説明

汚泥濃縮装置および汚泥濃縮車

【課題】タンク内の構造の簡素化を図る。また、ドラムスクリーンおよびその周囲部の清掃、メンテナンスの容易化を図る。
【解決手段】ドラムスクリーンユニット100は、第1ユニット110とこの下に設けられる第2ユニットとからなる。第1ユニット110は、蓋板113、ドラムスクリーン本体114、ドラムスクリーン本体114油圧モータ116、電動油圧ポンプユニット117等を一体に備える。第2ユニット150は、水容器151、汚泥水供給口152、汚泥水案内部153、水中ポンプ154、水位検知用電極155、156、汚水導出管159等を一体に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化槽等から汚泥水を取り込んで、汚泥と汚水とに分離する汚泥分離装置を備えた汚泥濃縮装置、およびこの汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭の浄化槽から汚泥を回収して汚泥処理場へ運搬するために汚泥濃縮車が使用されている(例えば特許文献1を参照。)。汚泥濃縮車によれば、浄化槽の汚泥水(原汚泥)を取り込んで固形分の汚泥と水分の汚水とに分離し、汚水を浄化槽に戻して、固形分の汚泥を回収して運搬することができる。これにより、汚泥処理場への運搬量を低減することができる。
【0003】
特許文献1に開示されている汚泥濃縮車によって、浄化槽内の汚泥水から固形分の汚泥を分離回収する場合、汚泥水は反応槽内に取り込まれて、凝集剤と攪拌され、その汚泥水からゲル状に凝集した凝集汚泥が生成される。そして、凝集汚泥と凝集せずに残った汚水とが汚泥槽内の上部に設置されたドラムスクリーンによって分離される。分離された凝集汚泥は汚泥槽に蓄積され、汚水は浄化槽に戻される。
【0004】
また、浄化槽内の汚泥水(固形分の汚泥が多数浮遊している上層の汚泥水など)が直接汚泥槽内に設置したドラムスクリーンに取り込まれ、固形分の汚泥と水分の汚水とに分離されることもある。この場合も、分離された汚泥は汚泥槽に蓄積され、汚水は浄化槽に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−18318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の汚泥濃縮車においては、例えば特許文献1の第3図に示されるように、汚泥水をドラムスクリーン側へ供給するための汚泥水供給管がタンクの外から水平に中に貫通して設けられ、この汚泥水供給管とドラムスクリーンとの間に、汚泥水の流路を拡幅しつつ案内する汚泥水案内部が溶接等により着脱不能に設けられていた。このため、タンク内の構造が複雑となりタンク内に溶射等の表面処理を施すことが困難となっていた。
【0007】
また、車両PTOで駆動される油圧ポンプからタンク内に設置されたドラムスクリーンの油圧モータまで油圧配管が設置されていたが、この油圧配管の全長が長く、しかも、タンクを貫通して設ける必要があったことから、配管工事に多くの工数を要するという問題があった。
【0008】
また、ドラムスクリーンの清掃、メンテナンスに際して、ドラムスクリーンをタンクから取り外す際に、上記油圧ポンプから上記油圧モータへ通じている油圧配管の継手を外さなければならず、この継手を外す作業に手間がかかるという問題があった。さらに、その継手を外す際に油圧配管内の油が外に漏れ、環境を汚染するという問題もあった。そのほか、ドラムスクリーンをタンクから取り外す際に、ポンプ(水中ポンプ)、センサ等の配線、空気圧配管等の取り外し作業を要し、ドラムスクリーンの清掃、メンテナンスに際して、多くの時間と労力を費やさなければならなかった。
【0009】
また、従来は、ドラムスクリーンをタンクに取り付けたままドラムスクリーンの洗浄や点検を容易に行うことができないという問題があった。
【0010】
また、従来の汚泥水案内部内では、汚泥水は水平方向に向かって流れていたため、汚泥水案内部内に汚泥が堆積し易かった。しかも、汚泥水案内部はタンク内にあり、清掃を行い難いという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みて創案されたものであり、タンク内の構造の簡素化を図ること、ドラムスクリーンおよびその周囲部の清掃、メンテナンスの容易化を図ること等を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の汚泥濃縮装置および汚泥濃縮車は、以下のように構成されている。
【0013】
すなわち、本発明の汚泥濃縮装置は、汚泥を蓄積するための汚泥槽と、前記汚泥槽内に同槽の上部の開口から上方へ一体に取り出し可能に設置されたドラムスクリーンユニットと、汚泥槽外から汚泥槽内に亘って設けられた汚泥水供給管と、を備える汚泥濃縮装置であって、前記ドラムスクリーンユニットは、前記汚泥水供給管に着脱可能に接続される汚泥水供給口と、前記汚泥水供給口から汚泥水案内部を通じて供給される汚泥水を濾過して汚泥と汚水とに分離するドラムスクリーン本体と、前記ドラムスクリーン本体を回転駆動するモータと、前記ドラムスクリーン本体によって分離された汚水を受け止める水容器と、を備えることを特徴としている。
【0014】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置によれば、汚泥槽から取り外し可能なドラムスクリーンユニットに汚泥水案内部が含まれているため、従来の汚泥濃縮装置と比較して、タンク内の構造が簡素化され、タンク内に溶射等の表面処理を容易に施すことが可能となる。
