説明

沈降ケイ酸、その製法並びにそれを含有するゴム混合物及び加硫ゴム

【課題】沈降ケイ酸及びその製法
【解決手段】0.2〜5.0重量%のAl含有率及び3.4未満のwk−率有する沈降ケイ酸。該沈降ケイ酸をアルカリ金属ケイ酸塩と鉱酸及びアルミニウム塩溶液とを水性環境中で、60〜95℃の温度及び7.0〜10.0のpH値で反応させ、この反応を40〜110g/lの固体濃度まで続け、pH値を3〜5の値に調整し、かつ得られた沈降ケイ酸を公知の方法で後処理することにより製造する。
【効果】本発明の沈降ケイ酸はゴム混合物中の充填材として使用することができ、特にタイヤ中で使用すると、その易分散性によりタイヤのころがり抵抗を著しく低下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は沈降ケイ酸、その製法及びゴム混合物中でのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム混合物中に沈降ケイ酸を添加することは公知である(S.Wolff、Kautschuk、Gummi、Kunstst.7(1988) 、p674)。ゴム混合物中で使用するためには沈降ケイ酸は易分散性である必要がある。劣悪な分散性は往々にして、タイヤ混合物に沈降ケイ酸が使用できない原因となる。
【0003】
文献国際公開WO95/09128号明細書から、タイヤに使用することができる沈降ケイ酸が公知である。タイヤ下部構造中での使用は記載されていない。
【0004】
タイヤ工業での要求の高まりにより、タイヤトレッドで使用するためのこの沈降ケイ酸の改善された分散ももはや十分ではない。
【0005】
国際公開WO96/30304号明細書には、タイヤトレッド中に分散可能な沈降ケイ酸が記載されている。
【0006】
国際公開WO96/30304号明細書に記載の公知の沈降ケイ酸を用いると、カーボンブラックを充填されたタイヤに比べて20〜30%、タイヤころがり抵抗の低減が可能である。このことは、約5%の燃料節約を意味する。
【0007】
乗用車タイヤのころがり抵抗には、異なるタイヤ部材が様々な割合で寄与している:
トレッド:50%
ベルト:20%
カーカス:10%
側面:10%
ビード:5%
内面:5%。
【0008】
貨物自動車タイヤでは、ころがり抵抗での個々のタイヤセグメントの割合は、乗用車タイヤでの配分とは異なる:
トレッド:30%
ベルト:20%
カーカス:24%
側面:10%
ビード:16%。
【0009】
このころがり抵抗割合分配は、乗用車タイヤでは50%、貨物自動車タイヤでは70%のころがり抵抗が、タイヤ下部構造からなる構造により影響を受けることを示している。従来、タイヤ下部構造では主にカーボンブラックが活性充填材として使用されている。
【特許文献1】国際公開WO95/09128号明細書
【特許文献2】国際公開WO96/30304号明細書
【特許文献3】国際公開WO96/30304号明細書
【非特許文献1】S.Wolff、Kautschuk、Gummi、Kunstst.7(1988) 、p674
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ころがり抵抗を更に著しく低下させる目的で、タイヤ下部構造中に使用するための沈降ケイ酸を開発することに関する。タイヤ下部構造で沈降ケイ酸を使用するための条件はその易分散性である。
【0011】
自動車工業のサイドには、更に約10%ころがり抵抗を低下させるという要望が存在する。これは従来、叶えられていなかった。
【0012】
加えて貨物自動車タイヤの顧客は貨物自動車タイヤの寿命を長くすることを要求している。本発明の沈降ケイ酸の使用は、この要求を発熱の低下と共に満たす。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は0.2〜5.0重量%のAl含有率及び3.4未満のwk率を特徴とする沈降ケイ酸である。
【0014】
本発明の沈降ケイ酸は80〜180m/gのBET表面積を有してよい。
【0015】
本発明の沈降ケイ酸は80〜139m/gのCTAB表面積を有してよい。
【0016】
