説明

水素生成原料製造用マイクロチップおよび水素生成原料製造装置ならびにその方法

【課題】 水をヨウ素と二酸化硫黄で分解するIS(Iodine-Sulfur)法による水素生成において、ヨウ素使用量を削減する。
【解決手段】 水素生成原料製造用マイクロチップは、それぞれに異なる流体が注入される複数の注入マイクロチャンネル1a,1b,1cと、注入マイクロチャンネル1a,1b,1cから流入した流体を合流させて化学反応により水素生成原料を生成する反応マイクロチャンネル2と、反応マイクロチャンネル2から出てきた流体を分流する複数の分離マイクロチャンネル3a,3b,3cと、を具備する。反応マイクロチャンネル2は、注入マイクロチャンネル1a,1b,1cそれぞれの境界の延長に沿って、反応マイクロチャンネル2内の流れの分離を助けるとともに相当程度の混合も許容する分離手段4を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチップを用いた水素生成原料製造技術に係り、水素生成原料製造用マイクロチップ、水素生成原料製造装置ならびに水素生成原料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[IS法について]
石油などの化石燃料に替わるクリーンな燃料の代表として水素が注目される。アメリカのGA(General Atomic)社などから水をヨウ素と二酸化硫黄で分解するIS(Iodine-Sulfur)法が提案されている。また日本原子力研究所において1980年代から基礎研究が行われてきた。この手法は、高温ガス炉で発生する熱エネルギーを利用し、ヨウ素と二酸化硫黄を用いて、水を水素と酸素に分解するというものである(特許文献1〜4、非特許文献1、2参照)。
【0003】
IS法の主要な反応は3つから成り立っている。水とヨウ素と二酸化硫黄を70〜100Cにおいて反応させて、水素の原料であるヨウ化水素を生成する。このときに硫酸も同時に生成するが、ヨウ化水素と硫酸を分離し、2番目の工程としてヨウ化水素を400Cで熱分解し目的の水素を得る。3番目の工程では硫酸を900Cの高温で熱分解して二酸化硫黄に戻す。ヨウ素はヨウ化水素の熱分解で得られるので、二酸化硫黄と共に再利用する。IS法は二酸化硫黄とヨウ素と熱エネルギーを用いて水を水素と酸素に分解しており、熱化学分解法とも呼ばれている。
【0004】
ヨウ化水素を水素とヨウ素に分解する反応は1897年にドイツのM. Bodensteinによって詳細に調査されている(非特許文献3参照)。ヨウ化水素分解反応は均一気相反応であり、400C近傍において水素とヨウ素に解離し、ヨウ化水素、水素およびヨウ素の混合平衡気体として存在する。その圧平衡定数は50程度と求められており、解離度は22%である。一方、ヨウ化水素はヨウ素に二酸化硫黄あるいは亜硫酸水を作用させることにより酸化還元反応(ブンゼン反応)を起こし、容易に得ることができる。
【0005】
ヨウ素と二酸化硫黄を反応させてヨウ化水素とし、そのヨウ化水素を水素とヨウ素に分解することによって、燃料である水素を取り出す反応が、1980年代より日本原子力研究所において進められてきた。ヨウ素と二酸化硫黄はそれぞれ反応生成物を分解することにより再度取り出すことが可能であり、実質的にヨウ素と二酸化硫黄を触媒とした水の分解反応と捉えることができる。
【0006】
[マイクロチップについて]
マイクロチップは、幅100μm程度,深さ50μm程度のマイクロチャンネル(微小溝)を有するもので、このマイクロチャンネル上に2つ以上の液体もしくは液体と気体を流すと、これらの液体または気体の表面張力が重力より支配的になるため、比重差が無くても表面張力差によって2相流を形成する(特許文献5、6、非特許文献4参照)。また、この2つ以上の液体もしくは液体と気体の間は、それぞれの幅および深さが50μm程度と狭いことから拡散が大きくなり、2相間の化学反応を速くすることができる。
【特許文献1】特公昭60−52081号公報
【特許文献2】特公昭60−48442号公報
【特許文献3】特公平4−37001号公報
【特許文献4】特公平4−37002号公報
【特許文献5】特開2004−101493号公報
【特許文献6】特開2003−28836号公報
【非特許文献1】M. Sakurai, H. Nakajima, R. Amir, K. Onuki, and S. Shimizu, Experimental study on side-reaction occurrence cindition in the iodine-sulfur thermochemical hydrogen production process, International Journal of Hydrogen Energy, 25 (2000) 613-619.
