説明

水車用の水の供給装置

【課題】水車の上流の水量とその下流の水量を常に同一水量とし、かつ、水車の上流の水量の変化に対しても水車の回転力が変化しないこと。
【解決手段】水路20から水を導入し、その導入した水を水車10の上部から落下させて、水車10を回転させる上掛式水車においては、水車10に水を運ぶ水路20の送水端に、水路20の水量に左右されることなく、送水端の通常供給口から水車10に水を供給する。また、水路20の水量が特定水量を超えると、その余剰水を水車10に水を供給することなく、通常供給口の供給とは別に形成した異常排出口から排出するから、その水量の変化に対して水車の回転力が変化しない水車用の水の供給装置とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置された水車の上部から水を供給する上掛式水車に関するもので、特に、水車が水量に影響されることなく回転させる水車用の水の供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の水車用の水の供給装置としては、特許文献1に記載の発明がある。
特許文献1は、側溝を流れる水により回転する水車と、水車の回転軸と接続され、水車の回転により発電する発電機と、発電機及び/または水車を支持する支持部材と、支持部材の下部の左右に取り付けられた一対のフロートとを有し、側溝に投入可能な水力発電システムにおいて、一対のフロートの間に水車が配置され、水車の下端は、一対のフロートの下端より上方に位置し、更に、側溝を流れる水量が比較的多い場合、一対のフロートの浮力により当該水力発電システムが水に浮き、側溝を流れる水量が比較的少ない場合、一対のフロートの下端が当該水力発電システムの重量により側溝の底に接し、一対のフロートが当該水力発電システムを支持するものである。
【0003】
この水力発電システムによれば、側溝を流れる水量が比較的多い場合には、一対のフロートの浮力により当該水力発電機等が水に浮き、また、側溝を流れる水量が比較的少ない場合には、一対のフロートの下端が当該水力発電システムの重量により沈んで側溝の底に接する。このとき、水車の下端は、一対のフロートの下端より上方に位置しているため、水車の下端が側溝の底に接することなく、一対のフロートにより当該水力発電システムが支持される。
したがって、この水力発電システムでは、オペレータなどが側溝の水位の変化に対応する操作及び制御を行うことは不用であり、水位の変化にかかわらず一対のフロートの間に配置された水車の回転エネルギにより発電機は安定した電力を発生する。しかも、側溝を流れる水量が比較的少ない場合には、一対のフロートの下端が当該水力発電システムの重量により側溝の底に接するため、フロートが沈んだ分だけ側溝の幅が擬似的に狭くなる。
【0004】
このように、この水力発電システムによれば、側溝の水位により人手を用いて水車の位置を操作する必要が無く、側溝に常設して発電でき、安定した電力を得ることができる。また、側溝を流れる水を水車の方向に誘導し、より多くの水を水車に接触させ、発電量を増やすためには、一対のフロートは、それらの内側面の間隔が水車の重心近傍に向かって狭くなるように形成されており、水車の重心近傍を中心に旋回することが好ましい。水車の重心近傍のフロートの間隔をほとんど変えずにフロートの先端の幅を広げることもできるし、フロートの後側が水車と干渉するのも防止できる。
【0005】
また、特許文献2では、高所に設置された貯水池からの水を低所に導水して水車を回転させ、この水車の回転により発電機を回転させて発電するシステムにおいて、水車に流入する流量は、水量、水位によりガイドバルブの開度を調整して水車が予め定められた回転数となるように制御されている。このガイドバルブの開度の制御装置は、水車への流入口には、環状にガイドバルブが設けられ、このガイドバルブを開閉制御するためのガイドバルブ制御部は、ゲイン変更部とガイドバルブ制御演算部とから構成されている。
したがって、ガイドバルブ制御演算部は、PID演算を実行してガイドバルブの開度制御信号を出力する。このガイドバルブの開度制御信号は、ガイドバルブの開度を調整し、良好な全負荷発電を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−163784
【特許文献2】特開2002−130107
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、水位の調整を特許文献1は水車のフロートで調整し、特許文献2ではガイドバルブの開度制御によって水車に供給される水量を調整している。
即ち、特許文献1の水車では水車に供給される水量の変化を、その水量の変化に影響されることのないように、所定の深さ間での水流を使用するものであり、水車全体をフロートに積載する必要があり、フロートの浮力と水車の重量との関係で実用的設計には問題がある。特に、通常状態で水量が少ない個所に設置する水車は、フロートの浮力を得る池が必要となり、水量が少ない水路には使用できない。
また、特許文献2は供給する水量を水車の発電量からフィ−ドバックさせて制御するものであるから、細やかな制御が可能となるが、装置が大掛かりになり高価となる。特に、特定の1m程度以下の幅で、水深10cm以下の水路における水車の上流の水量とその下流の水量に同一水量を流す場合には、特許文献2の技術は使用できない。特に、雨水の増大等で水量が通常状態の数倍以上になると、水車の耐用年数を低下させたり、破壊させたりすることになる。
【0008】
そこで、本発明は、水量の少ない水路における水車の上流の水量とその下流の水量を常に同一水量とし、その水量の変化に対して水車の回転力が変化し難い水車用の水の供給装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明にかかる水車用の水の供給装置は、水路から水を導入し、その導入した水を水車の上部から落下させて、前記水車を回転させる上掛式水車であって、前記水車に水を運ぶ前記水路の水車側の端部である送水端に、前記水路の水量に殆ど左右されることなく、前記水車の前記水受けに水を供給する通常供給口と、前記水路の水量が特定水量を超える水量で、前記水車の前記水受けに水を供給することなく排出する前記通常供給口の供給とは別に形成した異常排出口とを有するものである。
ここで、上記上掛式水車とは、水車を回転させる水を供給する源が、水車の設置状態で水車の上部に位置することを示すものであり、上掛式水車、下掛式水車、中掛式水車(胸掛式水車)と区別される分類方法の表現である。
また、水路の送水端とは、水車に供給する水を放出する水路の水車側の端部であり、水源、即ち、受水端の反対側であり、水車の上に位置するものである。
そして、上記通常供給口とは、通常水量のとき、水車の水受けに水を供給するもので、通常水量以下の時でも、同様に供給される。ここで前記水路の水量に殆ど左右されることなくとは、通常、ベルヌーイの法則によれば、水流が変化すればその分流される側の圧力も変化するから同一にはならないが、ここでは、通常水量の殆どとが前記水車の前記水受けに供給とれることを意味するものである。また、通常水量を超えても、水車の水受けに水を供給されるものである。この際、前記水路の反水源(水路の反受水端)側に特定の高さの障害堰を設け、通常供給口からの供給を多くすることもできる。
更に、上記異常排出口とは、前記通常供給口の供給とは別に形成した排出口で、前記水路の水量が特定水量を超えると、前記水車の前記水受けに水を供給することなく排出するものであり、この間も通常供給口からの供給により水車は回転するが、異常に上昇した回転数とならないから安定した水車の運転を維持するものである。
加えて、上記水車用の水の供給装置は、水車を回転させる水の供給源が水車の上部に位置することを示すものの、水路の送水端がその概念に入っているか否かに関係なく、上掛式水車であり、水路の水車側の送水端の発明であることを明確にした。
【0010】
請求項2の発明にかかる水車用の水の供給装置は、水路から水を導入し、その導入した水を水車の上部から落下させて、前記水車を回転させる上掛式水において、前記水車に水を運ぶ前記水路の端部としての送水端に、前記水路の水量に左右されることなく、前記水車の前記水受けに水を供給する通常供給口と、前記水路の水量が特定水量を超える水量で、前記特定水量を超える水量が少ないとき、前記通常供給口から直接水の供給を受けた前記水受けが、その供給を受けた水を排出する途中にある前記水受け側に供給し、また、その前記特定水量を超える水量が多いとき、前記水車の前記水受けに水を供給することなく排出する前記通常供給口とは別に形成した異常排出口とを具備するものである。
ここで、上記上掛式水車とは、水車を回転させる水を供給する源が、水車の設置状態で水車の上部に位置することを示すものであり、上掛式水車、下掛式水車、中掛式水車(胸掛式水車)と区別される分類方法の表現である。
また、水路の水車側の送水端とは、水車に供給する水を運ぶ水路の端部であり、水源の反対側、即ち、水路の受水端側であり、水車の上に位置するものである。
そして、上記通常供給口とは、通常水量のとき、水車の水受けに水を供給するもので、通常水量以下の時でも、同様に供給される。ここで前記水路の水量に殆ど左右されることなくとは、通常、ベルヌーイの法則によれば、水流が変化すればその分流される側の圧力も変化するから同一にはならないが、ここでは、通常水量の殆どとが前記水車の前記水受けに供給されることを意味するものである。また、通常水量を超えても、水車の水受けに水を供給されるものである。この際、前記水路の反水源側、即ち、水路の受水端に特定の高さの障害堰を設け、通常供給口からの供給を多くすることもできる。
更に、上記水車用の水の供給装置は、水車を回転させる水の供給源が水車の上部に位置することを示すものの、水路の水車側の送水端がその概念に入っているか否かに関係なく、上掛式水車であり、水路の水車側の送水端の発明であることを明確にした。
加えて、上記異常排出口とは、前記通常供給口とは別に形成した排出口で、前記水路の水量が特定水量を超えても、前記特定水量を超える水量が少ないとき、前記通常供給口から直接水の供給を受けた前記水受けが、その供給を受けた水を排出する途中にある前記水受け側に供給し、また、その前記特定水量を超える水量が多いとき、前記水車の前記水受けに水を供給することなく排出するものである。このとき、水を排出する途中にある水受け側に水を排出しても、その水は受けられることなく、排出されるものである。
【0011】
請求項3の発明にかかる水車用の水の供給装置の前記通常供給口は、前記水路の端部の下面に形成し、前記異常排出口は、前記水路の水車側の送水端の側面または正面、即ち、水路の端部である送水端の反水源側正面または左右両側面に形成したものである。
ここで、前記水路の水車側の送水端の正面または前記水路の送水端の側面は、水路の送水端の反水源側正面に形成したり、前記水路の左右側とすることもできる。
【0012】
請求項4の発明にかかる水車用の水の供給装置の前記通常供給口は、前記水路の水車側の送水端の下面に形成と、前記水路の反水源側に特定の高さの障害堰を設けたものである。
ここで、上記通常供給口の障害堰は、前記水路の送水端の下面に形成した水流を増すためのものであり、前記水路の水量によって決定される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の水車用の水の供給装置は、水路から水を導入し、その導入した水を水車の上部から落下させて、前記水車を回転させる上掛式水車においては、前記水車に水を運ぶ前記水路の水車側の送水端に、前記水路の水量に左右されることなく、前記水車側の送水端の通常供給口から前記水車に水を供給する。また、前記水路の水量が特定水量を超えると、その余剰水を前記水車に水を供給することなく、前記通常供給口の供給とは別に形成した異常排出口から排出するから、水車は前記送水端の通常供給口から供給される水によって常に回転し、また、水路の水量が異常水量のときには、余剰水を異常排出口から排出するものであるから、水車に所定以上の回転増加が加わらないばかりか、その水車の軸受の負荷も軽減できる。
したがって、水車の上流の水量とその下流の水量を常に同一水量としても、その水量の変化に対して水車の回転力が変化しない水車用の水の供給装置とすることができる。また、水量の少ない水路においても、その水量の変化に対して水車の回転力が変化し難いので、小型の水車に好適である。特に、通常、従来の水車では、空になった水受けに水を供給するとき、大きな衝撃音が発生するが、本発明の水車用の水の供給装置では、水を分流して空になった水受けに供給するものであるから、衝撃音の発生がなくなり、深夜の回転でも水車の騒音が気にならない。
【0014】
請求項2の水車用の水の供給装置は、水路から水を導入し、その導入した水を水車の上部から落下させて、前記水車を回転させる上掛式水車装置においては、前記水車に水を運ぶ前記水路の水車側の送水端に、前記水路の水量に左右されることなく、前記送水端の通常供給口から前記水車に水を供給する。また、前記水路の水量が特定水量を超える余剰水は、前記通常供給口とは別に形成した異常排出口によって、前記特定水量を超える水量が少ないとき、即ち、余剰水の量が少ないとき、前記通常供給口から直接水の供給を受けた前記水受けが、その供給を受けた水を排出する途中にある前記水受け側に供給し、そして、その前記特定水量を超える余剰水量が多いとき、前記水車の前記水受けに水を供給することなく排出する。したがって、水路の水量が異常水量のときには、余剰水を異常排出口から排出するから、水車に所定以上の回転増加が加わらないばかりか、その水車の軸受の負荷も軽減できる。
したがって、水車の上流の水量とその下流の水量を常に同一水量としても、その水量の変化に対して水車の回転力が変化しない水車用の水の供給装置とすることができる。また、水量の少ない水路においても、その水量の変化に対して水車の回転力が変化し難いので、小型の水車に好適である。特に、通常、従来の水車では、空になった水受けに水を供給するとき、大きな衝撃音が発生するが、本発明の水車用の水の供給装置では、水を分流して空になった水受けに供給するものであるから、衝撃音の発生がなくなり、深夜の回転でも水車の騒音が気にならない。
【0015】
