流れ調整剤、保存寿命延長剤、湿分供与体、付臭剤、遊離基脱除剤およびチキソトロープ剤のような添加剤(III)を含んでもよい。
【0083】
レオロジー特性を調節するために、添加剤として、例えば、必要に応じて、有機的変性粘土、例えばベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライトおよびスメクタイトなどを用いることが可能である。
【0084】
着色のために、添加剤として、着色顔料および/または真珠光沢顔料および/または当業者にそれ自体既知の染料、例えばスダンレッド、DCレッド17、DCグリーン6、DCイエロー11、DCバイオレット2、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、酸化セリウム、カーボンブラック、酸化チタンでコートされたマイカ、酸化鉄でコートされたマイカなどを用いることが可能である。
【0085】
所望の型の特性および本発明のマニキュア液の目的とする使用に応じて、最終生成物に含まれるこれらの添加剤が全乾物を基準として80重量%まで存在することが可能である。
【0086】
本発明のマニキュア液を、例えば一塗りマニキュア液あるいは多重塗り系として用いてよい。
【0087】
該マニキュア液を、先行技術から既知の方法によって、例えばはけ塗、ロール塗、流し込み、ナイフ塗布または噴霧などによって塗布してよい。
【0088】
本発明は、指の爪および/または足の爪、および指の爪および/または足の爪のイミテーション(模造爪)をいずれもコートするための本発明のマニキュア液の使用をさらに提供する。
【0089】
本発明のマニキュア液の光沢度は、光沢度計(micro−haze plus、BYK Gardner、独国)を用いてDIN 67530に従って角度20度で測定した、50〜100光沢単位、好ましくは60〜100光沢単位、より好ましくは70〜100光沢単位である。
【0090】
本発明のマニキュア液の硬化/乾燥を、好適に室温(23℃)で行うが、より高温またはより低温で行ってもよい。本発明のマニキュア液の指触乾燥状態は、室温で10分以内、好ましくは8分以内、より好ましくは5分以内に達成される。
【0091】
32℃で12時間乾燥後に測定した、本発明のマニキュア液の振子硬度は、50秒以上、好ましくは100秒以上、より好ましくは140秒以上である。
【実施例】
【0092】
実施例
用いた物質と略称:
〔ジアミノスルホネート〕
NH−CHCH−NH−CHCH−SONa(45%水溶液)
〔Desmophen(登録商標)C2200〕
ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国)
【0093】
用いたニトロセルロース生成物は、それぞれ、Wolff Cellulosics GmbH&Co.KG、バルスローデ、独国から入手した。
【0094】
特記のない限り、全てのパーセンテージは重量%である。
【0095】
特記のない限り、全分析的測定は、温度23℃に関連する。
【0096】
固形分をDIN−EN ISO 3251に従って決定した。
【0097】
他に特記のない限り、NCO含有量を容量分析的にDIN−EN ISO 11909に従って決定した。
【0098】
分散体の平均粒度をレーザー相関分光法測定(Zetasizer 1000、Malvern Instruments、マルバーン、英国)により確認した。
【0099】
振子硬度をDIN EN ISO 1522に従ってBYK Gardner GmbH、独国製の「振子硬度試験機」と称される振子硬度測定器で決定した。
【0100】
各マニキュア液を黒色ポリアミドプラスチック基材上に描画し、乾燥させ、光沢度をBYK Gardner GmbH、独国製の「micro−haze plus」光沢度計を用いてDIN 67530に従って決定した。
【0101】
ブラシを用いてヒトの爪へ一塗り塗装した後の室温での乾燥時間の定義を、接触によってマニキュア液の粘着性がもはや確認できなくなった時点により決定した。
【0102】
実施例1
アジピン酸とヘキサンジオールとネオペンチルグリコールに基づく二官能性ポリエステルポリオール199.8g(平均分子量1700g/mol、OH価が約66mgKOH/g固体である)を65℃に加熱した。次いで65℃にてヘキサメチレンジイソシアネート35.3gを5分間にわたり添加し、該混合物を100℃にて理論的NCO値3%に達するまで撹拌した。該完成プレポリマーをアセトン276.0g中に50℃で溶解し、次いでジアミノスルホネート17.3gとエチレンジアミン2.0gと水66.1gの溶液を5分間にわたり計量投入した。続く撹拌時間は15分であった。次いで5分間にわたって、Walsroder(登録商標)ニトロセルロースE560/IPA30%233.2gとアセトン925.1gの溶液を添加した。10分間にわたって水536.6gを添加することによって分散を行った。続く蒸留工程において該溶媒を減圧下に除去して、固形分40.0%および平均粒度261nmを有する貯蔵安定性PU分散体を得た。
