決済処理装置、プログラム、および決済処理システム
【課題】決済処理装置への迅速なキー入力を可能とすること。
【解決手段】一実施形態における決済処理装置は、所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報および上記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、上記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて表示する表示手段と、を備えている。
【解決手段】一実施形態における決済処理装置は、所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報および上記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、上記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて表示する表示手段と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品または役務の代金を決済する決済処理装置、同装置のプログラム、および決済処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種商品の販売や役務の提供を行う店舗においては、商品または役務の代金の決済にPOS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等の決済処理装置が使用されている。
【0003】
決済処理装置は、各種入力キーが配設されたキーボード、ディスプレイに設けられたタッチパネル、バーコードスキャナ等のキー入力手段を備えており、これらキー入力手段の操作によって入力されるキーに従って決済に関わる処理を進行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−84072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
決済処理装置は、上記のような限られたキー入力手段からのキー入力で様々な機能を実現しなければならず、ある処理を完結させるまでのキー入力順序が細かく定められていることが多い。
【0006】
そのため操作ミスが発生し易く、処理が遅延したり、操作者にストレスを与えたりするなどの種々の不具合が生じていた。
【0007】
このような事情により、決済処理装置への迅速なキー入力を可能とするための手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態における決済処理装置は、所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報および上記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、上記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて表示する表示手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における決済処理用の画面の一例を示す図。
【図3】同実施形態におけるキー手順テーブルのデータ構造例を示す図。
【図4】同実施形態における初期化処理のフローチャート。
【図5】同実施形態における候補データテーブルのデータ構造例を示す図。
【図6】同実施形態における候補表示処理のフローチャート。
【図7】同実施形態においてデータが書き込まれた候補データテーブルを示す図。
【図8】同実施形態において入力キーを表す情報が配置された決済処理用の画面を示す図。
【図9】同実施形態における決済処理のフローチャート。
【図10】同実施形態における頻度学習処理のフローチャート。
【図11】変形例における決済処理システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について説明する。
なお、本実施形態においては、決済処理装置の一例として、小売店にて使用されるPOS端末1を例示する。
【0011】
[POS端末]
図1は、本実施形態におけるPOS端末1の要部構成を示すブロック図である。
POS端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10を備えている。このCPU10には、メモリ11、通信I/F(Interface)12、スキャナI/F13、キーボードコントローラ14、ディスプレイコントローラ15,16、およびプリンタコントローラ17等が、アドレスバスやデータバス等で構成されるバスライン18を介して接続されている。
【0012】
さらに、通信I/F12に店舗内のLAN(Local Area Network)回線等の通信回線20が接続され、スキャナI/F13にバーコードスキャナ21が接続され、キーボードコントローラ14にキーボード22が接続され、ディスプレイコントローラ15に店員側ディスプレイ23が接続され、ディスプレイコントローラ16に客側ディスプレイ24が接続され、プリンタコントローラ17にレシートプリンタ25が接続されている。
【0013】
メモリ11は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)で構成され、CPU10が後述の設定処理や決済処理を実現するために実行するコンピュータプログラム、各種固定値等の固定的データ、およびキー手順テーブル30等を記憶している。なお、キー手順テーブル30は、POS端末1がアクセス可能であればメモリ11以外の記憶媒体、例えば外付け記憶媒体や、POS端末1に接続された他の機器が備えるメモリに記憶されていてもよい。
【0014】
通信I/F12は、通信回線20を介して通信接続されたサーバやプリンタ等の各種機器との間でデータを送受信する。
【0015】
バーコードスキャナ21は、商品等に付されたバーコードを光学的に読み取ってPLUコード等のコード情報を生成する。スキャナI/F13は、バーコードスキャナ21が生成したコード情報を取り込み、キーイベント化してCPU10に出力する。
【0016】
キーボード22は、決済処理の開始の指示を入力するPLUキー、小計指示を入力する小計キー、数値入力用のテンキー、および決済処理の締め指示を入力するための締めキー等で構成されており、押下されたキーを示すキー番号を出力する。キーボードコントローラ14は、キーボード22から出力されるキー番号を取り込み、CPU10に出力する。
【0017】
店員側ディスプレイ23は、例えば表示面が店員の立ち位置側に向けられたLCD(Liquid Crystal Display)231と、このLCD231の表示面上に設けられたタッチパネル232とで構成される。ディスプレイコントローラ15は、CPU10からの指令に応じて店員側ディスプレイ23を制御し、LCD231に決済処理用の画面等を表示させる。また、ディスプレイコントローラ15は、タッチパネル232が接触操作された際に出力する信号に基づき、LCD231に表示されたGUIの操作を検知し、CPU10に通知する。
【0018】
上記決済処理用の画面の一例を、図2に示している。図示した画面40は、決済情報表示エリア41、および、画面左下端から右下端に向けて並べられた5つのボタンエリア51〜55を有している。決済情報表示エリア41には、登録済み商品の名称および単価や登録済み商品の単価の合計金額等の決済処理に必要な各種情報、および、特定の商品を登録するプリセットキー等が配置される。ボタンエリア51〜55には、後述の候補表示処理を経て操作候補である入力キーの名称が表示される。上記プリセットキーやボタンエリア51〜55は、タッチパネル232への接触によって操作可能なGUIである。
