説明

水田用除草剤組成物

(a) 除草性ベンゾイルシクロヘキサジオン類並びに、(b) 下記の、ピラクロニル、HOK201、ナプロアニリド、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、クロメプロップ、クミルロン、ジメピペレート、キノクラミン、ベンスリド、シメトリン、ブタミホス、MCPB及びベンタゾンからなる一般名又はコード番号で表される化合物群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する除草剤組成物。これらの組成物は、単独で使用される除草剤に比較して優れた作用を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水田用除草剤組成物に関する。より詳しくは、本発明は、除草性ベンゾイルシクロヘキサジオン類と、ある種の公知の除草性化合物とを有効成分として含有する水田用除草剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
除草性ベンゾイルシクロヘキサジオン類はWO98/29406、WO00/21924、WO01/07422から知られている。これらの文献で開示されたいくつかの化合物は水田雑草に対して良好な防除効果を現す。
【0003】
しかしながら、実際には、これらの化合物は、十分な満足いく除草効果を現さず、及び/又は、水稲に対する薬害も観察される。しかしながら、実際には、それらの文献から知られたベンゾイルシクロヘキサンジオン類の使用は、しばしば、不都合を伴っている。したがって、除草剤活性は必ずしも十分とはいえないか、または、その除草剤活性が十分であった場合でも、稲植物に対する望ましくない障害が観察される。
【0004】
除草剤の活性は、とりわけ、使用した除草剤の種類、その散布量、製造法、防除すべき有害植物、気候条件および土壌条件等に依存する。他の判断基準は、除草剤の作用持続時間または分解速度である。場合によっては、長期の使用のために、または、地理的に限定された地域内で、有害植物の活性成分に対する感受性が変化することも、また、考慮に入れなければならない。そうした変化はそれ自体多少にかかわらず明白な作用の消失として現われ、そして、除草剤の散布量を増加するだけでは、ある程度しか補完されない。
【0005】
多数の可能性のある影響因子のために、種々の使用に関して望ましい性質を合わせ持った単一の活性成分は、特に、有害植物の種類および気候帯によっては、実質的に存在しない。さらに、ますます、より少量の除草剤量を用いて、効果を達成しようという、一定の要求が存在している。より少ない使用量により、施用に必要な活性成分の量ばかりではなく、概して、必要な製剤用助剤の量も減少させる。このいずれもが、投入される費用を減少させ、同時に、除草剤使用の環境への負荷を減らす。
【0006】
除草剤の使用特性を改良するためにしばしば使用される方法は、活性成分と、望ましい付加的な性質をもたらす1個またはそれ以上の他の活性成分とを組み合わせることである。しかしながら、いくつかの活性成分が組み合わせて使用された場合に、例えば、共製剤の安定性の消失、活性成分の分解、または活性成分の拮抗作用のような、物理的現象および生物学的不適合性がしばしば観察される。これに対して、組み合わせる活性成分の単独使用と比べて散布量を減少させることができるような、有利な作用スペクトル、高い安定性および最も高い可能な相乗亢進作用を有する、活性成分の組合せが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、稲作物で使用するための除草剤組成物であって、従来技術と比べて改良された性質を有する組成物を提供することである。
【0008】
本発明は、
(a) 式
【化1】

式中、
はC1−4アルキルを示し、
はO−R、SO−R、シアナート、シアノ、チオシアナート又はハロゲンを示し、
及びRは互いに独立して水素、ハロゲン、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、シアノ、ニトロ又はSO−Rを示し、
はO−(CH−O−(CH−OR、C3−8シクロアルキルオキシ、C3−8シクロアルキル−C1−4アルコキシ、2−テトラヒドロフラニルメトキシ、3−テトラヒドロフラニルメトキシ、2−テトラヒドロ−2H−ピラニルメトキシ、2−テトラヒドロチエニルメトキシ、2−フラニルメトキシ又は2−チエニル−メトキシを示し、
は水素、C1−4アルキル又はハロ−C1−4アルキルを示し、
はC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ハロ−C1−4アルキル、ハロ−C2−4アルケニル又はハロ−C2−4−アルキニルを示し、
nは0、1、2、3、4、5又は6を示し、
mは0、1又は2を示し、
pは2、3又は4を示し、そして
qは2、3又は4を示す、
で表される化合物又は農業上許容されるその塩の少なくとも1種(「(a)成分」)、並びに、
