説明

水石鹸供給装置

【課題】 給水源から給水される水の圧力を利用して作動するポンプ機構により、給水源の給水圧の変動にかかわらず一定量の水石鹸を供給する水石鹸供給装置を提供する。
【解決手段】 本発明の水石鹸供給装置1は、水石鹸タンク8と、給水源4に接続された水ポンプ室38と、水石鹸タンクに接続された水石鹸ポンプ室44と、水ポンプ室内の水圧によって駆動され、水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積を変化させるピストン45と、ピストンを両ポンプ室38,44の容積が共に減少する方向に付勢する圧縮コイルばね54と、水ポンプ室に接続された電磁弁28と、を有し、この電磁弁が閉鎖されると、水ポンプ室内の水圧が上昇し、ピストンが両ポンプ室の容積を共に増加させ、水石鹸タンクから水石鹸ポンプ室内に水石鹸が吸入され、電磁弁が開放されると、水ポンプ室内の水圧が低下し、ピストンが両ポンプ室の容積を共に減少させ、水石鹸ポンプ室から水石鹸が吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水石鹸供給装置に係り、特に、給水源から給水される水の圧力を利用したポンプ機構によって水石鹸を供給する水石鹸供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗面台等には、液状の水石鹸を供給する水石鹸供給装置が設けられている。従来の水石鹸供給装置としては、例えば、特許文献1に記載されているように、ポンプ機構を利用したものが知られている。
このポンプ機構を利用した従来の水石鹸供給装置は、水石鹸タンク内の水石鹸をポンプ機構によりポンプ室内に吸い上げて吐出口から吐出するようになっている。
また、ポンプ室は、水が圧送される水ポンプ室と水石鹸が圧送される水石鹸ポンプ室によって構成されている。これらのポンプ室には、両ポンプ室の容積を変化させて水石鹸の吐出口の開閉弁を開閉させるピストンが設けられており、水ポンプ室には、給水源からの水がピストンの上流側端部に供給されてポンプ室の吐水口から吐水される通水路が形成されている。
さらに、水ポンプ室のピストンよりも上流側の通水路には電磁弁が配置されており、この電磁弁が開くと、給水源からの水がピストンの上流側端部へ流れてピストンの上流側端部を加圧して吐水口から吐水されるようになっている。また、ピストンは、電磁弁が開放されている状態では、ポンプ室内の吐水時の給水圧に応じて駆動し、このピストンの駆動により水石鹸ポンプ室の容積が減少すると、水石鹸タンクから水石鹸ポンプ室内に水石鹸が吸い上げられ、水石鹸ポンプ室の吐出口の開閉弁が開放され、水石鹸が吐出されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特表2003−523822号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の水石鹸供給装置においては、電磁弁がピストンよりも上流側の通水路に設けられており、電磁弁が開放された状態における水ポンプ室内の吐水時の給水圧を利用してポンプ機構のピストンを駆動させているため、給水源の給水圧の変動に応じてピストンの駆動量も変動し、水石鹸の吐出量にもばらつきが生ずるという問題がある。特に、給水源の給水圧が低くなると、ピストンの駆動量も小さくなるため、水石鹸の吐出量も少なくなり、使用者に十分な水石鹸が供給されないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、給水源から給水される水の圧力を利用して作動するポンプ機構により、給水源の給水圧の変動にかかわらず、一定量の水石鹸を供給する水石鹸供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、給水源から給水される水の圧力を利用して作動するポンプ機構によって水石鹸を供給する水石鹸供給装置であって、水石鹸が収容された水石鹸タンクと、給水源に接続された水ポンプ室と、水石鹸タンクに接続された水石鹸ポンプ室と、水ポンプ室内の水圧によって駆動され、水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積を変化させるように配置されたピストンと、ピストンを水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積が共に減少する方向に付勢するばね部材と、水ポンプ室に接続された開閉弁であって、この開閉弁が閉鎖されると、水ポンプ室内の水圧が上昇し、ピストンがばね部材の付勢力に抗して水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積を共に増加させるように駆動し、水石鹸タンクから水石鹸ポンプ室内に水石鹸が吸入され、さらに、開閉弁が開放されると、水ポンプ室内の水圧が低下し、ピストンがばね部材の付勢力により水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積を共に減少させるように駆動し、水石鹸ポンプ室から水石鹸が吐出されるように作動する開閉弁と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明の水石鹸供給装置においては、開閉弁が閉鎖されると、水ポンプ室の止水が行われて水ポンプ室内の水圧が上昇し、ピストンがばね部材の付勢力に抗して水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積を共に増加させるように駆動することができる。これにより、水石鹸タンクから水石鹸ポンプ室内に水石鹸が吸入され、止水時の水ポンプ室内の水圧を給水源の給水圧の変動によらず一定にすることができ、水石鹸が水石鹸ポンプ室内に十分に補給された状態を維持することができる。さらに、開閉弁が開放されると、水ポンプ室の吐水が行われて水ポンプ室内の水圧が低下し、ピストンがばね部材の付勢力により水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積を共に減少させるように駆動し、給水源の給水圧の変動によらず、水石鹸ポンプ室から一定量の水石鹸を吐出させることができる。
