説明

水性媒体のための消泡剤

本発明は、水性媒体を消泡するための製剤における、少なくとも1種のジアミンおよび少なくとも1種のジカルボン酸から調製されたポリアミドの使用に関する。本発明はまた、このようなポリアミドを含んでなる水性媒体のための消泡剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消泡に決定的に影響を及ぼす疎水性成分として特定のポリアミドを含んでなる水性媒体のための消泡剤に関する。それらは、溶液からの沈殿によって、および/またはキャリア媒体に導入することによって、消泡剤としてのその特定の活性に必要な特性を獲得し得る。
【背景技術】
【0002】
特に、水性媒体において、例えば、インクおよび塗料の製造において、廃水処理において、製紙において、繊維工業においておよびエマルション重合などにおいておこる多数の工業的過程において、調製または処理作業の際に不要な泡の形成を抑制する、または完全に排除することが必要である。これは、約0.001重量%を上回る極めて低濃度であっても不要な泡を防ぐ、または破壊することができる、泡止め剤または消泡剤として知られているものを添加することによって達成できる。先行技術により、多様な消泡剤、例えば、シリコンオイル、鉱油、疎水性ポリオキシアルキレン、長鎖アルコールおよびまた、これらの製品の互いとの混合物およびそれらのエマルションなどが開示されている。活性は、泡薄膜上の脱濡れ過程を特異的に促進し、したがって、極めて活発に泡崩壊を補助する、0.1%〜10重量%の量のいわゆる疎水性固体を添加することによって高められることが多い。先行技術の適した親水性固体として、対応するシリカ、ステアリン酸金属塩、ポリオレフィンおよびワックスまたは尿素および尿素誘導体がある。
【0003】
特許文献1から、脂肪酸アミドは、消泡剤における疎水性固体として使用できることがわかっている。この目的のために、ジアミンを、脂肪酸族から選択される特定のモノカルボン酸と反応させることが記載されている。これによって、水不溶性固体が生じ、これは、さらなる使用には、必ず、非水性溶媒、例えば、低沸点ミネラルスピリットなどとの混合物で使用される。非水性溶媒を加えずに使用すると、水性媒体中での泡防止の関連では全く効果がなくなる。比較的高粘度のオイルとの混合物が同様に不利と記載されている。
【0004】
特許文献2および特許文献3には、特許文献1由来の既知脂肪酸アミドを使用する方法が記載されており、脂肪酸アミドは、衝撃冷却(shock cooling)操作によって微細分散された形である。
既知脂肪酸アミドの微細分散型を調製するための別の方法は、脂肪酸アミドを有機液体中で溶解温度に加熱し、その後、溶液を激しく撹拌および振盪しながら迅速に冷却することであり、するとすぐ、脂肪酸アミドは微細分散物の形で析出する。この方法の不利点として、有機相を加熱することによって引き起こされる高いエネルギーコストが挙げられる。さらに、固体脂肪酸アミドはまた、任意のミルで製粉することによって必要な微粉度にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許855688
【特許文献2】米国特許3,677,963号
【特許文献3】米国特許3,652,453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
疎水性固体およびキャリア媒体で構成された既存の消泡系のすべてに関連する不利点として、分散された固体のキャリア媒体からの迅速な沈降がある。これは、ジアミンおよび脂肪酸族から選択される特定のモノカルボン酸から調製された上記の脂肪酸アミドを用いる場合、増大した程度に生じる。結果として、保存安定性は相当に低下する。さらに、記載された系は必ず、非水性溶媒、例えば、低沸点ミネラルスピリットなどの使用を必要とするという不利点を有する。しかし、このような溶媒の使用は、もはや最新のものではなく、より厳しい制限および環境義務の背景に対抗するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、極めて広範な水性系の消泡に関して高度の信頼性を提供する疎水性固体を含む高度に一般的な消泡剤を提供し、最小の技術上の複雑性しか伴わないことが本発明の目的である。この消泡剤は、職業衛生学の現代の必要条件および環境義務を満たす担体系と適合すべきである。さらに、高温での保存でさえの高い安定性によって区別されるべきである。
【0008】
