説明

水流噴出装置

【課題】ノズル体と電動切替弁とが配管レスで一体に接続可能とし、さらに入浴者の異なる部位に順番に集中的に水流を当てながら異なる部位をそれぞれ順番に効果的にマッサージすること。
【解決手段】電動切替弁7は、通水孔29と連通・遮断可能な互いに隣接配置された一対の流出口13a1、13a2と、モータ10により回動して一対の流出口13a1、13a2からの水の流量比を変化させる回動弁体11とを備える。ノズル体24は、互いに略平行に並設されて一対の流出口13a1、13a2に対して嵌め込みにより直結可能な一対の直結流路部2a1,2a2と、一対の直結流路部2a1,2a2からの水を噴出口2内部に向かって異なる方向から合流させると共に回動弁体11による水の流量比の変化に応じて噴出口2からの噴出方向が変化するような傾斜面2b1,2b2を有する合流流路部36を備えた噴出方向可変型ノズル体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴しながら水流により身体のマッサージができる水流噴出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽に水流(浴水又は気泡入り浴水)を噴出して浴槽に入浴している人に衝突させてマッサージすることが行われている。このような従来例として例えば特許文献1が知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来例にあっては、浴槽の複数箇所に浴槽に入浴する入浴者に向けて水流を噴出するための複数の噴出口を設け、例えば腰から背中にかけての部位に噴出口から水流を噴出する場合、腰から背中にかけての部位に存在する複数箇所のツボに同時に水流が当たるように腰から背中にかけての広い部位に水流が当たるように噴出させている。ところが、異なる位置にある複数のツボに水流が同時に当たるので、身体の特定の一部の部位(例えばツボのある部位)を局部的に集中して効果的なマッサージができないことになり、マッサージ効果が弱いという問題がある。
【0004】
そこで、本発明者らは、本発明に至る過程で、ポンプと噴出口との循環流路の途中に電動切替弁を設置して、ポンプからの水を電動切替弁を介して複数の噴出口に分配し、且つ電動切替弁によって各噴出口から噴出する水流を変化させることで、異なる部位に順番に集中的に水流を当てて押し擦すようにして異なる部位をそれぞれ順番に効果的にマッサージできるようにする水流噴出装置を開発した。
【0005】
ところがこの水流噴出装置では、図8に示すように、浴槽の壁に噴出口2を取り付け、浴槽の外側に電動切替弁7(三方弁)を設置し、電動切替弁7と噴出口2とを配管21bを用いて連通接続するようにしている。このため、配管数が増えて配管コストがかさみ、特に噴出口2を浴槽の複数個所に設置する場合は、電動切替弁7の分配方向が多くなり、これに伴い配管作業の手間と配管コストが増大するという問題があり、さらに配管スペースを必要とするために、例えば、浴槽の外側にカランなどへの一次配管がある場合は配管スペースが制約され、施工の自由度が損なわれるという問題がある。
【0006】
さらに、1つの噴出口2から水流を噴出させるにあたって、一定方向に噴出する水流が身体のごく狭い部位に局部的に当たるように水流を絞ることが考えられ、このようにすると身体のごく一部の部位のみを集中的にマッサージできるが、該身体のごく一部の部位に水流を当てての集中的なマッサージに引き続いて、近くの別の部位に水流を当ててその部位を集中的にマッサージしようとする場合は、当該別の部位に水流が当たるように浴槽内で身体を動かす必要があり、煩わしくて入浴のリラックス感が損なわれるという問題もある。
【特許文献1】特開2003−250854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ノズル体と電動切替弁とが配管レスで一体に接続可能となり、これにより配管作業の手間と配管コストの低減化を図ると共にノズル体と電動切替弁間の配管圧損による流量低下を防止でき、さらに施工の自由度を高めることができ、そのうえ浴槽に入って入浴する入浴者が浴槽内で身体を動かすことなく、入浴者の異なる部位に順番に集中的に水流を当てながら異なる部位をそれぞれ順番に効果的にマッサージできるようにした水流噴出装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