説明

水素化処理触媒の製造方法、並びに当該触媒を用いる炭化水素油の水素化処理方法

【課題】
炭化水素油の水素化処理触媒として、従来以上に優れた水素化処理(水素化、脱硫、脱窒素、脱残留炭素)性能を有する触媒と、その触媒を用いる炭化水素油の水素化処理方法の提供にある。
【解決手段】
アルミナを主体とする無機多孔質担体の細孔表面にホウ素化合物を付着させ、焼成してホウ素担持中間体を得た後、当該中間体に酸化物触媒基準で10〜40質量%の周期表第6族元素の少なくとも1種、0.5〜15質量%の周期表第8〜10族元素の少なくとも1種および、周期表第6族と第8〜10族元素の合計モル数に対して0.15〜3倍量の有機添加剤を添加した後、乾燥処理を行なうことで、周期表第6族元素、第8〜10族元素および有機添加剤を担持させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素油に含まれる硫黄、窒素、残留炭素等の不純物を除去する水素化処理触媒の製造方法およびその利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的な地球の大気環境改善の動向を踏まえて、主要燃料となる留出油の水素化精製を行なう水素化処理触媒のより一層の性能向上が強く求められている。通常、炭化水素油の水素化処理触媒としては、アルミナ、シリカ等の無機耐熱性担体に、モリブデンとコバルトやニッケル等の水素化活性金属成分を焼成担持したものが一般的である。しかしながら、近年、触媒性能の更なる向上を図るため、担体改質や金属担持方法などに様々な工夫がなされている。
【0003】
特許文献1は、ホウ素で活性が促進された重質油の水素化処理触媒を開示している。この触媒は、アルミナ担体にホウ素を含浸後、焼成して得られた担体に、モリブデン、コバルト等の水素化活性金属を含浸して焼成担持することで得られる。ホウ素の添加により、ある程度の触媒活性の向上が図られているものの、焼成触媒に起因する担体と水素化活性金属の強固な相互作用のため、使用状態で十分な触媒活性を引き出すことはできない。
【0004】
特許文献2では、炭化水素油の水素化脱硫脱窒素用触媒として、ボリア−アルミナからなる酸化物触媒担体に、周期律表第VIa族金属、第VIII族金属および二価アルコールが担持された触媒とその製法が開示されている。ここでボリア−アルミナ担体は混練法によって調製されているため、ボリアを担体、特に担体細孔表面に高分散化させることが難しく、結果として触媒活性を十分に改善できないという問題を有する。
【0005】
特許文献3には、炭化水素供給原料の超深度脱硫を行なうに際して、慣用の酸化物担体に第VIB族金属成分、第VIII族金属成分および有機添加剤を含む触媒を用いることが開示されている。適用可能な触媒担体として、アルミナとボリアの混合物に言及はしているものの、その最適比率や調製方法について何ら記述はなく、いかなる性状のボリア含有担体が触媒活性に寄与するのかは不明である。
【0006】
特許文献4は、軽油の水素化処理触媒として、無機酸化物担体に周期律表第6族金属、第8族金属、リンに加えて炭素を担持した触媒が開示されている。適用される担体として、アルミナ単独の他、アルミナに0.5質量%以上20質量%未満のゼオライト、ボリア、シリカなどを複合させた酸化物も好ましい例に挙げられている。これらの複合酸化物担体は、酸点の付与、モリブデンの高分散化や触媒使用時の二硫化モリブデンの積層化に有利とされている。しかしながら、複合酸化物担体の製法については、実施例に混練法によるゼオライトの複合化の例があるのみである。混練法には特許文献2の場合と同様の問題があるため、混練法を用いたボリアによる複合化ではアルミナ担体の効率的な改質は望めない。
【0007】
特許文献5には軽油の水素化処理触媒の製造に際して、多孔性無機酸化物担体に、周期律表第6族金属、第8族卑金属および糖類を含浸した後、マイクロ波を照射して乾燥する触媒の製造方法が開示されている。特許文献5でも、アルミナ−ボリアやアルミナ−シリカ−ボリアなどが、比表面積や細孔容積の大きな点で好ましい担体に挙げられている。しかしながら、その具体的な性状や調製方法については何も開示されていない。
【0008】
特許文献6では、アルミナーリンの複合酸化物担体にホウ素を担持し、さらに周期表第VIA族金属、第VIII族金属、ランタノイド、水溶性有機物を担持して得られる水素化処理触媒が開示されている。この触媒では担持成分として高価なランタノドを必須とすること、触媒の細孔径分布に制御の困難な第1のピーク(直径70〜100Å)と第2のピーク(直径100〜200Å)を必要とすると言った問題点があり、工業触媒として実用化するには難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,724,226号明細書
【特許文献2】特開平6−210182号公報
