説明

汚水処理装置及び汚水処理方法

【課題】流入する汚水の負荷が如何なる場合においても脱窒能力を高く維持できる汚水処理装置を提供する。
【解決手段】上流側から順に、汚水が流入する沈殿式の固液分離糟1、固液分離槽1からの処理水を嫌気性処理する嫌気性処理槽、嫌気性処理槽からの処理水を好気性処理する好気性処理槽3、好気性処理槽3から嫌気性処理槽に処理水を返送する循環返送路17を設け、嫌気性処理槽と好気性処理槽3の間で活性汚泥を循環させることで硝化脱窒処理を行う汚水処理装置であって、固液分離槽1に流入する汚水の負荷にかかわらず、固液分離槽1から嫌気性処理槽に移流する処理水の汚泥濃度が、硝化脱窒処理に適した濃度となるように調整する汚泥濃度調整手段を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側から順に、汚水が流入する沈殿式の固液分離槽、前記固液分離槽からの処理水を嫌気処理する嫌気処理する嫌気性処理槽、前記嫌気性処理槽からの処理水を好気性処理する好気性処理槽、前記好気性処理槽から前記嫌気性処理槽に処理水を返送する循環返送路を設け、前記嫌気性処理槽と前記好気性処理槽の間で活性汚泥を循環させることで硝化脱窒処理を行う汚水処理装置及び汚水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理水から固形分を分離する固液分離槽では、沈殿分離により懸濁物(SS)が除去された処理水だけが、下流側の嫌気性処理を行う流量調整槽に流れるように形成してあるだけであった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−10871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の汚泥処理装置では、固液分離槽から流量調整槽を経た処理水は、固形分による生物化学的酸素要求量(BOD)も低下し、実質の負荷も下がっている。
そのために、流入する汚水が、例えば、し尿が主な低負荷時には、処理水が炭素源不足で脱窒不良になり、硝酸が残留してPHが下がり、トータル窒素(T−N)除去率が低下するという問題点がある。
また、流入する汚水の濃度が高く固液分離槽の汚泥が過剰となる時には、固液分離が不十分な状態になり、多くのSS成分が流量調整槽に移流する。そのため、二次処理にかかるSS成分由来のBOD負荷が高くなって硝化不良となり、T−N除去率は低下する。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、流入する汚水の負荷が如何なる場合においても脱窒能力を高く維持できる汚水処理装置及び汚水処理方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、上流側から順に、汚水が流入する沈殿式の固液分離槽、前記固液分離槽からの処理水を嫌気性処理する嫌気性処理槽、前記嫌気性処理槽からの処理水を好気性処理する好気性処理槽、前記好気性処理槽から前記嫌気性処理槽に処理水を返送する循環返送路を設け、前記嫌気性処理槽と前記好気性処理槽の間で活性汚泥を循環させることで硝化脱窒処理を行う汚水処理装置であって、固液分離槽に流入する汚水の負荷にかかわらず、前記固液分離槽から前記嫌気性処理槽に移流する処理水の汚泥濃度が、前記硝化脱窒処理に適した濃度となるように調整する汚泥濃度調整手段を設けてあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、定常的に汚水が固液分離槽に流入する時には、その流入する汚水も高負荷の固形分などが多く含まれ、そのために、固液分離槽での沈殿分離によりSS成分が除去されて、嫌気性処理槽と好気性処理槽での硝化脱窒処理が良好に行われるとともに、循環返送路により好気性処理槽での濃度の高い活性汚泥も嫌気性処理槽に返送されて脱窒処理が促進される。
