説明

永久磁石回転機

【課題】永久磁石を多層状に埋め込んだ永久磁石回転機の効率を向上させる技術を提供する。
【解決手段】回転子50の主磁極部には、磁石挿入孔55a、57a、〜55d、57dが多層状に形成されている。回転子50の外周面は、主磁極部のd軸と交差する第1の外周面50A〜50Dと、補助磁極部のq軸と交差し、第1の外周面50A〜50Dの曲率半径より大きい曲率半径を有する第2の外周面50AB〜50DAにより形成されている。同じ主磁極部内に隣接して設けられている層の磁石挿入孔のうち、外周側の層の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部と、中心側の層の磁石挿入孔の端壁のq軸側端部の間の長さは、ティース先端面の長さより長く設定されている。及び/または、補助磁極部を挟んで対向して設けられている層の磁石挿入孔の一方及び他方の端壁のd軸側端部間の長さは、ティース先端面の周方向の長さより長く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石回転機、特に、回転子に設けられた磁石挿入孔に永久磁石が挿入される永久磁石回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン(空調装置)や冷蔵庫等の圧縮機を駆動する電動機、車両や車載装置等を駆動する電動機等として、磁石挿入孔に永久磁石が挿入された(埋め込まれた)回転子、すなわち永久磁石埋込構造の回転子を備える永久磁石電動機(「永久磁石埋込型電動機」)が用いられている。
永久磁石埋込型電動機は、ティースが設けられている固定子と、ティースのティース先端面と間隙(エアギャップ)を介して配置されている回転子を備えている。回転子には、軸方向に直角な断面で見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されている。主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が設けられている。
永久磁石埋込型電動機の出力トルクTは、以下の式で表される。
T=p[φ・Iq+(Ld−Lq)Id・Iq]
ここで、pは極対数、φは磁束量、Idはd軸電流、Iqはq軸電流、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンスである。
この式から分かるように、永久磁石埋込型電動機は、磁束量φによるマグネットトルクと、インダクタンス差(Ld−Lq)によるリラクタンストルクの両方を利用することができる。これにより、少ない電流で駆動することができ、効率が向上する。
【0003】
ところで、永久磁石埋込型電動機は、起電力波形に含まれる高調波成分が多い。このため、以下の短所がある。
永久磁石埋込型電動機の制御方式として、エンコーダやレゾルバ等の回転子の回転位置を検出するための回転子位置検出センサを用いないセンサレス制御方式が普及している。このセンサレス制御方式では、例えば、起電力波形が正弦波形であると仮定し、入力電圧と入力電流を用いて回転子の回転位置を検出している。このようなセンサレス制御方式では、起電力波形に含まれる高調波成分が多くなると、回転子の回転位置の検出精度が低下する。この場合、最適な制御を行うことができなくなるため、効率が低下する。
また、起電力波形に含まれる高調波成分によって鉄損が増大する。この鉄損の増加により効率が低下する。
そこで、本発明者らは、起電力波形に含まれる高調波成分を低減することができる永久磁石回転機を開発し、提案した(特許文献1、2参照)。この永久磁石回転機では、回転子の外周面は、主磁極部のd軸と交差する第1の曲線形状の外周面と、補助磁極部のq軸と交差し、第1の曲線形状の外周面の曲率半径より大きい曲率半径を有する第2の曲線形状の外周面により形成されている。
【特許文献1】特開2004−260972号公報
【特許文献2】特開2005−86955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、永久磁石を挿入する磁石挿入孔を多層状に設けることにより、出力トルクを高めることができる。本発明者らは、永久磁石が多層状に設けられた永久磁石回転機に、前記した、回転子の外周面を曲率半径が異なる第1の外周面と第2の外周面により形成する技術を用いることについて検討した。前記技術では、起電力波形に含まれる高調波成分を低減するためにq軸付近の間隙(エアギャップ)を大きくしている。q軸付近の間隙が大きくなると、q軸インダクタンスが小さくなり、リラクタンストルクが小さくなって電流が増加する。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、多層構造の永久磁石回転において、起電力波形に含まれる高調波を低減しながら、q軸インダクタンスを大きくすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様は、固定子と、回転子を備え、固定子には、回転子と対向する箇所にティース先端面を有するティースが設けられており、回転子には、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されており、主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が多層状に設けられている永久磁石回転機に関する。磁石挿入孔の形状、数、配設位置等は適宜選択することができる。また、磁石挿入孔に挿入する永久磁石の形状、数、挿入位置等は適宜選択することができる。
回転子の外周面は、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部のd軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第1の曲線形状を有する第1の外周面と、補助磁極部のq軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第2の曲線形状を有する第2の外周面により形成されている。そして、第2の曲線形状の曲率半径は、第1の曲線形状の曲率半径より大きく設定されている。このように、q軸と交差する第2の外周面の曲率半径を、d軸と交差する第1の外周面の曲率半径より大きく設定することにより、起電力波形に含まれる高調波を低減することができる。特に、主磁極部に隣接して設けられている層の磁石挿入孔の端壁間の箇所が第2の外周面に対向する位置に配設することによって、多層構造の永久磁石回転機において、起電力波形に含まれる高調波を効果的に低減することができる。
そして、同じ主滋極部内に隣接して設けられている層の磁石挿入孔のうち、外周側の層の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部と、中心側の層の磁石挿入孔の端壁のq軸側端部の間の長さが、ティース先端面の周方向の長さより長く設定されている。これにより、隣接する層のうち、外周側の層の磁石挿入孔の外周側と補助磁極部との間に短絡磁束が流れるのを防止することができるため、補助磁極部に対する箇所のエアギャップを小さくすることができ、リラクタンストルクを大きくすることができる。
本発明では、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップを大きくすることにより起電力波形に含まれる高調波を低減しながら、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップを小さくしてリラクタンストルクを大きくすることができる。
【0006】