【0015】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、上記構成を備える汚泥濃縮装置において、前記ドラムスクリーンユニットは、前記ドラムスクリーン本体および前記モータを一体に有する第1ユニットと、前記汚泥水供給口、前記汚泥水案内部および前記水容器を一体に有し、第1ユニットの下に連結される第2ユニットと、を備えるものであってもよい。
【0016】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置によれば、第2ユニットを汚泥槽内に残したまま第1ユニットのみを汚泥槽から取り出してドラムスクリーン本体の清掃メンテナンス等を行うことができる。
【0017】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、上記何れかの構成を備える汚泥濃縮装置において、前記ドラムスクリーンユニットの第2ユニットは、前記水容器内の汚水を前記汚泥槽の前記開口を通じて汚泥槽外へ導出する汚水導出路と、前記水容器内の汚水を前記汚水導出路内に送給するポンプと、をさらに備えるものであってもよい。
【0018】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置によれば、水容器内の汚水を汚泥槽外へ導出する汚水導出路が汚泥槽の開口を通じて設けられているので、汚水導出路のための配管工事を容易に行うことができる。
【0019】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、上記構成を備える汚泥濃縮装置において、前記ドラムスクリーンユニットの第2ユニットは、前記水容器内の汚水水位を検出するための水位センサと、前記ポンプの電源ラインと、をさらに備えるものであってもよい。
【0020】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置によれば、ドラムスクリーン本体の清掃、メンテナンス等のために、第2ユニットから第1ユニット(ドラムスクリーン本体)を取り外す際に、水位センサの信号線やポンプの電源ラインの取り外し作業を要しない。
【0021】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、上記構成を備える汚泥濃縮装置において、前記ドラムスクリーンユニットの第1ユニットは、前記汚泥槽の前記開口を塞ぐとともに、前記ドラムスクリーン本体を下方に支持する蓋板をさらに備え、前記蓋板に、ドラムスクリーン本体の点検用の開閉扉が設けられたものであってもよい。
【0022】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置によれば、蓋板にドラムスクリーン本体の点検用の開閉扉が設けられているので、この開閉扉を開けることで、第1および第2ユニットを汚泥槽内に設置したまま、ドラムスクリーン本体を見ながらその点検清掃を行うことができる。これにより、メンテナンス性が向上する。
【0023】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、上記構成を備える汚泥濃縮装置において、前記ドラムスクリーンユニットの第1ユニットの前記モータは、油圧モータであり、この油圧モータに作動油を供給する電動油圧ポンプユニットをさらに備えるものであってもよい。
【0024】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、上記構成を備える汚泥濃縮装置において、前記ドラムスクリーンユニットの第1ユニットの前記モータは、油圧モータであり、この油圧モータに作動油を供給する、前記蓋板上に設置された電動油圧ポンプユニットをさらに備えるものであってもよい。
【0025】
これらの汚泥濃縮装置によれば、油圧モータと電動油圧ポンプユニットとを繋ぐ油圧管を従来より短くすることができ、当該配管工事の工数を低減することができる。また、油圧モータは、エンジンの回転数の影響を受けない電動油圧ポンプユニットからの圧油によって駆動されるので、ドラムスクリーン本体の回転数が安定するという利点も得られる。
【0026】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、上記何れかの構成を備える汚泥濃縮装置において、前記汚泥水案内部は、下から上に向かって略扇状に汚泥水の流路を拡幅する扇状部と、この扇状部において又はこの扇上部より上方において前記ドラムスクリーン本体の汚泥水受入部に臨むように水平方向へ開口した汚泥水吐出口と、を有するものであってもよい。
【0027】
かかる構成を備える汚泥濃縮装置によれば、汚泥水が下から上に向かって流れるので、汚泥水案内部内に汚泥が堆積し難く、堆積汚泥の清掃の手間が省かれる。また、下から上に向かって汚泥水の流路を形成するため、従来よりも汚泥水案内部に十分な流路長さを確保することができる。
【0028】
本発明の汚泥濃縮車は、上記何れかの汚泥濃縮車を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、タンク(汚泥槽)内の構造が簡素化される。また、ドラムスクリーンおよびその周囲部の清掃、メンテナンスの容易化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置および汚泥濃縮車を示す左側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置および汚泥濃縮車を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮装置および汚泥濃縮車を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮車に搭載された汚泥濃縮装置の配管図である。
