水抽出用深所露出膜
デムワックス(商標)水処理システムは、膜モジュール(102)と収集導管(104)とを含む。膜モジュール(102)は深所に沈められ、海底の1つ又は複数のアンカー(100)に繋止される。収集導管を大気圧に露出するため、収集導管(104)と海面に浮かぶブイ(108)との間に呼吸管(106)が延びる。ポンプ(110)が、透過水パイプ(112)を通して透過水を収集導管(104)から岸までポンピングする。追加の貯蔵場所を提供するため、任意選択で、このシステム内に、例えば収集導管(104)の一部としての、又は収集導管(104)から延びる、1つ又は複数の透過水貯蔵タンク(114)を配置することができる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2007年2月14日に出願された米国特許仮出願第60/889,839号明細書及び2007年4月27日に出願された米国特許仮出願第60/914,690号明細書の恩典を主張するものである。上記の出願の開示内容は、これにより、その全体が参照によって明示的に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
海水の淡水化(desalination)システム及び方法並びに地表水及び地下水の浄化(purification)システム及び方法が提供される。これらのシステムは、自然又は誘導(induced)水柱の静水圧を利用して、逆浸透(reverse osmosis)膜、ナノ濾過(nanofiltration)膜又は他の膜で水を濾過し、それにより、ある所望の水質又は飲料水(potable water)が得られる。
【背景技術】
【0003】
地球上の水の97%超は海水であり、残りの水の3/4は氷河氷として固定されており、1%未満が帯水層、湖沼及び河川にあり、この1%未満の水を農業、工業、衛生及び人間の消費のために使用することができる。帯水層、湖沼及び河川にある水は再生可能資源であるため、地球の水のこの小さな部分が絶えず再利用される。従来の水資源を圧迫しているのがこの再利用の速度である。
【0004】
前世紀においては、増え続ける人口及び増大する汚染が、入手しやすい淡水の入手可能性を限定したため、これらの水源が圧迫された。最近、局地的な水不足により、塩分を含んだ海水から飲料水を作る淡水化プラントの展開が必要とされた。従来の淡水化プロセスは主要な3つのステップ、すなわち前処理、淡水化及び後処理ステップを含む。前処理ステップでは、海水が海から淡水化位置まで運ばれ、次いでこの海水が、使用される淡水化プロセスに従って調整される。水は一般に、脱塩プロセスの前に濾別されなければならない懸濁(例えば有機又は無機)物質を含む岸に近い浅い領域から採取される。淡水化ステップでは、水から塩類を除去するために、多段フラッシュ蒸留(Multistage Flash Distillation:MSF)、多重効用蒸留(Multi−effect Distillation:MED)、電気透析(Electro Dialysis:ED)、逆浸透(Reverse Osmosis:RO)などの方法が使用される。淡水化プロセスは一般に、かなりの量のさまざまな形態のエネルギー(例えば機械エネルギー、電気エネルギーなど)を必要とし、このプロセスによって生成される濃縮されたブライン(brine)の廃棄は環境上の重大な問題となりうる。後処理ステップでは、淡水化プロセスの生産水がその最終用途に従って調整される。
【0005】
長年にわたり、多段フラッシュ又は多重効用蒸留が淡水化業界の好まれるプロセスであったが、1990年代以降、膜技術の向上及びエネルギー費の増大により、逆浸透が、新たな資格に向かって明らかに先頭に立っている。
【0006】
逆浸透は、溶解塩及び無機分子並びに有機分子の95ないし99%を除去する分子フィルタの働きをする膜プロセスである。浸透は、水又は他の溶媒が、半透膜を通して、より低濃度の濃縮溶液からより高濃度の濃縮溶液へ自然に流れるときに起こる自然プロセスである。逆浸透では、濃縮溶液(供給溶液)に外圧をかけることによって、この自然浸透力が克服される。このようにして水の流れが逆転され、淡水化された水(透過水(permeate))が供給溶液から取り出され、より濃縮された塩溶液(ブライン)を残す。膜の第2のパス(pass)を追加し、それにより第1のパスからの生産水を第2のパスに供給することによって、生産水の水質を更に向上させることができる。一般的に商業利用されている逆浸透プロセスでは、前処理された海水が、容器ハウジング、例えばスパイラル(spiral−wound)逆浸透膜内において、850ないし1,200ポンド/平方インチ(psi)(5,861ないし8,274kPa)に加圧される。海水は膜の第1の表面と接触し、加圧によって、飲料水が膜を透過し、反対側で集められる。このプロセスで生成された濃縮されたブラインは、海水の塩濃度の最大約2倍の塩濃度を有し、海中に廃棄される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
海水の淡水化並びに地表水及び地下水の浄化のための非常に効率的で革新的なプロセスを提供する。このプロセスは、水体(body of water)の静水圧を使用して、例えば溶解塩を除去する逆浸透プロセス、又はウイルス、細菌などの不必要な成分を篩別する淡水体の濾過プロセスを推進する。このプロセスは、従来の淡水化プラント又は従来の水処理プラントであれば必要なシステムが消略される点、及び逆浸透プロセス又は他の濾過プロセスを容易にする静水圧の効率的な使用を可能にする点で有利である。好ましい実施形態では、浮きプラットホーム(floating platform)から懸吊し、水底に繋止し、又は他の方法で逆浸透によって海水から飲料水又は低溶解塩含量水を生産するのに圧力が十分である深さに配置することができる、水抽出用深所露出膜(Depth Exposed Membrane for Water Extraction)(デムワックス(DEMWAX)(商標))モジュールが提供される。他の好ましい実施形態では、デムワックス(商標)モジュールがナノ濾過膜を備えることができ、デムワックス(商標)モジュールを使用して、地表水又は地下水から汚染物質を篩分けすることができる。
【0008】
したがって、第1の態様では濾過システムが提供され、このシステムは、ある水体のある沈水深さに沈められるように構成された膜モジュールであり、膜モジュールが少なくとも1つの膜カートリッジを備え、膜カートリッジが少なくとも1つの膜エレメントを備え、膜エレメントが第1の側と第2の側とを有し、膜エレメントの第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で濾過される水に露出される、膜モジュールと、水体に沈められるように構成されたコレクタ通路であり、コレクタ通路の少なくとも一部分が、濾過された水が集められる膜エレメントの第2の側と流体連通する、コレクタ通路と、コレクタ通路から水体の表面まで延び、コレクタ通路の内部を、水体の表面又は水体の表面よりも高いある高度における大気圧の特性を示す圧力に露出するように構成された呼吸通路とを備え、沈水深さの特性を示す圧力と水体の表面又は水体の表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す圧力との間の差によって、膜エレメントの第1の側から膜エレメントの第2の側へ透過水が流れる。
【0009】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが、少なくとも1つの透過水スペーサによって離隔された2つの膜層を備える。
【0010】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが実質的に平面である。
【0011】
第1の態様の一実施形態では、膜カートリッジが少なくとも2つの膜エレメントを備える。
【0012】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約1mmの間隔を置いて配置される。
【0013】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約2mmの間隔を置いて配置される。
【0014】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置される。
【0015】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約6mmの間隔を置いて配置される。
【0016】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが平行構成の2つの平シート膜を備え、膜エレメントが更に、2つの平シート膜間に位置する少なくとも1つのコレクタスペーサを備え、コレクタスペーサが、2つの平シート膜を互いから分離するように構成される。
【0017】
第1の態様の一実施形態では、膜モジュールが複数の膜カートリッジを備える。
【0018】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約30メートルの深さに、又は少なくとも約60メートルの深さに、又は約60メートルの深さに、又は約60メートルないし約244メートルの深さに、又は約122メートルないし約152メートルの深さに、又は約152メートルないし約183メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0019】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つの逆浸透膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約190メートルの深さに、又は少なくとも約244メートルの深さに、又は約259メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0020】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つの限外濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約22メートルの深さに、又は約22メートルないし約60メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0021】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つの精密濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0022】
第1の態様の一実施形態では、膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められるように構成され、更に、膜エレメントの第1の側から膜エレメントの第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込み(entrainment)を実質的に防ぐように構成される。
【0023】
第1の態様の一実施形態では、沈水深さの特性を示す圧力と水体の表面における大気圧の特性を示す圧力との間の差が、濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給して、膜の第1の側が露出される圧力を機械装置なしに増大させ、膜の第2の側が露出される圧力を機械装置なしに低下させる。
【0024】
第2の態様では、処理される水体中のある深さに沈められるように構成された少なくとも1つの膜であり、水が、沈水深さにおける第1の圧力を有し、膜が濃縮水側と透過水側とを有する、膜と、膜の透過水側と流体連通したコレクタと、コレクタの内部を第1の圧力よりも低い第2の圧力に露出するように構成された通路とを備え、膜の濃縮水側を第1の圧力に露出することが、膜を通り抜けて透過水が濃縮水側から透過水側へ移動する濾過プロセスを推進する、水処理システムが提供される。
【0025】
第2の態様の一実施形態では、第2の圧力が、水体の表面における大気圧の特性を示す。
【0026】
第2の態様の一実施形態では、通路が、コレクタから少なくとも水体の表面まで延びる。
【0027】
第2の態様の一実施形態では、コレクタが通路である。
【0028】
第3の態様では、源水から少なくとも1つの成分を篩別して生産水を生産する篩分け手段であり、源水側と生産水側とを有し、源水側が源水の静水圧に露出されるように構成された、篩分け手段と、生産水を集める収集手段であり、静水圧よりも低い圧力に露出されるように構成された、収集手段とを備える水処理システムが提供される。
【0029】
第3の態様の一実施形態では、低い圧力が、源水の表面における大気圧の特性を示す。
【0030】
第4の態様では、源水を濾過して生産水を生産する濾過手段であり、源水側と生産水側とを有する、濾過手段と、源水中の周囲圧力条件及び源水よりも上の周囲圧力条件を利用して、源水側から生産水側へ透過水を移動させるのに十分な圧力差を、源水側と生産水側との間に生み出す手段とを備える水処理システムが提供される。
【0031】
第5の態様では、供給水から生産水を生産する濾過システムが提供され、このシステムは、少なくとも1つの逆浸透膜であり、水の透過は許すが、供給水に溶解した1種又は数種のイオンの透過は制限するように構成され、更に、溶解したイオンを含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、深さが少なくとも約141メートルであり、それぞれの膜の第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で供給水に露出されるように構成され、それぞれの膜の第2の側のコレクタが、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、膜の第2の側において低溶解イオン濃度の透過水が得られるように、膜の前後の圧力差が逆浸透濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を膜から効果的に遠ざけるように、膜が配置される、逆浸透膜を備える。
【0032】
第5の態様の一実施形態では、システムが、ある海水体中の約113メートルないし約307メートルの深さに沈められるように構成され、海水が約20,000ないし約42,000ppmの塩分を有する。
【0033】
第5の態様の一実施形態では、システムが、ある海水体中の約247メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成され、海水が約33,000ないし約38,000ppmの塩分を有する。
【0034】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約1mmの間隔を置いて配置される。
【0035】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約2mmの間隔を置いて配置される。
【0036】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置される。
【0037】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約6mmの間隔を置いて配置される。
【0038】
第5の態様の一実施形態では、コレクタが、通路を介して、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出される。
【0039】
第5の態様の一実施形態では、通路が呼吸管である。呼吸管は、ほぼ沈水深さから少なくとも供給水体の表面まで延びることができる。
【0040】
第5の態様の一実施形態では、通路が、2つの膜間の少なくとも1つの空間を含む。
【0041】
第5の態様の一実施形態では、コレクタが、供給水体の表面の空気と流体連通した保持タンクである。
【0042】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、第1の位置から第2の位置へ透過水を移送するように構成されたポンプを備える。
【0043】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、供給水体中に少なくとも部分的に沈められた透過水貯蔵タンクを更に備える。
【0044】
第5の態様の一実施形態では、透過水貯蔵タンクが少なくとも部分的に沈められ、透過水の充填及び放出に対応することができる柔軟な材料を含む。
【0045】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、少なくとも1つの膜モジュールを備え、膜モジュールが、供給水の進入を防ぐために縁が密封された1対又は数対の平シート膜を備え、平シート膜対の外面が供給水に露出されるように構成され、使用時に、対をなす膜シート間から透過水収集モジュールを通して透過水を抜き取ることができる。
【0046】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、膜モジュールが懸吊された沖合プラットホームを備える。
【0047】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、飲料水を岸まで輸送するように構成された導管を備える。
【0048】
第6の態様では、供給水から生産水を生産する濾過システムが提供され、このシステムは、少なくとも1つのナノ濾過膜であり、水の透過は許すが、少なくとも1つの成分の透過は制限するように構成され、更に、成分を含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、深さが少なくとも約6メートルであり、膜の第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で供給水に露出されるように構成され、それぞれの膜の第2の側のコレクタが、供給水体の表面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、膜の第2の側において成分の低い濃度を有する透過水が得られるように、膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、膜の第1の側に沿った供給水の実質的に自由な流れを表面張力が妨げることを防ぐように、膜が配置される、ナノ濾過膜を備える。
【0049】
第6の態様の一実施形態では、深さが少なくとも約8メートルである。
【0050】
第6の態様の一実施形態では、深さが少なくとも約10メートルである。
【0051】
第6の態様の一実施形態では、沈水深さの特性を示す圧力と大気圧の特性を示す圧力との間の圧力差が、濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給する。
【0052】
第6の態様の一実施形態では、濾過プロセスが真空ポンプの影響なしで起こる。
【0053】
第6の態様の一実施形態では、システムが更に、コレクタから供給水体の表面へ透過水を移動させるように構成された正水頭ポンプ(positive head pump)を更に備える。
【0054】
第7の態様では、水を淡水化する2パスシステムが提供され、このシステムは、水の透過は許すが、1種又は数種の溶解イオンの透過は制限するように構成された少なくとも1つの第1のナノ濾過膜を備える第1パス濾過システムであり、第1の膜が、ある海水体中の少なくとも約113メートルの深さに沈められるように構成され、第1の膜の第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で海水に露出されるように構成され、第1の膜の第2の側が、海面又は海面よりも高い高度における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、第1の膜の第2の側において低塩分の透過水が得られるように、第1の膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を第1の膜から効果的に遠ざけるように、第1の膜が構成された、第1パス濾過システムと、ナノ濾過膜又は逆浸透膜である少なくとも1つの第2の膜を備える第2パス濾過システムとを備える。
【0055】
第7の態様の一実施形態では、第2の膜の第1の側が低塩分の透過水に露出されるように構成され、更に、第2の膜の第2の側において更に低い塩分の透過水が得られるように濾過プロセスを推進するために、使用時に、第2の膜の前後に圧力差が加えられるように構成される。
【0056】
第7の態様の一実施形態では、第1パス濾過システムが、ある海水体中の約152メートルないし約213メートルの深さに沈められるように構成され、海水が、約33,000ないし38,000ppmの塩分を有する。
【0057】
第7の態様の一実施形態では、システムが、複数の第1のナノ濾過膜を備え、第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約1mm以上の間隔を置いて配置される。
【0058】
第7の態様の一実施形態では、システムが、複数の第1のナノ濾過膜を備え、第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mm以上の間隔を置いて配置される。
【0059】
第7の態様の一実施形態では、システムが、複数の第1のナノ濾過膜を備え、第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置される。
【0060】
第8の態様では、水を処理する方法が提供され、この方法は、源水中のある沈水深さに膜モジュールを沈めるステップであり、膜モジュールが少なくとも1つの膜ユニットを備え、膜ユニットが第1の側と第2の側とを有し、第2の側の少なくとも一部分がコレクタ導管と流体連通し、第1の側が第1の圧力で源水に露出され、第1の圧力が沈水深さの特性を示す、ステップと、コレクタ導管を、第1の側から第2の側へ透過水を移動させるのに十分な第2の圧力に露出するステップと、コレクタシステム内に透過水を集めるステップとを含む。
【0061】
第8の態様の一実施形態では、第2の圧力が、源水の表面又は源水の表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す。
【0062】
第8の態様の一実施形態では、真空ポンプを使用せずに第1の側から第2の側へ移動するように透過水が誘導される。
【0063】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約30メートルの深さに、又は少なくとも約60メートルの深さに、又は約60メートルの深さに、又は約60メートルないし約244メートルの深さに、又は約122メートルないし約152メートルの深さに、又は約152メートルないし約183メートルの深さに沈めることができる。
【0064】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つの逆浸透膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約190メートルの深さに、又は少なくとも約244メートルの深さに、又は約259メートルないし約274メートルの深さに沈めることができる。
【0065】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つの限外濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約22メートルの深さに、又は約22メートルないし約60メートルの深さに沈めることができる。
【0066】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つの精密濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに沈めることができる。
【0067】
第8の態様の一実施形態では、膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められ、更に、膜エレメントの第1の側から膜エレメントの第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込みを実質的に防ぐように構成される。
【0068】
第9の態様では、水を処理する方法が提供され、この方法は、水体中に位置する少なくとも1つの膜を、膜の浸漬深さの特性を示す静水圧に露出するステップであり、膜が濃縮水側と透過水側とを有し、透過水側がコレクタと流体連通する、ステップと、コレクタの内部の少なくとも一部分を静水圧よりも低い圧力に露出するステップであり、それにより、膜の濃縮水側から透過水側へ透過水が透過する、ステップと、コレクタから透過水を集めるステップとを含む。
【0069】
第9の態様の一実施形態では、第2の圧力が、水体の表面又は水の表面の高度よりも高い高度における大気圧の特性を示す。
【0070】
第9の態様の一実施形態では、膜がコレクタとして機能する。
【0071】
第10の態様では、水を処理する方法が提供され、この方法は、源水から少なくとも1つの不必要な成分を篩別する篩分け手段を沈めるステップであり、篩分け手段が源水側と生産水側とを画定し、源水側が源水の静水圧に露出される、ステップと、生産水側を、静水圧よりも低い圧力を有する低圧システムに露出するステップであり、それにより源水側から生産水側へ生産水が透過する、ステップと、生産水を集めるステップとを含む。
【0072】
第11の態様では、水処理モジュールを製造する方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの源水スペーサを第1の膜ユニットに取り付けるステップであり、膜ユニットが、透過水スペーサ層によって離隔された2つの膜層を備え、第1の膜ユニットが密封された縁部分と密封されてない縁部分とを有する、ステップと、源水スペーサに第2の膜ユニットを取り付けるステップと、第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの密封されてない縁部分にコレクタスペーサを結合するステップであり、コレクタスペーサが、第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの源水側を第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの生産水側から分離する水密シールを形成するように構成された、ステップとを含む。
【0073】
第12の態様では、沖合収集設備から陸地へ水を輸送する方法が提供され、この方法は、水体中の第1の深さに収集ユニットを沈めるステップであり、収集ユニットの少なくとも一部分が大気圧に露出される、ステップと、収集ユニットと流体連通した通路を提供するステップであり、通路が、収集ユニットから陸上のある位置まで延び、陸上のある位置が第1の深さよりも低い高度にある、ステップとを含む。
【0074】
第12の態様の一実施形態では、収集ユニットが少なくとも1つの膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ第1の側と第2の側とを有し、第1の側が、第1の深さにおける水体の特性を示す圧力に露出され、第2の側が、大気圧に露出された収集ユニットの一部分と流体連通する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】水体の底に繋止されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図2】一時的に設置して使用するように適合されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図3】浮きプラットホームから懸吊されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図4】大規模用途で使用するように適合され、又は膜モジュールへのより多くのアクセスを望んでいるユーザに対して適合されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図5】垂直に整列させた箱形構成の膜を利用するデムワックス(商標)膜モジュールの平面図(尺度不定)である。
【図6】丸められる前の従来の逆浸透膜モジュールのスパイラルエレメントを示す図である。
【図7A】透過水管の周りに巻き付けられた12層の膜を有する従来の逆浸透膜モジュールの破断図である。
【図7B】透過水管の周りに巻き付けられた12層の膜を有する従来の逆浸透膜モジュールの破断図である。
【図8】従来の逆浸透ユニットの(丸められる前の)膜エレメントの断面図である。
【図9A】一実施形態に基づく膜カートリッジの透視図(尺度不定)である。
【図9B】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9C】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9D】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9E】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9F】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図10】逆浸透濾過プロセス及び生成されたブラインの下方移動を概略的に示す図である。
【図11A】沖合で集められた水を岸まで輸送するさまざまなシステムの一つを概略的に示す図である。
【図11B】沖合で集められた水を岸まで輸送するさまざまなシステムの一つを概略的に示す図である。
【図11C】沖合で集められた水を岸まで輸送するさまざまなシステムの一つを概略的に示す図である。
【図12】塩水スペーサを示し、収集システムと流体連通した膜エレメントの透過水側を示す、デムワックス(商標)膜カートリッジの基本断面図(尺度不定)である。塩水スペーサは、市松模様に配列され、強いプラスチック繊維で接続されたプラスチック「ボール(ball)」である。このスペーサは、膜を分離する格子箱の必要性を排除する。
【図13】塩水又は源水スペーサとして使用するのに適した波形の織られたプラスチック繊維を示す図である。
【図14】デムワックス(商標)システムとともに使用される透過水コレクタ導管の基本図(尺度不定)である。
【図15A】複数の膜エレメントを含む複数のカートリッジと、デムワックス(商標)システムとともに使用されるコレクタ導管とを備えたモジュールの基本図(尺度不定)である。
【図15B】複数の膜エレメントを含む複数のカートリッジと、デムワックス(商標)システムとともに使用されるコレクタ導管とを備えたモジュールの基本図(尺度不定)である。
【図15C】収集システムに流体接続された複数の膜エレメントを含む複数のカートリッジを備えたデムワックス(商標)モジュールの基本図(尺度不定)である。
【図16】膜カートリッジの配置が点線で示された、収集フレームの側面図である。
【図17A】収集システムの部分をより分かりやすく示すために膜カートリッジ及び収集システムの一部が取り外された、膜モジュールの破断透視図(尺度不定)である。
【図17B】4組のカートリッジを支持する収集フレームワークを備えた膜モジュールの透視図(尺度不定)である。
【図18】沖合プラットホームから懸吊された沈められた膜モジュールを示す、デムワックス(商標)プラントの上面を示す基本図(尺度不定)である。
【図19】プラットホームから懸吊され、並列及び直列に配置されたアレイの形態の、沈められたデムワックス(商標)モジュールの上面を示す基本図(尺度不定)である。
【図20】デムワックス(商標)モジュールの複数のアレイを有するプラントの平面図である。
【図21】デムワックス(商標)モジュールのブイアレイシステムの側面図である。
【図22】地下水用途で使用されるように適合されたデムワックス(商標)カートリッジの図である。
【図23A】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【図23B】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【図24A】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【図24B】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下の説明及び例は、本発明の好ましい実施形態を詳細に示す。本発明の範囲が包含する本発明の変形及び変更が多数あることを、当業者は認識するであろう。したがって、好ましい実施形態の説明が本発明の範囲を限定するとみなすべきではない。
【0077】
従来の逆浸透淡水化プラントは、逆浸透膜を高圧の塩水に露出する。この圧力は、この膜を水が透過することを強制し、一方で、イオン、選択された分子及び微粒子がこの膜を透過することを防ぐ(又は妨げる)。淡水化プロセスは一般に高圧で推進され、したがって高いエネルギー要求量を有する。さまざまな淡水化システムが、米国特許第3,060,119号明細書(Carpenter)、第3,456,802号明細書(Cole)、第4,770,775号明細書(Lopez)、第5,229,005号明細書(Fok)、第5,366,635号明細書(Watkins)及び第6,656,352号明細書(Bosley)、並びに米国特許出願第2004/0108272号明細書(Bosley)に記載されている。
【0078】
水を浄化し及び/又は淡水化するシステムが提供される。それらのシステムは、ナノ濾過(NF)膜、逆浸透(RO)膜などの1つ又は複数の膜を、自然又は誘導水柱の静水圧、例えば海の深部の高圧の水に露出することを含む。膜は、圧力が、膜の第1の側に存在する供給水(又は原水)の浸透圧と膜自体の膜透過圧力損失(transmembrane pressure loss)の和に打ち勝つのに十分である深さに沈められる。海水又はより多量の溶解塩を含む他の水に関しては、膜透過圧力損失は一般に浸透圧よりもはるかに小さい。したがって、いくつかの用途において、浸透圧は、必要な圧力(したがって必要な深さ)を決定する、膜透過圧力損失よりも重要な因子である。地表の淡水又はより少量の溶解塩を含む水の処理では、浸透圧がより小さい傾向があり、膜透過圧力損失が、必要な圧力(したがって必要な深さ)を決定するより重要な因子になる。一般に、海水を淡水化するように適合されたシステムは、淡水を処理するシステムが必要とするよりも大きな圧力、したがってより大きな深さを必要とする。
【0079】
好ましい実施形態のシステムは、さまざまな構成の膜モジュールを利用する。好ましい一構成では、膜モジュールが、2つの平行な膜シートが透過水スペーサによって離隔された状態に保持され、膜シート間の容積が封じ込められた膜システムを使用する。透過水は膜を透過し、封じ込められた容積内へ入り、そこで集められる。特に好ましい実施形態は、低圧(透過水)側の膜間の間隔を維持するために剛性セパレータを使用するが、2つの膜シートの分離を維持する能力を有する適当な任意の透過水スペーサ構成(例えばある程度の柔軟性又は変形性を有するスペーサ)を使用することができる。スペーサは、膜シート間の分離を維持する能力を有する適当な任意の形状、形態又は構造、例えば正方形、長方形又は多角形の断面(中実又は少なくとも部分的に中空)、円形断面、Iビームなどを有することができる。透過水が集められる空間内において膜シート間の分離を維持するためにスペーサを使用することができ(透過水スペーサ)、スペーサは、原水ないし未処理の水に露出された領域内において膜シート間の分離を維持することができる(例えば原水スペーサ)。或いは、原水スペーサを利用しない構成を使用することもできる。その代わりに、膜をその場に保持する構造、例えば支持フレームによって分離が提供される。例えば間隔を置いて配置された一連の発泡プラスチック媒体(例えば球)、波形の織られたプラスチック繊維、多孔質モノリス、不織線維シートなどによって、分離を提供することもできる。同様に、適当な任意の材料からスペーサを製造することができる。適当な材料は、剛性ポリマー、セラミック、ステンレス鋼、複合材料、ポリマーでコーティングされた金属などを含むことができる。上で論じたとおり、間隔を提供するスペーサ又は他の構造は、透過水が集められる2つの膜表面間の空間(例えば透過水スペーサ)、又は原水に露出される膜表面間の空間(例えば原水スペーサ)において使用される。
【0080】
或いは、重力又は水流によって、より高密度の濃縮水が、この構成の中を通過し、膜表面から遠ざかるように移動することができる、ゆるく巻かれた構成の1つ又は複数のスパイラル膜ユニットを使用することもできる。或いは、膜エレメントを、表面露出を最大化し、空間要件を最小化するさまざまな他の構成(平面、スパイラル、湾曲、波状など)に配列することもできる。好ましい一構成では、これらのエレメントが、わずかな間隔で垂直に配列され、深所に降ろされる。海水用途では、海の静水圧が、水が膜を透過することを強制し、収集システムが、処理水を集め、それを海面、岸又は他の所望の位置までポンピングする。スパイラル構成が使用される場合、膜は、従来の逆浸透システムよりも離して、例えば約0.25インチ以上(約6ミリメートル以上)離して配置されることが好ましく、この構成は、「隙間の多い(open)」モジュールである(すなわち、周囲の源水に膜を直接に露出し、源水が実質的に抑制されずに膜を通り過ぎることを可能にするように構成される)ことが好ましい。このような構成は、供給水が膜を通り過ぎることを容易にし、特に、濾過プロセスによって膜の表面に生成されたより高密度の濃縮水を引き降ろす重力の能力を促進する。一般に隙間の多い構成が好ましいが、ある実施形態では、隙間の多い構成以外の構成が望ましいことがある。
【0081】
好ましい実施形態のシステムは、約194メートルないし約307メートル、又はそれ以上の深さの海水中に膜を降ろすことによって、供給水又は原水を加圧する必要性を排除するという利点を提供する。従来の陸上逆浸透プロセスは一般に、この圧力を発生させるために莫大な量のエネルギーを必要とする。平均的な塩分の海水(例えば約35,000mg/リットルの塩分を有する太平洋の水)から飲料水を生成したいときに、逆浸透膜を使用する好ましい実施形態のシステムにおいて使用される深さは約247メートルないし約274メートルであることが好ましく、この深さが約259メートルであると最も好ましい。もちろん、逆浸透膜を使用するシステムをより浅い深度で展開することもできる。低塩分の水(例えば潅漑、工業冷却用途などに適したかん水(brackish water))が所望の場合、ナノ濾過膜を使用するシステムの好ましい深さは、約113メートルないし247メートル、又はそれ以上である。平均的な塩分の海水(例えば約35,000ppmすなわちmg/lの塩分を有する太平洋の水)からかん水を生成するためには、この深さが、約152メートルないし約213メートルであることが好ましい。もちろん、ナノ濾過膜を使用するシステムは213メートルよりも深い深度で展開することもでき、このようなシステムを、逆浸透膜を使用するシステムと同じ深さで展開することもできる。
【0082】
好ましい深さは、限定はされないが、膜の化学的性質、膜の間隔、周囲の流れ、海水の塩分(又は供給水の溶解イオン含量)、透過水の塩分(又は透過水の溶解イオン含量)などを含む、さまざまな因子に依存しうる。深所において、膜と接触した海水はおのずと連続的な高圧下にある。好ましい実施形態のシステムの他の利点は、それらのシステムが、高圧パイプ、取水システム、水前処理システム又はブライン廃棄システムを必要としないことである。好ましい実施形態のシステムをよりいっそう浅い深度で展開することもできる。例えば、淡水化前処理システム又は海水取入れシステムにおいて使用される浅い海水中で、実施形態を展開することができる。高速取入れロがないため、このようなシステムは、海洋生物を傷つけることを有利に回避する。好ましい実施形態の選択されたシステムは、塩水が内部の金属部材と一切接触しないように構成されることが好ましい。このことは、従来の逆浸透システムに不利な影響を及ぼす選択された溶解イオンの腐食効果を劇的に軽減する。システムは、外洋で使用されるように、したがって従来の陸上逆浸透システムの場合とは違い、岸辺の土地をあまり必要としないように、構成されることが好ましい。一般に、247メートルないし約274メートルの深さで好ましい実施形態のシステムを作動させることが好ましいが、システムをより浅い深度で動作するように有利に構成することもできる。例えば、精密濾過(microfiltration)膜、限外濾過(ultrafiltration)膜又はナノ濾過膜を含むシステムを、地表水及び貯水池中のずっと浅い深度に配置することができ、細菌、ウイルス、有機物及び無機物を淡水源から濾別するように構成することができる。地表水処理システムはナノ濾過膜を使用することが最も好ましい。このようなシステムの膜は、約6メートルないし61メートルの深さに配置することができ、又は、除去すべき全溶解固形物、所望の取入れ速度及び生産水の所望の品質に応じた他の適当な深さに配置することができる。精密濾過、限外濾過又は逆浸透膜を含むシステムを、汚染された供給水から浄化された水を生成するように適合させることもでき、地下水井戸の中に配置するように構成することもできる。
【0083】
ある好ましい実施形態の膜モジュールは、供給水から不必要な成分を分離し、そのようにして生成された生産水を、ポンプを含む水中の収集システムに移送するために使用される。この収集システムは、膜生産及びポンプ速度の変動を緩衝するために十分な量の透過水を保持するタンクの役目を果たすことができる。ポンプは、水中ポンプ(submersible pump)、ドライウェルポンプ(dry well pump)などを含む適当な任意の形態のポンプとすることができる。収集システムは、少なくとも2つのパイプ、管、通路又は他の流れ誘導手段、すなわち、その中を透過水が表面、岸又は他の所望の位置まで導かれる手段と、ポンプ動作から膜を分離する(又は保護する)手段(例えば「呼吸管(breathing tube)」)とに接続される。膜の前後の圧力差を突然に増大させ又は低下させるのではなく、呼吸管を空にし、又は満たすことによって、ポンプをオン又はオフにすることによって引き起こされるシステムの圧力サージを軽減することができる。呼吸管がなければ、(例えばシステム保守のための)ポンプサイクリングによって膜ユニットにかかる応力が、膜の寿命を短縮し、又は他の機械的摩耗を引き起こす可能性がある。呼吸管を使用して、透過水保持タンクを大気圧に露出し、それによって、深所の圧力に露出されたときに透過水が膜を透過することを可能にすることが特に好ましいが、膜の透過水側に減圧を適用する他の手段を使用して、濾過プロセスを推進することもできる。単一の呼吸管又は複数の呼吸管を使用することができる。同様に、複数の流れ誘導手段(例えば単一の位置又は異なる位置に透過水を送る複数のパイプなど)を有利に使用することができる。呼吸管(1つ又は複数)は、ポンプが始動され又は停止されたときに呼吸管(1つ又は複数)を流れる極めて高速の気流に対して観察される音響効果を回避するように構成されることが好ましい。
【0084】
海洋用途において使用される収集システムは、透過水を集め又は蓄積し、それを、海面又は他の所望の位置(水中位置、岸辺の地中又は地表貯蔵タンクなど)に運ぶように構成される。海上の暴風雨の影響及び視覚的な影響を回避するために、このような収集システムは浮揚性(buoyant)であることが好ましく、海底に繋止されることが好ましいが、他の構成も有利に使用することができる。例えば、水面プラットホーム(浮き又は固定プラットホーム)を海に配置することができ、そこから膜モジュールを懸吊することができる。モジュールを懸吊する際には海流が考慮されることが好ましい。海流は、懸吊されたモジュールに力を加え、モジュールを側方へ変位させる。振り子と同じように、モジュールが側方へ変位すると、モジュールは強制的に海面に近づく。流れが比較的に一定の場合には、好ましいモジュール深さよりも長いラインからモジュールを懸吊することができ、その結果、流れの力がモジュールを側方へ押し、好ましい深さにモジュールを置く。逆に、水体の底に繋止された浮揚性モジュールに関してもこれらの同じ考慮が当てはまる。したがって、ある実施形態では、モジュールが好ましい深さに維持されるよう、ラインの長さを、流れの変化を補償するように調整することができる(例えば流れセンサをウィンチとともに使用することができる)。或いは、流れ変位によって、モジュールが好ましい深さよりも上昇しないような深さに、モジュールを配置することもできる。
