説明

汚濁排水の凝集分離浄化剤及び浄化方法

【課題】本発明は、顕著な経済効果をもたらすとともに、併せて環境リスクの低減をも図ることができる汚濁排水の凝集分離浄化剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤は、無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部が配合されている凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行う構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚濁排水の凝集分離浄化剤及び浄化方法に関し、詳しくは、汚濁排水中に溶存している有害物質、特には重金属等第二種特定有害物質による汚濁物質と浮遊懸濁物質(SS)とを同時に吸着、或いは収着し、凝集分離するとともに、凝集汚泥の性状を変換し重金属類やハロゲン物質等も再溶出することのない極めて安定した固形物として分離することができる凝集分離浄化剤及び浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無機系・有機系を問わず汚濁排水の処理は、当該汚濁排水に無機系又は有機系の凝集剤を添加し、汚濁排水中の浮遊懸濁物質(SS)を凝集分離し、所定の水質基準を満たすよう調整(例えば、水素イオン濃度pH、色度、透視度等)して放流され、分離汚泥は脱水して固形化し、更には必要に応じて重金属類等は別途不溶出化処理等をして廃棄されている。
【0003】
当該汚濁排水処理に使用される従来の凝集剤は分類上無機系と有機系に大別される。無機系凝集剤はアルミニウム塩が主体で汚濁物の分離機能はあるが、有機系に比べ凝集力が弱く形成されるフロックも小さいため沈降性が悪い(遅い)ため浄化処理に長時間かかる。また、当該アルミニウム塩は塩化物や硫酸塩のため水に溶けて酸性を呈するので放水時に中和処理を要する。一方、有機系凝集剤は一般的に電荷を持った鎖状高分子が用いられ、これらは帯電懸濁粒子の電荷中和作用に加えて架橋吸着作用を併せ持つことにより大きなフロックが形成されるが、無機系に比べ処理水及び沈降フロックともに粘性が強く脱水効率が劣り、処理水のpH調整をするために別途調整機器と薬剤費かかる。また、汚濁水の種類によってはフロックが中間点に浮遊して完全に水と分離しない現象が生じ、そのまま放水できない状態になる場合がある。更に使用量が適正値を超えるとフロックが過大となり内部に水分を抱き込むため回収汚泥の含水比も高くなり非効率となる。また、生分解性が低いので環境汚染の恐れも生じる。
【0004】
当該汚濁廃水処理に使用されている従来の凝集剤は、排水中の浮遊懸濁物質(SS)を有効に凝集させることが主目的となっている。従って、当該汚濁排水中に溶存している金属やハロゲン物質等の一部は、凝集時に浮遊懸濁物質(SS)に取り込まれた状態で分離沈降するとはいえ水溶性物質を除去するには不十分で、特に法令で非常に厳しい基準値が定められている特定化学物質である重金属やフッ素に関しては不可能というのが現状である。更に従来の凝集剤自体には前記特定化学物質を捕捉固定する機能は備えていないので分離したフロックが廃棄された場合、再溶出して土壌を汚染する大きな要因となる。
【0005】
上記現状に鑑み、本出願人はこの課題を解決すべく鋭意検討し、金属類(重金属類を含む)の固定と不溶化及び自然土壌に近似した土質への変換を目的とした特許文献1に係る無機系泥質変換凝集剤を開示した。
しかしながら、この技術も水溶性から不溶性物質への変換機能と、当該不溶性物質を捕捉固定するための凝集力及び形成フロックの大きさ、強靭さの面で十分ではなく、また、フッ素等ハロゲン物質の捕捉固定機能が弱いということで更なる改良が望まれた。
【特許文献1】特開2004−8903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、広範囲な汚濁排水の浄化に際して、凝集処理時に煩雑なpH調整工程を要さずとも、適正な大きさと強さを持ち且つ短時間で沈降するフロックを形成し、処理水及びフロックともに弱粘性で脱水効率が上がり、更に当該フロックの含水比を下げることで顕著な経済効果をもたらすとともに、併せて環境リスクの低減をも図ることができる汚濁排水の凝集分離浄化剤及び浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤は、無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部が配合されていることを最も主要な特徴とするものである。
また、請求項2記載の発明に係る汚濁排水の浄化方法は、請求項1記載の発明に係る凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とするものである。
【0008】
更に、請求項3記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤は、無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物7〜30重量部とが配合されていることを特徴とするものである。