(b) 下記の一般名又はコード番号:ピラクロニル、HOK201、ナプロアニリド、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、クロメプロップ、クミルロン、ジメピペレート、キノクラミン、ベンスリド、シメトリン、ブタミホス、MCPB及びベンタゾンで表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(「(b)成分」)を有効成分としてその有効量を含有する除草剤組成物に関する。
【0009】
本発明の上記組成物によれば、驚くべきことに、各活性化合物をそれぞれ単独に使用した場合と比較し、それらのそれぞれの単独での効果の和よりも、実質的に高い除草効果が示される。その結果、雑草防除を行うに際し、これまで日常的に用いられてきた個々の薬剤濃度を実質的に減じることが可能となる。同時に、該組成物によれば、巾広い除草スペクトルを獲得することができ、また、処理適期巾を長期にわたり広げることが可能であり、例えば、水稲栽培においては、移植直後の雑草発生始期から生育期までのいずれの時期に用いても優れた除草効果が示される。さらにその効力の持続性が長期に及び、残効性に優れ、イネに対する薬害もない優れた除草効果が得られる。
【0010】
好ましい除草剤組成物は、(a)成分として、式(I)において:
はC1−4アルキルを示し、
はO−R、SO−R、シアナート、シアノ、チオシアナート又はハロゲンを示し、
及びRは互いに独立して水素、ハロゲン、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、シアノ、ニトロ又はSO−Rを示し、
はO−(CH−O−(CH−OR、C3−8シクロアルキルオキシ、C3−8シクロアルキル−C1−4アルコキシ又は2−テトラヒドロフラニルメトキシを示し、
は水素、C1−4アルキル又はハロ−C1−4アルキルを示し、
はC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ハロ−C1−4アルキル、ハロ−C2−4アルケニル又はハロ−C2−4−アルキニルを示し、
nは0、1、2、3、4、5又は6を示し、
mは0、1又は2を示し、
pは2、3又は4を示し、そして
qは2、3又は4を示す、
化合物を含む。
【0011】
特に好ましい除草剤組成物は、(a)成分として、式(I)において:
はメチルを示し、
はO−Rを示し、
及びRは互いに独立して水素、クロロ、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はSO−Rを示し、
はO−(CH−O−(CH−OR、C3−8シクロアルキルオキシ、C3−8シクロアルキル−C1−4アルコキシ、2−テトラヒドロフラニルメトキシ、3−テトラヒドロフラニルメトキシ、2−テトラヒドロ−2H−ピラニルメトキシ、2−テトラヒドロチエニルメトキシ、2−フラニルメトキシ又は2−チエニルメトキシを示し、
は水素を示し、
はメチル又はエチルを示し、
nは0、1又は2を示し、そして
m、p及びqはそれぞれ2を示す、
化合物を含む。
【0012】
さらに好ましいのは、(a)成分として、以下に述べる意味を有する式(Ia)の化合物を含む、除草剤組成物である:
【表1】

【0013】
(b)成分として好ましいものは、(b−1)ピラクロニル、(b−2)HOK201、(b−3)ナプロアニリド、(b−4)ピラゾレート、(b−5)ピラゾキシフェン、(b−6)クロメプロップ、(b−7)クミルロン、(b−8)ジメピペレート、(b−9)キノクラミン、(b−10)ベンスリド、(b−11)シメトリン、(b−12)ブタミホス、(b−13)MCPB 及び(b−14)ベンタゾンである。
【0014】
これに関連して、特に興味があるの除草剤組成物は、2個の化合物(A)+(B)の以下の組合せの1個またはそれ以上の相乗的に活性な含有物を有するものである:
(a−1)+(b−1)、(a−1)+(b−2)、(a−1)+(b−3)、(a−1)+(b−4)、(a−1)+(b−5)、(a−1)+(b−6)、(a−1)+(b−7)、(a−1)+(b−8)、(a−1)+(b−9)、(a−1)+(b−10)
、(a−1)+(b−11)、(a−1)+(b−12)、(a−1)+(b−13)、(a−1)+(b−14);
(a−2)+(b−1)、(a−2)+(b−2)、(a−2)+(b−3)、(a−2)+(b−4)、(a−2)+(b−5)、(a−2)+(b−6)、(a−2)+(b−7)、(a−2)+(b−8)、(a−2)+(b−9)、(a−2)+(b−10)、(a−2)+(b−11)、(a−2)+(b−12)、(a−2)+(b−13)、(a−2)+(b−14);
(a−3)+(b−1)、(a−3)+(b−2)、(a−3)+(b−3)、(a−3)+(b−4)、(a−3)+(b−5)、(a−3)+(b−6)、(a−3)+(b−7)、(a−3)+(b−8)、(a−3)+(b−9)、(a−3)+(b−10)、(a−3)+(b−11)、(a−3)+(b−12)、(a−3)+(b−13)、(a−3)+(b−14);