驚くべきことに、疎水性固体として、少なくとも1種のジカルボン酸および少なくとも1種のジアミンから調製されたポリアミドを含んでなる消泡製剤は、水性媒体において優れた消泡特性を有することが明らかになった。
ポリアミドの好ましくは直線状のポリマー構造のために、既知ポリアミドと比較して消泡製剤において改良された活性を示す。さらに、可溶性およびキャリア媒体との適合性は、処理能力の最適化と並行して消泡剤活性の相当な増加を達成するような方法での、遊離官能基のモノアミンおよび/またはモノカルボン酸との特定のさらなる反応の可能性によって調整できる。この方法では、さらに、極めて良好な保存安定性を達成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ポリアミドは、長鎖ジカルボン酸、さらに詳しくは、二量体脂肪酸として知られるものの、ジアミンとの重縮合によって得ることができる。
【0010】
ジカルボン酸として特に好ましく用いられるのは、いわゆる二量体脂肪酸であり、これは不飽和脂肪酸を二量体化することによって調製される。下流の操作段階で、得られた二量体を、蒸留および/または水素化によって精製できる。これによって、単量体脂肪酸および/または三量体化された脂肪酸によって代表される不純物が除去される。また、水素化によって、二量体脂肪酸の暗色の著しい改善を達成することが可能である。
【0011】
ジアミンとして、C4〜C36の鎖長を有するジアミンを好ましく使用できる。ヘテロ原子によって鎖が中断されているジアミン、例えば、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミンおよびα,ω−ジアミノポリプロピレングリコールなども使用できる。特に好ましいジアミンとして、ヘキサメチレンジアミンおよびジアミノドデカンがある。
【0012】
ジカルボン酸成分は、ジアミンに対して1:2〜2:1のモル比で用いられることが好ましい。二官能性成分が等モル量で用いられない場合には、ポリアミドは少なくとも1種のモノアミンおよび/または少なくとも1種のモノカルボン酸の基をさらに含んでもよく、これを反応混合物に加えることができる。これは、さらに、等モル比の酸およびアミン官能基を生じることが好ましい。
【0013】
使用できるモノカルボン酸として、C10〜40、好ましくは、C16〜C26の、より好ましくは、C18〜C22の鎖長すべてが挙げられる。これらのモノカルボン酸はまた、モノまたはポリ不飽和であり得る。さらに、天然起源のモノカルボン酸も同様に使用できる。これらの天然起源のモノカルボン酸は、鎖長の異なるモノカルボン酸の混合物であることが多く、また、二重結合の数も異なる。可能性ある例として、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エイコセン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸およびクルパノドン酸が挙げられる。2種以上の脂肪酸の混合物も使用できる。それらは、反応の前に混合してもよいし、反応に別個に加えてもよい。
【0014】
好ましい一実施形態では、ジカルボン酸対モノカルボン酸のモル比は、0.5〜1、より好ましくは、0.5〜0.8、特に好ましくは、0.5〜0.7である。
ジアミン対モノカルボン酸のモル比は、好ましくは、1〜5、より好ましくは、1〜3、特に好ましくは、1〜1.5である。
【0015】
使用できるモノアミンとして、C10〜C40、好ましくは、C12〜C30、より好ましくは、C14〜C24の鎖長を有する、飽和またはモノもしくはポリ不飽和第一または第二アミンがある。牛脂アミン、水素化または非水素化、ステアリルアミン、ココアミンおよびC16〜C22の鎖長を有するアルキルアミンを使用できることが好ましい。用いられることが好ましい第二アミンとして、ジステアリルアミン、ジ牛脂アミンおよびジパルミチルアミンがある。
【0016】
さらなる好ましい実施形態では、ジアミン対モノアミンのモル比は、0.5〜4、より好ましくは、0.5〜2、特に好ましくは、0.5〜1である。
次いで、ジカルボン酸対モノアミンのモル比は、好ましくは、1〜5、より好ましくは、1〜3、特に好ましくは、1〜1.5である。
【0017】
一般的に言えば、縮合後も依然として利用可能である遊離反応基は、さらに反応させることができる。反応基は、反応が完了まで起こらなかった場合に、またはアミンもしくはカルボン酸が過剰に用いられる場合に依然として利用可能であり得る。