本発明の沈降ケイ酸は次の物理化学的データ:
BET表面積 80〜180m/g
CTAB表面積 80〜139m/g
BET/CTAB比 1.0〜1.6
シェアーズ数(Searszahl;0.1nNaOHで消費) 5〜25ml
DBP−数 200〜300ml/100g
Al含有率 <5%
wk率 <3.4
崩壊粒子 <1.0μm
非崩壊粒子 1.0〜100μm
を特徴としうる。
【0017】
これらの物理化学的データは次の方法で測定される:
BET表面積 面積計、Stroehlein社製、ISO5794/添付書D
CTAB表面積 pH9、Jay、Janzen及びKurausにより("Rubber Chemistry and Technology”44(1971)1287)
シェアーズ数 G.W.Searsにより(Analyt.Chemistry 12(1956)1882)
DBP数 ASTM D 2414−88
wk率 Cilas−粒度系 1064 L(下記参照)。
【0018】
本発明の沈降ケイ酸は有利な実施様態では、次の物理化学的データ:
BET表面積 90〜150m/g
CTAB表面積 80〜130m/g
BET/CTAB比 1.0〜1.6
シェアーズ数(0.1nNaOH消費) 5〜25ml
DBP−数 200〜300ml/100g
Al含有率 <2%
wk率 <3.4
崩壊粒子 <1.0μm
非崩壊粒子 1.0〜30μm
を有しうる。
【0019】
本発明の沈降ケイ酸は特に有利な実施様態では次の物理化学的データ:
BET表面積 90〜150m/g
CTAB表面積 80〜130m/g
BET/CTAB比 1.0〜1.6
シェアーズ数(0.1nNaOH消費) 5〜25ml
DBP−数 200〜300ml/100g
Al含有率 0.2〜0.66%
wk率 <3.4
崩壊粒子 <1.0μm
非崩壊粒子 1.0〜30μm
を有しうる。
【0020】
本発明のもう1つの目的は次の物理化学的データ:
BET表面積 80〜160m/g
CTAB表面積 80〜140m/g
BET/CTAB比 1.0〜1.6
シェアーズ数(0.1nNaOH消費) 5〜25ml
DBP−数 200〜300ml/100g
Al含有率 0.2〜5%
wk率 <3.4
崩壊粒子 <1.0μm
非崩壊粒子 1.0〜100μm
を有する沈降ケイ酸の製法であり、これはアルカリ金属ケイ酸塩と鉱酸及びアルミニウム塩溶液とを水性媒体中で、60〜95℃の温度及び7.0〜11.0のpH値で継続的に攪拌しながら反応させ、この反応を40〜110g/lの固体濃度まで続け、pH値を3〜5の値に調整し、かつ沈降ケイ酸を濾別し、洗浄し、引き続き乾燥させ、かつ場合により粉砕するか、又は造粒することを特徴とする。
【0021】
有利な実施形では、水ガラス、硫酸アルミニウム溶液及び硫酸の添加を30〜90分間中断し、かつ引き続き続けることができる。
【0022】
有利な実施形では市販のソーダ水ガラス(モジュール3.2〜3.5)と硫酸とをpH値7.5〜10.5で反応させ、その際、ソーダ水ガラスの部は既にpH値の調節のために受器中に入れられている。水ガラス及び硫酸の添加は120分間まで保持され、その際、特別な態様では添加を30〜90分で中断し、引き続きpH3〜5に酸性化し、濾過し、洗浄し、かつ乾燥することができる。
【0023】
特に良好な分散性を達成するために、水ガラス及び硫酸の同時添加を有利には40〜90分行う。その際、ケイ酸の表面は沈降時間で調節される。
【0024】
濾過のために、チャンバフィルタプレス又は薄膜フィルタプレス又はバンドフィルタ又はドラムフィルタ又は自動薄膜フィルタプレス又はフィルタ2種の組合せを使用することができる。
【0025】
乾燥のために、空気乾燥機、ラック乾燥機、フラッシュ乾燥機、スピン−フラッシュ乾燥機又は類似の装置を使用することができる。
【0026】
本発明のもう1つの実施様態では、噴霧器又は2成分ノズル又は単成分ノズル及び/又は積層流動床を有する噴霧乾燥機中で液化フィルターケーキを乾燥させることができる。
【0027】
造粒のために、ロール突き固め機又は類似の装置を使用することができる。
【0028】
特に有利な形では沈降ケイ酸をフラッシュ乾燥で乾燥させることができる。