請求項3の発明にかかる水車用の水の供給装置の前記通常供給口は、前記水路の送水端の下面に形成し、前記異常排出口は前記水路の送水端の正面または側面に形成したものである。したがって、請求項1または請求項2の効果に加えて、所定の水量が得られない時でも、前記水路の水は効率よく水車の回転力を得る水として使用できる。また、前記異常排出口が側面に形成されているから、通常水量と異常水量の基準を任意に設定することができる。
【0016】
請求項4の発明にかかる水車用の水の供給装置の前記通常供給口は、前記水路の送水端の下面に形成と、前記水路の反水源側に特定の高さの障害堰を設けたものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、前記水路の反水源側の障害堰の高さを任意に設定でき、その高さによって、水受けに供給する通常の水流を任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の水車用の水の供給装置を上掛式水車の事例で示す全体構成斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の水車用の水の供給装置の事例で示す全体構成図で、上部を解放した平面図(a)、その中央横断面図(b)である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の水車用の水の供給装置の水の軌跡を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0019】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1の水車用の水の供給装置について、図を用いて説明する。
図1において、水車10は、水輪を構成する一対の輪板1(「ホテイ板]ともいう)からなり、一対の輪板1間には、複数の受け板2が設けられている。また、水輪を構成する一対の輪板1の内径側には、全面に底板3が設けられている。一対の輪板1とその間の受け板2及び底板3によって、必要数の水受け4が形成されている。水車10の水輪を構成する一対の輪板1は、くも手5によって中心軸6に接続している。
【0020】
中心軸6は、ベアリング等を介して一対の脚7に取り付けられ、一対の脚7は図示しないコンクリートのベースに取付けせれている。したがって、中心軸6は、ベアリング等を介して一対の脚7に取り付けられて回転自在となっている。この中心軸6は発電機に直接的、間接的に接続されたり、他の回転力の出力用として使用される。
【0021】
図2において、水路20は、4面を木材板で形成し、内部が中空の水の通路になっている。勿論、本発明を実施する場合の水路20は、木材板に限定されるものではなく、合成樹脂或いは金属板または金属材料とすることができる。その開放側、即ち、水源の反対側の端から50〜80cm以内が、本実施の形態の水車10側の送水端21に該当する。送水端21の底板22には、本実施の形態では水路20に沿った長さの3本の長円によって通常供給口30が形成されている。本実施の形態では水路20に沿った長さの3本の長円によって通常供給口30を形成したが、本発明を実施する場合には、3本の長円に限ることなく、1〜5本から選択できればよい。また、その長さについては、流量、流速との関係で決定されるものである。
【0022】
また、本実施の形態においては、通常供給口30の3本の長円よりも水源の反対側に堰35を形成している。この堰35は、その高さhまでが通常状態その上部に設定されている異常排出口40から水をながさないものである。即ち、通常供給口30側は、堰35側の水位が、その高さhまでその下にある水車10の水受け4に水流の供給速度を速めることがあっても、その余剰水として排出することがない。なお、本実施の形態では、堰35は真鍮製の捩子36で固着している。
【0023】
そして、図2(a)及び(b)に示すように、堰35側の水位が、その高さhを超えると堰35をオーバーフローした水路20からの水は、異常排出口40から送水端21の水源の反対側に移動し、解放端41から放出される。即ち、水路20の水量及び流速が共に増大すると、水路20の堰35を超えた水は余剰水となり、異常排出口40から排出される。このとき、堰35の存在によって水流が速くなっても、水路20に沿った通常供給口30から水受け4に通常の特定水量以下の水量と同様に、通常供給口30から水受け4に通常同様の水量を供給する。
【0024】
しかし、水車10に水を運ぶ水路20の送水端21に、水路20の水量に左右されることなく、水車10の水受け4に水を供給する通常供給口30からの水が特定水量を超えると、前記特定水量を超える水量が少ないときには、通常供給口30から直接水の供給を受けた水受け4が、その供給を受けた水を排出する途中にある水受け4側に供給し、また、その特定水量を超える水量が多いとき、水車10の水受け4に水を供給することなく排出する異常排出口40を設けたものである。
