説明

水産動物の種及び/又は系統の判別方法

【課題】水産動物そのもの又は水産加工品の原料の一部又は全部として用いられた水産動物において種及び/又は系統を判別する方法の提供。
【解決手段】水産動物の体色遺伝子の塩基配列、さらに水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列における、種及び/又は系統に特異的な部位の情報により、水産動物の種及び/又は系統を判別する。
【効果】水産動物の加工、流通において、原料の種及び/又は系統を科学的、客観的かつ正確に検証が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水産動物そのもの又は水産加工品の原料として用いられた水産動物について、種及び/又は系統を判別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水産動物の種の判別は形態分類に基づいて行われる。例えばトラフグとカラスフグは背側と鰭の黒色で判別され、マフグは体型、固体、模様が異なる個体であっても、体表に粘液があることでマフグと判別されている。この為、判別には必要な部位が存在しなければならず、熱処理等の加工を受けた魚体等では判別が困難である。例えば、フグは身かきと称する処理された状態で流通されているが、原料の魚種によって商品価値が大きく異なる。しかし、その魚種はラベルの表示内容や取り扱い業者の経験に基づいて判断されている。また、タイの加工品から原料の魚種を判別することは熟練者でも困難である。このため、魚種を判別するための化学的手法として、魚体成分を比較する方法も報告されているが(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)、これらは、魚の年齢、生息環境、保存、加工の影響を受け、正確を期し難い。
【0003】
また、分子生物学の進歩により、リボゾームRNA遺伝子、ミトコンドリアDNA、サテライトの塩基配列を比較して魚種を判別する方法が報告されているが(例えば、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5参照)、魚類のリボゾームRNA遺伝子では多型が多く、広い範囲の魚類リボゾームRNA遺伝子を増幅するプライマーが作り難い。さらにリボゾームRNA遺伝子とそのスペーサー領域を比較してサバ属の種を判別する方法が報告されているが(例えば、特許文献1参照)、リボゾームRNA遺伝子のスペーサー領域は、種ごとに変異が起き易く、魚種によっては十分に判別できないという問題がある。
【0004】
一方、ミトコンドリアDNAの塩基配列の比較やサテライトを用いるフィンガープリントは変異が大きく、個体判別には有効であるが、種の判別には向かない。さらに、水産動物には、交雑種がみられるが、前記の遺伝子のリボゾーム遺伝子やサテライトはゲノム内コピーが多数存在するため対立遺伝子の塩基配列の違いが明確に現われず、ミトコンドリアDNAは細胞内遺伝子であるため、父系の情報は含まれていないという問題がある。
このように、水産動物そのもの又は水産加工品の原料として用いられた水産動物について種及び/又は系統を客観的かつ正確に判別できる方法は確立されていない。
【特許文献1】特開2002-345498号公報
【非特許文献1】Identifying Fish: A Chemical Method, I. M. Mackie, Torry Advisory Note No.59, Torry Research Station、Ministry of Agriculture, Fisheries and Food, UK.
【非特許文献2】免疫血清, 薄層等電点電気泳動および高速液体クロマトグラフィーによる肉種 鑑別法の比較, 北田善三・富田晋・島田吉隆・池田義照・塩川俊男, 日本食品工業学会誌, 37, No.5, 383-389, 1990.
【非特許文献3】18SリボゾームRNAによる獣肉, 鳥肉, 魚肉の特定, 松永孝光, 柴田清弘, 山田順一, 新村裕, 千国幸一, 日本食品科学工学会誌, 45, No.12, 719-723, 1998.
【非特許文献4】Authentication of canned tuna and bonito by sequence and restriction site analysis of polymerase chain reaction products of mitochondrial DNA. J.L. Ram, M.L. Ram, F.F. Baidoun, J. Agr. Food. Chem., 44, 2460-2467, 1996.