前記構成に加えて、異なる主磁極部に設けられている層の磁石挿入孔のうち、補助磁極部を挟んで対向して設けられている層の一方及び他方の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部間の長さをティース先端面の周方向の長さより長く設定する構成を用いることができる。この構成を用いることにより、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁間と、他の主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁間の間に短絡磁束が流れるのを防止することができる。これにより、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップをさらに小さくすることができる。したがって、永久磁石回転機の効率をより向上させることができる。
【0007】
本発明の他の態様は、固定子と、回転子を備え、固定子には、回転子と対向する箇所にティース先端面を有するティースが設けられており、回転子には、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されており、主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が多層状に設けられている永久磁石回転機に関する。
回転子の外周面は、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部のd軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第1の曲線形状を有する第1の外周面と、補助磁極部のq軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第2の曲線形状を有する第2の外周面により形成されている。そして、第2の曲線形状の曲率半径は、第1の曲線形状の曲率半径より大きく設定されている。このように、q軸と交差する第2の外周面の曲率半径を、d軸と交差する第1の外周面の曲率半径より大きく設定することにより、起電力波形に含まれる高調波を低減することができる。特に、主磁極部に隣接して設けられている層の磁石挿入孔の端壁間の箇所が第2の外周面に対向する位置に配設することによって、多層構造の永久磁石回転機において、起電力波形に含まれる高調波を効果的に低減することができる。
そして、補助磁極部を挟んで対向して設けられている層の一方及び他方の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部間の長さが、ティース先端面の周方向の長さより長く設定されている。この構成を用いることにより、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁間と、他の主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁間の間に短絡磁束が流れるのを防止することができる。これにより、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップを小さくすることができ、リラクタンストルクを大きくすることができる。
本発明では、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップを大きくすることにより起電力波形に含まれる高調波を低減しながら、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップを小さくしてリラクタンストルクを大きくすることができる。
【0008】
第1の外周面は、d軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成するのが好ましい。また、第2の外周面は、q軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成するのが好ましい。これにより、第1の外周面及び第2の外周面を容易に形成することができる。
【0009】
さらに、第1の外周面は、回転子の中心を曲率中心とする円弧形状に形成するのが好ましい。また、第2の外周面は、回転子の中心より第2の外周面と反対方向に離れた位置を曲率中心とする円弧形状に形成するのが好ましい。これにより、第1の外周面及び第2の外周面をより容易に形成することができる。また、補助磁極部に対応する箇所におけるエアギャップを滑らかに変化させることができるとともに、第1の外周面と第2の外周面の境界部での変化を抑えることができる。したがって、起電力波形に含まれる高調波を効果的に低減することができる。
【0010】
軸方向に交差する方向から見て、同じ主磁極部に隣接して設けられている層のうち、中心側の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の長さを、外周側の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の長さより長く設定することができる。「永久磁石の長さ」は、軸方向に交差する方向から見て、磁石挿入孔に沿った長さを意味する。
多層構造の永久磁石回転機では、主磁極部中央部分から流出入する磁束と、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁間(層間)から流出入する磁束によるマグネットトルクを利用している。主磁極部中央部から流出入する磁束は、主磁極の隣接する層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石から流出入する磁束の和に対応する。一方、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁間(層間)から流出入する磁束は、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石から流出入する磁束の差に対応する。このため、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石それぞれから流出入する磁束が異なるように構成される。一般的には、中心側の層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石から流出入する磁束から、外周側の層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石から流出入する磁束を減算した磁束が流出入するように構成される。本発明では、隣接する層の磁石挿入孔に挿入される永久磁石の長さを変えているため、同じ特性の永久磁石を用いることができる。
【0011】
隣接する磁石挿入孔に挿入されている永久磁石それぞれから流出入する磁束を変える方法としては、異なる特性を有する永久磁石を隣接する磁石挿入孔に挿入する方法を用いることもできる。この方法を用いる場合には、隣接する層の永久磁石として同じ長さの永久磁石を用いることができる。勿論、隣接する層の磁石挿入孔に、特性及び長さが異なる永久磁石を挿入することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の技術を用いることにより、起電力波形に含まれている高調波波形を低減しながら、q軸付近の間隙を低減してq軸インダクタンスを大きくすることができる。これにより、多層構造の永久磁石回転機の効率を向上させることがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
永久磁石電動機30を用いた圧縮機の一例の構成を図1、図2に示す。図1は、圧縮機10の縦断面図である。図2は、図1に示した永久磁石電動機30の回転子50の縦断面図である。なお、図1には、一層構造の永久磁石電動機30が示されている。以下に説明する本発明の実施の形態の多層構造の永久磁石電動機は、図1に示されている一層構造の永久磁石電動機30に替えて用いられる。
圧縮機10は、圧縮機構部20と、永久磁石電動機30と、アキュムレータ70等により構成されている。圧縮機20と永久磁石電動機30は、密閉容器11内に配置されている。密閉容器11には、吸入管71と、吐出管12が設けられている。
