説明

水性芳香剤組成物

【課題】長期間の使用や温度変化による芳香成分の変質を抑制し、長期にわたって初期の芳香を保持することができる水性芳香剤組成物。
【解決手段】下記(1)又は(2)のいずれかに示す成分を有効成分とする、芳香成分の変質防止剤:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弱酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属化合物、弱酸の組み合わせからなる芳香成分の変質防止剤、ならびに該変質防止剤を含む水性芳香剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭のリビングや洗面所等で用いられる芳香剤は、液体製剤やゲル状製剤等の置き型タイプのものが汎用されている。これら芳香剤は使用期間が1ヶ月以上と長期使用を前提としたものが一般的である。芳香剤に配合される芳香成分の中には、長期間の使用や温度変化によって変質するものもあり、長期間の使用や保存でも香りの変化の少ない芳香剤が求められてきた。
【0003】
そこで、これを解決するために、酸化防止剤を加えて芳香成分の変質を防止する等の方法が取られてきた。酸化防止剤の中でも最も汎用に用いられているのはBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)であり、その他、トコトリエノールや植物抽出由来の酸化防止剤等が使われてきた(例えば、特許文献1、2、3等)。しかしながら、これらの酸化防止剤だけでは、使用中や温度変化等によって引き起こされる芳香成分の変質を抑制するには十分ではなかった。
【0004】
また、これまで、有機酸、弱アルカリ剤等を組み合わせて配合することによって消臭作用を発揮することは知られていたが(例えば特許文献4〜7等)、有機酸と弱アルカリ剤を組み合わせて使用することによって、芳香成分の変質が抑制されることは知られていなかった。
【特許文献1】特開2000−336355
【特許文献2】特開平06−108087
【特許文献3】特開平09−183995
【特許文献4】特開2002−000711
【特許文献5】特開2002−306583
【特許文献6】特開2002−336338
【特許文献7】特開平06−219928
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、長期間の使用や温度変化による芳香成分の変質を防止することが可能な芳香成分の変質防止剤、ならびに該変質防止剤を含み、芳香成分が長期間変質されることなく保持され得る水性芳香剤組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究した結果、水性芳香剤組成物中に、(1)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩;(2)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、pKaが4〜8の弱酸、及び強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上、で示されるいずれかの成分を配合することによって、芳香成分の変質が抑制されることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、完成されたものである。
【0007】
本発明は、以下の芳香成分の変質防止剤、水性芳香剤組成物及び芳香成分の変質防止方法を提供する。
項1.下記(1)又は(2)のいずれかに示す成分を有効成分とする、芳香成分の変質防止剤:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上。
項2.前記(i)又は(ii)に示される弱酸のpKaが6〜7.5である項1に記載の変質防止剤。
項3.前記(i)又は(ii)に示される弱酸が、pKa6以上7.5以下の弱酸及びpKaが5以上6未満の弱酸の組み合わせである、項1に記載の変質防止剤。
項4.芳香成分、ならびに下記(1)又は(2)のいずれかに示す変質防止成分を含む水性芳香剤組成物:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上。
項5.芳香成分、ならびに下記(1)又は(2a)〜(2c)のいずれかに示す変質防止成分を含む水性芳香剤組成物:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2a)(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物の組み合わせ
(2b)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、及び(ii)pKaが4〜8の弱酸の組み合わせ
(2c)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物の組み合わせ。
項6.前記(i)又は(ii)に示される弱酸のpKaが6〜7.5である項4又は5に記載の水性芳香剤組成物。
項7.前記(i)又は(ii)に示される弱酸が、pKa6以上7.5以下の弱酸及びpKaが5以上6未満の弱酸の組み合わせである、項4又は5に記載の水性芳香剤組成物。
項8.弱酸が、炭酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸及びピロリン酸からなる群より選択されるいずれか1種又は2種以上である、項4又は5に記載の水性芳香剤組成物。