【0029】
本発明の沈降ケイ酸を式I〜III:
[R−(RO)3−nSi−(Alk)−(Ar)[B] (I)、
(RO)3−nSi−(Alkyl) (II)又は
(RO)3−nSi−(Alkenyl) (III)
[式中、
B:−SCN、−SH、−Cl、−NH(q=1の場合)又は−Sx−(q=2の場合)、
R及びR:1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、この場合、全ての基R及びRはそれぞれ同じか異なる意味を有していてよい、
R:C〜C−アルキル、−C〜C−アルコキシ基、
n:0;1又は2、
Alk:1〜18個の炭素原子を有する二価の線状又は分枝鎖炭化水素基、
m:0又は1、
Ar:6〜12個のC−原子、有利に6個のC−原子を有するアリーレン基、
p:0又は1;但し、p及びnは同時に0ではない、
x:2〜8の整数、
Alkyl:1〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する一価の線状又は分枝鎖飽和炭化水素基、
Alkenyl:2〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する一価の線状又は分枝鎖不飽和炭化水素基、
q:1又は2]のオルガノシランで変性することができる。
【0030】
有利には、第1表中に記載のシランを使用することができる:
【0031】
【表1】

【0032】
オルガノシランを用いての変性は、沈降ケイ酸100部に対して0.5〜50部、殊には沈降ケイ酸100部に対して2〜15部の混合で実施することができ、その際、沈降ケイ酸とオルガノシランとの反応を、混合物製造の間に(現場で)、又は(予備変性で)殊に混合物の噴霧及び引き続く熱処理により、又はシランとケイ酸懸濁液とを混合し、引き続き乾燥及び熱処理することにより実施することができる。
【0033】
本発明の有利な1実施形では、シランとしてビス(トリエトキシシリル−プロピル)−テトラスルファン(商品名Si69、Degussa AG製)を使用することができる。
【0034】
本発明の沈降ケイ酸は、加硫可能なゴム混合物中に補強充填材としてゴム100部に対して2〜200部の量で、粉末、マイクロビーズ又は顆粒としてシラン変性を伴って、又は伴わずに混入することができる。
【0035】
前記のシラン1種以上の添加はゴム混合物のための本発明のケイ酸と一緒に行うことができ、その際、充填材とシランとの反応は混合プロセスの間に高い温度で進行する(現場変性)か、又は既に予め変性された形で(例えばドイツ特許出願(DE−PS)第4004781号明細書)、即ち両方の反応成分を本来の混合物製造外で反応させる。
【0036】
もう1つの可能性は、沈降ケイ酸100部に対して0.5〜50部、殊に沈降ケイ酸100部に対して2〜15部のオルガノシランを混合して沈降ケイ酸を変性することにあり、その際、沈降ケイ酸とオルガノシランとの反応は混合物製造の間に(現場で)又はその外で、噴霧及び混合物の引き続く熱処理により、又はシラン及びケイ酸懸濁液の混合、それに続く乾燥及び熱処理により実施する。
【0037】
式I〜IIIのオルガノシランを伴う、及び伴わない本発明のケイ酸を専ら充填材として含有する混合物の他に、ゴム混合物は付加的に1種以上の強化充填材で満たされていてよい。例えば、シランを伴う、及び伴わないカーボンブラック(例えばファーネスブラック、ガスブラック、フレームブラック、アセチレンブラック)と本発明のケイ酸とのブレンド、更に天然充填材、例えば粘土、シリカチョーク、他の公知で市販のケイ酸と本発明のケイ酸とのブレンドも使用することができる。
【0038】
この場合、例えばオルガノシランのドーピングの場合と同様に、ブレンド比は、所定の調製ゴム混合物の特性に合わせる。本発明の沈降ケイ酸と他の上記の充填材との比は5〜95%である。
【0039】