【0019】
客側ディスプレイ24は、例えば表示面が会計を受ける客の立ち位置側に向けられたLEDディスプレイである。ディスプレイコントローラ16は、客側ディスプレイ24を制御し、1取引にて客が購入する個々の商品の代金、それらを合計した合計代金、および釣銭額等を表示させる。
【0020】
レシートプリンタ25は、例えば感熱紙であるレシート用紙に各種の情報を印刷するサーマルプリンタである。プリンタコントローラ17は、レシートプリンタ25の動作を制御して客が購入した商品等の名称や単価、合計代金、釣銭額等が印刷されたレシートを発行させる。
【0021】
[キー手順テーブル]
キー手順テーブル30のデータ構造について説明する。
図3は、本実施形態におけるキー手順テーブル30のデータ構造例を示す図である。
キー手順テーブル30は、ステージ情報、キー番号、キー名称、および使用頻度からなるデータにて構成されている。
【0022】
キー番号は、キーボード22の各キーの操作や、LCD231に表示されるプリセットキー等の入力キーの操作によるキー入力に対して一意に設定された番号である。なお、バーコードスキャナ21によって読み取られたコード情報の入力もキーイベント化され、キー入力として扱われる。そのため、キー手順テーブル30には、バーコードスキャナ21からのコード情報の入力に対して設定されたキー番号を有するデータも含まれている。
【0023】
ステージ情報は、各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すものである。ここにいう処理状況は、例えばPOS端末1の起動直後の初期化処理が実行されている状態、決済処理を開始して商品登録を受け付けている状態、登録された商品の代金の支払を受け付けている状態などであり、このような処理状況に対して予め「1」「2」・・・のようなステージ情報が割り当てられている。
【0024】
キー名称は、対応するキー番号で示されるキー入力に対して割付けられた機能を示している。ここにいう機能は、例えばキーボード22に設けられた小計キーを操作してのキー入力に対応する機能であれば「小計指示の入力」、LCD231に表示された商品Aを登録するプリセットキーを操作してのキー入力に対応する機能であれば「商品Aの登録」のように、対応するキー入力がなされた際に実行すべき処理を示すものである。
【0025】
使用頻度は、対応するキー番号で示されるキー入力が実行された回数を示し、本実施形態では2桁の数字にて表される。そのため、「99」が使用頻度の最大値となる。
【0026】
[初期化処理]
次に、POS端末1の動作について説明する。
POS端末1に電源が投入され、オペレーティングシステムが起動された直後においては、先ず図4のフローチャートに示す初期化処理が実行される。
【0027】
初期化処理において、CPU10は、メモリ11に候補データテーブル31を作成するとともに(ステップS101)、起動直後のステージ情報を用いて候補表示処理を実行する(ステップS102)。
図5は、上記候補データテーブル31のデータ構造例を示す図である。
候補データテーブル31は、キー番号およびキー名称を記述するためのエリアに昇順のナンバを付して構成されている。ステップS101の処理にて候補データテーブル31が作成された時点においては、各エリアが空欄となる。
【0028】
[候補表示処理]
続いて、上記候補表示処理について説明する。
候補表示処理において、CPU10は、図6のフローチャートに沿って動作する。すなわち、先ずCPU10は、キー手順テーブル30から現在の処理状況を示すステージ情報を含むデータを検索する(ステップS201)。このとき発見されたデータのキー番号で示される入力キーは、現在の処理状況において操作が有効な入力キーである。
【0029】
また、ステップS201の処理においては、例えばキー番号に対してそのキー番号で示されるキー入力がなされた際に移行すべき処理状況を示すステージ情報とを対応付けたテーブルをメモリ11に記憶しておき、直前のキー入力のキー番号をこのテーブルから検索し、発見したキー番号に対応付けられたステージ情報を現在の処理状況を示すものとして上記データの検索に用いる。以降に説明する各処理において使用されるステージ情報も、同様の方法によって特定すればよい。
【0030】
次に、CPU10は、候補データテーブル31にデータが記述されているならばそのデータを一旦削除した上で、ステップS201の処理にて発見した各データに含まれるキー番号およびキー名称を候補データテーブル31に書き込む(ステップS202)。このとき、ステップS201の処理にて発見した各データに含まれる各キー番号およびキー名称は、それらデータに含まれる使用頻度が高いものから順に、候補データテーブル31のナンバ「1」のエリアから書き込む。
【0031】
ただし、ステップS201の処理にて発見した各データにバーコードスキャナ21によるキー入力に相当するものが含まれている場合には、そのデータを候補データテーブル31への書き込み対象から除外する。
【0032】
ステップS202の処理の後、CPU10は、候補データテーブル31に書き込まれたキー名称のうち、ナンバ「1」〜「K」が付されたエリアのキー名称を画面40のボタンエリア51〜55に表示させる(ステップS203)。ここに、Kは1以上の整数であり、その値は予め定められてメモリ11等に記憶されている。以下、本実施形態においてはK=5であるとして説明を継続する。
ステップS203の処理を以って候補表示処理が終了する。
このような流れの候補表示処理を経ると、キー手順テーブル30に記述されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーが表された画面部品(ボタンエリア51〜55)が、キー手順テーブル30に記述されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて店員側ディスプレイ23に表示されることになる。
【0033】
ここで、候補表示処理の具体例を挙げる。
初期化処理での候補表示処理において、ステージ情報が「1」であるとすると、図3に示したキー手順テーブル30からキー番号「10」「21」「34」「6」「9」「14」のデータが発見される(ステップS201)。さらに図7に示すように、これらのデータに含まれるキー番号およびキー名称が使用頻度の順、すなわちキー番号およびキー名称が「21,機能F21」「9,機能F09」「34,機能F34」「6,機能F06」「14,機能F14」「10,機能F10」の順で、候補データテーブル31に書き込まれる(ステップS202)。
【0034】
そして、このように書き込まれたデータのうち、ナンバ「1」〜「K」(=5)が付されたエリアのキー名称、すなわち「機能F21」「機能F09」「機能F34」「機能F06」「機能F14」が、図8に示したように画面40のボタンエリア51〜55に表示される(ステップS203)。
【0035】
[決済処理]
初期化処理が完了すると、決済処理が実行される。
決済処理においては、客が購入しようとする商品の登録、値割引きの受け付け、登録された商品の合計代金の算出、代金の支払の受け付け、客に付与するサービスポイントの算出、およびレシートの発行等が行われる。
【0036】
これらは、基本的にはCPU10が図9のフローチャートに沿って動作することで実現される。
このフローチャートにおいて、先ずCPU10は、キーボード22、店員側ディスプレイ23、バーコードスキャナ21の操作によるキー入力を受け付ける(ステップS301)。
【0037】
このとき、キーボード22のいずれかのキーが操作されたならば、CPU10は、そのキーによるキー入力を受け付ける。