【非特許文献5】Identification of chub and spotted mackerels with mitochondrial cytochrome b gene and its application to respective pelagic eggs fixed with formalin. K. Sezaki, Y. Kuboshima, I. Mitani, S. Watabe, Nippon Suisan Gakkaishi, 67, 17-22, 2001.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の状況に鑑み、本発明は、水産動物そのもの又は水産加工品の原料として用いられた水産動物について、種及び/又は系統を客観的かつ正確に判別する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、水産動物の体色遺伝子の塩基配列における種に特異的な部位の情報により、さらに水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列に含まれる種及び/又は系統に特異的な部位の情報により、水産動物そのもの又は水産加工品の原料として用いられた水産動物の種及び/又は系統を判別できることを見出し、さらに試験・研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
上記の課題を解決するための本発明のうち、特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、水産動物の体色遺伝子の塩基配列を用いる水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
【0008】
同請求項2に記載する発明は、次の1)、2)の工程を含む水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
1)水産動物の体色遺伝子の塩基配列を比較することにより、この塩基配列に含まれる水 産動物の種及び/又は系統に特異的な部位を決定する工程
2)工程1)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【0009】
同請求項3に記載する発明は、次の1)〜3)の工程を含む水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
1)水産動物の体色遺伝子の塩基配列を決定する工程
2)工程1)にて得られた体色遺伝子の塩基配列を比較することにより、この塩基配列に 含まれる水産動物の種及び/又は系統に特異的な部位を決定する工程
3)工程2)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【0010】
同請求項4に記載する発明は、以下のa又はbの少なくとも1の工程により、水産動物の体色遺伝子の塩基配列を増幅することで、水産動物の体色遺伝子の塩基配列を決定する請求項3に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
a.水産動物の体色遺伝子の上流(5’側)及び下流(3’側)の塩基配列に相補的なプ ライマーを用いてPCRにより、水産動物の体色遺伝子を増幅することで、水産動物の 体色遺伝子の塩基配列を決定する工程
b.以下の1)〜3)からなる工程
1)水産動物の体色遺伝子の上流(5’側)の塩基配列に相補的なプライマー及び水産 動物の体色遺伝子の中間に存在する塩基配列に相補的なプライマーを用いてPCRに より、水産動物の体色遺伝子の上流域の断片を増幅する工程と、
2)水産動物の体色遺伝子の下流(3’側)の塩基配列に相補的なプライマー及び水産 動物の体色遺伝子の中間に存在する塩基配列に相補的なプライマーを用いてPCRに より、水産動物の体色遺伝子の下流域の断片を増幅する工程からなり、
3)増幅した上流域の断片及び下流域の断片の塩基配列の組み合わせにより、水産動物 の体色遺伝子の塩基配列を決定する工程
【0011】
同請求項5に記載する発明は、体色遺伝子が色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子(MC1R)である請求項1〜4のいずれかに記載の方法である。
【0012】
同請求項6に記載する発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の水産動物の体色遺伝子の塩基配列を用いる水産動物の種及び/又は系統の判別方法を第1手段とし、さらに水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を用いる水産動物の種及び/又は系統の判別方法を第2手段とする水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
【0013】
同請求項7に記載する発明は、次の1)、2)の工程を含む請求項6に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
1)水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩 基配列を比較することにより、この塩基配列に含まれる水産動物の種及び/又は系統 に特異的な部位を決定する工程
2)工程1)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【0014】
同請求項8に記載する発明は、次の1)〜3)の工程を含む請求項6に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
1)水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩 基配列を決定する工程
2)工程1)にて得られた18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー 1領域の塩基配列を比較することにより、この塩基配列に含まれる水産動物の種及 び/又は系統に特異的な部位を決定する工程
工程2)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【0015】