【特許文献3】特開2000−313890号公報
【特許文献4】国際公開第2004/054712号パンフレット
【特許文献5】特開2004−344754号公報
【特許文献6】特開2006−314916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、炭化水素油の水素化処理触媒として、従来以上に優れた水素化処理(水素化、脱硫、脱窒素、脱残留炭素)性能を有する触媒と、その触媒を用いる炭化水素油の水素化処理方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、従来技術の上記問題点に鑑みて、特に触媒担体の細孔表面の効率的な改質に焦点を当てて鋭意研究を重ねた結果、特定の方法でホウ素を担持したアルミナ主体の無機多孔質担体に、水素化活性成分と有機添加剤を担持して得られる触媒が、炭化水素油の水素化処理に極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち本発明は、アルミナを主体とする無機多孔質担体の細孔表面にホウ素化合物を付着させ、焼成してホウ素担持中間体を得た後、該中間体に酸化物触媒基準で10〜40質量%の周期表第6族元素の少なくとも1種、0.5〜20質量%の周期表第8〜10族元素の少なくとも1種および、周期表第6族と第8〜10族元素の合計モル数に対して0.15〜3倍量の有機添加剤を添加した後、乾燥処理を行なうことで、周期表第6族元素、第8〜10族元素および有機添加剤を担持させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法である。
【0013】
また、本発明の水素化処理触媒の製造方法は、ホウ素担持中間体を得る際の付着方法として含浸法を用い、ホウ素の担持量が当該中間体酸化物基準で、0.3〜10質量%であることを特徴とする。また、周期表第8族元素が鉄、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種である。加えて、有機添加剤が多価アルコール類、糖類、カルボン酸類、アミノ酸類およびキレート剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である水素化処理触媒の製造方法である。
【0014】
さらに、本発明は炭化水素油と上記の水素化処理触媒を、反応温度300〜450℃、水素分圧1〜15MPa、液空間速度0.1〜10hr-1、水素/油比50〜1,200Nm3/klの条件で接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水素化処理触媒を用いることにより、従来の触媒以上に炭化水素油から硫黄、窒素、残留炭素等の不純物を効率よく除去し炭化水素油のアップグレード化を可能とする。
さらに、本発明の水素化処理触媒で処理された炭化水素油は、接触改質装置、流動接触分解装置、水素化分解装置等の原料油としても有用であることから、炭化水素油の高度利用も可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明におけるアルミナを主体とする無機多孔質担体(以下、アルミナ系担体という)は、少なくとも90%質量以上、好ましくは95質量%以上のα、θ、δ、κ、η、γ、χ型等のアルミナやバイヤライト、ジブサイト、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナ水和物、これらの任意の混合物や複合化合物から構成されるが、γ、δ、θ、η−アルミナが好ましく、特に好ましいのはγ−アルミナである。アルミナ系担体の製造工程で混入する不純物は、酸化鉄、酸化ナトリウム、硫酸イオン、塩化物イオン、その他の化合物等が考えられるが、総量で5質量%以下、好ましくは3質量%以下(担体基準)に抑えることが望ましい。
アルミナ系担体は、アルミナ単味としてもよいが、担体の機械的強度や酸性度の調整などを図るため、必要に応じて担体基準で0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜8質量%のシリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、五酸化リン、マグネシア、酸化亜鉛、セリア、希土類酸化物、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、サポナイト、セピオライト、アタパルジャイト、天然または合成ゼオライトやこれらの混合物をアルミナと慣用の手法(混練法や含浸法等)で複合させて用いてもよい。
【0017】
なお、触媒としての最適な性能を発現させるために、このアルミナ系担体は次のような物性を有することが好ましい。
