説明

水素分離膜の製造方法

【課題】 水素透過性および製造された水素の純度が高く、かつ少ないPd合金素材で製造することができる水素分離膜の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 Pd合金を浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解し、インゴットを得るステップと、該インゴットの介在物集積部を除去するステップと、介在物集積部が除去されたインゴットを鍛造し、圧延するステップとを含む水素分離膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素分離膜の製造方法に関する。特には、本発明は、Pd合金を主成分とし、膜厚が十分に薄く、水素透過性の高い水素分離膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体製造工場における高純度ガス精製などにPd合金膜を用いた水素分離膜が使用されている。一方、近年開発が進められている燃料電池車への水素供給のため、水素ステーションの建設が開始されている。水素製造方式として、工場で製造した水素をタンクローリなどで配送する方式とともに、水素ステーション内で都市ガス等を改質して水素を製造するオンサイト型水素製造装置が検討されている。水素製造装置では、吸収剤を用いるPSA方式よりも製造効率に優れるメンブレンリフォーマ型水素製造装置が検討されている。メンブレンリフォーマ型水素製造装置は都市ガスなどの改質反応を行う反応器内に水素分離膜を設置して水素を引き抜き、水素製造効率を向上させるものである。
【0003】
このような水素分離膜として、例えば、極めて高い水素選択透過性を示すパラジウム(Pd)系金属膜が用いられている。Pd及びその合金膜が示す水素選択透過現象は、水素混合ガス中の水素分子がPd膜に吸着されて原子状態になり、更にイオン化して膜の反対側に拡散して再結合し、再び水素ガスになるために起こるとされている。
【0004】
この水素分離膜の製造方法として、Pdやその合金膜の素材金属をアークによる溶解あるいは高周波溶解後、圧延する方法がある。これにより、Pd合金膜を20μm程度までに薄膜化することができる。しかし、この方法では、Pd合金膜を圧延法にてさらに薄膜化を図ると、素材中に含まれる、粒径が10μmオーダーで膜厚と同等の介在物を基点としたピンホールが発生するという問題がある。ピンホールの存在は、製品歩留りを悪化させるとともに、リーク、製造水素純度低下の原因となり、また耐久性に悪影響を与える場合がある。
【0005】
これまでの検討では、Pd合金を通常の雰囲気が制御されたチャンバー内に設置されたアルミナ等のセラミックスるつぼ内で、高周波電力を熱源として溶解し、高純度カーボンなどの鋳型に鋳造した後、機械加工および圧延により薄膜化し水素分離膜とする場合、膜厚20μmまではピンホール発生による歩留りの低下が問題とならず、適用可能であった。一方、更に薄膜化しようと試みた場合、圧延により膜厚5μm程度まで薄膜化することは可能であったが、ピンホール頻度が増大し、実質的に要求される1cm2以上の面積でピンホールがない膜を製作することが困難であった。
【0006】
特許文献1には、水冷銅ハース中でアークにより溶解、またはカルシアるつぼを用いて高周波溶解により得られたPd合金素材を圧延する水素分離膜の製造方法が記載されている。
【0007】
水素分離膜の性能向上として、水素分離膜の厚さを薄くして水素透過量を増大させることが考えられる。特許文献2には、冷間圧延されたパラジウム担持膜の少なくとも1つの膜表面を化学エッチングまたは電気化学的溶解することにより水素選択性パラジウム担持金属シート状膜を製造する方法が記載されている。しかし、かかる方法は、圧延後に行うものであるため、工程が増えること、及び依然として膜の製造に使用するPdが多いという問題があった。
【0008】
また、特許文献3、特許文献4には、基材にガス透過性を与える孔質基材上にめっき、蒸着などでPd合金薄膜を形成する水素分離膜の製造方法が知られている。この方法では、膜厚は5μm〜10μm程度に薄膜化できる。しかし、かかる薄膜形成法では、孔質基材上の細孔を塞がなければならないため、必然的に膜厚が厚くなる。膜厚を薄くしようとすると、孔質基材上の細孔を完全に塞ぐことができなくなり、ピンホール等の膜欠陥を皆無にすることは困難で、ガスタイトになりにくく、製造水素純度は低いという問題がある。
【特許文献1】特開2003−10659号公報
【特許文献2】特表2003−530488号公報
【特許文献3】特開昭62−121616号公報