また、請求項5記載の発明に係る汚濁排水の浄化方法は、請求項3記載の発明に係る凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤及び請求項5記載の発明に係る汚濁排水の浄化方法において、前記アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物は、請求項4又は請求項6記載の発明のように、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムの群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項7記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤は、無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のエチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及びアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、チオ硫酸ナトリウム及び/又は硫酸第一鉄2〜60重量部とが配合されていることを特徴とするものである。
また、請求項8記載の発明に係る汚濁排水の浄化方法は、請求項7記載の発明に係る凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とするものである。
【0011】
請求項9記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤は、無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、合成ハイドロタルサイト50〜1500重量部とが配合されていることを特徴とするものである。
また、請求項11記載の発明に係る汚濁排水の浄化方法は、請求項9記載の発明に係る凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とするものである。
【0012】
請求項9記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤及び請求項11記載の発明に係る汚濁排水の浄化方法において、前記合成ハイドロタルサイトは、請求項10又は請求項12記載の発明のように、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oで示される塩基性炭酸塩であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
上述した請求項1記載の発明に係る無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分と前記必須成分とを配合した構成からなる汚濁排水の凝集分離浄化剤を使用し、この凝集分離浄化剤を請求項2記載の発明のように汚濁排水に添加し、撹拌することにより、汚濁排水が酸性又はアルカリ性(pH4〜10の範囲)であっても、極めて迅速に汚濁物質(溶存物質も含む)を物理的・化学的に凝集分離・沈降して、清浄且つ中性の処理水が得られ、しかも凝集分離・沈降した汚泥は極めて安定な難溶性の物質に変換され、粘性が無く脱水性の優れた性状となる。
【0014】
前記請求項3及び請求項4記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤を使用し、この凝集分離浄化剤を請求項5及び請求項6記載の発明のように汚濁排水に添加し、撹拌することにより、汚濁排水中の遊離酸性物質の中和と凝集性能が高く、酸性度の強い汚濁排水にも対応できる。
【0015】
請求項7記載の発明の汚濁排水の凝集分離浄化剤を使用し、この凝集分離浄化剤を請求項8記載の発明のように汚濁排水に添加し、撹拌することにより、汚濁排水中の懸濁物質のみならず溶存する重金属類等をも化学的に捕捉し不溶性物質に変換すると同時に強い凝集作用により速やかに分離・沈降するので、上澄み水は連続的に放流することが可能となる。また、分離、脱水した汚泥(フロック)は極めて安定で土壌汚染対策法施行規則に定める基準値の対象物質である第二種特定有害物質(重金属等)の再溶出による環境汚染も防止できる。
【0016】
請求項9及び請求項10記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤を使用し、この凝集分離浄化剤を請求項11及び請求項12記載の発明のように汚濁排水に添加し、撹拌することにより、工場排水等の汚濁排水中に水溶性のフッ化水素酸等のハロゲン化物が溶存している場合において、中和剤を使わずとも化学的、物理的に捕捉し不溶性物質に変換させることができる。そして、これら不溶性物質は短時間で凝集・分離・沈降する。一方、消石灰等の中和剤によってフッ化カルシウム等に変換された懸濁物質が共存する場合においても、当該発明の強い凝集作用により速やかに分離沈降するので、上澄み水を放流することが可能になる。また、沈降、脱水後の汚泥(フロック)は極めて安定なのでフッ素等ハロゲン物質が再溶出することはない。
【0017】
以下に本発明について更に詳述する。