【図5】ドラムスクリーンユニット、レベルスイッチおよびインバータを示す平面図である。
【図6】ドラムスクリーンユニットを側方から視た部分断面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】第2ユニットの平面図である。
【図9】第2ユニットを前方から視た図である。
【図10】ドラムスクリーンユニットを第1ユニットと第2ユニットに分離して表した分解図である。
【図11】汚泥槽およびドラムスクリーンユニットを後方から視た部分断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る汚泥濃縮装置および汚泥濃縮車を示す概略背面図であって、ドラムスクリーンユニットの設置位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。先ず、本発明の特徴的部分であるドラムスクリーンユニットの説明に先立って、このドラムスクリーンユニットが搭載される汚泥濃縮車(汚泥濃縮装置)について簡単に説明する。
【0032】
[汚泥濃縮車の外観構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮車1の左側面図、図2は汚泥濃縮車1の平面図、図3は汚泥濃縮車1の背面図である。図1〜図3に示す、汚泥濃縮車1においては、車両2のシャーシフレーム3上にサブフレーム4が設置されており、そのサブフレーム4上にタンク5が搭載されている。タンク5内は隔壁6によって2槽に隔離されており、隔壁6の前方が反応槽7、隔壁6の後方が汚泥槽8になっている。
【0033】
タンク5の上部にはホースリール9が設置されている。このホースリール9は長尺(例えば60m)のホースである吸引・排出ホース11を巻出し巻取り可能に収容している。ホースリール9の前方のタンク5上部には、反応槽7内の水位のオーバフローに反応して管路を閉鎖するフロート弁10(図2参照)が設けられている。
【0034】
汚泥槽8内の上部には、ドラムスクリーンユニット100が設置されている。このドラムスクリーンユニット100については後に詳述する。
【0035】
シャーシフレーム3の前寄り左側には、液体の凝集剤を収容した凝集液タンク12が設置されている。さらに凝集液タンク12の後方には、エアセパレータ15、オイルセパレータ13、オーバーフローセフティ弁14などが設置されている。
【0036】
また、タンク5の側面には、反応槽7内の様子を確認するため、透明材からなる反応槽のぞき窓16が設けられている。同じくタンク5の側面には、反応槽7内の水位を確認するためのレベル計18が設置されている。タンク5の後面には、汚泥槽8内の水位を確認するためのレベル計19が設置されている。
【0037】
なお、タンク5の後部にはホースハンガ21が設置されており、このホースハンガ21に、近距離での作業で使用する短尺(例えば10m)の吸引・排出ホース22が巻き掛けられている。この短尺の吸引・排出ホース22と前記長尺の吸引・排出ホース11とは、汚泥濃縮車1の駐車位置から浄化槽までの距離に応じて使い分けられる。
【0038】
[汚泥濃縮装置の配管構成]
つぎに、上記汚泥濃縮車1が搭載する汚泥濃縮装置20の配管構成について図4の配管図に基づいて説明する。
【0039】
符号51は走行用エンジンEの動力を取り出す動力取出装置(PTO)、符号52は動力取出装置(PTO)51によって駆動される真空ポンプである。
【0040】
真空ポンプ52の吐出側には、吐出側配管53が接続されており、真空ポンプ52の吸込側には、吸込側配管54が接続されている。吐出側配管53の途中位置には、オイルセパレータ13が設けられており、吸込側配管54の途中位置には、逆流防止用のチェック弁55が設けられている。さらに吸込側配管54のチェック弁55より上流側には、メンテナンス用の排出弁56が設けられている。
【0041】
タンク5の反応槽7には、反応槽吸引加圧管60が接続されており、この反応槽吸引加圧管60の途中位置に一端部がタンク5の汚泥槽8に接続された汚泥槽吸引加圧管70の他端部が接続されている。反応槽吸引加圧管60の途中位置には、さらに、タンク5側から順に、タンク5内の水位のオーバフローを防止するためのフロート弁10、オーバーフローセフティ弁14、エアセパレータ15、大気63に通じるリリーフ管68が設けられている。また、リリーフ管68の途中位置には、リリーフ弁69が設けられている。反応槽吸引加圧管60の反タンク5側の端部は、後述する吸引加圧切換弁66の所定ポートに接続されている。
【0042】
符号64は大気吸排気管であり、その途中位置に一方向可変絞り弁61が設けられている。大気吸排気管64においては、一方向可変絞り弁61と吸引加圧切換弁66との間に大気63に通じるバイパス管65が分岐して設けられており、このバイパス管65の途中位置に大気開放弁62が設けられている。
【0043】
既述した、吐出側配管53、吸込側配管54、反応槽吸引加圧管60および大気吸排気管64は、互いに吸引加圧切換弁66の切換操作によって、連通可能に配管されている。
【0044】
また、汚泥槽吸引加圧管70の途中位置には、エア切換弁71が介設されており、このエア切換弁71の切換操作によって、汚泥槽8は吸引加圧切換弁66、大気63又はこれらの双方に連通する。
【0045】