【0085】
好ましい実施形態のシステムは従来の海洋プラットホーム技術を使用することができる。例えば、発電用の電力モジュール(例えば発電機、変圧器など)、燃料の貯蔵場所、保守用の予備部品の貯蔵場所、及びシステムを動かす他のインフラストラクチャを支持するために、コンクリート製のハル(hull)を有する浮きプラットホームを使用することができる。陸上の飲料水需要が一日を通して均一でないとき、連続生産プロセスは貯蔵システムを使用することが好ましい。需要が少ないとき、プラットホームは、岸辺(onshore)の貯蔵場所を補うものとして、いっぱいになると拡張し、空になるとすぼむハイパーロン(HYPERLON)(商標)などの柔軟な材料でできた浮きタンクを使用することができる。このような貯蔵システムは海中に懸吊され、したがって、岸辺の水タンク又は岸に近い陸地に位置するタンクでは必要な大規模な建設作業を必要としない。
【0086】
このシステムによって生成された飲料水又は低イオン含量水は、パイプラインの内側と外側のほぼ同一の圧力を利用することにより、岸まで輸送されることが好ましい。例えば、選択された実施形態では、ハイパーロン(商標)又は他の適当な材料でできた水中に浮かぶ可撓パイプを使用することができる。このようなパイプは、例えば海面下約100フィートに懸吊され、又は海底に沿って配置されることが好ましい。パイプの深さは、海上交通を妨げない深さであることが好ましい。システム位置に海上交通が存在しない場合、海面でパイプを使用することが有利なことがある。可撓パイプが有利に使用されるが、剛性パイプ、セメント流路、或いは他の管又は通路構成を使用することもできる。
【0087】
淡水化プラントはしばしば淡水化された水に、その地方の規則に従ってある種の化学薬品(例えば塩素、フッ素、殺藻剤、消泡剤、殺生物剤、ボイラ水用化学薬品、凝固剤、腐食抑制剤、消毒剤、凝集剤、中和剤、酸化剤、脱酸素剤、pH調整剤、樹脂洗浄剤、スケール抑制剤など)を追加する。この作業は、水が分配システムに送水されているときに岸辺で、又はシステム中の他の適当な位置で実施することができる。
【0088】
デムワックス(商標)システム
好ましい一実施形態のデムワックス(商標)システムの図が図1に示されている。海底のアンカー100に、膜モジュール102及び収集導管104を含むデムワックス(商標)システムのいくつかの要素が繋止されている。膜モジュール102は、例えば図9Cに関して後に説明するような1つ又は複数の膜カートリッジを含むことができる。用途に応じてフロート又は重りを追加してモジュールを所望の深さに保持することができるように、システムのこれらの要素及びその他の要素は、ほぼ中立的に浮揚する(nearly neutrally buoyant)ように構成されることが好ましい。収集導管を大気圧に露出するため、収集導管104と海面に浮かぶブイ108との間に呼吸管106が延びる。呼吸管は或いは、透過水パイプ112を伝って岸まで延びてもよい。ポンプ110が、パイプ112を通して透過水を収集導管104から岸までポンピングする。ポンプ110は、図に示されているように収集導管104内に配置し、又は収集導管104に隣接して配置することができ、或いはパイプ112と流体連通させて岸又は岸の近くに設置することができる。背圧が逆浸透プロセスを停止させないように、このポンプは膜とほぼ同じ深さにあることが好ましい。ポンプが850フィート未満の深さにある場合には、逆浸透プロセスの進行を可能にするために、ポンプが膜に負圧を与える必要があることがある。追加の貯蔵場所を提供するため、任意選択で、システム内に、例えば収集導管104の一部としての、又は収集導管104から延びる、1つ又は複数の透過水貯蔵タンク114を配置することができる。このような追加の貯蔵場所を有利に使用して、ポンプ速度の変動を緩衝することができる。貯蔵タンク114は、タンク114に貯蔵された透過水の容積を感知し、それに応じてポンプ110の動作を調節するように構成されたセンサ(図示せず)を含むことができる。
【0089】
図2は、一時(非永続)用途に特によく適したデムワックス(商標)システムの他の実施形態を示す。デムワックス(商標)モジュール120は、海底の1つ又は複数のアンカー122に繋止される。モジュール120は、少なくとも1つの膜カートリッジ及び収集導管を含む。膜モジュールは、海の深所の静水圧に露出され、収集導管は、水面に浮かぶブイ126まで延びる呼吸管124を通して大気圧に露出される。透過水はモジュール120に集められ、ブイ126の近くに置かれた岸まで輸送するための移動貯蔵容器128に、透過水パイプ127を通してポンピングされる。このシステムなどのシステムは、緊急的状況において、例えば上水の汚染又は不足にみまわれた区域の近くに、迅速に展開することができる。
【0090】
図3は、デムワックス(商標)システムの代替構成を示す。膜モジュール132は浮きプラットホーム130の下に懸吊される。示されたシステムでは、モジュール132が淡水を生産し、生産された淡水は、水中ポンプ、ドライウェルポンプ又は他のポンプ136を含む1つ又は複数の保持タンク134に入れられる。保持タンク134と浮きプラットホーム130との間に延びる呼吸管138によって、保持タンク134の内部は大気圧に維持される。生産水は水面140までポンピングし、次いで柔軟な貯蔵タンク142内へポンピングすることができる。貯蔵タンク142はプラットホーム130の海側に浮かんでいるように示されているが、貯蔵タンクを他の適当な構成に配置することもでき、例えば貯蔵タンクをプラットホーム130の陸側に配置し、又は水面140下に懸吊することもできる。生産水は次いで、最終的な処理及び分配のためにパイプ144を通して岸までポンピングされる。浮きプラットホーム130に発電用機器146を配置することができ、発電用機器146は、示されたシステムの他の構成要素に電力を供給するように構成することができる。貯蔵場所から岸へ水を移動させるためにポンプ148を配置することもできる。図3に、懸吊ケーブル、電力ケーブル、繋索(tether)、アンカーなどの構成要素は示されていないが、示されたシステムなどのシステムではこれらの構成要素を望ましく使用することができる。
【0091】
図4は、浮きプラットホーム162から柱(column)160が懸吊されたデムワックス(商標)システムの他の代替構成を示す。柱160は、下部チャンバ(chamber)164へのアクセスを提供するように構成することができる。チャンバ164は、ポンプ、弁、電気パネル、計測機器、他の補助機器168など、デムワックス(商標)システムのさまざまな構成要素を収容するように構成することができる。チャンバ164は、機器を保守するために作業員がチャンバにアクセスすることができる十分な大きさに設計することができる。チャンバ164の外側に膜モジュール170を配列することができる。膜モジュール170は周囲の供給水に露出させるが、透過水部分は収集導管及びシステム166と流体連通する。収集システム166をチャンバ164の内部に対して露出させることができ、チャンバ164を、柱160を介して大気圧に露出させることができる。このような構成によって、チャンバ164自体が、収集システム166の「呼吸管」として機能することができる。別個の呼吸管が、柱の外側を伝って水面まで延びてもよい。収集システム166を、貯蔵場所又は岸まで生産水を輸送するように構成されたパイプ172に流体接続することができる。これらのシステムなどの好ましい実施形態のシステムは大規模用途に対して特に有利であり、他の実施形態よりも大きな膜カートリッジ、大きな膜モジュール及び/又は大きな膜モジュールアレイを使用することができる。このようなシステムは、ポンプの選択における追加の柔軟性、並びに保守目的でのポンプ及び他の機器へのアクセスの容易さを有利に提供する。この用途では、水中ポンプとは異なる他のタイプのポンプを使用することができる。システムが波又は海流によってあまり影響を受けないように、柱160及びチャンバ164は、コンクリートなど構造的に強く、安定な腐食材料からなることができる。その必要はないが、このようなシステムを図1に関して上で説明したように海底に繋止してもよい。
【0092】
上記の説明は海洋用途に関して特に述べたものだが、同様に構成されたシステム(浮動システムと固定システムの両方)を、淡水又は地表水用途向けに構成された実施形態とともに利用することもできる。
【0093】
デムワックス(商標)膜モジュール200の一構成は、箱形構成の膜ユニットないし膜エレメント202からなる垂直に整列した膜カートリッジを利用する。このような1つのモジュールの単純化された断面が図5に示されている。膜エレメント202は互いの近くに離隔して配置することが好ましいが、濾過プロセスにより膜表面204に生成されたより高密度の海水を引き降ろす重力の能力を表面張力が大幅に阻害するほど近くには配置しないことが好ましい。表面張力の重大な影響を回避する最小の間隔は、膜の化学的性質を含むさまざまな因子に依存しうるが、一般に約1mm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは約2mmないし約25mm、最も好ましくは約5mmないし約10mmである。ある実施形態では、1mm未満の間隔が許容され、又は1mm未満の間隔が望ましいことさえある。同様に、ある実施形態では、25mm超の間隔が許容され、又は25mm超の間隔が望ましいことさえある。一般に、この間隔を最小化して、設置面積当たりの膜表面積を最大化することが好ましい。
【0094】
図5の尺度は不定であり、図5では、例示のため膜間の距離が誇張されている。図5は、収集導管206の両側の合計7つの膜エレメント202を示すが、好ましい実施形態では、生成される水の量又は他の因子に応じてより多くのエレメントを使用することができる。海水デムワックス(商標)システムの好ましい実施形態では、モジュールが一般に、互いに約1/4インチ(約6ミリメートル)間隔で配置されたこれらのエレメントを数百含む。膜エレメント間の間隔は、(限定はされないが)供給水中の全溶解固形物、膜の高さ及び周囲の流れの速度を含むいくつかの因子に依存する。地表水又は淡水用途では、膜エレメント間の約1/8インチ(約3ミリメートル)の間隔を望ましく使用することができる。
【0095】
好ましい実施形態のシステムでは、膜モジュール及び/若しくはカートリッジを垂直に配列することができ、或いは他の適当な構成に、例えば、垂直から傾けて、又は海流がある場合には水平に配列することもできる。ある実施形態では、複数のモジュールが剛性ケーシング(casing)のところで集合し、そこで膜モジュールからコレクタ導管へ淡水が流れる。このような逆浸透システムの効率的な動作を提供するためには、例えば膜エレメントを互いのごく近くに、平行「フィン(fin)」構成(例えばラジエータ又は熱交換器の「フィン」と同様の構成)として配置することにより、単位設置面積当たりの高圧の塩水に露出される膜の表面積が最大化されることが好ましい。
【0096】
或いは、選択された好ましい実施形態の膜モジュールの構成を、従来の逆浸透膜モジュールの構成と同様とすることもできる。例えば、図6には、4つの長方形のシート210(a)から210(d)が示されている。逆浸透膜エレメントを構成する図6に示された4つのシートは、ポリアミド膜210(a)、(例えば2つの膜シート210(a)と210(c)の間を淡水が流れることができるようにそれらの膜シートを分離する)透過水スペーサ210(b)、第2のポリアミド膜210(c)、及び(例えば膜エレメント間を原塩水が流れることができるように膜エレメントを互いから分離する)原水スペーサ210(d)を含む。図6は、接合され、丸められ、圧力容器に挿入される前のこれらのシートを示す。スペーサ210(b)及び210(d)は、水がそれらの中を流れることができるように多孔質である。原水は膜表面全体に流れ、透過水は収集システムへと流れる。有利に使用することができるシートの一般的な寸法は、約3フィート(0.91メートル)又は3フィート4インチ(1メートル)×8フィート(2.44メートル)だが、適当な任意の寸法を使用することができる。膜メーカから入手可能な幅及び/又は長さの膜シートを使用したほうが好ましいことがあるが、適当な任意のサイズを使用することができる。当技術分野で知られている技法を使用して短いほうの長さを互いに一緒に接着することにより、一方の寸法がより大きなシートを得ることができ、又は所望の寸法に製造することができる。一体(unitary)シートは一般に、継目で互いに接合されたより小さな複数のシートから調製されたシートよりも大きな構造的完全性を示すので、一般に一体シートを使用することが好ましい。同様に、平らなサンドイッチ構成として膜が製造されるときには、折り目が膜の特性を弱めない限りにおいて、膜(又はシステムに使用される他のシート構成要素)を折り畳んでサンドイッチ構成の一辺を形成し、したがって密封及び/又は接着の数を最小化し、それによりシステムの構造的完全性を増大させることが望ましいことがある。丸める前に、これらのシート(2つの膜シート及び透過水スペーサ)の3辺が密封される。第4の辺は開いたまま残され、生産水を収集システムへ移すことができるように透過水パイプに接合される。適当な任意の密封法(例えばラミネーション(lamination)、接着剤、クリンピング(crimping)、ヒートシーリング(heat sealing)など)を使用することができる。従来のスパイラルモジュールのこれらの要素の寸法が図7A及び7Bに示されている。これらの写真は、透過水管の周りに巻き付けられた12層の膜211を有する逆浸透膜モジュールの破断図を示す。半径を約1/2インチ(12.7ミリメートル)とすると、図6に関して上で説明した4つのシートは12層になる。このような従来のシステムの膜間の流れ空間は一般に非常に小さいが、使用される圧力は高く、大きな膜表面積を小さな空間に収めることができる。好ましい実施形態の膜カートリッジでは、膜エレメント間の間隔が、膜エレメント間の供給水の流れに対して表面張力が大きな影響を及ぼす従来の逆浸透システムほどには小さくない。その代わりに、この間隔は、膜エレメント間を流れる供給水の体積が膜間の空間の浸透圧を十分に維持するには十分に大きいが、大きな膜表面積を比較的に小さな容積に収めるには十分に小さい。
【0097】
図8は、(丸められる前の)従来の逆浸透ユニットの膜エレメント212の断面を示す。好ましい実施形態では、収集装置の周りに膜を巻き付けるのではなしに、原水スペーサ214(d)を本当の空間に置き換えることができるように、膜214(a)、214(c)及び透過水スペーサ214(b)が垂直に配列されるが、ある実施形態では、ポリマー又は他のスペーサシートを使用することができる。
【0098】
膜カートリッジ
図9Aは、好ましい実施形態に従って構成された膜カートリッジ220の透視図を示す。カートリッジ220は、2つの側壁224(a)、224(b)を備えたケーシングの内側に実質的に配置された1つ又は複数の膜エレメント222を含む。側壁224の間隔を維持し、カートリッジ220の構造支持を提供するため、カートリッジ220の上面、底面及び後面の側壁224間に、1つ又は複数の剛性ダウエル(dowel)226(a)が延びる。この同じ機能を実行し、カートリッジ220の前面を通して透過水が流れる空間を提供するため(例えば下記の図17Aの議論を参照されたい)、カートリッジ220の前面の側壁224間に、1つ又は複数の剛性ダウエル226(b)が延びる。側壁224まで延びるダウエル226(a)、226(b)が示されているが、他の構成も可能である。膜エレメント222間の間隔を維持するようにダウエル226(a)、226(b)を構成することもできるが、この機能を実行するために別個の間隔手段を提供することもできる。カートリッジ220の前端では、膜エレメント222の上端からエレメント222の下端まで延びる1つ又は複数の密封スペーサ227によって、膜エレメント222が分離される。密封スペーサ227が一体として、カートリッジ220の前壁229を形成する。密封スペーサ227は、カートリッジ220の前端において、膜エレメント222間を流れる源水を、膜エレメント222の中を通って収集システム内へ流れる透過水から分離する、水密シールを提供するように構成される。膜ユニット222の前端からの透過水の収集を容易にするために、側壁224(a)、224(b)はそれぞれ、収集システムの対応する構造と対合するように構成された1つ又は複数の切欠き228又は他の機構を含むことができる。膜カートリッジ220を、動作中にそれに対して露出される静水圧に耐えるように構成することができ、膜カートリッジ220は、特定の用途に適した材料を含むことができる。この図は、カートリッジ220の合計7つの膜エレメント222を示すが、好ましい実施形態では、生成される水の量、膜間の所望の間隔又は他の因子に応じてより多数の又はより少数の要素を使用することができる。図9Aの尺度は不定であり、図9Aでは、例示のため膜ユニット222間の距離が誇張されている(例えば、好ましい一実施形態の膜カートリッジは高さを1メートルとすることができるが、膜エレメント間の間隔はわずか6ミリメートルである)。
【0099】
図9Bから9Fは、膜カートリッジ220を製造するプロセスのいくつかのステップを示す。膜カートリッジを構築するため、最初に、いくつかの膜ユニットないし膜エレメント222が用意される。膜エレメント222はそれぞれ、透過水スペーサシート236によって離隔された2つの膜234を含む。それぞれの膜エレメント222の上縁、底縁及び後縁は図9Bの点線230によって示されているように密封され、膜エレメント222の前縁(図9Bの右側)は開いたまま残される。これらの縁の密封は、接着剤、クリンピング法、ヒートシーリング、又は膜エレメントの内側と外側の間の圧力差に耐えることができるシールを形成する能力を有する他の適当な方法を使用して達成することができる。次いで、膜エレメント222の縁の周りに1つ又は複数のスペーサ232が取り付けられる。スペーサ232は、図9Bに示されているように膜エレメント222の周縁を越えて延びることができ、又は周縁と境を接することができる。スペーサ232は任意選択で、一連のエレメント222の端から端まで延びるダウエルを受け取るように構成された1つ又は複数の切欠き、溝又は開口を含むことができる。もちろん、スペーサ232は、それらの意図された目的に適した他の任意の構成を有することができる。膜エレメント222の前端に、エレメント222の高さに沿って延びる密封スペーサ227が取り付けられる。スペーサ232及び密封スペーサ227は、接着剤又は他の適当な手段を使用して膜エレメント222に取り付け、又は他の方法で膜エレメント222に結合することができる。スペーサ232及び密封スペーサ227が取り付けられた後、スペーサ232及び密封スペーサ227に別の膜エレメント222が取り付けられる。所望の数の膜エレメント222を有するカートリッジが構築されるまでこのプロセスが繰り返される。
【0100】
図9Cから9Eは、膜エレメント222のスタック内のスペーサのさまざまな構成を示す。図9Cは、スペーサ232によって離隔された膜エレメント222のスタックの断面を示す。カートリッジ内の一連の膜エレメント222にまたがる連続するダウエル238に巻き付くため、スペーサ232は膜エレメント222の縁を越えて延びる。スペーサ232及びダウエル238は一体として、一連の膜エレメント222にまたがり、膜カートリッジの構造構成要素の役目を果たすことができる補強構造を形成する(例えば図9Aのダウエル226(a)を参照されたい)。図9Dは、スペーサ240が膜エレメント222の縁を越えて延びる代替実施形態を示す。一連の膜エレメント222にまたがるダウエル242を受け取るため、スペーサ240に溝又は切欠きを設けることができ、ダウエル242はスペーサ240の溝にぴったりとはまる。ダウエル242は例えばポリマー材料、複合材料又は金属を含むことができる。図9Eは、それぞれの膜ユニット222をしっかりと受け取るように構成された櫛形のダウエル244を含む他の実施形態を示す。このような構成では、膜ユニット222の間隔がダウエル244の歯によって維持され、追加のスペーサが不要である。この構成のカートリッジを製造するため、ダウエル244の歯と歯の間のそれぞれの空間に一連の膜ユニット222を挿入することができる。ダウエル244とユニット222の適当な係合を保証するため、任意選択で、これらの空間に接着剤又は他の適当な係合手段を提供することができる。更に、膜234間の領域内へ延びるスペーサ232が示されているが、実施形態は、膜234間の領域内へ延びないスペーサを使用することもできる。例えば、実施形態は、膜領域を越えて延びる密封部材によって(上縁、後縁及び底縁が)密封された膜エレメントを含むことができる。このような実施形態では、膜自体の間ではなく、密封部材の膜領域を越えて延びる部分間にスペーサを配置することができる。
【0101】
図9Fに、膜カートリッジ220の前壁229が更に詳細に示されている。この図に示されているように、それぞれの膜ユニット222間に密封スペーサ227が配置される。密封スペーサ227は膜ユニット222の長さに沿って延び(図9B参照)、矢印231によって示されているように膜ユニット222間を流れる源水を、矢印233によって示されているように透過水スペーサ236の中を流れる透過水から分離するように構成される。密封スペーサ227は、膜エレメント222間の透過水の流れを実質的に妨げない。接着剤又は他の適当な方法を使用して密封スペーサ227を膜シート234に接着することができる。
【0102】
好ましい実施形態のシステムの設置面積は、所望の能力、膜の高さ及び膜エレメント間の空間の関数である。海水用途では、膜エレメントが1/4インチ(6.35ミリメートル)間隔で配置されており、膜の高さが40インチ(1メートル)であるとすると、膜カートリッジの設置面積1,000平方フィート(93平方メートル)ごとに、このシステムは、流束レートを約1.5gpfd(膜1平方メートル当たり約61リットル/日)と仮定して、約400,000ガロン/日(約160万リットル/日)を生産することができる。設置面積を更に低減させるために、深所において膜モジュールを積み重ねることができる。かなりの水流がある領域に膜システムが展開される場合には、このかなりの水流が、最上位のモジュールから出た濃縮水の混合及び移動を容易にし、それにより最上位モジュールの下の短い距離の間にその塩分を周囲の海水の塩分と等しくするため、水流が最小限である領域よりもモジュールをより密に積み重ねることができる。あまり水流がない場合には、海水の混合及び膜に沿った海水の移動を容易にするシステム、例えばバブラ(bubbler)、ジェットなどを提供することが望ましいことがある。
【0103】
好ましい実施形態のシステムでは適当な任意の膜構成を使用することができる。例えば、そのような1つの構成は、膜ユニット又は膜カートリッジが両側からコレクタに接合する中心コレクタを使用する。他の構成は、飲料水を中心コレクタへ移動させる放射状コレクタと同心の膜ユニットを使用する。
【0104】
膜モジュールの深さ
海水用途では、好ましい実施形態の膜モジュールが、追加の圧力を加えることなしに、膜に対する海水の周囲圧力によって、所望の透過水を生産する十分な深さに沈められることが好ましい。このような深さは一般に少なくとも約194メートル、好ましくは少なくとも約259メートルである。しかしながら、用途によっては、好ましい実施形態のシステムを他の深さで展開させることもできる。海水の逆浸透に関して、平均的な塩分(例えば約35,000mg/l)の海水から飲料水を生産するためには、深さが259メートルであることが好ましい。(例えば潅漑又は工業プロセスに使用される水など)ある塩分レベルが許容される場合には、より浅い深さを使用することもできる。例えば、ある種の膜を約100メートルないし約247メートルの深さに沈めることによって、潅漑農業に適したかん水の生産を達成することができる。周囲の海水の塩分に応じて膜のタイプ(例えば化学的性質)及び膜モジュールの深さを選択することによって、許容される塩分レベルを選択することができる。ナノ濾過膜を利用する好ましい実施形態のシステムを例えば深さ約43メートルの海中に展開して、供給水の塩分の約20%を篩別し、更にカルシウム及び多くの他の不必要な成分を除去することができる。このようなシステムを、既存のプラントの能力を拡張し、保守及び全体的なエネルギー必要量を、標準的な岸辺逆浸透プラントに比べて約50%低減させる、岸辺淡水化プラントの沖合前処理システムとして使用することができる。限外濾過(UF)及び/又は精密濾過(MF)膜を利用する好ましい実施形態のシステムを、従来の淡水化プラントと一緒に、或いは海又はより深い他の水体から遠い工業用途とともに使用することもできる。好ましい実施形態のシステムを、発電所の冷却用途など、カルシウム又は他の望ましくない成分の存在が問題(例えば腐食又はスケールの付着)となる工業用途において使用されるように構成することができる。好ましい実施形態で使用される適当なRO及びNF膜は、Dow Water Solutions社(米ミシガン州Midland)及びSaehan Industries Inc.社(韓国)から市販されている。
【0105】
ある実施形態では、より浅い深度で展開するようにシステムを構成することができる。例えば、浅い海水(例えば深さ約7メートル)中で実施形態を展開させ、例えば岸辺発電所の冷却水を生産する低速海水取入れシステムとして使用することができる。有利には、このような低速取水システムは海洋生物を傷つけることを防ぐ。このようなシステムは、フィルタファブリック又はスクリーンを、空隙率がより低い膜の代わりに使用することもできる。
【0106】
更に、精密濾過、限外濾過又はナノ濾過膜を使用する好ましい実施形態のシステムを、地表水中及び貯水池中の6メートルという浅い深度に配置することができ、細菌、ウイルス、有機物及び無機化合物を源水から濾別するように構成することができる。例えば、ナノ濾過膜を使用するシステムを、約6ないし30メートルの深さに配置することができ、又は、除去すべき全溶解固形物及び生産水の所望の品質に応じた他の適当な深さに配置することができる。精密濾過、限外濾過又はナノ濾過膜を含む好ましい実施形態のシステムを、汚染された上水から清浄水を生産するように適合させることもでき、地下水井戸中に配置するように構成することもできる。非常に低濃度の溶解物質を有する淡水源において、源水の浸透圧は、濾過プロセスにおいて相対的に重要でない因子である(一般に、源水の全溶解固形物は100mg/l当たり1ポンド/平方インチ(約6.9kPa)の圧力を必要とする)。その結果、所望の処理レベルのために必要な深さの決定においては、膜の膜透過圧力損失のほうがより支配的になる。
【0107】
ある実施形態では、誘導水柱を使用して、濾過プロセスを推進する圧力を提供することができる。小川又は川が必要な深さを有しない場合、その小川又は川の流れを大きな深いプールに似た人工の容器内へ分水することができる。そのプールの中にデムワックス(商標)システムを配置することができる。このプールは、余剰水を既存の川又は小川に戻し、或いは新しい位置へ流す(例えば潅漑目的で分水する)ことにより、元の水源の流れの性質を維持する。したがって、膜によって瀘別された不純物は、それらが元あった場所、例えば川又は小川に残ることができる。川又は小川に戻される不純物の量は一般に十分に小さく、それらの不純物を戻しても、水体の化学的性質はその自然状態からあまり変化しない。このような用途で使用されるシステムは一般に余剰水を分水することを必要とするが、元の水源の重力による流れは一般に、多くの(必要な場合)人工的なポンピングエネルギーの必要性を排除する。圧力容器又はタンク内に膜モジュールを配置することもできる。タンク内へ源水をポンピングすることによって水柱を誘導することができる。かなりの高度差を有する(山地の)小川の場合には、所望の水柱高さを誘導するために、モジュールを含む圧力タンクよりも高い予め選択された高さに位置する供給水タンク内へ流れるように水を誘導することができる。
【0108】
一般に水体の底近くにより高濃度で存在するシルト、堆積物及び他の懸濁固形物による膜のファウリング(fouling)を防ぐため、水源の底から十分な距離のところにデムワックス(商標)モジュールを配置することが好ましい。海水デムワックス(商標)モジュールは海底から少なくとも200フィートのところに位置することが好ましいが、ある実施形態では、海底により近い深さにデムワックス(商標)モジュールを配置することが許容されることがある。
【0109】
同様に、259メートルの深さを得ることができないような海の浅い場所(例えば岸に近い場所)でシステムを使用することが望ましい場合、このような好ましい実施形態では、2パスシステムを使用することができる。ナノ濾過膜をより浅い深度(例えば約152メートル)に沈めることによって、好ましい実施形態のシステムは、塩分が約7,000ppmのかん水を生産することができる。次いで、飲料水を得るために、このようなかん水を、(例えば陸上で、沖合のプラットホーム上で、又は他の任意の適当な場所で)従来の逆浸透システムよりも大幅に低い総運転費の別の逆浸透プロセスにかけることができる。或いは、水体の底を掘削して、膜モジュールを所望の深さに配置することを可能にする空洞、窪み又は通路を形成することもできる。
【0110】
好ましい実施形態では、2パスプロセスの第1のパスが、ナノ濾過膜を含むデムワックス(商標)システムを使用して、塩分が適当に低減した水を生産する。塩分が低減したこの水は岸までポンピングされ、そこで、約80%の回収率で溶解イオン濃度を飲料レベルの特性を示す濃度まで低減させる第2のパスの濾過プロセスにかけられる。第2のパスの濾過プロセスは、従来のスパイラル逆浸透又はナノ濾過膜システムを使用することができる。このプロセスによって生成されたブラインは、元の海水と同じくらいの塩分か又はそれよりもわずかに低い塩分を有する。したがって、元の海水の2倍近くの塩分を有することがある従来の陸上逆浸透システムにおいて生成されるはるかに高塩分のブラインに関連した環境問題を引き起こすことなく、このブラインを(例えば海に)廃棄することができる。この2パスプロセスは更に、従来の陸上淡水化よりもエネルギー効率が高い。この2パスプロセスは、16kWh/kgal(約4.2kWh/立方メートル)以上消費する現状技術の岸辺逆浸透プラントとは対照的に、両方のパス(第1のパスは、深さ500フィート、沖合6マイルのデムワックス(商標)システムを使用し、岸辺の第2のパスは従来の淡水化プロセスである)を通じて合計約7.5kWh/kgal(約2kWh/立方メートル)しか消費しない。このようなシステムを例えば紅海で有利に使用して、既存の従来の岸辺RO淡水化システムで使用するより清浄な供給水(すなわち、塩分がより低く、カルシウムなどの他の望ましくない成分の濃度がより低い供給水)を生産し、システムの効率を向上させ、保守費を低下させることができる。
【0111】
異なる海水は異なる塩分を有する(例えば紅海の塩分(40,000ppm)は北大西洋の塩分(37,900ppm)よりも高く、北大西洋の塩分は黒海の塩分(20,000ppm)よりも高い)。陸地の影響のない外洋の塩含量が33,000ppm未満であることはめったになく、38,000ppmを超えることはまれである。好ましい実施形態の方法は、異なる塩分の海水に対応するように調整又は変更することができる。例えば、好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムを沈める好ましい深さは、より塩分の高い水(例えば紅海)ではより深く、より塩分の低い水(例えば黒海)ではより浅い。本明細書に記載された深さは平均的な塩分(33,000ないし38,000ppm、好ましくは約35,000ppm)の水に対する好ましい深さであり、より高い又はより低い塩分の水に対応するように調整することができる。
【0112】
間隔アルゴリズム
膜エレメントは、膜エレメント間を原水が自由に流れることを可能にするある距離を置いて配置されることが好ましく、高溶解固形物(すなわち海水)の場合には、膜エレメントが、膜エレメント間の空間を流れる供給水の浸透圧をほぼ維持するある距離を置いて配置されることが好ましい。好ましい実施形態のデムワックス(商標)膜モジュール内の透過水、供給水及び生成された濃縮水(例えばブライン)の流れが、離隔された2つの膜エレメント300を示す図10に示されている。膜エレメント300はそれぞれ、透過水スペーサ304によって離隔された2つの膜シート302を備える。上で論じたとおり、従来の淡水化圧力容器内の膜間の原水が流れることができる空間は極めて小さい。海水又は他の原水が、重力を使用して膜表面302へ自然に流れ、膜表面で生成されたより高密度の塩水を矢印306によって示されているように引き降ろし、それによって周囲塩分の海水を上方から引き入れることを容易にするために、好ましい実施形態のシステムはより大きな間隔を使用することが好ましい。膜302が露出される流れが速いほど、濃縮水が速く廃棄され、より大きな体積の供給水が膜302と接触することを可能にする。矢印308は膜を透過する透過水を示す。重力によって下方へ引き降ろされたより高密度の濃縮水によって生じる対流を利用して、好ましい実施形態のシステムを、流れのない水中で動作するように構成することもできる。
【0113】
単位プラント「設置面積」当たりのプラント出力を最大化するためには、より近い間隔が一般に好ましい。いくつかのパラメータを考慮して、存在する条件に応じた膜エレメントの好ましい間隔を決定するアルゴリズムが開発された。
【0114】
好ましい間隔を決定するために使用される外生変数は、膜エレメントの高さ、濃縮水の速度、流束、回収率及び原水スペーサの体積(使用される場合)を含む。膜エレメントの上部と底部の間の距離は、通常の海水と合流する前にブラインがどれくらい沈降するのかを決定する。速度、流束又は回収率が不変の場合、より高いエレメントは、より低いエレメントよりも、近隣の要素から離して配置することが好ましい。飲料水が膜を透過するにつれて、残留するブラインはそのより高い塩分のためにより重くなり、重力が、このより重いブラインを沈降させ、より多くの原海水をシステムの上部から引き降ろす。各単位膜表面積を透過する淡水の量はシステムの流束によって変化する。流束は一般に、1日当たり、膜表面積1平方フィート当たりの透過水量(ガロン)(或いは1日当たり、膜表面積1平方メートル当たりの透過水量(リットル))として測定され、流束が高いほど、単位透過水能力当たりの膜表面積は小さくてすむ。流束レートは膜の材料、海水の塩分及び深さ(圧力)によって変化しうる。膜に露出された水のうち実際に透過した水の百分率は「回収率」と呼ばれる。高い回収率(30%ないし50%程度又はそれ以上)は一般に、従来の岸辺淡水化プラントにおける商業的実行可能性にとって決定的に重要であるが、好ましい実施形態のシステムにおいては一般に、高い回収率は一般に小さな重要性しかも持たない。岸辺プラントにおける回収率が50%であるとき、そのシステムは、生産される淡水の2倍の体積の塩水を処理し、加圧し、又は他の方法で処理しなければならない。好ましい実施形態のシステムは、従来の陸上水処理システム及び陸上淡水化システムとは違い、機械的に発生させた圧力、供給水の前処理又はブラインの廃棄を必要とせず、したがって高い回収率の重要性はより低い。回収率が高いほど、より高塩分の供給水が膜エレメントの下部と接触するため、いくつかの実施形態によれば、より低い回収率が望ましい。好ましい実施形態の海水デムワックス(商標)システムの推定される回収率は約2パーセント(2%)である。回収率が高いほど、膜表面に露出させなければならない水は少なくなる。原水スペーサが使用される場合には、膜エレメントの間隔の決定において原水スペーサの体積が考慮されなければならない。
【0115】
次に、好ましい実施形態の選択されたシステムを構成する際に使用される膜間隔アルゴリズムを詳細に説明する。このアルゴリズムに基づく膜間隔が特に好ましいが、適当な任意の間隔を使用することができる。
S=FH/kRV
上式で、Sは、ミリメートル(又はインチ)で測定された膜エレメント間の空間、Fは、リットル/平方メートル/日(又はガロン/平方フィート/日)で測定されたシステムの流束、Hは、メートル(又はインチ)で測定された膜エレメントの高さ、Rは、回収率(膜に露出された水流のうちの%)、Vは、メートル/分(又はフィート/分)で測定されたエレメント間を沈降するブラインの速度、kは、720(流束がリットル/平方メートル/日で測定され、高さがメートルで測定され、速度がメートル/分で測定されるとき)又は5,386(流束がガロン/平方フィート/日で測定され、高さがインチで測定され、速度がフィート/分で測定されるとき)に等しい定数である。
【0116】
したがって、回収率2パーセント、流束2ガロン/平方フィート/日、ブラインが3フィート/分で沈降する(高さ)36インチの膜エレメントの好ましい間隔は0.223インチである。
0.223=(2×36)/(5386×0.02×3)
【0117】
例えば周囲条件(水流など)によって膜の外乱が生じるときに構造的完全性を維持するため原水スペーサが使用される場合には、スペーサの体積が、膜エレメント間の間隔を、スペーサの体積に比例して増大させることが好ましい。例えば、スペーサが膜エレメント間の体積の20%を占める場合には、膜間の体積が20%増大するように膜間の距離を増大させる。
【0118】
呼吸管及び保持容器
水が膜を透過するためには、膜の前後の圧力差が維持されなければならない。これは、水中ポンプ又はドライウェルポンプを用いて保持容器から水を汲み出し、呼吸管を使用して保持容器を大気圧に露出することによって達成されることが好ましい。500万ガロン(19,000立方メートル)/日モジュールにおいて使用される呼吸管の好ましいおおよそのサイズは直径5インチ(12.7センチメートル)だが、他の適当なサイズを使用することもできる。呼吸管は、適当な任意の材料から製造することができる。例えばポリマー、金属、複合材料、コンクリートなどから呼吸管を構築することができる。呼吸管は、動作中に露出される静水圧に耐え、潰れないように構成される。材料自体によって、又は補強部材(管の内部又は外部のリブ(rib)、管の内側のスペーサなど)を使用することによって、構造的完全性を提供することができる。
【0119】
好ましい一実施形態では、呼吸管が、水中の保持容器に接続される。保持容器内に1つ又は複数の水中ポンプ、ドライウェルポンプなどを配置することができ、保持容器は、その意図された目的地(例えばより大きな貯蔵容器)まで水を運ぶパイプラインを提供することができる。保持容器の好ましいサイズはポンプの動作要件の関数である。
【0120】
ポンピングエネルギー
好ましい実施形態のシステムは、逆浸透濾過プロセスを推進するのにポンプの代わりに深所の静水圧を効率的に使用し、したがって、従来の陸上淡水化システムでは必要な莫大な量のエネルギーを必要としない。好ましい実施形態のシステムは、生成された生産水を水面、次いで岸までポンピングするためにポンピングシステムを使用するが、このようなエネルギー必要量は、陸上システムで水を淡水化するのに必要なエネルギー必要量よりもかなり小さい。深所の水頭圧力が与えられた場合には一般に、水面まで水をポンピングするほうが、水面から岸まで水をポンピングするよりもはるかに多くのエネルギーが必要となる。従来の逆浸透ポリアミド膜を使用する好ましい実施形態のシステムに関しては、海水から飲料水を生産するために850フィートの動作深度が使用される。化学的性質の異なる他の膜に対しては、又は異なる塩分の水(淡水、かん水、極めて高塩分の水)を浄化するときには、同じ低い塩分含量の水を得るために、より浅い深度又はより深い深度が必要となることがある。
【0121】
図11Aから11Cは、沖合デムワックス(商標)システムから岸まで透過水をポンピングするさまざまな構成を示す。図11Aは、深所に懸吊されたデムワックス(商標)システム700を示す。システム700は、1つ又は複数の膜モジュール(又はモジュールのアレイ)と、本明細書に記載されているように呼吸管を介して大気圧に露出された収集システムとを含む。システム700は透過水パイプ702に接続され、透過水パイプ702は、柔軟な部分及び/又は剛性部分を含むことができる。透過水パイプ702は、懸吊されたシステム700から海底まで下方へ延び、次いで海底を横切り、岸まで上方へ延びることができる。懸吊されたシステム700は更に、パイプ702を通して岸まで透過水を運ぶように構成されたポンプ704を含む。懸吊されたシステム700の収集システムは大気圧に維持されるため、この構成において透過水を岸まで上方へポンピングするためにポンプ704が克服しなければならない水頭圧力は、懸吊されたシステム700間の垂直距離、透過水パイプの出口の高さ、及び処理システムを岸706に接続するパイプラインのシステム水頭損失の関数である。
【0122】
図11Bは、深所に懸吊された他のデムワックス(商標)システム720を示す。システム720は、1つ又は複数の膜モジュールと、本明細書に記載されているように呼吸管を介して大気圧に露出された収集システムとを含む。システム720は透過水パイプ702に接続され、透過水パイプ702は、柔軟な部分及び/又は剛性部分を含むことができる。透過水パイプ702は、懸吊されたシステム720から海底まで下方へ延び、次いで海底を横切り、岸への途中まで上方へ延びることができる。透過水パイプ702は、懸吊されたシステム720よりも垂直方向に低い位置でトンネル726に入る。懸吊されたシステム700の収集システムは大気圧に維持され、ポンピングは、懸吊されたシステム720よりも垂直方向に低い位置から実行されるため、懸吊されたシステム720は、透過水を陸地まで移送するための透過水ポンプを含む必要がない。その代わりに、透過水を地表728まで上方へポンピングするため、透過水パイプ702がトンネルに入るところにポンプ724を配置することができる。
【0123】
図11Cは、深所に懸吊された他のデムワックス(商標)システム740を示す。システム740は、1つ又は複数の膜モジュールと、本明細書に記載されているように呼吸管を介して大気圧に露出された収集システムとを含む。システム740は透過水パイプ742に接続され、透過水パイプ742は、柔軟な部分及び/又は剛性部分を含むことができる。透過水パイプ742は、懸吊されたシステム700から海底まで下方へ延び、次いで海底を横切り、岸への途中まで上方へ延びることができる。透過水パイプ742は、ウェットウェル(wet well)745に通じるトンネル744の最上部にあたる懸吊されたシステム740よりも垂直方向に低い位置で陸地に入る。地表面750からウェットウェル745までアクセス立坑746が延びる。懸吊されたシステム740の収集システムは大気圧と連通し、透過水パイプ742は、懸吊されたシステム740よりも垂直方向に低い位置で終端するため、懸吊されたシステム740は、透過水を陸地まで移送するための透過水ポンプを含む必要がない。更に、透過水パイプ742は、ウェットウェル745よりも垂直方向に高い位置で陸地に入るため、陸地に入る位置にポンプは必要ない。ポンプを使用せずに透過水を岸まで輸送するためには、ウェットウェル745よりも垂直方向に短い距離(例えば1又は2フィート(約1/3メートル))だけ高い位置にシステム740を懸吊すればよい。その代わりに、アクセス立坑746を通して透過水を地表750まで上方へポンピングするため、ウェットウェル745にポンプ728を配置することができる。このシステムの1つの利点は、沖合及び深所ではなく陸上又は地中で、全ての可動部分(すなわちポンプ)に容易にアクセスできることである。
【0124】
上で論じたとおり、好ましい実施形態のシステムは、従来の陸上海水淡水化システムよりもはるかにエネルギーを節約する。例えば、海面下850フィートから淡水を海面まで運ぶためのエネルギー、及び淡水を岸まで6マイルポンピングするためのエネルギーは、以下のように計算され、それらは、エネルギー必要量の大部分が、海面まで淡水を運ぶ際に使用されることを示す。
