説明

永久磁石を用いて生物サンプル中の標的成分を画像化するための方法および装置

【課題】異なる体液中の白血球部分集団、または、環境サンプル、食品、体液に中の細菌汚染のような標的集団の評価のための、イメージサイトメトリーによる流体中の細胞の列挙のためのシステムを説明する。
【解決方法】蛍光標識した標的細胞を、磁気粒子またはビーズと連結する。1つの実施態様では、小型永久磁石を、標識細胞を含むチャンバーに直接挿入する。単一焦点面上で画像化する平滑で平坦な表面を提供するために、PDMSシリコーンゴムで、磁石を被覆する。磁石をサンプルから取り除き、蛍光で照射し、標的細胞が発した光をCCDカメラで取り込む。別の実施態様では、永久磁石を有するフローターにより、サンプル溶液内の単一画像化平面に沿って、標的細胞を整列させる。元のサンプルの標的細胞濃度を反映する、表面上の細胞を計測するための新規のアルゴリズムにより、画像分析を実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2005年3月19日に出願され、現在放棄されている米国仮出願第60/594,198号を、参照により本願に組み入れ、部分的に優先権を主張する本出願であり、2007年8月30日に出願された米国特許出願第11/897,471号の一部継続出願である。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は概して、流体の(生物)サンプル中の標的成分を画像化することに関する。具体的には、血液サンプル中の標的細胞の積極的な選択を提供する方法および装置が説明される。CD4を免疫磁気標識し、アクリジンオレンジ(AO)で蛍光染色した全血を含む血液サンプルに、小型永久磁石を直接加えるものである。
【0003】
〔背景技術〕
免疫磁気分離技術の使用は、血液中の標的実体(例えば、限定されないが、無傷の循環がん細胞や内皮細胞)の検出において、より高い感度と特異度を提供する。説明されているとおり(米国特許第6,365,362号、同第6,551,843号、同第6,623,982号、同第6,620,627号、同第6,645,731号、国際出願公開第02/077604号、同第03/065042号、および同第03/019141号)、閾値に基づいて個々の患者の統計的生存性を相互に関連付けるために、この簡単で感度の高い診断ツールを本発明において用いることができる。
【0004】
従来の診断ツールは、上皮細胞表面抗原(例えば、EpCAM)に対する抗体で被覆した磁気ビーズとともにインキュベーションしたがん患者由来の血液サンプルを利用するものである(国際特許出願第03/018757号)。抗EpCAM被覆の磁気ナノ粒子で標識した後、それから、磁気セパレータを用いて、磁気標識細胞を単離する。下流の免疫細胞化学分析またはイメージサイトメトリーのために、例えば、CellSpotterまたはCellTracks(登録商標)システム(Immunicon Corp.、米国)において、免疫磁気的に濃縮した画分を更に処理する。また、下流の免疫細胞化学分析、RT-PCR、PCR、FISH、フローサイトメトリー、または、他の種類のイメージサイトメトリーのためにも、その磁気画分を用いることができる。
【0005】
CellSpotterまたはCellTracks(登録商標)システムは、全血サンプル中に存在する任意の上皮細胞を非常に濃縮し凝縮するために、免疫磁気的な選択や分離を利用する。捕集した細胞を、白血球特異的マーカーや1つ以上の腫瘍細胞特異的蛍光モノクローナル抗体で検出可能に標識して、捕集したCTCを同定し列挙することができ、また、非標的細胞の汚染から機器的または視覚的に区別することができる。この解析は、低腫瘍塊である初期段階においてでさえ、血液7.5 mL当たり上皮細胞1個または2個の感度で、腫瘍細胞の検出を可能にするものである。
【0006】
