説明

水系電解液リチウム二次電池

【課題】正極合材や負極合材と集電体との密着性に優れ、充放電サイクル特性に優れた水系電解液リチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】正極集電体21に正極合材25を結着してなる正極2と、負極集電体31に負極合材35を結着してなる負極3と、リチウム塩を水に溶解してなる水系電解液とを有する水系電解液リチウム二次電池である。正極合材25は、リチウム含有複合酸化物からなる正極活物質251と、炭素系材料からなる導電剤253と、バインダー255とを含有する。負極合材35は、正極活物質251のリチウム含有複合酸化物よりも、リチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質351と、炭素系材料からなる導電剤353と、バインダー355とを含有する。バインダー255、355としては、水溶性又は水分散性であり、かつ酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有する高分子化合物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液として、リチウム塩を水に溶解してなる水系電解液を有する水系電解液リチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムの吸蔵及び脱離現象を利用したリチウム二次電池は、高電圧でエネルギー密度が高く、また小型・軽量化が図れることから、パソコンや携帯電話等の携帯情報端末等を中心に情報機器や通信機器の分野で実用が進み、広く一般に普及するに至っている。また他の分野では、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急がれる中、リチウム二次電池を電気自動車用電源として用いることが検討されている。
【0003】
現在、実用化されているリチウム二次電池としては、電解液としてリチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水系電解液を含有する非水系のリチウム二次電池が主流である。このような非水系のリチウム二次電池としては、一般に、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質、導電性炭素材料からなる導電剤、及びフッ素樹脂からなるバインダーを含有する正極合材を、アルミニウム箔からなる集電体に塗布してなる正極と、リチウムを吸蔵及び脱離可能な炭素材料からなる負極活物質、及びフッ素樹脂又は水溶性樹脂からなるバインダーを含有する負極合材を、銅箔からなる集電体に塗布してなる負極とを有するものが用いられている。
【0004】
しかし、非水系のリチウム二次電池は、電解液として引火点の低い有機溶媒等の非水系電解液を含有しているため、過充電や短絡等により引火、爆発の危険性を有している。また、過充電状態に至った場合や高温環境下にさらされた場合には、電解液が分解して可燃性ガスを発生するおそれがある。そのため、非水系のリチウム二次電池には、安全性を確保する目的として、PCT素子や安全弁等のデバイスを装備するのが一般的である。しかし、非水系のリチウム二次電池は、もともと可燃性の溶媒を含有しているため、安全性を充分に確保するには相当の困難がつきまとう。特に、非水系のリチウム二次電池を自動車等の動力用電源として用いる場合には、電池が大型化し、使用する有機溶媒の量が多くなることに加え、使用温度が高く、過酷な条件下での使用が予想されるため、より安全性の高いリチウム二次電池が要求されていた。
【0005】
また、非水系のリチウム二次電池においては、電池内に水分がわずかにでも存在すると、水の電気分解によりガスが発生したり、水とリチウムとが反応してリチウムが消費されたり、また、電池を構成する材料が腐食したりするおそれがある。そのため、非水系のリチウム二次電池においては、その製造工程において徹底したドライ環境を維持する必要がある。その結果、水分を完全に除去するための特殊な設備と多大な労力を要し、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
一方、電解液として水溶液を用いた水系電解液リチウム二次電池がある(特許文献1参照)。この水系電解液リチウム二次電池は、上記非水系のリチウム二次電池が有する上記のような問題に対して非常に有利である。
即ち、水系電解液リチウム二次電池は、上記有機溶媒を含有していないため、引火等の危険性がほとんどない。また、その製造時にドライ環境を必要としないため、製造コストを低くすることができる。
また、一般に水系電解液リチウム二次電池は、水の電気分解が起こらない電位範囲で充放電をさせることが必要であるが、水溶液は非水溶液に比べて導電性が高いため、非水系のリチウム二次電池に比べて電池の反応抵抗が低く、電池の出力特性やレート特性が向上するという利点がある。
【0007】