即ち、細孔容積としては0.5〜1.2ml/g、平均細孔直径は8〜13nm、比表面積は150〜400m2/gである。アルミナ系担体は慣用の手法、例えば酸性アルミニウム化合物、塩基性アルミニウム化合物または双方を用いた中和反応や、アルミニウムアルコキシドの加水分解反応によりアルミナ水和物を得て、混練、成形、乾燥、か焼等の操作で調製できるし、市販のアルミナ水和物粉体やアルミナ系担体を利用してもよい。
なお、アルミナ系担体の調製または利用に際しては、後述するような完成触媒の細孔構造を勘案する必要がある。
【0018】
上記のアルミナ系担体の細孔表面にホウ素化合物を付着させ、焼成することでホウ素担持中間体を得る。ここで付着とは、ホウ素化合物を担体細孔表面に物理吸着や化学吸着させることを意味する。
付着方法としては、含浸法、蒸着法、塗布法、吹付け法などが適用できるが、担持量制御のし易さ、操作の簡便性などの観点から含浸法が好ましい。
含浸に際しては、吸着法(担体を担持溶液に浸し、飽和吸着量以下の成分量を吸着させる)、平衡吸着法(吸着法と同様だが、担持溶液として飽和吸着量以上の成分量を含む溶液を用い、過剰分は濾別する)、ポアフィリング法(担体細孔容積と同容積の担持溶液を全量吸い取らせる)、Incipient Wetness法(担体の細孔容積を測定しながら担持溶液を含浸する)、蒸発乾固法(担持溶液に担体を浸し、湯浴上等で加熱攪拌して溶媒を蒸発させる)、スプレー法(減圧状態で担持成分を噴霧含浸する)、などの種々の手法を適用することができる。この手法の中でも、操作性の観点からポアフィリング法が特に好ましい。以上の方法によって、アルミナ系担体表面にホウ素を効率よく分散させることが可能となる。
なお、本明細書で用いている細孔表面とは、担体を構成するアルミナ等の一次粒子や二次粒子の間隙から形成される細孔の表面であり、担体の見掛けの外表面はもとより、担体内部に存在する細孔表面の全てを包含する。
【0019】
通常、ホウ素等による担体改質では、操作が簡便な混練法が多用されている。しかしながら、混練法では添加物を良好に分散させ難く、所望の分散度を得るには長時間を要する。
さらに、一定の分散度の混練物が得られたとしても、添加したホウ素の殆どが触媒反応に寄与しない担体骨格に取り込まれるため、本願の目的である担体の細孔表面への高分散を図るには、多量のホウ素の添加が必要となる。従って、混練法は添加量、操作時間の両面で効率が悪く、好ましい添加方法とは言い難い。
なお、別のホウ素添加方法として共沈法がある。これはアルミナ系担体の調製時に、原料のアルミニウム化合物とホウ素化合物の共沈によって、ホウ素含有アルミナ水和物を得る方法である。しかしながら、この方法には混練法と同様、大部分のホウ素が担体骨格に取り込まれてしまう問題に加え、共沈不良による添加ホウ素の流出という問題もあるため実用的ではない。
【0020】
添加するホウ素の担持量はホウ素担持中間体基準で酸化物として、0.3〜10質量%、好ましくは0.5〜9質量%、特に好ましくは0.5〜8質量%である。添加量が0.3質量%未満では添加効果が不十分となる。添加量が10質量%を超えても触媒活性に増分はない。更にホウ素の高担持量化によって中間体の細孔容積が減少し、次工程の水素化活性成分等の担持が困難となるため、適当ではない。
なお、ホウ素の担持量は、触媒の用途によって適宜調節することができる。触媒の機能として、水素化反応や脱窒素反応を主体とする場合、ホウ素の担持量の上限は10質量%であるが、脱硫機能に重点を置く場合、ホウ素の担持量の範囲は、0.3〜4質量%、好ましくは0.5〜3.9質量%である。脱硫活性の場合、ホウ素担持量が4質量%を超えると活性は低下する。このような反応種別によるホウ素担持量の最適範囲の差は、脱硫、脱窒素の反応機構の違いに起因するものと考えられる。
【0021】
適用できるホウ素化合物は特に限定されることなく、種々のホウ素化合物を用いることができる。例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、ジボラン等の無機ホウ素化合物の他、ジメチルアミノボラン、トリエチルボラン、トリブチルボラン、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリシクロヘキシル等の有機ホウ素化合物等も使用できる。これらの化合物は単独でも、任意に組み合わせて用いてもよい。
これらのホウ素化合物を含浸法で担持する場合、適当な濃度の水溶液、アルコール溶液(メタノール、エタノール、変性アルコール、プロパノール、イソプロパノール等)、アルコール水溶液やアンモニア水溶液、または水溶性アルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)や水溶性アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ブタノールアミン、イソブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等)との塩や付加物の水溶液を用いることができる。これらの溶液の含浸操作は、アルミナ系担体の細孔容積や溶液濃度に応じて、一度に行なってもよいし、逐次にまたは数回に分けて実施してもよい。