【非特許文献2】M. Sakurai, H. Nakajima, K. Onuki, and S. Shimizu, Investigation of 2 liquid phase separation characterics on the iodine-surfur thermochemical hydrogen production process, International Journal of Hydrogen Energy, 25 (2000) 605-611.
【非特許文献3】M. Bodenstein, Z. phisik. Chem., 29 (1899) 295, 312.
【非特許文献4】Akihide Hibara, Manabu Tokeshi, Keniji Uchiyama and Takehiko Kitamori, Integrated Multilayer Flow System on a Microchip, ANALYTICAL SCIENCES, 17 (2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したSI法の水素製造におけるブンゼン反応工程においては、ヨウ素と二酸化硫黄と水を反応させて目的のヨウ化水素を生成するためには、生成物である硫酸を分離しなければならない。従来は、比重差を利用して硫酸水溶液とヨウ素/ヨウ化水素を含んだ水溶液とに2相分離するために、取扱が難しい多量のヨウ素を用いていた。このため、ヨウ素使用量を削減できる分離方法が求められていた。
【0008】
従来法では、生成したヨウ化水素を分離抽出する工程が反応工程とは別に必要であった。このため、この分離工程を必要としない方法が求められていた。
【0009】
従来法では、生成したヨウ化水素と硫酸の一部が反応式(1)の反応によって失われ、回収率が低下していた。このため、生成したヨウ化水素と硫酸を生成直後に分離する方法が求められていた。
【0010】
SO + 6HI → S + 3I + 4HO ・・・ (1)
従来法では、生成したヨウ化水素と未反応のSOガスが反応式(2)の反応によって一部失われ、回収率が低下していた。このため、生成したヨウ化水素とSOを接触させない方法が求められていた。
【0011】
SO + 6HI → HS + 3I + 2HO ・・・ (2)
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、IS法による水素生成において、ヨウ素使用量を削減できる水素生成原料の製造方法およびそのための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するためのもので、本発明による水素生成原料製造用マイクロチップは、それぞれに異なる流体が注入される複数の注入マイクロチャンネルと、前記複数の注入マイクロチャンネルから流入した流体を合流させて化学反応により水素生成原料を生成する少なくとも一つの反応マイクロチャンネルと、この反応マイクロチャンネルから出てきた流体を分流する複数の分離マイクロチャンネルと、を具備する。
【0013】
また、本発明による水素生成原料製造装置は、それぞれに異なる流体が注入される複数の注入マイクロチャンネルと、前記複数の注入マイクロチャンネルから流入した流体を合流させて化学反応により水素生成原料を生成する少なくとも一つの反応マイクロチャンネルと、この反応マイクロチャンネルから出てきた流体を分流する複数の分離マイクロチャンネルと、を具備するマイクロチップを有する。
【0014】
また、本発明による水素生成原料製造方法は、それぞれに異なる流体を、複数の注入マイクロチャンネルを通して少なくとも一つの反応マイクロチャンネルに注入して合流させ、前記合流させた流体を前記反応マイクロチャンネル内で化学反応させて水素生成原料を生成し、前記反応マイクロチャンネルを出てきた流体を、複数の分離マイクロチャンネルに分流すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、IS法による水素生成において、ヨウ素使用量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るマイクロチップを用いた水素原料物質の製造装置の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0017】
[実施形態1]
図1および図2は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態1の構成を示し、図1はマイクロチップの平面図、図2(a)は図1のA−A線矢視立断面図、図2(b)は図1のB−B線矢視立断面図である。
【0018】