【0038】
また、LCD231に表示されたプリセットキーやボタンエリア51〜55等のGUIが接触操作されたならば、タッチパネル232からの出力に基づきディスプレイコントローラ15によってその操作が検知され、CPU10に通知される。このとき、決済情報表示エリア41に配置されたプリセットキーの操作であるならば、CPU10は、当該プリセットキーに割り付けられたキー入力を受け付ける。一方、ボタンエリア51〜55のいずれかの操作であるならば、CPU10は、候補データテーブル31中の当該操作されたボタンエリアのデータを参照し、そのデータに含まれるキー番号で示されるキー入力を受け付けたものとみなす。
【0039】
また、バーコードスキャナ21によりバーコードが読み取られたならば、スキャナI/F13がバーコードスキャナ21から出力されるコード情報を取り込み、キーイベント化してCPU10に通知する(ステップS301b)。このときCPU10は、「コード情報の入力」というキー入力を受け付けたものとみなす。
【0040】
ステップS301の処理にてキーボード22、店員側ディスプレイ23、およびバーコードスキャナ21のいずれかによるキー入力を受け付けると、CPU10は、そのキー入力が現在の処理状況において有効であるか否かを判断すべく、キー手順解析を行う(ステップS302)。この処理において、CPU10は、現在の処理状況を示すステージ情報と当該キー入力に対応するキー番号との双方を含むデータをキー手順テーブル30から検索し、該当するデータを発見したならば当該キー入力が有効であるとし、該当するデータを発見できないならば当該キー入力が無効であるとする。
【0041】
このような流れのキー手順解析を実行した後、CPU10は、その結果を判定する(ステップS303)。キー手順解析においてキー入力が有効であるとされている場合、CPU10は、手順が正当であるとして(ステップS303のNo)、頻度学習処理を実行する(ステップS304)。この頻度学習処理については、図10の説明にて後述する。
【0042】
頻度学習処理の後、CPU10は、ステップS301の処理にて受け付けたキー入力に割り付けられた機能に応じた処理を行う(ステップS305)。例えばステップS301の処理にて受け付けたキー入力に対して設定されたキー番号が「10」であるならば、キー手順テーブル30においてキー番号「10」を有するデータに含まれるキー名称「機能F10」に相当する処理を行う。
【0043】
ステップS305の処理の後、CPU10は、前述の候補表示処理を実行する(ステップS306)。
一方、ステップS302のキー手順解析においてキー番号の入力が無効であるとされている場合、CPU10は、手順エラーであるとして(ステップS303のYes)、ステップS304,S305の処理を行わずに候補表示処理を実行する(ステップS306)。
【0044】
ステップS306の候補表示処理が実行された結果、現在の処理状況において操作が有効な入力キーのうち、使用頻度が高い上位5つのキー名称がそれぞれボタンエリア51〜55に表示されることになる。
候補表示処理の後、CPU10は、ステップS301の処理に戻って次のキー入力を受け付ける。
【0045】
[頻度学習処理]
次に、ステップS304の頻度学習処理について説明する。
頻度学習処理において、CPU10は、図10のフローチャートに沿って動作する。すなわち、先ずCPU10は、キー手順テーブル30から現在の処理状況を示すステージ情報と、ステップS301の処理にて受け付けたキー入力に対し設定されたキー番号の双方を含むデータを検索する(ステップS401)。そして、CPU10は、発見したデータに含まれる使用頻度が最大頻度、すなわち「99」に達しているか否かを判定する(ステップS402)。
【0046】
発見したデータに含まれる使用頻度が最大頻度でない場合(ステップS402のNo)、CPU10は、キー手順テーブル30の当該使用頻度を1つインクリメントした値にて当該データの使用頻度を更新し(ステップS403)、頻度学習処理を終了する。
【0047】
一方、発見したデータに含まれる使用頻度が最大頻度である場合(ステップS402のYes)、CPU10は、キー手順テーブル30から現在の処理状況を示すステージ情報を含むデータを検索する(ステップS404)。
【0048】
そして、CPU10は、発見した各データに含まれる使用頻度をそれぞれ2で割った値(端数切り上げ)にて、それら各データに含まれる使用頻度を更新し(ステップS405)、頻度学習処理を終了する。
【0049】
なお、ステップS405の処理では、発見した各データに含まれる使用頻度を3以上の数で割ってもよいし、所定数を減じてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態におけるPOS端末1は、所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報および各入力キーの使用頻度が記述されたキー手順テーブル30とを備え、キー手順テーブル30に記述された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、キー手順テーブル30に記述されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて店員側ディスプレイ23に表示する。
【0051】
このような構成であれば、各処理状況において使用頻度の高い入力キーを操作者に知らせることができるので、操作ミスが防止されるとともに迅速なキー入力が可能となる。その結果、決済処理の円滑な進行が期待できる。さらに、POS端末1の操作に不慣れな者の教育時間が短縮できる。
【0052】
また、POS端末1は、各入力キーのいずれかが操作される度にキー手順テーブル30に記述された当該操作された入力キーの使用頻度をカウントアップする。このような構成であれば、使用頻度を常に最新の状態に保つことができる。
【0053】
また、POS端末1は、操作された入力キーのキー手順テーブル30に記憶された使用頻度が予め定められた最大数に達しているならば、キー手順テーブル30に記憶されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーの使用頻度を予め定められた割合(本実施形態では1/2)で減じる。このような構成であれば、キー手順テーブル30に記憶された使用頻度が最大数に達した後においても、同一の処理状況において操作が有効な入力キーの使用頻度の比率を変えることなくそれらの値が減じられる。
【0054】
また、POS端末1は、各ボタンエリア51〜55のいずれかに対する接触操作がタッチパネル232によって検知されたとき、当該接触操作されたボタンエリアが表す入力キーに割り付けられた機能による処理を実行する。このように入力キーの候補が表示されたボタンエリア51〜55の操作によってその入力キーを操作した場合と同じ機能による処理が実行されれば、いちいちキーボード22等から入力キーを探すことなく、迅速かつ簡単に所望のキー入力が行える。
【0055】
また、ボタンエリア51〜55には、キー手順テーブル30に記述されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーのうち、使用頻度が高い上位所定数の入力キーのキー名称が表示される。このような構成であれば、使用頻度の高い入力キーに限って操作者に知らせることができる。
【0056】
[変形例]
上記実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0057】