【0022】
アルミナ系担体の細孔表面にホウ素化合物を付着させた後、必要に応じて乾燥し、その後焼成してホウ素化合物を酸化物として担体に担持する。焼成温度は、ホウ素化合物の分解温度に合わせて適宜設定することができる。通常、空気中、300〜850℃、好ましくは400〜650℃の温度で0.1〜3時間、好ましくは0.5〜2時間の間、焼成することでホウ素酸化物が担持されたホウ素担持中間体が得られる。
【0023】
次いで、ホウ素担持中間体に対して、水素化活性成分と有機添加剤を添加して、乾燥処理を施すことでこれらを担持する。添加方法に特に制限はなく、例えば含浸法、塗布法、吹付け法などの様々な工業的な手法を適用できるが、作業性や添加効率の観点から含浸法が好ましい。含浸法では、既述した各種手法が適用できるが、作業性の観点からポアフィリング法が好ましい。水素活性成分や有機添加剤の添加の順序も特に限定されることなく、逐次、あるいは同時に添加することができる。含浸法の場合、各成分を各種極性有機溶媒、水や水−極性有機溶媒混合物に溶解した溶液が使用できるが、最も好ましい溶媒は水である。
【0024】
担持する水素化活性成分のうち周期表第6族元素としては、クロム、モリブデン、タングステンから選ばれる少なくとも1種である。これらの元素は単独でも使用できるが、原料油の反応性や反応装置の操業条件に応じて、組み合わせて使用してもよい。組み合わせを行なう場合、クロム−モリブデン、クロム−タングステン、モリブデン−タングステン、クロム−モリブデン−タングステンが例示できる。
担持量は全ての周期表第6族元素酸化物の合計として、酸化物触媒基準で10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%、更に好ましくは20〜30質量%である。10質量%未満では触媒活性が低く、40質量%を超えても活性の増分はない。周期表第6族元素の原料としは、クロム酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、三酸化物、ハロゲン化物、ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸塩などが挙げられる。
【0025】
水素化活性成分の周期表第8〜10族元素は、鉄、コバルト、ニッケルが挙げられる。これらの元素それぞれ単独で使用できるが、原料油の反応性、反応装置の操業条件に応じて、組み合わせて使用することもできる。組み合わせの場合、鉄−コバルト、鉄−ニッケル、コバルト−ニッケル、鉄−コバルト−ニッケルが例示できる。
担持量は全ての周期表第8〜10族元素酸化物の合計として、酸化物触媒基準で0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは2〜6質量%である。担持量が0.5質量%未満では触媒活性が不十分であり、15質量%を超えても活性の増加はない。担持に使用する鉄、コバルト、ニッケルの化合物としては、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩などが使用できる。
【0026】
ここで水素化活性成分の含浸溶液を調製する場合、必要に応じて、溶液のpH調整、液安定性や触媒の水素化活性を向上させるため、アンモニア水、過酸化水素水、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化水素酸等を添加してもよい。
なお、リン酸は触媒成分として添加することもでき、その場合、添加量の範囲は酸化物触媒基準で酸化物として0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは2〜8質量%である。添加できるリン酸としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、ホスフィン酸、ポリリン酸やそれらの有機塩、無機塩等が挙げられる。
なお、水素化活性成分の含浸溶液は、周期表第6族元素、周期表第8〜10族元素でそれぞれ単独に調製してもよいし、両者を混合した均一溶液にしてもよい。
【0027】