EasyCount(登録商標)システム(国際出願第PCT/US03/04468号)は、蛍光画像化システムであり、リンパ球、顆粒球、単球を識別するために設計されている。そのシステムには、磁気的に標識した標的細胞または粒子を検出し列挙するための、小型電子光学機器、分析方法、画像取得、およびデータ整理アルゴリズムが含まれる。例として全血を用いる場合、1つ以上の標的特異的な蛍光染料(例えば、DNA染色染料)を用いて、血液細胞を蛍光標識する。強磁性粒子と接合したモノクローナル抗体とともにインキュベーションすることにより、血液サンプル中の目的の細胞または標的細胞を標識する。そのサンプルをその後、適切な光学検出チャンバーまたはコベット(covet)の中に入れる。そのチャンバーまたはコベットは、磁気標識細胞をチャンバーの平面な観察用表面の方に選択的に移動させるような傾斜磁場の中に、順番に入れられるものである。チャンバーの光学的に透明な表面上に、標的細胞を実質的に一様に集め、動かないようにする。1つ以上のLED(発光ダイオード)を用いて、この表面部分やその上の標識した標的細胞を照射する。その後、個々の標的細胞により発せられた光をCCD(電荷結合素子)により取り込む。取り込まれた光を発する細胞の数を計測し、データ出力を、チャンバー中の分析サンプルのマイクロリットル当たりの標的細胞と、また最終的には元の試料と関連付けるために、本願で開示する画像取得方法、処理方法、およびアルゴリズムを用いる。
【0007】
現在利用可能な方法は、フローサイトメトリーまたはイメージサイトメトリーにより、細胞の標的集団を評価するための、迅速で、低コストで、常に信頼性のある手段を提供していない。したがって、血液中の標的成分(例えば、がんまたは内皮細胞)を、急速かつ正確に検出することが、明らかに必要とされている。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明は、標的実体を積極的に選択し、画像化するための方法および手段である。これには、本発明のシステムにおいて磁気的に操作するための、被覆した永久磁石素子が含まれる。そのシステムは、標的実体を免疫磁気的に凝縮し、蛍光標識し、積極的な列挙により標的細胞を同定し定量するものである。事後の統計分析により、臨床医は潜在的な診断情報を入手することができる。
【0009】
具体的には、本発明は、免疫磁気的に画像化した後、疾患障害を診断するための装置、方法、および、キットを提供する。患者から全血サンプルを入手した後、その全血サンプルに小型永久磁石を加える。以前に説明されたCellSpotter Magnest配置と異なり、小型のNdFeB磁石を、CD4を免疫磁気的に標識しAOで蛍光染色した全血100 μLとともに、サンプル容器[例えば、CellTracks(登録商標)カートリッジ;米国特許第6,861,259号、同第7,011,794号]に直接加える。10分後、鉄製の棒または別の磁石を用いて、小型永久磁石をサンプルから引き出す。画像分析が可能なように、磁石を容器内に位置付ける。
【0010】
本発明の更なる実施態様は、反応チャンバー内の浮揚素子(フローター)に固定した磁石を有する。試薬、血液、および、フローターを加えた後、免疫磁気的に標識した標的細胞を、分析のための単一の画像化平面に沿って位置付ける。すべてが反応チャンバー内で行われる。
【0011】
〔発明の詳細な説明〕
血液の免疫磁気単離、濃縮、および、分析により、免疫磁気濃縮技術および免疫蛍光標識技術が、最初の採血後に、適切な分析プラットフォームと組み合わされる。関連した検査は、全血のサンプル中の希少細胞を検出するような感度と特異度を有し、上皮起源の悪性腫瘍のような疾患の臨床経過におけるそれらの役割を調査するための有用性を有する。
【0012】
この種類の技術により、循環腫瘍細胞(CTC)が、血液中に検出可能な量で存在することが示されて来た。
【0013】
免疫磁気的に濃縮されたサンプルを、CellSpotterおよびCellTracks(登録商標)システムにより分析するというような、イメージサイトメトリー分析は、蛍光に基づいた顕微鏡画像分析システムを利用する。それは、フローサイトメトリー分析と比較して、目標物を更に同定するために、事象の視覚化や、形態的特徴の評価を可能にするものである(米国特許第6,365,362号)。
【0014】