また、固液分離槽の汚泥濃度調整手段により、固液分離槽に流入する汚水の負荷が高い場合、あるいは低い場合でも、固液分離槽から嫌気性処理槽に移流する処理水の汚泥濃度(BOD濃度、SS濃度)が硝化脱窒処理に適した濃度となるように調整されるので、嫌気性処理槽と好気性処理槽での硝化脱窒処理を安定的に行うことが可能となる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記汚泥濃度調整手段は、前記固液分離槽に配置する撹絆装置と、1日の内で前記固液分離槽への汚水流入量が少なくなる又は流入が停止する所定の時間帯に前記攪絆装置を作動させる制御装置を備えてあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、1日の内で固液分離槽への汚水流入量が少なくなる又は流入が停止する所定の時間帯に、例えば、夜間などの固液分離槽に流入する汚水が、し尿や浴槽排水等を主とするような低負荷の状態になるような予め定めた時間帯に、固液分離槽に設けた撹絆装置を、制御装置によって作動させることにより、底部に沈殿した分離汚泥が攪拌される。その攪拌により分離汚泥の固形分の加水分解が進んで、貯留汚泥の分解、細分化及び有機物の溶出を促進してBOD濃度を高め、嫌気性処理槽での脱窒処理の炭素源として供給される。
従って、流入する汚泥の低負荷時においても脱窒能力を高く維持できると共に、分離汚泥の減量化も図ることが可能となる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記汚泥濃度調整手段は、前記固液分離槽の分離汚泥を槽外に排出する分離汚泥移送路と、分離汚泥を貯留する汚泥貯留槽を備えるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、固液分離槽における分離汚泥が汚泥貯留槽に移送されることにより、固液分離槽での固液分離処理が分離汚泥による障害を受けることなく良好に維持されてSS成分が除去されるので、嫌気性処理槽へ移流される処理水の汚泥濃度が過剰となることを防止することができる。
従って、流入する汚泥の高負荷時においても好気性処理槽にかかるBOD負荷を低減することができ、硝化脱窒能力を高く維持できる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記汚泥濃度調整手段は、前記固液分離槽の分離汚泥を槽外に排出する分離汚泥移送路または/および前記好気性処理槽の余剰汚泥を槽外に排出する余剰汚泥移送路から移送された汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、その汚泥貯留槽内の貯留汚泥を前記固液分離槽に戻す貯留汚泥移送路を備えるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、固液分離槽や好気性処理槽から移送される汚泥が汚泥貯留槽に一旦貯留されることにより、固液分離槽や好気性処理槽での各処理が、分離汚泥や余剰汚泥による障害を受けることなく良好に維持される。また、貯留汚泥移送路により貯留汚泥が汚泥貯留槽内から固液分離槽に戻すことができることにより、特に、低負荷時には、固液分離槽の分離汚泥の固形分が不足することを防止できる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記嫌気性処理槽は、前記固液分離槽からの処理水を一時貯留して下流への流出量を調整する流量調整槽を備え、前記好気性処理槽には、微生物を担持した担体を収容し、前記担体に気泡を供給する散気部を備えて好気処理する担体流動槽と、前記担体流動槽の下流側に、複数の濾過担体を内部に沈降堆積させた状態で堆積濾過層を形成してある濾過槽とを設けてあるところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、嫌気性処理槽に流量調整槽を備えられているので、固液分離槽からの処理水を一時貯留して下流への流出量が調整される。