遊離酸基は、例えば、アミンを用いて塩の形に変換できる。遊離アミノ基は、例えば、イソシアネートと反応させることができ、またはマイケル付加においてアクリル酸エステルに添加される。これらの修飾によって、ポリアミド鎖の極性が、消泡が起こる予定のキャリア媒体の、または塗料系の必要条件にさらに適合されることが可能になる。
【0018】
重縮合の方法は当業者に公知である。反応の水を除去するために、一方では、共沸混合物形成剤、例えば、トルエンまたはキシレンなどとともに操作することが可能であり、あるいは、操作を溶媒を伴わずに行い、窒素の導入または真空の適用によって、形成される反応の水が除かれる。
【0019】
ポリ縮合物の重量平均分子量は、1,000〜10,000の間、好ましくは、1,500〜7,000の間、より好ましくは、2,000〜4,000の間である。
【0020】
得られた産物は、蝋様または固体である。対応して、ポリ縮合物は、さらなる処理に先立って融解し、次いで、キャリア媒体に加えてもよい。あるいは、ポリ縮合物はまた、消泡剤の製剤に用いられる溶媒あるいはその他の液体添加物中に取り入れてもよい。特に好ましくは、ポリ縮合物は乳化剤に取り入れてもよく、なぜなら、これらはともかく消泡製剤の大部分に添加されるからである。
【0021】
ポリ縮合物は、これらの乳化剤と一緒になって、ゲルを形成する。ゲルは理想的には透明であり、その場合には融解し、種々のキャリア媒体に組み込むことが特に容易である。
【0022】
次いで、ポリ縮合物またはポリ縮合物および乳化剤の混合物またはポリ縮合物の溶媒もしくはその他の液体添加物との混合物を、液体状態でキャリア媒体に加える。
ポリ縮合物またはポリ縮合物および乳化剤の混合物またはポリ縮合物の溶媒もしくはその他の液体添加物との混合物が固体である場合には、それらを使用前にその融点を超えて加熱し、その後、液体状態でキャリア媒体に加える。
【0023】
適したキャリア媒体として、有機オイルおよび鉱油だけでなく、シロキサンまたは有機的に修飾されたシロキサンが挙げられる。
乳化剤の添加によって、この種の消泡製剤が、さらに水性エマルションに変換されることが可能となる。
【0024】
本発明の消泡剤は、例えば、塗料および印刷用インク、ポリマー分散物および冷却滑沢剤を消泡するために使用できる。
【0025】
以下の実施例は、本発明を例示するが、それに対して何ら制限を課すものではない。
【実施例】
【0026】
ポリ縮合物の調製例
実施例1
スターラー、温度計、水分離器、還流冷却器、滴下漏斗および窒素接続部を備えた250mlの三口フラスコに、室温で、67.30gのプリポール(Pripol)1006(登録商標)、67.3gのトール油イル脂肪酸および30gのキシレンを入れる。窒素雰囲気下、この初期投入物を、80℃に加熱する。この温度に達した後、37.14gのヘキサメチレンジアミン(70%水溶液)を、2分にわたって加える。次いで始まる発熱反応の過程では、温度が100℃に上昇する。次いで、温度を徐々に約160℃、キシレン還流があるまで高める。反応混合物を、約160℃で2時間撹拌し、その後、温度を3時間の間180℃に上げ、反応を完了する。この時間の最後には、もはや、反応の水が出されるのを観察することは全くできない。透明な橙色のゲルが得られる。
【0027】
実施例2
スターラー、温度計、水分離器、還流冷却器、滴下漏斗および窒素接続部を備えた250mlの三口フラスコに、室温で、44.51gのプリポール(Pripol)1022(登録商標)、30.85gのラウリン酸および25gのキシレンを入れる。窒素雰囲気下、この初期投入物を、70℃に加熱する。この温度に達した後、24.64gのヘキサメチレンジアミン(70%水溶液)を、10分にわたって加える。次いで始まる発熱反応の過程では、温度が97℃に上昇する。続いて、温度を160℃〜170℃、キシレン還流があるまで高める。4時間の反応時間後、約9.0gの水が出た。透明な褐色のゲルが得られる。
【0028】
実施例3
スターラー、温度計、水分離器、還流冷却器、滴下漏斗および窒素接続部を備えた250mlの三口フラスコに、室温で、36.60gのプリポール(Pripol)1006(登録商標)、43.14gのベヘン酸および25gのキシレンを入れる。窒素雰囲気下、この初期投入物を、70℃に加熱する。この温度に達した後、20.26gのヘキサメチレンジアミン(70%水溶液)を、6分にわたって加える。次いで、温度を約160℃に上げ、この温度でキシレン還流が始まる。4時間の反応時間の後、約8.4gの水が出た。透明な橙色のゲルが得られる。