【0007】
本発明において、水ポンプ室は、水ポンプ室内への水の流量を絞り込む流量絞り手段を介して給水源に接続されていることが好ましい。
このように構成された本発明においては、開閉弁が開放された際、水ポンプ室内の水を速やかに排出して水ポンプ室内の水圧を十分に低下させることができ、ピストンを水ポンプ室と水石鹸ポンプ室の容積が共に減少する方向に確実に摺動させることができる。
【0008】
本発明において、更に、使用者の手の存在を検出する検出手段を有し、開閉弁は、この検出手段が使用者の手の存在を検出すると開放されることが好ましい。
このように構成された本発明においては、使用者が水石鹸供給装置に一切触れることなく、検出手段に手を差し向けるだけで、水石鹸を使用者の手に向けて吐出させることができるため、衛生的である。
【0009】
本発明において、開閉弁は、他の吐水装置へ供給される水の流れを利用して発電された電力によって駆動されることが好ましい。
このように構成された本発明においては、他の吐水装置へ供給される水の流れを利用して発電された電力を開閉弁の駆動に利用することができるため、外部の給電設備が不要となり、それらの施工場所の電気工事も不要となる。また、開閉弁において電池等による他の電力供給を併用した場合には、電池の消耗を抑制することができ、電池交換等のメンテナンスの負担を減らすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水石鹸供給装置によれば、給水源から給水される水の圧力を利用して作動するポンプ機構により、給水源の給水圧の変動にかかわらず一定量の水石鹸を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の水石鹸供給装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置1が組み込まれた洗面台2の全体構成を概略的に示す概略全体構成図である。図1に示すように、洗面台2のカウンター2aには、上水道等の給水源4からの水道水を洗面器(図示せず)に吐水する装置である給水栓6と、水石鹸タンク8内から供給された水石鹸10を洗面器(図示せず)に吐出する水石鹸供給栓12が設けられている。
【0012】
洗面台2の内部には、給水源4から給水栓6に至る通水路14が配置されている。通水路14には、これを止水する止水栓16が設けられており、この止水栓16は、通常、水石鹸供給装置1を使用する際には開放されたままの状態となっている。
また、通水路14は、止水栓16より下流側において、給水栓6に通ずる給水栓用通水路14aと、この給水栓用通水路14aから分岐して水石鹸供給装置本体3を介して水石鹸供給栓12に通ずるポンプ通水路14bの2つの通水路に分かれている。ここで、ポンプ通水路14b内の水は、詳細は後述する水石鹸供給装置本体3のポンプ機構部であるダイヤフラム式のピストンポンプ26の作動に利用されるようになっている。
【0013】
止水栓16の下流側の給水栓用通水路14aには給水栓用電磁弁18が設けられ、この電磁弁18の下流側には、給水栓用通水路14a内の水流を利用して発電する発電機20が設けられている。
また、給水栓6の吐水口6a付近には、使用者の手の存在を検出する給水栓用のセンサー22が組み込まれている。使用者の手の存在を検出したセンサー22は、その検出信号22aをコントローラ24に送信し、コントローラ24は、この検出信号22aに基づいて電磁弁18にその開閉動作を制御する信号18aを送信し、電磁弁18の開閉動作が制御されるようになっている。
【0014】
つぎに、洗面台2に組み込まれた本実施形態の水石鹸供給装置1は、ポンプ機構部であるダイヤフラム式のピストンポンプ26を含む水石鹸供給装置本体3(詳細は後述する)、水石鹸タンク8、水石鹸供給栓12、ポンプ通水路14b、コントローラ24、水石鹸供給装置本体3に組み込まれている水石鹸供給装置用電磁弁28、水石鹸タンク8の水石鹸10が水石鹸供給栓12へと送られる水石鹸供給路30、及び、使用者の手の存在を検出する水石鹸供給栓用センサー32によって構成されている。なお、水石鹸供給装置本体3は、ポンプ通水路14bと水石鹸供給路30の一部を含む。
水石鹸供給栓12の下流側端部には、ポンプ通水路14bの最終出口である水石鹸供給栓吐水口12a、水石鹸供給路30の最終出口である水石鹸供給栓吐出口12b、及び、水石鹸供給栓12に組み込まれている水石鹸供給栓用センサー32の検出部12cが並列して配置されている。
【0015】
水石鹸供給装置用電磁弁28は、水石鹸供給装置本体3のポンプ通水路14bにおけるピストンポンプ26の下流側に組み込まれおり、電磁弁28内のポンプ通水路14bを通水状態又は止水状態に切り替える開閉弁である。この電磁弁28は、鉛直方向に摺動してポンプ通水路14bの通水口29を開閉する弁部材28aを含む。
また、センサー32が使用者の手を検出した信号32aはコントローラ24に送信され、コントローラ24が信号32aに基づいて電磁弁28に制御信号28bを送信することにより、電磁弁28の開閉動作が制御されるようになっている。
さらに、電磁弁28の駆動電力には、電池(図示せず)等による電力と併用して給水栓用通水路14aの発電機20によって発電された電力が使用されるようになっている。
【0016】
図2は、本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置1の水石鹸供給装置本体3の部分を拡大した正面断面図を示す。ここで、図2に示す水石鹸供給装置本体3は、水石鹸が水石鹸供給装置1から吐出される前の状態(以下「吐出待機状態」と呼ぶ)を示している。
