説明

汚泥物の浄化方法

本発明は、廃液原水を固液分離装置を経て一次ろ過装置によって固体物状と液状物に分離し、得られた被液状処理物をオゾン処理及び特殊光線処理を含む工程によって処理することを特徴とする汚泥物の浄化方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は汚泥物の浄化方法に関し、例えば豚舎、牛舎、鶏舎等の洗浄水或いは屠殺場洗浄排水または食品加工から出る排水の浄化方法及び装置に関する。
【背景技術】
我が国において、ここ10年位前から地下水の汚染が非常にひどくなってきている。また、河川の汚染も進んできている。一部有志団体による河川環境改善の運動により汚染した河川が改善されてきている地域も少し出て来ているが思うように進んでいないのが現状である。
特に地下水の汚染問題が深刻な状況である。地下水に窒素分が浸透して自然分解し硝酸性窒素となり、その地下水を我々は生活水として使用している。
硝酸性窒素が人間の体内にはいると、亜硝酸性窒素へと自然分解して人の血液内に入り込み血液中のヘモグロビンの運動の障害になって人間に酸素不足を起こしたり、また、発ガン性物質を生み出したりしている。W.H.O(世界保健機構)では10mgNO−N/L以下という基準値を定めている。また、日本の基準も、W.H.Oと同じ基準値を設定しているが日本全国各地の地下水はこの数値を超えている地域が可成りある。地下汚染の一番の原因は農業関係にあると思われる。
今の日本農業は窒素過多になっている。農業関係の中でも家畜の糞尿処理が一番問題になっている。この地下水汚染の改善は我々生活の基本的な問題であるから解決策を一日も早く開発することが急務であると考えられている。
現在の家畜の糞尿処理方法として地下浸透方式、生物処理及び浸透膜方式が主流である。地下浸透方式は垂れ流しと同じで地下水汚染の一番の原因である。生物処理においては年間を通して処理菌が動かないことが多い。また、最終的に尿の色が抜けない。特に家畜業者の人々は家畜の伝染病の予防のため飼料に薬を投入して餌として与えている。伝染病予防のため家畜舎の洗浄に際しては消毒薬を使用して洗浄している。化学薬品関係が糞尿に混入するので生物処理方法は解決策になっていない。浸透膜方式は処理能力が低くランニングコストが高くつくのでこの方法を取り入れることは不可能である。最終的には糞尿、畜舎洗浄水はたれ流しが現状である。
食品加工工場においても廃液処理については問題がある。例えば、コーヒーを製造するときに発生する、コーヒーカスの廃液、製造済のコーヒー、特に缶コーヒーの賞味期限が切れているものの処理については未解決の状態である。殊に賞味期限が切れているコーヒー中には、砂糖分、酸化防止剤、香料等が含まれており、これらの処理ができていない。同様に、お茶、紅茶、コーラなども処理ができずに困っている。更に、決定的に解決策がないのが焼酎廃液である。又、日本酒の廃液も同等である。これらのあるものについては屠殺場の廃液処理と同様に浄化槽方式をとっているが、これらの処理方法は飽和状態で処理できないのが現状である。
【発明の開示】
地下水汚染の一番の原因である家畜の糞尿を含んだ畜舎の洗浄排水、食品加工から出る廃液を、化学薬品を一切使用せずまた生物処理をせず、物理的方法、しかも設備費、処理コストを安くできる浄化技術を提供するものである。
本発明の要旨は、廃液、原液を固液分離装置を経て一次濾過装置によって固体状物と液状物に分離し、得られた被液状処理物をオゾン処理及び特殊光線処理を含む行程によって処理することを特徴とする汚泥物の浄化処理方法である。
【図面の簡単な説明】
図1及び図2は本発明に基づいた豚舎の糞尿処理についての説明図である。図3及び図4はオゾン処理装置の説明図、図5は光線処理チャンバーの説明図であり、(a)は縦型チャンバー、(b)は横型チャンバーである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明について詳細に述べる。
本発明における廃液、原液とは、汚泥、汚濁の元凶となる液体を言うのであって、具体的に例示すると、畜舎の洗浄排水や家畜の尿、食品加工からでる廃液、或いは屠殺場における廃液等である。或いは賞味期限切れのコーヒ廃液、焼酎廃液、日本酒廃液その他あらゆる飲料水廃液である。本発明はこのような廃液原液を許容される環境基準値までに浄化する方法である。
本発明においては固液分離装置によって固形物と液体とに分け、分離された固形物は有機肥料若しくは土壌改良材として利用する。
液体に対してオゾン処理を行う。オゾン条件としては、常温下、廃液、原液に対してオゾンを3.0Nm/Hの割合で投入する。投入するオゾン流量はタンクの形、大きさ等によって変える事も可である。例えば1.2Nm/H、1.5Nm/H〜8.0Nm/H若しくは0.30Nm/H〜0.90Nm/Hで反応させる。オゾン反応の効率を高めるため反応タンクの形を原液が対流しやすい形なっている。また、反応タンクの下部からオゾンを投入するのだが反応効率を上げるためオゾン投入口のオゾンパイプのオゾン吐出口は星型に加工されている。この星型加工によってオゾン粒子が微粒子化され原水の粒子と粒子の間に入りこみオゾン反応が早く効果が出るのである。この時のオゾン処理時間は処理する原水の量によって異なるが、30分〜90分で可能である。
オゾン処理を施した廃液、原液に特殊光線を照射する。特殊光線は発生源のパワーによって多少異なるが、165nm〜225nmの紫外線若しくは225nm〜350nmの近紫外線の照射を実施する。照射時間としては廃液、原液の種類によって異なるが、60分〜90分程度である。これによって原水中に含まれている雑菌類が死滅し原水の色素が破壊される。
オゾン処理と特殊光線処理とはいずれを先に行ってもよく、また、オゾン処理と特殊光線処理を繰り返し行っても良い。光線照射方法として原尿水をミスト状または霧状にて散布する。或いは濡れ壁方式でも良い。特殊に加工された光線処理タンクの下部より原水尿を入れ40L/分の流水にて逆うず巻き方式を取り入れ上部へ流し反応、照射することも可能である。又、特殊加工された反応タンクを使用することによってオゾン処理と光線処理を同時に行っても良い。
オゾン処理及び特殊光線照射を行って生じた分解物や抽出物を除去するために濾過装置を通過させる。濾過剤としては活性炭、白土、ゼオライト、砂等何れも使用可能である。
以上の行程をフローシートとして表1に示し、さらに詳細に説明する。
【表1】