HP=HF/pE
上式で、HP=馬力、H=全動水頭(フィート)、F=水の流量(ガロン/分(gpm))、p=ポンピング定数=3,960(フィートで測定した水頭及びgpmで測定した流量に対する値)、E=ポンプ効率(大型ポンプの一般的な値85%を仮定する)である。
【0125】
5百万ガロン/日(又は3,472gpm)(約1890万リットル又は13,144リットル/分)の飲料水を海面までポンピングするための馬力は以下のように計算される。
HP=(850フィート×3472gpm)/(3960×0.85)=876.8
【0126】
淡水化業界では一般に、キロワット時/千ガロン(又はkWh/立方メートル)の単位を使用してシステム効率を比較するため、この馬力は、0.745キロワット/馬力の変換係数を使用して以下のようにキロワットに変換される。
876.8馬力×0.745=653.2キロワット
【0127】
したがって、653.2キロワットが、3,472ガロン/分(5百万ガロン/日、1,890万リットル/日又は13,144リットル/分)の能力を有するポンプを駆動する。その期間にわたって消費されるエネルギーは15,677キロワット時である。エネルギー必要量とポンピングされる水の比は、3.14キロワット時/千ガロンの値を与える。
【0128】
水を岸までポンピングするためのエネルギー必要量は以下のように計算される。上記の式と同じ式が使用されるが、水平距離1,000フィート(305メートル)につき水頭圧力損失6フィート(1.83メートル)の設計値を仮定する。6マイル(9,656メートル)を送ると仮定すると、これは水頭損失190フィート(58メートル)に等しい(5,280フィート/マイル×6マイル×6フィート=190フィート;(9,656メートル÷305メートル)×1.83メートル=58メートル)。これらの仮定の下、水を岸までポンピングするために追加の196馬力(146キロワット)のポンピングパワーが必要となる。
HP=(190フィート×3472gpm)/(3960×0.85)=196
【0129】
馬力をエネルギーに変換するとエネルギー必要量146キロワットが得られる。24時間の146キロワットの負荷は、0.70キロワット時/千ガロンのエネルギー消費量を与える(3.506メガワット時÷5百万ガロン)。
【0130】
ポンピングエネルギーに加えて、好ましい実施形態のシステムは一般に、ポンピングパワー必要量の5%と推定されるステーション及び保守エネルギー負荷を有する。例えば、好ましい実施形態の1つのシステムの全エネルギー使用量が表1に示されている。
【表1】
【0131】
わずか4キロワット時/千ガロン(約1.1キロワット時/立方メートル)のこの全エネルギー必要量は、一般に16キロワット時/千ガロン超(4キロワット時/立方メートル超)を消費する現状技術の逆浸透システムの全エネルギー必要量よりもかなり低い。例えば、Tuas淡水化プラントは2005年にシンガポールに完成し、その請負業者は、このプラントを、16.2キロワット時/千ガロン(約4.3キロワット時/立方メートル)しか必要としない「世界で最も効率的なものの1つ」と喧伝している。従来の水源でさえもしばしば、海岸沿いの住民に対するデムワックス(商標)システムよりもはるかに多くのエネルギーを必要とする。表2は、好ましい実施形態のシステムの優れたエネルギー効率を示すデータを、Tuas淡水化プラント及びよく知られた乾燥海岸地方の2つの主要な水資源のエネルギー効率と比較して示す。
【表2】
【0132】
デムワックス(商標)システムの利点
デムワックス(商標)システムは、従来の水資源、より具体的には従来の水処理及び淡水化技術に優る費用上の数多くの利点を提供する。例えば、従来の逆浸透システムは、飲料水を生産するために比較的に高い動作圧(800psi(5,516kPa)程度)を必要とする。デムワックス(商標)システムは供給水を加圧するのにエネルギーを必要としない。デムワックス(商標)システムでは深所の自然圧力が使用されるため、ポンプが圧力を人工的に発生させる必要がない。
【0133】
好ましい実施形態のシステムでは、従来の浄水又は淡水化システムの場合のような源水のハンドリング(handling)が必要ない。従来の淡水化プロセスは、供給水を取り入れ、次いで2倍の塩分を有するブラインを廃棄するため、システムの構成要素は、塩水及びブラインの腐食効果に耐えるように設計されなければならない。好ましい実施形態のシステムでは供給水をハンドリングする要求がない。膜及びケーシングだけが供給水に露出され、したがって源水及びブラインすなわち濃縮水を輸送するための特別な耐食材料が必要ないため、構成要素をずっと安価に製造でき、構成要素は保守をあまり必要とせず、より長い寿命を有する。従来の淡水化プラントでは、塩類に露出することによる腐食効果に耐えるために使用される材料の製造費が、好ましい実施形態のシステムで使用される材料に比べてはるかに高い。更に、従来の逆浸透システムの収率をおよそ50%とすると、生産される淡水1ガロンにつき2ガロンの塩水をハンドリングしなければならない。それに比べて、好ましい実施形態のシステムでは、淡水1ガロンをハンドリングしなければならないだけである。
【0134】
好ましい実施形態のシステムでは特別な取水及び前処理システムが使用されない。従来の逆浸透プラントの海水取入れシステムは岸及び水面に近く、したがって有機物を含む多くの懸濁物質を取り入れる。この物質は、保守を必要とする膜のファウリング及び圧密化、並びに膜寿命の短縮の一因となる。ある実施形態では、少ない光が有機成長物を最小化する深さに、デムワックス(商標)膜が展開される。これは更に、より大きな固形物及び有機物を篩別する前処理システムの必要性を排除する。
【0135】
生産水を生産するために深所において動作する好ましい実施形態のシステムでは、ブラインすなわち濃縮水の廃棄システムが使用されない。好ましい実施形態のシステムが、第2のプロセスで更に浄化するかん水をより浅い深度で生成するために使用されるとき、ブラインの生成は従来の淡水化プロセスよりもかなり少ない。同様に、好ましい実施形態のシステムが、1ステッププロセス(又は2ステッププロセス以上)で深所において飲料水を生成するために使用されるときも、ブライン生成はかなり少ない。従来の逆浸透プロセスのブライン副生物の廃棄は、環境上有害な影響を有する。濃縮されたブラインの廃棄は廃棄場所にいる海洋生物を危険にさらす。環境当局はしばしば、ブラインを海に戻す前に、逆浸透プラントが、追加の費用で、より多くの海水でブラインを希釈することを要求し、このことは、他のかなりの構成要素、したがって出費をプラントに追加する。
【0136】
必然的に費用のかかる広い土地を居住地域の岸辺に必要とする公共事業規模の一般的な大型プラントとは対照的に、好ましい実施形態のシステムは陸地をあまり必要としない。生成された水へのアクセスを提供するために必要な土地、又は、ある実施形態では、分配の前に水に添加剤を加えなければならない場合(例えば塩素処理、フッ化物添加など)に混合のための設備を内陸に設けるための土地を除き、好ましい実施形態のシステムは一般に土地を必要としない。変動する日内需要に合わせて連続生産を緩衝するための貯蔵タンクが大きくなることがあり、それに応じて、沖合に繋止された水中の柔軟なタンクによって水供給の緩衝が提供されることが好ましい。これらのタンクは、岸辺の大きな剛性タンク及び付随する高度に建設された基礎の必要性を排除するが、望ましい場合(例えば既存のタンクがある場合)には、好ましい実施形態のシステムを岸辺のタンクとともに使用することができる。同様に、ある実施形態では、いかなる種類のタンクも使用しないことが望ましいことがある。生成された余剰水を廃棄することができ、又は生産された水全体を生産と同時に使用することができる。このような構成の利点は低い機器費である。
【0137】
好ましい実施形態のシステムの他の利益は一定の生産を維持する能力を含む。水温は流束(水が膜を透過する速度)に影響を及ぼす。従来の淡水化プラントで集められる水面近くの水の温度は一年を通じて変化するため、従来の逆浸透プラントの出力も変化する。膜が露出される深所の水の温度は一般に、季節又は水上の気象状況に関係なく比較的に一定であるため、デムワックス(商標)システムはこのような出力の変動を受けない。
【0138】
好ましい実施形態のシステムは、従来の陸上プラントと比べたときに優れた柔軟性を提供する。このような従来のプラントは、好ましい実施形態のシステムよりも大きな危険を招きうる陸上の耐久財(hard asset)とみなすことができ、好ましい実施形態のシステムは、海上の、潜在的には公海上の移動財(mobile asset)として使用することができる。陸地から分離されていること及び移動可能であることは、必要性又は収益性がより大きな地域にシステムを移動させることを可能にする。
【0139】
好ましい実施形態のシステムは、従来の飲料水源を汚す可能性がある地震、津波などの自然災害の影響を受けた地域に対する大規模な移動式の一時的な水生産に役立つ。好ましい実施形態の拡張可能(scalable)なモジュール式設計は非常に大規模な沖合用途に役立つ。更に、このモジュール特性を考えると、費用の大部分は、デムワックス(商標)カートリッジ及び他の構成要素が製造される制御された工場設定よりもはるかにより多くの変量の影響を受ける現場設計、エンジニアリング、建設及び土木作業よりもむしろシステム自体にかかる。
【0140】
費用上の利点に加えて、好ましい実施形態のシステムは、環境上及び生産上のかなりの利点を有する。環境上の利点は、ブラインが生成されないこと、したがってブラインが廃棄されないことを含む。従来の淡水化プラントは海水を取り入れ、その約半分を、2倍の塩分を有するブラインの形態で(多くの場合、岸に近い位置に)戻す。このようなより高塩分のブラインは、廃棄域にいる海洋生物に対して有害な影響を有する。分散及び混合により、ブラインは最終的に海水で希釈されるが、連続する淡水化プロセスのために、従来の淡水化システムの放出パイプの周囲には、海洋生物が影響を受ける領域が常に存在する。好ましい実施形態のシステムは一般に、膜に露出された水の約1ないし3パーセントを浄化し、したがって、膜の近傍の海水はわずかに濃度が高まるだけであり、周囲の海水によってはるかに速く希釈される。また、約500フィートないし約1,000フィートの深さでは、光がないため、海洋生物ははるかに少ない。
【0141】
更に、好ましい実施形態のシステムの用途面の柔軟性はかなり大きい。例えば、淡水用途では、好ましい実施形態のシステムを使用して、細菌、ウイルス、有機物、無機物などの不必要な成分を上水から篩別することができる。例えば、淡水用途に使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムは陸地をほとんど又は全く必要とせず、源水取入れシステム又は濃縮水の特別な廃棄を必要としない。更に、地下水用途に使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムは、他の水処理法が費用的に不可能な汚染された地下水井戸の放棄を防ぐことができる。地表水、地下水又は他の淡水源を処理する好ましい実施形態のシステムは、海水又は塩水を処理するシステムの利点と同様の利点を提供する。
【0142】
利水は環境にかなりの影響を与える。海からの安価な水が自然水流から取り入れられる水の代わりとなることができる範囲において、このような小川及び川を自然状態に戻すことができ、又はより大きな内水の必要性に備えるために、より多くの水を上流へ移すことができる。コロラド川(the Colorado River)は、上流での取水のため、北メキシコのコルテス海(the Sea of Cortez)へはめったに注がない。コロラド川送水路(Colorado River Aqueduct)は、1日に12億ガロン(45億リットル)の水を南カリフォルニアに供給する。それぞれ100MGD(約3億7800万リットル/日)を生成する能力を有する好ましい実施形態の12の淡水化システムは、コロラド川からの南カリフォルニアへの割当ての代わりとなることができる。
【0143】
エネルギーと水は密接に関係している。使用場所まで水をポンピングする際には、莫大な量のエネルギーが使用される。好ましい実施形態のシステムのエネルギー効率は、従来の淡水化プラント、又はコロラド川送水路、カリフォルニア州水プロジェクト(California State Water Project)などの水プロジェクトよりもはるかに高い。そのため、高い効率はエネルギー消費量の低下につながる。大部分の発電は温室効果ガスを放出する(例えば石炭火力発電所)ため、水に対する単位エネルギー使用量を低下させると、それに比例して、温室効果ガスの放出も低下する。
【0144】
好ましい実施形態のシステムの追加の利点は、システムの多くの構成要素において、従来の安価な技術及び材料を使用することができることであり、例えば、ポリアミドなどの膜材料、水タンク及び水管用のハイパーロン(商標)型の材料、膜モジュールのケーシング及び保持タンク用のポリ塩化ビニル(PVC)、従来の水中ポンプ又はドライウェルポンプ、従来の発電用機器(例えばエンジン、タービン、発電機など)、及び従来のプラットホーム(例えば石油生産業界の沖合プラットホームで一般に使用されているコンクリート又は他の材料)を使用することができる。更に、好ましい実施形態のシステムで使用される膜材料は一般に、より低い流束レート及びより低い動作圧のため、従来の逆浸透システムで使用される膜材料よりも長い寿命を有し、したがって保守費及び材料費をより低くすることができる。膜モジュールを支持するために使用されるプラットホーム又はブイは、プレストレストコンクリートから低費用で都合よく構築することができ、このようなプラットホーム又はブイは、大量生産し、さまざまなモジュール(例えば懸吊モジュール、発電モジュール、燃料貯蔵モジュール、制御室モジュール、予備部品貯蔵モジュールなど)を組み合わせることによって特定のプロジェクトに合わせて構成することができるように、モジュールフォーマットで製造することができる。
【0145】
淡水化プラント、発電所などの大型インフラストラクチャプロジェクトの建設は一般に主として現場で実施される。その結果、日程計画及び作業フロー配列の問題並びに現場固有のエンジニアリングが、一般的な組立てライン製造に比べて、建設の複雑さ及び建設費をかなり増大させる。対照的に、好ましい実施形態のシステムは、都合のよい現場外の場所で建設し、所望の場所に輸送してから展開することができる。
【0146】
好ましい実施形態のシステムで使用することができる浮きプラットホームは可動であり、世界中の複数の場所で製造し、必要な場所まで輸送することができる。或いは、海底に建設された固定プラットホームを利用することもできる。例えば海底下を走る短いパイプを使用し、岸に近い環境において数百ヤードの溝を掘ることによって、好ましい実施形態のシステムを陸上の既存の水システムに接続することができる。
【0147】
膜モジュール
図12から15は、好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムのさまざまな構成を示す。図12は、剛性透過水スペーサ314を有する膜エレメント312を示す、デムワックス(商標)膜モジュール310の基本平面図(尺度不定)を示す。剛性スペーサ314は、深所圧力において膜面316を分離された状態に維持し、それぞれの膜エレメント312の対向する膜面316間からの飲料水(透過水)の収集を容易にする。透過水の流れは矢印318、320によって示されている。海水(塩水)は膜シート312間の空間を自由に循環する。膜シート312の一端の剛性PVCケーシング322は透過水を集め、収集システムと流体連通したパイプ324へ送る。膜シート312は、原供給水側の膜シート312間に配置された任意選択の塩水スペーサ326によって、離隔された構成として維持される。
【0148】
図13は、波形の要素332とまっすぐな要素334とを有する織られた波形プラスチック繊維330を示す。これらの繊維は、原水が流れるための十分な空間を維持する膜ユニット間のスペーサとして使用するのに適する。
【0149】
図14は、デムワックス(商標)システムとともに使用されるコレクタ要素340の基本図(尺度不定)を示す。深所圧力に露出されたときにコレクタ要素340に構造的完全性を提供し、同時に透過水がコレクタ340の中を流れることを可能にするために、水平スタッド(stud)(図示せず)が使用される。コレクタ要素の構築に使用される材料によっては、スタッド(水平、垂直又はその他の構成、或いは一体型又はその他の多孔質内部支持体)を省いてもよい(例えば深所圧力に耐える能力を有する高強度材料が使用されるとき)。コレクタ要素340は、膜カートリッジ又は膜エレメントを取り付けることができるようにスロットが形成された側面342と、収集システムに取り付けられるように構成されたコネクタパイプ344とを有することができる。
【0150】
図15Aは、デムワックス(商標)システムとともに使用されるケーシング要素350の基本図(尺度不定)を示す。膜ユニットないし膜エレメント352は一端でコレクタ要素354に取り付けられる。ケーシング350は、間隔を置いて配置された疎な格子の中に膜352を維持し、この間隔を置いて配置された疎な格子は、膜352の構造的完全性、膜352の間隔、及び膜352への海水の自由な流れを維持する。
【0151】
図15Bは、中心導管の2つの側面に膜364が取り付けられた、中心コレクタ要素362用の膜モジュール360の図を示す。図15Cは、その中に延びる内部導管388を有する収集導管384にカートリッジ382が結合された、他の実施形態に基づく膜モジュール380を示す。それぞれのカートリッジ382は複数の膜ユニット387を含むことができる。内部導管388は源水から分離されているが、膜ユニット387の透過水側とは流体連通している。収集導管384は、出口389(a)、389(b)を介して保持タンク386のウェットウェル部分390に流体接続される。収集導管384とウェットウェル390との間に2つの出口389(a)、389(b)を設けることによって、内部導管388の充填中に捕獲された空気を放出することができる。ウェットウェル部分390にポンプ392を配置することができ、ポンプ392を、透過水パイプ394を通して沖合又は岸辺の貯蔵場所まで透過水をポンピングするように構成することができる。保持タンク386は呼吸管396によって大気圧に露出される。更に電力ケーブル398を提供することができ、電力ケーブル398を、ポンプ392に電力を供給するため沖合又は岸辺の発電設備に接続することができる。
【0152】
図16は、好ましい実施形態に従って構成されたコレクタシステム400を示す。システム400は、収集導管を形成するために形成され、曲げられ、接続され又は他の方法でフレーム状の形状に形成されたパイプ又は管を備えた2つのウィング(wing)402を含む。ウィング402上の膜カートリッジ401の配置が点線で示されている。透過水がカートリッジ401からウィング402内へ流入することを可能にするため、ウィング402の上部及び底部403(a)、403(b)に穴をあけることができる。しかしながら、ウィング402の端部403(c)は源水に露出されるため、これらの部分は穴のない外壁を有することができる。ウィング402は、カートリッジ401の透過水側を源水から分離するように構成された端板405を含むことができる。ウィング402は更に構造補強用の支柱(strut)(図示せず)を備えることができる。
【0153】
ウィング402はそれぞれ、1つ又は複数の出口407を介して、水中ポンプ406(点線で示されている)を収容した中心導管ないし保持タンク404に流体接続される。保持タンク404から一時貯蔵場所まで、又ははるばる岸まで透過水パイプ412が延びることができる。保持タンク404は、ウィング402よりも下に延びる囲われた底部408を有することができる。底部408は、温度感知機器などの感知機器を収容するように構成することができる。保持タンク404は更に、ウィング402よりも上に延びる囲われた上部410を有することができる。上部410から水体の表面まで呼吸管414が延び、呼吸管414は、収集システム400の内部をほぼ大気圧に維持するように構成される。上部410は、収集システム400に貯蔵された透過水の水位を感知し、生産水の需要に従ってポンプ406の動作を調節するように構成されたセンサ(図示せず)を備えることができる。上部410は、任意選択で、一時的な透過水の貯蔵場所を提供するように構成された横方向に延びるアーム416を含むことができる。一時貯蔵場所は、収集システム410の外部の透過水パイプ412の経路上に提供することもできる。アーム416は例えば、保持タンク404から分かれたパイプ延長部分を含むことができる。ウィング402及び保持タンク404は、それらの意図された目的に適した構成を有することができる。例えば、ウィング402及び保持タンク404は、全体に円形の又は全体に長方形の断面形状を有することができる。ウィング402及び保持タンク404は更に、連続する又は変化する断面を有することができる。特定の用途の深さ及びコレクタシステム400が露出される条件に応じて、ウィング402及び保持タンク404は金属、PVC又は他の適当な材料を含むことができる。このような構成によって、収集システム400は、透過水を集め、環境条件に対する構造補強をシステムに提供する2重の機能を果たすことができる。
【0154】
図17Aは、収集システム430に取り付けられたいくつかの膜カートリッジ432を備えた膜モジュールの部分破断透視図を示す。収集システム430の部分をより分かりやすく示すために、カートリッジ432の1つが取り外されている。収集システムの内部導管431を示すため、収集システム430の端部も取り外されている。収集システム430は上部434と底部436とを有し、上部434と底部436の間に延びる支柱440によって補強される。膜カートリッジ432は、その前壁433(図9Aから9F参照)が収集システム430の両側でシステム430と境を接した関係にあるように配置される。カートリッジ432の前端のダウエル438が支柱440に着座し、支柱440の周囲を透過水が自由に流れることを可能にする。膜の透過水側を周囲の源水から分離するため、カートリッジ432の前壁433と収集システム430の上部及び底部434、436との間の領域は囲われる。カートリッジ432から収集システム430の内部導管431内へ流入する透過水を受け取るため、上部及び底部434、436には穴があけられる。膜の透過水側は、収集システム430と流体連通した呼吸管(図示せず)によってほぼ大気圧に保たれる。
【0155】
膜モジュールが沈められると、周囲の源水は、それぞれのカートリッジ432の上面、底面及び後面を通って実質的に自由に流れる。膜の源水側と膜の透過水側との間の圧力差によって、膜の低圧(透過水)側へ透過水が流れる。膜モジュールは、収集システムの両側にカートリッジを有する概ね対称の構成として示されているが、他の適当な構成に構成することもできる。
【0156】
図17Bは、他の実施形態に従って構成された膜モジュール450の透視図(尺度不定)を示す。モジュール450は、相互接続されたさまざまなパイプを備えた収集フレームワーク(framework)451に取り付けられたいくつかのカートリッジ452を含む。収集フレームワーク451は、フレームワーク451のコーナに位置する4つの柱454を含む。柱454は、フレームワーク451の対向する2つの側において1つ又は複数の端パイプ456によって接続された垂直方向を向いたパイプを備える。フレームワーク451の残りの2つの側において、柱454は、1つ又は複数の収集導管458によって接続される。示された実施形態は、2つの上収集導管458及び2つの下収集導管458を含み、導管458はそれぞれ、上セクション460(a)及び底セクション460(b)を有する。収集導管458はそれぞれ、一組のカートリッジ452を支持し、カートリッジ452の前壁(すなわち収集導管458と境を接したカートリッジの端)を通して流れる透過水を受け取り、同時に収集導管458内へ源水が流入することを防ぐように構成される。収集導管458はそれぞれ、カートリッジ452内の膜の透過水側を周囲の源水から分離する端板462又は他の機構を含むことができる。膜の透過水側は、収集フレームワーク451と流体連通した呼吸管(図示せず)によってほぼ大気圧に保たれる。収集導管458は、図17Aに関して上で説明した構成と実質的に同じように構成することができ、又は、その意図された目的に適した他の構成を有することができる。相互接続されたパイプのこのようなシステムを使用することによって、収集フレームワーク451は、透過水を貯蔵し、環境条件に対する構造補強をシステムに提供する2重の機能を果たすことができる。集められた透過水を表面へポンピングするために、1つ又は複数の柱454又はシステムの他の場所に、1つ又は複数のポンプ(図示せず)を配置することができる。
【0157】
フレームワーク451は更に、モジュール450に追加の構造支持を提供するように構成された1つ又は複数の補強部材464を含むことができる。補強部材464は、図に示されているように、柱454と端パイプ456の間に配置することができる。更に、又は或いは、補強部材を、端パイプ456と収集導管458の間、2つ以上の柱454の間、2つ以上の収集導管458の間に配置し、及び/又は他の適当な構成に配置することもできる。補強部材は中実部材を含むことができ、又は、収集システムの部分を構成し、システム内の追加の貯蔵場所を提供するために中空パイプを含むことができる。モジュール450の建設及び保守時のアクセスを提供するため、任意選択で、フレームワーク451の中央に歩道(walkway)466を取り付けることができる。
【0158】
図18は、沖合プラットホーム500と、沈められたいくつかの膜モジュール502とを含むデムワックス(商標)プラントの上面を示す基本図(尺度不定)を示す。モジュール502は複数の異なるバンク(bank)として構成され、透過水コレクタライン503に接続される。プラットホームは、システムの動作(発電、ポンピングなど)のための機器を支持することができる。
【0159】
図19は、並列及び直列構成として配置された、沈められたデムワックス(商標)モジュール504の上面を示す基本図(尺度不定)を示す。
【0160】
図20は、デムワックス(商標)モジュール508を支持するブイ506のアレイシステムの平面図を示す。電力ケーブルが、ブイ/モジュールステーションを発電プラットホーム510に接続し、水パイプが、それぞれのブイ/モジュールステーションの収集システムを沖合又は岸辺の貯蔵場所に接続する。
【0161】
図21は、デムワックス(商標)モジュール522を支持するブイ520のアレイシステム構成の側面図を示す。モジュール522はそれぞれ、コレクタシステム526に流体接続された1つ又は複数の膜モジュール524を含む。コレクタシステム526は、呼吸管528を介して大気圧に露出される。(水上交通を十分に回避する深さに位置する)電力ケーブル及び透過水パイプ530が、ブイ/モジュールステーションを、沖合又は岸辺の発電所及び水貯蔵場所に接続する。ブイ/モジュールステーションはそれぞれ繋索532によって海底に固定される。
【0162】
マルチバンクアレイの設置面積を最小化するため、モジュールのバンクを互いの上に層状に積み重ねることができる。上層の膜モジュールから沈降するより重い濃縮水と周囲の海水との間の混合が起こることを可能にするため、これらの層は垂直に間隔を置いて配置することができる。適当な任意の構成を使用することができ、希望に応じて、例えば、透過水を増産又は減産し、損傷したモジュールを取り替え、モジュールを清浄化し、或いは他の場所へ輸送するのにシステムの部分を分解するために、モジュールのバンクを追加し又は除去することができる。
【0163】
逆浸透膜システム及び構成
上で論じたとおり、好ましい実施形態のシステムで使用する逆浸透膜については適当な任意の構成を使用することができる。これらの構成は、中心の収集パイプの周りに平シート膜(flat sheet membrane)が巻き付けられたゆるいスパイラル(spiral−wound)構成を含む。このようなシステムの密度は一般に約200ないし1,000m2/m3である。モジュールの直径は一般に最大40cm又はそれ以上である。円筒形のモジュール上を供給水が軸方向に流れ、中心パイプに透過水が流入する。スパイラルシステムは高圧耐久性を示し、コンパクトであり、低い透過水圧力降下及び低い膜濃度を示し、最小の濃度分極を示す。より高密度の濃縮水が膜表面から移動するのを容易にするため、このスパイラルモジュールは垂直構成に配置されることが好ましい。
【0164】
好ましい実施形態のシステムにおいて使用することができる別の1つの構成は一般にプレートアンドフレーム(plate and frame)と呼ばれる。膜シートは、供給水側が互いに向かい合ったサンドイッチ型の構成に配置される。サンドイッチの両側から供給水が流れ、(例えば1つ又は複数の側の)フレームから透過水が集められる。膜は一般に、波形スペーサによって離隔された状態に保持される。密度は一般に約100ないし約400m2/m3である。このような構成は、構造及び膜の交換が比較的に単純である点で有利である。プレートアンドフレーム構成でも、他の構成と同様に、より高密度の濃縮水を沈降させ、膜表面から遠ざける対流を表面張力が妨げないように、膜が、十分な間隔を置いて配置されることが好ましい。
【0165】
好ましい実施形態のシステムにおいて有利に使用することができる他のタイプの膜は中空糸膜である。多数、例えば数百又は数千のこれらの中空糸が一緒に束ねられ、モジュール内に収容される。動作時、深所圧力が中空糸の外面に加えられ、この圧力が、それぞれの中空糸の中心導管又はルーメンの中へ飲料水を押し込み、その一方で溶解イオンは外側に残る。飲料水は中空糸の内側に集まり、端から抜き取られる。
【0166】
この中空糸モジュール構成は、モジュールが非常に高い単位体積当たりの表面積を達成することを可能にするため、非常に望ましい構成である。密度は一般に最大約30,000m2/m3である。中空糸は一般に、透過水を抜き取るために一端が開いた状態で中空糸の端部がポットに詰められた束又はループとして配置される。膜モジュールの中空糸膜の充填密度は、中空糸によって占められるポットの断面積と定義される。好ましい実施形態では、膜が、離隔された構成(例えば低充填密度)を有し、例えば、約1mm以下ないし約10mm以上の中空糸壁間の間隔が一般に使用される。
【0167】
一般に、モジュール内の中空糸は、約5%以下ないし約75%以上、好ましくは約10%ないし約60%、より好ましくは約20%ないし約50%の(上で定義した)充填密度を有する。好ましい実施形態の中空糸については適当な任意の内径を使用することができる。中空糸は深所の高圧に露出されるため、より大きな構造的完全性を得るために小さな内径、例えば約0.05mm以下ないし約1mm以上、好ましくは約0.10、0.20、0.30、0.40又は0.50mmないし約0.6、0.7、0.8又は0.9mmの内径を使用することが好ましい。中空糸の壁厚は、使用される材料及び必要とされる強度と濾過効率とのバランスに基づいて選択することができる。ある実施形態では一般に、約0.1mm以下ないし約3mm以上、好ましくは約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8又は1.9mmないし約2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8又は2.9mmの壁厚を使用することができる。例えば中空糸が比較的に大きな直径又は比較的に薄い壁を有するときには、深所圧力下での圧潰を防ぐため、中空糸内に、多孔質の支持材料又は充填材料を使用することが望ましいことがある。好ましい支持材料は酢酸セルロースだが、適当な任意の支持材料を使用することができる。
【0168】
流れに対する抵抗に打ち勝つために、中空糸の長さは比較的に短いことが好ましい。比較的に速い流れに露出される場合には、より長い中空糸を使用することができる。
【0169】
ある実施形態では、スクラブ作用を提供してファウリングを低減し、膜寿命を延ばすために、又は膜表面における濃度分極を低減させるために、中空糸の外面に沿って気泡又は液体が通過することができるように、膜モジュールの中空糸の下方に、通気及び/又は液体流(例えば加圧水又は混入空気を含む加圧水)の供給源を提供すると有利なことがある。同様に、膜を(例えば機械的に)振動させて、同様の効果を生み出すこともできる。一般に、エネルギー消費量を最小化するために、機械的に生成された流れを膜(例えば中空糸又はシート)の中へ導入することなく、周囲条件下で膜が機能可能であることが好ましい。しかしながら、ある実施形態(例えば濁度又は有機物含量が高い水)では、ファウリングを低減させることによって膜寿命を延ばすために、このような流れを提供することが望ましいことがある。
【0170】
中空糸は、円筒形のアレイ又は束として配置されることが好ましいが、例えば正方形、六角形、三角形、不定形など、他の構成を使用することもできる。膜は、それを通る海水及び濃縮水の流れを容易にするため、隙間の多い離隔された構成に維持されることが好ましいが、ある実施形態では、中空糸を分割するため、又は保護スクリーン、ケージ又は他の構成の中に中空糸を封じ込めて、(例えばハンドリング中の)機械力から膜を保護し、それらの間隔を維持するために、中空糸又は中空糸群を一緒に束ねることが望ましいことがある。それぞれの中空糸群間の間隔によって、仕切り又はスペーサが形成されることが好ましいが、多孔質(例えばスクリーン、クリップ又はリング)又は中実の仕切り又はスペーサを使用することもできる。中空糸の周囲の無制限の海水の流れを提供するように適当な間隔を置いて配置された垂直要素と水平要素の両方を有する支持スクリーンによって、中空糸束を保護することができる。
【0171】
ある好ましい実施形態では、(例えば保護管内に入れられた従来のスパイラル膜の場合のように)機械力に対する保護を提供することができる容器又は他の囲の中に膜を封じ込め、膜を含むこの容器内へ海水を連続的に又は断続的に導入(し、濃縮されたブラインを、膜を含む容器から除去)することが望ましいことがある。しかしながら、一般に、膜が周囲の源水に直接に露出されるように、部分的にしか封じ込められていない、又は全く封じ込められていない膜を有することが好ましい。
【0172】
特定の任意の構成の膜(シート、スパイラル又は中空糸)がカートリッジ形態で有利に提供される。カートリッジ形態は、透過水抜取りシステムに所望の数のカートリッジを接合して、所望の体積の透過水が生成されるようにすることを可能にする。カートリッジシステムは更に、膜のファウリング又は漏れが生じたカートリッジの取外し及び交換を容易にする点で有利である。
【0173】
時間が経つにつれて、膜表面への不純物の吸着により膜の効率は低下する。スケールの付着は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、鉄化合物などの懸濁無機粒子が濾過能力を阻害し、及び/又は動作圧を増大させることによって、膜の効率を低下させる。ファウリングは、有機、コロイド及び懸濁粒子が濾過能力を阻害するときに起こる。濾過能力を再生し、膜寿命を延ばすために、従来のスケール付着防止剤(anti−scalant)及びファウリング防止剤(anti−foulant)を使用して、膜を清浄化することができる。膜を再生して膜寿命を延ばすためには、バックウォッシングなどの物理的清浄化法が有効なこともある。バックウォッシングでは、透過水が強制的に逆方向に膜に通される。好ましい実施形態のシステムで使用する膜は、予防保守のために定期的に清浄化し、又は定期的に膜交換するようにすることができる。或いは、清浄化又は交換が必要な時点(例えば、透過水の流量が予め選択された量だけ低下したとき、又は透過水の流量を維持するのに要する圧力が予め選択された量まで増大したとき)を検出するシステムを使用することもできる。
【0174】
支持構造
好ましい実施形態のシステムとともに使用するのに適した沖合プラットホームは、一般に沖合石油採掘及び石油生産において使用されるプラットホームを含む。固定沖合プラットホームは構造構成の寄集めとして構築され、海底に土台を置き、海底から水面を突き抜けて延びる任意の構造を含む。淡水化プロセスを支援する機器を収容するプラットホームの部分は一般に、プラットホームトップサイド(topside)又はデッキ(deck)と呼ばれる。海底から水面を突き抜けて延び、トップサイドを支持するプラットホームの部分は一般に、ジャケット(管状の空間フレーム)、ガイドプラットホーム(guyed platform)又はテンションレッグプラットホーム(tension leg platform)と呼ばれるタイプの部分である。プラットホームは、鋼線などの緊張材によって浮きプラットホームが海底に接続されたテンションレッグプラットホームを含む。
【0175】
他のタイプの浮きプラットホームは、一般に鋼線で海底に固定された円筒形の浮き構造物であるスパー(spar)プラットホームである。このプラットホームは剛性プラットホームとすることができ、又は剛性フレームが取り付けられた構造の関節を含む。ガイドプラットホームは一般に、基部において垂直方向及び横方向に支持され、基部の周りを垂直から外れて自由に回転することができる。プラットホーム頂部に向かって取り付けられ、プラットホーム基部からある距離離れた海底に固定されたガイラインのアレイによって、プラットホームに安定性が供給される。このプラットホームは、取り付けられたガイ内の張力によって、水平方向にそらされた後に垂直位置まで復元される。重力ベースの構造物は、設置場所まで曳行され、そこでバラストを積まれ、重力によって海底にそのまま保持されるように設計された大きな構造物である。重力ベースの構造物は、設置場所まで海上を曳行される間、大きなデッキペイロードを運ぶ大きな能力を有し、構造物が設置場所に置かれた後に、構造物までデッキが移送される。普通、半潜水型プラットホームと呼ばれる他のプラットホームは、極端な気象事象の間、安定性を提供する、しばしば排水量20,000トン超の全体に長方形又は円筒形のポンツーン(pontoon)を含む。
【0176】
或いは、好ましい実施形態のシステムを支持するために、船、例えばはしけ、タンカー又はスパープラットホームを使用することができる。スパープラットホームは一般に、一般に500フィート超の極めて深いキール喫水(keel draft)を有する細長いケーソンハル(caisson hull)を有する。スパーは、上部デッキを海面よりも上に支持し、ハルに及び海底アンカーに取り付けられた懸垂アンカーラインを使用して係留される。ライザ(riser)は一般に、スパープラットホームのハルのムーンプール(moon pool)から海底まで下方へ延びる。一般的なスパープラットホームのハルは一般に円筒形であり、一般に、円筒構造を形成するため、ハルのアイソセンタ(isocenter)を通る垂直なラジアル平面(radial plane)を有する、円形に配置された多数の一連の曲板から形成される。この円筒設計は、海流によって引き起こされる渦の離脱(shedding of vortices)の重大さを低減するため、及びより効率的に静水圧に抵抗するために使用される。
【0177】
より浅い水では、海底に支持されたプラットホームを有利に使用することができる。より浅い水に位置するプラットホームは、静止状態の風及び波負荷に対して設計される。
【0178】
他の構成では、デムワックス(商標)モジュールを深所に懸吊するために、バルーンなどの浮揚性構造物(例えば空気を封じ込めたコンクリート製のシェル又はそのような他の構成)を使用することができる。所望の位置(深さ及び/又は緯度、経度)にモジュールを維持するために、この浮揚性構造物は海底に繋止することができ、又は推進装置を備えることができる。このような一構成では、浮揚性構造物を水面に置くことができ、又は沈めることができる。浮揚性構造物が沈められる場合には、存在する場合に呼吸管を支持するために、ブイ又は他の水面構造物を使用することができる。浮揚性構造物を、希望に応じてシステムの他の構成要素(1つ又は複数)を支持するために使用することができ、又は他の支持システムと組み合わせて使用することができる。デムワックス(商標)モジュールを支持するブイの一システムが図20及び21に示されている。
【0179】
好ましい実施形態のシステムを動作させるための人員及び機器(例えば発電機又はエンジン駆動の油圧モータ、ポンプ、作業員宿舎など)を支持するためにデッキ構造を提供することができる。沖合プラットホームは有人とし、又は(好ましくは)無人とすることができる。無人沖合プラットホームは定期的な保守を必要とするが、その目的のためには、必要な保守作業を実施するために保守作業員がプラットホームを訪れなければならない。沖合プラットホームへのアクセスは、例えばヘリコプタ又は船舶によって提供することができる。したがって、プラットホームへ/からの作業員及び機器の移送を支援する支持するヘリデッキ(helideck)又は他の構造をプラットホームに提供すると有利なことがある。保守を実施するときに使用する、発電機、エンジン駆動油圧モータなどのエネルギー発生装置を、プラットホーム上に提供することができる。保守用のこのような発電機又はモータがプラットホーム上に恒久的に設置される場合、このことはプラットホームの費用を更に増大させる。その代わりにこれらの機器が支援船で輸送される場合、このことは、特にこのような機器を船からプラットホームへ輸送するときに、作業員にとって不便である。ある実施形態では、深所で発電したいことがある(例えば海中発電)。このような構成では、呼吸管(使用される場合)を除く全ての構成要素を深所に配置することが望ましいことがある。
【0180】
代替構成では、単一のデムワックス(商標)モジュール又は少数のモジュール群をブイから懸吊することができ、又は水底に直接に繋止することができる。このようないくつかのモジュールを一体に繋ぎ合わせて、より大きなプラントとすることができ、こうすることにより、(例えば美的に、又は環境影響上の理由から)プラットホームが望ましくない領域における大きなプラットホームの必要性を排除することができる。ブイユニットは、小さな発電機及び燃料タンク或いは水中伝送ケーブルを含むことができる。或いは、より大きなブイ又は小さなプラットホームなどを使用して、デムワックス(商標)モジュールがそれらから懸吊されたより小さないくつかのブイに対する発電を収容することができる。好ましい一構成では、透過水貯蔵タンク又は透過水貯蔵構造の周りにブイが配置される。
【0181】
好ましい実施形態の膜収集システムは適当な任意の構成、例えば同心円構成、又は他の構成(例えば「最も近くパックされた(CLOSEST PACKED)」六角形構成、放射状コレクタ内へ給水する8つの台形膜モジュールを有する同心八角形アレイ、又は中心コレクタ内へ給水する任意の構成の一連のコレクタ)で使用することができる。水平方向に間隔を置いて配置されたアレイ又はモジュールだけでなく、垂直方向に間隔を置いて配置されたアレイ又はモジュールを使用することもできる。
【0182】
代替電源
デムワックス(商標)システムは、従来の淡水化システムよりもはるかに低いエネルギー必要量を有するため、小さな遠隔の水負荷に電力を供給する風力発電機、太陽光起電力などの再生可能な電力資源との統合に特に適する。同様に、潮の干満の差が非常に大きい区域にデムワックス(商標)システムが位置する場合には、潮汐エネルギーを有利に使用して、システム向けの電力を発生させることができる。その地方特有の、豊富な、及び/又は低価格の燃料源(例えばバイオディーゼル、メタン、天然ガス、バイオガス、エタノール、メタノール、ディーゼル、ガソリン、バンカー重油、石炭又は他の炭化水素燃料)が入手可能な場合には、それらの燃料源を利用することができる発電機を選択することが望ましいことがある。或いは、岸辺のある場所から電気を都合よく入手できる場合には、必要な電力のためにデムワックス(商標)プラットホームへの電力ケーブルを提供することができる。他のエネルギー発生システムは、波サージ(surge)及び潮汐サージシステム、又は原子力(陸上又は海中)を含むことができる。
【0183】
代替実施形態
