説明

水性接着剤組成物

【課題】ヤニ成分の多い木材の接着に際して優れた接着力を得ることができ、さらに優れた耐水性、耐熱性、耐久性を得ることができる水性接着剤組成物を提供する。
【解決手段】水溶性高分子を含む主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤と、一般式(A)で表される構造を有する化合物と、エポキシ化合物とを含む。前記エポキシ化合物は、エピハロヒドリンをポリアミンまたはポリアミドと反応させて得られたポリアミドエポキシ化合物単独でもよく、該ポリアミドエポキシ化合物と、第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物とを併用してもよい。前記水性高分子は、水溶性高分子、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種である。
−(CH−CH(R)−O)−R ・・・(A)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材、特に集成材の接着に用いられる水性接着剤組成物に関するものであり、さらに詳しくはヤニ成分の多い集成材の接着に用いられる水性接着剤組成物に関するものである。尚、本明細書において、「ヤニ」との用語は、木材に含まれるロジン等の天然樹脂を意味する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材用の水性接着剤組成物として、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョン等の水性高分子を主剤とし、該主剤に硬化剤としてイソシアネート化合物を配合した水性高分子−イソシアネート系接着剤が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
前記水性高分子−イソシアネート系接着剤は、有機溶剤、遊離ホルムアルデヒドを含まないので、該有機溶剤による環境汚染、該遊離ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群、化学物質過敏症等の虞がない。また、前記水性高分子−イソシアネート系接着剤によれば、被接着物を冷熱圧締で所要の接着力を得ることができるので、用途が限定されることもなく、さらに使用可能時間が長いので優れた塗布作業性を得ることができる。
【0004】
ところで、前記水性高分子−イソシアネート系接着剤によれば、カバ材等のようにラワン材よりヤニ成分が多い木材からなる集成材を接着する際には、十分な接着力を得ることが困難であるという問題がある。また、カラマツ、アカマツ等に代表されるマツ系統のようなヤニ成分の多い木材を構造用集成材に使用する際には、脱脂処理を施すことが前提となっているが、十分な脱脂が困難なために十分な接着力を得ることが難しいという問題がある。
【0005】
前記問題を解決するために、本出願人は、水性高分子−イソシアネート系接着剤に、ヤニ成分を溶解する化合物を配合してなる水性接着剤組成物を提案している(特許文献2参照)。前記水性接着剤組成物によれば、ヤニ成分を溶解する化合物がヤニ成分を溶解し、該ヤニ成分を接着剤組成物及び被着体である集成材に分散させることができるので、前記水性高分子に本来の接着性能を発揮させ、ヤニ成分の多い木材に対しても優れた接着性能を得ることができる。
【0006】
しかしながら、前記水性高分子−イソシアネート系接着剤に、ヤニ成分を溶解する化合物を配合してなる前記水性接着剤組成物は、耐熱性、耐水性、耐久性において、十分な接着力を得ることができないことがあり、さらに改善が望まれる。
【特許文献1】特開2002−194317号公報
【特許文献2】特開2007−070406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑み、ヤニ成分が多い木材に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において優れた接着性能を備える水性接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の水性接着剤組成物は、水性高分子を含む主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤と、一般式(A)で表される構造を有する化合物とを含む水性接着剤組成物において、エポキシ化合物を含むことを特徴とする。
【0009】
−(CH−CH(R)−O)n−R ・・・(A)
(式中、Rはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基または2−エチルヘキシルオキシ基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子、アセチル基または炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す。)
ヤニ成分の多い木材を接着しようとするときには、接着剤がヤニ成分により阻害されるために、十分な接着力を得ることが難しい。そこで、本発明の水性接着剤組成物は、前記主剤に一般式(A)で表される構造を有する化合物を配合することにより、該化合物がヤニ成分を溶解し、該ヤニ成分を接着剤組成物および被着体である集成材に分散させることができる。この結果、本発明の水性接着剤組成物は、前記主剤に本来の接着性能を発揮させることができ、該主剤に前記イソシアネート化合物が硬化剤として作用して、接着層を硬化させることができる。また、本発明の水性接着剤組成物によれば、さらに前記エポキシ化合物が前記接着層の硬化に関与することにより、耐水性、耐熱性、耐久性の点でも優れた接着性能を得ることができる。
【0010】
また、本発明の水性接着剤組成物において、前記エポキシ化合物としては、エピハロヒドリをポリアミンまたはポリアミドと反応させて得られるポリアミドエポキシ化合物を単独で用いてもよいが、該ポリアミドエポキシ化合物と、次の一般式(1)で示される第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物とを併用することにより、耐水性、耐熱性、耐久性の点でも優れた接着性能を得ることができる。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Dは、炭素数1〜12の直鎖アルキレン基、炭素数1〜12の分岐アルキレン基、フェニレン基、アルキル基置換フェニレン基、ハロゲン置換フェニレン基、炭素数3〜12のアルキル基置換環式アルキレン基からなる群から選択される1種の2価の基を示す。)

本発明の水性接着剤組成物において、水性高分子としては、水溶性高分子、該水溶性高分子の水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0014】
本実施形態の水性接着剤組成物は、水性高分子を含む主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤と、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物と、エポキシ化合物とを含む。
【0015】
前記水性高分子としては、水溶性高分子、該水溶性高分子の水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0016】
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基等を導入したポリビニルアルコール誘導体、澱粉、蛋白質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、マレイン酸イミド共重合体等を挙げることができる。前記水溶性高分子は、水に溶解してそれ自体の水溶液としてもよい。