(a−4)+(b−1)、(a−4)+(b−2)、(a−4)+(b−3)、(a−4)+(b−4)、(a−4)+(b−5)、(a−4)+(b−6)、(a−4)+(b−7)、(a−4)+(b−8)、(a−4)+(b−9)、(a−4)+(b−10)、(a−4)+(b−11)、(a−4)+(b−12)、(a−4)+(b−13)、(a−4)+(b−14);
(a−5)+(b−1)、(a−5)+(b−2)、(a−5)+(b−3)、(a−5)+(b−4)、(a−5)+(b−5)、(a−5)+(b−6)、(a−5)+(b−7)、(a−5)+(b−8)、(a−5)+(b−9)、(a−5)+(b−10)、(a−5)+(b−11)、(a−5)+(b−12)、(a−5)+(b−13)、(a−5)+(b−14);
(a−6)+(b−1)、(a−6)+(b−2)、(a−6)+(b−3)、(a−6)+(b−4)、(a−6)+(b−5)、(a−6)+(b−6)、(a−6)+(b−7)、(a−6)+(b−8)、(a−6)+(b−9)、(a−6)+(b−10)、(a−6)+(b−11)、(a−6)+(b−12)、(a−6)+(b−13)、(a−6)+(b−14);
(a−7)+(b−1)、(a−7)+(b−2)、(a−7)+(b−3)、(a−7)+(b−4)、(a−7)+(b−5)、(a−7)+(b−6)、(a−7)+(b−7)、(a−7)+(b−8)、(a−7)+(b−9)、(a−7)+(b−10)、(a−7)+(b−11)、(a−7)+(b−12)、(a−7)+(b−13)、(a−7)+(b−14);
(a−8)+(b−1)、(a−8)+(b−2)、(a−8)+(b−3)、(a−8)+(b−4)、(a−8)+(b−5)、(a−8)+(b−6)、(a−8)+(b−7)、(a−8)+(b−8)、(a−8)+(b−9)、(a−8)+(b−10)、(a−8)+(b−11)、(a−8)+(b−12)、(a−8)+(b−13)、(a−8)+(b−14);
(a−9)+(b−1)、(a−9)+(b−2)、(a−9)+(b−3)、(a−9)+(b−4)、(a−9)+(b−5)、(a−9)+(b−6)、(a−9)+(b−7)、(a−9)+(b−8)、(a−9)+(b−9)、(a−9)+(b−10)、(a−9)+(b−11)、(a−9)+(b−12)、(a−9)+(b−13)、(a−9)+(b−14);
(a−10)+(b−1)、(a−10)+(b−2)、(a−10)+(b−3)、(a−10)+(b−4)、(a−10)+(b−5)、(a−10)+(b−6)、(a−10)+(b−7)、(a−10)+(b−8)、(a−10)+(b−9)、(a−10)+(b−10)、(a−10)+(b−11)、(a−10)+(b−12)、(a−10)+(b−13)、(a−10)+(b−14);
(a−11)+(b−1)、(a−11)+(b−2)、(a−11)+(b−3)、(a−11)+(b−4)、(a−11)+(b−5)、(a−11)+(b−6)、(a−11)+(b−7)、(a−11)+(b−8)、(a−11)+(b−9)、(a−11)+(b−10)、(a−11)+(b−11)、(a−11)+(b−12)、(a−11)+(b−13)、(a−11)+(b−14);
(a−12)+(b−1)、(a−12)+(b−2)、(a−12)+(b−3)、(a−12)+(b−4)、(a−12)+(b−5)、(a−12)+(b−6)、(a−12)+(b−7)、(a−12)+(b−8)、(a−12)+(b−9)、(a−12)+(b−10)、(a−12)+(b−11)、(a−12)+(b−12)、(a−12)+(b−13)、(a−12)+(b−14);
【0015】
ピラクロニルはWO 94/8999に記載されており、また、HOK201はWO 98/38176に記載されている。これら以外の上記化合物は、例えば、The Pesticide Manual 第12版(British Crop Protection
Council 発行、2000年)に記載されている。
【0016】
以上に述べた(b)成分としての除草性化合物はそれぞれ単独で使用することができ又は2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0017】
本発明の組成物において、(a)成分と(b)成分との混合比は、該組成物の適用時期、適用地域、施用方法等に応じて比較的広い範囲にわたり変えることができる。一般には、(a)成分である式(I)の化合物又はその農業上許容される塩1質量部に対し、(b)成分である除草性化合物の少なくとも1種を1/200〜200質量部、好ましくは1/20〜20質量部の範囲内で使用することができる。より具体的に、(b)成分の個々の化合物の使用割合は、(a)成分である式(I)の化合物又はその塩1質量部あたり次のとおりとすることができる。
【0018】
(b−1)ピラクロニル:1/200〜100質量部、好ましくは1/10〜10質量部、
(b−2)HOK201:1/200〜100質量部、好ましくは1/10〜10質量部、
(b−3)ナプロアニリド:1/100〜200質量部、好ましくは1/10〜20質量部、