CellSpotterおよびCellTracks(登録商標)システムとは、血液から単離された細胞を自動的に列挙するための自動化された蛍光顕微鏡システムを言う。そのシステムは、統合されたコンピュータ制御の蛍光顕微鏡と、廃棄可能なサンプルカートリッジを保持するだろう磁気ヨークアッセンブリを有する自動化されたステージとを含む。その磁気ヨークは、サンプルチャンバー内の強磁性流体標識された候補腫瘍細胞が、顕微鏡観察のためのサンプルカートリッジの上方の観察用表面に、磁気的に局在することができるように設計されている。ソフトウェアは、サイトケラチンに対する抗体で標識された、上皮起源の標的細胞を、最終選択のためのオペレーターに提示する。
【0015】
標的細胞の単離を、本分野で既知の任意の手段により達成することができる。磁気分離後、免疫磁気的に連結した抗体に結合した細胞は、チューブの壁に磁気的に保持される。非結合サンプルをその後吸引し、サンプルを再懸濁するために等張液を加える。核酸染料、サイトケラチン(上皮細胞のマーカー)、およびCD45(広域スペクトルな白血球マーカー)に対するモノクローナル抗体を、サンプルとともにインキュベーションする。磁気分離後、非結合画分を再び吸引し、結合し標識した細胞を、等張液0.2 mLに再懸濁する。細胞提示チャンバー中にサンプルを懸濁し、蛍光顕微鏡試験のために磁気標識細胞を並べる場を有する磁気装置の中に入れる。細胞を自動的に同定して、候補となる標的実体を、チェックリスト列挙のためのオペレーターに提示する。列挙チェックリストは、完全細胞から構成される所定の形態基準から成る。
【0016】
本発明は、血液サンプル中の免疫磁気的に標識した標的実体に直接加えられる、小型磁石を利用する。画像化核酸染料、細胞膜、および/または細胞骨格免疫蛍光標識で、標的を更に標識する。例えば、図1は、全血サンプル中のCD4を発現した標的細胞を画像化するための方法を示している。CD4について免疫磁気的に標識し蛍光標識した後、小型のネオジム(NdFeB)永久磁石を全血サンプルに加える。10分後、観察用表面を通じて観察するためのサンプル容器内で、流体サンプルから小型永久磁石を分離する。
【0017】
1つの実施態様では、磁石は、直径1.6 mmおよび高さ0.8 mmの平円盤状のものである(図2参照)。本発明には、より小型の磁石が好ましい。この磁石を用いる際に、標的実体(細胞)が、磁石にのみ付着する。その細胞は単一焦点面にはなく、品質のよい画像を入手するのは難しい。PDMSシリコーンゴムでカプセル化された磁石を用いて、同じ方法が達成される。細胞は単一焦点面に沿って付着する。磁石の頂点にあるPDMSの層は、約1 mmである。PDMSの幅は、約3 mmである。
【0018】
懸濁液から出し入れするよう動かしている間に、磁石を失う機会が大きいため、磁石が細胞懸濁液から出し入れするよう、磁石を動かすための方法を設計する、更なる必要がある。その磁石は、細胞懸濁液から引き出すのに必要とされる力を減らすのに十分なほど小さくなければならない。動きの向きが磁力に対して垂直であるため、チャンバーの壁と磁石との摩擦力が大きすぎて、細胞懸濁液から磁石を引き出すことができないかもしれない。磁石に対する筐体の大きさが大きくなっても、細胞は磁石の極へと動き、検出を阻害するかもしれない。
【0019】
本発明で説明する更なる実施態様において、これらの問題を考える。図3は、本方法の基本的な工程を示す。図3Aに示すように、全ての側面が閉じた中空管の1つの面の内側上に、永久磁石が取り付けられている。磁石を取り付けた面は、所定の厚さ(d)を有する。表面は平らであるか、または、目的の目標物の捕集や視覚化を容易にし、流体中の干渉成分(すなわち、遊離している非結合磁気粒子)の影響を制限する構造を含むことができる。
【0020】
面の厚みは、その外側での細胞の広がりを決める。フローターの高さ/直径の比率は、そのフローターの外側領域における磁場の効果を決める。したがって、その比率は、磁場の影響を、およそ磁石を取り付けたフローターの外側の面に制限すべきである。
【0021】
平らな表面であり、光学的に透明な窓を有するチューブに、細胞懸濁液を注入する。蛍光標識とともに、免疫磁気粒子を加える。インキュベーション後、チューブの底に面した磁石を有するチューブの中に、永久磁石を含むフローターを挿入し、チューブを閉じる。
【0022】