【0017】
また、前記水性ラテックスまたは水性エマルジョンとしては、スチレン、ブタジエン、アクリルアミド、アクリロニトリル、クロロプレン、1,3−ヘキサジエン、イソプレン、イソブテン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチルビニルエーテルからなる群から選択された1種の化合物の水性ラテックスまたは水性エマルジョン、または前記化合物群から選択された共重合可能な2種以上の不飽和単量体からなる水性ラテックスまたは水性エマルジョンを挙げることができる。前記水性ラテックスまたは水性エマルジョンは、カルボキシル基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、グリシジル基、β−メチルグリシジル基、水酸基、アミノ基、酸無水物からなる群から選ばれた反応性基の1種または2種以上を備える不飽和単量体を乳化重合させた変性ラテックスまたは変性エマルジョンであってもよい。
【0018】
前記主剤は、全量に対して、前記水性高分子を、固形分として3〜54重量%の範囲で含むことが好ましい。前記水性高分子の含有量が、固形分として前記主剤の全量に対して3重量%未満であると、接着層を硬化させる効果が不十分となり、十分な接着性能が得られないことがある。また、前記水性高分子の含有量が、固形分として前記主剤の全量に対して54重量%を超えるときは、粘度が上昇し、塗布性が低減することがある。
【0019】
さらに、前記主剤は、本実施形態の水性接着剤組成物の接着性能を損なわない範囲で、充填剤と、その分散剤等を含んでいてもよい。前記充填剤としては、小麦粉、大豆粉、血粉、木粉、クルミ殻粉等の有機系充填剤、クレー、カオリン、ゼオライト、炭酸力ルシウム、タルク、シリカ、酸化アルミニウム等の無機系充填剤等を挙げることができる。前記充填剤は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。前記充填剤の分散剤としては、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム等の無機系分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の高分子系分散剤等を挙げることができる。前記充填剤の分散剤は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
前記硬化剤に用いるイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’―ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリメチルキシリレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレシ−1,6−ジイソシアネート、4,4−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネートと1,4−キシリレンジイソシアネートとの混合物、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0021】
前記イソシアネート化合物の例としては、さらに、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビューレット体、炭酸ガスとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジリジントリオン環を有するポリイソシアネートを挙げることができる。また、前記イソシアネート化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の低分子量ポリオールとポリイソシアネートとの付加体、或いはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とポリイソシアネートとの高分子ポリオール等との付加体等のNCO末端化合物及び、これらの2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
前記イソシアネート化合物は、いずれか1種を単独で、または2種以上混合して用いることができる。前記2種以上のイソシアネート化合物の混合物としては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物を好適に用いることができる。
【0023】
本実施形態の水性接着剤組成物は、前記主剤100重量部に対して、前記イソシアネート化合物を、固形分として5〜70重量部の範囲で含むことが好ましい。前記イソシアネート化合物の含有量が、固形分として前記主剤100重量部に対して5重量部未満であると、接着層を硬化させる効果が不十分となり、十分な接着性能が得られないことがある。また、前記イソシアネート化合物の含有量が、固形分として前記主剤100重量部に対して70重量部を超えるときは、相対的に前記主剤の含有量が低減し、十分な接着性能が得られないことがあり、あるいは前記主剤と均一に混合できないことがある。
【0024】
尚、本実施形態の水性接着剤組成物は、その接着性能を損なわない範囲で、前記イソシアネート化合物以外の硬化剤を含んでいてもよい。
【0025】
前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としては、アルコール系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物を挙げることができる。
【0026】
前記アルコール系化合物は、前記エステル系化合物または前記エーテル系化合物に比較してヤニ成分を最もよく溶解することができ、もちろん沸点によっても異なるが低沸点の化合物ほどヤニ成分をよく溶解する。従って、前記アルコール系化合物を含有する本実施形態の水性接着剤組成物は、ヤニ成分を多く含有する木材からなる集成材に対しても優れた接着力を得ることができる。
【0027】
しかしながら、前記アルコール系化合物は、前記イソシアネート化合物と反応する可能性があり、硬化剤と主剤との反応を低減させる可能性がある。従って、前記アルコール系化合物は、前記硬化剤と主剤との反応を低減させる可能性を考慮して、本実施形態の水性接着剤組成物に対する配合量を決定する必要がある。
【0028】
前記エステル系化合物は、前記アルコール系化合物と同様にヤニ成分をよく溶解することができ、もちろん沸点によっても異なるが低沸点の化合物ほどヤニ成分をよく溶解する。従って、前記エステル系化合物を含有する本実施形態の水性接着剤組成物は、ヤニ成分を多く含有する木材からなる集成材に対しても優れた接着力を得ることができる。
【0029】
前記エステル系化合物は、前記アルコール系化合物に比較して、前記イソシアネート化合物と反応する可能性は低く、硬化剤と主剤との反応に影響を与えないが、該エステル系化合物自体が分解する可能性がある。従って、前記エステル系化合物は、それ自体が分解する可能性を考慮して、本実施形態の水性接着剤組成物の調製時に、pH等の調製条件に注意が必要である。
【0030】
前記エーテル系化合物は、前記アルコール系化合物、前記エステル系化合物に比較するとヤニ成分を溶解し難いが、本実施形態の水性接着剤組成物に配合するには十分なヤニ成分の溶解性を備えている。前記エーテル系化合物は、もちろん沸点によっても異なるが低沸点の化合物ほどヤニ成分をよく溶解し、ヤニ成分を多く含有する木材からなる集成材に対しても優れた接着力を得ることができる。
【0031】