【0025】
水車10に水を運ぶ水路20の送水端21からは、図3に示すように、水路20の通常の水量であれば、通常供給口30から直接水受け4に水が供給され、水車10がそれによって回転させられる。即ち、水路20から水を導入し、その導入した水を水車10の上部から落下させて、水車10を回転させる上掛式水車においては、水車10に水を運ぶ水路20の送水端21に、水路20の水量に左右されることなく、送水端21の通常供給口30から水車10に水を供給する。
【0026】
また、水路20の水量が特定水量を超える余剰水は、特定水量を超える水量が少ないとき、即ち、余剰水の量が少ないとき、通常供給口20から直接水の供給を受け、その供給を受けた水を排出する途中にある水受け4側に異常排出口40から落下する落下軌跡bによつて供給される。
そして、その特定水量を超える余剰水量が多いとき、水車10の水受け4に水を供給することなく排出する。したがって、水路の水量が異常水量のときには、余剰水を異常排出口40から直接水車10を介すことなく排出するから、水車10に所定以上の回転力が加わらないばかりか、その水車10の軸受の負荷も軽減できる。
【0027】
このように、上記実施の形態における水車用の水の供給装置は、水路20から水を導入し、その導入した水を水車10の上部から落下させて、水車10を回転させる上掛式水車において、水車10に水を運ぶ水路20の送水端21に、水路20の水量に左右されることなく、水車10の水受け4に水を供給する通常供給口30と、水路20の水量が特定水量を超えると、水車10の水受け4に水を供給することなく排出する通常供給口30の供給とは別に形成した異常排出口40とを具備するものである。
【0028】
したがって、上記実施の形態の水車用の水の供給装置は、水路20から水を導入し、その導入した水を水車10の上部から落下させて、水車10を回転させる上掛式水車においては、水車10に水を運ぶ水路20の送水端21に、水路20の水量に左右されることなく、送水端21の通常供給口30から水車10に水を供給する。また、水路20の水量が特定水量を超えると、その余剰水を水車10に水を供給することなく、通常供給口30の供給とは別に形成した異常排出口30から排出するから、水車10は送水端21の通常供給口30から供給される水によって常に回転し、また、水路20の水量が異常水量のときには、余剰水を異常排出口40から排出するものであるから、水車10に所定以上の回転増加が加わらないばかりか、その水車10の軸受の負荷も軽減できる。
したがって、水車10の上流の水量とその下流の水量を常に同一水量としても、その水量の変化に対して水車10の回転力の変化が少ない水車用の水の供給装置とすることができる。特に、従来の水車では、空になった水受け4に水を供給するとき、大きな衝撃音が発生するが、本発明の水車用の水の供給装置では、水を分流して空になった水受け4に供給するものであるから、衝撃音の発生がなくなり、深夜の回転でも水車の騒音が気にならない。
【0029】
また、上記実施の形態の水車用の水の供給装置は、水路20から水を導入し、その導入した水を水車10の上部から落下させて、水車10を回転させる上掛式水車において、水車10に水を運ぶ水路20の送水端21に、水路20の水量に左右されることなく、水車10の水受け4に水を供給する通常供給口30と、水路20の水量が特定水量を超える水量で、特定水量を超える水量が少ないとき、通常供給口30から直接水の供給を受けた水受け4が、その供給を受けた水を排出する途中にある水受け4側に供給し、また、その特定水量を超える水量が多いとき、水車10の水受け4に水を供給することなく、直接、水車10の下部位置に排出する通常供給口30とは別に形成した異常排出口40とを具備するものである。
【0030】
したがって、上記実施の形態の水車用の水の供給装置は、水路20から水を導入し、その導入した水を水車10の上部から落下させて、水車10を回転させる上掛式水車においては、水車10に水を運ぶ水路20の送水端21に、水路20の水量に左右されることなく、送水端21の通常供給口20から水車10に水を供給する。また、水路20の水量が特定水量を超えた余剰水は、通常供給口30とは別に形成した異常排出口40によって、特定水量を超えた水量が少ないとき、即ち、余剰水の量が少ないとき、通常供給口30から直接水の供給を受けた水受け4が、その供給を受けた水を排出する途中にある水受け4側に供給し、そして、その特定水量を超える余剰水量が多いとき、水車10の水受け4に水を供給することなく排出する。したがって、水路20の水量が異常水量のときには、余剰水を異常排出口40から排出するから、水車10に所定以上の回転力が加わらないばかりか、その水車10の軸受の負荷も軽減できる。
したがって、水車10の上流の水量とその下流の水量を常に同一水量としても、その水量の変化に対して水車10の回転力が変化しない水車用の水の供給装置とすることができる。
【0031】
上記実施の形態の水車用の水の供給装置の通常供給口30は、水路20の送水端21の下面に形成し、異常排出口40は、水路20の送水端21の側面に形成したものである。
したがって、水車用の水の供給装置の通常供給口30は、水路20の送水端21の下面に形成し、異常排出口40は水路20の送水端21の側面に形成したものである。したがって、所定の水量が得られない時でも、水路20の水は効率よく水車10の回転力を得る水として使用できる。また、異常排出口40が側面に形成されているから、通常水量と異常水量の基準を任意に設定することができる。
加えて、特に、従来の水車では、空になった水受け4に水を供給するとき、大きな衝撃音が発生するが、本発明の水車用の水の供給装置では、水を分流して空になった水受け4に供給するものであるから、衝撃音の発生がなくなり、深夜の回転でも水車の騒音が気にならない。
【0032】
上記実施の形態の水車用の水の供給装置の水路20の送水端21の下面に形成した通常供給口30には、水路20の反水源側に特定の高さの障害堰、即ち、堰35を設けたものである。
したがって、上記水車用の水の供給装置の通常供給口30は、水路20の送水端21の下面に形成と、水路20の反水源側に特定の高さの堰35を障害堰として設けたものであるから、水路20の反水源側の高さの障害堰を任意に設定でき、その高さによって、水受け4に供給する通常の水流を任意に設定することができる。
【0033】
上記実施の形態の水車用の水の供給装置の異常排出口40は、水路20の送水端21の側面に形成できるもので、側面とは、左右の側面だけでなく、左右側面と同一高さの正面とすることができる。
また、上記実施の形態の水路20は断面長方形を前提に説明したが、本発明を実施する場合には、その全体が円筒型とすることもできるし、三角柱状型とすることもできる。即ち、その断面形状に拘るものではなく、任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 輪板(ホテイ板)
2 受け板
3 底板
4 水受け
6 中心軸
10 水車
20 水路
21 送水端(水路の水車側の端部)
30 通常供給口
35 堰
40 異常排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路から水を導入し、その導入した水を水車の上部から落下させて、前記水車を回転させる上掛式水車装置において、
前記水車に水を運ぶ前記水路の端部の送水端に、
前記水路の水量に左右されることなく、前記水車の前記水受けに水を供給する通常供給口と、
前記水路の水量が特定水量を超えると、前記水車の前記水受けに水を供給することなく排出する前記通常供給口の供給とは別に形成した異常排出口と
を具備することを特徴とする水車用の水の供給装置。
【請求項2】
水路から水を導入し、その導入した水を水車の上部から落下させて、前記水車を回転させる上掛式水車装置において、
前記水車に水を運ぶ前記水路の端部の送水端に、
前記水路の水量に左右されることなく、前記水車の前記水受けに水を供給する通常供給口と、
前記水路の水量が特定水量を超える水量で、前記特定水量を超える水量が少ないとき、前記通常供給口から直接水の供給を受けた前記水受けが、その供給を受けた水を排出する途中にある前記水受け側に供給し、また、その前記特定水量を超える水量が多いとき、前記水車の前記水受けに水を供給することなく排出する前記通常供給口とは別に形成した異常排出口と
を具備することを特徴とする水車用の水の供給装置。
【請求項3】
前記通常供給口は、前記水路の送水端の下面に形成し、前記異常排出口は、前記水路の送水端の正面または左右側面に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水車用の水の供給装置。
【請求項4】
前記水路の送水端の下面に形成した前記通常供給口には、前記水路の反水源側に特定の高さの障害堰を設けたことを特徴とする請求項3に記載の水車用の水の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−36811(P2012−36811A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177300(P2010−177300)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(507116927)
【Fターム(参考)】