同請求項9に記載する発明は、水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域を含む塩基配列を決定する工程が、18SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列に相補的なプライマー及び/又は5.8SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列に相補的なプライマーを用い、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域を含む塩基配列を増幅する工程ことで、水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域を含む塩基配列を決定する工程である、請求項8に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法である。
【0016】
同請求項10に記載する発明は、プライマーが、18SリボゾームRNA遺伝子の保存領域の塩基配列に相補的なプライマー及び/又は5.8SリボゾームRNA遺伝子の保存領域の塩基配列に相補的なプライマーである請求項7〜9のいずれかに記載の方法である。
【0017】
同請求項11に記載する発明は、水産動物が、水産動物そのもの又は水産加工品の原料の一部あるいは全部として用いられた水産動物のいずれかである、請求項1〜10のいずれかに記載の方法である。
【0018】
同請求項12に記載する発明は、請求項1〜10のいずれかの方法に用いる水産動物の種及び/又は系統の判別キットである。
【0019】
同請求項13に記載する発明は、水産動物の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の全長を含む塩基配列を増幅するための配列表配列番号1〜4に記載のプライマーである。
【0020】
同請求項14に記載する発明は、水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を増幅するための配列表配列番号5及び6に記載のプライマーである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方法により、水産動物そのもの又は水産加工品の原料の一部あるいは全部として用いられた水産動物の種及び/又は系統を判別することができる。すなわち、本発明の方法により、現在あるいは将来流通する水産動物の種及び/又は系統を、科学的に客観的かつ正確に判別することが可能となる。
さらに、本発明の方法は、水産加工品の原料として用いられた水産動物が、例えば、フグ等の高級かつ毒性を有する魚であれば、その種及び/又は系統を判別することにより、その価値や毒性の判断に用いることができる。従って、水産加工品の流通において、原料として用いられた水産動物の種及び/又は系統を明確に提示することができ、消費者の信頼を高めることに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明において「水産動物」とは、水産動物そのもの又は水産加工品の原料の一部あるいは全部として用いられた水産動物のこととをいう。
本発明の「水産動物そのもの」とは、水性生物であれば脊椎動物でも無脊椎動物でもいずれの動物も含み、例えば、フグ、タイ、ヒラメ、マグロ、アジ、コイ、フナ、ウナギ、アナゴ、エビ、カニ、タコ、イカ、カキ、ハマグリ等の食用の魚介類の他、食用とならない魚介類や、ペット等の観賞用や試験用等のものを含む。
また、本発明において「水産加工品」には、水産動物の冷凍品及び食用加工品を含む。具体的には、水揚げされた水産動物を冷凍、切断等の1次処理をした状態のもの、切り身や身かきしたフレーク等を含む。また、1次処理をした後に、さらに加熱、塩蔵、日干し又は燻製等の処理をしたものや、水産動物を原料の一部又は全部として加工した練り製品や冷凍食品等の食用加工品を含む。これらには、加工工程の途中におけるものも含まれ、例えば、つみれや蒲鉾などの加工に用いるすり身等も含む。
【0023】
本発明の水産動物の種及び/又は系統の判別方法は、種々の魚種及び/又は系統について、判別したい魚種の体色遺伝子を対象として、その塩基配列を調べ、種に特異的な部位の情報を得ることで、種及び/又は系統を判別することを第1手段とする。水産動物の多くは第1手段の情報のみで判別できるが、体色遺伝子の情報のみでは判別が難しい近縁種間等については、さらに、第2手段として、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を調べ、種及び/又は系統に特異的な部位の情報を得ることが好ましい。得られた第1手段の情報及び第2手段の情報より種々の水産動物について、その種及び/又は系統を判別することができる。
すなわち、本発明の判別方法において、例えば、水産加工品等の原料として用いられた水産動物が未知の場合には、これらより得られる体色遺伝子、さらには18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列の情報により、水産動物の種及び/又は系統を判別することができる。
【0024】
本発明の判別方法に用いる体色遺伝子の塩基配列や、18SリボゾームRNA遺伝子とリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列は、既知であればそのまま本発明に用いることができる。
また、未知であれば従来知られているいずれの方法でも決定することができ、決定したものを本発明に用いることができる。例えば、対象となる遺伝子及び/又は領域について抽出したゲノムからPCRで増幅後、DNAシークエンサーやPCR-RFLP等によりその塩基配列を決定する方法、又はmRNAから5’ RACE、 3’RACE等の方法により塩基配列を決定する方法等が挙げられる。
【0025】
本発明の「体色遺伝子」とは、体色を決定することに関与するとされている遺伝子のことをいい、メラニンの生産に関わる酵素のチロシナーゼ遺伝子、メラニンの生産を促進するメラノサイト刺激ホルモン遺伝子、紫外線により色素胞を活性化させるエンドセリン遺伝子、メラニンの蓄積にかかわる色素胞刺激ホルモン受容体1(Melanocortin Receptor1:MC1R)遺伝子等を挙げることができる。従来の水産動物の形態分類においても体色は分類の大きな因子であることから、体色遺伝子の違いによる種の分類も関連が示唆される。本発明の体色遺伝子として、メラニンの黒色は特に水産動物のほとんどが体の一部に持つ色であるため、これに関する遺伝子を判別に用いることが好ましい。
