説明

油中水分除去装置および油中水分除去方法

【課題】潤滑油中の水分を効率良く除去することができる油中水分除去装置および油中水分除去方法を提供する。
【解決手段】本実施例に係る油中水分除去装置20Aは、風力を受けて回転する風車翼と、風車翼の内部に設けられ、風車翼が取り付けられたロータヘッド側から風車翼の先端側を経由して風車翼内に水分を含む潤滑油21を循環させる潤滑油循環配管22と、を有する。風車翼が回転することで発生する遠心力により、潤滑油循環配管22内で水分を含む潤滑油21が水分の含有量が多い潤滑油21Aと水分の含有量が少ない潤滑油21Bとに分離され、水分の含有量が多い潤滑油21Aを排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電設備などに用いられる潤滑油中の水分と夾雑物を除去する油中水分除去装置および油中水分除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーである風力を利用して発電を行う風力発電設備の開発に伴う技術開発競争が活発に行なわれている。図3は、風力発電設備の構成の一例を簡略に示す図である。図3に示すように、風力発電設備は、支柱(タワー)上に設置されたナセルに、風車翼を取り付けたロータヘッドと、このロータヘッドと一体に回転するよう連結された主軸と、風車翼に風力を受けて回転する主軸を連結した増速機と、増速機の軸出力によって駆動される発電機とを設けたものである。また、支柱は地面や洋上などに設けた基台上に設置される。
【0003】
このように構成された風力発電設備では、風力を回転力に変換する風車翼を備えたロータヘッド及び主軸が回転して軸出力を発生し、主軸に連結された増速機を介して回転数を増速した軸出力が発電機に伝達される。このため、風力を回転力に変換して得られる軸出力を発電機の駆動源とし、発電機の動力として風力を利用した発電を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、風力発電設備には、主軸受けの焼き付け防止などのため、潤滑油が循環して再利用されている。潤滑油の中に水分が含まれている場合、磨耗・腐食など機器の損傷が生じる可能性が高くなるため、潤滑油の循環障害、潤滑油の潤滑性能の低下、潤滑油の酸化劣化、装置の腐食などを防止し、ナセル内を循環して使用される潤滑油の品質および純度を維持することは、ナセル内に設置されている機器の耐久性を維持していく上で重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−127505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、風力発電設備は洋上に設置される場合が多いため、水分の多い環境に晒される場合が多く、潤滑油を風力発電設備内で長期間に亘り循環使用することで、使用する際に潤滑油中に海水に起因する水分や雨水等が混入し蓄積され、潤滑油が劣化する、という問題がある。
【0007】
潤滑油に混入した水分の除去方法としては、例えば油分と水分との比重差を利用した静置法、遠心分離法、過熱法、電圧印加法、吸水材料に吸収させる方法及び吸着材料による濾過法等がある。洋上の場合、これらの設備を配置するスペースがほとんどなく、ある程度のスペースの確保が見込まれるナセル内においても多数の精密機器が搭載されているため、潤滑油の水分を除去する装置をナセル内に設けるのは困難である、という問題がある。
【0008】
本発明は、前記問題に鑑み、潤滑油中の水分を効率良く除去することができる油中水分除去装置および油中水分除去方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、風力を受けて回転する風車翼と、前記風車翼の内部に設けられ、前記風車翼が取り付けられたロータヘッド側から前記風車翼の先端側を経由して前記風車翼内に水分を含む潤滑油を循環させる潤滑油循環配管と、を有し、前記風車翼が回転することで発生する遠心力により、前記潤滑油循環配管内で水分を含む潤滑油が水分の含有量が多い潤滑油と水分の含有量が少ない潤滑油とに分離され、前記水分の含有量が多い潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去装置である。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記風車翼の内部に設けられ、前記潤滑油循環配管と連結し、前記潤滑油循環配管内の潤滑油を抜出す潤滑油抜出し管が設けられることを特徴とする油中水分除去装置である。
【0011】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記風車翼の内部に、前記潤滑油循環配管中の潤滑油の赤外吸収スペクトルを測定する水分測定手段が設けられていることを特徴とする油中水分除去装置である。
【0012】
第4の発明は、第1乃至3の何れか一つの発明において、前記風車翼の内部に、前記風車翼内に前記潤滑油循環配管中の潤滑油の夾雑物の含有量を測定する粒度収測定手段が設けられていることを特徴とする油中水分除去装置である。
【0013】
第5の発明は、第1乃至4の何れか一つの発明において、前記風車翼の内部に設けられ、赤外線照射装置から照射される赤外線を導光する第1の光ファイバと、レーザ光照射装置より照射されるレーザ光を導光する第2の光ファイバとを有することを特徴とする油中水分除去装置である。