【0103】
実施例2
アジピン酸とヘキサンジオールとネオペンチルグリコールに基づく二官能性ポリエステルポリオール(平均分子量1700g/mol、OH価が約66mgKOH/g固体である)199.8gを65℃に加熱した。次いで65℃にてヘキサメチレンジイソシアネート35.3gを5分間にわたり添加し、該混合物を100℃にて理論的NCO値約3%に達するまで撹拌した。該プレポリマーをアセトン276.0g中に50℃にて溶解し、次いでジアミノスルホネート19.9gとエチレンジアミン2.0gと水66.1の溶液を5分間にわたり計量投入した。続く撹拌時間は15分であった。次いで5分間にわたって、Walsroder(登録商標)ニトロセルロースE560/IPA30%234.4gとアセトン925.1gの溶液を添加した。10分間にわたって水538.2gを添加することによって分散を行った。続く蒸留工程において該溶媒を減圧下に除去して、固形分41.9%および平均粒度154nmを有する貯蔵安定性PU分散体を得た。
【0104】
実施例3
184.8gのDesmophen(登録商標)C2200とネオペンチルグリコール2.4gとジメチロールプロピオン酸12.6gを65℃に加熱した。次いで65℃にてビス−(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン61.8gとイソホロンジイソシアネート10.8gを5分間にわたって添加し、該混合物を100℃にて理論的NCO値2.76%に達するまで撹拌した。該完成プレポリマーをトリエチルアミン9.3gとアセトン638.3gを用いて50℃にて溶解し、次いでジエチレントリアミン1.0gとエチレンジアミン0.9gとヒドラジン水和物2.1gと水8.6gの溶液を10分間にわたり計量した。続く撹拌時間は5分であった。次いで5分間にわたって、Walsroder(登録商標)ニトロセルロースE330/IPA30%174.4gとアセトン488.3gの溶液を添加した。15分間にわたり水601.9gを添加することによって分散を行った。続く蒸留工程において該溶媒を減圧下に除去して、固形分39.0%および平均粒度260nmを有する貯蔵安定性PU分散体を得た。
【0105】
実施例4
アジピン酸とヘキサンジオールに基づく二官能性ポリエステルポリオール(平均分子量840g/mol、OH価が約133mgKOH/g固体である)140.0g、トリメチロールプロパン1.9gおよび1,6−ヘキサンジオール14.2gを65℃に加熱した。次いで65℃にてヘキサメチレンジイソシアネート18.1gおよびビス−(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン99.6gならびにアセトン68.4gを5分間にわたり添加し、該混合物を還流条件下に理論的NCO値2.2%に達するまで撹拌した。最後に、さらなるアセトン396.8gを添加した。該溶解プレポリマーを5分間にわたり40℃にて水16.8gにおけるヒドラジン水和物3.9gの溶液と混合し、次いで5分間撹拌した。その後10分間にわたりジアミノスルホネート28.4gと水78.0gの溶液を計量投入した。続く撹拌時間は5分であった。次いで5分間にわたりWalsroder(登録商標)ニトロセルロースE560/30%IPA176.9gとアセトン701.9gの溶液を添加した。10分間にわたって水507.5gを添加することによって分散を行った。続く蒸留工程において該溶媒を減圧下に除去して、固形分39.0%および平均粒度339nmを有する貯蔵安定性PU分散体を得た。
【0106】
実施例5
アジピン酸とヘキサンジオールとネオペンチルグリコールに基づく二官能性ポリエステルポリオール212.5g(平均分子量1700g/mol、OH価が約66mgKOH/g固体である)を65℃に加熱した。次いで65℃にて5分間にわたりヘキサメチレンジイソシアネート37.6gを添加し、該混合物を100℃にて理論的NCO値3%に達するまで撹拌した。該完成プレポリマーをアセトン375gを用いて50℃で溶解し、次いでジアミノスルホネート20.2gとエチレンジアミン2.2gと水90.0gの溶液を5分間にわたり計量投入した。続く撹拌時間は15分であった。次いで5分間にわたって、268.0gのWalsroder(登録商標)ニトロセルロースE560/水30%とアセトン893.4の溶液を添加した。10分間にわたって水458.4gを添加することによって分散を行った。続く蒸留工程において該溶媒を減圧下に除去して、固形分41.0%および平均粒度279nmを有する貯蔵安定性PU分散体を得た。
【0107】
実施例6