【0026】
なかでも色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子は脊椎動物から無脊椎動物まで94%以上の高い相同性を示す、非常に保守的な遺伝子であり、なおかつ遺伝子における特定の部位が種ごとに多数認められる遺伝子である。従って、例えば、配列表配列番号1〜4に記載のプライマーのいずれかを、又はこれらを組み合わせて用いることで、種々の水産動物の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子を増幅できる。このように増幅された塩基配列を、DNAシークエンサーやPCR-RFLP等によって決定し、さらに、水性動物ごとに決定された塩基配列における特定部位を比較することで、ほとんどの水産動物の種及び/又は系統が判別できる。
さらに、色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子はゲノムに1コピーしか存在しないため、両親由来の本遺伝子の塩基配列の違いが明確に証明でき、水産動物の異種間での交雑個体の判別にも有効である。
【0027】
本発明において、「種及び/又は系統に特異的な部位」とは、体色遺伝子の塩基配列において、水産動物の種及び/又は系統ごとに塩基が異なる部位のことをいい、この一塩基多型や、一塩基多型を組み合わせたハプロタイプ等の情報により、水産動物の種及び/又は系統を判別することができる。
【0028】
また、ある水産動物の本遺伝子の塩基配列が、近縁種間のみならず遠縁種間でも見られる場合には、まず、色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列で他の種と判別し、さらに体色遺伝子と比較して種ごとに変異が起き易い18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を比較することで、両種を判別することができる。
このように、本発明では、体色遺伝子のような広範な種を判別できる遺伝子の塩基配列と、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列のような近縁な種を判別できる遺伝子の塩基配列の組み合わせにより、種々の水産動物について種及び/又は系統の判別をすることができる。
【0029】
本発明の判別方法では、体色遺伝子の塩基配列、さらに必要に応じて18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を判別に用いることから、これらの塩基配列を得ることができれば、水産加工品等の完全に分類の形質を失った試料からでも、その原料として用いた水産動物の種及び/又は系統を判別することができる。
【0030】
本発明において、「体色遺伝子の塩基配列に相補的なプライマー」としては、判別に用いる体色遺伝子の塩基配列を増幅できるプライマーであれば、相補的な配列の一部が置換、挿入、欠失により変わっているものであっても用いることができる。体色遺伝子の塩基配列の増幅にあたり、体色遺伝子の上流(5’側)遺伝子に相補的なプライマーと、下流(3’側)遺伝子に相補的なプライマーを用いることが好ましい。また、上流と下流のプライマーでは十分に増幅できない場合は、体色遺伝子の中間に存在するプライマーを組み合わせて用いることもできる。体色遺伝子として、色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子を増幅する場合では、例えば、配列表配列番号1〜4のプライマーのいずれか又は組み合わせを用いることができる。
【0031】
本発明において、18SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列及び/又は5.8SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列に相補的なプライマーとしては、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を増幅できるプライマーであれば、相補的な配列の一部が置換、挿入、欠失により変わっているものであっても用いることができる。
例えば、18SリボゾームRNA遺伝子の1110−1195番にある保存領域の塩基配列に相補的なプライマーとして、配列表配列番号5のプライマー及び/又は5.8SリボゾームRNA遺伝子の11−54番目にある保存領域の塩基配列に相補的なプライマーとして、配列表配列番号6のようなプライマーを用いることができる。
【0032】
さらに本発明の、体色遺伝子の塩基配列を得るためのプライマーや試薬、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を得るためのプライマーや試薬等を組み合わせ、水産動物の種及び/又は系統の判別キットとすることもできる。
【0033】
以下、本発明の詳細を実施例によって示すが、本発明はこれらによって制限されない。
【実施例1】
【0034】
第1手段:体色遺伝子の塩基配列を用いる手段
1.水産動物の体色遺伝子の増幅
(1)プライマーの作成
水産動物としてトラフグを用い、トラフグの皮をイソゲン(日本ジーン社製)とともに磨砕してmRNAを抽出した。この全mRNAを鋳型として、ヒト、イヌ、マウス、ニワトリ、チンパンジー、ウシ及びブタの遺伝子を比較して保存されている領域から作成したリン酸化プライマーを用い、5´Full RACE Core Set(タカラバイオ社製)により、cDNAを得た。このcDNAを環状化し、既知部分に相補的なforward及びreverseプライマーを用い、PCRによって増幅した後、得られた上流(5´側)の断片について塩基配列を決定した。
同様に全mRNAを鋳型として、3site Adapterプライマー(タカラバイオ社製)を用い、3´Full RACE Core Set(タカラバイオ社製)により、cDNAを得た。このcDNAを3site Adapterプライマー及び既知部分に相補的なプライマーを用い、PCRによって増幅した後、得られた下流(3´側)の断片について塩基配列を決定した。
PCRの反応条件;
変性94℃ 1分、アニーリング55℃ 1分、伸長反応72℃ 2分 (35サイクル)
最終の伸長反応 72℃ 5分
サーマルサイクラー2400(パーキンエルマー社製)使用
【0035】