マイクロチップには、第1、第2、第3の注入マイクロチャンネル1a、1b、1cと、反応マイクロチャンネル2と、第1、第2、第3の分離マイクロチャンネル3a、3b、3cが一水平面内に形成されている。第1、第2、第3の注入マイクロチャンネル1a、1b、1cは、一つの立断面A−A位置で反応マイクロチャンネル2に並列して接続されている。第1、第2、第3の分離マイクロチャンネル3a、3b、3cは、A−A位置よりも下流側の立断面B−B位置で反応マイクロチャンネル2に並列して接続されている。立断面B−B位置での第1、第2、第3の分離マイクロチャンネル3a、3b、3cの並び方は、立断面A−A位置での第1、第2、第3の注入マイクロチャンネル1a、1b、1cの並び方の順に対応している。各マイクロチャンネル1a、1b、1c、2、3a、3b、3cは、たとえば高さ10〜数100μm程度の微小溝である。
【0019】
第1、第2、第3の注入マイクロチャンネル1a、1b、1cにはそれぞれ、SOガス、HO、I/HI/HO混合物が注入される。
【0020】
SOガスとHOとI/HI/HO混合物は、反応マイクロチャンネル2上で3相流を成して流れ、反応マイクロチャンネル2の入口断面A−AではSOガスとHOとI/HI/HO混合物の3相を成す。反応マイクロチャンネル2内を流体が流れながら3相流間で化学反応が起こり、反応後の状態である出口断面B−Bでは、入口断面A−AでのSOガス、HOおよびI/HI/HO混合物の流れの配列順に合わせて、未反応SOガス、HSOおよびHI/I/HO混合物の順に3相が形成されて並ぶ。
【0021】
そのため、第1、第2、第3の分離マイクロチャンネル3a、3b、3cで、これらの、未反応SOガス、HSO、HI/I/HO混合物をそれぞれ分離して回収することができる。
【0022】
上記のI/HI/HO混合物において、IはHIとでIの形をとることにより相を形成する。このため、必要なI量はHIに対して同モル量である。
【0023】
マイクロチャンネル上では重力よりも表面張力が支配的になるため、比重差の小さい、硫酸水溶液とヨウ素/ヨウ化水素を含んだ水溶液とに容易に相分離することができ、比重差を増大させることを目的とした取扱の難しい多量のヨウ素を必要としない。従来法では、比重差をつけるため、I量はHIに対して2倍モル量以上が必要であったのに対して、本実施形態では同モル程度で大幅な削減効果がある。
【0024】
生成したヨウ化水素と硫酸水溶液は分離マイクロチャンネルで個別に回収できるため、従来のヨウ化水素を分離抽出する工程を必要としない。
【0025】
生成したヨウ化水素と硫酸は反応直後に分離マイクロチャンネルで直ちに分離されるため、ヨウ化水素と硫酸は接触せず再反応を起こさない。その結果、従来法のように生成したヨウ化水素と硫酸が一部再反応(反応式(1))によって失われることは無く、回収率が向上する。
【0026】
生成したヨウ化水素と未反応のSOガスの間に硫酸水溶液の相が挟まっているため、従来法のように生成したヨウ化水素と未反応のSOガスが再反応(反応式(2))によって一部失われることは無く、回収率が向上する。
【0027】
[実施形態2]
図3および図4は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態2の構成を示し、図3はマイクロチップの平面図、図4(a)は図3のA−A線矢視立断面図、図4(b)は図3のB−B線矢視立断面図である。
【0028】
この実施形態では、反応マイクロチャンネル3に分離壁4が設けられている。分離壁4は、入口断面A−Aから出口断面B−Bまで、反応マイクロチャンネル3の側壁に沿って流れの方向に延び、その高さは、反応マイクロチャンネル3の高さよりも低く、好ましくは2〜25μm程度である。
【0029】
本実施形態2によれば、実施形態1に比べて、SOガスとHOとI/HI/HO混合物の3相の相形成が安定し、相の境界が固定される。そのため、分離マイクロチャンネル3における分離が容易になり、無駄なく分離回収することができ、効率が向上する。
【0030】
[実施形態3]
図5および図6は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態3の構成を示し、図5は水素生成原料製造装置の平面図、図6(a)は図5のA−A線矢視立断面図、図6(b)は図5のB−B線矢視立断面図である。
【0031】
この実施形態3は実施形態2(図3、図4)の変形であって、実施形態2の分離壁4に代えて、流れの方向に所定の間隔ごとに複数の突起5が設けられている。各突起5の形状は、たとえば円錐形、円柱形などである。各突起5の高さは、反応マイクロチャンネル3の高さよりも低く、好ましくは2〜25μm程度の高さである。
【0032】
本実施形態3によれば、実施形態2とほぼ同様に、SOガスとHOとI/HI/HO混合物の3相の相形成が安定し、相の境界が固定される。これは、接触面が大きくなるためと考えられる。この実施形態によれば、分離マイクロチャンネル3における分離が容易になり、無駄なく分離回収することができ、効率が向上する。
【0033】
[実施形態4]
図7および図8は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態4の構成を示し、図7はマイクロチップの平面図、図8(a)は図7のA−A線矢視立断面図、図8(b)は図7のB−B線矢視立断面図である。
【0034】
この実施形態4では、第1の分離マイクロチャンネル3aで分離回収された未反応SOガスの流れるチャンネルと、SO注入のための第1の注入マイクロチャンネル1aとを、ポンプ20を介して連絡する循環ループ21が形成されている。ポンプ20はマイクロチップ上に配置することも可能であるが、マイクロチップとは別に配置してもよい。
【0035】
この実施形態4では、第1の分離マイクロチャンネル3aで分離回収した未反応SOガスが、第1の注入マイクロチャンネル1aを通じて再び反応マイクロチャンネル2に送られ、反応に使われる。そのため、未反応SOガスを捨てることなく有効に使うことができる。
【0036】
[実施形態5]
図9および図10は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態5の構成を示し、図9はマイクロチップの平面図、図10(a)は図9のA−A線矢視立断面図、図10(b)は図9のB−B線矢視立断面図、図10(c)は図9のC−C線矢視立断面図、図10(d)は図9のD−D線矢視立断面図である。
【0037】
この実施形態5では、反応マイクロチャンネル2は、上流から下流に向かって第1、第2、第3の反応マイクロチャンネル2a、2b、2cからできている。第1の注入マイクロチャンネル1aは第2の反応マイクロチャンネル2bの入口部に接続され、第2、第3の注入マイクロチャンネル1b、1cは第1の反応マイクロチャンネル2aの入口部に接続されている。また、第1の分離マイクロチャンネル3aは第2の反応マイクロチャンネル2bの出口部に接続され、第2、第3の分離マイクロチャンネル3b、3cは第3の反応マイクロチャンネル2cの出口部に接続されている。
【0038】
すなわち、第1の反応マイクロチャンネル1aには、第2および第3の注入マイクロチャンネル1b、1cからそれぞれHO、I/HI/HO混合物が注入されて反応する。そして、第2の反応マイクロチャンネル1bではさらに、第1の注入マイクロチャンネル1aからSOガスが注入されて、反応する。そして、第2の反応マイクロチャンネル1bの出口側の第1の分離マイクロチャンネル3aで未反応SOガスが分離回収され、第3の反応マイクロチャンネル1cの出口側の第2、第3の分離マイクロチャンネル3b、3cでそれぞれ、HSO、HI/I/HO混合物が分離回収される。
【0039】
この実施形態6によれば、実施形態1などに比べてSOの接触時間を短くすることができ、かつ、有効にSOを反応に使うことができる。また、SOに伴う副反応(反応式(2))を抑えることができ、回収率が向上する。
【0040】
[実施形態6]
図11および図12は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態6の構成を示し、図11は水素生成原料製造装置の平面図、図12(a)は図11のA−A線矢視立断面図、図12(b)は図11のB−B線矢視立断面図、図12(c)は図11のC−C線矢視立断面図、図12(d)は図11のD−D線矢視立断面図である。
【0041】
この実施形態6は、実施形態5の未反応SOガスを循環させるために、実施形態4(図7)と同様に、ポンプ20を含む循環ループ21が配置されている。この実施形態6によれば、実施形態4および5の両方の作用・効果を実現できる。
【0042】
[実施形態7]
図13および図14は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態7の構成を示し、図13はマイクロチップの平面図、図14(a)は図13のA−A線矢視立断面図、図14(b)は図13のB−B線矢視立断面図、図14(c)は図13のC−C線矢視立断面図、図14(d)は図13のD−D線矢視立断面図である。
【0043】
この実施形態7は実施形態5(図9、図10)の変形例であって、第3の分離マイクロチャンネル2cに分離壁4が設けられている点が実施形態5と異なる。この分離壁4は実施形態2(図3、図4)の分離壁4と同様のものである。この実施形態7によれば、実施形態5および2の両方の作用・効果を実現できる。
【0044】
[実施形態8]
図15および図16は本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態8の構成を示し、図15はマイクロチップの平面図、図16(a)は図15のA−A線矢視立断面図、図16(b)は図15のB−B線矢視立断面図、図16(c)は図15のC−C線矢視立断面図、図16(d)は図15のD−D線矢視立断面図である。
【0045】
この実施形態8は実施形態7(図13、図14)の変形例であって、実施形態7における第3の分離マイクロチャンネル2cに設けられた分離壁4の代わりに、実施形態3(図5、図6)と同様の突起5を設けた点が異なる。この実施形態8によれば、実施形態7とほぼ同様の作用・効果を実現できる。
【0046】
[他の実施形態]
以上、種々の実施形態について説明したが、これらは単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。たとえば、実施形態7では分離壁4を第3の反応マイクロチャンネル2cにのみ設けるとしたが、分離壁4を第1、第2、第3の反応マイクロチャンネル2a、2b、2cのいずれに設けることもできる。実施形態8における突起5についても同様である。
【0047】
また、上記説明では、各マイクロチャンネルが水平面のマイクロチップ上に配置されていることとしたが、本発明では重力の影響が小さいことから、マイクロチャンネルが位置平面上にあれば、その面が水平でなくともよい。
【0048】
さらに、上述の水素生成原料製造装置を複数個並列させて全体で大規模に水素生成原料を製造するための装置(システム)を構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態1のマイクロチップを示す平面図。
【図2】(a)は図1のA−A線矢視立断面図、(b)は図1のB−B線矢視立断面図。
【図3】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態2のマイクロチップを示す平面図。
【図4】(a)は図3のA−A線矢視立断面図、(b)は図3のB−B線矢視立断面図。
【図5】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態3のマイクロチップを示す平面図。
【図6】(a)は図5のA−A線矢視立断面図、(b)は図5のB−B線矢視立断面図。
【図7】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態4を示す平面図。
【図8】(a)は図7のA−A線矢視立断面図、(b)は図7のB−B線矢視立断面図。
【図9】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態5のマイクロチップを示す平面図。
【図10】(a)は図9のA−A線矢視立断面図、(b)は図9のB−B線矢視立断面図、(c)は図9のC−C線矢視立断面図、(d)は図9のD−D線矢視立断面図。
【図11】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態6を示す平面図。
【図12】(a)は図11のA−A線矢視立断面図、(b)は図11のB−B線矢視立断面図、(c)は図11のC−C線矢視立断面図、(d)は図11のD−D線矢視立断面図。
【図13】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態7のマイクロチップを示す平面図。
【図14】(a)は図13のA−A線矢視立断面図、(b)は図13のB−B線矢視立断面図、(c)は図13のC−C線矢視立断面図、(d)は図13のD−D線矢視立断面図。
【図15】本発明に係る水素生成原料製造装置の実施形態8のマイクロチップを示す平面図。
【図16】(a)は図15のA−A線矢視立断面図、(b)は図15のB−B線矢視立断面図、(c)は図15のC−C線矢視立断面図、(d)は図15のD−D線矢視立断面図。
【符号の説明】
【0050】
1a…第1の注入マイクロチャンネル、1b…第2の注入マイクロチャンネル、1c…第3の注入マイクロチャンネル、2…反応マイクロチャンネル、3a…第1の分離マイクロチャンネル、3b…第2の分離マイクロチャンネル、3c…第3の分離マイクロチャンネル、4…分離壁、5…突起、6…注入マイクロチャンネル2、7…反応マイクロチャンネル2、8…分離マイクロチャンネル2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに異なる流体が注入される複数の注入マイクロチャンネルと、
前記複数の注入マイクロチャンネルから流入した流体を合流させて化学反応により水素生成原料を生成する少なくとも一つの反応マイクロチャンネルと、
この反応マイクロチャンネルから出てきた流体を分流する複数の分離マイクロチャンネルと、
を具備する水素生成原料製造用マイクロチップ。
【請求項2】
前記反応マイクロチャンネルは、前記複数の注入マイクロチャンネルそれぞれの境界の延長に沿って、当該反応マイクロチャンネル内の流れの分離を助けるとともに相当程度の混合も許容する分離手段を有することを特徴とする請求項1に記載の水素生成原料製造用マイクロチップ。