本発明に係る凝集分離浄化剤は、無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものが主要成分となり、これに必須成分として、微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物)から成る微粉体とアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物とチオ硫酸ナトリウム及び/又は硫酸第一鉄と合成ハイドロタルサイトとが配合されて構成されている。
【0018】
前記無水石膏を主体とする天然鉱物の汚濁排水に対する作用、効果については以下の通りである。
すなわち、天然鉱物には、多種多様の鉱物性微量元素(ミネラル成分)が含有されているので、当該汚濁排水中に経時的に溶出し、排水中の溶存酸素や解離酸イオンと相乗的に作用して、汚濁物質中の有機物(溶存物質も含む)を還元又は酸化・分解等の反応により水に難溶性の凝固体として分離させる機能がある。また、主体となる無水石膏は、当該汚濁排水中で懸濁しその一部が溶解し、後述する微粉硫酸アルミニウムの解離により生成する酸の中和剤としての機能を発揮すると同時に、凝集・固化反応の助剤としても寄与する。
微粉硫酸アルミニウムは、当該汚濁排水に容易に溶解し、加水分解反応により酸化アルミニウムAl23と硫酸H2SO4に解離する。酸化アルミニウムは更にコロイド状の水酸化アルミニウムAl(OH)3とイオン化した水酸化アルミニウム〔Alm(OH)n+〕からなる重縮合水酸化アルミニウムに転化する。この重縮合水酸化アルミニウムは、当該汚濁排水中の浮遊懸濁物質の粒子間の電位を低下させる。そのために、浮遊懸濁物質(SS)の粒子間のバランスは崩壊し微粒子化されるが、新たに微粒子は整理されて凝集することになる。また、有機金属類の無機化の機能と金属類(重金属類も含む)イオンの収着・固定・分離及び酸化触媒機能があり、これらの機能によって反応は更に促進される。
もう一つの主要成分である石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物は、凝集体の沈降を促進すると同時に中和剤としても働き、微量含まれる酸化鉄は汚濁物質の凝集・固定・変換等のそれぞれの反応における触媒として相乗効果を促す作用がある。
【0019】
本発明に係る凝集分離浄化剤は、前述した主要成分と、後述する必須成分とから構成され、主要成分に対する必須成分の配合比を定めているので、更に説明する。
【0020】
請求項1,3,4,7,9,10記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤の必須成分である微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体は、分類上は高分子系凝集剤に属するが、上記の特定した微粉ポリマー体の組合わせにより、静電気的吸着架橋と水素結合による吸着架橋の両機能を併せ持ち、且つ構成比率(重量比)を変化させることにより汚濁排水が酸性又はアルカリ性であっても対応可能なので煩雑な中和工程を削除でき、前述した主要成分との相乗効果で従来の有機高分子系凝集剤単独使用量の10分の1で同等の効果が得られ、分離水及びフロックともに粘性が無いので脱水効率が高く、極めて経済的である。また、これらの有機合成高分子は生分解が低いとされているので使用量の大幅減は環境リスク低減効果もある。
この必須成分は、主要成分100重量部に対し0.5〜15重量部が配合される。この配合比は汚濁排水の種類や濃度により変化させることができるが、0.5重量部未満では、架橋作用が弱くフロックが小さいため沈降速度が遅い。また、15重量部を超えると、フロックが大きくなり過ぎて内部に水を抱え込み廃棄沈澱物の量が増大し、分離水及びフロックともに粘性が高くなって脱水効率が極端に下がってしまう。
【0021】
請求項3,4記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤の必須成分であるアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物は、汚濁水中の遊離酸性物質、ハロゲン化水素、解離して酸性を示す懸濁物質及び溶解性物質と反応して中性化する機能を持つ。
この必須成分は、主要成分100重量部に対し、7〜30重量部が配合される。この配合比は上述した各種酸性物質による水素イオン濃度によって変化させることができるが、7重量部未満では、主要成分のひとつである水酸化アルミニウムの解離により生成する硫酸との反応で消費されて中性化機能が弱まってしまう。また、30重量部を超えるとアルカリ性が強くなりすぎて(pH4〜10の範囲から外れて)凝集及びフロックの適正な形成を妨げてしまう。
【0022】
請求項7記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤の必須成分であるチオ硫酸ナトリウム及び/又は硫酸第一鉄は、まずチオ硫酸ナトリウムが溶存重金属類と積極的に反応して不溶性のチオ硫酸金属化合物Na3〔Me(S232〕を形成する機能がある。ちなみに、金属化合物の多くは六価クロムイオンが黄発色するように、各種特有の呈色反応を示すが、硫酸第一鉄を併用することにより、これらの発色を防止することができる。
なお、対象金属が濃発色を呈さない場合には、チオ硫酸ナトリウム単独使用も可能である。
この必須成分は、主要成分100重量部に対し、2〜60重量部が配合される。この配合比は汚濁溶存物質中の重金属類の数値に応じて変化させることができるが、2重量部未満では溶存重金属類の不溶化には不十分である。また、60重量部を超えた場合、チオ硫酸ナトリウムの過剰は遊離硫黄による悪臭等で作業環境を悪化させ、硫酸第一鉄の過剰は処理後の排水が赤味を帯びてきて好ましくない。
