説明

油圧作動液の脱水方法および装置

本発明は、特に航空宇宙分野における液圧系(2)油圧作動液の脱水方法および装置(3乃至6)であって、収着媒を収容した容器(10)と、前記装置(3乃至6)の脱水モードにおいて油圧作動液を脱水するために油圧作動液が前記収着媒(46)を通過するように前記液圧系(2)から油圧作動液を前記容器(10)に供給する供給路(11)と、前記装置(3乃至6)の前記脱水モードにおいて脱水された油圧作動液を前記容器(10)から前記液圧系(2)に還流させる返送路(12)とを備える装置に関する。油圧作動液は、本発明にかかる前記方法および前記装置(3乃至6)により、連続的にかつ非常に効率的に脱水される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空宇宙分野における油圧作動液の脱水方法およびこの種の方法を実施するための装置に関する。さらに、本発明は、液圧系油圧作動液の脱水ユニット、この種のユニットの制御方法、この種の装置またはユニットを装備した航空機または宇宙船、および、この種の装置またはユニットを備えた地上メンテナンスマシンに関する。
【0002】
本発明および本発明の基底をなす問題は任意の乗物に当てはめることができるが、本願明細書においては航空機に関して詳細に説明する。
【背景技術】
【0003】
航空機液圧系に使用される油圧作動液は概して非常に吸湿性が高い。水分の吸収により油圧作動液中の含水量が高まると、酸が生成されるのみならず、その他の望ましくない化学変化も生ずる。含水量が一定水準に達すると、バルブやポンプは、航空輸送に課された特別な安全要件の点から見て許容できない腐食損傷を蒙る。
【0004】
含水量の増加と相関した上記の問題を回避する一つの可能性は、油圧作動液を全面的に交換することである。ただし、これには多大なコストがかかると共に、長い航空機運行停止時間を必要とし、さらに、交換された油圧作動液の別途処分が不可避となる。
【0005】
ドイツ特許公告第10252148号[DE 10252148 B3]明細書は、本発明の請求項1および20の序文に記載の油圧作動液の脱水方法および装置を開示している。公知の方法において、水は、ガスと水とを透過させるが油圧作動液は透過させない膜上で、透過気化法により油圧作動液から分離され、膜の透過側は、油圧作動液中よりも低い水蒸気分圧を有する洗浄ガス流で満たされる。
【0006】
上記公知の方法の短所は、脱水工程が比較的緩慢にしか行われないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許公告第10252148号公報
【発明の概要】
【0008】
そこで、本発明の目的は、特に、大量の油圧作動液の速やかな脱水を可能にする、改良された油圧作動液脱水手段を提供することである。
【0009】
前記目的は、請求項1記載の特徴を有する方法、請求項20記載の特徴を有する装置、請求項31記載の特徴を有するユニット、請求項32記載の特徴を有する方法、請求項34記載の特徴を有する航空機または宇宙船および/または請求項35記載の特徴を有する地上メンテナンスマシンによって達成される。
【0010】
上記により、特に航空宇宙分野における油圧作動液の脱水方法が提供され、油圧作動液は、油圧作動液から水を除去する収着媒を通過する。
【0011】
油圧作動液と直接接触する収着媒は、従来の技術から公知の膜分離法よりも著しく速やかに油圧作動液から水を分離する。
【0012】
さらに、特に航空宇宙分野における、容器、供給路および返送路とを備えた液圧系油圧作動液の脱水装置が提供される。供給路は本装置の脱水モードにおいて油圧作動液を脱水するために油圧作動液が収着媒を通過するように、液圧系から容器に油圧作動液を供給する。返送路は本装置の脱水モードにおいて脱水された油圧作動液を容器から液圧系に誘導還流させる。
【0013】
こうした簡易な構成による解決方法により、油圧作動液を収着媒に接触させて収着媒を通過させ、油圧作動液を連続的に脱水することが可能である。これにより、既述した一連の利点が生ずる。
【0014】
さらに、特に航空宇宙分野における、本発明の少なくとも2つの装置を備えた液圧系油圧作動液の脱水ユニットが提供される。本発明にかかるユニットの制御方法により、装置は共通の制御手段により専ら交互に再生モードに切り換えられる。
【0015】
ここで、“専ら”とは、装置は決して同時に再生モードとはならないことを意味する。この特徴の利点は、油圧作動液が連続して速やかに脱水可能なことである。
【0016】
さらに、本発明にかかる装置または本発明にかかるユニットを備えた航空機または宇宙船が提供される。
【0017】
この種の航空機または宇宙船によれば、本装置またはユニットによる連続的な脱水による油圧作動液の含水量の顕著な上昇は生じない。したがって、航空機または宇宙船の運航停止時間は著しく減少する。
【0018】
さらに、本発明にかかる装置または、本発明にかかるユニットを備えた地上メンテナンスマシンが提供され、油圧作動液の脱水のために航空機または宇宙船の液圧系に地上メンテナンスマシンを接続することができる。
【0019】
この種の地上メンテナンスマシンにより付加的な器材を航空機または宇宙船内に取り込む必要性を回避でき、有利には飛行重量を減少させることが可能である。
【0020】
本発明の有利な実施形態および発展形態は、従属請求項に記載した通りである。
【0021】
好ましい発展形態において、油圧作動液の含水量は油圧作動液が収着媒を通過する前および/または後に決定される。
【0022】
油圧作動液の含水量に基づいて、収着媒の収着能が消耗しているか否か、すなわち、収着媒はもはや水分を吸収する能力がないか否か、あるいは単位時間当たりに十分な量の水分を吸収する能力がもはやないか否かを検出することができる。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態において、測定された含水量、特に、油圧作動液が収着媒を通過した後の含水量が第1の制限値を上回っていれば、収着媒を再生すべく、再生モードが開始される。
【0024】
とりわけ、含水量は油圧作動液が収着媒を通過した後に測定されなければならないが、これは、収着媒がなお十分な収着能を有しているか否かを明確かつ速やかに確認できるからである。
【0025】
たとえば、第1の制限値は、飛行に許容される最大値である油圧作動液の含水量は0.5%である。この種の方法は制御の点で非常に容易に実施可能である。第1の制限値は、油圧作動液の含水量が収着媒の再生中であっても所定の0.5%の限度を決して超えないようにすることが好ましく、0.5%の限度をわずかに下回る、たとえば0.3%または0.4%に設定される。