あるいは、他の試薬と同時に、フローターを挿入することができる。試験チューブを逆さまにすることにより、フローターは流体の外側まで上昇する。流体の薄い層が、試験チューブとフローターとの間に残っているが、全量に対して無視できる。フローターの干渉または磁場の干渉を受けることなく、懸濁液を試薬とともにインキュベーションする。
【0023】
インキュベーション後、試験チューブ回転機、または、図3Bで示しているように、細胞懸濁液中でフローターを上下に動かせるような同様の装置に、チューブを置く。磁気標識した目標物(細胞)が完全に捕集できるほど十分な時間の後、チューブを回転機からはずしてさかさまに置き、チューブの平らな表面上の光学窓に向かって、フローターを上昇させる。標準的な蛍光顕微鏡を用いて、フローターの面に提示された細胞を、チューブの底を通じて画像化する。
【0024】
図4Aは、直径8ミクロンの緑色蛍光磁気ビーズ(Bangsビーズ)を示している。厚さ0.17ミリメートルの面を有する1/32”×1/16”(0.7938 mm×1.588 mm)ネオジム平円盤状永久磁石を用いて、ビーズをフローターの面上に集める。図4Bは、浮き上がった面上で画像化した磁気ビーズを示す。
【0025】
図5Aは、1/16”×1/4”(1.588 mm×6.350 mm)ネオジム円柱磁石を用いて、外側直径12 mmのフローターの面上に集めた、CD14-FFで選択した細胞のオーバーレイ画像、および、面の厚さカバーガラス2枚分(約0.34 mm)を示している。アクリジンオレンジの強度を、CD45-APC標識についての赤色と区別するために、緑色のシグナルとして示すことができる。図5Bは、フローター、チャンバー、およびチャンバーのキャップを示している。
【0026】
図5Aに示すとおり、各サンプル調製物について、血液200 μL(CellSave保存チューブ、Immunicon Corporation)を、CD14-FF(0.88 g/mL)10 μL、アクリジンオレンジ(1 mM)10 μL、CD45-APC 10 μLとともに、10分間ガラスチャンバー中でインキュベーションした。所定量までチャンバーを満たすように、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;2 mL)を加えた。チャンバーのガラス底に面した、磁石を含む側面を有するチャンバーに、フローターを加えた。確実に完全混合するように、チャンバーを回転させた。10分後、チャンバーを反転し、磁石の面上に集めた細胞を蛍光的に画像化した。
【0027】
〔実施例1〕
≪CD-Chex、捕集効率≫
捕集効率を決定するために、既知の白血球の絶対数、および、それらの表現型を有するCD-Chexを用いる。
【0028】
材料と方法:
CD-Chex(ロット番号60650071)
・CD3+:1,859個/μL
・CD3+/CD4+:1,221個/μL
・CD3+/CD8+:576個/μL
【0029】
CD-Chex 50 μLに、CD3-FF(クローンCris7)10 μL、CD4-APC 10 μL、CD8-PE 10 μLを加える。25分間のインキュベーション後、この溶液10 μLをチャンバーに注入する。DAPI 100μLとともに、PBS(1.8 mL)を加える。フローターをその後挿入する。ふたをした後、チャンバーをロッカーに置き、一晩(約16時間)回転させる。チャンバーを反転し、フローターの画像を取得する。
【0030】
結果:
100%の捕集効率には、フローター表面は以下を含む。
・CD3+:10,328個の細胞
・CD3+/CD4+:6,783個の細胞
・CD3+/CD8+:3,200個の細胞
【0031】
画像を異なる対物レンズにより取得し、結果のオーバーレイ画像が、図6に示すとおり提示される。図6Aは、5× NA 0.12対物レンズを用いて取得した画像を示している。図6Bおよび図6Cは、それぞれ10×, NA 0.25、および、40×, NA 0.6の対物レンズを用いて取得される。青色はDAPIを示し、緑色はCD8-PE、赤色はCD4-APCである。期待されるCD8-PE(緑色)標識細胞の数は3,200個であり、実際のCD8-PE標識細胞の数は約500個に相当するため、捕集効率は16%になるだろう。