項9.前記(i)に示されるアルカリ金属塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びピロリン酸2水素ナトリウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種であり、且つ前記(ii)に示される弱酸がクエン酸である、項4に記載の水性芳香剤組成物。
項10.水性芳香剤組成物の総重量に対して、前記(1)又は(2)のいずれかに示される変質防止成分が、総量で0.05〜0.9重量%含まれる、項4〜9のいずれかに記載の水性芳香剤組成物。
項11.前記芳香成分が、オクタナール、デカナール、シトラール、シトロネラール、ピペロナール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、イソシクロシトラール、エチル2−メチルブチレート、3−メチルブチルアセテート、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、シトロネリルアセテート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、フェニルエチルアセテート、テルペニルアセテート、ジペンテン、リモネン(p−Mentha−1,8−diene)、テルピノーレン(p−Mentha−1,4(8)−diene)、αテルピネン、ミルセン(7−Methyl−3−methylene−1,6−octadiene)及びβ−ピネン(Nopinene)からなる群より選択される少なくともいずれか1種である、項4〜10に記載の水性芳香剤組成物。
項12.前記芳香成分が、オクタナール、デカナール、シトラール、シトロネラール、ピペロナール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール及びイソシクロシトラールからなる群より選択される少なくともいずれか1種とリモネンの調合香料である、項のいずれか4〜10に記載の水性芳香剤組成物。
項13.芳香成分を含む水性芳香剤組成物に、下記(1)又は(2)のいずれかに示す変質防止成分を添加することを特徴とする、芳香成分の変質防止方法:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上。
項14.前記(i)又は(ii)に示される弱酸のpKaが6〜7.5である項13に記載の変質防止方法。
項15.前記(i)又は(ii)に示される弱酸が、pKa6以上7.5以下の弱酸及びpKaが5以上6未満の弱酸の組み合わせである、項13に記載の変質防止方法。
項16.水性芳香剤組成物の総重量に対して、前記(1)又は(2)のいずれかに示される変質防止成分を、総量で0.05〜0.9重量%添加することを特徴とする、項13〜15のいずれかに記載の変質防止方法。
【0008】
本発明において『芳香成分の変質』とは、芳香成分が化学的な修飾・分解を受けて香りが変化する質的な変化、或いは香りが消失するような量的な変化の両方を指す。
【0009】
1.芳香成分の変質防止剤
本発明の芳香成分の変質防止剤は、下記:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上
のいずれかに示す成分を有効成分とすることを特徴としている。
【0010】
(i)アルカリ金属塩
本発明において、アルカリ金属塩とは、下記(ii)にて詳述するpKaが4〜8の弱酸と、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランジウム等のアルカリ金属の塩を指す。本発明において使用されるアルカリ金属塩としては、アルカリ金属の有機酸塩(例えば、フルーツ酸(アルファヒドロキシ酸)塩、ピロリン酸塩等)、無機酸塩(例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩等)等が挙げられ、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸2水素ナトリウム、ピロリン酸1水素ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム塩、トリポリリン酸カリウム塩等が挙げられる。これらのアルカリ金属塩のうち、自然環境への影響を考慮すると炭酸塩やフルーツ酸(アルファヒドロキシ酸)塩が好ましく、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等が挙げられ、より好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。これらのアルカリ金属塩を、単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0011】
(ii)弱酸
本発明において弱酸は、pKaが4〜8程度であって、前記(i)アルカリ金属塩や、後述する(iii)アルカリ金属化合物と配合されて芳香成分の変質防止効果を発揮するものであれば特に限定されず、通常、化粧品や日用品・生活用品等で用いられるものを使用することができる。このような弱酸としては、例えば、リンゴ酸(pKa5.05)、クエン酸(pKa5.72)、コハク酸(pKa5.61)、炭酸(pKa6.35)、リン酸(pKa7.2)、ピロリン酸(pKa6.76)、トリポリリン酸(pKa6.5)等の有機酸、無機酸等が挙げられ、好ましくは、クエン酸、コハク酸、炭酸である。これらの弱酸を、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0012】