本明細書ではこれまで、特に逆浸透膜及び海洋淡水化用途に関して説明してきたが、例えば下記のように、他のタイプの膜を使用して、他の多数の用途で、実施形態を有利に使用することができる。
【0184】
淡水用途
湖沼、貯水池及び河川の水は、野生生物、都市廃水、有機成長物などの汚染源からの汚染を蓄積する。最も一般的な処理方法は、化学薬品による清澄化(chemical enhanced clarification)、濾過及び消毒を含む3ステッププロセスである。従来の清澄化プロセスは一般に、高価な化学薬品を使用して有機汚染物質を凝集させ、埋立地に廃棄しなければならない汚泥を生成する。砂濾過又は膜濾過ステップは資本及び空間集約的である。デムワックス(商標)システムの実施形態を有利に使用して、水体中の水柱によって発揮される自然圧力を使用して処理プロセスを推進することによって、従来のシステムよりも効率的に、化学薬品を使用せずに、複雑さを低減し、はるかに少ない資本費及びより良好な生産水の水質で、清澄化及び濾過プロセスに取って代わることができる。
【0185】
飲料水として使用するために地表水を処理するように適合された好ましい実施形態のシステムは一般に、ナノ濾過膜ユニットを含む膜モジュールを利用する。ナノ濾過膜のより小さな細孔径は、EPA(米環境保護庁)の現行の地表水処理要件をはるかに超える水を生産し、現在入手可能な精密濾過(MF)膜システムに比べて、ナノ濾過膜のより小さな細孔には不純物が容易には付着しないため、低い流束(約5から10gfd)は保守をより単純にする。ナノ濾過膜の代わりに精密濾過膜が使用されると、精密濾過膜のより大きな細孔にシルトがはまり込むことがあり、ずっと包括的で頻繁な清浄化が必要となる。好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムは、頻繁なバックウォッシングの必要性及びその付随する複雑さ(弁及びポンプ)を低減させ又は排除する。したがって、精密濾過システムの保守計画は、より複雑なシステム及びハードウェアを必要とする。好ましい実施形態のナノ濾過システムは低い保守障壁を有し、微生物、ウイルス、有機物及び他の不必要な成分を供給水から除去する。その膜及び源水の質に応じて、膜モジュールを約6メートルないし約200メートルの深さに下ろすことによって、水はおのずと、フィルタプロセスを推進する十分に高い連続圧下にある。もちろん、逆浸透膜を使用する実施形態を淡水用途に使用することもできる。例えば、逆浸透膜を使用する実施形態を約15メートルの深さ(又はそれよりもより深い深さ)に展開し、それを使用して超純水を生産することができる。
【0186】
淡水用途において使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムを、海洋用途に関して上で説明した構成と本質的に同じように、例えば、深所に懸吊された1つ又は複数の膜モジュール及び収集システム、並びに収集システムから表面まで上方へ呼吸管を備えるように構成することができる。好ましい実施形態のある種のシステムを、1つ又は複数の繋索を介して水体の底に固定することができるが、システムが浮揚性でない限り、繋止することは必要条件ではない。
【0187】
好ましい実施形態の膜モジュールは1つ又は複数の膜ユニットを含むことができ、好ましい実施形態の膜モジュールを、膜ユニット間の空間を源水が実質的に自由に流れることを可能にする適当な任意の構成に構成することができる。淡水処理用途に対しては、海洋用途に関して説明した間隔アルゴリズムがわずかに変更される。淡水用途では、膜ユニット間の間隔の制限因子が表面張力である。一般に、地表水源中には溶解固形物が高濃度では存在しないため、浸透圧に打ち勝つのに、淡水化に関連した高い圧力は必要ない。そのため、海水用途とは違い、間隔が不十分な場合に、供給水をわずかに濃縮しても圧力要件が高くならない場合がある。したがって、淡水用途とともに使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムは、海水用途で一般に使用される間隔よりも狭い間隔(約3ミリメートルすなわち約1/8インチ)を利用することができる。
【0188】
膜エレメントはそれぞれ2つの膜シートを含むことができ、透過水(処理された飲料水)がこれらの2つの層の間を流れることを可能にするために、これらの2つの層の間には、セパレータ(例えばポリマー、複合材料、金属など)が配置される。これらの2つの層は、不純物を濾別し、清浄な水をセパレータの中を通してコレクタへ送る長方形の膜シートとすることができる。これらの膜層及びセパレータ層の辺の縁を接合、密封し、透過水を取り出すための通路又は他の開口を形成することができる。好ましくは、それらは3辺で接合され、4番目の辺が透過水を取り出すために形成された開口として使用される。開いた(密封されていない)縁又は縁の密封されてない部分は収集システムと流体連通する。収集システムは、収集システムに構造支持を提供するように適合された収集導管を含むことができる。淡水用途には海洋用途と同じ程度の波及び流れは存在せず、このことに留意して、適当な材料及び構造を選択することができる。
【0189】
収集システムは水中ポンプを含むことが好ましく、2つのパイプ(又は管、通路、開口、或いは他の流れ誘導手段)、すなわち、その中を透過水が岸までポンピングされるパイプと、水体の表面から膜の処理水側まで大気圧を伝達し、それによって処理プロセスを推進する必要な圧力差を提供するように適合されたパイプすなわち呼吸管とに接続される。呼吸管の直径は、ポンプ動作中のエアバインディング(air binding)又は過度の速度の発生を回避するように選択される。収集システムから、透過水は最終処理設備へとポンピングされる。多くの貯水池及び湖沼は岸のかなり近くにおいて少なくとも6メートルの深さを有するため、多くの淡水用途では、岸までのポンピング距離が一般に比較的に短い。
【0190】
一様でない時間ごとの水需要に合わせて連続濾過プロセスを緩衝するため、システム内又は岸辺に貯蔵場所を設けることができる。例えば、図16に関して上で説明したように、収集導管内又はシステム内に一時貯蔵場所を設けることができる。更に、又は或いは、より多くのポンプ能力を発揮させることによってより高い流束レートを誘導することができるより深い深度に膜を配置することによって、実施形態は、事実上の水貯蔵場所を生み出すことができる。ベース負荷設計能力のために必要な深度よりも深い深度に膜モジュールが沈められると、ポンプが汲み上げることができるよりも多くの水を膜が生産するため、一定のベース負荷ポンピング速度はシステム内に背圧を誘導する。需要が高い時期に、透過水ポンプの流量を増大させるとシステムの背圧は低下し、膜の前後の圧力差を増大させ、透過水の生産速度を増大させる。
【0191】
淡水用途では、藻類などの有機成長物の蓄積が水生産を妨げることがあり、定期的な清浄化を要求することがある。したがって、好ましい実施形態のシステムを、藻類及び他の汚染物質を膜から除去するように設計することができる。膜の下方に位置するノズルのアレイを通して圧縮された空気又は水を押し出す自動システムを提供することができる。膜面から固形物を除去するのを助けるファイバアジテータ(fiber agitator)を提供することもできる。このような清浄化システムを毎日展開することができ、水中から膜カートリッジを取り出することを含むより徹底的な半年に一度の、又は必要に応じた清浄化プロセスによって、これを補うことができる。そのため、好ましい実施形態のシステムは、例えばバラストタンクなどを使用してモジュールを上げ下げする自動システムを含むことができる。
【0192】
デムワックス(商標)システムには、生産水をポンピングするための電力が伝送される。これを達成する方法は数多くあり、選択される方法は、システムのサイズ及びユニットの近くでの電力の入手可能性に依存することができる。この電力供給の考慮事項は、岸から現場までの距離(ライン損失及びケーブル費用)、及び水源の表面に位置する(ブイに浮かぶ)電力の(視覚的及び航行上の)侵入を含む。
【0193】
地下水用途
重金属及び揮発性有機化合物はしばしば地下水供給を汚染する。従来の除去法は費用がかかり、結果として生じる有毒な廃棄物の処分を必要とし、それに付随して責任も生じる。好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムを有利に使用して、他のタイプの処理が費用的に不可能な可能性がある汚染された井戸から清浄水を生産することができる。
【0194】
図22は、地下水用途において使用されるように適合されたデムワックス(商標)システムの一例を示す。このシステムは、既存の井戸602に沈められた、1つ又は複数のナノ濾過膜を備えた円筒形の膜カートリッジ600を含む。これらの膜は中心収集チャンバを取り囲み、膜の透過水側が収集チャンバと流体連通する。収集チャンバは、少なくとも地下水面606の最上部まで延びる呼吸管604によって大気圧に維持される。地下水面606は、図に示されているように、井戸602の領域においていくぶん引き下げられている可能性がある。井戸ポンプ608よりも下の、地下水面606の最上部から約33フィート(10メートル)の深さにカートリッジ600を沈めることによって、清浄水を生産し、清浄水を井戸602から汲み出し、地中に汚染物質を残すことができる。地下帯水層の移動及び涵養は、井戸の周囲の領域にこれらの汚染物質が蓄積することを防ぐことができる。
【0195】
図23A〜23B及び24A〜24Bは、地下水用途に対して適合された円筒形の膜カートリッジのさまざまな構成を示す。円筒形の膜カートリッジは一般に中心収集導管を取り囲む膜を含む。好ましい実施形態では、地下水井戸の円筒形の制約範囲内の膜表面積を最大化するような態様で膜が構成される。例えば、図23A及び23Bに示されているように、中心収集導管622の周囲に、蛇腹式に円筒形に折り畳まれた膜620が配置される。膜の折り畳まれた部分が互いに折り重なって潰れるのを防ぐため、折り畳まれたそれぞれの部分の内側に連続的に、又は折り畳まれたそれぞれの部分の内側の離散した位置に、1つ又は複数の透過水スペーサ624が配置される。図の点線は、透過水がスペーサ624の中を通って導管622に入ることを可能にするように提供された、中心収集導管622のパーホレーション(perforation)を示す。井戸ケーシング626に沈められると、膜620の外面は井戸の中の周囲の地下水に露出されて、透過水が中心収集導管622に入ることができるようになる。システムの構造支持を提供するため、任意選択で、折り畳まれた膜の周囲に、例えばリブ及び支柱を備えたフレーム(図示せず)を提供することができる。複数のカートリッジを積重ね構成で使用するシステムは、それぞれのカートリッジの収集導管622を接続するコネクタパイプ628を含むことができる。いくつかの実施形態では、図24A及び24Bに示されているように、円筒形のカートリッジ630が、カートリッジの中心から周縁まで、折り畳まれた部分間の間隔が同様に維持されるように、円筒の外周のところで互いに折り畳まれた折り目を有する膜632を含むことができる。折り畳まれた膜632は、穴のあいた中心収集導管638を取り囲む。膜632に対する源水の流れが矢印634によって示されている。収集導管638内への透過水の流れが矢印636によって示されている。地下水用途向けに構成された実施形態では、膜の折り畳まれた部分を海水用途よりも互いに近づけて配置することができるが、表面張力が膜間の供給水の流れを抑制するほどには近くないことが好ましい。
【0196】
好ましい実施形態のシステムとともに使用するのに適した装置及び方法が以下の参照文献に記載されており、それらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる:Pacenti他、「Submarine seawater reverse osmosis desalination system」、Desalination 126(1999)213〜218、米国特許第5,229,005号明細書、米国特許第3,060,119号明細書、Colombo他、「An energy−efficient submarine desalination plant」、Desalination 122(1999)171〜176、米国特許第6,656,352号明細書、米国特許第5,366,635号明細書、米国特許第4,770,775号明細書、米国特許第3,456,802号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0108272A1号明細書。
【0197】
本明細書に引用された全ての参照文献はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれた発表物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示を否定する場合には、本明細書が、このような相反する全ての文献に取って代わり、このような相反する全ての文献に優先することが意図される。
【0198】
本明細書で使用される用語「備える(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」又は「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的(inclusive)ないし無制限(open−ended)であり、列挙されていない追加の要素又は方法ステップを排除しない。
【0199】
明細書及び特許請求の範囲で使用される原料成分の量、反応条件などを表現する全ての数値は、全ての場合に、用語「約(about)」によって修飾されることが理解される。したがって、そうではないと指示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明が得ようとする所望の特性に応じて変更することができる近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲の同等物の原則の適用を限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、有効桁数及び通常の丸め法を考慮して解釈されるべきである。
【0200】
以上の説明は、本発明のいくつかの方法及び材料を開示する。本発明は、方法及び材料の変更並びに製造方法及び機器の変更が可能である。このような変更は、本開示の検討又は本明細書に開示された発明の実施によって当業者に明らかになる。したがって、本発明が、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されることは意図されず、本発明が、添付の特許請求の範囲に具体化された本発明の真の範囲及び趣旨に含まれる全ての変更及び代替物をカバーすることが意図される。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2007年2月14日に出願された米国特許仮出願第60/889,839号明細書及び2007年4月27日に出願された米国特許仮出願第60/914,690号明細書の恩典を主張するものである。上記の出願の開示内容は、これにより、その全体が参照によって明示的に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
海水の淡水化(desalination)システム及び方法並びに地表水及び地下水の浄化(purification)システム及び方法が提供される。これらのシステムは、自然又は誘導(induced)水柱の静水圧を利用して、逆浸透(reverse osmosis)膜、ナノ濾過(nanofiltration)膜又は他の膜で水を濾過し、それにより、ある所望の水質又は飲料水(potable water)が得られる。
【背景技術】
【0003】
地球上の水の97%超は海水であり、残りの水の3/4は氷河氷として固定されており、1%未満が帯水層、湖沼及び河川にあり、この1%未満の水を農業、工業、衛生及び人間の消費のために使用することができる。帯水層、湖沼及び河川にある水は再生可能資源であるため、地球の水のこの小さな部分が絶えず再利用される。従来の水資源を圧迫しているのがこの再利用の速度である。
【0004】
前世紀においては、増え続ける人口及び増大する汚染が、入手しやすい淡水の入手可能性を限定したため、これらの水源が圧迫された。最近、局地的な水不足により、塩分を含んだ海水から飲料水を作る淡水化プラントの展開が必要とされた。従来の淡水化プロセスは主要な3つのステップ、すなわち前処理、淡水化及び後処理ステップを含む。前処理ステップでは、海水が海から淡水化位置まで運ばれ、次いでこの海水が、使用される淡水化プロセスに従って調整される。水は一般に、脱塩プロセスの前に濾別されなければならない懸濁(例えば有機又は無機)物質を含む岸に近い浅い領域から採取される。淡水化ステップでは、水から塩類を除去するために、多段フラッシュ蒸留(Multistage Flash Distillation:MSF)、多重効用蒸留(Multi−effect Distillation:MED)、電気透析(Electro Dialysis:ED)、逆浸透(Reverse Osmosis:RO)などの方法が使用される。淡水化プロセスは一般に、かなりの量のさまざまな形態のエネルギー(例えば機械エネルギー、電気エネルギーなど)を必要とし、このプロセスによって生成される濃縮されたブライン(brine)の廃棄は環境上の重大な問題となりうる。後処理ステップでは、淡水化プロセスの生産水がその最終用途に従って調整される。
【0005】
長年にわたり、多段フラッシュ又は多重効用蒸留が淡水化業界の好まれるプロセスであったが、1990年代以降、膜技術の向上及びエネルギー費の増大により、逆浸透が、新たな資格に向かって明らかに先頭に立っている。
【0006】
逆浸透は、溶解塩及び無機分子並びに有機分子の95ないし99%を除去する分子フィルタの働きをする膜プロセスである。浸透は、水又は他の溶媒が、半透膜を通して、より低濃度の濃縮溶液からより高濃度の濃縮溶液へ自然に流れるときに起こる自然プロセスである。逆浸透では、濃縮溶液(供給溶液)に外圧をかけることによって、この自然浸透力が克服される。このようにして水の流れが逆転され、淡水化された水(透過水(permeate))が供給溶液から取り出され、より濃縮された塩溶液(ブライン)を残す。膜の第2のパス(pass)を追加し、それにより第1のパスからの生産水を第2のパスに供給することによって、生産水の水質を更に向上させることができる。一般的に商業利用されている逆浸透プロセスでは、前処理された海水が、容器ハウジング、例えばスパイラル(spiral−wound)逆浸透膜内において、850ないし1,200ポンド/平方インチ(psi)(5,861ないし8,274kPa)に加圧される。海水は膜の第1の表面と接触し、加圧によって、飲料水が膜を透過し、反対側で集められる。このプロセスで生成された濃縮されたブラインは、海水の塩濃度の最大約2倍の塩濃度を有し、海中に廃棄される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
海水の淡水化並びに地表水及び地下水の浄化のための非常に効率的で革新的なプロセスを提供する。このプロセスは、水体(body of water)の静水圧を使用して、例えば溶解塩を除去する逆浸透プロセス、又はウイルス、細菌などの不必要な成分を篩別する淡水体の濾過プロセスを推進する。このプロセスは、従来の淡水化プラント又は従来の水処理プラントであれば必要なシステムが消略される点、及び逆浸透プロセス又は他の濾過プロセスを容易にする静水圧の効率的な使用を可能にする点で有利である。好ましい実施形態では、浮きプラットホーム(floating platform)から懸吊し、水底に繋止し、又は他の方法で逆浸透によって海水から飲料水又は低溶解塩含量水を生産するのに圧力が十分である深さに配置することができる、水抽出用深所露出膜(Depth Exposed Membrane for Water Extraction)(デムワックス(DEMWAX)(商標))モジュールが提供される。他の好ましい実施形態では、デムワックス(商標)モジュールがナノ濾過膜を備えることができ、デムワックス(商標)モジュールを使用して、地表水又は地下水から汚染物質を篩分けすることができる。
【0008】
したがって、第1の態様では濾過システムが提供され、このシステムは、ある水体のある沈水深さに沈められるように構成された膜モジュールであり、膜モジュールが少なくとも1つの膜カートリッジを備え、膜カートリッジが少なくとも1つの膜エレメントを備え、膜エレメントが第1の側と第2の側とを有し、膜エレメントの第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で濾過される水に露出される、膜モジュールと、水体に沈められるように構成されたコレクタ通路であり、コレクタ通路の少なくとも一部分が、濾過された水が集められる膜エレメントの第2の側と流体連通する、コレクタ通路と、コレクタ通路から水体の表面まで延び、コレクタ通路の内部を、水体の表面又は水体の表面よりも高いある高度における大気圧の特性を示す圧力に露出するように構成された呼吸通路とを備え、沈水深さの特性を示す圧力と水体の表面又は水体の表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す圧力との間の差によって、膜エレメントの第1の側から膜エレメントの第2の側へ透過水が流れる。
【0009】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが、少なくとも1つの透過水スペーサによって離隔された2つの膜層を備える。
【0010】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが実質的に平面である。
【0011】
第1の態様の一実施形態では、膜カートリッジが少なくとも2つの膜エレメントを備える。
【0012】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約1mmの間隔を置いて配置される。
【0013】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約2mmの間隔を置いて配置される。
【0014】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置される。
【0015】
第1の態様の一実施形態では、水処理システムが、複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約6mmの間隔を置いて配置される。
【0016】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが平行構成の2つの平シート膜を備え、膜エレメントが更に、2つの平シート膜間に位置する少なくとも1つのコレクタスペーサを備え、コレクタスペーサが、2つの平シート膜を互いから分離するように構成される。
【0017】
第1の態様の一実施形態では、膜モジュールが複数の膜カートリッジを備える。
【0018】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約30メートルの深さに、又は少なくとも約60メートルの深さに、又は約60メートルの深さに、又は約60メートルないし約244メートルの深さに、又は約122メートルないし約152メートルの深さに、又は約152メートルないし約183メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0019】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つの逆浸透膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約190メートルの深さに、又は少なくとも約244メートルの深さに、又は約259メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0020】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つの限外濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約22メートルの深さに、又は約22メートルないし約60メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0021】
第1の態様の一実施形態では、膜エレメントが少なくとも1つの精密濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成することができる。
【0022】
第1の態様の一実施形態では、膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められるように構成され、更に、膜エレメントの第1の側から膜エレメントの第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込み(entrainment)を実質的に防ぐように構成される。
【0023】
第1の態様の一実施形態では、沈水深さの特性を示す圧力と水体の表面における大気圧の特性を示す圧力との間の差が、濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給して、膜の第1の側が露出される圧力を機械装置なしに増大させ、膜の第2の側が露出される圧力を機械装置なしに低下させる。
【0024】
第2の態様では、処理される水体中のある深さに沈められるように構成された少なくとも1つの膜であり、水が、沈水深さにおける第1の圧力を有し、膜が濃縮水側と透過水側とを有する、膜と、膜の透過水側と流体連通したコレクタと、コレクタの内部を第1の圧力よりも低い第2の圧力に露出するように構成された通路とを備え、膜の濃縮水側を第1の圧力に露出することが、膜を通り抜けて透過水が濃縮水側から透過水側へ移動する濾過プロセスを推進する、水処理システムが提供される。
【0025】
第2の態様の一実施形態では、第2の圧力が、水体の表面における大気圧の特性を示す。
【0026】
第2の態様の一実施形態では、通路が、コレクタから少なくとも水体の表面まで延びる。
【0027】
第2の態様の一実施形態では、コレクタが通路である。
【0028】
第3の態様では、源水から少なくとも1つの成分を篩別して生産水を生産する篩分け手段であり、源水側と生産水側とを有し、源水側が源水の静水圧に露出されるように構成された、篩分け手段と、生産水を集める収集手段であり、静水圧よりも低い圧力に露出されるように構成された、収集手段とを備える水処理システムが提供される。
【0029】
第3の態様の一実施形態では、低い圧力が、源水の表面における大気圧の特性を示す。
【0030】
第4の態様では、源水を濾過して生産水を生産する濾過手段であり、源水側と生産水側とを有する、濾過手段と、源水中の周囲圧力条件及び源水よりも上の周囲圧力条件を利用して、源水側から生産水側へ透過水を移動させるのに十分な圧力差を、源水側と生産水側との間に生み出す手段とを備える水処理システムが提供される。
【0031】
第5の態様では、供給水から生産水を生産する濾過システムが提供され、このシステムは、少なくとも1つの逆浸透膜であり、水の透過は許すが、供給水に溶解した1種又は数種のイオンの透過は制限するように構成され、更に、溶解したイオンを含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、深さが少なくとも約141メートルであり、それぞれの膜の第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で供給水に露出されるように構成され、それぞれの膜の第2の側のコレクタが、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、膜の第2の側において低溶解イオン濃度の透過水が得られるように、膜の前後の圧力差が逆浸透濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を膜から効果的に遠ざけるように、膜が配置される、逆浸透膜を備える。
【0032】
第5の態様の一実施形態では、システムが、ある海水体中の約113メートルないし約307メートルの深さに沈められるように構成され、海水が約20,000ないし約42,000ppmの塩分を有する。
【0033】
第5の態様の一実施形態では、システムが、ある海水体中の約247メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成され、海水が約33,000ないし約38,000ppmの塩分を有する。
【0034】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約1mmの間隔を置いて配置される。
【0035】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約2mmの間隔を置いて配置される。
【0036】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置される。
【0037】
第5の態様の一実施形態では、システムが、複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約6mmの間隔を置いて配置される。
【0038】
第5の態様の一実施形態では、コレクタが、通路を介して、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出される。
【0039】
第5の態様の一実施形態では、通路が呼吸管である。呼吸管は、ほぼ沈水深さから少なくとも供給水体の表面まで延びることができる。
【0040】
第5の態様の一実施形態では、通路が、2つの膜間の少なくとも1つの空間を含む。
【0041】
第5の態様の一実施形態では、コレクタが、供給水体の表面の空気と流体連通した保持タンクである。
【0042】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、第1の位置から第2の位置へ透過水を移送するように構成されたポンプを備える。
【0043】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、供給水体中に少なくとも部分的に沈められた透過水貯蔵タンクを更に備える。
【0044】
第5の態様の一実施形態では、透過水貯蔵タンクが少なくとも部分的に沈められ、透過水の充填及び放出に対応することができる柔軟な材料を含む。
【0045】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、少なくとも1つの膜モジュールを備え、膜モジュールが、供給水の進入を防ぐために縁が密封された1対又は数対の平シート膜を備え、平シート膜対の外面が供給水に露出されるように構成され、使用時に、対をなす膜シート間から透過水収集モジュールを通して透過水を抜き取ることができる。
【0046】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、膜モジュールが懸吊された沖合プラットホームを備える。
【0047】
第5の態様の一実施形態では、システムが更に、飲料水を岸まで輸送するように構成された導管を備える。
【0048】
第6の態様では、供給水から生産水を生産する濾過システムが提供され、このシステムは、少なくとも1つのナノ濾過膜であり、水の透過は許すが、少なくとも1つの成分の透過は制限するように構成され、更に、成分を含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、深さが少なくとも約6メートルであり、膜の第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で供給水に露出されるように構成され、それぞれの膜の第2の側のコレクタが、供給水体の表面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、膜の第2の側において成分の低い濃度を有する透過水が得られるように、膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、膜の第1の側に沿った供給水の実質的に自由な流れを表面張力が妨げることを防ぐように、膜が配置される、ナノ濾過膜を備える。
【0049】
第6の態様の一実施形態では、深さが少なくとも約8メートルである。
【0050】
第6の態様の一実施形態では、深さが少なくとも約10メートルである。
【0051】
第6の態様の一実施形態では、沈水深さの特性を示す圧力と大気圧の特性を示す圧力との間の圧力差が、濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給する。
【0052】
第6の態様の一実施形態では、濾過プロセスが真空ポンプの影響なしで起こる。
【0053】
第6の態様の一実施形態では、システムが更に、コレクタから供給水体の表面へ透過水を移動させるように構成された正水頭ポンプ(positive head pump)を更に備える。
【0054】
第7の態様では、水を淡水化する2パスシステムが提供され、このシステムは、水の透過は許すが、1種又は数種の溶解イオンの透過は制限するように構成された少なくとも1つの第1のナノ濾過膜を備える第1パス濾過システムであり、第1の膜が、ある海水体中の少なくとも約113メートルの深さに沈められるように構成され、第1の膜の第1の側が、沈水深さの特性を示す圧力で海水に露出されるように構成され、第1の膜の第2の側が、海面又は海面よりも高い高度における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、第1の膜の第2の側において低塩分の透過水が得られるように、第1の膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を第1の膜から効果的に遠ざけるように、第1の膜が構成された、第1パス濾過システムと、ナノ濾過膜又は逆浸透膜である少なくとも1つの第2の膜を備える第2パス濾過システムとを備える。
【0055】
第7の態様の一実施形態では、第2の膜の第1の側が低塩分の透過水に露出されるように構成され、更に、第2の膜の第2の側において更に低い塩分の透過水が得られるように濾過プロセスを推進するために、使用時に、第2の膜の前後に圧力差が加えられるように構成される。
【0056】
第7の態様の一実施形態では、第1パス濾過システムが、ある海水体中の約152メートルないし約213メートルの深さに沈められるように構成され、海水が、約33,000ないし38,000ppmの塩分を有する。
【0057】
第7の態様の一実施形態では、システムが、複数の第1のナノ濾過膜を備え、第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約1mm以上の間隔を置いて配置される。
【0058】
第7の態様の一実施形態では、システムが、複数の第1のナノ濾過膜を備え、第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mm以上の間隔を置いて配置される。
【0059】
第7の態様の一実施形態では、システムが、複数の第1のナノ濾過膜を備え、第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置される。
【0060】
第8の態様では、水を処理する方法が提供され、この方法は、源水中のある沈水深さに膜モジュールを沈めるステップであり、膜モジュールが少なくとも1つの膜ユニットを備え、膜ユニットが第1の側と第2の側とを有し、第2の側の少なくとも一部分がコレクタ導管と流体連通し、第1の側が第1の圧力で源水に露出され、第1の圧力が沈水深さの特性を示す、ステップと、コレクタ導管を、第1の側から第2の側へ透過水を移動させるのに十分な第2の圧力に露出するステップと、コレクタシステム内に透過水を集めるステップとを含む。
【0061】
第8の態様の一実施形態では、第2の圧力が、源水の表面又は源水の表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す。
【0062】
第8の態様の一実施形態では、真空ポンプを使用せずに第1の側から第2の側へ移動するように透過水が誘導される。
【0063】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約30メートルの深さに、又は少なくとも約60メートルの深さに、又は約60メートルの深さに、又は約60メートルないし約244メートルの深さに、又は約122メートルないし約152メートルの深さに、又は約152メートルないし約183メートルの深さに沈めることができる。
【0064】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つの逆浸透膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約190メートルの深さに、又は少なくとも約244メートルの深さに、又は約259メートルないし約274メートルの深さに沈めることができる。
【0065】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つの限外濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに、又は少なくとも約22メートルの深さに、又は約22メートルないし約60メートルの深さに沈めることができる。
【0066】
第8の態様の一実施形態では、膜ユニットが少なくとも1つの精密濾過膜を備える。膜モジュールは、少なくとも約6メートルの深さに、又は少なくとも約8メートルの深さに、又は少なくとも約10メートルの深さに、又は約12メートルないし約18メートルの深さに沈めることができる。
【0067】
第8の態様の一実施形態では、膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められ、更に、膜エレメントの第1の側から膜エレメントの第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込みを実質的に防ぐように構成される。
【0068】
第9の態様では、水を処理する方法が提供され、この方法は、水体中に位置する少なくとも1つの膜を、膜の浸漬深さの特性を示す静水圧に露出するステップであり、膜が濃縮水側と透過水側とを有し、透過水側がコレクタと流体連通する、ステップと、コレクタの内部の少なくとも一部分を静水圧よりも低い圧力に露出するステップであり、それにより、膜の濃縮水側から透過水側へ透過水が透過する、ステップと、コレクタから透過水を集めるステップとを含む。
【0069】
第9の態様の一実施形態では、第2の圧力が、水体の表面又は水の表面の高度よりも高い高度における大気圧の特性を示す。
【0070】
第9の態様の一実施形態では、膜がコレクタとして機能する。
【0071】
第10の態様では、水を処理する方法が提供され、この方法は、源水から少なくとも1つの不必要な成分を篩別する篩分け手段を沈めるステップであり、篩分け手段が源水側と生産水側とを画定し、源水側が源水の静水圧に露出される、ステップと、生産水側を、静水圧よりも低い圧力を有する低圧システムに露出するステップであり、それにより源水側から生産水側へ生産水が透過する、ステップと、生産水を集めるステップとを含む。
【0072】
第11の態様では、水処理モジュールを製造する方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの源水スペーサを第1の膜ユニットに取り付けるステップであり、膜ユニットが、透過水スペーサ層によって離隔された2つの膜層を備え、第1の膜ユニットが密封された縁部分と密封されてない縁部分とを有する、ステップと、源水スペーサに第2の膜ユニットを取り付けるステップと、第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの密封されてない縁部分にコレクタスペーサを結合するステップであり、コレクタスペーサが、第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの源水側を第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの生産水側から分離する水密シールを形成するように構成された、ステップとを含む。
【0073】
第12の態様では、沖合収集設備から陸地へ水を輸送する方法が提供され、この方法は、水体中の第1の深さに収集ユニットを沈めるステップであり、収集ユニットの少なくとも一部分が大気圧に露出される、ステップと、収集ユニットと流体連通した通路を提供するステップであり、通路が、収集ユニットから陸上のある位置まで延び、陸上のある位置が第1の深さよりも低い高度にある、ステップとを含む。
【0074】
第12の態様の一実施形態では、収集ユニットが少なくとも1つの膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ第1の側と第2の側とを有し、第1の側が、第1の深さにおける水体の特性を示す圧力に露出され、第2の側が、大気圧に露出された収集ユニットの一部分と流体連通する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】水体の底に繋止されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図2】一時的に設置して使用するように適合されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図3】浮きプラットホームから懸吊されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図4】大規模用途で使用するように適合され、又は膜モジュールへのより多くのアクセスを望んでいるユーザに対して適合されたデムワックス(商標)モジュールの図(尺度不定)である。
【図5】垂直に整列させた箱形構成の膜を利用するデムワックス(商標)膜モジュールの平面図(尺度不定)である。
【図6】丸められる前の従来の逆浸透膜モジュールのスパイラルエレメントを示す図である。
【図7A】透過水管の周りに巻き付けられた12層の膜を有する従来の逆浸透膜モジュールの破断図である。
【図7B】透過水管の周りに巻き付けられた12層の膜を有する従来の逆浸透膜モジュールの破断図である。
【図8】従来の逆浸透ユニットの(丸められる前の)膜エレメントの断面図である。
【図9A】一実施形態に基づく膜カートリッジの透視図(尺度不定)である。
【図9B】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9C】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9D】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9E】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図9F】膜カートリッジを製造するプロセスのいくつかのステップの一つを示す図である。
【図10】逆浸透濾過プロセス及び生成されたブラインの下方移動を概略的に示す図である。
【図11A】沖合で集められた水を岸まで輸送するさまざまなシステムの一つを概略的に示す図である。
【図11B】沖合で集められた水を岸まで輸送するさまざまなシステムの一つを概略的に示す図である。
【図11C】沖合で集められた水を岸まで輸送するさまざまなシステムの一つを概略的に示す図である。
【図12】塩水スペーサを示し、収集システムと流体連通した膜エレメントの透過水側を示す、デムワックス(商標)膜カートリッジの基本断面図(尺度不定)である。塩水スペーサは、市松模様に配列され、強いプラスチック繊維で接続されたプラスチック「ボール(ball)」である。このスペーサは、膜を分離する格子箱の必要性を排除する。
【図13】塩水又は源水スペーサとして使用するのに適した波形の織られたプラスチック繊維を示す図である。