上流(5´側)及び下流(3´側)の塩基配列の情報により色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列を決定した。トラフグの色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子は全長969bp、322アミノ酸をコードする遺伝子であった。
このトラフグの色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列を基に配列表配列番号1から配列番号4に記載のプライマーを作成した。作成したプライマーの配列番号、プライマー名等を表1に示した。
【0036】
【表1】

【0037】
(2)水産動物の体色遺伝子の増幅
試料となる水産動物として、フグ、タイ、アジ、サクラエビを用いた。フグとして、トラフグ、カラスフグ、ナシフグ、コモンフグ、ヒガンフグ、クサフグ、ヨリトフグ、シロサバフグ、クロサバフグ、マフグ、ショウサイフグ及びカナフグを、アジとしてアカアジ、マアジ及びモロを、タイとしてマダイ、ゴウシュウマダイ、アフリカマダイ、キダイ及びチダイを、サクラエビとしてアミサクラエビを用いた。
これらの水産動物の皮又は身からDNAを抽出した。これらのDNAを鋳型として、配列表配列番号1から配列番号4に記載のプライマーを用い、各水産動物においてPCRにより、色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の増幅を行った。増幅後の遺伝子は電気泳動により増幅の有無を調べた。
図1は試料となる水産動物の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の増幅の有無を示した電気泳動の図である。電気泳動により、それぞれの水産動物において、色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の増幅が確認できた。
【0038】
2.体色遺伝子における水産動物の種及び/又は系統に特異的な部位の決定
増幅された各水産動物の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子について、DNAシークエンサーを用いて塩基配列を決定した。図2は、試料となる水産動物の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列における各水産動物の種に特異的な部位を示した図である。図2の塩基配列の比較により、色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子における各水産動物の種に特異的な部位を決定した。
【0039】
3.部位の情報による水産動物の種の判別
図2に各水産動物の種に特異的な部位を示した。この特異的な部位は、ほとんどの水産動物によって位置が異なることが確認された。従って、この遺伝子の塩基配列を比較することにより、一定の種を判別できることが判明した。例えばフグであれば、トラフグ・カラスフグ・ヒガンフグのいずれか、ショウサイフグ・マフグ・ゴマフグ・シロサバフグのいずれか、クサフグ・ヨリトフグのいずれか、コモンフグ、カナフグ、クロサバフグのそれぞれに判別できることが示された。
【実施例2】
【0040】
第2手段:
18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を用いる手段
1.18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域を含む塩基配列の増幅
(1)プライマーの作成
サケの18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列の情報をもとに、プライマーを作成し、実施例1(2)で抽出した各水産動物のDNAを鋳型としてPCRを行い、生成した断片をサブクローニングして塩基配列を決定した。この塩基配列を基に、18SリボゾームRNA遺伝子1110−1195番にある保存領域の塩基配列に相補的なプライマー(配列表配列番号5)及び/又は5.8SリボゾームRNA遺伝子の11−54番目にある保存領域の塩基配列に相補的なプライマー(配列表配列番号6)を作成した。作成したプライマーの配列番号、プライマー名等を表2に示した。
【0041】
【表2】

【0042】
(2)水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列の増幅
体色遺伝子の塩基配列において、種の判別が難しかった水産動物として、トラフグ、カラスフグ、マフグ、ゴマフグ、ショウサイフグの各フグを試料として用いた。
これらの各フグの皮からDNAを抽出した。これらのDNAを鋳型として、配列表配列番号5及び配列番号6に記載のプライマーを用い、PCRにより、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写領域の塩基配列の増幅を行った。増幅後の遺伝子は電気泳動により増幅の有無を調べた。
【0043】
2.18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列における水産動物の種及び/又は系統に特異的な部位の決定
増幅された各フグの18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列について、DNAシークエンサーを用いて塩基配列を決定した。この塩基配列を比較して、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列における各フグの種に特異的な部位を決定した。
【0044】
3.部位の情報による水産動物の種及び/又は系統の判別
図3は、試料となる各フグの18S遺伝子の塩基配列における、各フグの種及び/又は系統に特異的な部位を示した図である。図3に示されるように、18SリボゾームRNA遺伝子の1205番目と1794番目に置換が見られ、トラフグとカラスフグが判別できた。さらに、トラフグ1とトラフグ2の群の間にも1794番目に置換があり、系統の違いが判別できた。
また、図4は、試料となる各フグのリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列における、各フグの種及び/又は系統に特異的な部位を示した図である。図4に示されるように、リボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列にも、ショウサイフグ、マフグ、ゴマフグについて置換が見られ、これらの種の違いを判断できた。さらに、マフグY1とマフグY7の間にも置換があり、系統の違いが判別できた。