符号72は槽連絡管であり、その一端部はタンク5の反応槽7の底部に接続され、その他端部はタンク切換弁73の所定ポートに接続されている。また、タンク5の汚泥槽8の上部には、第1汚泥水供給管74、タンク5の汚泥槽8の側部(図4においては作図上の都合により汚泥槽8の上部となっている。)には、第2汚泥水供給管75が接続されている。また、符号76は、汚水還流管であり、その一端部は、ドラムスクリーンユニット100内の後述する水中ポンプ154の吐出口に通じており、その他端部は、後述する汚泥処理切換弁77の所定ポートに接続されている。また、符号78は、原汚泥吸引管であり、その一端部は、ホースリール9に収容されている吸引・排出ホース11の基端部に接続されている。また、この原汚泥吸引管78の途中位置には、管路を開閉する第1ホース開閉弁79が設けられている。さらに、原汚泥吸引管78の途中位置の第1ホース開閉弁79よりタンク5側には、分岐管80の一端部が接続されており、その他端部に、第2ホース開閉弁81が設けられている。この第2ホース開閉弁81には短尺の吸引・排出ホース22が接続可能となっている。
【0046】
槽連絡管72、第1汚泥水供給管74、第2汚泥水供給管75、汚水還流管76および原汚泥吸引管78は、図示するように、連繋管90によって互いに接続されたタンク切換弁73および汚泥処理切換弁77の切換操作により、互いに連通可能に配管されている。
【0047】
なお、槽連絡管72の途中位置には、管内を流れる汚泥を目視することができるように、サイトグラス83が設けられている。
【0048】
凝集液タンク12は、反応槽7を貫通して設けられた凝集液注入管84により、反応槽7の底部に通じている。凝集液注入管84の途中位置には、開閉弁85が設けられている。さらに、凝集液注入管84の開閉弁85より反応室7側に、大気63に通じる大気吸引管86および開閉弁87が設けられている。
【0049】
タンク5の後底部には、汚泥槽8から凝集汚泥物を排出するための排出管88およびその管路を開閉するための開閉弁89が設けられている。
【0050】
[ドラムスクリーンユニット]
以下、本発明の特徴的部分であるドラムスクリーンユニット100について説明する。このドラムスクリーンユニット100は、浄化槽Sから吸引する汚泥水(凝集反応処理が施されていない原汚泥)を濾過して、固形分の汚泥(以下「1次汚泥」ともいう。)と汚水(以下「1次汚水」ともいう。)とに分離し、あるいは、凝集反応処理が施された汚泥水を濾過して凝集汚泥(以下「2次汚泥」ともいう。)と汚水(以下「2次汚水」ともいう。)とに分離するものである。
【0051】
図5〜図7は、ドラムスクリーンユニット100が、汚泥濃縮車1のタンク5の汚泥槽8内の上部に設置された状態を示している。ドラムスクリーンユニット100は、汚泥槽8の上部の開口23を通じて汚泥槽8内に設置され、ドラムスクリーンユニット100の上部フランジ151bが、汚泥槽8の上部の開口23の縁部の取付フランジ24に支持固定されている。上部フランジ151bおよび取付フランジ24は、後述する蓋板113とともに互いにボルトおよびナットにて締結されている。
【0052】
ドラムスクリーンユニット100は、第1ユニット110と、第2ユニット150とから構成されており、第2ユニット150は第1ユニット110の下から着脱自在に連結されている。
【0053】
<第1ユニット>
第1ユニット110は、図6又は図7に示すように、蓋板113、ドラムスクリーン本体114、ドラムスクリーン本体114に付設されたスクレーパ115、汚泥水案内板123、油圧モータ116(モータ)、電動油圧ポンプユニット117等を備えている。
【0054】
蓋板113は、汚泥槽8の上部の開口23の形状に略対応しており、上部フランジ151bとともに、汚泥槽8の上部の開口23を塞ぐように設けられている。但し、図5に示すように、蓋板113の2つの隅部は、内方へ向かって切り欠かれた切欠部113aとなっている。このため、この蓋板113の切欠部113a,113aを補うように第2ユニットの上部フランジ151bが内方へ向かって延在している。
【0055】
また、図5に示すように、蓋板113には、ドラムスクリーン本体114の点検用のヒンジ式開閉扉112が設けられている。この開閉扉112は、ドラムスクリーン本体114の真上に設けられており、開放することでドラムスクリーン本体114を真上から直接目視することができる。また、開閉扉112は、一部がガラス等の透明部材からなるため、閉じた状態でも、当該透明部材を介して、ドラムスクリーン本体114を透かし見ることができる。
【0056】
ドラムスクリーン本体114は、蓋板113の下面から下向きに平行に延在した2枚のドラム取付板118の間に回転自在に支持されている。ドラムスクリーン本体114としては、多数のワイヤが円筒状にわずかな隙間をあけて周方向へ巻き付けられたものが採用されている。ドラムスクリーン本体114の汚泥水受入部114a(ドラムスクリーン本体114の上部;図7参照。)上に汚泥水が供給されるとその汚泥水中に含まれる汚水が多数のワイヤー間に形成された隙間を抜け落ちて固形分の汚泥から分離される。抜け落ちた汚水は、第2ユニットの水容器151に受け止められ、ドラムスクリーン本体114上には汚泥が残存する。ドラムスクリーン本体114上に残存した汚泥は、ドラムスクリーン本体114に設けられている後述のスクレーパ115によって掻き落とされ、汚泥槽8内に蓄積される。
【0057】