【0032】
〔実施例2〕
≪永久磁石を用いる2つの方法間の比較≫
本発明で説明するように、細胞懸濁液に磁石を挿入し取り除く方法(方法1)、および、フローターに固定した永久磁石による方法(方法2)を用いて、CellTracks(登録商標)分析後の対照細胞を画像化することを決定する。
【0033】
材料と方法:
CellTracks(登録商標)システムを用いて分析した後、CellTracks(登録商標)カートリッジ由来の対照細胞を、図5Bと同様に、チャンバーへ移した。パスツールピペットを用いて、カートリッジをPBSで数回洗浄し、洗浄で用いたすべての流体(約500マイクロリットル)をチャンバーに移した。全量が2 mLになる容量まで、追加のPBSを加えた。バイアルをチューブ回転機上に置いた。回転速度を、1回の回転で流体全体の中をフローターが動く程度に設定した。完全混合後、Epcam強磁性流体50 μL、およびDAPI試薬[CellSearch(商標)、Veridex LLC]10μLとともに、対照細胞1.5 mLをバイアルに注入した。30分間のインキュベーション後、複数の時点で、画像を取得した。
【0034】
結果:
<方法1>
図7Aの画像は、40回転後の結果を示す。画像品質は、細胞を容易に計測するのに適している。緑色の細胞数は、多いもので556個の循環腫瘍細胞(CTC)、少ないもので47個のCTCに相当する。100回転後、大部分の細胞が、強磁性流体の層の下に埋まるようになる。この時点では、細胞は見えなくなり、計測することができない。
【0035】
<方法2>
図7Bの画像は、500回を超える回転後取得された。強磁性流体のより少ない量にも関わらず、画像品質は、細胞を計測するのになお十分である。細胞数は、以下のとおり:多いもので435個、少ないもので23個が期待されたが、多いもので209個、少ないもので25個である。したがって、回収率は、多いものについては45%、少ないものについては100%である。
【0036】
〔実施例3〕
≪強磁性流体の量≫
強磁性流体が増える場合の画像の品質を決定する。強磁性流体の量が多くなるにつれ、画像品質は低下する。細胞が強磁性流体の層の下に埋まり、検出のために見えなくなる。このために、一部、低い回収率となる。
【0037】
材料と方法:
COMPEL磁気ミクロスフェア(ドラゴングリーン、2.914×107個/mL、直径8.44ミクロン、ロット番号6548)(Bangs Laboratories Inc、カタログコードUMC4F)を、1:100希釈した。システムバッファー(1.5 mL)をガラスバイアルに加え、EpCam強磁性流体(20 mg/mL)20マイクロリットル、40マイクロリットル、60マイクロリットル、および80マイクロリットルとともに、14570個のビーズを含む50マイクロリットルを加えた。15分および30分の回転後、蛍光画像を取得した。試験チューブ回転機を10 rpmに設定し、結果的に150回転および300回転した。
フローターは、Corning直径1/16”(1.588 mm)磁石である。
【0038】
結果:
5×および40×対物レンズにより、画像を取得する。図8に示すように、EpCam 20マイクロリットル、40マイクロリットル、60マイクロリットル、および80マイクロリットルを画像化するために、5×および40×対物レンズを用いた。図8に示す消失した画像は、保存中に失われた。
【0039】
〔実施例4〕
≪捕集効率の評価≫
異なる大きさの磁石の捕集効率を決定する。
【0040】
材料と方法:
<方法A>
1.対照細胞を有するCellTracksカートリッジを分析した後、カートリッジの内容物を空にした。2つのカートリッジの内容物をプールした。カートリッジから取り除かれた対照細胞の正確な数は、ガラスにくっつくものもあるため、不明である。この細胞懸濁液100 μLを試験チューブに移し、PBS 1.5 mLを加えた。
2.4つのチューブが満たされ、うち2つに、Corning直径1/16”(1.588 mm)長さ1/4”(6.350 mm)磁石のフローターを用い、他の2つに、Corning直径1/16”(1.588 mm)長さ1/2”(12.70 mm)を用いた。