(1)上記実施形態では、決済処理装置の一例としてPOS端末1を例示した。しかしながら、上記実施形態にて開示した操作候補の入力キーを表す情報を表示する構成等を、カード決済に特化したカード決済端末や、客の操作によって販売処理が完結されるセルフチェックアウト端末等の他の決済処理装置に適用してもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、CPU10がメモリ11に記憶されたプログラムを実行することにより、POS端末1の動作が実現されるとした。しかしながら、これに限らずプログラムを所定のネットワークからPOS端末1にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをPOS端末1にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等を利用でき、かつPOS端末1が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能はPOS端末1内部のOS等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0059】
(3)また、POS端末1が実行するとした処理を実現する機能や、POS端末1が備えるとした構成の一部を、POS端末1に通信接続されたサーバ装置に設けてもよい。
このようにしてシステムを構築する場合、例えばクラウドコンピューティングを利用できる。より具体的には、SaaS(software as a service)と称されるソフトウェア提供形態が適する。
【0060】
図11は、クラウドシステムを利用する決済処理システムの構成図である。
この決済処理システム100は、クラウド101、複数の端末装置102および複数の通信ネットワーク103、および互いに通信接続された複数のサーバ装置104を有する。なお、端末装置102、通信ネットワーク103、およびサーバ装置104は、それぞれ1つのみでもよい。
【0061】
端末装置102は、通信ネットワーク103を介してクラウド101と通信可能である。端末装置102としては、上記実施形態にて説明したPOS端末や、デスクトップタイプやノートブックタイプなどの種々のコンピュータ、携帯電話装置、携帯情報端末(PDA)、あるいはスマートフォンなどを適宜に利用できる。
【0062】
通信ネットワーク103としては、インターネット、プライベートネットワーク、次世代ネットワーク(NGN)、あるいはモバイルネットワークなどを適宜に利用できる。
【0063】
このような構成の決済処理システム100において、上記実施形態でPOS端末1が実行するとした処理を実現する機能やPOS端末1が備えるとした構成の少なくとも一部をサーバ装置104に設け、残りの機能や構成を端末装置102に設ける。なお、複数のサーバ装置104に分担して上記機能や構成を設けてもよい。
【0064】
例えば、上記実施形態においてPOS端末1が備えるとしたキー手順テーブル30に相当する構成およびPOS端末1が実行するとした候補表示処理を実現する機能の少なくとも一方をサーバ装置104に設ける。そして、端末装置102には、キー手順テーブル30に相当する構成および候補表示処理を実現する機能のうちサーバ装置104が備えないものと、各入力キーおよび操作候補の入力キーを表す画面部品を表示するための表示手段とを設ける。
なお、キー手順テーブル30に相当する構成や候補表示処理を実現する機能をサーバ装置104に設ける場合、決済処理、候補表示処理、頻度学習処理等において端末装置102とサーバ装置104との間で適宜必要な情報を送受信させればよい。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…POS端末、10…CPU、11…メモリ、21…バーコードスキャナ、22…キーボード、23…店員側ディスプレイ、30…キー手順テーブル、31…候補データテーブル、40…画面、41…決済情報表示エリア、51〜55…ボタンエリア、100…決済処理システム
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品または役務の代金を決済する決済処理装置、同装置のプログラム、および決済処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種商品の販売や役務の提供を行う店舗においては、商品または役務の代金の決済にPOS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等の決済処理装置が使用されている。
【0003】
決済処理装置は、各種入力キーが配設されたキーボード、ディスプレイに設けられたタッチパネル、バーコードスキャナ等のキー入力手段を備えており、これらキー入力手段の操作によって入力されるキーに従って決済に関わる処理を進行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−84072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
決済処理装置は、上記のような限られたキー入力手段からのキー入力で様々な機能を実現しなければならず、ある処理を完結させるまでのキー入力順序が細かく定められていることが多い。
【0006】
そのため操作ミスが発生し易く、処理が遅延したり、操作者にストレスを与えたりするなどの種々の不具合が生じていた。
【0007】
このような事情により、決済処理装置への迅速なキー入力を可能とするための手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態における決済処理装置は、所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報および上記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、上記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて表示する表示手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における決済処理用の画面の一例を示す図。
【図3】同実施形態におけるキー手順テーブルのデータ構造例を示す図。
【図4】同実施形態における初期化処理のフローチャート。
【図5】同実施形態における候補データテーブルのデータ構造例を示す図。
【図6】同実施形態における候補表示処理のフローチャート。
【図7】同実施形態においてデータが書き込まれた候補データテーブルを示す図。
【図8】同実施形態において入力キーを表す情報が配置された決済処理用の画面を示す図。
【図9】同実施形態における決済処理のフローチャート。
【図10】同実施形態における頻度学習処理のフローチャート。
【図11】変形例における決済処理システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について説明する。
なお、本実施形態においては、決済処理装置の一例として、小売店にて使用されるPOS端末1を例示する。
【0011】
[POS端末]
図1は、本実施形態におけるPOS端末1の要部構成を示すブロック図である。
POS端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10を備えている。このCPU10には、メモリ11、通信I/F(Interface)12、スキャナI/F13、キーボードコントローラ14、ディスプレイコントローラ15,16、およびプリンタコントローラ17等が、アドレスバスやデータバス等で構成されるバスライン18を介して接続されている。
【0012】