有機添加剤は以下に示すような水溶性有機化合物であり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール(1,2−、1,3−、1,4−、2,3−)、ペンタンジオール(例えば1,5−、他の異性体を含む)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール(例えば1,2−、1,6−、他の異性体を含む)、ヘキシレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜600)、ポリプロピレングリコール(水溶性に限る)、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール(例えば1,2,6−、他の異性体を含む)、エリトリトール、ペンタエリトリトール等の多価アルコール類とそれらのエーテル類(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、ターシャリーブチルやこれらの任意の組み合わせから選ばれるモノエーテル、ジエーテル、トリエーテルで水
溶性のもの)、前記多価アルコール類または前記エーテル類のエステル類(蟻酸、酢酸等のモノエステル、ジエステル、トリエステルで水溶性のもの)、グルコース、フルクトース、異性化糖、ガラクトース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、澱粉、デキストリン、ペクチン、グリコーゲン、カードラン等の糖類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸(無水物、一水和物)、リンゴ酸、グルコン酸、グルタル酸等のカルボン酸類やそれらの塩類(リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等)、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸等のアミノ酸類やそれら塩類(リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等)、またはエチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチルテトラアンミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(PDTA−OH)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、グリコールエーテルジアミノ四酢酸(GEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、(S,S)−エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸(EDDS)等の各種キレート剤などから選ばれる。これらの有機添加剤は、単独または適宜組み合わせて使用することができる。
【0028】
有機添加剤の添加量は、周期表第6族元素及び周期表第8〜10族元素の合計モル数の0.15〜3倍量であり、好ましくは、0.2〜2.5倍量である。0.15倍モル未満では触媒性能の向上効果が見られない。3倍モルを超えても活性の増分はない。
なお、水素化活性成分の添加との関係であるが、水素化活性成分と有機添加剤の添加の順序に制限はない。即ち、水素化活性成分の添加前や添加後に別の溶液として添加してもよいし、水素化活性成分との均一溶液として同時に添加してもよい。さらに水素化活性成分溶液、有機添加剤溶液またはこれらの均一溶液は、溶液の粘度やホウ素担持中間体の細孔容積(吸水量)に応じて、一度にまたは複数回に分けて添加できる。
【0029】
水素化活性成分、有機添加剤の添加を終えた後は、乾燥処理を施すことで周期表第6族元素、周期表第8〜10族元素および有機添加剤をホウ素担持中間体に担持する。上記成分の担持の際、乾燥処理で止めて焼成しないことにより、従来の焼成触媒よりも優れた活性を有する触媒を得ることができる。
この乾燥処理では、有機添加剤が基本的な骨格構造を変えず(結晶水、水素イオン、水酸化物イオン、アンモニウムイオン等の付加や脱離は考慮しない)、少なくともその一部が水素化活性成分に相互作用(分子間力、水素結合、共有結合、イオン結合、配位結合等)を及ぼして残存していることが望ましい。
有機添加剤の残存割合の目安として、完成触媒を空気中550℃で1時間加熱したときの質量減少割合が5〜55質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲内であることが好ましい。質量減少割合が5質量%に満たない場合、担持した有機添加剤の揮散、分解等が起きており、水素化活性金属成分との相互作用が不十分となることで触媒活性の向上は見られない。55質量%を超えるような場合、予備硫化工程時に生成する多量の水で有機添加剤が流出してしまい、触媒活性の向上が図れない。
【0030】