【0014】
第6の発明は、第1乃至4の何れか一つの発明において、前記潤滑油循環配管内に白色光を照射するための白色光照射手段と、前記潤滑油循環配管の外部に設けられ、前記白色光を受光する撮像手段と、前記潤滑油循環配管の外部に設けられ、受光した白色光のコントラストを認識するための標識とを有することを特徴とする油中水分除去装置である。
【0015】
第7の発明は、第1乃至6の何れか一つの発明の油中水分除去装置を備えることを特徴とする風力発電設備である。
【0016】
第8の発明は、風力を受けて回転する風車翼の内部に前記風車翼が取り付けられたロータヘッド側から前記風車翼の先端側を経由してロータヘッド側に前記風車翼内に水分を含む潤滑油を循環させる潤滑油循環配管を設け、前記潤滑油循環配管内に前記潤滑油を循環させ、前記風車翼が回転することで生じる遠心力により、水分の含有量が多い潤滑油と水分の含有量が少ない潤滑油とに分離し、水分の含有量が多い潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法である。
【0017】
第9の発明は、第8の発明において、前記風車翼の内部に前記潤滑油循環配管内の潤滑油を抜出す潤滑油抜出し管を設け、前記水分の含有量が多い潤滑油を排出した後、前記潤滑油抜出し管内に前記水分の含有量が少ない潤滑油を抜出し、前記風力発電設備内に設置されている機器に用いる潤滑油に混合することを特徴とする油中水分除去方法である。
【0018】
第10の発明は、第8又は9の発明において、前記風車翼の内部で前記潤滑油循環配管中の潤滑油の赤外吸収スペクトルを測定し、測定された潤滑油の赤外吸収スペクトルに基づいて前記潤滑油中の水分量を求め、求められた前記潤滑油中の水分量に基づいて前記潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法である。
【0019】
第11の発明は、第8乃至10の何れか一つの発明において、前記風車翼内の内部で前記潤滑油循環配管中の潤滑油の夾雑物の含有量を測定し、測定された潤滑油の夾雑物の含有量に基づいて前記潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法である。
【0020】
第12の発明は、第8又は9の発明において、前記風車翼の内部で前記潤滑油循環配管中の潤滑油の赤外吸収スペクトルを測定し、測定された潤滑油の赤外吸収スペクトルに基づいて前記潤滑油中の水分量を求めると共に、前記潤滑油に含まれる夾雑物により反射された反射光を検知し、潤滑油に含まれる夾雑物の含有量を測定し、求めた前記潤滑油中の水分量および夾雑物の含有量に基づいて前記潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、風車翼内に水分を含む潤滑油を循環させる潤滑油循環配管を設けることで、風車翼が回転することで生じる遠心力を利用することにより、水と潤滑油との比重差で水分の含有量が多い潤滑油と水分の含有量が少ない潤滑油とに効率良く分離することができる。このため、前記潤滑油中の水分を常時安定して除去することができるので、潤滑油中の水分により、風力発電設備内の機器が磨耗又は腐食により損傷が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る油中水分除去装置を適用した風力発電設備の構成を簡略に示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1に係る油中水分除去装置の構成を簡略に示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係る油中水分除去装置の風車翼の一部の構成のみを簡略に示す図である。
【図4】図4は、図3の構成の一部を詳細に示す図である。
【図5】図5は、粒度測定装置の他の構成を簡略に示す図である。
【図6】図6は、粒度測定装置の他の構成を簡略に示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施例3に係る油中水分除去装置の風車翼の一部の構成のみを簡略に示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施例4に係る油中水分除去装置の風車翼の一部の構成のみを簡略に示す図である。
【図9】図9は、図8の光照射方向から見た時の構成の一部を簡略に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0024】
本発明による実施例1に係る油中水分除去装置を適用した風力発電設備について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る油中水分除去装置を適用した風力発電設備の構成を簡略に示す図である。
図1に示すように、風力発電設備10は、タワー(支柱)11上に設置されたナセル12に、風車翼13を取り付けたロータヘッド14と、このロータヘッド14と一体に回転するよう連結された主軸15と、風車翼13に風力を受けて回転する主軸15を連結した増速機16と、増速機16の軸出力によって駆動される発電機17とを設けたものである。また、支柱11は地面や洋上などに設けた基台18上に設置される。
