水性媒体に可溶な65℃以上の沸点を有する燃料を含む燃料電池
【課題】水性媒体中に可溶な65℃以上の沸点を有する燃料を含む燃料電池。
【解決手段】電解質の液体媒体(5)と接触した負極(1)および正極(2)と、負極および正極と電気回路(4)とにそれぞれ接続された電流コレクタ(9)とを収用した液密な容器(A)を備えた燃料電池において、液体媒体が燃料を含む水性媒体であり、この燃料の少なくとも一部が電池の使用温度で水性媒体に可溶であり、燃料の沸点が65℃以上である。
【解決手段】電解質の液体媒体(5)と接触した負極(1)および正極(2)と、負極および正極と電気回路(4)とにそれぞれ接続された電流コレクタ(9)とを収用した液密な容器(A)を備えた燃料電池において、液体媒体が燃料を含む水性媒体であり、この燃料の少なくとも一部が電池の使用温度で水性媒体に可溶であり、燃料の沸点が65℃以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
燃料電池は化学反応のエネルギーを電気に変換するための装置である。バッテリーとは違って、燃料と酸化剤とを電池の外側に貯蔵する。従って、燃料電池は燃料と酸化剤が供給される限りエネルギーを生成できる。燃料電池は、燃料および酸化剤を電解質によって互いに分離され且つ電解質と接触した2つの触媒電極と接触させて配置することで起電力を生じる。電解質は一般に固体ポリマーの形をしていて、気体成分の通過を妨げる役目もする。燃料は負極(anode)と接して配置され、燃料は解離してイオン、一般にはH+またはOH-と電子e-を形成する。この電子e-は電極(負極)の導電構造体中に入り、系の外部電気回路中を流れてエネルギーを生じる。イオンは電解質を通って正極(cathode)へ移動する。この正極には酸化剤が供給され、酸化剤はその表面で一種の酸化物を形成し、電気化学的還元によって上記荷電イオンと反応し、水を形成する。2つの電極を外部電気回路を介する接続することで電気エネルギーが生じる。
【背景技術】
【0002】
燃料電池に関する研究の大部分は水素を燃料として使用するものを対象としている。しかし、水素は貯蔵に関連する複雑な問題のため、効率は悪くても取り扱い易い別の液体燃料を用いる解決策が研究されている。
そのため、研究はメタノールに向かった。メタノールは低〜中温度で動作する燃料電池で使用するのが十分な有利な酸化特性を有する水素を有する稀な試薬の一つである。その結果、直接メタノール燃料電池(DMFC)が開発された。この方法は水素を用いた従来の種々の燃料電池、例えばPEMFC(固体高分子型燃料電池)、MCFC(溶融炭酸塩型燃料電池)またはPAFC(リン酸型燃料電池)とは全く別のものである。SOFC(固体電解質型燃料電池)として知られる燃料電池は液体燃料で機能するということは注意すべきである。
【0003】
直接メタノール燃料電池は高い自律エネルギー源が必要とされる多くの携帯型の用途、例えばラップトップコンピュータ、電話、携帯工具などのエネルギー源である。
直接燃料電池は2つのモードで動作する。酸モードが最も一般的で、反応メカニズムは下記の通りである:
負極:CH3OH+H2O→CO2+6H+6e-、
正極:6e-+6H++3/2O2→3H2O、
すなわち、全体バランスは下記になる:
CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O。
【0004】
アルカリ電池の基本モードでは、反応メカニズムは下記の通りである:
負極:CH3OH+6OH-→CO2+H2O+6e-、
正極:6e-+3H2O+3/2O2→6OH-、
全体バランスは上記と同じである。
この型のアルカリ電池は酸電池と比較して利点と欠点がある。アルカリ電池は効率は悪いが、形式的には水に稀釈したメタノールを用いる必要がないので、酸モード電池よりもはるかに高濃度の燃料電池を使うことができる。
【0005】
しかし、メタノールの大量使用上の大きな欠点はその毒性であるが、現在の電池ではその使用には技術的限界がある。「毒性品(toxic products)」という用語は少量の吸入、摂食または皮膚浸透で個体が死に至るか、急性または慢性の健康障害を引き起こす物質を意味する。
【0006】
特に挙げられる技術的限界は「クロスオーバー」の問題である。クロスオーバーとは電池で観察される負極部分から正極部分へ膜を介して直接メタノールが通過する現象である。この現象はメタノールに対する膜の透過率に関係し、使用可能な膜の技術に直接関係し、メタノールを制限することはないように見えるが、これによって正極室で燃焼されるべき燃料が電子を供給せずに膜を通過するため、この疑似反応に関連する機能障害を考慮しなくても、燃料が大幅に失われる。さらに、メタノールの物理的特性によって電池の使用条件が制限される。
【0007】
従って、メタノールの代替物を見付けるための研究がなされている。この点では例えばエタノールまたはジメチルエーテルで機能する電池を開発するために欧州またはその他のプロジェクトが進行中である。メタノールの代替案を検討しているC.Lamy とE.M.Belgsirの論文下記文献を挙げられる。
【非特許文献1】「Other direct-alcohl fuel cells」, Handbood of Fuel Cells-Fundamental, Technologies and Applications、John Wiley & Sons Ltd、Vol 1、2003、pp323-334
【0008】
これらの研究の中では、可能性のある複数のメタノール代替物すなわちジメチルエーテル(DME)、メチラール(ジメトキシメタン、DMM)およびトリメトキシメタン(TMM)を比較しているY.Tsutsumi達による下記の研究が注目される。
【非特許文献2】Electrochemistry、70(12)(2002)984
【0009】
上記著者は直接DMMまたはTMM燃料電池の性能はメタノールを使用した時の性能とほぼ等しいということを示し、研究を結論付けているが、彼らの研究によると、DMMおよびTMM電池を用いる負極での反応中に多量のメタノールが発生している。電池性能の点からはDMEは良好な化合物ではないが、負極での分解産物の毒性係数を考えた場合には最良のものである。「燃料のクロスオーバー」の問題を記載したJens T.Muller達の下記文献も注目に値する。
【非特許文献3】「Electro-oxidation of Dimethyl Ether in a Polymer-Electrolyte-Membrance Fuel Cell」, The Electrochemical Society; 147(11)4058-4060(2000)
【0010】
直接燃焼燃料の代替案としてDMMおよびTMMを用いる可能性は下記文献にも記載されている。
【特許文献1】米国特許第6,054,228号明細書
【0011】
水素の貯蔵の問題を克服するために、メタノールの蒸気リフォーミングによって必要に応じて水素を徐々に発生する電池も開発されている。メタノールの蒸気リフォーミングで水素を発生させる方法には下記の利点がある:
(1)変換温度が低い(約250〜300℃)
(2)水素/炭素モル比が高い(4:1)
(3)煤または炭素の発生の危険性が低い(軽油、灯油、ディーゼルのような炭化水素と違ってC−C結合がない)
(4)選択的プロセスである(軽油、灯油、ディーゼルのような炭化水素と比べてCOの生成量が少ない)
(5)メタノール中の水素含有率が高い(75%)
(6)燃料中に硫黄が存在しない(軽油、灯油、ディーゼルのような炭化水素と違って周知な触媒毒である硫黄が存在しない)
しかし、メタノールには上記の毒性問題の他にエネルギー密度が低く、上記の蒸気リフォーミングプロセスは遅い、という欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者は、上記メタノールの欠点がなく、DMFCと同じ原理で作動する燃料電池用の新規な燃料を使用できるということを見出した。
本発明者はさらに、上記の燃料電池用の新規な燃料は水素燃料電池の蒸気リフォーミングによって水素源としてのメタノールの代わりに有利に使用できるということを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の対象は、電解性の液体媒体と接触した負極および正極と、負極および正極と電気回路とにそれぞれ接続された電流コレクタを含む液密容器を備えた燃料電池において、液体媒体が燃料を含む水性媒体であり、この燃料の少なくとも一部は電池の使用温度で水性媒体に可溶で、燃料の沸点が65℃以上であることを特徴とする燃料電池にある。
【0014】
「水性媒体」という用語は水と、任意成分としてのC1〜C4モノアルコールとを含む媒体を意味する。モノアルコールの例としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールおよびこれらの混合物が挙げられる。
本発明の燃料は少なくとも一部が水に可溶である(特に酸型DMFC電池で使用した場合)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
「少なくとも一部が電池の使用温度で水性媒体に可溶である」という表現は、水または水性アルコール媒体中へ少なくとも3容量%の溶解度を有することを意味する。この溶解度は20℃で得られるが、必要に応じて加熱する。しかし、20℃での水への溶解度は重大な問題ではなく、高温用途(例えば40℃近くの暑い国での使用)では溶解度がさらに小さい化合物を用いることができる。
燃料の引火点は11℃以上、特に18℃以上、例えば55℃以上であるのが有利である。本発明では、この引火点は大気圧で測定する(105Pa)。
本発明の一実施例では、燃料は水性媒体をマイクロ流体システムでポンプ輸送できるような粘度を有する。
別の実施例では、燃料の密度は室温(20℃)および大気圧で測定した時に0.80以上、特に0.83以上、例えば0.86以上、さらには0.95以上である。燃料は室温(20℃)および大気圧で液体または固体である。
【0016】
本発明の一つの実施例では、燃料は炭素原子と、水素原子と、窒素、酸素およびこれらの組合せの中から選択される少なくとも一種のヘテロ原子とを含む有機化合物である。