図2に示すように、水石鹸供給装置本体3の内部のほぼ中央付近には、ポンプ機構部であるダイヤフラム式のピストンポンプ26が組み込まれている。また、水石鹸供給装置本体3の内部には、ピストンポンプ26の作動に利用される給水源4からの水が流れるポンプ通水路14bと、ピストンポンプ26の作動により水石鹸タンク8から供給される水石鹸10が流れる水石鹸供給路30が形成されている。
水石鹸供給装置本体3のポンプ通水路14bにおいて、ポンプ通水路14bの入口部34と出口部36との間にあるピストンポンプ26の内部上方には、ポンプ通水路14b内の水の圧送が行われる水ポンプ室38が形成されている。
また、水石鹸供給装置本体3の水石鹸供給路30において、水石鹸供給路30の入口部40と出口部42との間にあるピストンポンプ26の内部下方には、水石鹸供給路30内の水石鹸の圧送が行われる水石鹸ポンプ室44が形成されている。
【0017】
ダイヤフラム式のピストンポンプ26は、鉛直方向に摺動可能に設けられたピストン45を備えている。ピストン45は、ピストンロッド46、上部ピストンヘッド48及び下部ピストンヘッド50によって構成されている。両ピストンヘッド48,50は、互いに上下平行になるようにピストンロッド46の上端部46aと下端部46bにそれぞれ一体的に設けられている。
各ピストンヘッド48,50は、ダイヤフラム51,53をそれぞれ備えており、水ポンプ室38内と水石鹸ポンプ室44内のそれぞれにおいてピストンロッド46と共に鉛直方向に摺動可能に配置されている。
ピストンロッド46と両ピストンヘッド48,50は、ピストンロッド46の上端部46aと上部ピストンヘッド48の上端部48aが受圧した水ポンプ室38内の水圧に応じて一体的に鉛直方向に摺動し、水ポンプ室38内の容積と水石鹸ポンプ室44内の容積が増減するようになっている。
【0018】
また、水石鹸ポンプ室44の上部を区画形成する水石鹸ポンプ室上壁部52と上部ピストンヘッド48の底部48bとの間には、ばね室56が形成され、圧縮コイルばね54がピストンロッド46のほぼ同軸外側に配置されている。この圧縮コイルばね54は、上部ピストンヘッド48が水ポンプ室38内の水圧を受圧してピストン45の全体が下方へ移動することによりコイル軸方向に圧縮され、上部ピストンヘッド48を水ポンプ室38内の容積が減少する方向(上方)に付勢するようになっている。
水ポンプ室38の上部は密閉保持部材58によって密閉して保持されており、この密閉保持部材58により、ピストンロッド46の上方への摺動が制限されて、ピストンロッド46を介して両ピストンヘッド48,50の上方への摺動も制限されるようになっている。また、密閉保持部材58の中心部58aは、密閉保持部材58の外周部58bに螺合されている。中心部58aをその中心軸線58cを中心に回転させることにより、中心部58aを上下方向に移動させて中心部58aの上下方向の位置を調整し、ピストン45のストロークを変更することができるようになっている。さらに、ピストン45のストロークを変更することによって、水石鹸ポンプ室44からの水石鹸の吐出量を調整することができるようになっている。
水ポンプ室38の側壁38aの下周縁部には、上部ピストンヘッド48の上周縁部の突起48cを係止する段部60が形成され、この段部60の上面部分には、これらの部分の隙間をシールするパッキン61が設けられている。また、ピストン45が下方に摺動して上部ピストンヘッド48の突起48cが段部60のパッキン61に当接することにより、上部ピストンヘッド48の下方への摺動が制限されると共に、ピストンロッド46を介して下部ピストンヘッド50の下方への摺動が制限され、ピストン45を加圧する水ポンプ室38の水圧がダイヤフラム51を加圧しないようになっている。
ここで、図2に示すように、水石鹸の吐出を待機している状態では、ピストン45は水ポンプ室38内と水石鹸ポンプ室44内のそれぞれにおいて最も降下した位置にあり、以下、この水石鹸の吐出を待機している状態におけるピストン45の両ピストンヘッド48,50の各位置を「水石鹸吐出待機位置」と呼ぶ。この水石鹸吐出待機位置は水石鹸供給装置1の動作における大部分の時間を占めるものである。この位置では上述したようにピストン45を加圧する水ポンプ室38の水圧がダイヤフラム51を加圧しないようになっており、ダイヤフラム51が破損してしまうことを防ぐことができるようになっている。
一方、詳細は図3において説明するが、水石鹸の吐出を完了している状態では、ピストン45は水ポンプ室38内と水石鹸ポンプ室44内のそれぞれにおいて最も上昇した位置にあり、以下、この水石鹸の吐出を完了している状態におけるピストン45の両ピストンヘッド48,50の各位置を「水石鹸吐出完了位置」と呼ぶ。
ばね室56の側壁56aの一部分には、上部ピストンヘッド48が下方に摺動してばね室56の容積が減少した際、ばね室56内で加圧された空気を水石鹸供給装置本体3の外部へ脱気するための脱気孔(図示せず)が形成されている。
【0019】
さらに、ポンプ通水路14bの入口部34には、水ポンプ室38内に流れる水の流量を絞り込む流量絞り部材62が設けられている。この流量絞り部材62の流路64は、ポンプ通水路14bの他の部分の流路に比べて断面が十分に細くなっている。
また、水石鹸供給路30の入口部40と出口部42には、水石鹸の逆流を防ぐ入口側逆止弁66と出口側逆止弁68がそれぞれ設けられている。各逆止弁66,68には、弁部材66a,68bと圧縮コイルばね70,72がそれぞれ設けられ、水石鹸供給路30の水石鹸の圧力を受圧した各弁部材66a,68bにより、各圧縮コイルばね70,72が軸方向に圧縮され、流入口40aと吐出口42aが開閉されるようになっている。
【0020】
つぎに、上述した本実施形態の水石鹸供給装置1の動作(作用)について説明する。