スクレーパ115は、1対のドラム取付板118の間に架設された支持フレーム119Aに設けられたバネ材付蝶番120を介して設けられたスクレーパフレーム121の下端に固定されている。スクレーパフレーム121の下端側およびスクレーパ115は、バネ付蝶番120によってドラムスクリーン本体114側に押圧されている。このため、ドラムスクリーン本体114の汚泥出側に押圧されたスクレーパ115は、ドラムスクリーン本体114に付着した汚泥を掻き落とすことができる。
【0058】
汚泥水案内板123も、図7に示すように、1対のドラム取付板118の間に架設された支持フレーム119Bにバネ材付蝶番120Aを介して設けられている。この汚泥水案内板123は、後述する汚泥水吐出口153cにバネ材付蝶番120Aの押圧力によって接続される汚泥水吐出口接続口123aと、汚泥水吐出口153cおよび汚泥水吐出口接続口123aから供給される汚泥水をドラムスクリーン本体114の上部に向かって案内する側板部123bおよび下板部123cとを備えている。なお、側板部123bのドラムスクリーン本体114側は、ドラムスクリーン本体114の円筒形状に対応して円弧状に切り欠かれている。
【0059】
油圧モータ116は、ドラム取付板118に設置されており、ドラムスクリーン本体114を回転駆動する。また、この油圧モータ116に圧油を供給する上記電動油圧ポンプユニット117との間に油圧管122が設けられている。この油圧管122は蓋板113において継手122aによって連結されている。
【0060】
電動油圧ポンプユニット117は、蓋板113上に設置され、油圧ポンプとこの油圧ポンプを駆動する電動モータとを備えている。かかる構成によって、前記油圧管122を通じて油圧モータ116に圧油を供給する。なお、電動油圧ポンプユニット117として、駆動油圧として所定油圧(例えば2MPa)を必要とする油圧モータ116に対してその所定油圧より格段に高い油圧(例えば14MPa)を数10分間供給できるものが採用されている。しかし、電動油圧ポンプユニット117の電動モータに供給する見かけの電流を定格電流より大幅に小さくすることにより油圧モータ116に前記所定油圧(2MPa)の圧油を供給するようにしている。汎用の電動油圧ポンプユニットは、短時間運転向きのものが多いが、供給する見かけの電流を小さくすることで、電動モータの発熱を抑制でき、その結果として、電動油圧ポンプユニット117の長時間の連続運転が可能となる。
【0061】
<第2ユニット>
一方、第2ユニット150は、図6〜図9に示すように、水容器151、汚泥水供給口152、汚泥水案内部153、水中ポンプ154、水位検知用電極155、156、汚水導出管159等を備えている。
【0062】
水容器151は、ドラムスクリーン本体114から流れ落ちる汚水を受け止めて一時的に貯留する。図6に示すように、水容器151の底部には、汚水が底部中央付近に集まるよう、中央側に向かって下降する勾配部151a,151aが形成されている。そして、勾配部151aの比較的低い位置に、吸込み口154aが配されるように、水中ポンプ154が設置されている。
【0063】
また、水容器151の上端縁には、水平方向に延在した前記上部フランジ151bが一体に形成されている。この上部フランジ151bは、既述したように、取付口23の縁部に設けられた取付フランジ24に支持固定される。図5および図8に示すように、上部フランジ151bは2つの隅部で、水容器151の内壁151cより内側に張り出しており、この張出部151dに水中ポンプ154の電源線(電源ライン)154bが貫通固定されている。電源線154bの途中位置にはカプラー154bbが介設されており、ドラムスクリーンユニット100を汚泥槽8から取り外す際に、このカプラー154bb(図5参照)において電源線154bを分離することができるようになっている。また、図6および図7に示すように、水容器151内には、水位検知用電極(水位センサ)155、156が設置されており、その電極155,156も上記張出部151dに貫通固定されている。また、図6〜図9に示すように、上部フランジ151bの上記張出部151d,151dには、既述の汚泥槽吸引加圧管70と汚水還流管76とがそれぞれ接続されている。
【0064】
図5に示すように、水位検知用電極155、156の端子に接続された信号線155a,156aおよび電源線154bは、汚泥濃縮車1の所定位置に設置されたレベルスイッチ25およびインバータ26にそれぞれ接続されている。レベルスイッチ25は、互いに長さ(水位検出高さ)の異なる水位検知用電極155,156からの信号レベルに基づいてインバータ26に対して運転/停止信号を送出し、インバータ26は、この信号に従って水中ポンプ154に対する駆動電力の送給/停止を行う。これにより水中ポンプ154は、所定水位以上で作動し、所定水位以下で停止する。
【0065】
汚泥水案内部153は、図6〜図11に示すように、その下方の汚泥水供給口152から導入管157を介して供給される汚泥水の流路を下から上方に向かって略扇状に拡幅する扇状部153aと、この扇状部153aより上方に延在した整流部153bと、この整流部153bからドラムスクリーン本体114の汚泥水受入部114aに臨むように水平方向へ開口した汚泥水吐出口153cとを備えている。上記扇状部153aおよび整流部153bは、水容器151の内壁151cに沿って形成されている。汚泥水吐出口153cの開口幅は、ドラムスクリーン本体114のろ過処理可能な領域の幅にほぼ対応している。なお、汚泥水吐出口153cは、ドラムスクリーン本体114の汚泥水受入部114aに臨むように設けられるのであれば、整流部153bの代わりに扇状部153aに設けられていてもよい。また、扇状部153aとして、汚泥水供給口152側から汚泥水吐出口153c側に向かって単一配管から扇状に複数配管に分岐した配管構造を採用してもよい。