本発明の別の実施例では、水性媒体が燃料の混合物を含み、その中の少なくとも一つが上記の燃料である。
【0017】
本発明の一形態では、負極が白金を含む金属材料から成る。負極は白金と、ルテニウム、錫、ニッケルおよびモリブデンの中から選択される少なくとも一種の金属とを含む金属材料から成るのが有利である。
本発明の一つの形態では、負極が白金とルテニウムとの混合物からなり、白金の含有率が50〜90重量%である。
【0018】
本発明の一実施例では、電池は直接燃料電池である。
本発明の別の実施例では、電池は間接燃料電池、特に水素電池である。
本発明では、電池は自律携帯型のエネルギー源である。
本発明の電池は負極と正極とを隔てる電解膜を含む。本発明の一つの実施例では、この電解膜はポリマーの膜である。別の形態では、電解膜は無機の膜である。
【0019】
本発明の別の対象は、上記の電池の、電気エネルギーで動作する携帯型装置、特に携帯電話、ラップトップコンピュータまたは携帯用工具での使用にある。
本発明のさらに別の対象は、上記の燃料の、燃料電池でのエネルギー源としての使用にある。
【0020】
本発明の一実施例では、電池はエーテルアセタール、ポリエーテルアセタール、カーボネート、オキサレート、尿素およびアミドの中から選択される1〜20個の炭素原子を有する有機化合物型の一種または複数の燃料を含む。燃料は4つ以下の炭素−炭素結合、特に0〜3つの炭素−炭素結合を含む有機化合物であるのが有利である。C−C結合は低温(使用温度)で切断するのが難しいという欠点がある。
【0021】
本発明の燃料は特に下記の物理化学的特性を有する:
(1)沸点が高く、蒸気圧が低い。
(2)メタノールよりも引火点が高い。
(3)メタノールよりも「クロスオーバー」が少ない。
(4)負極に供給されるのが水−燃料混合物の場合、水へ可溶(少なくとも一部)。
(5)メタノールよりもエネルギー密度が高い(「エネルギー密度」という用語は燃料1ml当たりの交換可能な電子数を意味する)。
(6)マイクロ流体システムによってポンプ輸送可能な低粘度である(例えば25℃での粘度が0.3〜4cP)。
【0022】
ポリエーテルアセタール
本発明の一つの実施例では、燃料電池用の液体燃料が一般式:R1−(OCH2)n−OR1を有する(ここで、R1およびR1'は1〜5個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよく、nは1〜8の値の指数であるが、R1とR1'が同じメチル基のときはnは2以上である)。
この燃料は下記の中から選択される化合物であるのが有利である:
CH3−(OCH2)2−OCH3、CH3−(OCH2)3−OCH3、CH3−(OCH2)4−OCH3、CH3−(OCH2)−OC2H5およびこれらの混合物。
【0023】
上記燃料は特にポリオキシメチレンジアルキルエーテルである。以下ではポリオキシメチレンをPOMで表し、このPOMにアルキル基のR1、R1'、メチルのM、エチルのE、プロピルのP、(イソ)プロピルのi−P、ブチルのB、ペンチルのPe、ヘキシルのHを識別するための一つまたは2つの文字を追加し(POMXX)、さらに単位(CH2O)の数nに対応する指数も追加して表す(POMXXn)。
上記化合物は例えば下記のように名付けられる:
(1)アルキルがメチル基の場合、POMMn(ポリオキシメチレンジメチルエーテル) CH3−(OCH2)n−OCH3
(2)アルキルがエーテル基の場合、POME(ポリオキシメチレンジエチルエーテル)
(3)アルキルがプロピル基の場合、POMP(ポリオキシメチレンジプロピルエーテル)
(4)アルキルがブチル基の場合、POMB(ポリオキシメチレンジブチルエーテル)。
【0024】
n個のオキシメチレン単位を有する化合物はPOMMnとよぶ。メチラール(n=1)(本特許出願の対象ではない)はPOMM1とよび、ブチラールはPOMB1とよぶ。同じ合成で得られる生成物の混合物を用いる場合は、POMM3-8は例えばPOMMs(n=3〜8)を含む混合物を意味する。
これらのPOMXXsはR1≠R1'のときに非対称である。例えば2つの(CH2O)単位を有するポリオキシメチレンメチルエチルエーテルすなわちCH3−(OCH2)2−OC2H5を表すPOMME2にすることができる。
【0025】
本発明の燃料は対称な化学構造のアセタールまたはポリアセタールエーテルであるのが有利である。
本発明の燃料は純粋な形で用いることもできるが、実際には、用いる合成法および経済的な理由で、特に(CH2O)単位の数で区別されるPOMXXの混合物を用いる。
【0026】
POMXXの利点はほぼその化学的性質に関係する。この理由から合成法を制御することで鎖長を制御できる。一般に、POMXXの沸点は−(CH2O)単位の数およびアルキル鎖の長さとともに高くなり、一方、水への溶解度は−(CH2O)n鎖の長さおよびアルキル鎖の長さとともに低くなるので、燃料電池の所望の最終用途に応じて最適化することができる。
【0027】
酸性媒体中で機能する電池の反応機構は、POMMnの場合には下記のハーフセルの式で要約できる。酸電池の場合、
負極:CH3−(OCH2)n−OCH3+(n+3)H2O→(n+2)CO2+(4n+12)H++(4n+12)e-
正極:(4n+12)H++(4n+12)e-+(n+3)O2→(2n+6)H2O。
【0028】
POMXXはメタノールの場合よりも低いモル濃度で用いることができる。従って、蒸発および浸透による損失を制限できる。さらに、負極で必要とされる量の2倍の水が正極で製造され、これによって、正極で製造された水を再利用して稀釈された純粋な燃料を電池に供給できる。
【0029】
その他のメタノール代替物と比較して、POMMには1個の炭素原子を含む単位(メタノール+ホルムアルデヒド)から成るという利点がある。すなわち、低温での切断が困難なC−C結合は存在しない。従って、これらは酸性媒体中で容易に加水分解でき(電極および膜は酸官能化ポリマーで構成ができる)、従って、炭素原子の断片(オキシメチレンまたはメトキシ)へ分解でき、従って、負極に存在する触媒によって容易に分解される。POME、POMPまたはPOMBの系ではアルキル基に起因するC−C結合が依然として存在するが、アルコール型ではないPOM型の分子は反応機構の原理に従って加水分解中の結合の活性化でより高い反応性を得ることができる。
【0030】
さらに、POMXX、特にPOMMnは一般に「液体水素化物」とよばれる型の水素貯蔵の点で有利な代替物である。
POMMnの蒸気リフォーミングの反応は下記の通り:
CH3−(OCH2)nOCH3+(n+3)H2O→(2+n)CO2+(6+2n)H2、
すなわち、POMMn(46+30n)g当たり(12+4n)gのH2。
【0031】
メタノールの蒸気リフォーミングの場合の反応は下記の通り:
CH3OH+H2O→CO2+3H2、すなわちMeOH32g当たり6gのH2。
従って、本発明の電池の所定容量に貯蔵可能な水素当量はメタノール電池の場合よりもはるかに大きい。従って、水素燃料電池にPOMXXを有利に使用できる。
【0032】
POMXXの合成法は古くから知られている。この分野での参考文献としては特にJ.F.Walkerによる下記文献が挙げられる。
【非特許文献4】「Formaldehyde」、Robert E. Krieger Publishing Company、Huntington, New York, 3rd Edition, 1975
【0033】
合成法に関する記載は特に第167頁以下、264頁以下を参照。これらの合成法はアルコール、メタノール、エタノールまたはアルデヒド、メチラールまたはエチラールとホルムアルデヒドまたはその均等化合物との酸触媒反応をベースにしている。この形式の合成法は多くの特許文献、例えば下記文献にも記載されている。
【特許文献2】米国特許第2,449,469号明細書
【特許文献3】特開昭47−40772号公報
【0034】
ルイス酸型の触媒に基づくその他の合成モードも記載されている。ルイス酸型のイオン触媒を用いる安定なポリオキシメチレンジエーテルの合成が記載されたKhimichescoi Fiziki協会の下記文献が挙げられる。
【特許文献4】英国特許第1,120,524号
【0035】
混合POMXXすなわちR1がR1'と異なる一般式に対応するものは上記方法で直接合成するか、2種類の「対称」POMXX(R1=R1')のアセタール交換反応で得られる。
【0036】
尿素およびアミド
本発明の別の対象は、式(2) R2−CO−N(R2')R2''(ここで、R2、R2'、R2''は独立して水素原子か、1〜8個の炭素原子、例えば1〜3個の炭素原子を含むアルキル基を表す)のアミド燃料または尿素燃料である。
【0037】
例としては尿素、メチル尿素、N,N’−ジメチル尿素、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
オキザレートおよびカーボネート:
本発明の別の対象は、式(3) R3−(CO)n−OR3'(ここで、R3およびR3'は独立して1〜8個の炭素原子、例えば1〜3個の炭素原子を含むアルキル基を表し、nは1〜4、例えば1または2の整数である)のオキザレートまたはカーボネート燃料にある。
この類の燃料の例としてはジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルオキザレート(DEO)が挙げられる。
DMCのハーフセル反応は下記で表される:
負極:CH3−OCO−OCH3+3H2O→3CO2+12H+12e-、
正極:12H++12e-+3O2→6H2Oとなる。
同様に、DEOでは下記になる:
負極:C2H5−OCO−OC2H5+8H2O→6CO2+26H+26e-、
正極:26H++26e-+13/2O2→13H2Oとなる。
【0039】
従って、負極で必要とされる量の2倍の水が正極で製造される。さらに、DMCはメタノールよりもはるかに低いモル濃度で用いることができ、これによって、蒸発および浸透による損失を制限することができる。
DMCおよびDEOの利点はその化学的性質に関係している。
【0040】
これらの生成物は既に市販されているという利点がある。さらに、これらの毒性はメタノールよりもはるかに低い。