【0026】
本願明細書で使用される“再生モード”という用語は、収着媒の収着能が消耗していることが確認された後の、脱水モードの再開に必要な一連の運転態様と結びついている。脱水モードの再開には、収着媒の収着能の回復が必要である。
【0027】
以下の説明からわかるように、本装置の運転には、考えうる総計5つの異なった運転態様が存在する。本装置は脱水モードまたは再生モードで運転可能である。さらに、再生モードは、排出運転、再乾燥運転、充填運転および/または洗浄運転に区分される。
【0028】
さらに別の発展形態において、油圧作動液が収着媒を通過する前と後に測定された含水量の差の値が、収着媒を通過する前または後に測定された含水量の関数として決定される第2の制限値を下回っていれば、収着媒を再生すべく、再生モードが開始される。
【0029】
差の値は収着媒の収着能がどの程度消耗しているかを示す。たとえば、収着能がほとんど消耗し尽していれば、差の値はそれに応じて小さくなるが、それは一定の含水量が油圧作動液中に存在している場合のみである。他方、非常に低い含水量が油圧作動液中に存在する場合には、差の値は必然的に小さくならざるを得ない。改善された方法はこれらの事実を考慮し、第2の制限値は測定された含水量の関数として決定される。
【0030】
上述の発展形態によれば、収着媒は近い将来に交換されなければならないか否かを早期に検出することができる。
【0031】
さらに別の好ましい発展形態において、収着媒は再生モードで油圧作動液から分離され、再乾燥される。本願明細書で使用される“再乾燥”という用語は、収着媒に吸収された水分の除去を意味する。
【0032】
さらに別の好ましい実施形態によれば、収着媒は熱および/または減圧により再乾燥される。これらは収着媒を再乾燥するための非常に簡易な手段である。
【0033】
さらに別の好ましい実施形態において、再乾燥処理は少なくとも減圧により実施され、再乾燥処理工程の終了は圧力が圧力変化に関する制限値を下回ることにより決定される。
【0034】
圧力が制限値を下回ると、収着媒の収着能を回復するのに十分な量の水分が収着媒から除去されたことが確認される。
【0035】
さらに別の好ましい実施形態において、油圧作動液の汚染の程度が測定され、汚染の程度が汚染制限値を超える場合に、収着媒は、再乾燥の後、収着媒から汚れ粒子を除去するため洗浄剤で洗浄される。
【0036】
収着媒の収着能は、水分の吸収によるだけでなく、収着媒への汚れ粒子の取り込みによっても損なわれることがある。そのため、収着媒が相応して汚れ粒子で汚染されていれば、収着媒を浄化しなければならない。収着媒を浄化すべきか否かを決定するためには、汚染制限値を超えていた期間も考慮できる。これにより、収着媒に取り込まれた汚れの量の程度を知ることができる。
【0037】
さらに別の好ましい実施形態において、油圧作動液は、再生モード後に再び収着媒を通過する。
【0038】
このように、原状が回復され、装置はその目的、すなわち油圧作動液の脱水に対応することができる。
【0039】
さらに別の発展形態において、収着媒はシリカゲル、セピオライトおよび分子ふるいからなる一群から選択され、および/または油圧作動液はリン酸エステル系である。
【0040】
リン酸エステルは航空輸送分野に広く普及している油圧作動液である。収着媒は有利には、高い収着能を達成すべく大きな表面積を有した形状を有することとしてもよい。
【0041】
好ましい発展形態によれば、供給路および/または返送路には、油圧作動液の含水量を測定する水分センサが設けられ、かつ、信号伝達の観点から、水分センサと接続された制御手段が設けられる。
【0042】
水分センサは、液圧系自体に設けることができるが、本装置の特別な用途、特に地上メンテナンスマシンとの関連から見ると不都合である。なぜなら、地上メンテナンスマシンにこの種のセンサを一度だけ装備する代わりに、それぞれの航空機にこの種のセンサを設ける必要があるからである。
【0043】
この種の水分センサは、好ましくは容量測定を基礎とし、特に油圧作動液の温度への配慮を基礎としている。
【0044】
さらに別の好ましい実施形態において、制御手段は、測定された含水量とくに返送路の含水量が第1の制限値を超えている場合には、収着媒を再生するため、装置を脱水モードから再生モードに切り換える。
【0045】
さらに別の好ましい発展形態によれば、制御手段は、供給路と返送路の含水量の差の値が、第2の制限値を供給路または返送路で測定された含水量の関数として決定する第2の制限値を下回っていれば、収着媒を再生するため、装置を脱水モードから再生モードに切り換える。
【0046】
さらに別の好ましい実施形態によれば、容器は供給弁によって供給路と連結され、かつ、戻し弁によって返送路と連結されている。容器中の油圧作動液は、フレキシブルな方法で制御される。
【0047】
供給弁は、容器の上端に設けられることが好ましく、戻し弁は、容器の下端に設けられることが好ましい。ここで、“上”および“下”という表現は、地面との関係である。
【0048】
さらに別の好ましい実施形態において、容器は、圧縮空気弁により圧縮空気流路と連結され、制御手段は、再生モードの排出運転において供給弁を閉鎖し、戻し弁を開放し、圧縮空気は、開放された戻し弁を経て油圧作動液を容器から返送路に排出される。
【0049】
この種の排出処理は簡易な方法で実現することができ、しかも非常に速やかに行なわれる。
【0050】
本願明細書において使用される、“閉鎖された”弁という用語は、弁を通過して液体が流れることを阻止する状態を意味し、“開放された”弁という用語は、弁を通過して液体が流れる状態を意味する。
【0051】
さらに別の好ましい実施形態において、信号伝達に関して制御手段に接続されている充填レベルセンサが、油圧作動液が容器から排出完了したことを指示すると、制御手段は再び、排出運転において、圧縮空気弁を閉鎖する。
【0052】
この手段は、圧縮空気が返送路内に侵入することにより、圧縮空気が液圧系に侵入して同所を損傷することを防止する。
【0053】
さらに別の好ましい実施形態において、容器は真空弁により真空路と連結され、制御手段は、再生モードの排出運転下流の再乾燥運転において、戻し弁を閉鎖し、真空弁を開放し、容器内に行きわたる真空が収着媒を再乾燥する。
【0054】
“真空”とは、本方法で既述した減圧を意味しているにすぎない。収着媒に行きわたる真空は収着媒に吸収された水分を蒸発させ、発生した水蒸気は真空弁を経て除去される。
【0055】
さらに別の好ましい発展形態において、容器は通気弁により通気路と連結され、加熱手段が設けられ、制御手段は、再生モードの排出運転下流の再乾燥運転において、戻し弁を閉鎖し、通気弁を開放し、収着媒を再乾燥させるべく、収着媒に熱を供給する加熱手段を電源接続する。