上述のような有機添加剤と水素化活性成分と相互作用を保持できるならば、乾燥方法に特に制限はない。例えば、空気中や不活性ガス中での熱風乾燥、遠赤外乾燥、伝導伝熱乾燥、UV乾燥、マイクロ波乾燥、凍結乾燥や減圧乾燥などの種々の工業的な手法が適用できる。乾燥条件も特に限定されることはなく、有機添加剤の揮散、分解条件に合わせて適宜設定できる。最も簡便な乾燥方法に熱風乾燥があるが、その場合、例えば、空気中や不活性ガス(窒素ガス、希ガス、炭酸ガス、低酸素雰囲気等)中、30〜250℃(雰囲気温度ではなく乾燥物の物質温度として)、好ましくは50〜220℃、より好ましくは80〜200℃、0.1〜3時間といった条件が挙げられる。
【0031】
完成した触媒が良好な触媒性能を発揮するには、以下の物性、細孔構造を有することが望ましい。
即ち、平均細孔直径は8.5〜16nm、好ましくは9〜15nmである。平均細孔直径が8.5nm未満では炭化水素油の細孔内拡散が不十分となり、16nmを超えると比表面積が低下するため触媒性能は低下する。
また、全細孔容積は、0.3〜1.1ml/gが好ましく、より好ましくは0.32〜1.0ml/gである。0.3ml/g以下では炭化水素油を細孔内に拡散させるのに不十分であり、1.1ml/gを超えた場合、反応器に触媒を充填した場合、触媒の絶対重量が軽くなるため、十分な触媒性能が現れない。
ここで、触媒の細孔の均一さを示す指標として、平均細孔直径±1.5nmの範囲の直径を有する細孔容積の割合が、全細孔容積に対して60〜95%、好ましくは65〜90%、更に好ましくは70〜85%である細孔構造を有することが望ましい。50%未満では反応に寄与しない微小細孔や表面積の低い大細孔の割合が増加し、95%を超える場合は、比較的分子長の長い炭化水素油の細孔内拡散が阻害されることで触媒活性の低下を招く。
なお、本発明の触媒の細孔径分布は、平均細孔直径を中心とする単峰性の分布である。平均細孔直径の峰(ピーク)に加えて、平均細孔直径未満やそれを超える細孔直径範囲、またはその双方の細孔直径範囲に峰を有するような多峰性の細孔径分布ではない。
比表面積は、100〜300m2/gが望ましく、より好ましい範囲は120〜280m2/gである。100m2/g未満では触媒性能が不十分であり、300m2/gを超えた場合、平均細孔直径が小さくなりすぎるため、反応中に細孔閉塞等を起こしやすくなる。
【0032】
なお、細孔構造(細孔容積、平均細孔直径、細孔径分布等)は水銀圧入法(接触角140°、表面張力480dyn/cm)、比表面積はBET法でそれぞれ得られた値である。担体、完成触媒等の細孔構造、比表面積の測定や水素化活性成分の担持量測定に際しては、空気中450℃で1時間処理して水分や有機物を除去したものを測定対象とした。なお、水素化活性成分の担持量測定では、蛍光X線分析装置を用いた。
【0033】
本発明の水素化処理触媒は、そのまま反応塔に充填することができるが、必要に応じて水素化処理装置のスタートアップ工程での高温水素ガスによる触媒の還元防止や、触媒に担持された有機添加剤の揮発や変質を防止、緩和するために、ナフサ、灯油、軽油、重質軽油、減圧軽油等の未水素化処理油やそれらの水素化処理油、潤滑油、これら任意の混合油等の炭化水素油により触媒表面に保護膜を形成させた後に反応塔に充填することもできる。この保護膜の形成は、有機添加剤を担持した完成触媒に対して、上記炭化水素油を添加することでなされる。添加量は完成触媒の細孔容積を飽和するのに必要な炭化水素油体積の20〜500%であるが、好ましくは30〜200%、より好ましくは50〜125%である。
【0034】
なお、触媒は通常、予備硫化操作を施してから使用されるが、この予備硫化操作は反応塔内または反応塔外でも可能である。予備硫化方法としては、加熱状態、水素雰囲気下で硫黄分を含む灯油や軽油留分、これらの油に二硫化炭素、ブタンチオール、ジメチルジスルフィド(DMDS)、ジターシャリーノニルポリスルフィド(TNPS)等の硫化剤を適量混合したものを用いての液相による硫化や、加熱水素気流中で硫化水素や二硫化炭素を硫化剤として用いる気相硫化法が適用できる。
【0035】
本発明の触媒による水素化処理の対象となる炭化水素油は、ASTM D−2887またはD−2887拡張手法に基づいて、90%沸点温度が560℃以下、好ましくは540℃以下、初留点が100℃以上、好ましくは150℃以上の留出油である。具体的には、主として石油系のナフサ、直留灯油、直留軽油、重質軽油、減圧軽油、重質減圧軽油等が例示できるが、水素化分解装置、熱分解装置や流動接触分解装置から得られる灯軽油留分(ライトサイクル油やコーカー軽油など)や重油直接脱硫装置由来の灯軽油留分に加え、石炭由来または動植物系のバイオマス由来の留出油、以上列記した留出油の任意の混合油も包含される。
なお、処理する原料油中のバナジウムやニッケルといった金属分は、5質量ppm以下、好ましくは1質量ppm以下、残留炭素分は1質量%以下、好ましくは0.9質量%以下であることが望ましいが、前記の金属分や残留炭素分の含有量を満たすように、原料留出油に常圧残油、減圧残油、溶剤脱瀝油、石炭液化油、頁岩油、タールサンド油等の重質油を混合して処理することもできる。