水石鹸供給装置1が使用可能な状態では、上水道等の給水源4から通水路14を流れた水道水は、開放された止水栓16を通過して給水栓用通水路14aに流れる水とポンプ通水路14bに流れる水に分かれる。なお、使用者が給水栓6を使用する前の状態においては、給水栓用通水路14aの給水栓用電磁弁18は閉鎖されている。
使用者が給水栓用のセンサー22に手を近づけると、センサー22が手の存在を検出し、その検出信号22aがコントローラ24に送られる。コントローラ24は、受信した検出信号22aに基づき電磁弁18に制御信号18aを送信すると、電磁弁18が所定時間開放され、給水栓用通水路14aを流れた水は給水栓6の吐水口6aから吐水される。また、発電機20が給水栓用通水路14aの水流を利用して発電を行い、この発電した電力が給水栓用電磁弁18や水石鹸供給装置用電磁弁28等の各装置の駆動電力として利用される。
【0021】
また、図2に示すように、使用者が水石鹸供給装置1を使用する前の状態の水石鹸供給装置本体3では、給水源4から通水路14を流れた水道水が、開放状態にある止水栓16を通過してポンプ通水路14bを流れ、水石鹸供給装置本体3内のポンプ通水路14bの入口部34に流入する。このポンプ通水路14bの入口部34に流入した水は、流量絞り部材62の流路64を流れてピストンポンプ26の水ポンプ室38内に流入している。このとき、電磁弁28の弁部材28aは鉛直方向下方に摺動してポンプ通水路14bの通水口29を閉鎖しているため、通水口29の下流側となるポンプ通水路14bの出口部36が止水されている。
さらに、止水状態の水ポンプ室38は、ポンプ通水路14bの入口部34から流入した水によって容積が最大容積まで増加して満水状態となっており、水ポンプ室38内の水圧(止水時の給水圧)は、ほぼ静水圧に近い状態となるため、給水源4の給水圧の変動によらずほぼ一定となっている。
また、ピストン45のピストンロッド46と上部ピストンヘッド48は、満水となった水ポンプ室38内の水圧により加圧されて最も下方の制限位置(水石鹸吐出待機位置)まで摺動している。このとき、ばね室56の圧縮コイルばね54も軸方向に圧縮されて、上部ピストンヘッド48の突起48cが水ポンプ室38の段部60に当接して停止している(図2参照)。
【0022】
また、下部ピストンヘッド50についても、ピストンロッド46と上部ピストンヘッド48と共に最も下方の位置(水石鹸吐出待機位置)まで摺動し、水石鹸ポンプ室44の容積が最大容積まで増加し、水石鹸タンク8から一定量の水石鹸10が水石鹸供給路30の入口部40を経て水石鹸ポンプ室44に吸い上げられた状態となっている。このとき、水ポンプ室38内の止水時の給水圧に相当する加圧力が圧縮コイルばね54の付勢力を上回り、ピストン45が最も下方の位置において停止状態に維持され、水石鹸供給装置本体3は水石鹸ポンプ44室内からの水石鹸の吐出を待機している状態となっている(図2参照)。また、この水石鹸の吐出待機状態では、水石鹸供給路30の各逆止弁66,68は、流入口40aと吐出口42aをそれぞれ閉鎖した状態となっている。
【0023】
つぎに、使用者が水石鹸供給装置1を使用して手に水石鹸を供給する場合には、まず、使用者が水石鹸供給栓12のセンサー検出部12cに手を近づけると、センサー32が手の存在を検出し、その検出信号32aがコントローラ24に送られる。コントローラ24は、受信した検出信号32aに基づき、水石鹸供給装置用電磁弁28に制御信号28bを送信し、電磁弁28の弁部材28aが鉛直方向上方に摺動して電磁弁28内のポンプ通水路14bの通水口29が所定時間開放されて、後述する水石鹸の吐出操作が行われる。
【0024】
図3は、本実施形態の水石鹸供給装置1の水石鹸供給装置本体3における水石鹸吐出操作時の作動状態を示す、図2と同様な正面断面図である。
上述したピストン45が水石鹸吐出待機位置にある状態(図2参照)の水石鹸供給装置本体3から、図3に示すように電磁弁28によってポンプ通水路14bの通水口29が所定時間開放されると、水ポンプ室38内の水が通水口29を経て出口部36から下流側へ吐水され、水ポンプ室38内の水圧が低下する。出口部36から下流側へ吐水された水は、最終的には、水石鹸供給栓12の吐水口12aから吐水される。このとき、水ポンプ室38内の水が吐水されて水圧が減少したことによって、ピストン45を上昇させようとする圧縮コイルばね54の付勢力が水ポンプ室38内の水圧によるピストン45の下向きの加圧力を上回り、ピストン45が上昇して水ポンプ室38の容積を減少させる。
また、水ポンプ室38内には、継続してポンプ通水路14bの入口部34の上流側から流量絞り部材62の流路64を経て水が送られている。流量絞り部材62の流路64がポンプ通水路14bの他の各部の流路に比べて断面が十分に細くなっているため、電磁弁28が開放状態である間は、水ポンプ室38内から通水口29を経て流出する水の流量が、流量絞り部材62を経て水ポンプ室38内に流入する水の流量を大きく上回る。したがって、ピストン45が水石鹸吐出待機位置にある状態のときに水ポンプ室38内に収容されてピストン45を加圧していた水は、電磁弁28が開放されると速やかに下流側へ排出され、ピストン45が確実に水石鹸吐出完了位置まで上昇する。
【0025】
また、水石鹸ポンプ室44においても、上述したようなピストン45の上昇にともない、下部ピストンヘッド50が水石鹸ポンプ室44の容積を減少させるように水石鹸吐出完了位置まで上昇し、水石鹸ポンプ室44内に収容されている一定量の水石鹸が水石鹸ポンプ室44の外部へ押し出される。このとき、入口側逆止弁66は閉鎖されたままの状態であるが、出口側逆止弁68の弁部材68aは、水石鹸ポンプ室44から押し出された水石鹸の圧力を受圧して、吐出口42aを開放する方向(左方向)に摺動して圧縮コイルばね72を圧縮する。