【0029】
実施例4
スターラー、温度計、水分離器、還流冷却器、滴下漏斗および窒素接続部を備えた250mlの三口フラスコに、室温で、18.52gのセバシン酸、52.18gのオレイン酸、20.51gのヘキサメチレンジアミンおよび0.1gのp−トルエンスルホン酸を入れる。窒素雰囲気下、反応混合物をゆっくりと融解し、温度を180℃に上げる。形成される反応の水を、穏やかな窒素流によって除去する。反応混合物を、これらの条件下に5時間保持する。この時間の最後には、もはや、IR分光法によってカルボン酸を全く決定できない。透明な橙色のゲルが得られる。
【0030】
実施例5
スターラー、温度計、水分離器、還流冷却器、滴下漏斗および窒素接続部を備えた250mlの三口フラスコに、室温で、35.94gのプリポール(Pripol)1006(登録商標)、35.45gのラウリン酸および25gのキシレンを入れる。窒素雰囲気下、この初期投入物を、70℃に加熱する。この温度に達した後、28.61gのヘキサメチレンジアミン(70%水溶液)を、10分にわたって加える。次いで、温度を170℃、キシレン還流が得られるまで上げる。4時間の反応時間後、水はもはや出ない。粘性橙色液体が得られる。
【0031】
実施例6
スターラー、温度計、水分離器、還流冷却器、滴下漏斗および窒素接続部を備えた250ml三口フラスコに、室温で、37.32gのプリポール(Pripol)1006(登録商標)、36.80gのトール油脂肪酸および25gのキシレンを入れる。窒素雰囲気下、この初期投入物を、70℃に加熱する。この温度に達した後、25.88gのジアミノドデカンを、10分にわたって加える。次いで、温度を170℃、キシレン還流が得られるまで上げる。4時間の反応時間後、水はもはや出ない。粘性橙色液体が得られる。
【0032】
プリポール(Pripol)1006(登録商標)=リノール酸をベースとする、精製され、水素化された二量体酸、Uniqema、Gouda、NL
プリポール(Pripol)1022(登録商標)=リノール酸をベースとする、二量体酸、Uniqema、Gouda、NL
【0033】
粒子濃縮物の調製例:
実施例7
実施例1から得た100gのポリ縮合物を、250mlの蒸発フラスコに入れる。180℃の油浴温度で、ロータリーエバポレーターを用い、20mbar未満の真空を適用して、揮発性成分のすべてを60分で留去する。次いで、32.66gの得られたポリ縮合物を、約75〜85℃の温度で、67.34gのソルビタンモノオレエートに溶解する。透明な橙色ゲルが得られる。
【0034】
実施例8
実施例3から得た100gのポリ縮合物を、250mlの蒸発フラスコに入れる。180℃の油温度で、ロータリーエバポレーターを用い、20mbar未満の真空を適用して、揮発性成分のすべてを60分で留去する。次いで、32.66gの得られたポリ縮合物を、約80〜85℃の温度で、67.34gのソルビタンモノオレエートに溶解する。透明な橙色ゲルが得られる。
【0035】
実施例9
実施例4から得た32.66gのポリ縮合物を、約90〜105℃の温度で、67.34gのソルビタンモノオレエートに溶解する。わずかに濁った橙色ゲルが得られる。
【0036】
性能試験:
鉱油消泡製剤中の本発明のポリアミド粒子の性能試験:
【0037】
試験1:
95%のシェルオンジナ(Shell Ondina)941(登録商標)(白色鉱油、Shell、Hamburg、DE)を、5%のソルビタンモノオレエートと混合する。
【0038】
試験2:
92.5gのシェルオンジナ(Shell Ondina)941(登録商標)を、350mlのPEビーカーに入れる。Dispermat CV(4cm 歯付ディスク)を2000rpmで用いるせん断を伴い、7.5gの実施例9から得た融解混合物を加え、4000rpmで3分間分散を行う。
【0039】
試験3:
試験2と同様であるが、実施例7から得たポリアミドを用いる。
【0040】
試験4:
試験2と同様であるが、実施例8から得たポリアミドを用いる。
【0041】
試験2〜4は、本発明の消泡製剤を記載する。
【0042】
試験5:
92.5gのシェルオンジナ(Shell Ondina)941(登録商標)および5gのソルビタンモノオレエートを、350mlのPEビーカー中でホモジナイズする。Dispermat CV(4cm 歯付ディスク)を1000rpmで用いるせん断を伴い、2.5gの微粉化EBSワックス(d50=4μm)を加え、4000rpmで3分間分散を行う。