また、前記エーテル系化合物は、前記アルコール系化合物に比較して、前記イソシアネート化合物と反応する可能性は低く、硬化剤と主剤との反応に影響を与えない。さらに、前記エーテル系化合物は、前記エステル系化合物のようにそれ自体が分解する可能性も低い。従って、前記エーテル系化合物は、前記アルコール系化合物、前記エステル系化合物に対し、取り扱いが容易であることにおいて最も有利である。
【0032】
上述のように前記アルコール系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物は、それぞれ異なる特性を備えているので、それぞれの特性に応じて、いずれか1種を単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0033】
前記アルコール系化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジリエチレングリコールモノn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノn−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0034】
また、前記エステル系化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート等を挙げることができる。
【0035】
さらに、前記エーテル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。
【0036】
本実施形態の水性接着剤組成物は、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物を、0.5〜30重量部の範囲で含むことが好ましい。前記一般式(A)で表される構造を有する化合物の含有量が、前記主剤100重量部に対して0.5重量部未満であると、ヤニ成分を溶解させる効果が不十分となり、十分な接着性能が得られないことがある。また、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物の含有量が、前記主剤100重量部に対して30重量部を超えるときは、相対的に前記主剤の含有量が低減し、十分な接着性能が得られないことがあり、あるいは粘度が上昇し、塗布性が低減することがある。
【0037】
前記エポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアネート型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、それらのハロゲン化物、水素添加物、ポリアミドエポキシ化合物、第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0038】
前記エポキシ化合物は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。前記エポキシ化合物は、1種を単独で用いるときには前記ポリアミドエポキシ化合物であることが好ましく、前記2種以上のエポキシ化合物の混合物としては、例えば、前記ポリアミドエポキシ化合物と、前記第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物との混合物を用いることが好ましい。
【0039】
前記ポリアミドエポキシ化合物としては、エピハロヒドリンを、二塩基性力ルボン酸系化合物とポリアルキレンポリアミン類とを重縮合反応させて得られるポリアミンまたはボリアミドと反応させて得られたものを好適に用いることができる。
【0040】
前記エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等を挙げることができる。工業的には、エピクロルヒドリンを好適に用いることができる。
【0041】
前記二塩基性力ルボン酸系化合物としては、ジカルボン酸と、そのエステル、その酸無水物等の誘導体を挙げることができる。前記ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等のエステル、無水コハク酸、無水グルタル酸等の酸無水物を挙げることができる。前記ジカルボン酸はその1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。工業的には、アジピン酸を特に好適に用いることができる。
【0042】
前記ポリアルキレンポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等を挙げることができる。前記ポリアルキレンポリアミン類はその1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。工業的には、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラミンを好適に用いることができる。
【0043】
前記第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1−(N,N−ジグリシジルアミノメチル)1,5,5−トリメチル−3−(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,4−フェニレンジアミン、(N,N,N’,N’−テトラグリシジル)ジアミノトルエン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キジレンジアミン、そのハロゲン2置換体、ビス(N,N−ジグリシジルアミノフエノール)スルホン、4’−(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼンスルホン酸の4’−(N,N−ジグリシジルアミノ)フェニルエステル、ビス(N,N−ジグリシジルアミノトリメチレン)アルキレングリコール等を挙げることができる。
【0044】
前記第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物としては、N,N−グリシジルアミノ基を含有する化合物を好適に用いることができ、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を特に好適に用いることができる。
【0045】
本実施形態の水性接着剤組成物は、前記主剤100重量部に対して、前記エポキシ化合物を、固形分として0.2〜25重量部の範囲で含むことが好ましい。前記エポキシ化合物の含有量が、固形分として前記主剤100重量部に対して0.2重量部未満であると、接着層に耐水性、耐熱性、耐久性を付与させる効果が不十分となり、十分な接着性能が得られないことがある。また、前記エポキシ化合物の含有量が、固形分として前記主剤100重量部に対して25重量部を超えるときは、相対的に前記主剤の含有量が低減し、十分な接着性能が得られないことがある。
【0046】
本実施形態の水性接着剤組成物は、その接着性能を損なわない範囲で、さらに添加剤を含んでいてもよい。前記添加剤としては、例えば、高分子分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、ポリカルボン酸塩系の分散剤、ヘキサメタリン酸ソーダ等の分散剤、消泡剤、防腐剤、防火剤、防蟻剤、防カビ剤、防虫剤、整泡剤、起泡剤、防錆剤、湿潤剤、濡れ性改質剤等を挙げることができる。
【0047】
本実施形態の水性接着剤組成物は、例えば、まず前記主剤を調製し、該主剤に前記一般式(A)で表される構造を有する化合物、エポキシ化合物及び、イソシアネート化合物からなる硬化剤を添加、混合することにより、調製、製糊する。
【0048】
前記主剤は、例えば、前記水性高分子に、前記充填剤と、該充填剤の分散剤とを添加して、混合することにより調製する。