DMCはその他のメタノール代替物と比較して、1個の炭素原子を含む単位(メタノール+O−CO−)からなるという利点も有する。すなわち、低温での切断が困難なC−C結合は存在しない。
【0041】
DEOでは、アルキル基および蓚酸に起因するC−C結合が依然として存在するが、蓚酸およびエタノールが燃料電池内で酸化できることは知られている。
本発明の上記以外の特徴および利点は添付図面を参照した以下の説明からより良く理解できよう。本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0042】
[図1]を参照する。本発明の燃料電池は液密な容器(A)を備えており、この容器(A)中には触媒負極(1)と触媒正極(2)とが収用されている。負極(1)および正極(2)は電解質の液体媒体(5)と接触し且つ電解膜(3)または循環室(10)で分離されている。負極(1)および正極(2)に接続された各電流コレクタ(9)は外部電気回路(4)に接続され、この電気回路(4)中を電流が循環する。電解質媒体(5)は酸または塩基の水性媒体で調製した液体燃料である。この電解質媒体(5)はライン(5a)を介して導入され、電池内で発生した二酸化炭素はライン(6)を介して循環室から排気される。酸素はライン(7)を介して導入され、生成した水はライン(8)を介して排出される。上記の組立体はカレンダ(11)によって容器(A)内の所定位置に保持される。
【0043】
正極は例えばC−Pt型であり、負極はPtをベースにし、例えばC−PtRu型またはC−Pt型である。膜は状況に応じてオリジナルの電池(Nafion H TEC)のNafion 117、市販のNafion117(いずれも必要に応じてニッケルグリルで支持する)または下記文献に記載のDabco(登録商標)型の膜にする。
【非特許文献5】E.Agel,J.Bouet and J.F.Fauvarque Jounal of The Power Sources、101(2001)、267-274
【0044】
[図2]に示すDMFC型燃料電池は液密な容器(A)中に下記を備えている:
(a)市販の触媒負極(1)E−TEK(これはPt/C、40重量%のPtおよび2mg.cm-2のPtまたはPtRu(50:50)、60質量%のPtおよび2mg.cm-2のPtRu(原子比1:1、幾何学面積5cm2)から成る)
(b)市販の触媒正極(2)E−TEK(これは40重量%のPt/Cと2mg.cm-2の白金触媒(幾何学面積5cm2)とから成る)
(c)電解膜(3)(市販のNafion(登録商標)117型固体導電性ポリマー)
(d)電気回路(4)(電流特性(強さ、電圧)を測定するために電流コレクタ(9)に接続されている)
(e)負極(1)への燃料と水の供給管(5)(流量の測定手段と温度および圧力の調節手段を備える)
(f)負極で発生した二酸化炭素の排気管(6)
(g)酸素を正極(2)に供給するための管(7)(流量の測定手段と成分の温度および圧力の調節手段を備える)
(h)正極で生成した水の排出管(8)、
(i)組立体を所定位置に保持するためのカレンダ(11)。
【実施例】
【0045】
ポリオキシメチレンジアルキルエーテル
本発明燃料の組成物中に含まれるポリオキシメチレンジアルキルエーテルの例をその物理的特徴と一緒に[表1]に示した。この[表1]には比較のために本発明ではない分子(*を付けたもの)も含まれている。
【表1】
【0046】
実施例1、2
実施例1、2では本発明の2つの燃料を用いる。前者の燃料は沸点が105℃で、モル質量が106g/molで、単位体積当たりの質量が0.9597g/mlのPOMM2である。後者の燃料は留出範囲が153〜268℃で、モル質量が155.8g/molで、単位体積当たりの質量が1.064g/mlのPOMM3-8である。
これら2つの燃料は、Amberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でメチラールとトリオキサンとを反応させて得られる。反応媒体に分離操作を行って、POMM2とPOMM3-8の両方を得る。
【0047】
これらの燃料を直接メタノール燃料電池でテストした。二通りの試験を行った。第1試験では大学の授業用の「H−TEC」型デモンストレーション用燃料電池を用いた。電圧および電流の強さの変化および密度の測定をスポット状すなわち操作条件を変えずに行った。第2のシリーズ試験は以下で説明するプロセスに従って静止状態で動作するDMFC型燃料電池を用いて実施した。
用いた電池は[図1]に示す方法に従って負極と膜との間に循環室を挿入したH−TEC型である。
【0048】
実験は全て室温25℃で、一部は酸性媒体中(実施例1)で、残りはアルカリ性媒体中(実施例2、アルカリ電池)で行った。用いた実験装置はアルカリ性媒体中で動作するように設計されており、厚さ1cmの循環室を用いて反応中に合成されたカーボネートを除去する必要がある。この循環室およびこの循環室中を流れる媒体の寸法によって装置の伝導率(従って電流密度)は大幅に下がる。試験液は同一容量の燃料で調製した。例えばメタノールまたはPOMM2の場合、メタノールまたはPOMM2の10容量%水溶液(酸性媒体では0.1MH2SO4、アルカリ性媒体では0.1MKOH。
ゼロ−電流電圧およびゼロ−電圧電流密度を測定した。
【0049】
実施例1
酸性媒体中での試験である実施例1で得られた結果は[表2]にまとめてある。
【表2】
【0050】
実施例2
塩基性媒体中の試験である実施例2で得られた結果は[表3]にまとめてある。
【表3】
【0051】
この実験の目的は本発明の燃料とメタノールとを比較することにある。この表は燃料POMM2はレベルとは無関係にメタノールよりも優れた性能を得ることができるということを示している。
【0052】
実施例3〜10
各燃料下記手順で試験した。用いた電池は[図2]の実施例のものである。
電池を1時間水和した後、温度を30、50、70、90℃まで徐々に上げる(圧力1bar)。その後、成分(燃料および酸素)の圧力を2バールおよび3バールにそれぞれ上げると同時に温度を100℃、次いで110℃に上げる。各操作(段階)を約30分続けた後、電池の温度を段階的に下げ、各段階で成分を大気圧または加圧下に供給する。温度または圧力を変化、増減する間に電圧、密度、電力を測定する。
手順の実施条件は[表4]にまとめてある。
【0053】
【表4】
【0054】
電池に各成分の混合物、本発明燃料またはメタノールを供給した(それぞれ水に溶かしてPOMM2では1mol/l、メタノールでは1mol/l、POMM3-8では2mol/l、POM−E1では0.5mol/l、POM−E2では0.39mol/l、POM−E3では0.27mol/lの濃度にした)。POM−ME1では57mlのPOM−ME1に水を補って500mlにして試験液を調製した。
【0055】
POM−Mx燃料はAmberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でメチラールとトリオキサンとを反応させて得られる。反応媒体を分離操作で分離する。
燃料POM−E1は市販のものである。
他のPOM−Ex燃料はAmberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でエチラールとトリオキサンとを反応させて得られる。反応媒体を分離操作して分離する。
燃料POM−ME1はAmberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でのメチラールとエチラールとの間のアセタール交換反応で得られる。
得られた結果(測定値)から電流密度(mA.cm-2)を関数とした各燃料、電極、温度および圧力条件下での電池電圧(E、ボルト)および電力(P、mW.cm2)の曲線が得られる。
【0056】
実施例3
この実施例では異なる負極(PtまたはPtRu)と異なる圧力(大気圧または加圧下すなわちO2=3バールおよび燃料=2バール)を用いて燃料POMM2とPOMM3-8の30℃での電池の運転性能を比較した。得られた結果は[図3]に示してある。
[図3]は燃料POMM2を用いることで低温(100℃以下)での性能が良くなることを示している。圧力は望ましい効果を与え、触媒の種類が実質的な影響を与えると思われる。Pt/Ru負極を用いた場合の性能はPt負極を用いて得られる性能よりも優れている。
【0057】
実施例4
この実施例では異なる負極(PtまたはPtRu)を用い、加圧下(O2:3バールおよび燃料:2バール)での燃料POMM2とPOMM3-8の90℃での電池の運転性能を比較した。得られた結果は[図4]に示してある。
[図4]は、燃料POMM2を用いる、燃料POMM3-8と同様に、有利な高温性能が得られことを示している。しかし、性能は燃料POMM3-8よりも低い。触媒の種類で望ましい効果が与えられることが分かる。Pt/Ru負極を用いた場合の性能はPt負極を用いて得られる性能よりも優れている。
【0058】
実施例5
この実施例ではPtRu負極を用い、大気圧、30℃での電池の運転性能を燃料POMM2とメタノールで比較した。得られた結果は[図5]に示してある。
[図5]ではメタノールに適した上記条件下ではメタノールの方がPOMM2よりわずかに良い性能を示している。電池の使用条件をPOMM2に合わせることによって標準的なメタノール電池の欠点の無い、良好な電気特性を有する燃料電池が得られる。
【0059】
実施例6
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90℃での電池の運転性能を燃料POMM2、POMM3-8およびメタノールで比較した。得られた結果は[図6]に示してある。
[図6]は上記条件下では燃料POMM2がメタノールよりも優位であることを示している。燃料POMM3-8自体の性能は有利であるが、レベルは劣っている。
【0060】
実施例7
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)で、110℃での電池の運転性能を燃料POM−E1、POM−E2、POM−E3で比較した。得られた結果は[図7]に示してある。これらの曲線から、POM−E1、POM−E2、POM−E3は上記条件下で燃料の機能を果たすと推定できる。
