説明

水溶性バインダ鋳型造型用金型装置

【課題】 水溶性バインダを粘結剤として造型した鋳型は離型が悪い。
【解決手段】粒子状骨材、1種類以上の水溶性バインダおよび水を撹拌して生成した発泡状混合物により鋳型を造型するに当たり、発泡状混合物が充填されて鋳型を造型する金型装置において、鋳型が離型しにくい部分に耐熱性と離型性を有する物質で製作した部品4を埋設するか、および/または鋳型が離型しにくい部分を耐熱性と離型性を有する物質の膜で被覆したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子状骨材、1種類以上の水溶性バインダおよび水を撹拌して生成した発泡状混合物により鋳型を造型するに当たり、前記発泡状混合物が充填されて鋳型を造型する金型装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鋳造後の崩壊性が良いとして水溶性バインダを粘結剤として粒子状骨材により鋳型を造型することが提案されている。
しかし、このような水溶性バインダを粘結剤として造型した鋳型は、金型表面に水溶性バインダが貼り付き易いため離型が悪いなどの問題があった。
【特許文献1】特開平11−129054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、水溶性バインダを粘結剤として造型した鋳型は離型が悪い点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の問題を解消するために本発明における水溶性バインダ鋳型造型用金型装置は、粒子状骨材、1種類以上の水溶性バインダおよび水を撹拌して生成した発泡状混合物により鋳型を造型するに当たり、前記発泡状混合物が充填されて鋳型を造型する金型装置であって、前記鋳型が離型しにくい部分に耐熱性と離型性を有する物質で製作した部品を埋設するか、および/または前記鋳型が離型しにくい部分を耐熱性と離型性を有する物質の膜で被覆したことを特徴とする。
【0005】
このように構成したものは、鋳型が離型しにくい部分に耐熱性と離型性を有する物質で製作した部品を埋設するか、および/または鋳型が離型しにくい部分を耐熱性と離型性を有する物質の膜で被覆したため、鋳型の金型からの分離が容易になる。
【0006】
なお、本発明において耐熱性と離型性を有する物質としては、PTFE樹脂(テトラフロロエチレン樹脂)、PFA樹脂(パーフロロアルコキシ樹脂)等がある。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、粒子状骨材、1種類以上の水溶性バインダおよび水を撹拌して生成した発泡状混合物により鋳型を造型するに当たり、前記発泡状混合物が充填されて鋳型を造型する金型装置であって、前記鋳型が離型しにくい部分に耐熱性と離型性を有する物質で製作した部品を埋設するか、および/または前記鋳型が離型しにくい部分を耐熱性と離型性を有する物質の膜で被覆したから、鋳型を金型から容易に分離することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した水溶性バインダ鋳型造型用金型装置の最良の形態について、図1および図2に基づき詳細に説明する。図2に示すように、水平割り金型の上型1における発泡状混合物の充填位置には、発泡状混合物充填口部品2が着脱可能にして取り付けてあり、この発泡状混合物充填口部品2は、図1に示すように、円筒状を成しかつ外面の上端部および中段部にフランジを有する外筒3と、この外筒3に内設され耐熱性と離型性を有するPTFE樹脂で製作した内筒4とで構成してある。
【0009】
このように構成したものは、発泡状混合物充填口部品2の内筒4が、耐熱性と離型性を有するPTFE樹脂で構成してあるため、内筒4内の発泡状混合物が硬化して鋳型の一部を構成する部分を、発泡状混合物充填口部品2から容易に分離することができる。
【0010】
なお、上述の最良の形態では、発泡状混合物充填口部品2の内面をPTFE樹脂製の内筒4によって構成してあるが、これに限定されるものではなく、内筒4と同じ耐熱性と離型性を有する物質で被覆しても同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の最良の形態の縦断面図である。
【図2】本発明の発泡状混合物充填口部品を取り付けた水平割り金型の上型の縦断面図である。
【符号の説明】
【0012】
2 発泡状混合物充填口部品
3 外筒
4 内筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状骨材、1種類以上の水溶性バインダおよび水を撹拌して生成した発泡状混合物により鋳型を造型するに当たり、前記発泡状混合物が充填されて鋳型を造型する金型装置であって、
前記鋳型が離型しにくい部分に耐熱性と離型性を有する物質で製作した部品を埋設するか、および/または前記鋳型が離型しにくい部分を耐熱性と離型性を有する物質の膜で被覆したことを特徴とする水溶性バインダ鋳型造型用金型装置。
【請求項2】
前記鋳型が離型しにくい部分は、水平割り金型の上型に取り付けた発泡状混合物充填口部品の内面であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性バインダ鋳型造型用金型装置。
【請求項3】
前記鋳型が離型しにくい部分は、凹凸が激しい複雑形状のキャビティ面であることを特徴とする請求項1または2に記載の水溶性バインダ鋳型造型用金型装置


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−198625(P2006−198625A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10080(P2005−10080)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】