【0049】
前記一般式(A)で表される構造を有する化合物、前記エポキシ化合物、前記イソシアネート化合物は、本実施形態の水性接着剤組成物を被着材に塗布する直前に、前記主剤に添加、混合することが好ましい。前記一般式(A)で表される構造を有する化合物、前記エポキシ化合物は、予め前記主剤に添加、混合しておいてもよいが、この場合には前記水性接着剤組成物の保存安定性が低減することがある。
【0050】
本実施形態の水性接着剤組成物は、優れた耐水接着力を備え、該耐水接着力を、加熱下、或いは高温多湿の環境下、長期に亘って維持することができる。従って、本実施形態の水性接着剤組成物は、合板、LVL、突板、化粧板、集成材、パーティクルボード等の木質繊維板、家具、建具、運動具その他の木工製品製造用の木材用接着剤として好適に用いることができる。
【0051】
また、本実施形態の水性接着剤組成物は、木材同士の他、木材と異種の素材とを接着する場合にも適用することができる。前記異種の素材としては、段ボール、紙、布、金属、陶磁器、ガラス、木毛板、プラスチック板(塩化ビニル樹脂板、ABS板、FRP板、スチレン樹脂板等)、無機板(アスベスト、ロックウール等の鉱物質繊維板等)、セメント系無機板(石綿スレート板、パルプセメント板、コンクリート板等)等を挙げることができる。
【0052】
さらに、本実施形態の水性接着剤組成物は、コーティング用、塗料用組成物としても用いることができる。
【0053】
次に、本発明の実施例と比較例とを示す。
【実施例1】
【0054】
本実施例では、まず、水溶性高分子水溶液として、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を9.7重量%の濃度の水溶液としたもの35重量部、充填剤として炭酸力ルシウム(東洋ファインケミ力ル株式会社製、商品名:ホワイトンP―30)65重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.3重量部を混合して主剤を調製した。
【0055】
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物(A1))5重量部を添加した。
【0056】
次に、前記主剤100重量部に対して、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部と、エポキシ化合物として、ポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)5重量部とを、添加、撹絆して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0057】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、「JIS K 6806」に基づいて、接着性能を試験した。
【0058】
前記試験では、カバ材よりヤニ成分の多い材料を想定して、含水率6〜8重量%、比重0.72〜0.75の10mm厚のカバ柾目挽板に対し、ロジン含有エタノール溶液(ロジン濃度25重量%)を片面に35g/mの量で塗布し、20℃で15分乾燥したものを被着材とした。次に、該被着材に、本実施例で得られた水性接着剤組成物を250g/mの量で塗布し、開放堆積時間20℃にて1分以内、閉鎖堆積時間20℃にて10分以内、20℃にて1.2MPaの圧力で24時間圧締した後、解圧し、20℃にて7日間養生したものを試験片とした。そして、前記各試験片の圧縮せん断接着強さを、常態、耐温水、煮沸繰り返しの3通りの条件で、測定した。
【0059】
試験結果を表1に示す。試験結果は、「JIS K 6806」に定める試験機により試験片が破断するまでの最大荷重を測定し、実測した接着面積で除した接着強さ(N/cm)で示す。
【0060】
「JIS K 6806」に基づく接着性能試験において、「常態」とは試験片作成後、直ちに試験に供するもので、耐水性に関わらない接着力を示す。また、「耐温水」とは試験片を60℃±3℃の温水中に3時間浸漬した後、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で試験に供するもので、耐水性及び耐熱性の指標となるものである。また、「煮沸繰り返し」とは試験片を沸騰水中に4時間浸漬した後、60℃±3℃の空気中で20時間乾燥し、さらに沸騰水中に4時間浸漬してから、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で試験に供するもので、耐久性の指標となるものである。
【実施例2】
【0061】
本実施例では、まず、水溶性高分子水溶液として、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を17重量%水溶液としたもの70重量部、充填剤として炭酸力ルシウム(東洋ファインケミ力ル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.3重量部を混合して主剤を調製した。
【0062】
次に、実施例1で用いた主剤に代えて、本実施例で調製した前記主剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0063】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表1に示す。
【実施例3】
【0064】
本実施例では、まず、水性エマルジョンとして、固形分50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカフレックス456HQ)70重量部、充填剤として炭酸力ルシウム(東洋ファインケミ力ル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.3重量部を混合して主剤を調製した。
【0065】
次に、実施例1で用いた主剤に代えて、本実施例で調製した前記主剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0066】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表1に示す。
【実施例4】
【0067】
本実施例では、まず、水溶性高分子水溶液として、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を17重量%水溶液としたもの30重量部、水性エマルジョンとして、固形分50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカフレックス456HQ)40重量部、充填剤として炭酸力ルシウム(東洋ファインケミ力ル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.3重量部を混合して主剤を調製した。
【0068】
次に、実施例1で用いた主剤に代えて、本実施例で調製した前記主剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0069】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表1に示す。
【実施例5】
【0070】
本実施例では、まず、水溶性高分子水溶液として、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を17重量%水溶液としたもの10重量部、水性エマルジョンとして、固形分65重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(電気化学工業株式会社製、商品名:デンカEVAテックス65)80重量部、充填剤として炭酸力ルシウム(東洋ファインケミ力ル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)10重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.3重量部を混合して主剤を調製した。