【0061】
実施例8
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、50、70、90℃での電池の運転性能を燃料POM−ME1でテストした。得られた結果は[図8]に示してある。POM−ME1化合物は広範囲の温度で燃料の機能を果たすことができる。
【0062】
実施例9
この実施例ではPtRu負極を用い、大気圧(90°1)および加圧下(O2:3バール、燃料:2バール(90°2))、90℃での電池の機能性能を燃料POM−ME1でテストした。得られた結果は[図9]に示してある。[図9]の曲線から電池は加圧下で燃料を用いる方が良い結果を出すことが理解できる。
【0063】
実施例10
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90、100、110℃での電池の機能性能を燃料POM−ME1で試験した。得られた結果は[図10]に示してある。この曲線からPOM−ME1化合物は広範囲の温度で燃料の機能を果たすと推定される。
【0064】
オキザレートとカーボネート
実施例11、12
[表5]には本発明の燃料組成物中に含まれるオキシレートおよびカーボレートの実施例がそれらの物理的特性とともに示されている。
【表5】
【0065】
実施例11、12で用いた燃料電池は実施例3〜10に記載の燃料である([図2])。
【0066】
実施例11
この実施例ではPt負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90、100、110℃での電池の機能性能を燃料DMCで試験した。用いた試験液の濃度は1mol/lである。得られた結果は[図11]に示してある。[図11]から、この電池はエネルギー源として様々な温度で使用できると推定される。
【0067】
実施例12
この実施例ではPt/Ru負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90、100、110℃での電池の機能性能を燃料DEOで試験した。用いた試験液の濃度は1mol/lである。得られた結果は[図12]に示してある。110℃2の曲線は110℃1の曲線で示される電池性能の2時間後に記録された電池性能を示している。これらの曲線から、DEOは広範囲の温度で燃料の機能を果たすと推定される。さらに、電池の性能は長時間ほとんど変化せず、従って安定であることが理解できよう。
【0068】
尿素とアミド
【表6】
【0069】
これらの尿素およびアミド燃料は[図1]または[図2]に示す電池で使用できる。これらは実施例1〜12で得られる電気的特性と同等な電気的特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施例における本発明の燃料電池の概略的縦方向断面図。
【図2】第2実施例における本発明の燃料電池の概略的縦方向断面図。
【図3】〜
【図12】各種態様、燃料、電極、温度および圧力条件下での電流密度(mA.cm-2)を関数とする電池電圧(E、ボルト)および電力(P、mW.cm2)の曲線。
【技術分野】
【0001】
燃料電池は化学反応のエネルギーを電気に変換するための装置である。バッテリーとは違って、燃料と酸化剤とを電池の外側に貯蔵する。従って、燃料電池は燃料と酸化剤が供給される限りエネルギーを生成できる。燃料電池は、燃料および酸化剤を電解質によって互いに分離され且つ電解質と接触した2つの触媒電極と接触させて配置することで起電力を生じる。電解質は一般に固体ポリマーの形をしていて、気体成分の通過を妨げる役目もする。燃料は負極(anode)と接して配置され、燃料は解離してイオン、一般にはH+またはOH-と電子e-を形成する。この電子e-は電極(負極)の導電構造体中に入り、系の外部電気回路中を流れてエネルギーを生じる。イオンは電解質を通って正極(cathode)へ移動する。この正極には酸化剤が供給され、酸化剤はその表面で一種の酸化物を形成し、電気化学的還元によって上記荷電イオンと反応し、水を形成する。2つの電極を外部電気回路を介する接続することで電気エネルギーが生じる。
【背景技術】
【0002】
燃料電池に関する研究の大部分は水素を燃料として使用するものを対象としている。しかし、水素は貯蔵に関連する複雑な問題のため、効率は悪くても取り扱い易い別の液体燃料を用いる解決策が研究されている。
そのため、研究はメタノールに向かった。メタノールは低〜中温度で動作する燃料電池で使用するのが十分な有利な酸化特性を有する水素を有する稀な試薬の一つである。その結果、直接メタノール燃料電池(DMFC)が開発された。この方法は水素を用いた従来の種々の燃料電池、例えばPEMFC(固体高分子型燃料電池)、MCFC(溶融炭酸塩型燃料電池)またはPAFC(リン酸型燃料電池)とは全く別のものである。SOFC(固体電解質型燃料電池)として知られる燃料電池は液体燃料で機能するということは注意すべきである。
【0003】
直接メタノール燃料電池は高い自律エネルギー源が必要とされる多くの携帯型の用途、例えばラップトップコンピュータ、電話、携帯工具などのエネルギー源である。
直接燃料電池は2つのモードで動作する。酸モードが最も一般的で、反応メカニズムは下記の通りである:
負極:CH3OH+H2O→CO2+6H+6e-、
正極:6e-+6H++3/2O2→3H2O、
すなわち、全体バランスは下記になる:
CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O。
【0004】
アルカリ電池の基本モードでは、反応メカニズムは下記の通りである:
負極:CH3OH+6OH-→CO2+H2O+6e-、
正極:6e-+3H2O+3/2O2→6OH-、
全体バランスは上記と同じである。
この型のアルカリ電池は酸電池と比較して利点と欠点がある。アルカリ電池は効率は悪いが、形式的には水に稀釈したメタノールを用いる必要がないので、酸モード電池よりもはるかに高濃度の燃料電池を使うことができる。
【0005】
しかし、メタノールの大量使用上の大きな欠点はその毒性であるが、現在の電池ではその使用には技術的限界がある。「毒性品(toxic products)」という用語は少量の吸入、摂食または皮膚浸透で個体が死に至るか、急性または慢性の健康障害を引き起こす物質を意味する。
【0006】
特に挙げられる技術的限界は「クロスオーバー」の問題である。クロスオーバーとは電池で観察される負極部分から正極部分へ膜を介して直接メタノールが通過する現象である。この現象はメタノールに対する膜の透過率に関係し、使用可能な膜の技術に直接関係し、メタノールを制限することはないように見えるが、これによって正極室で燃焼されるべき燃料が電子を供給せずに膜を通過するため、この疑似反応に関連する機能障害を考慮しなくても、燃料が大幅に失われる。さらに、メタノールの物理的特性によって電池の使用条件が制限される。
【0007】
従って、メタノールの代替物を見付けるための研究がなされている。この点では例えばエタノールまたはジメチルエーテルで機能する電池を開発するために欧州またはその他のプロジェクトが進行中である。メタノールの代替案を検討しているC.Lamy とE.M.Belgsirの論文下記文献を挙げられる。
【非特許文献1】「Other direct-alcohl fuel cells」, Handbood of Fuel Cells-Fundamental, Technologies and Applications、John Wiley & Sons Ltd、Vol 1、2003、pp323-334
【0008】
これらの研究の中では、可能性のある複数のメタノール代替物すなわちジメチルエーテル(DME)、メチラール(ジメトキシメタン、DMM)およびトリメトキシメタン(TMM)を比較しているY.Tsutsumi達による下記の研究が注目される。
【非特許文献2】Electrochemistry、70(12)(2002)984
【0009】
上記著者は直接DMMまたはTMM燃料電池の性能はメタノールを使用した時の性能とほぼ等しいということを示し、研究を結論付けているが、彼らの研究によると、DMMおよびTMM電池を用いる負極での反応中に多量のメタノールが発生している。電池性能の点からはDMEは良好な化合物ではないが、負極での分解産物の毒性係数を考えた場合には最良のものである。「燃料のクロスオーバー」の問題を記載したJens T.Muller達の下記文献も注目に値する。
【非特許文献3】「Electro-oxidation of Dimethyl Ether in a Polymer-Electrolyte-Membrance Fuel Cell」, The Electrochemical Society; 147(11)4058-4060(2000)
【0010】
直接燃焼燃料の代替案としてDMMおよびTMMを用いる可能性は下記文献にも記載されている。
【特許文献1】米国特許第6,054,228号明細書
【0011】
水素の貯蔵の問題を克服するために、メタノールの蒸気リフォーミングによって必要に応じて水素を徐々に発生する電池も開発されている。メタノールの蒸気リフォーミングで水素を発生させる方法には下記の利点がある:
(1)変換温度が低い(約250〜300℃)
(2)水素/炭素モル比が高い(4:1)
(3)煤または炭素の発生の危険性が低い(軽油、灯油、ディーゼルのような炭化水素と違ってC−C結合がない)
(4)選択的プロセスである(軽油、灯油、ディーゼルのような炭化水素と比べてCOの生成量が少ない)
(5)メタノール中の水素含有率が高い(75%)
(6)燃料中に硫黄が存在しない(軽油、灯油、ディーゼルのような炭化水素と違って周知な触媒毒である硫黄が存在しない)
しかし、メタノールには上記の毒性問題の他にエネルギー密度が低く、上記の蒸気リフォーミングプロセスは遅い、という欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者は、上記メタノールの欠点がなく、DMFCと同じ原理で作動する燃料電池用の新規な燃料を使用できるということを見出した。