【図14】デムワックス(商標)システムとともに使用される透過水コレクタ導管の基本図(尺度不定)である。
【図15A】複数の膜エレメントを含む複数のカートリッジと、デムワックス(商標)システムとともに使用されるコレクタ導管とを備えたモジュールの基本図(尺度不定)である。
【図15B】複数の膜エレメントを含む複数のカートリッジと、デムワックス(商標)システムとともに使用されるコレクタ導管とを備えたモジュールの基本図(尺度不定)である。
【図15C】収集システムに流体接続された複数の膜エレメントを含む複数のカートリッジを備えたデムワックス(商標)モジュールの基本図(尺度不定)である。
【図16】膜カートリッジの配置が点線で示された、収集フレームの側面図である。
【図17A】収集システムの部分をより分かりやすく示すために膜カートリッジ及び収集システムの一部が取り外された、膜モジュールの破断透視図(尺度不定)である。
【図17B】4組のカートリッジを支持する収集フレームワークを備えた膜モジュールの透視図(尺度不定)である。
【図18】沖合プラットホームから懸吊された沈められた膜モジュールを示す、デムワックス(商標)プラントの上面を示す基本図(尺度不定)である。
【図19】プラットホームから懸吊され、並列及び直列に配置されたアレイの形態の、沈められたデムワックス(商標)モジュールの上面を示す基本図(尺度不定)である。
【図20】デムワックス(商標)モジュールの複数のアレイを有するプラントの平面図である。
【図21】デムワックス(商標)モジュールのブイアレイシステムの側面図である。
【図22】地下水用途で使用されるように適合されたデムワックス(商標)カートリッジの図である。
【図23A】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【図23B】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【図24A】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【図24B】円筒形デムワックス(商標)カートリッジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下の説明及び例は、本発明の好ましい実施形態を詳細に示す。本発明の範囲が包含する本発明の変形及び変更が多数あることを、当業者は認識するであろう。したがって、好ましい実施形態の説明が本発明の範囲を限定するとみなすべきではない。
【0077】
従来の逆浸透淡水化プラントは、逆浸透膜を高圧の塩水に露出する。この圧力は、この膜を水が透過することを強制し、一方で、イオン、選択された分子及び微粒子がこの膜を透過することを防ぐ(又は妨げる)。淡水化プロセスは一般に高圧で推進され、したがって高いエネルギー要求量を有する。さまざまな淡水化システムが、米国特許第3,060,119号明細書(Carpenter)、第3,456,802号明細書(Cole)、第4,770,775号明細書(Lopez)、第5,229,005号明細書(Fok)、第5,366,635号明細書(Watkins)及び第6,656,352号明細書(Bosley)、並びに米国特許出願第2004/0108272号明細書(Bosley)に記載されている。
【0078】
水を浄化し及び/又は淡水化するシステムが提供される。それらのシステムは、ナノ濾過(NF)膜、逆浸透(RO)膜などの1つ又は複数の膜を、自然又は誘導水柱の静水圧、例えば海の深部の高圧の水に露出することを含む。膜は、圧力が、膜の第1の側に存在する供給水(又は原水)の浸透圧と膜自体の膜透過圧力損失(transmembrane pressure loss)の和に打ち勝つのに十分である深さに沈められる。海水又はより多量の溶解塩を含む他の水に関しては、膜透過圧力損失は一般に浸透圧よりもはるかに小さい。したがって、いくつかの用途において、浸透圧は、必要な圧力(したがって必要な深さ)を決定する、膜透過圧力損失よりも重要な因子である。地表の淡水又はより少量の溶解塩を含む水の処理では、浸透圧がより小さい傾向があり、膜透過圧力損失が、必要な圧力(したがって必要な深さ)を決定するより重要な因子になる。一般に、海水を淡水化するように適合されたシステムは、淡水を処理するシステムが必要とするよりも大きな圧力、したがってより大きな深さを必要とする。
【0079】
好ましい実施形態のシステムは、さまざまな構成の膜モジュールを利用する。好ましい一構成では、膜モジュールが、2つの平行な膜シートが透過水スペーサによって離隔された状態に保持され、膜シート間の容積が封じ込められた膜システムを使用する。透過水は膜を透過し、封じ込められた容積内へ入り、そこで集められる。特に好ましい実施形態は、低圧(透過水)側の膜間の間隔を維持するために剛性セパレータを使用するが、2つの膜シートの分離を維持する能力を有する適当な任意の透過水スペーサ構成(例えばある程度の柔軟性又は変形性を有するスペーサ)を使用することができる。スペーサは、膜シート間の分離を維持する能力を有する適当な任意の形状、形態又は構造、例えば正方形、長方形又は多角形の断面(中実又は少なくとも部分的に中空)、円形断面、Iビームなどを有することができる。透過水が集められる空間内において膜シート間の分離を維持するためにスペーサを使用することができ(透過水スペーサ)、スペーサは、原水ないし未処理の水に露出された領域内において膜シート間の分離を維持することができる(例えば原水スペーサ)。或いは、原水スペーサを利用しない構成を使用することもできる。その代わりに、膜をその場に保持する構造、例えば支持フレームによって分離が提供される。例えば間隔を置いて配置された一連の発泡プラスチック媒体(例えば球)、波形の織られたプラスチック繊維、多孔質モノリス、不織線維シートなどによって、分離を提供することもできる。同様に、適当な任意の材料からスペーサを製造することができる。適当な材料は、剛性ポリマー、セラミック、ステンレス鋼、複合材料、ポリマーでコーティングされた金属などを含むことができる。上で論じたとおり、間隔を提供するスペーサ又は他の構造は、透過水が集められる2つの膜表面間の空間(例えば透過水スペーサ)、又は原水に露出される膜表面間の空間(例えば原水スペーサ)において使用される。
【0080】
或いは、重力又は水流によって、より高密度の濃縮水が、この構成の中を通過し、膜表面から遠ざかるように移動することができる、ゆるく巻かれた構成の1つ又は複数のスパイラル膜ユニットを使用することもできる。或いは、膜エレメントを、表面露出を最大化し、空間要件を最小化するさまざまな他の構成(平面、スパイラル、湾曲、波状など)に配列することもできる。好ましい一構成では、これらのエレメントが、わずかな間隔で垂直に配列され、深所に降ろされる。海水用途では、海の静水圧が、水が膜を透過することを強制し、収集システムが、処理水を集め、それを海面、岸又は他の所望の位置までポンピングする。スパイラル構成が使用される場合、膜は、従来の逆浸透システムよりも離して、例えば約0.25インチ以上(約6ミリメートル以上)離して配置されることが好ましく、この構成は、「隙間の多い(open)」モジュールである(すなわち、周囲の源水に膜を直接に露出し、源水が実質的に抑制されずに膜を通り過ぎることを可能にするように構成される)ことが好ましい。このような構成は、供給水が膜を通り過ぎることを容易にし、特に、濾過プロセスによって膜の表面に生成されたより高密度の濃縮水を引き降ろす重力の能力を促進する。一般に隙間の多い構成が好ましいが、ある実施形態では、隙間の多い構成以外の構成が望ましいことがある。
【0081】
好ましい実施形態のシステムは、約194メートルないし約307メートル、又はそれ以上の深さの海水中に膜を降ろすことによって、供給水又は原水を加圧する必要性を排除するという利点を提供する。従来の陸上逆浸透プロセスは一般に、この圧力を発生させるために莫大な量のエネルギーを必要とする。平均的な塩分の海水(例えば約35,000mg/リットルの塩分を有する太平洋の水)から飲料水を生成したいときに、逆浸透膜を使用する好ましい実施形態のシステムにおいて使用される深さは約247メートルないし約274メートルであることが好ましく、この深さが約259メートルであると最も好ましい。もちろん、逆浸透膜を使用するシステムをより浅い深度で展開することもできる。低塩分の水(例えば潅漑、工業冷却用途などに適したかん水(brackish water))が所望の場合、ナノ濾過膜を使用するシステムの好ましい深さは、約113メートルないし247メートル、又はそれ以上である。平均的な塩分の海水(例えば約35,000ppmすなわちmg/lの塩分を有する太平洋の水)からかん水を生成するためには、この深さが、約152メートルないし約213メートルであることが好ましい。もちろん、ナノ濾過膜を使用するシステムは213メートルよりも深い深度で展開することもでき、このようなシステムを、逆浸透膜を使用するシステムと同じ深さで展開することもできる。
【0082】
好ましい深さは、限定はされないが、膜の化学的性質、膜の間隔、周囲の流れ、海水の塩分(又は供給水の溶解イオン含量)、透過水の塩分(又は透過水の溶解イオン含量)などを含む、さまざまな因子に依存しうる。深所において、膜と接触した海水はおのずと連続的な高圧下にある。好ましい実施形態のシステムの他の利点は、それらのシステムが、高圧パイプ、取水システム、水前処理システム又はブライン廃棄システムを必要としないことである。好ましい実施形態のシステムをよりいっそう浅い深度で展開することもできる。例えば、淡水化前処理システム又は海水取入れシステムにおいて使用される浅い海水中で、実施形態を展開することができる。高速取入れロがないため、このようなシステムは、海洋生物を傷つけることを有利に回避する。好ましい実施形態の選択されたシステムは、塩水が内部の金属部材と一切接触しないように構成されることが好ましい。このことは、従来の逆浸透システムに不利な影響を及ぼす選択された溶解イオンの腐食効果を劇的に軽減する。システムは、外洋で使用されるように、したがって従来の陸上逆浸透システムの場合とは違い、岸辺の土地をあまり必要としないように、構成されることが好ましい。一般に、247メートルないし約274メートルの深さで好ましい実施形態のシステムを作動させることが好ましいが、システムをより浅い深度で動作するように有利に構成することもできる。例えば、精密濾過(microfiltration)膜、限外濾過(ultrafiltration)膜又はナノ濾過膜を含むシステムを、地表水及び貯水池中のずっと浅い深度に配置することができ、細菌、ウイルス、有機物及び無機物を淡水源から濾別するように構成することができる。地表水処理システムはナノ濾過膜を使用することが最も好ましい。このようなシステムの膜は、約6メートルないし61メートルの深さに配置することができ、又は、除去すべき全溶解固形物、所望の取入れ速度及び生産水の所望の品質に応じた他の適当な深さに配置することができる。精密濾過、限外濾過又は逆浸透膜を含むシステムを、汚染された供給水から浄化された水を生成するように適合させることもでき、地下水井戸の中に配置するように構成することもできる。
【0083】
ある好ましい実施形態の膜モジュールは、供給水から不必要な成分を分離し、そのようにして生成された生産水を、ポンプを含む水中の収集システムに移送するために使用される。この収集システムは、膜生産及びポンプ速度の変動を緩衝するために十分な量の透過水を保持するタンクの役目を果たすことができる。ポンプは、水中ポンプ(submersible pump)、ドライウェルポンプ(dry well pump)などを含む適当な任意の形態のポンプとすることができる。収集システムは、少なくとも2つのパイプ、管、通路又は他の流れ誘導手段、すなわち、その中を透過水が表面、岸又は他の所望の位置まで導かれる手段と、ポンプ動作から膜を分離する(又は保護する)手段(例えば「呼吸管(breathing tube)」)とに接続される。膜の前後の圧力差を突然に増大させ又は低下させるのではなく、呼吸管を空にし、又は満たすことによって、ポンプをオン又はオフにすることによって引き起こされるシステムの圧力サージを軽減することができる。呼吸管がなければ、(例えばシステム保守のための)ポンプサイクリングによって膜ユニットにかかる応力が、膜の寿命を短縮し、又は他の機械的摩耗を引き起こす可能性がある。呼吸管を使用して、透過水保持タンクを大気圧に露出し、それによって、深所の圧力に露出されたときに透過水が膜を透過することを可能にすることが特に好ましいが、膜の透過水側に減圧を適用する他の手段を使用して、濾過プロセスを推進することもできる。単一の呼吸管又は複数の呼吸管を使用することができる。同様に、複数の流れ誘導手段(例えば単一の位置又は異なる位置に透過水を送る複数のパイプなど)を有利に使用することができる。呼吸管(1つ又は複数)は、ポンプが始動され又は停止されたときに呼吸管(1つ又は複数)を流れる極めて高速の気流に対して観察される音響効果を回避するように構成されることが好ましい。
【0084】
海洋用途において使用される収集システムは、透過水を集め又は蓄積し、それを、海面又は他の所望の位置(水中位置、岸辺の地中又は地表貯蔵タンクなど)に運ぶように構成される。海上の暴風雨の影響及び視覚的な影響を回避するために、このような収集システムは浮揚性(buoyant)であることが好ましく、海底に繋止されることが好ましいが、他の構成も有利に使用することができる。例えば、水面プラットホーム(浮き又は固定プラットホーム)を海に配置することができ、そこから膜モジュールを懸吊することができる。モジュールを懸吊する際には海流が考慮されることが好ましい。海流は、懸吊されたモジュールに力を加え、モジュールを側方へ変位させる。振り子と同じように、モジュールが側方へ変位すると、モジュールは強制的に海面に近づく。流れが比較的に一定の場合には、好ましいモジュール深さよりも長いラインからモジュールを懸吊することができ、その結果、流れの力がモジュールを側方へ押し、好ましい深さにモジュールを置く。逆に、水体の底に繋止された浮揚性モジュールに関してもこれらの同じ考慮が当てはまる。したがって、ある実施形態では、モジュールが好ましい深さに維持されるよう、ラインの長さを、流れの変化を補償するように調整することができる(例えば流れセンサをウィンチとともに使用することができる)。或いは、流れ変位によって、モジュールが好ましい深さよりも上昇しないような深さに、モジュールを配置することもできる。
【0085】
好ましい実施形態のシステムは従来の海洋プラットホーム技術を使用することができる。例えば、発電用の電力モジュール(例えば発電機、変圧器など)、燃料の貯蔵場所、保守用の予備部品の貯蔵場所、及びシステムを動かす他のインフラストラクチャを支持するために、コンクリート製のハル(hull)を有する浮きプラットホームを使用することができる。陸上の飲料水需要が一日を通して均一でないとき、連続生産プロセスは貯蔵システムを使用することが好ましい。需要が少ないとき、プラットホームは、岸辺(onshore)の貯蔵場所を補うものとして、いっぱいになると拡張し、空になるとすぼむハイパーロン(HYPERLON)(商標)などの柔軟な材料でできた浮きタンクを使用することができる。このような貯蔵システムは海中に懸吊され、したがって、岸辺の水タンク又は岸に近い陸地に位置するタンクでは必要な大規模な建設作業を必要としない。
【0086】
このシステムによって生成された飲料水又は低イオン含量水は、パイプラインの内側と外側のほぼ同一の圧力を利用することにより、岸まで輸送されることが好ましい。例えば、選択された実施形態では、ハイパーロン(商標)又は他の適当な材料でできた水中に浮かぶ可撓パイプを使用することができる。このようなパイプは、例えば海面下約100フィートに懸吊され、又は海底に沿って配置されることが好ましい。パイプの深さは、海上交通を妨げない深さであることが好ましい。システム位置に海上交通が存在しない場合、海面でパイプを使用することが有利なことがある。可撓パイプが有利に使用されるが、剛性パイプ、セメント流路、或いは他の管又は通路構成を使用することもできる。
【0087】
淡水化プラントはしばしば淡水化された水に、その地方の規則に従ってある種の化学薬品(例えば塩素、フッ素、殺藻剤、消泡剤、殺生物剤、ボイラ水用化学薬品、凝固剤、腐食抑制剤、消毒剤、凝集剤、中和剤、酸化剤、脱酸素剤、pH調整剤、樹脂洗浄剤、スケール抑制剤など)を追加する。この作業は、水が分配システムに送水されているときに岸辺で、又はシステム中の他の適当な位置で実施することができる。
【0088】
デムワックス(商標)システム
好ましい一実施形態のデムワックス(商標)システムの図が図1に示されている。海底のアンカー100に、膜モジュール102及び収集導管104を含むデムワックス(商標)システムのいくつかの要素が繋止されている。膜モジュール102は、例えば図9Cに関して後に説明するような1つ又は複数の膜カートリッジを含むことができる。用途に応じてフロート又は重りを追加してモジュールを所望の深さに保持することができるように、システムのこれらの要素及びその他の要素は、ほぼ中立的に浮揚する(nearly neutrally buoyant)ように構成されることが好ましい。収集導管を大気圧に露出するため、収集導管104と海面に浮かぶブイ108との間に呼吸管106が延びる。呼吸管は或いは、透過水パイプ112を伝って岸まで延びてもよい。ポンプ110が、パイプ112を通して透過水を収集導管104から岸までポンピングする。ポンプ110は、図に示されているように収集導管104内に配置し、又は収集導管104に隣接して配置することができ、或いはパイプ112と流体連通させて岸又は岸の近くに設置することができる。背圧が逆浸透プロセスを停止させないように、このポンプは膜とほぼ同じ深さにあることが好ましい。ポンプが850フィート未満の深さにある場合には、逆浸透プロセスの進行を可能にするために、ポンプが膜に負圧を与える必要があることがある。追加の貯蔵場所を提供するため、任意選択で、システム内に、例えば収集導管104の一部としての、又は収集導管104から延びる、1つ又は複数の透過水貯蔵タンク114を配置することができる。このような追加の貯蔵場所を有利に使用して、ポンプ速度の変動を緩衝することができる。貯蔵タンク114は、タンク114に貯蔵された透過水の容積を感知し、それに応じてポンプ110の動作を調節するように構成されたセンサ(図示せず)を含むことができる。
【0089】
図2は、一時(非永続)用途に特によく適したデムワックス(商標)システムの他の実施形態を示す。デムワックス(商標)モジュール120は、海底の1つ又は複数のアンカー122に繋止される。モジュール120は、少なくとも1つの膜カートリッジ及び収集導管を含む。膜モジュールは、海の深所の静水圧に露出され、収集導管は、水面に浮かぶブイ126まで延びる呼吸管124を通して大気圧に露出される。透過水はモジュール120に集められ、ブイ126の近くに置かれた岸まで輸送するための移動貯蔵容器128に、透過水パイプ127を通してポンピングされる。このシステムなどのシステムは、緊急的状況において、例えば上水の汚染又は不足にみまわれた区域の近くに、迅速に展開することができる。
【0090】
図3は、デムワックス(商標)システムの代替構成を示す。膜モジュール132は浮きプラットホーム130の下に懸吊される。示されたシステムでは、モジュール132が淡水を生産し、生産された淡水は、水中ポンプ、ドライウェルポンプ又は他のポンプ136を含む1つ又は複数の保持タンク134に入れられる。保持タンク134と浮きプラットホーム130との間に延びる呼吸管138によって、保持タンク134の内部は大気圧に維持される。生産水は水面140までポンピングし、次いで柔軟な貯蔵タンク142内へポンピングすることができる。貯蔵タンク142はプラットホーム130の海側に浮かんでいるように示されているが、貯蔵タンクを他の適当な構成に配置することもでき、例えば貯蔵タンクをプラットホーム130の陸側に配置し、又は水面140下に懸吊することもできる。生産水は次いで、最終的な処理及び分配のためにパイプ144を通して岸までポンピングされる。浮きプラットホーム130に発電用機器146を配置することができ、発電用機器146は、示されたシステムの他の構成要素に電力を供給するように構成することができる。貯蔵場所から岸へ水を移動させるためにポンプ148を配置することもできる。図3に、懸吊ケーブル、電力ケーブル、繋索(tether)、アンカーなどの構成要素は示されていないが、示されたシステムなどのシステムではこれらの構成要素を望ましく使用することができる。
【0091】
図4は、浮きプラットホーム162から柱(column)160が懸吊されたデムワックス(商標)システムの他の代替構成を示す。柱160は、下部チャンバ(chamber)164へのアクセスを提供するように構成することができる。チャンバ164は、ポンプ、弁、電気パネル、計測機器、他の補助機器168など、デムワックス(商標)システムのさまざまな構成要素を収容するように構成することができる。チャンバ164は、機器を保守するために作業員がチャンバにアクセスすることができる十分な大きさに設計することができる。チャンバ164の外側に膜モジュール170を配列することができる。膜モジュール170は周囲の供給水に露出させるが、透過水部分は収集導管及びシステム166と流体連通する。収集システム166をチャンバ164の内部に対して露出させることができ、チャンバ164を、柱160を介して大気圧に露出させることができる。このような構成によって、チャンバ164自体が、収集システム166の「呼吸管」として機能することができる。別個の呼吸管が、柱の外側を伝って水面まで延びてもよい。収集システム166を、貯蔵場所又は岸まで生産水を輸送するように構成されたパイプ172に流体接続することができる。これらのシステムなどの好ましい実施形態のシステムは大規模用途に対して特に有利であり、他の実施形態よりも大きな膜カートリッジ、大きな膜モジュール及び/又は大きな膜モジュールアレイを使用することができる。このようなシステムは、ポンプの選択における追加の柔軟性、並びに保守目的でのポンプ及び他の機器へのアクセスの容易さを有利に提供する。この用途では、水中ポンプとは異なる他のタイプのポンプを使用することができる。システムが波又は海流によってあまり影響を受けないように、柱160及びチャンバ164は、コンクリートなど構造的に強く、安定な腐食材料からなることができる。その必要はないが、このようなシステムを図1に関して上で説明したように海底に繋止してもよい。
【0092】
上記の説明は海洋用途に関して特に述べたものだが、同様に構成されたシステム(浮動システムと固定システムの両方)を、淡水又は地表水用途向けに構成された実施形態とともに利用することもできる。
【0093】
デムワックス(商標)膜モジュール200の一構成は、箱形構成の膜ユニットないし膜エレメント202からなる垂直に整列した膜カートリッジを利用する。このような1つのモジュールの単純化された断面が図5に示されている。膜エレメント202は互いの近くに離隔して配置することが好ましいが、濾過プロセスにより膜表面204に生成されたより高密度の海水を引き降ろす重力の能力を表面張力が大幅に阻害するほど近くには配置しないことが好ましい。表面張力の重大な影響を回避する最小の間隔は、膜の化学的性質を含むさまざまな因子に依存しうるが、一般に約1mm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは約2mmないし約25mm、最も好ましくは約5mmないし約10mmである。ある実施形態では、1mm未満の間隔が許容され、又は1mm未満の間隔が望ましいことさえある。同様に、ある実施形態では、25mm超の間隔が許容され、又は25mm超の間隔が望ましいことさえある。一般に、この間隔を最小化して、設置面積当たりの膜表面積を最大化することが好ましい。
【0094】
図5の尺度は不定であり、図5では、例示のため膜間の距離が誇張されている。図5は、収集導管206の両側の合計7つの膜エレメント202を示すが、好ましい実施形態では、生成される水の量又は他の因子に応じてより多くのエレメントを使用することができる。海水デムワックス(商標)システムの好ましい実施形態では、モジュールが一般に、互いに約1/4インチ(約6ミリメートル)間隔で配置されたこれらのエレメントを数百含む。膜エレメント間の間隔は、(限定はされないが)供給水中の全溶解固形物、膜の高さ及び周囲の流れの速度を含むいくつかの因子に依存する。地表水又は淡水用途では、膜エレメント間の約1/8インチ(約3ミリメートル)の間隔を望ましく使用することができる。
【0095】
好ましい実施形態のシステムでは、膜モジュール及び/若しくはカートリッジを垂直に配列することができ、或いは他の適当な構成に、例えば、垂直から傾けて、又は海流がある場合には水平に配列することもできる。ある実施形態では、複数のモジュールが剛性ケーシング(casing)のところで集合し、そこで膜モジュールからコレクタ導管へ淡水が流れる。このような逆浸透システムの効率的な動作を提供するためには、例えば膜エレメントを互いのごく近くに、平行「フィン(fin)」構成(例えばラジエータ又は熱交換器の「フィン」と同様の構成)として配置することにより、単位設置面積当たりの高圧の塩水に露出される膜の表面積が最大化されることが好ましい。
【0096】
或いは、選択された好ましい実施形態の膜モジュールの構成を、従来の逆浸透膜モジュールの構成と同様とすることもできる。例えば、図6には、4つの長方形のシート210(a)から210(d)が示されている。逆浸透膜エレメントを構成する図6に示された4つのシートは、ポリアミド膜210(a)、(例えば2つの膜シート210(a)と210(c)の間を淡水が流れることができるようにそれらの膜シートを分離する)透過水スペーサ210(b)、第2のポリアミド膜210(c)、及び(例えば膜エレメント間を原塩水が流れることができるように膜エレメントを互いから分離する)原水スペーサ210(d)を含む。図6は、接合され、丸められ、圧力容器に挿入される前のこれらのシートを示す。スペーサ210(b)及び210(d)は、水がそれらの中を流れることができるように多孔質である。原水は膜表面全体に流れ、透過水は収集システムへと流れる。有利に使用することができるシートの一般的な寸法は、約3フィート(0.91メートル)又は3フィート4インチ(1メートル)×8フィート(2.44メートル)だが、適当な任意の寸法を使用することができる。膜メーカから入手可能な幅及び/又は長さの膜シートを使用したほうが好ましいことがあるが、適当な任意のサイズを使用することができる。当技術分野で知られている技法を使用して短いほうの長さを互いに一緒に接着することにより、一方の寸法がより大きなシートを得ることができ、又は所望の寸法に製造することができる。一体(unitary)シートは一般に、継目で互いに接合されたより小さな複数のシートから調製されたシートよりも大きな構造的完全性を示すので、一般に一体シートを使用することが好ましい。同様に、平らなサンドイッチ構成として膜が製造されるときには、折り目が膜の特性を弱めない限りにおいて、膜(又はシステムに使用される他のシート構成要素)を折り畳んでサンドイッチ構成の一辺を形成し、したがって密封及び/又は接着の数を最小化し、それによりシステムの構造的完全性を増大させることが望ましいことがある。丸める前に、これらのシート(2つの膜シート及び透過水スペーサ)の3辺が密封される。第4の辺は開いたまま残され、生産水を収集システムへ移すことができるように透過水パイプに接合される。適当な任意の密封法(例えばラミネーション(lamination)、接着剤、クリンピング(crimping)、ヒートシーリング(heat sealing)など)を使用することができる。従来のスパイラルモジュールのこれらの要素の寸法が図7A及び7Bに示されている。これらの写真は、透過水管の周りに巻き付けられた12層の膜211を有する逆浸透膜モジュールの破断図を示す。半径を約1/2インチ(12.7ミリメートル)とすると、図6に関して上で説明した4つのシートは12層になる。このような従来のシステムの膜間の流れ空間は一般に非常に小さいが、使用される圧力は高く、大きな膜表面積を小さな空間に収めることができる。好ましい実施形態の膜カートリッジでは、膜エレメント間の間隔が、膜エレメント間の供給水の流れに対して表面張力が大きな影響を及ぼす従来の逆浸透システムほどには小さくない。その代わりに、この間隔は、膜エレメント間を流れる供給水の体積が膜間の空間の浸透圧を十分に維持するには十分に大きいが、大きな膜表面積を比較的に小さな容積に収めるには十分に小さい。
【0097】
図8は、(丸められる前の)従来の逆浸透ユニットの膜エレメント212の断面を示す。好ましい実施形態では、収集装置の周りに膜を巻き付けるのではなしに、原水スペーサ214(d)を本当の空間に置き換えることができるように、膜214(a)、214(c)及び透過水スペーサ214(b)が垂直に配列されるが、ある実施形態では、ポリマー又は他のスペーサシートを使用することができる。
【0098】
膜カートリッジ
図9Aは、好ましい実施形態に従って構成された膜カートリッジ220の透視図を示す。カートリッジ220は、2つの側壁224(a)、224(b)を備えたケーシングの内側に実質的に配置された1つ又は複数の膜エレメント222を含む。側壁224の間隔を維持し、カートリッジ220の構造支持を提供するため、カートリッジ220の上面、底面及び後面の側壁224間に、1つ又は複数の剛性ダウエル(dowel)226(a)が延びる。この同じ機能を実行し、カートリッジ220の前面を通して透過水が流れる空間を提供するため(例えば下記の図17Aの議論を参照されたい)、カートリッジ220の前面の側壁224間に、1つ又は複数の剛性ダウエル226(b)が延びる。側壁224まで延びるダウエル226(a)、226(b)が示されているが、他の構成も可能である。膜エレメント222間の間隔を維持するようにダウエル226(a)、226(b)を構成することもできるが、この機能を実行するために別個の間隔手段を提供することもできる。カートリッジ220の前端では、膜エレメント222の上端からエレメント222の下端まで延びる1つ又は複数の密封スペーサ227によって、膜エレメント222が分離される。密封スペーサ227が一体として、カートリッジ220の前壁229を形成する。密封スペーサ227は、カートリッジ220の前端において、膜エレメント222間を流れる源水を、膜エレメント222の中を通って収集システム内へ流れる透過水から分離する、水密シールを提供するように構成される。膜ユニット222の前端からの透過水の収集を容易にするために、側壁224(a)、224(b)はそれぞれ、収集システムの対応する構造と対合するように構成された1つ又は複数の切欠き228又は他の機構を含むことができる。膜カートリッジ220を、動作中にそれに対して露出される静水圧に耐えるように構成することができ、膜カートリッジ220は、特定の用途に適した材料を含むことができる。この図は、カートリッジ220の合計7つの膜エレメント222を示すが、好ましい実施形態では、生成される水の量、膜間の所望の間隔又は他の因子に応じてより多数の又はより少数の要素を使用することができる。図9Aの尺度は不定であり、図9Aでは、例示のため膜ユニット222間の距離が誇張されている(例えば、好ましい一実施形態の膜カートリッジは高さを1メートルとすることができるが、膜エレメント間の間隔はわずか6ミリメートルである)。
【0099】
図9Bから9Fは、膜カートリッジ220を製造するプロセスのいくつかのステップを示す。膜カートリッジを構築するため、最初に、いくつかの膜ユニットないし膜エレメント222が用意される。膜エレメント222はそれぞれ、透過水スペーサシート236によって離隔された2つの膜234を含む。それぞれの膜エレメント222の上縁、底縁及び後縁は図9Bの点線230によって示されているように密封され、膜エレメント222の前縁(図9Bの右側)は開いたまま残される。これらの縁の密封は、接着剤、クリンピング法、ヒートシーリング、又は膜エレメントの内側と外側の間の圧力差に耐えることができるシールを形成する能力を有する他の適当な方法を使用して達成することができる。次いで、膜エレメント222の縁の周りに1つ又は複数のスペーサ232が取り付けられる。スペーサ232は、図9Bに示されているように膜エレメント222の周縁を越えて延びることができ、又は周縁と境を接することができる。スペーサ232は任意選択で、一連のエレメント222の端から端まで延びるダウエルを受け取るように構成された1つ又は複数の切欠き、溝又は開口を含むことができる。もちろん、スペーサ232は、それらの意図された目的に適した他の任意の構成を有することができる。膜エレメント222の前端に、エレメント222の高さに沿って延びる密封スペーサ227が取り付けられる。スペーサ232及び密封スペーサ227は、接着剤又は他の適当な手段を使用して膜エレメント222に取り付け、又は他の方法で膜エレメント222に結合することができる。スペーサ232及び密封スペーサ227が取り付けられた後、スペーサ232及び密封スペーサ227に別の膜エレメント222が取り付けられる。所望の数の膜エレメント222を有するカートリッジが構築されるまでこのプロセスが繰り返される。
【0100】
図9Cから9Eは、膜エレメント222のスタック内のスペーサのさまざまな構成を示す。図9Cは、スペーサ232によって離隔された膜エレメント222のスタックの断面を示す。カートリッジ内の一連の膜エレメント222にまたがる連続するダウエル238に巻き付くため、スペーサ232は膜エレメント222の縁を越えて延びる。スペーサ232及びダウエル238は一体として、一連の膜エレメント222にまたがり、膜カートリッジの構造構成要素の役目を果たすことができる補強構造を形成する(例えば図9Aのダウエル226(a)を参照されたい)。図9Dは、スペーサ240が膜エレメント222の縁を越えて延びる代替実施形態を示す。一連の膜エレメント222にまたがるダウエル242を受け取るため、スペーサ240に溝又は切欠きを設けることができ、ダウエル242はスペーサ240の溝にぴったりとはまる。ダウエル242は例えばポリマー材料、複合材料又は金属を含むことができる。図9Eは、それぞれの膜ユニット222をしっかりと受け取るように構成された櫛形のダウエル244を含む他の実施形態を示す。このような構成では、膜ユニット222の間隔がダウエル244の歯によって維持され、追加のスペーサが不要である。この構成のカートリッジを製造するため、ダウエル244の歯と歯の間のそれぞれの空間に一連の膜ユニット222を挿入することができる。ダウエル244とユニット222の適当な係合を保証するため、任意選択で、これらの空間に接着剤又は他の適当な係合手段を提供することができる。更に、膜234間の領域内へ延びるスペーサ232が示されているが、実施形態は、膜234間の領域内へ延びないスペーサを使用することもできる。例えば、実施形態は、膜領域を越えて延びる密封部材によって(上縁、後縁及び底縁が)密封された膜エレメントを含むことができる。このような実施形態では、膜自体の間ではなく、密封部材の膜領域を越えて延びる部分間にスペーサを配置することができる。
【0101】
図9Fに、膜カートリッジ220の前壁229が更に詳細に示されている。この図に示されているように、それぞれの膜ユニット222間に密封スペーサ227が配置される。密封スペーサ227は膜ユニット222の長さに沿って延び(図9B参照)、矢印231によって示されているように膜ユニット222間を流れる源水を、矢印233によって示されているように透過水スペーサ236の中を流れる透過水から分離するように構成される。密封スペーサ227は、膜エレメント222間の透過水の流れを実質的に妨げない。接着剤又は他の適当な方法を使用して密封スペーサ227を膜シート234に接着することができる。
【0102】
好ましい実施形態のシステムの設置面積は、所望の能力、膜の高さ及び膜エレメント間の空間の関数である。海水用途では、膜エレメントが1/4インチ(6.35ミリメートル)間隔で配置されており、膜の高さが40インチ(1メートル)であるとすると、膜カートリッジの設置面積1,000平方フィート(93平方メートル)ごとに、このシステムは、流束レートを約1.5gpfd(膜1平方メートル当たり約61リットル/日)と仮定して、約400,000ガロン/日(約160万リットル/日)を生産することができる。設置面積を更に低減させるために、深所において膜モジュールを積み重ねることができる。かなりの水流がある領域に膜システムが展開される場合には、このかなりの水流が、最上位のモジュールから出た濃縮水の混合及び移動を容易にし、それにより最上位モジュールの下の短い距離の間にその塩分を周囲の海水の塩分と等しくするため、水流が最小限である領域よりもモジュールをより密に積み重ねることができる。あまり水流がない場合には、海水の混合及び膜に沿った海水の移動を容易にするシステム、例えばバブラ(bubbler)、ジェットなどを提供することが望ましいことがある。
【0103】
好ましい実施形態のシステムでは適当な任意の膜構成を使用することができる。例えば、そのような1つの構成は、膜ユニット又は膜カートリッジが両側からコレクタに接合する中心コレクタを使用する。他の構成は、飲料水を中心コレクタへ移動させる放射状コレクタと同心の膜ユニットを使用する。
【0104】
膜モジュールの深さ
海水用途では、好ましい実施形態の膜モジュールが、追加の圧力を加えることなしに、膜に対する海水の周囲圧力によって、所望の透過水を生産する十分な深さに沈められることが好ましい。このような深さは一般に少なくとも約194メートル、好ましくは少なくとも約259メートルである。しかしながら、用途によっては、好ましい実施形態のシステムを他の深さで展開させることもできる。海水の逆浸透に関して、平均的な塩分(例えば約35,000mg/l)の海水から飲料水を生産するためには、深さが259メートルであることが好ましい。(例えば潅漑又は工業プロセスに使用される水など)ある塩分レベルが許容される場合には、より浅い深さを使用することもできる。例えば、ある種の膜を約100メートルないし約247メートルの深さに沈めることによって、潅漑農業に適したかん水の生産を達成することができる。周囲の海水の塩分に応じて膜のタイプ(例えば化学的性質)及び膜モジュールの深さを選択することによって、許容される塩分レベルを選択することができる。ナノ濾過膜を利用する好ましい実施形態のシステムを例えば深さ約43メートルの海中に展開して、供給水の塩分の約20%を篩別し、更にカルシウム及び多くの他の不必要な成分を除去することができる。このようなシステムを、既存のプラントの能力を拡張し、保守及び全体的なエネルギー必要量を、標準的な岸辺逆浸透プラントに比べて約50%低減させる、岸辺淡水化プラントの沖合前処理システムとして使用することができる。限外濾過(UF)及び/又は精密濾過(MF)膜を利用する好ましい実施形態のシステムを、従来の淡水化プラントと一緒に、或いは海又はより深い他の水体から遠い工業用途とともに使用することもできる。好ましい実施形態のシステムを、発電所の冷却用途など、カルシウム又は他の望ましくない成分の存在が問題(例えば腐食又はスケールの付着)となる工業用途において使用されるように構成することができる。好ましい実施形態で使用される適当なRO及びNF膜は、Dow Water Solutions社(米ミシガン州Midland)及びSaehan Industries Inc.社(韓国)から市販されている。
【0105】
ある実施形態では、より浅い深度で展開するようにシステムを構成することができる。例えば、浅い海水(例えば深さ約7メートル)中で実施形態を展開させ、例えば岸辺発電所の冷却水を生産する低速海水取入れシステムとして使用することができる。有利には、このような低速取水システムは海洋生物を傷つけることを防ぐ。このようなシステムは、フィルタファブリック又はスクリーンを、空隙率がより低い膜の代わりに使用することもできる。
【0106】
更に、精密濾過、限外濾過又はナノ濾過膜を使用する好ましい実施形態のシステムを、地表水中及び貯水池中の6メートルという浅い深度に配置することができ、細菌、ウイルス、有機物及び無機化合物を源水から濾別するように構成することができる。例えば、ナノ濾過膜を使用するシステムを、約6ないし30メートルの深さに配置することができ、又は、除去すべき全溶解固形物及び生産水の所望の品質に応じた他の適当な深さに配置することができる。精密濾過、限外濾過又はナノ濾過膜を含む好ましい実施形態のシステムを、汚染された上水から清浄水を生産するように適合させることもでき、地下水井戸中に配置するように構成することもできる。非常に低濃度の溶解物質を有する淡水源において、源水の浸透圧は、濾過プロセスにおいて相対的に重要でない因子である(一般に、源水の全溶解固形物は100mg/l当たり1ポンド/平方インチ(約6.9kPa)の圧力を必要とする)。その結果、所望の処理レベルのために必要な深さの決定においては、膜の膜透過圧力損失のほうがより支配的になる。
【0107】
ある実施形態では、誘導水柱を使用して、濾過プロセスを推進する圧力を提供することができる。小川又は川が必要な深さを有しない場合、その小川又は川の流れを大きな深いプールに似た人工の容器内へ分水することができる。そのプールの中にデムワックス(商標)システムを配置することができる。このプールは、余剰水を既存の川又は小川に戻し、或いは新しい位置へ流す(例えば潅漑目的で分水する)ことにより、元の水源の流れの性質を維持する。したがって、膜によって瀘別された不純物は、それらが元あった場所、例えば川又は小川に残ることができる。川又は小川に戻される不純物の量は一般に十分に小さく、それらの不純物を戻しても、水体の化学的性質はその自然状態からあまり変化しない。このような用途で使用されるシステムは一般に余剰水を分水することを必要とするが、元の水源の重力による流れは一般に、多くの(必要な場合)人工的なポンピングエネルギーの必要性を排除する。圧力容器又はタンク内に膜モジュールを配置することもできる。タンク内へ源水をポンピングすることによって水柱を誘導することができる。かなりの高度差を有する(山地の)小川の場合には、所望の水柱高さを誘導するために、モジュールを含む圧力タンクよりも高い予め選択された高さに位置する供給水タンク内へ流れるように水を誘導することができる。
【0108】
一般に水体の底近くにより高濃度で存在するシルト、堆積物及び他の懸濁固形物による膜のファウリング(fouling)を防ぐため、水源の底から十分な距離のところにデムワックス(商標)モジュールを配置することが好ましい。海水デムワックス(商標)モジュールは海底から少なくとも200フィートのところに位置することが好ましいが、ある実施形態では、海底により近い深さにデムワックス(商標)モジュールを配置することが許容されることがある。
【0109】
同様に、259メートルの深さを得ることができないような海の浅い場所(例えば岸に近い場所)でシステムを使用することが望ましい場合、このような好ましい実施形態では、2パスシステムを使用することができる。ナノ濾過膜をより浅い深度(例えば約152メートル)に沈めることによって、好ましい実施形態のシステムは、塩分が約7,000ppmのかん水を生産することができる。次いで、飲料水を得るために、このようなかん水を、(例えば陸上で、沖合のプラットホーム上で、又は他の任意の適当な場所で)従来の逆浸透システムよりも大幅に低い総運転費の別の逆浸透プロセスにかけることができる。或いは、水体の底を掘削して、膜モジュールを所望の深さに配置することを可能にする空洞、窪み又は通路を形成することもできる。
【0110】