これにより、固液分離槽から移流される処理水量が大きくても嫌気性処理槽と好気性処理による硝化脱窒処理を安定的に行うことができる。また、好気性処理槽に担体流動槽が設けられることにより、担体に付着した生物膜により処理水の酸化が行われ、硝化処理が促進する。濾過槽では、剥離汚泥が除去され処理水の浄化が促進される。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、流入する汚水を固液分離処理する固液分離槽と、処理水を硝化脱窒処理する嫌気性処理槽と好気性処理槽を備え、固液分離槽に流入する汚水の負荷にかかわらず、固液分離槽の上澄み液の汚泥濃度が硝化脱窒処理に適した濃度となるように調整して、その上澄み液を嫌気性処理と好気性処理する汚水処理方法にある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、固液分離槽に流入する汚水の負荷にかかわらず、固液分離された上澄み液が下流側での嫌気性処理と好気性処理に適した汚泥濃度(BOD濃度、SS濃度)となるように調整されるので、嫌気性処理と好気性処理による硝化脱窒処理が良好に行われる。
【0018】
本発明の第7の特徴構成は、流入する汚水の量が少ない所定の時間帯に固液分離処理された分離汚泥を攪拌処理して固液分離槽の上澄み液の濃度を調整する汚水処理方法にある。
【0019】
本発明の第7の特徴構成によれば、1日の内で固液分離槽への汚水流入量が少なく低負荷の状態となる所定の時間帯に、固液分離槽で固液分離処理された分離汚泥が攪拌されることにより分離汚泥の固形分の加水分解が進んで、貯留汚泥の分解、細分化及び有機物の溶出を促進し上澄み液の汚泥濃度(BOD濃度)を高め、嫌気性処理での脱窒処理の炭素源として供給することができる。
従って、流入する汚泥の低負荷時においても脱窒能力を高く維持できる。
【0020】
本発明の第8の特徴構成は、前記固液分離槽の分離汚泥を定期的に所定の量を槽外に排出して固液分離槽の上澄み液の濃度を調整する汚水処理方法にある。
【0021】
本発明の第8の特徴構成によれば、固液分離槽の分離汚泥の所定の量が定期的に槽外に移送され、沈降する分離汚泥が過剰に貯留されないように調整されるため、固液分離槽での固液分離性能を維持してSS成分を除去することができ、上澄み液の汚泥濃度が過剰とることを防止できる。
従って、流入する汚泥の高負荷時においても、好気性処理槽にかかるBOD負荷を低減することができ、硝化能力を高く維持できる。
【0022】
本発明の第9の特徴構成は、第7の特徴構成に加え、前記固液分離槽での分離汚泥の攪拌を行っていない所定の時間帯に、前記固液分離槽の分離汚泥の所定の量を槽外に排出する汚水処理方法にある。
【0023】
本発明の第9の特徴構成によれば、1日の内で固液分離槽への汚水流入量が少なく低負荷の状態となる所定の時間帯に、固液分離槽での攪拌処理により上澄み液の汚泥濃度を高めことができる。さらに、固液分離槽での撹拌が行われずに固液分離槽内の固形分が底部に沈降した状態の時に固液分離槽の分離汚泥の排出が行われるため、分離汚泥の余剰分を確実に槽外に移送することができ、固液分離槽での固液分離性能を維持することができる。
従って、固液分離槽に流入する汚水の濃度に関わらず固液分離槽の上澄み液の汚泥濃度が過不足なく調整されるので、硝化脱窒処理を安定的に行うことが可能となる。
【0024】
本発明の第10の特徴構成は、固液分離槽での固液分離処理やその下流側での好気性処理により分離される分離汚泥を貯留する汚泥貯留槽を備え、流入する汚水の量が少ない所定の時間帯に、汚泥貯留槽に貯留された分離汚泥の一部を固液分離槽に移送し、流入する汚水の固液分離された分離汚泥とを合わせて攪拌処理する汚水処理方法にある。
【0025】
本発明の第10の特徴構成によれば、固液分離槽での固液分離処理や好気性処理により分離される分離汚泥が汚泥貯留槽に一旦貯留され、1日の内で固液分離槽への汚水流入量が少なく低負荷の状態になるときに、汚泥貯留槽に貯留された分離汚泥の一部が固液分離槽に移送されて固液分離槽で固液分離処理された分離汚泥と合わせて攪拌されることにより、固形分の加水分解が進んで、貯留汚泥の分解、細分化及び有機物の溶出を促進し、嫌気性処理での脱窒処理の炭素源として供給することができる。