【0043】
EBS/ワックス/鉱油融解物:3部のシェルオンジナ(Shell Ondina)941(登録商標)を、1部のEBSワックスとともに約140℃でホモジナイズする。
【0044】
試験6:
90gのシェルオンジナ(Shell Ondina)941(登録商標)および5gのソルビタンモノオレエートを、350mlのPEビーカーに入れる。Dispermat CV(4cm 歯付ディスク)を2000rpmで用いるせん断を伴い、10gのEBS/ワックス/鉱油融解物を加え、4000rpmで3分間分散を行う。
【0045】
試験7:
試験6と同様であるが、EBS/ワックス/鉱油融解物を、1000rpmでパドルスターラーによって組み込み、3分間分散させる。
【0046】
試験8:
92.5gのシェルオンジナ(登録商標)(Shell Ondina)および5gのソルビタンモノオレエートおよび2.5gのEBSワックスを、250mlのスチール容器に入れ、約140℃に加熱することによってホモジナイズする。その後、4000rpmでのせん断(Dispermat CV(4cm 歯付ディスク))下で、混合物を、EBSワックスの融点より低くまで冷却し、次いで、比較的低せん断を行いながら温度を50℃未満に冷却する。
【0047】
試験9:
試験8と同様であるが、冷却相の間のせん断を、パドルスターラーのみを用いて1000rpmで実施する。
【0048】
EBSワックス=1,2−エチレンビス(ステアラミド)
試験1〜9から得た消泡製剤を、アクロナール(Acronal)290D(登録商標)をベースとするエマルション塗料におけるその消泡活性について調べる。
【0049】
試験系:アクロナール(Acronal)290D(登録商標)をベースとするエマルション塗料
配合(%で)
1.水 3.50
2.水中、カルゴンN(登録商標)10% 1.45 BK Guilini Chemie、Ladenburg、DE
3.コラクラル(Collacral)VAL(登録商標)
4.80 BASF、Ludwigshafen、DE
4.水中、エムラン(Emulan)OC(登録商標)20%
2.40 BASF、Ludwigshafen、DE
5.アンモニア、25%型 1.00
6.パルメトールA26(登録商標) 0.30 Sculke&Mayr、Norderstedt、DE
7.クロノス(kronos)2059(登録商標)
24.00 Kronos Titan、leverkusen、DE
8.ホワイト・スピリットK30(登録商標) 0.25
9.ブチルグリコール 2.90
10.アクロナール(Acronal)290D(登録商標)
48.00 BASF、Ludwigshafen、DE
11.水 11.40
100.00
【0050】
調製指示:
項目1〜6を混合し、撹拌しながら項目7を加え、20分間分散する(分散20分 9.8m/s=1865rpm d=10cm)。
項目8および9を混合し、撹拌しながら加える。項目10および11を撹拌しながら加える。全体を930rpmでさらに15分間撹拌する。
【0051】
消泡剤の組み込みおよび試験:
50gのエマルション塗料を秤量し、175mlのPEビーカーに入れ、0.5%の試験消泡剤を加える。
組み込み:溶解機、歯付ディスクd=4cm、1865rpm=4m/sで2分。
サンプルを室温で16〜24時間保存し、その後塗布する。
その後、30gのサンプルを、解放孔(open−pored)フォームローラーを用いてコントラストチャート(コーティングされた、2801番、BYK−Gardner、大きさ約28cm×21cm)に塗布する。フォームローラー(Friess製、5.5cm幅、d=8cm、ハンドル付、3918730番)を、各試験の前に水で洗い流し、次いで、絞り、タオル上で可能な限り完全に回転乾燥する。
【0052】
試験の結果:
【表1】

評価:
0=完全な消泡
5=消泡活性なし
【0053】
本発明のポリアミド粒子を含んでなる消泡製剤は、保存時の極めて良好な安定性によって区別される。
【0054】
ポリグリコール消泡製剤中の本発明のポリアミド粒子の性能試験
試験10:
93.8gのポリグリコールP4000(登録商標)(Dow Chemical、Midland、US)を、6.2gのソルビタンモノオレエートと混合する。
【0055】
試験11:
実施例4から得た2.5部のポリアミドを、5部のソルビタンモノオレエートと、約100℃に加熱しながらホモジナイズする。90.8gのポリグリコールP4000(登録商標)を、350mlのPEビーカーに入れる。Dispermat CV(4cm 歯付ディスク)を用いるせん断を伴い、9.2gの、ポリアミドおよびソルビタンモノオレエートの混合物を、3000rpmで加え、4000rpmで3分間分散する。
【0056】
試験12:
試験11と同様であるが、実施例1から得たポリアミドを含む
【0057】
試験13:
試験11と同様であるが、実施例3から得たポリアミドを含む
試験11〜13は、本発明の消泡製剤を記載する。
【0058】
試験14:
93.8gのポリグリコールP4000(登録商標)および6.13gのソルビタンモノオレエートを、350mlのPEビーカー中でホモジナイズする。
Dispermat CV(4cm 歯付ディスク)を1000rpmで用いるせん断を伴い、3.07gの微粉化EBSワックス(d50=4μm)を加え、4000rpmで3分間分散を行う。
【0059】
試験10〜14から得た消泡製剤を、Mowilith DM611(登録商標)をベースとするエマルション塗料におけるその消泡活性について調べる。
【0060】
試験系:Mowilith DM611(登録商標)をベースとするエマルション塗料
配合(%で)
1.水 17.70
2.水中、カルゴンN(登録商標)10% 2.00 BK Guilini Chemie、Ladenburg、DE
3.アンモニア、32%型 0.30
4.パルメトールA26(登録商標) 0.20 Sculke&Mayr、Norderstedt、DE
5.BYK−154(登録商標) 0.80 BYK Chemie、Wesel、DE
6.Natrasol 250 HHR(登録商標) 0.20 Hercules、Wilmington、US
7.二酸化チタン RHD−2(登録商標) 20.00
8.Finntalk M15(登録商標) 6.00 Omya、Cologne、DE
9.Durcal 5(登録商標) 17.00 Omya、Cologne、DE
10.Socal P2(登録商標) 4.00 Solvay、Brussels、BE
11.Mowilith DM 611(登録商標) 29.50 Celanese、Dallas、US
12.Viscalex HV30(登録商標) 0.30 Ciba、Basle、CH
13.ホワイト・スピリット 1.30
14.テキサノール 0.70
100.00
【0061】
調製指示:
項目1〜5を混合し、撹拌しながら項目6を加え、Natrosol(登録商標)が溶解するまで10〜15分撹拌する。項目7〜10を混合し、撹拌しながら加える。
分散:15分3730rpm。項目11を撹拌しながら加え、項目12を加え、項目13および14を混合し、撹拌しながら加える。全体を930rpmでさらに5分間撹拌する。
【0062】
消泡剤の組み込み及び試験:
50gのエマルション塗料を秤量し、175mlのPEビーカーに入れ、0.5%の試験消泡剤を加える。
組み込み:溶解機、歯付ディスクd=4cm、1865rpm=4m/sで2分。
サンプルを室温で16〜24時間保存し、その後塗布する。
その後、30gのサンプルを、解放孔(open−pored)フォームローラーを用いてコントラストチャート(コーティングされた、2801番、BYK−Gardner、大きさ約28cm×21cm)に塗布する。フォームローラー(Friess製、5.5cm幅、d=8cm、ハンドル付、3918730番)を、各試験の前に水で洗い流し、次いで、絞り、タオル上で可能な限り完全に回転乾燥する。
【0063】
試験の結果:
【表2】

評価:
0=完全な消泡
5=消泡活性なし
【0064】
本発明のポリアミド粒子を含んでなる消泡製剤は、保存時の極めて良好な安定性によって区別される。EBSワックスを含んでなる消泡製剤は保存時に安定でない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体を消泡するための製剤における、少なくとも1種のジアミンおよび少なくとも1種のジカルボン酸から調製されたポリアミドの使用。
【請求項2】
ポリアミドが、少なくとも1種のモノアミンの、および/または少なくとも1種のモノカルボン酸の基をさらに含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ポリアミドが乳化剤に取り入れられている、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
ジアミンがC4〜C36の鎖長を有する、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