本発明のケイ酸、オルガノシラン及び他の充填材の他に、エラストマーはもう1つの重要なゴム混合物成分である。本発明のケイ酸はその全てに促進剤/硫黄、更に過酸化架橋性ゴム種と一緒に使用することができる。この場合、エラストマー、天然及び合成の、油展された、又はされていない単一ポリマー又は他のゴムとのブレンドとして、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、殊にSBR(溶液重合法により製造)、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン、プロピレン及び共役されていないジエンからなるターポリマーを挙げることができる。更に、前記のゴムとのゴム混合物として次の付加的なゴムが該当する:
カルボキシルゴム、エポキシドゴム、トランス−ポリペンテナマー(Polypentenamer)、水素化ブチルゴム、2−クロロ−ブタジエンからなるゴム、エチレン−ビニルアセテート−コポリマー、エチレン−プロピレン−コポリマー、場合により更に天然ゴムの化学的誘導体並びに変性天然ゴム。
【0040】
他の添加物、例えば軟化材、安定剤、活性剤、顔料、老化防止剤及び加工助剤を通常の配量で使用することができる。
【0041】
シランを伴う、及び伴わない本発明の沈降ケイ酸は全てのゴム使用に、殊にタイヤに、この場合には殊にタイヤ下部構造に、更に例えばコンベヤベルト、パッキン、Vベルト、チューブ、靴底等に使用することができる。
【0042】
更に本発明の沈降ケイ酸は、電池セパレーター、シリコンゴムに、かつ担体ケイ酸として使用することができる。
【0043】
ポリマー混合物中での良好な特性スペクトルの達成のためには、マトリックス、ポリマー中への沈降ケイ酸の分散が重要である。
【0044】
wk率は沈降ケイ酸の分散性の尺度であることが判明している。
【0045】
wk率は次のように測定する:
測定は、レーザー回析の原則に基づく。その際、CILAS−粒度計1064Lで測定する。
【0046】
測定のために、沈降ケイ酸1.3gを水25ml中に移し、超音波を用いて100W(90%パルス)で4.5分処理する。その後、この溶液を測定セルに移し、かつもう1分、超音波で処理する。
【0047】
試料に対して異なる角度で存在するレーザーダイオード2つを用いての探知を、超音波処理の間に行う。光回析の原則によりレーザー光線は回析する。生じた回析イメージによりコンピューターを用いて判定する。この方法により、もう1つの測定領域(約40nm〜500μm)を介して粒度分布を測定することができる。
【0048】
この場合に重要な点は、超音波によるエネルギー供給は、タイヤ工業の工業的混合凝集物中での機械的力によるエネルギー供給のシミュレーションであることである。
【0049】
本発明の沈降ケイ酸及び比較ケイ酸の粒度分布の測定結果を図1から6に示した。
【0050】
曲線は1.0〜100μmの範囲で、粒度分布中の第一の最大を、かつ<1.0μmの範囲でもう1つの最大を示している。1.0〜100μmの範囲でのピークは、超音波処理の後の未粉砕ケイ酸粒子の割合を示している。このかなり粗大な粒子はゴム混合物中に良好に分散しない。かなりより小さい粒度(<1.0μm)を有する第2のピークは、超音波処理の間に粉砕されているケイ酸粒子の割合を示している。この非常に小さい粒子はゴム混合物中に極めて良好に分散する。
【0051】
ところでwk率は、1.0〜100μm(B’)の範囲にその最大がある非崩壊粒子(B)のピーク高さの、<1.0μm(A’)の範囲にその最高がある崩壊粒子(A)のピーク高さに対する率である。
【0052】
この関係は、図7に記載のグラフにより具体的に説明される。
【0053】
wk率は従って、沈降ケイ酸の「崩壊性」(=分散性)の尺度である。これは、wk率が小さいほど、沈降ケイ酸はより容易に分散する、即ちゴム中への加工の際により多くの粒子が崩壊するということである。
【0054】
本発明のケイ酸は<3.4のwk率を有する。本発明の沈降ケイ酸の未崩壊粒子の粒度分布中での最大は、1.0〜100μmの範囲にある。本発明の沈降ケイ酸の崩壊粒子の粒度分布中での最大は<1.0μmの範囲にある。公知の沈降ケイ酸はかなりより高いwk率及びCILAS−粒度計1064Lで測定された粒度分布で別の最大を有し、従って劣悪な分散性を有する。
【0055】
沈降ケイ酸の分散性は分散率Dにより示される。これは次の式により定められる:
【0056】
【数1】

【0057】
評価を、光学顕微鏡を用いて150倍の倍率で加硫ゴムの光沢面で行う。28μmより大きい粒子が分散不可能な粒子として判定した。40このイメージを判定した。
【実施例】
【0058】

例中で次の物質を使用する:
SMR 20 天然ゴム
SMR 10 天然ゴム
Buna CB 10 ブタジエンゴム
Krynol 1712 エマルジョン重合をベースとするスチレン−ブタジエン−ゴム
Buna SB 1500 エマルジョン重合をベースとするスチレンブタジエン−ゴム
X50S Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンとN330との50:50ブレンド
Zno RS 酸化亜鉛
ステアリン酸
Sunpar 150 パラフィン系油
Naftolen ZD 芳香族系油
Novares C80 樹脂
Koresin(Pastillen) フェノールホルムアルデヒド樹脂
Antilux 微結晶ワックス
Vulkanox 4020 N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
Vulkanox 4010 NA/LG 老化防止剤
Vulkanox HS/LG 老化防止剤
Protektor G 35 P オゾン防止剤(Antiozonant wax)
Cofill 11 GR レゾルシノールをベースとする付着仲介剤
HEXA K ヘキサメチレンテトラミン
DPG ジフェニルグアニジン
CBS N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
TBBS N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
硫黄
Crystex(不溶性) 不溶性硫黄
比較製品:
Corax N 326 Degussa社のカーボンブラック
Corax N 375 Degussa社のカーボンブラック
Corax N 660 Degussa社のカーボンブラック
Ultrasil VN2 N表面積約125m/g;Al−含有率0.16重量%を有するDegussa社のケイ酸
Ultrasil VN3 N表面積約125m/g;Al−含有率0.17重量%を有するDegussa社のケイ酸
Hisil 233 N表面積約150m/g;Al−含有率0.33重量%を有するPG社のケイ酸
Perkasil KS 300 N表面積約160m/g;Al−含有率0.14重量%を有するAkzo社のケイ酸
Perkasil KS 404 N表面積約160m/g;Al−含有率0.15重量%を有するAkzo社のケイ酸
Perkasil KS 408 N表面積約160m/g;Al−含有率0.15重量%を有するAkzo社のケイ酸
Zeosil 1165 MP N表面積約150m/g;Al−含有率0.65重量%を有するRhone-Poulenc社のケイ酸
例1
範囲120〜140m/gの沈降ケイ酸の製造
大桶中で、水46mを攪拌下に80℃に加温する。温度80℃を保持しながら、ソーダ水ガラスの添加により調節されたpH9.0で、125分後に固体含有率88.5g/lが達成されているような量のソーダ水ガラス(モジュール3.42、比重1.348)及び96%硫酸を常に攪拌しながら配量導入する。付加的に同時に、常に攪拌しながら硫酸アルミニウム溶液265l(比重1.28)を配量導入する。この後、硫酸をpH値3〜5が達成されるまで添加する。固体をフィルタープレスで濾別し、洗浄し、かつ引き続き乾燥させ、かつ場合により粉砕する。
【0059】
得られた沈降ケイ酸は次の物理化学的データを有する:
BET表面積 123m/g
CTAB表面積 110m/g
BET/CTAB比 1.12
DPB−数 203ml/100g
シェアーズ数 9.7
Al含有率 0.59%
wk率 0.5
例2
範囲130〜150m/gの沈降ケイ酸の製造
