説明

水素生成装置およびそれを用いた燃料電池発電装置

【課題】燃料電池のフラッディング現象を抑制し、一酸化炭素濃度を充分に低減できる水素生成装置を実現することを目的とする。
【解決手段】改質反応により炭化水素を主成分とする原料と水蒸気とから水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部5と、変成反応により改質部で生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減する変成部6と、改質部5と変成部6の温度を維持する加熱手段3と、変成部6の周囲温度を測定する周囲温度測定手段15と、周囲温度測定手段15が測定した周囲温度に基づいて加熱手段3による変成部6への加熱量を調節する変成部温度制御手段と、を有する水素生成装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素化合物原料と水を反応させて水素含有ガスを生成する水素生成装置およびそれを用いた燃料電池発電装置に関し、特に一酸化炭素濃度を減少する水素生成装置の変成部の温度制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池からなる発電装置は、まず、水素生成装置の改質部によって炭化水素化合物と水蒸気を原料として水蒸気改質反応により水素・二酸化炭素・一酸化炭素、および未反応のメタンと水蒸気を含む改質ガスを生成する。つぎに、変成部や選択酸化部などの一酸化炭素低減部によって燃料電池に有害となる一酸化炭素を除去して燃料ガスを生成する。そして、得られた燃料ガスを用いて燃料電池で発電を行うものである。
【0003】
このとき、一酸化炭素の除去が不十分な場合、燃料電池が被毒し、発電が停止するため、一酸化炭素低減部の役割は重大である。中でも、10%以上の高濃度の一酸化炭素を1%程度以下にまで低減させる変成部は、その動作や性能に支障が生じるとその影響が大きい。ここで、変成部の性能に大きな影響を与える要因は、その動作温度である。そして、変成部の温度は、改質部から送られる改質ガスの保有熱量と、改質部を加熱した燃焼ガスによる加熱量と、変成部から周囲への放熱量などによって決まる。そのため、変成部の温度は、燃料電池の発電電力量などの運転条件や、水素生成装置の配置された周囲温度により変動する。つまり、燃料電池の発電電力量が小さいと変成部の温度が低下する。また、水素生成装置の周囲温度が低いと変成部の温度が低下する。
【0004】
一方、変成部の最適な動作温度は、使用する触媒に依存するが、一般に使用される銅−亜鉛触媒の場合、およそ250℃から300℃程度である。そのため、最適な動作温度より低いと、触媒の反応速度が遅くなり、一酸化炭素の低減性能が低下する。一方、最適な動作温度より高いと、反応平衡により一酸化炭素の低減性能が低下する。
【0005】
したがって、変成部の温度を最適な動作温度に維持することが、燃料電池を被毒させることなく安定に運転するために重要となる。
【0006】
そこで、変成部の温度を最適な動作温度に制御するための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示された水素生成装置は、変成部の温度制御を、変成部の下流に位置する選択酸化部へ供給する選択酸化空気の供給量によって行う構成である。
【0007】
以下に、特許文献1に示された水素生成装置の動作について簡単に説明する。まず、変成部の温度を上昇させる場合、選択酸化空気の供給量を増加させる。そして、選択酸化部では、供給された選択酸化空気により一酸化炭素および水素が燃焼して発熱する。そのため、選択酸化空気の供給量を増加すると、選択酸化部での発熱量が増加し、選択酸化部と熱交換可能に配置している改質用水の蒸発用熱交換器の温度が上昇する。このとき、蒸発用熱交換器は、変成部にも熱交換可能に配置されているため、変成部の温度も上昇する。
【0008】
逆に、変成部の温度を下げる場合、選択酸化空気の供給量を減少すればよい。上記で示すように、選択酸化空気の供給量を増減させることにより、変成部の温度を最適な動作温度に制御できるとしている。
【特許文献1】特開2008−74688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の水素生成装置では、変成部の温度制御のために選択酸化空気の供給量を増減するため、以下に示す課題があった。
【0010】
第1に、選択酸化空気の供給量を増加すると、選択酸化部で水素が燃焼消費されるため、水素生成装置によって生成される水素量が減少するという課題があった。一方、燃料電池で消費される水素量を供給量の70%から90%程度以下に抑える必要がある。その理由は、水素生成装置によって生成される水素量が減少すると燃料電池内で凝縮生成した水を押し出せなくなる、いわゆるフラッディング現象が発生し燃料電池を安定に動作できなくなるためである。
【0011】
第2に、変成温度を下げる場合、選択酸化空気の供給量を減少しなければならない。その場合、選択酸化空気の供給量の不足により、選択酸化部で一酸化炭素を十分に低減できなくなるという課題もあった。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、一酸化炭素濃度を充分に低減できる水素生成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の従来の課題を解決するために、本発明の水素生成装置は、改質反応により炭化水素を主成分とする原料と水蒸気とから水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部と、変成反応により改質部で生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減する変成部と、改質部と変成部の温度を維持する加熱手段と、変成部の周囲温度を測定する周囲温度測定手段と、周囲温度測定手段が測定した周囲温度に基づいて加熱手段による変成部への加熱量を調節する変成部温度制御手段と、を有する。
【0014】
この構成により、変成部の周囲温度に応じて変成部の温度を最適な動作温度に制御することができる。
【0015】
また、本発明の水素生成装置は、改質反応により炭化水素を主成分とする原料と水蒸気とから水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部と、変成反応により改質部で生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減する変成部と、改質部と変成部の温度を維持する加熱手段と、変成部の温度を測定する変成部温度測定手段と、変成部温度測定手段が測定した温度に基づいて加熱手段による変成部への加熱量を調節する変成部温度制御手段と、を有する。
【0016】
この構成により、変成部の温度を最適な動作温度で制御することができる。
【0017】
また、本発明の燃料電池発電装置は、上記の水素生成装置と、燃料電池を、少なくとも備え、加熱手段は、水素生成装置から流出する改質ガスまたは原料と、燃料電池で消費されなかった改質ガスおよび原料の少なくとも1つを燃焼させて、水素生成装置の改質部が変成部より高温になるように、改質部と変成部の両方を加熱するバーナからなり、変成部の周囲温度または温度が低いほどバーナで燃焼する改質ガスの量またはバーナに直接供給する原料の量を増やす。これにより、変成部の温度または周囲温度が低いほど、バーナによる燃焼量を増加して変成部の温度を上昇させて、一酸化炭素濃度を効率的に低減できる燃料電池発電装置を実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水素生成装置およびそれを用いた燃料電池発電装置によれば、変動する変成部
の温度を、常時最適な動作温度に制御して、効果的に一酸化炭素濃度を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の発明は、改質反応により炭化水素を主成分とする原料と水蒸気とから水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部と、変成反応により改質部で生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減する変成部と、改質部と変成部の温度を維持する加熱手段と、変成部の周囲温度を測定する周囲温度測定手段と、周囲温度測定手段が測定した周囲温度に基づいて加熱手段による変成部への加熱量を調節する変成部温度制御手段と、を有する水素生成装置である。この構成により、変成部の周囲温度に応じて変成部の温度を最適な動作温度に制御することができる。
【0020】
第2の発明は、改質反応により炭化水素を主成分とする原料と水蒸気とから水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部と、変成反応により改質部で生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減する変成部と、改質部と変成部の温度を維持する加熱手段と、変成部の温度を測定する変成部温度測定手段と、変成部温度測定手段が測定した温度に基づいて加熱手段による変成部への加熱量を調節する変成部温度制御手段と、を有する。この構成により、変成部の温度を最適な動作温度で制御することができる。
【0021】
第3の発明は、第1または第2の発明において、加熱手段は、水素生成装置から流出する改質ガスまたは原料と、燃料電池で消費されなかった改質ガスまたは原料との少なくとも1つを燃焼させて、改質部が変成部より高温になるように、改質部と変成部の両方を加熱するバーナからなり、測定した周囲温度または温度が低いほどバーナで燃焼する改質ガスの量またはバーナに直接供給される原料の量を増やす。これにより、変成部の温度または周囲温度が低いほど、バーナによる燃焼量を増加して変成部の温度を上昇させて、一酸化炭素濃度を効率的に低減できる燃料電池発電装置を実現できる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1における水素生成装置について、詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1における水素生成装置1の概略構成図である。なお、図1は、水素生成装置1と、燃料電池2とから少なくとも構成される燃料電池発電装置を例に図示している。
【0025】
図1に示すように、水素生成装置1は、加熱手段3であるバーナ(以下、「バーナ」と記す)、蒸発部4、改質部5、変成部6、選択酸化部7およびそれらを断熱する断熱材8を備えている。ここで、炭化水素を主成分とする原料と水は原料供給口9から供給され、水はらせん状の蒸発部4を経て蒸発し、水蒸気の状態で改質部5に送られる。そして、生成された水素含有の燃料ガスは生成ガス出口10から取り出された後、流路切替え弁20を通って燃料電池2へ供給される。また、バーナ3の燃焼ガスは排気口11から排気される。このとき、水蒸気改質反応に必要な反応熱を供給するバーナ3には、燃料としては燃料電池から排出される未使用の燃料ガスが供給される。
【0026】
そして、ルテニウムを主成分とする改質部5の改質触媒は、原料と水蒸気の混合ガスを水素・二酸化炭素・一酸化炭素、および未反応のメタンと水蒸気を含む改質ガスへと反応させる。この改質ガス中に含まれる一酸化炭素濃度は、約10から12%と非常に高濃度である。つぎに、改質ガスに含まれる一酸化炭素は、変成部6の変成触媒によって改質ガ
ス中の水蒸気と反応して濃度が1%以下程度にまで低減される。さらに、改質ガスは、空気供給口12から供給された空気と混合されて、選択酸化部7の選択酸化触媒によって一酸化炭素が選択的に燃焼除去されて、一酸化炭素濃度を10ppm程度まで低減した燃料ガスが生成される。なお、変成部6の周囲に配置された変成部ヒータ13と、選択酸化部7の周囲に配置された選択酸化部ヒータ14は、主に起動時に各々の触媒を加熱するために設けられている。
【0027】
また、本実施の形態の水素生成装置を有する燃料電池発電装置は、その周囲の雰囲気温度を測定するための周囲温度測定手段である温度センサ15と、測定された温度に基づいて原料の供給量を制御する制御装置16、および原料の供給量を調節する流量調節弁17からなる変成部温度制御手段を有している。なお、原料と水の供給量は一定の比率で運転するため、原料供給量に応じて水の供給量を調節するための流量調節弁18も有している。
【0028】
以下に、上記構成の水素生成装置を有する燃料電池発電装置の特性について簡単に、図1を参考にしながら図2から図4を用いて説明する。
【0029】
図2は、本実施の形態の水素生成装置の周囲温度と、水素生成装置の変成部の温度との関係を模式的に示す特性図である。図3は、本実施の形態の水素生成装置のバーナ燃焼量と、水素生成装置の変成部の温度との関係を模式的に示す特性図である。また、図4は、本実施の形態の燃料電池の発電出力と適正な原料供給量との関係を、周囲温度をパラメータとして模式的に示す特性図である。
【0030】
一般に、水素生成装置を有する燃料電池発電装置は室外に設置されるため、水素生成装置の動作状態は、周囲温度の影響を受ける。つまり、図2に示すように、周囲温度が低下すると水素生成装置1の変成部6の温度が低下する。このとき、周囲温度が低下しすぎると、変成部6の温度が最適な動作温度領域から外れ、一酸化炭素を十分に低減できなくなる。
【0031】
そこで、本実施の形態では、温度センサ15によって水素生成装置1の周囲温度を測定し、周囲温度が低いほどバーナ3で燃焼する燃焼量を増やして制御するものである。このとき、図3に示すように、水素生成装置の変成部6の温度は、バーナ燃焼量を増加すると上昇する特性を有している。これは、バーナ燃焼量の増加により変成部へ送られる改質ガスの温度が上昇すること、およびバーナ燃焼量の増加により蒸発部4内で水蒸気が加熱され、これによって変成部が加熱されることによるものである。そこで、まず、バーナ燃焼量と変成部の温度との特性を利用し、図4に示すように、発電出力と周囲温度に応じた原料供給量を予め制御装置16に記憶させる。そして、要求される発電電力と温度センサ15によって測定された周囲温度から原料供給量を決めて調節して供給する。
【0032】
これにより、周囲温度が低下しても変成部の温度を最適な動作温度範囲に維持して、一酸化炭素を安定に除去できる。また、本発明では選択酸化部に供給する選択酸化空気量を増加させる必要がないため、従来技術の課題であった水素量の減少といった問題も生じない。
【0033】
なお、バーナ燃焼量を増やすと、改質温度が上昇して、必要以上の水素含有ガスが生成され、水素生成装置の運転効率が多少低下する場合がある。しかし、変成部の温度が最適な動作温度から外れると、一酸化炭素の除去が不十分となり、被毒などにより燃料電池の運転ができなくなる可能性が高くなる。そこで、本実施の形態に示すように、燃料電池を安定に運転するために、運転効率の多少の低下を犠牲にしても、変成部の温度を最適な動作温度に制御することが重要である。
【0034】
ここで、本実施の形態において、温度センサ15で測定する周囲温度は、燃料電池発電装置内の水素生成装置の位置する場所の周囲温度が好ましい。これは、例えば外気温度が0℃である場合、運転開始時の水素生成装置の周囲温度は0℃程度であるが、しばらく運転を行うと燃料電池発電装置内の温度は20℃程度にまで上昇するからである。このとき、変成部温度は20℃の周囲温度との放熱によって決まるため、原料供給量も周囲温度20℃として決めれば良い。
【0035】
以下に、本実施の形態の水素生成装置を有する燃料電池発電装置の起動時の動作について、図1を参照しながら説明する。
【0036】
まず、起動時には、流路切替え弁20を切替え、燃料ガスが燃料電池2を通らず、バイパス流路21を通って直接にバーナ3へ供給する流路を構成しておく。そして、原料を原料供給口9から供給して、水素生成装置1を通過した原料を直接バーナ3に供給して水素生成装置1を加熱する。
【0037】
その後、改質部5、変成部6、選択酸化部7が所定温度に達した時点で、改質水を供給して水蒸気改質反応を生じさせる。その状態で運転を継続して水素生成装置1内の改質部5、変成部6、選択酸化部7がさらに所定温度に達した時点で流路切替え弁20を燃料電池2側へ切替える。そして、水素を燃料電池2へ供給して発電を行う。このとき、一酸化炭素を十分に除去するために、変成部6の温度が所定温度に到達した状態で切り替えることが重要である。しかし、周囲温度が低い場合、変成部6の温度上昇が遅くなる。そこで、本実施の形態では、周囲温度が低い場合、起動時に供給する原料の供給量を多くして、バーナ3で燃焼されるバーナ燃焼量を多くする制御を行う。
【0038】
これにより、変成部6の温度上昇が早くなり、一酸化炭素を充分に除去できる。
【0039】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2における水素生成装置について、図5を用いて説明する。
【0040】
図5は、本発明の実施の形態2における水素生成装置1の概略構成図である。なお、図5は、実施の形態1と同様に、水素生成装置1と燃料電池2とから少なくとも構成される燃料電池発電装置を例に図示している。
【0041】
そして、図5に示すように、本発明の実施の形態2における水素生成装置は、実施の形態1の水素生成装置のバーナに原料を直接供給する経路を設け、その流量を制御する流量調節弁19を設けた点で異なる。他の構成要素や動作は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0042】
すなわち、図5に示すように、本実施の形態の水素生成装置は、原料供給口9の原料を供給する経路に、直接バーナ3に原料を供給する経路を設け、各経路に流量調節弁17、19を設けた構成を有する。そして、温度センサ15で測定された周囲温度に基づいて、制御装置16で流量調節弁19を制御して、原料をバーナ3に直接供給して、燃焼させてバーナ燃焼量を調整する構成である。
【0043】
これにより、原料を直接供給するので、簡単な制御で、精度よく変成部6の温度を制御できる。
【0044】
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3における水素生成装置について、図6と図7を用いて説明する。
【0045】
図6は、本発明の実施の形態3における水素生成装置1の概略構成図である。なお、図6は、実施の形態1と同様に、水素生成装置1と燃料電池2とから少なくとも構成される燃料電池発電装置を例に図示している。また、図7は、本実施の形態の燃料電池の発電出力と適正な原料供給量との関係を、変成部の温度をパラメータとして模式的に示す特性図である。
【0046】
そして、図6に示すように、本発明の実施の形態3における水素生成装置は、変成部温度測定手段である温度センサ22で変成部6の温度を直接測定する点で、実施の形態1とは異なる。他の構成要素や動作は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0047】
すなわち、図6に示すように、本実施の形態の水素生成装置は、温度センサ22で直接測定した変成部6の温度に基づいて、制御装置16により原料の供給量を流量調節弁17で調節することにより、変成部6の温度を最適な動作温度で制御する構成である。
【0048】
具体的に説明すると、図7に示すように、発電出力と変成部の温度に応じた適正な原料供給量を予め制御装置16に記憶させる。そして、要求される発電電力と温度センサ22によって測定された変成部の温度から原料供給量を決めて調節して供給する。
【0049】
これにより、変成部の温度に応じて即座にバーナ燃焼量を調節することができるため、変成部の温度を、短時間で、かつ小さい変動幅で安定に制御できる。
【0050】
(実施の形態4)
以下に、本発明の実施の形態4における水素生成装置について、図8を用いて説明する。
【0051】
図8は、本発明の実施の形態4における水素生成装置1の概略構成図である。なお、図8は、実施の形態3と同様に、水素生成装置1と燃料電池2とから少なくとも構成される燃料電池発電装置を例に図示している。
【0052】
そして、図8に示すように、本発明の実施の形態4における水素生成装置は、実施の形態3の水素生成装置のバーナに原料を直接供給する経路を設け、その流量を制御する流量調節弁19を設けた点で異なる。他の構成要素や動作は、実施の形態3と同じであるので説明を省略する。
【0053】
すなわち、図8に示すように、本実施の形態の水素生成装置は、原料供給口9の原料を供給する経路に、直接バーナ3に原料を供給する経路を設け、各経路に流量調節弁17、19を設けた構成を有する。そして、温度センサ22で測定された変成部6の温度の基づいて、制御装置16で流量調節弁19を制御して、原料をバーナ3に直接供給して、燃焼させてバーナ燃焼量を調整する構成である。
【0054】
これにより、原料を直接供給するので、簡単な制御で、精度よく供給量を制御できる。
【0055】
また、変成部の温度に応じて即座にバーナ燃焼量を調節することができるため、変成部の温度を、短時間で、かつ小さい変動幅で安定に制御できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の水素生成装置は、変成部の温度を制御して、一酸化炭素を効果的に低減できる
ため、ガス発電や燃料電池を用いた発電装置などの技術分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1における水素生成装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1における水素生成装置の周囲温度と水素生成装置の変成部の温度との関係を模式的に示す特性図
【図3】本発明の実施の形態1における水素生成装置のバーナ燃焼量と水素生成装置の変成部の温度との関係を模式的に示す特性図
【図4】本発明の実施の形態1における燃料電池の発電出力と原料供給量との関係を周囲温度をパラメータとして模式的に示す特性図
【図5】本発明の実施の形態2における水素生成装置の概略構成図
【図6】本発明の実施の形態3における水素生成装置の概略構成図
【図7】本発明の実施の形態3における燃料電池の発電出力と原料供給量との関係を変成部の温度をパラメータとして模式的に示す特性図
【図8】本発明の実施の形態4における水素生成装置の概略構成図
【符号の説明】
【0058】
1 水素生成装置
2 燃料電池
3 バーナ(加熱手段)
4 蒸発部
5 改質部
6 変成部
7 選択酸化部
8 断熱材
9 原料供給口
10 生成ガス出口
11 排気口
12 空気供給口
13 変成部ヒータ
14 選択酸化部ヒータ
15 温度センサ(周囲温度測定手段)
16 制御装置
17,18,19 流量調節弁
20 流路切替え弁
21 バイパス流路
22 温度センサ(変成部温度測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質反応により炭化水素を主成分とする原料と水蒸気とから水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部と、変成反応により前記改質部で生成された前記改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減する変成部と、前記改質部と前記変成部の温度を維持する加熱手段と、前記変成部の周囲温度を測定する周囲温度測定手段と、前記周囲温度測定手段が測定した前記周囲温度に基づいて前記加熱手段による前記変成部への加熱量を調節する変成部温度制御手段と、を有する水素生成装置。
【請求項2】
改質反応により炭化水素を主成分とする原料と水蒸気とから水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部と、変成反応により前記改質部で生成された前記改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減する変成部と、前記改質部と前記変成部の温度を維持する加熱手段と、前記変成部の温度を測定する変成部温度測定手段と、前記変成部温度測定手段が測定した前記温度に基づいて前記加熱手段による前記変成部への加熱量を調節する変成部温度制御手段と、を有する水素生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水素生成装置と、燃料電池を、少なくとも備え、加熱手段は、前記水素生成装置から流出する改質ガスまたは原料と、前記燃料電池で消費されなかった前記改質ガスおよび前記原料の少なくとも1つを燃焼させて、前記水素生成装置の改質部が変成部より高温になるように、前記改質部と前記変成部の両方を加熱するバーナからなり、前記変成部の前記周囲温度または前記温度が低いほど前記バーナで燃焼する前記改質ガスの量または前記バーナに直接供給する前記原料の量を増やす燃料電池発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−222209(P2010−222209A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73330(P2009−73330)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】