さらに、通信I/F12に店舗内のLAN(Local Area Network)回線等の通信回線20が接続され、スキャナI/F13にバーコードスキャナ21が接続され、キーボードコントローラ14にキーボード22が接続され、ディスプレイコントローラ15に店員側ディスプレイ23が接続され、ディスプレイコントローラ16に客側ディスプレイ24が接続され、プリンタコントローラ17にレシートプリンタ25が接続されている。
【0013】
メモリ11は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)で構成され、CPU10が後述の設定処理や決済処理を実現するために実行するコンピュータプログラム、各種固定値等の固定的データ、およびキー手順テーブル30等を記憶している。なお、キー手順テーブル30は、POS端末1がアクセス可能であればメモリ11以外の記憶媒体、例えば外付け記憶媒体や、POS端末1に接続された他の機器が備えるメモリに記憶されていてもよい。
【0014】
通信I/F12は、通信回線20を介して通信接続されたサーバやプリンタ等の各種機器との間でデータを送受信する。
【0015】
バーコードスキャナ21は、商品等に付されたバーコードを光学的に読み取ってPLUコード等のコード情報を生成する。スキャナI/F13は、バーコードスキャナ21が生成したコード情報を取り込み、キーイベント化してCPU10に出力する。
【0016】
キーボード22は、決済処理の開始の指示を入力するPLUキー、小計指示を入力する小計キー、数値入力用のテンキー、および決済処理の締め指示を入力するための締めキー等で構成されており、押下されたキーを示すキー番号を出力する。キーボードコントローラ14は、キーボード22から出力されるキー番号を取り込み、CPU10に出力する。
【0017】
店員側ディスプレイ23は、例えば表示面が店員の立ち位置側に向けられたLCD(Liquid Crystal Display)231と、このLCD231の表示面上に設けられたタッチパネル232とで構成される。ディスプレイコントローラ15は、CPU10からの指令に応じて店員側ディスプレイ23を制御し、LCD231に決済処理用の画面等を表示させる。また、ディスプレイコントローラ15は、タッチパネル232が接触操作された際に出力する信号に基づき、LCD231に表示されたGUIの操作を検知し、CPU10に通知する。
【0018】
上記決済処理用の画面の一例を、図2に示している。図示した画面40は、決済情報表示エリア41、および、画面左下端から右下端に向けて並べられた5つのボタンエリア51〜55を有している。決済情報表示エリア41には、登録済み商品の名称および単価や登録済み商品の単価の合計金額等の決済処理に必要な各種情報、および、特定の商品を登録するプリセットキー等が配置される。ボタンエリア51〜55には、後述の候補表示処理を経て操作候補である入力キーの名称が表示される。上記プリセットキーやボタンエリア51〜55は、タッチパネル232への接触によって操作可能なGUIである。
【0019】
客側ディスプレイ24は、例えば表示面が会計を受ける客の立ち位置側に向けられたLEDディスプレイである。ディスプレイコントローラ16は、客側ディスプレイ24を制御し、1取引にて客が購入する個々の商品の代金、それらを合計した合計代金、および釣銭額等を表示させる。
【0020】
レシートプリンタ25は、例えば感熱紙であるレシート用紙に各種の情報を印刷するサーマルプリンタである。プリンタコントローラ17は、レシートプリンタ25の動作を制御して客が購入した商品等の名称や単価、合計代金、釣銭額等が印刷されたレシートを発行させる。
【0021】
[キー手順テーブル]
キー手順テーブル30のデータ構造について説明する。
図3は、本実施形態におけるキー手順テーブル30のデータ構造例を示す図である。
キー手順テーブル30は、ステージ情報、キー番号、キー名称、および使用頻度からなるデータにて構成されている。
【0022】
キー番号は、キーボード22の各キーの操作や、LCD231に表示されるプリセットキー等の入力キーの操作によるキー入力に対して一意に設定された番号である。なお、バーコードスキャナ21によって読み取られたコード情報の入力もキーイベント化され、キー入力として扱われる。そのため、キー手順テーブル30には、バーコードスキャナ21からのコード情報の入力に対して設定されたキー番号を有するデータも含まれている。
【0023】
ステージ情報は、各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すものである。ここにいう処理状況は、例えばPOS端末1の起動直後の初期化処理が実行されている状態、決済処理を開始して商品登録を受け付けている状態、登録された商品の代金の支払を受け付けている状態などであり、このような処理状況に対して予め「1」「2」・・・のようなステージ情報が割り当てられている。
【0024】
キー名称は、対応するキー番号で示されるキー入力に対して割付けられた機能を示している。ここにいう機能は、例えばキーボード22に設けられた小計キーを操作してのキー入力に対応する機能であれば「小計指示の入力」、LCD231に表示された商品Aを登録するプリセットキーを操作してのキー入力に対応する機能であれば「商品Aの登録」のように、対応するキー入力がなされた際に実行すべき処理を示すものである。
【0025】
使用頻度は、対応するキー番号で示されるキー入力が実行された回数を示し、本実施形態では2桁の数字にて表される。そのため、「99」が使用頻度の最大値となる。
【0026】
[初期化処理]
次に、POS端末1の動作について説明する。
POS端末1に電源が投入され、オペレーティングシステムが起動された直後においては、先ず図4のフローチャートに示す初期化処理が実行される。
【0027】
初期化処理において、CPU10は、メモリ11に候補データテーブル31を作成するとともに(ステップS101)、起動直後のステージ情報を用いて候補表示処理を実行する(ステップS102)。
図5は、上記候補データテーブル31のデータ構造例を示す図である。
候補データテーブル31は、キー番号およびキー名称を記述するためのエリアに昇順のナンバを付して構成されている。ステップS101の処理にて候補データテーブル31が作成された時点においては、各エリアが空欄となる。
【0028】
[候補表示処理]
続いて、上記候補表示処理について説明する。
候補表示処理において、CPU10は、図6のフローチャートに沿って動作する。すなわち、先ずCPU10は、キー手順テーブル30から現在の処理状況を示すステージ情報を含むデータを検索する(ステップS201)。このとき発見されたデータのキー番号で示される入力キーは、現在の処理状況において操作が有効な入力キーである。
【0029】
また、ステップS201の処理においては、例えばキー番号に対してそのキー番号で示されるキー入力がなされた際に移行すべき処理状況を示すステージ情報とを対応付けたテーブルをメモリ11に記憶しておき、直前のキー入力のキー番号をこのテーブルから検索し、発見したキー番号に対応付けられたステージ情報を現在の処理状況を示すものとして上記データの検索に用いる。以降に説明する各処理において使用されるステージ情報も、同様の方法によって特定すればよい。
【0030】
次に、CPU10は、候補データテーブル31にデータが記述されているならばそのデータを一旦削除した上で、ステップS201の処理にて発見した各データに含まれるキー番号およびキー名称を候補データテーブル31に書き込む(ステップS202)。このとき、ステップS201の処理にて発見した各データに含まれる各キー番号およびキー名称は、それらデータに含まれる使用頻度が高いものから順に、候補データテーブル31のナンバ「1」のエリアから書き込む。