【0023】
請求項9,10記載の発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤の必須成分である合成ハイドロタルサイトは、構造中に炭酸基を持つことからアニオン交換性があり、特に陰イオン化傾向の強いフッ素や塩素等のハロゲンとは、炭酸基部分が置換される。この反応は希薄濃度でも素早く進み、当該ハイドロタルサイトの構造内に収着され懸濁する。この懸濁物は、本発明の構成成分の凝集機能により他の浮遊懸濁物質とともに速やかに分離沈降させることができる。
この必須成分は、主要成分100重量部に対し、50〜1500重量部が配合される。
この配合比は汚濁溶存物質中のアニオン性物質の数値に応じて変化させることができるが、50重量部未満では溶存アニオン性物質の収着・吸着、不溶化には不十分である。また、1500重量部を超えた場合は、本発明の構成成分の凝集機能に対して過剰となり、浮遊懸濁状態が長時間続き、速やかに分離沈降しないので連続的に上澄み水を放流できず好ましくない。
【0024】
本発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤は、上述したように、天然鉱物(粉末)と、無機系化合物(全て粉末)と、少量の2種類の高分子系凝集剤(いずれも粉末)とが所定の割合で混合されて構成されている。
本発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤により、汚濁排水を浄化する場合、この汚濁排水の凝集分離浄化剤の使用上の条件としては、(1)粉末のまま所定量を転化する。(2)汚濁排水との混合攪拌は、設計された反応(分解、泥質変換、固定、凝集、分離沈降等)をより一層効果的にするために強い攪拌が望ましい。(3)標準添加量は、当該汚濁排水の浮遊 懸濁物質(SS)の5〜10%(但し、対象物質がアオコ、プランクトン等の動植物及びこれらの分解物、界面活性剤、油性物質等の有機物の場合は、この数値の10以上)が目安となる。
【0025】
本発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤を使用した浄化方法における凝集反応は、極めて早く凝集汚泥は攪拌により更に固く高密度化して分離する。凝集分離汚泥は疎水性の極めて安定した汚泥であり、崩壊や再溶解することがない。
また、凝集分離汚泥の脱水性は高く、脱水汚泥の臭気も緩和され、自然土壌に近似した汚泥に変換され、重金属類等の有害物質の再溶出もない。
【0026】
上述したような本発明に係る汚濁排水の凝集分離浄化剤において、必須成分中のアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物を含まない構成とすることも可能である。この場合には、汚濁排水中の遊離酸性物質の中和と凝集反応の点でやや性能が低下するものの上述した汚濁排水の凝集分離浄化剤の場合とほぼ同等の作用を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
広範囲な汚濁排水の浄化に際して、凝集処理時に煩雑なpH調整工程を要さずとも、適正な大きさと強さを持ち且つ短時間で沈降するフロックを形成し、処理水及びフロックともに弱粘性で脱水効率が上がり、更に当該フロックの含水比を下げることで顕著な経済効果をもたらすとともに、併せて環境リスクの低減をも図ることができる汚濁排水の凝集分離浄化剤及び浄化方法を提供するという目的を、無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部が配合されている凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行う構成により実現した。
【実施例】
【0028】
以下に本発明に係る実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
凝集分離浄化剤の調整
無水石膏を主体とする天然鉱物55重量%と、石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物12重量%と、微粉硫酸アルミニウム33重量%とを均一に配合し主成分を構成した。
次に、この主成分100重量部に対して、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る(重量比2:1)微粉体3重量部を配合し、均一に混合して本実施例の凝集分離浄化剤を調整した。
また、比較例として使用する凝集分離浄化剤を以下のように調整した。
無水石膏を主体とする天然鉱物55重量%と、石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物12重量%と、微粉硫酸アルミニウム33重量%とを均一に配合し主成分を構成した。
次に、この主成分100重量部に対して、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体のみを3重量部配合し、均一に混合した。
上記で調整した2種類(本発明品と比較品)の凝集分離浄化剤を使用して、大雨による珊瑚礁海域への赤土流出汚濁水の浄化処理試験を行った結果を表1に示す。