従って、流入する汚泥の低負荷時においても脱窒能力を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】汚水処理装置の全体概略図で、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図2】汚水処理装置の処理水の流れを表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図2に示すように、上流側から順に、汚水が流入する沈殿式の固液分離槽1、固液分離槽1からの処理水を一時貯留して下流への流出量を調整するとともに嫌気性処理を行う流量調整槽2、流量調整槽2からの処理水を活性汚泥により好気性処理する好気性処理槽3を設け、好気性処理槽3からの処理水は、処理水槽4と消毒槽5と放流槽6を経て外部に放流される汚水処理装置を構成してある。
【0028】
前記固液分離槽1は、図1に示すように、底部に攪拌装置としての攪拌用散気管7と攪拌用散気管7へのエアー供給を制御する制御装置8を設けてある。通常時には攪拌用散気管7へのエアー供給を停止して、流入する汚水中の固形物や懸濁物(SS)を沈殿分離により除去させて、下流側へ流れる処理水のSSに基づく生物化学的酸素要求量(BOD)負荷を低減するようにしてある。そして、1日の内で固液分離槽1への汚水流入量が少ない時間帯、例えば夜間の2〜3時の1時間の間などの予め定めた時間帯になるとタイマーにより攪拌用散気管7にエアーを供給し、攪拌用散気管7の散気により底部に沈殿した分離汚泥の固形分や懸濁物(SS)を攪拌して固液分離槽1の上澄み液にBOD分を含んだ有機物を溶出させることで下流に供給する処理水の汚泥濃度を高めるようにして流量調整槽2における脱窒処理が良好にできるようにしてある。
【0029】
攪拌用散気管7の散気は定めた時間帯の間で連続または間欠で運転されるようにしてあり、その散気強度は酸素供給のための強度に比べて低いものとされ(酸素供給の強度の約1/8〜5/8程度)、分離汚泥を緩やかに撹拌するようにしてある。
【0030】
前記流量調整槽2には、下流側への流出量を調整する流量調整ポンプPを設け、間欠曝気を行う曝気装置9を設けて、脱窒処理を促進させつつ流入変動を緩和し、前記好気性処理槽3は、微生物を担持した担体10を収容すると共に、担体10に気泡を供給する散気部11を備えて好気処理する担体流動槽12と、担体流動槽12の下流側に、複数の濾過担体13を内部に沈降堆積させた状態で堆積濾過層14を形成してある濾過槽15とを設けてある。
尚、担体流動槽12と濾過槽15との間には、循環水槽16を設けて、担体流動槽12と循環水槽16とに亘って処理水が循環路20を介して循環するように構成してある。
【0031】
前記好気性処理槽3のうちの濾過槽15で分離される汚泥や循環水槽16で分離する濃い活性汚泥を流量調整槽2に返送する循環返送路17を設け、脱窒処理を良好にできるようにしてある。
【0032】
前記固液分離槽1と前記好気性処理槽3の濾過槽15及び循環水槽16から移送される汚泥を貯留する汚泥貯留槽18を設け、固液分離槽1で固液分離された分離汚泥を汚泥貯留槽18に移送する分離汚泥移送路21、濾過槽15で堆積濾過層14を逆洗処理した際に分離される余剰汚泥や循環水槽16の余剰汚泥を汚泥貯留槽18に移送する余剰汚泥移送路19を設けてある。濾過槽15の逆洗運転は通常は1日1回行われ、逆洗運転中もしくは逆洗運転後暫く時間をおいて逆洗による分離汚泥が沈降した頃に分離汚泥が汚泥貯留槽18に移送される。循環水槽16から汚泥貯留槽18への移送は、定期的に一定量を自動的に移送する、若しくは手動によって行われる。