このような水系電解液リチウム二次電池の正極や負極は、非水系のリチウム二次電池と同様に、活物質と導電剤とバインダーとからなる電極合材(正極合材又は負極合材)を、金属箔等からなる集電体に塗布し乾燥して作製される。上記水系電解液リチウム二次電池は、その研究の歴史が浅いこともあり、正極や負極に用いるバインダーに関する報告はほとんどない。したがって、これまで、水系電解液リチウム二次電池のバインダーとしては、非水系のリチウム二次電池の正極及び負極に用いられていたポリフッ化ビニリデンやテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂や、スチレンブタジエンゴム等の炭化水素系樹脂が用いられてきた(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、非水系のリチウム二次電池用のバインダーを正極や負極に含有する水系電解液リチウム二次電池においては、電極合材と集電体との密着性が不充分で、これらの間に水が入り込み易く、電池の充放電中に電極にフクレが発生するおそれがあった。
また、非水系のリチウム二次電池に用いられていたバインダーは、水との親和性がほとんどなく、水溶液中で収縮する性質を有している。そのため、充放電に伴って正極活物質及び負極活物質の粒子が膨張及び収縮するときに、水系電解液中で収縮したバインダーが活物質粒子の表面から脱離し易い。その結果、正極活物質及び負極活物質の粒子間の結合力が失われて、正極活物質及び負極活物質の粒子が集電体から滑落するおそれがあった。そのため、充放電を繰り返すにつれて、放電容量が低下し易く、実用に耐えうる充放電サイクル特性を発揮できないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】特表平9−508490号公報
【特許文献2】特開2001−52747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、正極合材や負極合材と集電体との密着性に優れ、充放電サイクル特性に優れた水系電解液リチウム二次電池を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、正極集電体に正極合材を結着してなる正極と、負極集電体に負極合材を結着してなる負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水系電解液とを有する水系電解液リチウム二次電池において、
上記正極合材は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、バインダーとを含有し、
上記負極合材は、上記正極活物質が含有する上記リチウム含有複合酸化物よりも、リチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、バインダーとを含有し、
上記正極合材及び上記負極合材における上記バインダーとしては、水溶性又は水分散性であり、かつ酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有する高分子化合物を用いることを特徴とする水系電解液リチウム二次電池にある(請求項1)。
【0012】
本発明の水系電解液リチウム二次電池において最も注目すべき点は、上記正極合材及び上記負極合材における上記バインダーとして、水溶性又は水分散性であり、かつ酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有する高分子化合物を用いる点にある。
そのため、上記水系電解液リチウム二次電池においては、上記正極合材及び上記負極合材と、例えば金属箔等からなる上記正極集電体及び上記負極集電体とが優れた密着性で結合することができる。それ故、上記水系電解液リチウム二次電池においては、上記正極合材及び上記負極合材が集電体から滑落することを防止でき、充放電を繰り返し行っても高い放電容量を維持できる。以下、この作用効果について詳説する。
【0013】
即ち、例えば金属箔等よりなる上記正極集電体及び上記負極集電体は、上記水系電解液中において通常酸化又は水酸化しており、表面が酸素原子で覆われている。また、本発明において、上記バインダーは、酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有している。そのため、上記バインダーは、該バインダーの酸素原子と、上記正極集電体及び上記負極集電体の表面における酸素原子又は水酸基との間で化学結合を形成することができる。それ故、上記水系電解液リチウム二次電池においては、上記バインダーによって、上記正極合材及び負極合材をそれぞれ上記正極集電体及び負極集電体に密着性よく結着させることができる。したがって、上記水系電解液リチウム二次電池においては、上記正極集電体と上記正極合材との間や、上記負極集電体と上記正極合材との間に、水系電解液の水が入り込み難く、正極や負極にフクレが発生して上記正極合材や上記負極合材が集電体から剥離することを防止できる。
【0014】
また、上記水系電解液リチウム二次電池において、上記正極活物質及び上記負極活物質は、いずれもが複合酸化物からなる。そのため、上記バインダーは、上記正極活物質及び上記負極活物質の粒子にも結合することができ、上記正極活物質の粒子同士、及び上記負極活物質の粒子同士の結合力を高くすることができる。