【0014】
アキュムレータ70は、冷却媒体(例えば、冷却ガス)と潤滑油を分離する。アキュムレータ70で分離された冷却媒体は、吸入管71を介して圧縮機構部20に戻される。また、アキュムレータ70で分離された潤滑油は、潤滑油溜め25に戻される。
圧縮機構部20は、シリンダ21と、回転軸60により駆動される偏心ロータ22を有している。圧縮機構部20は、偏心ロータ22の回転によって、吸入管71から吸入した冷却媒体をシリンダ21内で圧縮する。
圧縮機構部20で圧縮された冷却媒体は、永久磁石電動機30の固定子40に形成されている通路(溝、孔、切欠)、回転子50に形成されている通路孔、固定子40と回転子50との間の間隙(エアギャップ)等を通り、吐出管12から吐出される。
また、回転軸60の回転によって、潤滑油溜め25に貯留されている潤滑油が圧縮機構部20の摺動部に供給される。摺動部を潤滑した潤滑油は、潤滑油留め25に戻される。
図1に示す圧縮機10では、冷却媒体と潤滑油が混在した媒体が吐出管12から吐出される。
【0015】
永久磁石電動機30は、固定子40と回転子50を備えている。
固定子40は、薄い板状の電磁鋼板を複数枚積層して形成される。固定子40には、図3に示すように、内周側にティース42が設けられている。固定子40の外周形状は、適宜決定される。ティース42は、ティース本体部42aと、ティース本体部42aの先端から周方向の両側に延びるティース端部42b、42cにより構成されている。そして、回転子50の外周面と対向する箇所には、ティース端部42bと42cに跨るティース先端面42dが設けられている。
ティース42によって、スロット43が形成されている。スロット43内には、固定子コイル41(図1参照)が、典型的には、分布巻方式や集中巻方式によって収容される。
【0016】
回転子50は、筒形状を有し、固定子40の内周側に回転可能に配設される。この時、回転子50の外周面と固定子40のティース42のティース先端面42dとの間の間隙(エアギャップ)は、所定範囲に設定される。
回転子50は、薄い板状の電磁鋼板を複数枚積層して形成される。回転子50には、図2に示すように、回転軸挿入孔59、磁石挿入孔51、カシメピン挿入孔55が、回転子50の軸方向に形成されている。
なお、図2には示されていないが、回転子50には、通路孔(例えば、図3の59a1、59a2〜59d1、59d2、59ab〜59da)が、回転子50の軸方向に形成されている。
回転軸挿入孔59には、回転軸60が挿入される。例えば、回転軸60の外径を回転軸挿入孔59の内径より大きく形成する。そして、回転軸60を、例えば、「圧入方法」あるいは「焼ばめ方法」によって回転軸挿入孔59に挿入する。「焼ばめ方法」を用いる場合には、回転子50を加熱した後に、回転軸挿入孔59に回転軸60を挿入する。「圧入方法」を用いる場合には、回転軸60に強力な力を加えることによって、回転軸60を回転軸挿入孔59に挿入する。
磁石挿入孔51には、永久磁石52が挿入される。
積層体の軸方向両端部には、端板53が配設される。そして、カシメピン挿入孔55に挿入されたカシメピン56によって、積層体と端板53が一体化される。54は、圧縮機構部20の偏心ロータ22のアンバランス量を調整するためのバランスウェイトである。
なお、各電磁鋼板には、各電磁鋼板を積層する際に、各電磁鋼板を固定するためのかしめが形成される。
【0017】
次に、本実施の形態の永久磁石電動機の構成を以下に説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の永久磁石電動機30の固定子40と回転子50の構成を図3に示す。図3は、固定子40と回転子50を、軸方向に交差する方向(例えば、直角な方向)から見た断面図(横断面図)である。
本実施の形態では、磁極数が4(極対数が2)である回転子50を用いている。また、固定子巻線は分布巻方式で巻かれている。以下に説明する他の実施例においても同様である。
【0018】
回転子50は、軸方向に交差する方向(例えば、直角な方向)から見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されている。主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が設けられている。
以下では、各主磁極部を[a]、[b]、[c]、[d]で表し、各補助磁極部を[ab]、[bc]、[cd]、[da]で表す。そして、主磁極部[a]〜[d]に設けられている要素には記号a〜dあるいはA〜Dを付し、補助磁極部[ab]〜[da]に設けられている要素には記号ab〜daあるいはAB〜DAを付している。
主磁極部[a]〜[d]と補助磁極部[ab]〜[da]を周方向に交互に配置することにより、主磁極部[a]〜[d]に設けられている磁石挿入孔に挿入された永久磁石から流出入する磁束によって発生するマグネットトルクと、補助磁極部[ab]〜[da]の突極性によって発生するリラクタンストルクの両方を利用することができる。
また、以下では、回転軸挿入孔59の中心(回転子50の中心O)と主磁極部[a]〜[d]の周方向中心とを結ぶ線を「主磁極部の中心線」あるいは「d軸」と言い、回転軸挿入孔59の中心(回転子50の中心O)と補助磁極部[ab]〜[da]の周方向中心とを結ぶ線を「補助磁極部の中心線」あるいは「q軸」と言う。
【0019】
回転子50の外周面は、軸方向に交差する方向(例えば、直角な方向)から見て、第1の外周面50A〜50Dと第2の外周面50AB〜50DAにより構成されている。
第1の外周面50A〜50Dは、主磁極部[a]〜[d]に対応している。第1の外周面50A〜50Dは、回転子50の中心Oと主磁極部[a]〜[d]の周方向中心部とを結ぶ線(d軸)と交差し、突部側が外周方向を向いた第1の曲線形状に形成されている。
第2の外周面50AB〜50DAは、補助磁極部[ab]〜[da]に対応している。第2の外周面50AB〜50DAは、回転子50の中心Oと補助磁極部[ab]〜[da]の周方向中心部とを結ぶ線(q軸)と交差し、突部側が外周方向を向いた第2の曲線形状に形成されている。なお、第2の外周面50AB〜50DAは、第1の外周面50A〜50Dより大きい曲率半径を有している。
第1の外周面50Aと第2の外周面50AB、50DAは、接続点50A1、50A2で接続されている。他の第1の外周面と第2の外周面も同様に接続されている。
本実施の形態では、第1の外周面50A〜50Dは、回転子50の中心Oを中心とし、曲率半径Rd(=回転子50の半径R)を有する円弧形状に形成されている。また、第2の外周面50AB〜50DAは、回転子50の中心Oから、第2の外周面50AB〜50DAより反対方向に離れた位置(例えば、外周面50CDの場合は、点Q)を曲率中心とし、曲率半径Rdより大きい曲率半径Rq(Rq>Rd)を有する円弧形状に形成されている。なお、第1の外周面50A〜50Dの曲率中心は、厳密に回転子50の中心Oでなくてもよく、回転子50の中心Oの近傍であってもよい。すなわち、「回転子50の中心Oを中心とする」という記載は、「回転子50の中心Oの近傍の位置を中心とする」概念を包含している。
第1の外周面50A〜50Dの第1の曲線形状及び第2の外周面50AB〜50DAの第2の曲線形状は、円弧形状以外の曲線形状であってもよい。
主磁極部[a]〜[d]に対応する第1の外周面50A〜50Dが、本発明の「第1の曲線形状を有する第1の外周面」に対応する。また、補助磁極部[ab]〜[da]に対応する第2の外周面50AB〜50DAが、本発明の「第2の曲線形状を有する第2の外周面」に対応する。
主磁極[a]〜[d]に対応する外周面50A〜50Dの曲線形状や、補助磁極部[ab]〜[da]に対応する外周面50AB〜50DAの曲線形状は、円弧形状に限定されない。
【0020】