ジアミンが鎖中にさらなるヘテロ原子を含む、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
ジアミンがヘキサメチレンジアミンおよび/またはジアミノドデカンである、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
ジカルボン酸が少なくともC10の鎖長を有する、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
ジカルボン酸が二量体脂肪酸である、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
モノカルボン酸が、C10〜C40の、好ましくは、C16〜C26、より好ましくは、C18〜C22の鎖長を有する、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
モノカルボン酸が、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エイコセン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸および/またはそれらの混合物である、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
モノアミンが、C10〜C40、好ましくは、C12〜C30、より好ましくは、C14〜C24の鎖長を有する、飽和またはモノもしくはポリ不飽和第一または第二アミンである、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
モノアミンが、水素化または非水素化牛脂アミン、ステアリルアミン、ココアミン、C16〜C22の鎖長を有するアルキルアミン、ジステアリルアミン、ジ牛脂アミン、ジパルミチルアミンまたはそれらの混合物である、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
ジカルボン酸が、ジアミンに対して0.5〜2のモル比で用いられる、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
モノカルボン酸に対するジカルボン酸のモル比が、0.5〜1、好ましくは、0.5〜0.8、より好ましくは、0.5〜0.7である、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
モノカルボン酸に対するジアミンのモル比が、1〜5、好ましくは、1〜3、より好ましくは、1〜1.5である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
モノアミンに対するジアミンのモル比が、0.5〜4、好ましくは、0.5〜2、より好ましくは、0.5〜1である、前記の請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
モノアミンに対するジカルボン酸のモル比が、1〜5、好ましくは、1〜3、より好ましくは、1〜1.5である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
ポリ縮合物の重量平均分子量が、1,000〜10,000の間、好ましくは、1,500〜7,000の間、より好ましくは、2,000〜4,000間である、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
製剤が、キャリア媒体、好ましくは、有機オイルまたは鉱油、シロキサンまたは有機的に修飾されたシロキサンをさらに含んでなる、前記の請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
少なくとも1種のジアミンおよび少なくとも1種のジカルボン酸から調製された少なくとも1種のポリアミドを含んでなる、水性媒体のための消泡剤。
【請求項21】
ポリアミドが、少なくとも1種のモノアミンおよび/または少なくとも1種のモノカルボン酸の基をさらに含む、請求項20に記載の消泡剤。
【請求項22】
ジアミンがC4〜C36の鎖長を有する、請求項20または21に記載の消泡剤。
【請求項23】
ジアミンが、鎖中にさらなるヘテロ原子を含む、請求項20から22のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項24】
