汎用コンバイン
【課題】リールが上下移動駆動可能に支持された刈取部を、走行機体に昇降駆動可能に連結した汎用コンバインにおいて、リールを一時的に下降させることが容易で、作業効率が良好な汎用コンバインを提供する。
【解決手段】刈取部を昇降させる刈取部昇降手動操作手段と、リールを刈取部に対して昇降させるリール昇降手動操作手段74A,74Bと、制御部83を備え、リールを刈取部に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御を制御部83に設けるとともに、リール昇降手動操作手段74A,74Bとは別にリール強制下降操作手段73を設け、制御部83は、リール強制下降操作手段73による操作中はリール強制下降制御を実行する一方で、リール強制下降操作手段73による操作が解除された場合にはリールを元の昇降高さに自動的に復帰させる。
【解決手段】刈取部を昇降させる刈取部昇降手動操作手段と、リールを刈取部に対して昇降させるリール昇降手動操作手段74A,74Bと、制御部83を備え、リールを刈取部に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御を制御部83に設けるとともに、リール昇降手動操作手段74A,74Bとは別にリール強制下降操作手段73を設け、制御部83は、リール強制下降操作手段73による操作中はリール強制下降制御を実行する一方で、リール強制下降操作手段73による操作が解除された場合にはリールを元の昇降高さに自動的に復帰させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リールが上下移動駆動可能に支持された刈取部を、走行機体に昇降駆動可能に連結した汎用コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
刈取部を走行機体に対して昇降させる刈取部昇降アクチュエータと、作物を掻込むように回転駆動されるリールを刈取部に対して昇降させるリール昇降アクチュエータと、刈取部を昇降させる刈取部昇降手動操作手段と、リールを刈取部に対して昇降させるリール昇降手動操作手段と、制御部とを備え、各種条件に応じて、走行機体に対する刈取部の昇降位置や、刈取部に対するリールの昇降位置を、適宜変更し、刈取作業を効率的に行う特許文献1乃至3に示す汎用コンバインが公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2503763号公報
【特許文献2】特許第2855426号公報
【特許文献3】特開2009−213383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の汎用コンバインでは、リール昇降手動操作手段を介した手動操作によって、リールを昇降させた場合、該リールが変更後の高さに保持される。このため、部分的に作物が倒伏している圃場でリールを一時的に下降させて掻込み性能を向上させる場合や、刈取部を上昇駆動させる際にリールを作物に作用する位置まで一時的に下降させて刈取部の上昇駆動時における稈こぼれを防止する場合等、リールを一時的に下降させたい場合には、作業性が悪かった。
【0005】
本発明は、リールが上下移動駆動可能に支持された刈取部を、走行機体に昇降駆動可能に連結した汎用コンバインにおいて、リールを一時的に下降させることが容易で、作業効率が良好な汎用コンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1に、刈取部3を走行機体2に対して昇降させる刈取部昇降アクチュエータ16と、作物を掻込むように回転駆動されるリール4を刈取部3に対して昇降させるリール昇降アクチュエータ41と、刈取部3を昇降させる刈取部昇降手動操作手段66と、リール4を刈取部3に対して昇降させるリール昇降手動操作手段74A,74Bと、制御部83を備えた汎用コンバインであって、リール4を刈取部3に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御を制御部83に設けるとともに、リール昇降手動操作手段74A,74Bとは別にリール強制下降操作手段73を設け、制御部83は、リール強制下降操作手段73による操作中はリール強制下降制御を実行する一方で、リール強制下降操作手段73による操作が解除された場合にはリール4を元の昇降高さに自動的に復帰させることを特徴としている。
【0007】
第2に、刈取部3を所定高さに自動的に昇降駆動させる自動昇降制御を制御部83に設け、該制御部83は、リール強制下降操作手段73による操作中に刈取部手動昇降操作手段66による昇降操作が行われた場合には、該昇降操作側に刈取部3が自動的に昇降されるように上記自動昇降制御を実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
リール強制下降操作手段による操作中はリール強制下降制御が実行され、刈取部に対してリールが強制的に下降されるので、リールを一時的に下降させることが容易になる。このため、例えば、部分的に作物が倒伏している圃場において、リールを一時的に下降させて掻込み性能を向上させることも容易である他、刈取部を上昇駆動させる際に、リールを作物に作用する位置まで一時的に下降させ、刈取部の上昇駆動時における稈こぼれを効率的に防止することも容易である。これ加えて、リール強制下降操作手段による操作が解除された場合にはリールが元の昇降高さに自動的に復帰するため、通常の刈取作業への復帰が容易になり、作業性が向上する。
【0009】
また、刈取部を所定高さに自動的に昇降駆動させる自動昇降制御を制御部に設け、該制御部は、リール強制下降操作手段による操作中に刈取部手動昇降操作手段による昇降操作が行われた場合には、該昇降操作側に刈取部が自動的に昇降されるように上記オートリフト制御を実行することにより、リール強制下降操作手段が自動昇降制御を実行する操作具としても兼用されるため、部品点数が減少し、コストを安く抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した汎用コンバインの平面図である。
【図2】本発明を適用した汎用コンバインの左側面図である。
【図3】本発明を適用した汎用コンバインの右側面図である。
【図4】刈取部及びリールの側面図である。
【図5】刈取部を走行機体に対して下降させ且つリールを刈取部に対して上昇させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。
【図6】刈取部を走行機体に対して上昇させ且つリールを刈取部に対して下降させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。
【図7】本汎用コンバインの動力伝動系統図である。
【図8】操縦部の斜視図である。
【図9】マルチステアリングレバーの背面図である。
【図10】スイッチパネルの平面図である。
【図11】制御部のブロック図である。
【図12】制御部のメインフロー図である。
【図13】リール手動制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図14】ヘッダ自動昇降制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図15】自動昇降出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図16】オートリフトリール回転設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図17】オートリフト設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図18】倒伏刈制御の実行のためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図19】リール倒伏出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図20】蛇行制御設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図21】蛇行出力制御のサブルーチンの処理フロー図である。
【図22】強制掻込制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図23】リール掻込出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図24】掻込フィン開度設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図25】蛇行制御設定の他例を示すサブルーチンの処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図3は本発明を適用した汎用コンバインの平面図、左側面図及び右側面図であり、図4は刈取部及びリールの側面図である。図示する汎用コンバインは、稲や麦や豆類等の作物の刈取作業を行うものであり、該汎用コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1L,1Rを有する走行機体2と、走行機体2の前方に昇降自在に連結された刈取部3と、左右方向に延びる筒状のリール4と、該リール4を昇降及び前後動可能に刈取部3側に支持する可動機構6とを備えている。
【0012】
上記刈取部3は、後側半部のフィーダ7及び前側半部の刈取フレーム8を一体的で備え、刈取フレーム8の左右の側壁からは前方に向かって分草体9が突出され、刈取フレーム8の左右の側壁間における下部且つ後部には、左右方向に延びる円柱状の掻込オーガ11が軸回りに回転駆動可能に支持され、該掻込オーガ11の前方には、左右方向のレシプロ式の刈刃12が設置されている。ちなみに、平面視刈取フレーム8の左右の側壁間に前記リール4が位置している。
【0013】
フィーダ7は、刈取った作物の穀稈を後方搬送する前後方向のフィーダコンベア13を備え、全体が後述する走行機体2側の操縦部14の側方に位置しており、このフィーダ7の後端部が走行機体2の前部に支持されている他、刈取フレーム8は操縦部14の前側からフィーダ7の前側に至る左右範囲に形成されている。
【0014】
この刈取部3と、走行機体2の前部との間には、伸縮作動によって該刈取部3を走行機体2に対して昇降させる油圧式のリフトシリンダ(刈取部昇降アクチュエータ)16が設けられている。このリフトシリンダ16を伸張作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して上昇する一方で、リフトシリンダ16を縮小作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して下降する。
【0015】
上記リール4は、後述する手段によって動力が伝動されて自身の軸回りに回転駆動される回動軸17と、該回動軸17と一体回転する側面視多角形状(図示する例では6角形状)の左右一対のサイドフレーム18,18とを備え、互いに離間した状態で平行に対向配置された左右一対のサイドフレーム18,18の頂点部分同士をそれぞれ左右方向の横フレーム19によって連結固定することにより、周囲及び左右両側方が内外で連通し且つ内部が空洞となる角柱状に成形されている。また、回転軸17の軸回りに所定間隔毎に配置された各横フレーム19には、下降突出するリールタイン21が所定間隔毎に複数配置されている。
【0016】
回転するリール4によって掻込まれた圃場の作物の穀稈は、左右に往復スライド駆動される刈刃12によって刈取られ、掻込オーガ11によってフィーダ7側に掻込まれる。フィーダ7側に導入された作物の穀稈は、フィーダコンベア13によって走行機体2側まで後方搬送される。
【0017】
上記走行機体2の左側半部には、刈取った稲や麦等の穀稈の脱穀処理を行うとともに該脱穀処理された処理物から籾等の穀粒を選別する脱穀部22が設置され、走行機体2の右側半部には、脱穀部22からの穀粒を蓄えるグレンタンク23が配設され、グレンタンク23の前方には、オペレータが乗込む前記操縦部14が設置されている。
【0018】
脱穀部22は、フィーダコンベア13からの作物の穀稈が導入される扱室24と、扱室24の真下側に形成された選別室26とを備え、扱室24内には、前後方向に延びる円柱状の扱胴27が自身の軸回りに回転自在に軸支され、選別室26内の上部には、前後動する揺動選別体28が設置され、選別室26内の下部前側には、後方斜め上方の選別風を起風する唐箕ファン29が配置され、選別室26内の下部の前後方向中途部には、一番ラセン31と、二番ラセン32が前後に配置されている。
【0019】
フィーダ7から脱穀部22に導入された穀稈は扱室24内の回転する扱胴27によって後方搬送されながら脱穀処理され、その処理物は、選別室26に落下する。選別室26に落下した処理物は揺動選別体28によって揺動選別されるとともに、上記選別風によって選別(風選)される。具体的には、選別風の影響を受けずに前側の一番ラセン31に落下する一番物と、選別風の影響を若干受けて後側の二番ラセン32に落下する二番物と、選別風の影響を受けて後方斜め上方に吹上げられる藁屑等の排出物とに選別される。ちなみに、一番物は穀粒としてグレンタンク23内に搬送され、二番物は選別室26内に再度導入されて風選され、排出物は走行機体2の後端側から機外に排出される。
【0020】
なお、揺動選別体28の後半部には、前後方向に並列配置された複数のフィン33aによりなるチャフシーブ33が設置されている。そして、電動モータ等からなるフィン開閉アクチュエータ34(図11参照)によって、フィン33aが下方を向くように回動される開作動時には、開度が大きくなって、揺動選別体28の上方側に吹抜ける選別風の風量が増加する一方で、フィン開閉アクチュエータ34によって、フィン33aが水平方向を向くように回動される閉作動時には、開度が小さくなって、揺動選別体28の上方側に吹抜ける選別風の風量が減少する。このようなフィン33aの開閉作動による風量の調整によって、処理物の量に応じた最適な風選を行うことが可能になる。
【0021】
グレンタンク23内の穀粒は、走行機体2の後端部に支持された排出オーガ36によって機外に排出される。具体的には、全体が上下揺動可能且つ水平回動可能なように排出オーガ36の基端部が走行機体2に支持され、該排出オーガ36の先端部には穀粒を排出する排出部36aが設けられており、上下揺動又は水平回動によって排出オーガ36の排出部36aを所定位置に移動させ、その場で穀粒を排出させることができる。
【0022】
上記可動機構6は、フィーダ7に前後揺動自在に支持された左右一対の進退アーム37,37と、各進退アーム37に上下揺動自在に支持された昇降アーム38と、各進退アーム37とフィーダ7との間に配置されて伸縮作動により進退アーム37を上下揺動させる油圧式の進退シリンダ(リール前後移動アクチュエータ)39と、各昇降アーム38と刈取フレーム8との間に配置されて伸縮作動により昇降アーム38を上下揺動駆動させる油圧式の昇降シリンダ(リール昇降アクチュエータ)41とを備えている。
【0023】
各進退アーム37は、下端側がフィーダ7側に支持される支持端になり、各昇降アーム38は、後端側が進退アーム37の上端側に支持される支持端になり、この左右の昇降アーム38,38の先端部間に左右方向のリール4が回転軸17により回転自在に軸支されている。
【0024】
そして、進退シリンダ39の伸長作動によって進退アーム37を前方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して前進する一方で、進退シリンダ39の縮小作動によって進退アーム37を後方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して後退し、さらに、昇降シリンダ41の伸長作動によって昇降アーム38を上方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して上昇する一方で、昇降シリンダ41の縮小作動によって昇降アーム38を下方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して下降する。
【0025】
図5は刈取部を走行機体に対して下降させ且つリールを刈取部に対して上昇させた状態を示す汎用コンバインの側面図であり、図6は刈取部を走行機体に対して上昇させ且つリールを刈取部に対して下降させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。上述したリフトシリンダ16及び昇降シリンダ41によって、本汎用コンバインは、刈取部3を走行機体2に対して最下げ位置に下降させた状態のまま、リール4のみを刈取部3に対して最上げ位置に上昇させることもでき(図5参照)、さらに、リール4を刈取部3に対して最下げ位置に下降させた状態のまま、刈取部3を走行機体2に対して最上げ位置に上昇させることも可能になる(図6参照)。
【0026】
図7は、本汎用コンバインの動力伝動系統図である。エンジン42で発生した動力は、伝動最上流側で、走行系の動力と作業系の動力とに分岐される。そして、走行系の動力は、走行HST43→走行トランスミッション44の順に伝動されて左右のクローラ式走行装置1L,1Rを走行駆動させる。一方、作業系の動力は、脱穀クラッチ46を介して脱穀部22に断続伝動される他、脱穀部22側の動力は刈取クラッチ47を介して刈取部3及びリール4に断続伝動される。
【0027】
走行HST43はエンジン42側からの動力の正逆転切換及び無段階変速伝動を行い、その出力動力を走行トランスミッション44に伝動する。走行トランスミッション44は、走行HST43からの動力を左右のクローラ式走行装置1L,1Rに等速で伝動する機能を有するとともに異なる回転速度で伝動する機能も有する他、走行HST43からの動力を左側のクローラ走行装置1Lに断続伝動する左サイドクラッチ48Lと、走行HST43からの動力を右側のクローラ走行装置1Rに断続伝動する右サイドクラッチ48Rとを備えている。このため、左右のサイドクラッチ48L,48Rの一方を切断するとともに他方を接続すると、切断した側に走行機体2が旋回される。ちなみに、左右のクローラ式走行装置1L,1Rを同一速度で駆動させれば、走行機体2が直進走行する。
【0028】
刈取部3側に伝動された動力は、フィーダ駆動軸49にチェーン伝動されてフィーダコンベア13を搬送駆動させる他、該フィーダ駆動軸49の動力は、分岐軸51に伝動される。分岐軸51の動力は、掻込オーガ駆動軸52にチェーン伝動され掻込オーガ11を掻込駆動させるとともに、刈刃駆動軸53にベルト伝動されて刈刃12を刈取駆動させる。
【0029】
また、分岐軸51の動力は、リール変速装置54に伝動される。このリール変速装置54は、分岐軸51の動力がチェーン伝動される入力軸56と、該入力軸56と一体回転する入力プーリ57と、出力軸58と、該出力軸58と一体回転する出力プーリ59と、入力プーリ57と出力プーリ59との掛け回されるVベルト61とから構成される。入力軸56の動力は、リール変速アクチュエータ62(図11参照)を介した入力プーリ57と出力プーリ59とVベルト61の作動により、無段階で変速され出力軸58に伝動される。出力軸58の動力は、前記回転軸17に伝動されてリール4を回転駆動させる。