、浴槽1内の入浴者Mに向けて水流を噴出させるための噴出口2を有するノズル体24と、ポンプ6からの水をノズル体24に切替供給する電動切替弁7とを備えた水流噴出装置において、上記電動切替弁7は、ポンプ6からの水が供給される通水孔29と、通水孔29に連通・遮断可能な互いに隣接配置された一対の流出口13a1、13a2と、モータ10により回動して上記一対の流出口13a1、13a2からの水の流量比を変化させるための回動弁体11とを備えており、上記ノズル体24は、先端側に噴出口2を備え、後端側に互いに略平行に並設されて上記一対の流出口13a1、13a2に対して嵌め込みにより直結可能な一対の直結流路部2a1,2a2を備えると共に、上記一対の直結流路部2a1,2a2からの水を噴出口2内部に向かって異なる方向から合流させると共に上記回動弁体11による水の流量比の変化に応じて噴出口2からの噴出方向が変化するような傾斜面2b1,2b2を有する合流流路部36を備えていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、1つのノズル体24に設けた一対の直結流路部2a1,2a2を電動切替弁7に設けた一対の直結流出口13a1、13a2に対して嵌め込みにより直結することにより、ノズル体24と電動切替弁7とを配管レスで一体に接続できるようになる。従って、従来のようにノズル体24と電動切替弁7とを別の位置に設置して配管で接続する必要がなくなり、配管作業の手間と配管コストの低減化を図ることができると共にノズル体24と電動切替弁7間の配管圧損による流量低下を防止できるようになる。さらに従来のように浴槽1の外側Fに電動切替弁7とノズル体24との配管スペースを確保する必要がないため、施工の自由度を高めることができる。さらに、ノズル体24の噴出口2から浴水又は気泡入りの浴水を噴出して浴槽1に入っている入浴者Mに向けて水流を当ててマッサージするに当たり、回動弁体11の回動動作と傾斜面2b1,2b2を有する合流流路部36とによって、噴出口2から噴出する水流が噴出方向を変化させつつ噴出することができるので、入浴者Mが身体を動かさなくても入浴者Mの身体の水流の当たる部位が連続的に変化し、これにより、水流で押し擦るようにして身体の比較的広い部位を順番にマッサージでき、このように水流により押し擦るようにしてマッサージができるので、身体の異なる部位にある複数のツボを一つずつ順番に集中的に押し擦るように水流を当ててマッサージでき、水流による効果的なマッサージ、特に効果的なツボマッサージが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ノズル体と電動切替弁とを配管レスで一体に接続することにより、配管作業の手間と配管コストの低減化を図ることができると共に配管圧損による流量低下を防止できるものであり、また浴槽の外側に電動切替弁とノズル体間の配管スペースを確保する必要もないため、施工の自由度を高めることができるものである。さらに、噴出口から水流を噴出して入浴者に水流を当ててマッサージする際、噴出方向を変化させつつ入浴者の身体に身体に当てることができるので、噴出浴槽に入って入浴する入浴者が浴槽内で身体を動かすことなく、入浴者の異なる部位に順番に集中的に水流を当てて押し擦すようにして異なる部位をそれぞれ順番に効果的にマッサージでき、入浴のリラックス感を高めることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
図3に示すように、浴槽1は一端部側が入浴者Mの足先側が位置する足先配置部14となり、他端部側が入浴者Mの頭部側が位置する頭部配置部15となっており、ここで、本発明においては、上記足先配置部14側を後、頭部配置部15側を前と定義し、足先配置部14と頭部配置部15とを結ぶ方向を前後方向(X方向)と定義している。また、平面視において、足先配置部14と頭部配置部15とを結ぶ方向である前後方向と直交する方向を左右方向(Y方向)と定義しており、浴槽1が平面視略長方形状、あるいは平面視略楕円形状をしたものにおいては、浴槽1の長辺と平行な方向が前後方向であり、短辺と平行な方向が左右方向である。
【0013】