【0056】
上記収着媒に吸収された水分を乾燥させる収着媒への熱供給は、真空により収着媒が再乾燥される既述の実施形態に対する付加的な、もしくは別法による収着媒再乾燥法である。双方の実施形態は有利には同時に使用され、加熱手段により少なくとも一定の熱が供給され、この熱は蒸発中に収着媒から奪われる。通気弁は同時に真空弁として使用することができ、それに応じて、通気路は真空路として使用することができる。このように、再乾燥処理は非常に効率的に行われ、設備を節約することが可能である。
【0057】
さらに別の好ましい実施形態によれば、容器は通気弁によって通気路と連結され、制御手段は通気弁と供給弁とを開放するため、容器が、再生モードの再乾燥運転下流の充填運転において、油圧作動液で充填される。
【0058】
装置を再び脱水モードに切り換えるには、供給弁が開放される必要であり、これによって、油圧作動液を再び容器に流入させることが可能になる。ただし、そのためには、容器内の空気が逃散できなければならない。これは開放された通気弁を経て行うことができる。最後に、供給弁は、油圧作動液が液圧系から収着媒を収容した容器に再流入し、また、容器から再び返送路を経て液圧系に再環流できるように、再開放されなければならない。
【0059】
さらに別の発展形態によれば、充填運転において、信号伝達に関して制御手段と接続されている充填レベルセンサが所望の充填レベルを指示すると、制御手段は通気弁を再閉鎖し、戻し弁を開放する。次いで、制御手段は再び、装置を再生モードから脱水モードに切り換える。
【0060】
この実施形態により、油圧作動液が通気路に流入することを防止する。容器に油圧作動液が十分に充填すると、通気弁は直ちに遮断される。その後、脱水モードを再開することができる。
【0061】
さらに別の好ましい実施形態において、油圧作動液の汚染度を測定し、その測定結果を制御手段に供する汚染度センサが設けられ、容器は洗浄剤供給弁により、洗浄剤供給路と連結され、また、洗浄剤戻し弁によって洗浄剤返送路と連結される。制御手段は、汚染度が汚染制限値を超えていることを確認すると、再乾燥運転後かつ充填運転前に、収着媒から汚染を除去するため、装置を洗浄運転に切換える。制御手段は、真空弁および/または通気弁を閉鎖し、洗浄剤供給弁と洗浄剤戻し弁とを開放し、洗浄剤が収着媒を通過して、収着媒から汚染を除去する。
【0062】
さらに別の好ましい発展形態によれば、洗浄剤供給路と洗浄剤返送路が洗浄剤容器に連結され、洗浄剤を浄化する洗浄剤ポンプとフィルタとが設けられ、洗浄剤ポンプは、洗浄運転において、容器、洗浄剤返送路、洗浄剤容器、フィルタおよび洗浄剤供給路を通して洗浄剤を循環させ、フィルタは洗浄剤の汚染を濾過除去する。
【0063】
このように、汚染は収着媒から容易に除去可能であり、汚染自体はフィルタによって採集される。
【0064】
フィルタには、汚染インジケータが設けられることが好ましく、フィルタは、交換可能な形に設けられることが好ましい。これにより、フィルタが汚染されると、直ちに交換することができる。
【0065】
さらに別の好ましい発展形態において、洗浄剤容器は、通気装置を有し、制御手段は、洗浄運転で洗浄剤が循環された後、容器から洗浄剤を排出するために洗浄剤戻し弁を閉鎖し、圧縮空気弁を開放して圧縮空気が洗浄剤を洗浄剤供給路に排出する。圧縮空気はその後、通気装置により、洗浄剤容器から逃がされる。
【0066】
洗浄剤は、圧縮空気により容器から非常に速やかに除去される。洗浄剤循環では、洗浄剤戻し弁の閉鎖により洗浄剤循環が中断されるため、圧縮空気により生ずる過剰な圧力は、有利には通気装置により逃がすことができる。
【0067】
さらに別の好ましい実施形態では、洗浄剤供給路または洗浄剤返送路には、洗浄剤ポンプとフィルタとが配置され、洗浄剤ポンプおよび/またはフィルタを迂回する洗浄剤排出路には、洗浄剤排出弁が設けられる。制御手段は、容器を空にするため、洗浄剤排出弁を開放し、洗浄剤供給弁または洗浄剤戻し弁を遮断する。
【0068】
この実施形態によれば、高い流れ抵抗を形成する洗浄剤ポンプまたはフィルタを貫流する必要がないため、洗浄剤を非常に速やかに容器から排出することができる。さらに、フィルタの反対方向に通過した流れは、フィルタで汚染粒子が捕集され、洗浄剤循環中に拡散される。
【0069】
さらに別の好ましい実施形態において、洗浄剤の汚染度を測定し、この測定結果を制御手段に供する洗浄剤汚染度センサが設けられ、制御手段は、洗浄剤の汚染度が洗浄剤汚染制限値を超えていると、インジケータに警告信号を発する。このように、洗浄剤はそれ自体が汚染された場合に、確実に交換することができる。特定タイプの汚染は、フィルタが洗浄剤を十分に浄化できないことが十分に考えられ、特に洗浄剤が液体汚染される場合にそうである。
【0070】
本発明にかかるユニットの好ましい発展形態によれば、4つの装置、たとえば装置A,B,CおよびDが設けられ、これらの装置を交互に脱水運転、排出運転、再乾燥運転および充填運転に切り換える共通の制御手段が設けられている。
【0071】
換言すれば、装置Aが脱水運転中であれば、装置Bは排出運転中、装置Cは再乾燥運転中、装置Dは充填運転中にあるということである。このように、容器当たりの所要量の収着媒を最少化することができる。各々の容器に供される収着媒の量は最長の運転(排出運転、再乾燥運転または充填運転)が持続する間だけ保てればよいからである。このように、容器のサイズを極力小形化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
以下に本発明を、添付図面を参照し、一連の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図1】本発明の1実施形態にかかる4つの装置を備えたユニットを示す図である。
【図2】上記実施形態にかかる水分センサを示す図である。
【図3】上記実施形態にかかる回路図を概略的に示す図である。
【図4】洗浄剤が容器を貫流する場合における、上記実施形態にかかる当該洗浄手段を備えた図1の装置の1つを示す図である。
【図5】洗浄剤が容器から排出された場合における、図4の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図中、同一の符号は、別段の記載が行われていないかぎり、同一の設備または機能的に同じ設備を表している。
【0074】
図1は、液圧系2たとえば航空機の液圧系の油圧作動液を脱水するユニット1を概略的に示している。本実施形態において、油圧作動液はリン酸エステルである。
【0075】
ユニット1は、好ましくは、一般に空港に見られるタイプの地上メンテナンスマシンの部材である。
