説明

汚れ抑制システム及び汚れ抑制方法

【課題】抄紙装置の稼動を停止せずに乾燥部への汚れの付着を充分に抑制できる汚れ抑制システム及び汚れ抑制方法を提供すること。
【解決手段】汚れ抑制システム13は、湿紙を乾燥する乾燥部40に付着した汚れを抑制する。13は、乾燥部40に付着した汚れを低減可能な低減部50と、乾燥部40に付着した汚れを撮影する撮影部621a,621bと、を備える。61は、撮影部621a,621bによって撮影された汚れに基づいて50を稼動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙装置に付着した汚れを抑制するシステム及び方法に関し、より詳しくは抄紙装置の乾燥部に付着した汚れを抑制するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙装置は一般に、原料を流出する紙料流出部(インレット)と、この紙料流出部から流出された原料を脱水する脱水部(ワイヤーパート)と、圧搾する圧搾部(プレスパート)とを備える。これら部を順次経ることで、原料の含水量が50%程度にまで減少して、湿紙が形成される。また、抄紙装置は乾燥部(ドライヤーパート)を更に備えており、この乾燥部で湿紙が強力に乾燥させられることで、紙が作製される。
【0003】
従来、抄紙装置では、紙に形成された孔や、紙に付着し又は抄き込まれた異物といった欠点が問題となっている。即ち、欠点が存在すると、紙の品質が低下するのみならず、断紙が誘発され、抄紙装置の稼動を停止せざるを得ない場合もある。
【0004】
かかる欠点の大きな発生原因は、乾燥部に付着する汚れである。そこで乾燥部への汚れの付着を抑制するべく、ピッチコントロール剤、減粘剤、及び凝結剤等の薬剤が使用され、これらの成分として有用な所定構造のカチオン性ポリマーが開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−329866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乾燥部への汚れの付着を抑制する手段を講じる際には、乾燥部への汚れの付着状況を確認する必要がある。しかし、前述した抄紙装置では、乾燥部がフードによって覆われているので、抄紙装置の稼動時には乾燥部の汚れの付着状況を確認できない。そこで、乾燥部への汚れの付着状況の確認は、抄紙装置の稼動を停止してフードを取り外した状態で実施せざるを得ないため、生産性が低下する。
【0006】
また、抄紙装置の稼動を停止させるとしても、停止頻度は1週間から2ヶ月ごとに一回のように低くならざるを得ない。換言すれば、1週間から2ヶ月といった長期間、乾燥部への汚れの付着状況を確認せずに抄紙装置を稼動させることになり、乾燥部への汚れの付着を充分に抑制することは困難である。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、抄紙装置の稼動を停止せずに乾燥部への汚れの付着を充分に抑制できる汚れ抑制システム及び汚れ抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 湿紙を乾燥する乾燥部を備える抄紙装置について、前記乾燥部に付着した汚れを抑制する汚れ抑制システムであって、
前記乾燥部に付着した汚れを低減可能な低減手段と、
前記乾燥部に付着した汚れを検出する検出手段と、を備える抄紙システム。
【0009】
(1)の発明によれば、検出手段を設けたので、乾燥部に汚れが付着すると、抄紙装置の稼動停止をしなくとも汚れが自動的に検出される。この検出は抄紙装置の稼動時にも逐次行われるため、検出結果に基づいて、手動又は自動に低減手段を適切に稼動させることで、乾燥部に付着した汚れを充分に抑制できる。
【0010】
(2) 前記検出手段による検出結果に基づいて、前記低減手段を稼動させる制御手段を更に備える(1)記載の汚れ抑制システム。
【0011】
(2)の発明によれば、制御手段を設けたので、検出結果に基づく低減手段の稼動が自動的に行われる。これにより、汚れ抑制の煩雑さを低減できる。
【0012】
(3) 前記検出手段は、前記乾燥部に付着した汚れの程度を定量する定量手段を有し、
前記制御手段は、前記定量手段による定量値に応じて、前記低減手段の稼動状態を変動する変動手段を有する(2)記載の汚れ抑制システム。
【0013】
(3)の発明によれば、低減手段の稼動状態が、定量値に応じて変動される。これにより、乾燥部に付着した汚れの程度に応じて、汚れを適切に抑制できる。また、必要以上に低減手段を稼動することが防止されるので、汚れ抑制システムの稼動コストを低減できる。
【0014】