(b−4)ピラゾレート:1/100〜200質量部、好ましくは1/10〜20質量部、
(b−5)ピラゾキシフェン:1/200〜100質量部、好ましくは1/10〜10質量部、
(b−6)クロメプロップ:1/200〜100質量部、好ましくは1/10〜10質量部、
(b−7)クミルロン:1/100〜200質量部、好ましくは1/10〜20質量部、
(b−8)ジメピペレート:1/100〜200質量部、好ましくは1/10〜20質量部、
(b−9)キノクラミン:1/100〜200質量部、好ましくは1/10〜20質量部、
(b−10)ベンスリド:1/100〜200質量部、好ましくは1/10〜20質量部、
(b−11)シメトリン:1/200〜100質量部、好ましくは1/10〜10質量部、
(b−12)ブタミホス:1/200〜100質量部、好ましくは1/10〜10質量部、
(b−13)MCPB:1/200〜100質量部、好ましくは1/10〜10質量部、
(b−14)ベンタゾン:1/100〜200質量部、好ましくは1/10〜20質量部。
【0019】
本発明の組成物は水田雑草に対して強力な除草効果を現す。従って、該組成物は、水田用除草剤組成物、特に、水稲用選択性除草剤として使用することができる。
【0020】
本発明の組成物は、水田に発生する各種の雑草に対して使用することができる。その例としては以下に述べるものが挙げられる:
次の属の双子葉植物:タデ属(Polygonum)、イヌガラシ属(Rorippa)、キカシグサ属(Rotala)、アゼナ属(Lindernia)、タウコギ属(Bidens)、アブノメ属(Dopatrium)、タカサブロウ属(Eclipta)、ミゾハコベ属(Elatine)、オオアブノメ属(Gratiola)、アゼトウガラシ属(Lindernia)、ミズキンバイ属(Ludwigia)、セリ属(Oenanthe)、キンポウゲ属(Ranunculus)、サワトウガラシ属(Deinostema)など。
【0021】
次の属の単子葉植物:ヒエ属(Echinochloa)、キビ属(Panicum)、スズメノカタビラ属(Poa)、カヤツリグサ属(Cyperus)、ミズアオイ属(Monochoria)、テンツキ属(Fimbristylis)、オモダカ属(Sagittaria)、ハリイ属(Eleocharis)、ホタルイ属(Scirpus)、サジオモダカ属(Alisma)、イボクサ属(Aneilema)、スブタ属(Blyxa)、ホシクサ属(Eriocaulon)、ヒルムシロ属(Potamogeton)など。
【0022】
本発明の組成物は、具体的に、例えば、次の代表的な水田雑草に関して使用することができる。
双子葉植物:キカシグサ(Rotala indica Koehne)、アゼナ(Lindernia procumbens Philcox)、チョウジタデ(Ludwigia prostrate Roxburgh)、ヒルムシロ(Potamogeton distinctus A. Benn)、ミゾハコベ(Elatine triandra Schk)、セリ(Oenanthe javanica)。
単子葉植物:タイヌビエ(Echinochloa oryzicola Vasing)、コナギ(Monochoria vaginalis Presl)、マツバイ(Eleocharis acicularis L.)、クログワイ(Eleocharis Kuroguwai Ohwi)、タマガヤツリ(Cyperus difformis L.)、ミズガヤツリ(Cyperus serotinus Rottboel)、ウリカワ(Sagittaria pygmaea Miq)、ヘラオモダカ(Alisma canaliculatum A. Br. et Bouche)、ホタルイ(Scirpus juncoides Roxburgh)。
【0023】
しかしながら、本発明の組成物の使用はこれら雑草に何ら限定されるものではなく、他の雑草に対しても同じように適用することができる。
【0024】
本発明の組成物は、水田雑草の防除のために使用するに際して、通常の製剤形態にすることができる。その製剤形態としては、例えば、液剤、エマルジョン、水和剤、懸濁剤、粉剤、可溶性粉剤、粒剤、懸濁エマルジョン濃厚物、固型剤(ジャンボ剤)、浮遊性粒剤、重合体物質中のマイクロカプセル等を挙げることができる。
【0025】