【0076】
ユニット1は、第1の装置3、第2の装置4、第3の装置5および第4の装置6を有している。装置3乃至6のそれぞれは容器10を有しており、すべての容器10は共通の供給路11と共通の返送路12によって液圧系2と流体導通連結されている。
【0077】
ユニット1は、たとえば液圧系2を備えた航空機がメンテナンスされている間は、液圧系2と連結されているが、これは一時的なものであり、液圧系2への供給路11の継手13ならびに液圧系2への返送路12の継手14は着脱可能に構成されている。
【0078】
供給路11および返送路12には、それぞれ、継手13,14の下流に停止弁15,16が配置されており、これらはそれぞれユニット1が液圧系2と連結された後に開放され、ユニット1が液圧系2から切り離される前に閉鎖される。これは液圧系2から切り離された後に残りの油圧作動液がユニット1から流出するのを防止する。
【0079】
ユニット1に油圧作動液を送出する油圧ポンプ17は、供給路11の停止弁15の下流に配置されていることが好ましい。
【0080】
汚染インジケータを備えたフィルタ18は、供給路12における油圧ポンプ17の下流に配置されていることが好ましい。汚染インジケータを備えた同等なフィルタ22は、返送路12における停止弁16の下流に配置されていることが好ましい。フィルタ18,22は油圧作動液から汚染粒子を濾過除去する。フィルタ18,22の汚染インジケータが上記フィルタ18,22は汚染されていることを表示する場合に、これらのフィルタは交換される。
【0081】
流量センサ23は、供給路11においてフィルタ18の下流に設けられていることが好ましい。ユニット1内を油圧作動液が流れているか否かや、その量を、流量センサ23により確認することができる。
【0082】
供給路11の流量センサ23には、調節式減圧弁24が接続されることが好ましく、この弁によって、容器10に供給される油圧作動液の圧力を調節することができる。
【0083】
供給路11の減圧弁24に接続された逆止め弁25により、供給路11の符号26で表された流れ方向とは反対方向に油圧作動液が逆流することが防止される。
【0084】
逆止め弁25の下流側の供給路11は、返送路12に接続された、安全弁28付きの安全路27を有している。正常な状態では、この安全弁は図1に示した位置にあり、それにより、油圧作動液が供給路11から安全路27を通過して返送路12に向かって流れることを阻止する。ただし、油圧作動液が供給路11から容器10を通過して返送路12へ流入することを妨げるエラーが生じるが、ポンプ17が引き続き油圧作動液を供給する場合には、許容可能な油圧作動液圧力の一定の限界値を超えると、安全弁28は開放し、油圧作動液は供給路11から返送路12に向かって流出する。たとえば流路や弁の損傷を防止することができる。
【0085】
フィルタ18,22の下流において、供給路11および返送路12は、油圧作動液中の含水量を測定する水分センサ32,33を有していることが好ましい。
【0086】
図2は、供給路11内に水分センサプローブ32aと共に突出し、油圧作動液の水分を容量的に測定する水分センサ32,33の一方を例示している。この水分センサは、油圧作動液の温度を供する温度プローブ32bを備えている。測定された温度は油圧作動液の水分の決定に用いられる。
【0087】
本実施形態によれば、2つの水分センサ32,33がそれぞれ、供給路11と返送路12に配置されているだけである。同様に、装置3乃至6の各々に、それぞれ2つの水分センサを有しており、一方は容器10の上流に、他方は下流に設けられ、装置3乃至6の各々それぞれの容器10の上流と下流とで含水量を個別に決定することも可能である。ただし、図1に示した変形実施形態では、2つの水分センサ32,33のみで運用できるため、部品点数の点で比較的経済的である。
【0088】
装置3乃至6の構成は互いに同一である。以下、装置の構造は装置3を例として説明する。
【0089】
容器10はカルトゥーシュとして、つまり、地面40(図示しない)に対して基本的に垂直をなして延びる円筒型容器として構成される。以下、“上”および“下”という表現は、常に地面40に対して用いられる。
【0090】
容器10はその上端29において、電磁作動式2/2方向制御弁として構成された供給弁34を経て供給路12と流体導通連結され、その下端30において、電磁作動式2/2方向制御弁して構成された戻し弁35を経て返送路12と流体導通連結されている。
【0091】
図1に示した装置3では、供給弁34と戻し弁35との開放位置において、油圧作動液は、供給路12から容器10に流入し、さらに前記容器10から再び返送路12に流出する。
【0092】
図1に示した装置5では、供給弁34と戻し弁35との閉鎖位置において、油圧作動液は供給路11から容器10に流入することも、容器10から返送路12に流出することもできない。
【0093】
戻し弁35と返送路12との間には、いかなる場合にも油圧作動液が返送路12から容器10に逆流しないようにする逆止弁36が配置されていることが好ましい。これにより、装置3乃至6のそれぞれの容器10が相互に影響し合うことが防止できる。とりわけ、逆止弁36は、後に詳細に説明する排出運転中の容器10を、返送路12内の加圧された油圧作動液から閉鎖する。
【0094】
容器10には上部充填レベルセンサ37と下部充填レベルセンサ38とが設けられており、これらのセンサはそれぞれ、容器10の充填レベルが第1の制限値を下回るかまたは容器10の充填レベルが第2の制限値を上回る際に信号を発生する。充填レベルセンサ37,38は、測定カラム39に配置されていることが好ましく、前記カラムの下端は戻し弁35を返送路12に接続する流路43と流体導通接続され、その上端は容器10の上端に接続されている。
【0095】
測定カラム39内の油圧作動液のレベル44は、容器内の油圧作動液のレベル45に対応している。本実施形態によれば、下部充填レベルセンサ38は、流路43が少なくとも部分的に空であって、測定カラム内のレベル44が充填レベルセンサ38の位置を下回る場合にのみ、信号を発生する。これにより、容器10が完全に空である場合にのみ充填レベルセンサ38は信号を発生することが保証される。
【0096】
容器10はその内部に収着媒46、たとえばシリカゲルを有している。この収着媒46は油圧作動液から水を除去する。
【0097】
さらに、容器10は、たとえば、電磁スイッチ48が閉じられると電流が流れる、発熱体として構成された加熱手段47を有しており、この加熱手段は、収着媒46を加熱する熱を発生する。
【0098】