補助磁極部[ab]〜[da]に対応する第2の外周面50AB〜50DAの曲率半径を、主磁極部[a]〜[d]に対応する第1の外周面50A〜50Dの曲率半径より大きく設定することにより、補助磁極部[ab]〜[da]のq軸付近の間隙(エアギャップ)Gq(図3参照)を、主磁極部[a]〜[d]のd軸付近の間隙(エアギャップ)Gd(図3参照)より大きくすることができる(Gq>Gd)。また、回転子50の外周面の形状が、第1の外周面50A〜50Dと第2の外周面50AB〜50DAの境界部で急激に変化しない。特に、本実施の形態では、第1の外周面50A〜50Dを、回転子50の中心Oを中心とし、曲率半径Rdを有する円弧形状に形成している。また、第2の外周面50AB〜50DAを、回転子50の中心Oから、第2の外周面50AB〜50DAより反対方向に離れた(ずれた)位置Qを中心とし、曲率半径Rqを有する円弧形状に形成している。このため、第1の外周面50A〜50Dと第2の外周面50AB〜50DAの境界部での急激な変化が効果的に抑制されている。
このように、第2の外周面50AB〜50DAに対応する箇所のエアギャップは、q軸に対応する箇所から周方向に沿って、q軸に対応する箇所のエアギャップGqからd軸に対応する箇所のエアギャップGdに徐々に減少している。したがって、第1の外周面50A〜50Dと第2の外周面50AB〜50DAの境界部が固定子40のティース42が配置されている箇所を通過する時に、固定子40のティース42に流れる磁束の急激な変化が抑制される。ティース42に流れる磁束の急激な変化が抑制されることにより、固定子巻線41の誘起電圧に含まれる高調波成分の増加が抑制される。これにより、入力電圧と入力電流に基づいて回転子の位置を検出するセンサレス制御方式を用いて永久磁石電動機を制御する場合でも、回転子の回転位置を精度よく検出することができる。したがって、固定子巻線に流れる電流を最適に制御することができ、永久磁石電動機の効率を向上させることができる。
なお、第1の外周面50A〜50Dを回転子50の中心Oを中心とする円弧形状に形成した場合には、第1の外周面50A〜50Dに対応する区間では、第1の外周面50A〜50Dとティース先端面との間の間隙(エアギャップ)は小さく、且つ一定である。これにより、第1の外周面50A〜50Dに対応する区間では、磁束はティース42を円滑に流れることができる。
【0021】
回転子50の主磁極部[a]〜[d]には、磁石挿入孔が多層状に設けられている。本実施の形態では、磁石挿入孔が2層設けられている。
主磁極部[a]〜[d]に設けられている磁石挿入孔は同じ形状であるため、主磁極部[a]に設けられている磁石挿入孔について説明する。
主磁極部[a]には、軸方向に交差する方向から見て、径方向に沿って第1及び第2の層の磁石挿入孔が設けられている。すなわち、径方向の中心側に第1の層の磁石挿入孔55aが設けられ、径方向の外周側に第2の層の磁石挿入孔57aが設けられている。
第1の層の磁石挿入孔55aは、d軸に交差する方向に延びている中央部と、中央部の両端部から外周方向にq軸に沿って延びている第1及び第2の外周部により構成されている。本実施の形態では、磁石挿入孔55aの中央部は、d軸に直交する方向に延びている中央壁55a1と55a2により形成されている。また、第1の外周部は、中央壁55a1、55a2の一方側の端部から外周方向にq軸に沿って延びている側壁55a3及び55a4と、側壁55a3と55a4の外周側の端部間に、回転子の外周面に沿って設けられている端壁55a7により形成されている。また、第2の外周部は、中央壁55a1、55a2の他方側の端部から外周方向にq軸に沿って延びている側壁55a5及び55a6と、側壁55a5と55a6の外周側の端部間に、回転子の外周面に沿って設けられている端壁55a8により形成されている。
第2の層の磁石挿入孔57aも、第1の層の磁石挿入孔55aと同様に、d軸に交差する方向に延びている中央部と、中央部の両端部から外周方向にq軸に沿って延びている第1及び第2の外周部により構成されている。磁石挿入孔57aの中央部は、中央壁57a1と57a2により形成されている。また、第1の外周部は、中央壁57a1、57a2の一方側の端部から外周方向に延びている側壁57a3及び57a4と、側壁57a3と57a4の外周側の端部間に設けられている端壁57a7により形成されている。また、第2の外周部は、中央壁57a1、57a2の他方側の端部から外周方向に延びている側壁57a5及び57a6と、側壁57a5と57a6の外周側の端部間に設けられている端壁57a8により形成されている。
主磁極部[b]〜[d]にも、主磁極部[a]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55a及び57aと同様の形状の第1及び第2の層の磁石挿入孔55b及び57b、55c及び57c、55d及び57dが設けられている。
磁石挿入孔55a、57a〜55d、57dの端壁55a7、55a8、57a7、57a8〜55d7、55d8、57d7、57d8と回転子50の外周面との間には、ブリッジが設けられている。これにより、遠心力に対する回転子50の強度を高めることができる。
以上のように、本実施の形態では、主磁極部[a]〜[d]には、軸方向に交差する方向から見て、中心側に向けて突状(外周方向に向けて凹状)に形成されている台形形状を有する第1及び第2の層の磁石挿入孔55a及び57a〜55d及び57dが、径方向に沿って設けられ、2層構造を有している。
【0022】
主磁極部[a]〜[d]の磁石挿入孔55a、57a〜55d、57dには、永久磁石56a、58a〜56d、58dが挿入される。永久磁石としては、フェライト磁石や希土類磁石等が用いられる。
本実施の形態では、主磁極部[a]〜[d]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55a及び57a〜55d及び57dの中央部に永久磁石56a及び58a〜56d及び58dが挿入される。永久磁石56a及び58a〜56d及び58dは、軸方向に直角な断面形状が長方形に形成されている。
永久磁石56a、58a〜56d、58dは、磁石挿入孔55a、57a〜55d、57dと永久磁石56a、58a〜56d、58dとの間に隙間が形成されるように挿入される。例えば、「隙間ばめ方法」を用いて挿入される。「隙間ばめ方法」を用いて永久磁石を磁石挿入孔に挿入することにより、「圧入方法」や「焼ばめ方法」を用いて挿入する場合に比べて、永久磁石を磁石挿入孔に簡単に挿入することができる。これにより、永久磁石が割れたり、欠けたりすることがない。
【0023】
主磁極[a]〜[d]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55a、57a〜55d、57dに挿入された永久磁石は、隣接する主磁極部の極性が異なるように磁化される。例えば、図4に示されているように、主磁極部[a]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55a及び57aに挿入された永久磁石56a及び58aは、中心側がS極、外周側がN極になるように着磁される。一方、主磁極部[a]に隣接する主磁極部[d]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55d及び57dに挿入された永久磁石56d及び58dは、中心側がN極、外周側がS極になるように着磁される。これにより、N極の主磁極部とS極の主磁極部が周方向に交互に配置される。
永久磁石を磁化する方法としては、例えば、回転子50の回転軸挿入孔59に回転軸60を挿入した後、回転子50と対向する固定子40の固定子コイル41に着磁用電流を流す方法を用いることができる。
【0024】
前述したように、多層構造の永久磁石電動機では、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石それぞれから流出入する磁束の差に対応するマグネットトルクを利用している。例えば、図6に示すように、主磁極部[a]の第1の層の永久磁石56aから流出入する磁束の量(磁束量)がN1、第2の層の永久磁石58aから流出入する磁束の量(磁束量)がS2である場合には、(N1−S2)の磁束量が主磁極部[a]の隣接する層の磁石挿入孔の端壁間(層間)から流出入する。