好ましい実施形態では、2パスプロセスの第1のパスが、ナノ濾過膜を含むデムワックス(商標)システムを使用して、塩分が適当に低減した水を生産する。塩分が低減したこの水は岸までポンピングされ、そこで、約80%の回収率で溶解イオン濃度を飲料レベルの特性を示す濃度まで低減させる第2のパスの濾過プロセスにかけられる。第2のパスの濾過プロセスは、従来のスパイラル逆浸透又はナノ濾過膜システムを使用することができる。このプロセスによって生成されたブラインは、元の海水と同じくらいの塩分か又はそれよりもわずかに低い塩分を有する。したがって、元の海水の2倍近くの塩分を有することがある従来の陸上逆浸透システムにおいて生成されるはるかに高塩分のブラインに関連した環境問題を引き起こすことなく、このブラインを(例えば海に)廃棄することができる。この2パスプロセスは更に、従来の陸上淡水化よりもエネルギー効率が高い。この2パスプロセスは、16kWh/kgal(約4.2kWh/立方メートル)以上消費する現状技術の岸辺逆浸透プラントとは対照的に、両方のパス(第1のパスは、深さ500フィート、沖合6マイルのデムワックス(商標)システムを使用し、岸辺の第2のパスは従来の淡水化プロセスである)を通じて合計約7.5kWh/kgal(約2kWh/立方メートル)しか消費しない。このようなシステムを例えば紅海で有利に使用して、既存の従来の岸辺RO淡水化システムで使用するより清浄な供給水(すなわち、塩分がより低く、カルシウムなどの他の望ましくない成分の濃度がより低い供給水)を生産し、システムの効率を向上させ、保守費を低下させることができる。
【0111】
異なる海水は異なる塩分を有する(例えば紅海の塩分(40,000ppm)は北大西洋の塩分(37,900ppm)よりも高く、北大西洋の塩分は黒海の塩分(20,000ppm)よりも高い)。陸地の影響のない外洋の塩含量が33,000ppm未満であることはめったになく、38,000ppmを超えることはまれである。好ましい実施形態の方法は、異なる塩分の海水に対応するように調整又は変更することができる。例えば、好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムを沈める好ましい深さは、より塩分の高い水(例えば紅海)ではより深く、より塩分の低い水(例えば黒海)ではより浅い。本明細書に記載された深さは平均的な塩分(33,000ないし38,000ppm、好ましくは約35,000ppm)の水に対する好ましい深さであり、より高い又はより低い塩分の水に対応するように調整することができる。
【0112】
間隔アルゴリズム
膜エレメントは、膜エレメント間を原水が自由に流れることを可能にするある距離を置いて配置されることが好ましく、高溶解固形物(すなわち海水)の場合には、膜エレメントが、膜エレメント間の空間を流れる供給水の浸透圧をほぼ維持するある距離を置いて配置されることが好ましい。好ましい実施形態のデムワックス(商標)膜モジュール内の透過水、供給水及び生成された濃縮水(例えばブライン)の流れが、離隔された2つの膜エレメント300を示す図10に示されている。膜エレメント300はそれぞれ、透過水スペーサ304によって離隔された2つの膜シート302を備える。上で論じたとおり、従来の淡水化圧力容器内の膜間の原水が流れることができる空間は極めて小さい。海水又は他の原水が、重力を使用して膜表面302へ自然に流れ、膜表面で生成されたより高密度の塩水を矢印306によって示されているように引き降ろし、それによって周囲塩分の海水を上方から引き入れることを容易にするために、好ましい実施形態のシステムはより大きな間隔を使用することが好ましい。膜302が露出される流れが速いほど、濃縮水が速く廃棄され、より大きな体積の供給水が膜302と接触することを可能にする。矢印308は膜を透過する透過水を示す。重力によって下方へ引き降ろされたより高密度の濃縮水によって生じる対流を利用して、好ましい実施形態のシステムを、流れのない水中で動作するように構成することもできる。
【0113】
単位プラント「設置面積」当たりのプラント出力を最大化するためには、より近い間隔が一般に好ましい。いくつかのパラメータを考慮して、存在する条件に応じた膜エレメントの好ましい間隔を決定するアルゴリズムが開発された。
【0114】
好ましい間隔を決定するために使用される外生変数は、膜エレメントの高さ、濃縮水の速度、流束、回収率及び原水スペーサの体積(使用される場合)を含む。膜エレメントの上部と底部の間の距離は、通常の海水と合流する前にブラインがどれくらい沈降するのかを決定する。速度、流束又は回収率が不変の場合、より高いエレメントは、より低いエレメントよりも、近隣の要素から離して配置することが好ましい。飲料水が膜を透過するにつれて、残留するブラインはそのより高い塩分のためにより重くなり、重力が、このより重いブラインを沈降させ、より多くの原海水をシステムの上部から引き降ろす。各単位膜表面積を透過する淡水の量はシステムの流束によって変化する。流束は一般に、1日当たり、膜表面積1平方フィート当たりの透過水量(ガロン)(或いは1日当たり、膜表面積1平方メートル当たりの透過水量(リットル))として測定され、流束が高いほど、単位透過水能力当たりの膜表面積は小さくてすむ。流束レートは膜の材料、海水の塩分及び深さ(圧力)によって変化しうる。膜に露出された水のうち実際に透過した水の百分率は「回収率」と呼ばれる。高い回収率(30%ないし50%程度又はそれ以上)は一般に、従来の岸辺淡水化プラントにおける商業的実行可能性にとって決定的に重要であるが、好ましい実施形態のシステムにおいては一般に、高い回収率は一般に小さな重要性しかも持たない。岸辺プラントにおける回収率が50%であるとき、そのシステムは、生産される淡水の2倍の体積の塩水を処理し、加圧し、又は他の方法で処理しなければならない。好ましい実施形態のシステムは、従来の陸上水処理システム及び陸上淡水化システムとは違い、機械的に発生させた圧力、供給水の前処理又はブラインの廃棄を必要とせず、したがって高い回収率の重要性はより低い。回収率が高いほど、より高塩分の供給水が膜エレメントの下部と接触するため、いくつかの実施形態によれば、より低い回収率が望ましい。好ましい実施形態の海水デムワックス(商標)システムの推定される回収率は約2パーセント(2%)である。回収率が高いほど、膜表面に露出させなければならない水は少なくなる。原水スペーサが使用される場合には、膜エレメントの間隔の決定において原水スペーサの体積が考慮されなければならない。
【0115】
次に、好ましい実施形態の選択されたシステムを構成する際に使用される膜間隔アルゴリズムを詳細に説明する。このアルゴリズムに基づく膜間隔が特に好ましいが、適当な任意の間隔を使用することができる。
S=FH/kRV
上式で、Sは、ミリメートル(又はインチ)で測定された膜エレメント間の空間、Fは、リットル/平方メートル/日(又はガロン/平方フィート/日)で測定されたシステムの流束、Hは、メートル(又はインチ)で測定された膜エレメントの高さ、Rは、回収率(膜に露出された水流のうちの%)、Vは、メートル/分(又はフィート/分)で測定されたエレメント間を沈降するブラインの速度、kは、720(流束がリットル/平方メートル/日で測定され、高さがメートルで測定され、速度がメートル/分で測定されるとき)又は5,386(流束がガロン/平方フィート/日で測定され、高さがインチで測定され、速度がフィート/分で測定されるとき)に等しい定数である。
【0116】
したがって、回収率2パーセント、流束2ガロン/平方フィート/日、ブラインが3フィート/分で沈降する(高さ)36インチの膜エレメントの好ましい間隔は0.223インチである。
0.223=(2×36)/(5386×0.02×3)
【0117】
例えば周囲条件(水流など)によって膜の外乱が生じるときに構造的完全性を維持するため原水スペーサが使用される場合には、スペーサの体積が、膜エレメント間の間隔を、スペーサの体積に比例して増大させることが好ましい。例えば、スペーサが膜エレメント間の体積の20%を占める場合には、膜間の体積が20%増大するように膜間の距離を増大させる。
【0118】
呼吸管及び保持容器
水が膜を透過するためには、膜の前後の圧力差が維持されなければならない。これは、水中ポンプ又はドライウェルポンプを用いて保持容器から水を汲み出し、呼吸管を使用して保持容器を大気圧に露出することによって達成されることが好ましい。500万ガロン(19,000立方メートル)/日モジュールにおいて使用される呼吸管の好ましいおおよそのサイズは直径5インチ(12.7センチメートル)だが、他の適当なサイズを使用することもできる。呼吸管は、適当な任意の材料から製造することができる。例えばポリマー、金属、複合材料、コンクリートなどから呼吸管を構築することができる。呼吸管は、動作中に露出される静水圧に耐え、潰れないように構成される。材料自体によって、又は補強部材(管の内部又は外部のリブ(rib)、管の内側のスペーサなど)を使用することによって、構造的完全性を提供することができる。
【0119】
好ましい一実施形態では、呼吸管が、水中の保持容器に接続される。保持容器内に1つ又は複数の水中ポンプ、ドライウェルポンプなどを配置することができ、保持容器は、その意図された目的地(例えばより大きな貯蔵容器)まで水を運ぶパイプラインを提供することができる。保持容器の好ましいサイズはポンプの動作要件の関数である。
【0120】
ポンピングエネルギー
好ましい実施形態のシステムは、逆浸透濾過プロセスを推進するのにポンプの代わりに深所の静水圧を効率的に使用し、したがって、従来の陸上淡水化システムでは必要な莫大な量のエネルギーを必要としない。好ましい実施形態のシステムは、生成された生産水を水面、次いで岸までポンピングするためにポンピングシステムを使用するが、このようなエネルギー必要量は、陸上システムで水を淡水化するのに必要なエネルギー必要量よりもかなり小さい。深所の水頭圧力が与えられた場合には一般に、水面まで水をポンピングするほうが、水面から岸まで水をポンピングするよりもはるかに多くのエネルギーが必要となる。従来の逆浸透ポリアミド膜を使用する好ましい実施形態のシステムに関しては、海水から飲料水を生産するために850フィートの動作深度が使用される。化学的性質の異なる他の膜に対しては、又は異なる塩分の水(淡水、かん水、極めて高塩分の水)を浄化するときには、同じ低い塩分含量の水を得るために、より浅い深度又はより深い深度が必要となることがある。
【0121】
図11Aから11Cは、沖合デムワックス(商標)システムから岸まで透過水をポンピングするさまざまな構成を示す。図11Aは、深所に懸吊されたデムワックス(商標)システム700を示す。システム700は、1つ又は複数の膜モジュール(又はモジュールのアレイ)と、本明細書に記載されているように呼吸管を介して大気圧に露出された収集システムとを含む。システム700は透過水パイプ702に接続され、透過水パイプ702は、柔軟な部分及び/又は剛性部分を含むことができる。透過水パイプ702は、懸吊されたシステム700から海底まで下方へ延び、次いで海底を横切り、岸まで上方へ延びることができる。懸吊されたシステム700は更に、パイプ702を通して岸まで透過水を運ぶように構成されたポンプ704を含む。懸吊されたシステム700の収集システムは大気圧に維持されるため、この構成において透過水を岸まで上方へポンピングするためにポンプ704が克服しなければならない水頭圧力は、懸吊されたシステム700間の垂直距離、透過水パイプの出口の高さ、及び処理システムを岸706に接続するパイプラインのシステム水頭損失の関数である。
【0122】
図11Bは、深所に懸吊された他のデムワックス(商標)システム720を示す。システム720は、1つ又は複数の膜モジュールと、本明細書に記載されているように呼吸管を介して大気圧に露出された収集システムとを含む。システム720は透過水パイプ702に接続され、透過水パイプ702は、柔軟な部分及び/又は剛性部分を含むことができる。透過水パイプ702は、懸吊されたシステム720から海底まで下方へ延び、次いで海底を横切り、岸への途中まで上方へ延びることができる。透過水パイプ702は、懸吊されたシステム720よりも垂直方向に低い位置でトンネル726に入る。懸吊されたシステム700の収集システムは大気圧に維持され、ポンピングは、懸吊されたシステム720よりも垂直方向に低い位置から実行されるため、懸吊されたシステム720は、透過水を陸地まで移送するための透過水ポンプを含む必要がない。その代わりに、透過水を地表728まで上方へポンピングするため、透過水パイプ702がトンネルに入るところにポンプ724を配置することができる。
【0123】
図11Cは、深所に懸吊された他のデムワックス(商標)システム740を示す。システム740は、1つ又は複数の膜モジュールと、本明細書に記載されているように呼吸管を介して大気圧に露出された収集システムとを含む。システム740は透過水パイプ742に接続され、透過水パイプ742は、柔軟な部分及び/又は剛性部分を含むことができる。透過水パイプ742は、懸吊されたシステム700から海底まで下方へ延び、次いで海底を横切り、岸への途中まで上方へ延びることができる。透過水パイプ742は、ウェットウェル(wet well)745に通じるトンネル744の最上部にあたる懸吊されたシステム740よりも垂直方向に低い位置で陸地に入る。地表面750からウェットウェル745までアクセス立坑746が延びる。懸吊されたシステム740の収集システムは大気圧と連通し、透過水パイプ742は、懸吊されたシステム740よりも垂直方向に低い位置で終端するため、懸吊されたシステム740は、透過水を陸地まで移送するための透過水ポンプを含む必要がない。更に、透過水パイプ742は、ウェットウェル745よりも垂直方向に高い位置で陸地に入るため、陸地に入る位置にポンプは必要ない。ポンプを使用せずに透過水を岸まで輸送するためには、ウェットウェル745よりも垂直方向に短い距離(例えば1又は2フィート(約1/3メートル))だけ高い位置にシステム740を懸吊すればよい。その代わりに、アクセス立坑746を通して透過水を地表750まで上方へポンピングするため、ウェットウェル745にポンプ728を配置することができる。このシステムの1つの利点は、沖合及び深所ではなく陸上又は地中で、全ての可動部分(すなわちポンプ)に容易にアクセスできることである。
【0124】
上で論じたとおり、好ましい実施形態のシステムは、従来の陸上海水淡水化システムよりもはるかにエネルギーを節約する。例えば、海面下850フィートから淡水を海面まで運ぶためのエネルギー、及び淡水を岸まで6マイルポンピングするためのエネルギーは、以下のように計算され、それらは、エネルギー必要量の大部分が、海面まで淡水を運ぶ際に使用されることを示す。
HP=HF/pE
上式で、HP=馬力、H=全動水頭(フィート)、F=水の流量(ガロン/分(gpm))、p=ポンピング定数=3,960(フィートで測定した水頭及びgpmで測定した流量に対する値)、E=ポンプ効率(大型ポンプの一般的な値85%を仮定する)である。
【0125】
5百万ガロン/日(又は3,472gpm)(約1890万リットル又は13,144リットル/分)の飲料水を海面までポンピングするための馬力は以下のように計算される。
HP=(850フィート×3472gpm)/(3960×0.85)=876.8
【0126】
淡水化業界では一般に、キロワット時/千ガロン(又はkWh/立方メートル)の単位を使用してシステム効率を比較するため、この馬力は、0.745キロワット/馬力の変換係数を使用して以下のようにキロワットに変換される。
876.8馬力×0.745=653.2キロワット
【0127】
したがって、653.2キロワットが、3,472ガロン/分(5百万ガロン/日、1,890万リットル/日又は13,144リットル/分)の能力を有するポンプを駆動する。その期間にわたって消費されるエネルギーは15,677キロワット時である。エネルギー必要量とポンピングされる水の比は、3.14キロワット時/千ガロンの値を与える。
【0128】
水を岸までポンピングするためのエネルギー必要量は以下のように計算される。上記の式と同じ式が使用されるが、水平距離1,000フィート(305メートル)につき水頭圧力損失6フィート(1.83メートル)の設計値を仮定する。6マイル(9,656メートル)を送ると仮定すると、これは水頭損失190フィート(58メートル)に等しい(5,280フィート/マイル×6マイル×6フィート=190フィート;(9,656メートル÷305メートル)×1.83メートル=58メートル)。これらの仮定の下、水を岸までポンピングするために追加の196馬力(146キロワット)のポンピングパワーが必要となる。
HP=(190フィート×3472gpm)/(3960×0.85)=196
【0129】
馬力をエネルギーに変換するとエネルギー必要量146キロワットが得られる。24時間の146キロワットの負荷は、0.70キロワット時/千ガロンのエネルギー消費量を与える(3.506メガワット時÷5百万ガロン)。
【0130】
ポンピングエネルギーに加えて、好ましい実施形態のシステムは一般に、ポンピングパワー必要量の5%と推定されるステーション及び保守エネルギー負荷を有する。例えば、好ましい実施形態の1つのシステムの全エネルギー使用量が表1に示されている。
【表1】
【0131】
わずか4キロワット時/千ガロン(約1.1キロワット時/立方メートル)のこの全エネルギー必要量は、一般に16キロワット時/千ガロン超(4キロワット時/立方メートル超)を消費する現状技術の逆浸透システムの全エネルギー必要量よりもかなり低い。例えば、Tuas淡水化プラントは2005年にシンガポールに完成し、その請負業者は、このプラントを、16.2キロワット時/千ガロン(約4.3キロワット時/立方メートル)しか必要としない「世界で最も効率的なものの1つ」と喧伝している。従来の水源でさえもしばしば、海岸沿いの住民に対するデムワックス(商標)システムよりもはるかに多くのエネルギーを必要とする。表2は、好ましい実施形態のシステムの優れたエネルギー効率を示すデータを、Tuas淡水化プラント及びよく知られた乾燥海岸地方の2つの主要な水資源のエネルギー効率と比較して示す。
【表2】
【0132】
デムワックス(商標)システムの利点
デムワックス(商標)システムは、従来の水資源、より具体的には従来の水処理及び淡水化技術に優る費用上の数多くの利点を提供する。例えば、従来の逆浸透システムは、飲料水を生産するために比較的に高い動作圧(800psi(5,516kPa)程度)を必要とする。デムワックス(商標)システムは供給水を加圧するのにエネルギーを必要としない。デムワックス(商標)システムでは深所の自然圧力が使用されるため、ポンプが圧力を人工的に発生させる必要がない。
【0133】
好ましい実施形態のシステムでは、従来の浄水又は淡水化システムの場合のような源水のハンドリング(handling)が必要ない。従来の淡水化プロセスは、供給水を取り入れ、次いで2倍の塩分を有するブラインを廃棄するため、システムの構成要素は、塩水及びブラインの腐食効果に耐えるように設計されなければならない。好ましい実施形態のシステムでは供給水をハンドリングする要求がない。膜及びケーシングだけが供給水に露出され、したがって源水及びブラインすなわち濃縮水を輸送するための特別な耐食材料が必要ないため、構成要素をずっと安価に製造でき、構成要素は保守をあまり必要とせず、より長い寿命を有する。従来の淡水化プラントでは、塩類に露出することによる腐食効果に耐えるために使用される材料の製造費が、好ましい実施形態のシステムで使用される材料に比べてはるかに高い。更に、従来の逆浸透システムの収率をおよそ50%とすると、生産される淡水1ガロンにつき2ガロンの塩水をハンドリングしなければならない。それに比べて、好ましい実施形態のシステムでは、淡水1ガロンをハンドリングしなければならないだけである。
【0134】
好ましい実施形態のシステムでは特別な取水及び前処理システムが使用されない。従来の逆浸透プラントの海水取入れシステムは岸及び水面に近く、したがって有機物を含む多くの懸濁物質を取り入れる。この物質は、保守を必要とする膜のファウリング及び圧密化、並びに膜寿命の短縮の一因となる。ある実施形態では、少ない光が有機成長物を最小化する深さに、デムワックス(商標)膜が展開される。これは更に、より大きな固形物及び有機物を篩別する前処理システムの必要性を排除する。
【0135】
生産水を生産するために深所において動作する好ましい実施形態のシステムでは、ブラインすなわち濃縮水の廃棄システムが使用されない。好ましい実施形態のシステムが、第2のプロセスで更に浄化するかん水をより浅い深度で生成するために使用されるとき、ブラインの生成は従来の淡水化プロセスよりもかなり少ない。同様に、好ましい実施形態のシステムが、1ステッププロセス(又は2ステッププロセス以上)で深所において飲料水を生成するために使用されるときも、ブライン生成はかなり少ない。従来の逆浸透プロセスのブライン副生物の廃棄は、環境上有害な影響を有する。濃縮されたブラインの廃棄は廃棄場所にいる海洋生物を危険にさらす。環境当局はしばしば、ブラインを海に戻す前に、逆浸透プラントが、追加の費用で、より多くの海水でブラインを希釈することを要求し、このことは、他のかなりの構成要素、したがって出費をプラントに追加する。
【0136】
必然的に費用のかかる広い土地を居住地域の岸辺に必要とする公共事業規模の一般的な大型プラントとは対照的に、好ましい実施形態のシステムは陸地をあまり必要としない。生成された水へのアクセスを提供するために必要な土地、又は、ある実施形態では、分配の前に水に添加剤を加えなければならない場合(例えば塩素処理、フッ化物添加など)に混合のための設備を内陸に設けるための土地を除き、好ましい実施形態のシステムは一般に土地を必要としない。変動する日内需要に合わせて連続生産を緩衝するための貯蔵タンクが大きくなることがあり、それに応じて、沖合に繋止された水中の柔軟なタンクによって水供給の緩衝が提供されることが好ましい。これらのタンクは、岸辺の大きな剛性タンク及び付随する高度に建設された基礎の必要性を排除するが、望ましい場合(例えば既存のタンクがある場合)には、好ましい実施形態のシステムを岸辺のタンクとともに使用することができる。同様に、ある実施形態では、いかなる種類のタンクも使用しないことが望ましいことがある。生成された余剰水を廃棄することができ、又は生産された水全体を生産と同時に使用することができる。このような構成の利点は低い機器費である。
【0137】
好ましい実施形態のシステムの他の利益は一定の生産を維持する能力を含む。水温は流束(水が膜を透過する速度)に影響を及ぼす。従来の淡水化プラントで集められる水面近くの水の温度は一年を通じて変化するため、従来の逆浸透プラントの出力も変化する。膜が露出される深所の水の温度は一般に、季節又は水上の気象状況に関係なく比較的に一定であるため、デムワックス(商標)システムはこのような出力の変動を受けない。
【0138】
好ましい実施形態のシステムは、従来の陸上プラントと比べたときに優れた柔軟性を提供する。このような従来のプラントは、好ましい実施形態のシステムよりも大きな危険を招きうる陸上の耐久財(hard asset)とみなすことができ、好ましい実施形態のシステムは、海上の、潜在的には公海上の移動財(mobile asset)として使用することができる。陸地から分離されていること及び移動可能であることは、必要性又は収益性がより大きな地域にシステムを移動させることを可能にする。
【0139】
好ましい実施形態のシステムは、従来の飲料水源を汚す可能性がある地震、津波などの自然災害の影響を受けた地域に対する大規模な移動式の一時的な水生産に役立つ。好ましい実施形態の拡張可能(scalable)なモジュール式設計は非常に大規模な沖合用途に役立つ。更に、このモジュール特性を考えると、費用の大部分は、デムワックス(商標)カートリッジ及び他の構成要素が製造される制御された工場設定よりもはるかにより多くの変量の影響を受ける現場設計、エンジニアリング、建設及び土木作業よりもむしろシステム自体にかかる。
【0140】
費用上の利点に加えて、好ましい実施形態のシステムは、環境上及び生産上のかなりの利点を有する。環境上の利点は、ブラインが生成されないこと、したがってブラインが廃棄されないことを含む。従来の淡水化プラントは海水を取り入れ、その約半分を、2倍の塩分を有するブラインの形態で(多くの場合、岸に近い位置に)戻す。このようなより高塩分のブラインは、廃棄域にいる海洋生物に対して有害な影響を有する。分散及び混合により、ブラインは最終的に海水で希釈されるが、連続する淡水化プロセスのために、従来の淡水化システムの放出パイプの周囲には、海洋生物が影響を受ける領域が常に存在する。好ましい実施形態のシステムは一般に、膜に露出された水の約1ないし3パーセントを浄化し、したがって、膜の近傍の海水はわずかに濃度が高まるだけであり、周囲の海水によってはるかに速く希釈される。また、約500フィートないし約1,000フィートの深さでは、光がないため、海洋生物ははるかに少ない。
【0141】
更に、好ましい実施形態のシステムの用途面の柔軟性はかなり大きい。例えば、淡水用途では、好ましい実施形態のシステムを使用して、細菌、ウイルス、有機物、無機物などの不必要な成分を上水から篩別することができる。例えば、淡水用途に使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムは陸地をほとんど又は全く必要とせず、源水取入れシステム又は濃縮水の特別な廃棄を必要としない。更に、地下水用途に使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムは、他の水処理法が費用的に不可能な汚染された地下水井戸の放棄を防ぐことができる。地表水、地下水又は他の淡水源を処理する好ましい実施形態のシステムは、海水又は塩水を処理するシステムの利点と同様の利点を提供する。
【0142】
利水は環境にかなりの影響を与える。海からの安価な水が自然水流から取り入れられる水の代わりとなることができる範囲において、このような小川及び川を自然状態に戻すことができ、又はより大きな内水の必要性に備えるために、より多くの水を上流へ移すことができる。コロラド川(the Colorado River)は、上流での取水のため、北メキシコのコルテス海(the Sea of Cortez)へはめったに注がない。コロラド川送水路(Colorado River Aqueduct)は、1日に12億ガロン(45億リットル)の水を南カリフォルニアに供給する。それぞれ100MGD(約3億7800万リットル/日)を生成する能力を有する好ましい実施形態の12の淡水化システムは、コロラド川からの南カリフォルニアへの割当ての代わりとなることができる。
【0143】
エネルギーと水は密接に関係している。使用場所まで水をポンピングする際には、莫大な量のエネルギーが使用される。好ましい実施形態のシステムのエネルギー効率は、従来の淡水化プラント、又はコロラド川送水路、カリフォルニア州水プロジェクト(California State Water Project)などの水プロジェクトよりもはるかに高い。そのため、高い効率はエネルギー消費量の低下につながる。大部分の発電は温室効果ガスを放出する(例えば石炭火力発電所)ため、水に対する単位エネルギー使用量を低下させると、それに比例して、温室効果ガスの放出も低下する。
【0144】
好ましい実施形態のシステムの追加の利点は、システムの多くの構成要素において、従来の安価な技術及び材料を使用することができることであり、例えば、ポリアミドなどの膜材料、水タンク及び水管用のハイパーロン(商標)型の材料、膜モジュールのケーシング及び保持タンク用のポリ塩化ビニル(PVC)、従来の水中ポンプ又はドライウェルポンプ、従来の発電用機器(例えばエンジン、タービン、発電機など)、及び従来のプラットホーム(例えば石油生産業界の沖合プラットホームで一般に使用されているコンクリート又は他の材料)を使用することができる。更に、好ましい実施形態のシステムで使用される膜材料は一般に、より低い流束レート及びより低い動作圧のため、従来の逆浸透システムで使用される膜材料よりも長い寿命を有し、したがって保守費及び材料費をより低くすることができる。膜モジュールを支持するために使用されるプラットホーム又はブイは、プレストレストコンクリートから低費用で都合よく構築することができ、このようなプラットホーム又はブイは、大量生産し、さまざまなモジュール(例えば懸吊モジュール、発電モジュール、燃料貯蔵モジュール、制御室モジュール、予備部品貯蔵モジュールなど)を組み合わせることによって特定のプロジェクトに合わせて構成することができるように、モジュールフォーマットで製造することができる。
【0145】
淡水化プラント、発電所などの大型インフラストラクチャプロジェクトの建設は一般に主として現場で実施される。その結果、日程計画及び作業フロー配列の問題並びに現場固有のエンジニアリングが、一般的な組立てライン製造に比べて、建設の複雑さ及び建設費をかなり増大させる。対照的に、好ましい実施形態のシステムは、都合のよい現場外の場所で建設し、所望の場所に輸送してから展開することができる。
【0146】
好ましい実施形態のシステムで使用することができる浮きプラットホームは可動であり、世界中の複数の場所で製造し、必要な場所まで輸送することができる。或いは、海底に建設された固定プラットホームを利用することもできる。例えば海底下を走る短いパイプを使用し、岸に近い環境において数百ヤードの溝を掘ることによって、好ましい実施形態のシステムを陸上の既存の水システムに接続することができる。
【0147】
膜モジュール
図12から15は、好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムのさまざまな構成を示す。図12は、剛性透過水スペーサ314を有する膜エレメント312を示す、デムワックス(商標)膜モジュール310の基本平面図(尺度不定)を示す。剛性スペーサ314は、深所圧力において膜面316を分離された状態に維持し、それぞれの膜エレメント312の対向する膜面316間からの飲料水(透過水)の収集を容易にする。透過水の流れは矢印318、320によって示されている。海水(塩水)は膜シート312間の空間を自由に循環する。膜シート312の一端の剛性PVCケーシング322は透過水を集め、収集システムと流体連通したパイプ324へ送る。膜シート312は、原供給水側の膜シート312間に配置された任意選択の塩水スペーサ326によって、離隔された構成として維持される。
【0148】
図13は、波形の要素332とまっすぐな要素334とを有する織られた波形プラスチック繊維330を示す。これらの繊維は、原水が流れるための十分な空間を維持する膜ユニット間のスペーサとして使用するのに適する。
【0149】
図14は、デムワックス(商標)システムとともに使用されるコレクタ要素340の基本図(尺度不定)を示す。深所圧力に露出されたときにコレクタ要素340に構造的完全性を提供し、同時に透過水がコレクタ340の中を流れることを可能にするために、水平スタッド(stud)(図示せず)が使用される。コレクタ要素の構築に使用される材料によっては、スタッド(水平、垂直又はその他の構成、或いは一体型又はその他の多孔質内部支持体)を省いてもよい(例えば深所圧力に耐える能力を有する高強度材料が使用されるとき)。コレクタ要素340は、膜カートリッジ又は膜エレメントを取り付けることができるようにスロットが形成された側面342と、収集システムに取り付けられるように構成されたコネクタパイプ344とを有することができる。
【0150】
図15Aは、デムワックス(商標)システムとともに使用されるケーシング要素350の基本図(尺度不定)を示す。膜ユニットないし膜エレメント352は一端でコレクタ要素354に取り付けられる。ケーシング350は、間隔を置いて配置された疎な格子の中に膜352を維持し、この間隔を置いて配置された疎な格子は、膜352の構造的完全性、膜352の間隔、及び膜352への海水の自由な流れを維持する。
【0151】
図15Bは、中心導管の2つの側面に膜364が取り付けられた、中心コレクタ要素362用の膜モジュール360の図を示す。図15Cは、その中に延びる内部導管388を有する収集導管384にカートリッジ382が結合された、他の実施形態に基づく膜モジュール380を示す。それぞれのカートリッジ382は複数の膜ユニット387を含むことができる。内部導管388は源水から分離されているが、膜ユニット387の透過水側とは流体連通している。収集導管384は、出口389(a)、389(b)を介して保持タンク386のウェットウェル部分390に流体接続される。収集導管384とウェットウェル390との間に2つの出口389(a)、389(b)を設けることによって、内部導管388の充填中に捕獲された空気を放出することができる。ウェットウェル部分390にポンプ392を配置することができ、ポンプ392を、透過水パイプ394を通して沖合又は岸辺の貯蔵場所まで透過水をポンピングするように構成することができる。保持タンク386は呼吸管396によって大気圧に露出される。更に電力ケーブル398を提供することができ、電力ケーブル398を、ポンプ392に電力を供給するため沖合又は岸辺の発電設備に接続することができる。
【0152】
図16は、好ましい実施形態に従って構成されたコレクタシステム400を示す。システム400は、収集導管を形成するために形成され、曲げられ、接続され又は他の方法でフレーム状の形状に形成されたパイプ又は管を備えた2つのウィング(wing)402を含む。ウィング402上の膜カートリッジ401の配置が点線で示されている。透過水がカートリッジ401からウィング402内へ流入することを可能にするため、ウィング402の上部及び底部403(a)、403(b)に穴をあけることができる。しかしながら、ウィング402の端部403(c)は源水に露出されるため、これらの部分は穴のない外壁を有することができる。ウィング402は、カートリッジ401の透過水側を源水から分離するように構成された端板405を含むことができる。ウィング402は更に構造補強用の支柱(strut)(図示せず)を備えることができる。
【0153】
ウィング402はそれぞれ、1つ又は複数の出口407を介して、水中ポンプ406(点線で示されている)を収容した中心導管ないし保持タンク404に流体接続される。保持タンク404から一時貯蔵場所まで、又ははるばる岸まで透過水パイプ412が延びることができる。保持タンク404は、ウィング402よりも下に延びる囲われた底部408を有することができる。底部408は、温度感知機器などの感知機器を収容するように構成することができる。保持タンク404は更に、ウィング402よりも上に延びる囲われた上部410を有することができる。上部410から水体の表面まで呼吸管414が延び、呼吸管414は、収集システム400の内部をほぼ大気圧に維持するように構成される。上部410は、収集システム400に貯蔵された透過水の水位を感知し、生産水の需要に従ってポンプ406の動作を調節するように構成されたセンサ(図示せず)を備えることができる。上部410は、任意選択で、一時的な透過水の貯蔵場所を提供するように構成された横方向に延びるアーム416を含むことができる。一時貯蔵場所は、収集システム410の外部の透過水パイプ412の経路上に提供することもできる。アーム416は例えば、保持タンク404から分かれたパイプ延長部分を含むことができる。ウィング402及び保持タンク404は、それらの意図された目的に適した構成を有することができる。例えば、ウィング402及び保持タンク404は、全体に円形の又は全体に長方形の断面形状を有することができる。ウィング402及び保持タンク404は更に、連続する又は変化する断面を有することができる。特定の用途の深さ及びコレクタシステム400が露出される条件に応じて、ウィング402及び保持タンク404は金属、PVC又は他の適当な材料を含むことができる。このような構成によって、収集システム400は、透過水を集め、環境条件に対する構造補強をシステムに提供する2重の機能を果たすことができる。
【0154】
図17Aは、収集システム430に取り付けられたいくつかの膜カートリッジ432を備えた膜モジュールの部分破断透視図を示す。収集システム430の部分をより分かりやすく示すために、カートリッジ432の1つが取り外されている。収集システムの内部導管431を示すため、収集システム430の端部も取り外されている。収集システム430は上部434と底部436とを有し、上部434と底部436の間に延びる支柱440によって補強される。膜カートリッジ432は、その前壁433(図9Aから9F参照)が収集システム430の両側でシステム430と境を接した関係にあるように配置される。カートリッジ432の前端のダウエル438が支柱440に着座し、支柱440の周囲を透過水が自由に流れることを可能にする。膜の透過水側を周囲の源水から分離するため、カートリッジ432の前壁433と収集システム430の上部及び底部434、436との間の領域は囲われる。カートリッジ432から収集システム430の内部導管431内へ流入する透過水を受け取るため、上部及び底部434、436には穴があけられる。膜の透過水側は、収集システム430と流体連通した呼吸管(図示せず)によってほぼ大気圧に保たれる。
【0155】
膜モジュールが沈められると、周囲の源水は、それぞれのカートリッジ432の上面、底面及び後面を通って実質的に自由に流れる。膜の源水側と膜の透過水側との間の圧力差によって、膜の低圧(透過水)側へ透過水が流れる。膜モジュールは、収集システムの両側にカートリッジを有する概ね対称の構成として示されているが、他の適当な構成に構成することもできる。
【0156】
図17Bは、他の実施形態に従って構成された膜モジュール450の透視図(尺度不定)を示す。モジュール450は、相互接続されたさまざまなパイプを備えた収集フレームワーク(framework)451に取り付けられたいくつかのカートリッジ452を含む。収集フレームワーク451は、フレームワーク451のコーナに位置する4つの柱454を含む。柱454は、フレームワーク451の対向する2つの側において1つ又は複数の端パイプ456によって接続された垂直方向を向いたパイプを備える。フレームワーク451の残りの2つの側において、柱454は、1つ又は複数の収集導管458によって接続される。示された実施形態は、2つの上収集導管458及び2つの下収集導管458を含み、導管458はそれぞれ、上セクション460(a)及び底セクション460(b)を有する。収集導管458はそれぞれ、一組のカートリッジ452を支持し、カートリッジ452の前壁(すなわち収集導管458と境を接したカートリッジの端)を通して流れる透過水を受け取り、同時に収集導管458内へ源水が流入することを防ぐように構成される。収集導管458はそれぞれ、カートリッジ452内の膜の透過水側を周囲の源水から分離する端板462又は他の機構を含むことができる。膜の透過水側は、収集フレームワーク451と流体連通した呼吸管(図示せず)によってほぼ大気圧に保たれる。収集導管458は、図17Aに関して上で説明した構成と実質的に同じように構成することができ、又は、その意図された目的に適した他の構成を有することができる。相互接続されたパイプのこのようなシステムを使用することによって、収集フレームワーク451は、透過水を貯蔵し、環境条件に対する構造補強をシステムに提供する2重の機能を果たすことができる。集められた透過水を表面へポンピングするために、1つ又は複数の柱454又はシステムの他の場所に、1つ又は複数のポンプ(図示せず)を配置することができる。
【0157】
フレームワーク451は更に、モジュール450に追加の構造支持を提供するように構成された1つ又は複数の補強部材464を含むことができる。補強部材464は、図に示されているように、柱454と端パイプ456の間に配置することができる。更に、又は或いは、補強部材を、端パイプ456と収集導管458の間、2つ以上の柱454の間、2つ以上の収集導管458の間に配置し、及び/又は他の適当な構成に配置することもできる。補強部材は中実部材を含むことができ、又は、収集システムの部分を構成し、システム内の追加の貯蔵場所を提供するために中空パイプを含むことができる。モジュール450の建設及び保守時のアクセスを提供するため、任意選択で、フレームワーク451の中央に歩道(walkway)466を取り付けることができる。
【0158】
図18は、沖合プラットホーム500と、沈められたいくつかの膜モジュール502とを含むデムワックス(商標)プラントの上面を示す基本図(尺度不定)を示す。モジュール502は複数の異なるバンク(bank)として構成され、透過水コレクタライン503に接続される。プラットホームは、システムの動作(発電、ポンピングなど)のための機器を支持することができる。
【0159】
図19は、並列及び直列構成として配置された、沈められたデムワックス(商標)モジュール504の上面を示す基本図(尺度不定)を示す。
【0160】
図20は、デムワックス(商標)モジュール508を支持するブイ506のアレイシステムの平面図を示す。電力ケーブルが、ブイ/モジュールステーションを発電プラットホーム510に接続し、水パイプが、それぞれのブイ/モジュールステーションの収集システムを沖合又は岸辺の貯蔵場所に接続する。
【0161】
図21は、デムワックス(商標)モジュール522を支持するブイ520のアレイシステム構成の側面図を示す。モジュール522はそれぞれ、コレクタシステム526に流体接続された1つ又は複数の膜モジュール524を含む。コレクタシステム526は、呼吸管528を介して大気圧に露出される。(水上交通を十分に回避する深さに位置する)電力ケーブル及び透過水パイプ530が、ブイ/モジュールステーションを、沖合又は岸辺の発電所及び水貯蔵場所に接続する。ブイ/モジュールステーションはそれぞれ繋索532によって海底に固定される。
【0162】
マルチバンクアレイの設置面積を最小化するため、モジュールのバンクを互いの上に層状に積み重ねることができる。上層の膜モジュールから沈降するより重い濃縮水と周囲の海水との間の混合が起こることを可能にするため、これらの層は垂直に間隔を置いて配置することができる。適当な任意の構成を使用することができ、希望に応じて、例えば、透過水を増産又は減産し、損傷したモジュールを取り替え、モジュールを清浄化し、或いは他の場所へ輸送するのにシステムの部分を分解するために、モジュールのバンクを追加し又は除去することができる。
【0163】
逆浸透膜システム及び構成
上で論じたとおり、好ましい実施形態のシステムで使用する逆浸透膜については適当な任意の構成を使用することができる。これらの構成は、中心の収集パイプの周りに平シート膜(flat sheet membrane)が巻き付けられたゆるいスパイラル(spiral−wound)構成を含む。このようなシステムの密度は一般に約200ないし1,000m2/m3である。モジュールの直径は一般に最大40cm又はそれ以上である。円筒形のモジュール上を供給水が軸方向に流れ、中心パイプに透過水が流入する。スパイラルシステムは高圧耐久性を示し、コンパクトであり、低い透過水圧力降下及び低い膜濃度を示し、最小の濃度分極を示す。より高密度の濃縮水が膜表面から移動するのを容易にするため、このスパイラルモジュールは垂直構成に配置されることが好ましい。
【0164】
好ましい実施形態のシステムにおいて使用することができる別の1つの構成は一般にプレートアンドフレーム(plate and frame)と呼ばれる。膜シートは、供給水側が互いに向かい合ったサンドイッチ型の構成に配置される。サンドイッチの両側から供給水が流れ、(例えば1つ又は複数の側の)フレームから透過水が集められる。膜は一般に、波形スペーサによって離隔された状態に保持される。密度は一般に約100ないし約400m2/m3である。このような構成は、構造及び膜の交換が比較的に単純である点で有利である。プレートアンドフレーム構成でも、他の構成と同様に、より高密度の濃縮水を沈降させ、膜表面から遠ざける対流を表面張力が妨げないように、膜が、十分な間隔を置いて配置されることが好ましい。
【0165】
好ましい実施形態のシステムにおいて有利に使用することができる他のタイプの膜は中空糸膜である。多数、例えば数百又は数千のこれらの中空糸が一緒に束ねられ、モジュール内に収容される。動作時、深所圧力が中空糸の外面に加えられ、この圧力が、それぞれの中空糸の中心導管又はルーメンの中へ飲料水を押し込み、その一方で溶解イオンは外側に残る。飲料水は中空糸の内側に集まり、端から抜き取られる。
【0166】
この中空糸モジュール構成は、モジュールが非常に高い単位体積当たりの表面積を達成することを可能にするため、非常に望ましい構成である。密度は一般に最大約30,000m2/m3である。中空糸は一般に、透過水を抜き取るために一端が開いた状態で中空糸の端部がポットに詰められた束又はループとして配置される。膜モジュールの中空糸膜の充填密度は、中空糸によって占められるポットの断面積と定義される。好ましい実施形態では、膜が、離隔された構成(例えば低充填密度)を有し、例えば、約1mm以下ないし約10mm以上の中空糸壁間の間隔が一般に使用される。