本発明者はさらに、上記の燃料電池用の新規な燃料は水素燃料電池の蒸気リフォーミングによって水素源としてのメタノールの代わりに有利に使用できるということを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の対象は、電解性の液体媒体と接触した負極および正極と、負極および正極と電気回路とにそれぞれ接続された電流コレクタを含む液密容器を備えた燃料電池において、液体媒体が燃料を含む水性媒体であり、この燃料の少なくとも一部は電池の使用温度で水性媒体に可溶で、燃料の沸点が65℃以上であることを特徴とする燃料電池にある。
【0014】
「水性媒体」という用語は水と、任意成分としてのC1〜C4モノアルコールとを含む媒体を意味する。モノアルコールの例としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールおよびこれらの混合物が挙げられる。
本発明の燃料は少なくとも一部が水に可溶である(特に酸型DMFC電池で使用した場合)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
「少なくとも一部が電池の使用温度で水性媒体に可溶である」という表現は、水または水性アルコール媒体中へ少なくとも3容量%の溶解度を有することを意味する。この溶解度は20℃で得られるが、必要に応じて加熱する。しかし、20℃での水への溶解度は重大な問題ではなく、高温用途(例えば40℃近くの暑い国での使用)では溶解度がさらに小さい化合物を用いることができる。
燃料の引火点は11℃以上、特に18℃以上、例えば55℃以上であるのが有利である。本発明では、この引火点は大気圧で測定する(105Pa)。
本発明の一実施例では、燃料は水性媒体をマイクロ流体システムでポンプ輸送できるような粘度を有する。
別の実施例では、燃料の密度は室温(20℃)および大気圧で測定した時に0.80以上、特に0.83以上、例えば0.86以上、さらには0.95以上である。燃料は室温(20℃)および大気圧で液体または固体である。
【0016】
本発明の一つの実施例では、燃料は炭素原子と、水素原子と、窒素、酸素およびこれらの組合せの中から選択される少なくとも一種のヘテロ原子とを含む有機化合物である。
本発明の別の実施例では、水性媒体が燃料の混合物を含み、その中の少なくとも一つが上記の燃料である。
【0017】
本発明の一形態では、負極が白金を含む金属材料から成る。負極は白金と、ルテニウム、錫、ニッケルおよびモリブデンの中から選択される少なくとも一種の金属とを含む金属材料から成るのが有利である。
本発明の一つの形態では、負極が白金とルテニウムとの混合物からなり、白金の含有率が50〜90重量%である。
【0018】
本発明の一実施例では、電池は直接燃料電池である。
本発明の別の実施例では、電池は間接燃料電池、特に水素電池である。
本発明では、電池は自律携帯型のエネルギー源である。
本発明の電池は負極と正極とを隔てる電解膜を含む。本発明の一つの実施例では、この電解膜はポリマーの膜である。別の形態では、電解膜は無機の膜である。
【0019】
本発明の別の対象は、上記の電池の、電気エネルギーで動作する携帯型装置、特に携帯電話、ラップトップコンピュータまたは携帯用工具での使用にある。
本発明のさらに別の対象は、上記の燃料の、燃料電池でのエネルギー源としての使用にある。
【0020】
本発明の一実施例では、電池はエーテルアセタール、ポリエーテルアセタール、カーボネート、オキサレート、尿素およびアミドの中から選択される1〜20個の炭素原子を有する有機化合物型の一種または複数の燃料を含む。燃料は4つ以下の炭素−炭素結合、特に0〜3つの炭素−炭素結合を含む有機化合物であるのが有利である。C−C結合は低温(使用温度)で切断するのが難しいという欠点がある。
【0021】
本発明の燃料は特に下記の物理化学的特性を有する:
(1)沸点が高く、蒸気圧が低い。
(2)メタノールよりも引火点が高い。
(3)メタノールよりも「クロスオーバー」が少ない。
(4)負極に供給されるのが水−燃料混合物の場合、水へ可溶(少なくとも一部)。
(5)メタノールよりもエネルギー密度が高い(「エネルギー密度」という用語は燃料1ml当たりの交換可能な電子数を意味する)。
(6)マイクロ流体システムによってポンプ輸送可能な低粘度である(例えば25℃での粘度が0.3〜4cP)。
【0022】
ポリエーテルアセタール
本発明の一つの実施例では、燃料電池用の液体燃料が一般式:R1−(OCH2)n−OR1を有する(ここで、R1およびR1'は1〜5個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよく、nは1〜8の値の指数であるが、R1とR1'が同じメチル基のときはnは2以上である)。
この燃料は下記の中から選択される化合物であるのが有利である:
CH3−(OCH2)2−OCH3、CH3−(OCH2)3−OCH3、CH3−(OCH2)4−OCH3、CH3−(OCH2)−OC2H5およびこれらの混合物。
【0023】
上記燃料は特にポリオキシメチレンジアルキルエーテルである。以下ではポリオキシメチレンをPOMで表し、このPOMにアルキル基のR1、R1'、メチルのM、エチルのE、プロピルのP、(イソ)プロピルのi−P、ブチルのB、ペンチルのPe、ヘキシルのHを識別するための一つまたは2つの文字を追加し(POMXX)、さらに単位(CH2O)の数nに対応する指数も追加して表す(POMXXn)。
上記化合物は例えば下記のように名付けられる:
(1)アルキルがメチル基の場合、POMMn(ポリオキシメチレンジメチルエーテル) CH3−(OCH2)n−OCH3
(2)アルキルがエーテル基の場合、POME(ポリオキシメチレンジエチルエーテル)
(3)アルキルがプロピル基の場合、POMP(ポリオキシメチレンジプロピルエーテル)
(4)アルキルがブチル基の場合、POMB(ポリオキシメチレンジブチルエーテル)。
【0024】
n個のオキシメチレン単位を有する化合物はPOMMnとよぶ。メチラール(n=1)(本特許出願の対象ではない)はPOMM1とよび、ブチラールはPOMB1とよぶ。同じ合成で得られる生成物の混合物を用いる場合は、POMM3-8は例えばPOMMs(n=3〜8)を含む混合物を意味する。
これらのPOMXXsはR1≠R1'のときに非対称である。例えば2つの(CH2O)単位を有するポリオキシメチレンメチルエチルエーテルすなわちCH3−(OCH2)2−OC2H5を表すPOMME2にすることができる。
【0025】
本発明の燃料は対称な化学構造のアセタールまたはポリアセタールエーテルであるのが有利である。
本発明の燃料は純粋な形で用いることもできるが、実際には、用いる合成法および経済的な理由で、特に(CH2O)単位の数で区別されるPOMXXの混合物を用いる。
【0026】
POMXXの利点はほぼその化学的性質に関係する。この理由から合成法を制御することで鎖長を制御できる。一般に、POMXXの沸点は−(CH2O)単位の数およびアルキル鎖の長さとともに高くなり、一方、水への溶解度は−(CH2O)n鎖の長さおよびアルキル鎖の長さとともに低くなるので、燃料電池の所望の最終用途に応じて最適化することができる。
【0027】
酸性媒体中で機能する電池の反応機構は、POMMnの場合には下記のハーフセルの式で要約できる。酸電池の場合、
負極:CH3−(OCH2)n−OCH3+(n+3)H2O→(n+2)CO2+(4n+12)H++(4n+12)e-
正極:(4n+12)H++(4n+12)e-+(n+3)O2→(2n+6)H2O。
【0028】
POMXXはメタノールの場合よりも低いモル濃度で用いることができる。従って、蒸発および浸透による損失を制限できる。さらに、負極で必要とされる量の2倍の水が正極で製造され、これによって、正極で製造された水を再利用して稀釈された純粋な燃料を電池に供給できる。
【0029】
その他のメタノール代替物と比較して、POMMには1個の炭素原子を含む単位(メタノール+ホルムアルデヒド)から成るという利点がある。すなわち、低温での切断が困難なC−C結合は存在しない。従って、これらは酸性媒体中で容易に加水分解でき(電極および膜は酸官能化ポリマーで構成ができる)、従って、炭素原子の断片(オキシメチレンまたはメトキシ)へ分解でき、従って、負極に存在する触媒によって容易に分解される。POME、POMPまたはPOMBの系ではアルキル基に起因するC−C結合が依然として存在するが、アルコール型ではないPOM型の分子は反応機構の原理に従って加水分解中の結合の活性化でより高い反応性を得ることができる。
【0030】
さらに、POMXX、特にPOMMnは一般に「液体水素化物」とよばれる型の水素貯蔵の点で有利な代替物である。
POMMnの蒸気リフォーミングの反応は下記の通り:
CH3−(OCH2)nOCH3+(n+3)H2O→(2+n)CO2+(6+2n)H2、
すなわち、POMMn(46+30n)g当たり(12+4n)gのH2。
【0031】
メタノールの蒸気リフォーミングの場合の反応は下記の通り:
CH3OH+H2O→CO2+3H2、すなわちMeOH32g当たり6gのH2。
従って、本発明の電池の所定容量に貯蔵可能な水素当量はメタノール電池の場合よりもはるかに大きい。従って、水素燃料電池にPOMXXを有利に使用できる。
【0032】
POMXXの合成法は古くから知られている。この分野での参考文献としては特にJ.F.Walkerによる下記文献が挙げられる。
【非特許文献4】「Formaldehyde」、Robert E. Krieger Publishing Company、Huntington, New York, 3rd Edition, 1975
【0033】
合成法に関する記載は特に第167頁以下、264頁以下を参照。これらの合成法はアルコール、メタノール、エタノールまたはアルデヒド、メチラールまたはエチラールとホルムアルデヒドまたはその均等化合物との酸触媒反応をベースにしている。この形式の合成法は多くの特許文献、例えば下記文献にも記載されている。
【特許文献2】米国特許第2,449,469号明細書
【特許文献3】特開昭47−40772号公報
【0034】
