説明

油分分離除去装置

【課題】
排水受槽内に何れの排水が送り込まれても、効率的に油分を分離除去することを課題とする。
【解決手段】
下方を開放し、上方を閉鎖する仕切板5aと下方を閉鎖し、上方を開放する仕切板5bを交互に設け、油分を含む排水を仕切板5aの下方を通し、仕切板5bの上方を通すようにして内部を通過させるようにした排水受槽1において、排水受槽1上には油脂回収装置6を設け、排水受槽1内の仕切板5a,5a間には筺体10を設け、筺体10上には吸水管12と吸水ポンプ13を設け、吸水ポンプ13の排出パイプ14はその排出口を油脂回収装置6内に設けるようにした油分分離除去装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に動物性の油分及び低温において固化する油分が多く含まれるような厨房排水等の排水から油分を分離除去する装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房排水等から油分を分離除去装置としては、排水槽内に油分、浮遊物等のスカムを分離する分離室を設け、且つ排水槽内の水面に浮上してくるスカムをポンプ吸引して回収する装置が提案されている(特開平7-284767号公報)。
【0003】
また、厨房より排出される油分等を含む排水をそのままグリーストラップに流さず、グリーストラップの前に油脂分除去装置を設け、これに排水を流して油分等を除去した後グリーストラップに排出する方法が提案され、この油脂分除去装置には内部に搬送ベルトからなるオイルスキマーを設け、このオイルスキマーにより排水上部も浮上した油脂分をオイルタンクに回収する方法が提案されている(特開2001-62447)。
【0004】
しかし、厨房等で使用する動植物性の油は鉱物油と異なり、低温となると固化してポンプの吸引効率を低下させたり、或いはオイルスキマー汲み上げ効率を低下させる。
【0005】
前記特開2001-62447では、分離槽内にヒーターを設けて槽内の温度を50℃以上に維持して排水中の油分の固化を防止してオイルスキマーにyる汲み上げ効果の低下を防ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-284767号公報
【特許文献2】特開2001-62447
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに対して、本願発明者は先に、入口側と出口側に送水路と排水路を設け、送水路より送られる油分を含む排水を出口側よりオーバーフローさせて排水路に排水する排水受槽に対して、内部に第一揚水ベルトを設けた揚水部と内部に第二揚水ベルトを設け、且つ底部に開放した油水分離部と油貯留部を連設した油水分離器を、揚水部内の第一ベルト及び油水分離部内の第二揚水ベルトと一部が排水の水面下に埋没させるように排水の流れ方向に沿って揚水部、油水分離部、油貯留部の順に配列されるように設置した油分分離除去装置を提案した(特開2005-2263346)。
【0008】
また、上記油分分離除去装置において、排水中上部の油分を多く含む層に上記揚水ベルトの一方又は両方の揚水面に近接して排水受け部を設け、該排水受け部にヒーターを配置するようにした油分分離装置を提案した(特開2006-88099)。
【0009】
しかし、大量の油分を含む排水が排水受槽内に送り込まれると、排水受槽内の排水上部には厚い油分層が形成されるが、この装置では排水受槽内に設けた油水分離器では、このような大量の油分を処理できず、油水分離器が破損させる結果ともなる。
【0010】
また、油分中に含まれる浮遊物が排水とラップに詰まるという事態も屡々発生した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上記実情に鑑み、下方を開放し、上方を閉鎖する仕切板と下方を閉鎖し、上方を開放する仕切板を交互に設け、油分を含む排水を第一仕切板の下方を通し、仕切板の上方を通すようにして内部を通過させるようにした排水受槽において、排水受槽上には油脂回収装置を設け、排水受槽内の仕切板間には筺体を設け、該筺体上には吸水管と吸水ポンプを設け、該吸水ポンプの排出パイプはその排出口を上記油脂回収装置内に設けるようにしたことを特徴とする油分分離除去装置を提案するものである。
【0012】
即ち、この発明において吸水ポンプを作動すると、油分を含む排水は吸水管内に吸い込まれ、筺体内を通り、更に排出パイプより油脂回収装置に送られ、ここで油脂分が分離除去されるのである。
【0013】
なお、吸水管の吸水口は仕切板間の上方に形成される油分層付近に設けられ、油分を多く含む排水を吸水して排出パイプより油脂回収装置に送り込むようにする。
【0014】
また、この発明においては吸水管内に浮遊物選別パンチングを収納して油分中の浮遊物を選別、回収するようにする。
【0015】
一方、油脂回収装置内には油脂回収ドラムを設けて装置内上層に溜まる油分を回収するようにしている。
【0016】
また、油脂回収装置内には油分分離板を設けて油分を多く含む排水が送入される区画と油分を含まない排水が送入される区画に分離するようにしている。
【0017】
更に、油分を多く含む排水が送入される区画にはその内壁に沿ってその側面に沿って送気口を有する送気管が設けられ、送気口から噴気流により油分が区画壁に付着するのを防ぐようにしている。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では大量の油分を含む排水が排水受槽内に送り込まれても、吸水ポンプからはその処理能力に見合う油分を含む排水が排水受槽上に設けられた油脂回収装置に送られ、ここで油分が回収されるので、排水中の油分の回収が円滑に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る装置の概略図
【図2】油脂回収装置の縦断側面図
【図3】同上の平面図
【図4】油脂回収装置の油分を多く排水が送入される区画内壁に沿って設けられる送気管斜視図
【図5】吸水ポンプが設けられた排水受槽内の斜視図
【図6】吸水管内に収納される浮遊物選別パンチングの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