容器10は、その上端29において、電磁作動式3/3方向制御弁として構成された圧縮空気弁52を経て圧縮空気流路53と流体導通連結される。この圧縮空気流路53には、コンプレッサ54とその下流に接続されたフィルタ55を経て、濾過された圧縮空気が供給できる。
【0099】
さらに、容器10は、圧縮空気弁52を経て通気路56と流体導通連結され、通気路56はフィルタ57と通気装置58とを有し、大気圧が行きわたるようになっている。
【0100】
圧縮空気弁52は、その位置において容器10が圧縮空気流路53や通気路56と連結されていない第1の位置を有する。第2の位置では、容器10は圧縮空気流路53と連結される。圧縮空気弁52の第3の位置では、容器10は通気路56と連結される。
【0101】
さらに、容器10の上端29は、2/2方向制御弁として構成された真空弁62を経て真空路63と流体導通連結され、真空路63は以下の順序で、沈殿容器64、真空ポンプ65および好ましくは水分離器66を有していることが好ましい。沈殿容器64は、固体および液体の成分からポンプを保護する。真空ポンプ65は真空路63に(大気圧に基づいて)真空を供する。
【0102】
真空弁62は2つの位置を有している。図1に示した装置3のように、第1の位置において、真空路63は容器10から切り離され、容器10内には真空は存在しない。真空弁62の第2の位置において、容器10は真空路63と流体導通連結され、容器10の内部に真空が生ずる。
【0103】
吸上げられた空気中の汚れ粒子は沈殿容器64で濾過除去され、真空ポンプ65が保護される。水分離器66、たとえば静電分離器は、容器10から吸上げられた空気から、油圧作動液(またはその添加物)で汚染された恐れのある水分を除去する。
【0104】
さらに、制御手段67が設けられており、この制御手段は信号伝達に関してすべての切換え式エレメント15,16,17,24,34,62,48,35,54,および65と接続されてこれらのエレメントを制御し、同じく信号伝達に関してすべての信号発信エレメント18,22,33,23,32,37,38,68,および69と接続されてこれらのエレメントから発される信号を評価する(図を分かりやすくするために回線は表されていない)。制御手段67は、フレキシブル・プログラマブルSPC(蓄積プログラム制御)として構成されていることが好ましい。
【0105】
制御手段67は、インジケータ73(図3も参照のこと)に接続されていることが好ましく、インジケータにはたとえば、測定値、個々の装置3乃至6のそれぞれ異なった運転状態または、たとえばフィルタを交換すべき旨の警告信号が表示可能である。
【0106】
制御手段67の回路配線が図3に概略的に示されている。一例として、制御手段67は、水分センサ32と接続されている。さらに、制御手段67は、前述したインジケータ73と接続されている。制御手段67はまた、ユニット1のオペレータに警告を発する警告ランプ64とも接続されている。プラグパワーパック75により給電される制御手段67は、たとえば、たとえばさまざまな航空機のタイプに応じて異なる油圧作動液中の許容含水量に関するさまざまな制限値を入力できるPC(パーソナルコンピュータ)76により、フレキシブルにプログラミングすることが可能である。
【0107】
装置3乃至6の各々はそれぞれ、圧縮空気流路53、通気路56、真空路63および(それぞれの当該コンポーネントを備えた)制御手段67を有するが、本実施形態では、部品点数の経済化を図るため、装置3乃至6には共通の圧縮空気流路53、通気路56、真空路63および制御手段67が設けられている。
【0108】
図4および5には、洗浄手段80が増補された装置3が示されている。装置3乃至6の各々がこのタイプの洗浄手段80を有することは言うまでもない。
【0109】
洗浄剤供給路81は、戻し弁35を容器10に接続している流路部82と流体導通連結されており、洗浄剤返送路83は、供給弁34を容器10に接続している流路部84と流体導通連結されている。
【0110】
洗浄剤供給路80または洗浄剤返送路83には、それぞれ先ず停止弁85,86が設けられており、これらの弁は、閉鎖状態において、洗浄剤87が流路82,84内に意図せず侵入しないようにする。
【0111】
排出路92は、停止弁85の下流で、洗浄剤供給路81から分枝していることが好ましく、前記排出路92は、電磁作動式2/2方向制御弁として構成された排出弁93を経て洗浄剤容器94と流体導通連結する。
【0112】
洗浄剤供給路81は、排出路92より下流側に、電磁作動式2/2方向制御弁として構成された洗浄剤供給弁95、洗浄剤ポンプ96および、好ましくは汚染インジケータを備えた洗浄剤フィルタ97を有しており、このフィルタの下流で洗浄剤供給路81は洗浄剤容器94内に開口している。
【0113】
洗浄剤返送路83には、停止弁86の下流に、電磁作動式2/2方向制御弁として構成された洗浄剤戻し弁98が設けられており、この停止弁の下流で洗浄剤返送路83は容器94内に開口している。
【0114】
洗浄剤容器94も地面40に対して基本的に垂直であり、その上端102に、フィルタ104上方に配置された通気装置103を有している。
【0115】
装置3乃至6の各々は以下に挙げる運転態様で運転可能である。:
脱水モード(図1、装置3);
再乾燥モードと関連した排出運転(図1、装置4);
再生モードと関連した再乾燥運転(図1、装置5);
再生モードと関連した充填運転(図1、装置6)
【0116】
図1に示される装置3の脱水モードにおいて、油圧作動液は、ポンプ16の作用により液圧系2から供給路11を通過して容器10に流入し、油圧作動液から水を除去する収着媒46を通過して流れる。その後、油圧作動液は容器10から返送路12に流れ込み、続いて、液圧系2に還流する。
【0117】
上記処理工程の間、水分センサ32,33は継続的に、油圧作動液の含水量を測定する。水分センサ32は、測定された供給路含水量を測定値MZとして制御手段67に供給し、水分センサ33は、返送路で測定された含水量を測定値MRとして前記制御手段に供給する。
【0118】
制御手段67は、測定値MRを、たとえば含水量0.45%であり、油圧作動液の最大許容含水量0.5%をわずかに下回る制限値G1と比較する。
【0119】
もしも制御手段67が、測定値MRは制限値G1を上回っていることを確認すれば、制御手段は、収着媒46はもはや油圧作動液の含水量を持続的に0.5%以下つまり最大許容値以下に保つ適切な収着能を有していないと判定する。次いで、制御手段67は装置1を再生モードに切り換え、このモードにおいて、図1の装置4に示したように、排出運転を開始する。
【0120】