【0066】
汚水導出管159は、一端が水中ポンプ154の吐出口に接続され、他端が汚水還流管76に接続されている。この汚水導出管159は、水容器151内に貯留される汚水を汚泥槽8の開口23を通じて汚泥槽8外へ導出する汚水導出路を形成する。
【0067】
なお、図8に示すように、水容器151の底部には、水容器151内の汚水を抜き出すために、貫通孔151eが設けられており、この貫通孔151eの周縁部に、貫通孔151eから汚水を排出するためのドレン配管160(図6を併せて参照。)が接続されている。また、ドレン配管160の下端には開閉弁161が設けられている(図4を参照。)。
【0068】
[汚泥濃縮装置の動作]
以上に説明した汚泥濃縮車1により浄化槽Sの清掃処理を行う際の操作・処理手順の一例を説明する。
【0069】
<原汚泥吸引>
汚泥濃縮車1の各種バルブ類の初期状態として、第1ホース開閉弁79、第2ホース開閉弁81、開閉弁85,87,89、大気開放弁62等が閉鎖されている。
【0070】
上記初期状態より、まず、吸引・排出ホース11をホースリール9から巻き出し、その先端を浄化槽Sの嫌気槽S’へ挿入する。長尺の吸引・排出ホース11に代えて短尺の吸引・排出ホース22を使用することもできるが、本実施形態では、長尺の吸引・排出ホース11を使用する場合を例に挙げる。
【0071】
嫌気槽S’内では、上から順にスカム200、中間水201および沈殿汚泥202が3層を形成している。各層のタンク5内への吸引作業は、上層のスカム200、中間層の中間水201、下層の沈殿汚泥202の順に行われる。
【0072】
まず、上層のスカム200をドラムスクリーンユニット100を通さずに、直接汚泥槽8内に吸引回収する。この吸引回収を実行するために、吸引・排出ホース11の先端を嫌気槽S’内のスカム200に挿入し、真空ポンプ52を駆動する。更に、吸引加圧切換弁66を右位置aに、汚泥処理切換弁77を右位置aに、タンク切換弁73を左位置aに、エア切換弁71を左位置aに、それぞれ切換える。第1ホース開閉弁79は開放する。
【0073】
スカム200の汚泥槽8への吸引が完了した後、中間水201を反応槽7へ吸引する。この吸引を実行するために、上記状態より、吸引・排出ホース11の先端を嫌気槽S’内の中間水201に挿入し、タンク切換弁73を中立位置bに切換える。
【0074】
中間水201の反応槽7への吸引が完了した後、沈殿汚泥202をドラムスクリーンユニット100を通さずに、直接汚泥槽8内に吸引回収する。この吸引回収を実行するために、上記状態より、吸引・排出ホース11の先端を嫌気槽S’内の沈殿汚泥202に挿入し、再びタンク切換弁73を左位置aに切換える。
【0075】
<凝集反応>
沈殿汚泥202の汚泥槽8への吸引が完了した後、その前に反応槽7内に吸引した中間水201に対して凝集反応処理を施す。この凝集反応処理を実行するために、上記状態より、エア切換弁71を右位置cに切換え、閉鎖されている開閉弁85,87を開放し、開放している第1ホース開閉弁79を閉鎖する。すると、反応槽7が減圧されて、空気混ざりの凝集液が反応槽7内の中間水201に混入され、バブリングによる攪拌作用によって、凝集反応が均一に促進され、反応槽7内の中間水201からゲル状の凝集汚泥(2次汚泥)が生成される。
【0076】
つぎに、反応槽7内で生成された上記2次汚泥と凝集せずに残った2次汚水とからなる2次汚泥水をドラムスクリーン本体114へ圧送する。この処理を実行するために、上記状態より、吸引加圧切換弁66を左位置cに、タンク切換弁73を中立位置bに、汚泥処理切換弁77を左位置bに切換え、第1ホース開閉弁79を開放する。また、開放されている開閉弁85,87は閉鎖する。すると、反応槽7内の2次汚泥水は、槽連絡管72、タンク切換弁73、汚泥処理切換弁77、第2汚泥水供給管75を通じてドラムスクリーンユニット100に圧送される。なお、図4では、ドラムスクリーンユニット100の上に第2汚泥水供給管75が接続されているような書き方をしているが、実際には、図11に示すように、第2汚泥水供給管75は、ドラムスクリーンユニット100の汚泥水供給口152に対して下から接続されている。第2汚泥水供給管75および汚泥水供給口152の両端部にはフランジ152a、75aが設けられており、これらのフランジ152a、75aが図示しないボルトおよびナットにより締結されている。すなわち、第2汚泥水供給管75と汚泥水供給口152とは互いに着脱可能に接続されている。
【0077】
2次汚泥水は、図9〜図11中のドットで示す領域を矢印Pが示す方向に進み、上記汚泥水供給口152から導入管157を経て汚泥水案内部153の扇状部153aでその流路を拡幅する。そして、汚泥水案内部153の整流部153bに設けられた汚泥水吐出口153cからドラムスクリーン本体114の汚泥水受入部114a(図11参照)に吐出される。
【0078】
ドラムスクリーン本体114によって2次汚泥水は、2次汚泥(ゲル状の凝集汚泥)と凝集せずに残った2次汚水とに分離され、2次汚泥は、ドラムスクリーン本体114からスクレーパ115によって掻き落とされて汚泥槽8内に蓄積される。一方、2次汚水は水容器151に一時的に貯留される。その後、水容器151内の汚水の水位が所定レベルに達すると水中ポンプ154が作動して、水容器151内の2次汚水は、汚水導出管159を通じてドラムスクリーンユニット100(汚泥槽8)外へ排出され、さらに汚水導出管159に接続されている汚水還流管76、汚泥処理切換弁77、原汚泥吸引管78および吸引排出ホース11を通じて、浄化槽Sへ還流される。
【0079】