これらの中でも、より優れた芳香成分の変質防止効果を発揮するためには、好ましくはpKa6〜7.5程度、より好ましくはpKa6〜7程度の弱酸を用いることが望ましい。このような弱酸としては、例えば、炭酸、リン酸が挙げられる。さらに、自然環境への影響を考慮すると、炭酸がより好ましい。
【0013】
また、pKa7付近(例えば、pKa6以上7.5以下程度、好ましくはpKa6.5以上7以下程度)の弱酸とpKa5以上6未満程度、好ましくはpKa5以上5.5以下程度の弱酸と組み合わせることによって、より優れた芳香成分の変質防止効果が期待できる。pKaが6以上7.5以下程度の弱酸としては、炭酸、リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等が挙げられる。また、pKaが5以上6未満の弱酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸等が挙げられ、芳香成分の変質防止効果の顕著性や供給性を考慮すると、クエン酸がより好ましい。従って、例えば、炭酸とクエン酸を組み合わせて用いることにより、より優れた芳香成分の変質防止効果が期待できる。
【0014】
また、本発明の芳香成分の変質防止剤が、例えば、(i)pKa4〜8の弱酸のアルカリ金属塩及び(ii)pKa4〜8の弱酸からなる場合、(i)に示される弱酸が、炭酸、リン酸及びピロリン酸からなる群より選択される少なくともいずれか1種であり、(ii)に示される弱酸がクエン酸、リンゴ酸及びコハク酸からなる群より選択される少なくともいずれか1種であることが好ましく、さらに、(i)の弱酸が炭酸であり、(ii)の弱酸がクエン酸であることが、より好ましい。
【0015】
(iii)アルカリ金属化合物
本発明においてアルカリ金属化合物とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランジウム等のアルカリ金属元素を含む化合物であり、水の存在下においてアルカリ金属イオンを遊離するものを指す。また、本発明において使用されるアルカリ金属化合物は、水に溶解性であって、水に溶解した際に強塩基性を示すものであれば特に限定されない。本発明において『強塩基性を示すアルカリ金属化合物』とは、25℃にて水1Lに0.1molを溶解させた場合、溶液のpHが11.5以上となるアルカリ金属化合物を指す。
【0016】
この様なアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド等があり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。これらのアルカリ金属化合物を、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
芳香成分の変質防止剤の構成
上記(i)アルカリ金属塩であれば単独で本発明の芳香成分の変質防止剤として使用することもでき(上記(1)に示す態様)、(i)アルカリ金属塩、(ii)弱酸、(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物を2種以上組み合わせて使用することもできる(上記(2)に示す態様)。
【0018】
また、本発明の好ましい実施態様としては、下記、(1)又は(2a)〜(2c)のいずれかに示される成分を有効成分とする、芳香成分の変質防止剤が挙げられる:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2a)(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物の組み合わせ
(2b)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、及び(ii)pKaが4〜8の弱酸の組み合わせ
(2c)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物の組み合わせ。
【0019】
上記(1)及び(2a)〜(2c)の内、本発明の芳香成分の変質防止剤として最も好ましい態様は、(2b)に示される成分を有効成分として使用する態様である。特に、水性芳香剤組成物に本発明の変質防止剤を適用する場合、上記(2b)の態様を採用することによって、本発明の効果が顕著に発揮され得る。また、上記(2b)の態様を採用する場合は、(i)アルカリ金属塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びピロリン酸2水素ナトリウムからなる群より選択される少なくともいずれか1種であって、且つ(ii)弱酸が、クエン酸であることが特に好ましい。
【0020】
上記(2)に示す成分を有効成分として採用する場合、(i)〜(iii)の配合比は、芳香成分の変質防止効果を発揮できれば特に限定されないが、例えば、上記(2a)〜(2c)に示される(i)〜(iii)の好適な組み合わせにおいては、以下の通りである。
【0021】
本発明の芳香成分の変質防止剤が、前記(2a)に示される、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物の組み合わせからなる場合、(ii)及び(iii)の配合比は、(iii)を1重量部としたとき、(ii)は、0.25〜200重量部程度、好ましくは1〜200重量部程度、より好ましくは2〜100重量部程度である。
