説明

汚泥を処理して再生する方法

【課題】高温処理の範囲内で、廃棄物から沈殿槽に沈殿した汚泥を処理して再生する方法を提供する。
【解決手段】沈殿槽内に蓄積され、水を含んだスラリー内の固体粒子を有する汚泥を乾燥し、予め分割された固体のプラスチック材料と混ぜられて、固体の凝集体が形成され、それから、廃棄物の高温処理へ戻される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る方法は、廃棄物の高温処理の範囲内で沈殿槽に蓄積した汚泥を処理して再生する方法に関する。この目的のために、汚泥は乾燥され、予め分割された固体のプラスチック材料に混ぜられて、固体の凝集体(conglomerates)が形成されて、廃棄物の高温処理に戻される。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の高温処理は、ドイツ国特許DE 41 30 416 C1号明細書及びウクライナ特許UA 41 263 C2号明細書の特許明細書において、更に詳細に説明されている。これにはあらゆる種類の廃棄物を処分し且つ利用する方法が記載されており、この場合、固体及び液体の形態をしたあらゆる種類の汚染物を含む、未選別で未処理の廃棄物に対して熱処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ国特許DE 41 30 416 C1号明細書
【特許文献2】ウクライナ特許UA 41 263 C2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最初に、廃棄物は、その混合体及びその複合的構造(the mixture and composite structure thereof)を維持しつつ圧縮される。形成された圧縮ベール(compacted bale)は、外部から加熱した楕円形の通路(channel)内に押し込まれて、通路の入口の前方に気密の栓を形成し、この栓は、その気体不透過性(the gas impermeability thereof)のためのシールの機能を果たす。
【0005】
ガス圧力の蓄積に伴い、圧縮ベールは、熱した通路壁に摩擦接触する状態に保持され、混入した液体及び容易に気化できる材料が蒸発する迄、個々の成分に存在するすべての回復力が解消される迄、そして、混入した有機成分が少なくとも部分的に接着剤の機能(a binding agent function)を果たす迄、この状態は続けられる。従って、塵を含まず、形状が安定化し、また、構造的に安定的な、崩れ易い凝集体が形成され、その後、この凝集体は高温反応炉のシャフト(shaft)内に落下して、気体透過性を有する、塵を含まない床を形成する。
【0006】
廃棄物の有機成分は、酸素が加えられることで反応炉の中でガス化される。これにより得られる2000℃までのガス化温度のため、ガラス、金属及びその他の鉱物のような無機成分は、床の下方の高温反応炉の溶融領域内にて溶融される。
【0007】
しかし、未選別状態で供給される廃棄物質の場合、取り出した溶融体は、極めて不均質な構造であることを特徴としている。例えば炭素やカーボンブラック、特定の金属のような溶融温度がより高い成分は、依然として、その固体の凝集物の状態(solid aggregate state)で存在し、また、これらの汚泥に似た残留生成物(slag-like residual products)の有用な回収を妨げる介在物を形成する。
【0008】
このため、溶融した形態で存在する残留生成物に対して追加的な後続の処理が行われ、これらの残留生成物に対し熱均質化過程が行われる。これにより、溶融体は長期間の溶出能力さえも排除される迄、酸化性雰囲気中で清浄化される。
【0009】
高温反応炉は、その全容積にわたって少なくとも1000℃に保持されることを特徴とする。熱的に反応することのできるすべての汚染物が完全に破壊され、長鎖炭化水素(long-chain hydrocarbons)が分解される迄、ガス状及び固体の廃棄物質に対して高温処理が行われる。その結果、タールや油のような擬縮物(condensates)の形成が確実に防止される。
【0010】
未処理の合成ガスと蒸気とを有する1000℃以上に加熱されたガス混合体は、高温反応炉を出た直後にショック状の態様にて100℃以下に冷却される。ガス流れ中に混入した液体及び固体粒子は、凝集された蒸気と共に、冷却水に吸収される。
【0011】
上記したガス化処理では、高温ガス化温度のために蒸発する、例えば炭素やカーボンブラック、塵、金属元素(elementary metals)と金属組成物等の固体粒子が、ガス出口を経由して高温反応炉を出て、衝撃冷却のために凝集し、そしてまた、鉱物の組成物が沈殿槽内に沈殿することが提供される。続けて、それらは排出され排水されて、濃い汚泥(thick sludge)として脱気通路から高温反応炉へ移送されてガス化処理に再び供給される。
【0012】
汚泥が1000℃以上の高温反応炉内の高温度に突然接触すれば、汚泥内に含まれる水分の爆発類似の蒸発となる。蒸気は、汚泥内に本来的に結びついた固体粒子に混入している。例えば炭素やカーボンブラック、他の有機性廃棄組成物等の有機性固体粒子は、一部は、汚泥内に含まれる無機粒子及び固体の床の上に存在する軽量な廃棄組成物と共に、爆発類似の方法で生成される蒸気、及び、高温反応炉の下層領域で形成される合成ガスに混入し、その結果、衝撃冷却(急冷)を経て再び沈殿槽へ進む。
【0013】
汚泥内に含まれる炭素のガス化、及び/又は、無機の溶融物内の金属元素と金属組成物との融合(integration)は排除される。
【0014】