ルイス酸型の触媒に基づくその他の合成モードも記載されている。ルイス酸型のイオン触媒を用いる安定なポリオキシメチレンジエーテルの合成が記載されたKhimichescoi Fiziki協会の下記文献が挙げられる。
【特許文献4】英国特許第1,120,524号
【0035】
混合POMXXすなわちR1がR1'と異なる一般式に対応するものは上記方法で直接合成するか、2種類の「対称」POMXX(R1=R1')のアセタール交換反応で得られる。
【0036】
尿素およびアミド
本発明の別の対象は、式(2) R2−CO−N(R2')R2''(ここで、R2、R2'、R2''は独立して水素原子か、1〜8個の炭素原子、例えば1〜3個の炭素原子を含むアルキル基を表す)のアミド燃料または尿素燃料である。
【0037】
例としては尿素、メチル尿素、N,N’−ジメチル尿素、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
オキザレートおよびカーボネート:
本発明の別の対象は、式(3) R3−(CO)n−OR3'(ここで、R3およびR3'は独立して1〜8個の炭素原子、例えば1〜3個の炭素原子を含むアルキル基を表し、nは1〜4、例えば1または2の整数である)のオキザレートまたはカーボネート燃料にある。
この類の燃料の例としてはジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルオキザレート(DEO)が挙げられる。
DMCのハーフセル反応は下記で表される:
負極:CH3−OCO−OCH3+3H2O→3CO2+12H+12e-、
正極:12H++12e-+3O2→6H2Oとなる。
同様に、DEOでは下記になる:
負極:C2H5−OCO−OC2H5+8H2O→6CO2+26H+26e-、
正極:26H++26e-+13/2O2→13H2Oとなる。
【0039】
従って、負極で必要とされる量の2倍の水が正極で製造される。さらに、DMCはメタノールよりもはるかに低いモル濃度で用いることができ、これによって、蒸発および浸透による損失を制限することができる。
DMCおよびDEOの利点はその化学的性質に関係している。
【0040】
これらの生成物は既に市販されているという利点がある。さらに、これらの毒性はメタノールよりもはるかに低い。
DMCはその他のメタノール代替物と比較して、1個の炭素原子を含む単位(メタノール+O−CO−)からなるという利点も有する。すなわち、低温での切断が困難なC−C結合は存在しない。
【0041】
DEOでは、アルキル基および蓚酸に起因するC−C結合が依然として存在するが、蓚酸およびエタノールが燃料電池内で酸化できることは知られている。
本発明の上記以外の特徴および利点は添付図面を参照した以下の説明からより良く理解できよう。本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0042】
[図1]を参照する。本発明の燃料電池は液密な容器(A)を備えており、この容器(A)中には触媒負極(1)と触媒正極(2)とが収用されている。負極(1)および正極(2)は電解質の液体媒体(5)と接触し且つ電解膜(3)または循環室(10)で分離されている。負極(1)および正極(2)に接続された各電流コレクタ(9)は外部電気回路(4)に接続され、この電気回路(4)中を電流が循環する。電解質媒体(5)は酸または塩基の水性媒体で調製した液体燃料である。この電解質媒体(5)はライン(5a)を介して導入され、電池内で発生した二酸化炭素はライン(6)を介して循環室から排気される。酸素はライン(7)を介して導入され、生成した水はライン(8)を介して排出される。上記の組立体はカレンダ(11)によって容器(A)内の所定位置に保持される。
【0043】
正極は例えばC−Pt型であり、負極はPtをベースにし、例えばC−PtRu型またはC−Pt型である。膜は状況に応じてオリジナルの電池(Nafion H TEC)のNafion 117、市販のNafion117(いずれも必要に応じてニッケルグリルで支持する)または下記文献に記載のDabco(登録商標)型の膜にする。
【非特許文献5】E.Agel,J.Bouet and J.F.Fauvarque Jounal of The Power Sources、101(2001)、267-274
【0044】
[図2]に示すDMFC型燃料電池は液密な容器(A)中に下記を備えている:
(a)市販の触媒負極(1)E−TEK(これはPt/C、40重量%のPtおよび2mg.cm-2のPtまたはPtRu(50:50)、60質量%のPtおよび2mg.cm-2のPtRu(原子比1:1、幾何学面積5cm2)から成る)
(b)市販の触媒正極(2)E−TEK(これは40重量%のPt/Cと2mg.cm-2の白金触媒(幾何学面積5cm2)とから成る)
(c)電解膜(3)(市販のNafion(登録商標)117型固体導電性ポリマー)
(d)電気回路(4)(電流特性(強さ、電圧)を測定するために電流コレクタ(9)に接続されている)
(e)負極(1)への燃料と水の供給管(5)(流量の測定手段と温度および圧力の調節手段を備える)
(f)負極で発生した二酸化炭素の排気管(6)
(g)酸素を正極(2)に供給するための管(7)(流量の測定手段と成分の温度および圧力の調節手段を備える)
(h)正極で生成した水の排出管(8)、
(i)組立体を所定位置に保持するためのカレンダ(11)。
【実施例】
【0045】
ポリオキシメチレンジアルキルエーテル
本発明燃料の組成物中に含まれるポリオキシメチレンジアルキルエーテルの例をその物理的特徴と一緒に[表1]に示した。この[表1]には比較のために本発明ではない分子(*を付けたもの)も含まれている。
【表1】
【0046】
実施例1、2
実施例1、2では本発明の2つの燃料を用いる。前者の燃料は沸点が105℃で、モル質量が106g/molで、単位体積当たりの質量が0.9597g/mlのPOMM2である。後者の燃料は留出範囲が153〜268℃で、モル質量が155.8g/molで、単位体積当たりの質量が1.064g/mlのPOMM3-8である。
これら2つの燃料は、Amberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でメチラールとトリオキサンとを反応させて得られる。反応媒体に分離操作を行って、POMM2とPOMM3-8の両方を得る。
【0047】
これらの燃料を直接メタノール燃料電池でテストした。二通りの試験を行った。第1試験では大学の授業用の「H−TEC」型デモンストレーション用燃料電池を用いた。電圧および電流の強さの変化および密度の測定をスポット状すなわち操作条件を変えずに行った。第2のシリーズ試験は以下で説明するプロセスに従って静止状態で動作するDMFC型燃料電池を用いて実施した。
用いた電池は[図1]に示す方法に従って負極と膜との間に循環室を挿入したH−TEC型である。
【0048】
実験は全て室温25℃で、一部は酸性媒体中(実施例1)で、残りはアルカリ性媒体中(実施例2、アルカリ電池)で行った。用いた実験装置はアルカリ性媒体中で動作するように設計されており、厚さ1cmの循環室を用いて反応中に合成されたカーボネートを除去する必要がある。この循環室およびこの循環室中を流れる媒体の寸法によって装置の伝導率(従って電流密度)は大幅に下がる。試験液は同一容量の燃料で調製した。例えばメタノールまたはPOMM2の場合、メタノールまたはPOMM2の10容量%水溶液(酸性媒体では0.1MH2SO4、アルカリ性媒体では0.1MKOH。
ゼロ−電流電圧およびゼロ−電圧電流密度を測定した。
【0049】
実施例1
酸性媒体中での試験である実施例1で得られた結果は[表2]にまとめてある。
【表2】
【0050】
実施例2
塩基性媒体中の試験である実施例2で得られた結果は[表3]にまとめてある。
【表3】
【0051】
この実験の目的は本発明の燃料とメタノールとを比較することにある。この表は燃料POMM2はレベルとは無関係にメタノールよりも優れた性能を得ることができるということを示している。
【0052】
実施例3〜10
各燃料下記手順で試験した。用いた電池は[図2]の実施例のものである。
電池を1時間水和した後、温度を30、50、70、90℃まで徐々に上げる(圧力1bar)。その後、成分(燃料および酸素)の圧力を2バールおよび3バールにそれぞれ上げると同時に温度を100℃、次いで110℃に上げる。各操作(段階)を約30分続けた後、電池の温度を段階的に下げ、各段階で成分を大気圧または加圧下に供給する。温度または圧力を変化、増減する間に電圧、密度、電力を測定する。
手順の実施条件は[表4]にまとめてある。
【0053】
【表4】
【0054】
電池に各成分の混合物、本発明燃料またはメタノールを供給した(それぞれ水に溶かしてPOMM2では1mol/l、メタノールでは1mol/l、POMM3-8では2mol/l、POM−E1では0.5mol/l、POM−E2では0.39mol/l、POM−E3では0.27mol/lの濃度にした)。POM−ME1では57mlのPOM−ME1に水を補って500mlにして試験液を調製した。
【0055】
POM−Mx燃料はAmberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でメチラールとトリオキサンとを反応させて得られる。反応媒体を分離操作で分離する。
燃料POM−E1は市販のものである。
他のPOM−Ex燃料はAmberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でエチラールとトリオキサンとを反応させて得られる。反応媒体を分離操作して分離する。
燃料POM−ME1はAmberlyst(登録商標)15のような型の酸性樹脂の存在下でのメチラールとエチラールとの間のアセタール交換反応で得られる。
得られた結果(測定値)から電流密度(mA.cm-2)を関数とした各燃料、電極、温度および圧力条件下での電池電圧(E、ボルト)および電力(P、mW.cm2)の曲線が得られる。
【0056】
実施例3
この実施例では異なる負極(PtまたはPtRu)と異なる圧力(大気圧または加圧下すなわちO2=3バールおよび燃料=2バール)を用いて燃料POMM2とPOMM3-8の30℃での電池の運転性能を比較した。得られた結果は[図3]に示してある。