【特許文献4】特開平5−123548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、水素透過性が高く、製造された水素の純度が高く、かつ少ないPd合金素材で製造することができる水素分離膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らが従来技術により製造した水素分離膜のピンホールの原因を調査した結果、素材中に直径が膜厚と同じ5μm以上の酸化物等の介在物粒子が存在し、膜を貫通していることが多いことが明らかになった。さらにこのような介在物の混入経路を調査した結果、溶解鋳造時および圧延時に混入する可能性があるが、溶解工程でるつぼ材が溶融金属の侵食を受け、一部が剥離して溶融合金中に侵入し、一部は溶解中に密度差より上面へ浮き上がって分離せれるものの、大部分は鋳造時に再び合金中に混入して凝固してしまい、これによるものが最も多いことが明らかになった。したがって、合金の溶解時に、剥離したるつぼ材が溶解合金へ混入するのを防ぐか、るつぼ材が剥離しないことが介在物低減に有効であると考えられた。
【0011】
すなわち本発明は、水素分離膜の製造方法であって、Pd合金を浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解し、インゴットを得るステップと、該インゴットの介在物集積部を除去するステップと、該介在物集積部が除去されたインゴットを鍛造し、圧延するステップとを含む。
【0012】
本発明は、また、水素分離膜の製造方法であって、Pd合金を浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解し、インゴットを得るステップと、該インゴットの介在物集積部を除去するステップと、該介在物集積部が除去されたインゴットを再び浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解するステップと、溶解されたPd合金を、鋳型に鋳造するステップと、鋳造されたPd合金を成形、圧延するステップとを含む。
【0013】
前記浮揚型コールドクルーシブル溶解において、溶解雰囲気をアルゴン雰囲気またはアルゴンベース水素混合雰囲気とすることが好ましい。アルゴンベース水素混合雰囲気とは、アルゴンを主成分とし、水素が0.1〜20体積%含まれていてもよい雰囲気をいう。
【0014】
前記介在物集積部が除去されたインゴットを圧延するステップにおいて、インゴットを10μm以下にまで圧延することが好ましい。
【0015】
なお、上記水素分離膜の製造方法において、浮揚型コールドクルーシブル溶解法は、必ずしも完全に溶解金属がるつぼから浮揚している必要はなく、溶融金属とるつぼが部分的には接触した状態となっていてもよい。
【0016】
また、本発明は別の局面によれば、水素分離膜であって、上述の方法により製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の水素分離膜の製造方法によれば、水素分離膜を従来の1/2、具体的には厚さ20μm以下にまで薄膜化することができ、ピンホールのないPd合金水素分離膜を得ることができる。また、水素透過性能は膜厚に反比例するため、膜厚を従来の1/2とすることで従来の2倍以上の水素透過性能を得ることができるとともに、使用するPd合金素材を半減することができ、水素製造量/膜コストは従来技術の場合と比べて4倍以上とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を、実施の形態を挙げて詳細に説明する。以下の説明は、本発明を限定するものではない。
【0019】
本発明の一実施の形態による水素分離膜の製造方法は、Pd合金を浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解し、インゴットを得るステップと、該インゴットの介在物集積部を除去するステップと、介在物集積部が除去されたインゴットを圧延するステップとを含む。
【0020】
本実施形態による製造方法において、原材料として用いられるPd合金としては、Pd−Ag合金、Pd−Au合金、Pd−Cu合金、Pd−希土類合金等を用いることができるが、これらには限定されない。このようなPd合金には、主成分以外の金属を含んでいてもよい。また、通常、溶解装置へ投入される原材料自体には、粒子径が1〜20μmの不純物、例えば、アルミナやシリカなどの金属酸化物が含まれている。
【0021】