個別のタイプの製剤は、原理上は知られており、そして、例えば、Winnacker-Kuechler,Technologie” [Chemical Engineering],Volume 7,C.Hauser Verlag Munich,第4版,1986年; van Valkenburg,“Pesticides Formulations”,Marcel Dekker N.Y.,1973年; K. Martens,“Spray Drying Handbook”,第3版,1979年,G. Goodwin Ltd. London、に記載されている。必要な製剤用助剤、例えば、不活性材料、界面活性剤、溶剤及びさらなる添加物は、同様に知られており、そして、例えば、Watkins,“Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers”,第2版,Darland Books,Caldwell N.J.; H. v. Olphen,“Introduction to Clay Colloid Chemistry”,第2版,J. Wiley & Sons,N.Y.; Marsden,“Solvents Guide”,第2版,lnterscience,N.Y. 1950年; McCutcheon's,“Detergents and Emulsifiers Annual”,MC Publ. Corp.,Ridegewood N.J.; Sisley and Wood,“Encyclopedia of Surface Active Agents”,Chem. Publ. Co. Inc., N.Y. 1964年; Schoenfeldt,“Grenzflaehenaktive Aethylenoxidaddukte”[Surface-active ethylene oxide adducts],Wiss. Verlagsgesellschaft, Stuttgart 1976年;Winnacker-Kuehler,“Chemische Technologie”,Volume 7,C.Hauser Verlag Munich,第4版,1986年、に記載されている。
【0026】
それらの製剤を基にして、他の農薬的に活性な物質、例えば、他の除草剤、抗カビ剤又は殺虫剤との組合せ、及び、薬害軽減剤、肥料及び/又は成長調節剤との組合せもまた、例えば即時使用調製剤(readymix)またはタンク混合の形態で、調製することができる。
【0027】
これらの製剤はそれ自体既知の方法によって調製することができる。例えば、前記の(a)成分及び(b)成分を、増量剤、即ち、液体希釈剤及び/又は固体希釈剤、必要な場合には、界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡沫形成剤を用いて混合することによって、本発明に従う製剤を調製することができる。
【0028】
増量剤として水を用いる場合には、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することができる。液体希釈剤としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族又はクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素類[例えば、シクロヘキサン等又はパラフィン類(例えば、鉱油留分、鉱物及び植物油等)]、アルコール類(例えば、ブタノール、グリコール及びそれらのエーテル又はエステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)などの有機溶媒、及び水を挙げることができる。
【0029】
固体希釈剤としては、例えば、アンモニウム塩及び粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイト、モンモリロナイト、珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)などを挙げることができる。また、粉剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機及び有機物粉の合成粒、有機物質細粒体(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)などを使用することができる。
【0030】
乳化剤及び/又は泡沫剤としては、非イオン及び陰イオン乳化剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アリールスルホン酸塩類等)]、アルブミン加水分解生成物等を挙げることができる。
【0031】
分散剤としては、例えば、リグニンサルファイト廃液及びメチルセルロースが適当である。
【0032】
固着剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然及び合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート類等)、天然燐脂質類(例えば、セファリン類及びレシチン類)及び合成燐脂質類等を挙げることができる。
更に、添加剤として鉱物油及び植物油類も使用することができる。
【0033】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、無機顔料類(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー等)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料類、そして更に、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン及び亜鉛の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0034】