尚、ナセル12内には増速機16や発電機17の他に、油圧装置やその他の電気機器やこれらの制御装置も設置されている。タワー11は筒状であってタワー11の内部の下部には電気設備が設置されている。
【0025】
風力を回転力に変換する風車翼13を備えたロータヘッド14及び主軸15が回転して軸出力を発生し、主軸15に連結された増速機16を介して回転数を増速した軸出力が発電機17に伝達される。風力を回転力に変換して得られる軸出力を発電機17の駆動源とし、発電機17の動力として風力を利用して発電を行うことができる。発電機17で得られた電力はタワー11内部の基台18に設置された電気設備19に送電される。
【0026】
また、風力発電設備10の各風車翼13には、本実施例に係る油中水分除去装置20Aが設けられている。
図2は、本発明の実施例1に係る油中水分除去装置の構成を簡略に示す図である。
図2に示すように、本実施例に係る油中水分除去装置20Aは、風力を受けて回転する風車翼13と、風車翼13の内部に設けられ、風車翼13が取り付けられたロータヘッド14側から風車翼13の先端側を経由して風車翼13内に水分を含む潤滑油21を循環させる潤滑油循環配管22と、を有するものである。
尚、本発明において潤滑油は、水分を含む潤滑油をいう。また、潤滑油には、夾雑物を更に含む潤滑油も含まれる。夾雑物は、潤滑油を機器等で用いることで混入する固形物などであり、例えば、非鉄金属等の金属屑、鉄粉や非鉄金属粉等の金属粉及び各種塵埃等が挙げられる。その他、すす、酸化物、ニトロ化物、硫黄化物、燃料残留物、水、グリコール混入物なども含まれる。潤滑油の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉱物油、合成油及び植物油等が挙げられる。
【0027】
潤滑油循環配管22は、図1に示すように、ナセル12内の主軸15、増速機16、発電機17などに供給される潤滑油21を貯留する潤滑油貯留タンク23からロータヘッド14内に配設され、各風車翼13の内部に貫入されている。潤滑油循環配管22は、風車翼13の内部でロータヘッド14側から風車翼13の先端側に伸び風車翼13の先端側を経由してロータヘッド14側に供給されるように構成されている。風車翼13内に水分を含む潤滑油21を潤滑油循環配管22内を循環させることができる。また、潤滑油循環配管22には、風車翼13内に水分を含む潤滑油21を送給するためのポンプP1が設けられている。なお、潤滑油循環配管22が潤滑油貯留タンク23に連結されている部分には、潤滑油循環配管22の回転を許容しながら液密性を保つためのOリングなどが施されている。
【0028】
潤滑油循環配管22は、例えば、鉄材など水が浸入しにくく、油漏れが発生しない材質であれば好適に用いられる。
【0029】
風車翼13が風力により回転している状態で、風車翼13の内部の潤滑油循環配管22内に潤滑油21が供給されると、風車翼13が回転することで風車翼13には遠心力が発生しているため、潤滑油21中の水分と油の比重差により潤滑油21中の水分は風車翼13の先端方向に移動する。例えば、風車翼13の全長が50m程度とし、回転力を100rpmとした時、潤滑油21中の水分および夾雑物と油の比重差により潤滑油21中の水分を風車翼13の先端方向に移動させ、油と分離することができる。油と夾雑物との分離の場合、特にその夾雑物が金属である場合は、回転数が20Hz程度であっても分離可能である。
よって、風車翼13が回転することで発生する遠心力により、潤滑油循環配管22内で水分を含む潤滑油21が水分の含有量が多い潤滑油21Aと水分の含有量が少ない潤滑油21Bとに分離され、水分の含有量が多い潤滑油21Aを排出することができる。
【0030】
また、風車翼13の内部の潤滑油循環配管22には、潤滑油循環配管22内に供給される潤滑油21の油量を調整する調節弁V1〜V3が設けられている。風車翼13の内部の潤滑油循環配管22に潤滑油21を供給する際は、調節弁V1、V2を開放し、調節弁V3を閉鎖する。潤滑油21が調節弁V1の付近まで溜まった後、調節弁V1を閉鎖する。このとき、潤滑油21潤滑油循環配管22内の調節弁V1と調節弁V3との間に溜まる。
【0031】
風車翼13が風力により回転している状態で、風車翼13が回転することで発生する遠心力により滑油12中の水分と油の比重差で潤滑油21中の水分は風車翼13の先端方向に移動するため、潤滑油21中の水分の濃度が高くなり、水分の含有量が多い潤滑油21Aは、水分の含有量が少ない潤滑油21Bに比べ潤滑油循環配管22の調節弁V2、V3との間に溜まる比率が高くなる。
【0032】
その後、潤滑油循環配管22の調節弁V1は閉鎖したまま、調節弁V2も閉鎖し、調節弁V3のみを開放し、排出用タンク24により水分を含有する潤滑油21Aを排出し、排出用タンク24に送給される。
【0033】
また、風車翼13の内部には、潤滑油循環配管22と連結し、潤滑油循環配管22内の潤滑油21を抜出す潤滑油抜出し管25が設けられている。潤滑油抜出し管25には、潤滑油循環配管22から潤滑油抜出し管25に抜出す潤滑油21の油量を調整する調節弁V4が設けられている。水分の含有量が多い潤滑油21Aを排出した後、調節弁V1〜V3を閉鎖し、調節弁V4は開放し、水分の含有量が少ない潤滑油21Bは潤滑油抜出し管25に抜出す。潤滑油抜出し管25に抜出した水分の含有量が少ない潤滑油21Bは潤滑油21を貯留する潤滑油貯留タンク23に送給される。このとき、水分を除去した潤滑油21Bは排出ポンプP2で風車翼13から潤滑油貯留タンク23に送給される。
