説明

汚泥の乾燥方法および乾燥装置

【課題】寒冷地で天然の寒気を利用することで高含水の汚泥も短期間で乾燥させることのできる汚泥の乾燥方法を提供する。
【解決手段】乾燥処理舎1の中に複数段に配置した各乾燥棚2に汚泥入り乾燥用容器3を載置し、夜間は乾燥処理舎1を開放し寒気を取り込んで乾燥用容器3内の汚泥を凍結させ、昼間は乾燥処理舎1を閉鎖するとともに、屋根板4および周壁5から可視光線を透過して室内温度を高めることにより凍結汚泥を解氷させて脱水乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地で天然の寒気を利用して汚泥を凍結乾燥させる汚泥の乾燥方法および乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場や下水処理場、あるいは河川、ため池などで発生する汚泥を天日乾燥させるための汚泥脱水乾燥装置として、先に同一出願人により、図2に示すように、複数の乾燥棚21〜24を上下に所定間隔を置いて数段階に重合配置し、乾燥棚21〜24の両端部に汚泥を収容する乾燥用容器(濾過容器)20を各段の乾燥棚の高さまで昇降させるリフター装置25L,25Rを配置させて、汚泥入り乾燥用容器20を下段の乾燥棚から上段の乾燥棚へリフター装置25L,25Rにより順次移動させながら天日乾燥できるようにしたものを提案した(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3616738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記のような多段式の汚泥脱水乾燥装置では、複数の乾燥棚21〜24を上下に数段階に重合配置するため、大量汚泥を天日乾燥する場合にも敷地面積の有効利用を図れるが、水中から汲み上げられた含水率95〜97%の高含水汚泥を天日乾燥させるだけであるため、天日乾燥日数が長くかかるという問題がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、寒冷地で天然の寒気を利用することで高含水汚泥も短期間で乾燥させることのできる汚泥の乾燥方法および乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の汚泥の乾燥方法は、乾燥処理舎の中に複数段に配置した各乾燥棚に汚泥入り乾燥用容器を載置し、夜間は乾燥処理舎を開放し寒気を取り込んで前記乾燥用容器内の汚泥を凍結させ、昼間は乾燥処理舎を閉鎖するとともに、屋根板および周壁から可視光線を透過して室内温度を高めることにより前記凍結汚泥を解氷させて脱水乾燥させることに特徴を有するものである。
【0007】
本発明の汚泥の乾燥装置は、乾燥処理舎の中に汚泥入り乾燥用容器を載置させる複数段の乾燥棚が配置され、前記乾燥処理舎の屋根板および周壁の略上半分を覆う周壁板がそれぞれ可視光線を透過する材料からなり、前記周壁の略下半分はシールドカーテンで開閉可能に覆われていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の汚泥の乾燥方法および乾燥装置によれば、乾燥処理舎の中に複数段に配置した各乾燥棚に汚泥入り乾燥用容器を載置し、夜間は乾燥処理舎を開放し寒気を取り込んで汚泥を凍結させ、昼間は乾燥処理舎を閉鎖するとともに、屋根板および周壁から可視光線を透過して室内温度を高めることにより凍結汚泥を解氷させて脱水乾燥させるので、高含水の汚泥も少ない日数で効率良く乾燥でき、しかも天然の寒気を利用するので低ランニングコストで乾燥処理することができる。
【0009】
本発明の汚泥の乾燥装置によれば、夜間にシールドカーテンを開放することにより乾燥処理舎の中に寒気を容易に取り込むことができ、また昼間には屋根板および周壁の略上半分から可視光線を透過するとともに、シールドカーテンを閉鎖して周壁の略下半分を密封させることにより温室効果を高め、凍結汚泥の解氷・脱水乾燥処理が有効に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の方法を実施できる汚泥の乾燥装置の断面図である。
【0011】
本発明に係る汚泥の乾燥方法は、寒冷地において、たとえば、図1に示すような汚泥の乾燥装置を使用して汚泥を凍結乾燥する。図1において汚泥の乾燥装置は、乾燥処理舎1の中に上下に複数段の乾燥棚2が配置され、各乾燥棚2に、高含水の汚泥が入った乾燥用容器3を載置させるようにしている。
【0012】
乾燥処理舎1は、屋根を可視光線が透過するポリカーボネート製波板等透明な樹脂板やガラス板等からなる屋根板4で葺き、周壁5の略上半分5aも同じように可視光線を透過するポリカーボネート製波板等透明な樹脂板やガラス板等からなる周壁板6で覆い、周壁5の略下半分5bはアコーディオン式のシールドカーテン7等で開閉可能に覆っている。シールドカーテン7を使用する場合、このシールドカーテン7も可視光線を透過する透明な材料からなるものが好ましい。
【0013】
かくして、汚泥乾燥に際しては夜間、乾燥処理舎1のシールドカーテン7を開けて周壁5の略下半分5bを開放することにより寒気を乾燥処理舎1の中に取り込むことで乾燥用容器3内の汚泥を凍結させ、昼間は屋根板4、周壁5の上半分5aから可視光線を透過するとともに、乾燥処理舎1のシールドカーテン7を閉めて周壁5の下半分5bを密封状態に閉鎖する温室効果により室内温度を上昇させることができ、この室内温度で乾燥用容器3内の凍結汚泥を解氷させて脱水乾燥させることができる。これにより高含水の汚泥も短期間で乾燥処理させることができるに至った。
【0014】
なお、雨や曇り日の昼間において温室効果を十分に期することができない場合は、隣接して設置される浄水場等で使用されるコンプレッサーモータ等の余熱を利用して室内温度を上昇させることが省エネルギー対策として有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の方法を実施できる汚泥の乾燥装置の断面図である。
【図2】従来例の汚泥脱水乾燥装置の正面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 乾燥処理舎
2 乾燥棚
3 乾燥用容器
4 屋根板
5 周壁
5a 周壁の略上半分
5b 周壁の略下半分
6 周壁板
7 シールドカーテン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥処理舎の中に複数段に配置した各乾燥棚に汚泥入り乾燥用容器を載置し、夜間は乾燥処理舎を開放し寒気を取り込んで前記乾燥用容器内の汚泥を凍結させ、昼間は乾燥処理舎を閉鎖するとともに、屋根板および周壁から可視光線を透過して室内温度を高めることにより前記凍結汚泥を解氷させて脱水乾燥させることを特徴とする、汚泥の乾燥方法。
【請求項2】
乾燥処理舎の中に汚泥入り乾燥用容器を載置させる複数段の乾燥棚が配置され、前記乾燥処理舎の屋根板および周壁の略上半分を覆う周壁板がそれぞれ可視光線を透過する材料からなり、前記周壁の略下半分はシールドカーテンで開閉可能に覆われていることを特徴とする、汚泥の乾燥装置。


【図1】
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【図2】
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