【0031】
ただし、ステップS201の処理にて発見した各データにバーコードスキャナ21によるキー入力に相当するものが含まれている場合には、そのデータを候補データテーブル31への書き込み対象から除外する。
【0032】
ステップS202の処理の後、CPU10は、候補データテーブル31に書き込まれたキー名称のうち、ナンバ「1」〜「K」が付されたエリアのキー名称を画面40のボタンエリア51〜55に表示させる(ステップS203)。ここに、Kは1以上の整数であり、その値は予め定められてメモリ11等に記憶されている。以下、本実施形態においてはK=5であるとして説明を継続する。
ステップS203の処理を以って候補表示処理が終了する。
このような流れの候補表示処理を経ると、キー手順テーブル30に記述されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーが表された画面部品(ボタンエリア51〜55)が、キー手順テーブル30に記述されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて店員側ディスプレイ23に表示されることになる。
【0033】
ここで、候補表示処理の具体例を挙げる。
初期化処理での候補表示処理において、ステージ情報が「1」であるとすると、図3に示したキー手順テーブル30からキー番号「10」「21」「34」「6」「9」「14」のデータが発見される(ステップS201)。さらに図7に示すように、これらのデータに含まれるキー番号およびキー名称が使用頻度の順、すなわちキー番号およびキー名称が「21,機能F21」「9,機能F09」「34,機能F34」「6,機能F06」「14,機能F14」「10,機能F10」の順で、候補データテーブル31に書き込まれる(ステップS202)。
【0034】
そして、このように書き込まれたデータのうち、ナンバ「1」〜「K」(=5)が付されたエリアのキー名称、すなわち「機能F21」「機能F09」「機能F34」「機能F06」「機能F14」が、図8に示したように画面40のボタンエリア51〜55に表示される(ステップS203)。
【0035】
[決済処理]
初期化処理が完了すると、決済処理が実行される。
決済処理においては、客が購入しようとする商品の登録、値割引きの受け付け、登録された商品の合計代金の算出、代金の支払の受け付け、客に付与するサービスポイントの算出、およびレシートの発行等が行われる。
【0036】
これらは、基本的にはCPU10が図9のフローチャートに沿って動作することで実現される。
このフローチャートにおいて、先ずCPU10は、キーボード22、店員側ディスプレイ23、バーコードスキャナ21の操作によるキー入力を受け付ける(ステップS301)。
【0037】
このとき、キーボード22のいずれかのキーが操作されたならば、CPU10は、そのキーによるキー入力を受け付ける。
【0038】
また、LCD231に表示されたプリセットキーやボタンエリア51〜55等のGUIが接触操作されたならば、タッチパネル232からの出力に基づきディスプレイコントローラ15によってその操作が検知され、CPU10に通知される。このとき、決済情報表示エリア41に配置されたプリセットキーの操作であるならば、CPU10は、当該プリセットキーに割り付けられたキー入力を受け付ける。一方、ボタンエリア51〜55のいずれかの操作であるならば、CPU10は、候補データテーブル31中の当該操作されたボタンエリアのデータを参照し、そのデータに含まれるキー番号で示されるキー入力を受け付けたものとみなす。
【0039】
また、バーコードスキャナ21によりバーコードが読み取られたならば、スキャナI/F13がバーコードスキャナ21から出力されるコード情報を取り込み、キーイベント化してCPU10に通知する(ステップS301b)。このときCPU10は、「コード情報の入力」というキー入力を受け付けたものとみなす。
【0040】
ステップS301の処理にてキーボード22、店員側ディスプレイ23、およびバーコードスキャナ21のいずれかによるキー入力を受け付けると、CPU10は、そのキー入力が現在の処理状況において有効であるか否かを判断すべく、キー手順解析を行う(ステップS302)。この処理において、CPU10は、現在の処理状況を示すステージ情報と当該キー入力に対応するキー番号との双方を含むデータをキー手順テーブル30から検索し、該当するデータを発見したならば当該キー入力が有効であるとし、該当するデータを発見できないならば当該キー入力が無効であるとする。
【0041】
このような流れのキー手順解析を実行した後、CPU10は、その結果を判定する(ステップS303)。キー手順解析においてキー入力が有効であるとされている場合、CPU10は、手順が正当であるとして(ステップS303のNo)、頻度学習処理を実行する(ステップS304)。この頻度学習処理については、図10の説明にて後述する。
【0042】
頻度学習処理の後、CPU10は、ステップS301の処理にて受け付けたキー入力に割り付けられた機能に応じた処理を行う(ステップS305)。例えばステップS301の処理にて受け付けたキー入力に対して設定されたキー番号が「10」であるならば、キー手順テーブル30においてキー番号「10」を有するデータに含まれるキー名称「機能F10」に相当する処理を行う。
【0043】
ステップS305の処理の後、CPU10は、前述の候補表示処理を実行する(ステップS306)。
一方、ステップS302のキー手順解析においてキー番号の入力が無効であるとされている場合、CPU10は、手順エラーであるとして(ステップS303のYes)、ステップS304,S305の処理を行わずに候補表示処理を実行する(ステップS306)。
【0044】
ステップS306の候補表示処理が実行された結果、現在の処理状況において操作が有効な入力キーのうち、使用頻度が高い上位5つのキー名称がそれぞれボタンエリア51〜55に表示されることになる。
候補表示処理の後、CPU10は、ステップS301の処理に戻って次のキー入力を受け付ける。
【0045】
[頻度学習処理]
次に、ステップS304の頻度学習処理について説明する。
頻度学習処理において、CPU10は、図10のフローチャートに沿って動作する。すなわち、先ずCPU10は、キー手順テーブル30から現在の処理状況を示すステージ情報と、ステップS301の処理にて受け付けたキー入力に対し設定されたキー番号の双方を含むデータを検索する(ステップS401)。そして、CPU10は、発見したデータに含まれる使用頻度が最大頻度、すなわち「99」に達しているか否かを判定する(ステップS402)。
【0046】
発見したデータに含まれる使用頻度が最大頻度でない場合(ステップS402のNo)、CPU10は、キー手順テーブル30の当該使用頻度を1つインクリメントした値にて当該データの使用頻度を更新し(ステップS403)、頻度学習処理を終了する。
【0047】
一方、発見したデータに含まれる使用頻度が最大頻度である場合(ステップS402のYes)、CPU10は、キー手順テーブル30から現在の処理状況を示すステージ情報を含むデータを検索する(ステップS404)。
【0048】
そして、CPU10は、発見した各データに含まれる使用頻度をそれぞれ2で割った値(端数切り上げ)にて、それら各データに含まれる使用頻度を更新し(ステップS405)、頻度学習処理を終了する。
【0049】