吐出口42aが開放されると、水石鹸ポンプ室44内から一定量の水石鹸が吐出され、出口側逆止弁68の弁部材68aが受圧する水石鹸の圧力が減少する。弁部材68aは、水石鹸の圧力の減少と共に、圧縮コイルばね72の付勢力により吐出口42aを閉鎖する方向(右方向)に摺動し、吐出口42aが完全に閉鎖されて吐出口42aから一定量の水石鹸の吐出が完了する。
【0026】
出口側逆止弁68の吐出口42aから吐出された一定量の水石鹸は、水石鹸供給路30の出口部42の下流側へ送られ、最終的には、水石鹸供給栓12の吐出口12bから吐出される。これと同時に、水石鹸供給栓吐出口12bに並置された水石鹸供給栓吐水口12aにおいても、電磁弁28が開放されている間に通水口29を通過した水の流量分だけ吐水が行われる。
水石鹸の吐出が完了すると、電磁弁28の弁部材28aにより、通水口29が再び閉鎖され、後述する水石鹸の補給操作が行われる。
【0027】
図4は、本実施形態の水石鹸供給装置1の水石鹸供給装置本体3における水石鹸補給操作時の作動状態を示す、図2及び図3と同様な正面断面図である。
上述したピストン45が水石鹸吐出完了位置にある状態(図3参照)の水石鹸供給装置本体3から、図4に示すように電磁弁28によってポンプ通水路14bの通水口29が再び閉鎖されると、継続してポンプ通水路14bの入口部34の上流側から流量絞り部材62の流路64を経て水ポンプ室38内に送られた水が水ポンプ室38内に貯まる。また、ピストンロッド46の上端部46aと上部ピストンヘッド48の上端部48aが水ポンプ室38内に貯水された水の圧力を受圧し、ピストン45が再び下方に摺動する。
これと同時に、水石鹸ポンプ室44内では、ピストン45の下方への摺動にともない、下部ピストンヘッド50が下方へ摺動して水石鹸ポンプ室44内の容積が増加し、水石鹸ポンプ室44内には、容積の増加分に応じて水石鹸タンク8から水石鹸10を吸入しようとする負圧が生じる。
【0028】
また、水石鹸ポンプ室44内に負圧が生じている状態の水石鹸供給路30では、上流側逆止弁66の弁部材66aが、この負圧により流入口40aを開放する方向(左方向)に摺動して圧縮コイルばね70を圧縮する。流入口40aが開放されると、水石鹸ポンプ室44内の容積の増加分に相当する量の水石鹸が水石鹸タンク8から水石鹸供給路30に吸入され、流入口40aを通過して水石鹸ポンプ室44内に吸入されて補給される。
一方、水石鹸供給路30の出口側逆止弁68では、水石鹸ポンプ室44内に生じている負圧と圧縮コイルばね72の付勢力により、弁部材68aが吐出口42aを閉鎖したままの状態を維持する。
水ポンプ室38内の貯水量の増加と共にその水圧によってピストン45が圧縮コイルばね54の付勢力に抗して下方の水石鹸吐出待機位置まで押し下げられ、水石鹸ポンプ室44の容積の増加が止まり、水石鹸タンク8からの水石鹸の補給が停止し、補給完了となる。このとき、水石鹸供給装置本体3は、図2に示すような、再び水石鹸の吐出待機状態となり、水石鹸供給装置1における水石鹸の吐出から補給までの一連の作業が終了する。
【0029】
上述した本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置1によれば、水石鹸吐出待機時及び水石鹸補給操作時において、水石鹸供給装置本体3の水ポンプ室38の下流側に組み込まれた水石鹸供給装置用電磁弁28が通水口29を閉鎖して水ポンプ室38を止水することにより、止水時の水ポンプ室38内の給水圧を給水源4の給水圧の変動によらず一定にすることができる。また、水ポンプ室38内の止水時の給水圧を利用することにより、ピストン45を圧縮コイルばね54の付勢力に抗して確実に水石鹸吐出待機位置まで摺動させることができ、水石鹸ポンプ室44内に水石鹸を吸入して十分に補給した状態を維持することができる。
また、本実施形態の水石鹸供給装置1によれば、水石鹸吐出待機後の水石鹸吐出操作時において、電磁弁28が通水口29を閉鎖した状態から開放した状態に切り替わると、水ポンプ室38内の水が通水口29を経て吐水される。さらに、ポンプ通水路14bの入口部34に水ポンプ室38内への水の流量を絞り込む流量絞り部材62が設けられているため、電磁弁28が開放された際、水ポンプ室38内の水を速やかに吐水して水ポンプ室38内の給水圧を十分に低下させることができる。また、ピストン45が水ポンプ室38内の給水圧の低下と共に圧縮コイルばね54の付勢力により確実に水石鹸吐出完了位置まで摺動することができる。
これらの結果、本実施形態の水石鹸供給装置1は、水石鹸吐出待機時及び水石鹸補給操作時には、電磁弁28が閉鎖している止水時の水ポンプ室38内の給水圧を利用して、水石鹸ポンプ室44内に水石鹸を確実に補給し、水石鹸吐出操作時には、電磁弁28を開放して吐水時の水ポンプ室38内の給水圧を十分に低下させて水石鹸ポンプ室44から水石鹸を確実に吐出させるため、給水源4の給水圧の変動によらず水石鹸供給栓12の吐出口12bから一定量の水石鹸を使用者の手に供給することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の水石鹸供給装置1によれば、使用者の手の存在を検出するセンサー32が水石鹸供給栓12に組み込まれており、電磁弁28がこのセンサー32が検出した情報に基づき作動するため、使用者が水石鹸供給装置1に一切触れることなく、センサー32に手を差し向けるだけで、水石鹸供給栓12の吐出口12bから使用者の手に一定量の水石鹸を吐出することができるため、衛生的に使用することができる。
また、本実施形態の水石鹸供給装置1によれば、給水栓6に通ずる給水栓用通水路14aに設けられた発電機20が給水栓用通水路14aの水流を利用して発電を行い、その発電した電力が給水栓用電磁弁18や水石鹸供給装置用電磁弁28等の各装置の駆動電力として利用されるため、外部からの給電が不要となり、施工場所の電気工事を不要にすることができる。また、発電機20からの電力を給水栓用電磁弁18や水石鹸供給装置用電磁弁28等の各装置の作動に利用することができるため、例えば、電池等による他の電力供給を併用する場合には、電池の消耗を抑制することができ、電池交換等のメンテナンスの負担を減らすことができる。