[図3]は燃料POMM2を用いることで低温(100℃以下)での性能が良くなることを示している。圧力は望ましい効果を与え、触媒の種類が実質的な影響を与えると思われる。Pt/Ru負極を用いた場合の性能はPt負極を用いて得られる性能よりも優れている。
【0057】
実施例4
この実施例では異なる負極(PtまたはPtRu)を用い、加圧下(O2:3バールおよび燃料:2バール)での燃料POMM2とPOMM3-8の90℃での電池の運転性能を比較した。得られた結果は[図4]に示してある。
[図4]は、燃料POMM2を用いる、燃料POMM3-8と同様に、有利な高温性能が得られことを示している。しかし、性能は燃料POMM3-8よりも低い。触媒の種類で望ましい効果が与えられることが分かる。Pt/Ru負極を用いた場合の性能はPt負極を用いて得られる性能よりも優れている。
【0058】
実施例5
この実施例ではPtRu負極を用い、大気圧、30℃での電池の運転性能を燃料POMM2とメタノールで比較した。得られた結果は[図5]に示してある。
[図5]ではメタノールに適した上記条件下ではメタノールの方がPOMM2よりわずかに良い性能を示している。電池の使用条件をPOMM2に合わせることによって標準的なメタノール電池の欠点の無い、良好な電気特性を有する燃料電池が得られる。
【0059】
実施例6
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90℃での電池の運転性能を燃料POMM2、POMM3-8およびメタノールで比較した。得られた結果は[図6]に示してある。
[図6]は上記条件下では燃料POMM2がメタノールよりも優位であることを示している。燃料POMM3-8自体の性能は有利であるが、レベルは劣っている。
【0060】
実施例7
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)で、110℃での電池の運転性能を燃料POM−E1、POM−E2、POM−E3で比較した。得られた結果は[図7]に示してある。これらの曲線から、POM−E1、POM−E2、POM−E3は上記条件下で燃料の機能を果たすと推定できる。
【0061】
実施例8
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、50、70、90℃での電池の運転性能を燃料POM−ME1でテストした。得られた結果は[図8]に示してある。POM−ME1化合物は広範囲の温度で燃料の機能を果たすことができる。
【0062】
実施例9
この実施例ではPtRu負極を用い、大気圧(90°1)および加圧下(O2:3バール、燃料:2バール(90°2))、90℃での電池の機能性能を燃料POM−ME1でテストした。得られた結果は[図9]に示してある。[図9]の曲線から電池は加圧下で燃料を用いる方が良い結果を出すことが理解できる。
【0063】
実施例10
この実施例ではPtRu負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90、100、110℃での電池の機能性能を燃料POM−ME1で試験した。得られた結果は[図10]に示してある。この曲線からPOM−ME1化合物は広範囲の温度で燃料の機能を果たすと推定される。
【0064】
オキザレートとカーボネート
実施例11、12
[表5]には本発明の燃料組成物中に含まれるオキシレートおよびカーボレートの実施例がそれらの物理的特性とともに示されている。
【表5】
【0065】
実施例11、12で用いた燃料電池は実施例3〜10に記載の燃料である([図2])。
【0066】
実施例11
この実施例ではPt負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90、100、110℃での電池の機能性能を燃料DMCで試験した。用いた試験液の濃度は1mol/lである。得られた結果は[図11]に示してある。[図11]から、この電池はエネルギー源として様々な温度で使用できると推定される。
【0067】
実施例12
この実施例ではPt/Ru負極を用い、加圧下(O2:3バール、燃料:2バール)、90、100、110℃での電池の機能性能を燃料DEOで試験した。用いた試験液の濃度は1mol/lである。得られた結果は[図12]に示してある。110℃2の曲線は110℃1の曲線で示される電池性能の2時間後に記録された電池性能を示している。これらの曲線から、DEOは広範囲の温度で燃料の機能を果たすと推定される。さらに、電池の性能は長時間ほとんど変化せず、従って安定であることが理解できよう。
【0068】
尿素とアミド
【表6】
【0069】
これらの尿素およびアミド燃料は[図1]または[図2]に示す電池で使用できる。これらは実施例1〜12で得られる電気的特性と同等な電気的特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施例における本発明の燃料電池の概略的縦方向断面図。
【図2】第2実施例における本発明の燃料電池の概略的縦方向断面図。
【図3】〜
【図12】各種態様、燃料、電極、温度および圧力条件下での電流密度(mA.cm-2)を関数とする電池電圧(E、ボルト)および電力(P、mW.cm2)の曲線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質の液体媒体(5)と接触した負極(1)および正極(2)と、負極および正極と電気回路(4)とにそれぞれ接続された電流コレクタ(9)とを収用した液密な容器(A)を備えた燃料電池において、
上記液体媒体が燃料を含む水性媒体であり、上記燃料は電池の使用温度で水性媒体に少なくとも部分的に可溶で且つ65℃以上の沸点を有することを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
燃料の引火点が11℃以上である請求項1に記載の電池。
【請求項3】
燃料の引火点が18℃以上である請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
水性媒体をマイクロ流体システムでポンプ輸送可能であるような粘度を燃料が有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
燃料の密度が0.8以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
燃料の密度が0.86以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
燃料が炭素原子と、水素原子と、窒素、酸素およびこれらの組合せの中から選択される少なくとも一種のヘテロ原子とを含む有機化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
燃料が炭素原子を含み、4つ以下の炭素−炭素結合を含む有機化合物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
燃料がエーテルアセタール、ポリエーテルアセタール、カーボネート、オキザレート、尿素およびアミンの中から選択される有機化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
燃料が炭素原子を含み、0〜3つの炭素−炭素結合を含む有機化合物である請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
燃料が1〜20個の炭素原子を含む有機化合物である請求項1〜10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
上記燃料が式(1):R1−(OCH2)n−OR1'(ここで、R1およびR1'は1〜5個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、nは1〜8の値の指数であるが、R1およびR1'が同じメチル基のときはnは2以上である)のエーテルアセタールまたはポリエーテルアセタール化合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
燃料がCH3−(OCH2)2−OCH3、CH3−(OCH2)3−OCH3、CH3−(OCH2)4−OCH3、CH3−(OCH2)−OC2H5およびこれらの混合物の中から選択される化合物である請求項1〜12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
燃料が対称な化学構造を有するエーテルアセタールまたはポリエーテルアセタールである請求項1〜13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
上記燃料が式(2):R2−CO−N(R2')R2''(ここで、R2、R2'、R2''は独立して水素原子か、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基を表す)のアミドまたは尿素化合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
上記のアミドまたは尿素化合物が1〜3個の炭素原子を有する請求項15に記載の電池。
【請求項17】
上記のアミドまたは尿素化合物が尿素、メチル尿素、N,N'−ジメチル尿素、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合物の中から選択される請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項18】
上記燃料が式(3):R3−(CO)n−OR3'(ここで、R3およびR3'は独立して1〜8個の炭素原子、例えば1〜3個の炭素原子を含むアルキル基を表し、nは1〜4の整数である)のオキザレートまたはカーボネート化合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項19】
上記アルキル基が1〜3個の炭素原子を有する請求項18に記載の電池。
【請求項20】
上記nが1または2の整数である請求項18に記載の電池。
【請求項21】