なお、ステップS405の処理では、発見した各データに含まれる使用頻度を3以上の数で割ってもよいし、所定数を減じてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態におけるPOS端末1は、所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報および各入力キーの使用頻度が記述されたキー手順テーブル30とを備え、キー手順テーブル30に記述された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、キー手順テーブル30に記述されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて店員側ディスプレイ23に表示する。
【0051】
このような構成であれば、各処理状況において使用頻度の高い入力キーを操作者に知らせることができるので、操作ミスが防止されるとともに迅速なキー入力が可能となる。その結果、決済処理の円滑な進行が期待できる。さらに、POS端末1の操作に不慣れな者の教育時間が短縮できる。
【0052】
また、POS端末1は、各入力キーのいずれかが操作される度にキー手順テーブル30に記述された当該操作された入力キーの使用頻度をカウントアップする。このような構成であれば、使用頻度を常に最新の状態に保つことができる。
【0053】
また、POS端末1は、操作された入力キーのキー手順テーブル30に記憶された使用頻度が予め定められた最大数に達しているならば、キー手順テーブル30に記憶されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーの使用頻度を予め定められた割合(本実施形態では1/2)で減じる。このような構成であれば、キー手順テーブル30に記憶された使用頻度が最大数に達した後においても、同一の処理状況において操作が有効な入力キーの使用頻度の比率を変えることなくそれらの値が減じられる。
【0054】
また、POS端末1は、各ボタンエリア51〜55のいずれかに対する接触操作がタッチパネル232によって検知されたとき、当該接触操作されたボタンエリアが表す入力キーに割り付けられた機能による処理を実行する。このように入力キーの候補が表示されたボタンエリア51〜55の操作によってその入力キーを操作した場合と同じ機能による処理が実行されれば、いちいちキーボード22等から入力キーを探すことなく、迅速かつ簡単に所望のキー入力が行える。
【0055】
また、ボタンエリア51〜55には、キー手順テーブル30に記述されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーのうち、使用頻度が高い上位所定数の入力キーのキー名称が表示される。このような構成であれば、使用頻度の高い入力キーに限って操作者に知らせることができる。
【0056】
[変形例]
上記実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0057】
(1)上記実施形態では、決済処理装置の一例としてPOS端末1を例示した。しかしながら、上記実施形態にて開示した操作候補の入力キーを表す情報を表示する構成等を、カード決済に特化したカード決済端末や、客の操作によって販売処理が完結されるセルフチェックアウト端末等の他の決済処理装置に適用してもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、CPU10がメモリ11に記憶されたプログラムを実行することにより、POS端末1の動作が実現されるとした。しかしながら、これに限らずプログラムを所定のネットワークからPOS端末1にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをPOS端末1にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等を利用でき、かつPOS端末1が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能はPOS端末1内部のOS等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0059】
(3)また、POS端末1が実行するとした処理を実現する機能や、POS端末1が備えるとした構成の一部を、POS端末1に通信接続されたサーバ装置に設けてもよい。
このようにしてシステムを構築する場合、例えばクラウドコンピューティングを利用できる。より具体的には、SaaS(software as a service)と称されるソフトウェア提供形態が適する。
【0060】
図11は、クラウドシステムを利用する決済処理システムの構成図である。
この決済処理システム100は、クラウド101、複数の端末装置102および複数の通信ネットワーク103、および互いに通信接続された複数のサーバ装置104を有する。なお、端末装置102、通信ネットワーク103、およびサーバ装置104は、それぞれ1つのみでもよい。
【0061】
端末装置102は、通信ネットワーク103を介してクラウド101と通信可能である。端末装置102としては、上記実施形態にて説明したPOS端末や、デスクトップタイプやノートブックタイプなどの種々のコンピュータ、携帯電話装置、携帯情報端末(PDA)、あるいはスマートフォンなどを適宜に利用できる。
【0062】
通信ネットワーク103としては、インターネット、プライベートネットワーク、次世代ネットワーク(NGN)、あるいはモバイルネットワークなどを適宜に利用できる。
【0063】
このような構成の決済処理システム100において、上記実施形態でPOS端末1が実行するとした処理を実現する機能やPOS端末1が備えるとした構成の少なくとも一部をサーバ装置104に設け、残りの機能や構成を端末装置102に設ける。なお、複数のサーバ装置104に分担して上記機能や構成を設けてもよい。
【0064】
例えば、上記実施形態においてPOS端末1が備えるとしたキー手順テーブル30に相当する構成およびPOS端末1が実行するとした候補表示処理を実現する機能の少なくとも一方をサーバ装置104に設ける。そして、端末装置102には、キー手順テーブル30に相当する構成および候補表示処理を実現する機能のうちサーバ装置104が備えないものと、各入力キーおよび操作候補の入力キーを表す画面部品を表示するための表示手段とを設ける。
なお、キー手順テーブル30に相当する構成や候補表示処理を実現する機能をサーバ装置104に設ける場合、決済処理、候補表示処理、頻度学習処理等において端末装置102とサーバ装置104との間で適宜必要な情報を送受信させればよい。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…POS端末、10…CPU、11…メモリ、21…バーコードスキャナ、22…キーボード、23…店員側ディスプレイ、30…キー手順テーブル、31…候補データテーブル、40…画面、41…決済情報表示エリア、51〜55…ボタンエリア、100…決済処理システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、
これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報及び前記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、前記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて表示する表示手段と、
を備えていることを特徴とする決済処理装置。
【請求項2】
前記使用頻度は、対応する入力キーが操作された回数にて表され、
前記各入力キーのいずれかが操作される度に当該操作された入力キーの前記記憶手段に記憶された使用頻度をカウントアップする頻度更新手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の決済処理装置。