【0036】
本発明の水素化処理触媒は、固定床、沸騰床、移動床等の反応器で、炭化水素油を水素の存在下での水素化、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱酸素、水素化脱金属、脱残留炭素、水素化分解、水素化異性化等を行なう種々の水素化処理反応に使用できる。
水素化処理装置で使用する場合、反応条件は原料油種にもよるが、水素分圧1〜15MPa、好ましくは3〜10MPa、水素/油比50〜1,200Nm3/kl、好ましくは、100〜1,000Nm3/kl、液空間速度0.1〜10hr-1、好ましくは、0.5〜8hr-1、反応温度300〜450℃、好ましくは320〜430℃で使用するのが一般的である。
【実施例】
【0037】
以下に示す実施例によって、更に本発明を具体的に説明する。ただし、下記実施例は何ら本発明を限定するものではない。
【0038】
〔触媒の調製〕
(実施例1)
擬ベーマイト粉に水を加え、混練機により30分混練した後、押出し成形し、空気中720℃で1.5時間焼成して、比表面積245m2/g、細孔容積0.71ml/g、平均細孔直径10.4nmのγ−アルミナ担体を得た。
この担体に対して、ホウ酸−アンモニア水溶液をポアフィリング法で含浸し、空気中530℃で1時間焼成して、ホウ素担持中間体、酸化物基準でホウ素担持量が0.5質量%の中間体を得た。
この中間体に、完成触媒、酸化物基準で三酸化モリブデン20質量%、酸化ニッケル4質量%、五酸化リン7質量%となるように、三酸化モリブデン、塩基性炭酸ニッケル、リン酸、ジエチレングリコール(モリブデンとニッケルの合計モル数に対して0.75倍モル量添加)を含有する水溶液をポアフィリング法で含浸し、含浸物の温度が120℃となる条件で、2時間、空気中で熱風乾燥処理して触媒Aを得た。触媒Aの物性、化学組成を表1に示す。
【0039】
(実施例2)
ホウ素担持中間体のホウ素担持量が1.1質量%とした以外は実施例1と同様の方法で触媒Bを調製した。触媒Bの物性、化学組成を表1に示す。
【0040】
(実施例3)
ホウ素担持中間体のホウ素担持量が2.6質量%とした以外は実施例1と同様の方法で触媒Cを調製した。触媒Cの物性、化学組成を表1に示す。
【0041】
(実施例4)
ホウ素担持中間体のホウ素担持量が3.6質量%とした以外は実施例1と同様の方法で触媒Dを調製した。触媒Dの物性、化学組成を表1に示す。
【0042】
(実施例5)
ホウ素担持中間体のホウ素担持量が7.7質量%とした以外は実施例1と同様の方法で触媒Eを調製した。触媒Eの物性、化学組成を表1に示す。
【0043】
(実施例6)
実施例1のγ−アルミナ担体の調製に使用した擬ベーマイト粉にリン酸水溶液を添加した後、混練機により30分混練した後、押出し成形し、空気中730℃で1.5時間焼成して、酸化物として7質量%のリンを含む比表面積275m2/g、細孔容積0.70ml/g、平均細孔直径9.9nmのリン−アルミナ担体を得た。
このアルミナ−リン担体に、ホウ素担持中間体酸化物基準でホウ素が3.0質量%となるように、ホウ酸−モノエタノールアミン水溶液をポアフィリング法で含浸した後、空気中530℃で1時間焼成して、ホウ素担持中間体を得た。
この中間体に、完成触媒、酸化物基準で三酸化モリブデン20質量%、酸化ニッケル4質量%、五酸化リン7質量%となるように、三酸化モリブデン、塩基性炭酸ニッケル、リン酸と有機添加剤としてジエチレングリコールおよびクエン酸一水和物(両有機添加剤は、モリブデンとニッケルの合計モル数に対してそれぞれ0.25倍モル量添加)を含有する水溶液をポアフィリング法で含浸し、含浸物の温度が120℃となる条件で、2時間、空気中で熱風乾燥処理して触媒Fを得た。触媒Fの物性、化学組成を表1に示す。
【0044】
(実施例7)
実施例3と同じ方法で、ホウ素担持中間体を得た後、完成触媒、酸化物基準で三酸化モリブデン20質量%、酸化コバルト4質量%、五酸化リン7質量%となるように、三酸化モリブデン、塩基性炭酸コバルト、リン酸、ジエチレングリコール(モリブデンとコバルトの合計モル数に対して0.75倍モル量添加)を含有する水溶液をポアフィリング法で含浸した。その後、実施例3と同様の方法で触媒Gを得た。触媒Gの物性、化学組成を表1に示す。
【0045】
(比較例1)
実施例1で、ホウ素を添加しない他は同様の方法で触媒Hを得た。触媒Hの物性、化学組成を表2に示す。
【0046】
(比較例2)
実施例6でホウ素を添加しない他は同様の方法で触媒Iを得た。触媒Iの物性、化学組成を表2に示す。
【0047】
(比較例3)