その結果、本技術水準の方法によれば、汚泥は繰り返してガス化処理に戻ることを必要とすることとなり、このことは、必然的に、汚泥量が増加し、これに応じて廃棄物のガス化のために自由に利用できる能力が低下することとなる。
【0015】
汚泥によって沈殿槽から更にこの種類の能力が削減されるを防ぐために、この汚泥の少なくとも一部を乾燥し、それを別個に廃棄することがまた提案された。しかしながら、この汚泥は本質的には炭素とカーボンブラックとを有するので、この燃料の損失は補償されなければならない。
【0016】
その結果、上述の方法から始まり、汚泥が繰り返し戻されることが不要になり、その結果、燃料の損失が補償され得るように、処理を改善することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法により実現される。従属請求項2乃至11は、この方法の有益な展開例を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、沈殿槽の汚泥を高温度ガス化処理の燃料として有効に利用するために方法が提案される。この方法では、ガス化処理の熱的性能は認識できるほどに改善され、利用できる能力は廃棄物のガス化処理に最適に利用されることが可能である。
【0019】
本発明によれば、沈殿槽内に蓄積され、水を含んだスラリー(slurry)内の固体粒子を有する汚泥を処理、及び/又は、回収する方法が提供される。未処理の合成ガスの成分としての固体粒子は、未処理の合成ガスを衝撃冷却(急冷)することで、急冷する水で吸収される。固体粒子は、あらゆる種類の廃棄物の高温処理で生成され、沈殿槽内に汚泥として沈殿する。この方法は、汚泥が沈殿槽から除去され、少なくとも部分的に乾燥され、予め分割された固体のプラスチック材料に連続的に混ぜられることを特徴とする。乾燥された汚泥と予め分割された固体のプラスチック材料との混合比は、0.5:1.5から1.5:0.5が維持される。この混合物は、プラスチック材料が結合剤機能(the binding agent function)を採用して汚泥の固体粒子との固体の凝集体を形成する迄、温度と圧力の効果の下で処理される。続いて、これらの固体の凝集体(ブリケット(briquettes))は、廃棄物の高温処理へ戻される。
【0020】
好ましくは、乾燥された汚泥と予め分割された固体のプラスチック材料との混合比は、0.8:1.2から1.2:0.8、特に好ましくは、1:1が、それによって維持される。
【0021】
汚泥に含まれる固体粒子は、炭素、カーボンブラック、鉱物粒子、濃縮された金属(condensed metals)、金属組成物、及び/又は、更に無機の固体粒子である。
【0022】
これらの固体粒子は、予め分割されたプラスチック材料と非常にうまく丸く凝集されることが可能であり、ガス化処理への戻りが可能であることが、今や示されている。
【0023】
好ましくは、細かく砕かれたプラスチック材料の廃棄物は、本発明による方法における固体の予め分割されたプラスチック材料として利用される。
【0024】
これらは分割することが容易であり、その結果、重要なことに、処理を容易にする。
【0025】
このプラスチック材料の廃棄物は、顆粒の形で、及び/又は、塊の材料として存在し得る。更に、予め分割された固体のプラスチック材料としてカットされたファイバが使用され得る。その結果、汚泥の成分の機能として、粒子の変換に最適なプラスチック材料の粉砕(comminution)の程度を選択することが可能になる。加えて、凝集体の組成(formation of conglomerate)は、できる限り広い接触面と更に迅速で更に容易で更に良好な変化をもたらすことが可能になるから、これは、プラスチック材料を沈殿物(sediments)で変換する間のエネルギー消費を減らす。
【0026】
固体のプラスチック材料を乾燥した汚泥と混合することは、方法の好ましい変形における圧力と温度の下での押し出し成形で実行される。押し出し成形によって、使用される異なる成分との良好な混合は、言うまでもないが、熱と圧力とによって可能になる。更に、材料は、このように、混合処理に続いて、更なる用途のため(例えば、ファイバ、ボール、顆粒等として)、好ましい形式で押し出されることが可能であり、時間の消費と材料の損失とを伴う他の混合装置から押し出し成形器内へ移されることを必要としない。
【0027】
有利なことに、高温処理の処理熱は、沈殿槽から分離された汚泥の乾燥に使用されることができる。この対策は、エネルギを節約するのに役立つ。プラスチック材料で変換される前に、汚泥から水分を取り出すことは実際的であるから、高温処理中に放出される熱はこの方法で有効に利用されることができる。この結果、燃焼処理で生成され、他の方法で廃棄熱として失われるエネルギは、その方法に有効に利用される。
【0028】
沈殿槽から分離された汚泥の乾燥は、容器内で、好ましくは真空の下で果たすことが可能である。このことは乾燥を加速することに役立ち、他の気体環境中に含まれることがある望まれない材料が凝集体の中に導入されることを防ぐ。
【0029】
好ましい方法の変形例では、廃棄物の高温処理のために、廃棄物は粉砕されることなく圧縮され、存在する任意の液体成分を混入してその混合体及びその複合的構造を維持する間、バッチ形式で圧縮ベールを形成し、そして、圧力衝突(pressure impingement)を維持している間、廃棄物は適合する形式で100℃以上に加熱された通路に導入される。この方法は本技術水準に対応し、詳細に上述された(ドイツ国特許DE 41 30 416 C1号明細書及びウクライナ特許UA 41 263 C2号明細書)。摺動するとき、圧縮された材料は、それによって、通路の壁との摩擦接触の状態に保持され、通路から押し出された固体の凝集体は、続いて、それの全容積にわたって少なくとも1000℃に維持された高温反応炉へ導入される。加えて、未処理の合成ガスは頂上部分で除去され、衝突冷却(急冷)へ供給される。高温反応炉の下層側で、溶融された固体は放出されて顆粒にされる。