【請求項3】
前記各入力キーのいずれかが操作されたとき、当該操作された入力キーの前記記憶手段に記憶された使用頻度が予め定められた最大数に達しているならば、前記記憶手段に記憶されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーの使用頻度を予め定められた割合で減じる頻度減算手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の決済処理装置。
【請求項4】
前記表示手段の表示画面に対する接触操作を検知するタッチパネルと、
前記表示手段に表示された前記各画面部品のいずれかに対する接触操作が前記タッチパネルによって検知されたとき、当該接触操作された画面部品が表す入力キーに割り付けられた機能による処理を実行する実行手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の決済処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーのうち、前記記憶手段に記憶された使用頻度が高い上位所定数の入力キーを表す画面部品をそれら入力キーの使用頻度の順に並べて表示することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の決済処理装置。
【請求項6】
所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、表示手段とを有し、前記各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報及び前記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段にアクセス可能な決済処理装置に、
前記記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、前記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて前記表示手段に表示させる機能を実現させるためのプログラム。
【請求項7】
端末装置と、少なくとも1つのサーバとを含む決済処理システムであって、
表示手段と、
所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、
これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報及び前記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、前記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備え、前記サーバは、前記記憶手段及び前記制御手段の少なくとも一方を備え、前記端末装置は、前記記憶手段及び前記制御手段のうち前記サーバが備えないものと、前記各入力キー及び前記表示手段とを備えることを特徴とする決済処理システム。
【請求項1】
所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、
これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報及び前記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、前記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて表示する表示手段と、
を備えていることを特徴とする決済処理装置。
【請求項2】
前記使用頻度は、対応する入力キーが操作された回数にて表され、
前記各入力キーのいずれかが操作される度に当該操作された入力キーの前記記憶手段に記憶された使用頻度をカウントアップする頻度更新手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の決済処理装置。
【請求項3】
前記各入力キーのいずれかが操作されたとき、当該操作された入力キーの前記記憶手段に記憶された使用頻度が予め定められた最大数に達しているならば、前記記憶手段に記憶されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーの使用頻度を予め定められた割合で減じる頻度減算手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の決済処理装置。
【請求項4】
前記表示手段の表示画面に対する接触操作を検知するタッチパネルと、
前記表示手段に表示された前記各画面部品のいずれかに対する接触操作が前記タッチパネルによって検知されたとき、当該接触操作された画面部品が表す入力キーに割り付けられた機能による処理を実行する実行手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の決済処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶されたステージ情報が現在の処理状況を示す入力キーのうち、前記記憶手段に記憶された使用頻度が高い上位所定数の入力キーを表す画面部品をそれら入力キーの使用頻度の順に並べて表示することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の決済処理装置。
【請求項6】
所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、表示手段とを有し、前記各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報及び前記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段にアクセス可能な決済処理装置に、
前記記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、前記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて前記表示手段に表示させる機能を実現させるためのプログラム。
【請求項7】
端末装置と、少なくとも1つのサーバとを含む決済処理システムであって、
表示手段と、
所定の機能が割り付けられた複数の入力キーと、
これら各入力キーの操作が有効となる処理状況を示すステージ情報及び前記各入力キーの使用頻度を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された各ステージ情報のうち、現在の処理状況を示すものに対応する入力キーを表す画面部品を、前記記憶手段に記憶されたこれら各入力キーの使用頻度の順に並べて前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備え、前記サーバは、前記記憶手段及び前記制御手段の少なくとも一方を備え、前記端末装置は、前記記憶手段及び前記制御手段のうち前記サーバが備えないものと、前記各入力キー及び前記表示手段とを備えることを特徴とする決済処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−226424(P2012−226424A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90993(P2011−90993)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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