【0022】
本発明の芳香成分の変質防止剤が、前記(2b)に示される、(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、及び(ii)pKaが4〜8の弱酸の組み合わせからなる場合、(i)及び(ii)の配合比は、(ii)を1重量部としたとき、(i)は0.2〜10重量部程度、好ましくは0.5〜8重量部程度、より好ましくは0.7〜3重量部程度である。
【0023】
本発明の芳香成分の変質防止剤が、前記(2c)に示される、(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物の組み合わせからなる場合、(i)、(ii)及び(iii)の配合比は、(i)を1重量部としたとき、(ii)は0.1〜5重量部程度、好ましくは0.2〜2重量部程度、より好ましくは0.3〜1重量部程度、(iii)は0.001〜1重量部程度、好ましくは0.001〜0.1重量部程度、より好ましくは0.01〜0.1重量部程度である。
【0024】
上記の成分(i)〜(iii)を組み合わせて得られる本発明の芳香成分の変質防止剤は、芳香効果を主目的として芳香成分が配合されている組成物に適用することができ、芳香成分の質的・量的な変化を抑制し、長期にわたって初期の芳香を保持することができる。上記の芳香効果を主目的として芳香成分が配合されている組成物としては、特に限定されないが、芳香剤、香水、オーデパルファム、オーデトワレ、オーデコロン等の香料組成物、衣料用洗剤、シャンプー、リンス、ボディーソープ等の洗浄剤、入浴剤、制汗剤等が挙げられる。これらの中でも、芳香剤が特に好ましい。
【0025】
上記(1)又は(2)に示されるいずれの場合においても、上記組成物中に本発明の芳香成分の変質防止剤を0.01〜2重量%程度、好ましくは0.05〜0.9重量%程度、より好ましくは0.1〜0.5重量%程度、さらに好ましくは0.15〜0.25重量%程度配合することによって、長期間の使用、温度変化等による芳香成分の変質を抑制することが可能である。このとき、上記組成物のpHは、5〜7.5程度、好ましくは6〜7.5程度、より好ましくは6.5〜7.5程度に調整することが望ましい。
【0026】

2.水性芳香剤組成物
本発明は、上記芳香成分の変質防止剤及び芳香成分を含む水性芳香剤組成物を提供する。
【0027】
芳香成分の変質防止剤
本発明の水性芳香剤組成物中の各成分の配合割合は、本発明の芳香成分の変質防止効果を発揮できれば特に限定されないが、上記(1)又は(2)に示される変質防止成分の総量が、0.01〜2重量%程度、好ましくは0.05〜0.9重量%程度、より好ましくは0.1〜0.5重量%程度、さらに好ましくは0.15〜0.25重量%程度となるように配合するのが望ましい。上記成分(1)又は(2)に示される組成の各成分の総配合量が、上記範囲内であれば、芳香成分の変質を効果的に抑制することが可能であり、さらに、芳香剤組成物としての本来の機能である芳香揮散性能を低下させることなく、製剤の安定性を保持することが可能である。
【0028】
芳香成分
本発明の水性芳香剤組成物において使用される芳香成分は、日用品の原料として用いられる芳香成分なら特に制限されない。このような芳香成分としては、例えば、炭素数6〜12のアルデヒド、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アルファダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、アセチルユゲノール、イソアミルサリシレート、インドール、αイオノン、βイオノン、αメチルイオノン、βメチルイオノン、γメチルイオノン、インデン、エチルワニリン、オウランチオール、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、ガラキソリッド、キャロン、クマリン、パラクレジールメチルエーテル、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロゲラニールアセテート、コアボン、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、サンタリノール、メチルサリシレート、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、シンナミルアセテート、ジヒドロジャスモン、ジメトール、イソシクロシトラール、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、βダマスコン、αターピネオール、γターピネオール、ターピニルアセテート、チモール、デルタダマスコン、デルタC6〜C13ラクトン、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、イソノニルアセテート、ネロール、ネリールアセテート、ネオベルガメート、ノピールアセテート、ノピールアルコール、バクダノール、ヒヤシンスジメチルアセタール、ヒドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、αピネン、ブチルブチレート、パラターシャリーブチルシクロヘキサノール、パラターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノール、ジフェニルオキサイド、フルイテート、フェンチールアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、イソブチルキノリン、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、フェニルアセトアルデハイドジメチルアセタール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、ジメチルベンジルカービノール、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニールアセテート、シス−3−ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ペンタリッド、ベルドックス、オルトボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルネオール、エンド−ボルネオール、マンザネート、マイヨール、ミューゲアルデヒド、ミラックアルデヒド、ジヒドロミルセノール、ジミルセトール、ムゴール、ムスクTM−II、ムスク781、ムスクC14、ムスクT、ムスクケトン、ムスクチベチン、ムスクモスケン、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルユゲノール、メントール、メチルフェニルアセテート、ユゲノール、イソユゲノール、メチルイソユゲノール、γC6〜13ラクトン、ライムオキサイド、メチルラベンダーケトン、ジヒドロリナロール、リグストラール、リリアール、リモネン、リナロール、リナロールオキサイド、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロリナリールアセテート、リナリルアセテート、リラール、ルバフラン、ローズフェノン、ローズオキサイド、ワニリン、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、オクタナール、デカナール、ピペロナール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、エチル2−メチルブチレート、3−メチルブチルアセテート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、ボルニルアセテート、テルペニルアセテート、ジペンテン、テルピノーレン、αテルピネン、ミルセン、β−ピネン、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油等を挙げることができる。これらの芳香成分を、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて調香して使用することもできる。
【0029】
これら芳香成分のなかでも、アルデヒド基を有する化合物や、エステル基を有する化合物は高温度条件下等では、不安定になりやすい。そのため、これら化合物を含む芳香剤組成物に本発明の変質防止剤を配合することによって、これらの化合物の安定性を高めることができ、芳香成分の変質を抑えることができる。
【0030】
アルデヒド基を有する芳香成分としては、例えば、オクタナール、デカナール、シトラール、シトロネラール、ピペロナール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、イソシクロシトラール等が挙げられる。
【0031】
また、エステル基を有する芳香成分としては、例えば、エチル2−メチルブチレート、3−メチルブチルアセテート、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、シトロネリルアセテート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、フェニルエチルアセテート、テルペニルアセテート等が挙げられる。
【0032】
また炭素数8〜12程度の炭化水素系芳香成分等も高温度条件下等により変質しやすい。従って、炭化水素系芳香成分を用いて水性芳香剤組成物を調製する場合は、本発明の芳香成分の変質防止剤を配合することが望ましい。
【0033】
このような炭化水素系芳香成分としては、例えば、炭素数10の炭化水素系芳香成分であれば、ジペンテンやリモネン(p−Mentha−1,8−diene)、テルピノーレン(p−Mentha−1,4(8)−diene)、αテルピネン、ミルセン(7−Methyl−3−methylene−1,6−octadiene)、β−ピネン(Nopinene)等が挙げられる。これらの炭化水素系芳香成分は、加水反応により水酸基が付加され、特に香りの質に影響を受けやすい。例えば、リモネンは加水反応により3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールやα−テルピネオールなどに変化し、香質を変化させる。
【0034】
これらの中でも、特にアルデヒド基を有する芳香成分及びリモネンを共に含む調合芳香成分が使用された場合、アルデヒド基を有する芳香成分が極めて不安定になり、変質が起こりやすくなる。それに伴って、リモネンの変質が加速され、香気に影響を与えやすくなる。従って、アルデヒド基を有する芳香成分とリモネンを含む水性芳香剤組成物には、特に本発明の芳香成分の変質防止剤を用いることが好ましい。
【0035】