入浴者Mが、浴槽1内の一端部側である足先配置部14側に足先側を位置させ且つ他端部側である頭部配置部15側に頭部側を位置させるという一般的な浴槽1への入浴姿勢を取って入浴した場合、図3に示すように、入浴者Mの臀部を浴槽1の底面部19の前側端部(頭部配置部15側の端部)寄りの部分に置いて背中を頭部配置部15側(前側)の側壁部16aに当接又は僅かな隙間をあけて対向させて沿わせると共に、下肢を緩やかにく字状に曲げて足先を足先配置部14側(後側)の側壁部16bの下部又は底面部19の足先配置部14側の端部付近に位置させるという入浴姿勢となるものである。この場合、両腕を身体の両側に自然に沿わせると、両腕は身体の胴部分の両側から両下肢の大腿部に沿って配置される姿勢となる。
【0014】
ここで頭部配置部15側(前側)の側壁部16aは、入浴者Mが上記のような一般的な入浴姿勢を取って、入浴者Mの臀部を浴槽1の底面部19の前側端部(頭部配置部15側の端部)寄りの部分に置いた場合、背中を沿わせることができるように他の側壁部に比べて緩やかに傾斜している。
【0015】
上記のような一般的な入浴姿勢で入浴した場合、底面部19は前側の端部寄りの部位が臀部置き部17となり、底面部19の後側端部と上記臀部置き部17との間の部分の上方が入浴者Mの下肢が位置する下肢配置部18となっている。
【0016】
浴槽1の底面部19や側壁部16(前側の側壁部16a、後側の側壁部16b、左右の側壁部)には浴水又は気泡入り浴水等の水流を浴槽1に入って上記のような一般的な入浴姿勢をとって入浴している入浴者Mの身体の一部に向けて水流を噴出するための噴出口2を有するノズル体24が設けてある。
【0017】
また、浴槽1の側壁部16には浴槽1内の浴水を吸い込むための吸い込み口20が設けてあり、吸い込み口20とノズル体24とが循環用水路21により連通接続してある。該循環用水路21の途中にはポンプ6が設けてあり、ポンプ6を駆動することで浴槽1内の浴水を吸い込んで電動切替弁7を介してノズル体24に供給し、ノズル体24の噴出口2から浴槽1内に噴出するようになっている。
【0018】
図3中の35は上記ポンプ6及び電動切替弁7のモータ10の駆動を制御するための制御部である。
【0019】
上記のように噴出口2から浴水又は気泡入りの浴水等の水流を浴槽1内に噴出して入浴者Mの身体に水流を当ててマッサージするに当たって、本例においては、噴出口2から噴出する水流の噴出方向を変化させつつ噴出させるようにした電動切替弁7を備えている。
【0020】
ここで、本発明においては、電動切替弁7は後述する取り付け手段25(図4)を用いて浴槽1の側壁部16a又は16bに取り付けられる。なお側壁部16a,16bに取り付けられる電動切替弁7は同じ構造をしている。
【0021】
上記電動切替弁7は、図1、図4〜図6に示すように略円筒形の弁本体8と、弁本体8の孔9に回動自在に嵌め込まれた回動弁体11と、回動弁体11を回動するためのモータ10とより構成してある。
【0022】
回動弁体11には一端が軸方向の端部に開口した通水孔29が設けてあり、通水孔29の他端は回動弁体11の側面部に設けた弁口12に連通している。弁本体8の孔9の壁面における弁口12の回動軌跡上の複数箇所にそれぞれ対応する位置に複数の流出口13を設けてある。図1、図4〜図6の実施形態には3つの流出口13a1,13a2,13bを周方向に隔設して設けた例が示してあり、そのうち一対の流出口13a1,13a2が互いに平行に隣接配置された筒状に形成されており、この互いに平行に隣接配置された一対の流出口13a1,13a2(以下、「一対の直結流出口13a」という。)に対して後述のノズル体24の一対の直結流路部2aが直結可能とされている。なお、残りの1つの流出口13bは上記一対の直結流出口13aとは180°離れた反対側から筒状に突設しており、この流出口13bには送り配管21d(図3)を介して別のノズル体24に接続されるようになっている。
【0023】
弁本体8には、図7(a)に示すように、回動弁体11の通水孔29の軸方向の一端の開口に常時連通する流入孔30が設けてあり、この流入孔30は循環用水路21(図3)の一部を構成する配管21aによりポンプ6と連通接続してある。ここで、ポンプ6をオンにした状態で回動弁体11をモータ10で回動することで、図7(b)のように一対の直結流出口13a(13a1、13a2)に水が流れる状態から、図7(c)のように流出口13a1と流出口13bの両方に流量比を変えながら流れる状態(図7(c)には流量比が等しい段階を示す)を経て、図7(d)のように流出口13b、13a2に水が流れる状態というように、流出口13a1,13a2,13bへの水の流れる流量比を変化させながら3方向に順次水を分配させる仕組みとなっている。