(4) 前記変動手段は、前記定量手段による定量値が所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、前記定量値が前記所定値を超えたと判定された場合に前記低減手段を稼動させる稼動判断手段と、を有する(3)記載の汚れ抑制システム。
【0015】
(4)の発明によれば、定量値が所定値を超えた場合にのみ、低減手段が稼動する。これにより、低減手段の稼動時間が低減されるので、汚れ抑制システムの稼動コストをより低減できる。ここで所定値は、紙に求められる所望の品質や稼動コスト等を考慮して、適宜設定されてよい。
【0016】
(5) 湿紙を乾燥する乾燥部を備える抄紙装置について、前記乾燥部に付着した汚れを抑制する汚れ抑制方法であって、
前記乾燥部に付着した汚れを検出する検出手順と、
前記検出手順における検出結果に基づいて、前記乾燥部に付着した汚れを低減する低減手順と、を有する汚れ抑制方法。
【0017】
(5)記載の汚れ抑制方法は、(2)記載の汚れ抑制システムを汚れ抑制方法として展開したものである。よって、(5)の発明によれば、(2)の発明と同様の効果が得られる。
【0018】
(6) 前記検出手順は、前記乾燥部に付着した汚れの程度を定量する定量手順を有し、
前記低減手順は、前記定量手順における定量値に応じて、前記低減手順の条件を変動する変動手順を有する(5)記載の汚れ抑制方法。
【0019】
(6)記載の汚れ抑制方法は、(3)記載の汚れ抑制システムを汚れ抑制方法として展開したものである。よって、(6)の発明によれば、(3)の発明と同様の効果が得られる。
【0020】
(7) 前記変動手順は、前記定量手順における定量値が所定値を超えたか否かを判定する判定手順と、前記定量値が前記所定値を超えたと判定した場合に前記低減手順を実行する稼動判断手順と、を有する(6)記載の汚れ抑制方法。
【0021】
(7)記載の汚れ抑制方法は、(4)記載の汚れ抑制システムを汚れ抑制方法として展開したものである。よって、(7)の発明によれば、(4)の発明と同様の効果が得られる。
【0022】
(8) 湿紙を乾燥する乾燥部を備える抄紙装置について、前記乾燥部に付着した汚れを抑制する汚れ抑制方法であって、前記乾燥部に付着した汚れの有無を監視する監視手順を有する汚れ抑制方法。
【0023】
(8)の発明によれば、乾燥部に付着した汚れの有無を監視し、この監視結果に基づいて、適切な汚れ抑制措置を順次行うことができる。よって、乾燥部への汚れの付着を充分に抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、検出手段を設けたので、乾燥部に汚れが付着すると、抄紙装置の稼動停止をしなくとも汚れが自動的に検出される。この検出は抄紙装置の稼動時にも逐次行われるため、検出結果に基づいて、手動又は自動に低減手段を適切に稼動させることで、乾燥部に付着した汚れを充分に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態以外の各実施形態の説明において、第1実施形態と共通するものについては、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る汚れ抑制システム13を含む抄紙システム10の概略構成図である。図1に示されるように、抄紙システム10は、抄紙装置11と、汚れ抑制システム13とを備える。各構成要素について、以下詳細に説明する。
【0027】
〔抄紙装置〕
抄紙装置11は原料を紙へと加工する装置であって、上流から順に、原料貯留部20、ウェット部30、及び乾燥部40を備える。
【0028】
(原料貯留部)
原料貯留部20は、原料及び適宜薬品の混合物を貯留し、ウェット部30に移送する。具体的な原料としては、必要に応じて叩解されたパルプ繊維、及び填料、歩留まり向上剤、紙力向上剤、スライムコントロール剤、消泡剤、染料等の薬剤の混合物が挙げられる。
【0029】
(ウェット部)
ウェット部30は紙料流出部(インレット)31を備え、この紙料流出部31は、原料貯留部20から移送された混合物を適切な濃度に希釈して紙料とする。そして、紙料流出部31は紙料を脱水部(ワイヤーパート)32の全幅に均一に噴出する。紙料流出部31から噴出された時点の紙料は、通常99%程度の含水量を有する。
【0030】