【0031】
なお、上述した本実施形態の水石鹸供給装置1の水石鹸供給装置本体3については、図2〜図4に示すように、水石鹸供給装置本体3のポンプ通水路14bと水石鹸供給路30がほぼ水平方向に延びてかつピストン45が上下方向に摺動するように水石鹸供給装置本体3を水石鹸供給装置1内に横向きに設置した形態について説明したが、このような設置形態に限定されない。例えば、他の設置形態として、水石鹸供給装置本体3が水石鹸供給装置1内に縦向きに設置することにより、水石鹸供給装置本体3のポンプ通水路14bと水石鹸供給路30がほぼ垂直方向に延びて各上流側と下流側が下方と上方にそれぞれ位置し、かつピストン45が水平方向に摺動するようにした形態についても適用可能である。
【0032】
つぎに、本発明の第2実施形態による水石鹸供給装置について説明する。
図5は、本実施形態の水石鹸供給装置80の水石鹸供給装置本体82を示す拡大正面断面図である。
なお、本実施形態の水石鹸供給装置80における水石鹸供給装置本体82以外の部分については、図1に示す第1実施形態の水石鹸供給装置本体3以外の部分と共通しているため、それらの説明については省略する。また、図5に示す水石鹸供給装置本体82の部分についても、図2〜図4に示す第1実施形態の水石鹸供給装置本体3の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0033】
図5に示すように、水石鹸供給装置本体82は、水石鹸が水石鹸供給装置80から吐出される前の吐出待機状態を示している。本実施形態の水石鹸供給装置本体82では、ポンプ通水路14bと水石鹸供給路30のそれぞれが上流側から下流側にかけてほぼ垂直方向に上方に延びるように形成されており、ピストンポンプ84のピストン85が水平方向に摺動するように構成されている点で第1実施形態の水石鹸供給装置本体3の構成と異なっている。
また、水石鹸供給装置本体82のピストンポンプ84において、水ポンプ室38と水石鹸ポンプ室44を摺動するピストン85のピストンロッド86の両端に取り付けられた各ピストンヘッド88,90の周囲がUパッキン92によってシールされている構成についても第1実施形態のダイヤフラム式ピストンポンプ26の構成と異なっている。また、図5中の93は、ばね室56の容積が減少した際、ばね室56内で加圧された空気を水石鹸供給装置本体82の外部へ脱気するための脱気孔である。
【0034】
図5に示すように、水石鹸の吐出を待機している状態では、ピストン85の各ピストンヘッド88,90は水ポンプ室38内と水石鹸ポンプ室44内のそれぞれにおいて最も左側に摺動した位置にあり、以下、この水石鹸の吐出を待機している状態におけるピストン85の両ピストンヘッド88,90の各位置を「水石鹸吐出待機位置」と呼ぶ。
一方、詳細は図6において説明するが、水石鹸の吐出を完了している状態では、ピストン85は水ポンプ室38内と水石鹸ポンプ室44内のそれぞれにおいて最も右側に摺動した位置にあり、以下、この水石鹸の吐出を完了している状態におけるピストン85の両ピストンヘッド88,90の位置を「水石鹸吐出完了位置」と呼ぶ。
また、ピストンロッド86の水石鹸側端部86aの外周面には、ピストンヘッド90に螺合するねじ溝86bが形成されている。ピストンロッド86の水石鹸側端部86aを軸回りに回転させることによって、ピストンヘッド90とピストンロッド86の水平方向の相対位置を調整し、ピストン85のストロークを変更することができるようになっている。さらに、ピストン85のストロークを変更することによって、水石鹸ポンプ室44からの水石鹸の吐出量を調整することができるようになっている。
さらに、水石鹸供給路30の入口部40と出口部42にそれぞれ設けられた入口側逆止弁94と出口側逆止弁96としてボール弁94a,96aが使用されており、各ボール弁94a,96aは、水石鹸供給路30内の水石鹸の圧力に応じて流入口40aと吐出口42aを適宜開閉し水石鹸ポンプ室44における水石鹸の吐出入を行うと共に、水石鹸供給路30内の水石鹸の下方への逆流を適所に防ぐようになっている。
【0035】
つぎに、上述した本発明の第2実施形態の水石鹸供給装置80の動作(作用)について説明する。
図5に示すように、使用者が水石鹸供給装置80を使用する前の吐出待機状態の水石鹸供給装置本体82では、給水源4からポンプ通水路14bに流れた水が、水石鹸供給装置本体82におけるポンプ通水路14bの入口部34の流路64を経てピストンポンプ84の水ポンプ室38内に流入している。このとき、水石鹸供給装置用電磁弁28の弁部材28aは通水口29を閉鎖しており、ポンプ通水路14bの出口部36が止水されている。また、水ポンプ室38は、流入した水によって容積が最大容積まで増加して満水状態となっている。このとき、水ポンプ室38内の水圧(止水時の給水圧)は、ほぼ静水圧に近い状態となるため、給水源4の給水圧の変動によらずほぼ一定となっている。
さらに、ピストンポンプ84のピストン85の両ピストンヘッド88,90は、満水となった水ポンプ室38内の水圧により加圧され、圧縮コイルばね54の付勢力に抗して最も左側まで摺動して水石鹸吐出待機位置にある。このとき、ばね室56の圧縮コイルばね54も軸方向に圧縮されて、ピストンヘッド88は水ポンプ室38の段部60に当接して停止している。
また、水石鹸ポンプ室44の容積も最大容積まで増加して、水石鹸タンク8から一定量の水石鹸10が水石鹸供給路30の入口部40を経て水石鹸ポンプ室44に吸い上げられた状態となっている。このとき、水ポンプ室38内の止水時の給水圧に相当する加圧力が圧縮コイルばね54の付勢力を上回り、ピストン85が最も左側の位置において停止状態に維持される。
また、水石鹸供給路30の各逆止弁94,96の各ボール弁94a,96aは、流入口40aと吐出口42aをそれぞれ閉鎖した状態となっている。