加えて、または別の方法として、制御手段67は継続的に測定値MRと測定値MZとの差BDの値を決定し、この差の値であるBDを制限値G2と比較することも可能である。制限値G2は、測定値MZの関数として計算されることが好ましい。制限値G2は、“正常な”収着能を有する収着媒46との差の値である。これらの値はたとえば、表に記録される。
【0121】
さらに、流量センサ23により示される流量DRも制限値G2の決定に利用することができる。流量は、測定値MZとMRとの間の差の値に影響するからである。たとえば、流量が高まれば、収着媒46が油圧作動液に作用する作用時間は減少する。したがって、低い差の値が予想される。
【0122】
この場合、もしも制御手段が、値BDは値G2を上回っていることを確認すれば、制御手段は同様に、装置を再生モードに切り換え、図1の装置4に示したように、最初に排出運転に切り換える。第2の計算方法によれば、収着媒46の収着能の消耗をより早期に予測することが可能になる。
【0123】
排出運転のために、制御手段67は供給弁34により供給路11を閉鎖し、圧縮空気弁52を接続して、圧縮空気を圧縮空気流路53から容器10に流入させる。容器10内の油圧作動液は、圧縮空気105により、開放された戻し弁35を経て返送路12に排出される。下部充填レベルセンサ38は、容器10が完全に空である場合、また、流路43の一部が空である場合にも、その旨を制御手段67に指示する。これにより、容器10が完全に空であることが保証される。
【0124】
続いて、制御手段67は再び圧縮空気弁52を切り換え、それ以上の圧縮空気が圧縮空気流路53から容器10内に流入しないようにする。次いで、制御手段67は戻し弁35を閉鎖し、容器10は返送路12との流体導通連結から切り離される。
【0125】
その後、制御手段67は再乾燥運転への切換えを行い、真空弁62を切り換えて、容器10は真空路63に接続され、容器内に真空が生ずる。真空は収着媒46により吸収された水を蒸発させ、水は真空弁62と流路63とを経て逃がされる。
【0126】
制御手段67はまた、スイッチ48を切り換え、電流が加熱手段47の発熱体を通過して流れ、収着媒が加熱されるようにする。この手段はさらに、収着媒46に吸収された水の蒸発を促進する。真空路内の圧力センサ68により測定された圧力MDを用いて、制御手段67は継続的に圧力の経時変化MDZを計算し、これを圧力変化の制限値GDと比較する。MDZの値がGDの値を下回ると、収着媒46に吸収された水分量は所望の(低)含水量まで減少したことが確認される。これに応じて、加熱手段47はスイッチ48の切換えにより再び電源遮断され、真空弁62は再び閉鎖される。
【0127】
続いて、再び収着媒46を洗浄する必要、すなわち、油圧作動液から収着媒に取り込まれた汚れ粒子を収着媒から除去する必要が生ずる。装置がこの洗浄運転に切り換えられるか否かは、たとえば、フィルタ22により制御手段67に指示される、汚れ粒子による油圧作動液の汚染程度を反映する測定値に依拠して行われるようにすることができる。もしも汚染の程度が所定の制限値を超える場合には、制御手段67は洗浄運転への切換えを決定する。
【0128】
洗浄運転において、停止弁85,86(図4および5、参照)、洗浄剤供給弁95、洗浄剤戻し弁98とが開放される。排出弁93は閉鎖される。
【0129】
次いで、制御手段67はポンプ96を起動し、洗浄剤87が収着媒46を通して循環され、その結果として、汚れ粒子は収着媒46から洗い流される。
【0130】
洗い流された汚れ粒子は、続いて、フィルタ97により洗浄剤87から濾過除去される。一定の時間が経過した後、収着媒46が浄化されたと確認できれば、制御手段67は、図5に示したように、ポンプ96を再びスイッチオフし、洗浄剤供給弁85と洗浄剤戻し弁98とを閉鎖し、排出弁93を開放する。
【0131】
続いて、制御手段67は圧縮空気弁52を切り換え、圧縮空気105が圧縮空気流路53から容器10に流入し、容器10から洗浄剤供給路81に洗浄剤87を排出する(図5、参照)。次いで、洗浄剤87は排出路92と開放された排出弁93とを経て洗浄剤容器94内に排出され、洗浄剤容器94内に存在している空気106をフィルタ104と通気装置103とを経て洗浄剤容器94から追い出す。洗浄剤87がすべて容器10から追い出されたことが確認されると、圧縮空気弁52は再閉鎖されるため、もはや圧縮空気が容器10内に流入することはない。このため、適切なセンサ(図示しない)を設けることが可能である。
【0132】
もしも、混濁度センサ99により制御手段67に供され、洗浄剤87の混濁度を示す測定信号が洗浄剤許容混濁度の制限値を超える場合には、洗浄剤87はこの時点で交換される。
【0133】
その後、または、洗浄運転が不要であることが確認された場合には、再乾燥運転直後に、制御手段67は充填運転への切換えを行い、供給弁34を開放し、圧縮空気弁52を切り換えて、容器10は通気路56と接続される。これに応じて、油圧作動液は供給路11から容器10に流入し、容器10内の圧縮空気105を前記容器からフィルタ57と通気装置58とを経て通気路56に追い出す(図1の装置6)。
【0134】
もしも容器10内の油圧作動液のレベル45が所定のレベルまで上昇すると、充填レベルセンサ37が作動し、充填レベルセンサ37は制御手段67に、容器が再び充満していることを指示する。
【0135】
これに応じて、制御手段67は装置3を再び切り換え、油圧作動液が再び収着媒46により脱水される脱水モードに戻す。
【0136】
制御手段67は、装置3乃至6を交互に脱水モード、排出運転、再乾燥運転および充填運転に切り換える。装置3が脱水モードにある場合、装置4は排出運転、装置5は再乾燥運転、装置6は充填運転中であることを意味している(図1、参照)。
【0137】
本発明によれば、さらに別の装置を設けることも考えられ、その場合には、制御手段67は装置3乃至6ともう1つの装置を交互に脱水モード、排出運転、再乾燥運転、洗浄運転および充填運転に切り換える。
【0138】
以上、本発明を好ましい実施形態に依拠して説明したが、本発明はそれに制限されるものではなく、多様な形で手を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 ユニット
2 液圧系
3 装置
4 装置
5 装置
6 装置
10 容器
11 供給路
12 返送路
13 継手
14 継手
15 停止弁
16 停止弁
17 油圧ポンプ
18 フィルタ
22 フィルタ
23 流量センサ
24 減圧弁
25 逆止め弁
26 流れ方向
27 安全路
28 安全路
29 上端
30 下端
32 水分センサ
32a 容量プローブ
32b 温度プローブ
33 水分センサ
34 供給弁
35 戻し弁
36 逆止弁
37 充填レベルセンサ
38 充填レベルセンサ
39 測定カラム
40 地面
43 流路
44 レベル
45 レベル