大桶中で、水53.5mを攪拌下に80℃に加温する。温度80℃を保持しながら、ソーダ水ガラスの添加により調節されたpH9.0で、67分後に固体含有率92.9g/lが達成されているような量のソーダ水ガラス(モジュール3.42、比重1.348)及び50%硫酸を常に攪拌しながら配量導入する。付加的に、常に攪拌しながら硫酸アルミニウム溶液0.255l(比重1.28)を配量導入する。この後、硫酸をpH値3〜5が達成されるまで添加する。固体をフィルタープレスで濾別し、洗浄し、かつ引き続き短時間又は長時間乾燥させ、かつ場合により粉砕する。
【0060】
得られた沈降ケイ酸は次の物理化学的データを有する:
BET表面積 129m/g
CTAB表面積 124m/g
BET/CTAB比 1.04
DBP数 243ml/100g
シェアーズ数 16.2
Al含有率 0.59%
例3
範囲120〜140m/gの沈降ケイ酸の製造
大桶中で、水54.6mを攪拌下に80℃に加温する。温度80℃を保持しながら、ソーダ水ガラスの添加により調節されたpH9.0で、67分後に固体含有率91.4g/lが達成されているような量のソーダ水ガラス(モジュール3.42、比重1.348)及び50%硫酸を常に攪拌しながら配量導入する。付加的に、常に攪拌しながら硫酸アルミニウム溶液0.784l(比重1.28)を配量導入する。この後、硫酸をpH値3〜5が達成されるまで添加する。固体をフィルタープレスで濾別し、洗浄し、かつ引き続き短時間又は長時間乾燥させ、かつ場合により粉砕する。
【0061】
得られた沈降ケイ酸は次の物理化学的データを有する:
BET表面積 152m/g
CTAB表面積 129m/g
BET/CTAB比 1.19
DBP−数 241ml/100g
シェアーズ数 16.4
Al含有率 0.98%
例4
範囲120〜140m/gの沈降ケイ酸の製造
大桶中で、水50.4lを攪拌下に80℃に加温する。温度80℃を保持しながら、ソーダ水ガラスの添加により調節されたpH9.0で、67分後に固体含有率97.6g/lが達成されているような量のソーダ水ガラス(モジュール3.42、比重1.348)及び50%硫酸を常に攪拌しながら配量導入する。付加的に、常に攪拌しながら硫酸アルミニウム1.47l(比重1.28)を配量導入する。この後、硫酸をpH値3〜5が達成されるまで添加する。固体をフィルタープレスで濾別し、洗浄し、かつ引き続き短時間又は長時間乾燥させ、かつ場合により粉砕する。
【0062】
得られた沈降ケイ酸は次の物理化学的データを有する:
BET表面積 130m/g
CTAB表面積 101m/g
BET/CTAB比 1.29
DBP−数 227ml/100g
シェアーズ数 18.4
Al含有率 1.96%
例5
範囲140〜160m/gの沈降ケイ酸の製造
大桶中で、水50.4lを攪拌下に80℃に加温する。温度80℃を保持しながら、ソーダ水ガラスの添加により調節されたpH9.0で、67分後に固体含有率99.4g/lが達成されているような量のソーダ水ガラス(モジュール3.42、比重1.348)及び50%硫酸を常に攪拌しながら配量導入する。付加的に、常に攪拌しながら硫酸アルミニウム溶液2.21l(比重1.28)を配量導入する。この後、硫酸をpH値3〜5が達成されるまで添加する。固体をフィルタープレスで濾別し、洗浄し、かつ引き続き短時間又は長時間乾燥させ、かつ場合により粉砕する。
【0063】
得られた沈降ケイ酸は次の物理化学的データを有する:
BET表面積 154m/g
CTAB表面積 100m/g
BET/CTAB比 1.54
DBP−数 222ml/100g
シェアーズ数 16.6
Al含有率 4.28%
例6
Cilas 粒度計1064Lを用いての、例1によるBET表面積110〜130m/gを有する本発明のケイ酸のwk率の測定及び同じ表面積範囲を有する標準ケイ酸との比較。付加的に、図7に記載のB、A、B’及びA’の値を記載しておく。
【0064】
【表2】

【0065】
例7
Cilas 粒度計1064Lを用いての、BET表面積120〜140m/gを有する本発明のケイ酸のwk率の測定及び同じ表面積範囲を有する標準ケイ酸との比較。付加的に、図7に記載のB、A、B’及びA’の値を記載しておく。
【0066】
【表3】

【0067】
例8
Cilas 粒度計1064Lを用いての、BET表面積140〜160m/gを有する本発明のケイ酸のwk率の測定及び同じ表面積範囲を有する標準ケイ酸との比較。付加的に、図7に記載のB、A、B’及びA’の値を記載しておく。