潤滑油循環配管22の調節弁V1と調節弁V2との間に残っている潤滑油21は水分はほとんど含有されていないため、水分の含有量が少ない潤滑油21Bは潤滑油貯留タンク23内の潤滑油21と混合することで、再利用することができる。
【0034】
よって、潤滑油循環配管22内から風車翼13内に潤滑油21を所定量送給し、風車翼13の内部にある潤滑油21を遠心分離することで得られる水分の含有量が少ない潤滑油21Bを潤滑油21と混合することで、再利用することができる。
【0035】
また、風車翼13の内部の潤滑油循環配管22はナセル12の内部の潤滑油貯留タンク23に接続されているため、潤滑油貯留タンク23から随時水分を含む潤滑油21を供給することができるので、潤滑油21中の水分を常時効率良く安定して除去することができる。
【0036】
このように、本実施例に係る油中水分除去装置20Aによれば、風車翼13内に水分を含む潤滑油21Bを循環させる潤滑油循環配管22を設けることで、風車翼13が回転することで生じる遠心力を利用することにより、水と潤滑油との比重差で水分の含有量が多い潤滑油21Aと水分の含有量が少ない潤滑油21Bとに効率良く分離することができる。このため、潤滑油21中の水分を常時安定して除去することができるので、潤滑油21中の水分により、風力発電設備内の機器が磨耗又は腐食により損傷が生じるのを防止することができる。
【0037】
また、本実施例に係る油中水分除去装置20Aにおいて用いられる潤滑油としては、風力発電設備で用いられる潤滑油について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、潤滑油を遠心分離により水分と潤滑油とを分離できるものであればよい。風力発電設備10以外に、例えばヘリコプタなど回転翼を有する回転機械に用いる潤滑油についても同様に用いることができる。
【実施例2】
【0038】
本発明による実施例2に係る油中水分除去装置について、図面を参照して説明する。なお、実施例1に係る油中水分除去装置の構成と重複する部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
図3は、本発明の実施例2に係る油中水分除去装置の風車翼の一部の構成のみを簡略に示す図であり、図4は、図3の構成の一部を詳細に示す図である。
図3に示すように、本実施例に係る油中水分除去装置20Bは、図1に示す本発明の実施例1に係る油中水分除去装置20Aの風車翼13の内部に、潤滑油循環配管22中の潤滑油21の赤外吸収スペクトルを測定する水分測定装置(水分測定手段)31と、潤滑油循環配管22中の潤滑油21の夾雑物の含有量を測定する粒度測定装置(粒度測定手段)32Aとが設けられてなるものである。
【0039】
水分測定装置31では、赤外分光法(Infrared spectroscopy:IR)を用いて行なわれる。図3、4に示すように、水分測定装置31は、赤外線33を照射する赤外線照射装置34と、照射された赤外線33を検出し、赤外線33の吸収スペクトルを測定する検知器35とで構成されている。また、潤滑油抜出し管13には、水分測定装置31から照射された赤外線33が通過可能な窓36、37が設けられている。
なお、赤外線とは、赤色光よりも波長が長く、ミリ波長の電波よりも波長の短い電磁波全般をいい、波長は0.7μm以上1000μm以下である。また、赤外領域には赤外線は、近赤外線、中赤外線、遠赤外線を含むものをいう。本発明において、赤外領域とは、光の波長が1000nm以上10000nm以下の範囲であり、3000nm以上7000nm以下の範囲が好適である。
【0040】
また、水分測定装置31は、赤外線33の吸収スペクトルを求める赤外分光法(Infrared spectroscopy:IR)を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared spectrometer:FT−IR)、特定波長の光を照射するレーザ光などを用いて行なうようにしてもよい。
【0041】
赤外線照射装置34から照射された赤外線33は、窓36を通過し、潤滑油循環配管22内の潤滑油21に照射され、滑油循環配管22の窓37を通過した赤外線33は検知器35で検知され、制御装置38に伝達される。赤外線照射装置34より潤滑油循環配管22内の潤滑油21に向けて赤外線33を照射すると、潤滑油循環配管22内の潤滑油21中の水分に起因した赤外線33の特定の波長の吸収により検知器35で水分子に起因した赤外吸収スペクトルを得ることができる。
【0042】
よって、潤滑油循環配管22中の潤滑油21に含まれる水分を測定することで、水分の分離を確実にすることができる。
【0043】
また、粒度測定装置32Aは、レーザ光41を照射するレーザ光照射装置42と、潤滑油抜出し管13中の潤滑油21中に含まれる夾雑物とレーザ光41が衝突することで発生する散乱光43を検知する検知器44とで構成されている。また、潤滑油循環配管22にはレーザ光照射装置42から照射されたレーザ光41が通過可能な窓45、46が設けられている。
【0044】