1.固形物の含有する液体(廃液)を導入する
2.先ず、上記液体を固液に分離する。分離方法として遠心分離器・スクリーン方式・比重差方式いずれも可能である。分離器では100%の分離が不可能であるから分離後の液体(廃液)をろ過する。ろ過方法として、フィルタープレス、スクリュープレス、自然ろ過、吸引方式、真空引き方式、等いずれも可である。固体部は土壌改良材として利用する。
3.固形分分離後の液体(廃液)を処理タンクへ移送する。処理タンク下部側に特殊に加工された液体・オゾンガス混合装置を通過することによって、液体の超微粒子化、及びオゾンガス超微粒子化を計る。(図3参照)
オゾン反応による分解及び次工程で分解しやすい状態にする。反応中にタンク上部に設けられた攪拌機によって攪拌する。攪拌の回転数は150回転/分〜300回転/分位が反応効率が良い。
4.処理タンクの終了した液体(廃液)を光線処理装置(チャンバー)へ移送する。光線処理装置は縦型と横型とあり、処理する箇所によって縦型・横型の使用しやすい方を取り入れることも可能である(図5参照)。本装置の内部は入り口から出口まで50ピッチの螺旋状の液案内板を設け処理する液体(廃液)が回転しながら排出される。チャンバーの内部に光線ランプを使用する。使用する光線ランプは処理する液体(廃液)の量により本数を増減する。例えば、10t/日の場合が12本、20t/日21本・・・少量から多量まで対応できる。液体(廃液)は回転しながら光線波長により分解し無害化し排出口より排出される。
5.光線処理の終了した液体(廃液)のろ過を行う。ろ過の方法として、フィルタープレス、吸引式、スクリュープレス、自然ろ過、真空引き等いずれも可である。
使用するろ材としては、活性炭、活性白土、酸性白土、ゼオライト、ケイソウ土いずれも化である。
6.これらの工程を全て終了すると「水質汚泥防止法」に基づき全てをクリアし、排水が可能になる。又、処理後の液体(廃液)は工場などの洗浄水として使用可能である。
【実施例】
実施例として図1及び図2に示した豚舎の糞尿処理について説明する。この実施例はオゾン処理と光線処理を同時に実施したものである。(なお、図1のパイプの端部a,b,c及びdは図2のa,b,c及びdに接続する。)
(1)原尿槽
豚舎の糞尿及び豚舎洗浄水を地下タンクである原尿槽(1)に集める。ここに集まった原尿水をポンプアップして固液分離機(2)へ移送する。
(2)固液分離装置
貯蔵地下タンクより送られて来た原水を超高速回転する固液分離機(2)で固体部と液体部とに分離する。固体部については排出口(2−1)より排出し、別工程において窒素分の少ない土壌改良材として回収する。液体部は排出口(2−2)より排出しタンクNo.1(3)に移送する。
(3)タンクNo.1
タンクNo.1のタンク(3)は固液分離後の液体部をため込むためのタンクである。
(4)濾過装置No.1
固液分離装置(2)で分離できなかった小さい固形物を除去することを目的として濾過装置No.1(4)を通過させる。この濾過装置No.1(4)で使用した濾過剤はゼオライトである。
(5)タンクNo.2
濾過装置No.1を通過後、原尿水は貯蔵タンクNo.2(5)で回収される。
(6)一次処理装置
貯蔵タンクNo.2(5)で回収された原尿水は一次処理装置(6)に送られる。一次処理装置はオゾン処理と特殊光線照射処理を同時に行う。この一次処理装置(6)は2槽の反応タンクからなり、タンクの下部3/1位のところから最下部まで35°の角度に加工しオゾン反応効果率を高めている。タンクNo.2より移送された原尿水を2槽に満タンにする。オゾン投入と同時に光線照射を行う。効果を高めるため原尿水を攪拌する。攪拌機は、その先端に鋸状に細工されたプロペラ又はワイヤブラシを有し、これで原尿水の粒子を微粒子化する。オゾン処理については反応タンク最下部にオゾン吐出口があり、オゾン吐出口は星型に加工された穴より超微粒子化されたオゾンが攪拌によって超微粒子化された原尿水と混合し反応が促進されるのである。
この工程の目的は原尿水の60%〜70%を浄化することを目的としている。
(7)濾過装置No.2(この工程以降は図2に示す。)
一次処理装置が終了した原尿水を濾過装置No.2(7)に移流する。一次処理によって分離及び抽出された不純物(例えば窒素分、リン分、色素粒子等)を除去する。使用した濾過材は活性炭の微粒粉末であった。その他使用する濾過材として白土、ゼオライトの焼成したものも使用可能である。
(8)二次処理装置
濾過装置No.2を通過した原尿水(7)を二次処理装置(8)へ移流する。この装置の反応タンクの形は一次処理装置と同じである。一次処理にて未処理分30%〜40%を処理する事を目的としている。又、処理方法も一次処理と同じである。この工程の処理時間は60分である。
一次処理と二次処理との処理工程は全く同じであるが、一次処理で二次処理分まで処理すると処理時間が6時間以上の差があり浄化率のあまり良くない。一次処理と二次処理とを分けることによって確実に反応を促進するためと処理時間及び処理能力を上げることが出来る。
(9)濾過装置No.3
二次処理が終了した原尿水を濾過装置No.3(9)で濾過する。ここでは二次処理で分解及び抽出した不純物を除去する。使用した濾過材は濾材使用量全量の50%の、微粉末活性炭と焼成ゼオライト50%である。その他、白土等も使用可能である。
(10)タンクNo.3
濾過装置No.3(9)を通過した原尿水を貯蔵するタンク(10)である。このタンクの処理水は環境基準をクリアした清水であるので河川に放流することも可能であるがこの処理水を豚舎の洗浄水に再利用するのである。
図面中(11)はオゾン発生装置、(12)は酸素発生装置である。オゾン発生装置により発生したオゾンは一次処理装置、二次処理装置に供給される。また、(13)は特殊光線装置であって、ここで発生した光線で一次処理装置及び二次処理装置内の原尿水を照射する。
以上の処理を行った結果を表2に示す。
【表2】