本実施の形態では、軸方向に交差する方向から見て、主磁極部[a]〜[d]の第1及び第2の層のうち、中心側の第1の層の磁石挿入孔55a〜55dに挿入されている永久磁石56a〜56dの長さが、外周側の第2の層の磁石挿入孔57a〜57dに挿入されている永久磁石58a〜58dの長さより長くなるように構成されている。ここで、「永久磁石の長さ」は、軸方向に交差する方向から見て、磁石挿入孔に沿った長さを意味している。これにより、主磁極部[a]〜[d]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55a、57a〜55d、57dに同じ特性を有する(例えば、同じ磁束密度を有する)永久磁石を挿入した場合でも、第1及び第2の層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石から流出入する磁束を異ならせることができる。
なお、主磁極部[a]〜[d]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55a、57a〜55d、57dに、それぞれ異なる特性を有する(例えば、磁束密度が異なる)永久磁石を挿入することもできる。
また、隣接する層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石それぞれから流出入する磁束を異なるものとする態様としては、種々の態様を用いることができる。例えば、図9に示すように、中心側の第1の層の磁石挿入孔55aに挿入される永久磁石56aと、外周側の第2の層の磁石挿入孔57aに挿入される永久磁石58aを同じ長さに設定するとともに、永久磁石56aの特性と永久磁石58aの特性が異なる態様を用いることができる。
【0025】
また、本実施の形態では、主磁極部[a]〜[d]に隣接して設けられている層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石それぞれから流出入する磁束の差が流出入する箇所、すなわち、隣接して設けられている層の磁石挿入孔の端壁間(層間)の箇所が、第2の外周面に対向するように磁石挿入孔が設けられている。例えば、主磁極部[a]の中心側の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7と、外周側の第2の層の磁石挿入孔57aの端壁57a7に挟まれた箇所(層間)が第2の外周面50DAに対向するように、磁石挿入孔55a、57aが設けられている。前述したように、第2の外周面50DAに対応する箇所のエアギャップは、q軸に対応する箇所から周方向に沿って、q軸に対応する箇所のエアギャップGqからd軸に対応する箇所のエアギャップGdに徐々に減少している。これにより、隣接する磁石挿入孔55a及び57aの端壁間(層間)から流出入する磁束(磁石挿入孔55a及び57aに挿入されている永久磁石56a及び58aそれぞれから流出入する磁束の差)は、徐々に変化するエアギャップを介して流れるため、磁石挿入孔55a及び57aの端壁間(層間)から流出入する磁束によって固定子40のティース42に流れる磁束の急激な変化が抑制される。
したがって、多層構造の永久磁石電動機における、固定子巻線の誘起電圧に含まれる高調波成分の増加を効果的に抑制することができる。
【0026】
磁石挿入孔に挿入された永久磁石が移動可能である場合には、永久磁石を磁石挿入孔内に位置決めするための位置決め部材を設けるのが好ましい。例えば、磁石挿入孔55a、57a〜55d、57d内の所定の位置に、磁石挿入孔55a、57a〜55d、57d内に突出する位置決め部材を設ける。
本実施の形態では、永久磁石56a、58a〜56d、58dを、磁石挿入孔55a、57a〜55d、57dの中央部に挿入したが、外周部に挿入することもできる。また、製造の容易性を考慮すると、軸方向に直角な断面形状が長方形である永久磁石を用いるのが好ましいが、他の形状の永久磁石を用いることもできる。また、磁石挿入孔に挿入する永久磁石の数も適宜選択可能である。
また、磁石挿入孔の、回転子50の外周面に対向する箇所には、磁束の短絡を防止するために、空隙部等の非磁性領域を設けてもよい。すなわち、磁石挿入孔の端壁と、磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の端部との間に、非磁性領域を設けてもよい。
【0027】
主磁極部[a]〜[d]や補助磁極部[ab]〜[da]には、冷却媒体や潤滑油等の媒体を流す通路孔が設けられている。
本実施の形態では、主磁極部[a]〜[d]には、中心側に設けられている第1の層の磁石挿入孔55a〜55dより中心側に、通路孔59a1、59a2〜59d1、59d2が設けられている。また、補助磁極部[ab]〜[da]には、カシメピン挿入孔59ab〜59daが、回転子50の内周側に設けられている。通路孔及びカシメピン挿入孔は、回転子50を軸方向に貫通する孔(貫通孔)として形成されている。通路孔59a1、59a2〜59d1〜59d2は、主磁極部[a]〜[d]の中心線(d軸)に対して左右に設けられている。カシメピン挿入孔59ab〜59daは、補助磁極部[ab]〜[da]の中心線(q軸)上に設けられている。
通路孔59a1、59a2〜59d1、59d2が回転子50の内周側に設けられていることにより、回転子50の外周側に設けられている場合に比して、通路孔内を流れる媒体(冷却媒体や潤滑油等)に作用する遠心力が低減される。これにより、通路孔59a1、59a2〜59d1、59d2内を流れる媒体の流体抵抗が低減され、媒体が通路孔59a1、59a2〜59d1、59d2内を容易に流れることができる。
【0028】
次に、同じ主磁極部内の隣接する層の磁石挿入孔の配置関係について検討する。
いま、主磁極部[a]〜[d]の第1及び第2の層の磁石挿入孔55a及び57a〜55d及び57dの配置関係が図5に示されている状態にある場合を考える。例えば、主磁極部[a]の中心側の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7のq軸側(隣接する補助磁極部[da]のq軸側)の端部と、外周側の第2の層(第1の層に隣接している第2の層)の磁石挿入孔57aの端壁57a7のd軸側(主磁極部[a]のd軸側)の間の長さMが、ティース42のティース先端面42dの長さKより小さい場合(M≦K)を考える。ここで、第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7のq軸側は、磁石挿入孔55aのq軸側(中心側)の側壁55a3と端壁55a7の接続部が対応する。また、第2の層の磁石挿入孔57aの端壁57a7のd軸側は、磁石挿入孔57aのd軸側(外周側)の側壁57a4と端壁57a7の接続部が対応する。
この場合には、主磁極部[a]の第2の層(外周側の層)の磁石挿入孔57aより外周側から、ティース42C及びティース42Aを介して補助磁極部[da]に磁束が流れる。この磁束は、回転トルクに寄与する磁束である。
また、(M≦K)の関係にあるため、第2の層(外周側の層)の磁石挿入孔57aの端壁57a7のd軸側と、第1の層(中心側の層)の磁石挿入孔55aの端壁55a7のq軸側が、1つのティース42Bのティース先端面42dに同時に対向する状態が発生する。この状態の時、主磁極部[a]の第2の層(外周側の層)の磁石挿入孔57aより外周側から、ティース42Bを介して補助磁極部[da]に磁束が流れる。すなわち、磁束の短絡が発生する。
したがって、(M≦K)の条件が満足される場合には、磁束の短絡が発生するのを防止するために、補助磁極部に対応する箇所の間隙(エアギャップ)を増大させる必要がある。このように、補助磁極部に対応する箇所の間隙を増大させると、q軸インダクタンスが小さくなり、リラクタンストルクが低下する。
【0029】