【0036】
つぎに、使用者が水石鹸供給栓12のセンサー検出部12cに手を近づけると、これを検出したセンサー32からの検出信号32aを受信したコントローラ24の制御により、水石鹸供給装置用電磁弁28の弁部材28aがポンプ通水路14bの通水口29を所定時間開放され、水石鹸の吐出操作が行われる。
図6は、本実施形態の水石鹸供給装置80の水石鹸供給装置本体82における水石鹸吐出操作時の作動状態を示す、図5と同様な正面断面図である。
図6に示すように電磁弁28によってポンプ通水路14bの通水口29が所定時間開放されると、水ポンプ室38内の水が通水口29を経て出口部36から下流側へ吐水され、最終的には、水石鹸供給栓12の吐水口12aから吐水される。このとき、水ポンプ室38内の水が流出したことによって、水ポンプ室38内の水圧が減少し、圧縮コイルばね54の付勢力が、ピストン85を左方向に摺動させようとする水ポンプ室38内の水圧に相当する加圧力を上回ると、ピストン85が水ポンプ室38内の容積を減少させる方向(右方向)に摺動する。
【0037】
一方、水石鹸ポンプ室44においては、水ポンプ室38内の容積を減少させる方向へのピストン85の摺動にともない、ピストンヘッド90も水石鹸ポンプ室44の容積を減少させる方向に摺動し、水石鹸ポンプ室44内に収容されている一定量の水石鹸が水石鹸ポンプ室44から外部上方へ押し出される。このとき、入口側逆止弁94のボール弁94aは流入口40aを閉鎖したままの状態であるが、出口側逆止弁96のボール弁96aは、水石鹸ポンプ室44から押し出された水石鹸の圧力を受圧して、吐出口42aを開放する方向(上方)に移動する。
吐出口42aが開放されると、水石鹸ポンプ室44内から一定量の水石鹸が吐出され、出口側逆止弁96のボール弁96aが受圧する水石鹸の圧力が減少する。ボール弁96aは、水石鹸の圧力が減少すると、吐出口42aを閉鎖する方向(下方)に移動し、吐出口42aから一定量の水石鹸の吐出が完了すると、吐出口42aが完全に閉鎖される。
水石鹸の吐出が完了した状態では、ピストン85及び両ピストンヘッド88,90は水ポンプ室38内と水石鹸ポンプ室44内のそれぞれにおいて最も右側に摺動して水石鹸の吐出を完了する水石鹸吐出完了位置にある。
【0038】
出口側逆止弁96の吐出口42aから吐出された一定量の水石鹸は、水石鹸供給路30の出口部42の下流側へ送られ、最終的には、水石鹸供給栓12の吐出口12bから吐出される。これと同時に、水石鹸供給栓吐出口12bに並置された水石鹸供給栓吐水口12aにおいても、電磁弁28が開放されている間に通水口29を通過した水の流量分だけ吐水が行われる。
水石鹸の吐出が完了すると、電磁弁28の弁部材28aにより、通水口29が再び閉鎖され、後述する水石鹸の補給操作が行われる。
【0039】
図7は、本実施形態の水石鹸供給装置80における水石鹸吐出操作時の水石鹸供給装置本体82の作動状態を示す、図5及び図6と同様な正面断面図である。
上述したピストン85が水石鹸吐出完了位置にある状態(図6参照)の水石鹸供給装置本体82から、図7に示すように電磁弁28によってポンプ通水路14bの通水口29が再び閉鎖されると、継続してポンプ通水路14bの入口部34の上流側から流路64を経て水ポンプ室38内に送られた水が水ポンプ室38内に貯まる。また、ピストン85のピストンヘッド88が水ポンプ室38内に貯水された水の圧力を受圧し、ピストン85が圧縮コイルばね54の付勢力に抗して再び水ポンプ室38内の容積を増加させる方向(左方向)に摺動する。
これと同時に、水石鹸ポンプ室44内では、ピストン85の左方向の摺動にともない、水石鹸ポンプ室44内のピストンヘッド90が左方向へ摺動して水石鹸ポンプ室44内の容積が増加し、水石鹸ポンプ室44内には、容積の増加分に応じて水石鹸タンク8から水石鹸10を吸入しようとする負圧が生じる。
【0040】
また、水石鹸ポンプ室44内に負圧が生じている状態の水石鹸供給路30では、入口側逆止弁94のボール弁94aが、この負圧により流入口40aを開放する方向(上方)に移動する。流入口40aが開放されると、水石鹸ポンプ室44内の容積の増加分に相当する量の水石鹸が水石鹸タンク8から水石鹸供給路30に吸入され、流入口40aを通過して水石鹸ポンプ室44内に補給される。
一方、水石鹸供給路30の出口側逆止弁96では、水石鹸ポンプ室44内に生じている負圧により、ボール弁96aが吐出口42aを閉鎖したままの状態を維持する。
水ポンプ室38内の貯水量の増加と共にその水圧によってピストン85及び両ピストンヘッド88,90が圧縮コイルばね54の付勢力に抗して左方向の水石鹸吐出待機位置まで摺動して水石鹸ポンプ室44の容積の増加が止まると、水石鹸タンク8からの水石鹸の補給が停止し、補給完了となる。このとき、水石鹸供給装置本体82は、図5に示すような、再び水石鹸の吐出待機状態となり、水石鹸供給装置80における水石鹸の吐出から補給までの一連の作業が終了する。
【0041】
上述した本発明の第2実施形態による水石鹸供給装置80によれば、第1実施形態と同様に、水石鹸吐出待機時及び水石鹸補給操作時の水石鹸供給装置本体82において、ポンプ通水路14bの水ポンプ室38の下流側に組み込まれた電磁弁28が通水口29を閉鎖することにより、止水時の水ポンプ室38内の給水圧を給水源4の給水圧の変動によらず一定にすることができる。また、水ポンプ室38内の止水時の給水圧を利用することにより、ピストン85を圧縮コイルばね54の付勢力に抗して確実に水石鹸吐出待機位置まで摺動させることができ、水石鹸ポンプ室44内に水石鹸を十分に補給した状態を維持することができる。
また、水石鹸吐出待機後の水石鹸吐出操作時において、電磁弁28が通水口29を閉鎖した状態から開放した状態に切り替わると、水ポンプ室38内の水が通水口29を経て吐水されて水ポンプ室38内の給水圧が低下するため、ピストン85がこの水ポンプ室38内の給水圧の低下と共に圧縮コイルばね54の付勢力により確実に水石鹸吐出完了位置まで摺動することができる。