【0167】
一般に、モジュール内の中空糸は、約5%以下ないし約75%以上、好ましくは約10%ないし約60%、より好ましくは約20%ないし約50%の(上で定義した)充填密度を有する。好ましい実施形態の中空糸については適当な任意の内径を使用することができる。中空糸は深所の高圧に露出されるため、より大きな構造的完全性を得るために小さな内径、例えば約0.05mm以下ないし約1mm以上、好ましくは約0.10、0.20、0.30、0.40又は0.50mmないし約0.6、0.7、0.8又は0.9mmの内径を使用することが好ましい。中空糸の壁厚は、使用される材料及び必要とされる強度と濾過効率とのバランスに基づいて選択することができる。ある実施形態では一般に、約0.1mm以下ないし約3mm以上、好ましくは約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8又は1.9mmないし約2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8又は2.9mmの壁厚を使用することができる。例えば中空糸が比較的に大きな直径又は比較的に薄い壁を有するときには、深所圧力下での圧潰を防ぐため、中空糸内に、多孔質の支持材料又は充填材料を使用することが望ましいことがある。好ましい支持材料は酢酸セルロースだが、適当な任意の支持材料を使用することができる。
【0168】
流れに対する抵抗に打ち勝つために、中空糸の長さは比較的に短いことが好ましい。比較的に速い流れに露出される場合には、より長い中空糸を使用することができる。
【0169】
ある実施形態では、スクラブ作用を提供してファウリングを低減し、膜寿命を延ばすために、又は膜表面における濃度分極を低減させるために、中空糸の外面に沿って気泡又は液体が通過することができるように、膜モジュールの中空糸の下方に、通気及び/又は液体流(例えば加圧水又は混入空気を含む加圧水)の供給源を提供すると有利なことがある。同様に、膜を(例えば機械的に)振動させて、同様の効果を生み出すこともできる。一般に、エネルギー消費量を最小化するために、機械的に生成された流れを膜(例えば中空糸又はシート)の中へ導入することなく、周囲条件下で膜が機能可能であることが好ましい。しかしながら、ある実施形態(例えば濁度又は有機物含量が高い水)では、ファウリングを低減させることによって膜寿命を延ばすために、このような流れを提供することが望ましいことがある。
【0170】
中空糸は、円筒形のアレイ又は束として配置されることが好ましいが、例えば正方形、六角形、三角形、不定形など、他の構成を使用することもできる。膜は、それを通る海水及び濃縮水の流れを容易にするため、隙間の多い離隔された構成に維持されることが好ましいが、ある実施形態では、中空糸を分割するため、又は保護スクリーン、ケージ又は他の構成の中に中空糸を封じ込めて、(例えばハンドリング中の)機械力から膜を保護し、それらの間隔を維持するために、中空糸又は中空糸群を一緒に束ねることが望ましいことがある。それぞれの中空糸群間の間隔によって、仕切り又はスペーサが形成されることが好ましいが、多孔質(例えばスクリーン、クリップ又はリング)又は中実の仕切り又はスペーサを使用することもできる。中空糸の周囲の無制限の海水の流れを提供するように適当な間隔を置いて配置された垂直要素と水平要素の両方を有する支持スクリーンによって、中空糸束を保護することができる。
【0171】
ある好ましい実施形態では、(例えば保護管内に入れられた従来のスパイラル膜の場合のように)機械力に対する保護を提供することができる容器又は他の囲の中に膜を封じ込め、膜を含むこの容器内へ海水を連続的に又は断続的に導入(し、濃縮されたブラインを、膜を含む容器から除去)することが望ましいことがある。しかしながら、一般に、膜が周囲の源水に直接に露出されるように、部分的にしか封じ込められていない、又は全く封じ込められていない膜を有することが好ましい。
【0172】
特定の任意の構成の膜(シート、スパイラル又は中空糸)がカートリッジ形態で有利に提供される。カートリッジ形態は、透過水抜取りシステムに所望の数のカートリッジを接合して、所望の体積の透過水が生成されるようにすることを可能にする。カートリッジシステムは更に、膜のファウリング又は漏れが生じたカートリッジの取外し及び交換を容易にする点で有利である。
【0173】
時間が経つにつれて、膜表面への不純物の吸着により膜の効率は低下する。スケールの付着は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、鉄化合物などの懸濁無機粒子が濾過能力を阻害し、及び/又は動作圧を増大させることによって、膜の効率を低下させる。ファウリングは、有機、コロイド及び懸濁粒子が濾過能力を阻害するときに起こる。濾過能力を再生し、膜寿命を延ばすために、従来のスケール付着防止剤(anti−scalant)及びファウリング防止剤(anti−foulant)を使用して、膜を清浄化することができる。膜を再生して膜寿命を延ばすためには、バックウォッシングなどの物理的清浄化法が有効なこともある。バックウォッシングでは、透過水が強制的に逆方向に膜に通される。好ましい実施形態のシステムで使用する膜は、予防保守のために定期的に清浄化し、又は定期的に膜交換するようにすることができる。或いは、清浄化又は交換が必要な時点(例えば、透過水の流量が予め選択された量だけ低下したとき、又は透過水の流量を維持するのに要する圧力が予め選択された量まで増大したとき)を検出するシステムを使用することもできる。
【0174】
支持構造
好ましい実施形態のシステムとともに使用するのに適した沖合プラットホームは、一般に沖合石油採掘及び石油生産において使用されるプラットホームを含む。固定沖合プラットホームは構造構成の寄集めとして構築され、海底に土台を置き、海底から水面を突き抜けて延びる任意の構造を含む。淡水化プロセスを支援する機器を収容するプラットホームの部分は一般に、プラットホームトップサイド(topside)又はデッキ(deck)と呼ばれる。海底から水面を突き抜けて延び、トップサイドを支持するプラットホームの部分は一般に、ジャケット(管状の空間フレーム)、ガイドプラットホーム(guyed platform)又はテンションレッグプラットホーム(tension leg platform)と呼ばれるタイプの部分である。プラットホームは、鋼線などの緊張材によって浮きプラットホームが海底に接続されたテンションレッグプラットホームを含む。
【0175】
他のタイプの浮きプラットホームは、一般に鋼線で海底に固定された円筒形の浮き構造物であるスパー(spar)プラットホームである。このプラットホームは剛性プラットホームとすることができ、又は剛性フレームが取り付けられた構造の関節を含む。ガイドプラットホームは一般に、基部において垂直方向及び横方向に支持され、基部の周りを垂直から外れて自由に回転することができる。プラットホーム頂部に向かって取り付けられ、プラットホーム基部からある距離離れた海底に固定されたガイラインのアレイによって、プラットホームに安定性が供給される。このプラットホームは、取り付けられたガイ内の張力によって、水平方向にそらされた後に垂直位置まで復元される。重力ベースの構造物は、設置場所まで曳行され、そこでバラストを積まれ、重力によって海底にそのまま保持されるように設計された大きな構造物である。重力ベースの構造物は、設置場所まで海上を曳行される間、大きなデッキペイロードを運ぶ大きな能力を有し、構造物が設置場所に置かれた後に、構造物までデッキが移送される。普通、半潜水型プラットホームと呼ばれる他のプラットホームは、極端な気象事象の間、安定性を提供する、しばしば排水量20,000トン超の全体に長方形又は円筒形のポンツーン(pontoon)を含む。
【0176】
或いは、好ましい実施形態のシステムを支持するために、船、例えばはしけ、タンカー又はスパープラットホームを使用することができる。スパープラットホームは一般に、一般に500フィート超の極めて深いキール喫水(keel draft)を有する細長いケーソンハル(caisson hull)を有する。スパーは、上部デッキを海面よりも上に支持し、ハルに及び海底アンカーに取り付けられた懸垂アンカーラインを使用して係留される。ライザ(riser)は一般に、スパープラットホームのハルのムーンプール(moon pool)から海底まで下方へ延びる。一般的なスパープラットホームのハルは一般に円筒形であり、一般に、円筒構造を形成するため、ハルのアイソセンタ(isocenter)を通る垂直なラジアル平面(radial plane)を有する、円形に配置された多数の一連の曲板から形成される。この円筒設計は、海流によって引き起こされる渦の離脱(shedding of vortices)の重大さを低減するため、及びより効率的に静水圧に抵抗するために使用される。
【0177】
より浅い水では、海底に支持されたプラットホームを有利に使用することができる。より浅い水に位置するプラットホームは、静止状態の風及び波負荷に対して設計される。
【0178】
他の構成では、デムワックス(商標)モジュールを深所に懸吊するために、バルーンなどの浮揚性構造物(例えば空気を封じ込めたコンクリート製のシェル又はそのような他の構成)を使用することができる。所望の位置(深さ及び/又は緯度、経度)にモジュールを維持するために、この浮揚性構造物は海底に繋止することができ、又は推進装置を備えることができる。このような一構成では、浮揚性構造物を水面に置くことができ、又は沈めることができる。浮揚性構造物が沈められる場合には、存在する場合に呼吸管を支持するために、ブイ又は他の水面構造物を使用することができる。浮揚性構造物を、希望に応じてシステムの他の構成要素(1つ又は複数)を支持するために使用することができ、又は他の支持システムと組み合わせて使用することができる。デムワックス(商標)モジュールを支持するブイの一システムが図20及び21に示されている。
【0179】
好ましい実施形態のシステムを動作させるための人員及び機器(例えば発電機又はエンジン駆動の油圧モータ、ポンプ、作業員宿舎など)を支持するためにデッキ構造を提供することができる。沖合プラットホームは有人とし、又は(好ましくは)無人とすることができる。無人沖合プラットホームは定期的な保守を必要とするが、その目的のためには、必要な保守作業を実施するために保守作業員がプラットホームを訪れなければならない。沖合プラットホームへのアクセスは、例えばヘリコプタ又は船舶によって提供することができる。したがって、プラットホームへ/からの作業員及び機器の移送を支援する支持するヘリデッキ(helideck)又は他の構造をプラットホームに提供すると有利なことがある。保守を実施するときに使用する、発電機、エンジン駆動油圧モータなどのエネルギー発生装置を、プラットホーム上に提供することができる。保守用のこのような発電機又はモータがプラットホーム上に恒久的に設置される場合、このことはプラットホームの費用を更に増大させる。その代わりにこれらの機器が支援船で輸送される場合、このことは、特にこのような機器を船からプラットホームへ輸送するときに、作業員にとって不便である。ある実施形態では、深所で発電したいことがある(例えば海中発電)。このような構成では、呼吸管(使用される場合)を除く全ての構成要素を深所に配置することが望ましいことがある。
【0180】
代替構成では、単一のデムワックス(商標)モジュール又は少数のモジュール群をブイから懸吊することができ、又は水底に直接に繋止することができる。このようないくつかのモジュールを一体に繋ぎ合わせて、より大きなプラントとすることができ、こうすることにより、(例えば美的に、又は環境影響上の理由から)プラットホームが望ましくない領域における大きなプラットホームの必要性を排除することができる。ブイユニットは、小さな発電機及び燃料タンク或いは水中伝送ケーブルを含むことができる。或いは、より大きなブイ又は小さなプラットホームなどを使用して、デムワックス(商標)モジュールがそれらから懸吊されたより小さないくつかのブイに対する発電を収容することができる。好ましい一構成では、透過水貯蔵タンク又は透過水貯蔵構造の周りにブイが配置される。
【0181】
好ましい実施形態の膜収集システムは適当な任意の構成、例えば同心円構成、又は他の構成(例えば「最も近くパックされた(CLOSEST PACKED)」六角形構成、放射状コレクタ内へ給水する8つの台形膜モジュールを有する同心八角形アレイ、又は中心コレクタ内へ給水する任意の構成の一連のコレクタ)で使用することができる。水平方向に間隔を置いて配置されたアレイ又はモジュールだけでなく、垂直方向に間隔を置いて配置されたアレイ又はモジュールを使用することもできる。
【0182】
代替電源
デムワックス(商標)システムは、従来の淡水化システムよりもはるかに低いエネルギー必要量を有するため、小さな遠隔の水負荷に電力を供給する風力発電機、太陽光起電力などの再生可能な電力資源との統合に特に適する。同様に、潮の干満の差が非常に大きい区域にデムワックス(商標)システムが位置する場合には、潮汐エネルギーを有利に使用して、システム向けの電力を発生させることができる。その地方特有の、豊富な、及び/又は低価格の燃料源(例えばバイオディーゼル、メタン、天然ガス、バイオガス、エタノール、メタノール、ディーゼル、ガソリン、バンカー重油、石炭又は他の炭化水素燃料)が入手可能な場合には、それらの燃料源を利用することができる発電機を選択することが望ましいことがある。或いは、岸辺のある場所から電気を都合よく入手できる場合には、必要な電力のためにデムワックス(商標)プラットホームへの電力ケーブルを提供することができる。他のエネルギー発生システムは、波サージ(surge)及び潮汐サージシステム、又は原子力(陸上又は海中)を含むことができる。
【0183】
代替実施形態
本明細書ではこれまで、特に逆浸透膜及び海洋淡水化用途に関して説明してきたが、例えば下記のように、他のタイプの膜を使用して、他の多数の用途で、実施形態を有利に使用することができる。
【0184】
淡水用途
湖沼、貯水池及び河川の水は、野生生物、都市廃水、有機成長物などの汚染源からの汚染を蓄積する。最も一般的な処理方法は、化学薬品による清澄化(chemical enhanced clarification)、濾過及び消毒を含む3ステッププロセスである。従来の清澄化プロセスは一般に、高価な化学薬品を使用して有機汚染物質を凝集させ、埋立地に廃棄しなければならない汚泥を生成する。砂濾過又は膜濾過ステップは資本及び空間集約的である。デムワックス(商標)システムの実施形態を有利に使用して、水体中の水柱によって発揮される自然圧力を使用して処理プロセスを推進することによって、従来のシステムよりも効率的に、化学薬品を使用せずに、複雑さを低減し、はるかに少ない資本費及びより良好な生産水の水質で、清澄化及び濾過プロセスに取って代わることができる。
【0185】
飲料水として使用するために地表水を処理するように適合された好ましい実施形態のシステムは一般に、ナノ濾過膜ユニットを含む膜モジュールを利用する。ナノ濾過膜のより小さな細孔径は、EPA(米環境保護庁)の現行の地表水処理要件をはるかに超える水を生産し、現在入手可能な精密濾過(MF)膜システムに比べて、ナノ濾過膜のより小さな細孔には不純物が容易には付着しないため、低い流束(約5から10gfd)は保守をより単純にする。ナノ濾過膜の代わりに精密濾過膜が使用されると、精密濾過膜のより大きな細孔にシルトがはまり込むことがあり、ずっと包括的で頻繁な清浄化が必要となる。好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムは、頻繁なバックウォッシングの必要性及びその付随する複雑さ(弁及びポンプ)を低減させ又は排除する。したがって、精密濾過システムの保守計画は、より複雑なシステム及びハードウェアを必要とする。好ましい実施形態のナノ濾過システムは低い保守障壁を有し、微生物、ウイルス、有機物及び他の不必要な成分を供給水から除去する。その膜及び源水の質に応じて、膜モジュールを約6メートルないし約200メートルの深さに下ろすことによって、水はおのずと、フィルタプロセスを推進する十分に高い連続圧下にある。もちろん、逆浸透膜を使用する実施形態を淡水用途に使用することもできる。例えば、逆浸透膜を使用する実施形態を約15メートルの深さ(又はそれよりもより深い深さ)に展開し、それを使用して超純水を生産することができる。
【0186】
淡水用途において使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムを、海洋用途に関して上で説明した構成と本質的に同じように、例えば、深所に懸吊された1つ又は複数の膜モジュール及び収集システム、並びに収集システムから表面まで上方へ呼吸管を備えるように構成することができる。好ましい実施形態のある種のシステムを、1つ又は複数の繋索を介して水体の底に固定することができるが、システムが浮揚性でない限り、繋止することは必要条件ではない。
【0187】
好ましい実施形態の膜モジュールは1つ又は複数の膜ユニットを含むことができ、好ましい実施形態の膜モジュールを、膜ユニット間の空間を源水が実質的に自由に流れることを可能にする適当な任意の構成に構成することができる。淡水処理用途に対しては、海洋用途に関して説明した間隔アルゴリズムがわずかに変更される。淡水用途では、膜ユニット間の間隔の制限因子が表面張力である。一般に、地表水源中には溶解固形物が高濃度では存在しないため、浸透圧に打ち勝つのに、淡水化に関連した高い圧力は必要ない。そのため、海水用途とは違い、間隔が不十分な場合に、供給水をわずかに濃縮しても圧力要件が高くならない場合がある。したがって、淡水用途とともに使用されるように適合された好ましい実施形態のシステムは、海水用途で一般に使用される間隔よりも狭い間隔(約3ミリメートルすなわち約1/8インチ)を利用することができる。
【0188】
膜エレメントはそれぞれ2つの膜シートを含むことができ、透過水(処理された飲料水)がこれらの2つの層の間を流れることを可能にするために、これらの2つの層の間には、セパレータ(例えばポリマー、複合材料、金属など)が配置される。これらの2つの層は、不純物を濾別し、清浄な水をセパレータの中を通してコレクタへ送る長方形の膜シートとすることができる。これらの膜層及びセパレータ層の辺の縁を接合、密封し、透過水を取り出すための通路又は他の開口を形成することができる。好ましくは、それらは3辺で接合され、4番目の辺が透過水を取り出すために形成された開口として使用される。開いた(密封されていない)縁又は縁の密封されてない部分は収集システムと流体連通する。収集システムは、収集システムに構造支持を提供するように適合された収集導管を含むことができる。淡水用途には海洋用途と同じ程度の波及び流れは存在せず、このことに留意して、適当な材料及び構造を選択することができる。
【0189】
収集システムは水中ポンプを含むことが好ましく、2つのパイプ(又は管、通路、開口、或いは他の流れ誘導手段)、すなわち、その中を透過水が岸までポンピングされるパイプと、水体の表面から膜の処理水側まで大気圧を伝達し、それによって処理プロセスを推進する必要な圧力差を提供するように適合されたパイプすなわち呼吸管とに接続される。呼吸管の直径は、ポンプ動作中のエアバインディング(air binding)又は過度の速度の発生を回避するように選択される。収集システムから、透過水は最終処理設備へとポンピングされる。多くの貯水池及び湖沼は岸のかなり近くにおいて少なくとも6メートルの深さを有するため、多くの淡水用途では、岸までのポンピング距離が一般に比較的に短い。
【0190】
一様でない時間ごとの水需要に合わせて連続濾過プロセスを緩衝するため、システム内又は岸辺に貯蔵場所を設けることができる。例えば、図16に関して上で説明したように、収集導管内又はシステム内に一時貯蔵場所を設けることができる。更に、又は或いは、より多くのポンプ能力を発揮させることによってより高い流束レートを誘導することができるより深い深度に膜を配置することによって、実施形態は、事実上の水貯蔵場所を生み出すことができる。ベース負荷設計能力のために必要な深度よりも深い深度に膜モジュールが沈められると、ポンプが汲み上げることができるよりも多くの水を膜が生産するため、一定のベース負荷ポンピング速度はシステム内に背圧を誘導する。需要が高い時期に、透過水ポンプの流量を増大させるとシステムの背圧は低下し、膜の前後の圧力差を増大させ、透過水の生産速度を増大させる。
【0191】
淡水用途では、藻類などの有機成長物の蓄積が水生産を妨げることがあり、定期的な清浄化を要求することがある。したがって、好ましい実施形態のシステムを、藻類及び他の汚染物質を膜から除去するように設計することができる。膜の下方に位置するノズルのアレイを通して圧縮された空気又は水を押し出す自動システムを提供することができる。膜面から固形物を除去するのを助けるファイバアジテータ(fiber agitator)を提供することもできる。このような清浄化システムを毎日展開することができ、水中から膜カートリッジを取り出することを含むより徹底的な半年に一度の、又は必要に応じた清浄化プロセスによって、これを補うことができる。そのため、好ましい実施形態のシステムは、例えばバラストタンクなどを使用してモジュールを上げ下げする自動システムを含むことができる。
【0192】
デムワックス(商標)システムには、生産水をポンピングするための電力が伝送される。これを達成する方法は数多くあり、選択される方法は、システムのサイズ及びユニットの近くでの電力の入手可能性に依存することができる。この電力供給の考慮事項は、岸から現場までの距離(ライン損失及びケーブル費用)、及び水源の表面に位置する(ブイに浮かぶ)電力の(視覚的及び航行上の)侵入を含む。
【0193】
地下水用途
重金属及び揮発性有機化合物はしばしば地下水供給を汚染する。従来の除去法は費用がかかり、結果として生じる有毒な廃棄物の処分を必要とし、それに付随して責任も生じる。好ましい実施形態のデムワックス(商標)システムを有利に使用して、他のタイプの処理が費用的に不可能な可能性がある汚染された井戸から清浄水を生産することができる。
【0194】
図22は、地下水用途において使用されるように適合されたデムワックス(商標)システムの一例を示す。このシステムは、既存の井戸602に沈められた、1つ又は複数のナノ濾過膜を備えた円筒形の膜カートリッジ600を含む。これらの膜は中心収集チャンバを取り囲み、膜の透過水側が収集チャンバと流体連通する。収集チャンバは、少なくとも地下水面606の最上部まで延びる呼吸管604によって大気圧に維持される。地下水面606は、図に示されているように、井戸602の領域においていくぶん引き下げられている可能性がある。井戸ポンプ608よりも下の、地下水面606の最上部から約33フィート(10メートル)の深さにカートリッジ600を沈めることによって、清浄水を生産し、清浄水を井戸602から汲み出し、地中に汚染物質を残すことができる。地下帯水層の移動及び涵養は、井戸の周囲の領域にこれらの汚染物質が蓄積することを防ぐことができる。
【0195】
図23A〜23B及び24A〜24Bは、地下水用途に対して適合された円筒形の膜カートリッジのさまざまな構成を示す。円筒形の膜カートリッジは一般に中心収集導管を取り囲む膜を含む。好ましい実施形態では、地下水井戸の円筒形の制約範囲内の膜表面積を最大化するような態様で膜が構成される。例えば、図23A及び23Bに示されているように、中心収集導管622の周囲に、蛇腹式に円筒形に折り畳まれた膜620が配置される。膜の折り畳まれた部分が互いに折り重なって潰れるのを防ぐため、折り畳まれたそれぞれの部分の内側に連続的に、又は折り畳まれたそれぞれの部分の内側の離散した位置に、1つ又は複数の透過水スペーサ624が配置される。図の点線は、透過水がスペーサ624の中を通って導管622に入ることを可能にするように提供された、中心収集導管622のパーホレーション(perforation)を示す。井戸ケーシング626に沈められると、膜620の外面は井戸の中の周囲の地下水に露出されて、透過水が中心収集導管622に入ることができるようになる。システムの構造支持を提供するため、任意選択で、折り畳まれた膜の周囲に、例えばリブ及び支柱を備えたフレーム(図示せず)を提供することができる。複数のカートリッジを積重ね構成で使用するシステムは、それぞれのカートリッジの収集導管622を接続するコネクタパイプ628を含むことができる。いくつかの実施形態では、図24A及び24Bに示されているように、円筒形のカートリッジ630が、カートリッジの中心から周縁まで、折り畳まれた部分間の間隔が同様に維持されるように、円筒の外周のところで互いに折り畳まれた折り目を有する膜632を含むことができる。折り畳まれた膜632は、穴のあいた中心収集導管638を取り囲む。膜632に対する源水の流れが矢印634によって示されている。収集導管638内への透過水の流れが矢印636によって示されている。地下水用途向けに構成された実施形態では、膜の折り畳まれた部分を海水用途よりも互いに近づけて配置することができるが、表面張力が膜間の供給水の流れを抑制するほどには近くないことが好ましい。
【0196】
好ましい実施形態のシステムとともに使用するのに適した装置及び方法が以下の参照文献に記載されており、それらの文献はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる:Pacenti他、「Submarine seawater reverse osmosis desalination system」、Desalination 126(1999)213〜218、米国特許第5,229,005号明細書、米国特許第3,060,119号明細書、Colombo他、「An energy−efficient submarine desalination plant」、Desalination 122(1999)171〜176、米国特許第6,656,352号明細書、米国特許第5,366,635号明細書、米国特許第4,770,775号明細書、米国特許第3,456,802号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0108272A1号明細書。
【0197】
本明細書に引用された全ての参照文献はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれた発表物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示を否定する場合には、本明細書が、このような相反する全ての文献に取って代わり、このような相反する全ての文献に優先することが意図される。
【0198】
本明細書で使用される用語「備える(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」又は「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的(inclusive)ないし無制限(open−ended)であり、列挙されていない追加の要素又は方法ステップを排除しない。
【0199】
明細書及び特許請求の範囲で使用される原料成分の量、反応条件などを表現する全ての数値は、全ての場合に、用語「約(about)」によって修飾されることが理解される。したがって、そうではないと指示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明が得ようとする所望の特性に応じて変更することができる近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲の同等物の原則の適用を限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、有効桁数及び通常の丸め法を考慮して解釈されるべきである。
【0200】
以上の説明は、本発明のいくつかの方法及び材料を開示する。本発明は、方法及び材料の変更並びに製造方法及び機器の変更が可能である。このような変更は、本開示の検討又は本明細書に開示された発明の実施によって当業者に明らかになる。したがって、本発明が、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されることは意図されず、本発明が、添付の特許請求の範囲に具体化された本発明の真の範囲及び趣旨に含まれる全ての変更及び代替物をカバーすることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある水体のある沈水深さに沈められるように構成された膜モジュールであり、前記膜モジュールが少なくとも1つの膜カートリッジを備え、前記膜カートリッジが少なくとも1つの膜エレメントを備え、前記膜エレメントが第1の側と第2の側とを有し、前記膜エレメントの前記第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で濾過される水に露出される、前記膜モジュールと、
前記水体に沈められるように構成されたコレクタ通路であり、前記コレクタ通路の少なくとも一部分が、濾過された水が集められる前記膜エレメントの前記第2の側と流体連通する、前記コレクタ通路と、
前記コレクタ通路から前記水体の表面まで延び、前記コレクタ通路の内部を、前記水体の前記表面又は前記水体の前記表面よりも高いある高度における大気圧の特性を示す圧力に露出するように構成された呼吸通路と
を備え、
前記沈水深さの特性を示す前記圧力と前記水体の前記表面又は前記水体の前記表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す前記圧力との間の差によって、前記膜エレメントの前記第1の側から前記膜エレメントの前記第2の側へ透過水が流れる、濾過システム。
【請求項2】
前記膜エレメントが、少なくとも1つの透過水スペーサによって離隔された2つの膜層を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項3】
前記膜エレメントが実質的に平面である、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項4】
前記膜カートリッジが少なくとも2つの膜エレメントを備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項5】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約1mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項6】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約2mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項7】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項8】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約6mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項9】
前記膜エレメントが平行構成の2つの平シート膜を備え、前記膜エレメントが更に、2つの平シート膜間に位置する少なくとも1つのコレクタスペーサを備え、前記コレクタスペーサが、前記2つの平シート膜を互いから分離するように構成された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項10】
前記膜モジュールが複数の前記膜カートリッジを備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項11】
前記膜エレメントが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項12】
前記膜モジュールが、少なくとも約6メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項13】
前記膜モジュールが、少なくとも約8メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項14】
前記膜モジュールが、少なくとも約10メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項15】
前記膜モジュールが、約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項16】
前記膜モジュールが、少なくとも約30メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項17】
前記膜モジュールが、少なくとも約60メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項18】
前記膜モジュールが、約60メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項19】
前記膜モジュールが、約60メートルないし約244メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項20】
前記膜モジュールが、約122メートルないし約152メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項21】
前記膜モジュールが、約152メートルないし約183メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項22】
前記膜エレメントが少なくとも1つの逆浸透膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項23】
前記膜モジュールが、少なくとも約190メートルの深さに沈められるように構成された、請求項22に記載の濾過システム。
【請求項24】
前記膜モジュールが、少なくとも約244メートルの深さに沈められるように構成された、請求項22に記載の濾過システム。
【請求項25】
前記膜モジュールが、約259メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成された、請求項22に記載の濾過システム。
【請求項26】
前記膜エレメントが少なくとも1つの限外濾過膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項27】
前記膜モジュールが、少なくとも約6メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項28】
前記膜モジュールが、少なくとも約8メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項29】
前記膜モジュールが、少なくとも約10メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項30】
前記膜モジュールが、約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項31】
前記膜モジュールが、少なくとも約22メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項32】
前記膜モジュールが、約22メートルないし約60メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項33】
前記膜エレメントが少なくとも1つの精密濾過膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項34】
前記膜モジュールが、少なくとも約6メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項35】
前記膜モジュールが、少なくとも約8メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項36】
前記膜モジュールが、少なくとも約10メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項37】
前記膜モジュールが、約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項38】
前記膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められるように構成され、更に、前記膜エレメントの前記第1の側から前記膜エレメントの前記第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込みを実質的に防ぐように構成された、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項39】
前記沈水深さの特性を示す前記圧力と前記水体の前記表面における大気圧の特性を示す前記圧力との間の前記差が、前記濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給して、前記膜の前記第1の側が露出される圧力を機械装置なしに増大させ、前記膜の前記第2の側が露出される圧力を機械装置なしに低下させる、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項40】
処理される水体中のある深さに沈められるように構成された少なくとも1つの膜であり、前記水が、前記沈水深さにおける第1の圧力を有し、前記膜が濃縮水側と透過水側とを有する、前記膜と、
前記膜の前記透過水側と流体連通したコレクタと、
前記コレクタの内部を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に露出するように構成された通路と
を備え、
前記膜の前記濃縮水側を前記第1の圧力に露出することが、前記膜を通り抜けて透過水が前記濃縮水側から前記透過水側へ移動する濾過プロセスを推進する
水処理システム。
【請求項41】
前記第2の圧力が、前記水体の表面における大気圧の特性を示す、請求項40に記載の水処理システム。
【請求項42】
前記通路が、前記コレクタから少なくとも前記水体の表面まで延びる、請求項40に記載の水処理システム。
【請求項43】
前記コレクタが前記通路である、請求項40に記載の水処理システム。
【請求項44】
源水から少なくとも1つの成分を篩別して生産水を生産する篩分け手段であり、源水側と生産水側とを有し、前記源水側が前記源水の静水圧に露出されるように構成された、前記篩分け手段と、
前記生産水を集める収集手段であり、前記静水圧よりも低い圧力に露出されるように構成された、前記収集手段と
を備える水処理システム。
【請求項45】
前記低い圧力が、前記源水の表面における大気圧の特性を示す、請求項44に記載の水処理システム。
【請求項46】
源水を濾過して生産水を生産する濾過手段であり、源水側と生産水側とを有する、前記濾過手段と、
前記源水中の周囲圧力条件及び前記源水よりも上の周囲圧力条件を利用して、前記源水側から前記生産水側へ透過水を移動させるのに十分な圧力差を、前記源水側と前記生産水側との間に生み出す手段と
を備える水処理システム。
【請求項47】
供給水から生産水を生産する濾過システムであって、
少なくとも1つの逆浸透膜であり、水の透過は許すが、前記供給水に溶解した1種又は数種のイオンの透過は制限するように構成され、更に、溶解した前記イオンを含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、前記深さが少なくとも約141メートルであり、それぞれの前記膜の第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で前記供給水に露出されるように構成され、それぞれの前記膜の第2の側のコレクタが、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、それぞれの前記膜の前記第2の側において低溶解イオン濃度の透過水が得られるように、それぞれの前記膜の前後の圧力差が逆浸透濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を前記膜から効果的に遠ざけるように、前記膜が配置される、前記逆浸透膜
を備える濾過システム。
【請求項48】
ある海水体中の約113メートルないし約307メートルの深さに沈められるように構成され、前記海水が約20,000ないし約42,000ppmの塩分を有する、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項49】
ある海水体中の約247メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成され、前記海水が約33,000ないし約38,000ppmの塩分を有する、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項50】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約1mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項51】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約2mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項52】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項53】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約6mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項54】
前記コレクタが、通路を介して、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出される、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項55】
前記通路が呼吸管である、請求項54に記載の濾過システム。
【請求項56】
前記呼吸管が、ほぼ前記沈水深さから少なくとも前記供給水体の表面まで延びる、請求項55に記載の濾過システム。
【請求項57】
前記通路が、2つの膜間の少なくとも1つの空間を含む、請求項54に記載の濾過システム。
【請求項58】
前記コレクタが、前記供給水体の表面の空気と流体連通した保持タンクである、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項59】
第1の位置から第2の位置へ透過水を移送するように構成されたポンプを更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項60】
前記供給水体中に少なくとも部分的に沈められた透過水貯蔵タンクを更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項61】
前記透過水貯蔵タンクが少なくとも部分的に沈められ、透過水の充填及び放出に対応することができる柔軟な材料を含む、請求項60に記載の濾過システム。
【請求項62】
少なくとも1つの膜モジュールを備え、前記膜モジュールが、供給水の進入を防ぐために縁が密封された1対又は数対の平シート膜を備え、前記平シート膜対の外面が供給水に露出されるように構成され、使用時に、対をなす膜シート間から透過水収集モジュールを通して透過水を抜き取ることができる、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項63】
前記膜モジュールが懸吊される沖合プラットホームを更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項64】
飲料水を岸まで輸送するように構成された導管を更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項65】