したがって、上記バインダーは、上記のごとく正極集電体及び負極集電体に結合できると共に、上記正極活物質及び上記負極活物質にも結合することができる。そのため、上記正極合材においては、上記正極活物質が上記正極集電体の表面に充分に保持され、また、上記負極合材においても、上記負極活物質が上記負極集電体の表面に充分に保持される。それ故、リチウムの吸蔵・脱離に伴って、上記正極活物質の粒子及び上記負極活物質の粒子が膨張及び収縮しても、上記バインダーは活物質の表面から脱離し難い。
【0015】
また、上記バインダーは、水溶性又は水分散性を有するが、上記正極集電体に結着させた状態の上記正極合材、及び上記負極集電体に結着させた状態の上記負極合材においては、もはや上記バインダーが上記水系電解液に溶出することはほとんどない。上記バインダーにおいて水中で陰イオンとなる上記官能基が、上記のごとく上記正極集電体及び上記負極集電体や上記正極活物質及び上記負極活物質と化学結合を形成するからである。
【0016】
したがって、上記水系電解液リチウム二次電池においては、上記正極合材及び上記負極合材がそれぞれ上記正極集電体及び上記負極集電体から脱離し難く、充放電を繰り返し行っても高い放電容量を維持することができる。
【0017】
このように、本発明によれば、正極合材や負極合材と集電体との密着性に優れ、充放電サイクル特性に優れた水系電解液リチウム二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の水系電解液リチウム二次電池の好ましい実施の形態について、電池の構成要素ごとに説明する。ここで、上記水系電解液リチウム二次電池は、上述のごとく、正極集電体に正極合材を結着してなる正極と、負極集電体に負極合材を結着してなる負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水系電解液とを有する。上記正極合材は、正極活物質と、導電剤と、バインダーとを含有し、上記負極合材は、負極活物質と、導電剤と、バインダーとを含有する。
【0019】
まず、上記正極合材及び負極合材に含まれるバインダーについて説明する。
(バインダー)
上記バインダーは、水溶性又は水分散性であり、かつ酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有する高分子化合物である。上記バインダーとしては、上記官能基を含有する水溶性高分子や上記官能基を含有する水分散性高分子等がある。また、上記バインダーは、上記高分子化合物の酸素原子を含む上記官能基が陰イオンとなることにより、水溶性又は水分散性を発揮できる化合物である。具体的には、上記バインダーは、例えば有機カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩等の有機酸塩を含有する高分子化合物であり、例えば水溶性アクリル樹脂、及び水分散型スチレンブタジエンゴム、水溶性フッ素樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性セルロース、及び水溶性ポリブタジエン等から選ばれる1種以上を用いることができる。また、上記正極合材用のバインダー及び上記負極合材用のバインダーは、互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
【0020】
また、上記バインダーとして塩を用いる場合には、アルカリ金属塩を用いることができる。電解液中への溶出を考慮してアルカリ金属塩としてリチウム塩を用いた場合には、充放電に対する影響をなくすことができる。
【0021】
(正極)
上記正極は、例えば上記正極活物質、上記導電剤、及び上記バインダーを含有する上記正極合材を、上記正極集電体に塗布し乾燥して、必要に応じてプレスして形成することができる。
上記正極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる。具体的には、例えばリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム鉄複合リン酸化物等がある。
上記導電剤は、電極の電気伝導性を確保するためのものであり、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素系材料から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
また、上記正極合材は、該正極合材100重量部中に、上記正極活物質を50〜95重量部、上記導電剤を3〜30重量部、上記バインダーを2〜20重量部含有することが好ましい。
上記正極活物質の含有量が50重量部未満の場合には、上記水系電解液リチウム二次電池は、実用に耐えうる程の充分な充放電容量を発揮できないおそれがある。一方、95重量部を超える場合には、上記導電剤もしくは上記バインダーの含有量が不足し、上記水系電解液リチウム二次電池は、電気抵抗が高くなったり、上記正極合材と上記正極集電体との密着性が低下したりするおそれがある。
【0023】
また、上記導電剤の含有量が、3重量部未満の場合には、正極の導電性が低下し、上記水系電解液リチウム二次電池の電気抵抗が高くなるおそれがある。一方、30重量部を超える場合には、上記水系電解液リチウム二次電池の電池容量が低下するおそれがある。