【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
例9
標準沈降ケイ酸と比較しての、例6及び例7に記載の本発明の沈降ケイ酸の測定結果(図1〜6参照)
例10
タイヤ側面のためのNR/BR−混合物中での、標準ケイ酸及びカーボンブラックN660とカーボンブラックN375との従来使用されているブレンドと比較しての、例4による本発明の沈降ケイ酸(Al含有率0.59重量%):
【0071】
【表6】

【0072】
Al含有率0.65重量%及びCTAB表面積150m/g及びwk率3.4を有する標準ケイ酸Zeosil 1165 MP及び従来、側面混合物中に使用されているカーボンブラックN 375に対して、例9による本発明のケイ酸はより高い加硫速度、より高いモジュール値、より低い熱分解(タイヤのより長い耐用時間に相応する)及びより高い反撥弾性60℃及びより低いタンδ60℃(より低いころがり抵抗に相応する)をもたらす。
【0073】
例11
特殊な付着系を有するタイヤカーカスのためのNR/SBR混合物中で従来使用されているカーボンブラックN326に比較しての例1による本発明の沈降ケイ酸:
【0074】
【表7】

【0075】
特殊な付着系を有するカーカス混合物中で従来使用されているカーボンブラックN 326に比べて、例1による本発明のケイ酸はより高い分離強度(製造時のより高い加工安全性に相応する)をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】レーザー回析法を用いてのUltrasil VN 2の測定結果を示す図
【図2】レーザー回析法を用いてのPekasil KS300の測定結果を示す図
【図3】レーザー回析法を用いての例1による本発明のケイ酸の測定結果を示す図
【図4】レーザー回析法を用いてのHisil 233の測定結果を示す図
【図5】レーザー回析法を用いての例4による本発明のケイ酸の測定結果を示す図
【図6】レーザー回析法を用いての例2による本発明のケイ酸の測定結果を示す図
【図7】wk率の測定を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.2〜5.0重量%のAl含有率及び3.4未満のwk率を特徴とする、沈降ケイ酸。
【請求項2】
80〜139m/gのCTAB表面積を有する、請求項1に記載の沈降ケイ酸。
【請求項3】
80〜180m/gのBET表面積を有する、請求項1又は2に記載の沈降ケイ酸。
【請求項4】
次のパラメータ:
BET表面積 80〜180m/g
CTAB表面積 80〜139m/g
BET/CTAB比 1.0〜1.6
シェアーズ数(0.1nNaOH消費) 5〜25ml
DBP−数 200〜300ml/100g
Al含有率 <5%
wk率 <3.4
崩壊粒子 <1.0μm
非崩壊粒子 1.0〜100μm
を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の沈降ケイ酸。
【請求項5】
請求項1に記載の沈降ケイ酸の製法において、アルカリ金属ケイ酸塩溶液と鉱酸及びアルミニウム塩溶液とを水性環境中で、60〜95℃の温度及び7.0〜10.0のpH値で反応させ、この反応を40〜110g/lの固体濃度まで続け、pH値を3〜5の値に調整し、かつ得られた沈降ケイ酸を公知の方法で後処理することを特徴とする、請求項1に記載の沈降ケイ酸の製法。
【請求項6】
次のパラメータ:
BET表面積 80〜180m/g
CTAB表面積 80〜139m/g
BET/CTAB比 1.0〜1.6
シェアーズ数(0.1nNaOH消費) 5〜25ml
DBP−数 200〜300ml/100g
Al含有率 <5%
wk率 <3.4
崩壊粒子 <1.0μm
非崩壊粒子 1.0〜100μm
を有する請求項4に記載の沈降ケイ酸の製法において、アルカリ金属ケイ酸塩溶液と鉱酸及び硫酸アルミニウム溶液とを60〜95℃の温度及び7.0〜10.0のpH値で常に攪拌しながら反応させ、アルカリ金属ケイ酸塩溶液、鉱酸及び硫酸アルミニウム溶液の添加を場合により30〜90分間中断し、反応を40〜110g/lの固体濃度まで続け、pH値を3〜5の値に調節し、沈降ケイ酸を濾別し、洗浄し、かつ引き続き乾燥させ、場合により粉砕するか又は造粒することを特徴とする、請求項4に記載の沈降ケイ酸の製法。