脱水部32は輪状の下ワイヤ324を備え、この下ワイヤ324は下ロール325の回転に伴って運動する。これにより、紙料流出部31から噴出された紙料が下流方向(図1における左方向)へと搬送される。ここで、脱水部32は上ロール323の回転に伴って運動する上ワイヤ321を更に備えており、この上ワイヤ321は紙料を挟んで下ワイヤ324と対向する。下ワイヤ324によって搬送された紙料はやがて上ワイヤ321及び下ワイヤ324に挟まれ、上下面均等に脱水された後、後述する圧搾部(プレスパート)33へと搬送される。なお、上ワイヤ321の下方には受け皿326が設けられており、この受け皿326は脱水して落下する水を受け止める。また、脱水部32から搬送された時点での紙料の含水量は、通常80%程度となっている。
【0031】
圧搾部33は、上流から順に、第1圧搾ロール331、押出ロール333、及び第2圧搾ロール334を備え、第1圧搾ロール331は第1搬送ロール336と同期して回転することで第1圧搾ワイヤ335を運動させ、第2圧搾ロール334は第2搬送ロール338と同期して回転することで第2圧搾ワイヤ337を運動させる。これにより、圧搾部33に搬送された紙が更に下流方向へと搬送される。
【0032】
また、第1圧搾ロール331、押出ロール333、及び第2圧搾ロール334は、搬送方向に対して互い違いに配置されている。これにより、搬送される紙料は強制的に上下方向に伸ばされ、含有する水が搾り出される。その後、紙料は湿紙として乾燥部40に搬送される。この時点での湿紙の含水量は通常55%程度である。
【0033】
(乾燥部)
乾燥部40は、上流から順に、搬送方向に対して互い違いに配置された第1押ロール411、第1ドライヤーロール413、第2押ロール414、第2ドライヤーロール415、及び第3押ロール416を備え、これらが同期して回転することでカンバス42を運動させる。湿紙はカンバス42に沿って搬送され、強制的に上下方向に伸ばされることで、含有する水を搾り出される。第1ドライヤーロール413及び第2ドライヤーロール415を併せてドライヤーロール41と称する。
【0034】
また、加熱された第1ドライヤーロール413及び第2ドライヤーロール415の表面に湿紙が接触することで、湿紙中の水分が蒸発する。これにより、湿紙は急速に乾燥させられ、含水量5〜10%の紙Pとなって搬出される。その後、紙Pは適宜更なる加工を施された後、製品として出荷されることになる。
【0035】
なお、乾燥部40は図示しないフードによって全体が覆われており、この状態では、外部から乾燥部40の内部状態を観察することが困難である。
【0036】
〔汚れ抑制システム〕
汚れ抑制システム13は、低減手段としての低減部50と、この低減部50を制御する制御装置60と、を備える。
【0037】
(低減部)
低減部50は抑制剤添加部51及びロール清掃部52を有する。抑制剤添加部51は収容槽511を有し、この収容槽511には汚れの付着を抑制する抑制剤が収容されている。収容槽511は供給管515を介して原料貯留部20に連通されており、この供給管515の途中には供給ポンプ513及び供給弁514が設けられている。供給弁514の開度及び供給ポンプ513の出力を調節することで、収容槽511から原料貯留部20への抑制剤の供給量が変動する。
【0038】
抑制剤は、抑制すべき汚れの質、程度等に応じて、公知のものから適宜選択されてよい。具体的には、ピッチコントロール剤(界面活性剤、溶剤、無機填料、酵素等)、シリコンオイル、石油炭化水素、酸コロイド、ポリマー(凝結剤、歩留剤、紙力剤等)、シリカ、ベントナイト等が挙げられる。
【0039】
なお、本実施形態では、抑制剤が原料貯留部20内部に供給されて原料と混合される内添方式を採用したが、これに限られず、紙料又は湿紙に噴霧等で直接供給する外添方式も採用できる。特に限定されないが、無機填料、酵素、ポリマー、シリカ、ベントナイトについては内添方式が好ましく、溶剤、シリコンオイル、酸コロイドについては外添方式が好ましい。外添方式を採用した場合、例えば、ドライヤーロール41及びカンバス42等の近傍に噴射ノズルを設ければよい。
【0040】
ロール清掃部52はスクレーパ521を有し、このスクレーパ521は第1ドライヤーロール413の表面に所定距離離れて対向する。第1ドライヤーロール413の表面に所定距離以上の厚みの汚れが付着すると、この汚れはスクレーパ521によって掻き取られて、第1ドライヤーロール413から除去される。
【0041】
また、スクレーパ521には移動部523が接続されており、この移動部523はスクレーパ521を移動可能である。これにより、スクレーパ521を第1ドライヤーロール413の表面に対して接近離隔することができる。スクレーパ521を第1ドライヤーロール413の表面に接近させると、第1ドライヤーロール413上に付着した汚れがより多く除去される一方、スクレーパ521を第1ドライヤーロール413の表面から離隔させると、第1ドライヤーロール413上に付着した汚れがより少なく除去されることになる。