実施例1のγ−アルミナ担体の調製に使用した擬ベーマイト粉にホウ酸を水に懸濁させたスラリーを添加し、混練機により30分混練した後、押出し成形し、空気中770℃で1.5時間焼成して、酸化物として2.6質量%のホウ素を含む比表面積262m2/g、細孔容積0.70ml/g、平均細孔直径10.0nmのホウ素−アルミナ担体を得た。このホウ素−アルミナ担体に実施例1と同様の方法でモリブデン、ニッケル、リン、ジエチレングリコールを添加して触媒Jを調製した。触媒Jの物性、化学組成を表2に示す。
【0048】
(比較例4)
実施例3で得られた触媒を空気中、450℃で1.5時間焼成して触媒Kを調製した。
触媒Kの物性、化学組成を表2に示す。
【0049】
(比較例5)
実施例7で、ホウ素を添加しない他は同様の方法で触媒Lを得た。触媒Lの物性、化学組成を表2に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
〔水素化活性試験〕
1.減圧軽油水素化処理試験
実施例1〜6、比較例1〜4の触媒を固定床小型流通反応機に充填した後、表5の軽油にジメチルジスルフィドを添加した硫化油(全硫黄分として2.5質量%相当)による予
備硫化を行なった後、表3に示す性状の減圧軽油を表4の条件で水素化処理試験を実施した。試験で得られた生成油の硫黄分、窒素分をそれぞれ蛍光X線法、酸化分解化学発光法で測定し、式(1)〜(3)に基づいて容量基準の比活性を求めた。試験結果を表7に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
【数1】

【0056】
上式中、LHSVは液空間速度、kは反応速度定数、n は反応次数、Xは原料油中の硫黄または窒素成分の、Yは生成油中の硫黄または窒素成分の質量割合である。なお、lnは自然対数の表記である。
【0057】
2.軽油水素化処理試験
実施例7および比較例5の触媒を固定床小型流通反応機に充填し、表5の軽油にジメチルジスルフィドを添加した硫化油(全硫黄分として2.5質量%相当)による予備硫化を行なった後、表5の原料軽油に切り替え、表6の条件で、軽油の水素化処理試験を行なった。試験で得られた生成油の硫黄分を蛍光X線法で測定し、式(2)、(4)に基づいて容量基準の比活性を求めた。評価結果は表8に示した。
【0058】
【表5】

【0059】
【表6】

【0060】
【数2】

【表7】

【0061】
【表8】

【0062】
減圧軽油および軽油の水素化処理試験結果(表7、8)から、本発明のホウ素添加触媒は、従来のホウ素無添加触媒、ホウ素混練触媒またはホウ素添加焼成触媒に比べて優れた水素化脱硫、水素化脱窒素活性を示していることが分かる。










【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナを主体とする無機多孔質担体の細孔表面にホウ素化合物を付着させ、焼成してホウ素担持中間体を得た後、当該中間体に酸化物触媒基準で10〜40質量%の周期表第6族元素の少なくとも1種、0.5〜15質量%の周期表第8〜10族元素の少なくとも1種および、周期表第6族と第8〜10族元素の合計モル数に対して0.15〜3倍量の有機添加剤を添加した後、乾燥処理を行なうことで、周期表第6族元素、第8〜10族元素および有機添加剤を担持させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
【請求項2】
ホウ素担持中間体を得る際の付着方法として含浸法を用い、ホウ素の担持量が当該中間体酸化物基準で、0.3〜10質量%である請求項1記載の水素化処理触媒の製造方法。
【請求項3】
周期表第6族元素が、クロム、モリブデン、タングステンから選ばれる少なくとも1種であり、周期表第8〜10族元素が、鉄、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の水素化処理触媒の製造方法。
【請求項4】
有機添加剤が多価アルコール類、糖類、カルボン酸類、アミノ酸類およびキレート剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れか記載の水素化処理触媒の製造方法。
【請求項5】
炭化水素油と請求項1〜4の何れか記載の水素化処理触媒を、反応温度300〜450℃、水素分圧1〜15MPa、液空間速度0.1〜10hr-1、水素/油比50〜1,200Nm3/klの条件で接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。

【公開番号】特開2011−67748(P2011−67748A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220614(P2009−220614)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(594169123)日本ケッチェン株式会社 (9)
【Fターム(参考)】