レーザ光照射装置42から照射されるレーザ光41としては、ヘリウム(He)とネオン(Ne)の混合ガスによる波長が633nmのHe−Neレーザなどが用いられる。用いられるレーザ光41としては、He−Neレーザに特に限定されるものではなく、他のレーザ光を用いてもよい。
【0045】
レーザ光照射装置42から潤滑油抜出し管13中の潤滑油21に向けてレーザ光41が照射されると、潤滑油21に夾雑物が混入していない場合には、レーザ光41は潤滑油抜出し管13を通過してビームダンパ47で遮光される。
【0046】
一方、潤滑油21に夾雑物が混入している場合、レーザ光41は夾雑物と衝突することで散乱し、散乱光43を発生する。発生した散乱光43はハーフミラー48で反射して検知器44で検知され、制御装置38に伝達される。潤滑油21中に夾雑物が多く含有されているほど、レーザ光41の散乱具合は大きくなり、発生する散乱光43も増大するため、散乱光43を測定することにより、潤滑油21中の夾雑物の含有割合を確認することができる。
【0047】
粒度測定装置32Aにより、潤滑油21中に夾雑物が含有されていると確認された場合には、風車翼13が回転することで発生する遠心力により、潤滑油循環配管22内の潤滑油21中の夾雑物は調節弁V2、V3の間に移動する。その後、調節弁V1、V2を閉鎖した後、調節弁V3を開放することで、夾雑物を多く含有する潤滑油21は潤滑油抜出し管13より排出される。
【0048】
また、粒度測定装置32Aにより潤滑油21中に夾雑物が含有されていないと確認された場合には、上記と同様に、風車翼13が回転することで発生する遠心力を利用することにより、潤滑油循環配管22内で水分を含む潤滑油21が水分の含有量が多い潤滑油21Aと水分の含有量が少ない潤滑油21Bとに分離し、調節弁V1、V2を閉鎖した後、調節弁V3を開放することで、水分の含有量が多い潤滑油21Aを潤滑油抜出し管13から排出することができる。また、水分の含有量が多い潤滑油21Aを排出した後、調節弁V1、V2、V3を閉鎖し、調節弁V4を開放することで、水分の含有量が少ない潤滑油21Bを潤滑油抜出し管25に送給し、潤滑油21を貯留する潤滑油貯留タンク23に送給される。
【0049】
よって、粒度測定装置32Aにより潤滑油21に含まれる水分の他に夾雑物を除去することで、夾雑物が含有されていない潤滑油21を安定して潤滑油貯留タンク23に供給することができる。
【0050】
また、潤滑油21に含まれる夾雑物の測定方法としては、レーザ光41が夾雑物と衝突することで発生する散乱光43を測定する方法に限定されるものではなく、潤滑油21を通過するレーザ光41の光量を測定する方法を用いるようにしてもよい。
図5は、粒度測定装置の他の構成を簡略に示す図である。
図5に示すように、粒度測定装置32Bは、レーザ光41を照射するレーザ光照射装置42と、潤滑油抜出し管13を通過したレーザ光41を検知する検知器51とで構成されている。
レーザ光照射装置42から照射されたレーザ光41が潤滑油抜出し管13中の潤滑油21に照射されると、潤滑油21に夾雑物が混入していない場合には、潤滑油抜出し管13内に照射されたレーザ光41と同等の光量が検知器51で検知される。一方、潤滑油21に夾雑物が混入している場合、レーザ光41は夾雑物と衝突することで散乱し、潤滑油21中に夾雑物が多く含有されているほど、レーザ光41の散乱具合は大きくなり、検知器51で検知されるレーザ光41の光量が低下する。よって、窓46を通過して検知器51で検知されるレーザ光41の光量を測定することにより、潤滑油21中の夾雑物の含有割合を検知することができる。
【0051】
また、レーザ光41を照射するレーザ光照射装置42に代えて、光を照射する光源を用いるようにしてもよい。
図6は、粒度測定装置の他の構成を簡略に示す図である。図6に示すように、粒度測定装置32Cは、光52を照射する光源53と、潤滑油抜出し管13を通過した光52を検知する検知器55とで構成されている。検知器55として例えばフォトダイオードCCD(Charge Coupled Device)カメラなどが用いられる。
【0052】
光源53から照射された光52は、レンズ54で光束が調整された後、窓44を通過し、滑油循環配管22内の潤滑油21に照射される。潤滑油抜出し管13を通過した光52は検知器55で検知され、検知器55で検知された光52は制御装置38に伝達され、光41の光量が検出される。検知器51で光52の光量を検知することで、潤滑油21に含まれる夾雑物を測定することができる。
【0053】
このように、本実施例に係る油中水分除去装置20Bによれば、風車翼13の内部に、水分測定装置31、粒度測定装置32Aを設け、潤滑油循環配管22内の潤滑油21に含まれる水分を分析し、潤滑油21に含まれる夾雑物を確認し、水分、夾雑物を含有する潤滑油21を効率よく除去することで、潤滑油21中に含まれる水分、夾雑物が潤滑油21と同伴して前記風力発電設備内に設置されている機器に送給されるのを確実に防止することができる。従って、前記風力発電設備内に設置されている機器には、水分、夾雑物が除去された潤滑油21を安定して再利用することができる。このため、潤滑油21中の水分、夾雑物により、機器が磨耗又は腐食により損傷が生じるのを防止することができる。
【0054】