2次汚水の還流完了後は、真空ポンプ52およびドラムスクリーン本体114の駆動を停止し、開放した第1ホース開閉弁79等を閉鎖して、汚泥濃縮車1を処分場まで移動させる。
【0080】
なお、本実施形態においては、凝集反応処理を施した汚泥水に対してのみドラムスクリーンユニット100を用いてろ過処理を施したが、浄化槽Sから汚泥水(原汚泥)を直接ドラムスクリーンユニット100に取り込んでろ過することも勿論可能である。
【0081】
<濃縮汚泥排出>
処分場では、開閉弁89に短尺の吸引・排出ホース22を接続し、そのホース22の先端を処分場の所定場所へ配置する。
【0082】
そして、吸引加圧切換弁66を左位置cに切換え、エア切換弁71を左位置aに切換え、タンク切換弁73を右位置cに切換え、汚泥処理切換弁77を右位置aに切換え、開閉弁89を開放し、真空ポンプ52を駆動すると、汚泥槽8内が加圧されて、汚泥槽8内に蓄積されている濃縮汚泥が排出管88、短尺の吸引・排出ホース22を通じて処分場の所定場所へ排出される。
【0083】
[汚泥濃縮装置の作用効果]
以上に説明した汚泥濃縮車1においては、図10に示すように、ドラムスクリーンユニット100は、汚泥槽8の上部の開口23から上方へ取り出し可能に設置されている。また、第1ユニット110は、第2ユニット150から上方へ分離可能となっているため、第2ユニット150を汚泥槽8内に残したまま第1ユニット110のみを汚泥槽8および第2ユニット150から取り外すことができる。また、第1ユニット110と第2ユニット150を一体に汚泥槽8から取り外すことも可能である。
【0084】
第2ユニット150の汚泥水案内部153は、タンク5内に溶接等により固定されているのではなく、第2ユニットに設けられている。このことから、汚泥水案内部153は、ドラムスクリーンユニット100とともに汚泥槽8から取り外し可能である。このため、汚泥水案内部がタンク内に溶接等にて固定されていた従来の汚泥濃縮車と比較して、タンク内の構造が簡素化され、タンク内に溶射等の表面処理を容易に施すことが可能となる。
【0085】
また、汚泥濃縮車1においては、ドラムスクリーンユニット100の第1ユニット110に、ドラムスクリーン本体114を駆動する油圧モータ116と、電動油圧ポンプユニット117とが第1ユニット110内に一体に含まれている。このため、油圧モータ116と電動油圧ポンプユニット117とを繋ぐ油圧管122を従来より短くすることができ、当該配管工事の工数を大幅に低減することができる。また、油圧モータ116は、エンジンEの回転数の影響を受けない電動油圧ポンプユニット117からの圧油によって駆動されるので、ドラムスクリーン本体114の回転数が安定するという利点も得られる。
【0086】
また、ドラムスクリーン本体114、油圧モータ116、電動油圧ポンプユニット117および油圧管122は、第1ユニット110内に一体に設けられているため、ドラムスクリーン本体114の清掃、メンテナンス等の際には、油圧管122を分解することなく、第1ユニット110を第2ユニット150およびタンク5に対して上方へ抜き出すだけでよい。油圧管122を分解する必要をなくしたことで、油圧管122内の油を外に漏らして、環境を汚染してしまう心配もない。
【0087】
また、ドラムスクリーンユニット100の第2ユニット150内に、水中ポンプ154、水位検知用電極155,156が一体に含まれているため、ドラムスクリーン本体114の清掃、メンテナンス等のために、第2ユニット150から第1ユニット110(ドラムスクリーン本体114)を取り外す際に、上記水位検知用電極155,156の信号線155a,156aや水中ポンプ154の電源線154b、水中ポンプ154に接続されている汚水導出管159および汚水還流管76等の取り外し作業を要しない。
【0088】
また、蓋板113には、ドラムスクリーン本体114の点検用の開閉扉112が設けられているので、この開閉扉112を開けることで、第1および第2ユニット110,150を汚泥槽8内に設置したまま、ドラムスクリーン本体114を見ながらの点検清掃等を行うことができる。これにより、メンテナンス性が向上する。
【0089】
また、汚泥水案内部153内では、汚泥水が下から上に向かって流れるので、内部に汚泥が堆積し難く、堆積汚泥の清掃の手間が省かれる。
【0090】
以上説明したように汚泥濃縮車1によれば、タンク5内に溶射等の表面処理を容易に行うことができ、また、ドラムスクリーンの清掃、メンテナンスにおける作業負担の軽減が図られる。
【0091】
[他の実施形態]
既述の実施形態ではドラムスクリーンユニット100は、図示するように、その長手方向が車両前後方向に向かって設置されているが、その長手方向を車幅方向に向けてドラムスクリーンユニット100を汚泥槽8内に設置してもよい。ドラムスクリーンユニット100をこのように設置することで、タンク5における隔壁6の設置位置を後方に移動することが可能となる。その結果、汚泥槽8の容量は小さくなるものの、反応槽7の容量を拡大(例えば、7人槽サイズから10人槽サイズに拡大)できるので、10人槽サイズの中間水を一気に反応槽7に吸引することができ、10人槽サイズの浄化槽における、凝集反応処理に関する作業時間を短縮することができる。
【0092】
また、既述の実施形態では、ドラムスクリーンユニット100は、断面円形の汚泥槽8(断面円形のタンク5)の最高位置に設置されているが、図12に示すように、ドラムスクリーンユニット100を汚泥槽8(タンク5)の最高位置より側方へ偏った比較的低い位置(例えば、汚泥槽8の最高位置と側部との間)に設置してもよい。
【0093】