下方を開放し、上方を閉鎖する仕切板と下方を閉鎖し、上方を開放する仕切板を交互に設け、油分を含む排水を仕切板の下方を通し、仕切板の上方を通すようにして内部を通過させるようにした排水受槽において、排水受槽上には油脂回収装置を設け、排水受槽内の仕切板間には筺体を設け、該筺体上には吸水管と吸水ポンプを設け、該吸水ポンプの排出パイプはその排出口を上記油脂回収装置内に設けるようにした油分分離除去装置。
【実施例1】
【0021】
以下、この発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明すると、1はこの発明に適用される排水受槽で、排水受槽1はこの実施例では地表下に施設され、入口側と出口側に送水路2と排水路3を設け、送水路2の出口にはゴミかご4が設けられ、送水路2より送られる油分を含む排水を出口側よりオーバーフローさせながら排水路3に排出させる。
【0022】
排水受槽1内には排水の送水方向に下方を開放して上方を閉鎖する仕切板5aと、下方を閉鎖して上方を開放する仕切板5bを設け、排水受槽1内に送り込まれた排水は仕切板5aの下方を通り、仕切板5bの上方を通り、出口側より排出される。
【0023】
排水受槽1上には油脂回収装置6が設けられ、油脂回収装置6の内部は油分分離板7で油分を多く含む排水が送入される区画8と油分を含まない排水が送入される区画9に分けられる。
【0024】
一方、排水受槽1内の仕切板4a,4a間には筺体10が設けられ、筺体10上には内部に浮遊物選別パンチング11を収納した吸水管12と吸水ポンプ13が取り付けられ、吸水ポンプ13の排水パイプ14はその排出口を油脂回収装置6内の区画8に設ける。
【0025】
吸水管12の吸水口は仕切板5a,5aの上部油分層が形成される付近に配置され、吸水ポンプ13が作動されることにより、油分を多く含む排水が吸水管12に吸入され、この排水は浮遊物選別パンチング11を通り、排水パイプ14を通り、油脂回収装置6の区画7に送入される。
【0026】
油脂回収装置6の区画8の上部には駆動モータ15で駆動される油脂回収ドラム16が設けられ、排水パイプ14を通って油脂回収装置6の区画8に送られた排水中の油分は上部に油分層は駆動するドラム16に掻き取られ、その油分は外部に設けられた油脂回収槽17に欠き板18を介して回収される。
【0027】
なお、この実施例では油脂回収ドラム16上において低温による油脂の固化を防ぐために、ドラム16の下部に蓄熱槽19が設けられている。
【0028】
更に、油分を多く含む排水が送入される区画8にはその内壁に沿って送気管20が設けられる。送気管20は区画20壁面の浅い部分に取り付けられ、油脂分、浮遊物を油脂回収装置6へ集合誘導を行うための装置で、このため送気管20の内側面に沿って複数の送気口21が設けられ、油脂回収装置6内に設けられたエアポンプ22から送気管20を通って送られる空気流を送気口21から区画8の中心に向かって噴出させることにより油脂分が区画壁に付着するのを防ぐようにし、且つ油脂分、浮遊物を油脂回収装置6に導くようにしている。
【0029】
一方、油脂回収装置5の油分を含まない排水が送入される区分9の底部には酸素供給管23が設けられており、エアポンプ22からの空気を酸素供給管23から噴出させ、排水を殺菌してオーバーフロー排水槽24に送られる。
【0030】
同様に、排水路3の下方には酸素供給管25が設けられており、エアポンプ22からの空気を酸素供給管25から噴出させ、排水を殺菌して排水路3に送られる。
【0031】
また、この発明では排水受槽1上に油脂回収装置6が設けられているため、排水受槽1に大量の排水が流れ込んでも油水分離除去を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上要するに、この発明に係る油分分離除去装置では、排水受槽内に何れの排水が送り込まれても、効率的に油分を分離除去することができる。
【符号の説明】
【0033】
1は排水受槽
2は送水路
3は排水路
4はゴミかご
5a、5bは仕切板
6は油脂回収装置
7は油分分離板
8は油分を多く含まれる排水が送入される区画
9は油分を含まない排水が送入される区画
10は筺体
11は浮遊物選別パンチング
12は吸水管
13は吸水ポンプ
14は排水パイプ
15は駆動モータ
16は油脂回収ドラム
17は油脂回収槽
18は欠き板
19は蓄熱槽
20は送気管
21は送気口
22はエアポンプ
23は酸素供給管
24はオーバーフロー排水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方を開放し、上方を閉鎖する仕切板と下方を閉鎖し、上方を開放する仕切板を交互に設け、油分を含む排水を仕切板の下方を通し、仕切板の上方を通すようにして内部を通過させるようにした排水受槽において、排水受槽上には油脂回収装置を設け、排水受槽内の仕切板間には筺体を設け、該筺体上には吸水管と吸水ポンプを設け、該吸水ポンプの排出パイプはその排出口を上記油脂回収装置内に設けるようにしたことを特徴とする油分分離除去装置。
【請求項2】
吸水管内に浮遊物選別パンチングを収納した請求項1記載の油分分離除去装置。
【請求項3】
油脂回収装置内に油脂回収ドラムを設けた請求項1記載の油分分離除去装置。
【請求項4】
油脂回収装置内に油分分離板を設け、油脂回収装置内に油分を多く含まれる排水が送入される区画と油分を含まない排水が送入される区画
を設けた請求項1記載の油分分離除去装置。
【請求項5】
油分を多く含む排水が送入される区画にはその内壁に沿って送気管が設けられ、該送気管の内側面に沿って複数の送気口を設けた請求項1記載の油分分離除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−183513(P2012−183513A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49732(P2011−49732)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(504362868)有限会社ケイ・ピー・エス (2)
【Fターム(参考)】