また、本実施例に係る油中水分除去装置20Bにおいては、風車翼13の内部に、潤滑油循環配管22中の潤滑油21の赤外吸収スペクトルを測定する水分測定装置31と、潤滑油循環配管22中の潤滑油21の夾雑物の含有量を測定する粒度測定装置32Aとの両方を設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外吸収測定装置31、粒度測定装置32A〜32Cの何れか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施例に係る油中水分除去装置20Bにおいては、潤滑油循環配管22中の潤滑油21に赤外線33、レーザ光41などを照射して、滑油21の水分、夾雑物の含有量を測定するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、潤滑油循環配管22中の潤滑油21を測定する際、潤滑油循環配管22中の潤滑油21を一部抜き出して分析するようにしてよい。潤滑油循環配管22から一部抜き出した潤滑油21は、風力発電装置10を構成するナセル12、タワー11、ロータヘッド14などの内部、またはこれらの外部に分析装置を設け、前記分析装置で潤滑油21を分析するようにしてもよい。
【実施例3】
【0056】
本発明による実施例3に係る油中水分除去装置について、図面を参照して説明する。
なお、本実施例に係る油中水分除去装置の全体の構成は、実施例1、2に係る油中水分除去装置と同様であるため、本実施例に係る油中水分除去装置においては、風車翼の一部の構成のみを用いて説明する。
また、実施例1、2に係る油中水分除去装置の構成と重複する部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
図7は、本発明の実施例3に係る油中水分除去装置の風車翼の一部の構成のみを簡略に示す図である。
図7に示すように、本実施例に係る油中水分除去装置20Cは、図3〜6に示す本発明の実施例2に係る油中水分除去装置20Bの風車翼13の内部に、赤外線照射装置34から照射される赤外線33を導光する第1の光ファイバ61と、レーザ光照射装置42から照射されるレーザ光41を導光する第2の光ファイバ62とを有するものである。
また、本実施例では、赤外線照射装置34、レーザ光照射装置42は、ナセル12の内部に設けられている。
【0057】
赤外線照射装置34から照射された赤外線33は、第1の光ファイバ61により風車翼13内を導光され、ファイバアダプタ62から筒体63の内部に照射される。ファイバアダプタ62から照射された赤外線33は光束調整手段64で光束が調整された後、潤滑油循環配管22内に照射される。また、本実施例では、光束調整手段64は、凸レンズ64a、凹レンズ64bで構成され、赤外線33は任意の光束に調整される。潤滑油循環配管22内を通過した赤外線33は、筒体63と対向するように窓37を覆うように設けられた筒体65内の凸レンズ66で光軸が調整された後、ファイバアダプタ67で受光される。その後、赤外線33は第1の受光用光ファイバ68により風車翼13の外側に導光され、ナセル12内に設けられている検知器35で検知され、制御装置38に伝達される。
【0058】
また、レーザ光照射装置42から照射されたレーザ光41は、第2の光ファイバ62により風車翼13内を導光され、ファイバアダプタ71から筒体72の内部に照射される。ファイバアダプタ71から照射されたレーザ光41は光束調整手段73で光束が調整された後、潤滑油循環配管22内に照射される。また、本実施例では、光束調整手段73も、光束調整手段64と同様に、凸レンズ73a、凹レンズ73bで構成され、レーザ光41は任意の光束に調整される。潤滑油循環配管22内を通過したレーザ光41は潤滑油抜出し管13を通過してビームダンパ47で遮光される。一方、潤滑油21に夾雑物が混入している場合、レーザ光41は夾雑物と衝突することで発生する散乱光43はハーフミラー48で反射してファイバアダプタ74に受光される。その後、散乱光43は、第2の受光用光ファイバ75により風車翼13外に導光され、ナセル12内に設けている検知器44で検知され、制御装置38に伝達される。
【0059】
本実施例に係る油中水分除去装置20Cによれば、第1の光ファイバ61により風車翼13の内部に赤外線33を導光し、第2の光ファイバ62により風車翼13の内部にレーザ光41を導光し、第1の受光用光ファイバ68により風車翼13の外部に赤外線33を導光し、第2の受光用光ファイバ75により風車翼13外にレーザ光41を導光するようにしている。このため、風車翼13の内部に設ける設備を軽減しつつ、潤滑油循環配管22内の潤滑油21に含まれる水分を分析すると共に、潤滑油21に含まれる夾雑物を確認することができる。
よって、水分、夾雑物を含有する潤滑油21を効率よく除去することができるため、潤滑油21中に含まれる水分、夾雑物が潤滑油21と同伴して前記風力発電設備内に設置されている機器に送給されるのを確実に防止することができる。
また、赤外線33を第1の光ファイバ61、第1の受光用光ファイバ68により風車翼13の内外に導光し、レーザ光41を第2の光ファイバ62、第2の受光用光ファイバ75により風車翼13の内外に導光することができるため、風車翼13の内部に設ける設備を軽減することができる。
更に、第1の光ファイバ61、第2の光ファイバ62を分岐することができるため、1つの赤外線照射装置34から照射された赤外線33、1つのレーザ光照射装置42から照射されたレーザ光41を潤滑油循環配管22の複数の箇所に同時に又は個別に照射することができる。