車両の全高Hは、車両制限令で定められる全高制限値(3.8m)内に収める必要があり、図12の2点鎖線で示すように、ドラムスクリーンユニット100が汚泥槽8(タンク5)の最高位置に設置されていれば、ドラムスクリーンユニット100のタンク表面5aからの露出部が全高Hを左右し、汚泥槽8(タンク5)の直径を大きくすることが困難となる。しかし、同図の実線で示すように、ドラムスクリーンユニット100が汚泥槽8の最高位置よりも側方に偏った位置に設置されている場合(但し、この汚泥濃縮車1にホースリール9は設置されていないものとする。)には、汚泥槽8(タンク5)の頂部を最高位置として、タンク5の容量を大きくすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、浄化槽等から汚泥水を取り込んで、汚泥と汚水とに分離するドラムスクリーンを備えた汚泥濃縮装置、およびこの汚泥濃縮装置を搭載した汚泥濃縮車に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 汚泥濃縮車
8 汚泥槽
20 汚泥濃縮装置
23 汚泥槽の上部の開口
75 第2汚泥水供給管(汚泥水供給管)
100 ドラムスクリーンユニット
110 第1ユニット
112 開閉扉
113 蓋板
114 ドラムスクリーン本体
114a 汚泥水受入部
116 油圧モータ
117 電動油圧ポンプユニット
150 第2ユニット
151 水容器
152 汚泥水供給口
153 汚泥水案内部
153a 扇状部
153c 汚泥水吐出口
154 水中ポンプ(ポンプ)
154b 電源線(電源ライン)
155,156 水位検知用電極(水位センサ)
159 汚水導出管(汚水導出路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を蓄積するための汚泥槽と、前記汚泥槽内に同槽の開口から上方へ一体に取り出し可能に設置されたドラムスクリーンユニットと、汚泥槽外から汚泥槽内に亘って設けられた汚泥水供給管と、を備える汚泥濃縮装置であって、
前記ドラムスクリーンユニットは、
前記汚泥水供給管に着脱可能に接続される汚泥水供給口と、
前記汚泥水供給口から汚泥水案内部を通じて供給される汚泥水を濾過して汚泥と汚水とに分離するドラムスクリーン本体と、
前記ドラムスクリーン本体を回転駆動するモータと、
前記ドラムスクリーン本体によって分離された汚水を受け止める水容器と、
を備えることを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項2】
請求項1に記載の汚泥濃縮装置において、
前記ドラムスクリーンユニットは、
前記ドラムスクリーン本体および前記モータを一体に有する第1ユニットと、
前記汚泥水供給口、前記汚泥水案内部および前記水容器を一体に有し、第1ユニットの下に連結される第2ユニットと、
を備えることを特徴とする汚泥濃縮装置
【請求項3】
請求項2に記載の汚泥濃縮装置において、
前記ドラムスクリーンユニットの第2ユニットは、
前記水容器内の汚水を前記汚泥槽の前記開口を通じて汚泥槽外へ導出する汚水導出路と、前記水容器内の汚水を前記汚水導出路内に送給するポンプと、
をさらに備えることを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項4】
請求項3に記載の汚泥濃縮装置において、
前記ドラムスクリーンユニットの第2ユニットは、
前記水容器内の汚水水位を検出するための水位センサと、前記ポンプの電源ラインと、
をさらに備えることを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載の汚泥濃縮装置において、
前記ドラムスクリーンユニットの第1ユニットは、
前記汚泥槽の前記開口を塞ぐとともに、前記ドラムスクリーン本体を下方に支持する蓋板をさらに備え、
前記蓋板に、ドラムスクリーン本体の点検用の開閉扉が設けられたことを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項6】
請求項2に記載の汚泥濃縮装置において、
前記ドラムスクリーンユニットの第1ユニットの前記モータは、油圧モータであり、
この油圧モータに作動油を供給する電動油圧ポンプユニットをさらに備えることを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項7】
請求項5に記載の汚泥濃縮装置において、
前記ドラムスクリーンユニットの第1ユニットの前記モータは、油圧モータであり、
この油圧モータに作動油を供給する、前記蓋板上に設置された電動油圧ポンプユニットをさらに備えることを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の汚泥濃縮装置において、
前記汚泥水案内部は、下から上に向かって略扇状に汚泥水の流路を拡幅する扇状部と、この扇状部において又はこの扇上部より上方において前記ドラムスクリーン本体の汚泥水受入部に臨むように水平方向へ開口した汚泥水吐出口と、
を有することを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の汚泥濃縮装置を備えることを特徴とする汚泥濃縮車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−162467(P2010−162467A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5905(P2009−5905)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】