【0030】
すなわち、リール変速装置54は、リール変速アクチュエータ62によって、リール4の回転速度を無段階で変速するように構成されている。また、リール変速装置54は、左右の昇降アーム38,38の一方を構成する伝動ケース38Aに内装されている。
【0031】
次に、図8乃至図10に基づき操縦部の構成を説明する。
図8は、操縦部の斜視図である。操縦部14は、オペレータが着座する座席63(図1乃至図3参照)と、座席63の側方に配置された変速レバー64と、座席63の前方に配置されたマルチステアリングレバー66と、変速レバー64の後方に配置されたスイッチパネル67と、変速レバー64の前方且つマルチステアリングレバー66の側方に配置された刈高さ設定ダイヤル68とを備えている。
【0032】
上記変速レバー64は、走行HST43をニュートラル状態とする前後中立位置から左右一方側への揺動によって、該中立位置からの前方揺動が可能になる一方で、中立位置からの左右他方側への揺動によって、該中立位置からの後方揺動が可能になる。そして、変速レバー64の中立位置からの前方揺動によって、走行HST43を介した前進走行側への増速操作を行う一方で、変速レバー64の中立位置からの後方揺動によって、走行HST43を介した後進走行側への増速操作を行う。
【0033】
この変速レバー64の上端部にはグリップ64aが形成され、このグリップ64aの側部には、該グリップ64aを把持しながら押し操作可能なモーメンタリ式の掻込スイッチ(強制掻込操作手段)69が設けられ、グリップ64aの背面側には、オルタネート式の倒伏スイッチ(倒伏刈操作手段)71が配設されている。
【0034】
上記刈高さ設定ダイヤル68は、押し操作可能且つダイヤル操作可能に構成され、刈高さ設定ダイヤル68の押し操作によって後述する刈高さ自動スイッチ72(図11参照)が入状態になるとともに、再度の押し操作によって刈高さ自動スイッチ72が切状態になる一方で、刈高さ設定ダイヤル68のダイヤル操作によって刈取作業時の刈取部3の昇降高さ(刈高さ)が設定される。
【0035】
図9は、マルチステアリングレバーの背面図である。上記マルチステアリングレバー66は、前後揺動によって、リフトシリンダ16を介した刈取部3の昇降手動操作を行うとともに、左右揺動によって車体の操向操作を行う。
【0036】
具体的には、マルチステアリングレバー66を前後中立位置から前方揺動させることにより、リフトシリンダ16を縮小作動させる刈取部3の下降操作を行い、マルチステアリングレバー66を前後中立位置から後方揺動させることにより、リフトシリンダ16を伸張作動させる刈取部3の上昇操作を行う一方で、マルチステアリングレバー66を左右中立位置から左側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの右側を左側に対して高速走行駆動させて車体を左側に旋回させる左旋回操作を行い、マルチステアリングレバー66を中立位置から右側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの左側を右側に対して高速走行駆動させて車体を右側に旋回させる右旋回操作を行う。
【0037】
すなわち、マルチステアリングレバー66は、刈取部3を走行機体2に対して昇降させる刈取部昇降手動操作手段であるとともに、走行機体2の操向操作手段でもある。
【0038】
また、マルチステアリングレバー66上端部の背面側における左右一方側にはリール昇降手動操作手段74が設けられ、左右他方側にはリール前後移動手動操作手段76が設けられている他、マルチステアリングレバー66上端部の正面側にはモーメンタリ式のトリガースイッチ73が設置されている。
【0039】
具体的には、リール昇降手動操作手段74として、リール4を刈取部3に対して上昇操作するモーメンタリ式のリール上昇スイッチ74Aと、リール4を刈取部3に対して下降操作するモーメンタリ式のリール下降スイッチ74Bとが上下に設けられ、リール前後移動手動操作手段76として、リール4を刈取部3に対して前進操作するモーメンタリ式のリール前進スイッチ76Aと、リール4を刈取部3に対して後退操作するモーメンタリ式のリール後退スイッチ76Bとが上下に設けられている。
【0040】
図10は、スイッチパネルの平面図である。スイッチパネル67には、刈取作物を豆と稲の少なくとも2種類で選択可能な選別ダイヤル(選択手段)77と、走行機体2に対して刈取部3が予め定めた所定高さ(刈取停止位置)以上に上昇した場合に、刈取クラッチ46や脱穀クラッチ47の切断によって、リール4及び刈取部3の駆動を停止させるリフトシャット制御を実行するか否かを切換えるリフトシャットスイッチ78と、シーソースイッチである脱穀・刈取クラッチスイッチ79と、リール変速アクチュエータ62を介してリール4の回転速度を設定(変速操作)するリール回転設定ダイヤル(リール変速手動操作手段)81とを備えている。
【0041】
選別ダイヤル77は、ダイヤル操作位置によって、刈取作物の選択を行うものであり、具体的には、選別ダイヤル77が、1番から9番までの9段階の操作位置中、5〜7番目の操作位置にダイヤル操作された場合には、稲が刈取作物として選択され、9番目の操作位置にダイヤル操作された場合には、豆が刈取作物として選択される。リフトシャットスイッチ78は、1回の押し操作毎に、リフトシャット制御の実行と実行停止が切換えられる。脱穀・刈取クラッチスイッチ79は、左右一方側に傾斜した状態と、左右に水平な状態と、左右他方側に傾斜した状態とを切換えることにより、脱穀クラッチ46と刈取クラッチ47の両方を切断させる切断状態と、脱穀クラッチ46のみを接続して刈取クラッチ47を切断させる脱穀状態と、脱穀クラッチ46と刈取クラッチ47の両方を接続させる接続状態とを切換えるように構成されている。
【0042】
リール回転設定ダイヤル81は、押し操作可能且つダイヤル操作可能に構成され、リール回転設定ダイヤル81の押し操作によって後述するリール回転自動スイッチ82(図11参照)が入状態になるとともに、再度の押し操作によって刈高さ自動スイッチ82が切状態になる一方で、刈高さ設定ダイヤル81のダイヤル操作によってリール変速アクチュエータ62を介したリール4の回転速度が設定される。
【0043】
以上のような、操縦部14側の各種操作具による各部の操作や制御は、マイコン等からなる制御部83(図11参照)によって行われる。
【0044】
次に、図11乃至図24に基づき、制御部83の構成を説明する。
図11は、制御部のブロック図である。制御部83の出力側には、上述したリフトシリンダ16、昇降シリンダ41、進退シリンダ39、リール変速アクチュエータ62及びフィン開閉アクチュエータ34の他に、左サイドクラッチ48Lを断続作動させる左サイドクラッチアクチュエータ84Lと、右サイドクラッチ48Rを断続作動させる右サイドクラッチアクチュエータ84Rと、脱穀クラッチ46と刈取クラッチ47を断続作動させる脱穀・刈取クラッチアクチュエータ86とが接続されている。
【0045】
制御部83の入力側には、上述したトリガースイッチ73、リール上昇スイッチ74A、リール下降スイッチ74B、リール前進スイッチ76A、リール後退スイッチ76B、倒伏スイッチ71、掻込スイッチ69、選別ダイヤル77、刈高さ自動スイッチ72、刈高さ設定ダイヤル68、リール回転自動スイッチ82、リール回転設定ダイヤル81、脱穀・刈取クラッチスイッチ79、リフトシャットスイッチ78の他に、マルチステアリングレバー66の左右揺動位置を検出するポテンショメータであるマルチレバー操向センサ87と、マルチレバー66の前後揺動位置を検出するポテンショメータであるマルチレバーリフトセンサ88と、刈取部3の走行機体に対する相対的な昇降高さを検出するポテンショメータであるリフト昇降センサ89と、リール4の刈取部3の対する相対的な昇降高さを検出するポテンショメータであるリール昇降センサ(高さ検出手段)91と、リール4の刈取部3に対する相対的な前後位置を検出するポテンショメータであるリール前後センサ92と、リール4の回転速度を検出するリール回転センサ93と、脱穀クラッチ46及び刈取クラッチ47の断続を検出する脱穀・刈取クラッチセンサ94と、フィン33aの回動位置を検知することによりチャフシーブ33の開度を検出するポテンショメータであるフィン開度センサ96と、走行機体の走行速度(車速)を検出する車速センサ(車速検出手段)97とが接続されている。
【0046】
上記入出力を有する制御部83は、マルチレバーリフトセンサ88からの検出値に基づき、リフトシリンダ16を介して、刈取部3を走行機体に対して昇降駆動させる。ちなみに、制御部83は、図示しない比例制御弁を介してリフトシリンダ16の伸縮スピードを調整することにより、刈取部83の走行機体2に対する昇降速度を制御するように構成されている。
【0047】
また、制御部83は、マルチレバー操向センサ87からの検出値に基づき、サイドクラッチアクチュエータ84L,84Rを介して左右のサイドクラッチ48L,48Rを駆動制御することにより、走行機体2を操向作動させる。
【0048】
また、制御部83は、リール上昇スイッチ74A及びリール下降スイッチ74Bからの検出値に基づき、昇降シリンダ41を介してリール4を刈取部3に対して昇降させるとともに、リール前進スイッチ76A及びリール後退スイッチ76Bからの検出値に基づき、進退シリンダ39を介してリール4を刈取部3に対して前後移動させるリール手動制御を実行する。
【0049】
さらに、制御部83は、リフトシャットスイッチ78の押し操作毎に、リフトシャット制御を実行と実行停止とに切換える。
【0050】
また、制御部83は、種々の条件に応じて、後述する刈取部3及びリール4の自動昇降制御(ヘッダ自動昇降制御)と、後述する倒伏刈制御と、後述する強制掻込制御とを、適宜実行する。
【0051】
なお、制御部83は、リール回転自動スイッチ82が入状態になっている間、原則して、車速センサ97によって検出される車速にリール4の回転速度を連動させるリール回転自動制御を行う。具体的には、車速が増加にした場合、その増加量に応じてリール4の回転速度を増加させる一方で、車速が減少した場合、その減少量に応じてリール4の回転速度を減少させる。ただし、後述する所定条件下では、リール回転自動スイッチ82が入状態になっていても、リール回転自動制御を行わない。以下の説明では、リール回転自動スイッチ82が入状態になっていることを前提として説明を行う。
【0052】
図12は、制御部のメインフロー図である。制御部83は処理が開始されると、メインルーチンの処理を開始し、ステップS1に進む。ステップS1では、リール昇降手動操作手段74又はリール前後移動手動操作手段76によるリール手動操作が行われたか否かを検出し、行われている場合には、ステップS2に進む。
【0053】
ステップS2では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS3に進む。ステップS3では、倒伏フラグをOFFにセットし、ステップS4に進む。ステップS4では、掻込フラグをOFFにセットし、ステップS5に進む。ステップS5では、リール手動制御を実行するためのサブルーチン処理を行い、処理をステップS1に戻す。
【0054】
ステップS1において、リール昇降手動操作手段74又はリール前後移動手動操作手段76を介したリール手動操作が行われていない場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、ヘッダ自動昇降制御の実行のためのサブルーチン処理を行い、ステップS7に進む。ステップS7では、倒伏刈制御の実行のためのサブルーチン処理を行い、ステップS8に進む。ステップS8では、強制掻込制御の実行のためのサブルーチン処理を行い、ステップS1に処理を戻す。
【0055】
図12に示す処理フローによれば、リール手動制御が、ヘッダ自動昇降制御、倒伏刈制御及び強制掻込制御の実行に優先して、行われる。
【0056】
図13は、リール手動制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、リール上昇スイッチ74Aが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール上昇スイッチ74AがON状態であればステップS12に進む。ステップS12では、昇降シリンダ41を伸張作動させてリール4を刈取部3に対して上昇させ、ステップS13に進む。ステップS13では、その時点での刈取部3に対するリール4の昇降高さを記憶リール高さとして制御部83の記憶装置83aに記憶し、ステップS14に進む。
【0057】
ステップS11において、リール上昇スイッチ74AがOFF状態であればステップS15に進む。ステップS15では、リール下降スイッチ74Bが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール下降スイッチ74BがON状態であればステップS16に進む一方で、リール下降スイッチ74BがOFF状態であればステップS13に進む。ステップS16では、昇降シリンダ41を縮小作動させてリール4を刈取部3に対して下降させ、ステップS13に進む。
【0058】
ステップS14では、リール前進スイッチ76Aが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール前進スイッチ76AがON状態であればステップS17に進む。ステップS17では、進退シリンダ39を伸張作動させてリール4を刈取部3に対して前進させ、ステップS18に進む。ステップS18では、その時点での刈取部3に対するリール4の前後位置を記憶リール前後位置として制御部83の記憶装置83aに記憶し、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0059】
ステップS14において、リール前進スイッチ76AがOFF状態であればステップS19に進む。ステップS19では、リール後退スイッチ76Bが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール後退スイッチ76BがON状態であればステップS20に進む一方で、リール後退スイッチ76BがOFF状態であればステップS18に進む。ステップS20では、進退シリンダ39を縮小作動させてリール4を刈取部3に対して後退させ、ステップS18に進む。
【0060】
上記処理によれば、リール手動操作時に優先的に実行されるリール手動制御によって、リール4の刈取部3に対する前後位置や上下位置を変更し、その実行毎に、その位置が記憶装置83aに記憶される。
【0061】
図14は、ヘッダ自動昇降制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS21に進む。ステップS21では、刈高さ自動スイッチ72の入切検出を行い、刈高さ自動スイッチ72が入状態である場合には、ステップS22に進む。ステップS22では、脱穀・刈取クラッチセンサ94によって脱穀クラッチ46の断続検出を行い、接続状態であれば、ステップS23に進む。
【0062】
ステップS23では、トリガースイッチ73が押し操作されて入状態になっているか否かの検出を行い、入状態になっていればステップS24に進む。ステップS24では、マルチレバーリフトセンサ88によって、マルチステアリングレバー66の前後揺動位置を検出し、刈取部3の上昇操作が行われている場合には、ステップS25に進み、刈取部3の下降操作が行われている場合には、ステップS26に進み、刈取部3の昇降操作が行われていない場合には、ステップS27に進む。
【0063】
ステップS25では、制御モード判定を「上昇」にセットして、ステップS28に進み、ステップS26では、制御モード判定を「下降」にセットして、ステップS28に進み、ステップS27では、制御モード判定を「なし」にセットして、ステップS28に進む。ステップS28では、制御モード判定が何にセットされているかを確認し、「上昇」又は「下降」にセットされていればステップS29に進む。ステップS29では、前記自動昇降フラグに自動昇降フラグに制御モード判定のセット値を入力し、ステップS30に進む。また、ステップS21において刈高さ自動スイッチ72が切状態の場合、ステップS22において脱穀クラッチ46が切断状態の場合、ステップS23においてトリガースイッチ73が切状態の場合、及びステップS29において制御モード判定に「なし」がセットされている場合は、それぞれステップS30に進む。
【0064】
すなわち、刈高さ自動スイッチ72が入状態時且つ脱穀クラッチ46が接続状態時に、トリガースイッチ73を押し操作しながら、マルチステアリングレバー66によって刈取部3の昇降操作が1回行われた場合には、その操作方向に応じて、自動昇降フラグが「上昇」又は「下降」にセットされ、その後はステップS28→ステップS30の処理によって、マルチステアリングレバー66やトリガースイッチ73の操作を解除しても、自動昇降フラグのセット値が保持される。そして、上記のようにして自動昇降フラグが「上昇」にセットされたON状態時には、刈取部3の上昇に伴ってリール4が刈取部3に対して自動的に下降するオートリフト制御行われる。また、上記のようにして自動昇降フラグが「下降」にセットされたON状態時には、刈取部3の下降に伴ってリール4が刈取部3に対して自動的に上昇して元の位置に復帰するオートセット制御が行われる。このように、ヘッダ自動昇降制御(自動昇降制御)は、オートリフト制御及びオートセット制御から構成され、トリガースイッチ73は、自動昇降制御を実行する自動昇降制御操作手段(オートリフト操作手段,オートセット操作手段)として機能している。
【0065】
ステップS30では、自動昇降フラグのセット状態を見て、「上昇」にセットされていればステップS31に進み、「下降」にセットされていればステップS32に進み、それ以外の場合には、ステップS35に進む。
【0066】
ステップS31では、マルチレバーリフトセンサ88によって、マルチステアリングレバー66の前後揺動位置を検出し、刈取部3の下降操作が行われている場合には、ステップS33に進み、それ以外の場合には、ステップS35に進む。ステップ33では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS35に進む。すなわち、自動昇降フラグが「上昇」にセットされている際に、マルチステアリングレバー66により刈取部3の下降操作を行った場合、自動昇降フラッグがOFFにセットされ、オートリフト制御の実行がキャンセルされる。
【0067】