【0071】
次に、実施例1で用いた主剤に代えて、本実施例で調製した前記主剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0072】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表1に示す。
【実施例6】
【0073】
本実施例では、まず、水溶性高分子水溶液として、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を17重量%水溶液としたもの30重量部、水性エマルジョンとして、固形分50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカフレックス456HQ)10重量部、水性ラテックスとして、固形分50重量%のアクリルラテックス(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ポリトロンT−8250)30重量部、充填剤として炭酸力ルシウム(東洋ファインケミ力ル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.3重量部を混合して主剤を調製した。
【0074】
次に、実施例1で用いた主剤に代えて、本実施例で調製した前記主剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0075】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表1に示す。
【実施例7】
【0076】
本実施例では、まず、水溶性高分子水溶液として、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ゴーセファイマーZ−100)を17重量%水溶液としたもの30重量部、水性エマルジョンとして、固形分50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカフレックス456HQ)10重量部、水性ラテックスとして、固形分50重量%のアクリルラテックス(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:ポリトロンT−8250)30重量部、充填剤として炭酸力ルシウム(東洋ファインケミ力ル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.3重量部を混合して主剤を調製した。
【0077】
次に、実施例1で用いた主剤に代えて、本実施例で調製した前記主剤を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0078】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表1に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物を用いなかった以外は、実施例7と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0079】
次に、本比較例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
表1から、水性高分子を含む主剤に、イソシアネート化合物からなる硬化剤と、一般式(A)で表される構造を有する化合物と、エポキシ化合物とを添加した水性接着剤組成物(実施例1〜7)によれば、エポキシ化合物を含まない場合(比較例1)に比較して、「耐温水」、「煮沸繰返し」において、特に優れた接着性能を示すことが明らかである。
【0082】
また、前記実施例1〜7の水性接着剤組成物は、主剤の全量に対し、前記水性高分子をその固形分で3.4〜53.7重量%の範囲で含むことにより、ヤニ成分の多い材料に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において、特に優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
【実施例8】
【0083】
本実施例では、実施例7と全く同一にして調製した主剤100重量部に対して、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物(A1))5重量部を添加した。
【0084】
次に、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)1重量部と、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部とを添加、撹絆して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0085】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例9】
【0086】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を3重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0087】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例10】
【0088】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を5重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0089】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例11】
【0090】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を7重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0091】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例12】
【0092】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を10重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0093】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例13】
【0094】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を20重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0095】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例14】
【0096】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を40重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0097】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例15】