上記燃料がジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルオキザレート(DEO)の中から選択される請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項22】
上記燃料が燃料混合物を含む水性媒体であり、この燃料の少なくとも一つのが上記の燃料である請求項1〜21のいずれか一項に記載の電池。
【請求項23】
負極(1)が白金を含む金属材料から成る請求項1〜22のいずれか一項に記載の電池。
【請求項24】
負極(1)が白金と、ルテニウム、錫、ニッケルおよびモリブデンの中から選択される少なくとも一種の金属とを含む金属材料から成る請求項1〜23のいずれか一項に記載の電池。
【請求項25】
負極(1)が白金とルテニウムとの混合物からなり、白金の含有率が50〜90重量%である請求項1〜24のいずれか一項に記載の電池。
【請求項26】
電池が直接燃料電池である請求項1〜25のいずれか一項に記載の電池。
【請求項27】
電池が間接燃料電池である請求項1〜25のいずれか一項に記載の電池。
【請求項28】
電池が水素電池である請求項1〜25および27のいずれか一項に記載の電池。
【請求項29】
電池が自律(aurinomous)携帯型のエネルギー源である請求項1〜28のいずれか一項に記載の電池。
【請求項30】
電池が負極(1)と正極(2)とを隔てる電解膜(3)を含む請求項1〜29のいずれか一項に記載の電池。
【請求項31】
電解膜(3)がポリマーの電解膜である請求項1〜30のいずれか一項に記載の電池。
【請求項32】
電解膜(3)が無機の電解膜である請求項1〜30のいずれか一項に記載の電池。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の燃料電池の電気エネルギーで動作する携帯装置での使用。
【請求項34】
携帯装置が携帯電話、ラップトップコンピュータまたは携帯工具である請求項33に記載の使用。
【請求項35】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の燃料の、燃料電池でのエネルギー源としての使用。
【請求項1】
電解質の液体媒体(5)と接触した負極(1)および正極(2)と、負極および正極と電気回路(4)とにそれぞれ接続された電流コレクタ(9)とを収用した液密な容器(A)を備えた燃料電池において、
上記液体媒体が燃料を含む水性媒体であり、上記燃料は電池の使用温度で水性媒体に少なくとも部分的に可溶で且つ65℃以上の沸点を有することを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
燃料の引火点が11℃以上である請求項1に記載の電池。
【請求項3】
燃料の引火点が18℃以上である請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
水性媒体をマイクロ流体システムでポンプ輸送可能であるような粘度を燃料が有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
燃料の密度が0.8以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
燃料の密度が0.86以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
燃料が炭素原子と、水素原子と、窒素、酸素およびこれらの組合せの中から選択される少なくとも一種のヘテロ原子とを含む有機化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
燃料が炭素原子を含み、4つ以下の炭素−炭素結合を含む有機化合物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
燃料がエーテルアセタール、ポリエーテルアセタール、カーボネート、オキザレート、尿素およびアミンの中から選択される有機化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
燃料が炭素原子を含み、0〜3つの炭素−炭素結合を含む有機化合物である請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
燃料が1〜20個の炭素原子を含む有機化合物である請求項1〜10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
上記燃料が式(1):R1−(OCH2)n−OR1'(ここで、R1およびR1'は1〜5個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよく、nは1〜8の値の指数であるが、R1およびR1'が同じメチル基のときはnは2以上である)のエーテルアセタールまたはポリエーテルアセタール化合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
燃料がCH3−(OCH2)2−OCH3、CH3−(OCH2)3−OCH3、CH3−(OCH2)4−OCH3、CH3−(OCH2)−OC2H5およびこれらの混合物の中から選択される化合物である請求項1〜12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
燃料が対称な化学構造を有するエーテルアセタールまたはポリエーテルアセタールである請求項1〜13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
上記燃料が式(2):R2−CO−N(R2')R2''(ここで、R2、R2'、R2''は独立して水素原子か、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基を表す)のアミドまたは尿素化合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
上記のアミドまたは尿素化合物が1〜3個の炭素原子を有する請求項15に記載の電池。
【請求項17】
上記のアミドまたは尿素化合物が尿素、メチル尿素、N,N'−ジメチル尿素、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合物の中から選択される請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項18】
上記燃料が式(3):R3−(CO)n−OR3'(ここで、R3およびR3'は独立して1〜8個の炭素原子、例えば1〜3個の炭素原子を含むアルキル基を表し、nは1〜4の整数である)のオキザレートまたはカーボネート化合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項19】
上記アルキル基が1〜3個の炭素原子を有する請求項18に記載の電池。
【請求項20】
上記nが1または2の整数である請求項18に記載の電池。
【請求項21】
上記燃料がジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルオキザレート(DEO)の中から選択される請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項22】
上記燃料が燃料混合物を含む水性媒体であり、この燃料の少なくとも一つのが上記の燃料である請求項1〜21のいずれか一項に記載の電池。
【請求項23】
負極(1)が白金を含む金属材料から成る請求項1〜22のいずれか一項に記載の電池。
【請求項24】
負極(1)が白金と、ルテニウム、錫、ニッケルおよびモリブデンの中から選択される少なくとも一種の金属とを含む金属材料から成る請求項1〜23のいずれか一項に記載の電池。
【請求項25】
負極(1)が白金とルテニウムとの混合物からなり、白金の含有率が50〜90重量%である請求項1〜24のいずれか一項に記載の電池。
【請求項26】
電池が直接燃料電池である請求項1〜25のいずれか一項に記載の電池。
【請求項27】
電池が間接燃料電池である請求項1〜25のいずれか一項に記載の電池。
【請求項28】
電池が水素電池である請求項1〜25および27のいずれか一項に記載の電池。
【請求項29】
電池が自律(aurinomous)携帯型のエネルギー源である請求項1〜28のいずれか一項に記載の電池。
【請求項30】
電池が負極(1)と正極(2)とを隔てる電解膜(3)を含む請求項1〜29のいずれか一項に記載の電池。
【請求項31】
電解膜(3)がポリマーの電解膜である請求項1〜30のいずれか一項に記載の電池。
【請求項32】
電解膜(3)が無機の電解膜である請求項1〜30のいずれか一項に記載の電池。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の燃料電池の電気エネルギーで動作する携帯装置での使用。
【請求項34】
携帯装置が携帯電話、ラップトップコンピュータまたは携帯工具である請求項33に記載の使用。
【請求項35】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の燃料の、燃料電池でのエネルギー源としての使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−530745(P2008−530745A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554597(P2007−554597)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000283
【国際公開番号】WO2006/084993
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000283
【国際公開番号】WO2006/084993
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】
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