ステップS32では、マルチレバーリフトセンサ88によって、マルチステアリングレバー66の前後揺動位置を検出し、刈取部3の上昇操作が行われている場合には、ステップS34に進み、それ以外の場合には、ステップS35に進む。ステップ34では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS35に進む。すなわち、自動昇降フラグが「下降」にセットされている際に、マルチステアリングレバー66により刈取部3の上昇操作を行った場合、自動昇降フラッグがOFFにセットされ、オートセット制御の実行がキャンセルされる。
【0068】
ステップS35では、自動昇降出力設定のサブルーチンを実行し、図12に示すメインルーチンに処理を戻す。
【0069】
図15は、自動昇降出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS41に進む。ステップS41では、自動昇降フラッグのセット状態を確認し、「上昇」にセットされている場合には、オートリフト制御を開始し、ステップS42に進む。ステップS42では、オートリフトリール回転設定のサブルーチンを実行し、ステップS43に進む。
【0070】
図16は、オートリフトリール回転設定のサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS61に進む。ステップS61では、オートリフト制御の実行が開始されてから予め定めた所定時間が経過したか否かを確認し、上位所定時間を経過していなければ、ステップS62に進み、上記所定時間を経過していれば、ステップS63に進む。
【0071】
ステップS62では、上述したリール回転自動制御の実行を一旦停止し、リール変速アクチュエータ62を介して、リール4を最高速度で回転駆動させ、図15に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS63では、リール4の回転速度を車速に連動させるリール回転自動制御を再開又は継続させ、図15に示すフローに処理を戻す。
【0072】
すなわち、刈取部3を上昇させるオートリフト制御の実行が開始されると、開始から上記所定時間内は、リール4を最高速度で回転駆動させ、該所定時間が経過すると、リール4を車速に連動させるリール回転自動制御が再開される。
【0073】
該構成によれば、オートリフト制御の実行開始から所定時間内におけるリール4の高速回転駆動によって、リール4の掻込性能が高まり、穀稈が一気に掻込まれるため、刈取部3の上昇駆動に起因した穀稈の脱落を効率的に防止できる。
【0074】
図15に示すように、ステップ43では、リール昇降センサ91によって、リール4が最下げ位置に下降されているか否かを確認し、リールが最下げ位置に下降されていない場合には、ステップS44に進み、最下げ位置に下降されている場合には、ステップS45に進む。ステップS44では、昇降シリンダ41の縮小作動によって、リール4を刈取部3に対して下降させ、ステップS45に進む。ステップS45では、オートリフト設定のサブルーチン処理を行い、ステップS46に進む。
【0075】
図17は、オートリフト設定のサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS66に進む。ステップS66では、リール昇降センサ91によってリール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されているか否かを確認し、最下げ位置に下降されていない場合には、ステップS67に進む。ステップS67では、車速センサ97によって、その時点での車速が予め定めた設定速度によりも高速であるか否かを確認し、検出された車速が設定速度以下の場合ステップS68に進む。ステップS68では、走行機体2に対する刈取部3の上昇速度が低速になるようにリフトシリンダ16を制御し、図15に示すフローに処理を戻す。
【0076】
ステップS66において、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されていることが確認された場合には、ステップS69に進む。また、ステップS67において、検出された車速が上記設定速度よりも高速の場合にも、ステップS69に進む。ステップS69では、走行機体2に対する刈取部3の上昇速度が最高速度になるようにリフトシリンダ16を制御し、図15に示すフローに処理を戻す。
【0077】
すなわち、トリガースイッチ73により自動昇降フラグを「上昇」にセットしたオートリフト実行時、リール4が刈取部3に対して予め定めた所定高さ以下(最下げ位置)の場合には、そうでない場合よりも高速で、刈取部3を上昇駆動させる他、「上昇」にセットしたオートリフト実行時、車速が予め定めた所定速度である設定速度よりも高速の場合には、そうでない場合によりも高速で、刈取部3を上昇駆動させる。
【0078】
該構成によれば、オートリフト実行時、リール4が刈取部3に対して所定高さ以上に位置し、刈取作物の穀稈に対して非作用な状態である場合に、刈取部3を高速で上昇させると、該穀稈が刈取部3からこぼれる稈こぼれが発生する虞があるが、このような状態の場合には、ステップS66→・・・→ステップS68の処理によって、刈取部3を低速で上昇させるため、上記稈こぼれが効率的に防止できる。一方、リール4が刈取部3に対して上記所定高さよりも低く、穀稈に作用する状態であれば、リール4によって穀稈が適宜掻込まれるので、刈取部3を高速で上昇させても、上記稈こぼれは発生し難い。このため、このような場合には、ステップS66→ステップS69の処理によって、刈取部3を高速で上昇駆動させる。
【0079】
また、車速が高速の場合には、リール回転自動制御によって、リール4が高速回転されているので、掻込性能が高く、言換えると、高速走行時には、刈取部3を高速で上昇させても、上記稈こぼれが発生する可能性が低い一方で、低速走行時には、刈取部3を高速で上昇させると、上記稈こぼれが発生する虞がある。このため、低速走行時には、ステップS67→ステップS68の処理により、リール4を低速で上昇駆動させる一方で、高速走行時には、ステップS67→ステップS69の処理により、リール4を高速で上昇駆動させる
【0080】
なお、自動昇降フラグを「上昇」にセットしたオートリフト実行によって、刈取部3の上昇に伴う刈取作物の漏れを防止可能になるが、上記のように刈取部3の上昇速度を制御すれば、さらに効率的に刈取作物の漏れを防止可能になる。
【0081】
図15に示すとおり、ステップS46では、リフト昇降センサ89によって、刈取部3が走行機体2に対して前記刈取停止位置まで上昇したか否かを確認し、刈取部3がまだ刈取停止位置以下の高さの場合には、ステップS47に進み、刈取部3が刈取停止位置以上の高さに上昇している場合には、ステップS48に進む。
【0082】
ステップS47では、リフトシリンダ16を伸張作動させ、刈取部3を上昇駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す。一方、ステップS48では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS49に進む。ステップS49では、刈取作業を完了したものとみなし、フィン開閉アクチュエータ34によって、フィン33aを閉作動させ、図14に示すフローに処理を戻す。ちなみに、これによって、オートリフト制御の実行も終了される。
【0083】
このステップS49の処理によれば、オートリフト制御の実行によって、刈取作業を終了させる際に、脱穀部22内の選別物が減少することによるチャフシーブ33(フィン33a)上の選別物の層厚によって、グレンタンク23内に切れ藁等の異物が混入することを防止できる。
【0084】
ステップS41において、自動昇降フラッグが「下降」にセットされている場合には、刈取部3の下降時におけるオートセット制御を開始し、ステップS50に進む。ステップS50では、リール昇降センサ91によって、リール4が上記記憶装置83aに記憶された記憶リール高さまで上昇されている否かを確認し、リール4が記憶リール高さにまだ上昇されていない場合には、ステップS51に進み、リール4が既に記憶リール高さまで上昇されている場合にはステップS52に進む。ステップS51では、昇降シリンダ41の伸張作動によって、リール4を刈取部3に対して上昇駆動させ、ステップS52に進む。
【0085】
ステップS52では、リフト昇降センサ89によって、刈取部3が、刈高さ設定ダイヤル68によって予め設置した刈高さまで下降されているか否かを確認し、刈高さまで下降されていればステップS53に進み、下降されていなければステップS54に進む。ステップS53では、リフトシリンダ16の縮小作動によって刈取部3を走行機体2に対して下降駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS54では、自動昇降フラグをOFFにセットし、図14に示すフローに処理を戻す。ちなみに、このステップS54の処理によって、オートセット制御の実行も終了する。
【0086】
以上、自動昇降フラグを「下降」にセットしたオートセット制御の実行時には、刈取部3が上記刈高さまで下降されるとともに、リール4が記憶装置83aに記憶された元の高さまで上昇される。
【0087】
該構成によれば、オートリフト制御→オートセット制御の順に処理を実行することにより、刈取部3が設定された刈高さまで自動的に下降するとともに、リール4がオートリフト制御を行う前の高さに自動的に上昇するため、オートリフトの実行後、直ちに、刈取作業を再開可能な状態になり、迅速な作業を行うことが可能になる。
【0088】
ステップS41において、自動昇降フラッグがOFFにセットされている場合には、自動昇降制御(オートリフト制御又はオートセット制御)の実行せずに、ステップS55に進む。ステップS55では、トリガースイッチ73が押し操作されて入状態になっているか否かの検出を行い、入状態になっていればステップS56に進む。ステップS56では、リール昇降センサ91によって、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されているか否かを確認し、最下げ位置に下降されていなければ、ステップS57に進み、最下げ位置に下降されていれば、図14に示すフローに処理を戻す。ステップS57では、昇降シリンダ41の縮小作動によってリール4を下降駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す。
【0089】
すなわち、リール4を刈取部3に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御が制御部83に設けられ、マルチステアリングレバー66が前後中立位置に操作されている際にトリガースイッチ73を押し操作している最中は、ステップS41→ステップS55→ステップS56→ステップS57の処理によって、リール強制下降制御が実行される。言換えると、トリガースイッチ73は、リール強制下降制御を実行するリール強制下降操作手段としても機能している。
【0090】
該構成によれば、トリガースイッチ73による押し操作中はリール強制下降制御が実行され、刈取部3に対して下降したリール4によって作物が効率的に掻込まれるため、例えば、刈取部3を上昇させる際に、トリガースイッチ73を押し操作すれば、リール4の上昇時における前記稈こぼれも効率的に防止できる。
【0091】
ステップS55において、トリガースイッチ73が切状態になっていることが確認された場合には、ステップS58に進む。ステップS58では、リール昇降センサ91によって、リール4が上記記憶装置83aに記憶された記憶リール高さまで上昇されている否かを確認し、リール4が記憶リール高さにまだ上昇されていない場合には、ステップS59に進み、リール4が既に記憶リール高さまで上昇されている場合には、図14に示すフローに処理を戻す。ステップS59では、昇降シリンダ41の伸張作動によって、リール4を刈取部3に対して上昇駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す。
【0092】
すなわち、リール強制下降操作手段として機能するトリガースイッチ73の押し操作が解除されて切状態になった場合には、リール4が刈取部3に対して元の昇降高さに自動的に復帰する。
【0093】
該構成によれば、上述した稈こぼれ防止等を目的としてリール4を一時的に下降させた場合でも、トリガースイッチ73による押し操作を解除するのみで、リール4が元の昇降高さに自動的に復帰するので、リール4を再び元の高さに上昇させる手動操作が不要になり、利便性が高い。
【0094】
また、リール強制下降操作手段として機能するトリガースイッチ73の押し操作中に、マルチステアリングレバー66により刈取部3の昇降操作を行った場合には、自動昇降フラグが「上昇」又は「下降」にセットされ、上述した自動昇降制御が実行される。
【0095】
図18は、倒伏刈制御の実行のためのサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS71に進む。ステップS71では、上述した自動昇降フラグの値を確認し、OFFにセットされていれば、ステップS72に進む一方で、OFFにセットされていない状態であれば、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0096】
ステップS72では、脱穀・刈取クラッチセンサ94によって、刈取クラッチ47が接続されているかを確認し、接続されていれば、ステップS73に進む一方で、刈取クラッチ47が切断状態であれば、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0097】
ステップS73では、リール昇降手動操作手段74又はリール前後移動手動操作手段76によるリール4の手動操作が行われているか否かを確認し、手動操作が行われていなければステップS74に進む一方で、該手動操作が行われていれば、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0098】
すなわち、自動昇降フラグが「上昇」又は「下降」からなるON状態にセットされてオートリフト制御又はオートセット制御が実行されている最中や、刈取クラッチ47が切断されて刈取部3及びリール4の駆動が停止されている最中や、リール4の手動操作が行われている最中は、倒伏制御は実行されない。
【0099】
ステップS74では、倒伏スイッチ71の入切検出を行い、入操作された状態でなければステップS75に進む一方で、入操作されている状態であればステップS76に進む。ステップS75では、倒伏フラグをOFFにセットし、倒伏制御を実行せずに、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0100】
ステップS76では、倒伏フラグをONにセットし、ステップS77に進む。ステップS77では、倒伏制御を実行すべくリール倒伏出力設定のサブルーチンの処理を行い、ステップS78に進む。ステップS78では、蛇行制御設定のサブルーチンの処理を行い、図12に示すメインフローに処理を戻す。すなわち、ステップS74→ステップS76→ステップS77の処理によって倒伏刈制御が実行され、倒伏スイッチ71は倒伏刈制御を実行する倒伏操作手段として機能している。
【0101】
図19は、リール倒伏出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS81に処理を進める。ステップS81では、リール昇降センサ91によってリール4の刈取部3に対する相対的な昇降高さを検出し、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に位置しているかの確認を行い、リール4が最下げ位置に位置していなければ、ステップS82に進み、最下げ位置に位置していれば、ステップS83に進む。ステップS82では、昇降シリンダ41によりリール4を刈取部3に対して下降駆動させ、ステップS83に進む。
【0102】
ステップS83では、リール前後センサ92によってリール4の刈取部3に対する前後位置を検出し、リール4が刈取部3に対して最前位置に位置していなければ、ステップS84に進む一方で、最前位置に位置していれば、ステップS85に進む。ステップS84では、進退シリンダ39によりリール4を刈取部3に対して前進駆動させ、ステップS85に進む。
【0103】
ステップS85では、選別ダイヤル85により選択されている作物を確認し、稲が刈取作物として選択されている場合には、ステップS86に進む一方で、豆が刈取作物として選択されている場合には、ステップS87に進む。
【0104】
ステップS86では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が最高速度で回転駆動されるようにして、図18に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS87では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が中速で回転駆動されるようにして、図18に示すフローに処理を戻す。
【0105】
すなわち、作物として稲が選択されている場合には、豆が選択されている場合よりも高速で、リール4が回転駆動される。ちなみに、リール4を中速で回転駆動させた場合でも、リール回転自動制御の実行時によりは高速で、リール4が回転駆動される。言換えると、倒伏刈制御の実行時には、リール回転制御時によりも高速で、リール4が回転駆動される。ちなみに、倒伏刈制御の実行時におけるリール4の回転速度は、車速に連動させてもよいし、車速に関係無く一定にしてもよい。
【0106】
該構成によれば、作物の種類に応じて、リール4の回転速度が自動的に変速されるので、効率的な刈取作業を行うことができる。特に、大豆等の損傷し易い作物に対して、適切なリール4の回転速度を設定することが可能になる他、倒伏刈に適応するようにリール4を高速回転駆動させるため、効率的な倒伏刈作業を行うことができる。
【0107】
また、倒伏刈制御の実行時には、ステップS81→ステップS82の処理により、昇降シリンダ41を介して、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に自動的に下降されるとともに、ステップS83→ステップS84の処理により、昇降シリンダ41を介して、リール4が刈取部3に対して最前位置に自動的に前進される。
【0108】
倒伏刈制御の実行時における上述した処理によって、リール4が倒伏刈に適した位置に自動的に移動駆動されるため、倒伏している圃場の作物を効率的に刈取ることが可能になる。
【0109】
図20は、蛇行制御設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチン処理が開始されると、ステップS91から処理を開始する。ステップS91では、掻込スイッチ69の入切検出を行い、掻込スイッチ69が押し操作によって入状態になっている場合は、ステップS92に進み、掻込スイッチ69の押し操作が解除されて切状態になっている場合は、図18に示すフローに処理を戻す。ステップS92では、走行時に走行機体2(車体)を蛇行させる蛇行制御を実行するため、蛇行出力制御のサブルーチンの処理を行い、図18に示すフローに処理を戻す。