【0098】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を70重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0099】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【実施例16】
【0100】
本実施例では、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)を100重量部とした以外は、実施例8と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0101】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表2から、前記実施例8〜16の水性接着剤組成物は、前記主剤100重量部に対し、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物を、その固形分で0.25〜25重量部の範囲で含むことにより、ヤニ成分の多い材料に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において、特に優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
【実施例17】
【0104】
本実施例では、実施例7と全く同一にして調製した主剤100重量部に対して、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物(A1))5重量部を添加した。
【0105】
次に、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物として、第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X)1重量部を混合した。
【0106】
さらに、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物として、ポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)5重量部と、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部とを添加、撹絆して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0107】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表3に示す。
【実施例18】
【0108】
本実施例では、エポキシ化合物として第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X)を2重量部とした以外は、実施例17と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0109】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表3に示す。
【実施例19】
【0110】
本実施例では、エポキシ化合物として第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X)を5重量部とした以外は、実施例17と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0111】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表3に示す。
【実施例20】
【0112】
本実施例では、エポキシ化合物として第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X)を10重量部とした以外は、実施例17と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0113】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表3に示す。
【0114】
【表3】

【0115】
表3から、前記実施例17〜20の水性接着剤組成物は、種類の異なる2種のエポキシ化合物として、ポリアミドエポキシ化合物と第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物とを含むことにより、ヤニ成分の多い材料に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において、特に優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
【0116】
また、前記実施例17〜20の水性接着剤組成物は、主剤100重量部に対して、前記ポリアミドエポキシ化合物を5重量部と、前記第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物を1〜10重量部の範囲で含むことにより、ヤニ成分の多い材料に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において、さらに優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
【実施例21】
【0117】
本実施例では、実施例7と全く同一にして調製した主剤100重量部に対して、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物(A1))5重量部を添加した。
【0118】
次に、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物として第3級アミノ窒素原子を有する4官能工ポキシ化合物であるN,N,N’,N’―テトラグリシジル―1,3―キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD―X)5重量部を混合した。
【0119】
さらに、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS―4020、固形分25重量%)5重量部と、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)5重量部とを添加、撹絆して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0120】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表4に示す。
【実施例22】
【0121】
本実施例では、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)を10重量部とした以外は、実施例21と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0122】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表4に示す。
【実施例23】
【0123】
本実施例では、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)を15重量部とした以外は、実施例21と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0124】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表4に示す。
【実施例24】
【0125】