【表1】

表1に示すように、比較例は本発明に係る実施例と同一添加量では明らかに劣り、浄化処理に時間が掛かり過ぎ、上澄み水も着色しているので、このままでは放流できない。ちなみに、3倍量添加せればそれなりに改善されるがまだ不十分で、さらなる増量は上澄み水と沈降フロックにベタツキ感が生じ、脱水効率の低下とともに薬剤コストが大幅に嵩み経済的にも甚だ不利となる。
【0030】
(実施例2−1)
凝集分離浄化剤の調整
無水石膏を主体とする天然鉱物55重量%と、石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物12重量%と、微粉硫酸アルミニウム33重量%とを均一に配合し主成分を構成した。
次に、この主成分100重量部に対して、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る(重量比2:1)微粉体3重量部と、炭酸ナトリウム22重量部とを配合し、均一に混合して本実施例の凝集分離浄化剤を調整した。
この凝集分離浄化剤を使用して、以下(1)〜(5)の浄化処理試験を行った。
比較例としては、現状の無機系・有機系凝集剤で汚濁排水を処理している実数値を採用した。
【0031】
(1)公園池の浄化試験の結果を表2に示す。

【表2】

表2に示すように、COD、SS、T−N、T−P、濁度のいずれも本実施例の方が比較例よりも大幅に低減している。また、上澄み水も数値が示すようにこのまま放流できるまでになった。
【0032】
(2)防火池の浄化試験の結果を表3に示す。

【表3】

表3に示すように、COD、SS、T−N、T−P、濁度のいずれの項目についても本実施例の方が大幅に改善されている。
【0033】
(3)トンネル工事濁水の浄化試験の結果を表4に示す。

【表4】

表4に示すように、COD、SS、n−H、Pb、透視度のいずれの項目についても本実施例の方が大幅に改善されている。
【0034】
(4)航空機洗浄汚濁排水の浄化試験の結果を表5に示す。

【表5】

表5に示すように、COD、C65OH、T−N、T−P、色・透明性のいずれの項目についても本実施例の方が大幅に改善されている。
【0035】
(5)下水処理場の第一沈殿池出口排水の浄化試験の結果を表6に、凝集汚泥の脱水試験の結果を表7に示す。

【表6】

表6に示すように、COD、BOD、SS、NH4−N、T−P、透明度のいずれの項目についても本実施例の方が大幅に改善されている。

【表7】

表7に示すように、脱水効率を高める上で重要な汚泥濃度、凝集汚泥の形状、脱水汚泥含水率、脱水汚泥の形状のいずれの項目についても本実施例の方が大幅に改善されている。
【0036】
(実施例2−2)
凝集分離浄化剤の調整
無水石膏を主体とする天然鉱物55重量%と、石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物11重量%と、微粉硫酸アルミニウム34重量%とを均一に配合し主成分を構成した。
次に、この主成分100重量部に対して、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る(重量比1:6)微粉体14重量部と、炭酸ナトリウム22重量部とを配合し、均一に混合して本実施例の凝集分離浄化剤を調整した。
この凝集分離浄化剤を使用して、杭工事等で発生する建設汚泥(ベントナイト排水)の凝集分離浄化処理試験を行った結果を表8に示す。
比較例としては、現状の無機系・有機系凝集剤を採用した。

【表8】

表8に示すように、本実施例では、短時間で凝集分離沈降し、上澄み水は無色透明で粘度も無いので放流又は工事用水として再利用できる。比較例は実施例の2倍量添加しても凝集分離沈降しないので、その後の処理ができない。
【0037】
(実施例3)
凝集分離浄化剤の調整
無水石膏を主体とする天然鉱物53重量%と、石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物12重量%と、微粉硫酸アルミニウム35重量%とを均一に配合し主成分を構成した。
次に、この主成分100重量部に対して、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る(重量比1:1)微粉体9重量部と、炭酸ナトリウム21重量部と、チオ硫酸ナトリウム44重量部と、硫酸第一鉄43重量部とを配合し、均一に混合して本実施例の凝集分離浄化剤を調整した。
この凝集分離浄化剤を使用して、以下(1)〜(2)の(有害物質高含有)工場排水浄化処理試験を行った。
比較例としては、本発明の実施例1で調整した凝集分離浄化剤を採用した。
(1)事務機器製造工場メッキラインの含有六価クロム排水の浄化試験の結果を表9及び表10に示す。

【表9】


【表10】

表9、表10に示すように、本実施例では六価クロムの溶出量は土壌溶出量及び地下水基準0.05mg/l以下に低減され、上澄み水外観も無色透明、pHも中性域内なので、そのまま放流又は工業用水として再利用できる。
【0038】
(2)半導体製造工場排水の浄化試験の結果を表11及び表12に示す。

【表11】


【表12】

表11、表12に示すように、本実施例では、フッ素の溶出量は排水基準15mg/l以下に低減され、上澄み水外観も無色透明、pHも中性域内なので、そのまま放流又は工業用水として再利用できる。
【0039】
実施例4
凝集分離浄化剤の調整
無水石膏を主体とする天然鉱物55重量%と、石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物12重量%と、微粉硫酸アルミニウム33重量%とを均一に配合し主成分を構成した。
次に、この主成分100重量部に対して、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る(重量比1:1)微粉体2重量部と、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oで示される塩基性炭酸塩400重量部とを配合し、均一に混合して本実施例の凝集分離浄化剤を調整した。
この凝集分離浄化剤を使用して、半導体製造工場排水の浄化試験を行った結果を表13に示す。
比較例としては、現状の無機系・有機系凝集剤を採用した。