本実施の形態では、図4に示すように、主磁極部[a]の中心側の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7のq軸側と、外周側の第2の層の磁石挿入孔57aの端壁57a7のd軸側の間の長さMを、ティース42のティース先端面の長さKより長くなるように構成している(M>K)。
これにより、第2の層(外周側の層)の磁石挿入孔57aの端壁57a7のd軸側と、第1の層(中心側の層)の磁石挿入孔55aの端壁55a7のq軸側が、1つのティース42のティース先端面42dに同時に対向することがない。すなわち、主磁極部[a]の第2の層(外周側の層)の磁石挿入孔57aより外周側から、ティース42を介して補助磁極部[da]に磁束が流れることによって、磁束の短絡が発生することがない。このため、補助磁極部に対応する箇所の間隙(エアギャップ)を減少させることができ、q軸インダクタンスを大きくしてリラクタンストルクを増大させることがきる。そして、リラクタンストルクの増大によって、永久磁石電動機の効率が向上する。
【0030】
以上のように、本実施の形態では、多層構造の永久磁石回転機において、回転子の外周面を、主磁極部のd軸と交差する第1の曲線形状の第1の外周面と、補助磁極部のq軸と交差する第2の曲線形状の第2の外周面により構成するとともに、第2の外周面の曲率半径を第1の外周面の曲率半径より大きく設定することにより、起電力波形に含まれる高調波成分を低減することができる。特に、本実施の形態では、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁が、第2の外周面に対向する位置に設けられている。これにより、隣接する磁石挿入孔の層間から流出入する磁束によってティースに流れる磁束が急激に変化することを抑制することができる。したがって、多層構造の永久磁石電動機において、起電力波形に含まれている高調波磁束を効果的に低減することができる。
また、本実施の形態では、同じ主磁極内に隣接して設けられている層の磁石挿入孔のうち、外周側の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部と、中心側の層の磁石挿入孔の端壁のq軸側端部の間の長さが、ティース先端面の長さより長くなるように設定されている。これにより、外周側の磁石挿入孔より外周側を流れる磁束が、ティースを介して補助磁極部に流れて磁束が短絡されるのを防止することができる。したがって、補助磁極部に対応する箇所の間隙(エアギャップ)を小さくすることができる。補助磁極部に対応する箇所の間隙が小さいと、q軸インダクタンスが大きくなってリラクタンスが増大し、永久磁石電動機の効率が向上する。
すなわち、本実施の形態は、多層構造の永久磁石電動機において、補助磁極部に対応する箇所の間隙を主磁極部に対応する箇所の間隙よりも大きくして起電力波形に含まれる高調波を低減しながら、補助磁極部に対応する箇所の間隙の増加量を抑制してリラクタンストルクを増大させることができ、多層構造の永久磁石電動機の高効率化を図ることができる。
【0031】
次に、第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成要素によって構成される。また、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、多層構造の永久磁石電動機において、起電力波形に含まれる高調波を低減しながら、補助磁極部に対応する箇所の間隙の増加量を抑制してリラクタンストルクを増大させている。
異なる主磁極部に設けられている各層の磁石挿入孔のうち、補助磁極部を挟んで対向して(隣接して)設けられている層の磁石挿入孔の配置関係について検討する。
いま、補助磁極部を挟んで設けられる層の磁石挿入孔の配置関係が図7に示されている状態にある場合を考える。例えば、主磁極部[a]の、主磁極部[a]と隣接する主磁極部[d]側(補助磁極部[da]側)の層の磁石挿入孔(中心側の層の磁石挿入孔)55aの端壁55a7のd軸側(主磁極部[a]のd軸側)と、主磁極部[d]の、主磁極部[d]と隣接する主磁極部[a]側(補助磁極部[da]側)の層の磁石挿入孔55dの端壁55d8のd軸側(主磁極部[d]のd軸側)の間の長さNが、ティース42のティー先端面42dの長さKより小さい場合(N≦K)を考える。ここで、主磁極部[a]の中心側の磁石挿入孔55aの端壁55a7のd軸側は、磁石挿入孔55aのd軸側(外周側)の側壁55a4と端壁55a7の接続部が対応する。また、主磁極部[d]の中心側の層の磁石挿入孔55dの端壁55d8のd軸側は、磁石挿入孔55dのd軸側(外周側)の側壁55d6と端壁55d8の接続部が対応する。
【0032】
この場合には、主磁極部[a]の中心側の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7と外周側の第2の層の磁石挿入孔57aの端壁57a7との間から、ティース42C及びティース42Aを介して、隣接する主磁極部[d]の中心側の第1の層の磁石挿入孔55dの端壁55d8と外周側の第2の層の磁石挿入孔57dの端壁57d8との間に磁束が流れる。この磁束は、例えば、主磁極部[a]の内周側の第1の層の磁石挿入孔55aに挿入されている永久磁石56a及び外周側の第2の層の磁石挿入孔57aに挿入されている永久磁石58aの磁束の差に対応する。この磁束は、回転トルクに寄与する磁束である。
また、(N≦K)の関係にあるため、主磁極部[a]の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7と第2の層の磁石挿入孔57aの端壁57a7との間の箇所と、主磁極部[d]の第1の層の磁石挿入孔55dの端壁55d8と第2の層の磁石挿入孔57dの端壁57d8との間の箇所が1つのティース42Bのティース先端面42dに同時に対向する状態が発生する。この状態の時、主磁極部[a]の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7と第2の層の磁石挿入孔57aの端壁57a7との間から、ティース42Bを介して、主磁極部[d]の第1の層の磁石挿入孔55dの端壁55d8と第2の層の磁石挿入孔57dの端壁57d8の間に磁束が流れる。すなわち、磁束の短絡が発生する。
したがって、(N≦K)の条件が満足される場合には、磁束の短絡が発生するのを防止するために、補助磁極部に対応する箇所の間隙(エアギャップ)を増大させる必要がある。このように、補助磁極部に対応する箇所の間隙を増大させると、q軸インダクタンスが小さくなり、リラクタンストルクが低下する。
【0033】
本実施の形態では、図6に示すように、主磁極部[a]の中心側の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7のd軸側(主磁極部[a]のd軸側)と、主磁極部[d]の中心側の第1の層の磁石挿入孔55dの端壁55d8のd軸側(主磁極部[d]のd軸側)の間の長さNを、ティース42のティース先端面42dの長さKより長くなるように構成している(N>K)。
これにより、主磁極部[a]の第1の層(中心側の層)の磁石挿入孔55aの端壁55a7のd軸側と、主磁極部[d]の第1の層(中心側の層)の磁石挿入孔55dの端壁55d8のd軸側が、1つのティース42のティース先端面42dに同時に対向することがない。すなわち、主磁極部[a]の第1の層の磁石挿入孔55aの端壁55a7と第2の層の磁石挿入孔57aの端壁57a7の間から、ティース42を介して主滋極部[d]の第1の層の磁石挿入孔55dの端壁55d8と第2の層の磁石挿入孔57dの端壁57d8の間に磁束が流れることによって、磁束の短絡が発生することがない。このため、補助磁極部に対応する箇所の間隙(エアギャップ)を減少させることができ、q軸インダクタンスを大きくしてリラクタンストルクを増大させることがきる。そして、リラクタンストルクの増大によって、永久磁石電動機の効率が向上する。
【0034】