従って、前記風力発電設備内に設置されている機器には、水分、夾雑物が除去された潤滑油21を更に安定して再利用することができる。このため、潤滑油21中の水分、夾雑物により、機器が磨耗又は腐食により損傷が生じるのを更に確実に防止することができる。
【0060】
また、本実施例に係る油中水分除去装置20Cにおいては、外線照射装置34、レーザ光照射装置42は、ナセル12内に設けるようにしているが、本発明は、これに限定されるものではなく、風力発電装置10を構成するタワー11、ロータヘッド14などの内部、またはこれらの外部に分析装置を設けるようにしてもよい。
【実施例4】
【0061】
本発明による実施例4に係る油中水分除去装置について、図面を参照して説明する。
なお、本実施例に係る油中水分除去装置の全体の構成は、実施例1〜3に係る油中水分除去装置と同様であるため、本実施例に係る油中水分除去装置においては、風車翼の一部の構成のみを用いて説明する。
また、実施例1〜3に係る油中水分除去装置の構成と重複する部材については、同一符号を付してその説明は省略する。
図8は、本発明の実施例4に係る油中水分除去装置の風車翼の一部の構成のみを簡略に示す図であり、図9は、図8の光照射方向から見た時の構成の一部を簡略に示す図である。
図8、9に示すように、本実施例に係る油中水分除去装置20Dは、潤滑油循環配管22内に白色光81を照射するための白色光照射装置(白色光照射手段)82と、潤滑油循環配管22の外部に設けられ、白色光81を受光する撮像装置(撮像手段)83と、潤滑油循環配管22の外部に設けられ、受光した白色光81のコントラストを認識するための標識84とを有するものである。
【0062】
白色光照射装置82から照射される白色光81は、窓85を介して潤滑油循環配管22内に照射され、窓86を通過した白色光81は、ビームダンパ87で遮断される。潤滑油21に夾雑物が混入している場合、レーザ光41は夾雑物と衝突することで発生した散乱光88の一部は、窓89を通過して凸レンズ90で光束が調整された後、撮像装置83で受光され、潤滑油21の色及び明暗を認識している。撮像装置83としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどが用いられる。撮像装置83で認識された潤滑油21の色及び明暗は、制御装置38に伝達される。また、散乱光88の他の一部は、窓91を通過して標識84に照射される。
【0063】
撮像装置83において認識される潤滑油21の色の明暗に応じて潤滑油21中に混入している夾雑物(異物)の量を判定することができる。例えば、潤滑油21中に混入している夾雑物の量が多いほど、撮像装置83において認識される潤滑油21の色は、黒色に認識される。
【0064】
また、撮像装置83において認識される潤滑油21の色に応じて潤滑油21の劣化具合を判定することができる。例えば、潤滑油21の劣化が進行しているほど、撮像装置83において認識される潤滑油21の色は、琥珀色から濃い茶色に認識される。
【0065】
更に、撮像装置83において認識される標識84のコントラストに応じて潤滑油21中に含まれる水分、概ねその濃度を判定することができる。例えば、潤滑油21中に水分が含まれているほど、撮像装置83において認識される標識84のコントラストは低下する。
【0066】
よって、本実施例に係る油中水分除去装置20Dによれば、潤滑油循環配管22内の潤滑油21中の水分、概ねその濃度、夾雑物の含有量、潤滑油21の劣化具合を各々同時に測定することができるため、潤滑油循環配管22内の潤滑油21に含まれる水分の分析と、潤滑油21に含まれる夾雑物の確認と、潤滑油21の劣化具合の確認とを同時に行なうことができる。
従って、潤滑油21に含まれる水分の分析と、潤滑油21に含まれる夾雑物の確認と、潤滑油21の劣化具合の確認とを同時に行なうことで、水分、夾雑物を含有する潤滑油21を効率よく除去することができると共に、劣化した潤滑油21を除去することができる。このため、潤滑油21中に含まれる水分、夾雑物が潤滑油21と同伴して前記風力発電設備内に設置されている機器に送給されるのを確実に防止することができると共に、劣化した潤滑油21が前記風力発電設備内に設置されている機器を循環するのを防止することができる。
【0067】
以上、本発明の油中水分除去装置として、潤滑油循環配管22内を流れる潤滑油21中の水分、夾雑物を除去する装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、潤滑油以外の他の溶液中の水分、夾雑物を分離する装置等についても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係る油中水分除去装置は、潤滑油中の水分を分離して、水分を含有しない潤滑油を回収して再利用することができるので、風力発電設備に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0069】
10 風力発電設備
11 タワー(支柱)
12 ナセル
13 風車翼
14 ロータヘッド
15 主軸
16 増速機
17 発電機
18 基台
20A〜20D 油中水分除去装置
21、21A、21B 潤滑油
22 潤滑油循環配管
23 潤滑油貯留タンク
24 排出用タンク
25 潤滑油抜出し管
31 水分測定装置(水分測定手段)
