説明

油圧ポンプ装置

【課題】電動機の冷却風を利用することにより、構造の簡単な、取付作業性の良い、かつ安価な油圧ポンプ装置を提供する。
【解決手段】冷却ファンを有する電動機1と、この電動機1によって回転駆動される油圧ポンプ2と、電動機1の後方に所定の間隔で設置されたオイルクーラ3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に船舶用の油圧ポンプ装置に関し、さらに詳しくは船舶用の油圧ポンプ装置に装備されるオイルクーラの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば船舶用舵取り機の作動油を冷却するためオイルクーラが設けられている。このオイルクーラは、通常、電動機と該電動機の回転軸に装着される油圧ポンプとの間に取り付けられた冷却ファンによって冷却するようになっているので、オイルクーラを電動機の回転軸を跨いで設置する必要があった。そのため、オイルクーラを分割する必要があり、取付作業が非常に面倒であった。また、部品点数が多くコスト高となっていた。さらにまた、寸法上の制約のため設計自由度がなかった。
一方、オイルクーラに関する先行技術としては自動車関係のものは数多く提案されているが(例えば、特許文献1参照)、本発明の船舶用のオイルクーラに類似するものは見当たらなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−165926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、電動機の冷却風を利用することにより、構造の簡単な、取付作業性の良い、かつ安価な油圧ポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る油圧ポンプ装置は、冷却ファンを備えた電動機によって駆動される油圧ポンプ装置において、前記電動機の後方に所定の間隔を隔ててオイルクーラを設置したことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の油圧ポンプ装置においては、前記電動機と前記オイルクーラとの間隔を50〜100mmとするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油圧ポンプ装置は、冷却ファン付きの電動機の後方に所定の間隔を隔ててオイルクーラを設置する構成であるので、オイルクーラの取付作業性が非常によい。また、設計自由度が大きく、構造が簡単で安価にできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の一例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の油圧ポンプ装置を後方から見た概略の斜視図であり、同図では油圧ポンプ装置そのものは省略されている。図2は本発明の油圧ポンプ装置の側面図、図3はこのポンプ装置の背面図である。また、図4はこのポンプ装置に装備される電動機の部分断面を示す側面図、図5はこの電動機の背面図である。
【0009】
本実施形態の油圧ポンプ装置は、冷却ファンを有する電動機1と、この電動機1によって回転駆動される油圧ポンプ2と、電動機1の後方に所定の間隔で設置されたオイルクーラ3とを備えたものである。
そして、オイルクーラ3と電動機1との間隔Lは、50〜100mmの範囲が適している。間隔Lが50mmより小さいときは、電動機1へ流入する空気の温度が高くなり、電動機1の冷却が不十分となって電動機1に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。また逆にLが100mmより大きくなると、電動機1の冷却風は吸い込み流れであるのでオイルクーラ3の冷却が不十分となるからである。
【0010】
電動機1は、図4に示すように、回転軸4にカップリング10を介して油圧モータ2の駆動軸が連結されているとともに、回転軸4の後端部には冷却ファン5が取り付けられている。冷却ファン5は電動機1の後部に取り付けられたファンカバー6で覆われており、ファンカバー6には複数の吸気口7が設けられている。また、電動機1のステータの外周には複数の冷却フィン8が放射状に突設されている。したがって、電動機1が回転すると冷却ファン5が回転し、ファンカバー6に設けられた吸気口7から空気を吸い込み、冷却フィン8の間を吸い込み空気が流れることによって電動機1のステータを冷却するようになっている。
【0011】
上記オイルクーラ3は、方形状のフレームからなる取付台9に取り付けられていて、電動機1の後方に所定の間隔で設置されている。ここで、上記の間隔Lは、上記冷却ファン5のファンカバー6とオイルクーラ3の背面との間の軸方向の空間距離を意味している。この空間距離Lが上述のように50〜100mmとなるようにオイルクーラ3を設置する。
【0012】
本実施形態の油圧ポンプ装置は、上記のように構成されているので、電動機1を冷却する冷却風によってオイルクーラ3を冷却することができる。したがって、電動機1とオイルクーラ3間の間隔Lを50〜100mmの範囲に保つ限り、電動機1及びオイルクーラ3の両者共に十分な冷却が可能である。
また、オイルクーラ3は電動機1の後方に設置するだけであるので、その取付作業性がきわめて良く、かつ構造簡単で部品点数も少ないため大幅なコスト低減が可能となる。さらには寸法上の制約を受けることなく自由な設計が可能となる。
因みに、従来は電動機1と油圧ポンプ2間の回転軸4のカップリング上に跨ってオイルクーラを設置し、回転軸4に取り付けた冷却ファンによって冷却する構成であったので、オイルクーラの取付作業性がきわめて悪いものであった。したがって、本発明の有利性、便利性は明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の油圧ポンプ装置の概略斜視図。
【図2】同油圧ポンプ装置の側面図。
【図3】同油圧ポンプ装置の背面図。
【図4】同油圧ポンプ装置に装備される電動機の部分断面側面図。
【図5】同電動機の背面図。
【符号の説明】
【0014】
1:電動機
2:油圧ポンプ
3:オイルクーラ
4:回転軸
5:冷却ファン
6:ファンカバー
7:吸気口
8:冷却フィン
9:オイルクーラの取付台
10:カップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ファンを備えた電動機によって駆動される油圧ポンプ装置において、前記電動機の後方に所定の間隔を隔ててオイルクーラを設置したことを特徴とする油圧ポンプ装置。
【請求項2】
前記電動機と前記オイルクーラとの間隔を50〜100mmとしたことを特徴とする請求項1記載の油圧ポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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