固液分離槽1は、固液分離された分離汚泥が一定量以上貯留しないように、攪拌用散気管7の散気による分離汚泥の攪拌が停止し、固形分が十分に沈降する時を見計らって予め定めた時間帯、例えば昼の10時になると、分離汚泥の一部、例えば1日に流入する処理水の分離汚泥に見合った量を汚泥貯留槽18に移送するように構成してある。具体的には、分離汚泥の量を槽底から1/3以下の高さで調整する場合であって、1週間で底から水深の1/3の高さまで汚泥が貯留されるような汚水であれば、槽容量×1/3×1/7相当の量を毎日昼間の汚泥が沈降している時間帯に汚泥貯留槽18へ移送するようにしてある。これにより、固液分離槽1の固液分離性能が維持されるので、好気性処理槽3のBOD負荷を高めることがなく、硝化能力を高く維持できる。
そこで、分離汚泥移送路21の汚泥移送ポンプ23の吸い込み高さは、槽底から所定高さ、例えば1/6の高さに設置され、その高さ以上に貯留される汚泥を排出するように調整されているので、固液分離槽1の分離汚泥を引き抜きすぎることがなく、低負荷時の炭素源供給の素となる汚泥を確保するようにしてある。
さらに、汚泥貯留槽18内の貯留汚泥を固液分離槽1に戻す貯留汚泥移送路22を設けて、特に、し尿が主の汚水の流入時や処理水中にBODが少なくなる状態の時に、貯留汚泥移送路22により汚泥貯留槽18から固液分離槽1に分離汚泥を戻し、攪拌処理することで、脱窒処理が良好に維持されるように構成してある。
【0033】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0034】
(1) 前記好気性処理槽3においては、循環水槽16を設けない場合であっても良い。(2) 前記好気性処理槽3においては、担体流動槽12、濾過槽15を設けずに、膜分離装置を内装した活性汚泥処理槽に形成してあっても良い。この場合、好気性処理槽3での浮遊微生物を多く含む活性汚泥の濃度を高め、高負荷の処理水の浄化処理をより促進できる。
(3) 前記汚泥貯留槽18は、特に設けない場合であっても良い。
(4) 前記貯留汚泥移送路21は、特に設けない場合であっても良い。
(5) 前記固液分離槽1には、流入する汚水中の固形物などの來雑物を除去する曝気型スクリーンを設けてあっても良い。また、固液分離槽1は、1槽でも複数槽でも良い。
(6) 前記固液分離槽1の分離汚泥を攪拌する処理は、前述の実施例ではタイマーで夜間に攪拌用散気管7を作動させているが、固液分離槽1に流入する汚水の流入量を検知し、一定時間のうちに一定量の流入がない場合に攪拌用散気管7を予め定めた時間の間、作動させるようにしてもよい。
(7) 前記固液分離槽1における攪拌装置は、攪拌用散気管7に限らず、例えば回転羽
の付いた機械式の攪拌装置、槽の底部を往復移動する板状の可動装置、槽底部に水流を起こすジェット噴流装置や汚泥貯留槽18からの貯留汚泥移送装置であっても良い。
(8) 前記固液分離槽1に分離汚泥の汚泥貯留槽18への移送は、1日に流入する処理水の分離汚泥に見合った量を移送するとしていたが、汚泥移送ポンプの吸い込み口を所定の高さに設置して定期的(毎日あるいは数日に1回)に所定時間引き抜き運転することにより貯留汚泥の一部を移送してもよい。あるいは、汚泥貯留量計測センサを設け、ある一定の貯留量以上に貯留された場合に、貯留オーバ分の全量あるいは一部を移送その量の移送量としてもよい。
(9) 前記実施例は、嫌気性処理槽として流量調整槽を備えた汚水処理装置を示したが、嫌気性処理槽の構成としてはこれに限らず、流量調整機能を有さない嫌気槽であってもよいし、流量調整槽と嫌気槽の複数を組合せてあってもよい。また、流量調整槽や嫌気槽は、嫌気性濾材を有した嫌気濾床槽としてあっても良い。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
1 固液分離槽
2 流量調整槽
3 好気性処理槽
8 制御装置
12 担体流動槽
14 堆積濾過層
15 濾過槽
17 循環返送路
18 汚泥貯留槽
19 余剰汚泥移送路
21 分離汚泥移送路