【請求項7】
濾過のために、チャンバフィルタプレス又は薄膜フィルタプレス又はバンドフィルタ又はドラムフィルタ又は自動薄膜フィルタプレス又はフィルタ2種の組合せを使用する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
乾燥のために、空気乾燥機、ラック乾燥機、フラッシュ乾燥機、スピン−フラッシュ乾燥機又は類似の装置を使用する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
噴霧器又は2成分ノズル又は単成分ノズル及び/又は積層流動床を有する噴霧乾燥機中で液化フィルターケーキを乾燥させる、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
造粒のために、ロール突き固め機又は類似の装置を使用する、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
表面が式I〜III:
[R−(RO)3−nSi−(Alk)−(Ar)[B] (I)、
(RO)3−nSi−(Alkyl) (II)又は
(RO)3−nSi−(Alkenyl) (III)
[式中、
B:−SCN、−SH、−Cl、−NH(q=1の場合)又は−Sx−(q=2の場合)、
R及びR:1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、この場合、全ての基R及びRはそれぞれ同じか異なる意味を有していてよい、
R:C〜C−アルキル、−C〜C−アルコキシ基、
n:0;1又は2、
Alk:1〜18個の炭素原子を有する二価の線状又は分枝鎖炭化水素基、
m:0又は1、
Ar:6〜12個のC−原子、有利に6個のC−原子を有するアリーレン基、
p:0又は1;但し、p及びnは同時に0ではない、
x:2〜8の整数、
Alkyl:1〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する一価の線状又は分枝鎖飽和炭化水素基、
Alkenyl:2〜20個の炭素原子、有利に2〜8個の炭素原子を有する一価の線状又は分枝鎖不飽和炭化水素基、
q:1又は2]のオルガノシランで変性されている、請求項1に記載の沈降ケイ酸。
【請求項12】
オルガノシランを沈降ケイ酸100部に対して0.5〜50部、殊には沈降ケイ酸100部に対して1〜15部混合して沈降ケイ酸を変性し、その際、沈降ケイ酸とオルガノシランとの反応を、混合物製造の間に(現場で)、又はその外で混合物の噴霧及び引き続く熱処理により、又はシランとケイ酸懸濁液とを混合し、引き続き乾燥及び熱処理することにより実施することを特徴とする、請求項11に記載のケイ酸の製法。
【請求項13】
次の物理化学的パラメータ:
BET表面積 80〜180m/g
CTAB表面積 80〜139m/g
BET/CTAB比 1.0〜1.6
シェアーズ数(0.1nNaOH消費) 5〜25ml
DBP−数 200〜300ml/100g
Al含有率 <5%
wk率 <3.4
崩壊粒子 <1.0μm
非崩壊粒子 1.0〜100μm
を有する請求項1に記載の沈降ケイ酸を充填材として含有する、加硫可能なゴム混合物及び加硫ゴム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−265097(P2006−265097A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106642(P2006−106642)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【分割の表示】特願平11−245541の分割
【原出願日】平成11年8月31日(1999.8.31)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】