32A〜32C 粒度測定装置(粒度測定手段)
33、51 赤外線
34、52 赤外線照射装置
35、44、49、51 検知器
36、37、45、46、85、86、89、91 窓
38、50 制御装置
41 レーザ光
42 レーザ光照射装置
43、88 散乱光
47、87 ビームダンパ
48 ハーフミラー
52 光
53 光源
54 レンズ
59 ハーフミラー
61 第1の光ファイバ
62 第2の光ファイバ
63、72 筒体
64、73 光束調整手段
65 筒体
66、90 凸レンズ
67、71、74 ファイバアダプタ
68 第1の受光用光ファイバ
75 第2の受光用光ファイバ
81 白色光
82 白色光照射装置(白色光照射手段)
83 撮像装置(撮像手段)
84 標識
V1〜V4 調節弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力を受けて回転する風車翼と、
前記風車翼の内部に設けられ、前記風車翼が取り付けられたロータヘッド側から前記風車翼の先端側を経由して前記風車翼内に水分を含む潤滑油を循環させる潤滑油循環配管と、を有し、
前記風車翼が回転することで発生する遠心力により、前記潤滑油循環配管内で水分を含む潤滑油が水分の含有量が多い潤滑油と水分の含有量が少ない潤滑油とに分離され、前記水分の含有量が多い潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記風車翼の内部に設けられ、前記潤滑油循環配管と連結し、前記潤滑油循環配管内の潤滑油を抜出す潤滑油抜出し管が設けられていることを特徴とする油中水分除去装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記風車翼の内部に、前記潤滑油循環配管中の潤滑油の赤外吸収スペクトルを測定する水分測定手段が設けられていることを特徴とする油中水分除去装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
前記風車翼の内部に、前記風車翼内に前記潤滑油循環配管中の潤滑油の夾雑物の含有量を測定する粒度測定手段が設けられていることを特徴とする油中水分除去装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つにおいて、
前記風車翼の内部に設けられ、赤外線照射装置から照射される赤外線を導光する第1の光ファイバと、レーザ光照射装置より照射されるレーザ光を導光する第2の光ファイバとを有することを特徴とする油中水分除去装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一つにおいて、
前記潤滑油循環配管内に白色光を照射するための白色光照射手段と、
前記潤滑油循環配管の外部に設けられ、前記白色光を受光する撮像手段と、
前記潤滑油循環配管の外部に設けられ、受光した白色光のコントラストを認識するための標識とを有することを特徴とする油中水分除去装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つの油中水分除去装置を備えることを特徴とする風力発電設備。
【請求項8】
風力を受けて回転する風車翼の内部に前記風車翼が取り付けられたロータヘッド側から前記風車翼の先端側を経由してロータヘッド側に前記風車翼内に水分を含む潤滑油を循環させる潤滑油循環配管を設け、前記潤滑油循環配管内に前記潤滑油を循環させ、前記風車翼が回転することで生じる遠心力により、水分の含有量が多い潤滑油と水分の含有量が少ない潤滑油とに分離し、水分の含有量が多い潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記風車翼の内部に前記潤滑油循環配管内の潤滑油を抜出す潤滑油抜出し管を設け、
前記水分の含有量が多い潤滑油を排出した後、前記潤滑油抜出し管内に前記水分の含有量が少ない潤滑油を抜出し、前記風力発電設備内に設置されている機器に用いる潤滑油に混合することを特徴とする油中水分除去方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記風車翼の内部で前記潤滑油循環配管中の潤滑油の赤外吸収スペクトルを測定し、測定された潤滑油の赤外吸収スペクトルに基づいて前記潤滑油中の水分量を求め、求められた前記潤滑油中の水分量に基づいて前記潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか一つにおいて、
前記風車翼内の内部で前記潤滑油循環配管中の潤滑油の夾雑物の含有量を測定し、測定された潤滑油の夾雑物の含有量に基づいて前記潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法。
【請求項12】
請求項8又は9において、
前記風車翼の内部で前記潤滑油循環配管中の潤滑油の赤外吸収スペクトルを測定し、測定された潤滑油の赤外吸収スペクトルに基づいて前記潤滑油中の水分量を求めると共に、
前記潤滑油に含まれる夾雑物により反射された反射光を検知し、潤滑油に含まれる夾雑物の含有量を測定し、
求めた前記潤滑油中の水分量および夾雑物の含有量に基づいて前記潤滑油を排出することを特徴とする油中水分除去方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate