説明

水質改良装置及び水質改良方法

【課題】比較的簡易な構造で微細気泡を含んだ水を生成でき、しかも、微細気泡を含んだ水を対象領域に効果的に拡散させて、水質を効果的に改良することができる水質改良装置を提供すること。
【解決手段】水質改良装置1は、矩形状の貯水槽2と、貯水槽2の開口部2bを開閉する開閉扉3と、開閉扉3を開閉駆動する扉駆動部4と、微細気泡としての空気のマイクロナノバブルを生成する微細化ノズル5と、微細化ノズル5に水と空気の混合流体を供給する二相流ポンプ6と、風速風向計7と、水位計8とを備える。海浜の浅瀬に水質改良装置1を設置し、海水位の上昇によって開口部2bから貯水槽2内に取水した後、開閉扉3を閉じ、微細化ノズル5で空気の微細気泡を貯水槽3内の海水に添加する。海水位が低下した後、開閉扉3を開け、開口部2bから貯水槽2内の微細気泡を含む海水を浅瀬に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば海浜や湖沼や河川の水質を改良する水質改良装置及び水質改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海や湖沼や河川の浅瀬では水が滞留しやすく、滞留した水は、溶存酸素量が減少する傾向にある。滞留した水の溶存酸素量が減少すると、魚介類が減少すると共に嫌気性微生物が増大し、その結果、ヘドロが蓄積されて、臭気の発生や水質の悪化等の問題が生じる。このような問題を解決するため、従来より、水中に空気を圧送して曝気を行い、海水や湖沼水の溶存酸素量を高めることが行われている。
【0003】
ところで、水中に直径が1μm以下の微細な気泡を添加することにより、水中の溶存酸素量を安定に保持できることが知られており、このような微細気泡の特性を利用した水質改良装置が提案されている。
【0004】
この種の水質改良装置として、水と空気の吸入口が上部に設けられた筒状のケーシング内に、モータで回転される回転軸に連結されて複数の棒状体を有する攪拌棒と、上記回転軸に連結されて外周面に永久磁石が設けられた回転筒とを収容し、上記ケーシングの内周面の上記回転筒の外周面に対向する位置に永久磁石を配設し、このケーシングの下部に水と空気の混合液を排出する排出口を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。この水質改良装置は、吸入口からケーシング内に吸入された水と空気を攪拌棒で混合した後、混合された水と空気を永久磁石の間に生成される磁界に通すことにより、水中の空気を微細化するように構成されている。この水質改良装置で生成された微細気泡を含む水を、海や湖沼に供給することにより、海や湖沼の浄化を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4035302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の水質改良装置は、モータで回転駆動される攪拌棒や回転筒等の可動部品を有するので、構造が複雑であり、故障しやすい。したがって、製造費用が高く、また、メンテナンス費用が高く、また、故障した場合の修理の手間と費用がかかる問題がある。
【0007】
また、海や湖沼や河川の浅瀬に滞留した水は流動し難いので、微細気泡を含んだ水を浅瀬に供給するのみでは、改質効果が少ない。
【0008】
そこで、本発明の課題は、比較的簡易な構造で微細気泡を含んだ水を生成でき、しかも、微細気泡を含んだ水を対象領域に効果的に拡散させて、水質を効果的に改良することができる水質改良装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の水質改良装置は、
対象水域に設置され、上記対象水域の水を取り入れる取水手段を有する貯水槽と、
水と気体の混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部と、上記複数の旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させる衝突室とを有し、上記気体の微細気泡が水に分散してなる微細気泡水を生成する微細気泡生成手段と、
上記微細気泡水が添加された上記貯水槽の水を対象水域に排出する排出手段と
を備えることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、水質改良を行う対象水域に貯水槽が設置され、この対象水域の水が、取水手段によって貯水槽内に取り入れられる。微細気泡生成手段によって、気体の微細気泡が水に分散してなる微細気泡水が生成され、上記貯水槽内の水に添加される。微細気泡水が添加された貯水槽内の水が、排出手段によって対象水域に排出される。排出手段によって排出された水は微細気泡を含むので、対象水域の酸素濃度を安定して向上させて、この水域の水質を改良することができる。ここで、上記微細気泡生成手段は、複数の旋回流形成部で水と気体の混合流体の旋回流を形成し、この旋回流を衝突室で互いに衝突させて微細気泡を生成するので、可動部品が存在しない。したがって、構造が比較的簡易であるので、故障が生じ難い。その結果、製造費用を削減でき、また、メンテナンスの手間と費用を削減できる。
【0011】
また、取水手段で貯水槽内に取り入れた水に、微細気泡生成手段で生成した微細気泡水を添加し、この微細気泡を含んだ貯水槽内の水を排出手段で対象水域に排出することにより、対象水域に滞留した水中に微細気泡を添加するよりも、広範囲に微細気泡を拡散させることができる。
【0012】
ここで、本明細書において、微細気泡とは、直径が1μ以下の気泡をいい、特に好ましくは、直径が10nm以上数10μm以下のマイクロナノバブルであり、さらに好ましくは、直径が10nm以上500nm以下のナノバブルである。また、微細気泡を形成する気体は、少なくとも酸素を含んでいればよく、例えば空気や高濃度酸素を採用することができる。
【0013】
一実施形態の水質改良装置は、上記貯水槽の下部に形成された開口と、この開口を開閉する開閉機構とを有し、
上記取水手段及び排出手段は、上記開口と開閉機構を含んで形成されている。
【0014】
上記実施形態によれば、貯水槽内の水位が低いときや、実質的に零のときに、開閉機構で貯水槽の開口を開くことにより、この開口を通して対象水域の水が貯水槽内に取り入れられ、取水手段として機能する。一方、貯水槽内の水位が高いときに、開閉機構で貯水槽の開口を開くことにより、貯水槽内の水が対象水域に排出され、排出手段として機能する。このように、開口及び開閉機構によって取水手段と排出手段を兼ねることにより、水質改良装置の構成を簡易にできる。
【0015】
一実施形態の水質改良装置は、上記微細気泡生成手段に関し、
上記旋回流形成部は、中心軸が互いに一直線上に位置し、互いに近い部分の内径が互いに遠い部分の内径よりも小さく形成されて、上記中心軸と直交する面に関して対称の回転体形状を有する2つの旋回室で構成された旋回室対を有し、
上記2つの旋回室の互いに遠い部分に、各旋回室の内周面の接線を描くように混合流体の供給路が夫々接続され、
上記2つの旋回室の互いに近い部分が、これら旋回室の中心軸に対して略直角に延在して形成された直角通路に連なり、この直角通路の旋回室の間の部分に上記衝突室が形成され、この直角通路の衝突室に連なる部分が微細気泡水の排出路に形成されている。
【0016】
上記実施形態によれば、微細気泡生成手段で、混合流体が旋回室の内周面の接線を描く供給路を通して旋回流形成部の2つの旋回室に夫々供給されて、各旋回室に混合流体の旋回流が形成される。2つの旋回室で形成された混合流体の旋回流は、これらの旋回室の中心軸と直角をなす直角通路中の衝突室に導かれることにより、旋回流が効果的に衝突して、混合流体中の気体が効果的に微細化される。気体が微細化されてなる微細気泡水は、直角通路中の衝突室に連なる排出路に導かれることにより、迅速に排出される。これらにより、混合流体中の気体の微細化を効率良く行うことができる。また、旋回室の形状を、中心軸を一直線上に配して面対称の回転体形状とすると共に、衝突室と排出路を直角通路が兼ねることにより、微細気泡生成手段を効果的に小型にできる。
【0017】
ここで、上記回転体形状の旋回室は、例えば、円錐型、半球型、又は、半回転楕円体型、若しくは、円筒の端面に円錐、半球及び半回転楕円体等を連ねた形状に形成することができる。
【0018】
一実施形態の水質改良装置は、上記微細気泡生成手段は、上記旋回室対を2つ有し、これら2つの旋回室対は、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに直交するように配置されている。
【0019】
上記実施形態によれば、微細気泡生成手段の2つの旋回室対を、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに交差するように配置することにより、衝突室に4つの旋回室からの旋回流を導いて、旋回流を効果的に衝突させることができる。したがって、混合流体中に含まれる気体等を効果的に微細化できる。また、4つの旋回室を衝突室の周りに等角度間隔で配置することにより、微細気泡生成手段の小型化を行いながら微細化能力の拡大を図ることができる。
【0020】
一実施形態の水質改良装置は、上記微細気泡生成手段は、
混合流体の入口と微細気泡水の出口を有するケーシングと、
上記ケーシング内に収容され、少なくとも1つの上記旋回室対と、上記供給路と、上記直角通路とが形成された少なくとも1つのブロックとを有する。
【0021】
上記実施形態によれば、ケーシング内に収容するブロックの個数を調節することにより、混合流体中の気体に対する微細化の程度を調整することができる。したがって、気体の種類や、単位時間に生成すべき混合流体の量や、微細気泡を含有させるべき濃度に応じて、微細気泡生成手段の微細化の能力を調節することができる。また、主要な部品として、ケーシングとブロックを準備し、ブロックの個数を調整するのみにより、少ない部品の種類によって多様な種類の微細気泡生成手段を製造できる。したがって、微細気泡生成手段の製造コストを低減できる。
【0022】
一実施形態の水質改良装置は、対象水域の水位を検出する外部水位検出手段と、
上記貯水槽内の水位を検出する内部水位検出手段と、
上記内部水位検出手段が貯水槽内の水位が高位に達したことを検知すると、上記取水手段による貯水槽内への取水を停止し、この後、上記外部水位検出手段が対象水域の水位が低位に達したことを検知すると、上記排出手段に貯水槽内の水を排出させる制御部と
を備える。
【0023】
上記実施形態によれば、内部水位検出手段により、貯水槽内の水位が高位に達したことが検知されると、制御部は、取水手段による貯水槽内への取水を停止する。これにより、貯水槽内に高水位の水が貯留される。この後、外部水位検出手段により、対象水域の水位が低位に達したことが検知されると、制御部は、排出手段に貯水槽内の水を排出させる。上記貯水槽内の高水位の水に、微細気泡生成手段で生成される微細気泡を添加しておくことにより、微細気泡を含んだ水を、排出手段を通して対象水域に拡散することができる。対象水域の水位が低位に達したときに、貯水槽内の高水位の水を排出するので、貯水槽内の水の位置エネルギーを利用して、微細気泡を含んだ水を対象水域に広範囲に拡散することができる。
【0024】
一実施形態の水質改良装置は、対象水域の風を検出する風検出手段を備え、
上記制御部は、上記風検出手段により検出された風の風下方向が、上記排出手段が水を排水する方向と一致する場合、上記排出手段に貯水槽内の水を排出させる。
【0025】
上記実施形態によれば、風検出手段により検出された風の風下方向が、上記排出手段から水を排水する方向と一致する場合、制御部の制御により、排出手段から貯水槽内の水が排出される。これにより、貯水槽内の水を、貯水槽から排出される方向と一致する風下の方向に、風によって運ぶことができるので、微細気泡を含んだ水を対象水域に効果的に拡散することができる。ここで、風の風下方向が、排出手段が水を排出する方向と一致するとは、風下方向と、排出された水の方向とが、0°以上90°未満の角度をなすことをいい、特に、0°以上45°未満の角度をなすのが好ましく、さらに、0°以上30°未満の角度をなすのが好ましい。
【0026】
一実施形態の水質改良装置は、上記貯水槽内に、微生物担持体を備える。
【0027】
上記実施形態によれば、貯水槽内の微生物担持体に担持された微生物の作用により、対象水域から導かれた水に含まれる汚染物質を分解することができる。汚染物質を分解した水を対象水域に戻すことにより、対象水域の水質を改善することができる。ここで、微生物担持体としては多孔質の物質を用いることができ、例えば、セラミック多孔体や、樹脂多孔体で形成することができる。また、微生物担持体の形状は、岩石状の塊体、ブロック、繊維及び布等の種々のものを採用することができる。セラミック多孔体としては、例えば、セラミック成分にオガ粉を練り込んで成型し、焼成して作製したものが好ましい。オガ粉の燃焼により、セラミック本体に微細孔が形成されると共に、オガ粉が燃焼されてなる灰成分により、微生物を効果的に培養することができる。
【0028】
本発明の水質改良方法は、対象水域の水を取り入れる取水手段と貯水層内の水を排出する排出する排出手段とを有する貯水槽と、微細気泡水を生成する微細気泡生成手段とを備えた水質改良装置を用いて対象領域の水質を改良する方法であって、
対象水域に上記水質改良装置を設置する工程と、
上記取水手段から、対象水域の水位の増大によって貯水槽内に水を流入させる工程と、
上記取水手段を停止して貯水槽内に水を貯留する工程と、
上記微細気泡生成手段で微細気泡を生成して貯水槽内の水に添加する工程と、
対象水域の水位が低下した後、上記排水手段を動作させて、微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する工程と
を備えることを特徴としている。
【0029】
上記構成によれば、まず、例えば海浜や河川の浅瀬のような対象水域に、水質改良装置を設置する。対象水域に水質改良装置を設置すると、取水手段から、対象水域の水位の増大によって貯水槽内に水を流入させる。例えば、海の満ち潮や河川の増水により、取水手段から貯水槽内に水を流入させることができる。貯水槽内の水位が所定の高さに達すると、上記取水手段を停止して貯水槽内に水を貯留する。この貯水槽内の水に、微細気泡生成手段で微細気泡を生成して添加する。引き続いて、例えば、海の引き潮や河川の増水の解消により、対象水域の水位が低下すると、この後、排水手段を動作させて、微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する。ここで、対象水域は、水位が低下しているので、貯水槽内に所定の高さに貯留した水を、位置エネルギーによって効果的に対象水域に拡散させることができる。このように、海浜や河川の浅瀬のような溶存酸素濃度が低下しやすい水域に対して、海浜の潮汐や河川の増減水を利用して、効果的に微細気泡を含んだ水を拡散させることができ、対象水域の水質を効果的に改良することができる。
【0030】
一実施形態の水質改良方法は、上記対象水域は海浜の浅瀬であり、潮汐による海水位の増大により貯水槽内に海水を取り入れる一方、潮汐による海水位の低下の後に、貯水槽内の微細気泡が添加された海水を浅瀬へ排出する。
【0031】
上記実施形態によれば、溶存酸素濃度が減少しやすい海浜の浅瀬に、潮汐のエネルギーを用いて、微細気泡を含む海水を拡散することができる。したがって、海浜の浅瀬の水質を、電力等の人為的なエネルギーの消費を抑制しながら、効果的に改良することができる。
【0032】
一実施形態の水質改良方法は、上記水質改良装置を、上記対象水域の設置位置に曳航する工程を備える。
【0033】
上記実施形態によれば、対象水域の水位が比較的高いときに、水質改良装置の貯水槽内を実質的に空にして浮力を作用させることにより、水質改良装置を対象水域まで曳航することができる。これにより、水質改良装置を陸上輸送よりも容易に運搬することができる。
【0034】
一実施形態の水質改良方法は、上記水質改良装置は、上記貯水槽内に微生物担持体が投入されており、
上記微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する工程で、上記微生物担持体に担持された好気性微生物を含む水が、上記対象水域に拡散する。
【0035】
上記実施形態によれば、微生物担持体が投入された貯水槽内に、対象水域の水が流入し、流入した水に、微細気泡生成手段で生成された微細気泡が添加される。この微細気泡により、微生物担持体に担持された好気性微生物が活性化し、貯水槽内の水に好気性微生物が繁殖すると共に、貯水槽内の水が浄化される。この貯水槽内の水を対象水域へ排出する工程で、上記好気性微生物を含む水が対象水域に拡散する。その結果、対象水域に好気性微生物を効率的に供給することができ、対象水域を効果的に浄化することができる。
【0036】
ここで、微生物担持体としては多孔質の物質を用いることができ、例えば、セラミック多孔体や、樹脂多孔体で形成することができる。また、微生物担持体の形状は、岩石状の塊体、ブロック、繊維及び布等の種々のものを採用することができる。セラミック多孔体としては、例えば、セラミック成分にオガ粉を練り込んで成型し、焼成して作製したものが好ましい。オガ粉の燃焼により、セラミック本体に微細孔が形成されると共に、オガ粉が燃焼されてなる灰成分により、微生物を効果的に培養することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態の水質改良装置を示す模式断面図である。
【図2】微細気泡生成手段を示す部分断面図である。
【図3】微細気泡生成手段のブロックを示す横断面図である。
【図4】微細気泡生成手段のブロックを示す縦断面図である。
【図5】水質改良装置にセラミック多孔体を投入した様子を示す模式図である。
【図6】水質改良装置を運搬する様子を示す模式図である。
【図7】貯水槽に取水する工程を示す図である。
【図8】貯水槽の取水が完了した様子を示す図である。
【図9】対象水域の水位が低下した様子を示す図である。
【図10】貯水槽から水を排出する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図1は、実施形態の水質改良装置を示す模式断面図である。実施形態の水質改良装置1は、矩形状の貯水槽2と、貯水槽2の開口部2bを開閉する開閉扉3と、開閉扉3を開閉駆動する扉駆動部4と、微細気泡としての空気のマイクロナノバブルを生成する微細化ノズル5と、微細化ノズル5に水と空気の混合流体を供給する二相流ポンプ6と、風速風向計7と、水位計8とを備える。また、風速風向計7と水位計8の検知情報に基づいて、扉駆動部4と二相流ポンプ6の動作を制御する図示しない制御部を備える。
【0040】
貯水槽2は、鋼製の箱によって形成され、側面の底部近傍に、開口部2bが設けられている。開口部2bの内側には、異物を捕獲して貯水槽2内に異物が流入することを防止する捕獲網21が設置されている。開閉扉3は、開口部2bの上端縁にヒンジで揺動自在に取り付けられている。開閉扉3のヒンジの近傍に、扉駆動部4から延びる駆動棒31が連結されており、駆動棒31によって開閉扉3が開閉駆動される。上記開閉扉3と扉駆動部4と駆動棒31により、扉開閉機構を構成している。
【0041】
図2は、微細化ノズル5を示す部分断面図である。図2に示すように、微細化ノズル5は、概ね球状の耐圧ケーシング51と、耐圧ケーシング51内に内蔵された微細化ブロック54とで大略構成されている。耐圧ケーシング51に連結された供給管53を通して二相流ポンプ6から混合流体が耐圧ケーシング51内に圧送される。耐圧ケーシング51に圧送された混合流体は、微細化ブロック54内に被圧状態で流入し、空気が微細化されて、微細化ブロック54に連結された排出管55を通って耐圧ケーシング51の外部へ排出される。排出管55は耐圧ケーシング51の供給管53と反対側に挿通して固定されており、微細化ブロック54を耐圧ケーシング51に固定する固定具を兼ねている。二相流ポンプ6は、貯水槽2内の水に空気を混合し、この水と空気の混合流体を所定の圧力で圧送する。二相流ポンプ6は、遠心ポンプを用いるのが好ましいが、気液二相流を圧送できるのであれば、どのような形式のポンプでもよい。上記微細化ノズル5と供給管53と二相流ポンプ6で、本発明の微細気泡生成手段を構成している。上記扉駆動部4と二相流ポンプ6は、貯水槽2の天板上に設けられた機械室22内に設置されている。
【0042】
風速風向計7は、機械室22の上端縁から張り出した梁の上に設置され、水質改良装置1が設置された水域の風向きや風速を計測する。水位計8は、上記梁の先端から貯水槽2の側面に沿って垂下するケーブル81に複数の水センサ82,82,・・・が取り付けられており、水を検出した水センサ82の高さによって水位を検出する。
【0043】
図3は、微細化ブロック54の平断面図であり、図4は、微細化ブロック54の縦断面図である。
【0044】
微細化ブロック54は、平面視において概ね正八角柱のブロック本体56と、ブロック本体56の中心軸の周りに等角度をおいて形成された4つの旋回室57,57,・・・と、ブロック本体56の中心軸と同心に形成され、対向する旋回室57,57の間を結ぶ線と直角をなす直角通路58が内部に形成されている。微細化ブロック54は、例えばフッ素樹脂等の合成樹脂で製造することができる。なお、微細化を行う対象や、混合流体の温度等の条件に応じて、他の合成樹脂を用いて微細化ブロック54を製造してもよい。また、ステンレス鋼等の金属で微細化ブロック54を製造してもよい。
【0045】
微細化ブロック54の旋回室57は、円筒の端面に半球を連ねたような回転体形状を有し、円筒部が微細化ブロック54の外径側を向くと共に半球部が微細化ブロック54の内径側を向くように形成されている。対向する2つの旋回室57は、中心軸が一直線上に配置されて、旋回室対を構成している。本実施形態では、2つの旋回室対が設けられており、これら2つの旋回室対は、各対の旋回室57間を結ぶ中心軸が互いに直交するように配置されている。上記直角通路58は、各旋回室対の旋回室57の間を結ぶ中心軸に対して直角方向に延在している。直角通路58には、4つの旋回室57の半球部の先端が連通している。直角通路58の各旋回室対の旋回室57の間に位置する部分が、2つの旋回室対の共通の衝突室58aとなっている。直角通路58の衝突室58aよりも排出管55側に位置する部分は、衝突室58aで微細化した混合流体を排出する排出路58bとなっている。一方、直角通路58の供給管53側の端部は、キャップ61で閉じられている。
上記直角通路58の排出路58bの端部は排出管55に接続されている。
【0046】
微細化ブロック54には、旋回室57へ混合流体を供給する供給路59が形成されている。供給路59は、旋回室57の中心軸方向視において内周面の接線を描くように形成されており、微細化ブロック54の端面に形成された入口開口59aから混合流体が流入し、旋回室57の内側面に形成された流入開口59bから混合流体を室内に放出するようになっている。供給路59は、旋回室57の中心軸に関して対称の位置に2つ設けられており、各供給路59の入口開口59aは、微細化ブロック54の両端面に夫々形成されている。図3の平断面図には、断面に表れない側の供給路59の平面方向の位置を仮想線で示している。なお、ケーシング2に供給される混合流体の流量や圧力、或いは、旋回室57に形成すべき旋回流の速度等に応じて、2つの供給路59のうちの一方が閉鎖されてもよい。あるいは、微細化ブロック54に、1つの旋回室57につき供給路59を1つのみ形成してもよい。
【0047】
上記微細化ブロック54は、旋回室57に、内周面の接線を描くように供給路59が設けられていることにより、微細化ブロック54の外側面に所定圧力の混合流体が満たされれば、上記供給路59に混合流体が流入し、可動部を用いることなく旋回室57内に旋回流を形成することができる。
【0048】
上記微細化ブロック54の旋回室57は、概ね正八角柱のブロック本体56が有する8個の側面のうち、1つおきの4個の側面に底が球状の円柱穴を形成し、この円柱穴の開口部を円形ドーム状の蓋体60で閉鎖して形成されている。
【0049】
次に、上記構成の水質改良装置1を用いて、対象水域としての海浜の浅瀬の水質を改良する例を説明する。
【0050】
まず、図5に示すように、貯水槽2内に、貯水槽2の天板に設けられた図示しない扉付き開口から、微生物担持体としてのセラミック多孔体9を搬入する。セラミック多孔体9は、寸法が3cm〜20cmの楕円断面を有する塊体であり、セラミック成分にオガ粉を練り込んで成型し、焼成して作製したものを用いる。このセラミック多孔体9は、オガ粉の燃焼により、セラミック本体に複雑に入り組んだ微細孔が形成されており、また、オガ粉が燃焼されてなる灰成分により、微生物を効果的に培養することができる。なお、セラミック多孔体9は、球状の塊体や、ブロック状の塊体でもよい。あるいは、微生物担持体として、樹脂多孔体で形成された繊維や布を用いてもよい。微生物担持体としてのセラミック多孔体9は、貯水槽2の底から約3分の1から2分の1の高さに達する程度の量を、貯水槽2に投入する。
【0051】
続いて、図6に示すように、貯水槽2の内部が空の状態で開口部2bを閉じ、満潮時に海水に浮かせて、水質改良装置1をタグボートTで曳航して設置位置へ運搬する。なお、図6において、タグボートTは水質改良装置1よりも小さく描いている。水質改良装置1を海上輸送することにより、陸上輸送するよりも容易に設置位置へ運搬することができる。水質改良装置1を設置位置である浅瀬の海域に運搬すると、この海底面に水質改良装置1を設置する。海底面に水質改良装置1が設置されると、海底面の表面部分の泥層Sに多少沈み込んだ状態で安定する。Bは泥層Bの下側に存在する砂層である。水質改良装置1が浅瀬の海底面に設置されると、制御部を起動する。制御部は、水位計8が浅瀬の海水位が低位であることを検知すると、扉駆動部4を動作させて開閉扉3を駆動し、貯水槽2の開口部2bを開く。開口部2bが開くと、図7に示すように海水Wが内部に流入し、潮汐による海水位の上昇に伴って貯水槽2内の水位が上昇する。
【0052】
海水位が満潮位となり、図8に示すように貯水槽2が海水中に没すると、水位計8に満潮位が検知され、これに応じた制御部の制御により、扉駆動部4が開閉扉3を駆動して貯水槽2の開口部2bを閉じる。なお、貯水槽2が海水中に没しない海水位に上昇し、かつ、貯水槽2内の水位が比較的高位に上昇したときに、開口部2bを閉じてもよい。すなわち、干潮時の海水位よりも貯水槽2内の水位が高ければ、開口部2bを閉じる際の貯水槽2内の水位は適宜設定できる。
【0053】
貯水槽2の開口部2bを閉じて貯水槽2内に海水を貯留すると、この貯水槽2内の海水に空気の微細気泡を添加する。すなわち、制御部が、扉駆動部4の閉じ動作の後、二相流ポンプ6を起動する。二相流ポンプ6は、貯水槽2内の海水と空気を混合してなる混合流体を、供給管53を通して微細化ノズル5に供給する。二相流ポンプ6によって微細化ノズル5へ供給される混合流体の気泡は、直径が約100μm〜数ミリ程度であるのが好ましい。また、供給される混合流体は、供給管53において、流速が約1L/min以上50L/min以下であり、かつ、圧力が約0.1MPa以上5MPa以下であるのが好ましい。特に好ましくは、供給管53において、混合流体の圧力が約0.5MPa以上5MPaである。この混合流体は、水が0.8L/min以上40L/min以下であると共に、空気が0.2L/min以上10L/min以下の割合で混合されている。
【0054】
供給管53を通って供給された混合流体は、耐圧ケーシング51内に放出され、耐圧ケーシング51の内側面と、微細化ブロック54の外側面との間に満たされる。これにより、微細化ブロック54内外の圧力差を少なくして、微細化ノズル5の耐圧性を高めることができる。また、微細化ブロック54の内部から混合流体が漏れても、耐圧ケーシング51内で混合流体を回収することができるので、耐圧ケーシング51外への混合流体の漏れを防止できる。
【0055】
耐圧ケーシング51と微細化ブロック54との間に満たされた混合流体は、微細化ブロック54の端面に形成された入口開口59aから供給路59に流入し、流入開口59bから旋回室57内に導かれる。供給路59から旋回室57に導かれた混合流体は、供給路59が旋回室57の中心軸に対して接線方向に形成されていることにより、旋回室57内で中心軸周りの旋回流になる。旋回室57内に形成される混合流体の旋回流は、旋回室57の流入開口59bが設けられた円筒部の端部から半球部の端部に向かって流れ、これに伴う旋回径の縮小によって流速が増大する。旋回室57の微細化ブロック54の内径側に位置する半球部の端部に達した混合流体は、高速で旋回しながら直角通路58の衝突室58aに吐出される。
【0056】
上記旋回室対を構成する2つの旋回室57で生成される旋回流の旋回方向は、互いに反対向きであり、これにより、直角通路58の衝突室58aで互いに反対向きの旋回流れが衝突する。これらの旋回流は、旋回室57から衝突室58aに吐出され、吐出口から円錐状に旋回する旋回噴流が形成される。これら旋回噴流は、互いに反対向きに旋回するので、衝突室58aで互いに衝突することにより、混合流体中の空気泡が効果的に破壊され、10nm以上50μm以下の直径に微細化されて、空気の微細気泡としてのマイクロナノバブルが生成される。さらに、2つの旋回室対が設けられていることにより、各旋回室対の混合流体の旋回流が衝突室58aで重畳的に衝突し、混合流体中の空気泡が効果的に微細化されて、マイクロナノバブルが効果的に生成される。ここで、本実施形態の微細化ブロック54は、旋回噴流を衝突させることにより、直径が10nm以上500nm以下のナノバブルを効果的に生成することができる。
【0057】
こうして微細化ブロック54で生成された微細気泡を含む混合流体は、排出路58bと排出管55を通って耐圧ケーシング51の外部に排出され、この微細化ノズル5が投入されている貯水槽2内の海水に吐出される。こうして、貯水槽2内の海水に、空気の微細気泡が添加される。制御部は、貯水槽2内の海水に微細気泡で付与すべき酸素濃度に対応して予め設定された運転時間が経過すると、二相流ポンプ6を停止する。
【0058】
また、貯水槽2内のセラミック多孔体9に担持された微生物により、貯水槽2内の海水に含まれる有機物等の汚染物質が分解される。この汚染物質の分解作用は、微細化ノズル5で生成された微細気泡によって好気性微生物の活動が活性化されることにより、効果的に促進される。また、微細気泡による活性化作用により、貯水槽2内の海水に好気性微生物を増殖することができ、後述するように、対象海域に好気性微生物を効率的に拡散することができる。
【0059】
貯水槽2内の海水に空気の微細気泡の添加を行った後、引き潮によって海水位が低下すると、図9に示すように、海水位が貯水槽2内の水位よりも低くなる。水位計8により、海水位が貯水槽2内の水位よりも低くなったことが検知されると、制御部の制御により、扉駆動部4が開閉扉3を駆動して貯水槽2の開口部2bを開く。これにより、図10に示すように、貯水槽2内の微細気泡と好気性微生物を含む海水が、位置エネルギーにより、対象水域の低水位の海水Wに排出される。
【0060】
対象水域への微細気泡と好気性微生物を含む海水の排出が完了すると、貯水槽2の開口部2bを閉じ、対象水域の潮位の上昇によって水質改良装置1を海水に浮かべ、タグボートTで曳航して水質改良装置1を退去させる。
【0061】
このように、本実施形態の水質改良装置1によれば、海水の潮汐を利用して、貯水槽2内に海水を取り入れることができ、また、微細気泡が添加された海水を貯水槽2から対象海域へ拡散することができる。したがって、拡散用のポンプ等を用いることなく、すなわち、電力等の人為的なエネルギーの消費を抑制しながら、空気の微細気泡を対象水域の海水Wに拡散することができる。その結果、少ないエネルギー消費により、対象水域の海水の溶存酸素濃度を効果的に上昇させて、海水を効果的に浄化することができる。
【0062】
また、本実施形態の水質改良装置1によれば、可動部品が存在しない微細化ノズル5を用いて微細気泡を生成するので、微細化ノズル5は構造が比較的簡易であり、故障し難い。したがって、製造費用を削減でき、また、メンテナンスの手間と費用を削減できる。
【0063】
また、本実施形態の水質改良装置1によれば、貯水槽2内に微生物担持体としてのセラミック多孔体9を備えるので、セラミック多孔体9に担持された微生物により、貯水槽2内に導いた海水の有害物質を効果的に分解して、海水を効果的に浄化することができる。また、セラミック多孔体9に担持された好気性微生物を、微細化ノズル5から生成された微細気泡により活性化させるので、貯水槽2内に導いた海水を効果的に浄化することができる。さらに、微細気泡による活性化作用により、貯水槽2内の好気性微生物を増殖できるので、貯水槽2の海水を対象海域に排出することにより、好気性微生物を効率的に対象海域に拡散することができる。その結果、対象海域を効果的に浄化することができる。
【0064】
上記実施形態において、微細化ノズル5により、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを生成したが、直径が10nm以上500nm以下の空気のナノバブルを生成してもよい。また、直径が500nmを越えて1μ以下のマイクロバブルを生成してもよい。
【0065】
また、微細化ノズル5は、海水と空気の混合流体が耐圧ケーシング51内に供給され、微細化ブロック54で混合流体の空気を微細化したが、海水と空気が微細化ブロックに個別に供給されてもよい。この場合、水ポンプにより耐圧ケーシング51内に海水を供給するように構成する一方、微細化ブロック54の蓋体60の中心に、空気供給通路を設ける。耐圧ケーシング51内に圧送された海水が、微細化ブロック54の供給路59を通して旋回室57内に流入し、この旋回室57内に旋回流を生成するに伴い、旋回流の中心に負圧領域が生成される。この負圧領域の作用により、空気供給通路を通して空気が吸引され、吸引された空気が旋回流に混合して衝突室58aに吐出される。こうして衝突室58aに海水と空気の旋回噴流が形成され、旋回噴流同士を衝突させて、空気の微細気泡を生成することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、水質改良装置1を海水に浮かべてタグボートTで曳航して運搬したが、海水に浮かべた水質改良装置1を陸上に設置したウインチ等で牽引して移動させてもよい。また、水質改良装置1を陸上輸送により運搬してもよい。また、水質改良装置1を長期に渡って対象水域に配置し、微細気泡と好気性微生物の排出を繰り返してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、水質改良装置1を海浜の浅瀬に設置し、浅瀬の海水の改質を行う場合を説明したが、河川や湖沼等の浅瀬に設置し、淡水の浅瀬の改質を行ってもよい。ここで、浅瀬とは、水位が比較的低くて水の流れが滞留しやすい水域であり、かつ、水位が変動する水域をいう。水位の変動は、定期的か不定期かは問わない。例えば、降雨によって突発的に水位が上昇する水域においても、水位の上昇時に貯水槽2内に水を貯留し、貯留した水に微細気泡と好気性微生物を添加し、水位の低下後に微細気泡と好気性微生物を含む水を排出することにより、水域の水質の改良を行うことができる。
【0068】
また、上記実施形態では、微細化ノズル5で空気の微細気泡を生成して水域に排出したが、微細化ノズル5で酸素の微細気泡を生成して水域に排出してもよい。すなわち、水質改良装置1に酸素ボンベを設置し、酸素ボンベから微細化ノズル5に酸素を供給し、海水に酸素の微細気泡を添加してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、貯水槽2内に微生物担持体としてのセラミック多孔体9を配置したが、貯水槽2内に微生物担持体を配置しなくてもよい。すなわち、上記実施形態では、貯水槽2内に取り入れた海水に微細気泡で好気性微生物を増殖させて、好気性微生物を含む海水を対象海域に拡散させたが、貯水槽2内に取り入れた海水に微細気泡のみを添加し、微細気泡のみを含む海水を対象海域に拡散させてもよい。対象海域に微細気泡を拡散させれば、対象海域に従前から存在する好気性微生物を活性化させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 水質改良装置
2 貯水槽
2b 開口部
3 開閉扉
4 扉駆動部
5 微細化ノズル
6 二相流ポンプ
7 風速風向計
8 水位計
9 セラミック多孔体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象水域に設置され、上記対象水域の水を取り入れる取水手段を有する貯水槽と、
水と気体の混合流体の旋回流を形成する複数の旋回流形成部と、上記複数の旋回流形成部で形成された旋回流を互いに衝突させる衝突室とを有し、上記気体の微細気泡が水に分散してなる微細気泡水を生成する微細気泡生成手段と、
上記微細気泡水が添加された上記貯水槽の水を対象水域に排出する排出手段と
を備えることを特徴とする水質改良装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水質改良装置において、
上記貯水槽の下部に形成された開口と、この開口を開閉する開閉機構とを有し、
上記取水手段及び排出手段は、上記開口と開閉機構を含んで形成されていることを特徴とする水質改良装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水質改良装置において、
上記微細気泡生成手段に関し、
上記旋回流形成部は、中心軸が互いに一直線上に位置し、互いに近い部分の内径が互いに遠い部分の内径よりも小さく形成されて、上記中心軸と直交する面に関して対称の回転体形状を有する2つの旋回室で構成された旋回室対を有し、
上記2つの旋回室の互いに遠い部分に、各旋回室の内周面の接線を描くように混合流体の供給路が夫々接続され、
上記2つの旋回室の互いに近い部分が、これら旋回室の中心軸に対して略直角に延在して形成された直角通路に連なり、この直角通路の旋回室の間の部分に上記衝突室が形成され、この直角通路の衝突室に連なる部分が微細気泡水の排出路に形成されていることを特徴とする水質改良装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水質改良装置において、
上記微細気泡生成手段は、上記旋回室対を2つ有し、これら2つの旋回室対は、各旋回室対の2つの旋回室が有する中心軸が互いに直交するように配置されていることを特徴とする水質改良装置。
【請求項5】
請求項3に記載の水質改良装置において、
上記微細気泡生成手段は、
混合流体の入口と微細気泡水の出口を有するケーシングと、
上記ケーシング内に収容され、少なくとも1つの上記旋回室対と、上記供給路と、上記直角通路とが形成された少なくとも1つのブロックとを有することを特徴とする水質改良装置。
【請求項6】
請求項1に記載の水質改良装置において、
対象水域の水位を検出する外部水位検出手段と、
上記貯水槽内の水位を検出する内部水位検出手段と、
上記内部水位検出手段が貯水槽内の水位が高位に達したことを検知すると、上記取水手段による貯水槽内への取水を停止し、この後、上記外部水位検出手段が対象水域の水位が低位に達したことを検知すると、上記排出手段に貯水槽内の水を排出させる制御部と
を備えることを特徴とする水質改良装置。
【請求項7】
請求項6に記載の水質改良装置において、
対象水域の風を検出する風検出手段を備え、
上記制御部は、上記風検出手段により検出された風の風下方向が、上記排出手段が水を排水する方向と一致する場合、上記排出手段に貯水槽内の水を排出させることを特徴とする水質改良装置。
【請求項8】
請求項1に記載の水質改良装置において、
上記貯水槽内に、微生物担持体を備えることを特徴とする水質改良装置。
【請求項9】
対象水域の水を取り入れる取水手段と貯水層内の水を排出する排出する排出手段とを有する貯水槽と、微細気泡水を生成する微細気泡生成手段とを備えた水質改良装置を用いて対象領域の水質を改良する方法であって、
対象水域に上記水質改良装置を設置する工程と、
上記取水手段から、対象水域の水位の増大によって貯水槽内に水を流入させる工程と、
上記取水手段を停止して貯水槽内に水を貯留する工程と、
上記微細気泡生成手段で微細気泡を生成して貯水槽内の水に添加する工程と、
対象水域の水位が低下した後、上記排水手段を動作させて、微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する工程と
を備えることを特徴とする水質改良方法。
【請求項10】
請求項9に記載の水質改良方法において、
上記対象水域は海浜の浅瀬であり、潮汐による海水位の増大により貯水槽内に海水を取り入れる一方、潮汐による海水位の低下の後に、貯水槽内の微細気泡が添加された海水を浅瀬へ排出することを特徴とする水質改良方法。
【請求項11】
請求項9に記載の水質改良方法において、
上記水質改良装置を、上記対象水域の設置位置に曳航する工程を備えることを特徴とする水質改良方法。
【請求項12】
請求項9に記載の水質改良方法において、
上記水質改良装置は、上記貯水槽内に微生物担持体が投入されており、
上記微細気泡が添加された水を貯水槽から対象水域へ排出する工程で、上記微生物担持体に担持された好気性微生物を含む水が、上記対象水域に拡散することを特徴とする水質改良方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−135731(P2012−135731A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290348(P2010−290348)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】