【0110】
すなわち、倒伏刈制御の実行中に、掻込スイッチ69の入操作が行われている間は、上記蛇行制御が実行される。
【0111】
図21は、蛇行出力制御のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンでは、走行機体2を右旋回させることを示す右出力フラッグと、右周期と、左周期とが用意される。右出力フラグがONの場合は、走行機体2を右旋回させることを意味し、右出力フラグがOFFの場合は、走行機体2を左旋回させることを意味している。左右の周期は、「左周期=ONタイム+OFFタイム」、「右周期=ONタイム+OFFタイム」で構成され、ONタイム中は、走行機体2を左右に旋回作動させ、OFFタイム中は、走行機体2を直進させる。
【0112】
そして、このサブルーチン処理が開始されると、ステップS101に進む。ステップS101では、マルチレバー操向センサ87によって、マルチステアリングレバー66により手動の操向操作が行われているか否かを検出し、手動の操向操作が行われている場合には、図20に示すフローに処理を戻す一方で、手動の操向操作が行われていない場合には、ステップS102に進む。すなわち、手動の操向操作が、蛇行制御よりも優先的に行われる。
【0113】
ステップS102では、右出力フラッグのON・OFFを確認し、右出力フラグがONの場合には、ステップS103に進む。ステップS103では、右周期のカウント状況の確認を行い、カウントダウンがOFFタイムより小さくなっていない場合には、走行機体2を右旋回させるべくステップS104に進み、OFFタイムよりも小さくなっていれば、何もせずに図20に示すフローに処理を戻し、カウントダウンが0となって終了していれば、左旋回を開始すべく、ステップS105に進む。
【0114】
ステップS104では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rによりサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を右旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0115】
ステップS105では、右出力フラグをOFFに設定し、ステップS106に進む。ステップS106では、左周期のカウントダウンを開始し、ステップS107に進む。ステップS107では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rにより左右のサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を左旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0116】
ステップS102において、右出力フラグがOFFの場合には、ステップS108に進む。ステップS108では、左周期のカウント状況の確認を行い、カウントダウンがOFFタイムより小さくなっていない場合には、走行機体2を左旋回させるべくステップS109に進み、OFFタイムよりも小さくなっていれば、何もせずに図20に示すフローに処理を戻し、カウントダウンが0となって終了していれば、左旋回を開始すべく、ステップS110に進む。
【0117】
ステップS109では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rにより左右のサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を左旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0118】
ステップS110では、右出力フラグをONに設定し、ステップS111に進む。ステップS111では、右周期のカウントダウンを開始し、ステップS112に進む。ステップS112では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rにより左右のサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を右旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0119】
以上、図21に示すサブルーチンによれば、倒伏刈制御の実行時、上述した所定条件下で、車体の左旋回と、右旋回が交互に所定間隔毎に行われ、車体が蛇行走行される。
なお、車体の蛇行制方向については、本実施例に限らず、左右一対のクローラ式走行装置1L,1Rの回転を交互に増減速する等、車体が蛇行走行するものであればよい。
【0120】
該構成によれば、穀稈の倒伏方向によって、リール4の掻込み作用が小さい状況においても、穀稈を確実に掻込むことが可能になるとともに、この蛇行制御の実行するための専用の操作具を別途設ける必要もない。
【0121】
図22は、強制掻込制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS121に進む。ステップS121では、自動昇降フラグの状態を確認し、自動昇降フラグがOFFにセットされていない状態であれば、ステップS122に進む。ステップS122では、掻込フラッグをOFFにセットし、ステップS123に進む。ステップS123では、セット上昇フラグをOFFにセットし、ステップS124に進む。ステップS124では、解除遅延タイマーをリセットし、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0122】
ステップS121において、自動昇降フラグがOFFにセットされていれば、ステップS125に進む。ステップS125では、倒伏フラッグの状態を確認し、OFFにセットされていない状態であれば、ステップS122に処理を進める一方で、OFFにセットしている状態であれば、ステップS126に処理を進める。
【0123】
すなわち、自動昇降フラグがON(「上昇」又は「下降」)にセットされてオートリフト制御が実行されている場合や、倒伏フラグをONにセットされている場合は、ステップS122に処理が進み、強制掻込制御は実行されない。
【0124】
ステップS126では、掻込スイッチ69の入切状態を検出し、掻込スイッチ69が押し操作されて入状態になっている場合には、ステップS127に進む。ステップS127では、掻込フラグをONにセットし、ステップS128に進む。ステップS128では、解除遅延タイマーをセットし、初期からのカウントダウンを開始し、ステップS129に進む。
【0125】
ステップS129では、掻込フラグのON・OFF検出を確認し、掻込フラグがONの場合には、ステップS130に進む。ステップS130では、解除遅延タイマーのカウントダウンが終了しているか否かを確認し、カウンドダウンが完了していなければ、ステップS131に進む。ステップS131では、リール掻込出力設定のサブルーチンの処理を行い、ステップS132に進む。ステップS132では、掻込フィン開度設定のサブルーチンの処理を行い、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0126】
ステップS126において、押し操作が解除されて掻込スイッチ69が切状態になっている場合には、ステップS129に進む。
【0127】
ステップS130において、解除遅延タイマーのカウントダウンが終了していれば、ステップS133に進む。ステップS133では、セット上昇フラグをONにセットし、ステップS134に進む。ステップS134では、掻込フラグをOFFにセットし、ステップS135に進む。ステップS135では、解除遅延タイマーをリセットし、ステップS131に進む。
【0128】
該構成によれば、自動昇降フラグ及び倒伏フラグがOFFにセットされている状態で、掻込スイッチ69が押し操作されてON状態になっている間は、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS127→ステップS128→ステップS129→ステップS130→ステップS131→ステップS132の処理が実行される掻込制御実行状態になる。
【0129】
この掻込制御実行状態時に、掻込スイッチ69の押し操作が解除され、OFF状態になった場合、解除遅延タイマーのカウントダウン中は、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS129→ステップS130→ステップS131→ステップS132の処理が実行される時間経過待ち状態になる。
【0130】
さらに、この時間経過待ち状態から、解除遅延タイマーのカウントダウンが終了すると、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS129→ステップS130→ステップS133→ステップS134→ステップS135→ステップS131→ステップS132の処理が実行される後処理状態になる。
【0131】
なお、自動昇降フラグ及び倒伏フラグがOFFにセットされている状態で、掻込スイッチ69がOFFになっている初期状態時、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS129→ステップS130→ステップS131→ステップS132の処理が実行される。ちなみに、この初期状態時には、セット上昇フラグもOFFにセットされている。
【0132】
図23は、リール掻込出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS141に進む。ステップS141では、セット上昇フラグの状態を確認し、OFF状態であれば、ステップS142に進む。ステップS142では、掻込フラグの状態を確認し、ON状態であれば、ステップS143に進む。
【0133】
ステップS143では、リール昇降センサ91によって、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されているか否かを検出し、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されていない場合には、ステップS144に進む一方で、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されている場合には、ステップS145に進む。ステップS144では、昇降シリンダ41の縮小作動によって、リール4を刈取部3に対して下降させ、ステップS145に進む。
【0134】
ステップS145では、選別ダイヤル77により選択されている作物を確認し、稲が刈取作物として選択されている場合には、ステップS146に進む一方で、豆が刈取作物として選択されている場合には、ステップS147に進む。
【0135】
ステップS146では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が、車速センサ97で検出される車速に関係無く、予め定めた一定速である最高速で、回転駆動されるようにして、図22に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS147では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が車速センサ97で検出される車速に関係無く予め定めた一定速である中速で、回転駆動されるようにして、図22に示すフローに処理を戻す。すなわち、強制掻込制御の実行時、作物として稲が選択されている場合には、豆が選択されている場合よりも高速で、リール4が回転駆動される。
【0136】
ステップS141において、セット上昇フラグがONにセットされている場合には、ステップS148に進む。ステップS148では、リール昇降センサ91によって、リール4が上記記憶装置83aに記憶された記憶リール高さまで上昇されている否かを確認し、リール4が記憶リール高さにまだ上昇されていない場合には、ステップS149に進み、リール4が既に記憶リール高さまで上昇されている場合にはステップS150に進む。
【0137】
ステップS149では、昇降シリンダ41の伸張作動によって、リール4を刈取部3に対して上昇駆動させ、ステップS151に進む。ステップS150では、セット上昇フラグをOFFにセットし、ステップS151に進む。ステップS151では、リール4の回転速度を車速に連動させるリール回転自動制御を再開又は継続させ、図22に示すフローに処理を戻す。
【0138】
前記初期状態時には、ステップS141→ステップS142→ステップS151の順に処理が進む。
【0139】
また、前記掻込制御実行状態時及び時間経過待ち状態時には、リール4が最下げ位置に下降されるまでの間は、ステップS141→ステップS142→ステップS143→ステップS144→ステップS145→ステップS146又はステップS147の順に処理が進み、リール4が最下げ位置に下降された後は、ステップS141→ステップS142→ステップS143→ステップS145→ステップS146又はステップS147の順に処理が進む。
【0140】
さらに、後処理状態時には、リール4が記憶リール高さまに上昇されるまでの間は、ステップS141→ステップS148→ステップS149→ステップS151の順に処理が進み、リール4が記憶リール高さまに上昇された後は、ステップS141→ステップS148→ステップS150→ステップS151の順に処理が進み、セット上昇フラグがOFFFにセットされ、初期状態への切換が行われる。
【0141】
すなわち、掻込スイッチ69の入操作が行われている間は、リール回転自動制御を解除して、車速に関係無くリール4を所定速度で回転させる強制掻込制御を実行するとともに、リール4を最下げ位置に下降させる一方で、掻込スイッチ69の入操作が解除されて所定時間(解除遅延タイマーがセットされてカウンドダウンが完了するまでの時間)が経過した後は、強制掻込制御を解除してリール回転自動制御に復帰するとともに、該強制掻込制御の実行前の高さ(記憶リール高さ)にリール4が上昇復帰する。
【0142】
該構成によれば、車速に連動してリール4の回転速度を制御するリール回転自動制御を行う汎用コンバインにおいて、低速刈取走行時に掻込スイッチ69の押し操作して入状態とすれば、リール4の回転速度が強制的に高速回転に変速されるので、低速刈取走行時でも、刈取作業の必要な掻込性能を十分に確保することが可能になるとともに、掻込スイッチ69の押し操作解除によって、スムーズにリール回転自動制御に復帰し、直ちに通常の刈取作業を再開することが可能になる。
【0143】
また、この際、リール4が、作業状況に応じた最適な高さに自動的に制御されるので、リール4の手動操作による昇降を行う必要がなく、利便性が高い。
【0144】
なお、制御部83は、脱穀クラッチ46が接続状態且つ刈取クラッチ47が切断状態の際に、掻込スイッチ69の押し操作によって、強制掻込制御の実行が開始された場合には、刈取クラッチ47を自動的に接続させる一方で、掻込スイッチ69の押し操作解除によって強制掻込制御の実行が終了された場合には、刈取クラッチ47を自動的に切断作動させる。ちなみに、脱穀クラッチ46が接続状態且つ刈取クラッチ47が切断状態となる例としては、例えば、走行機体2が走行停止した場合等が挙げられる。
【0145】
上記構成によれば、グレンタンク23が満タンになった場合や、前進走行によって畦際に達した場合等、刈取作業中に走行機体2を走行停止させると、中途半端に刈取られた穀稈がリール4に掻込まれずにこぼれる虞があるのが通常であるが、この際に掻込スイッチ69を入操作して強制掻込制御を実行させれば、自動的に刈取クラッチ47が接続作動され、これによって、上記穀稈のこぼれを効率的に防止できる。
【0146】
図24は、掻込フィン開度設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS161に進む。ステップS161では、リフト昇降センサ89によって、刈取部3が走行機体2に対して前記刈取停止位置以上に上昇されているか否かを確認し、刈取部3が刈取停止位置以上に上昇されていない場合には、図22に示すフローに処理を戻す一方で、刈取部3が刈取停止位置以上に上昇されている場合には、ステップS162に進む。
【0147】
ステップS162では、車速センサ97により検出される車速が、予め定めた低速走行速度である刈終り速度以下になっているか否かの検出を行い、車速が刈終り速度以下になっていない場合には、図22に示すフローに処理を戻す一方で、車速が刈終り速度以下になっている場合には、刈取作業が終了したものとして、ステップS163に処理を進める。ステップS163では、フィン開閉アクチュエータ34によって、フィン33aを閉作動させ、図22に示すフローに処理を戻す。
【0148】
該構成によれば、刈取作業を終了させる際に、脱穀部22内の選別物が減少することによるチャフシーブ33(フィン33a)上の選別物の層厚によって、グレンタンク23内に切れ藁等の異物が混入することを防止できる。
【0149】
次に、図25に基づき、蛇行制御設定のサブルーチンの他例について、上述した例と異なる点を説明する。
図25は、蛇行制御設定の他例を示すサブルーチンの処理フロー図である。同図に示す例では、蛇行制御設定のサブルーチン実行時、ステップS171から処理が開始される。ステップS171では、車速センサ97によって検出される車速が予め定めた蛇行制限速度よりも低速であるか否かを確認し、低速であればステップS172に進む一方で、車速が前記蛇行制限速度以上の場合には、図18に示すフローに処理を戻す。ステップS172では、走行時に走行機体2(車体)を蛇行させる蛇行制御を実行するため、図21に示す蛇行制御出力制御のサブルーチンの処理を行い、図18に示すフローに処理を戻す。
【0150】
言換えると、制御部83は、倒伏刈取制御が行われている最中は、原則として蛇行制御を実行する一方で、車速が前記蛇行制限速度よりも高速の場合には、該蛇行制御をキャンセルする。
【0151】
この処理によって、車体を蛇行させるには不都合な高速走行時に、蛇行制御が実行されることが防止されるため、安全性が高いとともに、倒伏刈制御の実行中における低速走行時には、蛇行制御が自動的に実行されるため、利便性が高い。
【符号の説明】
【0152】
2 走行機体
3 刈取部
4 リール
16 リフトシリンダ(刈取部昇降アクチュエータ)
41 昇降シリンダ(リール昇降アクチュエータ)
66 マルチステアリングレバー(刈取部昇降手動操作手段)
73 トリガースイッチ(リール強制下降操作手段)
74 リール昇降手動操作手段
83 制御部
【技術分野】
【0001】
この発明は、リールが上下移動駆動可能に支持された刈取部を、走行機体に昇降駆動可能に連結した汎用コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