また、上記バインダーの含有量が2重量部未満の場合には、上述の上記正極合材と上記正極集電体との密着性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。一方、20重量部を超える場合には、上記水系電解液リチウム二次電池の電池容量が低下するおそれがある。
【0024】
上記正極合材を上記正極集電体に塗布する際には、例えば上記バインダーを水に溶解又は分散させてバインダー液を作製し、このバインダー液中に上記正極活物質及び上記導電剤を充分に分散させ、さらに水で塗布に適した粘度に調整した後、上記集電体に塗布することができる。
【0025】
(負極)
上記負極は、例えば上記負極活物質、上記導電剤、及び上記バインダーを含有する上記負極合材を、上記負極集電体に塗布し乾燥して、必要に応じてプレスして形成することができる。上記負極としては、活物質として上記負極活物質を含有することを除き、上記正極と同様のものを用いることができる。
上記負極活物質は、上記正極活物質が含有するリチウム含有複合酸化物よりも、リチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる。具体的には、例えばリチウムバナジウム複合酸化物やリチウムチタン複合酸化物などのリチウム遷移金属複合酸化物、又は水酸化鉄等がある。
【0026】
また、上記負極合材は、該負極合材100重量部中に、上記負極活物質を50〜95重量部、上記導電剤を3〜30重量部、上記バインダーを2〜20重量部含有することが好ましい。これらの臨界意義については、上記正極合材と同様である。
【0027】
(電解液)
上記水系電解液リチウム二次電池は、電解液として、リチウム塩を水に溶解してなる水系電解液を含有する。リチウム塩は、水に溶解することにより解離し、リチウムイオンが電解液中に存在する。このようなリチウム塩としては、例えば硝酸リチウム、硫酸リチウム、水酸化リチウム、ヨウ化リチウム等がある。これらのリチウム塩は1種を用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。
【0028】
また、上記水系電解液は、そのpHが、6≦pH≦10の範囲にあることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記正極中の上記正極活物質及び上記負極中の上記負極活物質の水溶液中での安定性を向上させることができ、上記正極活物質及び上記負極活物質におけるリチウムイオンの吸蔵及び脱離反応がよりスムーズになる。
【0029】
上記水系電解液のpHが6未満の場合には、上記正極活物質及び/又は上記負極活物質が溶解し、上記水系電解液中に安定に存在できなくなるおそれがある。一方、pHが10を超える場合には、上記水系電解液と、例えば金属箔等からなる上記正極集電体や上記負極集電体との間で反応がおこり、電極が安定に存在できなくなるおそれがある。
また、上記水系電解液中のリチウム塩濃度は、電解液の電気伝導度を高くして上記水系電解液リチウム二次電池の内部抵抗を低くするという観点から、飽和濃度もしくはそれに近い濃度とすることが好ましい。
【0030】
(集電体)
上記水系電解液リチウム二次電池においては、正極に上記正極集電体を有し、負極に上記負極集電体を有する。このような集電体としては、導電性に優れ、水系電解液中で安定な金属箔等を用いることができる。具体的には、例えばニッケル、アルミニウム、白金、又はこれらの合金等からなる金属箔がある。
【0031】
また、上記正極集電体及び上記負極集電体は、そのいずれもがアルミニウムよりなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記水系電解液のpHが上述のごとく6≦pH≦10のという好ましい範囲にある場合においても、上記正極集電体及び上記負極集電体が上記水系電解液中で反応してしまうことを防止し、上記水系電解液中での上記正極集電体及び上記負極集電体の安定性を向上させることができる。また、この場合には、上記水系電解液リチウム二次電池の製造コストを低くすることができると共に、その軽量化を図ることができる。
【0032】
(その他)
上記水系電解液リチウム二次電池においては、上記正極と上記負極との間にセパレータを狭装することができる。
上記セパレータは、正極と負極とを分離し上記水系電解液を保持するものであり、上記水系電解液中で安定なものを用いることができる。具体的には、例えばセルロース、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の薄い微多孔膜からなるものを用いることができる。
【0033】
また、上記水系電解液リチウム二次電池の形状としては、例えば円筒型、積層型、コイン型、角型等がある。正極、負極、及び水系電解液等を収容する電池ケースとしては、これらの形状に対応したものを用いることができる。
上記水系電解液リチウム二次電池は、例えば上記正極と上記負極との間に上記セパレータを狭装してなる電極体を、所定の形状の電池ケースに収納し、上記正極集電体及び上記負極集電体を、リード線を介して正極外部端子及び負極外部端子に電気的に接続し、上記電極体に上記水系電解液を含浸させて、電池ケースを密閉することにより作製することができる。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
次に、本発明の水系電解液リチウム二次電池の実施例について、図1及び図2を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の水系電解液リチウム二次電池1は、正極集電体21に正極合材25を結着してなる正極2と、負極集電体31に負極合材35を結着してなる負極3と、リチウム塩を水に溶解してなる水系電解液とを有する。
【0035】
図2に示すごとく、正極合材25は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質251と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤253と、バインダー255とを含有する。
また、負極合材35は、正極活物質25が含有するリチウム含有複合酸化物よりも、リチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質351と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤353と、バインダー355とを含有する。
正極合材25及び負極合材35におけるバインダー255及び355としては、水溶性又は水分散性であり、かつ酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有する高分子化合物を用いている。
【0036】
図1に示すごとく、本例の水系電解液リチウム二次電池1は、円筒型であり、正極2、負極3、セパレータ4、ガスケット5、及び電池ケース6等よりなっている。電池ケース6は、18650型の円筒形状の電池ケースであり、キャップ61及び外装缶62よりなる。電池ケース6内には、シート状の正極2及び負極3が、これらの間に挟んだセパレータ4と共に捲回した状態で配置されており、水系電解液リチウム二次電池1は捲回式の電極を有している。
【0037】
また、電池ケース6のキャップ61の内側には、ガスケット5が配置されており、電池ケース6の内部には、水系電解液が注入されている。
正極2及び負極3には、それぞれ正極集電リード28及び負極集電リード38が熔接により設けられている。正極集電リード28は、キャップ61側に配置された正極集電タブ285に熔接により接続されている。また、負極集電リード38は、外装缶62の底に配置された負極集電タブ385に熔接により接続されている。
また、水系電解液としては、飽和濃度の硝酸リチウム水溶液(pH=7)を用いており、該水系電解液は電池ケース6内に注入されている。
【0038】
次に、本例の水系電解液リチウム二次電池の製造方法につき、説明する。
まず、正極活物質として、組成式LiFePO4で表されるオリビン構造のリチウム鉄複合リン酸化物を、導電剤としてアセチレンブラックを準備した。また、バインダーとしては、カルボキシル基を含有するカルボキシメチルセルロースナトリウムと、カルボキシル基を含有する水分散型スチレンブタジエンゴムを準備した。
【0039】
次いで、カルボキシメチルセルロースナトリウムを水に溶解し、5wt%のカルボキシメチルセルロース水溶液(バインダー液1)を作製し、また、スチレンブタジエンゴムを水に分散させて、濃度49wt%のエマルジョン状態のスチレンブタジエンゴムの水分散液(バインダー液2)を作製した。
次に、バインダー液1中に、上記正極活物質及び導電剤を分散させて混合し、さらにバインダー液2を加えて混合し、正極合材を得た。この正極合材は、正極活物質としてリチウム鉄複合リン酸化物(LiFePO4)85重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース2重量部と水分散型スチレンブタジエンゴム3重量部とを含有する。
【0040】
次いで、正極集電体として、厚さ20μmのアルミニウム箔を準備し、この正極集電体の両面に、正極合材を塗布し、乾燥させることにより水を蒸発させた。さらに、約1ton/cmの線圧でプレスし、シート状の正極を作製した。
【0041】
次に、負極活物質として、組成式LiV24で表されるスピネル構造のリチウムバナジウム複合酸化物を、導電剤としてアセチレンブラックを準備した。また、バインダーとしてカルボキシル基を含有するカルボキシメチルセルロースナトリウムと、カルボキシル基を含有する水分散型スチレンブタジエンゴムを準備した。
【0042】
次いで、上記正極の場合と同様にして、バインダー液1及びバインダー液2を作製し、バインダー液1中に負極活物質と導電剤とを分散して混合し、さらにバインダー液2を加えて混合し、負極合材を得た。この負極合材は、負極活物質としてリチウムバナジウム複合酸化物(LiV24)85重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース2重量部と水分散型スチレンブタジエンゴム3重量部とを含有する。
次いで、正極の場合と同様に、厚さ20μmのアルミニウム箔の負極集電体の両面に、上記負極合材を塗布し、乾燥させ、約1ton/cmの線圧でプレスし、シート状の負極を作製した。
【0043】
次に、図1に示すごとく、上記のようにして得られたシート状の正極2及び負極3にそれぞれ正極集電リード28及び負極集電リード38を熔接した。次いで、正極2及び負極3を、これらの間にセルロース系のセパレータ4を挟んだ状態で捲回し、スパイラル状の捲回式電極を作製した。
続いて、この捲回式電極を、外装缶62及びキャップ61よりなる18650型の円筒形状の電池ケース6に挿入した。このとき、電池ケース6のキャップ61側に配置した正極集電タブ285に、正極集電リード28を熔接により接続すると共に、外装缶6の底に配置した負極集電タブ385に負極集電リード38を熔接により接続した。
【0044】
次に、電池ケース6内に、水系電解液としての飽和硝酸リチウム水溶液(pH=7)を含浸させた。そして、キャップ61の内側にガスケット5を配置すると共に、このキャップ61を外装缶62の開口部に配置した。続いて、キャップ61にかしめ加工を施すことにより電池ケース6を密閉し、水系電解液リチウム二次電池1を作製した。これを電池E1とする。
【0045】
本例の水系電解液リチウム二次電池1(電池E1)においては、図2に示すごとく、正極合材25及び負極合材35に含まれるバインダー255及び355として、水溶性又は水分散性であり、かつ酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有する高分子化合物を用いている。そのため、正極合材25と正極集電体21、及び負極合材35と負極集電体31との密着性が優れている。それ故、水系電解液リチウム二次電池1においては、正極合材25及び負極合材35がそれぞれ正極集電体21及び負極集電体31から滑落することを防止でき、水系電解液リチウム二次電池1は充放電を繰り返し行っても高い放電容量を維持できる。
【0046】
即ち、アルミニウム箔からなる正極集電体21及び負極集電体31は、通常酸化又は水酸化しており、表面が酸素原子で覆われている。また、正極活物質251及び負極活物質351は酸化物であり、酸素原子を含有している。さらに、バインダー255及び355は、酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基(カルボキシル基)を含有している。
そのため、本例のように、バインダー255及び355の水溶液及び水分散液に正極活物質251、負極活物質351を分散させて正極合材25及び負極合材35を作製すると、正極合材25及び負極合材35においては、バインダー255及び355の官能基(カルボキシル基)が正極活物質251及び負極活物質351中の酸素原子と反応し、化学結合を形成することができる。さらに、この正極合材25及び負極合材35を正極集電体21及び負極集電体31に塗布し乾燥させると、正極集電体21及び負極集電体31の表面の酸素原子とバインダー255及び355の官能基が反応し、化学結合を形成することができる。
【0047】
このように、本例の水系電解液リチウム二次電池1においては、バインダー255は、正極活物質251及び正極集電体21の両方に化学結合で結合することができる。また、バインダー355は、負極活物質351及び負極集電体31の両方に化学結合で結合することができる。
【0048】
また、バインダー255及び355は、水との親和性を有しているため、水系電解液中においてもほとんど収縮することがない。
また、本例の水系電解液リチウム二次電池1において、上記のごとくバインダー255は、その陰イオンとなりうる官能基を利用して、正極活物質251及び正極集電体21と化学結合を形成し、またバインダー355は、その陰イオンとなりうる官能基を利用して、負極活物質351及び負極集電体31と化学結合を形成している。そのため、水系電解液リチウム二次電池1においては、もはやバインダー255及び355は、水系電解液中にほとんど溶解しない。
【0049】
したがって、本例の水系電解液リチウム二次電池1においては、正極集電体21と正極合材25、及び負極集電体31と負極合材35と密着性に優れ、正極集電体21と正極合材25との間、及び負極集電体31と負極合材35との間に、水系電解液の水が入り込み難く、正極2や負極3にフクレが発生して正極合材25や負極合材35がそれぞれ正極集電体21及び負極集電体31から脱離することを防止できる。
また、本例の水系電解液リチウム二次電池1においては、バインダー255及び355は、活物質粒子251及び351間をそれぞれ強固に結合することができ、充放電に伴って活物質粒子251及び351が膨張及び収縮しても、バインダー255及び355は、それぞれ活物質粒子251及び351間の結合を維持することができる。そのため、充放電を繰り返し行っても、正極活物質251や負極活物質351の粒子が脱離することはほとんどない。したがって、本例の水系電解液リチウム二次電池は、充放電を繰り返しても、電池容量が低下し難く、充放電サイクル特性に優れたものとなる。
【0050】
(実施例2)
次に、本例は、実施例1で作製した水系電解液リチウム二次電池(電池E1)とは正極合材及び負極合材中のバインダーの種類が異なる7種類水系電解液リチウム二次電池(電池E2、及び電池C1〜電池C6)を作製し、充放電サイクル特性を評価する例である。
【0051】
電池E2は、バインダーとして、カルボン酸基含有する水溶性アクリル樹脂を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製したものである。
具体的には、まず、水溶性アクリル樹脂を水に溶解し、5wt%の水溶性アクリル樹脂水溶液(バインダー液3)を作製し、このバインダー液3に実施例1と同様の正極活物質及び導電剤を分散させて正極合材を作製した。この正極合材は、正極活物質としてリチウム鉄複合リン酸化物(LiFePO4)85重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、バインダーとして水溶性アクリル樹脂5重量部とを含有する。
次いで、実施例1と同様にして、正極合材を正極集電体に塗布、乾燥し、プレスして電池E2用の正極を作製した。また、負極についても、上記バインダー液3を用いた点を除いては実施例1と同様にして作製した。
次いで、実施例1と同様にして正極、負極を用いて巻回式電極を作製し、さらに実施例1と同様にして、18650型の円筒形状の水系電解液リチウム二次電池(電池E2)を作製した。
【0052】
また、電池C1は、正極側のバインダーとして、水不溶性で、酸素を含有する官能基を含有していないポリフッ化ビニリデンを用い、その他は実施例1の上記電池E1と同様にして作製した。即ち、電池C1は、正極のバインダーとしてポリフッ化ビニリデンを用い、負極のバインダーとしては上記電池E1と同様のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び水分散型スチレンブタジエンゴムを用いて作製したものである。また、電池C1の正極の正極合材としては、正極活物質(LiFePO4)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリフッ化ビニリデン)5重量部とを含有するものを用いた。その他は電池E1と同様である。
【0053】
また、電池C2は、正極側のバインダーとして、水不溶性で酸素を含有する官能基を含有するポリアクリロニトリルを用い、その他は実施例1の上記電池E1と同様にして作製した。即ち、電池C2は、正極のバインダーとしてポリアクリロニトリルを用い、負極のバインダーとしては電池E1と同様のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び水分散型スチレンブタジエンゴムを用いて作製したものである。また、電池C2の正極の正極合材としては、正極活物質(LiFePO4)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリアクリロニトリル)5重量部を含有するものを用いた。その他は電池E1と同様である。
【0054】
電池C3は、負極側のバインダーとして、水不溶性で、酸素を含有する官能基を含有していないポリフッ化ビニリデンを用い、その他は実施例1の上記電池E1と同様にして作製した。即ち、電池C1は、負極のバインダーとしてポリフッ化ビニリデンを用い、正極のバインダーとしては上記電池E1と同様のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び水分散型スチレンブタジエンゴムを用いて作製したものである。また、電池C3の負極の負極合材としては、負極活物質(LiV24)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリフッ化ビニリデン)5重量部を含有するものを用いた。その他は電池E1と同様である。
【0055】
また、電池C4は、負極側のバインダーとして、水不溶性で酸素を含有する官能基を含有するポリアクリロニトリルを用い、その他は実施例1の上記電池E1と同様にして作製した。即ち、電池C4は、負極のバインダーとしてポリアクリロニトリルを用い、正極のバインダーとしては電池E1と同様のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び水分散型スチレンブタジエンゴムを用いて作製したものである。また、電池C4の負極の負極合材としては、負極活物質(LiV24)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリアクリロニトリル)5重量部を含有するものを用いた。その他は電池E1と同様である。
【0056】
電池C5は、正極側及び負極側のバインダーとして、水不溶性で、酸素を含有する官能基を含有していないポリフッ化ビニリデンを用い、その他は実施例1の上記電池E1と同様にして作製した。電池C5の正極の正極合材としては、正極活物質(LiFePO4)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリフッ化ビニリデン)5重量部を含有するものを用いた。また、負極の負極合材としては、負極活物質(LiV24)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリフッ化ビニリデン)5重量部を含有するものを用いた。その他は電池E1と同様である。
【0057】
また、電池C6は、正極側及び負極側のバインダーとして、水不溶性で、酸素を含有する官能基を含有するポリアクリロニトリルを用い、その他は実施例1の上記電池E1と同様にして作製した。電池C6の正極の正極合材としては、正極活物質(LiFePO4)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリアクリロニトリル)5重量部を含有するものを用いた。また、負極の負極合材としては、負極活物質(LiV24)85重量部と、導電剤(アセチレンブラック)10重量部と、バインダー(ポリアクリロニトリル)5重量部を含有するものを用いた。その他は電池E1と同様である。
【0058】
次に、上記電池E1、電池E2及び電池C1〜電池C6について充放電サイクル試験を行い、100サイクル目の放電容量の維持率を比較した。
充放電サイクル試験は、各電池(電池E1、電池E2及び電池C1〜電池C6)について、温度60℃の条件下で、電流密度0.5mA/cm2の定電流にて電池電圧1.4Vまで充電し、その後、電流密度0.5mA/cm2の定電流にて電池電圧0.1Vまで放電する充放電を1サイクルとし、このサイクルを100サイクル繰り返すことにより行った。各充放電サイクルにおいては、1.4Vまで充電した後及び0.1Vまで放電した後に、充電休止時間及び放電休止時間をそれぞれ10分間ずつ設けた。そして、各電池について、1サイクル目(初回)と100サイクル目の放電容量を測定した。
【0059】
放電容量は、上記1サイクル目又は100サイクル目の放電電流値(mA)を測定し、この放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得られた値を、電池内の正極活物質の重量(g)で除することにより算出した。
その結果を表1に示す。
また、初回と100サイクル目の放電容量から容量維持率を下記の式から算出した。
容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/初回の放電容量)×100
【0060】
【表1】

【0061】
表1から知られるごとく、電池E1、E2、及び電池C1〜C6のいずれの水系電解液リチウム二次電池においても初回の放電容量にはほとんど差異はなかった。
しかし、電池E1及び電池E2は、電池C1〜電池C6に比べて、放電容量維持率が優れている。また、電池E1及び電池E2においては、正極や負極にフクレなどは発生しておらず、電極の剥がれ等もなかった。
このことから、バインダーとして、水中で陰イオンを形成する基を含有する水溶性高分子又は水分散性高分子を用いた電池E1及び電池E2は、正極合材や負極合材と集電体との密着性に優れ、充放電サイクル特性が優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1にかかる、水系電解液リチウム二次電池の構成を示す説明図。
【図2】実施例1にかかる、正極(負極)の構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0063】
1 水系電解液リチウム二次電池
2 正極
21 正極集電体
25 正極合材
251 正極活物質
253(353) 導電剤
255(355) バインダー
3 負極
31 負極集電体
35 負極合材
351 負極活物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体に正極合材を結着してなる正極と、負極集電体に負極合材を結着してなる負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水系電解液とを有する水系電解液リチウム二次電池において、
上記正極合材は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、バインダーとを含有し、
上記負極合材は、上記正極活物質が含有する上記リチウム含有複合酸化物よりも、リチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、バインダーとを含有し、
上記正極合材及び上記負極合材における上記バインダーとしては、水溶性又は水分散性であり、かつ酸素原子を含み水中で陰イオンを形成する官能基を含有する高分子化合物を用いることを特徴とする水系電解液リチウム二次電池。
【請求項2】
請求項1において、上記水系電解液は、そのpHが、6≦pH≦10の範囲にあることを特徴とする水系リチウム二次電池。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記正極集電体及び上記負極集電体は、そのいずれもがアルミニウムよりなることを特徴とする水系電解液リチウム二次電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−302827(P2006−302827A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126659(P2005−126659)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】