【0030】
本発明の好適な実施形態によると、汚泥から得られる固体の凝集体(ブリケット)をこの種類の高温処理へ戻すことが今や提案される。
【0031】
固体の凝集体(ブリケット)は、それによって、廃棄物から形成される圧縮ベールと共に、例えば廃棄物の貯蔵庫(bunker)を介して加熱された通路へ導入されることができる。その結果、本発明による方法の範囲内でプラスチック材料で変換された廃棄生成物は、再生されたガス化に利用されることが可能になる。それによって、ブリケットは、加熱された脱気通路を介して、このブリケットの有機成分を酸素でガス化する高温反応炉のガス化領域へ進む。無機成分は溶融され、無機の溶融物へ進む。
【0032】
要約すれば、発明は、本技術水準に対して、以下の有利な点を有する。
− 廃棄物に含まれる有機成分は可能な限り完全にガス化され、それは更に高いエネルギ効率という結果となる。
− 沈殿槽から予め処理された汚泥を使用しても、この汚泥の固体粒子はガス化されるか、個々に可能な限り完全に溶融されるから、処理能力における減少という結果とならない。
− 沈殿槽からの汚泥の一部を外部で処理することは、不要となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿槽内に蓄積され、水分の多いスラリ中の固体粒子を有する汚泥であって、あらゆる種類の高温処理において生成される未処理の合成ガスから衝撃冷却(急冷)によって形成される汚泥を処理し、及び/又は、再生する方法において、
前記汚泥は前記沈殿槽から除去され、少なくとも部分的に乾燥され、続いて、予め分割された固体のプラスチック材料に混ぜられ、
前記乾燥された汚泥の前記予め分割された固形のプラスチック材料に対する混合比は、0.5:1.5乃至1.5:0.5に維持され、
この混合物は、前記プラスチック材料が結合材機能を採用して前記汚泥の前記固体粒子との固体の凝集体を形成する迄、温度と圧力の影響下で処理され、
続いて、これらの固体の凝集体は、前記廃棄物の前記高温処理に戻される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記混合比は、0.8:1.2乃至1.2:0.8、好ましくは1:1に維持される、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記汚泥に含まれる前記固体粒子は、炭素、カーボンブラック、鉱物粒子、濃縮された金属、金属組成物、及び/又は、更に無機の固体粒子である、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、
粉砕されたプラスチック材料の廃棄物は、予め分割された固体のプラスチック材料として使用される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記プラスチック材料の廃棄物は、顆粒の形で、及び/又は、塊の材料として存在する、方法。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、
予め分割された固体のプラスチック材料として切断されたファイバが使用される、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、
前記固体のプラスチック材料と前記乾燥した汚泥との前記混合は、圧力と温度の下で押出し成形器において実行される、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、
高温処理の処置熱は、前記沈殿槽から分離された前記汚泥を乾燥するために使用される、方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法において、
前記沈殿槽から分離された前記汚泥の乾燥は、容器内で、好ましくは、真空の下で果たされる、方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法において、
前記廃棄物の前記高温処理のため、当該廃棄物は、粉砕されることなく圧縮され、
存在する任意の液体成分を混入してその混合体及びその複合的構造を維持する間、前記廃棄物はバッチ処理で圧縮ベールを形成し、
圧力衝突を維持している間、前記廃棄物は適合する形式で100℃以上に加熱された通路に導入され、
圧縮された材料は、摺動するとき、前記通路の壁との摩擦接触の状態に保持され、
続けて、前記通路から押された前記固体の凝集体は、それの全容積にわたって少なくとも1000℃に維持された高温反応炉に導入され、
前記未処理の合成ガスは頂上部分で除去されて、衝突冷却(急冷)へ供給され、
前記高温反応炉の下層側で、前記溶融された固体は放出されて顆粒にされる、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記固体の凝集体は、前記圧縮ベールと共に、前記加熱された通路へ導入される、方法。

【公開番号】特開2010−59420(P2010−59420A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−192310(P2009−192310)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(509191333)
【Fターム(参考)】