本発明の水性芳香剤組成物における上記芳香成分の配合量は、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.5〜5重量%程度、より好ましくは1〜3重量%程度である。このような芳香剤組成物は、高い濃度で芳香成分を含むがゆえに、芳香成分が変質した際の香りの変化が嗅知されやすいが、本発明の変質防止剤を配合することによって、香りの変質が抑えられ、芳香成分を高濃度で含むものであっても初期の芳香が長期にわたって保持され得る。
【0036】
また、本発明の水性芳香剤組成物中にアルデヒド基又はエステル基を有する芳香成分を含んで調製する場合、全芳香成分中に、アルデヒド基を有する芳香成分を70〜0.2重量%程度、好ましくは40〜0.5重量%程度、より好ましくは20〜1重量%程度、エステル基を有する芳香成分を70〜0.2重量%程度、好ましくは40〜0.5重量%程度、より好ましくは20〜1重量%程度配合することができる。
【0037】
キレート剤
弱酸の中には、炭酸等、組成物中のカルシウム等の金属イオンと不溶性の塩を形成しやすい弱酸もあり、本発明の芳香成分の変質防止剤には、金属イオンのキレート効果を有する化合物を配合することが好ましい。前記(i)アルカリ金属塩の中には、水溶液中でキレート化するものもあるが、必要に応じて、公知のキレート剤を添加してもよい。キレート剤の例としては、例えば、EDTA塩・NTA塩・HIDA塩・HEDTA塩・DTPA塩・TTHA塩・GLDA塩・DHEG塩・PDTA塩・DPTA−OH塩等のアミノカルボン酸系キレート剤、HEDP塩・NTMP塩・PBTC塩・EDTMP塩等のホスホン酸系キレート剤等が挙げられる。これらの中でも、pKaが4〜8であるキレート剤が好ましい。
【0038】
その他
本発明の水性芳香剤組成物は、基剤の少なくとも1つとして水を含む。また、上記成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリオール類(ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等)、非イオン性界面活性剤(POEアルキルエーテル、POE硬化ひまし油等)、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性活性剤、紫外線吸収剤、消臭剤(緑茶抽出物等の植物抽出物、カテキン、シクロデキストリン、両性界面活性剤)、酸化防止剤、防腐剤、除菌剤、防カビ剤、天然抽出物、シリコーン、増粘剤、染料、顔料、色素、油剤、有機溶媒(エタノール、炭化水素・グリコールエーテル等)等、水性芳香剤組成物に通常配合され得る成分を適宜配合することができる。
【0039】
また、本発明の水性芳香剤組成物のpHは、各成分の配合量を前述の範囲内で調整することによって、pH5〜7.5程度、好ましくはpH6〜7.5程度、より好ましくはpH6.5〜7.5程度になるように設定することが望ましい。また、必要に応じて塩酸、水酸化マグネシウム等の公知のpH調整剤を添加し、本発明の水性芳香剤組成物のpHを上記範囲に調整してもよい。
【0040】
剤型
本発明の水性芳香剤組成物は、水性芳香剤組成物として公知の剤型に調製することができる。このような剤型としては、特に限定されないが、例えば、液状製剤、ゲル状製剤、
吸水性ポリマー含浸製剤、ミスト製剤、含水エアゾール製剤等が挙げられる。
【0041】
3.芳香成分の変質防止方法
本発明の芳香成分の変質防止方法は、上記(1)又は(2)のいずれかに示される変質防止成分を、芳香成分を含む水性芳香剤組成物に添加することを特徴とする。上記(1)又は(2)に示される各成分の添加量は、前述の通りである。本発明の芳香成分の変質防止方法によれば、長期使用や温度変化による芳香成分の変質を防止することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の芳香成分の変質防止剤によれば、水性芳香剤組成物を高温条件下又は長期間使用/保管した場合等の芳香成分の変質を抑制することができる。
【0043】
また、本発明によれば、高温条件下又は長期間の使用/保管であっても、芳香成分の変質が抑制され、長期にわたって初期の芳香が保持される水性芳香剤組成物及び芳香成分の変質防止方法を提供することができる。
【0044】
さらに、本発明の変質防止剤は、従来は、不安定であるために芳香成分としての使用に問題があったアルデヒド基又はエステル基を有する芳香成分に対しても高い安定性を付与することができる。従って、このような芳香成分と本発明の変質防止剤を水性芳香剤組成物中に配合することにより、従来にはなかった、新たな芳香を楽しむことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【試験例1】
【0046】
水性芳香剤組成物の調製及び評価
処方I
下記表1.に示す組成の芳香剤組成物(実施例1〜5及び比較例1〜2)を調製した。
【0047】
【表1】

【0048】
上記表1.に従って調製された水性芳香剤組成物を、50℃にて1ヶ月保存したものについて外観、pH及び香り官能を評価した。香り官能は、それぞれ、被検者9人によって官能BOXにて5段階評価を行った結果の平均点で表される。5段階評価は、以下の評価方法に基づいて行われ、3.5点以上を合格基準とした。結果を表1.2に示す。
5点:+5℃保存品と比べて、まったく差が分からない。
4点:並べて嗅ぎ比べないと分からない程度の違い
3点:並べて嗅ぎ比べなくても分かる程度の違い
2点:明らかに違いがある
1点:香調自体が変化している。
【0049】
【表2】


【0050】
処方II
下記表2.に示す組成の水性芳香剤組成物(実施例6〜8及び比較例3)を調製した。