22 貯留汚泥移送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から順に、汚水が流入する沈殿式の固液分離糟、
前記固液分離槽からの処理水を嫌気性処理する嫌気性処理槽、
前記嫌気性処理槽からの処理水を好気性処理する好気性処理槽、
前記好気性処理槽から前記嫌気性処理槽に処理水を返送する循環返送路を設け、
前記嫌気性処理槽と前記好気性処理槽の間で活性汚泥を循環させることで硝化脱窒処理を行う汚水処理装置であって、
固液分離槽に流入する汚水の負荷にかかわらず、前記固液分離槽から前記嫌気性処理槽に移流する処理水の汚泥濃度が、前記硝化脱窒処理に適した濃度となるように調整する汚泥濃度調整手段を設けてある汚水処理装置。
【請求項2】
前記汚泥濃度調整手段は、
前記固液分離槽に配置する撹絆装置と、
1日の内で前記固液分離槽への汚水流入量が少なくなる又は流入が停止する所定の時間帯に前記攪絆装置を作動させる制御装置を備える請求項1に記載の汚水処理装置。
【請求項3】
前記汚泥濃度調整手段は、
前記固液分離槽の分離汚泥を槽外に排出する分離汚泥移送路と、
分離汚泥を貯留する汚泥貯留槽を備える
請求項1又は2のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項4】
前記汚泥濃度調整手段は、
前記固液分離槽の分離汚泥を槽外に排出する分離汚泥移送路または/および前記好気性処理槽の余剰汚泥を槽外に排出する余剰汚泥移送路から移送された汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、その汚泥貯留槽内の貯留汚泥を前記固液分離槽に移送する貯留汚泥移送路を備える請求項2に記載の汚水処理装置。
【請求項5】
前記嫌気性処理槽は、前記固液分離槽からの処理水を一時貯留して下流への流出量を調整する流量調整槽を備え、前記好気性処理槽には、微生物を担持した担体を収容し、前記担体に気泡を供給する散気部を備えて好気処理する担体流動槽と、前記担体流動槽の下流側に、複数の濾過担体を内部に沈降堆積させた状態で堆積濾過層を形成してある濾過槽とを設けてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚水処理装置。
【請求項6】
流入する汚水を固液分離処理する固液分離槽と、処理水を硝化脱窒処理する嫌気性処理槽と好気性処理槽を備え、固液分離槽に流入する汚水の負荷にかかわらず、固液分離槽の上澄み液の汚泥濃度が硝化脱窒処理に適した濃度となるように調整して、その上澄み液を嫌気性処理と好気性処理する汚水処理方法。
【請求項7】
流入する汚水の量が少なくなる所定の時間帯に固液分離処理された分離汚泥を攪拌処理して固液分離槽の上澄み液の汚泥濃度を高めるように調整する請求項6に記載の汚水処理方法。
【請求項8】
固液分離槽の分離汚泥を定期的に所定の量を槽外に排出して固液分離槽の上澄み液の汚泥濃度が過剰とならないように調整する請求項6に記載の汚水処理方法。
【請求項9】
前記固液分離槽での分離汚泥の攪拌を行っていない所定の時間帯に、前記固液分離槽の分離汚泥の所定の量を槽外に排出して固液分離槽の上澄み液の濃度を調整する請求項7に記載の汚水処理方法。
【請求項10】
固液分離槽での固液分離処理やその下流側での好気性処理により分離される分離汚泥を貯留する汚泥貯留槽を備え、
流入する汚水の量が少ない所定の時間帯に、汚泥貯留槽に貯留された分離汚泥の一部を固液分離槽に移送し、流入する汚水の固液分離された分離汚泥とを合わせて攪拌処理して固液分離槽の上澄み液の濃度を調整する請求項7又は9のいずれかに記載の汚水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−206615(P2011−206615A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73799(P2010−73799)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】