供給水から生産水を生産する濾過システムであって、
少なくとも1つのナノ濾過膜であり、水の透過は許すが、少なくとも1つの成分の透過は制限するように構成され、更に、前記成分を含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、前記深さが少なくとも約6メートルであり、前記膜の第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で前記供給水に露出されるように構成され、それぞれの前記膜の第2の側のコレクタが、前記供給水体の表面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、前記膜の前記第2の側において前記成分の低い濃度を有する透過水が得られるように、前記膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、前記膜の前記第1の側に沿った供給水の実質的に自由な流れを表面張力が妨げることを防ぐように、前記膜が配置される、前記ナノ濾過膜
を備える濾過システム。
【請求項66】
前記深さが少なくとも約8メートルである、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項67】
前記深さが少なくとも約10メートルである、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項68】
前記沈水深さの特性を示す前記圧力と大気圧の特性を示す前記圧力との間の圧力差が、前記濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給する、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項69】
前記濾過プロセスが真空ポンプの影響なしで起こる、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項70】
前記コレクタから前記供給水体の前記表面へ透過水を移動させるように構成された正水頭ポンプを更に備える、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項71】
水を淡水化する2パスシステムであって、
水の透過は許すが、1種又は数種の溶解イオンの透過は制限するように構成された少なくとも1つの第1のナノ濾過膜を備える第1パス濾過システムであり、前記第1の膜が、ある海水体中の少なくとも約113メートルの深さに沈められるように構成され、前記第1の膜の第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で前記海水に露出されるように構成され、前記第1の膜の第2の側が、海面又は海面よりも高い高度における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、前記第1の膜の前記第2の側において低塩分の透過水が得られるように、前記第1の膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を前記第1の膜から効果的に遠ざけるように、前記第1の膜が構成された、前記第1パス濾過システムと、
ナノ濾過膜又は逆浸透膜である少なくとも1つの第2の膜を備える第2パス濾過システムと
を備える2パスシステム。
【請求項72】
前記第2の膜の第1の側が低塩分の透過水に露出されるように構成され、更に、前記第2の膜の第2の側において更に低い塩分の透過水が得られるように濾過プロセスを推進するために、使用時に、前記第2の膜の前後に圧力差が加えられるように構成された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項73】
前記第1パス濾過システムが、ある海水体中の約152メートルないし約213メートルの深さに沈められるように構成され、前記海水が、約33,000ないし38,000ppmの塩分を有する、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項74】
複数の第1のナノ濾過膜を備え、前記第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約1mm以上の間隔を置いて配置された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項75】
複数の第1のナノ濾過膜を備え、前記第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mm以上の間隔を置いて配置された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項76】
複数の第1のナノ濾過膜を備え、前記第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項77】
水を処理する方法であって、
源水中のある沈水深さに膜モジュールを沈めるステップであり、前記膜モジュールが少なくとも1つの膜ユニットを備え、前記膜ユニットが第1の側と第2の側とを有し、前記第2の側の少なくとも一部分がコレクタ導管と流体連通し、前記第1の側が第1の圧力で前記源水に露出され、前記第1の圧力が前記沈水深さの特性を示す、前記ステップと、
前記コレクタ導管を、前記第1の側から前記第2の側へ透過水を移動させるのに十分な第2の圧力に露出するステップと、
前記コレクタシステム内に透過水を集めるステップと
を含む方法。
【請求項78】
前記第2の圧力が、前記源水の表面又は前記源水の表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
真空ポンプを使用せずに前記第1の側から前記第2の側へ移動するように透過水が誘導される、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記膜ユニットが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記膜モジュールが少なくとも約6メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記膜モジュールが少なくとも約8メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記膜モジュールが少なくとも約10メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記膜モジュールが約12メートルないし約18メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記膜モジュールが少なくとも約30メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記膜モジュールが少なくとも約60メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
前記膜モジュールが約60メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記膜モジュールが約60メートルないし約244メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記膜モジュールが約122メートルないし約152メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
前記膜モジュールが約152メートルないし約183メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項91】
前記膜ユニットが少なくとも1つの逆浸透膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項92】
前記膜モジュールが少なくとも約190メートルの深さに沈められる、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記膜モジュールが少なくとも約244メートルの深さに沈められる、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記膜モジュールが約259メートルないし約274メートルの深さに沈められる、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記膜ユニットが少なくとも1つの限外濾過膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項96】
前記膜モジュールが少なくとも約6メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記膜モジュールが少なくとも約8メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記膜モジュールが少なくとも約10メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記膜モジュールが約12メートルないし約18メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項100】
前記膜モジュールが少なくとも約22メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項101】
前記膜モジュールが約22メートルないし約60メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項102】
前記膜ユニットが少なくとも1つの精密濾過膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項103】
前記膜モジュールが少なくとも約6メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記膜モジュールが少なくとも約8メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
前記膜モジュールが少なくとも約10メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記膜モジュールが約12メートルないし約18メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項107】
前記膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められ、更に、前記膜エレメントの前記第1の側から前記膜エレメントの前記第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込みを実質的に防ぐように構成された、請求項102に記載の方法。
【請求項108】
水を処理する方法であって、
水体中に位置する少なくとも1つの膜を、前記膜の浸漬深さの特性を示す静水圧に露出するステップであり、前記膜が濃縮水側と透過水側とを有し、前記透過水側がコレクタと流体連通する、前記ステップと、
前記コレクタの内部の少なくとも一部分を前記静水圧よりも低い圧力に露出するステップであり、それにより、前記膜の前記濃縮水側から前記透過水側へ透過水が透過する、前記ステップと、
前記コレクタから透過水を集めるステップと
を含む方法。
【請求項109】
前記第2の圧力が、前記水体の表面又は前記水の表面の高度よりも高い高度における大気圧の特性を示す、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記膜がコレクタとして機能する、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
水を処理する方法であって、
源水から少なくとも1つの不必要な成分を篩別する篩分け手段を沈めるステップであり、前記篩分け手段が源水側と生産水側とを画定し、前記源水側が前記源水の静水圧に露出される、前記ステップと、
前記生産水側を、前記静水圧よりも低い圧力を有する低圧システムに露出するステップであり、それにより前記源水側から前記生産水側へ生産水が透過する、前記ステップと、
前記生産水を集めるステップと
を含む方法。
【請求項112】
水処理モジュールを製造する方法であって、
少なくとも1つの源水スペーサを第1の膜ユニットに取り付けるステップであり、前記膜ユニットが、透過水スペーサ層によって離隔された2つの膜層を備え、前記第1の膜ユニットが密封された縁部分と密封されてない縁部分とを有する、前記ステップと、
前記源水スペーサに第2の膜ユニットを取り付けるステップと、
前記第1の膜ユニット及び前記第2の膜ユニットの前記密封されてない縁部分にコレクタスペーサを結合するステップであり、前記コレクタスペーサが、前記第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの源水側を前記第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの生産水側から分離する水密シールを形成するように構成された、前記ステップと
を含む方法。
【請求項113】
沖合収集設備から陸地へ水を輸送する方法であって、
水体中の第1の深さに収集ユニットを沈めるステップであり、前記収集ユニットの少なくとも一部分が大気圧に露出される、前記ステップと、
前記収集ユニットと流体連通した通路を提供するステップであり、前記通路が、前記収集ユニットから陸上のある位置まで延び、前記陸上のある位置が前記第1の深さよりも低い高度にある、前記ステップと
を含む方法。
【請求項114】
前記収集ユニットが少なくとも1つの膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ第1の側と第2の側とを有し、前記第1の側が、前記第1の深さにおける前記水体の特性を示す圧力に露出され、前記第2の側が、大気圧に露出された前記収集ユニットの一部分と流体連通する、請求項113に記載の方法。
【請求項1】
ある水体のある沈水深さに沈められるように構成された膜モジュールであり、前記膜モジュールが少なくとも1つの膜カートリッジを備え、前記膜カートリッジが少なくとも1つの膜エレメントを備え、前記膜エレメントが第1の側と第2の側とを有し、前記膜エレメントの前記第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で濾過される水に露出される、前記膜モジュールと、
前記水体に沈められるように構成されたコレクタ通路であり、前記コレクタ通路の少なくとも一部分が、濾過された水が集められる前記膜エレメントの前記第2の側と流体連通する、前記コレクタ通路と、
前記コレクタ通路から前記水体の表面まで延び、前記コレクタ通路の内部を、前記水体の前記表面又は前記水体の前記表面よりも高いある高度における大気圧の特性を示す圧力に露出するように構成された呼吸通路と
を備え、
前記沈水深さの特性を示す前記圧力と前記水体の前記表面又は前記水体の前記表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す前記圧力との間の差によって、前記膜エレメントの前記第1の側から前記膜エレメントの前記第2の側へ透過水が流れる、濾過システム。
【請求項2】
前記膜エレメントが、少なくとも1つの透過水スペーサによって離隔された2つの膜層を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項3】
前記膜エレメントが実質的に平面である、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項4】
前記膜カートリッジが少なくとも2つの膜エレメントを備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項5】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約1mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項6】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから少なくとも約2mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項7】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項8】
複数の膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ、隣接する膜エレメントから約6mmの間隔を置いて配置された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項9】
前記膜エレメントが平行構成の2つの平シート膜を備え、前記膜エレメントが更に、2つの平シート膜間に位置する少なくとも1つのコレクタスペーサを備え、前記コレクタスペーサが、前記2つの平シート膜を互いから分離するように構成された、請求項4に記載の濾過システム。
【請求項10】
前記膜モジュールが複数の前記膜カートリッジを備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項11】
前記膜エレメントが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項12】
前記膜モジュールが、少なくとも約6メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項13】
前記膜モジュールが、少なくとも約8メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項14】
前記膜モジュールが、少なくとも約10メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項15】
前記膜モジュールが、約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項16】
前記膜モジュールが、少なくとも約30メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項17】
前記膜モジュールが、少なくとも約60メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項18】
前記膜モジュールが、約60メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項19】
前記膜モジュールが、約60メートルないし約244メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項20】
前記膜モジュールが、約122メートルないし約152メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項21】
前記膜モジュールが、約152メートルないし約183メートルの深さに沈められるように構成された、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項22】
前記膜エレメントが少なくとも1つの逆浸透膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項23】
前記膜モジュールが、少なくとも約190メートルの深さに沈められるように構成された、請求項22に記載の濾過システム。
【請求項24】
前記膜モジュールが、少なくとも約244メートルの深さに沈められるように構成された、請求項22に記載の濾過システム。
【請求項25】
前記膜モジュールが、約259メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成された、請求項22に記載の濾過システム。
【請求項26】
前記膜エレメントが少なくとも1つの限外濾過膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項27】
前記膜モジュールが、少なくとも約6メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項28】
前記膜モジュールが、少なくとも約8メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項29】
前記膜モジュールが、少なくとも約10メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項30】
前記膜モジュールが、約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項31】
前記膜モジュールが、少なくとも約22メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項32】
前記膜モジュールが、約22メートルないし約60メートルの深さに沈められるように構成された、請求項26に記載の濾過システム。
【請求項33】
前記膜エレメントが少なくとも1つの精密濾過膜を備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項34】
前記膜モジュールが、少なくとも約6メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項35】
前記膜モジュールが、少なくとも約8メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項36】
前記膜モジュールが、少なくとも約10メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項37】
前記膜モジュールが、約12メートルないし約18メートルの深さに沈められるように構成された、請求項33に記載の濾過システム。
【請求項38】
前記膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められるように構成され、更に、前記膜エレメントの前記第1の側から前記膜エレメントの前記第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込みを実質的に防ぐように構成された、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項39】
前記沈水深さの特性を示す前記圧力と前記水体の前記表面における大気圧の特性を示す前記圧力との間の前記差が、前記濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給して、前記膜の前記第1の側が露出される圧力を機械装置なしに増大させ、前記膜の前記第2の側が露出される圧力を機械装置なしに低下させる、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項40】
処理される水体中のある深さに沈められるように構成された少なくとも1つの膜であり、前記水が、前記沈水深さにおける第1の圧力を有し、前記膜が濃縮水側と透過水側とを有する、前記膜と、
前記膜の前記透過水側と流体連通したコレクタと、
前記コレクタの内部を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力に露出するように構成された通路と
を備え、
前記膜の前記濃縮水側を前記第1の圧力に露出することが、前記膜を通り抜けて透過水が前記濃縮水側から前記透過水側へ移動する濾過プロセスを推進する
水処理システム。
【請求項41】
前記第2の圧力が、前記水体の表面における大気圧の特性を示す、請求項40に記載の水処理システム。
【請求項42】
前記通路が、前記コレクタから少なくとも前記水体の表面まで延びる、請求項40に記載の水処理システム。
【請求項43】
前記コレクタが前記通路である、請求項40に記載の水処理システム。
【請求項44】
源水から少なくとも1つの成分を篩別して生産水を生産する篩分け手段であり、源水側と生産水側とを有し、前記源水側が前記源水の静水圧に露出されるように構成された、前記篩分け手段と、
前記生産水を集める収集手段であり、前記静水圧よりも低い圧力に露出されるように構成された、前記収集手段と
を備える水処理システム。
【請求項45】
前記低い圧力が、前記源水の表面における大気圧の特性を示す、請求項44に記載の水処理システム。
【請求項46】
源水を濾過して生産水を生産する濾過手段であり、源水側と生産水側とを有する、前記濾過手段と、
前記源水中の周囲圧力条件及び前記源水よりも上の周囲圧力条件を利用して、前記源水側から前記生産水側へ透過水を移動させるのに十分な圧力差を、前記源水側と前記生産水側との間に生み出す手段と
を備える水処理システム。
【請求項47】
供給水から生産水を生産する濾過システムであって、
少なくとも1つの逆浸透膜であり、水の透過は許すが、前記供給水に溶解した1種又は数種のイオンの透過は制限するように構成され、更に、溶解した前記イオンを含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、前記深さが少なくとも約141メートルであり、それぞれの前記膜の第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で前記供給水に露出されるように構成され、それぞれの前記膜の第2の側のコレクタが、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、それぞれの前記膜の前記第2の側において低溶解イオン濃度の透過水が得られるように、それぞれの前記膜の前後の圧力差が逆浸透濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を前記膜から効果的に遠ざけるように、前記膜が配置される、前記逆浸透膜
を備える濾過システム。
【請求項48】
ある海水体中の約113メートルないし約307メートルの深さに沈められるように構成され、前記海水が約20,000ないし約42,000ppmの塩分を有する、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項49】
ある海水体中の約247メートルないし約274メートルの深さに沈められるように構成され、前記海水が約33,000ないし約38,000ppmの塩分を有する、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項50】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約1mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項51】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から少なくとも約2mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項52】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項53】
複数の膜を備え、膜がそれぞれ、隣接する膜から約6mmの間隔を置いて配置された、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項54】
前記コレクタが、通路を介して、海面における大気圧の特性を示す圧力に露出される、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項55】
前記通路が呼吸管である、請求項54に記載の濾過システム。
【請求項56】
前記呼吸管が、ほぼ前記沈水深さから少なくとも前記供給水体の表面まで延びる、請求項55に記載の濾過システム。
【請求項57】
前記通路が、2つの膜間の少なくとも1つの空間を含む、請求項54に記載の濾過システム。
【請求項58】
前記コレクタが、前記供給水体の表面の空気と流体連通した保持タンクである、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項59】
第1の位置から第2の位置へ透過水を移送するように構成されたポンプを更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項60】
前記供給水体中に少なくとも部分的に沈められた透過水貯蔵タンクを更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項61】
前記透過水貯蔵タンクが少なくとも部分的に沈められ、透過水の充填及び放出に対応することができる柔軟な材料を含む、請求項60に記載の濾過システム。
【請求項62】
少なくとも1つの膜モジュールを備え、前記膜モジュールが、供給水の進入を防ぐために縁が密封された1対又は数対の平シート膜を備え、前記平シート膜対の外面が供給水に露出されるように構成され、使用時に、対をなす膜シート間から透過水収集モジュールを通して透過水を抜き取ることができる、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項63】
前記膜モジュールが懸吊される沖合プラットホームを更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項64】
飲料水を岸まで輸送するように構成された導管を更に備える、請求項47に記載の濾過システム。
【請求項65】
供給水から生産水を生産する濾過システムであって、
少なくとも1つのナノ濾過膜であり、水の透過は許すが、少なくとも1つの成分の透過は制限するように構成され、更に、前記成分を含む供給水体中のある深さに沈められるように構成され、前記深さが少なくとも約6メートルであり、前記膜の第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で前記供給水に露出されるように構成され、それぞれの前記膜の第2の側のコレクタが、前記供給水体の表面における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、前記膜の前記第2の側において前記成分の低い濃度を有する透過水が得られるように、前記膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、前記膜の前記第1の側に沿った供給水の実質的に自由な流れを表面張力が妨げることを防ぐように、前記膜が配置される、前記ナノ濾過膜
を備える濾過システム。
【請求項66】
前記深さが少なくとも約8メートルである、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項67】
前記深さが少なくとも約10メートルである、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項68】
前記沈水深さの特性を示す前記圧力と大気圧の特性を示す前記圧力との間の圧力差が、前記濾過プロセスを推進する実質的に全ての力を供給する、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項69】
前記濾過プロセスが真空ポンプの影響なしで起こる、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項70】
前記コレクタから前記供給水体の前記表面へ透過水を移動させるように構成された正水頭ポンプを更に備える、請求項65に記載の濾過システム。
【請求項71】
水を淡水化する2パスシステムであって、
水の透過は許すが、1種又は数種の溶解イオンの透過は制限するように構成された少なくとも1つの第1のナノ濾過膜を備える第1パス濾過システムであり、前記第1の膜が、ある海水体中の少なくとも約113メートルの深さに沈められるように構成され、前記第1の膜の第1の側が、前記沈水深さの特性を示す圧力で前記海水に露出されるように構成され、前記第1の膜の第2の側が、海面又は海面よりも高い高度における大気圧の特性を示す圧力に露出されるように構成され、それにより、使用時に、前記第1の膜の前記第2の側において低塩分の透過水が得られるように、前記第1の膜の前後の圧力差が濾過プロセスを推進し、使用時に、重力と流れのうちの少なくとも一方がより高密度の濃縮水を前記第1の膜から効果的に遠ざけるように、前記第1の膜が構成された、前記第1パス濾過システムと、
ナノ濾過膜又は逆浸透膜である少なくとも1つの第2の膜を備える第2パス濾過システムと
を備える2パスシステム。
【請求項72】
前記第2の膜の第1の側が低塩分の透過水に露出されるように構成され、更に、前記第2の膜の第2の側において更に低い塩分の透過水が得られるように濾過プロセスを推進するために、使用時に、前記第2の膜の前後に圧力差が加えられるように構成された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項73】
前記第1パス濾過システムが、ある海水体中の約152メートルないし約213メートルの深さに沈められるように構成され、前記海水が、約33,000ないし38,000ppmの塩分を有する、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項74】
複数の第1のナノ濾過膜を備え、前記第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約1mm以上の間隔を置いて配置された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項75】
複数の第1のナノ濾過膜を備え、前記第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mm以上の間隔を置いて配置された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項76】
複数の第1のナノ濾過膜を備え、前記第1のナノ濾過膜がそれぞれ、隣接する膜から約2mmないし約8mmの間隔を置いて配置された、請求項71に記載の2パスシステム。
【請求項77】
水を処理する方法であって、
源水中のある沈水深さに膜モジュールを沈めるステップであり、前記膜モジュールが少なくとも1つの膜ユニットを備え、前記膜ユニットが第1の側と第2の側とを有し、前記第2の側の少なくとも一部分がコレクタ導管と流体連通し、前記第1の側が第1の圧力で前記源水に露出され、前記第1の圧力が前記沈水深さの特性を示す、前記ステップと、
前記コレクタ導管を、前記第1の側から前記第2の側へ透過水を移動させるのに十分な第2の圧力に露出するステップと、
前記コレクタシステム内に透過水を集めるステップと
を含む方法。
【請求項78】
前記第2の圧力が、前記源水の表面又は前記源水の表面よりも高い高度における大気圧の特性を示す、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
真空ポンプを使用せずに前記第1の側から前記第2の側へ移動するように透過水が誘導される、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記膜ユニットが少なくとも1つのナノ濾過膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記膜モジュールが少なくとも約6メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記膜モジュールが少なくとも約8メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記膜モジュールが少なくとも約10メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記膜モジュールが約12メートルないし約18メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記膜モジュールが少なくとも約30メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記膜モジュールが少なくとも約60メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
前記膜モジュールが約60メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記膜モジュールが約60メートルないし約244メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記膜モジュールが約122メートルないし約152メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
前記膜モジュールが約152メートルないし約183メートルの深さに沈められる、請求項80に記載の方法。
【請求項91】
前記膜ユニットが少なくとも1つの逆浸透膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項92】
前記膜モジュールが少なくとも約190メートルの深さに沈められる、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記膜モジュールが少なくとも約244メートルの深さに沈められる、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記膜モジュールが約259メートルないし約274メートルの深さに沈められる、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記膜ユニットが少なくとも1つの限外濾過膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項96】
前記膜モジュールが少なくとも約6メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記膜モジュールが少なくとも約8メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記膜モジュールが少なくとも約10メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記膜モジュールが約12メートルないし約18メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項100】
前記膜モジュールが少なくとも約22メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項101】
前記膜モジュールが約22メートルないし約60メートルの深さに沈められる、請求項95に記載の方法。
【請求項102】
前記膜ユニットが少なくとも1つの精密濾過膜を備える、請求項77に記載の方法。
【請求項103】
前記膜モジュールが少なくとも約6メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記膜モジュールが少なくとも約8メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
前記膜モジュールが少なくとも約10メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記膜モジュールが約12メートルないし約18メートルの深さに沈められる、請求項102に記載の方法。
【請求項107】
前記膜モジュールが、少なくとも約7メートルの深さに沈められ、更に、前記膜エレメントの前記第1の側から前記膜エレメントの前記第2の側へ透過水が透過するときの水生生物の引込みを実質的に防ぐように構成された、請求項102に記載の方法。
【請求項108】
水を処理する方法であって、
水体中に位置する少なくとも1つの膜を、前記膜の浸漬深さの特性を示す静水圧に露出するステップであり、前記膜が濃縮水側と透過水側とを有し、前記透過水側がコレクタと流体連通する、前記ステップと、
前記コレクタの内部の少なくとも一部分を前記静水圧よりも低い圧力に露出するステップであり、それにより、前記膜の前記濃縮水側から前記透過水側へ透過水が透過する、前記ステップと、
前記コレクタから透過水を集めるステップと
を含む方法。
【請求項109】
前記第2の圧力が、前記水体の表面又は前記水の表面の高度よりも高い高度における大気圧の特性を示す、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記膜がコレクタとして機能する、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
水を処理する方法であって、
源水から少なくとも1つの不必要な成分を篩別する篩分け手段を沈めるステップであり、前記篩分け手段が源水側と生産水側とを画定し、前記源水側が前記源水の静水圧に露出される、前記ステップと、
前記生産水側を、前記静水圧よりも低い圧力を有する低圧システムに露出するステップであり、それにより前記源水側から前記生産水側へ生産水が透過する、前記ステップと、
前記生産水を集めるステップと
を含む方法。
【請求項112】
水処理モジュールを製造する方法であって、
少なくとも1つの源水スペーサを第1の膜ユニットに取り付けるステップであり、前記膜ユニットが、透過水スペーサ層によって離隔された2つの膜層を備え、前記第1の膜ユニットが密封された縁部分と密封されてない縁部分とを有する、前記ステップと、
前記源水スペーサに第2の膜ユニットを取り付けるステップと、
前記第1の膜ユニット及び前記第2の膜ユニットの前記密封されてない縁部分にコレクタスペーサを結合するステップであり、前記コレクタスペーサが、前記第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの源水側を前記第1の膜ユニット及び第2の膜ユニットの生産水側から分離する水密シールを形成するように構成された、前記ステップと
を含む方法。
【請求項113】
沖合収集設備から陸地へ水を輸送する方法であって、
水体中の第1の深さに収集ユニットを沈めるステップであり、前記収集ユニットの少なくとも一部分が大気圧に露出される、前記ステップと、
前記収集ユニットと流体連通した通路を提供するステップであり、前記通路が、前記収集ユニットから陸上のある位置まで延び、前記陸上のある位置が前記第1の深さよりも低い高度にある、前記ステップと
を含む方法。
【請求項114】
前記収集ユニットが少なくとも1つの膜エレメントを備え、膜エレメントがそれぞれ第1の側と第2の側とを有し、前記第1の側が、前記第1の深さにおける前記水体の特性を示す圧力に露出され、前記第2の側が、大気圧に露出された前記収集ユニットの一部分と流体連通する、請求項113に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【公表番号】特表2010−517772(P2010−517772A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549690(P2009−549690)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/053753
【国際公開番号】WO2008/100957
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509213509)ディーエックスヴイ ウォーター テクノロジーズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/053753
【国際公開番号】WO2008/100957
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509213509)ディーエックスヴイ ウォーター テクノロジーズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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