刈取部を走行機体に対して昇降させる刈取部昇降アクチュエータと、作物を掻込むように回転駆動されるリールを刈取部に対して昇降させるリール昇降アクチュエータと、刈取部を昇降させる刈取部昇降手動操作手段と、リールを刈取部に対して昇降させるリール昇降手動操作手段と、制御部とを備え、各種条件に応じて、走行機体に対する刈取部の昇降位置や、刈取部に対するリールの昇降位置を、適宜変更し、刈取作業を効率的に行う特許文献1乃至3に示す汎用コンバインが公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2503763号公報
【特許文献2】特許第2855426号公報
【特許文献3】特開2009−213383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の汎用コンバインでは、リール昇降手動操作手段を介した手動操作によって、リールを昇降させた場合、該リールが変更後の高さに保持される。このため、部分的に作物が倒伏している圃場でリールを一時的に下降させて掻込み性能を向上させる場合や、刈取部を上昇駆動させる際にリールを作物に作用する位置まで一時的に下降させて刈取部の上昇駆動時における稈こぼれを防止する場合等、リールを一時的に下降させたい場合には、作業性が悪かった。
【0005】
本発明は、リールが上下移動駆動可能に支持された刈取部を、走行機体に昇降駆動可能に連結した汎用コンバインにおいて、リールを一時的に下降させることが容易で、作業効率が良好な汎用コンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1に、刈取部3を走行機体2に対して昇降させる刈取部昇降アクチュエータ16と、作物を掻込むように回転駆動されるリール4を刈取部3に対して昇降させるリール昇降アクチュエータ41と、刈取部3を昇降させる刈取部昇降手動操作手段66と、リール4を刈取部3に対して昇降させるリール昇降手動操作手段74A,74Bと、制御部83を備えた汎用コンバインであって、リール4を刈取部3に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御を制御部83に設けるとともに、リール昇降手動操作手段74A,74Bとは別にリール強制下降操作手段73を設け、制御部83は、リール強制下降操作手段73による操作中はリール強制下降制御を実行する一方で、リール強制下降操作手段73による操作が解除された場合にはリール4を元の昇降高さに自動的に復帰させることを特徴としている。
【0007】
第2に、刈取部3を所定高さに自動的に昇降駆動させる自動昇降制御を制御部83に設け、該制御部83は、リール強制下降操作手段73による操作中に刈取部手動昇降操作手段66による昇降操作が行われた場合には、該昇降操作側に刈取部3が自動的に昇降されるように上記自動昇降制御を実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
リール強制下降操作手段による操作中はリール強制下降制御が実行され、刈取部に対してリールが強制的に下降されるので、リールを一時的に下降させることが容易になる。このため、例えば、部分的に作物が倒伏している圃場において、リールを一時的に下降させて掻込み性能を向上させることも容易である他、刈取部を上昇駆動させる際に、リールを作物に作用する位置まで一時的に下降させ、刈取部の上昇駆動時における稈こぼれを効率的に防止することも容易である。これ加えて、リール強制下降操作手段による操作が解除された場合にはリールが元の昇降高さに自動的に復帰するため、通常の刈取作業への復帰が容易になり、作業性が向上する。
【0009】
また、刈取部を所定高さに自動的に昇降駆動させる自動昇降制御を制御部に設け、該制御部は、リール強制下降操作手段による操作中に刈取部手動昇降操作手段による昇降操作が行われた場合には、該昇降操作側に刈取部が自動的に昇降されるように上記オートリフト制御を実行することにより、リール強制下降操作手段が自動昇降制御を実行する操作具としても兼用されるため、部品点数が減少し、コストを安く抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した汎用コンバインの平面図である。
【図2】本発明を適用した汎用コンバインの左側面図である。
【図3】本発明を適用した汎用コンバインの右側面図である。
【図4】刈取部及びリールの側面図である。
【図5】刈取部を走行機体に対して下降させ且つリールを刈取部に対して上昇させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。
【図6】刈取部を走行機体に対して上昇させ且つリールを刈取部に対して下降させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。
【図7】本汎用コンバインの動力伝動系統図である。
【図8】操縦部の斜視図である。
【図9】マルチステアリングレバーの背面図である。
【図10】スイッチパネルの平面図である。
【図11】制御部のブロック図である。
【図12】制御部のメインフロー図である。
【図13】リール手動制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図14】ヘッダ自動昇降制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図15】自動昇降出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図16】オートリフトリール回転設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図17】オートリフト設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図18】倒伏刈制御の実行のためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図19】リール倒伏出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図20】蛇行制御設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図21】蛇行出力制御のサブルーチンの処理フロー図である。
【図22】強制掻込制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。
【図23】リール掻込出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図24】掻込フィン開度設定のサブルーチンの処理フロー図である。
【図25】蛇行制御設定の他例を示すサブルーチンの処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図3は本発明を適用した汎用コンバインの平面図、左側面図及び右側面図であり、図4は刈取部及びリールの側面図である。図示する汎用コンバインは、稲や麦や豆類等の作物の刈取作業を行うものであり、該汎用コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1L,1Rを有する走行機体2と、走行機体2の前方に昇降自在に連結された刈取部3と、左右方向に延びる筒状のリール4と、該リール4を昇降及び前後動可能に刈取部3側に支持する可動機構6とを備えている。
【0012】
上記刈取部3は、後側半部のフィーダ7及び前側半部の刈取フレーム8を一体的で備え、刈取フレーム8の左右の側壁からは前方に向かって分草体9が突出され、刈取フレーム8の左右の側壁間における下部且つ後部には、左右方向に延びる円柱状の掻込オーガ11が軸回りに回転駆動可能に支持され、該掻込オーガ11の前方には、左右方向のレシプロ式の刈刃12が設置されている。ちなみに、平面視刈取フレーム8の左右の側壁間に前記リール4が位置している。
【0013】
フィーダ7は、刈取った作物の穀稈を後方搬送する前後方向のフィーダコンベア13を備え、全体が後述する走行機体2側の操縦部14の側方に位置しており、このフィーダ7の後端部が走行機体2の前部に支持されている他、刈取フレーム8は操縦部14の前側からフィーダ7の前側に至る左右範囲に形成されている。
【0014】
この刈取部3と、走行機体2の前部との間には、伸縮作動によって該刈取部3を走行機体2に対して昇降させる油圧式のリフトシリンダ(刈取部昇降アクチュエータ)16が設けられている。このリフトシリンダ16を伸張作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して上昇する一方で、リフトシリンダ16を縮小作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して下降する。
【0015】
上記リール4は、後述する手段によって動力が伝動されて自身の軸回りに回転駆動される回動軸17と、該回動軸17と一体回転する側面視多角形状(図示する例では6角形状)の左右一対のサイドフレーム18,18とを備え、互いに離間した状態で平行に対向配置された左右一対のサイドフレーム18,18の頂点部分同士をそれぞれ左右方向の横フレーム19によって連結固定することにより、周囲及び左右両側方が内外で連通し且つ内部が空洞となる角柱状に成形されている。また、回転軸17の軸回りに所定間隔毎に配置された各横フレーム19には、下降突出するリールタイン21が所定間隔毎に複数配置されている。
【0016】
回転するリール4によって掻込まれた圃場の作物の穀稈は、左右に往復スライド駆動される刈刃12によって刈取られ、掻込オーガ11によってフィーダ7側に掻込まれる。フィーダ7側に導入された作物の穀稈は、フィーダコンベア13によって走行機体2側まで後方搬送される。
【0017】
上記走行機体2の左側半部には、刈取った稲や麦等の穀稈の脱穀処理を行うとともに該脱穀処理された処理物から籾等の穀粒を選別する脱穀部22が設置され、走行機体2の右側半部には、脱穀部22からの穀粒を蓄えるグレンタンク23が配設され、グレンタンク23の前方には、オペレータが乗込む前記操縦部14が設置されている。
【0018】
脱穀部22は、フィーダコンベア13からの作物の穀稈が導入される扱室24と、扱室24の真下側に形成された選別室26とを備え、扱室24内には、前後方向に延びる円柱状の扱胴27が自身の軸回りに回転自在に軸支され、選別室26内の上部には、前後動する揺動選別体28が設置され、選別室26内の下部前側には、後方斜め上方の選別風を起風する唐箕ファン29が配置され、選別室26内の下部の前後方向中途部には、一番ラセン31と、二番ラセン32が前後に配置されている。
【0019】
フィーダ7から脱穀部22に導入された穀稈は扱室24内の回転する扱胴27によって後方搬送されながら脱穀処理され、その処理物は、選別室26に落下する。選別室26に落下した処理物は揺動選別体28によって揺動選別されるとともに、上記選別風によって選別(風選)される。具体的には、選別風の影響を受けずに前側の一番ラセン31に落下する一番物と、選別風の影響を若干受けて後側の二番ラセン32に落下する二番物と、選別風の影響を受けて後方斜め上方に吹上げられる藁屑等の排出物とに選別される。ちなみに、一番物は穀粒としてグレンタンク23内に搬送され、二番物は選別室26内に再度導入されて風選され、排出物は走行機体2の後端側から機外に排出される。
【0020】
なお、揺動選別体28の後半部には、前後方向に並列配置された複数のフィン33aによりなるチャフシーブ33が設置されている。そして、電動モータ等からなるフィン開閉アクチュエータ34(図11参照)によって、フィン33aが下方を向くように回動される開作動時には、開度が大きくなって、揺動選別体28の上方側に吹抜ける選別風の風量が増加する一方で、フィン開閉アクチュエータ34によって、フィン33aが水平方向を向くように回動される閉作動時には、開度が小さくなって、揺動選別体28の上方側に吹抜ける選別風の風量が減少する。このようなフィン33aの開閉作動による風量の調整によって、処理物の量に応じた最適な風選を行うことが可能になる。
【0021】
グレンタンク23内の穀粒は、走行機体2の後端部に支持された排出オーガ36によって機外に排出される。具体的には、全体が上下揺動可能且つ水平回動可能なように排出オーガ36の基端部が走行機体2に支持され、該排出オーガ36の先端部には穀粒を排出する排出部36aが設けられており、上下揺動又は水平回動によって排出オーガ36の排出部36aを所定位置に移動させ、その場で穀粒を排出させることができる。
【0022】
上記可動機構6は、フィーダ7に前後揺動自在に支持された左右一対の進退アーム37,37と、各進退アーム37に上下揺動自在に支持された昇降アーム38と、各進退アーム37とフィーダ7との間に配置されて伸縮作動により進退アーム37を上下揺動させる油圧式の進退シリンダ(リール前後移動アクチュエータ)39と、各昇降アーム38と刈取フレーム8との間に配置されて伸縮作動により昇降アーム38を上下揺動駆動させる油圧式の昇降シリンダ(リール昇降アクチュエータ)41とを備えている。
【0023】
各進退アーム37は、下端側がフィーダ7側に支持される支持端になり、各昇降アーム38は、後端側が進退アーム37の上端側に支持される支持端になり、この左右の昇降アーム38,38の先端部間に左右方向のリール4が回転軸17により回転自在に軸支されている。
【0024】
そして、進退シリンダ39の伸長作動によって進退アーム37を前方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して前進する一方で、進退シリンダ39の縮小作動によって進退アーム37を後方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して後退し、さらに、昇降シリンダ41の伸長作動によって昇降アーム38を上方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して上昇する一方で、昇降シリンダ41の縮小作動によって昇降アーム38を下方揺動させることにより、リール4が刈取部3に対して下降する。
【0025】
図5は刈取部を走行機体に対して下降させ且つリールを刈取部に対して上昇させた状態を示す汎用コンバインの側面図であり、図6は刈取部を走行機体に対して上昇させ且つリールを刈取部に対して下降させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。上述したリフトシリンダ16及び昇降シリンダ41によって、本汎用コンバインは、刈取部3を走行機体2に対して最下げ位置に下降させた状態のまま、リール4のみを刈取部3に対して最上げ位置に上昇させることもでき(図5参照)、さらに、リール4を刈取部3に対して最下げ位置に下降させた状態のまま、刈取部3を走行機体2に対して最上げ位置に上昇させることも可能になる(図6参照)。
【0026】
図7は、本汎用コンバインの動力伝動系統図である。エンジン42で発生した動力は、伝動最上流側で、走行系の動力と作業系の動力とに分岐される。そして、走行系の動力は、走行HST43→走行トランスミッション44の順に伝動されて左右のクローラ式走行装置1L,1Rを走行駆動させる。一方、作業系の動力は、脱穀クラッチ46を介して脱穀部22に断続伝動される他、脱穀部22側の動力は刈取クラッチ47を介して刈取部3及びリール4に断続伝動される。
【0027】
走行HST43はエンジン42側からの動力の正逆転切換及び無段階変速伝動を行い、その出力動力を走行トランスミッション44に伝動する。走行トランスミッション44は、走行HST43からの動力を左右のクローラ式走行装置1L,1Rに等速で伝動する機能を有するとともに異なる回転速度で伝動する機能も有する他、走行HST43からの動力を左側のクローラ走行装置1Lに断続伝動する左サイドクラッチ48Lと、走行HST43からの動力を右側のクローラ走行装置1Rに断続伝動する右サイドクラッチ48Rとを備えている。このため、左右のサイドクラッチ48L,48Rの一方を切断するとともに他方を接続すると、切断した側に走行機体2が旋回される。ちなみに、左右のクローラ式走行装置1L,1Rを同一速度で駆動させれば、走行機体2が直進走行する。
【0028】
刈取部3側に伝動された動力は、フィーダ駆動軸49にチェーン伝動されてフィーダコンベア13を搬送駆動させる他、該フィーダ駆動軸49の動力は、分岐軸51に伝動される。分岐軸51の動力は、掻込オーガ駆動軸52にチェーン伝動され掻込オーガ11を掻込駆動させるとともに、刈刃駆動軸53にベルト伝動されて刈刃12を刈取駆動させる。
【0029】
また、分岐軸51の動力は、リール変速装置54に伝動される。このリール変速装置54は、分岐軸51の動力がチェーン伝動される入力軸56と、該入力軸56と一体回転する入力プーリ57と、出力軸58と、該出力軸58と一体回転する出力プーリ59と、入力プーリ57と出力プーリ59との掛け回されるVベルト61とから構成される。入力軸56の動力は、リール変速アクチュエータ62(図11参照)を介した入力プーリ57と出力プーリ59とVベルト61の作動により、無段階で変速され出力軸58に伝動される。出力軸58の動力は、前記回転軸17に伝動されてリール4を回転駆動させる。
【0030】
すなわち、リール変速装置54は、リール変速アクチュエータ62によって、リール4の回転速度を無段階で変速するように構成されている。また、リール変速装置54は、左右の昇降アーム38,38の一方を構成する伝動ケース38Aに内装されている。
【0031】
次に、図8乃至図10に基づき操縦部の構成を説明する。
図8は、操縦部の斜視図である。操縦部14は、オペレータが着座する座席63(図1乃至図3参照)と、座席63の側方に配置された変速レバー64と、座席63の前方に配置されたマルチステアリングレバー66と、変速レバー64の後方に配置されたスイッチパネル67と、変速レバー64の前方且つマルチステアリングレバー66の側方に配置された刈高さ設定ダイヤル68とを備えている。
【0032】
上記変速レバー64は、走行HST43をニュートラル状態とする前後中立位置から左右一方側への揺動によって、該中立位置からの前方揺動が可能になる一方で、中立位置からの左右他方側への揺動によって、該中立位置からの後方揺動が可能になる。そして、変速レバー64の中立位置からの前方揺動によって、走行HST43を介した前進走行側への増速操作を行う一方で、変速レバー64の中立位置からの後方揺動によって、走行HST43を介した後進走行側への増速操作を行う。
【0033】
この変速レバー64の上端部にはグリップ64aが形成され、このグリップ64aの側部には、該グリップ64aを把持しながら押し操作可能なモーメンタリ式の掻込スイッチ(強制掻込操作手段)69が設けられ、グリップ64aの背面側には、オルタネート式の倒伏スイッチ(倒伏刈操作手段)71が配設されている。
【0034】
上記刈高さ設定ダイヤル68は、押し操作可能且つダイヤル操作可能に構成され、刈高さ設定ダイヤル68の押し操作によって後述する刈高さ自動スイッチ72(図11参照)が入状態になるとともに、再度の押し操作によって刈高さ自動スイッチ72が切状態になる一方で、刈高さ設定ダイヤル68のダイヤル操作によって刈取作業時の刈取部3の昇降高さ(刈高さ)が設定される。