本実施例では、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)を20重量部とした以外は、実施例21と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0126】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表4に示す。
【実施例25】
【0127】
本実施例では、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)を30重量部とした以外は、実施例21と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0128】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表4に示す。
【実施例26】
【0129】
本実施例では、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)を50重量部とした以外は、実施例21と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0130】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表4に示す。
【実施例27】
【0131】
本実施例では、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)を70重量部とした以外は、実施例21と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0132】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表4に示す。
【0133】
【表4】

【0134】
表4から、前記実施例21〜27の水性接着剤組成物は、主剤100重量部に対し、イソシアネート化合物からなる硬化剤を、5〜70重量部の範囲で含むことにより、ヤニ成分の多い材料に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において、特に優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
【実施例28】
【0135】
本実施例では、実施例7と全く同一にして主剤を調製し、該主剤100重量部に対して、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物(A1))0.5重量部を添加した。
【0136】
次に、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物として第3級アミノ窒素原子を有する4官能工ポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X)5重量部を混合した。
【0137】
さらに、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS−4020、固形分25重量%)5重量部と、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部とを添加、撹絆して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0138】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【実施例29】
【0139】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(A1)を1重量部とした以外は、実施例28と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0140】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【実施例30】
【0141】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(A1)を2.5重量部とした以外は、実施例28と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0142】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【実施例31】
【0143】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(A1)を5重量部とした以外は、実施例28と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0144】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【実施例32】
【0145】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(A1)を10重量部とした以外は、実施例28と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0146】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【実施例33】
【0147】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(A1)を15重量部とした以外は、実施例28と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0148】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【実施例34】
【0149】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(A1)を20重量部とした以外は、実施例28と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0150】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【実施例35】
【0151】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(A1)を30重量部とした以外は、実施例28と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0152】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表5に示す。
【0153】
【表5】

【0154】
表5から、前記実施例28〜35の水性接着剤組成物は、主剤100重量部に対し、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物を、0.5〜30重量部の範囲で含むことにより、ヤニ成分の多い材料に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において、特に優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
【実施例36】
【0155】
本実施例では、実施例7と全く同一にして調製した主剤100重量部に対して、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物としてジエチレングリコールジブチルエーテル(化合物(A2))5重量部を添加した。
【0156】