【0024】
また本例では、図2に示すように、浴槽1の外側Fに配置される電動切替弁7の弁本体8の外周部には、円環状フランジ部8aが突設されており、弁本体8とは別体に鍔状の取付枠5が配置され、取付枠5の内側に上記一対の直結流出口13a(13a1、13a2)が一体形成されており、円環状フランジ部8aの周方向に複数設けられたネジ止め部8bと取付枠5の後面の周方向に複数設けられたネジボス5aとをネジ具4にて締結することによって、弁本体8に対して取付枠5が固着一体化されている。
【0025】
上記電動切替弁7は、取り付け手段25を用いて浴槽1の側壁部16a(16b)に取り付けられる。本例の取り付け手段25は、図2に示すように、浴槽1に設けた開口部16cに挿入される挿入管26と、ノズル体24の噴出口2を浴槽1の内側Eに露出させた状態で挿入管26にネジ締めされるリングカバー28と、浴槽1の外側に配置される空気取り込み管27とを備えている。
【0026】
上記電動切替弁7の取付枠5には、空気取り込み管27の後端部が取り付けられている。図2の例では、取付枠5の前面の周方向に複数設けられたネジボス5bと、上記挿入管26にネジ止めされている空気取り込み管27の後端部の周方向に複数設けられたネジボス(図示せず)とをネジ3にて締結することによって、取付枠5に対して空気取り込み管27が固着一体化されている。この空気取り込み管27の中央側には空気取り入れ口22が設けられており、後述するノズル体24の噴出口2から噴出する水流にエジェクター作用により空気取り入れ口22から空気流路22a,22b(図1)を経て噴出口2内部に空気を吸い込んで混入させることにより、ノズル体24の噴出口2から気泡入り浴水を噴出できるようにしている。なお、空気取り入れ口22には浴室内の空気、或いは、酸素富化装置からの酸素濃度の高い空気のいずれかを取り込むようにしてもよい。
【0027】
一方、挿入管26は、浴槽1に設けた開口部16cに挿入された状態で、挿入管26の一端側に設けたフランジ部26aが浴槽1の内壁面16dに薄肉パッキン部31aを介して当接するようになっている。挿入管26の他端側に設けた外ネジ26b(図5)は浴槽1の外側Fに突出し、この外ネジ26bに対して上記空気取り込み管27の前端側に設けた内ネジ27a(図5)をネジ締めすることにより、挿入管26と空気取り込み管27とが締結される。さらに、空気取り込み管27の前端外周部には浴槽1の外壁面16eに当接されるフランジ部27bが突設されており、挿入管26と空気取り込み管27との締め付け状態で、挿入管26のフランジ部26aと空気取り込み管27のフランジ部27bとで浴槽1の開口部16cの外周縁を挟持する状態となり、これにより挿入管26と空気取り込み管27とが浴槽1の側壁部16aを挟んで互いに固定された状態となる。本例では両フランジ部26a,27b間に水密用パッキン31を介在させており、浴槽1内の水が外側Fに漏れないようにしている。本例の水密用パッキン31は、挿入管26のフランジ部26aと浴槽1の内壁面16dとの間に介在される薄肉パッキン部31aと、空気取り込み管27のフランジ部27bと浴槽1の外壁面16e間に介在される厚肉パッキン部31bとが一体形成されている。
【0028】
次に、ノズル体24を説明する。本例のノズル体24は、図1に示すように、先端側に噴出口2を備え、後端側に電動切替弁7の上記一対の直結流出口13a(13a1、13a2)に対して嵌め込みにより直結可能な筒状をした一対の直結流路部2a(2a1,2a2)を備えており、直結流路部2a1,2a2の外周先端には防水リング34が嵌合している。一対の直結流路部2a1,2a2の先端側には、一対の直結流路部2a1,2a2からの水を噴出口2内部に向かって異なる方向から合流させる合流流路部36が設けられており、電動切替弁7の回動弁体11の回動により一対の直結流出口13a(13a1、13a2)における流量比の変化に応じて噴出口2からの噴出方向イ〜ハが変化するように傾斜した傾斜面2b1,2b2を備えている。これにより、合流流路部36からの水を噴出口2から噴出させる際に回動弁体11により噴出方向イ〜ハを変化させつつ噴出させることができるようになっている。
【0029】