従って、体色遺伝子の比較に加え、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を比較することでより確実な水産動物の種及び/又は系統の判別ができることが示された。
【実施例3】
【0045】
水産動物の判別(1)
図5は、マフグとして流通しているマフグの多様な形態を示した図である。図5では比較として、カラスフグ、トラフグ、ショウサイフグを示した。図5に示した各マフグを試料として、これらについて色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列を、実施例1と同様の方法で得て、その種及び/又は系統に特異的な部位を決定した。図6は、試料となる各マフグの色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列を示した図である。図5に示したマフグは、いずれもマフグとして取り扱われているが、図6に示したように例えばマフグY10とマフグY8のように、個体によって遺伝子の塩基配列が異なり、系統が異なる個体がいることが確認された。
また、マフグS11,マフグY11等のように、R,W,Yなどの塩基配列を有する異型遺伝子接合体である個体や、ショウサイフグ1及びマフグEx2や、マフグS11及びゴマフグ1の対立遺伝子の一方等のように、他の種のフグと同様の塩基配列を有するマフグを判別できることも示された。
【実施例4】
【0046】
水産動物の判別(2)
図5に示した商品として流通しているマフグS3を試料として、この色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列を、実施例1と同様の方法で調べ、その種及び/又は系統に特異的な部位を決定した。
図7は、試料より得られた塩基配列において、その対立遺伝子を比較することで、その試料が異型遺伝子接合体であることを判別した図である。図7に示したように、この個体は77番目、96番目、384番目、621番目、640番目に異なる塩基配列を持つ異種の遺伝子を有し、異型遺伝子接合体であることが判別された。このことより、本発明が交雑体の判別にも有効であることが確認された。
【実施例5】
【0047】
水産加工品「かまぼこ」の原料として用いられた水産動物(魚類)の種の判別
1.かまぼこの製法
エソ・アジ・スケトウタラ・フグの落とし身を、チョッパーにかけて細切後、水槽に入れて水にさらし、さらに、脱水、裏漉ししてすり身を得、このすり身に食塩を加えて、擂潰後、成形・蒸煮してかまぼこを作成した。
2.かまぼこの原料として用いられた魚類の種の判別
上記1.にて作成したかまぼこからDNAを抽出した。得られたDNAを鋳型として、配列表配列番号1から配列番号4に記載のプライマーを用い、PCRにより、かまぼこの原料として用いられた各魚類の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の増幅を行った。遺伝子の増幅の有無は電気泳動により調べた。
増幅されたかまぼこの原料として用いられた魚類の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子をTOPO PAクローニングキットバージョンR(インビトロジェン社製)を用い、TOPOベクターにサブクローニングし、得られたクローンの塩基配列をDNAシークエンサーを用いて決定した。得られた塩基配列と原料として用いられた各魚類の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列の比較により、かまぼこの原料として用いられた魚類の種を判別した。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の判別方法により、水産動物の加工、流通において原料の種及び/又は系統を科学的に客観的かつ正確に検証することができる。本発明の方法により、判別対象の水産動物の種及び/又は系統を明確に提示することで、消費者の信頼を高めることに役立つ。また、本発明の判別方法はフグ等の高級かつ毒性を有する魚において、その価値や毒性の判断に応用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】水産動物について、色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の増幅の有無を示した電気泳動の図である(実施例1)。
【図2】色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の塩基配列における各水産動物の種に特異的な部位を示した図である(実施例1)。
【図3】18SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列における各フグの種及び/又は系統に特異的な部位を示した図である(実施例2)。
【図4】リボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列における各フグの種及び/又は系統に特異的な部位を示した図である(実施例2)。
【図5】商品として流通している市販のフグの多様な形態を示した図である(実施例3)。
【図6】色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子における各フグの種に特異的な部位を示した図である(実施例3)。
【図7】異型遺伝子接合体の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子のシークエンスとこれらのクローンのシークエンスを示した図である(実施例4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産動物の体色遺伝子の塩基配列を用いる水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
【請求項2】
次の1)、2)の工程を含む水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
1)水産動物の体色遺伝子の塩基配列を比較することにより、この塩基配列に含まれる水 産動物の種及び/又は系統に特異的な部位を決定する工程
2)工程1)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【請求項3】