【0035】
図9は、マルチステアリングレバーの背面図である。上記マルチステアリングレバー66は、前後揺動によって、リフトシリンダ16を介した刈取部3の昇降手動操作を行うとともに、左右揺動によって車体の操向操作を行う。
【0036】
具体的には、マルチステアリングレバー66を前後中立位置から前方揺動させることにより、リフトシリンダ16を縮小作動させる刈取部3の下降操作を行い、マルチステアリングレバー66を前後中立位置から後方揺動させることにより、リフトシリンダ16を伸張作動させる刈取部3の上昇操作を行う一方で、マルチステアリングレバー66を左右中立位置から左側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの右側を左側に対して高速走行駆動させて車体を左側に旋回させる左旋回操作を行い、マルチステアリングレバー66を中立位置から右側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの左側を右側に対して高速走行駆動させて車体を右側に旋回させる右旋回操作を行う。
【0037】
すなわち、マルチステアリングレバー66は、刈取部3を走行機体2に対して昇降させる刈取部昇降手動操作手段であるとともに、走行機体2の操向操作手段でもある。
【0038】
また、マルチステアリングレバー66上端部の背面側における左右一方側にはリール昇降手動操作手段74が設けられ、左右他方側にはリール前後移動手動操作手段76が設けられている他、マルチステアリングレバー66上端部の正面側にはモーメンタリ式のトリガースイッチ73が設置されている。
【0039】
具体的には、リール昇降手動操作手段74として、リール4を刈取部3に対して上昇操作するモーメンタリ式のリール上昇スイッチ74Aと、リール4を刈取部3に対して下降操作するモーメンタリ式のリール下降スイッチ74Bとが上下に設けられ、リール前後移動手動操作手段76として、リール4を刈取部3に対して前進操作するモーメンタリ式のリール前進スイッチ76Aと、リール4を刈取部3に対して後退操作するモーメンタリ式のリール後退スイッチ76Bとが上下に設けられている。
【0040】
図10は、スイッチパネルの平面図である。スイッチパネル67には、刈取作物を豆と稲の少なくとも2種類で選択可能な選別ダイヤル(選択手段)77と、走行機体2に対して刈取部3が予め定めた所定高さ(刈取停止位置)以上に上昇した場合に、刈取クラッチ46や脱穀クラッチ47の切断によって、リール4及び刈取部3の駆動を停止させるリフトシャット制御を実行するか否かを切換えるリフトシャットスイッチ78と、シーソースイッチである脱穀・刈取クラッチスイッチ79と、リール変速アクチュエータ62を介してリール4の回転速度を設定(変速操作)するリール回転設定ダイヤル(リール変速手動操作手段)81とを備えている。
【0041】
選別ダイヤル77は、ダイヤル操作位置によって、刈取作物の選択を行うものであり、具体的には、選別ダイヤル77が、1番から9番までの9段階の操作位置中、5〜7番目の操作位置にダイヤル操作された場合には、稲が刈取作物として選択され、9番目の操作位置にダイヤル操作された場合には、豆が刈取作物として選択される。リフトシャットスイッチ78は、1回の押し操作毎に、リフトシャット制御の実行と実行停止が切換えられる。脱穀・刈取クラッチスイッチ79は、左右一方側に傾斜した状態と、左右に水平な状態と、左右他方側に傾斜した状態とを切換えることにより、脱穀クラッチ46と刈取クラッチ47の両方を切断させる切断状態と、脱穀クラッチ46のみを接続して刈取クラッチ47を切断させる脱穀状態と、脱穀クラッチ46と刈取クラッチ47の両方を接続させる接続状態とを切換えるように構成されている。
【0042】
リール回転設定ダイヤル81は、押し操作可能且つダイヤル操作可能に構成され、リール回転設定ダイヤル81の押し操作によって後述するリール回転自動スイッチ82(図11参照)が入状態になるとともに、再度の押し操作によって刈高さ自動スイッチ82が切状態になる一方で、刈高さ設定ダイヤル81のダイヤル操作によってリール変速アクチュエータ62を介したリール4の回転速度が設定される。
【0043】
以上のような、操縦部14側の各種操作具による各部の操作や制御は、マイコン等からなる制御部83(図11参照)によって行われる。
【0044】
次に、図11乃至図24に基づき、制御部83の構成を説明する。
図11は、制御部のブロック図である。制御部83の出力側には、上述したリフトシリンダ16、昇降シリンダ41、進退シリンダ39、リール変速アクチュエータ62及びフィン開閉アクチュエータ34の他に、左サイドクラッチ48Lを断続作動させる左サイドクラッチアクチュエータ84Lと、右サイドクラッチ48Rを断続作動させる右サイドクラッチアクチュエータ84Rと、脱穀クラッチ46と刈取クラッチ47を断続作動させる脱穀・刈取クラッチアクチュエータ86とが接続されている。
【0045】
制御部83の入力側には、上述したトリガースイッチ73、リール上昇スイッチ74A、リール下降スイッチ74B、リール前進スイッチ76A、リール後退スイッチ76B、倒伏スイッチ71、掻込スイッチ69、選別ダイヤル77、刈高さ自動スイッチ72、刈高さ設定ダイヤル68、リール回転自動スイッチ82、リール回転設定ダイヤル81、脱穀・刈取クラッチスイッチ79、リフトシャットスイッチ78の他に、マルチステアリングレバー66の左右揺動位置を検出するポテンショメータであるマルチレバー操向センサ87と、マルチレバー66の前後揺動位置を検出するポテンショメータであるマルチレバーリフトセンサ88と、刈取部3の走行機体に対する相対的な昇降高さを検出するポテンショメータであるリフト昇降センサ89と、リール4の刈取部3の対する相対的な昇降高さを検出するポテンショメータであるリール昇降センサ(高さ検出手段)91と、リール4の刈取部3に対する相対的な前後位置を検出するポテンショメータであるリール前後センサ92と、リール4の回転速度を検出するリール回転センサ93と、脱穀クラッチ46及び刈取クラッチ47の断続を検出する脱穀・刈取クラッチセンサ94と、フィン33aの回動位置を検知することによりチャフシーブ33の開度を検出するポテンショメータであるフィン開度センサ96と、走行機体の走行速度(車速)を検出する車速センサ(車速検出手段)97とが接続されている。
【0046】
上記入出力を有する制御部83は、マルチレバーリフトセンサ88からの検出値に基づき、リフトシリンダ16を介して、刈取部3を走行機体に対して昇降駆動させる。ちなみに、制御部83は、図示しない比例制御弁を介してリフトシリンダ16の伸縮スピードを調整することにより、刈取部83の走行機体2に対する昇降速度を制御するように構成されている。
【0047】
また、制御部83は、マルチレバー操向センサ87からの検出値に基づき、サイドクラッチアクチュエータ84L,84Rを介して左右のサイドクラッチ48L,48Rを駆動制御することにより、走行機体2を操向作動させる。
【0048】
また、制御部83は、リール上昇スイッチ74A及びリール下降スイッチ74Bからの検出値に基づき、昇降シリンダ41を介してリール4を刈取部3に対して昇降させるとともに、リール前進スイッチ76A及びリール後退スイッチ76Bからの検出値に基づき、進退シリンダ39を介してリール4を刈取部3に対して前後移動させるリール手動制御を実行する。
【0049】
さらに、制御部83は、リフトシャットスイッチ78の押し操作毎に、リフトシャット制御を実行と実行停止とに切換える。
【0050】
また、制御部83は、種々の条件に応じて、後述する刈取部3及びリール4の自動昇降制御(ヘッダ自動昇降制御)と、後述する倒伏刈制御と、後述する強制掻込制御とを、適宜実行する。
【0051】
なお、制御部83は、リール回転自動スイッチ82が入状態になっている間、原則して、車速センサ97によって検出される車速にリール4の回転速度を連動させるリール回転自動制御を行う。具体的には、車速が増加にした場合、その増加量に応じてリール4の回転速度を増加させる一方で、車速が減少した場合、その減少量に応じてリール4の回転速度を減少させる。ただし、後述する所定条件下では、リール回転自動スイッチ82が入状態になっていても、リール回転自動制御を行わない。以下の説明では、リール回転自動スイッチ82が入状態になっていることを前提として説明を行う。
【0052】
図12は、制御部のメインフロー図である。制御部83は処理が開始されると、メインルーチンの処理を開始し、ステップS1に進む。ステップS1では、リール昇降手動操作手段74又はリール前後移動手動操作手段76によるリール手動操作が行われたか否かを検出し、行われている場合には、ステップS2に進む。
【0053】
ステップS2では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS3に進む。ステップS3では、倒伏フラグをOFFにセットし、ステップS4に進む。ステップS4では、掻込フラグをOFFにセットし、ステップS5に進む。ステップS5では、リール手動制御を実行するためのサブルーチン処理を行い、処理をステップS1に戻す。
【0054】
ステップS1において、リール昇降手動操作手段74又はリール前後移動手動操作手段76を介したリール手動操作が行われていない場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、ヘッダ自動昇降制御の実行のためのサブルーチン処理を行い、ステップS7に進む。ステップS7では、倒伏刈制御の実行のためのサブルーチン処理を行い、ステップS8に進む。ステップS8では、強制掻込制御の実行のためのサブルーチン処理を行い、ステップS1に処理を戻す。
【0055】
図12に示す処理フローによれば、リール手動制御が、ヘッダ自動昇降制御、倒伏刈制御及び強制掻込制御の実行に優先して、行われる。
【0056】
図13は、リール手動制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、リール上昇スイッチ74Aが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール上昇スイッチ74AがON状態であればステップS12に進む。ステップS12では、昇降シリンダ41を伸張作動させてリール4を刈取部3に対して上昇させ、ステップS13に進む。ステップS13では、その時点での刈取部3に対するリール4の昇降高さを記憶リール高さとして制御部83の記憶装置83aに記憶し、ステップS14に進む。
【0057】
ステップS11において、リール上昇スイッチ74AがOFF状態であればステップS15に進む。ステップS15では、リール下降スイッチ74Bが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール下降スイッチ74BがON状態であればステップS16に進む一方で、リール下降スイッチ74BがOFF状態であればステップS13に進む。ステップS16では、昇降シリンダ41を縮小作動させてリール4を刈取部3に対して下降させ、ステップS13に進む。
【0058】
ステップS14では、リール前進スイッチ76Aが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール前進スイッチ76AがON状態であればステップS17に進む。ステップS17では、進退シリンダ39を伸張作動させてリール4を刈取部3に対して前進させ、ステップS18に進む。ステップS18では、その時点での刈取部3に対するリール4の前後位置を記憶リール前後位置として制御部83の記憶装置83aに記憶し、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0059】
ステップS14において、リール前進スイッチ76AがOFF状態であればステップS19に進む。ステップS19では、リール後退スイッチ76Bが押し操作によってONされているか否かを検出し、リール後退スイッチ76BがON状態であればステップS20に進む一方で、リール後退スイッチ76BがOFF状態であればステップS18に進む。ステップS20では、進退シリンダ39を縮小作動させてリール4を刈取部3に対して後退させ、ステップS18に進む。
【0060】
上記処理によれば、リール手動操作時に優先的に実行されるリール手動制御によって、リール4の刈取部3に対する前後位置や上下位置を変更し、その実行毎に、その位置が記憶装置83aに記憶される。
【0061】
図14は、ヘッダ自動昇降制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS21に進む。ステップS21では、刈高さ自動スイッチ72の入切検出を行い、刈高さ自動スイッチ72が入状態である場合には、ステップS22に進む。ステップS22では、脱穀・刈取クラッチセンサ94によって脱穀クラッチ46の断続検出を行い、接続状態であれば、ステップS23に進む。
【0062】
ステップS23では、トリガースイッチ73が押し操作されて入状態になっているか否かの検出を行い、入状態になっていればステップS24に進む。ステップS24では、マルチレバーリフトセンサ88によって、マルチステアリングレバー66の前後揺動位置を検出し、刈取部3の上昇操作が行われている場合には、ステップS25に進み、刈取部3の下降操作が行われている場合には、ステップS26に進み、刈取部3の昇降操作が行われていない場合には、ステップS27に進む。
【0063】
ステップS25では、制御モード判定を「上昇」にセットして、ステップS28に進み、ステップS26では、制御モード判定を「下降」にセットして、ステップS28に進み、ステップS27では、制御モード判定を「なし」にセットして、ステップS28に進む。ステップS28では、制御モード判定が何にセットされているかを確認し、「上昇」又は「下降」にセットされていればステップS29に進む。ステップS29では、前記自動昇降フラグに自動昇降フラグに制御モード判定のセット値を入力し、ステップS30に進む。また、ステップS21において刈高さ自動スイッチ72が切状態の場合、ステップS22において脱穀クラッチ46が切断状態の場合、ステップS23においてトリガースイッチ73が切状態の場合、及びステップS29において制御モード判定に「なし」がセットされている場合は、それぞれステップS30に進む。
【0064】
すなわち、刈高さ自動スイッチ72が入状態時且つ脱穀クラッチ46が接続状態時に、トリガースイッチ73を押し操作しながら、マルチステアリングレバー66によって刈取部3の昇降操作が1回行われた場合には、その操作方向に応じて、自動昇降フラグが「上昇」又は「下降」にセットされ、その後はステップS28→ステップS30の処理によって、マルチステアリングレバー66やトリガースイッチ73の操作を解除しても、自動昇降フラグのセット値が保持される。そして、上記のようにして自動昇降フラグが「上昇」にセットされたON状態時には、刈取部3の上昇に伴ってリール4が刈取部3に対して自動的に下降するオートリフト制御行われる。また、上記のようにして自動昇降フラグが「下降」にセットされたON状態時には、刈取部3の下降に伴ってリール4が刈取部3に対して自動的に上昇して元の位置に復帰するオートセット制御が行われる。このように、ヘッダ自動昇降制御(自動昇降制御)は、オートリフト制御及びオートセット制御から構成され、トリガースイッチ73は、自動昇降制御を実行する自動昇降制御操作手段(オートリフト操作手段,オートセット操作手段)として機能している。
【0065】
ステップS30では、自動昇降フラグのセット状態を見て、「上昇」にセットされていればステップS31に進み、「下降」にセットされていればステップS32に進み、それ以外の場合には、ステップS35に進む。
【0066】
ステップS31では、マルチレバーリフトセンサ88によって、マルチステアリングレバー66の前後揺動位置を検出し、刈取部3の下降操作が行われている場合には、ステップS33に進み、それ以外の場合には、ステップS35に進む。ステップ33では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS35に進む。すなわち、自動昇降フラグが「上昇」にセットされている際に、マルチステアリングレバー66により刈取部3の下降操作を行った場合、自動昇降フラッグがOFFにセットされ、オートリフト制御の実行がキャンセルされる。
【0067】
ステップS32では、マルチレバーリフトセンサ88によって、マルチステアリングレバー66の前後揺動位置を検出し、刈取部3の上昇操作が行われている場合には、ステップS34に進み、それ以外の場合には、ステップS35に進む。ステップ34では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS35に進む。すなわち、自動昇降フラグが「下降」にセットされている際に、マルチステアリングレバー66により刈取部3の上昇操作を行った場合、自動昇降フラッグがOFFにセットされ、オートセット制御の実行がキャンセルされる。
【0068】
ステップS35では、自動昇降出力設定のサブルーチンを実行し、図12に示すメインルーチンに処理を戻す。
【0069】
図15は、自動昇降出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS41に進む。ステップS41では、自動昇降フラッグのセット状態を確認し、「上昇」にセットされている場合には、オートリフト制御を開始し、ステップS42に進む。ステップS42では、オートリフトリール回転設定のサブルーチンを実行し、ステップS43に進む。
【0070】
図16は、オートリフトリール回転設定のサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS61に進む。ステップS61では、オートリフト制御の実行が開始されてから予め定めた所定時間が経過したか否かを確認し、上位所定時間を経過していなければ、ステップS62に進み、上記所定時間を経過していれば、ステップS63に進む。
【0071】
ステップS62では、上述したリール回転自動制御の実行を一旦停止し、リール変速アクチュエータ62を介して、リール4を最高速度で回転駆動させ、図15に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS63では、リール4の回転速度を車速に連動させるリール回転自動制御を再開又は継続させ、図15に示すフローに処理を戻す。
【0072】
すなわち、刈取部3を上昇させるオートリフト制御の実行が開始されると、開始から上記所定時間内は、リール4を最高速度で回転駆動させ、該所定時間が経過すると、リール4を車速に連動させるリール回転自動制御が再開される。
【0073】
該構成によれば、オートリフト制御の実行開始から所定時間内におけるリール4の高速回転駆動によって、リール4の掻込性能が高まり、穀稈が一気に掻込まれるため、刈取部3の上昇駆動に起因した穀稈の脱落を効率的に防止できる。