以上のように、本実施の形態では、多層構造の永久磁石回転機において、回転子の外周面を、主磁極部のd軸と交差する第1の曲線形状の第1の外周面と、補助磁極部のq軸と交差する第2の曲線形状の第2の外周面により構成するとともに、第2の外周面の曲率半径を第1の外周面の曲率半径より大きく設定することにより、起電力波形に含まれる高調波成分を低減することができる。特に、本実施の形態では、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁が、第2の外周面に対向する位置に設けられている。これにより、隣接する磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の層間から流出入する磁束によってティースに流れる磁束が急激に変化することを抑制することができる。したがって、多層構造の永久磁石電動機において、起電力波形に含まれている高調波磁束を効果的に低減することができる。
また、本実施の形態では、補助磁極部を挟んで対向して設けられている層のうち、一方の層の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部と、他方の層の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部の間の長さが、ティース先端面の長さより長くなるように設定されている。これにより、隣接する主磁極部のうちの一方の主滋極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁の間からの磁束が、他方の主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁の間に流れて磁束が短絡されるのを防止することができる。したがって、補助磁極部に対応する箇所の間隙(エアギャップ)を小さくすることができる。補助磁極部に対応する箇所の間隙が小さいと、q軸インダクタンスが大きくなってリラクタンスが増大し、永久磁石電動機の効率が向上する。
すなわち、本実施の形態は、多層構造の永久磁石電動機において、補助磁極部に対応する箇所の間隙を主磁極部に対応する箇所の間隙よりも大きくして起電力波形に含まれる高調波を低減しながら、補助磁極部に対応する箇所の間隙の増加量を抑制してリラクタンストルクを増大させることができ、多層構造の永久磁石電動機の高効率化を図ることができる。
【0035】
次に、第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態の構成と、第2の実施の形態の構成を備えている。
すなわち、第3の実施の形態は、多層構造の永久磁石回転機において、回転子の外周面を、主磁極部のd軸と交差する第1の曲線形状の第1の外周面と、補助磁極部のq軸と交差する第2の曲線形状の第2の外周面により構成するとともに、第2の外周面の曲率半径を第1の外周面の曲率半径より大きく設定している。特に、主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁が、第2の外周面に対向する位置に設けられている。これにより、隣接する磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の層間から流出入する磁束によってティースに流れる磁束が急激に変化することを抑制することができる。したがって、多層構造の永久磁石電動機において、起電力波形に含まれている高調波磁束を効果的に低減することができる。
また、同じ主磁極内に隣接して設けられている層の磁石挿入孔のうち、外周側の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部と、中心側の層の磁石挿入孔の端壁のq軸側端部の間の長さを、ティース先端面の長さより長く設定している。これにより、外周側の磁石挿入孔より外周側を流れる磁束が、ティースを介して補助磁極部に流れて磁束が短絡されるのを防止することができる。
さらに、補助磁極部を挟んで対向して設けられている層の一方及び他方の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部の間の長さを、ティース先端面の長さより長く設定している。これにより、隣接する主磁極部のうちの一方の主滋極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁の間からの磁束が、他方の主磁極部の隣接する層の磁石挿入孔の端壁の間に流れて磁束が短絡されるのを防止することができる。
これにより、補助磁極部に対応する箇所の間隙(エアギャップ)をより小さくすることができる。
したがって、多層構造の永久磁石電動機のさらなる効率化を図ることができる。
【0036】
第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態の効率特性を図8に示す。図8の横軸は通電進角(電気角)を示し、縦軸は効率(%)を示している。
一点鎖線は、第1及び第2の外周面を有し、q軸エアギャップがGq1[=1.2mm]、d軸エアギャップがGd1[=0.5mm]で、[M≦K](図5の条件)または[N≦K](図7の条件)のいずれかを満足する永久磁石電動機の効率特性を示している。
二点差線は、第1及び第2の外周面を有し、q軸エアギャップがGq2[=0.6mm<Gq1]、d軸エアギャップがGd1[=0.5mm]で、[M≦K](図5の条件)または[N≦K](図7の条件)のいずれかを満足する永久磁石電動機の効率特性を示している。
破線は、第1及び第2の外周面を有し、q軸エアギャップがGq2[=0.6mm]、d軸エアギャップがGd1[=0.5mm]で、[M>K](第1の実施の形態の条件)または[N>K](第2の実施の形態の条件)のいずれかを満足する永久磁石電動機の効率特性を示している。
実線は、第1及び第2の外周面を有し、q軸エアギャップがGq2[=0.6mm]、d軸エアギャップがGd1[=0.5mm]で、[M>K]及び[N>K]の条件(=第3の実施の形態の条件)を満足する永久磁石電動機の効率特性を示している。
なお、各効率特性は、上記以外は同じ構成である多層永久磁石電動機に対するものである。
図8の二点鎖線で示す効率特性及び一点鎖線で示す効率特性から、回転子の外周面を第1及び第2の外周面により構成した場合でも、[M≦K](図5の条件)または[N≦K](図7の条件)のいずれかを満足する状態では、q軸付近のエアギャップGq(すなわち、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップ)を小さくしても、効率が向上しないことが分かる。
また、図8の破線で示す効率特性から、第1の実施の形態の条件[M>K]または第2の実施の形態の条件[N>K]のいずれかを満足している場合には、q軸付近のエアギャップGq(すなわち、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップ)を小さくすることによって効率を向上していることが分かる。
さらに、図8の実線で示す効率特性から、第1の実施の形態の条件[M>K]及び第2の実施の形態の条件[N>K]を満足している(第3の実施の形態の条件)場合には、q軸付近のエアギャップGq(すなわち、補助磁極部に対応する箇所のエアギャップ)を小さくすることによって効率がさらに向上していることが分かる。
以上のことから、多層構造の永久磁石電動機では、回転子の外周面を前記第1の外周面と第2の外周面により構成するとともに、前記条件[M>K](第1の実施の形態)、あるいは、前記条件[N>K](第2の実施の形態)、あるいは、前記条件[M>K]及び[N>K](第3の実施の形態)を満足するように構成することにより、起電力波形に含まれる高調波成分を低減しながら、q軸付近のエアギャップ(補助磁極部に対応する箇所のエアギャップ)を小さくしてq軸インダクタンス、すなわち、リラクタンストルクを増大することができる。