46 収着媒
47 加熱手段
48 スイッチ
52 圧縮空気弁
53 圧縮空気流路
54 コンプレッサ
55 フィルタ
56 通気路
57 フィルタ
58 通気装置
62 真空弁
63 真空路
64 沈殿容器
65 真空ポンプ
66 分離器
68 圧力センサ
69 充填レベルセンサ
73 インジケータ
74 警告ランプ
75 プラグパワーパック
76 回線
80 洗浄手段
81 洗浄剤供給路
82 流路
83 洗浄剤返送路
84 流路
85 停止弁
86 停止弁
87 洗浄剤
92 排出路
93 排出弁
94 洗浄剤容器
95 洗浄剤供給弁
96 洗浄剤フィルタ
98 洗浄剤戻し弁
99 混濁度センサ
103 通気装置
104 フィルタ
105 圧縮空気
106 圧縮空気
BD 差の値
DR 測定流量
G1 制限値
G2 制限値
GD 圧力制限値
MDZ 圧力変化
MD 測定圧力
MZ 供給路で測定された含水量
MR 返送路で測定された含水量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(10)内に収容され、油圧作動液から水分を除去する収着媒(46)に該油圧作動液を通過させる、油圧作動液の脱水方法において、
前記油圧作動液の含水量が、前記収着媒(46)を通過する前および/または後に測定され、測定された前記含水量(MZ,MR)が第1の制限値(G1)を上回る場合に、前記収着媒(46)を再生して前記収着媒(46)の収着能を回復する再生モードが開始される、特に航空宇宙分野における油圧作動液の脱水方法。
【請求項2】
容器(10)内に収容され、油圧作動液から水分を除去する収着媒(46)に該油圧作動液を通過させる油圧作動液の脱水方法において、
前記油圧作動液の含水量が、前記収着媒(46)を通過する前と後とに測定され、前記収着媒(46)を通過する前と後とに測定された含水量(MZ,MR)の差(BD)が、前記含水量(MZ,MR)の関数として決定される第2の制限値(G2)を下回る場合に、前記収着媒(46)を再生して前記収着媒(46)の収着能を回復する再生モードが開始される、特に航空宇宙分野における油圧作動液の脱水方法。
【請求項3】
前記再生モードにおいては、前記収着媒(46)が、排出運転により前記油圧作動液から分離されて、前記収着媒(46)が再乾燥運転により再乾燥される、請求項1または2に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項4】
前記再生モードの前記排出運転においては、供給弁(34)が閉鎖され、圧縮空気弁(52)が開放され、前記油圧作動液が圧縮空気(105)により前記容器(10)から、開放された戻し弁(35)を経て、返送路(12)に排出し、請求項3に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項5】
前記排出運転においては、充填レベルセンサ(38)が、前記容器(10)から油圧作動液が排出されたことを指示すると、前記圧縮空気弁(52)が再び閉鎖する、請求項4に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項6】
前記再乾燥運転においては、前記収着媒(46)が、熱および/または減圧により再乾燥される、請求項3から5のいずれかに記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項7】
前記再乾燥運転は、少なくとも減圧下で実施され、前記再乾燥運転の終了が、当該圧力が圧力変化(MDZ)に関する制限値(GD)を下回ることにより決定される、請求項6に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項8】
前記再乾燥運転においては、前記戻し弁(35)が閉鎖され、真空弁(62)が開放され、前記収着媒(46)が前記容器(10)内を一時的に行きわたる真空によって再乾燥される、請求項4から7のいずれかに記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項9】
前記再生モードにおける前記再乾燥運転においては、前記戻し弁(35)が閉鎖され、前記通気弁(62)が開放され、加熱手段(47)が前記収着媒(46)に熱を供給するために接続されて前記収着媒(46)が再乾燥される、請求項4から8のいずれかに記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項10】
前記再生モードの前記再乾燥運転下流の充填運転においては、通気弁(52)と供給弁(34)とが開放され、前記容器(10)に油圧作動液が充填される、請求項4から9のいずれかに記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項11】
前記充填運転においては、充填レベルセンサ(37)が、所望の充填レベルであると指示すると前記通気弁(52)が閉鎖され、前記戻し弁(35)が開放され、装置(3乃至6)が前記再生モードから再び前記脱水モードに切り換えられる、請求項10に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項12】
前記再乾燥運転の後および前記充填運転の前に、汚染度が汚染制限値を超えている場合に、装置が前記収着媒(46)から汚れを除去する洗浄運転に切り換えられ、洗浄剤供給弁と洗浄剤戻し弁(85;86)が開放され、洗浄剤(87)が前記収着媒(46)を通過して汚れが前記収着媒(46)から除去される、請求項10または11に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項13】
前記洗浄剤(87)は、前記洗浄運転においては、洗浄剤ポンプ(96)により、容器(10)、洗浄剤返送路(83)、洗浄剤容器(94)、フィルタ(94)および洗浄剤供給路(81)を通して循環し、汚れがフィルタ(97)により前記洗浄剤(87)から濾過除去される、請求項12に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項14】
前記洗浄運転においては、前記洗浄剤(87)が循環した後、前記洗浄剤を前記容器(10)から排出するため、前記洗浄剤戻し弁(98)が閉鎖され、前記圧縮空気弁(52)が開放され、前記洗浄剤(87)が圧縮空気(105)により前記洗浄剤供給路(81)に排出される請求項13に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項15】