3.チューブ回転機に30分間、チューブを置いた。回転速度は10 rpmである。
4.試験チューブからフローターを取り除き、四重極磁石中に10分間置いた。10分後、流体を取り除き、PBS 300マイクロリットルで置換した。チューブを取り除き、ボルテックスした。
5.300マイクロリットルをカートリッジへ移し、流体中に何個の細胞が残っているか調べるために、CellTracks(登録商標)システムで、カートリッジを再調査した。
6.フローター上の細胞数を、残っている流体の再調査で見つかった細胞数で割ることにより、効率を計算した。
【0041】
結果:
【表1】

【0042】
<方法B>
1.対照細胞を有するCellTracksカートリッジを分析した後、カートリッジの内容物を空にした。多くの細胞数が必要な場合、カートリッジをプールすることができる。カートリッジから取り除かれた対照細胞の正確な数は、ガラスにくっつくものもあるため、不明である。この細胞懸濁液100 μLを試験チューブに移し、PBS 1.5 mLを加えた。
2.2種類のフローターは、Corning直径1/16”(1.588 mm)長さ1/4”(6.350 mm)磁石、および、Corning直径1/16”(1.588 mm)長さ1/2”(12.70 mm)である。
3.チューブ回転機に15分間、チューブを置いた。回転速度は10 rpmである。
4.チューブからフローターを取り除き、四重極磁石の内側に10分間、残っている流体を有するチューブを置いた。10分後、流体を取り除き、PBS 300マイクロリットルで置換した。四重極からチューブを取り除き、ボルテックスした。
5.300マイクロリットルをCellTracksカートリッジへ移し、Magnestの内側へ置き、15分後、CellTracksで再調査した。
6.フローター上の細胞数を、残っている流体の再調査で見つかった細胞数で割ることにより、効率を計算した。
【0043】
結果:
【表2】

【0044】
<方法C>
1.対照細胞を有するCellTracksカートリッジを分析した後、カートリッジの内容物を空にした。多くの細胞数が必要な場合、カートリッジをプールすることができる。カートリッジから取り除かれた対照細胞の正確な数は、ガラスにくっつくものもあるため、不明である。
2.装置バッファーで、細胞懸濁液を2倍希釈し、この細胞懸濁液100 μLを試験チューブに移し、PBS 1.5 mLを加えた。
3.2種類のフローターは、Corning直径1/16”(1.588 mm)長さ1/4”(6.350 mm)磁石、および、Corning直径1/16”(1.588 mm)長さ1/2”(12.70 mm)である。
4.チューブ回転機に、チューブを置いた。回転速度は10 rpmである。
5.1分、2分、3分、4分、5分、7分、10分、および15分の時点で、収集した細胞数を判定した。
6.細胞をDAPIおよびDIOCで同定した。
【0045】
結果:
図9のグラフは、時間の関数として、収集した細胞数を示す。
【0046】
本発明の好ましい特定の実施態様が上記に示され例示されているが、本発明をこれらの実施態様に限定することを意図するものではない。本発明の精神から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよいし、その改良の完全な範囲が、本願の特許請求の範囲に記されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】画像化容器にCellSpotterカートリッジを用いて、標的細胞を免疫磁気的に画像化する際の工程である。
【図2】小型磁石の1つの実施態様の略図である。パネル1は、標的実体(細胞)を示す。パネル2は、PDMSシリコーンゴムで被覆した磁石上に並んだ標的実体を示す。
【図3】(A)は、1つの面に付着した永久磁石を有するフローターの設計を示す。(B)は、画像化のための平らな光学的に透明な窓を有するチューブチャンバーの内側のフローターを示す。
【図4】(A)は、フローターの面上の蛍光ビーズの画像である。面の厚さは、0.17ミリメートルである。(B)は、フローターの面上の磁気ビーズの画像である。面の厚さは、0.7ミリメートルである。