【0042】
(制御装置)
制御装置60は検出手段としての検出部62を有し、この検出部62は乾燥部40の構成要素に付着した汚れを検出する。検出部62は、撮影部621a,621bと、後述する定量手段としての定量部623と、を有する。
【0043】
撮影部621aはカンバス42を撮影し、撮影部621bはスクレーパ521を撮影し、それぞれ撮影対象に付着した汚れを検出する(検出手順)。定量部623は検出された汚れの程度を定量し(定量手順)、定量値を判定部611へ送信する。ここで、汚れの程度の定量は、付着した汚れの質量、濃淡、面積又は体積のような量的特性を測定すること、あるいは汚れの組成、色調のような質的特性を、スコア化された等級に分類することで達成できる。
【0044】
撮影部621は、撮影環境が暗所であることを考慮して、CCDカメラ、ファイバースコープ、赤外線カメラ等の視覚センサやレーザーセンサ等であることが好ましい。また、必要に応じて、撮影部621とともに光源、耐熱部材、耐塵装置を設けてもよい。
【0045】
なお、撮影部621及び定量部623は、連続的に作動させてもよいし、断続的(例えば、1回/時間〜1回/週)に作動させてもよい。
【0046】
図2は制御装置60のブロック図である。制御部61は、判定手段としての判定部611と、稼動判断手段としての稼動判断部613とを有する。判定部611は、定量部623から受信した定量値が所定値を超えたか否かを判定する。そして、稼動判断部613は、定量値が所定値を超えたと判定された場合に低減部50を稼動させる。
【0047】
具体的には、供給弁514を開放するとともに、供給ポンプ513を起動させ収容槽511から原料貯留部20への抑制剤の供給を開始する。また、移動部523を起動して、スクレーパ521を第1ドライヤーロール413の表面に接近させる。このように、判定部611及び稼動判断部613は、定量部623による定量値に応じて、低減部50の稼動状態を変動させており、変動手段を構成する。
【0048】
以上の制御装置60による制御を、図3を参照しながら説明する。なお、図3では便宜上、供給ポンプ513及び供給弁514の制御についてのみ説明する。
【0049】
まず、稼動判断部613は、初期状態として供給弁514を閉止するとともに、供給ポンプ513を停止する(ST10)。次に、判定部611は、定量部623からの定量値が所定値を超えるか否かを判定する(ST20、判定手順)。この判定が”NO”であった場合には、ST20を繰り返す。
【0050】
ST20での判定が”YES”であった場合、稼動判断部613が供給弁514を開放するとともに、供給ポンプ513を起動する(ST30、稼動判断手順)。その後、再びST10へと戻って、同様のステップを繰り返す。これにより、収容槽511に収容された抑制剤が原料貯留部20へ供給され、原料貯留部20内で紙料と混合された後、紙料流出部31から噴出されることになる。なお、ST20及びST30は低減手順及び変動手順を構成する。
【0051】
[作用効果]
本実施形態によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0052】
検出部62を設けたので、乾燥部40に汚れが付着すると、抄紙装置11の稼動停止をしなくとも汚れが自動的に検出される。この検出は抄紙装置11の稼動時にも逐次行われるため、検出結果に基づいて、手動又は自動に低減部50を適切に稼動させることで、乾燥部40に付着した汚れを充分に抑制できる。
【0053】
制御部61を設けたので、検出結果に基づく低減部50の稼動が自動的に行われる。これにより、汚れ抑制の煩雑さを低減できる。
【0054】
定量部623を設けたので、低減部50の稼動状態が、定量値に応じて変動される。これにより、乾燥部40に付着した汚れの程度に応じて、汚れを適切に抑制できる。また、必要以上に低減部50を稼動することが防止されるので、汚れ抑制システム13の稼動コストを低減できる。
【0055】
判定部611及び稼動判断部613を設けたので、定量値が所定値を超えた場合にのみ、低減部50が稼動する。これにより、低減部50の稼動時間が低減されるので、汚れ抑制システム13の稼動コストをより低減できる。
【0056】
[変形例]
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0057】