製剤は、一般に、(a)成分と(b)成分を合計で0.1乃至95質量%、好ましくは0.5乃至90質量%の範囲内の濃度で含有することができる。
【0035】
本発明の組成物は雑草を防除するためにそのままあるいはその製剤の形態で使用することができ、また、使用時にタンク混合することも可能であり、更に他の公知の活性化合物、特に、通常水田に使用される活性化合物、例えば、殺菌剤、殺虫剤、植物生長調整剤、植物栄養剤、土壌改良剤、薬害軽減剤及び他の除草剤を配合することも可能である。その好適例として、本発明の組成物に、式(I)の化合物(a)1質量部あたり、薬害軽減剤として、例えば1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−p−トリルウレアを1〜200質量部、好ましくは2〜100質量部の範囲内の量で加えることができる。
【0036】
本発明の組成物は、そのまま、あるいはそれら製剤の形態で、又は該製剤から更に希釈して調製した施用形態、例えば、即時使用調製液(ready−to−use solution)、乳剤、懸濁剤、粉剤、水和剤又は粒剤の形態で使用することができる。これらの形態の製剤は、通常の方法、例えば、液剤散布(watering)、噴霧(spraying, atomizing)、散粉、散粒等の方法で水田に施用することができる。
【0037】
本発明の組成物は、田植前、田植時又は田植後の水田に施用することができる。施用しうる該組成物の量は実質的な範囲で変えることができる。その施用量は、例えば、(a)成分と(b)成分の合計量として0.01〜5kg/ha、好ましくは0.06〜4.5kg/haの範囲内とすることができる。
【0038】
本発明による組成物の優れた効果を以下の実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明はこれのみに限定されるべきものではない。
【実施例】
【0039】
生物試験例及び製剤例:
試験薬剤の調製
担体:アセトン5質量部
界面活性剤:ベンジルオキシポリグリコールエーテル1質量部
上記の担体及び界面活性剤と1質量部の活性化合物((a)成分又は(b)成分)とを混合し、得られる製剤を水で希釈して所定薬量の試験薬剤を調製する。
【0040】
試験例1:水田雑草に対する除草剤組成物の効果試験
1/2,000アールのポット(25×20×9cm)に水田土壌を充填し、2.5葉期(草丈15cm)の水稲苗(品種:日本晴)を1ポット当り1株3本植えの2組を移植した。
次いで、タイヌビエ、ミズガヤツリ、コナギ、ホタルイの各種子とウリカワの塊茎を接種し、約2〜3cm湛水した。水稲移植5日後、前記の方法で調製した試験薬剤又はその混合物で水面処理した。処理後3cmの湛水状態を保ち、薬剤処理4週間後に除草効果を、下記の基準(%表示)で評価した。
100%:完全枯死
0%:効果なし又は薬害なし
試験結果を表1に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
製剤例1
活性化合物(a−1) 3質量部、活性化合物(b−1) 4質量部、ベントナイト(モンモリロナイト) 32質量部、タルク(滑石) 58質量部及びリグニンスルホン酸塩 3質量部の混合物に、水 25質量部を加えて良く捏化し、押し出し式造粒機により10〜40メッシュの粒状とし、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0047】
製剤例2
0.2〜2mmに粒径分布を有する粘土鉱物粒 96質量部を回転混合機に入れる。回転下に液体希釈剤とともに活性化合物(a−1) 2質量部及び活性化合物(b−2) 2質量部を噴霧し均等にしめらせた後、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0048】
製剤例3
活性化合物(a−1) 4質量部、活性化合物(b−12) 4質量部、エチレングリコール 10質量部、ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル 3質量部、キサンタンガム 10質量部、14%シリコールオイルエマルジョン 0.5質量部及び水 68.5質量部の混合物をよく撹拌した後、粉砕機(ダイノーミルKDL型)で粉砕し、水性懸濁製剤とする。
【0049】
製剤例4
活性化合物(a−1) 5質量部、活性化合物(b−11) 15質量部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩 30質量部、ベントナイト 15質量部及び焼成ケイソウ土粉末 35質量部を充分に混合し、これに水を加えてよく混練した後、0.3mmのスクリーンで押し出し乾燥して、顆粒状水和剤とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 式
【化1】

(式中、
はC1−4アルキルを示し、