【表13】

表13に示すように、本実施例では、フッ素の溶出量は排水基準15mg/l以下に低減され、上澄み水外観も無色透明、pHも中性域内なので、そのまま放流又は工業用水として再利用できる。
【0040】
以上、種々の汚濁排水について凝集分離浄化試験を実施した試験結果が示すように、本実施例の汚濁排水の凝集分離浄化剤及び浄化方法によれば、汚濁水中の浮遊 懸濁物質(SS)と溶存物質(金属、ハロゲン等の水溶性物質)を同時に吸着、収着、凝集反応により分離除去することができ、更に、分離除去後の汚泥(フロック)の泥質変換は随時その反応も進行し、極めて安定化するために再崩壊することもなく、また、重金属類等の溶出も抑制され、従来の凝集剤にはみられない効果が証明されている。
【0041】
また、本実施例の凝集分離浄化剤及び浄化方法は、原則として粉末のまま汚濁排水(又は汚濁廃水)に添加し、極めて短時間の攪拌で容易に汚濁物質は疎水化されて凝集し分離する。従って、分離汚泥の脱水性は大幅に改善される。
これに対して、従来の凝集剤の場合は予め水に溶かして添加するために溶解設備が必要となり、低温時には溶解度が低下するので、その管理面でも負担が生じる。また、分離汚泥の脱水性は極めて悪く、含水率も高いので効率的でない。
【0042】
本実施例の凝集分離浄化剤及び浄化方法によれば、あらゆる汚濁排水(又は汚濁廃水)の浄化処理が短時間で容易に行え、上澄み水及び脱水後の濾液はそのまま放流でき、沈澱した凝集分離汚泥は泥質変換されて安定した汚泥が得られること、粉末のまま添加するために設備も簡素化できること、臭気等も吸着、収着作用により緩和されること等の極めて優れた諸効能が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部が配合されていることを特徴とする汚濁排水の凝集分離浄化剤。
【請求項2】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部が配合されている凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とする汚濁排水の浄化方法。
【請求項3】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物7〜30重量部とが配合されていることを特徴とする汚濁排水の凝集分離浄化剤。
【請求項4】
前記アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物が、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムの群から選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の汚濁排水の凝集分離浄化剤。
【請求項5】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物7〜30重量部とが配合されている凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とする汚濁排水の浄化方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は水酸化物、酸化物が、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムの群から選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の汚濁排水の浄化方法。
【請求項7】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、チオ硫酸ナトリウム及び/又は硫酸第一鉄2〜60重量部とが配合されていることを特徴とする汚濁排水の凝集分離浄化剤。
【請求項8】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、チオ硫酸ナトリウム及び/又は硫酸第一鉄2〜60重量部とが配合されている凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とする汚濁排水の浄化方法。
【請求項9】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、合成ハイドロタルサイト50〜1500重量部とが配合されていることを特徴とする汚濁排水の凝集分離浄化剤。
【請求項10】
前記合成ハイドロタルサイトが、式Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oで示される塩基性炭酸塩である請求項9記載の汚濁排水の凝集分離浄化剤。
【請求項11】
無水石膏を主体とする天然鉱物に対して石灰石、珪石、酸化鉄、粘土からなるクリンカーに石膏を加えた微粉砕物及び微粉硫酸アルミニウムを配合したものから成る主成分100重量部に対し、必須成分として微粉の2−(メタクリロイルオキシ)−エチルトリメチルアンモニウム=クロリド重合体及び微粉のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム・アクリロイルアミノメチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合物から成る微粉体0.5〜15重量部と、合成ハイドロタルサイト50〜1500重量部とが配合されている凝集分離浄化剤を、汚濁排水に添加し、撹拌して汚濁排水の浄化を行うことを特徴とする汚濁排水の浄化方法。
【請求項12】
前記合成ハイドロタルサイトが、式Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oで示される塩基性炭酸塩である請求項11記載の汚濁排水の浄化方法。

【公開番号】特開2006−205054(P2006−205054A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20339(P2005−20339)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(504391167)ミクニエコシステム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】