【図5】(A)は、アクリジンオレンジ(緑色で示す)およびCD45-APC(赤色で示す)で染色後、CD14-FF選択した細胞の画像を示す。(B)は、左から右に、フローター、容量を示す線を引いたチャンバーを有するチューブ、およびチャンバーのキャップである。
【図6】異なる3つの対物レンズを用いて取得された蛍光画像である。(A)は、5×, NA 0.12対物レンズを用いて取得された画像である。(B)は、10×, NA 0.25を用いて取得された画像であり、(C)は、40×, NA 0.6対物レンズを用いた画像である。青色はDAPIを示し、緑色はCD8-PE、赤色はCD4-APCである。
【図7】2つの方法により入手した画像である。(A)は、方法1を用いて、40回転後、入手した結果を示す。(B)は、方法2により、500回転後、入手した結果を示す。
【図8】EpCam強磁性流体(20 mg/mL)20マイクロリットル、40マイクロリットル、60マイクロリットル、および、80マイクロリットルを加えて、5×および40×対物レンズにより入手した画像である。
【図9】小型の磁石(1/16×1/4”)および大型の磁石(1/16×1/2”)を用いて、時間の関数として収集した細胞数を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物試料内の標的集団を検出し、列挙するための方法において、
a.被験者から前記生物試料を入手することと、
b.前記生物試料内の前記標的集団を、蛍光マーカーで標識することであって、前記マーカーが前記標的集団に特異的である、標識することと、
c.前記標的集団を、磁気粒子と連結させることと、
d.小型永久磁石を、前記試料に直接加えることと、
e.標識された前記標的集団を単離することであって、前記単離することが、前記標的集団を含む前記磁石を、前記試料から取り除くことを含む、単離することと、
f.前記標的集団の画像を取得することと、
g.標識された前記標的集団を検出し列挙するために、前記画像を分析することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記標的集団がCD4発現細胞である、請求項1に記載の標的集団。
【請求項3】
前記磁石がネオジムである、請求項1に記載の小型永久磁石。
【請求項4】
前記磁石が、直径約1.6 mmおよび高さ0.8 mmの平円盤状のものである、請求項1に記載の小型永久磁石。
【請求項5】
PDMSシリコーンで被覆された、請求項1に記載の小型永久磁石。
【請求項6】
生物試料内の標的集団を検出し、列挙するための方法において、
a.チャンバーの中に、前記生物試料を入手することと、
b.前記生物試料内の前記標的集団を、蛍光マーカーで標識することであって、前記マーカーが前記標的集団に特異的である、標識することと、
c.前記標的集団を、磁気粒子と連結させることと、
d.小型永久磁石を含むフローターを、前記試料に直接加えることと、
e.前記フローターを、前記チャンバーの観察窓に沿って安定させることと、
f.前記標的集団の画像を取得することと、
g.標識された前記標的集団を検出し列挙するために、前記画像を分析することと、
を含む、方法。
【請求項7】
生物試料内の標的集団を検出し、列挙するための装置において、
a.試料収集チューブであって、前記チューブが、1つの面に光学的な観察用の表面を有する、試料収集チューブと、
b.前記チューブ内に永久磁石を含む、フローターと、
c.前記収集チューブのためのキャップと、
を備える、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−192539(P2009−192539A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−32033(P2009−32033)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(505060347)ベリデックス・エルエルシー (43)
【氏名又は名称原語表記】Veridex,LLC
【住所又は居所原語表記】33 Technology Drive,Warren,NJ 07059,U.S.A.
【Fターム(参考)】