前記容器(10)を空にするため、洗浄剤排出弁(93)が開放され、前記洗浄剤供給弁(95)または前記洗浄剤戻し弁(98)が閉鎖される、請求項13または14に記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項16】
前記フィルタ(97)は、該フィルタの汚染表示が、前記フィルタは汚染されていることを指示すると交換される、請求項13から15のいずれかに記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項17】
前記再生モード後に、油圧作動液が再び前記収着媒(46)を通過する請求項1から16のいずれかに記載の油圧作動液の脱水方法。
【請求項18】
収着媒(46)を収容した容器(10)と、
脱水モードにおいて油圧作動液を脱水するため、該油圧作動液が前記収着媒(46)を通過するよう前記液圧系(2)から前記容器(10)に前記油圧作動液を供給する供給路(11)と、
前記脱水モードにおいて脱水された油圧作動液を、前記容器(10)から前記液圧系(2)に還流させる返送路(12)と、を備える油圧作動液の脱水装置(3乃至6)において、
前記装置(3乃至6)は、さらに、前記収着媒(46)を再生して該収着媒(46)の収着能を回復する再生モードを有し、
前記再生モードは、前記容器(10)から油圧作動液を排出する排出運転と、前記収着媒(46)に吸収された水分を除去する再乾燥運転と、前記容器(10)に油圧作動液を充填する充填運転とに区分され、
前記容器(10)は、加熱手段(47)を有している、特に航空宇宙分野における、液圧系(2)の油圧作動液の脱水装置。
【請求項19】
前記供給路(11)および/または前記返送路(12)には、油圧作動液の含水量(MZ,MR)を測定する水分センサ(32,33)が設けられ、
前記装置は、信号伝達に関して前記水分センサ(32,33)と接続された制御手段(67)をも有している、請求項18に記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項20】
前記容器(10)は、供給弁(34)により前記供給路(11)と連結され、かつ、戻し弁(35)により前記返送路(12)と連結されている、請求項18または19に記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項21】
前記容器(10)は、圧縮空気弁(52)により圧縮空気流路(56)と連結されている、請求項18から20のいずれかに記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項22】
前記容器は、真空弁(62)により真空路(63)と連結されている、請求項18から21のいずれかに記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項23】
前記容器(10)は、通気弁(62)により通気路(63)と連結されている、請求項18から22のいずれかに記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項24】
油圧作動液の汚染度を測定し、その測定結果を制御手段(67)に供する汚染度センサが設けられ、
前記容器(10)は、洗浄剤供給弁(85)により洗浄剤供給路(81)と連結され、かつ、洗浄剤戻し弁(86)により洗浄剤返送路(83)と連結されている、請求項18から23のいずれかに記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項25】
前記洗浄剤供給路(81)と前記洗浄剤返送路(83)は、洗浄剤容器(94)と連結され、
洗浄剤ポンプ(96)とフィルタ(97)は、前記洗浄剤(87)を浄化するため、前記洗浄剤供給路(81)または洗浄剤返送路(83)に設けられている、請求項24に記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項26】
前記洗浄剤容器(94)は、通気装置(103)を有している、請求項25に記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項27】
前記洗浄剤ポンプ(96)と前記フィルタ(97)は、前記洗浄剤供給路(81)または前記洗浄剤返送路(82)に配置され、
洗浄剤排出弁(93)を備えた洗浄剤排出路(92)が設けられ、
前記洗浄剤排出路は、前記洗浄剤ポンプ(96)および/または前記フィルタ(97)を迂回する、請求項25または26に記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項28】
前記収着媒は、シリカゲル、セピオライト、および分子ふるいからなる一群から選択され、および/または油圧作動液は、リン酸エステル系である、請求項18から27のいずれかに記載の油圧作動液の脱水装置。
【請求項29】
請求項18から28のいずれかに記載の少なくとも2つの油圧作動液の脱水装置(3乃至6)を含んでなる、特に航空宇宙分野における液圧系(2)の油圧作動液の脱水ユニット(1)。
【請求項30】
少なくとも前記2つの装置(3乃至6)は、交互に再生モードに切り換えられる請求項29に記載の前記ユニット(1)の制御方法。
【請求項31】
4つの前記装置(3乃至6)は、交互に、脱水モード、排出運転、再乾燥運転および充填運転に切り換えられる、請求項30に記載の制御方法。
【請求項32】
請求項18から28のいずれかに記載の装置(3乃至6)または請求項29に記載のユニット(1)を備えた航空機または宇宙船。
【請求項33】
油圧作動液を脱水するため、航空機または宇宙船の液圧系(2)に接続可能な請求項18から28のいずれかに記載の装置(3乃至6)、または、請求項29に記載のユニット(1)を備えた地上メンテナンスマシン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−5】
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【公表番号】特表2011−511215(P2011−511215A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541051(P2010−541051)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068193
【国際公開番号】WO2009/087059
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(509203120)エアバス オペラツィオンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (67)
【Fターム(参考)】