次の1)〜3)の工程を含む水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
1)水産動物の体色遺伝子の塩基配列を決定する工程
2)工程1)にて得られた体色遺伝子の塩基配列を比較することにより、この塩基配列に 含まれる水産動物の種及び/又は系統に特異的な部位を決定する工程
3)工程2)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【請求項4】
以下のa又はbの少なくとも1の工程により、水産動物の体色遺伝子の塩基配列を増幅することで、水産動物の体色遺伝子の塩基配列を決定する請求項3に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
a.水産動物の体色遺伝子の上流(5’側)及び下流(3’側)の塩基配列に相補的なプラ イマーを用いてPCRにより、水産動物の体色遺伝子を増幅することで、水産動物の体 色遺伝子の塩基配列を決定する工程
b.以下の1)〜3)からなる工程
1)水産動物の体色遺伝子の上流(5’側)の塩基配列に相補的なプライマー及び水 産動物の体色遺伝子の中間に存在する塩基配列に相補的なプライマーを用いて PCRにより、水産動物の体色遺伝子の上流域の断片を増幅する工程と、
2)水産動物の体色遺伝子の下流(3’側)の塩基配列に相補的なプライマー及び水 産動物の体色遺伝子の中間に存在する塩基配列に相補的なプライマーを用いて PCRにより、水産動物の体色遺伝子の下流域の断片を増幅する工程からなり、
3)増幅した上流域の断片及び下流域の断片の塩基配列の組み合わせにより、水産動 物の体色遺伝子の塩基配列を決定する工程
【請求項5】
体色遺伝子が色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子(MC1R)である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の水産動物の体色遺伝子の塩基配列を用いる水産動物の種及び/又は系統の判別方法を第1手段とし、さらに水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を用いる水産動物の種及び/又は系統の判別方法を第2手段とする水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
【請求項7】
次の1)、2)の工程を含む請求項6に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
1)水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩 基配列を比較することにより、この塩基配列に含まれる水産動物の種及び/又は系統 に特異的な部位を決定する工程
2)工程1)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【請求項8】
次の1)〜3)の工程を含む請求項6に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
1)水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩 基配列を決定する工程
2)工程1)にて得られた18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー 1領域の塩基配列を比較することにより、この塩基配列に含まれる水産動物の種及 び/又は系統に特異的な部位を決定する工程
3)工程2)にて決定した部位の情報に基づいて水産動物の種及び/又は系統を判別する 工程
【請求項9】
水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域を含む塩基配列を決定する工程が、18SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列に相補的なプライマー及び/又は5.8SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列に相補的なプライマーを用い、18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域を含む塩基配列を増幅することで、水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域を含む塩基配列を決定する工程である、請求項8に記載の水産動物の種及び/又は系統の判別方法。
【請求項10】
プライマーが、18SリボゾームRNA遺伝子の保存領域の塩基配列に相補的なプライマー及び/又は5.8SリボゾームRNA遺伝子の保存領域の塩基配列に相補的なプライマーである請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
水産動物が、水産動物そのもの又は水産加工品の原料の一部あるいは全部として用いられた水産動物である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかの方法に用いる水産動物の種及び/又は系統の判別キット。
【請求項13】
水産動物の色素胞刺激ホルモン受容体1遺伝子の全長を含む塩基配列を増幅するための配列表配列番号1〜4に記載のプライマー。
【請求項14】
水産動物の18SリボゾームRNA遺伝子及び/又はリボゾーム転写スペーサー1領域の塩基配列を増幅するための配列表配列番号5及び6に記載のプライマー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−296328(P2006−296328A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124738(P2005−124738)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年11月3日から6日 東京大学主催の「TODAI International Symposium Symposium on Post−genome Researches on Pufferfish−Recent Advances and Perspective」において文書をもって発表
【出願人】(503114002)独立行政法人水産大学校 (10)
【Fターム(参考)】