【請求項3】
前記分離手段は側壁に沿って延びる分離壁であって、この分離壁の高さは、前記反応マイクロチャンネルよりは低く、2ないし25μmであること、を特徴とする請求項2に記載の水素生成原料製造用マイクロチップ。
【請求項4】
前記分離手段は側壁に沿って間隔をあけて設けられた複数の突起であって、これらの突起の高さは、前記反応マイクロチャンネルよりは低く、2ないし25μmであること、を特徴とする請求項2に記載の水素生成原料製造用マイクロチップ。
【請求項5】
前記反応マイクロチャンネルの途中で流体を注入する途中注入マイクロチャンネルをさらに有すること、を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の水素生成原料製造用マイクロチップ。
【請求項6】
前記反応マイクロチャンネルの途中で流体を分離する途中分離マイクロチャンネルをさらに有すること、を特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の水素生成原料製造用マイクロチップ。
【請求項7】
前記注入マイクロチャンネルは、SOガスを注入する注入マイクロチャンネルと、HOを注入する注入マイクロチャンネルと、I、HIおよびHO混合物を注入する注入マイクロチャンネルと、を有し、
前記分離マイクロチャンネルは、未反応SOガスが流れる分離マイクロチャンネルと、HSOが流れる分離マイクロチャンネルと、HI、IおよびHO混合物が流れる分離マイクロチャンネルと、を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の水素生成原料製造用マイクロチップ。
【請求項8】
それぞれに異なる流体が注入される複数の注入マイクロチャンネルと、
前記複数の注入マイクロチャンネルから流入した流体を合流させて化学反応により水素生成原料を生成する少なくとも一つの反応マイクロチャンネルと、
この反応マイクロチャンネルから出てきた流体を分流する複数の分離マイクロチャンネルと、
を具備するマイクロチップを有する水素生成原料製造装置。
【請求項9】
前記複数の分離マイクロチャンネルのうちの少なくとも一つに分流した流体を、前記反応マイクロチャンネルを通さずに前記複数の注入マイクロチャンネルのうちの少なくとも一つに戻す循環手段を有することを特徴とする請求項8に記載の水素生成原料製造装置。
【請求項10】
それぞれに異なる流体を、複数の注入マイクロチャンネルを通して少なくとも一つの反応マイクロチャンネルに注入して合流させ、
前記合流させた流体を前記反応マイクロチャンネル内で化学反応させて水素生成原料を生成し、
前記反応マイクロチャンネルを出てきた流体を、複数の分離マイクロチャンネルに分流すること、
を特徴とする水素生成原料製造方法。
【請求項11】
前記注入マイクロチャンネルは、SOガスを注入する注入マイクロチャンネルと、HOを注入する注入マイクロチャンネルと、I、HIおよびHO混合物を注入する注入マイクロチャンネルと、を有し、
前記分離マイクロチャンネルは、未反応SOガスが流れる分離マイクロチャンネルと、HSOが流れる分離マイクロチャンネルと、HI、IおよびHO混合物が流れる分離マイクロチャンネルと、を有すること、
を特徴とする請求項10に記載の水素生成原料製造方法。
【請求項12】
前記複数の分離マイクロチャンネルのうちの少なくとも一つに分流した流体を、前記反応マイクロチャンネルを通さずに前記複数の注入マイクロチャンネルのうちの少なくとも一つに戻すことを特徴とする請求項10に記載の水素生成原料製造方法。
【請求項13】
前記未反応SOガスが流れる分離マイクロチャンネルに分離された流体を、前記反応マイクロチャンネルを通さずに、前記SOガスを注入する注入マイクロチャンネルに戻すこと、を特徴とする請求項11に記載の水素生成原料製造方法。
【請求項14】
途中注入マイクロチャンネルを通して前記反応マイクロチャンネルの途中からさらに流体を注入すること、を特徴とする請求項12に記載の水素生成原料製造方法。
【請求項15】
途中分離マイクロチャンネルを通して前記反応マイクロチャンネルの途中から一部の流体を分離すること、を特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載の水素生成原料製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−256872(P2006−256872A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72160(P2005−72160)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】