上記ノズル体24はリングカバー28にて取り付けられる。本例ではノズル体24の外周部に、リングカバー28と前記挿入管26との間で挟持される外周リブ33が突設されている。先ず、浴槽1の内側Eからはノズル体24の一対の直結流路部2a(2a1,2a2)を挿入管26内に挿入して、浴槽1の外側Fに予め取り付けられている電動切替弁7の一対の直結流出口13a(13a1、13a2)に嵌め込むことにより、両者が配管レスにて一体に直結された状態(図5、図6)となる。その後、浴槽1の内側Eからリングカバー28を挿入管26に嵌め込む。ここでは、リングカバー28の内周側にリングカバー28の軸方向と平行な外ネジ28aと、ノズル体24の外周リブ33の前面の周方向の複数個所に設けられた小突起33aに摺接可能な押圧面28bとが形成されている。またリングカバーの外径寸法は挿入管のフランジ部よりひと回り大きく形成されている。一方、挿入管26の前端側の内面には内ネジ26cが形成され、内ネジ26cよりも奥側にノズル体24の外周リブ33の他面に当たる段差部26dが形成されている。そして、浴槽1の内側Eからリングカバー28を回転操作して挿入管26にネジ締めすることで、リングカバー28と挿入管26とが互いに締結されると共に、ノズル体24の外周リブ33に設けた複数の小突起33aをリングカバー28の押圧面28bが押圧するようになり、外周リブ33とリングカバー28の押圧面28bとの接触面積を減らしつつ外周リブ33を押圧面38bと挿入管26の段差部26dとの間で挟持でき、ノズル体24がリングカバー28と挿入管26とを介して浴槽1の壁に取り付けられた状態となる。
【0030】
しかして、電動切替弁7の取付枠5を空気取り込み管27にネジ止めし、ノズル体24の一対の直結流路部2a1,2a2を電動切替弁7の一対の直結流出口13aに対して前方(浴槽1の内側E)から嵌め込み、その後、リングカバー28をネジ止めする作業手順で、電動切替弁7を浴槽1の壁に取り付けることができると共に、この電動切替弁7に対してノズル体24を配管レスで一体に接続できるので、従来のようにノズル体24と電動切替弁7とを別の位置に設置して配管で接続する必要がなくなり、配管コストを低減できると共に、配管圧損による流量低下という問題もなくなる。またノズル体24を浴槽1の複数個所に設置する場合において電動切替弁7の分配方向が多くなった場合でも、配管の数が増えるのを防いで配管作業の手間と配管コストの低減化を図ることができる。さらに電動切替弁7を浴槽1の壁に取り付けることができるので、浴槽1の外側Fに従来のような電動切替弁7とノズル体24間の配管スペースを確保する必要もなく、浴槽1の外側Fに例えばカランなどへの一次配管がある場合でも、電動切替弁7の設置に支障をきたすことがなく、施工の自由度を高めることができる利点がある。
【0031】
さらに、上記ノズル体24の噴出口2から水流を噴出して入浴者Mに水流を当ててマッサージする際、回動弁体11の回転により一対の直結流出口13aからの流量比を変化させることで、合流流路部36の傾斜面2b1,2b2を利用して噴出口2からの噴出方向イ〜ハを変化させて入浴者Mの身体に身体に当てることができる。ここで、合流流路部36の一例を図1に示す。図1に示す実施形態では、一方の直結流路部2a1の延長線上に、合流流路部36の中心側に向かって傾斜した傾斜面2b1が突設されており、他方の直結流路部2a2の延長線上に、合流流路部36の中心側に向かって傾斜した傾斜面2b2が突設されている。これら傾斜面2b1,2b2は合流流路部36内部で互いに交差するように逆方向に傾斜している。そして、図7(b)のように直結流出口13a1、13a2にそれぞれ水が流れる時は、噴出口2からの水流の噴出方向は図1の矢印ロ方向となり、回動弁体11が回転して図7(c)のように一方の直結流出口13a1のみに水が流れるときは、噴出口2からの水流の噴出方向は図1の矢印ハ方向となり、更に、回動弁体11が回転していって図7(d)のように他方の流出口13b及び他方の直結流出口13a2に水が流れる時は噴出口2からの水流の噴出方向は図1の矢印イ方向となる。このように水流の噴出方向イ〜ハを変化させながら噴出させることができるので、ノズル体24は噴出方向イ〜ハが変化するスイングノズル(噴出方向可変型ノズル)となる。これにより、図3のように浴槽1に入って入浴する入浴者Mが浴槽1内で身体を動かすことなく、入浴者Mの異なる部位に順番に集中的に水流を当てて押し擦すようにして異なる部位をそれぞれ順番に効果的にマッサージできる。特に身体の異なる部位にある複数のツボを一つずつ順番に集中的に押し擦るように水流を当ててツボマッサージを効果的にできる。