次に、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物として第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X)5重量部を混合した。
【0157】
さらに、前記主剤100重量部に対して、エポキシ化合物としてポリアミドエポキシ化合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS―4020、固形分25重量%)5重量部と、イソシアネート化合物からなる硬化剤として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部とを添加、撹絆して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0158】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【実施例37】
【0159】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)に代えてトリエチレングリコールジメチルエーテル(化合物(A3))5重量部を添加した以外は、実施例36と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0160】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【実施例38】
【0161】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)に代えてジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル(化合物(A4))5重量部を添加した以外は、実施例36と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0162】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【実施例39】
【0163】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)に代えてエチレングリコールモノベンジルエーテル(化合物(A5))5重量部を添加した以外は、実施例36と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0164】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【実施例40】
【0165】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)に代えてジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物(A6))5重量部を添加した以外は、実施例36と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0166】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【実施例41】
【0167】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)に代えてメチル−3−メトキシプロピオネート(化合物(A7))1重量部を添加した以外は、実施例36と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0168】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【実施例42】
【0169】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)に代えてメチル−3−メトキシプロピオネート(化合物(A7))5重量部を添加した以外は、実施例36と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0170】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【実施例43】
【0171】
本実施例では、前記一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)に代えてメチル−3−メトキシプロピオネート(化合物(A7))10重量部を添加した以外は、実施例36と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
【0172】
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能を試験した。試験結果を表6に示す。
【0173】
【表6】

【0174】
表6から、前記実施例36〜43の水性接着剤組成物は、一般式(A)で表される構造を有する化合物として、化合物(A2)〜化合物(A7)を含むことにより、ヤニ成分の多い材料に対し、耐水性、耐熱性、耐久性の点において、特に優れた接着性能を得ることができることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性高分子を含む主剤と、イソシアネート化合物からなる硬化剤と、一般式(A)で表される構造を有する化合物とを含む水性接着剤組成物において、
エポキシ化合物を含むことを特徴とする水性接着剤組成物。
−(CH−CH(R)−O)n−R ・・・(A)
(式中、Rはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基または2−エチルヘキシルオキシ基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子、アセチル基または炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す。)
【請求項2】
請求項1記載の水性接着剤組成物において、前記エポキシ化合物は、エピハロヒドリンをポリアミンまたはポリアミドと反応させて得られたポリアミドエポキシ化合物であることを特徴とする水性接着剤組成物。
【請求項3】
請求項1記載の水性接着剤組成物において、前記エポキシ化合物は、エピハロヒドリンをポリアミンまたはポリアミドと反応させて得られたポリアミドエポキシ化合物と、次の一般式(1)で示される第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物とであることを特徴とする水性接着剤組成物。
【化1】



(式中、Dは、炭素数1〜12の直鎖アルキレン基、炭素数1〜12の分岐アルキレン基、フェニレン基、アルキル基置換フェニレン基、ハロゲン置換フェニレン基、炭素数3〜12のアルキル基置換環式アルキレン基からなる群から選択される1種の2価の基を示す。)
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の水性接着剤組成物において、前記水性高分子は、水溶性高分子、該水溶性高分子の水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする水性接着剤組成物。

【公開番号】特開2009−197140(P2009−197140A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40494(P2008−40494)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000205742)株式会社オーシカ (40)
【Fターム(参考)】