【0074】
図15に示すように、ステップ43では、リール昇降センサ91によって、リール4が最下げ位置に下降されているか否かを確認し、リールが最下げ位置に下降されていない場合には、ステップS44に進み、最下げ位置に下降されている場合には、ステップS45に進む。ステップS44では、昇降シリンダ41の縮小作動によって、リール4を刈取部3に対して下降させ、ステップS45に進む。ステップS45では、オートリフト設定のサブルーチン処理を行い、ステップS46に進む。
【0075】
図17は、オートリフト設定のサブルーチンの処理フロー図である。処理が開始されると、ステップS66に進む。ステップS66では、リール昇降センサ91によってリール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されているか否かを確認し、最下げ位置に下降されていない場合には、ステップS67に進む。ステップS67では、車速センサ97によって、その時点での車速が予め定めた設定速度によりも高速であるか否かを確認し、検出された車速が設定速度以下の場合ステップS68に進む。ステップS68では、走行機体2に対する刈取部3の上昇速度が低速になるようにリフトシリンダ16を制御し、図15に示すフローに処理を戻す。
【0076】
ステップS66において、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されていることが確認された場合には、ステップS69に進む。また、ステップS67において、検出された車速が上記設定速度よりも高速の場合にも、ステップS69に進む。ステップS69では、走行機体2に対する刈取部3の上昇速度が最高速度になるようにリフトシリンダ16を制御し、図15に示すフローに処理を戻す。
【0077】
すなわち、トリガースイッチ73により自動昇降フラグを「上昇」にセットしたオートリフト実行時、リール4が刈取部3に対して予め定めた所定高さ以下(最下げ位置)の場合には、そうでない場合よりも高速で、刈取部3を上昇駆動させる他、「上昇」にセットしたオートリフト実行時、車速が予め定めた所定速度である設定速度よりも高速の場合には、そうでない場合によりも高速で、刈取部3を上昇駆動させる。
【0078】
該構成によれば、オートリフト実行時、リール4が刈取部3に対して所定高さ以上に位置し、刈取作物の穀稈に対して非作用な状態である場合に、刈取部3を高速で上昇させると、該穀稈が刈取部3からこぼれる稈こぼれが発生する虞があるが、このような状態の場合には、ステップS66→・・・→ステップS68の処理によって、刈取部3を低速で上昇させるため、上記稈こぼれが効率的に防止できる。一方、リール4が刈取部3に対して上記所定高さよりも低く、穀稈に作用する状態であれば、リール4によって穀稈が適宜掻込まれるので、刈取部3を高速で上昇させても、上記稈こぼれは発生し難い。このため、このような場合には、ステップS66→ステップS69の処理によって、刈取部3を高速で上昇駆動させる。
【0079】
また、車速が高速の場合には、リール回転自動制御によって、リール4が高速回転されているので、掻込性能が高く、言換えると、高速走行時には、刈取部3を高速で上昇させても、上記稈こぼれが発生する可能性が低い一方で、低速走行時には、刈取部3を高速で上昇させると、上記稈こぼれが発生する虞がある。このため、低速走行時には、ステップS67→ステップS68の処理により、リール4を低速で上昇駆動させる一方で、高速走行時には、ステップS67→ステップS69の処理により、リール4を高速で上昇駆動させる
【0080】
なお、自動昇降フラグを「上昇」にセットしたオートリフト実行によって、刈取部3の上昇に伴う刈取作物の漏れを防止可能になるが、上記のように刈取部3の上昇速度を制御すれば、さらに効率的に刈取作物の漏れを防止可能になる。
【0081】
図15に示すとおり、ステップS46では、リフト昇降センサ89によって、刈取部3が走行機体2に対して前記刈取停止位置まで上昇したか否かを確認し、刈取部3がまだ刈取停止位置以下の高さの場合には、ステップS47に進み、刈取部3が刈取停止位置以上の高さに上昇している場合には、ステップS48に進む。
【0082】
ステップS47では、リフトシリンダ16を伸張作動させ、刈取部3を上昇駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す。一方、ステップS48では、自動昇降フラグをOFFにセットし、ステップS49に進む。ステップS49では、刈取作業を完了したものとみなし、フィン開閉アクチュエータ34によって、フィン33aを閉作動させ、図14に示すフローに処理を戻す。ちなみに、これによって、オートリフト制御の実行も終了される。
【0083】
このステップS49の処理によれば、オートリフト制御の実行によって、刈取作業を終了させる際に、脱穀部22内の選別物が減少することによるチャフシーブ33(フィン33a)上の選別物の層厚によって、グレンタンク23内に切れ藁等の異物が混入することを防止できる。
【0084】
ステップS41において、自動昇降フラッグが「下降」にセットされている場合には、刈取部3の下降時におけるオートセット制御を開始し、ステップS50に進む。ステップS50では、リール昇降センサ91によって、リール4が上記記憶装置83aに記憶された記憶リール高さまで上昇されている否かを確認し、リール4が記憶リール高さにまだ上昇されていない場合には、ステップS51に進み、リール4が既に記憶リール高さまで上昇されている場合にはステップS52に進む。ステップS51では、昇降シリンダ41の伸張作動によって、リール4を刈取部3に対して上昇駆動させ、ステップS52に進む。
【0085】
ステップS52では、リフト昇降センサ89によって、刈取部3が、刈高さ設定ダイヤル68によって予め設置した刈高さまで下降されているか否かを確認し、刈高さまで下降されていればステップS53に進み、下降されていなければステップS54に進む。ステップS53では、リフトシリンダ16の縮小作動によって刈取部3を走行機体2に対して下降駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS54では、自動昇降フラグをOFFにセットし、図14に示すフローに処理を戻す。ちなみに、このステップS54の処理によって、オートセット制御の実行も終了する。
【0086】
以上、自動昇降フラグを「下降」にセットしたオートセット制御の実行時には、刈取部3が上記刈高さまで下降されるとともに、リール4が記憶装置83aに記憶された元の高さまで上昇される。
【0087】
該構成によれば、オートリフト制御→オートセット制御の順に処理を実行することにより、刈取部3が設定された刈高さまで自動的に下降するとともに、リール4がオートリフト制御を行う前の高さに自動的に上昇するため、オートリフトの実行後、直ちに、刈取作業を再開可能な状態になり、迅速な作業を行うことが可能になる。
【0088】
ステップS41において、自動昇降フラッグがOFFにセットされている場合には、自動昇降制御(オートリフト制御又はオートセット制御)の実行せずに、ステップS55に進む。ステップS55では、トリガースイッチ73が押し操作されて入状態になっているか否かの検出を行い、入状態になっていればステップS56に進む。ステップS56では、リール昇降センサ91によって、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されているか否かを確認し、最下げ位置に下降されていなければ、ステップS57に進み、最下げ位置に下降されていれば、図14に示すフローに処理を戻す。ステップS57では、昇降シリンダ41の縮小作動によってリール4を下降駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す。
【0089】
すなわち、リール4を刈取部3に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御が制御部83に設けられ、マルチステアリングレバー66が前後中立位置に操作されている際にトリガースイッチ73を押し操作している最中は、ステップS41→ステップS55→ステップS56→ステップS57の処理によって、リール強制下降制御が実行される。言換えると、トリガースイッチ73は、リール強制下降制御を実行するリール強制下降操作手段としても機能している。
【0090】
該構成によれば、トリガースイッチ73による押し操作中はリール強制下降制御が実行され、刈取部3に対して下降したリール4によって作物が効率的に掻込まれるため、例えば、刈取部3を上昇させる際に、トリガースイッチ73を押し操作すれば、リール4の上昇時における前記稈こぼれも効率的に防止できる。
【0091】
ステップS55において、トリガースイッチ73が切状態になっていることが確認された場合には、ステップS58に進む。ステップS58では、リール昇降センサ91によって、リール4が上記記憶装置83aに記憶された記憶リール高さまで上昇されている否かを確認し、リール4が記憶リール高さにまだ上昇されていない場合には、ステップS59に進み、リール4が既に記憶リール高さまで上昇されている場合には、図14に示すフローに処理を戻す。ステップS59では、昇降シリンダ41の伸張作動によって、リール4を刈取部3に対して上昇駆動させ、図14に示すフローに処理を戻す。
【0092】
すなわち、リール強制下降操作手段として機能するトリガースイッチ73の押し操作が解除されて切状態になった場合には、リール4が刈取部3に対して元の昇降高さに自動的に復帰する。
【0093】
該構成によれば、上述した稈こぼれ防止等を目的としてリール4を一時的に下降させた場合でも、トリガースイッチ73による押し操作を解除するのみで、リール4が元の昇降高さに自動的に復帰するので、リール4を再び元の高さに上昇させる手動操作が不要になり、利便性が高い。
【0094】
また、リール強制下降操作手段として機能するトリガースイッチ73の押し操作中に、マルチステアリングレバー66により刈取部3の昇降操作を行った場合には、自動昇降フラグが「上昇」又は「下降」にセットされ、上述した自動昇降制御が実行される。
【0095】
図18は、倒伏刈制御の実行のためのサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS71に進む。ステップS71では、上述した自動昇降フラグの値を確認し、OFFにセットされていれば、ステップS72に進む一方で、OFFにセットされていない状態であれば、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0096】
ステップS72では、脱穀・刈取クラッチセンサ94によって、刈取クラッチ47が接続されているかを確認し、接続されていれば、ステップS73に進む一方で、刈取クラッチ47が切断状態であれば、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0097】
ステップS73では、リール昇降手動操作手段74又はリール前後移動手動操作手段76によるリール4の手動操作が行われているか否かを確認し、手動操作が行われていなければステップS74に進む一方で、該手動操作が行われていれば、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0098】
すなわち、自動昇降フラグが「上昇」又は「下降」からなるON状態にセットされてオートリフト制御又はオートセット制御が実行されている最中や、刈取クラッチ47が切断されて刈取部3及びリール4の駆動が停止されている最中や、リール4の手動操作が行われている最中は、倒伏制御は実行されない。
【0099】
ステップS74では、倒伏スイッチ71の入切検出を行い、入操作された状態でなければステップS75に進む一方で、入操作されている状態であればステップS76に進む。ステップS75では、倒伏フラグをOFFにセットし、倒伏制御を実行せずに、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0100】
ステップS76では、倒伏フラグをONにセットし、ステップS77に進む。ステップS77では、倒伏制御を実行すべくリール倒伏出力設定のサブルーチンの処理を行い、ステップS78に進む。ステップS78では、蛇行制御設定のサブルーチンの処理を行い、図12に示すメインフローに処理を戻す。すなわち、ステップS74→ステップS76→ステップS77の処理によって倒伏刈制御が実行され、倒伏スイッチ71は倒伏刈制御を実行する倒伏操作手段として機能している。
【0101】
図19は、リール倒伏出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS81に処理を進める。ステップS81では、リール昇降センサ91によってリール4の刈取部3に対する相対的な昇降高さを検出し、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に位置しているかの確認を行い、リール4が最下げ位置に位置していなければ、ステップS82に進み、最下げ位置に位置していれば、ステップS83に進む。ステップS82では、昇降シリンダ41によりリール4を刈取部3に対して下降駆動させ、ステップS83に進む。
【0102】
ステップS83では、リール前後センサ92によってリール4の刈取部3に対する前後位置を検出し、リール4が刈取部3に対して最前位置に位置していなければ、ステップS84に進む一方で、最前位置に位置していれば、ステップS85に進む。ステップS84では、進退シリンダ39によりリール4を刈取部3に対して前進駆動させ、ステップS85に進む。
【0103】
ステップS85では、選別ダイヤル85により選択されている作物を確認し、稲が刈取作物として選択されている場合には、ステップS86に進む一方で、豆が刈取作物として選択されている場合には、ステップS87に進む。
【0104】
ステップS86では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が最高速度で回転駆動されるようにして、図18に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS87では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が中速で回転駆動されるようにして、図18に示すフローに処理を戻す。
【0105】
すなわち、作物として稲が選択されている場合には、豆が選択されている場合よりも高速で、リール4が回転駆動される。ちなみに、リール4を中速で回転駆動させた場合でも、リール回転自動制御の実行時によりは高速で、リール4が回転駆動される。言換えると、倒伏刈制御の実行時には、リール回転制御時によりも高速で、リール4が回転駆動される。ちなみに、倒伏刈制御の実行時におけるリール4の回転速度は、車速に連動させてもよいし、車速に関係無く一定にしてもよい。
【0106】
該構成によれば、作物の種類に応じて、リール4の回転速度が自動的に変速されるので、効率的な刈取作業を行うことができる。特に、大豆等の損傷し易い作物に対して、適切なリール4の回転速度を設定することが可能になる他、倒伏刈に適応するようにリール4を高速回転駆動させるため、効率的な倒伏刈作業を行うことができる。
【0107】
また、倒伏刈制御の実行時には、ステップS81→ステップS82の処理により、昇降シリンダ41を介して、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に自動的に下降されるとともに、ステップS83→ステップS84の処理により、昇降シリンダ41を介して、リール4が刈取部3に対して最前位置に自動的に前進される。
【0108】
倒伏刈制御の実行時における上述した処理によって、リール4が倒伏刈に適した位置に自動的に移動駆動されるため、倒伏している圃場の作物を効率的に刈取ることが可能になる。
【0109】
図20は、蛇行制御設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチン処理が開始されると、ステップS91から処理を開始する。ステップS91では、掻込スイッチ69の入切検出を行い、掻込スイッチ69が押し操作によって入状態になっている場合は、ステップS92に進み、掻込スイッチ69の押し操作が解除されて切状態になっている場合は、図18に示すフローに処理を戻す。ステップS92では、走行時に走行機体2(車体)を蛇行させる蛇行制御を実行するため、蛇行出力制御のサブルーチンの処理を行い、図18に示すフローに処理を戻す。
【0110】
すなわち、倒伏刈制御の実行中に、掻込スイッチ69の入操作が行われている間は、上記蛇行制御が実行される。
【0111】
図21は、蛇行出力制御のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンでは、走行機体2を右旋回させることを示す右出力フラッグと、右周期と、左周期とが用意される。右出力フラグがONの場合は、走行機体2を右旋回させることを意味し、右出力フラグがOFFの場合は、走行機体2を左旋回させることを意味している。左右の周期は、「左周期=ONタイム+OFFタイム」、「右周期=ONタイム+OFFタイム」で構成され、ONタイム中は、走行機体2を左右に旋回作動させ、OFFタイム中は、走行機体2を直進させる。
【0112】
そして、このサブルーチン処理が開始されると、ステップS101に進む。ステップS101では、マルチレバー操向センサ87によって、マルチステアリングレバー66により手動の操向操作が行われているか否かを検出し、手動の操向操作が行われている場合には、図20に示すフローに処理を戻す一方で、手動の操向操作が行われていない場合には、ステップS102に進む。すなわち、手動の操向操作が、蛇行制御よりも優先的に行われる。
【0113】
ステップS102では、右出力フラッグのON・OFFを確認し、右出力フラグがONの場合には、ステップS103に進む。ステップS103では、右周期のカウント状況の確認を行い、カウントダウンがOFFタイムより小さくなっていない場合には、走行機体2を右旋回させるべくステップS104に進み、OFFタイムよりも小さくなっていれば、何もせずに図20に示すフローに処理を戻し、カウントダウンが0となって終了していれば、左旋回を開始すべく、ステップS105に進む。
【0114】
ステップS104では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rによりサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を右旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0115】