実施例1において得られた分散体を、100μmの湿潤フィルム厚さの状態でガラス基材上にフィルム描画枠を用いて描画し、32℃で12時間乾燥させた。得られた本発明のマニキュア液の性能特性を表1に再現する。
【0108】
実施例7
実施例2において得られた分散体を、100μmの湿潤フィルム厚さの状態でガラス基材上にフィルム描画枠を用いて描画し、32℃で12時間乾燥させた。得られた本発明のマニキュア液の性能特性を表1に再現する。
【0109】
実施例8
実施例3において得られた分散体を、100μmの湿潤フィルム厚さの状態でガラス基材上にフィルム描画枠を用いて描画し、32℃で12時間乾燥させた。得られた本発明のマニキュア液の性能特性を表1に再現する。
【0110】
実施例9
実施例6と同一の手順であり、実施例1から得られた分散体に流れ調整助剤として10重量%のブチルグリコール/水混合物(1:1重量分率)を添加する。得られた本発明のマニキュア液の性能特性を表1に再現する。
【0111】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー相関分光法を用いて測定した20〜700nmの平均粒度を有する水性分散体(I)の形態でポリウレタン−ニトロセルロース粒子を少なくとも含む、水性マニキュア液。
【請求項2】
全調製物を基準として5重量%以下の有機溶媒および/または可塑剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の水性マニキュア液。
【請求項3】
前記ポリウレタン−ニトロセルロース粒子がレーザー相関分光法を用いて測定した30〜400nmの平均粒度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の水性マニキュア液。
【請求項4】
前記水性分散体(I)は、
A)A1)有機ポリイソシアネート、
A2)数平均分子量400〜8000g/molおよびOH官能価1.5〜6を有するポリマーポリオール、
A3)分子量62〜399g/molを有するヒドロキシ官能性化合物、および
A4)イソシアネート反応性の、アニオン性または潜在的アニオン性および必要に応じて非イオン性の親水性化剤
からイソシアネート官能性プレポリマーを調製すること、
B)次いで、有機溶媒の添加前、添加中または添加後に、その遊離NCO基の一部または全部を、
B1)分子量32〜399g/molを有するアミノ官能性化合物、および/または
B2)アミノ官能性の、アニオン性または潜在的アニオン性親水性化剤
と、鎖延長を伴って反応させること、
C)工程B)前、工程B)中または工程B)後に、水中に該プレポリマーを分散し、存在する任意の潜在的イオン性基を中和剤と完全にまたは部分的に反応させることによってイオン形態に変換すること、
D)工程A)後、ただし工程C)前に、有機溶媒または溶媒混合物中の溶液形態でニトロセルロースを添加すること、および
E)存在する有機溶媒を蒸留的に除去すること
によって得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水性マニキュア液。
【請求項5】
フィルム形成性ポリマー(II)および/または添加剤(III)がさらに存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の水性マニキュア液。
【請求項6】
存在する添加剤は、染料、顔料、抗酸化剤、光安定剤、乳化剤、消泡剤、増粘剤、充填剤、流れ調整剤、保存寿命延長剤、湿分供与体、付臭剤、遊離基脱除剤および/またはチキソトロープ剤であることを特徴とする、請求項5に記載の水性マニキュア液。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の水性マニキュア液から得られるコーティング。
【請求項8】
DIN 67530に従って角度20度で測定した70〜100光沢単位の光沢度を有することを特徴とする、請求項7に記載のコーティング。
【請求項9】
32℃で12時間乾燥後に測定した50秒以上のケーニッヒ振子硬度を有することを特徴とする、請求項7または8に記載のコーティング。
【請求項10】
請求項7に記載のコーティングで被覆された基材。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の水性マニキュア液を用いて指爪または足爪をコートする方法。

【公表番号】特表2009−532398(P2009−532398A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503457(P2009−503457)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002672
【国際公開番号】WO2007/115675
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】