かかるPd合金原材料を、浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解する。浮揚型コールドクルーシブル溶解法とは、周方向に複数に分割されたあるいはスリットの入った水冷銅るつぼ内に伝導性を有する金属を入れ、るつぼ外周に電磁コイルを設置し、高周波電力をコイルに印加することによって金属材料表面に渦電流を誘起し、そのジュール熱で金属が溶融するとともに、金属表面に働く渦電流とるつぼ表面に生じる渦電流との間に電磁反力が働き、電流条件を適正化することで、溶融金属を空中に非接触保持でき、るつぼと非接触状態で各種金属材料を溶解する方法である。ただし、実際には完全に溶融金属とるつぼが非接触状態になることは難しく、部分的には接触した状態となることもある。
【0022】
いずれにしてもるつぼと溶融金属の接触がほとんどなく、またるつぼが金属であるため、溶解中にアルミナ、シリカ等のセラミックスるつぼに起因した不純物介在物の混入がない。さらに、浮遊した溶融金属内では電磁力と浮力に組み合わせにより外向きの流れが生じるため、密度の小さい酸化物等の介在物は溶融金属の外周に集積する。特に粒径の大きい酸化物は溶融金属との密度差がより大きいため、確実に外周に集積する。溶融金属をそのままるつぼ内で凝固させ、外周部を機械加工により削除することで、酸化物等介在物の少ない高純度インゴットが得られる。この高純度インゴットを鍛造などにより成形し、圧延することで介在物が少なく、10μm以下の厚みに圧延してもピンホール頻度が低い水素分離膜が得られる。
【0023】
上記浮揚型コールドクルーシブル溶解では、通常、るつぼは雰囲気を制御できる容器内に設置されている。金属の溶解前に容器を真空ポンプにより真空排気し、その後Arガスで容器内を置換することを数回繰返し、容器内の酸素、窒素分圧を極力下げた状態で溶解を行うことが好ましい。しかしながら、それでも溶融金属の酸化、窒化が避けられない場合があるため、これを防止するために置換するガスとして、Arと水素の混合ガスを用いる。このような混合ガスとしては、Arガスを主成分とし、水素が、0.1〜20体積%含まれているものを用いることができる。これにより金属溶解中に酸化、窒化することにより生成する酸化物、窒化物を低減することができ、上記に示す本来の浮揚型コールドクルーシブル溶解による介在物排出効果との相乗効果で介在物を極限まで低減することができる。これにより厚さ10μm以下に圧延してもピンホールの確率が低減し、水素分離膜の製作歩留りを上げることができる。
【0024】
一方、同様に浮揚型コールドクルーシブル溶解を行い、そのまま凝固させたインゴットの外周を削除した後、もう一度浮揚型コールドクルーシブル溶解を行い、そのまま鋳型に鋳造することもできる。この方法では、鋳型形状を平板形状とすることで、その後の鍛造成形を省略し、簡易な機械加工の後圧延を行うことができ、製造工程が短縮できる。
【0025】
Pd合金原材料の浮揚型コールドクルーシブル溶解は、市販のコールドクルーシブル溶解装置を用いることにより実施することができる。ここで、コールドクルーシブル溶解装置と、これを用いた浮揚溶解の原理について簡単に説明する。
【0026】
図1に、市販のコールドクルーシブル溶解装置の一例を示す。コールドクルーシブル溶解装置1は、るつぼ2と、誘導コイル3、4とから構成される。るつぼ2は、通常、水冷可能な銅製の有底の略円筒形状の容器であって、周方向に例えば16分割されるようにスリットが入っている。形状は溶解容量により異なるが、通常内径50〜300mm、深さ50〜400mmである。溶解後、別途設置した鋳型に鋳造する目的で、るつぼ2の底部には出湯口21が設ける場合もある。上部誘導コイル3は、るつぼ2の側面に環装されている高周波コイル(例えば、200kW・30kHz)である。また、下部誘導コイル4は、出湯口21の側面に環装されており、上部誘導コイル3と比較して低周波のコイル(例えば、100kW・3kHz)である。それぞれの誘導コイル3、4は、電源31、41を備える。
【0027】
かかるコールドクルーシブル溶解装置1において、るつぼ2に環装した誘導コイル3、4の電源31、41を入れ、高周波電流を流すと、るつぼ2内に交番磁界が発生する。これにより、るつぼ2内の金属5にコイル電流とは逆向きの渦電流が生じ、両電流間に電磁反発力が作用し、かつ金属内にジュール熱が発生するので、金属5は浮揚し、加熱・溶解することが知られている。このような、コールドクルーシブル溶解装置1によれば、金属5内に外向きの流れを発生させて、金属酸化物等の介在物を金属5の表面へ排出することができ、かつ、安定した溶解を行うことができるため、有利である。
【0028】
本実施形態においては、一度に、0.1〜10kgのPd合金をバッチ式で浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶融することが好ましい。Pd合金内に外向きの流れを発生させて、金属酸化物等の介在物を溶融金属の表面へ効率的に排出するためには、一度に大量の金属を溶解することは好ましくないためである。このときの電流条件は、10〜400kWであり、溶解時間は10〜60分とすることが好ましい。金属が溶融後安定した状態となり、外向きの流れが形成されて酸化物等介在物が表面に排出されるまでに5分以上が必要だからである。しかし、これらの条件はコールドクルーシブル溶解装置のサイズ等により変化させることができ、かかる条件は当業者が適宜決定することができる。