ステップS105では、右出力フラグをOFFに設定し、ステップS106に進む。ステップS106では、左周期のカウントダウンを開始し、ステップS107に進む。ステップS107では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rにより左右のサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を左旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0116】
ステップS102において、右出力フラグがOFFの場合には、ステップS108に進む。ステップS108では、左周期のカウント状況の確認を行い、カウントダウンがOFFタイムより小さくなっていない場合には、走行機体2を左旋回させるべくステップS109に進み、OFFタイムよりも小さくなっていれば、何もせずに図20に示すフローに処理を戻し、カウントダウンが0となって終了していれば、左旋回を開始すべく、ステップS110に進む。
【0117】
ステップS109では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rにより左右のサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を左旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0118】
ステップS110では、右出力フラグをONに設定し、ステップS111に進む。ステップS111では、右周期のカウントダウンを開始し、ステップS112に進む。ステップS112では、左右のサイドクラッチアクチュエータ84L,84Rにより左右のサイドクラッチ48L,48Rの断続を制御することによって、走行機体3を右旋回させ、図20に示すフローに処理を戻す。
【0119】
以上、図21に示すサブルーチンによれば、倒伏刈制御の実行時、上述した所定条件下で、車体の左旋回と、右旋回が交互に所定間隔毎に行われ、車体が蛇行走行される。
なお、車体の蛇行制方向については、本実施例に限らず、左右一対のクローラ式走行装置1L,1Rの回転を交互に増減速する等、車体が蛇行走行するものであればよい。
【0120】
該構成によれば、穀稈の倒伏方向によって、リール4の掻込み作用が小さい状況においても、穀稈を確実に掻込むことが可能になるとともに、この蛇行制御の実行するための専用の操作具を別途設ける必要もない。
【0121】
図22は、強制掻込制御を実行するためのサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS121に進む。ステップS121では、自動昇降フラグの状態を確認し、自動昇降フラグがOFFにセットされていない状態であれば、ステップS122に進む。ステップS122では、掻込フラッグをOFFにセットし、ステップS123に進む。ステップS123では、セット上昇フラグをOFFにセットし、ステップS124に進む。ステップS124では、解除遅延タイマーをリセットし、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0122】
ステップS121において、自動昇降フラグがOFFにセットされていれば、ステップS125に進む。ステップS125では、倒伏フラッグの状態を確認し、OFFにセットされていない状態であれば、ステップS122に処理を進める一方で、OFFにセットしている状態であれば、ステップS126に処理を進める。
【0123】
すなわち、自動昇降フラグがON(「上昇」又は「下降」)にセットされてオートリフト制御が実行されている場合や、倒伏フラグをONにセットされている場合は、ステップS122に処理が進み、強制掻込制御は実行されない。
【0124】
ステップS126では、掻込スイッチ69の入切状態を検出し、掻込スイッチ69が押し操作されて入状態になっている場合には、ステップS127に進む。ステップS127では、掻込フラグをONにセットし、ステップS128に進む。ステップS128では、解除遅延タイマーをセットし、初期からのカウントダウンを開始し、ステップS129に進む。
【0125】
ステップS129では、掻込フラグのON・OFF検出を確認し、掻込フラグがONの場合には、ステップS130に進む。ステップS130では、解除遅延タイマーのカウントダウンが終了しているか否かを確認し、カウンドダウンが完了していなければ、ステップS131に進む。ステップS131では、リール掻込出力設定のサブルーチンの処理を行い、ステップS132に進む。ステップS132では、掻込フィン開度設定のサブルーチンの処理を行い、図12に示すメインフローに処理を戻す。
【0126】
ステップS126において、押し操作が解除されて掻込スイッチ69が切状態になっている場合には、ステップS129に進む。
【0127】
ステップS130において、解除遅延タイマーのカウントダウンが終了していれば、ステップS133に進む。ステップS133では、セット上昇フラグをONにセットし、ステップS134に進む。ステップS134では、掻込フラグをOFFにセットし、ステップS135に進む。ステップS135では、解除遅延タイマーをリセットし、ステップS131に進む。
【0128】
該構成によれば、自動昇降フラグ及び倒伏フラグがOFFにセットされている状態で、掻込スイッチ69が押し操作されてON状態になっている間は、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS127→ステップS128→ステップS129→ステップS130→ステップS131→ステップS132の処理が実行される掻込制御実行状態になる。
【0129】
この掻込制御実行状態時に、掻込スイッチ69の押し操作が解除され、OFF状態になった場合、解除遅延タイマーのカウントダウン中は、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS129→ステップS130→ステップS131→ステップS132の処理が実行される時間経過待ち状態になる。
【0130】
さらに、この時間経過待ち状態から、解除遅延タイマーのカウントダウンが終了すると、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS129→ステップS130→ステップS133→ステップS134→ステップS135→ステップS131→ステップS132の処理が実行される後処理状態になる。
【0131】
なお、自動昇降フラグ及び倒伏フラグがOFFにセットされている状態で、掻込スイッチ69がOFFになっている初期状態時、ステップS121→ステップS125→ステップS126→ステップS129→ステップS130→ステップS131→ステップS132の処理が実行される。ちなみに、この初期状態時には、セット上昇フラグもOFFにセットされている。
【0132】
図23は、リール掻込出力設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS141に進む。ステップS141では、セット上昇フラグの状態を確認し、OFF状態であれば、ステップS142に進む。ステップS142では、掻込フラグの状態を確認し、ON状態であれば、ステップS143に進む。
【0133】
ステップS143では、リール昇降センサ91によって、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されているか否かを検出し、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されていない場合には、ステップS144に進む一方で、リール4が刈取部3に対して最下げ位置に下降されている場合には、ステップS145に進む。ステップS144では、昇降シリンダ41の縮小作動によって、リール4を刈取部3に対して下降させ、ステップS145に進む。
【0134】
ステップS145では、選別ダイヤル77により選択されている作物を確認し、稲が刈取作物として選択されている場合には、ステップS146に進む一方で、豆が刈取作物として選択されている場合には、ステップS147に進む。
【0135】
ステップS146では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が、車速センサ97で検出される車速に関係無く、予め定めた一定速である最高速で、回転駆動されるようにして、図22に示すフローに処理を戻す一方で、ステップS147では、リール変速アクチュエータ62によって、リール4が車速センサ97で検出される車速に関係無く予め定めた一定速である中速で、回転駆動されるようにして、図22に示すフローに処理を戻す。すなわち、強制掻込制御の実行時、作物として稲が選択されている場合には、豆が選択されている場合よりも高速で、リール4が回転駆動される。
【0136】
ステップS141において、セット上昇フラグがONにセットされている場合には、ステップS148に進む。ステップS148では、リール昇降センサ91によって、リール4が上記記憶装置83aに記憶された記憶リール高さまで上昇されている否かを確認し、リール4が記憶リール高さにまだ上昇されていない場合には、ステップS149に進み、リール4が既に記憶リール高さまで上昇されている場合にはステップS150に進む。
【0137】
ステップS149では、昇降シリンダ41の伸張作動によって、リール4を刈取部3に対して上昇駆動させ、ステップS151に進む。ステップS150では、セット上昇フラグをOFFにセットし、ステップS151に進む。ステップS151では、リール4の回転速度を車速に連動させるリール回転自動制御を再開又は継続させ、図22に示すフローに処理を戻す。
【0138】
前記初期状態時には、ステップS141→ステップS142→ステップS151の順に処理が進む。
【0139】
また、前記掻込制御実行状態時及び時間経過待ち状態時には、リール4が最下げ位置に下降されるまでの間は、ステップS141→ステップS142→ステップS143→ステップS144→ステップS145→ステップS146又はステップS147の順に処理が進み、リール4が最下げ位置に下降された後は、ステップS141→ステップS142→ステップS143→ステップS145→ステップS146又はステップS147の順に処理が進む。
【0140】
さらに、後処理状態時には、リール4が記憶リール高さまに上昇されるまでの間は、ステップS141→ステップS148→ステップS149→ステップS151の順に処理が進み、リール4が記憶リール高さまに上昇された後は、ステップS141→ステップS148→ステップS150→ステップS151の順に処理が進み、セット上昇フラグがOFFFにセットされ、初期状態への切換が行われる。
【0141】
すなわち、掻込スイッチ69の入操作が行われている間は、リール回転自動制御を解除して、車速に関係無くリール4を所定速度で回転させる強制掻込制御を実行するとともに、リール4を最下げ位置に下降させる一方で、掻込スイッチ69の入操作が解除されて所定時間(解除遅延タイマーがセットされてカウンドダウンが完了するまでの時間)が経過した後は、強制掻込制御を解除してリール回転自動制御に復帰するとともに、該強制掻込制御の実行前の高さ(記憶リール高さ)にリール4が上昇復帰する。
【0142】
該構成によれば、車速に連動してリール4の回転速度を制御するリール回転自動制御を行う汎用コンバインにおいて、低速刈取走行時に掻込スイッチ69の押し操作して入状態とすれば、リール4の回転速度が強制的に高速回転に変速されるので、低速刈取走行時でも、刈取作業の必要な掻込性能を十分に確保することが可能になるとともに、掻込スイッチ69の押し操作解除によって、スムーズにリール回転自動制御に復帰し、直ちに通常の刈取作業を再開することが可能になる。
【0143】
また、この際、リール4が、作業状況に応じた最適な高さに自動的に制御されるので、リール4の手動操作による昇降を行う必要がなく、利便性が高い。
【0144】
なお、制御部83は、脱穀クラッチ46が接続状態且つ刈取クラッチ47が切断状態の際に、掻込スイッチ69の押し操作によって、強制掻込制御の実行が開始された場合には、刈取クラッチ47を自動的に接続させる一方で、掻込スイッチ69の押し操作解除によって強制掻込制御の実行が終了された場合には、刈取クラッチ47を自動的に切断作動させる。ちなみに、脱穀クラッチ46が接続状態且つ刈取クラッチ47が切断状態となる例としては、例えば、走行機体2が走行停止した場合等が挙げられる。
【0145】
上記構成によれば、グレンタンク23が満タンになった場合や、前進走行によって畦際に達した場合等、刈取作業中に走行機体2を走行停止させると、中途半端に刈取られた穀稈がリール4に掻込まれずにこぼれる虞があるのが通常であるが、この際に掻込スイッチ69を入操作して強制掻込制御を実行させれば、自動的に刈取クラッチ47が接続作動され、これによって、上記穀稈のこぼれを効率的に防止できる。
【0146】
図24は、掻込フィン開度設定のサブルーチンの処理フロー図である。このサブルーチンの処理が開始されると、ステップS161に進む。ステップS161では、リフト昇降センサ89によって、刈取部3が走行機体2に対して前記刈取停止位置以上に上昇されているか否かを確認し、刈取部3が刈取停止位置以上に上昇されていない場合には、図22に示すフローに処理を戻す一方で、刈取部3が刈取停止位置以上に上昇されている場合には、ステップS162に進む。
【0147】
ステップS162では、車速センサ97により検出される車速が、予め定めた低速走行速度である刈終り速度以下になっているか否かの検出を行い、車速が刈終り速度以下になっていない場合には、図22に示すフローに処理を戻す一方で、車速が刈終り速度以下になっている場合には、刈取作業が終了したものとして、ステップS163に処理を進める。ステップS163では、フィン開閉アクチュエータ34によって、フィン33aを閉作動させ、図22に示すフローに処理を戻す。
【0148】
該構成によれば、刈取作業を終了させる際に、脱穀部22内の選別物が減少することによるチャフシーブ33(フィン33a)上の選別物の層厚によって、グレンタンク23内に切れ藁等の異物が混入することを防止できる。
【0149】
次に、図25に基づき、蛇行制御設定のサブルーチンの他例について、上述した例と異なる点を説明する。
図25は、蛇行制御設定の他例を示すサブルーチンの処理フロー図である。同図に示す例では、蛇行制御設定のサブルーチン実行時、ステップS171から処理が開始される。ステップS171では、車速センサ97によって検出される車速が予め定めた蛇行制限速度よりも低速であるか否かを確認し、低速であればステップS172に進む一方で、車速が前記蛇行制限速度以上の場合には、図18に示すフローに処理を戻す。ステップS172では、走行時に走行機体2(車体)を蛇行させる蛇行制御を実行するため、図21に示す蛇行制御出力制御のサブルーチンの処理を行い、図18に示すフローに処理を戻す。
【0150】
言換えると、制御部83は、倒伏刈取制御が行われている最中は、原則として蛇行制御を実行する一方で、車速が前記蛇行制限速度よりも高速の場合には、該蛇行制御をキャンセルする。
【0151】
この処理によって、車体を蛇行させるには不都合な高速走行時に、蛇行制御が実行されることが防止されるため、安全性が高いとともに、倒伏刈制御の実行中における低速走行時には、蛇行制御が自動的に実行されるため、利便性が高い。
【符号の説明】
【0152】
2 走行機体
3 刈取部
4 リール
16 リフトシリンダ(刈取部昇降アクチュエータ)
41 昇降シリンダ(リール昇降アクチュエータ)
66 マルチステアリングレバー(刈取部昇降手動操作手段)
73 トリガースイッチ(リール強制下降操作手段)
74 リール昇降手動操作手段
83 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取部(3)を走行機体(2)に対して昇降させる刈取部昇降アクチュエータ(16)と、作物を掻込むように回転駆動されるリール(4)を刈取部(3)に対して昇降させるリール昇降アクチュエータ(41)と、刈取部(3)を昇降させる刈取部昇降手動操作手段(66)と、リール(4)を刈取部(3)に対して昇降させるリール昇降手動操作手段(74A),(74B)と、制御部(83)を備えた汎用コンバインであって、リール(4)を刈取部(3)に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御を制御部(83)に設けるとともに、リール昇降手動操作手段(74A),(74B)とは別にリール強制下降操作手段(73)を設け、制御部(83)は、リール強制下降操作手段(73)による操作中はリール強制下降制御を実行する一方で、リール強制下降操作手段(73)による操作が解除された場合にはリール(4)を元の昇降高さに自動的に復帰させる汎用コンバイン。
【請求項2】
刈取部(3)を所定高さに自動的に昇降駆動させる自動昇降制御を制御部(83)に設け、該制御部(83)は、リール強制下降操作手段(73)による操作中に刈取部手動昇降操作手段(66)による昇降操作が行われた場合には、該昇降操作側に刈取部(3)が自動的に昇降されるように上記自動昇降制御を実行する請求項1記載の汎用コンバイン。
【請求項1】
刈取部(3)を走行機体(2)に対して昇降させる刈取部昇降アクチュエータ(16)と、作物を掻込むように回転駆動されるリール(4)を刈取部(3)に対して昇降させるリール昇降アクチュエータ(41)と、刈取部(3)を昇降させる刈取部昇降手動操作手段(66)と、リール(4)を刈取部(3)に対して昇降させるリール昇降手動操作手段(74A),(74B)と、制御部(83)を備えた汎用コンバインであって、リール(4)を刈取部(3)に対して最下げ位置まで下降駆動させるリール強制下降制御を制御部(83)に設けるとともに、リール昇降手動操作手段(74A),(74B)とは別にリール強制下降操作手段(73)を設け、制御部(83)は、リール強制下降操作手段(73)による操作中はリール強制下降制御を実行する一方で、リール強制下降操作手段(73)による操作が解除された場合にはリール(4)を元の昇降高さに自動的に復帰させる汎用コンバイン。
【請求項2】
刈取部(3)を所定高さに自動的に昇降駆動させる自動昇降制御を制御部(83)に設け、該制御部(83)は、リール強制下降操作手段(73)による操作中に刈取部手動昇降操作手段(66)による昇降操作が行われた場合には、該昇降操作側に刈取部(3)が自動的に昇降されるように上記自動昇降制御を実行する請求項1記載の汎用コンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−81382(P2013−81382A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221408(P2011−221408)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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