はO−R、SO−R、シアナート、シアノ、チオシアナート又はハロゲンを示し、
及びRは互いに独立して水素、ハロゲン、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、シアノ、ニトロ又はSO−Rを示し、
はO−(CH−O−(CH−OR、C3−8シクロアルキルオキシ、C3−8シクロアルキル−C1−4アルコキシ、2−テトラヒドロフラニルメトキシ、3−テトラヒドロフラニルメトキシ、2−テトラヒドロ−2H−ピラニルメトキシ、2−テトラヒドロチエニルメトキシ、2−フラニルメトキシ又は2−チエニルメトキシを示し、
は水素、C1−4アルキル又はハロ−C1−4アルキルを示し、
はC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ハロ−C1−4アルキル、ハロ−C2−4アルケニル又はハロ−C2−4−アルキニルを示し、
nは0、1、2、3、4、5又は6を示し、
mは0、1又は2を示し、
pは2、3又は4を示し、そして
qは2、3又は4を示す、
で表される化合物又は農業上慣用されるその塩の少なくとも1種並びに、
(b) ピラクロニル、HOK201、ナプロアニリド、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、クロメプロップ、クミルロン、ジメピペレート、キノクラミン、ベンスリド、シメトリン、ブタミホス、MCPB及びベンタゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、
を含有する除草剤組成物。
【請求項2】
式(I)の化合物において、
がメチルを示し、
がO−Rを示し、
及びRが互いに独立して水素、クロロ、フルオロ、メチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はSO−Rを示し、
がO−(CH−O−(CH−OR、C3−8シクロアルキルオキシ、C3−8シクロアルキル−C1−4アルコキシ、2−テトラヒドロフラニルメトキシ、3−テトラヒドロフラニルメトキシ、2−テトラヒドロ−2H−ピラニルメトキシ、2−テトラヒドロチエニルメトキシ、2−フラニルメトキシ又は2−チエニル−メトキシを示し、
が水素を示し、
がメチル又はエチルを示し、
nが0、1又は2を示し、そして
m、p及びqがそれぞれ2を示す、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の化合物において、
がC1−4アルキルを示し、
がO−R、SO−R、シアナート、シアノ、チオシアナート又はハロゲンを示し、
及びRが各々独立して水素、ハロゲン、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、シアノ、ニトロ又はSO−Rを示し、
がO−(CH−O−(CH−OR、C3−8シクロアルキルオキシ、C3−8シクロアルキル−C1−4アルコキシ又は2−テトラヒドロフラニルメトキシを示し、
が水素、C1−4アルキル又はハロ−C1−4アルキルを示し、
がC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ハロ−C1−4アルキル、ハロ−C2−4アルケニル又はハロ−C2−4−アルキニルを示し、
nが0、1、2、3、4、5又は6を示し、
mが0、1又は2を示し、
pが2、3又は4を示し、そして
qが2、3又は4を示す、
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(a)成分:(b)成分の質量比が200:1〜1:200の間である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
(a)成分:(b)成分の質量比が20:1〜1:20の間である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
望ましくない植生を防除するための、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項7】
水田の雑草を防除するための、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の活性化合物の組合せと、増量剤及び/又は界面活性剤を混合することを特徴とする、除草剤組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−502849(P2007−502849A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529842(P2006−529842)
【出願日】平成16年5月15日(2004.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005254
【国際公開番号】WO2004/105482
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】