【0029】
次に、電力投入を停止し、金属5をるつぼ2中でそのまま冷却し、凝固させてPd合金インゴットを得る。このとき、冷却速度は、200〜500℃/分とすることが好ましい。急速冷却することで、表面に排出された酸化物等介在物をそのまま固定しやすいからである。得られたPd合金インゴットは、浮揚型コールドクルーシブル溶解により、通常、外周部が欠陥、介在物集積部となっている。ここで、介在物とは、主に酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物をいう。
【0030】
続いて、Pd合金インゴットを室温にまで冷却した後、Pd合金インゴットの欠陥、介在物集積部を切削削除する。Pd合金インゴットの欠陥、介在物集積部とは、インゴットの断面を観察したときに、粒径が2μm以上の介在物の頻度が断面積1mm2につき、1個以上である部分をいう。このような介在物の頻度観察は、サンプリングされたインゴット断面を研磨し、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で観察し、介在物の大きさ、数を計測することで判定することができる。
【0031】
介在物集積部の除去は、市販の旋盤を用いて外周切削加工によって実施することができる。切削工具は高速度工具鋼、超硬合金等を用いる。切削加工時に排出される切子は、回収して溶解精製し、純Pdとして再利用することもできる。
【0032】
上記操作により得られた、粒径が2μm以上の介在物の頻度が大幅に低減されたPd合金は、次いで、鍛造し、圧延する。鍛造は、例えば電気炉でPd合金を500℃に加熱し、鍛造機(油圧プレス機)による加圧により、圧延しやすい直方体に近い形状に成形する。通常は板厚50mm以下の直方体に近い形状とする。
【0033】
圧延は、板厚が0.5mm程度までは、例えば2段あるいは4段式小型ロール圧延機を用いて、所定の厚さとなるまで繰り返す。圧下が困難になれば、途中で焼鈍を行う。焼鈍は電気炉でたとえば500℃、1時間行うことができる。板厚が0.5mm以下になれば、例えば20段式小型ロール圧延機を用い、最終の膜厚である20μm以下まで圧延する。圧延材は長さが1m以上に長くなるため、ロールに巻き取り、連続供給する。途中焼鈍は同様に実施する。最終的な膜厚が20μm以下、好ましくは10μm以下になるまで圧延することが好ましい。膜厚が薄いほど水素透過性能が高く、所定の水素分離膜一枚につき、高価なPd合金の使用量を減らすことができるためである。その後、必要に応じて、適切な大きさに整えることで、水素分離膜を得ることができる。
【0034】
このようにして得られたPd合金からなる水素分離膜は、膜厚が20μm以下、好ましくは10μm以下で、例えば0.01m2の面積単位でピンホールがなく、歩留り70%以上で得られる。そして、本発明により得られる水素分離膜の水素透過性能は、単位面積、単位圧力差あたりの水素透過流量が、5×10-3mol/m2/s/Pa1/2以上、水素純度は6N以上であり、燃料電池システム向けあるいは半導体工場向けの水素製造装置に適用するのに、十分な特性である。
【0035】
本実施形態による浮揚型コールドクルーシブル溶解法によれば、特に、Pd合金を浮揚溶解することができるため、従来技術において生じていたるつぼ等溶解用容器由来の不純物がPd合金に混入することを避けることができる。また、Pd合金を溶解後、型に鋳込むことなくそのまま凝固させることで、浮揚型コールドクルーシブル溶解において溶融金属の外周部に排出した介在物が再度、金属内部に移動したり、偏ったりするのを防止し、介在物を金属の外周部に集積させ、効果的に除去することができる。そして、このようなPd合金インゴットを圧延することでPd合金の高純度化を達成することができる。さらに、浮揚型コールドクルーシブル溶解法によれば、溶解に用いるるつぼを使い捨てすることなく、繰り返して使用することができる。
【0036】
一方、別の実施形態として、同様に浮揚型コールドクルーシブル溶解を行い、そのまま凝固させたインゴットの外周を削除した後、もう一度浮揚型コールドクルーシブル溶解を行い、そのまま鋳型に鋳造することもできる。このとき、二度目の浮揚型コールドクルーシブル溶解も、同様の溶解条件で行うことができる。この方法では、鋳型形状を平板形状とすることで、その後の鍛造成形を省略し、簡易な機械加工の後圧延を行うことができ、工程が短縮できる。この場合も、1回目の浮揚型コールドクルーシブル溶解、インゴット外周の削除により、酸化物等介在物が除去され、20μm以下の圧延により、水素分離膜が大きく、ピンホールのない水素分離膜とすることができる。
【実施例1】
【0037】
本発明の実施例1を以下に示す。
原材料として、2〜10mm塊状純Pd(純度99.9%)を760g、2〜10mm塊状純Ag(純度99.9%)を240g用意した。
図1に示す、市販のコールドクルーシブル溶解装置を用いて溶解を行った。コールドクルーシブル溶解装置1は、るつぼ2と、ターン数5の上部誘導コイル3と、ターン数3の下部誘導コイル4と、それらを覆う雰囲気を制御する容器7とから構成される。るつぼ2は、銅製、内径60mm、高さ80mmで、内部が水冷される構造となっている。るつぼ2は、周方向に16分割されるように幅0.1mmのスリットが入っている。るつぼ内に原材料を投入し、容器7内を真空ポンプで1Pa以下に真空排気した後、純度が99.99%の純アルゴンガスを導入し、容器内圧力を5×104Paとした。この真空排気、アルゴンガス置換操作を3回繰返した。次に、上部誘導コイル3に周波数50kHzの高周波電力を90kW、下部誘導コイル4に周波数3kHzの高周波電力を40kW印加した。投入したPd−Ag合金は溶解して浮揚した。溶解時間は30分とし、その後投入電力を切断し、急冷させた。溶融金属は凝固し、約3分で500℃以下となった。
【0038】
続いて室温にまで冷却し、Pd−Ag合金インゴットを取出した。形状はおよそ直径60mm、厚さ29mmの円盤状に近いものであった。次にひけすなどの鋳造欠陥、介在物集積部を切削削除した。同じ条件で作製したPd−Agインゴットを事前に光学顕微鏡および断面観察の結果から、粒径が2μm以上の介在物の頻度が断面積1mm2につき、1個以上ある部分が、インゴット上面で約2mm、側面および底面で約1mmあったため、上面はひけすの最下部からさらに3mm、側面および底面を2mm切削加工により除去した。切削加工は市販の旋盤およびフライス盤を用いた。切削加工時に排出される切子は、回収して溶解精製し、純Pdとして再利用した。上記操作により得られた、粒径が2μm以上の介在物の頻度が大幅に低減された直径約56mm、厚さ約19mmの円盤状Pd−Ag合金インゴットは、次いで、鍛造成形した。鍛造は、Arガスを流量10L/minで炉内に流通させた電気炉内でPd合金インゴットを600℃で加熱し、炉から取出して鍛造機(油圧プレス機)により加圧することを繰り返して、板幅約50mm、長さ約47mm厚さ約20mmの直方体に近い形状とした。これは後工程である圧延をしやすい形状とするためである。
【0039】
次に圧延を行った。鍛造成形したPd−Ag合金インゴットを、2段式小型ロール圧延機(ロール径150mm)を用いて、圧延前20mmの板厚が0.5mmとなるまでの繰り返し圧延を行った。途中4回焼鈍を行った。焼鈍はArガスを流量10L/minで炉内に流通させた電気炉内でPd合金インゴットを600℃、1時間加熱し炉冷した。その結果、幅約50mm、長さ約1.8m、板厚0.5mmのPd合金板が得られた。次に20段式小型ロール圧延機(圧延ロール径12mm)を用い、最終膜厚である5μmまで圧延した。圧延材は長さが2m以上に長くなるため、ロールに巻取り、巻取りロール間を連続供給しながら圧延機を通すことにより圧延した。ただし。圧延機と巻き取りロール間は幅50mのステンレス箔をPd合金板に継ぎ足した。また途中で焼鈍を3回実施した。焼鈍は、巻き取りロール間で連続的に供給し、巻き取りロール間に設置した電気炉内を通過させることにより行った。その際Pd合金板の任意の部分が700℃で10分以上加熱されるようにした。
【0040】
以上の工程で得られた幅50mm、厚さ5μm、長さ約180mのPd−Ag合金水素分離膜からその一部を長さ200mmに切断した。
次に、図2に示すとおり、支持板10を製作した。図2(A)は、支持板10の正面図であり、図2(B)は、側面図である。支持板10は、幅50mm×長さ200mm×厚さ0.1mmのステンレス製板であって、縁部幅5mmを残して中央部に多数貫通穴加工101を施した。さらに、幅50mm×長さ200mmで、厚さが0.3mmおよび0.5mmの支持板を同様に製作した。これら3枚とPd合金水素分離膜とを重ね合わせ、拡散接合により接合することで接合体12を得た。拡散接合は500℃に加熱した真空炉内で2kg/mm2の面圧をかけ、1時間維持することにより行った。
【0041】
次に、図3に示す幅54mm、厚さ10mm、長さ210mmのベース板11(片面側のみに縁部を除く幅40mm、長さ180mmの部分で、深さ6mmの段加工が行われており、この段加工部は、長手方向端部で貫通穴により外部にパイプ111により接続されている)に、接合体12をその周囲を溶接して張り付け、図4に示す水素分離膜の構造体13を得た。
【0042】
溶接欠陥がないことをPT試験により確認した後、図5に示すように、膜/支持板/ベース板の構造体13を、内径70mm、長さ350mmの加圧容器14内に入れて、室温で、窒素ガスで2MPaに容器内を加圧し、膜/支持板を通過してベース板パイプ111より漏れ出るガス量を測定することにより、膜のリーク量を測定した。検査判定しきい値として、漏れガス流量を0.1cc/minに設定し、これ未満の漏れ量の試験体を合格とした。以上の手順で20体の試験体を製作し評価した結果、15本が合格し歩留り75%が得られた。
【0043】
次に判定で合格した構造体13のうちの1体を図6に示すように、内径60mm、長さ250mmの別の容器14aに入れ、容器を管状炉で500℃に加熱し、容器内に0.2MPaの水素ガスを充填させ、Pd合金水素分離膜を通過してベース板パイプから流出する水素ガス流量を測定した。水素取り出しパイプ側の圧力は0.1MPaとした。透過水素量を時間、膜面積および水素分圧差の平方根で割ることにより、単位時間、単位面積、単位圧力差あたりの水素透過流量を算出した。その結果、水素透過流量は5.3×10-3mol/m2/s/Pa1/2であり、燃料電池システム向けあるいは半導体工場向けの水素製造装置に適用するのに、十分な特性であった。
【実施例2】
【0044】
本発明の実施例2を以下に示す。
素材として、2〜10mm塊状純Pd(純度99.9%)を4500g、2〜10mm塊状純Ce(純度99.9%)を500g用意した。
図1に示す市販のコールドクルーシブル溶解装置を用いて溶解を行った。るつぼ2は、銅製、内径100mm、高さ100mmで、内部が水冷される構造となっており、周方向に24分割されるように幅0.1mmのスリットが入っていた。るつぼ底面の中心には直径10mmの孔があけてあり、孔は直径9.8mmの水冷銅製のふたが設置されていた。
【0045】
るつぼ内に素材を投入し、容器7内を真空ポンプで1Pa以下に真空排気した後、純度4Nアルゴンベース3体積%水素混合ガスを導入し、容器内圧力を5×104Paとした。この真空排気、アルゴン水素混合ガス置換操作を3回繰返した。次に上部誘導コイル3に周波数50kHzの高周波電力を180kW、下部誘導コイル4に周波数3kHzの高周波電力を70kW印加した。投入したPd−Ce合金は溶融して浮遊した。溶解時間は30分とし、その後投入電力を切断し、急冷させた。溶融金属は凝固し、約3分で500℃以下となった。
【0046】
続いて、Pd−Ce合金を室温にまで冷却し、Pd−Ce合金インゴットを取出した。Pd−Ce合金インゴットの形状は、およそ直径100mm、厚さ52mmの円盤状に近いものであった。次に、ひけすなどの鋳造欠陥、介在物集積部を切削削除した。同じ条件で作製したPd−Agインゴットを事前に光学顕微鏡および断面観察した結果から、粒径が2μm以上の介在物の頻度が断面積1mm2につき、1個以上ある部分が、インゴット上面で約3mm、側面および底面で約2mmあったため、上面はひけすの最下部からさらに4mm、側面および底面を3mm切削加工により除去した。切削加工は市販の旋盤およびフライス盤を用いた。
【0047】
上記操作により得られた、粒径が2μm以上の介在物の頻度が大幅に低減された直径約94mm、厚さ約39mmの円盤状Pd−Ce合金インゴットを、もう一度コールドクルーシブル溶解装置に投入した。次に、容器7内を真空ポンプで1Pa以下に真空排気した後、純度4Nアルゴンベース3体積%水素混合ガスを導入し、容器内圧力を5×104Paとした。この真空排気、アルゴン水素混合ガス置換操作を3回繰返した。次に上部誘導コイル3に周波数50kHzの高周波電力を180kW、下部誘導コイル4に周波数3kHzの高周波電力を70kW印加した。投入したPd−Ce合金は再び溶融して浮遊した。溶解時間は30分とし、その後投入電力はそのままにして、るつぼ底部のふたを引き抜く操作を行った。溶融したPd−Ce合金は、その下に設置したグラファイト製鋳型に注がれ、鋳型内で凝固させた。鋳型内寸は、幅120mm、奥行き20mm、高さ200mmで、Pd−Ce合金は幅約120mm、厚さ約20mm、長さ約110mmの板状となった。
【0048】
次に板状のPd−Ce合金板の表裏面を深さ2mm、幅方向を、両端部を深さ5mm、長手方向両端部を20mmフライス加工およびエンドミル加工により除去し、幅110mm、厚さ16mm、長さ70mmの板状とした。
【0049】
次にPd−Ce合金板材の圧延を行った。まず2段式小型ロール圧延機(ロール径150mm)を用いて、圧延前16mmの板厚が0.5mmとなるまでの繰り返し圧延を行った。途中4回焼鈍を行った。焼鈍はArガスを流量10L/minで炉内に流通させた電気炉内でPd−Ce合金インゴットを600℃、1時間加熱し炉冷した。その結果、幅約110mm、長さ約2.2m、板厚0.5mmのPd合金板が得られた。次に20段式小型ロール圧延機(圧延ロール径12mm)を用い、最終膜厚である5μmまで圧延した。圧延材は長さが2m以上に長くなるため、ロールに巻取り、巻取りロール間を連続供給しながら圧延機を通すことにより圧延した。ただし、圧延機と巻き取りロール間は幅50mのステンレス箔をPd合金板に継ぎ足した。また途中で焼鈍を3回実施した。焼鈍は、巻き取りロール間で連続的に供給し、巻き取りロール間に設置した電気炉内を通過させることにより行った。その際Pd合金板の任意の部分が700℃で10分以上加熱されるようにした。
【0050】
以上の工程で得られた幅110mm、厚さ5μm、長さ約220mのPd−Ag合金水素分離膜の一部から幅50mm、長さ200mmのPd−Ce合金水素分離膜を200枚切出した。
次に、実施例1と同様に支持板10との接合、ベース板11への溶接を行い、200体の構造体13を製作し、これらすべてのリーク量の測定を行った結果、162本が合格となった。合格率は80%で、実施例1を上回った。この理由はコールドクルーシブル溶解時に雰囲気に水素ガスを混合することにより、容器壁面などに吸着した水蒸気などによる雰囲気中の酸素ポテンシャルが下がり、溶融金属中の酸化しやすいCeおよびAl、Si等の不可避不純物の酸化の進行が抑制され、浮揚型コールドクルーシブル溶解による酸化物粒子排出効果との相乗効果で、合金中に残留する酸化物介在物が更に低減できたためと考えられる。
【0051】
次に判定で合格した構造体13のうち4体を実施例1と同様に水素ガス流量を測定した。この結果、4体の平均水素透過流量は1.2×10-2mol/m2/s/Pa1/2であり、燃料電池システム向けあるいは半導体工場向けの水素製造装置に適用するのに、十分な特性であった。
【比較例1】
【0052】
本発明の比較例1を以下に示す。
素材として、2〜10mm塊状純Pd(純度99.9%)を760g、同純Ag(純度99.9%)を240g用意した。
図7に示す、市販の従来の高周波溶解装置を用いて溶解を行った。高周波溶解装置100は、るつぼ102と、ターン数5の高周波コイル103、鋳型106、それらを覆う雰囲気を制御する容器107から構成される。るつぼ102は、アルミナ製で、内径60mm、高さ80mmであり、るつぼ102は中心付近を軸に上下方向に180度傾けることが可能な構造とした。るつぼ102の下方にグラファイト製鋳型106を設置した。鋳型106内寸は幅55mm、奥行き20mm、高さ200mmとした。るつぼ102内にPd合金材料105を投入し、容器107内を真空ポンプで1Pa以下に真空排気した。その後、純度99.99%の純アルゴンガスを導入し、容器107内圧力を5×104Paとした。この真空排気、アルゴンガス置換操作を3回繰返した。次に高周波コイル103に周波数50kHzの高周波電力を60kW、印加した。投入したPd−Ag合金は溶解した。溶解時間は25分とし、その後投入電力を切断し、るつぼ102を傾けて溶融金属を鋳型106内に流し込んだ。
【0053】
そのまま室温にまで冷却し、Pd−Ag合金インゴットを取出した。形状はおよそ幅55mm、奥行き20mm、高さ75mmの直方体であった。直方体インゴットの幅方向および奥行き方向の表面から2mmをエンドミル加工、フライス加工により切削削除し、高さ方向には上部20mm、下部5mmを切断した。以上により、幅50mm厚さ16mm、長さ50mmのPd−Ag合金板材となった。
【0054】
次に、Pd−Ag合金板材の圧延を行った。Pd−Ag合金板材を、2段式小型ロール圧延機(ロール径150mm)を用いて、圧延前16mmの板厚が0.5mmとなるまでの繰り返し圧延を行った。途中4回焼鈍を行った。焼鈍はArガスを流量10L/minで炉内に流通させた電気炉内でPd合金インゴットを600℃、1時間加熱し炉冷した。その結果、幅約50mm、長さ約1.6m、板厚0.5mmのPd合金板が得られた。次に、20段式小型ロール圧延機(圧延ロール径12mm)を用い、最終膜厚である5μmまで圧延した。最終的に幅約50mm、長さ約160m、膜厚5μmとなった。圧延材は長さが2m以上に長くなるため、ロールに巻取り、巻取りロール間を連続供給しながら圧延機を通すことにより圧延した。ただし、圧延機と巻き取りロール間は幅50mのステンレス箔をPd合金板に継ぎ足した。また途中で焼鈍を3回実施した。焼鈍は、巻き取りロール間で連続的に供給し、巻き取りロール間に設置した電気炉内を通過させることにより行った。その際Pd合金板の任意の部分が700℃10分以上加熱されるようにした。
【0055】
以下、実施例1と同様に、Pd−Ag合金水素分離膜の切出し、支持板10との接合、ベース板11への溶接を行い、溶接欠陥がないことをPT試験により確認した後、膜のリーク量を測定した。その結果、20体の試験体すべてが0.1cc/min以上の漏れ示し、合格品が得られなかった。
【0056】
リーク部を特定して、詳細な観察、成分分析を行った結果、膜中に直径が5μm〜20μmのアルミ酸化物、シリコン酸化物、アルミシリコン複合酸化物粒子が膜を貫通する形で存在し、その周囲からリークが生じていることが明らかになった。酸化物粒子は投入素材中の不純物および溶解るつぼ材の混入が主な侵入経路と考えられる。
【比較例2】
【0057】
本発明の比較例2を以下に示す。
比較例1と同様に高周波溶解、鋳造および加工により、幅50mm厚さ16mm、長さ50mmのPd−Ag合金板材となった。
【0058】
次に比較例1と同様に圧延を行った。ただし、比較例2では、最終板厚を20μmとした。その結果、幅50mm、厚さ20μm、長さ約40mとなった。その後、実施例1と同様に、Pd−Ag合金の切出し、支持板10との接合、ベース板11への溶接を行い、溶接欠陥がないことをPT試験により確認した。このような構造体13を20体作製した。これらの構造体13の膜のリーク量を測定した結果、16体の試験体が0.1cc/min以下の漏れ示し、合格品となった。
【0059】
合格した試験体を実施例1と同様にして水素透過量を測定した結果、単位時間、単位膜面積、単位水素分圧差あたりの水素透過流量は1.2×10-3mol/m2/s/Pa1/2であり、実施例1の1/4以下の透過流量であり、不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の活用例として、燃料電池システムに含まれる水素製造装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の方法に用いることができるコールドクルーシブル溶解装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、支持板の概略図である。
【図3】図3は、ベース板の概略図である。
【図4】図4は、水素分離膜、支持板、ベース板からなる水素分離膜の構造体の概略図である。
【図5】図5は、水素分離膜におけるガスのリーク量の測定方法を示す概略図である。
【図6】図6は、水素分離膜における水素透過流量の測定方法を示す概略図である。
【図7】図7は、従来の高周波溶解装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0062】
1 コールドクルーシブル溶解装置
2 るつぼ
3 上部誘導コイル
31 電源
4 下部誘導コイル
41 電源
5 金属
6 鋳型
7 容器
10 支持板
101 貫通孔加工部
11 ベース板
111 パイプ
12 膜/支持板の接合体
13 構造体
14、14a 加圧容器
100 高周波溶解装置
102 るつぼ
103 高周波コイル
104 高周波電源
105 Pd合金材料
106 鋳型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pd合金を浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解し、インゴットを得るステップと、
該インゴットの介在物集積部を除去するステップと、
該介在物集積部が除去されたインゴットを鍛造し、圧延するステップと
を含む、水素分離膜の製造方法。
【請求項2】
Pd合金を浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解し、インゴットを得るステップと、
該インゴットの介在物集積部を除去するステップと、
該介在物集積部が除去されたインゴットを再び浮揚型コールドクルーシブル溶解法により溶解するステップと、
溶解されたPd合金を、鋳型に鋳造するステップと、
鋳造されたPd合金を成形、圧延するステップと
を含む、水素分離膜の製造方法。
【請求項3】
前記浮揚型コールドクルーシブル溶解において、溶解雰囲気をアルゴン雰囲気またはアルゴンベース水素混合雰囲気とする、請求項1または2に記載の水素分離膜の製造方法。
【請求項4】
前記介在物集積部が除去されたインゴットを圧延するステップにおいて、該インゴットを20μm以下にまで圧延する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の方法により製造された水素分離膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−175379(P2006−175379A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372403(P2004−372403)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】