【0051】
【表3】

【0052】
上記表2.に示される処方に従って水性芳香剤組成物を調製し、水性芳香剤組成物の外観、pH及び香り官能を、処方Iに対して行った方法に従って、評価した。結果を下記表2.2に示す。
【0053】
【表4】

【0054】
表1.2及び2.2に示されるpH及び香り官能評価の結果より、炭酸ナトリウムとクエン酸、炭酸水素ナトリウムとクエン酸を配合することにより、配合直後からのpH変化を抑えることができ、芳香成分の変質も抑制されることがわかった。
【試験例2】
【0055】

下記表3.の処方に基づいて水性芳香剤組成物(実施例9〜11及び比較例4〜6)を調製し、芳香成分の変質抑制効果を評価した。
【0056】
【表5】

【0057】
上記処方によって得られた水性芳香剤組成物の外観、pH及び香り官能を、処方Iに対して行った方法に従って評価した。結果を下記表3.2に示す。
【0058】
【表6】

【試験例3】
【0059】
実施例3及び比較例1について、50℃にて1ヶ月保存した後、ATD/GC/MS(Automatic Thermal Desorption/Gas Chromatograph/Mass Spectrometer)のピーク強度の比較により分解率を測定した。測定方法は、以下の通りである。
使用機器:
GC-MS HP6890 MASS Selective Detector(HEWLETT PACKARD社製)
GCカラム DB-5MS 30m×250μm×0.25μm (J&W SCIENTIFIC社製)
ATD Automated Thermal Desorber TurboMatrix ATD (Perkin Elmer社製)
ATD捕集管 (Perkin Elmer用加熱脱離用チューブ) TENAX TA(SUPELCO製)

GC測定条件:
50℃(5分)→5℃/分→100℃(0分)→10℃/分→270℃(13分)
ガス:ヘリウムガス
試験方法:実施例1及び比較例3の芳香剤組成物を5mL程度取り、ろ紙上で1000L容量のボックス内で1時間程度気散させる。ボックス内の気体をATDのサンプルチューブにて50mL/minで1L吸着させる。これをGC/MSにて揮発成分の分析を行う。

芳香成分の構造等より、リモネン(Rt12.45)などの炭化水素系芳香成分が変質によって3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール(Rt15.04)やα−テルピネオール(Rt17.69)等に変化しているものと考えられることから、これらの化合物について分解比率を測定した。リモネン分解比率は、((3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールのピーク面積)+(α−テルピネオールのピーク面積))/(リモネンのピーク面積)で表される。分解比率が初期に比べてどれだけ増加したかを算出することにより、どれだけ水性芳香剤組成物中の芳香成分の変質を抑制できたかを測定することができる。
その結果、比較例3の初期でのリモネン分解比率0.44であったところ、50℃1ヵ月後で1.34となっており、分解物の割合が増加していた。一方、実施例1では、リモネン分解比率は初期で0.44、50℃1ヵ月後でも0.61であり、芳香成分の変質を抑えていること示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)又は(2)のいずれかに示す成分を有効成分とする、芳香成分の変質防止剤:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上。
【請求項2】
前記(i)又は(ii)に示される弱酸のpKaが6〜7.5である請求項1に記載の変質防止剤。
【請求項3】
前記(i)又は(ii)に示される弱酸が、pKa6以上7.5以下の弱酸及びpKaが5以上6未満の弱酸の組み合わせである、請求項1に記載の変質防止剤。
【請求項4】
芳香成分、ならびに下記(1)又は(2)のいずれかに示す変質防止成分を含む水性芳香剤組成物:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上。
【請求項5】
前記(i)又は(ii)に示される弱酸のpKaが6〜7.5である請求項4に記載の水性芳香剤組成物。
【請求項6】
前記(i)又は(ii)に示される弱酸が、pKa6以上7.5以下の弱酸及びpKaが5以上6未満の弱酸の組み合わせである、請求項4に記載の水性芳香剤組成物。
【請求項7】
弱酸が、炭酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸及びピロリン酸からなる群より選択されるいずれか1種又は2種以上である、請求項4に記載の水性芳香剤組成物。
【請求項8】
水性芳香剤組成物の総重量に対して、前記(1)又は(2)のいずれかに示される変質防止成分が、総量で0.05〜0.9重量%含まれる、請求項4〜7のいずれかに記載の水性芳香剤組成物。
【請求項9】
芳香成分を含む水性芳香剤組成物に、下記(1)又は(2)のいずれかに示す変質防止成分を添加することを特徴とする、芳香成分の変質防止方法:
(1)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩
(2)(i)pKaが4〜8の弱酸のアルカリ金属塩、(ii)pKaが4〜8の弱酸、及び(iii)強塩基性を示すアルカリ金属化合物からなる群より選択される少なくとも2種以上。