これらの結果、本実施形態の水石鹸供給装置80は、第1実施形態と同様に、水石鹸吐出待機時及び水石鹸補給操作時には、電磁弁28が閉鎖している止水時の水ポンプ室38内の給水圧を利用して、水石鹸ポンプ室44内に水石鹸を確実に補給し、水石鹸吐出操作時には、電磁弁28を開放して吐水時の水ポンプ室38内の給水圧を十分に低下させて水石鹸ポンプ室44から水石鹸を確実に吐出させるため、給水源4の給水圧の変動によらず水石鹸供給栓12の吐出口12bから一定量の水石鹸を使用者の手に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置が組み込まれた洗面台の全体構成を概略的に示す概略全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置の水石鹸供給装置本体を示す拡大正面断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置の水石鹸供給装置本体における水石鹸吐出操作時の作動状態を示す、図2と同様な正面断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置の水石鹸供給装置本体における水石鹸補給操作時の作動状態を示す、図2及び図3と同様な正面断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による水石鹸供給装置の水石鹸供給装置本体を示す拡大正面断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態による水石鹸供給装置の水石鹸供給装置本体における水石鹸吐出操作時の作動状態を示す、図5と同様な正面断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による水石鹸供給装置の水石鹸供給装置本体における水石鹸補給操作時の作動状態を示す、図5及び図6と同様な正面断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1,80 水石鹸供給装置
2 洗面台
2a カウンター
3,82 水石鹸供給装置本体
4 給水源
6 給水栓
6a 給水栓吐水口
8 水石鹸タンク
10 水石鹸
12 水石鹸供給栓
12a 水石鹸供給栓吐水口
12b 水石鹸供給栓吐出口
12c 水石鹸供給栓用センサー検出部
14 通水路
14a 給水栓用通水路
14b ポンプ通水路
16 止水栓
18 給水栓用電磁弁
18a 制御信号
20 発電機
22 水石鹸供給栓用センサー
22a 検出信号
24 コントローラ
26,84 ピストンポンプ
28 水石鹸供給装置用電磁弁
30 水石鹸供給路
32 水石鹸供給栓用センサー
34 水石鹸供給装置本体のポンプ通水路の入口部
36 水石鹸供給装置本体のポンプ通水路の出口部
38 水ポンプ室
38a 水ポンプ室の側壁
40 水石鹸供給装置本体の水石鹸供給路の入口部
40a 流入口
42 水石鹸供給装置本体の水石鹸供給路の出口部
42a 吐出口
44 水石鹸ポンプ室
45,85 ピストン
46,86 ピストンロッド
48 上部ピストンヘッド
50 下部ピストンヘッド
51,53 ダイヤフラム
52 水石鹸ポンプ室上壁部
54,70,72 圧縮コイルばね
56 ばね室
58 密閉保持部材
60 水ポンプ室の段部
61 パッキン
62 流量絞り部材
64 流路
66,68,94,96 逆止弁
66a,68a 弁部材
88,90 ピストンヘッド
92 Uパッキン
93 脱気孔
94a,96a ボール弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源から給水される水の圧力を利用して作動するポンプ機構によって水石鹸を供給する水石鹸供給装置であって、
水石鹸が収容された水石鹸タンクと、
上記給水源に接続された水ポンプ室と、
上記水石鹸タンクに接続された水石鹸ポンプ室と、
上記水ポンプ室内の水圧によって駆動され、上記水ポンプ室と上記水石鹸ポンプ室の容積を変化させるように配置されたピストンと、
このピストンを上記水ポンプ室と上記水石鹸ポンプ室の容積が共に減少する方向に付勢するばね部材と、
上記水ポンプ室に接続された開閉弁であって、この開閉弁が閉鎖されると、上記水ポンプ室内の水圧が上昇し、上記ピストンが上記ばね部材の付勢力に抗して上記水ポンプ室と上記水石鹸ポンプ室の容積を共に増加させるように駆動し、上記水石鹸タンクから上記水石鹸ポンプ室内に水石鹸が吸入され、さらに、上記開閉弁が開放されると、上記水ポンプ室内の水圧が低下し、上記ピストンが上記ばね部材の付勢力により上記水ポンプ室と上記水石鹸ポンプ室の容積を共に減少させるように駆動し、上記水石鹸ポンプ室から水石鹸が吐出されるように作動する上記開閉弁と、
を有することを特徴とする水石鹸供給装置。
【請求項2】
上記水ポンプ室は、上記水ポンプ室内への水の流量を絞り込む流量絞り手段を介して上記給水源に接続されている請求項1記載の水石鹸供給装置。
【請求項3】
更に、使用者の手の存在を検出する検出手段を有し、上記開閉弁は、この検出手段が使用者の手の存在を検出すると開放される請求項1または2に記載の水石鹸供給装置。
【請求項4】
上記開閉弁は、他の吐水装置へ供給される水の流れを利用して発電された電力によって駆動される請求項1〜3のいずれか1項に記載の水石鹸供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−346009(P2006−346009A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174055(P2005−174055)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】