次に本発明で使用するオゾン処理装置の1例について図3で述べる。図3に示すようにタンク31の内部中央に攪拌装置35を備え、被処理物はタンク下部より例えば光線処理装置よりパイプ33を経て導入され、タンク頂部頂部に導かれる。オゾン発生装置よりパイプ32で導かれたオゾンはタンク下部より導入され、前記の被処理物と向流方式によって接触、処理され、処理された処理物はパイプ34により次の二次処理装置に導かれる。
図4は本発明で使用するオゾン処理装置の他の例で、図aは外観正面図、図bはその側面図ある。円筒状の横型タンクの一端に設けた導入口41より被処理物が導入され、タンク内をスパイラル状に他端に向かって流れる。他端の中央にオゾン導入口42があり、ここよりオゾンが導入され、被処理物と接触し、処理物43がタンク中央の排出口44より排出される。
図5は光線処理チャンバーの説明図であり、(a)は縦型チャンバー、(b)は横型チャンバーである。図5に示すようにチャンバー内部は光線ランプ51を並列に並べ、各光線ランプの間にはラセン状に案内板53を設ける。被処理液は入口52より案内板53に沿って光線ランプ51に照射されながら処理液出口54より排出され、次工程に向かう。
【産業上の利用可能性】
以上述べたように、本発明は化学薬品を一切使用することないので、二次的廃棄物を生じることなく、また、生物処理をせずオゾン処理と特殊光線処理という物理的処理によって浄化するのであって、設備費、処理コスト等安くすることが出来る。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液、原液を固液分離装置を経て一次濾過装置によって固体状物と液状物に分離し、得られた液状処理物をオゾン処理及び特殊光線処理を含む行程によって処理することを特徴とする汚泥物の浄化方法。
【請求項2】
特殊光線が紫外線〜近紫外線の範囲の波長を有する光線である請求の範囲1記載の汚泥物の浄化方法。
【請求項3】
廃液、原液が豚舎、牛舎、鶏舎等の洗浄水或いは屠殺場洗浄排水またはコーヒー、酒、焼酎などの食品加工品の賞味期間切れの液体の何れかである請求項1又は2に記載の汚泥物の浄化方法。
【請求項4】
固液分離装置を経て一次濾過装置によって得られた固体状物を土壌改良材として使用することを特徴とする請求項1又は2乃至3の何れかの項に記載の汚泥物の浄化方法。

【国際公開番号】WO2005/080275
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510299(P2006−510299)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002962
【国際出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(593217340)
【Fターム(参考)】