【0032】
また本例では、足先側の電動切替弁7の一対の直結流出口13a1,13a2に足裏用のノズル体24を直結すると共に、残りの流出口13bを送り配管21dを介してふくらはぎ用のノズル体24に配管接続されており、回動弁体11が回転して図7(c),(d)のように流出口13bに水が流れる時は、ふくらはぎ用のノズル体24から水流が噴出するようになり、足裏からふくらはぎにわたって順次マッサージ効果が得られるようになる。同様に、腰側の電動切替弁7においても、流出口13bを送り配管21dを介してふともも用のノズル体24に配管接続されているので、回動弁体11が回転して図7(c),(d)のように流出口13bに水が流れる時は、ふともも用のノズル体24から水流が噴出するようになり、ふとももから腰、背中にわたって順次マッサージ効果が得られるようになる。
【0033】
さらに本例では、リングカバー28を挿入管26にネジ止めにより着脱可能に取り付けることで、リングカバー28の当接部28bと挿入管26の段差部26dとの間でノズル体24の外周リブ33を挟持しているので、ノズル体24の点検或いは交換を行なう際には、リングカバー28を挿入管26から取り外すだけで、ノズル体24を簡単に取り外すことができ、メンテナンス作業を容易に行なえる利点もある。
【0034】
なお前記実施形態では、リングカバー28と挿入管26と空気取り込み管27とをそれぞれネジ締結により連結し、また空気取り込み管27と弁本体8の円環状フランジ部8aと取付枠5とをそれぞれネジ具にて連結したが、これに限らず、例えば嵌合方式で連結したり、接着剤を用いて固着する方法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示す電動切替弁の破断斜視図である。
【図2】同上の電動切替弁の斜視図である。
【図3】同上の電動切替弁とノズル体とを備えた水流噴出装置の概略構成図である。
【図4】同上の電動切替弁及びノズル体の取り付け手順を説明する側面断面図である。
【図5】同上の電動切替弁及びノズル体の取り付け後の側面断面図である。
【図6】同上の電動切替弁及びノズル体の取り付け後の破断斜視図である。
【図7】同上に用いる電動切替弁の一実施形態を示し、(a)は平面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ回動弁体の回動状態を示す説明図である。
【図8】従来の電動切替弁と噴出口とを配管で接続した場合の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 浴槽
2 噴出口
2a1,2a2 直結流路部
6 ポンプ
7 電動切替弁
11 回動弁体
13a1、13a2 流出口
24 ノズル体
29 通水孔
36 合流流路部
M 入浴者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の入浴者に向けて水流を噴出させるための噴出口を有するノズル体と、ポンプからの水をノズル体に切替供給する電動切替弁とを備えた水流噴出装置において、上記電動切替弁は、ポンプからの水が供給される通水孔と、通水孔に連通・遮断可能な互いに隣接配置された一対の流出口と、モータにより回動して上記一対の流出口からの水の流量比を変化させるための回動弁体とを備えており、上記ノズル体は、先端側に噴出口を備え、後端側に互いに略平行に並設されて上記一対の流出口に対して嵌め込みにより直結可能な一対の直結流路部を備えると共に、上記一対の直結流路部からの水を噴出口内部に向かって異なる方向から合流させると共に上記回動弁体による水の流量比の変化に応じて噴出口からの噴出方向が変化するような傾斜面を有する合流流路部を備えていることを特徴とする水流噴出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−159666(P2007−159666A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356998(P2005−356998)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】