例えば、前記実施形態では、低減部50を抑制剤添加部51及びロール清掃部52で構成したが、付着した汚れを高圧水又は圧縮空気によって吹き飛ばすような装置を設けてもよい。その他、カンバス42にブラシを接触させる構成としてもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、稼動判断部613を設けて、定量値が所定値を超えた場合に低減部50を稼動させる構成としたが、所定値に対する大小にかかわらず、定量値の絶対値に比例して低減部50の稼動を調節してもよい。つまり、定量値の大きさに比例して、供給弁514の開度を調節するとともに、供給ポンプ513の出力を調節し、スクレーパ521及び第1ドライヤーロール413の表面の間隔を調節する。これによって、所定値以下の程度の汚れも必要且つ充分に抑制できる。
【0059】
前記実施形態では、2個の撮影部621a,621bを設けたが、これに限られず、1個又は3個以上設けてもよい。例えば、撮影部を更に1個設け、この撮影部が第2ドライヤーロール415の表面を撮影する構成であってよい。撮影部の設置個数を増やすことで、欠点の発生確率を低減できる。
【0060】
また、抑制剤の外添方式を採用する場合、前述した噴射ノズルが、ドライヤーロール41及びカンバス42の幅方向(図1における奥行方向)に移動可能としてよい。更に、検出部62に汚れの付着位置を特定する位置特定手段としての位置特定部を設け、この位置特定部によって特定された位置に噴射ノズル移動させる供給位置調節手段としての供給位置調節部を制御部61に設けてもよい。このように構成することで、汚れが付着した位置について重点的に抑制剤が供給され、少量の抑制剤で効果的に汚れの付着を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る汚れ抑制システムの概略構成図である。
【図2】前記実施形態に係る汚れ抑制システムを構成する制御手段のブロック図である。
【図3】図2の制御手段のフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 抄紙システム
11 抄紙装置
13 汚れ抑制システム
40 乾燥部
50 低減部(低減手段)
61 制御部(制御手段)
611 判定部(判定手段)
613 稼動判断部(稼動判断手段)
62 検出部(検出手段)
623 定量部(定量手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿紙を乾燥する乾燥部を備える抄紙装置について、前記乾燥部に付着した汚れを抑制する汚れ抑制システムであって、
前記乾燥部に付着した汚れを低減可能な低減手段と、
前記乾燥部に付着した汚れを検出する検出手段と、を備える抄紙システム。
【請求項2】
前記検出手段による検出結果に基づいて、前記低減手段を稼動させる制御手段を更に備える請求項1記載の汚れ抑制システム。
【請求項3】
前記検出手段は、前記乾燥部に付着した汚れの程度を定量する定量手段を有し、
前記制御手段は、前記定量手段による定量値に応じて、前記低減手段の稼動状態を変動する変動手段を有する請求項2記載の汚れ抑制システム。
【請求項4】
前記変動手段は、前記定量手段による定量値が所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、前記定量値が前記所定値を超えたと判定された場合に前記低減手段を稼動させる稼動判断手段と、を有する請求項3記載の汚れ抑制システム。
【請求項5】
湿紙を乾燥する乾燥部を備える抄紙装置について、前記乾燥部に付着した汚れを抑制する汚れ抑制方法であって、
前記乾燥部に付着した汚れを検出する検出手順と、
前記検出手順における検出結果に基づいて、前記乾燥部に付着した汚れを低減する低減手順と、を有する汚れ抑制方法。
【請求項6】
前記検出手順は、前記乾燥部に付着した汚れの程度を定量する定量手順を有し、
前記低減手順は、前記定量手順における定量値に応じて、前記低減手順の条件を変動する変動手順を有する請求項5記載の汚れ抑制方法。
【請求項7】
前記変動手順は、前記定量手順における定量値が所定値を超えたか否かを判定する判定手順と、前記定量値が前記所定値を超えたと判定した場合に前記低減手順を実行する稼動判断手順と、を有する請求項6記載の汚れ抑制方法。
【請求項8】
湿紙を乾燥する乾燥部を備える抄紙装置について、前記乾燥部に付着した汚れを抑制する汚れ抑制方法であって、前記乾燥部に付着した汚れの有無を監視する監視手順を有する汚れ抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−35842(P2009−35842A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202726(P2007−202726)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】