ジアミンが、ヘキサメチレンジアミンおよび/またはジアミノドデカンである、請求項20から22のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項25】
ジカルボン酸が、少なくともC10の鎖長を有する、前記の請求項20から24のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項26】
ジカルボン酸が二量体脂肪酸である、前記の請求項20から25のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項27】
モノカルボン酸が、C10〜C40、好ましくは、C16〜C26、より好ましくは、C18〜C22の鎖長を有する、前記の請求項20から26のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項28】
モノカルボン酸が、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エイコセン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸および/またはそれらの混合物である、前記の請求項20から27のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項29】
モノアミンが、C10〜C10、好ましくは、C12〜C30、より好ましくは、C14〜C24の鎖長を有する、飽和またはモノもしくはポリ不飽和第一または第二アミンである、前記の請求項20から28のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項30】
モノアミンが、水素化または非水素化牛脂アミン、ステアリルアミン、ココアミン、C16〜C22の鎖長を有するアルキルアミン、ジステアリルアミン、ジ牛脂アミン、ジパルミチルアミンまたはそれらの混合物である、前記の請求項20から29のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項31】
ジカルボン酸が、ジアミンに対して0.5〜2のモル比で用いられる、前記の請求項20から30のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項32】
モノカルボン酸に対するジカルボン酸のモル比が、0.5〜1、好ましくは、0.5〜0.8、より好ましくは、0.5〜0.7である、前記の請求項20から31のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項33】
モノカルボン酸に対するジアミンのモル比が、1〜5、好ましくは、1〜3、より好ましくは、1〜1.5である、前記の請求項32に記載の消泡剤。
【請求項34】
モノアミンに対するジアミンのモル比が、0.5〜4、好ましくは、0.5〜2、より好ましくは、0.5〜1である、前記の請求項20から31のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項35】
モノアミンに対するジカルボン酸のモル比が、1〜5、好ましくは、1〜3、より好ましくは、1〜1.5である、請求項34に記載の消泡剤。
【請求項36】
ポリアミドが、1,000〜10,000の間、好ましくは、1,500〜7,000の間、より好ましくは、2,000〜4,000の間の重量平均分子量を有する、請求項20から35のいずれか一項に記載の消泡剤。
【請求項37】
塗料、印刷用インク、ポリマー分散物、冷却滑沢剤における、または製紙における、請求項20から36のいずれか一項に記載の消泡剤の使用。

【公表番号】特表2010−511499(P2010−511499A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539652(P2009−539652)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010488
【国際公開番号】WO2008/067974
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(598067245)ベーイプシロンカー ヘミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング (30)
【Fターム(参考)】