【0037】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
例えば、軸方向に交差する方向から見て、中心側に向けて突状に形成されている台形形状を有する磁石挿入孔を設けた場合について説明したが、V字形状や曲線形状(例えば、円弧形状)を有する磁石挿入孔を設けることもできる。あるいは、軸方向に交差する方向から見て、d軸に交差する方向に延びる直線形状を有する磁石挿入孔を向けることもできる。また、磁石挿入孔に挿入する永久磁石の形状、数、配置位置等は、適宜選択することができる。
回転子の外周面には、磁石挿入孔の端壁に対応する箇所に切欠や孔を設けることもできる。
2層構造の場合について説明したが、層数は3以上であってもよい。
永久磁石電動機について説明したが、本発明は、磁石挿入孔に永久磁石が挿入されている種々の永久磁石回転機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】永久磁石電動機を用いた圧縮機の一例の縦断面図である。
【図2】図1に示した永久磁石電動機の回転子の縦断面図である。
【図3】第1の実施の形態の永久磁石電動機の固定子及び回転子の横断面図である。
【図4】第1の実施の形態の永久磁石電動機の要部の構成を説明する図である。
【図5】第1の実施の形態の永久磁石電動機の要部の構成を説明する図である。
【図6】第2の実施の形態の永久磁石電動機の要部の構成を説明する図である。
【図7】第2の実施の形態の永久磁石電動機の要部の構成を説明する図である。
【図8】各実施の形態の効率を示す図である。
【図9】主磁極部の隣接す磁石挿入孔に永久磁石を挿入する他の態様を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 圧縮機
11 密閉容器
12 吐出管
20 圧縮機構部
25 潤滑油溜め
30 永久磁石電動機
40 固定子
41 固定子コイル
50 回転子
70 アキュムレータ
71 吸入管
59 回転軸挿入孔
50A〜50D 第1の外周面
50AB〜50DA 第2の外周面
51、55a〜55d、57a〜57d 磁石挿入孔
52、56a〜56d、58a〜58d 永久磁石
53 端板
54 バランスウェイト
55 カシメピン挿入孔
56 カシメピン
59a1〜59d1、59a2〜59d2 通路孔
59ab〜59da カシメピン挿入孔
60 回転軸
a〜d 主磁極部
ab〜da 補助磁極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、回転子を備え、固定子には、回転子と対向する箇所にティース先端面を有するティースが設けられており、回転子には、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されており、主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が多層状に設けられている永久磁石回転機であって、
回転子の外周面は、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部のd軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第1の曲線形状を有する第1の外周面と、補助磁極部のq軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第2の曲線形状を有する第2の外周面により形成されているとともに、第2の曲線形状の曲率半径は、第1の曲線形状の曲率半径より大きく設定されており、
同じ主滋極部内に隣接して設けられている層の磁石挿入孔のうち、外周側の層の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部と、中心側の層の磁石挿入孔の端壁のq軸側端部の間の長さは、ティース先端面の周方向の長さより長く設定されている、
ことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項2】
請求項1に記載の永久磁石回転機であって、異なる主磁極部に設けられている層の磁石挿入孔のうち、補助磁極部を挟んで対向して設けられている層の一方及び他方の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部間の長さはティース先端面の周方向の長さより長く設定されていることを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項3】
固定子と、回転子を備え、固定子には、回転子と対向する箇所にティース先端面を有するティースが設けられており、回転子には、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部と補助磁極部が周方向に交互に配置されており、主磁極部には、永久磁石が挿入される磁石挿入孔が多層状に設けられている永久磁石回転機であって、
回転子の外周面は、軸方向と交差する方向から見て、主磁極部のd軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第1の曲線形状を有する第1の外周面と、補助磁極部のq軸と交差し、外周方向に突状に形成されている第2の曲線形状を有する第2の外周面により形成されているとともに、第2の曲線形状の曲率半径は、第1の曲線形状の曲率半径より大きく設定されており、
異なる主磁極部に設けられている層の磁石挿入孔のうち、補助磁極部を挟んで対向して設けられている層の一方及び他方の磁石挿入孔の端壁のd軸側端部間の長さはティース先端面の周方向の長さより長く設定されている、
ことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石回転であって、第1の外周面は、d軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成され、第2の外周面は、q軸上に曲率中心を有する円弧形状に形成されていることを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項5】
請求項4に記載の永久磁石回転機であって、第1の外周面は、回転子の中心を曲率中心とする円弧形状に形成され、第2の外周面は、回転子の中心より第2の外周面と反対方向に離れた位置を曲率中心とする円弧形状に形成されていることを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の永久磁石回転機であって、軸方向に交差する方向から見て、同じ主磁極部に隣接して設けられている層のうち、中心側の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の、磁石挿入孔に沿った長さは、外周側の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の、磁石挿入孔に沿った長さより長いことを特徴とする永久磁石回転機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の永久磁石回転機であって、同じ主磁極部に隣接して設けられている層のうち、一方の層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の磁束密度と、他方の層の磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の磁束密度が異なっていることを特徴とする永久磁石回転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−283746(P2008−283746A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124001(P2007−124001)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】